説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション機能による経路案内における音声案内を聞き漏らすことなく、また、オーディオ機能で再生中の音楽も自然な状態で聴くことができるようにする。
【解決手段】オーディオ再生手段による楽曲再生の区切りを検出する楽曲区切り検出手段と、音声案内出力ポイント判別手段と、楽曲再生開始制御手段と、を備え、楽曲区切り検出手段がオーディオ再生手段で再生される楽曲の区切りを検出した際に、音声案内出力ポイント判別手段は、検出された楽曲の区切りに応じた車両の位置と案内経路データとに基づいて、楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間の範囲内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別し、案内ポイントがあると判別された場合、楽曲再生開始制御手段は、該案内ポイントにおける音声案内の出力が終了を検出した後に、オーディオ再生手段で再生される次の楽曲の再生を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ装置を備えたナビゲーション装置に関するものであり、特に、複数のスピーカを用いてオーディオ装置による音楽の再生出力と、ナビゲーション機能による経路案内における音声案内出力と、を同時に行うことができるナビゲーション装置において、オーディオ装置により再生出力する個々の楽曲の終了時の車両位置または次の楽曲の開始時の車両位置と、経路案内における音声案内の出力ポイント(出力地点)の位置とが、所定の距離または所要時間内である場合には、前記次の楽曲の再生を、前記音声案内の出力ポイントにおいて音声案内の出力が完了した後に開始するようにしたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近ではナビゲーション装置、音楽プレーヤー、DVDプレーヤー、アナログ放送やデジタル放送に対応したテレビジョン受信機など各種の電子装置が小型化され、携帯可能な装置として、あるいは車載用の装置として提供されている。特に車載用の装置としては、上記の各種機能を複合して備えた電子装置も提供されている。
【0003】
車載用のナビゲーション装置は、例えば、下記の特許文献1(特開2003−130669号公報)に開示されているように、所要のリンクコストを設定した地図データを用い、各リンクに設定されたリンクコストに基づいて、出発地から目的地までのリンクコストの累計が最少になる経路を探索して案内するものである。
【0004】
このようなナビゲーション装置においては、経路案内中には表示手段に地図画像が表示され、案内経路やナビゲーション装置の現在位置を示す現在位置マークが地図画像に重ね合わせて表示される。そして、案内経路に沿って進行中に、車両(車両の現在位置)が右折や左折など進行方向を変更すべき交差点の所定距離手前の案内ポイントに到達すると、音声案内などの手段により案内(ガイダンス)が出力される。
【0005】
ナビゲーション装置がオーディオ再生機能を有している場合、ナビゲーション機能による経路案内を受けながら、オーディオ再生機能を用いて音楽を聴くことができる。この場合、音楽の再生中に経路案内における案内ポイントでの音声案内の出力が重なることがある。ナビゲーション装置は、オーディオ再生機能のため複数のスピーカを備えており、音声出力が重なる場合には、スピーカの1つを経路案内の音声出力に使用し、他のスピーカを音楽の再生に使用するように構成される。
【0006】
音楽の再生中に、経路案内の音声出力を行う場合には、経路案内における音声出力(音声案内)を聞き漏らすことがないように種々の方策提案されている。例えば、下記の特許文献2(特開2004−108908号公報)には、オーディオ再生中の場合、経路案内における音声案内の開始タイミングを、オーディオ装置で再生中の音楽の終了まで遅らせるようにしたオーディオ連携ナビゲーション装置が開示されている。
【0007】
また、下記の特許文献3(特開平8−105753号公報)には、車両位置が音声案内すべき交差点まで所定の距離になった際に、オーディオ機器へ音量を減衰または零にする制御信号を出力して、交差点の音声案内を行い、その後、音声案内終了したら、音量の復帰、ポーズの解除が行われ、再生動作を再開させるようにした車載用経路誘導システムが開示されている。
【0008】
更に、下記の特許文献4(特開2000−161977号公報)には、ナビゲーション制御部が案内音声出力時に案内音声ボリュームを制御して案内音声レベルを、それまでのオーディオ信号レベルより所定レベル高いレベルにするとともに、オーディオ制御部がオーディオボリュームを制御してそれまでのオーディオ信号より所定レベル低いレベルにするようにしたオーディオ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−130669号公報
【特許文献2】特開2004−108908号公報
【特許文献3】特開平8−105753号公報
【特許文献4】特開2000−161977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、ナビゲーション機能による経路案内を受けながら、オーディオ再生機能を用いて音楽を聴く場合、経路案内における音声案内を聞き漏らすことなく、また、オーディオ機能で再生中の音楽も自然な状態で聴くことができることが好ましい。両方を満足することができない場合にどちらを優先するかはユーザの好みによるが、車両の運転者にとっては前者(経路案内における音声案内)が優先され、車両の同乗者にとっては後者(オーディオ再生出力)が優先される。
【0010】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたオーディオ連携ナビゲーション装置においては、オーディオ再生中の場合、経路案内における音声案内の開始タイミングを、オーディオ装置で再生中の音楽の終了まで遅らせるので、音声案内が出力された時点の車両位置が右左折すべき交差点までの距離が短くなり、右左折のためお車線変更が間に合わなくなるなどの問題点が生じる。
【0011】
また、上記特許文献3、特許文献4などに開示された装置においては、経路案内における音声案内の出力に際して、オーディオ再生中の音楽の出力レベルを減衰させたり、出力レベルを零にしたりするので、再生中の音楽の音量が小さくなったり、途切れたりして自然な状態で音楽を聴くことができないという問題点が生じる。
【0012】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、オーディオ装置により再生出力する個々の楽曲の終了時の車両位置または次の楽曲の開始時の車両位置と、経路案内における音声案内の出力ポイント(出力地点)の位置とが、所定の距離または所要時間内である場合には、前記次の楽曲の再生を、前記音声案内の出力ポイントにおいて音声案内の出力が完了した後に開始するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、オーディオ装置による音楽の再生出力と、ナビゲーション機能による経路案内中の音声案内出力と、を同時に行うことができるナビゲーション装置において、ナビゲーション機能による経路案内における音声案内を聞き漏らすことなく、また、オーディオ機能で再生中の音楽も自然な状態で聴くことができるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
指定された出発地から目的地までの経路を探索し、探索した案内経路データに従って、案内経路上に設定された各案内ポイントにおいて、音声案内によって前記経路を案内するナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、オーディオ再生手段と、前記オーディオ再生手段による楽曲再生の区切りを検出する楽曲区切り検出手段と、音声案内出力ポイント判別手段と、楽曲再生開始制御手段と、前記音声案内の出力を制御する制御手段と、を備え、
前記楽曲区切り検出手段が、前記オーディオ再生手段で再生される楽曲の区切りを検出した際に、前記音声案内出力ポイント判別手段は、前記検出された楽曲の区切りに応じた車両の位置と前記案内経路データとに基づいて、前記楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間の範囲内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別し、前記案内ポイントがあると判別された場合、前記楽曲再生開始制御手段は、該案内ポイントにおける音声案内の出力が終了したことを前記制御手段が検出した後に、前記オーディオ再生手段で再生される次の楽曲の再生を開始させることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記楽曲区切り検出手段は、オーディオ再生手段で再生中の楽曲の終了を検出することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記楽曲区切り検出手段は、オーディオ再生手段で楽曲再生中に、当該再生中の楽曲の終了時刻または次に再生される楽曲の開始時刻を検出することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れかにかかるナビゲーション装置において、前記音声案内出力ポイント判別手段は、前記検出された楽曲の区切りに応じた車両の位置と前記案内経路データとに基づいて、前記楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間の範囲内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別するとともに、案内ポイントがある場合、その数を検出し、検出した案内ポイントの数が複数ある場合には、最後の案内ポイントまでの距離または時間を算出し、前記楽曲再生開始制御手段は、前記最後の案内ポイントにおける音声案内の出力が終了したことを前記制御手段が検出した後に、前記オーディオ再生手段で再生される次の楽曲の再生を開始させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1にかかる発明においては、指定された出発地から目的地までの経路を探索し、探索した案内経路データに従って、案内経路上に設定された各案内ポイントにおいて、音声案内によって前記経路を案内するナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、オーディオ再生手段と、前記オーディオ再生手段による楽曲再生の区切りを検出する楽曲区切り検出手段と、音声案内出力ポイント判別手段と、楽曲再生開始制御手段と、前記音声案内の出力を制御する制御手段と、を備え、
前記楽曲区切り検出手段が、前記オーディオ再生手段で再生される楽曲の区切りを検出した際に、前記音声案内出力ポイント判別手段は、前記検出された楽曲の区切りに応じた車両の位置と前記案内経路データとに基づいて、前記楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間の範囲内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別し、前記案内ポイントがあると判別された場合、前記楽曲再生開始制御手段は、該案内ポイントにおける音声案内の出力が終了したことを前記制御手段が検出した後に、前記オーディオ再生手段で再生される次の楽曲の再生を開始させる。
【0019】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、楽曲区切り検出手段は、オーディオ再生手段で再生中の楽曲の終了を検出する。
【0020】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、楽曲区切り検出手段は、オーディオ再生手段で楽曲再生中に、当該再生中の楽曲の終了時刻または次に再生される楽曲の開始時刻を検出する。
【0021】
かかる構成によれば、少なくとも1つの楽曲が終了した後、所定の距離または時間内に経路案内における音声案内を出力すべき案内ポイントがある場合は、その案内ポイントでの音声案内が出力された後に、次の楽曲の再生が開始されるため、ナビゲーション機能による経路案内における音声案内を聞き漏らすことなく、また、オーディオ機能で再生中の音楽も自然な状態で聴くことができるようになる。
【0022】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3の何れかにかかるナビゲーション装置において、音声案内出力ポイント判別手段は、前記検出された楽曲の区切りに応じた車両の位置と前記案内経路データとに基づいて、前記楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間の範囲内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別するとともに、案内ポイントがある場合、その数を検出し、検出した案内ポイントの数が複数ある場合には、最後の案内ポイントまでの距離または時間を算出し、前記楽曲再生開始制御手段は、前記最後の案内ポイントにおける音声案内の出力が終了したことを前記制御手段が検出した後に、前記オーディオ再生手段で再生される次の楽曲の再生を開始させる。
【0023】
かかる構成によれば、楽曲の区切りを検出した際に、その地点から所定の距離または時間の範囲内に複数の音声案内を出力すべき案内ポイントがあった場合、最後の案内ポイントにおける音声案内の出力が終了した後で、次の楽曲の再生が開始されるので、オーディオ再生手段における楽曲の再生が途切れ途切れになることがなくなる。また、ナビゲーション機能による経路案内における音声案内を聞き漏らすことなく、また、オーディオ機能で再生中の音楽も自然な状態で聴くことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0025】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、制御手段10、現在位置検出手段11、地図記憶手段12、経路探索手段13、経路案内データ編集手段14、音声案内出力ポイント判別手段15、入力手段16、表示手段17、スピーカ18、オーディオ再生手段19、楽曲区切り検出手段20、楽曲再生開始制御手段21などを備えて構成されている。
【0026】
オーディオ再生手段19は、ミニディスク(MD)やコンパクトディスク(CD)などの媒体を挿入して、それらに録音されている音楽(楽曲)を再生する手段である。また、オーディオ再生手段19は、上記に限らず、MDやCDの再生に加えて、ナビゲーション装置1が、FM放送やテレビジョン放送を受信し、放送番組の中で放送された音楽をハードディスクユニット(HDD)に記録する機能を備えている場合には、MDやCDの再生に加えて、HDDから記録した音楽を読み出して再生する手段を兼ね備えたものであってもよい。
【0027】
制御手段10は、ROM101、RAM102を有するマイクロプロセッサであり、ROM101に格納された制御プログラムにより各部の操作を制御する。現在位置検出手段11はGPS受信機を備え、GPS衛星信号を受信、処理してナビゲーション装置1の現在位置(緯度・経度)を所定の時間間隔で測位し、地図データ(道路のデータ)を参照して、測位した現在位置に最も近い道路上の位置にマッチング処理を行うことで、道路データ上の現在位置を検出する。表示手段17は、現在位置を中心として、地図を液晶画面などに表示するものである。
【0028】
入力手段16は、キーや操作ボタンを含み、メニュー画面の操作(表示手段17に備えられた図示しないタッチパネルを用いた操作)や、入力手段16の操作ボタンの操作により出発地や目的地、時刻条件などの経路探索条件を設定することができる。
【0029】
地図記憶手段12は、各道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとし、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路ノードデータ(ノードデータ)と道路リンクデータ(リンクデータ)を含む道路データを記憶する。道路ノードデータには、道路ノードの番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれる。また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノードの番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータにはさらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別は、高速道路や有料道路の別および国道や都道府県道などの別を含む情報である。地図記憶手段12は、さらに海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、施設の位置、形状、名称を含む施設データからなる背景データを記憶している。
【0030】
経路探索手段13は、利用者によって出発地や目的地が指定されると、地図記憶手段12に記憶されている地図データ(道路データ)を参照し、出発地から目的地に至る最適経路を探索し、案内経路データを作成するものである。この最適経路の探索は、現在位置または利用者によって指定された出発地に対応する道路ノードから利用者によって指定された目的地に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法などの各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間などを累積し、総リンク長または総所要時間などが最短となる経路を案内経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを案内経路データとして提供するものである。
【0031】
経路案内データ編集手段14は、経路探索手段13が探索した案内経路の情報(ノード列、リンク列)に、直進や右左折の案内が必要な交差点(ノード)毎に、その所定距離手前に案内ポイント(音声案内の出力ポイント)を設定するとともに、当該案内ポイントにおける音声案内の情報(例えば、「この先、200m〇〇交差点を左折です」)を加えた案内経路データを編集し、記憶する。制御手段10は、経路案内データ編集手段14が編集した経路案内データに基づき、現在位置検出手段11が検出する車両の位置に応じて、案内ポイントで音声案内を、スピーカ18を用いて出力させ、案内経路に沿った走行をガイドする。
【0032】
以上の車載用ナビゲーション装置1の構成要素は、一般的なナビゲーション装置が有する要素であり、本実施例にかかる車載用ナビゲーション装置1は、前述したように更に、音声案内出力ポイント判別手段15、オーディオ再生手段19、楽曲区切り検出手段20、楽曲再生開始制御手段21を備えている。
【0033】
先に説明したように、ナビゲーション装置1は、ミニディスク(MD)やコンパクトディスク(CD)などの媒体を挿入して、それらに録音されている音楽(楽曲)を再生するオーディオ再生手段19を備えており、スピーカ18は、ステレオ録音された音楽の再生に対応するように複数のスピーカユニットを備えている。そして、スピーカ18の複数のスピーカユニットを用いて、経路案内における音声案内の出力と、オーディオ再生手段19による音楽の出力を行う。
【0034】
ナビゲーション装置1において、ナビゲーション機能を動作させると同時にオーディオ再生手段19による音楽再生している場合、楽曲区切り検出手段20は、オーディオ再生手段19による音楽再生の際に、1曲の音楽(楽曲)の終了を検出する。楽曲区切り検出手段20が楽曲の再生の終了を検出すると、その情報は音声案内出力ポイント判別手段15に通知される。
【0035】
楽曲区切り検出手段20から楽曲の再生の終了が通知されると、音声案内出力ポイント判別手段15は、現在位置検出手段11で検出した車両の現在位置(楽曲の再生終了時の車両位置)と、経路案内データ編集手段14が編集した案内経路のデータとから、楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別する。所定の時間を判別の基準とする場合、車両の速度情報を用い、距離と車両速度から時間を換算して算出する。
【0036】
音声案内出力ポイント判別手段15が、楽曲の終了時の車両位置に基づいて所定の距離または時間内に案内ポイントがあると判別した場合、楽曲再生開始制御手段21は、次のようにオーディオ再生手段19における音楽の再生を制御する。すなわち、制御手段10が該案内ポイントにおける音声案内出力の終了を判別し、楽曲再生開始制御手段21に音声案内出力の終了を通知すると、楽曲再生開始制御手段21は、終了の通知を受けて、音声案内出力が終了した後に、次の楽曲の再生を開始させるようにオーディオ再生手段19に次の楽曲の再生開始を指示する。
【0037】
図2は、このような制御の概念を説明するための模式図である。図2において経路探索手段13が探索した案内経路が参照符号RTで示されている。案内経路RT上には右左折を安定すべき交差点がP1〜P5のように存在している。このような案内経路RTにおいて、音声案内の出力ポイントは各交差点P1〜P5の手前の所定の地点になる。例えば、各交差点の200m手前に案内ポイントが定められ、車両がその地点に到達すると、該当する交差点における車両の進行方向(右左折や直進)が音声により出力され、車両を案内経路に沿ってガイドする。
【0038】
楽曲区切り検出手段20がオーディオ再生手段19で再生中の1つの楽曲の再生終了を検出すると、音声案内出力ポイント判別手段15は、現在位置検出手段11から車両の現在位置を取得し、所定の距離または時間内に案内ポイントがあるか否かを判別する。図2において、車両の現在位置は参照符号PPで示されている。地点PPから所定の距離または時間の範囲内に、例えば、交差点P1の案内ポイント(交差点P1の200m手前の地点)があった場合、制御手段10は、該案内ポイントにおける音声案内出力の終了を検出し、その終了後に楽曲再生開始制御手段21はオーディオ再生手段19による次の楽曲の再生を開始させる。
【0039】
このように制御すれば、少なくとも1つの楽曲が終了した後、前記楽曲の区切りに応じた車両の位置が所定の距離または時間内に経路案内における音声案内を出力すべき案内ポイントがある場合は、その案内ポイントでの音声案内が出力された後に、次の楽曲の再生が開始されるため、ナビゲーション機能による経路案内における音声案内を聞き漏らすことなく、また、オーディオ機能で再生中の音楽も自然な状態で聴くことができるようになる。
【0040】
図3は、以上説明した本発明の実施例にかかるナビゲーション装置1の動作手順を示すフローチャートである。ナビゲーション装置1において、ステップS101の処理で入力手段16等を用いて出発地、目的地、出発時刻または目的地への到着希望時刻などの経路探索条件が指定される。経路探索手段13はステップS101で指定された経路探索条件に基づいて、地図記憶手段12を参照して出発地から目的地までの最適経路を探索する(ステップS102)。
【0041】
経路探索手段13で最適経路が探索されると、経路案内データ編集手段14は、経路探索手段13が探索した案内経路の情報に、直進や右左折の案内が必要な交差点毎に、その所定距離手前に案内ポイント(音声案内の出力ポイント)を設定するとともに、当該案内ポイントにおける音声案内の情報を加えた案内経路データを編集し、記憶する(ステップS103)。そして、制御手段10は、案内経路データに基づいて経路案内を開始する(ステップS104)
次いで、制御手段10はオーディオ再生手段19によって楽曲が再生中であるか否かを判別する(ステップS105)。再生中でなければ、ステップS112の処理に進み、経路案内が終了(目的地にと到達)したか否かを判別し、経路案内が終了していなければステップS105の処理に戻り、経路案内を継続しながら、楽曲再生の有無を判別する。経路案内が終了であればステップS113の処理で装置がオフ(OFF)であるか否かを判別し、装置がオフであれば処理を終了し、装置がオフでなければステップS101の処理に戻り、経路探索条件の指定を待つ。
【0042】
一方、ステップS105の判別処理において、オーディオ再生手段19によって楽曲が再生中であると判別されると、楽曲区切り検出手段20は再生中の楽曲の区切り(この場合、楽曲の再生終了)を検出する(ステップS106)。楽曲の再生終了が検出されなければステップS106の処理を繰り返す。楽曲の再生終了が検出されると、制御手段10は、ステップS107の処理で装置がオフ(OFF)であるか否かを判別し、装置がオフであれば処理を終了し、装置がオフでなければステップS108の処理に進む。
【0043】
ステップS108の処理では、音声案内出力ポイント判別手段15が楽曲区切り検出手段20から楽曲の終了検出通知を受け、現在位置検出手段11が検出した車両の現在位置と、案内経路データ編集手段14が編集した案内経路データに基づいて、楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間(時間は距離と車速から算出する)の範囲内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別する。
【0044】
ステップS108の判別処理において所定の距離または時間の範囲内に案内ポイントがないと判別されると、楽曲再生開始制御手段21はオーディオ再生手段19に次の楽曲の再生開始を指示し(ステップS111)、ステップS106の楽曲区切り検出処理に戻る。ステップS108の判別処理において所定の距離または時間の範囲内に案内ポイントがあると判別されると、楽曲再生開始制御手段21はオーディオ再生手段19に次の楽曲の再生開始の保留を指示する(ステップS109)。
【0045】
ステップS109の処理で、楽曲再生開始制御手段21がオーディオ再生手段19に次の楽曲の再生開始の保留を指示すると、制御手段10は、案内ポイントにおける音声案内の出力が終了したか否かを検出する(ステップS110)。音声案内の出力が終了していなければ制御手段10はステップS110の判別処理を繰り返す。
【0046】
ステップS110の判別処理で音声案内の出力が終了したと判別されると、楽曲再生開始制御手段21はオーディオ再生手段19に次の楽曲の再生開始を指示し(ステップS111)、ステップS106の楽曲区切り検出処理に戻る。
【0047】
以上の処理手順により、少なくとも1つの楽曲が終了した後、所定の距離または時間内に経路案内における音声案内を出力すべき案内ポイントがある場合は、その案内ポイントでの音声案内が出力された後に、次の楽曲の再生が開始されるようになる。従って、ナビゲーション機能による経路案内における音声案内を聞き漏らすことなく、また、オーディオ機能で再生中の音楽も自然な状態で聴くことができるようになる。
【0048】
なお、以上説明した実施例において、楽曲区切り検出手段20は、オーディオ再生手段19において再生中の1つの楽曲の終了を検出するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、1つの楽曲を再生中に、その楽曲の終了時点(終了時刻)を推定してもよく、また、再生中の楽曲の次に再生される楽曲の開始時点(開始時刻)を推定してもよい。楽曲区切り検出手段20が再生中の楽曲の終了時点あるいは次に再生される楽曲の開始時点を推定した場合には、音声案内出力ポイント判別手段15は、その推定時点(時刻)における車両位置を、車速を用いて推定し、その位置から所定の距離または時間内に案内ポイントがあるか否かを判別するように構成すればよい。
【0049】
ところで、楽曲区切り検出手段20が1つの楽曲の区切りを検出する毎に上記の処理を行うと、例えば、図2において、楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間の範囲内に交差点P1〜P3に対応する3つの案内ポイントがあった場合のように、所定範囲に複数の案内ポイントが連続していた場合、オーディオ再生手段19における楽曲の再生が途切れ途切れになったり、音声案内出力の間、オーディオ再生の出力レベルが音声案内出力の都度低くなって自然な状態で音楽を聴くことができなくなったりする。
【0050】
そのような不都合を防止するため、楽曲区切り検出手段20から楽曲の終了を検出し、音声案内出力ポイント判別手段15が、車両の現在位置と、案内経路のデータとから、所定の距離または時間内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別する際に、音声案内出力ポイント判別手段15は、所定の距離または時間内にある案内ポイントの数、および、その範囲内の最後の案内ポイント(例えば、図2の交差点P3に対応した案内ポイント)までの距離または時間を算出しておくとよい。
【0051】
音声案内出力ポイント判別手段15が、所定の距離または時間の範囲内に複数の案内ポイントがあると判別した場合、制御手段10は、検出された最後の案内ポイント(例えば、図2の交差点P3に対応した案内ポイント)における音声案内出力の終了を判別し、音声案内出力の終了を検出すると楽曲再生開始制御手段21に通知する。この通知を受けて、楽曲再生開始制御手段21は、該最後の案内ポイントにおける音声案内出力が終了した後に、次の楽曲の再生を開始させるようにオーディオ再生手段19における楽曲再生の開始を指示する。
【0052】
このような処理を行えば、楽曲の区切りを検出した際に、その地点から所定の距離または時間の範囲内に複数の音声案内を出力すべき案内ポイントがあった場合、最後の案内.ポイントにおける音声案内の出力が終了した後で、次の楽曲の再生が開始されるので、オーディオ再生手段19における楽曲の再生が途切れ途切れになることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置のブロック構成図を示す図である。
【図2】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の経路案内における音声案内地点の一例を示す概念図である。
【図3】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置における動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1: ナビゲーション装置
10: 制御手段
101 ROM
102 RAM
11: 現在位置検出手段
12: 地図記憶手段
13: 経路探索手段
14: 経路案内データ編集手段
15: 音声案内出力ポイント判別手段
16: 入力手段
17: 表示手段
18: スピーカ
19: オーディオ再生手段
20: 楽曲区切り検出手段
21: 楽曲再生開始制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された出発地から目的地までの経路を探索し、探索した案内経路データに従って、案内経路上に設定された各案内ポイントにおいて、音声案内によって前記経路を案内するナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、オーディオ再生手段と、前記オーディオ再生手段による楽曲再生の区切りを検出する楽曲区切り検出手段と、音声案内出力ポイント判別手段と、楽曲再生開始制御手段と、前記音声案内の出力を制御する制御手段と、を備え、
前記楽曲区切り検出手段が、前記オーディオ再生手段で再生される楽曲の区切りを検出した際に、前記音声案内出力ポイント判別手段は、前記検出された楽曲の区切りに応じた車両の位置と前記案内経路データとに基づいて、前記楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間の範囲内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別し、前記案内ポイントがあると判別された場合、前記楽曲再生開始制御手段は、該案内ポイントにおける音声案内の出力が終了したことを前記制御手段が検出した後に、前記オーディオ再生手段で再生される次の楽曲の再生を開始させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記楽曲区切り検出手段は、オーディオ再生手段で再生中の楽曲の終了を検出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記楽曲区切り検出手段は、オーディオ再生手段で楽曲再生中に、当該再生中の楽曲の終了時刻または次に再生される楽曲の開始時刻を検出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記音声案内出力ポイント判別手段は、前記検出された楽曲の区切りに応じた車両の位置と前記案内経路データとに基づいて、前記楽曲の区切りに応じた車両の位置から所定の距離または時間の範囲内に音声案内を出力すべき案内ポイントがあるか否かを判別するとともに、案内ポイントがある場合、その数を検出し、検出した案内ポイントの数が複数ある場合には、最後の案内ポイントまでの距離または時間を算出し、前記楽曲再生開始制御手段は、前記最後の案内ポイントにおける音声案内の出力が終了したことを前記制御手段が検出した後に、前記オーディオ再生手段で再生される次の楽曲の再生を開始させることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−85201(P2010−85201A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253544(P2008−253544)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】