説明

ナビサーバ、ナビ装置、ナビシステム

【課題】ナビ装置に対してユーザを誘導する観点から必要性が高い情報を適当なタイミングで提供することができるナビサーバ等を提供する。
【解決手段】ナビサーバ100において、ナビ装置200との通信に基づきユーザの出発位置p1および目的位置p2が認識される。また、支援ナビマップ情報に基づき出発位置p1と目的位置p2とを結ぶ支援ルートRが設定される。さらに、支援ルートRを構成する複数のリンクのうち、出発位置p1を基準とする第1範囲S1から外れているリンクを最初のリンクとするn個(n≧2)のリンク群が第1リンク群Gr1として抽出され、かつ、当該第1リンク群Gr1をナビ装置200に認識させる。また、ユーザの現在位置ptが第iリンク群Griの最後からk番目(k<n)のリンクにあることを要件として、第iリンク群Griの後に続く新たなリンク群が第i+1リンク群Gri+1として抽出され、かつ、当該第i+1リンク群Gri+1をナビ装置200に認識させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビ装置との通信に基づき、当該ナビ装置に情報等を提供するナビサーバ等に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビ装置からリクエストを受信したナビサーバにより支援ルートが探索され、当該支援ルート情報が当該ナビ装置に送信される手法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。ナビサーバからナビ装置への支援ルート情報の送信時間の短縮のため、当該支援ルート情報を分割して、出発位置近傍の分割ルート情報を優先的に送信する技術的手法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−055682号公報
【特許文献2】特開2004−184107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ナビ装置がユーザの出発位置近傍の分割ルート情報を受信し終える前に、当該ユーザが移動し始めて当該出発位置から離れている場合、当該分割ルート情報がナビ装置を通じてユーザを誘導する観点から必要性に乏しい場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、ナビ装置に対して、ユーザを誘導する観点から必要性が高い情報を適当なタイミングで提供することができるナビサーバ等を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための第1発明のナビサーバは、ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置を通じたユーザの誘導を支援するナビサーバであって、支援ナビマップ情報が格納されている支援ナビマップ格納部と、前記ナビ装置との通信に基づき前記ユーザの出発位置および目的位置を認識し、かつ、該支援ナビマップ格納部に格納されている該支援ナビマップ情報に基づき該出発位置と該目的位置とを結ぶ支援ルートを設定する第1支援処理部と、該第1支援処理部により設定された該支援ルートを構成する複数のリンクのうち、該出発位置を基準とする第1範囲から外れているリンクを最初のリンクとするn個(n≧2)のリンク群を第1リンク群として抽出し、該ナビ装置との通信に基づき、当該第1リンク群を該ナビ装置に認識させ、該ナビ装置のユーザの現在位置が該第iリンク群(i=1,2,‥)の最後からk番目(k<n)のリンクにあることを要件として、該第iリンク群の後に続く該n個以下の新たなリンク群を第i+1リンク群として抽出し、該ナビ装置との通信に基づき該第i+1リンク群を該ナビ装置に認識させる第2支援処理部とを備えていることを特徴とする。
【0006】
第1発明のナビサーバによれば、ユーザの出発位置および目的位置を結ぶ支援ルートを構成するリンクのうち、ユーザを誘導する観点から必要性が高いn個以下のリンクが包含されているリンク群をナビ装置に一度に認識させることができる。すなわち、ナビ装置により最初に認識される第1リンク群には、出発位置を基準とする第1範囲から外れているリンクが最初のリンクとして包含されている。換言すると、第1範囲に包含されるリンクは第1リンク群およびこれ以降に続く第i+1リンク群(i=1,2,‥)には包含されない。支援ルートを構成するリンクがナビ装置により最初に認識されるまでの間にユーザが移動して出発位置から離れている場合、ユーザを目的位置まで誘導する観点から、出発位置の近傍にあるリンクをナビ装置に認識させる必要性は低い。したがって、第1範囲に包含されるリンクを除く、ユーザを目的位置まで誘導する観点から必要性が高いリンクのみをナビ装置に認識させることができる。そして、ナビサーバおよびナビ装置との通信機能の限界のため、ナビ装置に一度に認識させうるリンクの個数がn以下に制限されている状況でも、当該通信機能が効率的に利用されうる。
【0007】
また、このナビサーバは第iリンク群の後に続く第i+1リンク群を適当なタイミングでナビ装置に認識させることができる。すなわち、ナビサーバはユーザの現在位置が第iリンク群の最後のリンクからk番目(k<n)のリンクにあることを要件として、第i+1リンク群をナビ装置に認識させる。したがって、支援ルートにおいてナビ装置により認識されていないリンク群が包含されている区間の始点にユーザが近づいており、ユーザを目的位置に誘導する観点から必要性が高いタイミングで、当該リンク群をナビ装置に認識させることができる。
【0008】
第2発明のナビサーバは、第1発明のナビサーバにおいて、前記第2支援処理部が、相互に離れている複数のリンクを包含するリンク群を前記第iリンク群として抽出することを特徴とする。
【0009】
第2発明のナビサーバによれば、支援ルートの一区間を間欠的にナビ装置に認識させることができる。したがって、支援ルートの当該区間を連続的にナビ装置に認識させる場合よりも、長距離にわたるリンク群をナビ装置に認識させることができ、ひいては、ナビサーバとナビ装置との通信用資源が効率的に利用されうる。
【0010】
第3発明のナビサーバは、第1または第2発明のナビサーバにおいて、前記第2支援処理部が、前記目的位置を基準とする第2範囲に包含されるリンクを前記第iリンク群から除外することを特徴とする。
【0011】
第3発明のナビサーバによれば、ユーザが目的位置の近くにある場合、目的位置近傍における、支援ルートを構成するリンクをナビ装置に認識させる必要性が低い。したがって、第2範囲に包含されるリンクを除く、ユーザを目的位置まで誘導する観点から必要性が高いリンクのみをナビ装置に認識させることができる。
【0012】
第4発明のナビ装置は、ナビサーバとの通信に基づいてユーザを誘導するナビ装置であって、ナビマップ情報が格納されているナビマップ格納部と、前記ナビサーバとの通信に基づき、前記ユーザの出発位置および目的位置を該ナビサーバに認識させる第1処理部と、該ナビサーバにより設定された、該出発位置および該目的位置を結ぶ支援ルートを構成する複数のリンクから、該ナビサーバにより抽出されたn個(n≧2)以下のリンクを包含する第iリンク群(i=1,2,‥)を、該ナビサーバとの通信に基づいて認識し、該第iリンク群と該ナビマップ格納部に格納されているナビマップ情報とに基づきルートを設定し、該ルートを出力する第2処理部とを備え、前記第2処理部は、前記ユーザの現在位置が前記第iリンク群の最後からk番目のリンクにあることを要件として、前記ナビサーバとの通信に基づき、第i+1リンク群を認識することを特徴とする。
【0013】
第4発明のナビ装置によれば、ナビサーバとの通信に基づいてn個以下のリンクが包含される第iリンク群が逐次認識され、かつ、当該第iリンク群に基づいてルートが逐次設定かつ出力される。したがって、ナビサーバとの通信により一度に認識しうるリンクの数がn以下に制限されている環境でも、ユーザを目的位置まで誘導する観点から当該通信機能が効率的に利用されうる。
【0014】
第5発明のナビ装置は、第4発明のナビ装置において、前記第2処理部により認識された前記リンクのそれぞれを識別するためのリンク情報が格納されるリンク格納部を備え、前記第2処理部が、第i+1リンク群を認識したとき、第iリンク群に包含される各リンクの該リンク情報を該リンク格納部から消去することを特徴とする。
【0015】
第5発明のナビ装置によれば、必要性の乏しくなったリンク情報がリンク格納部から逐次消去されるので、リンク情報の格納または記憶資源が有効活用されうる。
【0016】
第6発明のナビシステムは、第1〜第3発明のうちいずれか1つのナビサーバと、第4または第5発明のナビ装置とにより構成されていることを特徴とする。
【0017】
第6発明のナビシステムによれば、ナビサーバは、ユーザを誘導する観点から必要性が高いリンク群を適当なタイミングでナビ装置に認識させることができる。これにより、ナビサーバとナビ装置との通信用資源が効率的に利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のナビシステムの実施形態について図面を用いて説明する。
【0019】
本発明のナビシステムの構成について図1を用いて説明する。ナビシステムはナビサーバ100と、自動車2に搭載されているナビ装置200とにより構成されている。なお、ナビ装置200は自動車以外の移動装置に搭載されてもよいし、ユーザによって携帯されていてもよい。
【0020】
ナビサーバ100は、一または複数のサーバコンピュータにより構成されている。ナビサーバ100は第1道路交通情報格納部101と、第2道路交通情報格納部102と、気象状況格納部103と、支援マップ格納部104と、第1支援処理部110と、第2支援処理部120とを備えている。
【0021】
第1道路交通情報格納部101にはプローブカーまたはフローティングカーとしての自動車2に搭載されているナビ装置200からナビサーバ100に送信またはアップロードされたプローブ情報(各時刻における個々のプローブカーの位置)に基づく第1道路交通情報(各リンクにおける移動所要時間や交通渋滞の有無など)が格納されている。
【0022】
第2交通情報格納部102には、道路交通情報センターのサーバ等からナビサーバ100に送信された第2道路交通情報(各リンクにおける移動所要時間や交通渋滞の有無のほか、各リンクにおける交通規制の有無を表す情報、各リンク周辺のイベントの有無およびイベントの種類を表す情報など)が格納されている。
【0023】
気象情報格納部103には、気象情報センターのサーバ等からナビサーバ100に送信された各リンク周辺の気象情報等が格納されている。
【0024】
支援マップ格納部104には支援マップ情報が格納されている。支援マップ情報において、道路を構成する各リンクの位置、形状および姿勢等が、座標((緯度、経度)または(緯度、経度、高度))の列により表現されている。また、各リンクには当該各リンクを識別するためのリンク識別情報や、道路種類を表すデータが付されている。
【0025】
第1支援処理部110はナビ装置200との通信に基づき、当該ナビ装置200が搭載されている自動車2(またはユーザ)の出発位置および目的位置を認識する。第1支援処理部110は、第1道路交通情報格納部101に格納されている第1道路交通情報と、第2道路交通情報格納部102に格納されている第2道路交通情報と、気象状況格納部103に格納されている気象情報等と、支援マップ格納部104に格納されている支援マップ情報とに基づき、当該出発位置p1および当該目的位置p2を結ぶ支援ルートRを設定する。
【0026】
第2支援処理部120は第1支援処理部110により設定された支援ルートRを構成する複数のリンクのうち、自動車2の出発位置p1を基準とする第1範囲S1から外れているリンクを最初のリンクとするn個(n≧2)のリンク群を第1リンク群Gr1として抽出する。第2支援処理部120はナビ装置200との通信に基づき、当該第1リンク群Gr1をナビ装置200に認識させる。第2支援処理部120は自動車2の現在位置p(t)が第iリンク群Gri(i=1,2,‥)の最後からk番目(k<n)のリンクにあることを要件として、第iリンク群Griの後に続くn個以下の新たなリンク群を第i+1リンク群Gri+1として抽出する。第2支援処理部120はナビ装置200との通信に基づき、第i+1リンク群Gri+1をナビ装置200に認識させる。
【0027】
ナビ装置200は自動車2に搭載されたハードウェアとしてのECUまたはコンピュータと、メモリに格納され、当該コンピュータに諸機能を付与するソフトウェアとしてのナビプログラムにより構成されている。なお、ナビプログラムは最初から車載コンピュータのメモリ(ROM)に格納されていてもよいが、車載コンピュータからのリクエストがあったとき等の任意のタイミングでこのプラグラムの一部または全部がサーバ(図示略)からネットワークや衛星放送を介して当該車載コンピュータにダウンロードまたは放送され、そのメモリ(EEPROM,RAM)等に格納されてもよい。
【0028】
ナビ装置200は入力装置201と、出力装置202と、ナビマップ格納部204と、第1処理部210と、第2処理部220とを備えている。
【0029】
入力装置201は自動車2のセンターコンソール等に配置された操作ボタンやマイクロフォンにより構成されており、ユーザの操作または発話による種々の設定を可能とする。出力装置202は自動車2のセンターコンソールに配置されたディスプレイ装置であり、ナビマップ情報等を表示または出力する。ナビップ格納部204には出力装置202に出力されるナビマップ情報等が格納されている。ナビマップ情報において、道路を構成する各リンクの位置、形状および姿勢等が、座標列により表現され、かつ、各リンクには当該各リンクを識別するためのリンク識別情報が付されている。ナビマップ情報と支援マップ情報とのスペックやデータ構造が異なるため、各マップ情報における座標列の定義等が異なっていても、同一のリンクに共通のリンク識別情報が付されることにより、リンクのマッチングが可能とされている。
【0030】
第1処理部210はナビサーバ100との通信に基づき、自動車2の出発位置および目的位置を当該ナビサーバ100に認識させる。第2処理部220はナビサーバ100により設定された、出発位置および目的位置を結ぶ支援ルートRを構成する複数のリンクから、ナビサーバ100により抽出された第iリンク群を、ナビサーバ100との通信に基づいて認識する。第2処理部220は自動車2の現在位置p(t)が第iリンク群の最後からk番目のリンクにあることを要件として、ナビサーバ100との通信に基づき、ナビサーバ100により抽出された第i+1リンク群を認識する。第2処理部220は第iリンク群とナビマップ格納部204に格納されているナビマップ情報とに基づき第iルートriを設定し、かつ、当該第iルートriを出力装置202に出力させる。
【0031】
なお、ハードウェアとしての構成要素が情報を「認識する」とは、当該構成要素が情報を受信すること、情報をデータベースやメモリから探索または読み出すこと、受信等した基礎情報に基づいて演算処理によって情報を算定、推定、設定、決定、探索等すること、パケットをデコードして情報を顕在化させること、さらには算定等した情報をメモリに保存すること等、他の情報処理のために当該情報を準備しておくためのあらゆる情報処理を実行することを意味する。また、ハードウェアとしての構成要素が情報を「出力する」とは、当該情報の表示、音声出力、振動出力等、人間がその視覚、聴覚、触覚等、五感を通じて認識しうるあらゆる形態で情報を出力することを意味する。
【0032】
前記構成のナビシステムの機能について説明する。
【0033】
ナビ装置200において、第1処理部210により、通信機器により受信されたGPS信号や、自動車2に搭載されている加速度センサおよびレートセンサ等の出力に基づき、自動車2の現在位置ptが定常的に測定される(図2/S021)。また、ユーザによって入力装置201を通じて、自動車2の目的位置p2が入力される(図2/S022)。第1処理部210により、自動車2の目的位置p2と、当該目的位置p2の入力時刻における自動車2の現在位置pt(出発位置p1)が、ナビ装置200を識別するためのナビ識別情報idとともにナビサーバ100に対して送信される。この時点では、第2処理部220によりまだ第iリンク群が認識されていないので、第2処理部220によりナビマップ情報に基づき、図4(a)に示されているように出発位置p1を基準とする第1範囲S1における初期暫定ルートr0が設定され、かつ、出力装置202を通じて出力される(図2/S023)。
【0034】
また、ナビサーバ100において、第1支援処理部110により、自動車2の出発位置p1および目的位置p2、さらにはナビ装置200のナビ識別情報idが認識される(図2/S012)。また、第1支援処理部110により、第1道路交通情報格納部101に格納されている第1道路交通情報と、第2道路交通情報格納部102に格納されている第2道路交通情報と、気象状況格納部103に格納されている気象情報等と、支援マップ格納部104に格納されている支援マップ情報とに基づき、図3(a)に示されているように当該自動車2の出発位置p1および目的位置p2を結ぶ支援ルートRが設定される(図2/S014)。支援ルートRは、目的位置p2までの移動距離もしくは予測所要時間が最短である、または、目的位置p2までの走行に際して自動車2の燃費が最良である等の条件下で設定される。なお、ナビ装置200からナビサーバ100に送信またはアップロードされた、ユーザによる選択条件(最短距離、最短時間、燃費良好(エコ)など)にしたがって、支援ルートRが設定されてもよい。
【0035】
さらに、リンク群の抽出回数を示す指数iが1に設定され(図2/S016)、第1支援処理部110により設定された支援ルートRを構成する複数のリンクのうち、図3(a)に示されているように出発位置p1を基準とする第1範囲S1から外れているリンクを最初のリンクとする10個(n=10)のリンク群が、第2支援処理部120により第1リンク群Gr1として抽出される(図2/S018)。
【0036】
なお、ナビ装置200からナビサーバ100に対してナビマップ情報のバージョンを示す情報が送信またはアップロードされ、これに応じてナビサーバ100において当該バージョンのナビマップ情報に各リンクが含まれているか否かが判定され、当該判定結果が否定的である場合、リンクが再び抽出されてもよい。また、ナビサーバ100において支援マップ格納部104に格納されている複数のバージョンの支援マップ情報のうち、当該ナビマップ情報のバージョンに合致するバージョンの支援マップ情報が選定され、当該選定支援マップ情報からリンクが抽出されてもよい。
【0037】
また、第2支援処理部120により、第1リンク群Gr1に属する各リンクのリンク識別情報が、第1支援処理部110により認識されたナビ識別情報idにより識別されるナビ装置200に宛てて送信される。これに応じて、ナビ装置200において、第2処理部220により第1リンク群Gr1が認識される(図2/S024)。さらに、第2処理部220により、第1リンク群Gr1と、ナビマップ格納部202により格納されているナビマップ情報と、自動車2の現在位置pt(≠p1)、目的位置p2とに基づき、第1ルートr1が設定され、かつ、出力装置202を通じて出力される(図2/S025)。これにより、たとえば図4(b)に示されているように、第1リンク群Gr1に基づく部分ルート(太線)を包含する、目的位置p2に向かう第1ルートr1が設定される。なお、第1ルートr1に加えて、自動車2の現在位置ptおよび進行方向を表すアイコン等が、道路や施設を示すナビマップ情報とともに出力装置202を通じて出力または表示される。
【0038】
さらに、第2処理部220により、自動車2の現在位置ptが第iリンク群Griの最後のリンク(最後からk番目のリンク(k=1))にあるか否かが判定される(図2/S026)。当該判定結果が否定的である場合(図2/S026‥NO)、自動車2の現在位置ptが第2範囲S2に含まれているか否かがさらに判定される(図2/S028)。当該さらなる判定結果が否定的である場合(図2/S028‥NO)、引き続き自動車2の現在位置ptが測定され(図2/S021)、現在位置ptが第iリンク群Griの最後のリンクにあるか否かが判定される(図2/S026)。そして、当該判定結果が肯定的である場合(図2/S026‥YES)、第2処理部220により第i+1リンク群Gri+1に属する各リンクのリンク識別情報の要求がナビ識別情報idとともにナビサーバ100に対して送信される(図2/S027)。
【0039】
これに応じてナビサーバ100において、第1支援処理部110によりナビ識別情報idおよび当該要求が認識される(図2/S015)。また、前記指数iが1だけ増やされ(図2/S017)、第1支援処理部110により設定された支援ルートRを構成する複数のリンクのうち、第iリンク群Griの後に続く新たな10個のリンク群が、第2支援処理部120により第2リンク群Gri+1として抽出される(図2/S018)。これにより、図3(b)に示されているように第1リンク群Gr1の後に続く新たな10個のリンク群が、第2支援処理部120により第2リンク群Gr2として抽出される。また、図3(c)に示されているように第i−1リンク群Gri-1の後に続く新たな10個のリンク群が、第2支援処理部120により第iリンク群Griとして抽出される。ただし、図3(d)に示されているように目的位置p2を基準とする第2範囲S2に属するリンクは第i+1リンク群Gri+1から除外される。このとき、第i+1リンク群Gri+1に属するリンクの数は10個未満となる場合がある。
【0040】
また、第2支援処理部120により、第iリンク群Griに属する各リンクのリンク識別情報が、第1支援処理部110により認識されたナビ識別情報idにより識別されるナビ装置200に宛てて送信される。これに応じて、ナビ装置200において、第2処理部220により第iリンク群Griが認識される(図2/S024)。さらに、第2処理部220により、第iリンク群Griと、ナビマップ格納部202により格納されているナビマップ情報と、自動車2の現在位置pt、目的位置p2とに基づき、第iルートriが設定され、かつ、出力装置202を通じて出力される(図2/S025)。これにより、たとえば図4(c)(d)および(e)のそれぞれに示されているように、第iリンク群Griに基づく部分ルート(太線)を包含する、目的位置p2に向かう第iルートriが設定される。ただし、自動車2の現在位置が第2範囲S2にあると判定された場合(図2/S028‥YES)、第2処理部220によりナビマップ情報に基づき、図4(f)に示されているように目的位置p2を基準とする第2範囲S2における終期ルートrendが設定され、かつ、出力装置202を通じて出力される(図2/S029)。
【0041】
なお、自動車2の現在位置ptが第iリンク群Griの最後のリンクにあるか否かの判定(図2/S026参照)、自動車2の現在位置ptが第2範囲S2に含まれているか否かの判定(図2/S028参照)、および、第2範囲S2における終期ルートrendの設定(図2/S029参照)のうち、一部または全部が、ナビ装置200に代わってナビサーバ100の第2支援処理部120によって実行されてもよい。
【0042】
前記機能を発揮するナビシステムによれば、ユーザの出発位置p1および目的位置2を結ぶ支援ルートRを構成するリンクのうち、ユーザを誘導する観点から必要性が高いn個以下のリンクが包含されているナビサーバ100により抽出されたリンク群Griをナビ装置200に一度に認識させることができる(図2/S018,S024参照)。すなわち、ナビ装置200により最初に認識される第1リンク群Gr1には、出発位置p1を基準とする第1範囲S1から外れているリンクが最初のリンクとして包含されている(図3(a)参照)。換言すると、第1範囲S1に包含されるリンクは第1リンク群Gr1およびこれ以降に続く第i+1リンク群Gri+1(i=1,2,‥)には包含されない。支援ルートRを構成するリンクがナビ装置200により最初に認識されるまでの間にユーザが移動して出発位置p1から離れている場合、ユーザを目的位置p2まで誘導する観点から、出発位置p1の近傍にあるリンクをナビ装置200に認識させる必要性は低い(図2/S023,図4(a)参照)。したがって、第1範囲S1に包含されるリンクを除く、ユーザを目的位置p2まで誘導する観点から必要性が高いリンクのみをナビ装置200に認識させることができる。そして、ナビサーバ100およびナビ装置200との通信機能の限界のため、ナビ装置200に一度に認識させうるリンクの個数がn以下(たとえばn=10)に制限されている状況でも、当該通信機能が効率的に利用されうる。すなわち、通信費用の節約、通信機能の拡張の省略、通信に関する情報処理に要する演算処理能力の他の情報処理への割り当て、当該情報のための記憶容量の他の情報の記憶への割り当て等が図られる。
【0043】
また、ナビサーバ100は第iリンク群Griの後に続く第i+1リンク群Gri+1を適当なタイミングでナビ装置200に認識させることができる。すなわち、ナビサーバはユーザの現在位置ptが第iリンク群Griの最後のリンクからk番目(たとえばk=1)のリンクにあることを要件として、第i+1リンク群Gri+1をナビ装置200に認識させる(図2/S026,S015.S017.S018,S024,図3(b)(c)参照)。したがって、支援ルートRにおいてナビ装置200により認識されていないリンク群が包含されている区間の始点にユーザが近づいており、ユーザを目的位置p2に誘導する観点から必要性が高いタイミングで、当該リンク群をナビ装置200に認識させることができる。
【0044】
また、目的位置p2を基準とする第2範囲S2に包含されるリンクが第iリンク群Griから除外される(図3(d)参照)。これは、ユーザが目的位置p2の近くにある場合、目的位置p2近傍における支援ルートRを構成するリンクをナビ装置200に認識させる必要性が低いことを考慮したためである。したがって、第2範囲S2に包含されるリンクを除く、ユーザを目的位置p2まで誘導する観点から必要性が高いリンクのみをナビ装置200に認識させることができる。
【0045】
なお、相互に離れている複数のリンクを包含するリンク群が第iリンク群Griとして抽出され、支援ルートRの一区間を間欠的にナビ装置200に認識させてもよい。したがって、支援ルートRの当該区間を連続的にナビ装置200に認識させる場合よりも、長距離にわたるリンク群をナビ装置200に認識させることができ、ひいては、ナビサーバ100とナビ装置200との通信用資源が効率的に利用されうる。
【0046】
また、ナビ装置200が第2処理部220により認識された第iリンク群Griに属するリンクのそれぞれを識別するためのリンク情報が格納されるリンク格納部を備え、第2処理部220が、第i+1リンク群Gri+1を認識したとき、第iリンク群Griに包含される各リンクのリンク情報をリンク格納部から消去してもよい。これにより、ユーザを目的位置p2に誘導する観点から必要性の乏しくなったリンク情報がリンク格納部から逐次消去されるので、リンク情報の格納または記憶資源が有効活用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のナビシステムの構成説明図
【図2】本発明のナビシステムの機能説明図
【図3】ナビサーバによる第iリンク群の抽出方法の説明図
【図4】ナビ装置によるルートの設定方法の説明図
【符号の説明】
【0048】
100‥ナビサーバ、102‥支援ナビマップ格納部、110‥第1支援処理部、120‥第2支援処理部、200‥ナビ装置、204‥ナビマップ格納部、210‥第1処理部、220‥第2処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置を通じたユーザの誘導を支援するナビサーバであって、
支援マップ情報が格納されている支援マップ格納部と、
前記ナビ装置との通信に基づき前記ユーザの出発位置および目的位置を認識し、かつ、該支援マップ格納部に格納されている該支援マップ情報に基づき該出発位置と該目的位置とを結ぶ支援ルートを設定する第1支援処理部と、
該第1支援処理部により設定された該支援ルートを構成する複数のリンクのうち、該出発位置を基準とする第1範囲から外れているリンクを最初のリンクとするn個(n≧2)のリンク群を第1リンク群として抽出し、該ナビ装置との通信に基づき、当該第1リンク群を該ナビ装置に認識させ、該ナビ装置のユーザの現在位置が該第iリンク群(i=1,2,‥)の最後からk番目(k<n)のリンクにあることを要件として、該第iリンク群の後に続く該n個以下の新たなリンク群を第i+1リンク群として抽出し、該ナビ装置との通信に基づき該第i+1リンク群を該ナビ装置に認識させる第2支援処理部とを備えていることを特徴とするナビサーバ。
【請求項2】
請求項1記載のナビサーバにおいて、
前記第2支援処理部が、相互に離れている複数のリンクを包含するリンク群を前記第iリンク群として抽出することを特徴とするナビサーバ。
【請求項3】
請求項1または2記載のナビサーバにおいて、
前記第2支援処理部が、前記目的位置を基準とする第2範囲に包含されるリンクを前記第iリンク群から除外することを特徴とするナビサーバ。
【請求項4】
ナビサーバとの通信に基づいてユーザを誘導するナビ装置であって、
ナビマップ情報が格納されているナビマップ格納部と、
前記ナビサーバとの通信に基づき、前記ユーザの出発位置および目的位置を該ナビサーバに認識させる第1処理部と、
該ナビサーバにより設定された、該出発位置および該目的位置を結ぶ支援ルートを構成する複数のリンクから、該ナビサーバにより抽出されたn個(n≧2)以下のリンクを包含する第iリンク群(i=1,2,‥)を、該ナビサーバとの通信に基づいて認識し、該第iリンク群と該ナビマップ格納部に格納されているナビマップ情報とに基づきルートを設定し、該ルートを出力する第2処理部とを備え、
前記第2処理部は、前記ユーザの現在位置が前記第iリンク群の最後からk番目のリンクにあることを要件として、前記ナビサーバとの通信に基づき、第i+1リンク群を認識することを特徴とするナビ装置。
【請求項5】
請求項4記載のナビ装置において、
前記第2処理部により認識された前記リンクのそれぞれを識別するためのリンク情報が格納されるリンク格納部を備え、
前記第2処理部が、第i+1リンク群を認識したとき、第iリンク群に包含される各リンクの該リンク情報を該リンク格納部から消去することを特徴とするナビ装置。
【請求項6】
請求項1〜3のうちいずれか1つに記載のナビサーバと、請求項4または5記載のナビ装置とにより構成されていることを特徴とするナビシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−14539(P2009−14539A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177290(P2007−177290)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】