説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】プラグインハイブリッド車両において、バッテリの充電をエンジンで行うか、家庭用電源を使用して行うかをコストにより決定する制御装置を提供する。
【解決手段】動力装置として、ガソリンエンジンとバッテリ駆動の電気モータとを搭載するハイブリッド車両であって、バッテリが家庭用電源から充電できるハイブリッド車両において、バッテリ充電時に、現時点のガソリンの単価から、エンジンで発電機を駆動してバッテリを満充電する場合のコストと、家庭用電源を用いてバッテリを満充電する場合のコストとを計算し、両者を比較して、コストの安い方でバッテリを充電するように決定してこれを車両の乗員に通知することができるハイブリッド車両の制御装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド車両の制御装置に関し、特に、プラグインハイブリッド車両における、電気モータの電源である2次電池の充電を、ガソリン等の燃料でエンジンを駆動することによって行うか、或いは車両の外部に設けられた外部充電装置、例えば家庭用電源を用いて行うかを、燃料の価格、電力価格に基づいて決定して乗員に伝え、車両の燃費の向上を図ることができるハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に代表される路上を走行する車両は、内燃機関であるエンジンを動力源としていた。このエンジンを駆動するための燃料は、一般乗用車ではガソリンが主流であり、工業用車両や商用車両では軽油が主流であった。また、タクシーでは、LPGを燃料とするものもあり、更にはバイオ燃料として、とうもろこし等の植物を原料とするガソリン代替燃料も実用化が進んでいる。なお、以後の説明では、燃料としてガソリンを例にとって説明する。
【0003】
一方、近年の技術革新により、モータの高出力化と小型化、及びバッテリの高容量化と小型化が進んだことにより、動力源としてエンジンの他に電気モータを搭載して、両者を使い分けながら走行するハイブリッド車両が実用化されている。このようなハイブリッド車両には、電気モータを駆動するためのバッテリがあり、このバッテリはエンジンに駆動されて回転する発電機(ジェネレータ)からの電力で充電されていた。従って、従来のハイブリッド車両への動力用エネルギの補給はガソリンだけであった。これに対して、電気自動車は、特許文献1に示されるように、専用の充電施設にてバッテリを充電するようになっている。
【0004】
このように、従来のハイブリッド車両では、エンジンを始動し、ガソリンを使用しないとバッテリに充電を行うことができなかった。これに対して、ハイブリッド車両にバッテリ充電用のプラグを搭載し、このプラグを家庭用電源に差し込むことにより、車両の外部に設けられた外部充電装置、例えば100V等の家庭用の電源からバッテリの充電を行うことが可能なプラグインハイブリッド車両が開発されている。
【0005】
このプラグインハイブリッド車両は、従来のハイブリッド車両と電気自動車の長所を合わせ持ち、ガソリンだけを使用するよりも二酸化炭素の排出量を抑えることができるので環境に対する影響が少ない。そして、バッテリの充電を家庭用の電源から行うことができるので、電気自動車では必要であった専用の充電施設が不要であり、ガソリンのみで走行するハイブリッド車両に比べて燃料費が抑えられる。また、充電に安い深夜電力を使用すれば、更に燃料費を抑えることができる。
【0006】
また、従来のハイブリッド車両は、発進、低速走行時には電気モータで走行し、通常走行時にはエンジンで走行し、急加速時にはエンジンと電気モータを併用して強い駆動力を得て走行し、バッテリ充電容量低下時にはエンジンで走行すると共にエンジンの駆動力でバッテリを充電していた。プラグインハイブリッド車両は、このような従来のハイブリッド車両の走行モードに加えて、走行前に自宅で予めバッテリを十分に充電しておくことにより、自宅からの走行可能距離内の短距離走行の際は、ガソリンを全く消費しないで電気モータだけで走行して用事を済ませ、帰宅する走行モードが可能である。
【0007】
【特許文献1】特開2006−331405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでのハイブリッド車両では、燃費を考慮して前述の走行モードの切り替えを実施していたが、バッテリの充電もエンジンによって行っていたために、ガソリン代と電気代の考慮は不要であった。しかしながら、プラグインハイブリッド車両では、バッテリの充電を、ガソリンで駆動されるエンジンと家庭用電源のどちらでも行うことができるので、どちらでバッテリを充電した方が安価であるかを考慮しなければならないが、どちらで充電した方が得策であるかの指標が存在しなかった。
【0009】
そこで、本発明は、プラグインハイブリッド車両において、バッテリを充電するためには、ガソリンを使用した場合の金額と家庭用電源の電気を使用した場合の金額のどちらが安価であるかを、充電時のガソリンの単価の情報、家庭用電源における使用電力の費用の情報を、ハイブリッド車両の制御手段に与えることにより決定することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成する本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、動力装置として、燃料で動力を発生するエンジンと、2次電池で動力を発生する電気モータとを搭載し、2次電池が車両の外部に設けられた外部充電装置から充電可能に構成されたハイブリッド車両の制御装置であって、外部充電装置を用いて2次電池を充電する第1の充電方法において、取得している最新の電力価格から2次電池を所定量充電するのに必要な金額を算出する第1の金額算出手段と、エンジンで駆動した発電機の出力で2次電池を充電する第2の充電方法において、取得している最新の燃料単価から2次電池を所定量充電するのに必要な金額を算出する第2の金額算出手段と、2次電池を所定量充電する場合に、第1の金額算出手段で算出された金額と、第2の金額算出手段で算出された金額とを比較し、当該比較の結果から、2次電池の充電方法を決定する充電方法決定手段とを備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、プラグインハイブリッド車両において、バッテリを充電するためにはガソリンを使用した金額と家庭用電源の電気を使用した金額のどちらが安価であるかを、充電時のガソリンの単価の情報、家庭用電源における使用電力の費用の情報を外部から取得して制御装置に与えることによって決定することができるので、一層燃費の良い走行が可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を用いて本発明に係る実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。まず、図1から図3を用いて本発明が適用されるハイブリッド車両の構成、充電部分の構成、及びハイブリッド車両の制御装置の構成について説明し、次いで、この構成におけるハイブリッド車両の制御装置が実行可能なバッテリの充電方法、及び走行モードの選択について、いくつかの実施例をフローチャートを用いて説明する。
【0013】
図1(a)はハイブリッド車両において本発明を適用するハイブリッドシステム10の一例を示すものであり、(b)は(a)のハイブリッドシステム10の構成をブロックで示すブロック構成図である。図1に示すハイブリッドシステムは、パラレルハイブリッドシステムにシリーズハイブリッドシステムを組み合わせた複合型パラレルハイブリッドシステムである。
【0014】
従って、この実施例のハイブリッドシステム10は、バッテリ1で駆動されるモータ2とエンジン3の2種類の動力源と、発電機4と、エンジン3の出力を車両の駆動輪8の駆動力と発電機4の駆動力に分割する動力分割機構5と、直流電流を交流電流に変換したり交流電流を直流に変換するインバータ6、バッテリ1の力流電圧を昇圧する昇圧コンバータ7、及びモータ2或いはエンジン3の回転を、駆動輪8の駆動軸18に伝達する減速機19を備えている。この減速機19には変速機が使用されることもある。9は従動輪である。また、バッテリ1は、通常のエンジンに搭載される12Vのバッテリ(鉛蓄電池)とは別に設けられるハイブリッド車両用の高出力バッテリであり、例えばニッケル水素バッテリ等が使用される。この実施例では、バッテリといえばこの高出力バッテリを示すものとする。
【0015】
バッテリ1の直流電圧は、車両の発進時、加速時、登坂時等に、昇圧コンバータ7で昇圧され、インバータ6で交流に変換されてモータ2に供給される。逆に、制動時等には発電機4で発電された交流電圧が、インバータ6で直流電圧に変換され、昇圧コンバータ7で降圧されてバッテリ1が充電される。モータ2の回転軸12は減速機19に接続されており、モータ2には小型で軽量、且つ高効率の交流同期電動機等が使用される。従って、モータ2は、回転時にエンジン3の出力を補助して駆動力を高めると共に、車両の制動時には減速機19からの駆動力で発電を行い、バッテリ1を充電する。発電機4は、主にエンジン3の出力によって高電圧の発電を行う。また、エンジン始動のスタータの機能を持つ。発電機4にはモータ2と同様に交流同期電動機が使用される。
【0016】
動力分割機構5には、エンジン3の動力軸13、発電機4の回転軸14、及び減速機19に接続する中継軸17が接続されている。動力分割機構5は、エンジン3の動力軸13の駆動力を、発電機の回転軸14の駆動力と、中継軸17の駆動力に適切に分割する。即ち、動力分割機構5は、エンジン3の駆動力を、発電機4と駆動軸18に適切に分割して伝える。動力分割機構5はオイルポンプP1から吐出される油圧によって動作する。
【0017】
また、この実施例のハイブリッドシステム10には、バッテリ1を外部の電源によって充電することができるプラグイン充電装置20が搭載されている。プラグイン充電装置20には、充電コード21とプラグ22とが設けられており、車両の停車時に、充電コード21を引き出して家庭用の電源、或いは充電施設の電源に接続することにより、バッテリ1が充電できるようになっている。充電コード21は車両の走行中に邪魔にならないように巻き取り式になっており、車両の走行中はプラグイン充電装置20の中に収納されている。
【0018】
図2は、プラグイン充電装置20の内部の構成、及びエンジン3によるバッテリ1の充電経路を示すものである。充電用のプラグ22に接続する充電コード21は、充電時にはプラグ22を車両から図示しない家庭用コンセントや充電ステーションのコンセントまで伸ばさなければならないので所定の長さが必要である。しかし、車両の走行中はかえって邪魔になる。そこで、この実施例の充電コード21は、プラグ22と共に通常はコード収納部23の中に巻き取っておき、充電時に電源まで引き伸ばせる長さを備えている。
【0019】
ところで、ハイブリッド車両におけるバッテリ1は、モータ2の定格電圧である288Vを出力するために高電圧であるが、家庭用の商用電源は一般に交流100Vである。そこで、プラグイン充電装置20の内部には、交流100Vを直流288Vに変換するためのAC−DC変換回路と昇圧回路24が設けられている。このAC−DC変換回路と昇圧回路24の入力ライン29に印加される入力電圧は、プラグ22が家庭用コンセントに接続された場合は交流100Vであり、プラグ22が充電施設に設けられたコンセントに接続された場合は、例えば交流240Vである。また、AC−DC変換回路と昇圧回路24の出力ラインの出力電圧はバッテリ1を充電できる直流288Vである。
【0020】
そして、AC−DC変換回路と昇圧回路24の出力ライン28及び入力ライン29には、これらのラインを流れる電圧と電流を検出するためのセンサ26,27が設けられており、これらセンサ26,27の出力は充電制御コンピュータ25に入力される。充電制御コンピュータ25は、センサ26,27からの検出出力に基づいて充電制御信号をAC−DC変換回路と昇圧回路24に送り、昇圧動作とAC−DC変換動作を行わせる。
【0021】
バッテリ1は、プラグイン充電装置20によって充電される他に、エンジン3によっても充電される。この場合は、燃料タンク30から供給される燃料でエンジン3が回転し、発電機4を駆動して交流電圧を発生させる。発電機4で発電した交流電圧はインバータ6によって650Vの直流電圧に落とされ、更に昇圧コンバータ7で288Vの直流電圧に降圧されてバッテリ1を充電する。この構成では、バッテリ1でモータ(図示せず)が駆動される場合に、バッテリの定格電圧である直流288Vが昇圧コンバータ7によって最大直流650Vまで引き上げられ、モータの高回転化を図ることができるので、高トルク、高出力化が実現できる。
【0022】
以上のように構成されたハイブリッドシステム10には、充電制御コンピュータ25のほかに、図3に示すように、制御装置としてハイブリッドECU(電子制御ユニット)40、エンジンECU50、モータECU60、バッテリECU70や、スキッド制御(ブレーキ制御)コンピュータ43が設けられている。ハイブリッドECU40には、シフト位置センサ41、アクセル位置センサ42、通信装置44、カーナビゲーション装置45、データ入力装置46が接続されている。前述のエンジンECU50、モータECU60、バッテリECU70や、スキッド制御コンピュータ43もハイブリッドECU40に接続されている。
【0023】
ハイブリッドECU40は、アクセル開度、シフト位置から必要なエンジン出力、モータトルク、発電機のトルクを求め、各ECUに要求値を出力し、駆動力を制御する。モータECU60(ハイブリッドECU40と一体になっている場合もある)はハイブリッドECU40からの駆動要求値に従い、インバータ6を通じてモータ2、発電機4を制御する。エンジンECU50は、ハイブリッドECU40からの指令に従い、エンジン3を制御する。バッテリECU70は、バッテリ1(図3にはHVバッテリと記載)の充電状態の監視を行う。このバッテリECU70には図2で説明した充電制御コンピュータ25も含まれる。また、スキッド制御コンピュータ43はブレーキを制御するものであり、全制動力が一般の油圧ブレーキだけの車両と同等になるように、モータ2が行う回生ブレーキと油圧ブレーキの協調制御を行う。
【0024】
図2で説明したように、バッテリ1の充電方法には、車両を停止状態にしてプラグ22を家庭用電源(コンセント)に差し込み、プラグイン充電装置20を用いて充電する第1の充電方法と、燃料タンク30内のガソリンでエンジン3を駆動し、発電機4を動作させて交流電圧を発生させ、インバータ6で直流電圧に変換、昇圧コンバータ7で充電電圧に降圧して充電する第2の充電方法がある。第1の充電方法では電気代が必要であり、第2の充電方法ではガソリン代が必要である。電気代は昼間と夜間で値段に差があるが、日本全国の価格は共通である。一方、ガソリン代は、原油価格の変動により上下動し、また、地域やガソリンスタンドによっても値段に格差がある。
【0025】
ここで、図3で説明したハイブリッドECU40によるバッテリの充電制御、及び走行時の駆動源の選択について説明する。まず、図4に示すフローチャートにより、バッテリの充電制御について説明する。この手順は、バッテリの充電状態(SOC)が所定容量以下、例えば60%以下の場合に実行される。
【0026】
ステップ401では、SOCが60%以下か否かが判定される。SOCが60%より大きい時にはバッテリの充電が不要であるので、このルーチンを終了する。一方、ステップ401でSOCが60%以下と判定された場合はステップ402に進み、バッテリの充電必要量Mを算出する。続くステップ403では、充電必要量Мだけ充電するための電力量を算出し、次のステップ404で充電必要量Мだけ充電するための発電機の発電量Nを算出し、ステップ405で発電機の発電量Nを得るためのガソリン量を算出する。
【0027】
そして、ステップ406では、家庭用電力料金とガソリン単価を入手し、ステップ407で充電必要量Мだけバッテリを充電するための電気代Eとガソリン代Gを算出する。なお、ステップ406における家庭用電力料金とガソリン単価の入手は、図3に示した通信装置44でインターネットに接続し、電力料金やガソリン価格を表示するホームページ(自動車会社が独自に用意したホームページもある)等から入手することができる。また、通信装置44以外にも、乗員が所持する携帯電話でインターネットに接続して電力料金やガソリン価格の情報を入手することもできる。更に、ガソリン単価に関しては、乗員が現在走行中の地域のガソリンスタンドの表示価格を、図3に示したデータ入力装置46から入力することによっても入手することができる。
【0028】
以上のようにしてステップ406において充電必要量Мだけバッテリを充電するための電気代Eとガソリン代Gが算出されると、ステップ408において電気代Eがガソリン代G以下か否かが判定される。そしてE≦Gの場合はステップ409に進み、プラグで充電する第1の充電方法を決定してこれを乗員に伝えてこのルーチンを終了する。一方、E>Gの場合はステップ410に進み、エンジンで充電する第2の充電方法を決定してこれを乗員に伝えてこのルーチンを終了する。乗員に伝える方法は、図3に示したカーナビゲーション装置45の表示器に表示するか、或いは専用の表示器を用意する、或いは音声で伝える等の方法がある。
【0029】
次に、図3で説明したハイブリッドECU40によるバッテリの走行時の駆動源の選択について、図5に示すフローチャートにより説明する。なお、ここで説明する手順は、車両停止時に、図3に示したカーナビゲーション装置45を用いて目的値、走行経路が入力された場合に、ハイブリッド車両が、電気モータによる走行(EV走行)が得策であるのか、或いはエンジンによる走行(EG走行)と電気モータによる走行(EV走行)を組み合わせたHV制御が得策であるのかを決定する手順である。
【0030】
ステップ501では図3に示したカーナビゲーション装置45を用いて目的値が入力され、続くステップ502では走行経路が入力される。次のステップ503ではガソリン単価及び電力料金が入力される。この状態で、ステップ504において、全走行経路を電気モータ、或いはエンジンで走行した場合のバッテリの充電代金を算出する。バッテリの充電代金の算出は、図4で説明した充電制御に記載されているので、ここでは説明を省略する。
【0031】
続くステップ505では1円当たりの電気モータによる走行距離DMを算出し、次のステップ506では1円当たりのエンジンによる走行距離DEを算出する。ある走行状態(例えば、車速10km以下)では図6(a)に示すような関係が成立するので、電気代情報、ガソリン代情報によって、1円当たりの走行距離を求めることができる。そして、ステップ507では、1円当たりの電気モータによる走行距離DMが1円当たりのエンジンによる走行距離DE以上か否かを判定し、DM≧DEの場合は電気モータによる走行を優先して行うEV走行を選択してこのルーチンを終了し、DM<DEの場合は走行状態に応じて電気モータによる走行とエンジンによる走行とを組み合わせるHV制御を選択してこのルーチンを終了する。
【0032】
ここで、図5のステップ508でEV走行が選択された場合と、ステップ509でHV制御が選択された場合について、車両の走行状態において、どのような動力源が選択されるのかを、図6(b)を用いて説明する。図6(b)は、ハイブリッドシステム10を備えた車両が走行する際に、ハイブリッドECU40が行う、HV制御とEV走行を、車両の走行状態別に示すテーブルである。このテーブルでは、EGがエンジン3を動力源として走行(EG)する場合を示しており、EVが電気モータ2を動力源として走行する場合を示しており、(EG+EV)がエンジン3とモータ2の両方を動力源として走行する場合を示している。
【0033】
このように、この実施例では、ハイブリッド車両の走行時の制御モード(動力源の選択)が、1円当たりの走行距離に応じて、EV走行(モータによる走行)優先にするのか、HV制御(車両の走行状態に応じてエンジンとモータを使い分ける走行)優先にするのかが切り換えられる。
【0034】
なお、以上説明した実施例はあくまでも一例であり、本発明はガソリンを燃料とするエンジンが搭載されたハイブリッド車両以外にも、ディーゼルエンジンや、バイオ燃料で稼動するエンジンが搭載されたハイブリッド車両にも適用が可能である。
【0035】
また、以上説明した実施例では、2次電池の充電時に外部から直接電力を供給して充電を行うか、エンジンを駆動させて充電を行うために燃料の補給を行うかを判断する構成を説明したが、車両を駆動(走行)させるための動力を、モータによって発生させるか、エンジンによって発生させるかを、電力と燃料の価格に応じて判断するような構成にすることも可能である。
【0036】
更に、エンジンの代わりに他のエネルギ発生装置(燃料電池など)を備えている車両(エンジンを備えていても良い)では、水素等の他の燃料の価格についても判断の対象に含めても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)は本発明に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載したハイブリッドシステムの一例を示す斜視図、(b)は(a)のハイブリッドシステムの構成をブロックで示すブロック構成図である。
【図2】図1(a)、(b)に示した制御装置の充電部分の構造を示すブロック構成図である。
【図3】本発明に係る制御装置とハイブリッドシステムとの接続関係を示すブロック構成図である。
【図4】本発明に係る第1の実施例の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る第2の実施例を示すものであり、ハイブリッド車両の制御モードを決定する手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)は図5で説明したフローチャートにおいて、1円当たりの走行距離をガソリンエンジンと電動モータで比較する特性図、(b)は図5のフローチャートで決定される制御モードの内容を車両の走行状態に対応させて示すテーブルである。
【符号の説明】
【0038】
1 バッテリ
2 電気モータ(モータ)
3 エンジン
4 発電機
5 動力分割機構
6 インバータ
7 昇圧コンバータ
10 ハイブリッドシステム
19 減速機又は変速機
20 プラグイン充電装置
21 巻き取りコード
22 プラグ
24 AC−DC変換・昇圧回路
25 充電制御コンピュータ
26,27 電圧・電流センサ
30 燃料タンク
40 ハイブリッドECU
44 通信装置
45 カーナビゲーション装置(カーナビ)
46 データ入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力装置として、燃料で動力を発生するエンジンと、2次電池で動力を発生する電気モータとを搭載し、前記2次電池が車両の外部に設けられた外部充電装置から充電可能に構成されたハイブリッド車両の制御装置であって、
前記外部充電装置を用いて前記2次電池を充電する第1の充電方法において、取得している最新の電力価格から前記2次電池を所定量充電するのに必要な金額を算出する第1の金額算出手段と、
前記エンジンで駆動した発電機の出力で前記2次電池を充電する第2の充電方法において、取得している最新の燃料単価から前記2次電池を所定量充電するのに必要な金額を算出する第2の金額算出手段と、
前記2次電池を前記所定量充電する場合に、前記第1の金額算出手段で算出された金額と、前記第2の金額算出手段で算出された金額とを比較し、当該比較の結果から、前記2次電池の充電方法を決定する充電方法決定手段とを備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記最新の燃料単価の取得は、前記車両に搭載された通信装置によって行われることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
前記最新の燃料単価の取得は、車両のインストルメントパネルに設けられた手動入力部を用いて、前記車両の乗員が走行中に目視したガソリンスタンドの看板に表記の単価を手動で入力することによって行われることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
前記充電方法決定手段によって決定した前記2次電池の充電方法を、前記車両に搭載された表示器に表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
入力された走行予定距離、走行経路に基いて前記走行経路の予測車速を算出し、この予測車速から前記電気モータによって前記走行予定距離を走行した場合の使用電力量を算出する予測使用電力量算出手段と、
前記予測使用電力量に必要な金額から、1円当たりの前記電気モータによる前記ハイブリッド車両の走行距離を算出する第1の走行距離算出手段と、
入力された走行予定距離、走行経路に基づいて算出した前記走行経路の予測車速とこれまでの燃費データとから、前記エンジンによって前記走行予定距離を走行する場合の使用燃料量を算出し、算出した使用燃料量に必要な金額から、1円当たりの前記エンジンによる前記ハイブリッド車両の走行距離を算出する第2の走行距離算出手段と、
前記第1の走行距離算出手段で算出された走行距離の方が、前記第2の走行距離算出手段で算出された走行距離よりも長い場合に、前記電気モータによる走行を優先させる動力装置の優先順位決定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−248644(P2009−248644A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96397(P2008−96397)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】