説明

ハロゲン非含有耐発火性ポリマーの製造に有用なリン含有化合物

(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHからなる選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と(B)式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n[式中、R’は有機基であり;Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸15無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスファイト及びホスフィネート基から選ばれた官能基であり;Xはヒドロカルビレン基であり;R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]を有する少なくとも1種の化合物とを反応させることによって得られるリン含有化合物が開示される。これらの化合物は、難燃性又は耐発火性を必要とする種々の最終用途にそれぞれ有用である、難燃性エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂並びに耐発火性熱可塑性樹脂の製造に有用である。難燃性エポキシ樹脂は、電気用積層板の製造に使用できる。難燃性ポリウレタンは、建築において使用される硬質ポリウレタンフォーム及び車載用内装材の製造に使用される軟質ポリウレタンフォームの製造に有用である。耐発火性熱可塑性樹脂は、テレビキャビネット、コンピューターモニター、プリンターハウジング、自動車部品並びに家庭電化製品用のハウジング及び部品の製造に有用である。本発明は、低臭素含量又は低ハロゲン含量が必要であるか又は望ましい最終用途において特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリン含有化合物の分野に属し;ポリマー、特にエポキシ樹脂、ポリウレタン、熱硬化性樹脂及び熱可塑性ポリマー用の難燃剤としてのそれらの使用;更に、保護被覆配合物と耐発火性二次加工品、例えば電気用積層板、ウレタンフォーム並びに種々の成形及び/又は発泡熱可塑性製品を製造するためのこのような難燃剤含有ポリマーの使用の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
耐発火性ポリマーは典型的には、耐発火性を与えるためにハロゲン含有化合物を使用している。しかし、耐発火性ポリマーの市場においてはハロゲンを含まない組成物に対する要求が増加している。例えば、特許文献1〜8に記載されるように、熱硬化性エポキシ樹脂配合物中にハロゲン化難燃剤の代わりにリン基剤難燃剤を使用することが提案されている。
【0003】
【特許文献1】EP A 0384939
【特許文献2】EP A 0384940
【特許文献3】EP A 0408990
【特許文献4】DE A 4308184
【特許文献5】DE A 4308185
【特許文献6】DE A 4308187
【特許文献7】WO A 96/07685
【特許文献8】WO A 96/07686
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、耐燃性の更なる改良が望まれている。また、耐発火性ポリマー組成物の製造及び性能の改良も望まれている。
【0005】
従って、良好な耐発火性及び耐熱性を有し且つ不良な耐湿性及び低Tgのような不良な性質を示す先行技術の組成物の欠点を克服するハロゲン非含有ポリマー組成物を提供することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはエポキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基と反応することができる官能基であり、ヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスファイト及びホスフィネート基から選ばれ;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
m’、m及びnは独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
とを反応させることを含んでなるリン含有化合物の製造方法に関する。
【0007】
本発明の別の態様は、前記方法に従って得ることができるリン含有化合物(本明細書中では「化合物(I)」と称する)、特に
(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれ;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含んでなるリン含有化合物に関する。
【0008】
更に詳しくは、これらのリン含有化合物は、好ましくはヒドロカルビレン基又はヒドロカルビレンエーテル基によって連結された少なくとも2個のフェノール性芳香環と少なくとも4重量%のリン含量を有するものである。
【0009】
本発明の他の態様には、プリプレグ、積層品、被覆、成形品及び複合製品のような種々の用途において有用な種々の耐発火性化合物、組成物又は配合物を形成するために、例えば化合物(I)と他の成分、例えば熱硬化性樹脂若しくは熱可塑性材料又は熱硬化性樹脂と熱可塑性材料との混合物とを反応させ、ブレンドし又は混合することによって得られる化合物、組成物及び/又は配合物がある。
【0010】
例えば、本発明の一態様は、前記リン含有化合物(化合物(I))と分子当たり1個のエポキシ基を有する少なくとも1種の化合物、例えばエピクロロヒドリン、ポリフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールフェノールノボラック)のグリシジルエーテル、メタクリレートのグリシジルエーテル、アクリレートのグリシジルエーテル及び他の類似化合物とを反応させることによって得られるリン含有エポキシ化合物に関する。このようなリン含有エポキシ化合物はまた、硬化性耐発火性エポキシ樹脂組成物を得るために、少なくとも1種の硬化剤及び、場合によっては、更に、リン含有エポキシ化化合物以外の少なくとも1種の架橋性エポキシ樹脂と組合せることができる。このようなエポキシ樹脂化合物及びリン含有エポキシ化合物は、エレクトロニクス産業において有用な積層板及び回路基板の製造に使用できるプリプレグの製造に使用できる。これらのエポキシ化合物はまた、いわゆる、ビルドアップ技術のために樹脂付き銅箔を製造するための銅箔のような金属箔をコートするのに用いることができる。
【0011】
本発明の別の態様は、(i)化合物(I)、(ii)エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の混合物、(iii)場合によっては共架橋剤、(iv)場合によっては触媒及び(v)場合によってはルイス酸を含んでなるリン含有エポキシ樹脂硬化性配合物に関する。
【0012】
本発明の更なる態様は、(i)フェノール官能価又はアミン官能価を有する少なくとも1種の前記リン含有化合物(化合物(I))と(ii)第一アミン及びホルムアルデヒド又は(iii)ヒドロキシル含有化合物及びホルムアルデヒドとを反応させてリン含有ベンゾオキサジン化合物を形成することによって得られるベンゾオキサジン基含有化合物に関する。本発明においては、加熱時にポリベンゾオキサジンを形成するベンゾオキサジン化合物も有用である。
【0013】
本発明の更に別の態様は、(i)前記リン含有ベンゾオキサジン含有化合物、(ii)架橋性エポキシ樹脂又は分子当たり1個より多くのエポキシ基を有する2種若しくはそれ以上のエポキシ樹脂のブレンド、(iii)場合によっては硬化剤及び(ii)場合によっては、硬化性耐燃性エポキシ樹脂組成物を得るための硬化触媒を含んでなる硬化性耐燃性エポキシ樹脂組成物に関する。このような硬化性耐燃性エポキシ樹脂組成物はエレクトロニクス産業において有用な積層板及び回路基板の製造に使用できるプリプレグを製造するのに使用できる。エポキシ樹脂組成物は、また、いわゆるビルドアップ技術のために樹脂付き銅箔の製造のための銅箔のような金属箔にコートするのに使用できる。
【0014】
本発明の別の態様は、(i)フェノール官能価を有する少なくとも1種の前記リン含有化合物、化合物(I)と(ii)t−ブチルオキシカルボニル基を有する化合物のような熱不安定性基含有化合物とを反応させて、改質リン含有化合物を形成することによって得られる熱不安定性基含有リン含有化合物に関する。これらの改質リン含有化合物は、周囲温度において安定であり、高温においてはその熱不安定性基が分解して、ガスを発生させる。これらの改質リン含有化合物は、種々の熱硬化系とブレンドして気泡を発生させることによって、加工温度がよく制御されている場合には比較的低い誘電率及び誘電損率を有する架橋系中に気体を封入するか又は比較的低重量を有する製品を生成することができる。
【0015】
本発明の更に別の態様は、(i)少なくとも1種の前記リン含有化合物、化合物(I)と(ii)エトキシ及び/又はプロポキシ基とを反応させることによって得られるポリオールに関する。このようなポリオールは、耐発火性ウレタン樹脂の製造に有用な中間体である。
【0016】
本発明に係るリン含有化合物、化合物(I)及びそれらの誘導体は、また、少なくとも1種の熱可塑性樹脂と組合せて、耐発火性熱可塑性組成物を製造できる。
【0017】
本発明に係るリン含有化合物、化合物(I)及びそれらの誘導体は、また、少なくとも1種の熱可塑性樹脂及び熱硬化系(エポキシ及び硬化剤)と組合せて、耐発火性熱可塑性樹脂含有熱硬化性組成物を製造できる。
【0018】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明及び添付した「特許請求の範囲」から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
定義
本明細書中で使用する用語「オルガノ」及び「有機」は、本質的に互いに共有結合した、炭素原子及び水素原子並びに、場合によっては、ヘテロ原子(即ち、炭素でも水素でもない原子)を含む化合物又は部分(moiety)を意味する。好ましい任意のヘテロ原子としては、酸素原子及び窒素原子が挙げられる。「オルガノ」及び「有機」化合物及び部分中のヘテロ原子の数は、炭素原子の数より少なく、好ましくは炭素原子の数の1/2未満である。
【0020】
用語「ヒドロカルビル」及び「ヒドロカルビレン」は、互いに共有結合した炭素原子及び水素原子を含む化学構造又は部分を意味する。このような構造又は部分は、ヘテロ原子がこのような部分にそれほど反応性官能価を加えない限りにおいて、炭素及び水素以外の原子(本明細書中では「ヘテロ」原子と称する)をそれらに加えて含むことができる。このような許容可能なヘテロ原子の一例は、エーテル酸素原子である。このような部分はヘテロ原子を含まないのが好ましい。
【0021】
特定物質に関して用いられる場合に本明細書中で使用する「実質的に含まない」という表現は、出発原料又は生成物が一般にその特定物質を10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、更に好ましくは0重量%含むことを意味する。
【0022】
「wt.パーセント」は「重量パーセント」を意味する。
【0023】
リン含有化合物、化合物(I)
本明細書中で化合物(I)と称する本発明のリン含有化合物は、本明細書中で成分(A)と称する有機リン化合物と本明細書中で成分(B)と称する式(I)の化合物との反応によって得られる。化合物(I)の利点の1つは、その化学構造中にリン元素を含むために、耐燃性材料を製造するための原料として有用であることである。化合物(I)の別の利点は、活性水素原子を有することによって、他のポリマーとの反応のための反応性出発原料として有用であることである。例えば化合物(I)はそれをエポキシ樹脂と反応性にするヒドロキシル基のような活性水素基を含むことができる。この実施態様において、化合物(I)はエポキシ樹脂用の架橋剤又は硬化剤(crosslinking agent,curing agent or hardner)と見なすことができる。
【0024】
化合物(I)は、一般に、少なくとも4重量%のリン含量を有し、好ましくは少なくとも6重量%のリン含量を有すると、難燃性材料として有用である。化合物(I)は好ましくは臭素原子を実質的に含まず、より好ましくはハロゲン原子を実質的に含まない。化合物(I)はまた熱可塑性樹脂又は他の熱硬化系と共に使用される場合のように非反応性添加剤として使用できる。例えば、化合物(I)は熱可塑性配合物及び熱硬化性配合物に高温で炭化物の絶縁層を与える炭化剤として使用できる。
【0025】
式(I)に相当する化合物、成分(B)
前記の式(I)に含まれる化合物は、また、本明細書中において成分(B)と称する。
式(I)において、各(−X−O−R”)基は、R”中の同一又は異なる原子に結合することができる。好ましくは、各(−X−O−R”)基は、R”中の異なる原子に結合する。
【0026】
Xは炭素数が好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。好ましい実施態様において、Xは炭素数1〜8、好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜2のアルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレンである。メチレンが最も好ましいX基である。
【0027】
R”は水素原子、又は炭素数が1、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3であって且つ炭素数が好ましくは20以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは6以下、更に好ましくは5以下のヒドロカルビル基であることができる。ヒドロカルビル基は、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルのようなアルキレン基である。R”に関して最も好ましいのはメチル、ブチル及びイソブチルである。
【0028】
R’は、好ましくは少なくとも1個のアリーレン基及び、場合によっては、少なくとも1個のヒドロカルビレン基又はヒドロカルビレンエーテル基を含む。R’基は、より好ましくはヒドロカルビレン基又はヒドロカルビレンエーテル基で互いに連結された少なくとも2個の芳香族基を含む。芳香族基は、好ましくはフェニル基であり、ヒドロカルビレン基は好ましくは前に定義したX、最も好ましくはメチレン基であり、ヒドロカルビレンエーテルは好ましくはメチレンオキシ基である。
【0029】
Yはエポキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基と反応することができる官能基である。Y官能基は、好ましくはヒドロキシル(−OH)、カルボン酸(−C(O)OH)、カルボキシレート(−C(O)OR”)、カルボン酸無水物、第一級若しくは第二級アミン[−NH2、―NHR””又は=NH(式中、「=」はR’の同一又は異なる原子への2つの共有結合を意味する]、−SH5、−SO5H、−CONH2−NHCOOR、及びホスフィネート(HO−P[R”]2=O)又はホスファイト(H−P[OR”]2=O)から選ばれる。
【0030】
R”’はNa+若しくはK+のようなアルカリ金属又は炭素数8以下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下のヒドロカルビル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルであることができる。
【0031】
R””は水素又は炭素数が好ましくは20以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは4以下のヒドロカルビル基、例えばアリール基、アルキル基若しくはアルカリール基である。
【0032】
カルボン酸無水物は、好ましくは置換又は非置換の無水コハク酸、無水マレイン酸及び無水フタル酸から選ばれる。置換基が存在する場合には、各置換基は1個若しくはそれ以上の水素原子又はヒドロカルビル基、例えば炭素数が好ましくは12以下、より好ましくは4以下のアルキル基である。
【0033】
ヒドロキシル、カルボン酸及びカルボン酸無水物官能価が好ましく、R””基に関してはヒドロキシル官能価が最も好ましい。
【0034】
式(I)の好ましい化合物は、式(I)、[R’(Y)m’m(X−O−R”)nを満たす化合物であり、少なくとも1つの(X−O−R”)基が化学構造の主鎖の中央にある。例えば、好ましい化合物としては、少なくとも1つの同一R’(Y)m’基上に少なくとも2つの(X−O−R”)基を含むものが挙げられる。更に、本発明において有用な化合物としては、例えば以下の基準を満たすものが挙げられる。
(a)nが好ましくはmより大きい;又は
(b)nが1である場合には、mは3より大きくなければならず、且つ少なくとも1つの(X−O−R”)基が化学構造の主鎖の中央にある;又は
(c)mが1である場合には、nは1より大きくなければならない;又は
(d)nが2である場合には、少なくとも1つの(X−O−R”)基が化学構造の主鎖の中央になければならない。
【0035】
式(I)において、m’は好ましくは10未満であり、mは好ましくは100未満であり、nは好ましくは200未満である。
【0036】
式(I)の好ましい化合物は下記式(II):
式(II) [Ar(Y)m’−X’]a[Ar(Y)m’−X]b(X−O−R”)n
【0037】
[式中、各Arは独立して、炭素数1〜4の1個又はそれ以上の基、好ましくはアルキル、アルコキシ、そしてアルカノール(例えばメチル、メトキシ、メタノール、エチル、エトキシ、エタノール、プロピル、プロポキシ、プロパノール、イソプロピル、イソプロパノール、ブチル、ブトキシ、ブタノール)から選ばれた1個又はそれ以上の基で場合によっては置換された芳香族基、好ましくはフェニル基、例えばトリレン及び/又はキシレン基であり;少なくとも1つの(X−O−R”)基は、少なくともAr基上にあり;n、m、X、Y及びR”は、式(I)の場合と同一の意味を有し;X’は、それぞれ独立して、X、X−O−X又はX−O−X−O−Xであることができ;a及びbは、それぞれ独立して、0又はそれ以上の数を表すが、両方が0であることはできない]
で表すことができる。
【0038】
式(II)において、aは好ましくは100以下であり、bは100以下であり、nは好ましくは200以下である。
【0039】
式(I)のより好ましい化合物は下記式(III)で表すことができる。
【0040】
式(III)
(R”−O−X)c[Ar(Y)m’−X−O−X]a[Ar(Y)m’−X]b[Ar(Y)m’b’ (X−O−R”)d
【0041】
[式中、Ar、m、a、b、X、Y及びR”は式(II)の場合と同一の意味を有し;下付き文字b、c及びdは、それぞれ独立して、0又はそれ以上の数を表す]。
式(III)において、cは好ましくは200以下であり、dは好ましくは200以下である。
【0042】
Y基は好ましくはAr基に直接結合している。好ましいAr(Y)の例としては、フェノール、クレゾール及びキシレノール並びに対応するそれらの二価対応物が挙げられる。
【0043】
0より大きい値を有する下付き文字c及びdを有する各単位内の(X−O−R”)基は、同一又は異なる単位式を有する、式(III)内の別の単位のAr基の一構成員に直接結合する。
【0044】
下付き文字a、b’及びbを有する単位は、任意の順序でランダム又はブロック配置で存在できる。下付き文字a、b、b’、c及びdは、それぞれ独立して、少なくとも1である。下付き文字a、b、b’、c及びdは、それぞれ独立して、好ましくは0、より好ましくは少なくとも1、更に好ましくは少なくとも5、更に好ましくは少なくとも10であって且つ好ましくは1000以下、より好ましくは100以下である。一実施態様において、下付き文字a、b、b’、c及びdは、独立して、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは10以下である。
【0045】
式(I)の好ましい化合物は更に下記式(IV):
【0046】
【化1】

【0047】
[式中、eは0〜4の整数であり;fは1又はそれ以上で且つ好ましくは50未満であり;m’、R”、Ar、Y、X、a、b、c及びdは、式(III)に関して前に定義した通りである]
で表すことができる。
【0048】
式(III)の好ましい化合物は、下記式(V)及び(VI):
【0049】
【化2】

【0050】
[式中、R1は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり;pは、それぞれ独立して、0〜4の数を表し;a及びbは、それぞれ独立して、0又はそれ以上の数を表し;X、Y及びRは、式(III)の場合と同じ意味を有する]
で表すことができる。
【0051】
好ましい実施態様において、成分(B)である式(III)の化合物は、最初に(a)フェノール、クレゾール、キシレノール、ビスフェノール−A及び/又は他のアルキルフェノールと(b)ホルムアルデヒドとを反応させて1種又はそれ以上のモノマー、ダイマー又はそれ以上の縮合生成物を形成することによって製造できる。続いて、前述の(a)と(b)との反応によって得られた縮合生成物を、少なくとも1種のモノマーアルコールでエーテル化によって改質する、即ち、部分的又は完全にエーテル化する。モノマーアルコールはROH[式中、Rは式(I)に関して前に定義したのと同様である]である。成分(B)として使用できる、得られるエーテル化生成物の例は、例えば米国特許第4,157,324号及び同第5,157,080号に記載されたようなエーテル化レゾール樹脂である。
【0052】
(a)と(b)との前記反応によって製造される成分(B)はフェノール、クレゾール、ビスフェノール A及びホルムアルデヒドのような出発原料を少量、例えば3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、反応生成物(成分(B))中に残留モノマーとして含む。
【0053】
エーテル化レゾールが室温(約25℃)においてより貯蔵安定性であるのに対して、非エーテル化レゾールは自己縮合を受ける傾向があり;高温、典型的には25℃超、好ましくは100℃超、より好ましくは150℃超、更に好ましくは170℃超で且つ一般に250℃未満、好ましくは220℃未満においてはレゾールは成分(A)のリン化合物と反応するよりむしろ自己縮合を受ける傾向があるので、本発明においては成分(B)として非エーテル化レゾールに比較してエーテル化レゾールを使用するのが好ましい。従って、本発明に関しては、自己縮合を受ける傾向が比較的低く且つ例えばアルキル基R”による成分(A)との主縮合反応に有利な傾向があるエーテル化レゾールを選択するのが有利である。
【0054】
前述の(a)と(b)のとの反応によって製造される好ましい縮合生成物の一例は以下の一般的化学反応式によるものとして示される:
【0055】
【化3】

【0056】
[式中、pは独立して1〜4の整数であり;R1は独立して水素又は炭素数1〜10のアルキル基である]。
【0057】
前記反応は、メチレン結合又はジメチレンエーテル結合を有する、例えば(1)2つのCH2OH(各ベンゼン環に1つ)を有する;又は(2)ベンゼン環上に1つのCH2OH基を有する種々の異性体縮合生成物の混合物を生成する。
【0058】
前記一般的化学反応式中に示した前記縮合生成物中のCH2OH基は、アルコールで部分的に又は完全にエーテル化されて、本発明に有用な成分(B)を生成する。この実施態様において、縮合生成物の種々の異性体の混合物を形成できる。
【0059】
式(I)〜(IV)の化合物の数平均分子量は好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも200、更に好ましくは少なくとも500であって、且つ好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、更に好ましくは5000以下である。重量平均分子量は好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも400、更に好ましくは1000であって、且つ好ましくは15,000以下、より好ましくは3,000以下、更に好ましくは1,500以下である。
【0060】
成分(B)は好ましくは臭素原子を実質的に含まず、より好ましくはハロゲン原子を実質的に含まない。
【0061】
成分(B)の一例は以下の化学式(VII)で示される。
【0062】
【化4】

【0063】
[式中、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、CH2OH又はCH2OR”であり;
R1は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
bは0又はそれ以上の数を表す]。
【0064】
成分(B)の他の例は下記化学式(VIII)及び式(VIIIa)で示される
【0065】
【化5】

【0066】
[式中、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、CH2OH又はCH2OR”であり;
R1は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
aは0又はそれ以上の数を表す]。
【0067】
成分(B)の更に他の例は、下記化学式(IX)及び式(IXa)で示される。
【0068】
【化6】

【0069】
[式中、R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;bは0又はそれ以上の数を表し;pは0又はそれ以上の数を表す]。
【0070】
成分(B)として使用するのに適当な市販製品の例としては、ブチルエーテル化フェノールホルムアルデヒド縮合生成物であるSANTOLINK(登録商標)EP560及び製造業者が重量平均分子量4000〜6000及び多分散度2〜3のクレゾール混合物を基材とする高ブチルエーテル化レゾールと特性化するブトキシメチル化フェノールノボラックであるPHENODUR(登録商標)VPR1785/50が挙げられる。これらの製品は共に、Brussels(Belgium)に本社を構えている会社UCB Groupと、その支社である、Germanyにおいて法人組織にされた会社UCB GmbH & Co.KGから入手できる。UCBから入手できる他のレゾール化合物としては、例えばPHENODUR PR401、PHENODUR PR411、PHENODUR PR515、PHENODUR PR711、PHENODUR PR612、PHENODUR PR722、PHENODUR PR733、PHENODUR PR565及びPHENODUR VPR1775が挙げられる。
【0071】
Bakeliteから入手できる他のレゾール化合物としては、例えばBAKELITE PF0751LA、BAKELITE PF9075DF、BAKELITE 9900LB、BAKELITE 9435LA、BAKELITE 0746LA、BAKELITE 0747LA、BAKELITE 9858LG、BAKELITE 9640LG、BAKELITE 9098LB、BAKELITE 9241LG、BAKELITE 9989LB、BAKELITE 0715LG、BAKELITE 7616LB及びBAKELITE 7576LBが挙げられる。
【0072】
有機リン含有化合物、成分(A)
有機リン含有化合物、成分(A)は、H−P=O、P−H及びP−OH(基の各単一の「−」又は「=」の各「−」はリン原子Pと有機分との間の結合を意味する)から選ばれた基を有する化合物から選ぶことができる。リン原子は、2つの別個の有機部分に結合することもできるし、或いは1つの有機部分に結合することもできる。1つの有機部分に結合する場合には、結合は有機部分の同一原子に結合して二重結合を形成することができ、或いは好ましくは、同一有機部分中の異なる原子とリン原子とを接続する単結合であることができる。
【0073】
有機リン含有化合物は好ましくは、下記式(X)〜(XXII)に相当する。
【0074】
【化7】

【0075】
式(XIV) RAPH2
式(XV) (RAO)2P(O)H
式(XVI) RAP(O)(OH)H
式(XVII) RAP(O)(OH)2
式(XVIII) RABP(O)OH
式(XIX) (RO)2P(O)H
式(XX) (R2P(O)H
式(XXI) RP(O)(OH)H
式(XXII) RP(O)(OH)2
【0076】
[式中、RA及びRBは、同一であっても異なってもよく、置換又は非置換のアリール又はアリールオキシ基及びヒドロキシル基から選ばれるが、ただし、RA及びRBの1以下がヒドロキシル基であり;RC及びRDは、同一であっても異なってもよく、ヒドロカルビレン及びヒドロカルベニレンから選ばれる]。
C及びRDは好ましくは、それぞれ独立して、より好ましくは両者がアリーレン基である。
【0077】
フェニルホスフィンは式(XIV)の一例であり、亜リン酸ジフェニル若しくはジエチル又は亜リン酸ジメチルは式(XV)の一例であり、フェニルホスフィン酸(C65)P(O)(OH)Hは式(XVI)の一例であり、フェニルホスホン酸(C65)P(O)(OH)2は式(XVII)の一例であり、ジメチルホスフィン酸(CH32P(O)OHは式(XVIII)の一例である。
【0078】
好ましい実施態様において、有機リン含有化合物、成分(A)は、以下の化学式(XXIII)〜(XXVIII)の1つに相当する。
【0079】
【化8】

【0080】
[式中、各R1〜R8は、独立して、水素又はO、N、S、P又はSiのような1個又はそれ以上のヘテロ原子を場合によっては含むことができるヒドロカルビル基であるが、ただし、R1〜R4の3個以下が水素原子であり、R1〜R8の2個又はそれ以上は互いに結合されて1個又はそれ以上の環状基を形成することができる]。
1〜R8中の炭素原子の総数は好ましくは6〜100の範囲である。
【0081】
より好ましい実施態様において、有機リン含有化合物、成分(A)は、下記式(XXIX)に相当する。
【0082】
【化9】

【0083】
[式中、R9はHを表し、各R10は、独立して、水素原子又はO、N、S、P又はSiのような1個又はそれ以上のヘテロ原子を場合によっては含むことができるヒドロカルビル基を表す]。
10の2個又はそれ以上は、互いに結合して、1個又はそれ以上の環状基を形成できる。
【0084】
前記の好ましい実施態様の有機リン含有化合物は、EP−A−806429により詳細に記載されている。
【0085】
有機リン含有化合物(成分(A))は、好ましくは9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPとしても知られる)、例えば日本のSankoから市販されているSanko−HCA、若しくはGermanyのSchill & Seilacherから市販されているStruktol Polydis(登録商標)PD 3710;ジメチルホスファイト、ジフェニルホスファイト、エチルホスホン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル=エチルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、フェニルホスフィン、ビニルリン酸;又はそれらの混合物である。
【0086】
有機リン含有化合物(成分(A))は好ましくは臭素原子を実質的に含まず、より好ましくはハロゲン原子を実質的に含まない。
【0087】
成分(A)と成分(B)との反応による化合物(I)の形成
化合物(I)を製造するために、成分(A)と成分(B)とを最初にブレンドするか又は一緒に混合して、反応性組成物を形成する。次いで成分(A)と成分(B)との反応性組成物に充分な温度を適用することによってこれらの二成分間の反応を開始させて、化合物(I)を形成する。
【0088】
成分(A)は反応器中で成分(B)と混合し、混合物は、好ましくは出発原料の分解温度よりは低い温度である高温で加熱する。一般に、反応温度は25℃より高く、好ましくは150℃より高く、より好ましくは170℃より高い。反応は、好ましくは成分(A)のH−P=O、P−H又はP−OH部分を成分(B)のOR”部分と反応させるのに充分な時間、実施する。反応時間は、典型的には30分〜20時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜6時間である。
【0089】
水は成分(A)と反応する傾向があり得るので、本発明の反応は好ましくは、水の存在なしで実施する(一般に、水は5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、最も好ましくは1重量%未満で存在する)。アルコール及びこの反応の副生成物として形成される他の溶媒のような他の揮発性副生成物の除去は一般に反応の完了を助ける。従って、前記の最も低い分解温度未満の温度でアルコール又は副生成物を追い出すのを助けるために、反応器中の圧力は好ましくは、0.1バール又はそれ以下の圧力のような大気圧未満の圧力まで低下させる。副生成物の除去を更に補助するために、反応器は場合によっては、気体又は揮発性有機液体でパージすることができる。この気体又は揮発性有機液体は反応器内容物に対して不活性であるのが好ましい。
【0090】
成分(B)は、通常当業者によく知られた有機溶媒、例えばブタノール、キシレン又はDowanol PM(The Dow Chemical Comopanyの登録商標)中に溶解させ、溶媒の一部は、成分(A)の添加前に、この溶液の加熱又はこの溶液への真空の適用によって除去できる。成分(A)及び成分(B)の反応混合物中への装入順序は重要ではない。
【0091】
成分(A)及び(B)は、望ましくは組成物の総固形分に基づき、10:1〜1:10,好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは2:1〜1:2、最も好ましくは1.1:1〜1:1.1の範囲の重量比で合する。
【0092】
所望ならば、触媒又は溶媒のような他の材料を、成分(A)及び(B)の混合物に添加できる。
【0093】
成分(A)と成分(B)との反応によって得られる本発明のリン含有生成物、化合物(I)は、好ましくは少なくとも4重量%、より好ましくは少なくとも6重量%のリン含量を有する。化合物(I)のリン含量は一般に4〜12重量%、好ましくは5〜9重量%、より好ましくは6〜8重量%の範囲である。成分(I)は好ましくは臭素原子を実質的に含まず、より好ましくはハロゲン原子を実質的に含まない。
【0094】
化合物(I)は、一般に100℃超、好ましくは120℃超であって且つ好ましくは250℃未満、より好ましくは200℃未満のメトラー軟化点を有する。この生成物は、より良好な貯蔵、輸送及び取り扱いのために、室温(約25℃)において固体であるのが好ましい。
【0095】
一般に、成分(A)と成分(B)との反応によって得られる化合物(I)は、1種又はそれ以上の異なるオリゴマーのブレンドであることができる。
【0096】
耐発火性エポキシ樹脂組成物
本発明の一実施態様において、前述のようにして成分(A)を成分(B)と反応させることによって得られるリン含有化合物、化合物(I)は硬化性(架橋性)リン含有耐燃性エポキシ樹脂組成物の一成分として使用できる。この実施態様において、硬化性リン含有耐燃性エポキシ樹脂組成物は、(i)本発明に係るリン含有化合物(化合物(I))、(ii)少なくとも1種のエポキシ樹脂、例えばハロゲン非含有エポキシ樹脂、リン非含有エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂及びリン含有エポキシ樹脂並びにそれらの混合物、例えばDEN 438、DER 330(DEN及びDERはThe Dow Chemical Comopanyの登録商標である)、エポキシ官能性ポリオキサゾリドン含有化合物、脂環式エポキシ樹脂、GMA/スチレンコポリマー、液体エポキシ樹脂(LER)とテトラブロモビスフェノールA(TBBA)樹脂との反応生成物、DER 539、及びDen438とDOP樹脂との反応生成物(これらに限定するものではない);並びに、場合によっては、更に(iii)少なくとも1種の硬化剤を含む。硬化性難燃性エポキシ樹脂組成物は、場合によっては、前記成分(ii)以外の、それとは異なる少なくとも1種の追加の架橋性エポキシ樹脂又は2種又はそれ以上のエポキシ樹脂のブレンドを含むことができる。硬化性耐燃性エポキシ樹脂組成物は、場合によっては、更に、少なくとも1種の硬化触媒及び少なくとも1種の阻害剤を含むことができる。硬化性リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を形成するためには、前記成分全てをブレンドすることもできるし、任意の順序で一緒に混合することもできる。
【0097】
別の実施態様においては、成分(I)を最初にエポキシ化合物と反応させて、リン含有エポキシ化合物(ここでは、「エポキシ化化合物(I)」と称する)を形成し、続いて、前記エポキシ化化合物(I)を少なくとも1種の硬化剤と合して、硬化性難燃性エポキシ樹脂組成物を形成することができる。この実施態様の硬化性難燃性エポキシ樹脂組成物は、場合によっては、エポキシ化化合物(I)以外の、それとは異なる少なくとも1種の追加の架橋性エポキシ樹脂又は2種若しくはそれ以上のエポキシ樹脂のブレンドを含むことができる。この硬化性耐燃性エポキシ樹脂組成物は、場合によっては、更に、少なくとも1種の硬化触媒及び少なくとも1種の阻害剤を含むことができる。エポキシ化化合物(I)の形成に関する本発明のこの実施態様は、第一に、次の工程でより高分子量のエポキシ樹脂へと発展させ且つ他のエポキシ樹脂とブレンドすることができる低分子量エポキシ化合物を形成するという利点を有する。このエポキシ化化合物(I)は、(i)前記リン含有化合物、化合物(I)と(ii)分子当たり少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも1種のエポキシ化合物とを反応させることによって得ることができる。例えば本発明において使用できる、分子当たり1個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンであることができる。エピクロロヒドリンを用いると、比較的低分子量のエポキシ化化合物(I)、例えば分子量700未満の樹脂を得ることができる。別の実施態様においては、(i)前記リン含有化合物、化合物(I)を(ii)分子当たり、少なくとも1個の、好ましくは2個又はそれ以上のエポキシ基を有する少なくとも1種のエポキシ化合物と反応させることによって、700超の分子量を有するような比較的高分子量のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0098】
例えば架橋性リン含有エポキシ化合物、エポキシ化化合物(I)は、前記リン含有化合物(化合物(I))を分子当たり1個より多い、好ましくは少なくとも1.8個の、より好ましくは少なくとも2個のエポキシ基を有し且つ前記エポキシ基が1,2−エポキシ基である少なくとも1種のエポキシ化合物と反応させることによって得ることができる。一般に、このようなポリエキシド化合物は、1個より多くの1,2−エポキシ基を有する飽和又は不飽和脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式化合物である。ポリエポキシド化合物は、低級アルキルのような1個又はそれ以上の置換基で置換されることができる。このようなポリエポキシド化合物は当業界でよく知られている。本発明の実施において有用な例となるポリエポキシド化合物は、H.E.Lee及びK.NevilleによるHandbook of Epoxy Resins(1967年にMacGraw−Hill(New York)によって出版)及び米国特許第4,066,628号に記載されている。
【0099】
リン元素を含むエポキシ化化合物(I)は架橋剤及び、場合によっては、硬化性耐燃性エポキシ樹脂組成物を形成するための触媒の添加によって硬化性エポキシ組成物を形成するのに使用できる。
【0100】
本発明に従って製造された硬化性耐燃性エポキシ樹脂組成物は、化合物(I)、エポキシ樹脂及び硬化剤の混合物を反応させることによって製造されたものであっても、又はエポキシ化化合物(I)と硬化剤を反応させることによって製造されたものであっても、プリプレグの製造に使用でき、プリプレグは、次にエレクトロニクス産業において有用な積層板及び回路基板の製造に使用できる。この硬化性組成物は、また、いわゆるビルドアップ技術のために樹脂付き銅箔の製造のための銅箔のような金属箔をコートするのに使用できる。
【0101】
本発明を実施するために前記組成物中に使用できるエポキシ樹脂はいずれも、下記一般式(XXX):
【0102】
【化10】

【0103】
[式中、R3はqの価数を有する置換又は非置換の芳香族、脂肪族、脂環式又は複素環式基であり、qは好ましくは1から約8未満までの平均値を有する]
を有するポリエポキシドを含む。本発明において有用なポリエポキシド化合物の例としては、以下の化合物のジグリシジルエーテルが挙げられる。レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラブロモビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン−置換フェノール樹脂テトラメチルビフェノール、テトラメチル−テトラブロモビフェノール、テトラメチルトリブロモビフェノール、テトラクロロビスフェノールA、及びそれらの任意の組合せ。
【0104】
本発明において有用な個々のポリエポキシド化合物の例としては、The Dow Chemical Companyによって登録商標D.E.R.330として販売されているエポキシ当量(EEW)177〜189のビスフェノールAのジグリシジルエーテル;米国特許第5,112,932号に開示されているハロゲンを含まないエポキシを末端基とするポリオキサゾリドン樹脂、米国特許第6,645,631号に開示されているリン元素含有化合物;脂環式エポキシド;及びグリシジルメタクリレートエーテルとスチレンとのコポリマーが挙げられる。
【0105】
好ましいポリエポキシド化合物としては、エポキシノボラック樹脂、例えばD.E.N.438及びD.E.N.439(The Dow Chemical Companyの登録商標);クレゾールエポキシノボラック樹脂、例えばCiba Geigyから入手可能なQUATREX 3310,3410及び3710;トリスエポキシ化合物、例えばTACTIX 742(Ciba Geigy Corporation(Basel,Switzerland)の登録商標);エポキシ化ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノールエポキシノボラック樹脂;テトラフェノールエタンのグリシジルエーテル;ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル;ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル;及びヒドロキノンのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0106】
一実施態様において、最も好ましいエポキシ化合物は、エポキシノボラック樹脂(場合によっては、エポキシフェノールノボラック樹脂とエポキシクレゾールノボラック樹脂の両方を包含するための用語であるエポキシ化ノボラック樹脂と称する)である。このようなエポキシノボラック樹脂化合物は、以下のような式(XXXI):
【0107】
【化11】

【0108】
[式中、R4は水素又はC1〜C3アルキル、例えばメチルであり、rは0又は1〜10の整数である]
で示される一般的化学構造式を有する。nは好ましくは0〜5の平均値を有する。好ましいエポキシノボラック樹脂は前記式(XXXI)においてR4が水素原子である場合である。
【0109】
エポキシノボラック樹脂(エポキシクレゾールノボラック樹脂を含む)は、例えば商品名D.E.N.(The Dow Chemical Companyの登録商標)並びにQUATREX及びTACTIX 742(Ciba Geigyの登録商標)として容易に商業的に入手できる。市販材料は、一般に前記式(XXXI)の互いに異なる種の混合物を含んでなり、このような混合物を特定する簡便な方法は、互いに異なる種のrの値の平均r’を参照することである。本発明に従って使用するのに好ましいエポキシノボラック樹脂は、r’が0〜10、より好ましくは1〜5の値を有するものである。
【0110】
本発明において有用なエポキシ含有化合物の更なる例は、WO 99/00451に記載されたような、少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と連鎖延長剤との反応生成物である。本発明において有用な、WO 99/00451に記載された好ましい反応生成物は、エポキシ−ポリイソシアネート付加物又は米国特許第5,112,932号に記載されたようなエポキシを末端基とするポリオキサゾリドンである。連鎖延長剤としてのイソシアネート化合物としては、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)及びそれらの異性体が挙げられる。
【0111】
本発明において有用なポリエポキシドは好ましくは臭素原子を実質的に含まず、より好ましくはハロゲン原子を実質的に含まない。
【0112】
ハロゲン原子を実質的に含まない、本発明において有用なポリエポキシドの一例は、米国特許第6,645,631号に記載されたリン含有エポキシ樹脂である。米国特許第6,645,631号に開示されたポリエポキシドは、少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と反応性リン含有化合物、例えば3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド(DOP)又は10−(2’、5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOP−HQ)との反応生成物である。
【0113】
前述のように、硬化性耐燃性エポキシ樹脂組成物は、(i)成分(A)を成分(B)と反応させることによって得られるリン含有生成物、化合物(I)、(ii)米国特許第6,645,631号に従って製造された少なくとも1種の架橋性リン含有エポキシ化合物及び、場合によっては、(iii)少なくとも1種の硬化剤をブレンドすることによって形成でき;或いは硬化性難燃性エポキシ樹脂組成物は、(i)エポキシ化化合物(I)、米国特許第6,645,631号に従って製造された少なくとも1種の架橋性リン含有エポキシ化合物及び(iii)少なくとも1種の硬化剤をブレンドすることによって形成できる。硬化性エポキシ樹脂組成物は、場合によっては、前記(ii)の架橋性リン含有エポキシ樹脂以外の少なくとも1種の架橋性エポキシ樹脂を含むことができる。
【0114】
本発明において有用なポリエポキシドは実質的に臭素原子を含まないことが好ましく、ハロゲン原子を実質的に含まないことがより好ましいが、一部の用途では、ハロゲン含有エポキシ樹脂組成物が望ましい場合がある。このような場合には、本発明において有用なポリエポキシドは、例えば臭素化エポキシ化合物、例えばThe Dow Chemical Companyによって登録商標DER 530として販売されているEEWが400〜450の臭素化エポキシ樹脂であることができる。
【0115】
エポキシ樹脂が存在する前記組成物のいずれかの場合には、多数の架橋剤又は共架橋剤を使用できる。本発明に係るリン含有エポキシ化合物と場合によっては一緒に存在できる適当な共架橋剤としては、例えばVol.6 Encyclopedia of Poly.Sci.&Eng.,”Epoxy Resins”,348〜56(J.Wiley & Sons 1986)のような多くの参考文献に記載された多官能価共架橋剤が挙げられる。
【0116】
他の好ましい共架橋剤はWO 98/31750に記載されている。このような共架橋剤としては、例えば分子量(Mw)が1500〜50,000の範囲であり且つ無水物含量が15%超であるスチレンと無水マレイン酸とのコポリマーが挙げられる。これらの材料の商業的例としては、スチレン−無水マレイン酸比がそれぞれ1:1、2:1、3:1及び4:1であり且つ分子量が6,000〜15,000の範囲である、Elf Atochem S.A.から入手可能なSMA 1000、SMA 2000、そしてSMA 3000及びSMA 4000が挙げられる。
【0117】
本発明において有用な他の好ましい共架橋剤としては、下記式(XXXII):
【0118】
【化12】

【0119】
[式中、R5は水素又は炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜5のアルキル基であり、tは0〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜5の整数である]
で表されるようなヒドロキシル含有化合物が挙げられる。
【0120】
前記式(XXXII)を有する市販製品としては、例えば平均メトラー軟化点が103℃、150℃における溶融粘度が1.2Pa・s及び官能価が6〜7である、フェノールとホルムアルデヒドから得られたフェノール樹脂であるPERSTORP 85.36.28が挙げられる。別の例としては、Borden Chemical(U.S.A.)製のDURITE SD 1731が挙げられる。
【0121】
他のフェノール官能性材料としては、加熱時に少なくとも2の官能価を有するフェノール系架橋剤を形成する化合物が挙げられる。これらの化合物のいくつかの例はベンゾオキサジン基を含む化合物である。加熱時にフェノール系架橋剤を形成する化合物の例としては、例えば下記化学反応式:
【0122】
【化13】

【0123】
[式中、uは1より大きく且つ好ましくは約100,000以下であり;R6及びR7は独立して別々に、同一又は異なる水素、C1〜C10のアリル基、例えばメチル、C6〜C20芳香族基、例えばフェニル又はC4〜C20脂環式基、例えばシクロヘキサンであることができる]
で示されるような、ベンゾオキサジンの加熱によって得られるフェノール種が挙げられる。
【0124】
前記化合物の例としては、また、フェノールフタレインのベンゾオキサジン、ビスフェノール−Aのベンゾオキサジン、ビスフェノール−Fのベンゾオキサジン、フェノールノボラックのベンゾオキサジン及びそれらの混合物が挙げられる。本発明において有用な他の化合物は、WO 00/27921及び米国特許第6,545,631号に記載されている。これらの化合物と式(XXXII)との混合物も本発明において使用できる。
【0125】
多官能価フェノール系架橋剤は、エポキシ樹脂の硬化に必要な化学量論量の好ましくは50%〜150%、より好ましくは75%〜125%、更に好ましくは85%〜110%の量でエポキシ樹脂組成物中に使用する。
【0126】
共架橋剤を本発明において用いる場合には、共架橋剤はエポキシ樹脂を硬化させるのに必要な化学量論量の40%未満を架橋させる量で存在する。
【0127】
前述の本発明の硬化性組成物はいずれも触媒を含むことができる。本発明において有用な適当な触媒材料の例としては、アミン、ホスフィン、アンモニウム、ホスホニウム、アルソニウム若しくはスルホニウム部分又はそれらの混合物を含む化合物が挙げられる。特に好ましい触媒は複素環式窒素含有化合物である。
【0128】
触媒(共架橋剤とは区別される)は好ましくは、平均で分子当たり約1個しか活性水素部分を含まない。活性水素部分としては、アミン基、フェノール性ヒドロキシル基又はカルボン酸基に結合した水素原子が挙げられる。例えば、触媒中のアミン及びホスフィン部分は好ましくは第三アミン又はホスフィン部分であり;アンモニウム及びホスホニウム部分は好ましくは第四アンモニウム及びホスホニウム部分である。
【0129】
触媒として使用できる好ましい第三アミンには、アミン水素の全てがヒドロカルビル基、好ましくは脂肪族基、脂環式基又は芳香族基のような適当な置換基で置換された開鎖又は環状構造を有するモノ−又はポリアミンがある。
【0130】
これらのアミンの例としては、とりわけ、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン(DBU)、メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ピリジン及びキノリンが挙げられる。好ましいアミンは、トリアルキル、トリシクロアルキル及びトリアリールアミン、例えばトリエチルアミン、トリフェニルアミン、トリ−(2,3−ジメチルシクロヘキシル)アミン及びアルキルジアルカノールアミン、例えばメチルジエタノールアミン及びトリアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミンである。弱第三アミン、例えば1M濃度の水溶液中で10未満のpHを生じるアミンが特に好ましい。特に好ましい第三アミン触媒は、ベンジルジメチルアミン及びトリス−(ジメチルアミノメチル)フェノールである。
【0131】
適当な複素環式窒素含有触媒の例としては、米国特許第4,925,901号に記載されたものが挙げられる。本発明において使用できる好ましい複素環式第二級及び第三級アミン又は窒素含有触媒としては、例えばイミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、イミダゾリジン類、イミダゾリン類、オキサゾール類、ピロール類、チアゾール類、ピリジン類、ピラジン類、モルホリン類、ピリダジン類、ピリミジン類、ピロリジン類、ピラゾール類、キノキサリン類、キナゾリン類、フタロジン類、キノリン類、プリン類、インダゾール類、インドール類、インドラジン類、フェナジン類、フェナルサジン類、フェノチアジン類、ピロリン類、インドリン類、ピペリジン類、ピペラジン類及びそれらの組合せが挙げられる。特に好ましいのは、アルキル置換イミダゾール類;2,5−クロロ−4−エチルイミダゾール;及びフェニル置換イミダゾール類;並びにそれらの混合物である。更に好ましいのは、N−メチルイミダゾール;2−メチルイミダゾール;2−エチル−4−メチルイミダゾール;1,2−ジメチルイミダゾール;及び2−メチルイミダゾール;並びにそれらの混合物である。特に好ましいのは、2−フェニルイミダゾールである。
【0132】
好ましくは、ルイス酸もまた、前述の本発明の任意の硬化性エポキシ樹脂組成物に使用され、触媒が特に複素環式窒素含有化合物である場合には特に使用できる。
【0133】
ルイス酸と一緒に使用するのが好ましい複素環式窒素含有触媒の例はEP A 526488,EP A 0458502及びGB A 9421405.3.に記載されたものである。
【0134】
本発明において有用なルイス酸としては、例えば亜鉛、錫、チタン、コバルト、マンガン、鉄、珪素、アルミニウム及び硼素のハライド、酸化物、水酸化物及びアルコキシド、例えば硼素のルイス酸、硼素のルイス酸の無水物、例えば硼酸、メタ硼酸、場合によっては置換のボロキシン類(例えば、トリメトキシボロキシン)、場合によっては置換の硼素酸化物、硼酸アルキル、ハロゲン化硼素、ハロゲン化亜鉛(例えば塩化亜鉛)及び比較的弱い共役塩基を有する傾向がある他のルイス酸の1つ又は2つ若しくはそれ以上の混合物が挙げられる。好ましくは、ルイス酸は、硼素のルイス酸、硼素のルイス酸の無水物、例えば、硼酸、メタ硼酸、場合によっては置換のボロキシン(例えばトリメトキシボロキシン、トリメチルボロキシン又はトリエチルボロキシン)、場合によっては置換の硼素酸化物又は硼酸アルキルである。最も好ましいルイス酸は硼酸である。これらのルイス酸は、前に言及した複素環式窒素含有化合物と組合わされた場合に、エポキシ樹脂を硬化させるのに非常に有効である。
【0135】
ルイス酸及びアミンは、配合物中に混合する前に又は現場で(その場で、in situ)触媒と混合することによって合して、硬化触媒組合せを形成することができる。
【0136】
ルイス酸の使用量は、好ましくは複素環式化合物モル当たり、ルイス酸少なくとも0.1モル、より好ましくは複素環式窒素含有化合物モル当たりルイス酸少なくとも0.3モルである。
【0137】
本発明の硬化性組成物は、場合によっては、米国特許第5,308,895号及び第5,314,720号に記載された、硬化阻害剤として存在する硼酸及び/又はマレイン酸を有することができる。この場合には、硬化剤は、好ましくは米国特許第4,925,901号に記載されたようなポリアミン又はポリアミドである。
【0138】
本発明の硬化性組成物は、場合によっては、また、1種又はそれ以上の追加難燃剤、例えば赤リン、封入赤リン又は液体若しくは固体リン含有化合物、例えば、Clariant GmbH製のEXOLIT OP 930、EXOLIT OP 910及びポリリン酸アンモニウム、例えばClariant GmbH製のEXOLIT 700、ホスファイト又はホスファゼン類;窒素含有難燃剤及び/又は相乗剤、例えばメラミン類、メレム、シアヌル酸、イソシアヌル酸並びにこれらの窒素含有化合物の誘導体;ハロゲン化難燃剤及びハロゲン化エポキシ樹脂(特に臭素化エポキシ樹脂);有機酸の塩を含む相乗的リン−ハロゲン含有化学物質又は化合物;無機金属水和物、例えばSb23、Sb35、三水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム、例えばMartinswerke GmbH(Germany)製のZEROGEN 30、より好ましくは三水酸化アルミニウム、例えば、Martinswerke GmbH(Germany)製のMARTINAL TS−610;硼素含有化合物;アンチモン含有化合物;シリカ;更にそれらの組合せを含むことができる。適当な追加難燃剤の例は、”Flame retardants−101 Basic Dynamics−Past efforts create future opportunities”,Fire Retardants Chemicals Association,Baltimore Marriot Inner Harbour Hotel,Baltimore Maryland,March 24〜27,1996において紹介された論文に示されている。
【0139】
ハロゲンを含む追加難燃剤を本発明の組成物中に用いる場合には、ハロゲン含有難燃剤は、エポキシ樹脂組成物中の総ハロゲン量が10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、更に好ましくは1重量%未満となるような量で存在する。
【0140】
リンを含む追加難燃剤を本発明の組成物中に用いる場合には、リン含有難燃剤は、エポキシ樹脂組成物の総リン量が0.2重量%〜5重量%となるような量で存在するのが好ましい。
【0141】
本発明の硬化性組成物は場合によっては、更に、一般的な従来型の他の添加剤、例えば安定剤、他の有機若しくは無機添加剤、顔料、湿潤剤、流動調整剤、紫外線遮断剤及び螢光添加剤を含むことができる。これらの添加剤は、0〜5重量%の量で存在でき、好ましくは3重量%未満の量で存在する。適当な添加剤の例はまた米国特許第5,066,735号及びC.A.Epoxy Resins−Second Ed.,506〜512ページ(Mercel Dekker,Inc.1988)に記載されている。
【0142】
本発明の硬化性組成物は、全ての成分を、任意の順序で、一緒に混合することによって生成できる。本発明の組成物は、また、エポキシ樹脂を含む第1の組成物及び硬化剤を含む第2の組成物を製造することによって生成できる。この第1のエポキシ樹脂組成物は、化合物(I)とエポキシ樹脂を含むこともできるし;或いはエポキシ化化合物(I)のみであることもできる。全ての他の任意の又は望ましい成分、例えば硬化剤触媒又は阻害剤が同一組成物中に存在することもできるし、或いは一部が第1の組成物中に、一部が第2の組成物中に存在することもできる。第1の組成物を次に第2の組成物と混合し、硬化させて、耐燃性エポキシ樹脂を生成する。
【0143】
この耐燃性エポキシ樹脂は好ましくは臭素原子を実質的に含まず、より好ましくはハロゲン原子を実質的に含まない。「実質的に含まない」という表現は前に定義した通りである。
【0144】
本発明の組成物は、当業界でよく知られた方法によって、例えば引抜成形、成形、封入成形又はコーティングによって複合材料を製造するのに使用できる。本発明は、EP−A−787161及び米国特許第第5,314,720号の背景部分に記載されたような、当業界でよく知られた方法によって、B−ステージ化プリプレグ、積層板、ボンディング・シート及び樹脂付き銅箔を製造するのに特に有用である。
【0145】
ベンゾオキサジン環含有化合物
本発明の別の実施態様において、成分(A)と成分(B)とを反応させることによって得られるリン含有生成物(化合物(I))は、ベンゾオキサジン環含有化合物の製造に使用できる。
【0146】
この実施態様において、ベンゾオキサジン化合物は、(i)フェノール官能価を有する前記リン含有化合物、化合物(I)と(ii)第一アミン及び(iii)ホルムアルデヒドとを反応させることによって得ることができる。これらのリン含有ベンゾオキサジン環含有化合物は以下のいずれかであることができる。
(a)それ自体を使用し且つ100℃〜250℃のような高温で自己架橋して、耐燃性を有する高架橋性網状構造を形成し;又は
(b)エポキシ樹脂若しくは他の熱硬化性組成物とブレンドし且つ前記高温で硬化させて、耐燃性ハイブリッド架橋網状構造を形成し;又は
(c)熱可塑性樹脂系(例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニルレンオキシド(PPO))とブレンドして、耐燃性ハイブリッド架橋網状構造を形成し;又は
(d)熱可塑性樹脂(例えば、PPO)及び熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂及び硬化剤)とブレンドして、ハイブリッド系を形成する。
【0147】
前記実施態様の例として、以下の一般的化学反応に従って、ベンゾオキサジンを形成できる。
【0148】
【化14】

【0149】
前述と同様な反応において、本発明のフェノール類含有化合物(I)をアミン及びホルムアルデヒドと反応させて、ベンゾオキサジン管含有化合物を形成する。
【0150】
別の実施態様において、化合物(I)がアミン官能価を有する場合には、既知フェノール性化合物をアミン含有化合物(I)及びホルムアルデヒドと反応させて、ベンゾオキサジン環含有化合物を形成できる。
【0151】
本発明において使用する3つの成分のモル比は、通常、前記の一般的反応において示されるように、フェノール性OH基1モル、アミン基1モル及びホルムアルデヒド基2モルである。前記成分間の他の比も使用できる。異なるアミン化合物の混合物も使用できる。
【0152】
本発明において有用なアミンとしては、例えばアニリン、n−ブチルアミン、1,4−アミノフェノール、他の第一アミン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0153】
本発明において有用なフェノールとしては、例えばビスフェノールA、2−アリルフェノール、4,4’−メチレンジフェノール、他のモノフェノール及びポリフェノール類並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0154】
熱不安定性基含有化合物
本発明の別の実施態様において、成分(A)と成分(B)とを反応させることによって得られるリン含有生成物(化合物(I))は熱不安定性基含有化合物の製造に使用できる。
【0155】
この実施態様において、熱不安定性基を有するリン含有化合物は、(i)フェノール又はアミン官能価を有する前記リン含有化合物(化合物(I))を熱不安定性基含有化合物、例えばt−ブチルオキシカルボニル基を有する化合物とを反応させることによって得ることができる。これらの改質リン化合物は、周囲温度においては安定性であり、100℃〜250℃のような高温ではその熱不安定性基が分解して、気体を発生させる。米国特許出願番号第10/456,127号(2003年6月出願;発明の名称”Nanoporous Laminates”)に記載されたようにして加工温度が充分に制御される場合には、これらの改質リン化合物を種々の熱硬化系にブレンドして気泡を発生させることによって、改質リン化合物を用いない場合の初期値よりも例えば10%低い、比較的低い誘電率及び10重量%低い誘電損率を有する架橋系中に気体を封入するか又は比較的低重量、例えば10重量%低い重量を有する製品を生成することができる。
【0156】
本発明において有用な熱不安定性基含有化合物としては、例えばジカーボネート及びその誘導体、カルバゼート及びその誘導体並びにtert−ブチルカーボネートを含む他の化合物が挙げられる。熱不安定性基を含む化合物の例は、ジ−tert−ブチルジカーボネート、ジ−tert−アミルジカーボネート、ジアリルピロカーボネート、ジエチルピロカーボネート、ジメチルジカーボネート、ジベンジルジカーボネート、tert−ブチルカルバゼート及びそれらの混合物であるが、これらに限定するものではない。tert−ブチルカーボネート熱不安定性基は、有利なことに、多くの求核試薬に対して安定性であり、塩基性条件下で加水分解されないが、中酸性条件下で又は加熱分解によって容易に開裂可能である。
【0157】
本発明において使用する2つの成分のモル比は通常、本発明のリン含有、熱不安定性基含有化合物を形成するためには活性水素1モル対熱不安定性基1モルである。
【0158】
耐燃性ポリウレタン
本発明の別の実施態様においては、成分(A)と成分(B)とを反応させることによって得られるリン含有生成物(化合物(I))を、リン含有ポリオールの製造に使用する。これは次に、耐燃性ポリウレタンの製造に有用である。
【0159】
本発明のリン含有ポリオールは好ましくは、(i)アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はそれらの組合せを(ii)本発明に係るリン含有化合物、化合物(I)とを反応させることによって製造する。本発明の得られるリン含有ポリオール生成物は好ましくは1〜8個、より好ましくは2〜6個の活性水素原子を有する。
【0160】
リン含有ポリオールを形成するためには前記反応に触媒を使用できる。前記反応のための触媒作用は陰イオン性又は陽イオン性であることができる。適当な触媒としては、KOH、CsOH、三フッ化硼素、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのような二重シアン化物錯体(DMC)触媒及び米国特許第6,201,101号に記載された触媒が挙げられる。
【0161】
本発明のリン含有ポリオールは単独で又は1種もしくはそれ以上の他の既知ポリオールと組合せて使用して、ポリイソシアネートと反応してポリウレタンを形成できるベースポリオール組成物を形成できる。最終ポリウレタン生成物の性質はポリオール組成物中に使用した種々のポリオールの性質によって異なるであろう。
【0162】
ポリウレタン樹脂の製造に使用するリン含有ポリオール又はそのブレンドは製造されるポリウレタン生成物の最終用途によって異なる。従って、ベースポリオールの分子量又はヒドロキシル価は、ベースポリオールから製造されたポリオールをイソシアネートとの反応によってポリウレタン製品に転化させた場合に、可撓性、半可撓性、インテグラルスキン若しくは硬質フォーム、エラストマー若しくはコーティング又は接着剤が得られるように、且つ発泡剤の存在下における最終製品に応じて選択することができる。それに応じて、使用する1種又はそれ以上のポリオールのヒドロキシル価及び分子量は広範囲にわたって変化できる。一般に、使用するポリオールのヒドロキシル価は20〜800の範囲であることができる。
【0163】
可撓性ポリウレタンフォームの製造において、ポリオールは好ましくはポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールである。ポリオールは一般に、2〜5、好ましくは2〜4の平均官能価及び20〜100mgKOH/g、好ましくは20〜70mgKOH/gの平均ヒドロキシル価を有する。更に、特定のフォーム用途が同様にベースポリオールの選択に影響を与えるであろう。例として、成形フォームの場合には、ベースポリオールのヒドロキシル価は20〜60程度であって、エチレンオキシド(EO)でキャップすることができ;スラブ材フォームの場合には、ヒドロキシル価は25〜75程度であることができ、混合供給材料EO−PO(プロピレンオキシド)であるか又はわずかだけEOでキャップされるか又は100%POを基材とする。エラストマー用途の場合には、比較的低いヒドロキシル価、例えば20〜50を有する2,000〜8,000の比較的高分子量のベースポリオールを使用するのが一般に望ましいであろう。
【0164】
典型的には、硬質ポリウレタンの製造に適当なポリオールとしては、平均分子量が100〜10,000、好ましくは200〜7,000であるものが挙げられる。このようなポリオールは、また、分子当たりの活性水素原子が少なくとも2、好ましくは3であって且つ8以下、好ましくは6以下の官能価を有するのが有利である。硬質フォームに使用するポリオールは、一般に、200〜1,200、より好ましくは300〜800のヒドロキシル価を有する。
【0165】
半硬質フォームの製造には、30〜80のヒドロキシル価を有する三官能価ポリオールを用いるのが好ましい。
【0166】
耐燃性ポリウレタン樹脂は、(i)本発明に係る少なくとも1種のリン含有ポリオールを単独で、又は場合によっては、本発明のリン含有ポリオール以外の、ポリウレタンの製造に常用される1種若しくはそれ以上のポリオールと組合せて、(ii)分子当たり1個より多くのイソシアネート基を有する化合物と反応させることによって得られる。本発明のポリオールと共に使用できるイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族(arylaliphatic)及び芳香族イソシアネート並びにそれらの混合物が挙げられる。芳香族イソシアネート、特に芳香族ポリイソシアネートが好ましい。
【0167】
適当な芳香族イソシアネートの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’−、2,4’−及び2,2’−異性体、それらのブレンド並びにポリマー及びモノマーMDIブレンド、トルエン−2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)、m−及びp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニル−メタン−4,4’−ジイソシアネート及びジフェニルエーテルジイソシアネート並びに2,4,6―トリイソシアナトトルエン及び2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテル、及びそれらの混合物が挙げられる。これらのイソシアネート化合物の水素添加生成物も同様に使用できる。
【0168】
イソシアネートの混合物、例えばトルエンジイソシアネートの2,4−及び2,6−異性体の市販混合物を使用できる。本発明の実施においては、粗製ポリイソシアネート、例えばトルエンジアミンの混合物のホスゲン化によって得られた粗製トルエンジイソシアネート又は粗製メチレンジフェニルアミンのホスゲン化によって得られた粗製ジフェニルメタンジイソシアネートも使用できる。TDI/MDIブレンドも使用できる。種々のポリオールを用いて製造されたMDI又はTDIを基材とするプレポリマーも使用できる。イソシアネートを末端基とするプレポリマーは、過剰のポリイソシアネートとアミノ化ポリオール若しくはそれらのイミン/エナミンを含むポリオール又はポリアミンとを反応させることによって製造する。
【0169】
脂肪族ポリイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、前記芳香族イソシアネートの飽和類似体及びそれらの混合物が挙げられる。
【0170】
硬質又は半硬質フォームの製造に好ましいポリイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニレンイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネートの2,2’、2,4’及び4,4’異性体及びそれらの混合物である。軟質フォームの製造については、好ましいポリイソシアネートは、トルエン−2,4−及び2,6−ジイソシアネート若しくはMDI又はTDI/MDIの組合せ、或いはそれらから製造されたポリマーである。
【0171】
本発明のリン含有ポリオールを基材とする、イソシアネートを先端とするプレポリマーもまた、ポリウレタン配合物中に使用できる。ポリオールイソシアネート反応混合物中へのこのようなポリオールの使用は未反応イソシアネートモノマーの存在を減少/排除できると考えられる。これは、取り扱い条件及び作業者の安全性を改善するので、被覆及び接着剤用途におけるTDI及び/又は脂肪族イソシアネートのような揮発性イソシアネートの場合に特に重要である。
【0172】
硬質フォームに関しては、有機ポリイソシアネートとイソシアネート反応性化合物とは、(NCO基の数又は当量)÷(イソシアネート反応性水素原子当量の総数)×100と定義されるイソシアネートインデックスがポリウレタンフォームの場合には80〜500未満、好ましくは90〜100、及び組合せポリウレタン−ポリイソシアヌレートフォームの場合には100〜300となるような量で反応させる。軟質フォームに関しては、このイソシアネートインデックスは一般に50〜120、好ましくは75〜110である。
【0173】
エラストマー、被覆及び接着剤に関しては、イソシアネートインデックスは一般に80〜125、好ましくは100〜110である。
【0174】
ポリウレタン基材フォームの製造には、発泡剤が一般に必要である。軟質ポリウレタンフォームの製造においては、水が発泡剤として好ましい。水の量は、ポリオール100重量部に基づき、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部の範囲である。カルボン酸又は塩も発泡剤として使用される。
【0175】
硬質ポリウレタンフォームの製造における発泡剤としては、水、水と炭化水素若しくは二酸化水素との混合物、又は完全に若しくは部分的にハロゲン化された脂肪族炭化水素が挙げられる。水の量は、ポリオール100重量部に基づき、好ましくは2〜15重量部、より好ましくは2〜10重量部の範囲である。過剰の水と用いると、硬化速度はより遅くなり、発泡プロセスの範囲がより狭くなり、フォーム密度がより低くなり、又は成形性がより悪くなる。水と合する炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン又はヒドロフルオロカーボンの量は、望ましいフォーム密度に応じて適当に選択し、ポリオール100重量部に基づき、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。水が追加発泡剤として存在する場合には、一般に総ポリオール組成物の0.5〜10重量部、好ましくは0.8〜6重量部、より好ましくは1〜4重量部、最も好ましくは1〜3重量部の量で存在する。
【0176】
前記成分の他に、ポリウレタンポリマーの製造においてはいくつかの他の成分を用いるのが望ましいことが多い。これらの追加成分には、界面活性剤、保存剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、強化材、安定剤及び充填剤がある。
【0177】
ポリウレタンフォームの製造においては、発泡している反応混合物を硬化するまで安定化させる量の界面活性剤を用いるのが一般に好ましい。このような界面活性剤は、有利には液体又は固体オルガノシリコーン界面活性剤を含む。他の界面活性剤としては、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸スルフェートエステル、アルキルスルホン酸エステル及びアルキルアリールスルホン酸の第三級若しくはアルカノールアミン塩が挙げられる。このような界面活性剤は、発泡している反応混合物を気泡破壊及び大きい不均一なセルに対して安定化させるのに充分な量で用いる。典型的には、この目的には、総ポリオール(b)100重量部当たり0.2〜3重量部の界面活性剤で充分である。
【0178】
ポリオール(及び、存在するならば、水)とポリイソシアネートとの反応のための1種又はそれ以上の触媒を使用できる。第三級アミン化合物、イソシアネート反応性基を有するアミン及び有機金属化合物並びにそれらの混合物を含む任意の適当なウレタン触媒を使用できる。好ましくは、反応はアミン又は有機金属触媒の不存在下で又は前述のような少量の存在下で実施する。代表的な第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N−ココモルホリン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノプロピルアミン及びジメチルベンジルアミンが挙げられる。代表的な有機金属触媒としては、有機水銀、有機鉛、有機鉄及び有機錫触媒が挙げられ、これらの中でも有機錫触媒が好ましい。適当な錫触媒としては、塩化第一錫、カルボン酸の錫塩、例えば、ジブチル錫ジラウレート及び米国特許第2,846,408号に開示されたような他の有機金属化合物が挙げられる。アルカリ金属アルコキシドのようなポリイソシアヌレートを生じる、ポリイソシアネートの三量体化用触媒も場合によっては本発明において使用できる。アミン触媒の量は、配合物中において、0.02〜5%であることができ、又は配合物中で0.001〜1%の有機金属触媒を使用できる。
【0179】
必要ならば、架橋剤又は連座延長剤も添加できる。架橋剤又は連鎖延長剤としては、低分子量多価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール及びグリセリン;低分子量アミンポリオール、例えばジエタノールアミン及びトリエタノールアミン;並びにポリアミン、例えばエチレンジアミン、キシレンジアミン及びメチレン−ビス(o−クロロアニリン);及びそれらの混合物が挙げられる。このような架橋剤又は連鎖延長剤の使用は、米国特許第4,863,979号及び第4,963,399号並びにEP 549,120に開示されたように当業界で知られている。
【0180】
建築用の硬質フォームを製造する場合には特に、追加の難燃剤を添加剤として含ませることができる。任意の既知の液体又は固体難燃剤を本発明のポリオールと共に使用できる。一般に、このような難燃剤は、ハロゲン置換リン酸エステル及び無機防炎剤である。一般的なハロゲン置換リン酸エステルは、リン酸トリクレジル、トリス(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート及びテトラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェートである。無機難燃剤としては、赤リン、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、硫酸アンモニウム、膨張性黒鉛、シアヌル酸尿素若しくはメラミンシアヌレート又は少なくとも2種の難燃剤の混合物が挙げられる。配合物中のハロゲン量を最小にするのが望ましい場合には、無機難燃剤が好ましい。
【0181】
本発明によって製造されるポリウレタンフォームの用途は、当業界で知られたものである。例えば硬質フォームは建築業において、また、家庭電化製品及び冷蔵庫の断熱に使用される。軟質フォーム及びエラストマーは、家具、靴底、自動車のシート、サンバイザー、ハンドル、アームレスト、ドアパネル、遮音部品及びダッシュボードのような用途に使用される。
【0182】
ポリウレタン製品の製造のための加工は当業界でよく知られている。一般に、ポリウレタン形成反応混合物の成分は任意の常法で、例えばPolyurethane Handbook(G.Oertel,Hanser,publisher)に記載されたような、先行技術でこのために記載された任意の混合装置を用いることによって一緒に混合することができる。
【0183】
ポリウレタン製品は、射出、注入、噴霧、キャスト、カレンダー加工によって連続的又は非連続的に製造され;これらはフリーライズ又は成形条件下で、剥離剤、金型内コーテイング又は金型内に置かれた任意のインサート若しくはスキンを用いて又は用いずに、製造される。軟質フォームの場合には、これらはモノ−又はデュアル−硬度であることができる。
【0184】
硬質フォームの製造のためには、既知のワンショットプレポリマー又は半プレポリマー法を、衝突混合を含む従来の混合方法と併用できる。硬質フォームは、また、スラブ材、成形品、キャビティー充填物、噴霧フォーム、起泡フォーム又は紙、金属、プラスチック若しくは板のような他の材料との積層品の形態で製造できる。軟質フォームはいずれもフリーライズであり且つ成形され、微孔質エラストマーは、通常、成形される。
【0185】
本発明に係る耐燃性ポリウレタン樹脂は好ましくは臭素原子を実質的に含まず、より好ましくはハロゲン原子を実質的に含まない。「実質的に含まない」という表現は前に定義した通りである。
【0186】
耐発火性熱可塑性樹脂
本発明の別の実施態様においては、成分(A)と成分(B)とを反応させることによって得られるリン含有生成物、化合物(I)を、リン含有耐発火性熱可塑性樹脂の製造に使用する。
【0187】
ハロゲン非含有耐発火性熱可塑性樹脂組成物は、(i)本発明に係るリン含有化合物、化合物(I)と(ii)少なくとも1種の熱可塑性樹脂とをブレンドすることによって得られる。
【0188】
典型的な熱可塑性ポリマーとしては、ジエンと芳香族水素添加を含む芳香族水素添加変種を含むビニル芳香族モノマー及びそれらの水素添加変種から製造されたポリマー、例えばスチレン−ブタジエンブロックコポリマー、ポリスチレン(高衝撃性ポリスチレンを含む)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)コポリマー及びスチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN);ポリカーボネート(PC)、ABS/PC組成物、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、ヒドロキシフェノキシエーテルポリマー(PHE)、例えば米国特許第5,275,853号、第5,496,910号、第3,305,528号に教示されたもの;エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ポリオレフィン一酸化炭素インターポリマー、塩素化ポリエチレン、ポリオレフィン(例えばエチレンポリマー及びプロピレンポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン並びにエチレン及び/もしくはプロピレンとそれら相互との又は炭素数が少なくとも4、より好ましくは少なくとも6で且つ好ましくは12以下、より好ましくは8以下のα−オレフィンとのコポリマー)、環状オレフィンコポリマー(COC)、他のオレフィンコポリマー(特に、エチレンと別のオレフィンモノマー、例えばC1〜C12アルケン−1−イル基とのコポリマー)及びホモポリマー(例えば従来の不均一触媒を用いて製造されるもの)、ポリフェニレンエーテルポリマー(PPO)並びにそれらの任意の組合せ又はブレンドが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0189】
熱可塑性ポリマーはそれらの製造方法と同様に当業者によってよく知られている。
【0190】
一実施態様において、熱可塑性ポリマーは、溶解されたエラストマー又はゴムの存在下でビニル芳香族モノマーを重合させることによって製造されたゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマーである。ビニル芳香族モノマーとしては、例えば米国特許第4,666,987号、第4,572,819号及び第4,585,825号に記載されたものが挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、このモノマーは式(XXXIII)を有する。
【0191】
【化15】

【0192】
[式中、R10は水素又はメチルであり、Ar1はアルキル、ハロ若しくはハロアルキル置換を有する又は有さない1〜3個の芳香環を有する芳香環構造であり、前記アルキル基はいずれも炭素数1〜6であり、ハロアルキルはハロ置換アルキル基を示す]。
好ましくは、Ar1はフェニル又はアルキルフェニル(前記アルキルフェニルはアルキル置換フェニル基を示す)であり、フェニルが最も好ましい。使用できる典型的なビニル芳香族モノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、特にp−ビニルトルエン、エチルスチレンの全ての異性体、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン及びそれらの混合物が挙げられる。ビニル芳香族モノマーはまた、他の共重合性モノマーと組合せることができる。このようなモノマーの例としては、アクリルモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸及びアクリル酸メチル、マレイミド、フェニルマレイミド、及び無水マレイン酸並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0193】
ゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマーの製造に使用するゴムは、線状、分岐鎖、星型分岐鎖のような任意の分子構造を含む、モノビニリデン芳香族モノマーの高衝撃性を増大する任意のゴム並びにホモ−及びコポリマージエンゴム、ブロックゴム、官能基化ゴム、シス含量の低いゴム、シス含量の高いゴム、及びそれらの混合物であることができる。使用に好ましいエラストマー又はゴムは、常法、例えばASTM試験法D 52 Tを用いて測定された又は概算された場合に、0℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは40℃以下の二次転移温度を示す、それらのポリマー又はコポリマーである。
【0194】
ゴムは、典型的には、ゴム強化ポリマー生成物がゴム又はゴム当量として表されるビニル芳香族モノマー及びゴム成分の総重量に基づき、3重量%、好ましくは4重量%、より好ましくは5重量%、最も好ましくは6重量%〜20重量%、好ましくは18重量%、より好ましくは16重量%、最も好ましくは14重量%までのゴムを含むような量で用いる。ここで使用する用語「ゴム」又は「ゴム当量」は、ポリブタジエンのようなゴムホモポリマーに関しては単にゴムの量を、ブロックコポリマーに関しては、ホモ重合される場合にゴム状ポリマーを形成するモノマーから構成されるコポリマーの量、例えばブタジエン−スチレンブロックコポリマーに関してはブロックコポリマーのブタジエン成分の量を意味するものである。
【0195】
ゴムはモノビニリデン芳香族モノマー内に離散ゴム粒子として存在し、それは、単峰性、二峰性又は多峰性粒度分布及び粒度を含む任意の型並びにセル状、コアシェル、オニオンスキン及びそれらの組合せを含む任意の形態を有することができる。
【0196】
ビニル芳香族モノマーの重合のための重合方法及びプロセス条件、それらのゴム改質ポリマーの製造並びに所望の平均粒度を得るのに必要な条件は当業者によく知られている。任意の重合方法を使用できるが、典型的な方法は、米国特許第2,727,884号及び第3,639,372号に記載されたような、連続バルク又は溶液重合である。ビニル芳香族モノマーの重合は、高衝撃性改質又はグラフト化ゴム含有製品を製造するためには、予め溶解されたエラストマーの存在下で実施する。これらの例は米国特許第3,123,655号、第3,346,520号、第3,639,522号及び第4,409,369号に記載されており、これらの特許を引用することによってここに組み入れる。ゴムは典型的には、ブタジエン又はイソプレンゴム、好ましくはポリブタジエンである。好ましくはゴム改質ビニル芳香族ポリマーは高衝撃性ポリスチレン(HIPS)又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)であり、HIPSが最も好ましい。
【0197】
熱可塑性ポリマー又はポリマーブレンドは、本発明のハロゲン非含有耐発火性ポリマー組成物中に、本発明のハロゲン非含有耐発火性ポリマー組成物100重量部に基づき、少なくとも35重量部、好ましくは少なくとも40重量部、より好ましくは少なくとも45重量部、最も好ましくは少なくとも50重量部の量で使用する。一般に、熱可塑性ポリマー成分は、本発明のハロゲン非含有耐発火性ポリマー組成物100重量部に基づき、99重量部又はそれ以下、好ましくは95重量又はそれ以下、より好ましくは約90重量部又はそれ以下、最も好ましくは約85重量部又はそれ以下の量で使用する。
【0198】
一実施態様において、本発明のハロゲン非含有耐発火性ポリマー組成物は、化合物(I)を2種の熱可塑性ポリマーのブレンドと共に含み、この熱可塑性ポリマーの少なくとも一方は、例えばポリフェニレンエーテルである。ポリフェニレンエーテルは、種々の公知触媒及び非触媒法によって対応するフェノール類又はそれらの反応性誘導体から製造される。例として、本発明において有用なポリフェニレンエーテルのいくつかは、米国特許第3,306,874号、第3,306,875号、第3,257,357号及び第3,257,358号に開示されている。
【0199】
ポリフェニレンエーテル樹脂は好ましくは反復構造式(XXXIV):
【0200】
【化16】

【0201】
[式中、1つの単位の酸素エーテル原子は、次の隣接単位のベンゼン核に結合し、vは正の整数であり、少なくとも50で且つ好ましくは約100,000以下であり、各Qは、水素、ハロゲン、三級α−炭素原子を含まない炭化水素基、ハロゲン原子とフェニル核の間に少なくとも2個の炭素原子を有するハロ炭化水素基、炭素数が少なくとも2の炭化水素オキシ基及びハロ炭化水素オキシ基からなる群から選ばれた一価置換基である]
を有する型のものである。好ましいポリフェニレンエーテル樹脂はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル樹脂である。
【0202】
別の熱可塑性ポリマーと組合せて使用する場合には、ポリフェニレンエーテル樹脂は、本発明のハロゲン非含有耐発火性ポリマー組成物中に、本発明のハロゲン非含有耐発火性ポリマー組成物100重量部に基づき、少なくとも5重量部、好ましくは10重量部、より好ましくは少なくとも12重量部、更に好ましくは少なくとも15重量部、そして最も好ましくは少なくとも18重量部〜30重量部、好ましくは28重量部まで、より好ましくは25重量部までの量で使用するのが望ましい。熱可塑性及びポリフェニレンエーテルポリマーは、本発明の組成物中に混和する前にブレンドとして製造することもできるし、又は各ポリマーを個別に混和することもできる。
【0203】
本発明の一実施態様において、本発明に係る耐発火性熱可塑性ポリマー組成物は、場合によっては、前述のような、本発明に係るエポキシ化化合物(I)、ベンゾオキサジン環含有化合物又は熱不安定性基含有化合物を含むことができる。
【0204】
本発明の別の実施態様においては、本発明の耐発火性熱可塑性ポリマー組成物は、(i)1種又はそれ以上の熱可塑性樹脂と(ii)前述のような、本発明に係るエポキシ化化合物(I)、ベンゾオキサジン環含有化合物又は熱不安定性基含有化合物とのブレンドであることができる。
【0205】
本発明の組成物は、組成物の機械的性質を向上させ且つ熱可塑性樹脂と相溶性である官能価を含む化合物を含む改質剤のような他の添加剤を含むことができる。モノビニリデン芳香族化合物及び共役ジエンのような熱可塑性樹脂の場合には、このような官能価としては、ブタジエン、スチレン−無水マレイン酸、ポリブタジエン−無水マレイン酸コポリマー、カルボン酸を末端基とするブタジエン、及びカルボン酸官能基化ポリスチレンが挙げられるが、これらに限定するものではない。リン元素含有エポキシ化合物の改質には、改質剤の任意の組合せを使用できる。
【0206】
本発明の耐発火性熱可塑性ポリマー組成物中に使用する化合物(I)、エポキシ化化合物(I)、ベンゾオキサジン環有化合物又は熱不安定性基含有化合物の量は典型的には、耐発火性ポリマー組成物の総重量に基づき、少なくとも1重量%、一般に少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、そして最も好ましくは少なくとも20重量%で且つ50重量%未満、好ましくは45重量%未満、より好ましくは40重量%未満、最も好ましくは35重量%未満である。
【0207】
本発明の耐発火性ポリマー組成物の製造は、当業界で知られた任意の適当な混合手段によって、例えば最終製品の製造に使用する押出機中で直接、個々の成分をドライブレンドし且つ続いて溶融混合するか又は別の押出機中で予め混合することによって実施できる。組成物のドライブレンドは、予め溶融混合することなく、直接、射出成形することもできる。
【0208】
熱の適用によって軟化又は溶融される場合には、本発明の耐発火性熱可塑性ポリマー組成物は、圧縮成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、カレンダー加工、真空成形、熱成形、押出及び/又はブロー成形のような従来の方法を単独で用いて又は併用して、二次成形又は成形できる。耐発火性熱可塑性ポリマー組成物はまた、目的に適当な任意の機械上で、フィルム、繊維、多層積層品又は押出シートに二次成形、紡糸又は圧伸成形することもできるし、或いは1種若しくはそれ以上の有機若しくは無機物質と配合することもできる。
【0209】
一実施態様において、本発明の組成物はフォームの製造に使用できる。耐発火性ポリマー組成物は、それを発泡剤と共に溶融加工して発泡性混合物を形成し、前記発泡性混合物を押出ダイを通して減圧領域に押出し、そして前記発泡性混合物を発泡及び冷却させることによってフォームに押出する。従来型のフォーム押出装置、例えばスクリュー押出機、二軸スクリュー押出機及び蓄積押出装置(accmulating extrusion apparatus)を用いることができる。樹脂/発泡剤混合物から押出フォームを製造するための適当な方法は、米国特許第2,409,910号、第2,515,250号、第2,669,751号、第2,848,428号、第2,928,130号、第3,121,130号、第3,121,911号、第3,770,688号、第3,815,674号、第3,960,792号、第3,966,381号、第4,085,073号、第4,146,563号、第4,229,396号、第4,302,910号、第4,421,866号、第4,438,224号、第4,454,086号及び第4,486,550号に記載されている。
【0210】
本発明の別の実施態様において、本発明のハロゲン非含有耐発火性ポリマー組成物は、場合によっては更に、化合物(I)の他に、他のリン含有化合物を含むことができる。場合によっては、本発明の組成物はまた、前述のような、リン又は非リン材料であることができる他の難燃剤を含むことができる。
【0211】
本発明の組成物中に使用する化合物(I)以外の任意のリン含有化合物及び/又は任意の難燃剤の量は、0〜30重量%であることができる。化合物(I)以外の任意のリン含有成分が存在する場合には、その量は熱可塑性樹脂の総重量に基づき、好ましくは少なくとも1重量%で且つ好ましくは30重量%以下である。
【0212】
成分、化合物(I)の量は、熱可塑性樹脂の総重量に基づき、好ましくは少なくとも5重量%で且つ好ましくは20重量%以下である。
【0213】
耐発火性熱可塑性樹脂は好ましくは臭素原子を実質的に含まず、より好ましくはハロゲン原子を実質的に含まない。「実質的に含まない」という表現は、前に定義した通りである。
【0214】
本発明のハロゲン非含有耐発火性ポリマー組成物は、多数の有用な製品及び部品の作成に有用である。特によく適している製品のいくつかとしては、優れた難燃性を有することが典型的には必要なテレビキャビネット、コンピューターモニター及び関連するプリンターハウジングが挙げられる。他の用途としては、自動車及び小型家庭電化製品が挙げられる。
【0215】
耐発火性熱硬化性組成物
本発明の別の実施態様においては、成分(A)と成分(B)とを反応させることによって得られるリン含有生成物、化合物(I)を、リン含有耐発火性熱硬化性組成物の製造に使用する。
【0216】
ハロゲン非含有耐発火性硬化性組成物は、(i)本発明に係るリン含有化合物、化合物(I)を(ii)少なくとも1種の熱硬化系とブレンドすることによって得られる。熱硬化系の例は、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ベンゾオキサジン環含有化合物、二重又は三重結合を有する不飽和樹脂系、ポリシアネートエステル、ビスマレイミド、トリアジン、ビスマレイミド及びそれらの混合物である。
【0217】
本発明の別の実施態様においては、本発明に係る耐発火性熱硬化性ポリマー組成物は、場合によっては、前述のような、本発明に係るエポキシ化化合物(I)、ベンゾオキサジン環含有化合物又は熱不安定性基含有化合物を含むことができる。
【0218】
本発明の別の実施態様において、本発明の耐発火熱硬化性ポリマー組成物は、(i)1種又はそれ以上の熱硬化系と(ii)前述のような、本発明に係るエポキシ化化合物(I)、ベンゾオキサジン環含有化合物又は熱不安定性基含有化合物とのブレンドであることができる。
【0219】
耐発火性熱可塑性/熱硬化性ハイブリッド系
本発明の別の実施態様においては、成分(A)と成分(B)とを反応させることによって得られるリン含有生成物(化合物(I))は、熱可塑性樹脂及び熱硬化系を両方含むリン含有耐発火性ハイブリッド樹脂系の製造に使用する。
【0220】
ハイブリッド耐発火性熱可塑性及び熱硬化性組成物は、(i)本発明に係るリン含有化合物、化合物(I)を(ii)熱可塑性樹脂及び(iii)熱硬化系とブレンドすることによって得られる。熱可塑性樹脂の例は、ポリフェニレンオキシド(PPO)、その混合物及び前記段落で記載したその他の樹脂である。熱硬化系の例は、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ベンゾオキサジン環含有化合物、二重結合又は三重結合を含む不飽和樹脂系、ポリシアネートエステル、ビスマレイミド、トリアジン、ビスマレイミド及びその混合物である。
【0221】
本発明の別の実施態様において、本発明に係る耐発火性熱可塑性/熱硬化性ハイブリッドポリマー組成物は、場合によっては、前述のような、本発明に係るエポキシ化化合物(I)、ベンゾオキサジン環含有化合物又は熱不安定性基含有化合物を含むことができる。
【0222】
本発明の別の実施態様において、本発明の耐発火性熱可塑性/熱硬化性ハイブリッドポリマー組成物は、(i)1種又はそれ以上の熱可塑性樹脂、(ii)1種又はそれ以上の熱硬化系及び(iii)前述のような、本発明に係るエポキシ化化合物(I)、ベンゾオキサジン環含有化合物又は熱不安定性基含有化合物とのブレンドであることができる。
【0223】
前述の組成物は、被覆配合物、封入剤、複合材料、接着剤、成形品、ボンディングシート、積層板の製造に有用である。一例として、被覆配合物は(i)化合物(I)、(ii)固体エポキシ樹脂及び(iii)アミン又はフェノール系硬化剤のような硬化剤を含むことができる。
【実施例】
【0224】
以下の実施例は、本発明の実施方法を説明する。当業者ならば、以下に説明した方法と同様な方法によって本発明の全範囲を実施することができる。
【0225】
実施例中に用いた材料は以下の通りである:
【0226】
【表1】

【0227】
更に、実施例の種々の材料の性質を測定するのに用いた試験法は以下の通りである:
【0228】
【表2】

【0229】
IPC試験法は、The Institute For Interconnection And Packaging Electronic Circuits(3451 Church Street,Evanston,Illinois 60203)によって開発された電気用積層板工業標準規格である。
【0230】
本発明に係るリン含有化合物の製造を、以下の実施例によって説明する。
【0231】
実施例1
製造A
24.69gのSANTOLINK EP 560を30gのStruktol Polydis(登録商標)PD 3710と170℃において10分間混合し、5分で190℃まで加熱し、混合物を190℃に20分間保持した。得られた反応生成物を真空オーブン中に160℃において更に30分間入れて、ブタノールを追い出すことによって反応を完了させた。得られた最終固体の重量は約45.6gであった。
【0232】
得られた生成物は、150℃の溶融粘度が16Pa・sであり、Tgが78℃であった。この生成物の理論的リン含量は約9.21重量%であった。
【0233】
実施例2
製造B
480gの固体Struktol Polydis(登録商標)PD 3710及び640gのPhenodur VPR 1785(メトキシプロノール中固形分50%)を、機械的撹拌機及び加熱ジャケットを装着した1リットルのガラス反応器中に装入し、これに窒素ガス入口、凝縮器及び溶媒回収装置を取り付けた。混合物を窒素雰囲気下で120℃に加熱して、均質混合物を得た。均質反応混合物を120℃から205℃まで1℃/分で加熱した。溶媒(VPR 1785から)及びブタノールを、温度を上昇させたときに段階的に回収した。反応混合物から揮発分がそれ以上放出されなくなるまで、反応混合物を205℃に30分間保持した。得られた固体材料を反応器から取り出した。固体材料の総重量は757.8gであり、そのTgは88℃であり、その理論的リン含量は約8.87重量%であった。
【0234】
実施例3〜5
以下の表中の配合物を、前記実施例1に記載した製造Aの生成物を用いて製造した。
【0235】
【表3】

【0236】
各配合物1、2及び3に関して、前記成分を合し、室温(約25℃)において約60分間混合して、硬化された生成物のゲル化時間及びガラス転移温度の測定に適当なワニスを形成した。
【0237】
実施例6
前記実施例3に記載した配合物1を、アミノシラン表面処理剤731を有するガラス布強化基材中に含浸させた。含浸された基材を、3メーターの水平オーブンを有するCARATSCHパイロット処理装置(Caratsch AG(Bremgarten,Switzerland)製)に約177℃の空気温度及び1.4m/分の通風速度において通して、プリプレグを形成した。得られたプリプレグは樹脂含量が約34.5重量%及び171℃における残留ゲル化時間が145秒であった。
【0238】
前述で形成されたプリプレグを8個のサンプル(30cm×30cmのサンプル)に切断し、次いでプリプレグサンプルから以下のようにして積層板を形成した:8層のプリプレグを2層の銅と190℃において90分間一緒に圧縮して、約1.48mmのTMA厚さを有する積層板を得た。この積層板は、TMA Tgが約163℃、CTE<Tg/>Tgが40.2/241.9であり、T−288が60分より大きかった。この積層板の銅剥離強度は約14.3N/cmであった。この積層板は、UL94燃焼性V0評価に合格した。
【0239】
実施例7
製造C
440gの固体Struktol Polydis(登録商標)PD 3710及び720gのPhenodur VPR 1785(メトキシプロパノール中固形分50%)を、機械的撹拌機及び加熱ジャケットを装着した1リットルのガラス反応器中に装入し、これに窒素ガス入口、凝縮器及び溶媒回収装置を取り付けた。混合物を100℃から201℃まで155分で加熱した。溶媒(VPR 1785から)及びブタノールを、温度を上昇させたときに段階的に回収した。反応混合物から揮発分がそれ以上放出されなくなるまで、反応混合物を201℃に40分間保持した。得られた固体材料を反応器から取り出した。Tgは104℃であり、200℃における溶融粘度は2.34Pasであった。
【0240】
この例の得られた生成物は、オリゴマーの1つが以下の構造を有するオリゴマーのブレンドであると考えられる:
【0241】
【化17】

【0242】
実施例8
製造D
558.3gの固体Struktol Polydis(登録商標)PD 3710及び391.6gのPhenodur PR 411(ブタノール中固形分75%)を、機械的撹拌機及び加熱ジャケットを装着した1リットルのガラス反応器中に装入し、これに窒素ガス入口、凝縮器及び溶媒回収装置を取り付けた。混合物を96℃から199℃まで180分で加熱した。ブタノールを、温度を上昇させたときに段階的に回収した。反応混合物から揮発分がそれ以上放出されなくなるまで、反応混合物を200℃に20分間保持した。得られた固体材料を反応器から取り出した。DSCによって測定されたTgは約108.5℃であった。
【0243】
この例の得られた生成物は、オリゴマーの1つが以下の構造を有するオリゴマーのブレンドであると考えられる:
【0244】
【化18】

【0245】
実施例9
製造E
405.5gの固体Struktol Polydis(登録商標)PD 3710及び391.6gのPhenodur PR 411(ブタノール中固形分75%)を、機械的撹拌機及び加熱ジャケットを装着した1リットルのガラス反応器中に装入し、これに窒素ガス入口、凝縮器及び溶媒回収装置を取り付けた。混合物を106℃から155℃まで95分で加熱した。ブタノールを、温度を上昇させたときに段階的に回収した。反応混合物から揮発分がそれ以上放出されなくなるまで、反応混合物を155℃に300分間保持した。得られた固体材料を反応器から取り出した。DSCによって測定されたTgは約138℃であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物;並びに
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
を反応させることを含んでなるリン含有化合物の製造方法。
【請求項2】
前記式(I)のR’が少なくとも1つのアリーレン基を含み且つnが少なくとも2である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)のR’が1個又はそれ以上のヒドロカルビレン又はヒドロカルビレンエーテル基によって互いに連結された少なくとも2つのアリーレン基を含み且つmが少なくとも2である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アリーレン基がフェニル基であり、各ヒドロカルビレンがメチレン基であり、且つ各ヒドロカルビレンエーテルがメチレンオキシ基である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
Yがヒドロキシであり;R”が水素、メチル、エチル、プロピル又はブチル基である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記式(I)の化合物(成分(B))が下記の式(II)又は式(III)
式(II)
[Ar(Y)m’−X’][Ar(Y)m’−X]b(X−O−R”)n
式(III)
(R”−O−X)c[Ar(Y)m’−X−O−X]a[Ar(Y)m’−X]b[Ar(Y)m’b’ (X−O−R”)d
[式中、各Arは、独立して、場合によっては炭素数1〜4の1個又はそれ以上の基で、置換された芳香族基を表し;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
各R”−O−XはAr基に直接結合し;下付き文字a、b、b’、c及びdは、それぞれ独立して、0又はそれ以上の数を表し;且つ下付き文字a、b、b’、c及びdを有する各単位は、同一又は異なる単位式を有する式(II)又は式(III)内の別の単位のAr基に直接結合し;そしてm’、m、nは、独立して、1又はそれ以上の数である]
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の化合物(成分(B))が下記式(IV)
【化1】

[式中、各Arは、独立して、場合によっては炭素数1〜4の1個又はそれ以上のアルキル基で置換された芳香族基を表し;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
各R”−O−XはAr基に直接結合し;eは0〜4の整数であり、fは1又はそれ以上であり、m’は1又はそれ以上であり;a、b、c及びdは、それぞれ独立して、0又はそれ以上の数を表す]
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物(成分(B))が下記の式(V)又は式(VI)
【化2】

[式中、R1は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
pは、それぞれ独立して、0〜4の数を表し;そして
a及びbは、それぞれ独立して、0又はそれ以上の数を表す]
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物(成分(B))が下記の化学式(VII):
【化3】

[式中、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、CH2OH又はCH2OR”であり;
R1は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;そして
bは0又はそれ以上の数を表す]。
を有する化合物であるか;又は下記の化学式(VIII)若しくは化学式(VIIIa):
【化4】

[式中、R2は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、CH2OH又はCH2OR”であり;
R1は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
aは0又はそれ以上の数を表す]。
を有する化合物であるか;又は式(I)の化合物(成分(B))が下記の化学式(IX)若しくは化学式(IXa):
【化5】

【化6】

[式中、R”’は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;cは0又はそれ以上の数を表し;pは0又はそれ以上の数を表す]
を有する化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記式(I)の化合物(成分(B))がエチル、プロピル、ブチル若しくはメチルエーテル化フェノールホルムアルデヒド縮合生成物;エチル、プロピル、ブチル若しくはメチルエーテル化クレゾールホルムアルデヒド;エチル、プロピル、ブトキシ若しくはメトキシメチル化フェノールノボラック又はレゾール化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
有機リン化合物(成分(A))が下記式(X)〜(XXII):
【化7】

[式(X)〜(XIII)において、RA及びRBは同一であっても異なってもよく、置換若しくは非置換のアリール若しくはアリールオキシ基及びヒドロキシル基から選ばれるが、ただし、RA及びRBの一つ以下がヒドロキシル基であり;RC及びRDは同一であっても異なってもよく、ヒドロカルビレン及びヒドロカルベニレンから選ばれる];又は
式(XIV) RAPH2
式(XV) (RAO)2P(O)H
式(XVI) RAP(O)(OH)H
式(XVII) RAP(O)(OH)2
式(XVIII) RABP(O)OH
式(XIX) (RAO)2P(O)H
式(XXI) (RA2P(O)H
式(XXII) RAP(O)(OH)H
式(XXI) RAP(O)(OH)2
[式(XIV)〜(XXI)において、RA及びRBは同一であっても異なってもよく、置換若しくは非置換のアリール若しくはアリールオキシ基から選ばれる]
の1つで表される化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記式(XI)のRC及びRDが、それぞれ、アリーレン基である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記有機リン化合物(成分(A))がフェニルホスフィン、リン酸ジフェニル、リン酸ジエチル、ジメチルホスファイト、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジメチルホスフィン酸又はそれらの混合物である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記有機リン化合物が9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファナントレン10−オキシドである請求項1に記載の方法。
【請求項15】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物並びに
(II)熱硬化性組成物
をブレンドすることを含んでなる硬化性リン含有組成物の製造方法。
【請求項16】
前記熱硬化性組成物(成分(II))がエポキシ樹脂;ポリイソシアネート樹脂;重合性不飽和化合物;ベンゾオキサジン含有化合物若しくはポリベンゾオキサジン含有化合物;ビスマレイミド、トリアジン若しくはビスマレイミドとトリアジン化合物とのブレンド;又はエポキシ樹脂及び少なくとも1種の共硬化剤を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記重合性不飽和化合物がビニルエステル、アクリレート、シアネートエステル及びシアナミドからなる群から選ばれる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記共硬化剤がエポキシ基と反応する化合物である請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記共硬化剤がヒドロキシル、酸、酸無水物、フェノール系化合物、窒素含有化合物、高温において反応性基を生じる化合物又はそれらの混合物である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記フェノール系化合物がフェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ジシクロペンタジエンのフェノールノボラック、ベンゾオキサジン環含有化合物から生じるポリベンゾオキサジン又はそれらの混合物である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記酸無水物が、無水マレイン酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、スチレン−無水マレイン酸コポリマー又はそれらの混合物である請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記窒素含有硬化剤がモノ若しくはポリアミン;ポリアミド;ジシアンジアミド;スルファニルアミド;第一、第二若しくは第三アミン;イミダゾール類;2−メチルイミダゾール;2−エチル,4−メチルイミダゾール;2−フェニルイミダゾール;ベンジイミダゾール;ジアミノジフェニルメタン;ジアミノジフェニルスルホン;又はそれらの混合物である請求項19に記載の方法。
【請求項23】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物と
(III)熱可塑性樹脂
とをブレンドすることを含んでなるリン含有組成物の製造方法。
【請求項24】
前記熱可塑性樹脂(成分(III))がポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキシド樹脂又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;
(II)熱硬化性組成物;並びに
(III)熱可塑性樹脂
をブレンドすることを含んでなる硬化性リン含有組成物の製造方法。
【請求項26】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスファイトから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;そして
(IV)少なくとも1種のエポキシ樹脂
を反応させることを含んでなるリン含有エポキシ樹脂化合物の製造方法。
【請求項27】
(C)(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yは、ヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスファイトから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物と
(IV)少なくとも1種のエポキシ樹脂
との反応生成物を含んでなるエポキシ樹脂化合物;そして
(D)少なくとも1種の硬化剤
をブレンドすることを含んでなる硬化性リン含有エポキシ樹脂組成物の製造方法。
【請求項28】
成分(C)のエポキシ化合物以外の追加エポキシ樹脂を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;そして
(IV)少なくとも1種のエポキシ樹脂
をブレンドすることを含んでなる硬化性リン含有エポキシ樹脂組成物の製造方法。
【請求項30】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ官能基又はアミン官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;
(V)成分(B)のY官能基がヒドロキシルである場合には少なくとも1種のアミン化合物、又は成分(B)のY官能基がアミンである場合には少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物;並びに
(VI)アルデヒド化合物
を反応させることを含んでなるリン含有ベンゾオキサジン環含有化合物の製造方法。
【請求項31】
前記アルデヒドがホルムアルデヒド、p−ホルムアルデヒド又は一般式RCHO(Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基である]を有する他のアルデヒドである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
(E)(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ官能基又はアミン官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;
(V)成分(B)のY官能基がヒドロキシルである場合には少なくとも1種のアミン化合物又は成分(B)のY官能基がアミンである場合には少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物;並びに
(VI)アルデヒド化合物
の反応生成物を含むベンゾオキサジン環含有化合物と
(F)熱硬化性組成物
とをブレンドすることを含んでなる硬化性リン含有ベンゾオキサジン環含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項33】
(E)(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ官能基又はアミン官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;
(V)成分(B)のY官能基がヒドロキシルである場合には少なくとも1種のアミン化合物又は成分(B)のY官能基がアミンである場合には少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物;並びに
(VI)アルデヒド化合物
の反応生成物を含んでなるベンゾオキサジン環含有化合物;そして
(G)熱可塑性樹脂
をブレンドすることを含んでなる硬化性リン含有ベンゾオキサジン環含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項34】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOORから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;そして
(VII)少なくとも1種の熱不安定性基含有化合物
を反応させることを含んでなるリン含有熱不安定性基含有化合物の製造方法。
【請求項35】
(H)(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスファイトから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;そして
(VII)少なくとも1種の熱不安定性基含有化合物
の反応生成物を含んでなる熱不安定性基含有化合物並びに
(J)熱硬化性組成物
を反応させることを含んでなる硬化性リン含有熱不安定性樹脂組成物の製造方法。
【請求項36】
少なくとも1種のエポキシ樹脂;少なくとも1種の硬化剤;少なくとも1種の触媒;少なくとも1種の阻害剤;又は熱可塑性材料を含む請求項27、29、30、32、33、34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記熱可塑性材料がポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフェニレンオキシド樹脂の混合物並びにそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記エポキシ樹脂がフェノールエポキシノボラック、クレゾールエポキシノボラック、ポリオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、臭素非含有エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂又はリン含有エポキシ樹脂からなる群から選ばれる前記請求項のうちいずれか1項。
【請求項39】
(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
m’、m及びnは独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含んでなるリン含有化合物。
【請求項40】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含んでなるリン含有化合物;並びに
(II)熱硬化性組成物
を含んでなる硬化性リン含有組成物。
【請求項41】
前記熱硬化性組成物(成分(II))がエポキシ樹脂;ポリイソシアネート樹脂;重合性不飽和化合物;ベンゾオキサジン含有化合物若しくはベンゾオキサジン含有化合物の重合によって得られるポリベンゾオキサジン含有化合物;ビスマレイミド、トリアジン類、若しくはビスマレイミドとトリアジン化合物とのブレンド;又はエポキシ樹脂及び少なくとも1種の共硬化剤を含む請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記重合性不飽和化合物が二重又は三重結合含有化合物からなる群から選ばれる請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記重合性不飽和化合物がビニルエステル、アクリレート、シアネートエステル及びシアナミドからなる群から選ばれる請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
前記共硬化剤がエポキシ基と反応する化合物である請求項41に記載の組成物。
【請求項45】
前記硬化剤がヒドロキシル、酸、酸無水物、フェノール系化合物、窒素含有化合物、高温において反応性基を生じる化合物又はそれらの混合物である請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記フェノール系化合物がフェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ジシクロペンタジエンのフェノールノボラック、ベンゾオキサジン環含有化合物から生じるポリベンゾオキサジン及びそれらの混合物である請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記酸無水物が無水マレイン酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物又はスチレン−無水マレイン酸コポリマーである請求項45に記載の組成物。
【請求項48】
前記窒素含有硬化剤がモノ若しくはポリアミン;ポリアミド;ジシアンジアミド;スルファニルアミド;第一級、第二級若しくは第三級アミンアミン;イミダゾール;2−メチルイミダゾール;2−エチル,4−メチルイミダゾール;2−フェニルイミダゾール;ベンジイミダゾール;ジアミノジフェニルメタン;ジアミノジフェニルスルホン;又はそれらの混合物である請求項45に記載の組成物。
【請求項49】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;並びに
(III)熱可塑性樹脂
を含んでなるリン含有組成物。
【請求項50】
前記熱可塑性樹脂(成分(III))が、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフェニレンオキシド樹脂の混合物又はそれらの混合物である請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;
(II)熱硬化性組成物;並びに
(III)熱可塑性樹脂
を含んでなる硬化性リン含有組成物。
【請求項52】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物と
(IV)少なくとも1種のエポキシ樹脂
との反応生成物を含んでなるリン含有エポキシ樹脂化合物。
【請求項53】
(C)(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yは、ヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスファイトから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含んでなるリン含有化合物と
(IV)少なくとも1種のエポキシ樹脂
との反応生成物を含んでなるエポキシ樹脂化合物;並びに
(D)少なくとも1種の硬化剤
を含んでなる硬化性リン含有エポキシ樹脂組成物。
【請求項54】
成分(C)のエポキシ化合物以外の追加のエポキシ樹脂を含む請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yは、ヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスフェートから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含んでなるリン含有化合物;並びに
(IV)少なくとも1種のエポキシ樹脂
を含んでなる硬化性リン含有エポキシ樹脂組成物。
【請求項56】
熱可塑性材料を含む請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記熱可塑性材料がポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンとポリフェニレンオキシド樹脂との混合物又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ官能基又はアミン官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;
(V)成分(B)のY官能基がヒドロキシルである場合には少なくとも1種のアミン化合物又は成分(B)のY官能基がアミンである場合には少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物;並びに
(VI)アルデヒド化合物
の反応生成物を含んでなるリン含有ベンゾオキサジン環含有化合物。
【請求項59】
(E)(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ官能基又はアミン官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;
(V)成分(B)のY官能基がヒドロキシルである場合には少なくとも1種のアミン化合物又は成分(B)のY官能基がアミンである場合には少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物;及び
(VI)アルデヒド化合物
の反応生成物を含むベンゾオキサジン環含有化合物;並びに
(F)熱硬化性組成物
を含んでなる硬化性リン含有ベンゾオキサジン環含有樹脂組成物。
【請求項60】
(E)(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシル官能基又はアミン官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;そして
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;
(V)成分(B)のY官能基がヒドロキシルである場合には少なくとも1種のアミン化合物又は成分(B)のY官能基がアミンである場合には少なくとも1種のヒドロキシル基含有化合物;及び
(VI)少なくとも1種のアルデヒド化合物
の反応生成物を含むベンゾオキサジン環含有化合物;並びに
(G)熱可塑性樹脂
を含んでなる硬化性リン含有ベンゾオキサジン環含有樹脂組成物。
【請求項61】
(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOORから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物;並びに
(VII)少なくとも1種の熱不安定性基含有化合物
の反応生成物を含んでなるリン含有熱不安定性基含有化合物。
【請求項62】
(H)(I)(A)基H−P=O、基P−H及び基P−OHから選ばれた基を有する少なくとも1種の有機リン化合物と
(B)下記式(I):
式(I) [R’(Y)m’m(X−O−R”)n
[式中、R’は有機基であり;
Yはヒドロキシ、カルボン酸、カルボキシレート、酸無水物、アミン、−SH、−SO3H、−CONH2、−NHCOOR、ホスフィネート及びホスファイトから選ばれた官能基であり;
Xはヒドロカルビレン基であり;
R”は水素又は炭素数1〜8のヒドロカルビル基であり;
Rは炭素数1〜12のアルキル又はアリール基であり;
m’、m及びnは、独立して、1又はそれ以上の数である]
を有する少なくとも1種の化合物
との反応生成物を含むリン含有化合物と
(VII)少なくとも1種の熱不安定性基含有化合物
との反応生成物を含んでなる熱不安定性基含有化合物;並びに
(J)熱硬化性組成物
を含んでなる硬化性リン含有熱不安定性樹脂組成物。
【請求項63】
少なくとも1種のエポキシ樹脂;少なくとも1種の硬化剤;少なくとも1種の共硬化剤;少なくとも1種の触媒;又は少なくとも1種の阻害剤を含む請求項55、57、58、59、60、61又は62に記載の組成物。
【請求項64】
前記エポキシ樹脂がフェノールエポキシノボラック、クレゾールエポキシノボラック、ポリオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、臭素非含有エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、又はリン含有エポキシ樹脂からなる群から選ばれる前記請求項のいずれか1項。
【請求項65】
前記生成物のリン含量が少なくとも4重量%である請求項1に記載の方法に従って得られる生成物。
【請求項66】
前記有機リン化合物(成分(A))が9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファナントレン10−オキシドである請求項65に記載の生成物。
【請求項67】
前記式(I)の化合物、成分が、エーテル化レゾールである請求項65のいずれか1項に記載の生成物。
【請求項68】
R”基がメチル、エチル、プロピル又はブチルである請求項65に記載の生成物。
【請求項69】
請求項65に記載の少なくとも1種の生成物と、分子当たり1個より多くのエポキシ基を有する少なくとも1種の化合物とを反応させることによって得られるエポキシ化合物。
【請求項70】
請求項69に記載の少なくとも1種の架橋性エポキシ化合物、少なくとも1種の硬化剤及び、場合によっては、請求項69に記載のエポキシ化合物以外の少なくとも1種の架橋性エポキシ樹脂を含んでなる硬化性耐燃性エポキシ樹脂組成物。
【請求項71】
請求項65に記載の化合物のフェノール性基をエポキシ化することによって得られるエポキシ化合物。
【請求項72】
少なくとも1種の架橋性エポキシ樹脂又は異なるエポキシ樹脂の混合物、請求項65に記載のリン含有化合物、架橋剤、触媒及び、場合によっては、阻害剤を含んでなる硬化性耐発火性硬化用組成物。
【請求項73】
前記阻害剤がルイス酸である請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記ルイス酸が硼酸である請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
請求項72に記載の少なくとも1種の耐燃性エポキシ樹脂組成物及び少なくとも1種の強化材を含んでなるプリプレグ。
【請求項76】
請求項75に記載の少なくとも1種のプリプレグ及び少なくとも1種の電子導電層を含んでなる積層板。
【請求項77】
前記電子導電層が少なくとも1種の回路パターンを含む請求項76に記載の積層板を硬化させることによって得られる回路基板。
【請求項78】
請求項65に記載の少なくとも1種の生成物とエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの少なくとも一方とを反応させることによって得られるポリオール。
【請求項79】
請求項78に記載の少なくとも1種のポリオールと分子当たり1個より多くのイソシアネート基を有する少なくとも1種の化合物とを反応させることによって得られる耐燃性ポリウレタン樹脂。
【請求項80】
請求項65に記載の生成物又はその誘導体と、少なくとも1種の熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂の混合物とをブレンドすることによって得られる耐発火性熱可塑性組成物。
【請求項81】
請求項65に記載の生成物又はその誘導体と、(i)少なくとも1種の熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂の混合物及び(ii)少なくとも1種の熱硬化性組成物又は熱硬化性組成物の混合物とをブレンドすることによって得られる耐発火性熱可塑性/熱硬化性ハイブリッド組成物。
【請求項82】
前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリフェニレンオキシド樹脂の1種又はそれ以上から選ばれる請求項80に記載の組成物。
【請求項83】
エポキシ樹脂及び請求項39に記載の化合物並びに、場合によっては、共硬化剤及び、場合によっては、触媒を含んでなる被覆組成物。
【請求項84】
共硬化剤及び触媒を含む請求項83に記載の被覆組成物。

【公表番号】特表2008−501063(P2008−501063A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515219(P2007−515219)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/017954
【国際公開番号】WO2005/118604
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】