説明

バルブ開閉制御装置

【課題】 デポジットによるバタフライバルブ1の固着化を防止することを課題とする。【解決手段】 エンジン停止後にバタフライバルブ1をバルブ全閉位置にて停止させた時に、バタフライバルブ1のシールリング溝2に嵌合保持されたシールリング3のシールリング摺動面4が当接(密着)するシールリングシート面7の位置を、ハウジング5の第1、第2流路壁面21、22よりも高い位置に設定している。すなわち、EGRガスが流れる排気ガス還流路10の流路壁面の一部に、ハウジング5のシールリングシート面7と第1、第2流路壁面21、22との間に適度な高低差を付けるための内周突起6および2つの第1、第2段差面31、32を設けている。これによって、エンジン停止時にデポジット掻き落とし作動によってバルブ全閉位置近傍から掻き落としたデポジットがバタフライバルブ1、シールリング3およびシールリングシート面7に再付着するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエンジン停止時、エンジン停止後またはエンジン冷間時に、エンジン停止後のバルブ停止位置であるバルブ全閉位置を通り越してバタフライバルブを1回以上開閉動作させて、流体中に含まれる不純物をバルブ全閉位置近傍の流路壁面より掻き落とすようにしたバルブ開閉制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、バルブ開閉制御装置により開閉制御されるバルブの一例として、例えばディーゼルエンジン等のエンジンの燃焼室内より流出する排気ガス中の有害物質(例えば窒素酸化物:NOx等)の低減を図るという目的で、排気ガス再循環装置の排気ガス還流管の途中に組み込まれるEGR制御バルブ(排気ガス還流量制御弁の弁体)が知られている。ここで、排気ガス再循環装置とは、エンジンの燃焼室内より流出する排気ガスの一部(EGRガス)をエンジンの吸気系統(特に燃焼室に連通する吸気通路)に再循環させるもので、EGR制御バルブのバルブ開度を制御することでエンジンの吸気系統に再循環されるEGRガスの還流量(EGR量)を調整する。
【0003】
ここで、EGR制御バルブは、燃焼残滓やカーボン等の微粒子状の不純物(煤、煤に付着している炭化水素、黒煙や不完全燃焼物等の粉末状固体微粒子:パティキュレート)が含まれるEGRガスが流れるハウジング(排気ガス還流管の一部を構成する)内に開閉自在に収容されている。このため、エンジンの運転中に、排気ガス中に含まれる微粒子状の不純物が、EGR制御バルブの表面に付着したり、ハウジングの流路壁面に付着したりしてデポジットを形成する可能性がある。
【0004】
特に、エンジン停止後のバルブ停止位置であるバルブ全閉位置にてEGR制御バルブを閉弁している状態で、EGR制御バルブとハウジングの流路壁面との間に跨がってデポジットが形成されている場合、エンジン停止後にエンジンが冷えてきてデポジットが硬化すると、EGR制御バルブがバルブ全閉位置にて固着化する可能性がある。
ここで、EGR制御バルブがデポジットによって固着化するエンジンの条件は、アイドル運転等の軽負荷で、燃焼ガス温度が低く(主に70〜100℃)、炭化水素(HC)が多く排出される(触媒活性の目的で行われる未燃燃料が噴射される)条件(所謂エンジン冷間始動時)などである。
【0005】
ここで、エンジン停止後のデポジットによるバルブ固着防止対策として、エンジン停止時に、EGR制御バルブをバルブ全閉位置より若干開弁した位置(開弁状態)で停止させることで、EGR制御バルブとハウジングの流路壁面とを跨ぐようにデポジットが付着・滞留するのを阻止するようにした排気ガス再循環装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、開弁状態でEGR制御バルブを停止させる方法は、バルブ制御方法が複雑になり、コストアップとなるという問題があった。
【0006】
ここで、EGR制御バルブとしてバタフライバルブを採用した場合、あるいはバタフライバルブの外周にバルブリングを装着した場合には、EGR制御バルブまたはバルブリングが、ハウジングの流路壁面を擦りながら開閉作動するため、エンジンの運転中にハウジングの流路壁面に付着したデポジットを除去できるメリットがある。すなわち、図10(a)に示したように、ハウジング101の流路壁面に付着したデポジットを、EGR制御バルブ102をバルブ全閉位置近傍で開閉動作させることで、EGR制御バルブ102のエッジ部またはバルブリング103のエッジ部で掻き落とすことが可能となる(例えば、特許文献2乃至4参照)。
【0007】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献2乃至4に記載の排気ガス再循環装置においては、図10(a)に示したように、デポジットの掻き落とし作動時に、ハウジング101の流路壁面、特にバルブ全閉位置近傍でバルブリング103の外周端面(摺動面)が摺動接触する流路壁面(当接面)104から外部にデポジットが除去される。
【0008】
しかしながら、図10(a)、(b)に示したように、当接面104よりも流体流路105の上流側の流路壁面106および下流側の流路壁面107と、当接面104とが同一平面上に設けられているため、エンジンが冷えきっていない間は、デポジットが流動し、図10(b)に示すように、ハウジング101のバルブ全閉位置近傍の流路壁面、EGR制御バルブ102およびバルブリング103に再度付着してしまう。その後、エンジンが冷間状態になると、デポジットが硬化するため、EGR制御バルブ102が固着化する。この場合には、エンジン始動後にEGR制御バルブ102をバルブ駆動装置によって開弁作動させようとしても、EGR制御バルブ102を円滑に開弁作動させることができないという問題がある。
【特許文献1】特開2001−214816号公報(第1−5頁、図1−図8)
【特許文献2】特開2001−173464号公報(第1−8頁、図1−図9)
【特許文献3】特開2003−314377号公報(第1−8頁、図1−図8)
【特許文献4】特開2004−162665号公報(第1−14頁、図1−図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ハウジングのバルブ全閉位置近傍の流路壁面(バタフライバルブの摺動面またはバルブリングの摺動面が摺動接触する当接面)から掻き落としたデポジットの流動によるバタフライバルブまたはバルブリングへの再付着を防止することで、エンジン停止後のデポジットによるバタフライバルブまたはバルブリングの固着化を確実に防止することのできるバルブ開閉制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1および請求項9に記載の発明によれば、ハウジングのバルブ全閉位置近傍の流路壁面(バタフライバルブの摺動面またはバルブリングの摺動面が摺動接触する当接面)を、この流路壁面(当接面)よりも流体の流れ方向の上流側または下流側の流路壁面に対して流体流路の中心軸線側に突出した高い位置、あるいは天地方向の天側に突出した高い位置に設けている。
【0011】
これによって、バタフライバルブをバルブ全閉位置を通り越して1回以上開閉動作させるデポジット掻き落とし作動によって、ハウジングの当接面より掻き落とされたデポジットが、ハウジングの当接面上に流動することはない。これに伴って、ハウジングのバルブ全閉位置近傍の流路壁面、つまりバタフライバルブの摺動面またはバルブリングの摺動面が摺動接触する当接面から掻き落としたデポジットが流動して、バタフライバルブまたはバルブリングおよびハウジングのバルブ全閉位置近傍の流路壁面(バタフライバルブの摺動面またはバルブリングの摺動面が摺動接触する当接面)に再度付着するのを確実に防止することができる。
【0012】
したがって、エンジン停止後のデポジットによるバタフライバルブまたはバルブリングの固着化を確実に防止することができる。すなわち、デポジットの流動によるバタフライバルブまたはバルブリングへの再付着を阻止するには、バタフライバルブの摺動面またはバルブリングの摺動面が摺動接触する当接面の位置をバルブ上流側および下流側よりも位置的に上方に配置することが有効である。
【0013】
請求項2および請求項10に記載の発明によれば、ハウジングの当接面を、バタフライバルブの回転軌跡またはバルブリングの回転軌跡に沿って湾曲させても良い。
請求項3および請求項11に記載の発明によれば、ハウジング内に形成される屈曲流路を、ハウジングの当接面から、ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に向けて天地方向に直交する水平方向に対して所定の傾斜角度分だけ傾斜させている。ここで、比較的に温度が高い高温雰囲気中では、デポジットは流動性を有するが、デポジットは重力によって低い方へ流動するため、ハウジングの当接面上に流動することはなく、バタフライバルブまたはバルブリングにデポジットが付着しない。なお、ハウジングの屈曲流路の流路壁面の傾斜角度が大きい程、バタフライバルブまたはバルブリングへのデポジットの付着防止効果が大きくなる。
【0014】
請求項4および請求項12に記載の発明によれば、ハウジング内に形成される直線流路の流路壁面の一部に、ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に環状の段差面を設けている。ここで、比較的に温度が高い高温雰囲気中では、デポジットは流動性を有するが、段差面によりハウジングの当接面とハウジング内の直線流路の流路壁面との間には高低差があるため、ハウジングの当接面上に流動することはなく、バタフライバルブまたはバルブリングにデポジットが付着しない。
【0015】
請求項5および請求項13に記載の発明によれば、ハウジングの段差面を、バタフライバルブの摺動面またはバルブリングの摺動面とハウジングの当接面との摺動接触が開始される接点の位置、あるいはその接点の位置よりもバルブ全閉位置側に設けている。これによって、バタフライバルブをバルブ全閉位置を通り越して1回以上開閉動作させるデポジット掻き落とし作動によって、デポジットをハウジングの当接面から確実に掻き落とすことができる。
【0016】
請求項6および請求項14に記載の発明によれば、ハウジングの段差面の高さ(H)を、少なくとも3mm以上の高さに規定している。
ここで、バタフライバルブをバルブ全閉位置を通り越して1回以上開閉動作させるデポジット掻き落とし作動によって、ハウジングの当接面からデポジットを掻き落とした場合、ハウジングの当接面から掻き落とされたデポジットが、ハウジングの段差面近傍に堆積することが考えられる。
【0017】
このとき、ハウジングの段差面の高さ(H)が3mm未満の場合には、掻き落とされたデポジットが、ハウジングの段差面の高さよりも高く蓄積される可能性があり、段差面によるバタフライバルブまたはバルブリングへのデポジット付着防止効果が小さくなってしまう。
これに対して、ハウジングの段差面の高さ(H)を、少なくとも3mm以上の高さにすると、掻き落とされたデポジットが、ハウジングの段差面の高さよりも高く蓄積される可能性が殆どなくなるので、段差面によるバタフライバルブまたはバルブリングへのデポジット付着防止効果が大きい。
【0018】
請求項7および請求項15に記載の発明によれば、ハウジングの当接面とハウジングの段差面とが交差する交差部に、例えばテーパー状の面取りまたはR形状の面取りを施すことにより、バタフライバルブを閉弁作動させる時に、バタフライバルブまたはバルブリングが当接面に乗り上がり易くなり、小さな駆動力でバタフライバルブを駆動することが可能となる。この場合には、例えばバタフライバルブを閉弁駆動するバルブ駆動装置の体格を小型化することが可能となり、バルブ開閉制御装置全体の体格の小型化および搭載性の向上を図ることができる。
【0019】
請求項8および請求項16に記載の発明によれば、ハウジングの段差面に、ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に向けて開口した凹部を設けたことにより、バタフライバルブをバルブ全閉位置を通り越して1回以上開閉動作させるデポジット掻き落とし作動によって、ハウジングの当接面から掻き落とされたデポジットを、ハウジングの段差面近傍に大量に蓄積させることが可能となる。また、ハウジングの段差面の高さよりも高く蓄積され難くなるので、段差面によるバタフライバルブまたはバルブリングへのデポジット付着防止効果が大きくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態は、ハウジングのバルブ全閉位置近傍の流路壁面から掻き落としたデポジットが流動して再度バタフライバルブまたはバルブリングに付着するのを防止することで、エンジン停止後のデポジットによるバタフライバルブまたはバルブリングの固着化を確実に防止するという目的を、ハウジングのバルブ全閉位置近傍の流路壁面(バタフライバルブの摺動面またはバルブリングの摺動面が摺動接触する当接面)を、この流路壁面(当接面)よりも流体の流れ方向の上流側または下流側の流路壁面に対して流体流路の中心軸線側に突出した高い位置に設けることで実現した。
また、ハウジングのバルブ全閉位置近傍の流路壁面から掻き落としたデポジットが流動して再度バタフライバルブまたはバルブリングに付着するのを防止することで、エンジン停止後のデポジットによるバタフライバルブまたはバルブリングの固着化を確実に防止するという目的を、ハウジングのバルブ全閉位置近傍の流路壁面(バタフライバルブの摺動面またはバルブリングの摺動面が摺動接触する当接面)を、この流路壁面(当接面)よりも流体の流れ方向の上流側または下流側の流路壁面に対して天地方向の天側に突出した高い位置に設けることで実現した。
【実施例1】
【0021】
[実施例1の構成]
図1ないし図3は本発明の実施例1を示したもので、図1および図2(a)はEGR制御弁を示した図で、図2(b)は排気ガス再循環装置を示した図である。
【0022】
本実施例の排気ガス再循環装置は、例えば自動車等の車両のエンジンルームに搭載されるディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジンと呼ぶ)に使用されるもので、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスの一部である流体をエンジンの吸気系統に導く排気ガス還流管内を流れる排気ガスの還流量を調整する排気ガス還流量制御弁(以下EGR制御弁と呼ぶ)と、このEGR制御弁の弁体(バルブ:以下バタフライバルブと言う)1の開閉制御を行うバルブ開閉制御装置とを備えている。
【0023】
ここで、エンジンは、燃料が直接燃焼室内に噴射供給される直接噴射式ディーゼルエンジンが採用されている。なお、エンジンとして、ターボチャージャー付ディーゼルエンジン(ターボ過給機付エンジン)を採用しても良い。そして、エンジンは、各気筒毎の燃焼室内に新規吸入空気(吸気)を供給するための吸気管と、各気筒毎の燃焼室より流出する排気ガスを排気浄化装置を経由して外部に排出するための排気管とを備えている。排気ガス再循環装置の排気ガス還流管は、排気ガスの一部である流体(排気再循環ガス:以下EGRガスと呼ぶ)を、吸気管に再循環(還流)させるものである。この排気ガス還流管内には、排気管内に形成される排気通路と吸気管内に形成される吸気通路とを連通する排気ガス還流路が形成されている。そして、排気ガス還流路は、エンジンの各気筒毎の燃焼室に連通する流体流路を構成している。
【0024】
本実施例のEGR制御弁は、排気管から排気ガス還流管が分岐する分岐部、あるいは排気ガス還流管から吸気管に合流する合流部、あるいは排気ガス還流管の途中に配設されている。このEGR制御弁は、バルブ開度に応じて排気ガスの還流量(以下EGR量と言う)を調整するバタフライバルブ1と、このバタフライバルブ1の外周のシールリング溝(環状溝)2に嵌め込まれたシールリング(バルブリング)3と、内部に排気ガス還流路が形成されたハウジング5とを備えている。なお、本実施例のEGR制御弁は、ハウジング5内に形成される排気ガス還流路(流体流路)10の排気ガス流通面積を変更し、EGRガスを吸入空気中に混入させるEGR量(新規吸入空気量に対するEGR率)を可変制御する流体流量制御弁を構成している。
【0025】
また、EGR制御弁は、バタフライバルブ1をバルブ全閉位置にて閉弁した状態の時(バルブ全閉時)、すなわち、排気ガス還流路10の軸線方向(排気ガス還流路10内を流れるEGRガスの平均的な流れの軸線方向:図1、図3において図示左右方向)に対して垂直な垂線上に、バタフライバルブ1の中心軸線が設定される時に、バタフライバルブ1のシールリング溝2に嵌め込まれたシールリング3の軸線方向(図1、図3において図示左右方向)に対して直交する半径方向(拡径方向:図1、図3において図示上下方向)の張力を利用して、バタフライバルブ1とハウジング5との間の隙間を気密化(シール)するように構成されている。
【0026】
本実施例のバルブ開閉制御装置は、バタフライバルブ1を閉弁作動方向(または開弁作動方向)に付勢するスプリング(バルブ付勢手段:図示せず)、動力源としての電動モータ8を有し、バタフライバルブ1を開弁駆動(または閉弁駆動)するバルブ駆動装置、およびこのバルブ駆動装置、特に電動モータ8への供給電力を可変してバタフライバルブ1のバルブ開度(バルブ位置)を制御するエンジン制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)9等によって構成されている。
【0027】
本実施例のバタフライバルブ1は、略円板形状に形成されて、バタフライバルブ1の回転中心軸線上に軸部(バルブ軸:以下バルブシャフトと言う)11を有し、吸気通路内を流れる吸入空気中に混入させるEGRガスのEGR量を制御するバタフライ型の回転弁である。このバタフライバルブ1は、ハウジング5の排気ガス還流路10内に開閉自在に収容されている。また、バタフライバルブ1は、エンジン運転時に、ECU9からの制御信号に基づいて、バルブ全閉位置からバルブ全開位置に至るまでのバルブ作動範囲で回転角度が変更されることで、排気ガス還流路10の開口面積(排気ガス流通面積)を変更してEGR量を可変する。
【0028】
ここで、バルブ全閉位置とは、バタフライバルブ1とハウジング5との間の隙間が最小となるバルブ開度(バルブ位置)で、且つEGR量が最小となるバルブ開度(θ=0°)のことである。また、バルブ全開位置とは、バタフライバルブ1とハウジング5との間の隙間が最大となるバルブ開度(バルブ位置)で、且つEGR量が最大となるバルブ開度(θ=70〜90°)のことである。そして、バタフライバルブ1の外周端面には、その全周に渡って円環状のシールリング溝2が形成されている。なお、シールリング溝2の内部には、C字形状のシールリング3が嵌め込まれている。
【0029】
本実施例のシールリング3は、シールリング3およびハウジング5の熱膨張係数の差に伴うシールリング3の膨張、収縮に備えて周方向の両端面間(合い口)に所定の切欠隙間(図示せず)を有している。なお、シールリング3の合い口形状は、パッド・ジョイント形状、テーパ・ジョイント形状、ラップ・ジョイント形状のいずれでも構わない。このシールリング3は、半径方向の外径側端部がバルブ外周面より突出した状態で、半径方向の内径側端部がシールリング溝2内を半径方向、軸線方向および周方向に移動できるようにシールリング溝2内に嵌合保持されている。そして、シールリング3の外周端面は、バタフライバルブ1の閉弁作動時に、バルブ全閉位置近傍に相当する所定の回転角度範囲内で、ハウジング5の流路壁面に摺動接触するシールリング摺動面4として利用される。なお、シールリング摺動面4の軸線方向の一対のエッジ部に、バタフライバルブ1が開閉動作し易いようにテーパ形状またはR形状の面取りを施しても良い。
【0030】
バルブシャフト11は、ハウジング5の内部に回転自在に収容されている。そして、バルブシャフト11の軸線方向の一端側は、ハウジング5を貫通して排気ガス還流路10の内部に突出(露出)している。このバルブシャフト11の軸線方向の一端側には、バタフライバルブ1を例えば溶接等の固定手段を用いて保持固定するバルブ装着部が設けられている。なお、本実施例では、バタフライバルブ1がハウジング5内で、バルブシャフト11の中心軸線に対して傾斜してバルブシャフト11のバルブ装着部に固定支持されている。
【0031】
次に、本実施例のバルブ駆動装置は、電力の供給を受けて動力を発生する電動モータ8と、この電動モータ8のモータシャフト(出力軸)の回転運動をバルブシャフト11に伝達するための動力伝達機構(本実施例では歯車減速機構)とを備えた電動式アクチュエータによって構成されている。
電動モータ8は、ブラシレスDCモータやブラシ付きのDCモータ等の直流(DC)モータが採用されている。なお、三相誘導電動機等の交流(AC)モータを用いても良い。
【0032】
また、歯車減速機構は、電動モータ8のモータシャフトの回転速度を所定の減速比となるように減速するもので、電動モータ8のモータ出力軸トルク(駆動力)をバルブシャフト11に伝達する動力伝達機構を構成する。なお、本実施例では、電動モータ8のモータシャフトに固定されたピニオンギヤ12、このピニオンギヤ12と噛み合う中間減速ギヤ13、およびこの中間減速ギヤ13に噛み合うバルブギヤ14等によって歯車減速機構が構成されている。そのバルブギヤ14は、バルブシャフト11の軸線方向の他端部(バルブ側に対して反対側の端部)に固定されている。また、バルブシャフト11またはバルブギヤ14には、スプリングが組み付けられている。ここで、バルブ駆動装置、特に電動モータ8は、ECU9によって通電制御されるように構成されている。
【0033】
ここで、ECU9には、制御処理や演算処理を行うCPU、制御プログラムまたは制御ロジックや各種データを保存する記憶装置(RAMやROM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。また、ECU9は、図示しないイグニッションスイッチをオン(IG・ON)すると、メモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づいて、例えばEGR量、吸入空気量等が各々制御指令値となるようにフィードバック制御するように構成されている。
【0034】
なお、ECU9は、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、メモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づく上記の制御が強制的に終了されるように構成されている。また、ECU9は、エンジン停止時(エンジンOFF時)またはエンジン冷間時に、エンジン停止後のバルブ停止位置であるバルブ全閉位置を通り越してバタフライバルブ1を、所定のバルブ開度範囲内において1回以上(例えば5回)開閉作動させるように電動モータ8への供給電力を可変し、その後に電動モータ8への通電を停止するように構成されている。
【0035】
そして、ECU9は、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、エアフロメータ等の各種センサからのセンサ信号が、A/D変換器によってA/D変換された後に、ECU9に内蔵されたマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。なお、ECU9は、クランク角度センサより出力されたNEパルス信号の間隔時間を計測することによってエンジン回転速度(以下エンジン回転数と言う:NE)を検出するための回転速度検出手段として機能する。また、マイクロコンピュータには、EGR制御弁のバタフライバルブ1の開度(EGR制御弁のバルブ開度)を電気信号に変換し、ECU9へどれだけEGRガスが吸気管内を流れる吸入空気に混入されているか、つまり吸気管内へのEGRガスのEGR量がどれくらいかを出力するEGR量センサ15が接続されている。
【0036】
ハウジング5は、排気ガス還流管の一部を成すバルブボデーであって、内部にEGR制御弁の可動部品(バタフライバルブ1等)を回転自在に収容保持する装置であり、排気ガス還流管(あるいは吸気管または排気管)にボルト等の締結具(図示せず)を用いて締め付け固定されている。このハウジング5には、ブッシングやベアリング等の軸受け部品16を介して、EGR制御弁のバルブシャフト11を回転自在に軸支する円筒状のバルブ軸受け部が設けられている。そして、ハウジング5は、バルブシャフト11よりも排気ガス還流路10の軸線方向の上流側開口端に入口部を有し、且つバルブシャフト11よりも排気ガス還流路10の軸線方向の下流側開口端に出口部を有している。そして、排気ガス還流路10は、ハウジング5の入口部から出口部に向けて排気ガス還流路10の軸線方向に真っ直ぐに延びる直線流路である。
【0037】
ここで、本実施例のハウジング5の流路壁面(ハウジング内周面)の一部には、バタフライバルブ1のバルブ作動範囲のうちのバルブ全閉位置近傍で、排気ガス還流路10の中心軸線側に突出する内周突起6が設けられている。この内周突起6は、方形状(または矩形状)の断面を有し、ハウジング5の内周面全周に渡って排気ガス還流路10の周囲を取り囲むように円環状に設けられている。そして、内周突起6の内周面は、バタフライバルブ1の閉弁作動時に、バルブ全閉位置近傍に相当する回転角度範囲(α°=35〜50°:バルブ全閉位置(θ=0°)を中心にして±15〜25°程度)内で、シールリング3のシールリング摺動面4が摺動接触するシールリングシート面(ハウジングの当接面)7として利用される。ここで、本実施例では、エンジン停止後にバタフライバルブ1が保持される位置(エンジン停止後のバルブ停止位置)、すなわち、ハウジング5の内周突起6のシールリングシート面7とシールリング3のシールリング摺動面4とが当接する接触位置が、バルブ全閉位置となる(図1ないし図3参照)。
【0038】
内周突起6のシールリングシート面7は、このシールリングシート面7よりもEGRガスの流れ方向の上流側の第1流路壁面21および下流側の第2流路壁面22に対して、2つの第1、第2流路壁面21、22より排気ガス還流路10の中心軸線側に向けて突出した高い位置に設けられている。すなわち、本実施例では、内周突起6の内周面であるシールリングシート面7の位置を、ハウジング5の2つの第1、第2流路壁面21、22よりも高い位置に設定している。
【0039】
ここで、ハウジング5の2つの第1、第2流路壁面21、22は、シールリングシート面7よりもEGRガスの流れ方向の上流側(エンジンの排気管側または排気ポート側、燃焼室側)および下流側(エンジンの吸気管側または吸気ポート側、燃焼室側)の排気ガス還流路10の周囲を取り囲むように設けられている。そして、2つの第1、第2流路壁面21、22は、エンジン停止時またはエンジン冷間時におけるバルブ開閉動作(所謂デポジット掻き落とし作動)によって内周突起6のシールリングシート面7より掻き落とされたデポジットを滞留させる不純物滞留部としての機能を有している。
【0040】
内周突起6の上流側端面、つまりシールリングシート面7よりもEGRガスの流れ方向の上流側には、ハウジング2の第1流路壁面21に対して所定の高低差を付けることが可能な円環状の第1段差面31が、内周突起6の上流側端面の全周に渡って設けられている。また、内周突起6の下流側端面、つまりシールリングシート面7よりもEGRガスの流れ方向の下流側には、ハウジング2の第2流路壁面22に対して所定の高低差を付けることが可能な円環状の第2段差面32が、内周突起6の下流側端面の全周に渡って設けられている。
【0041】
すなわち、本実施例のEGR制御弁では、ハウジング5の排気ガス還流路(直線流路)10の一部に、具体的にはハウジング5の2つの第1、第2流路壁面21、22間に、エンジン停止後のバルブ停止位置であるバルブ全閉位置近傍に相当するシールリングシート面7と2つの第1、第2流路壁面21、22との間に適度な高低差を付けるための内周突起6および2つの第1、第2段差面31、32を形成している。
【0042】
内周突起6の両端面(EGRガスの流れ方向の上流側端面および下流側端面)に設けられる2つの第1、第2段差面31、32は、エンジン停止時またはエンジン冷間時におけるバルブ開閉動作(所謂デポジット掻き落とし作動)によって内周突起6のシールリングシート面7より掻き落とされたデポジットが再度シールリングシート面7とシールリング摺動面4との間に流動するのを規制する第1、第2規制面としての機能を有している。
【0043】
[実施例1の作用]
次に、本実施例の排気ガス再循環装置の作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。ここで、図3(a)はデポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した図で、図3(b)はエンジン停止後またはエンジン冷間時のデポジットの流動状態を示した図である。
【0044】
ECU9は、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、エンジン冷間始動時を除き、EGR量センサ15によって検出されたEGR量が、エンジンの運転状態に応じて設定される目標EGR開度と略一致するように、電動モータ8への供給電力を調整する。そして、電動モータ8に電力が供給されると、電動モータ8のモータシャフトが回転する。
【0045】
そして、電動モータ8の駆動力(モータ出力軸トルク)が歯車減速機構を経てバルブシャフト11に伝達される。すると、バルブシャフト11が、その軸心を中心にして所定の回転角度だけ回転し、EGR制御弁のバタフライバルブ1がバルブ全閉位置よりバルブ全開位置側へ開く方向(開弁作動方向)に開弁駆動される。これにより、エンジンの各気筒毎の燃焼室内より流出した排気ガスの一部(EGRガス)が、排気管内に形成される排気通路から、排気ガス還流管の一部を成すハウジング5の排気ガス還流路10を経て吸気管内に形成される吸気通路に再循環される。
【0046】
また、ECU9は、EGR制御弁のバタフライバルブ1が開弁している時に、自動車等の車両の走行状態が変更された場合、あるいはエンジンの運転状態が過度的に変更された場合(例えば運転者がアクセルペダルを大きく踏み込んでアクセル全開の時、エンジン負荷が高負荷領域で、ターボ過給機により吸入空気の過給動作を行っている時、定常走行からアクセルペダルが踏み込まれて加速走行に移行した時)、あるいは運転者がブレーキペダルを踏み込んだ場合、EGR制御弁のバタフライバルブ1のバルブ位置(バルブ開度)が、バルブ全閉位置となるように、電動モータ8への供給電力を調整(制限)または電動モータ8への電力を断つことで、スプリングの付勢力(スプリング荷重)によって、バタフライバルブ1を強制的に閉弁作動させるように構成されている。
【0047】
そして、ECU9は、エンジン冷間始動時、あるいはイグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されるエンジン停止時に、電動モータ8への供給電力を調整して、バタフライバルブ1を閉弁作動方向に閉弁駆動する。このとき、電動モータ8のモータシャフトは、開弁作動方向の回転方向に対して逆方向に回転する。そして、ECU9は、電動モータ8への供給電力を調整して、バルブ全閉位置を通り越してバタフライバルブ1を5回開閉作動させる。
【0048】
このとき、図3(a)に示したように、例えばエンジンの運転中に、ハウジング5の内周突起6の内周面であるシールリングシート面7上に付着したデポジットが、バタフライバルブ1のシールリング溝2に嵌合保持されたシールリング3のシールリング摺動面4および両エッジ部にて掻き落とされる。これによって、デポジットは、ハウジング5の内周突起6の第1段差面31よりもEGRガスの流れ方向の上流側の第1流路壁面21上に除去される。また、デポジットは、ハウジング5の内周突起6の第2段差面32よりも下流側の第2流路壁面22上に除去される。
【0049】
その後に、ECU9は、電動モータ8への電力の供給を停止する。あるいは電動モータ8への電力の供給を制限する。これにより、スプリングの付勢力(スプリング荷重)によって、図3(b)に示したように、バタフライバルブ1がデポジットを掻き落とした位置、つまりバルブ全閉位置に戻される。このとき、バタフライバルブ1の外周に装着されたシールリング3のシールリング摺動面4が、シールリング自体の拡径方向の張力によってハウジング5のシールリングシート面7に張り付くため、シールリング3のシールリング摺動面4がハウジング5の内周突起6のシールリングシート面7に密着する。
【0050】
したがって、バタフライバルブ1の外周端面とハウジング5の流路壁面(シールリングシート面7)との間の隙間が完全にシールされる。これにより、バルブ全閉位置でバタフライバルブ1が保持固定される時、すなわち、バルブ全閉時に、EGRガスの洩れが確実に抑止されるため、EGRガスが吸入空気に混入しなくなる。
【0051】
[実施例1の効果]
以上のように、シールリング3を外周に装着したバタフライバルブ1を駆動する電動モータ8を含むバルブ駆動装置およびECU9等によって構成されるバルブ開閉制御装置は、エンジン停止時またはエンジン冷間時に、エンジン停止後のバルブ停止位置であるバルブ全閉位置を通り越して1回以上開閉動作(所謂デポジット掻き落とし作動)させた後に、バルブ全閉位置にバタフライバルブ1を停止させるように構成されている。ここで、デポジット掻き落とし作動時には、バタフライバルブ1をバルブ全閉位置を通り越して開閉作動させる毎に、ハウジング5の内周突起6の内周面であるシールリングシート面7に堆積したデポジットが、シールリング3のシールリング摺動面4および両エッジ部にて、バタフライバルブ1の回転軌跡中のバルブ全閉位置近傍よりも外側に除去される。
【0052】
これによって、バルブ全閉位置において、シールリング3のシールリング摺動面4が密着するハウジング5の内周突起6のシールリングシート面7からデポジットが取り除かれるため、バタフライバルブ1およびシールリング3の固着が発生することはない。
そして、デポジット掻き落とし作動によってハウジング5のシールリングシート面7、つまりバタフライバルブ1を停止させるバルブ全閉位置近傍より掻き落とされたデポジットは、バタフライバルブ1およびシールリング3の回転軌跡よりも外側に位置するハウジング5の第1、第2流路壁面21、22上に堆積する。
【0053】
しかしながら、イグニッションスイッチをオフ(エンジンOFF)してから暫くの間は、エンジン温度およびエンジンルーム温度が外気温度程度まで低下しておらず、ハウジング5が未だ高温である。ここで、上述したように、バタフライバルブ1およびシールリング3の固着に影響を及ぼすデポジットは、比較的に温度が高い雰囲気中では、流動性を有することが知られている。したがって、デポジットが完全に硬化するまで、デポジット掻き落とし作動によって掻き落としたデポジットが流動して、バタフライバルブ1、シールリング3およびハウジング5のバルブ全閉位置近傍の流路壁面(シールリングシート面7)に再度付着する可能性がある。
【0054】
そこで、バタフライバルブ1、シールリング3およびシールリングシート面7へのデポジットの再付着を防止するという目的で、エンジン停止後またはエンジン冷間時にバタフライバルブ1をバルブ全閉位置にて停止させた時に、ハウジング5のシールリングシート面7の位置を、ハウジング5の第1、第2流路壁面21、22よりも高い位置に設定している。すなわち、内部をEGRガスが流れる排気ガス還流路10の流路壁面の一部に、ハウジング5のシールリングシート面7とハウジング5の第1、第2流路壁面21、22との間に適度な高低差を付けるための内周突起6および2つの第1、第2段差面31、32を設けている。
【0055】
このため、デポジット掻き落とし作動後にバタフライバルブ1をバルブ全閉位置にて停止させてから暫くの間、流動性を有するデポジットが、内周突起6のシールリングシート面7上、つまりシールリング摺動面4とシールリングシート面7との当接部近傍(バルブ全閉位置近傍)に侵入(流動)しようとしても、ハウジング5の内周突起6の両側面である2つの第1、第2段差面31、32に規制または塞き止められて、ハウジング5のシールリングシート面7上、つまりシールリング摺動面4とシールリングシート面7との当接部に侵入(流動)することはない。
【0056】
したがって、デポジットがハウジング5の第1、第2流路壁面21、22を伝って流動しようとしても、バタフライバルブ1、シールリング3およびシールリングシート面7に再度付着(再付着)することは無く、バタフライバルブ1およびシールリング3が固着化しない。これによって、エンジン始動後にバタフライバルブ1をバルブ駆動装置、特に電動モータ8の駆動力によって開弁作動させようとした場合に、バタフライバルブ1を円滑に開弁作動させることができる。これにより、バルブ駆動装置、特に電動モータ8の小型化および軽量化を図ることができるので、自動車等の車両のエンジンルームへの排気ガス再循環装置、バルブ開閉制御装置(電動モータ8等のバルブ駆動装置)の搭載性を改善できる。
【実施例2】
【0057】
図4は本発明の実施例2を示したもので、デポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した図である。
【0058】
本実施例のEGR制御弁は、バタフライバルブ1、シールリング3およびハウジング5等によって構成されている。ここで、電動モータ8を含むバルブ駆動装置およびECU9等によって構成されるバルブ開閉制御装置は、実施例1と同様に、エンジン停止時またはエンジン冷間時に、バタフライバルブ1を、エンジン停止後のバルブ停止位置であるバルブ全閉位置を通り越して1回以上開閉作動(所謂デポジット掻き落とし作動)させるように構成されている。これにより、ハウジング5の内周突起6の内周面であるシールリングシート面7に堆積したデポジットを、内周突起6のシールリングシート面7より掻き落とすことができる。
【0059】
ここで、実施例1では、デポジット掻き落とし作動時に、バタフライバルブ1を、バルブ全閉位置近傍に相当する所定の回転角度範囲(α°=35〜50°:バルブ全閉位置を中心にして±15〜25°程度)内で開閉作動させるようにしているが、本実施例では、バタフライバルブ1を、回転角度範囲(α°)よりも大きい回転角度範囲(β°=80〜100°:バルブ全閉位置(θ=0°)を中心にして±40〜50°程度)内で開閉作動させるようにしている。なお、本実施例の回転角度範囲をα°としても構わない。また、バタフライバルブ1を、バルブシャフト11の軸心を中心にして左回転方向に1/2α°(または1/2β°)だけ回転させた後に、バルブシャフト11の軸心を中心にしてそのバルブ位置からバルブ全閉位置を通り越して右回転方向に1/2α°(または1/2β°)だけ回転させて1回以上開閉作動させるようにしても良い。
【0060】
そして、本実施例では、ハウジング5の内周突起6の形状(幅)、つまり2つの第1、第2段差面31、32間の幅(B)について規定している。2つの第1、第2段差面31、32間の幅(B)は、地点Xと地点Yとの幅X−Yと同じか、あるいは幅X−Yよりもバルブ全閉位置側に狭くすることが望ましい。
ここで、地点Xとは、バタフライバルブ1をバルブ全閉位置からバルブシャフト11の軸心(中心軸線)を中心にして、例えば左回転方向に作動させて、バタフライバルブ1のシールリング溝2に嵌合保持されたシールリング3のシールリング摺動面4の頂点が、ハウジング5の内周突起6のシールリングシート面7と第2段差面32との交点より離れる地点である。また、地点Yとは、バタフライバルブ1をバルブ全閉位置からバルブシャフト11の軸心を中心にして、例えば右回転方向に作動させて、バタフライバルブ1のシールリング溝2に嵌合保持されたシールリング3のシールリング摺動面4の頂点が、ハウジング5の内周突起6のシールリングシート面7と第1段差面31との交点より離れる地点である。
【0061】
ここで、2つの第1、第2段差面31、32間の幅(B)について規定する理由は、2つの第1、第2段差面31、32間の幅(B)が、幅X−Yよりも大きい場合、エンジンの運転中に、ハウジング5のシールリングシート面7に付着した全てのデポジットを、上記のデポジット掻き落とし作動を実施しても、ハウジング5の第1、第2流路壁面21、22上に完全に移動(除去)させることができない。このため、ハウジング5のシールリングシート面7上に取り残されたデポジットが、硬化する前に流動して、バタフライバルブ1およびシールリング3に再度付着し、バタフライバルブ1およびシールリング3が固着化する恐れがある。
【0062】
この不具合に対して、本実施例のEGR制御弁においては、2つの第1、第2段差面31、32間の幅(B)を、地点Xと地点Yとの幅X−Yと同じか、あるいは幅X−Yよりもバルブ全閉位置側に狭くしているので、エンジンの運転中に、ハウジング5のシールリングシート面7に付着した全てのデポジットを、ハウジング5の第1、第2流路壁面21、22上に完全に移動(除去)させることができる。したがって、デポジットがハウジング5の第1、第2流路壁面21、22を伝って流動しようとしても、バタフライバルブ1、シールリング3およびハウジング5のシールリングシート面7に再度付着することは無く、バタフライバルブ1およびシールリング3が固着化しない。これによって、本実施例のバルブ開閉制御装置によってバタフライバルブ1のバルブ開度(バルブ位置)が可変制御されるEGR制御弁は、実施例1と同様な効果を達成することができる。
【実施例3】
【0063】
図5および図6は本発明の実施例3を示したもので、図5はデポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した図で、図6はエンジン運転時間に対するデポジットの厚さの変化を示したグラフである。
【0064】
本実施例では、ハウジング5の内周突起6の形状(高さ)、つまり2つの第1、第2段差面31、32の高さ(H)について規定している。2つの第1、第2段差面31、32の高さ(H)は、少なくとも3mm以上であることが望ましい。
ここで、2つの第1、第2段差面31、32の高さ(H)について規定する理由は、上記のデポジット掻き落とし作動を実施して、ハウジング5の内周突起6のシールリングシート面7から掻き落とされたデポジットが、ハウジング5の内周突起6の下部、つまりハウジング5の第1、第2流路壁面21、22上に堆積していく。
そして、2つの第1、第2段差面31、32の高さ(H)が3mm未満の場合には、掻き落とされたデポジットが、内周突起6のシールリングシート面7よりも高く、蓄積される可能性があるため、2つの第1、第2段差面31、32によるバタフライバルブ1およびシールリング3に対するデポジット付着防止効果が小さくなってしまう。
【0065】
これに対して、2つの第1、第2段差面31、32の高さ(H)が3mm以上の場合には、内周突起6のシールリングシート面7から掻き落とされて、ハウジング5の内周突起6の下部、つまりハウジング5の第1、第2流路壁面21、22上へと移動したデポジットは流動性があり、EGRガスの流れによって、さらに下流側(エンジンの吸気管側)へと移動するため、2つの第1、第2段差面近傍の第1、第2流路壁面21、22上で、3mm以上の高さになるまで滞留することは殆どない。これによって、本実施例のバルブ開閉制御装置によってバタフライバルブ1のバルブ開度(バルブ位置)が可変制御されるEGR制御弁は、実施例1と同様な効果を達成することができる。
【0066】
ここで、図6のグラフに示したように、エンジン運転時間とデポジット厚さとの関係を実験等によって調査した。この実験は、エンジンをアクセル開度0%で、30分間アイドル運転(エンジンON)し、その後エンジンの運転を停止(エンジンOFF)して2時間が経過した後にエンジンを再始動する。これを1サイクルとして14回繰り返して、各サイクル毎にデポジット厚さを図6のグラフに記した。
この図6のグラフからエンジン運転時間が長くなっても、デポジットの高さが3mmを超えないことが確認できる。この理由として、デポジットは流動性を有するため、より低い方へと均されてしまうと考えられる。したがって、2つの第1、第2段差面31、32の高さ(H)、つまりハウジング5の内周突起6の高さは、少なくとも3mm以上とすることが好ましい。
【実施例4】
【0067】
図7は本発明の実施例4を示したもので、デポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した図である。
【0068】
本実施例のEGR制御弁は、実施例2と同様に、ハウジング5の内周突起6の形状(幅)、つまり2つの第1、第2段差面31、32間の幅(B)を、地点Xと地点Yとの幅X−Yと同じか、あるいは幅X−Yよりもバルブ全閉位置側に狭くし、更に、実施例3と同様に、ハウジング5の内周突起6の形状(高さ)、つまり2つの第1、第2段差面31、32の高さ(H)を、少なくとも3mm以上に設定している。すなわち、本実施例の構成は、実施例2の構成に、実施例3の構成を組み合わせたものである。これによって、本実施例のバルブ開閉制御装置によってバタフライバルブ1のバルブ開度(バルブ位置)が可変制御されるEGR制御弁は、実施例2および実施例3と同様な効果を達成することができる。
【0069】
そして、本実施例のハウジング5の内周突起6には、シールリングシート面7と第1段差面31とが交差する交差点(内周突起6のEGRガスの流れ方向の上流側の第1角部)、およびシールリングシート面7と第2段差面32とが交差する交差点(内周突起6のEGRガスの流れ方向の下流側の第2角部)に、それぞれテーパー状の面取りが施されている。これらの第1、第2面取り部41、42は、バタフライバルブ1を閉弁作動する際に、バタフライバルブ1のシールリング溝2に嵌め込まれたシールリング3が、ハウジング5の内周突起6のシールリングシート面7上に乗り上げる時の抵抗力を低減することができる。なお、この場合には、シールリング3の両エッジ部を直角または鋭角にすることで、上記のデポジット掻き落とし作動によるデポジットの掻き落とし効果を向上することができる。
【0070】
また、本実施例では、例えば天地方向の天側に設けられる内周突起6の上層側部の幅よりも、天地方向の地側に設けられる内周突起6の下層側部の幅を狭くしている。これは、ハウジング5の流路壁面に堆積するデポジットが重力によって天地方向の地側に溜まり易いからである。このため、内周突起6の全周に渡って、2つの第1、第2段差面31、32間の幅(B)を、地点Xと地点Yとの幅X−Yと同じか、あるいは幅X−Yよりもバルブ全閉位置側に狭くしなくても、内周突起6の周方向に所定の間隔で、地点Xと地点Yとの幅X−Yと同じか、あるいは幅X−Yよりもバルブ全閉位置側に狭い2つの第1、第2段差面31、32間の幅(B)としても良い。
【実施例5】
【0071】
図8は本発明の実施例5を示したもので、デポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した図である。
【0072】
本実施例のハウジング5の内周突起6には、シールリングシート面7と第1段差面31とが交差する交差点(内周突起6のEGRガスの流れ方向の上流側の第1角部)、およびシールリングシート面7と第2段差面32とが交差する交差点(内周突起6のEGRガスの流れ方向の下流側の第2角部)に、それぞれR形状の面取りが施されている。これらの第1、第2面取り部(R面取り部)51、52は、実施例4と同様に、バタフライバルブ1を閉弁作動する際に、バタフライバルブ1のシールリング溝2に嵌め込まれたシールリング3が、ハウジング5の内周突起6のシールリングシート面7上に乗り上げる時の抵抗力を低減することができる。なお、この場合には、シールリング3の両エッジ部を直角または鋭角にすることで、上記のデポジット掻き落とし作動によるデポジットの掻き落とし効果を向上することができる。
【実施例6】
【0073】
図9は本発明の実施例6を示したもので、図9(a)はデポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した図で、図9(b)はエンジン停止後またはエンジン冷間時のデポジットの流動状態を示した図である。
【0074】
本実施例のハウジング5内の排気ガス還流路(流体流路)10は、エンジン停止後のバルブ停止位置であるバルブ全閉位置を屈曲点(頂点)とするヘの字状の屈曲流路となっている。また、ハウジング5の流路壁面の一部には、バタフライバルブ1の閉弁作動時にバタフライバルブ1のシールリング溝2に嵌め込まれたシールリング3のシールリング摺動面4が摺動接触するシールリングシート面7が形成されている。そして、シールリングシート面7は、このシールリングシート面7よりもEGRガスの流れ方向の上流側の第1流路壁面61および下流側の第2流路壁面62に対して高低差を付けるために、2つの第1、第2流路壁面61、62より天地方向の天側に突出した高い位置に設けられている。また、シールリングシート面7の一部(天側)は、シールリング3のシールリング摺動面4の回転軌跡に沿って湾曲した球面形状となっている。
【0075】
そして、シールリングシート面7よりも上流側の排気ガス還流路10、つまりハウジング5の第1流路壁面61は、シールリングシート面7から、シールリングシート面7よりもEGRガスの流れ方向の上流側に向けて天地方向に直交する水平方向に対して所定の傾斜角度(γ°)分だけ傾斜して真っ直ぐに延びる第1傾斜流路、つまり第1傾斜面を形成している。また、シールリングシート面7よりも下流側の排気ガス還流路10、つまりハウジング5の第2流路壁面62は、シールリングシート面7から、シールリングシート面7よりもEGRガスの流れ方向の下流側(エンジンの吸気管側)に向けて天地方向に直交する水平方向に対して所定の傾斜角度(γ°)分だけ傾斜して真っ直ぐに延びる第2傾斜流路、つまり第2傾斜面を形成している。
【0076】
ここで、電動モータ8を含むバルブ駆動装置およびECU9等によって構成されるバルブ開閉制御装置は、図9(a)に示したように、実施例1と同様に、エンジン停止時またはエンジン冷間時に、バタフライバルブ1を、バルブ全閉位置を通り越して1回以上開閉作動(所謂デポジット掻き落とし作動)させるように構成されている。これによって、ハウジング5の内周突起6の内周面であるシールリングシート面7に堆積したデポジットを、内周突起6のシールリングシート面7より掻き落とすことができる。これにより、シールリング3のシールリング摺動面4の回転軌跡よりも外側にデポジットを除去することができる。
【0077】
そして、バタフライバルブ1をバルブ全閉位置にて停止させた後、ハウジング5の第1、第2流路壁面61、62上に除去されて、未だ流動性を有するデポジットが、ハウジング5のシールリングシート面7上、つまりバルブ全閉位置側に流動しようとしても、図9(b)に示すように、デポジットは低い方へ流動していくため、バタフライバルブ1、シールリング3およびハウジング5のシールリングシート面7に再度付着することは無く、バタフライバルブ1およびシールリング3が固着化しない。これによって、本実施例のバルブ開閉制御装置によってバタフライバルブ1のバルブ開度(バルブ位置)が可変制御されるEGR制御弁は、実施例1と同様な効果を達成することができる。なお、ハウジング5の2つの第1、第2流路壁面61、62の傾斜角度γ°が大きい程、バタフライバルブ1およびシールリング3へのデポジット付着防止効果が大きくなる。
【0078】
[変形例]
本実施例では、エンジンの燃焼室より排気系統に流出した流体(排気ガス)中に含まれる不純物(デポジット)が、EGR制御弁の構成部品であるバタフライバルブ1、シールリング3およびハウジング5のバルブ全閉位置近傍(シールリングシート面7)に再度付着するのを阻止して、バタフライバルブ1またはシールリング3の固着化を防止しているが、エンジンの燃焼室より吸気系統に逆流した流体(未燃焼ガス)中に含まれる不純物(デポジット)が、流体制御弁の構成部品であるバタフライバルブ、シールリングおよびハウジングのバルブ全閉位置近傍(当接面)に再度付着するのを阻止して、バタフライバルブまたはシールリングの固着化を防止するようにしても良い。この場合には、吸入空気等の流体の流れ方向の上流側がエアフィルタ側となり、流体の流れ方向の下流側がエンジンの吸気ポート側や燃焼室側となる。なお、シールリングは設けなくても良い。
【0079】
本実施例では、ハウジング5の内部に直接バタフライバルブ1を開閉自在に収容しているが、ハウジング5の内周に円筒状のライナー(ノズル)または円筒状のバルブシートを嵌合保持し、更にライナー(ノズル)の内部またはバルブシートの内部にバタフライバルブ1を開閉自在に収容しても良い。また、本実施例では、ハウジングを、排気ガス還流管の途中に接続したハウジング5によって構成しているが、ハウジングを、吸気管の一部および排気管の一部を成すハウジングによって構成しても良い。また、本実施例では、エンジンの運転状態に対応してEGRガスの排気ガス還流量(EGR量)を可変制御するEGR制御弁のバタフライバルブ1を、バルブシャフト11の軸線方向の先端側に例えば溶接等の固定手段を用いて保持固定しているが、そのバタフライバルブ1を、バルブシャフト11の軸線方向の先端側に締結用ネジや固定用ボルト等のスクリューを用いて締め付け固定しても良い。
【0080】
本実施例では、EGR制御弁のバタフライバルブ1を開弁駆動または閉弁駆動するバルブ駆動装置を、電動モータ8と例えば歯車減速機構等の動力伝達機構とを備えた電動式アクチュエータによって構成したが、バタフライバルブを開弁駆動または閉弁駆動するバルブ駆動装置を、電磁式または電動式負圧制御弁を備えた負圧作動式アクチュエータや、電磁式流体制御弁等の電磁式アクチュエータによって構成しても良い。なお、EGR制御弁のバタフライバルブ1を閉弁方向または開弁方向に付勢するスプリング等のバルブ付勢手段を設置しなくても良い。また、ハウジングとバタフライバルブとを備えた流体流量制御弁として、本実施例のEGR制御弁の代わりに、エンジンの燃焼室内に吸入される吸入空気量を制御するスロットルバルブ等の吸気制御弁、エンジンの燃焼室内より排出される排気ガス量を制御する排気制御弁、スロットルバルブをバイパスする吸入空気量を制御するアイドル回転速度制御弁等に適用しても良い。
【0081】
本実施例では、本発明のバルブ開閉制御装置を、EGRガス(高温流体)等の流体の流量を制御する内燃機関用流量制御装置(排気ガス再循環装置)に適用しているが、このような内燃機関用流量制御装置に限定する必要はない。すなわち、ハウジングとバタフライバルブとを備えた流体制御弁として、本実施例の流体流量制御弁の代わりに、流体流路開閉弁、流体流路切替弁、流体圧力制御弁に適用しても良い。また、本発明の流体制御弁を、タンブル流制御弁やスワール流制御弁等の吸気流制御弁、吸気通路の通路長や通路断面積を変更する吸気可変弁等に適用しても良い。また、エンジンとして、ガソリンエンジンを用いても良い。
【0082】
本実施例では、不純物(デポジット)掻き落とし作動によって掻き落としたデポジットをEGRガス流速の影響やハウジング5の流路壁面の傾斜角度(水平方向に対する傾斜角度)等で流動させて、バタフライバルブ1、シールリング3またはシールリングシート面7のうちのいずれか1つ以上への再付着を防止している。また、ハウジング5の内周突起6の2つの第1、第2段差面31、32に、ハウジング5のシールリングシート面(当接面)7よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に向けて開口した凹部を設けて、掻き落としたデポジットを凹部内に滞留させても良い。なお、凹部内に蓄積されたデポジットは、EGRガス流速の影響やハウジング5の流路壁面の傾斜等で流動させる。なお、実施例1〜実施例5に記載の排気ガス還流路10は、天地方向に対して直交する水平方向に真っ直ぐに延びるように形成されているが、実施例1〜実施例5に記載の排気ガス還流路10を水平方向に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して真っ直ぐに延びるように形成しても良い。
【0083】
本実施例では、ハウジング5の流路壁面の一部に、バタフライバルブ1の閉弁作動時にバタフライバルブ1のシールリング溝2に嵌め込まれたシールリング3のシールリング摺動面4が摺動接触するシールリングシート面7を設けているが、シールリング溝2およびシールリング3を廃止して、ハウジング5の流路壁面の一部に、バタフライバルブ1の閉弁作動時にバタフライバルブ1の外周端面等の摺動面が摺動接触する当接面を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】EGR制御弁を示した断面図である(実施例1)。
【図2】(a)はEGR制御弁を示した断面図で、(b)は排気ガス再循環装置を示した概略構成図である(実施例1)。
【図3】(a)はデポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した説明図で、(b)はエンジン停止後またはエンジン冷間時のデポジットの流動状態を示した説明図である(実施例1)。
【図4】デポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した説明図である(実施例2)。
【図5】デポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した説明図である(実施例3)。
【図6】エンジン運転時間に対するデポジットの厚さの変化を示したグラフである(実施例3)。
【図7】デポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した説明図である(実施例4)。
【図8】デポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した説明図である(実施例5)。
【図9】(a)はデポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した説明図で、(b)はエンジン停止後またはエンジン冷間時のデポジットの流動状態を示した説明図である(実施例6)。
【図10】(a)はデポジット掻き落とし作動時のバタフライバルブの開閉動作を示した説明図で、(b)はエンジン停止後またはエンジン冷間時のデポジットの流動状態を示した説明図である(従来の技術)。
【符号の説明】
【0085】
1 バタフライバルブ(EGR制御弁の弁体、バルブ)
2 バタフライバルブのシールリング溝(環状溝)
3 シールリング(バルブリング)
4 シールリングのシールリング摺動面(バルブリングの摺動面)
5 ハウジング(排気ガス還流管)
6 ハウジングの内周突起
7 ハウジングのシールリングシート面(ハウジングの当接面)
8 電動モータ(バルブ開閉制御装置、バルブ駆動装置)
9 ECU(バルブ開閉制御装置、エンジン制御ユニット)
10 ハウジング内の排気ガス還流路(流体流路、直線流路、屈曲流路)
11 バタフライバルブのバルブシャフト(バルブ軸、軸部)
21 ハウジングの第1流路壁面
22 ハウジングの第2流路壁面
31 ハウジングの第1段差面
32 ハウジングの第2段差面
41 内周突起の第1面取り部
42 内周突起の第2面取り部
51 内周突起の第1面取り部
52 内周突起の第2面取り部
61 ハウジングの第1流路壁面
62 ハウジングの第2流路壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの燃焼室に連通する流体流路を形成するハウジングと、
前記流体流路内に開閉自在に収容されたバタフライバルブと
を備え、
前記バタフライバルブの閉弁作動時に、前記バタフライバルブを、エンジン停止後のバルブ停止位置であるバルブ全閉位置を通り越して1回以上開閉動作させるバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングは、前記バルブ全閉位置近傍の流路壁面が、前記バタフライバルブの閉弁作動時に、前記バタフライバルブの摺動面が摺動接触する当接面として利用されており、
前記ハウジングの当接面は、この当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側の流路壁面に対して前記流体流路の中心軸線側に突出した高い位置、あるいは天地方向の天側に突出した高い位置に設けられていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングの当接面は、前記バタフライバルブの回転軌跡に沿って湾曲していることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記流体流路は、前記バルブ全閉位置を屈曲点とする屈曲流路を有し、
前記屈曲流路は、前記ハウジングの当接面から、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に向けて天地方向に直交する水平方向に対して所定の傾斜角度分だけ傾斜していることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記流体流路は、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側から、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の下流側に向けて真っ直ぐに延びる直線流路を有し、
前記直線流路の流路壁面の一部には、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に環状の段差面が設けられていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングの段差面は、前記バタフライバルブの摺動面と前記ハウジングの当接面との摺動接触が開始される接点の位置、あるいはその接点の位置よりも前記バルブ全閉位置側に設けられていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングの段差面の高さをHとしたとき、
H≧3mmの関係を満足していることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載のバルブ開閉制御装置において、 前記ハウジングの当接面と前記ハウジングの段差面とが交差する交差部には、面取りが施されていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項8】
請求項4ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載のバルブ開閉制御装置において、 前記ハウジングの段差面には、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に向けて開口した凹部が設けられていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項9】
エンジンの燃焼室に連通する流体流路を形成するハウジングと、
前記流体流路内に開閉自在に収容されて、外周に環状溝が形成されたバタフライバルブと、
前記環状溝内に装着されて、前記ハウジングと前記バタフライバルブとの間の隙間をシールするバルブリングと
を備え、
前記バタフライバルブの閉弁作動時に、前記バタフライバルブを、エンジン停止後のバルブ停止位置であるバルブ全閉位置を通り越して1回以上開閉動作させるバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングは、前記バルブ全閉位置近傍の流路壁面が、前記バタフライバルブの閉弁作動時に、前記バルブリングの摺動面が摺動接触する当接面として利用されており、
前記ハウジングの当接面は、この当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側の流路壁面に対して前記流体流路の中心軸線側に突出した高い位置、あるいは天地方向の天側に突出した高い位置に設けられていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングの当接面は、前記バルブリングの回転軌跡に沿って湾曲していることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記流体流路は、前記バルブ全閉位置を屈曲点とする屈曲流路を有し、
前記屈曲流路は、前記ハウジングの当接面から、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に向けて天地方向に直交する水平方向に対して所定の傾斜角度分だけ傾斜していることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記流体流路は、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側から、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の下流側に向けて真っ直ぐに延びる直線流路を有し、
前記直線流路の流路壁面の一部には、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に環状の段差面が設けられていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングの段差面は、前記バルブリングの摺動面と前記ハウジングの当接面との摺動接触が開始される接点の位置、あるいはその接点の位置よりも前記バルブ全閉位置側に設けられていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載のバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングの段差面の高さをHとしたとき、
H≧3mmの関係を満足していることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項15】
請求項12ないし請求項14のうちのいずれか1つに記載のバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングの当接面と前記ハウジングの段差面とが交差する交差部には、面取りが施されていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。
【請求項16】
請求項12ないし請求項15のうちのいずれか1つに記載のバルブ開閉制御装置において、
前記ハウジングの段差面には、前記ハウジングの当接面よりも流体の流れ方向の上流側または下流側に向けて開口した凹部が設けられていることを特徴とするバルブ開閉制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−231826(P2007−231826A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54335(P2006−54335)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】