説明

パターン形成材料、パターン形成方法、及びパターン

【課題】高感度及び高解像度で、剥離性及びテント性が良好であり、且つ、現像残渣がなく、エッチング性も良好で、しかもエッジフュージョン(端面融着)の発生がないパターン形成材料、前記パターン形成材料を用いたパターン形成方法、前記パターン形成方法により形成されるパターンを提供する。
【解決手段】支持体と、前記支持体上に積層した感光層とを有するパターン形成材料において、
前記感光層が、バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、及びベンゾトリアゾール系化合物を含む感光性組成物からなり、
前記バインダーの質量平均分子量が40,000〜200,000であり、
前記感光層に対し、露光し現像する際に、前記感光層の厚みを露光及び現像の前後で変化させない光の最小エネルギーが0.1〜20mJ/cmであることを特徴とするパターン形成材料等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライフィルムレジスト(DFR)等に好適なパターン形成材料、前記パターン形成材料を用いたパターン形成方法、及び前記パターン形成方法により形成されるパターンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線パターンなどのパターンを形成するに際して、支持体上に感光性組成物を塗布及び乾燥することにより感光層を形成させたパターン形成材料が用いられている。
前記パターンの製造方法としては、例えば、前記パターンが形成される銅張積層板等の基体上に、前記パターン形成材料を積層させて積層体を形成し、前記積層体における前記感光層に対して露光を行い、前記露光後、前記感光層を現像してパターンを形成させ、その後エッチング処理等を行うことにより前記パターンが形成される。
【0003】
前記パターン形成材料としては、例えば、単官能モノマーを用いる提案がされており、これにより、現像残渣防止及び剥離性についての効果を有する旨が記載されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
また、直径4mm以上の比較的大きなスルーホールを有する基板上に感光層を積層させてパターンを形成するには、前記感光層の膜強度(テント性)を向上させる必要がある。
ここで、テント性を向上させるには、バインダーの分子量を大きくすればよく、これにより、厚み30μm程度の薄膜の感光層であっても、前記4φ以上のスルーホールを有する基板で使用可能な程度の良好なテント性を得ることができ、且つ、感度の向上を図ることもできる。
しかし、分子量の大きいバインダーを用いた場合、基板への感光層積層後、現像するまでに3〜4日以上の期間があると、現像により基板界面に残渣が発生し、エッチング性が悪くなる問題がある。
【0005】
一方、ベンゾトリアゾール系化合物を感光性組成物に添加することにより、密着性の向上、現像残渣の減少、めっきもぐりの防止などを図る提案がされている(特許文献3〜8参照)。
しかし、これらの提案においては、テント性の向上を目的として分子量の大きいバインダーを用いた場合に、残渣が発生する問題については言及されておらず、その場合にエッチング性が悪くなる問題についても触れられていない。また、前記提案では感度についても不十分なことがあった。
【0006】
したがって、分子量の大きいバインダーとベンゾトリアゾール系化合物とを組み合わせることにより、高感度及び高解像度で、剥離性及びテント性が良好であり、且つ、現像残渣がなく、エッチング性も良好で、しかもエッジフュージョン(端面融着)の発生がないパターン形成材料、前記パターン形成材料を用いたパターン形成方法、前記パターン形成方法により形成されるパターンは未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特公昭50−9177号公報
【特許文献2】特開昭57−148392号公報
【特許文献3】特開昭61−166541号公報
【特許文献4】特開昭61−198146号公報
【特許文献5】特開昭62−262043号公報
【特許文献6】特開昭63−24243号公報
【特許文献7】特開平1−287556号公報
【特許文献8】特公平5−28827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、分子量の大きいバインダーとベンゾトリアゾール系化合物とを組み合わせることにより、高感度及び高解像度で、剥離性及びテント性が良好であり、且つ、現像残渣がなく、エッチング性も良好で、しかもエッジフュージョン(端面融着)の発生がないパターン形成材料、前記パターン形成材料を用いたパターン形成方法、前記パターン形成方法により形成されるパターンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、前記支持体上に積層した感光層とを有するパターン形成材料において、
前記感光層が、バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、及びベンゾトリアゾール系化合物を含む感光性組成物からなり、
前記バインダーの質量平均分子量が40,000〜200,000であり、
前記感光層に対し、露光し現像する際に、前記感光層の厚みを露光及び現像の前後で変化させない光の最小エネルギーが0.1〜20mJ/cmであることを特徴とするパターン形成材料である。
<2> ベンゾトリアゾール系化合物が、下記構造式(I)で表される前記<1>に記載のパターン形成材料である。
【化3】

ただし、前記構造式(I)中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、及び下記構造式(II)で表される基のいずれかを表す。
【化4】

ただし、前記構造式(II)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。mは1〜3の整数を表す。
<3> 構造式(I)で表されるベンゾトリアゾール系化合物が、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾール、3−メチル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、3−エチル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、及び3−へキシル−5−カルボキシベンゾトリアゾールから選択される少なくともいずれかである前記<2>に記載のパターン形成材料である。
<4> ベンゾトリアゾール系化合物の含有量が、0.001〜1質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
【0010】
<5> バインダーの質量平均分子量が、40,000以上150,000未満である前記<1>から<4>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<6> バインダーが共重合体を含み、前記共重合体が、スチレン及びスチレン誘導体の少なくともいずれかに由来する構造単位を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<7> バインダーのガラス転移温度が、80℃以上である前記<1>から<6>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<8> バインダーが、酸性基を有する前記<1>から<7>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<9> バインダーが、ビニル共重合体を含む前記<1>から<8>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
【0011】
<10> ベンゾトリアゾール系化合物とバインダーとの含有量比が、ベンゾトリアゾール系化合物:バインダー=1:10,000〜1:100である前記<1>から<9>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
【0012】
<11> 重合性化合物が、ウレタン基及びアリール基の少なくともいずれかを有する化合物を含む前記<1>から<10>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<12> 重合性化合物が、エチレンオキサイド基及びプロピレンオキサイド基の少なくともいずれかを有するモノマーを含む前記<11>に記載のパターン形成材料である。
<13> 光重合開始剤が、ハロゲン化炭化水素誘導体、ホスフィンオキサイド、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、芳香族オニウム塩、及びケトオキシムエーテルから選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<12>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<14>感光性組成物が、更に酸を含む前記<1>から<13>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
【0013】
<15> 支持体が、合成樹脂を含み、且つ、透明である前記<1>から<14>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<16> 支持体が、長尺状である前記<1>から<15>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<17> 長尺状であり、ロール状に巻かれてなる前記<1>から<16>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<18> パターン形成材料における感光層上に保護フィルムを有する前記<1>から<17>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
<19> 基板のパターニング処理に用いられ、前記基板が、直径4mm以上のスルーホールを有する前記<1>から<18>に記載のパターン形成材料である。
<20> 感光層の厚みが1〜100μmである前記<1>から<19>のいずれかに記載のパターン形成材料である。
【0014】
<21> 前記<1>から<20>のいずれかに記載のパターン形成材料における感光層を備えており、
光を照射可能な光照射手段と、前記光照射手段からの光を変調し、前記感光層に対して露光を行う光変調手段とを少なくとも有することを特徴とするパターン形成装置である。前記<21>に記載のパターン形成装置においては、前記光照射手段が、前記光変調手段に向けて光を照射する。前記光変調手段が、前記光照射手段から受けた光を変調する。前記光変調手段により変調した光が前記感光層に対して露光させる。例えば、その後、前記感光層を現像すると、高精細なパターンが形成される。
<22> 光変調手段が、形成するパターン情報に基づいて制御信号を生成するパターン信号生成手段を更に有してなり、光照射手段から照射される光を前記パターン信号生成手段が生成した制御信号に応じて変調させる前記<21>に記載のパターン形成装置である。前記<22>に記載のパターン形成装置においては、前記光変調手段が前記パターン信号生成手段を有することにより、前記光照射手段から照射される光が前記パターン信号生成手段により生成した制御信号に応じて変調される。
<23> 光変調手段が、n個の描素部を有してなり、前記n個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の前記描素部を、形成するパターン情報に応じて制御可能である前記<21>から<22>のいずれかに記載のパターン形成装置である。前記<23>に記載のパターン形成装置においては、前記光変調手段におけるn個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の描素部をパターン情報に応じて制御することにより、前記光照射手段からの光が高速で変調される。
<24> 光変調手段が、空間光変調素子である前記<21>から<23>のいずれかに記載のパターン形成装置である。
<25> 空間光変調素子が、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である前記<24>に記載のパターン形成装置である。
<26> 描素部が、マイクロミラーである前記<23>から<25>のいずれかに記載のパターン形成装置である。
<27> 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である前記<21>から<26>のいずれかに記載のパターン形成装置である。前記<27>に記載のパターン形成装置においては、前記光照射手段が2以上の光を合成して照射可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光によって行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像すると、極めて高精細なパターンが形成される。
<28> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、前記複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザ光を集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを有する前記<21>から<27>のいずれかに記載のパターン形成装置である。前記<28>に記載のパターン形成装置においては、前記光照射手段が、前記複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザ光が前記集合光学系により集光され、前記マルチモード光ファイバに結合可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像すると、極めて高精細なパターンが形成される。
【0015】
<29> 前記<1>から<20>のいずれかに記載のパターン形成材料における感光層に対し、露光を行うことを少なくとも含むことを特徴とするパターン形成方法である。
<30> 前記<1>から<20>のいずれかに記載のパターン形成材料における感光層を、加熱及び加圧の少なくともいずれかの下において基材の表面に積層した後、前記感光層に対して露光を行う前記<29>に記載のパターン形成方法である。
<31> 露光が、350〜415nmの波長のレーザ光を用いて行われる前記<29>から<30>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<32> 露光が、形成するパターン情報に基づいて像様に行われる前記<29>から<31>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【0016】
<33> 感光層に対し、光照射手段、及び前記光照射手段からの光を受光し出射するn個(ただし、nは2以上の自然数)の2次元状に配列された描素部を有し、パターン情報に応じて前記描素部を制御可能な光変調手段を備えた露光ヘッドであって、前記露光ヘッドの走査方向に対し、前記描素部の列方向が所定の設定傾斜角度θをなすように配置された露光ヘッドを用い、
前記露光ヘッドについて、使用描素部指定手段により、使用可能な前記描素部のうち、N重露光(ただし、Nは2以上の自然数)に使用する前記描素部を指定し、
前記露光ヘッドについて、描素部制御手段により、前記使用描素部指定手段により指定された前記描素部のみが露光に関与するように、前記描素部の制御を行い、
前記感光層に対し、前記露光ヘッドを走査方向に相対的に移動させて行われる前記<29>から<32>のいずれかに記載のパターン形成方法である。前記<33>に記載のパターン形成方法においては、前記露光ヘッドについて、使用描素部指定手段により、使用可能な前記描素部のうち、N重露光(ただし、Nは2以上の自然数)に使用する前記描素部が指定され、描素部制御手段により、前記使用描素部指定手段により指定された前記描素部のみが露光に関与するように、前記描素部が制御される。前記露光ヘッドを、前記感光層に対し走査方向に相対的に移動させて露光が行われることにより、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが均される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<34> 露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部を指定する前記<33>に記載のパターン形成方法である。前記<34>に記載のパターン形成方法においては、露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部が指定されることにより、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上のヘッド間つなぎ領域に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが均される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<35> 露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域以外の領域におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部を指定する前記<34>に記載のパターン形成方法である。前記<35>に記載のパターン形成方法においては、露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域以外におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部が指定されることにより、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上のヘッド間つなぎ領域以外に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが均される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<36> 設定傾斜角度θが、N重露光数のN、描素部の列方向の個数s、前記描素部の列方向の間隔p、及び露光ヘッドを傾斜させた状態において前記露光ヘッドの走査方向と直交する方向に沿った描素部の列方向のピッチδに対し、次式、spsinθideal≧Nδを満たすθidealに対し、θ≧θidealの関係を満たすように設定される前記<33>から<35>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<37> N重露光のNが、3以上の自然数である前記<33>から<36>のいずれかに記載のパターン形成方法である。前記<37>に記載のパターン形成方法においては、N重露光のNが、3以上の自然数であることにより、多重描画が行われる。この結果、埋め合わせの効果により、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが、より精密に均される。
【0017】
<38> 使用描素部指定手段が、
描素部により生成されて被露光面上の露光領域を構成する描素単位としての光点位置を、被露光面上において検出する光点位置検出手段と、
前記光点位置検出手段による検出結果に基づき、N重露光を実現するために使用する描素部を選択する描素部選択手段と
を備える前記<33>から<37>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<39> 使用描素部指定手段が、N重露光を実現するために使用する使用描素部を、行単位で指定する前記<33>から<38>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【0018】
<40>光点位置検出手段が、検出した少なくとも2つの光点位置に基づき、露光ヘッドを傾斜させた状態における被露光面上の光点の列方向と前記露光ヘッドの走査方向とがなす実傾斜角度θ´を特定し、描素部選択手段が、前記実傾斜角度θ´と設定傾斜角度θとの誤差を吸収するように使用描素部を選択する前記<38>から<39>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<41> 実傾斜角度θ´が、露光ヘッドを傾斜させた状態における被露光面上の光点の列方向と前記露光ヘッドの走査方向とがなす複数の実傾斜角度の平均値、中央値、最大値、及び最小値のいずれかである前記<40>に記載のパターン形成方法である。
<42> 描素部選択手段が、実傾斜角度θ´に基づき、ttanθ´=N(ただし、NはN重露光数のNを表す)の関係を満たすtに近い自然数Tを導出し、m行(ただし、mは2以上の自然数を表す)配列された描素部における1行目から前記T行目の前記描素部を、使用描素部として選択する前記<38>から<41>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<43> 描素部選択手段が、実傾斜角度θ´に基づき、ttanθ´=N(ただし、NはN重露光数のNを表す)の関係を満たすtに近い自然数Tを導出し、m行(ただし、mは2以上の自然数を表す)配列された描素部における、(T+1)行目からm行目の前記描素部を、不使用描素部として特定し、前記不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する前記<38>から<41>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【0019】
<44> 描素部選択手段が、複数の描素部列により形成される被露光面上の重複露光領域を少なくとも含む領域において、
(1)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積が最小となるように、使用描素部を選択する手段、
(2)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の描素単位数と、露光不足となる領域の描素単位数とが等しくなるように、使用描素部を選択する手段、
(3)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の面積が最小となり、且つ、露光不足となる領域が生じないように、使用描素部を選択する手段、及び
(4)理想的なN重露光に対し、露光不足となる領域の面積が最小となり、且つ、露光過多となる領域が生じないように、使用描素部を選択する手段
のいずれかである前記<38>から<43>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<45> 描素部選択手段が、複数の露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域において、
(1)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積が最小となるように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、前記不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、
(2)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の描素単位数と、露光不足となる領域の描素単位数とが等しくなるように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、前記不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、
(3)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の面積が最小となり、且つ、露光不足となる領域が生じないように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、前記不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、及び、
(4)理想的なN重露光に対し、露光不足となる領域の面積が最小となり、且つ、露光過多となる領域が生じないように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、前記不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、
のいずれかである前記<38>から<44>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<46> 不使用描素部が、行単位で特定される前記<45>に記載のパターン形成方法である。
【0020】
<47> 使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、(N−1)列毎の描素部列を構成する前記描素部のみを使用して参照露光を行う前記<33>から<46>のいずれかに記載のパターン形成方法である。前記<47>に記載のパターン形成方法においては、使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、(N−1)列毎の描素部列を構成する前記描素部のみを使用して参照露光が行われ、略1重描画の単純なパターンが得られる。この結果、前記ヘッド間つなぎ領域における前記描素部が容易に指定される。
<48> 使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、1/N行毎の描素部行を構成する前記描素部のみを使用して参照露光を行う前記<33>から<47>のいずれかに記載のパターン形成方法である。前記<48>に記載のパターン形成方法においては、使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、1/N行毎の描素部列を構成する前記描素部のみを使用して参照露光が行われ、略1重描画の単純なパターンが得られる。この結果、前記ヘッド間つなぎ領域における前記描素部が容易に指定される。
【0021】
<49> 使用描素部指定手段が、光点位置検出手段としてスリット及び光検出器、並びに描素部選択手段として前記光検出器と接続された演算装置を有する前記<33>から<48>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<50> N重露光のNが、3以上7以下の自然数である前記<33>から<49>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<51> パターン情報が表すパターンの所定部分の寸法が、指定された使用描素部により実現できる対応部分の寸法と一致するように前記パターン情報を変換する前記<33>から<50>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【0022】
<52> 露光が行われた後、感光層の現像を行う前記<29>から<51>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<53> 現像が行われた後、エッチング処理及びメッキ処理の少なくともいずれかを行う前記<52>に記載のパターン形成方法である。
【0023】
<54> 前記<29>から<53>のいずれかに記載のパターン形成方法により形成されることを特徴とするパターンである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、分子量の大きいバインダーとベンゾトリアゾール系化合物とを組み合わせることにより、高感度及び高解像度で、剥離性及びテント性が良好であり、且つ、現像残渣がなく、エッチング性も良好で、しかもエッジフュージョン(端面融着)の発生がないパターン形成材料、前記パターン形成材料を用いたパターン形成方法、前記パターン形成方法により形成されるパターンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(パターン形成材料)
本発明のパターン形成材料は、支持体と、前記支持体上に、バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、及びベンゾトリアゾール系化合物を含む感光性組成物からなる感光層を有し、保護フィルム、適宜選択したその他の層を有していてもよい。
【0026】
<感光層>
前記感光層は、バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、及びベンゾトリアゾール系化合物を含む感光性組成物からなる。前記感光性組成物は、必要に応じて適宜選択したその他の成分を含んでいてもよい。
また、前記感光層を露光し現像する場合において、前記感光層の厚みを露光及び現像の前後で変化させない光の最小エネルギーは、0.1〜20mJ/cmであり、0.5〜15mJ/cmが好ましく、1〜12mJ/cmがより好ましく、2〜10mJ/cmが特に好ましい。
前記最小エネルギーが、0.1mJ/cm未満であると、処理工程にてカブリが発生することがあり、20mJ/cmを超えると、露光に必要な時間が長くなり、処理スピードが遅くなることがある。
【0027】
ここで、「前記感光層の厚みを露光及び現像の前後で変化させない光の最小エネルギー」とは、いわゆる現像感度であり、例えば、前記感光層を露光したときの前記露光に用いた光のエネルギー量(露光量)と、前記露光に続く前記現像処理により生成した前記硬化層の厚みとの関係を示すグラフ(感度曲線)から求めることができる。
前記硬化層の厚みは、前記露光量が増えるに従い増加していき、その後、前記露光前の前記感光層の厚みと略同一、且つ、略一定となる。前記現像感度は、前記硬化層の厚みが略一定となったときの最小露光量を読み取ることにより求められる値である。
ここで、露光後の前記硬化層の厚みと、露光前の前記感光層の厚みとの差が±1μm以内であるとき、前記感光層の厚みが露光及び現像により変化していないとみなす。
前記感光層の厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚測定装置、表面粗さ測定機(例えば、サーフコム1400D(東京精密社製))などを用いて測定する方法が挙げられる。
【0028】
〔ベンズトリアゾール系化合物〕
前記ベンズトリアゾール系化合物は、経時の現像残渣の発生を防ぎ、エッチング性を良くする観点から用いられる。
前記ベンズトリアゾール系化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(I)で表される化合物が挙げられる。
【化5】

ただし、前記構造式(I)中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、及び下記構造式で表される基のいずれかを表す。
【化6】

ただし、前記構造式(II)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを表し、mは1〜3の整数を表す。
【0029】
前記構造式(I)で表される化合物としては、例えば、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾール、3−メチル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、3−エチル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、3−へキシル−5−カルボキシベンゾトリアゾールなどが好適に挙げられる。
【0030】
前記ベンズトリアゾール系化合物の固形分中の含有量は、0.001〜1質量%が好ましく、0.005〜0.1質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.001質量%未満であると、現像残渣が発生しやすいことがあり、0.1質量%を超えると、現像時に細線パターンが剥離しやすいことがある。
【0031】
〔バインダー〕
前記バインダーとしては、質量平均分子量が40,000〜200,000である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。質量平均分子量は、40,000以上150,000未満が好ましく、40,000〜120,000がより好ましい。前記質量平均分子量が、40,000未満であると、4φ以上のスルーホールを有する基板を用いた場合に、テント性が保持できなくなり、200,000を超えると、現像性が悪化し、解像度も低下する。
また、前記バインダーが共重合体を含み、前記共重合体が、スチレン及びスチレン誘導体の少なくともいずれかに由来する構造単位を有することが好ましい。
【0032】
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基が好ましい。
カルボキシル基を有するバインダーとしては、例えば、カルボキシル基を有するビニル共重合体、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂、カルボキシル基を有するポリアミド酸樹脂、カルボキシル基を有する変性エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中でも、塗布溶媒への溶解性、アルカリ現像液への溶解性、合成適性、膜物性の調整の容易さ等の観点からカルボキシル基を有するビニル共重合体が好ましい。
【0033】
前記カルボキシル基を有するビニル共重合体は、少なくとも(1)カルボキシル基を有するビニルモノマー、及び(2)これらと共重合可能なモノマーを共重合させることにより得ることができる。
前記カルボキシル基を有するビニル共重合体としては、例えば、特開2005−258431号公報の段落番号〔0164〕〜〔0205〕に記載の化合物が挙げられる。
【0034】
前記バインダーがガラス転移温度を有する物質である場合、前記ガラス転移温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記パターン形成材料のタック、エッジフュージョン、及び前記支持体の剥離性の少なくともいずれかの観点から、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、115℃以上が特に好ましい。
前記ガラス転移温度が80℃未満となると、前記パターン形成材料のタックが増加したり、前記支持体の剥離性が悪化したりすることがある。
【0035】
前記感光性組成物における前記バインダーの含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%が特に好ましい。前記含有量が10質量%未満であると、アルカリ現像性やプリント配線板形成用基板(例えば、銅張積層板)との密着性が低下することがあり、90質量%を超えると、現像時間に対する安定性や、硬化膜(テント膜)の強度が低下することがある。なお、前記含有量は、前記バインダーと必要に応じて併用される高分子結合剤との合計の含有量であってもよい。
【0036】
前記バインダーの酸価(酸性基の含有量)は、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、100〜250mgKOH/gが好ましく、120〜220mgKOH/gがより好ましく、150〜220mgKOH/gが特に好ましい。
前記酸価が、100mgKOH/g未満であると、現像性が不足したり、解像性が劣り、配線パターン等の永久パターンを高精細に得ることができないことがあり、250mgKOH/gを超えると、パターンの耐現像液性及び密着性の少なくともいずれかが悪化し、解像度及びテント性が劣り、配線パターン等の永久パターンを高精細に得ることができないことがある。
【0037】
前記ベンゾトリアゾール系化合物とバインダーとの含有量比は、質量比で、ベンゾトリアゾール系化合物:バインダー=1:10,000〜1:100が好ましく、1:10,000〜1:250がより好ましい。前記含有量比が、1:10,000を下回ると、現像残渣が発生しやすいことがあり、1:100を上回ると、現像時に細線パターンが剥離しやすいことがある。
【0038】
〔重合性化合物〕
前記感光性組成物における前記重合性化合物としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ウレタン基及びアリール基の少なくともいずれかを有するモノマー又はオリゴマーが好適に挙げられる。また、これらは、重合性基を2種以上有することが好ましい。
【0039】
前記重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和結合(例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニルエステルやビニルエーテル等のビニル基、アリルエーテルやアリルエステル等のアリル基など)、重合可能な環状エーテル基(例えば、エポキシ基、オキセタン基等)などが挙げられ、これらの中でもエチレン性不飽和結合が好ましい。
【0040】
前記ウレタン基を有するモノマーとしては、ウレタン基を有する限り、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2005−258431号公報の段落番号〔0210〕〜〔0262〕に記載されている化合物などが挙げられる。
【0041】
前記アリール基を有するモノマーとしては、アリール基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アリール基を有する多価アルコール化合物、多価アミン化合物及び多価アミノアルコール化合物の少なくともいずれかと不飽和カルボン酸とのエステル又はアミドなどが挙げられる。
具体的には、例えば、特開2005−258431号公報の段落番号〔0264〕〜〔0271〕に記載されている化合物などが挙げられる。
【0042】
前記感光性組成物中には、前記感光性組成物を用いて形成する感光層の特性を悪化させない範囲で、前記ウレタン基を含有するモノマー、アリール基を有するモノマー以外の重合性モノマーを併用してもよい。
【0043】
前記ウレタン基を含有するモノマー、芳香環を含有するモノマー以外の重合性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミドなどが挙げられる。
具体的には、例えば、特開2005−258431号公報の段落番号〔0273〕〜〔0284〕に記載されている化合物などが挙げられる。
【0044】
前記感光性組成物固形分における重合性化合物の含有量は、例えば、5〜90質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
前記含有量が、5質量%未満となると、テント膜の強度が低下することがあり、90質量%を超えると、前記パターン形成材料の保存時のエッジフュージョン(ロール端部からのしみだし故障)が悪化することがある。
また、重合性化合物中に前記重合性基を2個以上有する多官能モノマーの含有量は、5〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、40〜100質量%が特に好ましい。
【0045】
〔光重合開始剤〕
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光励起された前記増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成するラジカル発生剤、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤等を含んでいてもよい。
【0046】
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの等)、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、メタロセン類などが挙げられる。これらの中でも、感光層の感度、保存性、及び感光層とプリント配線板形成用基板との密着性等の観点から、トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素、オキシム誘導体、ケトン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物が好ましい。
具体的には、例えば、特開2005−258431号公報の段落番号〔0288〕〜〔0309〕に記載されている化合物などが挙げられる。
【0047】
前記光重合開始剤の含有量は、前記感光性組成物中0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、0.5〜15質量%が特に好ましい。
【0048】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、発色剤、着色剤、酸などが挙げられ、更に基体表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、顔料、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、表面張力調整剤、連鎖移動剤等)を併用してもよい。
具体的には、例えば、特開2005−258431号公報の段落番号〔0312〕〜〔0336〕に記載されている化合物が挙げられる。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とするパターン形成材料の安定性、写真性、焼きだし性、膜物性等の性質を調整することができる。
【0049】
特に、酸を加えると、焼き出し性が良化するため、好ましい。酸としては、これらに限定されないが、シュウ酸、あるいはR(COOH)(ただし、Rは直鎖状のアルキル基)で表されるものが好ましい。
酸の添加量は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、0.01〜1質量%であることが好ましい。
【0050】
前記感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜100μmが好ましく、2〜50μmがより好ましく、4〜30μmが特に好ましい。また、前記感光層の積層数は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
【0051】
<支持体及び保護フィルム>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、且つ、光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。
【0052】
前記支持体は、合成樹脂製で、且つ、透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2〜150μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、8〜50μmが特に好ましい。
【0054】
前記支持体の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長尺状が好ましい。前記長尺状の支持体の長さは、特に制限はなく、例えば、10m〜20000mの長さのものが挙げられる。
【0055】
前記パターン形成材料は、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、上述のような接着力の関係を満たすことができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
【0056】
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数は、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
【0057】
前記パターン形成材料は、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されることが好ましい。前記長尺状のパターン形成材料の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られることが好ましい。また、前記ロール状のパターン形成材料をシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーターを設置することが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いる事が好ましい。前記セパレーターとしては、防湿性のもの、乾燥剤入りのものが特に好ましい。
【0058】
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。前記下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。前記乾燥における温度は50〜120℃が特に好ましい。
【0059】
<その他の層>
前記パターン形成材料におけるその他の層としては、例えば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、酸素遮断層(PC層)、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層などの層を有してもよい。これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。また、前記感光層上に保護フィルムを有していてもよい。
【0060】
−クッション層−
前記クッション層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性であってもよく、不溶性であってもよい。
【0061】
前記クッション層がアルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性である場合には、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体などが挙げられる。
【0062】
この場合の熱可塑性樹脂の軟化点(Vicat)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、80℃以下が好ましい。
前記軟化点が80℃以下の熱可塑性樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂の他、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による軟化点が約80℃以下の有機高分子の内、アルカリ性液に可溶なものが挙げられる。また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質においても、前記有機高分子物質中に前記有機高分子物質と相溶性のある各種の可塑剤を添加して実質的な軟化点を80℃以下に下げることも可能である。
【0063】
また、前記クッション層がアルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性である場合には、前記パターン形成材料の層間接着力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、各層の層間接着力の中で、前記支持体と前記クッション層との間の層間接着力が、最も小さいことが好ましい。このような層間接着力とすることにより、前記積層体から前記支持体のみを剥離し、前記クッション層を介して前記感光層を露光した後、アルカリ性の現像液を用いて前記感光層を現像することができる。また、前記支持体を残したまま、前記感光層を露光した後、前記積層体から前記支持体のみを剥離し、アルカリ性の現像液を用いて前記感光層を現像することもできる。
【0064】
前記層間接着力の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記熱可塑性樹脂中に公知のポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤などを添加する方法が挙げられる。
【0065】
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等のアルコール類やエステル類;トルエンスルホンアミド等のアミド類、などが挙げられる。
【0066】
前記クッション層がアルカリ性液に対して不溶性である場合には、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、主成分がエチレンを必須の共重合成分とする共重合体が挙げられる。
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などが挙げられる。
【0067】
前記クッション層がアルカリ性液に対して不溶性である場合には、前記パターン形成材料の層間接着力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、各層の層間接着力の中で、前記感光層と前記クッション層との接着力が、最も小さいことが好ましい。このような層間接着力とすることにより、前記積層体から前記支持体及びクッション層を剥離し、前記感光層を露光した後、アルカリ性の現像液を用いて前記感光層を現像することができる。また、前記支持体を残したまま、前記感光層を露光した後、前記積層体から前記支持体と前記クッション層を剥離し、アルカリ性の現像液を用いて前記感光層を現像することもできる。
【0068】
前記層間接着力の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記熱可塑性樹脂中に各種のポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤などを添加する方法、以下に説明するエチレン共重合比を調整する方法などが挙げられる。
【0069】
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体におけるエチレン共重合比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、60〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましく、65〜80質量%が特に好ましい。
前記エチレンの共重合比が、60質量%未満になると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が高くなり、前記クッション層と前記感光層との界面で剥離することが困難となることがあり、90質量%を超えると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が小さくなりすぎるため、前記クッション層と前記感光層との間で非常に剥離しやすく、前記クッション層を含むパターン形成材料の製造が困難となることがある。
【0070】
前記クッション層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜50μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、15〜40μmが特に好ましい。
前記厚みが、5μm未満になると、基体の表面における凹凸や、気泡等への凹凸追従性が低下し、高精細な永久パターンを形成できないことがあり、50μmを超えると、製造上の乾燥負荷増大等の不具合が生じることがある。
【0071】
−酸素遮断層(PC層)−
前記酸素遮断層は、通常ポリビニルアルコールを主成分として形成されることが好ましく、厚みが0.5〜5μm程度の被膜であることが好ましい。
【0072】
〔パターン形成材料の製造方法〕
前記パターン形成材料は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前記感光性組成物に含まれる材料を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて、パターン形成材料用の感光性組成物溶液を調製する。
【0073】
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0074】
次に、前記支持体上に前記感光性組成物溶液を塗布し、乾燥させて感光層を形成し、パターン形成材料を製造することができる。
【0075】
前記感光性組成物溶液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、スリットコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ナイフコート法等の各種の塗布方法が挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0076】
<感光性積層体の形成>
前記パターン形成材料は、パターン形成時に、前記保護フィルムを剥がし、基体上に感光層を積層し、感光性積層体を形成する。
【0077】
−基体−
前記基体は、本発明のパターン形成材料の少なくとも感光層が転写される被転写体となり、パターニング処理がされるもので、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できる。板状の基体が好ましく、いわゆる基板が使用される。具体的には、公知のプリント配線板製造用の基板、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
前記基板の中でも、直径4mm以上のスルーホールを有する基板を用いることが好ましく、直径4〜8mmのスルーホールを有する基板を用いることがより好ましい。本発明の前記パターン形成材料における感光層は、スルーホールの径が大きくなっても、テント膜の破れがなく、且つ、現像残渣がなく、エッチング性も良好であることから、前記直径4mm以上のスルーホールを有する基板を用いた場合に、従来の感光性組成物よりなる感光層に比して、より顕著な効果を奏することができる。
【0078】
〔感光性積層体の製造方法〕
前記感光性積層体の製造方法として、第1の態様として、前記感光性組成物を前記基体の表面に塗布し乾燥する方法が挙げられ、第2の態様として、本発明のパターン形成材料における少なくとも感光層を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら転写して積層する方法が挙げられる。
【0079】
前記第1の態様の感光性積層体の製造方法は、前記基体上に、前記感光性組成物を塗布及び乾燥して感光層を形成する。
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基体の表面に、前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、前記溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
【0080】
前記感光性組成物溶液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記パターン形成材料に用いたものと同じ溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0081】
前記塗布方法及び乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記パターン形成材料に用いたものと同じ方法及び条件で行う。
【0082】
前記第2の態様の感光性積層体の製造方法は、前記基体の表面に本発明のパターン形成材料を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層する。なお、前記パターン形成材料が前記保護フィルムを有する場合には、前記保護フィルムを剥離し、前記基体に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15〜180℃が好ましく、60〜140℃がより好ましい。
前記加圧の圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜1.0MPaが好ましく、0.2〜0.8MPaがより好ましい。
【0083】
前記加熱の少なくともいずれかを行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラミネーター(例えば、MODEL8B−720−PH、大成ラミネーター(株)製)などが好適に挙げられる。
【0084】
本発明のパターン形成材料は、高感度及び高解像度で、剥離性及びテント性が良好であり、且つ、現像残渣がなく、エッチング性も良好で、しかもエッジフュージョン(端面融着)の発生がなく、配線パターン等のパターンを高精細に、且つ、効率よく形成可能であるため、各種パターンの形成、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁等の液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフの製造などに好適に用いることができ、特に本発明のパターン形成装置及びパターン形成方法に好適に用いることができる。
【0085】
(パターン形成装置及びパターン形成方法)
本発明のパターン形成装置は、本発明の前記パターン形成材料を備えており、光照射手段と光変調手段とを少なくとも有する。
【0086】
本発明のパターン形成方法は、露光工程を少なくとも含み、適宜選択した現像工程等のその他の工程を含む。
なお、本発明の前記パターン形成装置は、本発明の前記パターン形成方法の説明を通じて明らかにする。
【0087】
[露光工程]
前記露光工程は、本発明のパターン形成材料における前記感光層に対し、露光を行う工程である。
前記露光工程は、画像データに基づいて光を変調しながら相対走査して露光することで2次元画像の形成を行なうマスクレスのパターン露光方式(以下、「デジタル露光」と称することがある。)を利用した露光工程を中心に説明する。
【0088】
デジタル露光は、2次元状に並んだ空間光変調デバイスを用い、画像データに基づいて光を変調しながら相対走査することで2次元画像の形成を行なう露光方法である。
【0089】
より具体的には、露光光を透過させない又は弱めて透過させる材質で画像(露光パターン;以下、パターンともいう。)が形成された「マスク」と呼ばれる物体を露光光の光路に配置し、感光性の層を前記画像に対応したパターン状に露光する従来のマスク露光方式(以下、「アナログ露光」と称することもある。)に対して、前記「マスク」を用いずに感光性の層をパターン状に露光する露光方式のことである。
【0090】
前記デジタル露光では、光源として超高圧水銀灯や、レーザが用いられる。
前記超高圧水銀灯とは、石英ガラスチューブなどに水銀を封入した放電灯であり水銀の蒸気圧を高く設定して発光効率を高めたものであり、点灯時の水銀の蒸気圧はおよそ5MPaになるものもある(W.Elenbaas:Light Sources、Philips Technical Library 148-150)。輝線スペクトルのうち、405nm±40nmの単一露光波長が用いられ、h線(405nm)が主として用いることができる。
【0091】
レーザは反転分布を持った物質中で起きる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器及び増幅器、励起媒質として結晶、ガラス、液体、色素、気体などあり、これらの媒質から固体レーザ(YAGレーザ)、液体レーザ、気体レーザ(アルゴンレーザ、He−Neレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ)、半導体レーザなどの公知のレーザを前記波長領域において用いることができる。
【0092】
前記半導体レーザは、搬送子の注入、電子ビームによる励起、衝突によるイオン化、光励起などによって電子と正孔とが接合部に流出する時、pn接合で可干渉光を誘導放出するような発光ダイオードを用いるレーザである。この放出される可干渉光の波長は、半導体化合物によって決まる。前記レーザの波長は、405nm±40nmの単一露光波長である。
【0093】
本発明における単一露光波長とは、レーザによる場合は主波長のことをさし、超高圧水銀灯による場合は405nm以外の輝線をNDフイルターなどで365nmや405nmより大きい波長をカットして主波長を1波長のみにしたものをいう。
【0094】
前記露光方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、これらの中でもレーザを用いたデジタル露光が好ましい。
【0095】
前記デジタル露光の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2005−258431号公報に記載されている、光を照射する光照射手段、形成するパターン情報に基づいて前記光照射手段から照射される光を変調させる光変調手段などが挙げられる。
【0096】
前記デジタル露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、形成するパターン形成情報に基づいて制御信号を生成し、前記制御信号に応じて変調させた光を用いて行うことが好ましく、例えば、前記感光層に対し、光照射手段、及び前記光照射手段からの光を受光し出射するn個(ただし、nは2以上の自然数)の2次元状に配列された描素部を有し、パターン情報に応じて前記描素部を制御可能な光変調手段を備えた露光ヘッドであって、前記露光ヘッドの走査方向に対し、前記描素部の列方向が所定の設定傾斜角度θをなすように配置された露光ヘッドを用い、前記露光ヘッドについて、使用描素部指定手段により、使用可能な前記描素部のうち、N重露光(ただし、Nは2以上の自然数)に使用する前記描素部を指定し、前記露光ヘッドについて、描素部制御手段により、前記使用描素部指定手段により指定された前記描素部のみが露光に関与するように、前記描素部の制御を行い、前記感光層に対し、前記露光ヘッドを走査方向に相対的に移動させて行う方法が好ましい。
【0097】
本発明において「N重露光」とは、前記感光層の被露光面上の露光領域の略すべての領域において、前記露光ヘッドの走査方向に平行な直線が、前記被露光面上に照射されたN本の光点列(画素列)と交わるような設定による露光を指す。ここで、「光点列(画素列)」とは、前記描素部により生成された描素単位としての光点(画素)の並びうち、前記露光ヘッドの走査方向となす角度がより小さい方向の並びを指すものとする。なお、前記描素部の配置は、必ずしも矩形格子状でなくてもよく、たとえば平行四辺形状の配置等であってもよい。
ここで、露光領域の「略すべての領域」と述べたのは、各描素部の両側縁部では、描素部列を傾斜させたことにより、前記露光ヘッドの走査方向に平行な直線と交わる使用描素部の描素部列の数が減るため、かかる場合に複数の露光ヘッドをつなぎ合わせるように使用したとしても、前記露光ヘッドの取付角度や配置等の誤差により、走査方向に平行な直線と交わる使用描素部の描素部列の数がわずかに増減することがあるため、また、各使用描素部の描素部列間のつなぎの、解像度分以下のごくわずかな部分では、取付角度や描素部配置等の誤差により、走査方向と直交する方向に沿った描素部のピッチが他の部分の描素部のピッチと厳密に一致せず、走査方向に平行な直線と交わる使用描素部の描素部列の数が±1の範囲で増減することがあるためである。なお、以下の説明では、Nが2以上の自然数であるN重露光を総称して「多重露光」という。
前記N重露光のNとしては、2以上の自然数であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3以上20以下の自然数が好ましく、3以上7以下の自然数がより好ましい。
【0098】
本発明におけるレーザの波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、感光性組成物の露光時間の短縮を図る目的から、330〜650nmが好ましく、365〜445nmがより好ましく、395〜415nmが特に好ましい。
【0099】
レーザのビーム径は、特に限定されないが、中でも、濃色離隔壁の解像度の観点から、ガウシアンビームの1/e2値で5〜30μmが好ましく、7〜20μmがより好ましい。
レーザビームのエネルギー量としては、特に限定されないが、中でも、露光時間と解像度の観点から、1〜100mJ/cm2が好ましく、5〜20mJ/cm2がより好ましい。
【0100】
本発明ではレーザ光を画像データに応じて空間光変調することが好ましい。この目的のため、特開2005−258431号公報に記載されている空間光変調素子であるデジタルマイクロデバイス(DMD)を用いることがより好ましい。
【0101】
このような露光装置としては、特に制限はないが、例えば、レーザダイレクトイメージング装置「INPREX IP−3000(富士フイルム製)」を用いることができる。
【0102】
[その他の工程]
前記その他の工程としては、特に制限はなく、公知のパターン形成における工程の中から適宜選択することが挙げられるが、例えば、現像工程、エッチング工程、メッキ工程、及び硬化処理工程などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記現像工程は、前記露光工程により前記感光層を露光し、前記感光層の露光した領域を硬化させた後、未硬化領域を除去することにより現像し、パターンを形成する工程である。
【0103】
−現像工程−
前記現像工程は、例えば、現像手段により好適に実施することができる。
前記現像手段としては、現像液を用いて現像することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記現像液を噴霧する手段、前記現像液を塗布する手段、前記現像液に浸漬させる手段などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記現像手段は、前記現像液を交換する現像液交換手段、前記現像液を供給する現像液供給手段などを有していてもよい。
【0104】
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ性液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。前記弱アルカリ性液の塩基成分としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂などが挙げられる。
【0105】
前記弱アルカリ性の水溶液のpHとしては、例えば、約8〜12が好ましく、約9〜11がより好ましい。前記弱アルカリ性の水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液などが挙げられる。
前記現像液の温度としては、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができ、例えば、約25℃〜40℃が好ましい。
【0106】
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
【0107】
−エッチング工程−
前記エッチング工程としては、公知のエッチング処理方法の中から適宜選択した方法により行うことができる。
前記エッチング処理に用いられるエッチング液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記金属層が銅で形成されている場合には、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液などが挙げられ、これらの中でも、エッチングファクターの点から塩化第二鉄溶液が好ましい。また、公知のサンドブラスト法を用いることができる。
前記エッチング工程によりエッチング処理した後に前記パターンを除去することにより、前記基体の表面に配線パターン(回路)を形成することができる。
【0108】
−メッキ工程−
前記メッキ工程としては、公知のメッキ処理の中から適宜選択した方法により行うことができる。
前記メッキ処理としては、例えば、硫酸銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等の銅メッキ、ハイスローはんだメッキ等のはんだメッキ、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)メッキ、スルファミン酸ニッケル等のニッケルメッキ、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなど処理が挙げられる。
前記メッキ工程によりメッキ処理した後に前記パターンを除去することにより、また更に必要に応じて不要部をレジスト剥離処理等で除去することにより、前記基体の表面に金属配線パターン(回路)を形成することができる。
【0109】
〔プリント配線板の製造方法〕
本発明の前記パターン形成方法は、プリント配線板の製造、特にスルーホール又はビアホールなどのホール部を有するプリント配線板の製造に好適に使用することができる。以下、本発明のパターン形成方法を利用したプリント配線板の製造方法の一例について説明する。
【0110】
スルーホール又はビアホールなどのホール部を有するプリント配線板の製造方法としては、(1)前記基体としてホール部を有するプリント配線板形成用基板上に、前記パターン形成材料を、その感光層が前記基体側となる位置関係にて積層して積層体を形成し、(2)前記積層体の前記基体とは反対の側から、所望の領域に光照射行い感光層を硬化させ、(3)前記積層体から前記パターン形成材料における支持体を除去し、(4)前記積層体における感光層を現像して、前記積層体中の未硬化部分を除去することによりパターンを形成することができる。
【0111】
なお、前記(3)における前記支持体の除去は、前記(2)と前記(4)との間で行う代わりに、前記(1)と前記(2)との間で行ってもよい。
【0112】
その後、プリント配線板を得るには、前記形成したパターンを用いて、前記プリント配線板形成用基板をエッチング処理又はメッキ処理する方法(例えば、公知のサブトラクティブ法又はアディティブ法(例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法))により処理すればよい。これらの中でも、工業的に有利なテンティングでプリント配線板を形成するためには、前記サブトラクティブ法が好ましい。前記処理後プリント配線板形成用基板に残存する硬化樹脂は剥離させ、また、前記セミアディティブ法の場合は、剥離後更に銅薄膜部をエッチングすることにより、所望のプリント配線板を製造することができる。また、多層プリント配線板も、前記プリント配線板の製造法と同様に製造が可能である。
【0113】
次に、前記パターン形成材料を用いたスルーホールを有するプリント配線板の製造方法について、更に説明する。
【0114】
まずスルーホールを有し、表面が金属メッキ層で覆われたプリント配線板形成用基板を用意する。前記プリント配線板形成用基板としては、例えば、銅張積層基板及びガラス−エポキシなどの絶縁基体に銅メッキ層を形成した基板又はこれらの基板に層間絶縁膜を積層し、銅メッキ層を形成した基板(積層基板)を用いることができる。
【0115】
次に、前記パターン形成材料上に保護フィルムを有する場合には、前記保護フィルムを剥離して、前記パターン形成材料における感光層が前記プリント配線板形成用基板の表面に接するようにして加圧ローラを用いて圧着する(積層工程)。これにより、前記プリント配線板形成用基板と前記積層体とをこの順に有する積層体が得られる。
前記パターン形成材料の積層温度としては、特に制限はなく、例えば、室温(15〜30℃)又は加熱下(30〜180℃)が挙げられ、これらの中でも、加温下(60〜140℃)が好ましい。
前記圧着ロールのロール圧としては、特に制限はなく、例えば、0.1〜1MPaが好ましい。
前記圧着の速度としては、特に制限はなく、1〜3m/分が好ましい。また、前記プリント配線板形成用基板を予備加熱しておいてもよく、また、減圧下で積層してもよい。
【0116】
前記積層体の形成は、前記プリント配線板形成用基板上に前記パターン形成材料を積層してもよく、また、前記パターン形成材料製造用の感光性組成物溶液などを前記プリント配線板形成用基板の表面に直接塗布し、乾燥させることにより前記プリント配線板形成用基板上に感光層及び支持体を積層してもよい。
【0117】
次に、前記積層体の基体とは反対側の面から、光を照射して感光層を硬化させる。なお、この際、必要に応じて(例えば、支持体の光透過性が不十分な場合など)前記支持体を剥離してから露光を行ってもよい。
【0118】
この時点で、前記支持体を未だ剥離していない場合には、前記積層体から前記支持体を剥離する(剥離工程)。
【0119】
次に、前記プリント配線板形成用基板上の感光層の未硬化領域を、適当な現像液にて溶解除去して、配線パターン形成用の硬化層とスルーホールの金属層保護用硬化層のパターンを形成し、前記プリント配線板形成用基板の表面に金属層を露出させる(現像工程)。
【0120】
また、現像後に必要に応じて後加熱処理や後露光処理によって、硬化部の硬化反応を更に促進させる処理をおこなってもよい。現像は上記のようなウエット現像法であってもよく、ドライ現像法であってもよい。
【0121】
次いで、前記プリント配線板形成用基板の表面に露出した金属層をエッチング液で溶解除去する(エッチング工程)。スルーホールの開口部は、硬化樹脂組成物(テント膜)で覆われているので、エッチング液がスルーホール内に入り込んでスルーホール内の金属メッキを腐食することなく、スルーホールの金属メッキは所定の形状で残ることになる。これより、前記プリント配線板形成用基板に配線パターンが形成される。
【0122】
前記エッチング液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記金属層が銅で形成されている場合には、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液などが挙げられ、これらの中でも、エッチングファクターの点から塩化第二鉄溶液が好ましい。
【0123】
次に、強アルカリ水溶液などにて前記硬化層を剥離片として、前記プリント配線板形成用基板から除去する(硬化物除去工程)。
前記強アルカリ水溶液における塩基成分としては、特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記強アルカリ水溶液のpHとしては、例えば、約12〜14が好ましく、約13〜14がより好ましい。
前記強アルカリ水溶液としては、特に制限はなく、例えば、1〜10質量%の水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。
【0124】
また、プリント配線板は、多層構成のプリント配線板であってもよい。なお、前記パターン形成材料は上記のエッチングプロセスのみでなく、メッキプロセスに使用してもよい。前記メッキ法としては、例えば、硫酸銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等の銅メッキ、ハイフローはんだメッキ等のはんだメッキ、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)メッキ、スルファミン酸ニッケル等のニッケルメッキ、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなどが挙げられる。
【0125】
本発明のパターン形成装置及びパターン形成方法は、本発明の前記パターン形成材料を用いているため、各種パターンの形成、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁等の液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフの製造などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0126】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
前記支持体として16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、16FB50)に、下記の組成からなる感光性組成物溶液を塗布し乾燥させて、30μm厚の感光層を形成し、前記パターン形成材料を製造した。
【0127】
[感光性組成物溶液の組成]
・メタクリル酸/メチルメタクリレート/2エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:96,000、Tg:73℃)・・・30質量部
・下記構造式で表される重合性モノマー・・・7.0質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネートとテトラエチレンオキシドモノメタアクリレートの1/2モル比付加物・・・7.0質量部
・NBCA(黒金化成(株)製)・・・0.11質量部
・2,2−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール・・・2.17質量部
・2−メルカプトベンズイミダゾール・・・0.23質量部
・5−カルボキシベンゾトリアゾール(城北化学社製、CBT−1)・・・0.02質量部
・マラカイトグリーンシュウ酸塩・・・0.02質量部
・ロイコクリスタルバイオレット・・・0.26質量部
・メチルエチルケトン・・・40質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール・・・20質量部
【0128】
【化7】

ただし、前記構造式中、m+nは、10を表す。
【0129】
前記パターン形成材料の感光層の上に、前記保護フィルムとして20μm厚のポリエチレンフィルムを積層した。次に、前記基体として、表面を研磨、水洗、乾燥した銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μm)の表面に、前記パターン形成材料の保護フィルムを剥がしながら、前記パターン形成材料の感光層が前記銅張積層板に接するようにしてラミネーター(MODEL8B−720−PH、大成ラミネーター(株)製)を用いて圧着させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された感光性積層体を調製した。
圧着条件は、圧着ロール温度105℃、圧着ロール圧力0.3MPa、ラミネート速度1m/分とした。
前記製造した前記感光性積層体について、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。また、前記パターン形成材料について、エッジフュージョン発生の有無を評価した。結果を表1に示す。
【0130】
<現像性>
前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の前記感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を0.15MPaの圧力にてスプレーし、炭酸ナトリウム水溶液のスプレー開始から銅張積層板上の感光層が溶解除去されるまでに要した時間を測定し、これを最短現像時間とした。この最短現像時間が短い程、現像性に優れる。
【0131】
<感度>
前記感光性積層体におけるパターン形成材料の感光層に対し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)側から、前記光照射手段としての405nmのレーザ光源を有するパターン形成装置(富士フイルム社製、INPREX IP−3000)を用いて、0.1mJ/cmから21/2倍間隔で100mJ/cmまでの光エネルギー量の異なる光を照射して露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、炭酸ナトリウム水溶液(30℃、1質量%)をスプレー圧0.15MPaにて前記現像性の評価で求めた最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化の領域を溶解除去して、残った硬化領域の厚みを測定した。
次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得る。
こうして得た感度曲線から硬化領域の厚さが15μmとなった時の光エネルギー量を、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量とした。なお、前記パターン形成装置は、前記DMDからなる光変調手段を有し、前記パターン形成材料を備えている。
【0132】
<解像度>
前記現像性の評価と同じ方法及び条件で前記感光性積層体を作成し、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置した。得られた積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記パターン形成装置を用いて、ライン/スペース=1/1でライン幅5〜20μmまで1μm刻みで各線幅の露光を行い、ライン幅20〜50μmまで5μm刻みで各線幅の露光を行った。この際の露光量は、前記パターン形成材料の感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取った。
銅張積層板上の感光層の全面に、前記現像液として炭酸ナトリウム水溶液(30℃、1質量%)をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化領域を溶解除去した。
この様にして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、硬化樹脂パターンのラインにツマリ、ヨレ等の異常のない最小のライン幅を測定し、これを解像度とした。前記解像度は数値が小さいほど良好である。
【0133】
<密着性>
前記現像性の評価と同じ方法及び条件で前記感光性積層体を作製し、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置した。得られた積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記パターン形成装置を用いて、ライン/スペース=1/5でライン幅5〜100μmまで5μm刻みで各線幅の露光を行った。
この際の露光量は、前記パターン形成材料の感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、前記積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取った。
銅張積層板上の感光層の全面に、前記現像液として炭酸ナトリウム水溶液(30℃、1質量%)をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化領域を溶解除去した。
この様にして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、硬化樹脂パターンのラインにヨレ等の異常のない最小のライン幅を測定し、これを密着性とした。前記密着性は数値が小さいほど良好である。
【0134】
<エッチング性>
前記感光性積層体を露光前の状態で、暗所にて(遮光して)5日経過後に、前記パターン形成装置を用い、前記解像度の評価におけるのと同様な方法により露光及び現像し、作製したものを用いて、前記積層体における露出した銅張積層板の表面に、塩化鉄エッチャント(塩化第二鉄含有エッチング溶液、40°ボーメ、液温40℃)を0.25MPaで、36秒スプレーして、硬化層で覆われていない露出した領域の銅層を溶解除去することによりエッチング処理を行った。次いで、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーすることにより前記形成したパターンを除去して、表面に前記永久パターンとして銅層の配線パターンを備えたプリント配線板を調製した。前記プリント配線基板上の配線パターンを光学顕微鏡で観察し、前記配線パターンの最小のライン幅を測定した。この最小ライン幅が小さいほど高精細な配線パターンが得られ、エッチング性に優れていることを意味する。
【0135】
<現像残渣の有無>
前記エッチング後における、未露光部の非画素部の銅残り(現像残渣)を、目視にて以下の評価基準により評価した。
−評価基準−
○・・・銅残りなし
△・・・若干銅残りがあるが使用に支障はない
×・・・銅残りあり
【0136】
<テント性>
前記感光性積層体における銅張積層板を、直径4mmのスルーホールを200個有する銅張積層板に代えた以外は、前記感光性積層体と同様にしてテント性評価用の感光性積層体を調製し、室温(23℃、相対湿度55%)の条件下で10分間放置した。
次に、前記調製した感光性積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記パターン形成装置を用いて、前記感光性積層体における感光層の全面に露光を行った。
この際の露光量は、前記パターン形成材料の感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取った。前記銅張積層板上の前記感光層の全面に、前記現像液として炭酸ナトリウム水溶液(30℃、1質量%)をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2倍の時間スプレーした。
この様にして得られた前記銅張積層板におけるスルーホール開口部上に形成された硬化層(テント膜)の剥がれや破れ等の欠陥の有無を顕微鏡で観察し、欠陥の発生率をカウントした。
【0137】
<剥離性>
前記解像度の測定において形成したパターンを有する感光性積層体を用いて、前記感光性積層体を、3%水酸化ナトリウム水溶液(液温50℃)中に浸漬し、硬化層を剥離した。その時の剥離に要する時間を測定した。この時間が小さいほど剥離性に優れていることを意味する。
【0138】
<エッジフュージョンの発生の有無>
前記パターン形成材料を510mm幅にスリットし、外形83mmφ、長さ550mmのABS樹脂製の巻き芯に前記パターン形成材料が略中心になるように、16kg/mのテンションで90m巻きつけた。このようにしてロール状にした前記パターン形成材料を、遮光下、温度25℃、湿度65%の環境下で保管した。
ロール端面からの感光層成分の染み出しによる光沢の発生を観察し、以下の評価基準により評価を行った。
−評価基準−
○・・・60日経過後、光沢なし(60日間は、エッジフュージョンの発生なし)
△・・・30日経過後、光沢なし(30日間は、エッジフュージョンの発生なし)
×・・・30日経過後、光沢あり(30日間で、エッジフュージョンが発生)
【0139】
<エッジラフネス>
前記パターン形成装置を用いて、前記露光ヘッドの走査方向と直交する方向の横線パターンが形成されるように露光を行った以外は、前記解像度の測定と同様にしてパターンを形成した。得られたパターンのうち、ライン幅30μmのラインの任意の5箇所について、レーザ顕微鏡(VK−9500、キーエンス(株)製;対物レンズ50倍)を用いて観察し、視野内のエッジ位置のうち、最も膨らんだ箇所(山頂部)と、最もくびれた箇所(谷底部)との差を絶対値として求め、観察した5箇所の平均値を算出し、これをエッジラフネスとした。前記エッジラフネスは、値が小さい程、良好な性能を示すため好ましい。
【0140】
<焼き出し性>
前記感光性積層体におけるパターン形成材料の感光層に対し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)側から、前記光照射手段としての405nmのレーザ光源を有するパターン形成装置(富士フイルム社製、INPREX IP−3000)を用いて、光エネルギー量10mJ/cmの光を照射して露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。室温にて10分間静置した後、視認性を以下の評価基準により評価した。
−評価基準−
◎・・・焼き出しが十分。露光部と未露光部の濃度差が十分に見られる。
○・・・視認は可能。十分ではないが、露光部と未露光部の濃度差は認知できる。
×・・・視認不可。
【0141】
(実施例2)
実施例1において、CBT−1を、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾールに変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0142】
(実施例3)
実施例1において、CBT−1を、N(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾールに変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0143】
(実施例4)
実施例1において、CBT−1を、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾールに変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0144】
(実施例5)
実施例1において、CBT−1を、4−カルボキシベンゾトリアゾールに変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0145】
(実施例6)
実施例1において、CBT−1を、3−メチル−5−カルボキシベンゾトリアゾールに変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0146】
(実施例7)
実施例1において、CBT−1を、3−エチル−5−カルボキシベンゾトリアゾールに変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0147】
(実施例8)
実施例1において、CBT−1を、3−へキシル−5−カルボキシベンゾトリアゾールに変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0148】
(実施例9)
実施例1において、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:96,000、Tg:73℃)を、スチレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合体組成(質量比):52/19/29、質量平均分子量:60,000、Tg:127℃)に変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0149】
(実施例10)
実施例1において、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:96,000、Tg:73℃)を、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:40,000、Tg:73℃)に変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0150】
(実施例11)
実施例1において、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:96,000、Tg:73℃)を、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:120,000、Tg:73℃)に変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0151】
(実施例12)
実施例1において、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:96,000、Tg:73℃)を、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:150,000、Tg:73℃)に変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0152】
(実施例13)
実施例1において、CBT−1の添加量を、0.06質量部(感光性組成物固形分中0.13質量%)とした以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0153】
(実施例14)
実施例1において、CBT−1の添加量を、0.002質量部(感光性組成物固形分中0.004質量%)とした以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0154】
(実施例15)
実施例1において、CBT−1の代わりに、ベンゾトリアゾールを添加した以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0155】
(実施例16)
実施例1において、下記に説明するパターン形成装置を用いて露光を行った以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0156】
(実施例17)
実施例1において、感光性組成物溶液に、シュウ酸を固形分質量で0.1質量部添加した以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0157】
<パターン形成装置>
前記光照射手段として特開2005−258431号公報に記載の合波レーザ光源と、前記光変調手段として主走査方向にマイクロミラーが1024個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に768組配列された内、1024個×256列のみを駆動するように制御したDMDと、光を前記パターン形成材料に結像する光学系とを有する露光ヘッドとを備えたパターン形成装置を用いた。
【0158】
各露光ヘッドすなわち各DMDの設定傾斜角度としては、使用可能な1024列×256行のマイクロミラーを使用してちょうど2重露光となる角度θidealよりも若干大きい角度を採用した。この角度θidealは、N重露光の数N、使用可能なマイクロミラーの列方向の個数s、使用可能なマイクロミラーの列方向の間隔p、及び露光ヘッドを傾斜させた状態においてマイクロミラーによって形成される走査線のピッチδに対し、下記式1、
spsinθideal≧Nδ(式1)
により与えられる。本実施形態におけるDMDは、上記のとおり、縦横の配置間隔が等しい多数のマイクロミラーが矩形格子状に配されたものであるので、
pcosθideal=δ(式2)
であり、上記式1は、
stanθideal=N(式3)
であり、s=256、N=2であるので、角度θidealは約0.45度である。したがって、設定傾斜角度θとしては、たとえば0.50度を採用した。
【0159】
まず、2重露光における解像度のばらつきと露光むらを補正するため、被露光面の露光パターンの状態を調べた。結果を図1に示した。図1においては、ステージを静止させた状態でパターン形成材料の被露光面上に投影される、露光ヘッドが有するDMDの使用可能なマイクロミラーからの光点群のパターンを示した。また、下段部分に、上段部分に示したような光点群のパターンが現れている状態でステージ14を移動させて連続露光を行った際に、被露光面上に形成される露光パターンの状態を、露光エリア3212と3221について示した。なお、図1では、説明の便宜のため、使用可能なマイクロミラーの1列おきの露光パターンを、画素列群Aによる露光パターンと画素列群Bによる露光パターンとに分けて示したが、実際の被露光面上における露光パターンは、これら2つの露光パターンを重ね合わせたものである。
【0160】
図1に示したとおり、露光ヘッド間の相対位置の、理想的な状態からのずれの結果として、画素列群Aによる露光パターンと画素列群Bによる露光パターンとの双方で、露光エリア3212と3221の前記露光ヘッドの走査方向と直交する座標軸上で重複する露光領域において、理想的な2重露光の状態よりも露光過多な領域が生じていることが判る。
【0161】
前記光点位置検出手段としてスリット及び光検出器の組を用い、一方の露光ヘッドついては露光エリア3212内の光点P(1,1)とP(256,1)の位置を、他方の露光ヘッドについては露光エリア3221内の光点P(1,1024)とP(256,1024)の位置を検出し、それらを結ぶ直線の傾斜角度と、露光ヘッドの走査方向とがなす角度を測定した。
【0162】
実傾斜角度θ´を用いて、下記式4
ttanθ´=N(式4)
の関係を満たす値tに最も近い自然数Tを、2つの露光ヘッドのそれぞれについて導出した。一方の露光ヘッドについてはT=254、他方の露光ヘッドについてはT=255がそれぞれ導出された。その結果、図2において斜線で覆われた部分78及び80を構成するマイクロミラーが、本露光時に使用しないマイクロミラーとして特定された。
【0163】
その後、図2において斜線で覆われた領域78及び80を構成する光点以外の光点に対応するマイクロミラーに関して、同様にして図1において斜線で覆われた領域82及び網掛けで覆われた領域84を構成する光点に対応するマイクロミラーが特定され、本露光時に使用しないマイクロミラーとして追加された。
これらの露光時に使用しないものとして特定されたマイクロミラーに対して、前記描素部素制御手段により、常時オフ状態の角度に設定する信号が送られ、それらのマイクロミラーは、実質的に露光に関与しないように制御した。
これにより、露光エリア3212と3221のうち、複数の前記露光ヘッドで形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積を最小とすることができる。
【0164】
(比較例1)
実施例1において、CBT−1を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0165】
(比較例2)
実施例1において、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:96,000、Tg:73℃)を、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:30,000)に変えた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、感度、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0166】
(比較例3)
実施例1において、メタクリル酸/メチルメタクリレート/2エチルヘキシルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合体組成(質量比):28.8/55.0/11.7/4.5、質量平均分子量:96,000、Tg:73℃)を、スチレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合体組成(質量比):52/19/29、質量平均分子量:30,000)に変え、且つ、CBT−1を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。なお、サンプル作製時の露光量を100mJ/cmとした。結果を表1に示す。
【0167】
(比較例4)
比較例3において、サンプル作製時の露光量を10mJ/cmとした以外は、比較例3と同様にしてパターン形成材料及び感光性積層体を調製し、現像性、解像度、密着性、エッチング性、現像残渣の有無、テント性、剥離性、エッジフュージョン発生の有無、エッジラフネス、及び焼き出し性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0168】
【表1】

表1の結果から、本発明のパターン形成材料及び感光性積層体を用いてパターンを形成した実施例1〜17では、比較例1〜4に比して、高感度及び高解像度で、剥離性及びテント性が良好であり、且つ、現像残渣がなく、エッチング性も良好で、しかもエッジフュージョン(端面融着)の発生がないことが判った。特に、前記構造式(I)で表されるベンゾトリアゾール系化合物の添加量を0.005〜0.1質量%とし、質量平均分子量40,000以上150,000未満のバインダーを用いた実施例1〜11では、密着性及びエッチング性に極めて優れ、現像残渣も少ないことが判った。
一方、2重露光における解像度のばらつきと露光むらを補正した実施例16のパターンは、エッジラフネスも小さいことが判った。
また、感光性組成物に酸を添加した実施例17では、焼きだし性が極めて優れることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明のパターン形成材料は、高感度及び高解像度で、剥離性及びテント性が良好であり、且つ、現像残渣がなく、エッチング性も良好で、しかもエッジフュージョン(端面融着)の発生がない。このため、各種パターンの形成、配線パターン等の永久パターンの形成、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁等の液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフの製造などに好適に用いることができ、特に高精細な配線パターンの形成に好適に用いることができる。
また、本発明のパターン形成装置及びパターン形成方法は、本発明の前記パターン形成材料を用いているため、各種パターンの形成、配線パターン等の永久パターンの形成、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁等の液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフの製造などに好適に用いることができ、特に高精細な配線パターンの形成に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は、隣接する露光ヘッド間に相対位置のずれ及び取付角度誤差がある際に、被露光面上のパターンに生じるむらの例を示した説明図である。
【図2】図2は、図1の例において選択された使用描素部のみを用いた露光を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に積層した感光層とを有するパターン形成材料において、
前記感光層が、バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、及びベンゾトリアゾール系化合物を含む感光性組成物からなり、
前記バインダーの質量平均分子量が40,000〜200,000であり、
前記感光層に対し、露光し現像する際に、前記感光層の厚みを露光及び現像の前後で変化させない光の最小エネルギーが0.1〜20mJ/cmであることを特徴とするパターン形成材料。
【請求項2】
ベンゾトリアゾール系化合物が、下記構造式(I)で表される請求項1に記載のパターン形成材料。
【化1】

ただし、前記構造式(I)中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、及び下記構造式で表される基のいずれかを表す。
【化2】

ただし、前記構造式(II)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基及びヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。mは1〜3の整数を表す。
【請求項3】
構造式(I)で表されるベンゾトリアゾール系化合物が、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾール、3−メチル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、3−エチル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、及び3−へキシル−5−カルボキシベンゾトリアゾールから選択される少なくともいずれかである請求項2に記載のパターン形成材料。
【請求項4】
ベンゾトリアゾール系化合物の含有量が、0.001〜1質量%である請求項1から3のいずれかに記載のパターン形成材料。
【請求項5】
バインダーの質量平均分子量が、40,000以上150,000未満である請求項1から4のいずれかに記載のパターン形成材料。
【請求項6】
ベンゾトリアゾール系化合物とバインダーとの含有量比が、ベンゾトリアゾール系化合物:バインダー=1:10,000〜1:100である請求項1から5のいずれかに記載のパターン形成材料。
【請求項7】
基板のパターニング処理に用いられ、前記基板が直径4mm以上のスルーホールを有する請求項1から6のいずれかに記載のパターン形成材料。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のパターン形成材料における感光層に対し、露光を行なうことを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載のパターン形成方法により形成されることを特徴とするパターン。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−3558(P2008−3558A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31061(P2007−31061)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】