説明

パターン検査装置

【課題】 配線部分と樹脂フィルム部分のコントラストが大きくなるようにし、反射照明により配線パターンを容易に検出できるようにすること。
【解決手段】 配線パターンが形成されたTABテープ5は、送り出しリール11から巻きだされ検査部1に送られる。検査部1で、反射照明手段1aで照明し、撮像手段1bでTABテープ5上の検査パターンを撮像する。撮像された検査パターンの画像は制御部4に送られ、基準パターンと比較されパターンの良否が判定される。反射照明手段の1aの光源は、例えば波長500nm以上の光のみを放射する例えば赤外LEDである。TABテープ5を透過する波長500nm以上の光のみで照明するので、コントラストの良い画像を得ることができる。またステージ1cの赤外線反射率を10%以下としたり、ステージ1cを設けないことで、さらにコントラストのよい画像を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査装置に関わり、特に、テープキャリア方式によるTAB(Tape Automated Bonding)テープに照明光を照射し、TABテープ上に形成された集積回路(IC)等のパターンを、撮像手段により撮像し自動で外観検査を行なう、パターン検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、高集積化と高密度実装の要求に対応して、リードの多ピン化と微小化が進んでいる。この多ピン化や微小化に有利なことから、半導体チップをフィルム状のTABテープに設けた多数のリード線と接続する方法が採用されている。
図7に、TABテープが作られる手順と構造(断面図)を示す。
TABテープは、図7(a)に示すように厚さ20〜150μm程度(多くは25〜75μm)、幅35〜165mm程度のポリイミド系の樹脂フィルムで形成されており、この樹脂フィルム上に、パーフォレーションホール103が形成される両側周辺部を除いて、厚さ10〜15μm程度の接着剤が塗布される。その上には、図7(b)に示すように銅箔などの金属箔105が貼りつけられている。
配線パターン106を形成するには、図7(c)に示すように、この金属箔(銅箔)105を露光およびエッチングにより加工する。
【0003】
図8に、上記のようにして配線パターンが形成されたTABテープを示す。
同図に示すように、ポリイミド系樹脂等の樹脂フィルム102等などで形成され、両側にパーフォレーションホール103を有する帯状のテープ(TABテープ)の上に、同一の回路が複数連続して製作される。
同図の点線で囲んだ部分は一つの配線パターン(1ピースという)を示し、各ピースには、配線パターン111が形成される。また、内部の長方形は、半導体チップを取り付ける開口部(デバイスホール)110である。
このようなTABテープの製造工程においては、配線パターンが、正しく形成されているかどうかを検査する必要があり、配線パターン検査装置によって検査が行なわれる。
【0004】
配線パターン検査装置は、検査するTABテープを照明光で照明し、配線パターンの状態(外観)を撮像装置または目視にて検出し、マスタパターン(基準パターン)と比較して形成された配線パターンの良否を判定する。
近年は、あらかじめ検査装置の制御部の記憶手段にマスタパターン(基準パターン)を記憶させておき、記憶しているマスタパターンと、撮像装置により撮像した実際の配線パターンとを比較し、自動的に良否を判定する自動検査装置も用いられるようになってきた。
パターン検査装置の照明光の照明方法には、反射光を用いる方法と、透過光を用いる方法がある。
反射光を用いる方法は、TABテープの配線パターンが形成された側に設けた照明手段から照明光を照射し、パターンからの反射光を、照明手段と同じ側に設けた撮像手段により撮像し観察する方法である。反射光を用いる方法については、例えば特許文献1、特許文献2などに記載されている。
一方、透過照明を用いる方法は、テープに対し、照明手段とは反対側に設けた撮像手段により、TABテープを透過した光を撮像し観察する方法である。
【特許文献1】特開2002−250700号公報
【特許文献2】特開平10−185832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、パターン検査装置の照明光の照明方法には反射光を用いる方法があるが、反射光を用いるパターン検査装置の場合、配線パターン(以下パターンと呼ぶ場合もある)は、配線部分とそれ以外の部分の、コントラストの差として撮像手段(目視の場合は目)に入力される。
図9に、反射光を用いて撮像された配線パターンの一例を示す。同図のように、配線の部分は金属であるので、照明光をよく反射し、撮像素子に明るく映る。一方、配線以外の下地であるポリイミド系の樹脂フィルムの部分は暗くなる。
しかし、反射光を用いたパターン検査装置において、配線の部分とそれ以外の樹脂フィルム部分の明暗差(コントラスト)が小さい(以下コントラストが悪いと呼ぶ場合もある)画像が撮像されることがある。
このようなコントラストの悪い画像でも、従来の、いわゆるラフな(配線が太く、配線間のスペースが広い)パターンであれば、画像の明るさや色調などを調整することにより検査することができた。
しかし、最近はパターンが密(配線が細く、配線間のスペースが狭い)になってきており、画像の調整のみでは対応できず検査が困難になってきている。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、反射照明よりパターンを検出するパターン検査装置において、配線部分と樹脂フィルム部分のコントラストが大きくなるようにし、配線パターンを容易に検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点について検討したところ、反射画像のコントラストが悪くなるのは「樹脂フィルム(テープ)からの反射」と「ステージからの反射」の二つが原因であると突き止めた。以下にこの点について詳しく説明する。
(1)テープからの反射について。
図10に、TABテープに使用される代表的なポリイミド系樹脂フィルム(厚さ75μm)の透過率を示す。縦軸が透過率(%)であり、横軸が波長(nm)である。
同図に示されるように、波長500nm以下の光は、ポリイミド系の樹脂フィルム(以下TABテープまたはテープと呼ぶ場合もある)をほとんど透過しない。透過しない光は吸収される成分もあるが、反射される成分もある。透過するのは波長約500nm以上であり、700nmでは透過率が約40%、850nmで約60%になり、ほぼ飽和する。 従来、パターン検査装置用の照明手段の光源として、一般的なハロゲンランプを使用している。タングステンをフィラメントとする一般的なハロゲンランプからは、波長1000nm付近をピークとした連続光が放射される。
上記したように、反射照明において、コントラストの大きい(以下コントラストが良いと呼ぶ場合もある)パターンの像を得る条件は、配線部分が照明光を反射し、撮像素子には明るい部分として入力され、それ以外の部分では、照明光が反射されず、撮像素子には暗い部分として入力されることである。
【0007】
ところが、従来のハロゲンランプの白色光による照明では、波長500nm以下の成分が含まれる。このため、図11に示すように、上記白色光による照明手段1aからTABテープ5に光を照射し、撮像手段1bで撮像した場合、波長500nm以下の成分の光が配線以外の樹脂フィルムの部分でも反射され撮像素子1bに入射する。そのために、前記したようなコントラストの悪い画像になることがある。
この対策として、本発明では、検査装置の照明手段と撮像手段を、次のような構成とする。
(i)照明手段として、ポリイミド系樹脂を比較的良く透過する波長500nm以上の光のみが放射され、波長500nm以下の光が放射されないような光源を用いる。撮像手段は、少なくとも波長500nm以上の光に感度を有する素子を使用する。
この場合、照明手段の光源としては赤外光を放射するLED(赤外LED)を用いることができる。
このような赤外LEDとしては、例えば波長700nmの光を放射するもの、波長850nmの光を放射するものなどが市販されている。ピーク波長700nmのLEDの場合は例えば半値幅が20nm、波長850nmのLEDの場合は例えば半値幅が40nmである。
また、撮像手段としては、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)がある。図12は、一般に市販されているCCDカメラの分光感度曲線(カタログ値)である。波長700nmのLEDを使用しても、波長850nmのLEDを使用しても、CCDカメラは受光感度を有している。
したがって、このような光源を使用した場合の撮像手段として上記CCD、CMOSを使用することができる。
上記構成とすることで、照明手段からは、テープにより反射される500nm以下の光が出射せず、テープを透過する波長500nm以上の光のみで照明するので、コントラストの良い画像を得ることが期待できる。なお、本発明では、上記波長700nmや850nmのLEDから放射される光も含めて、波長が500nm以上の光を赤外光と呼ぶこととする。
【0008】
(ii)照明手段の光源として、波長500nm以上の光を含むハロゲンランプを用い、撮像手段は、上記と同様、少なくとも波長500nm以上の光に感度を有する素子(CCDカメラやCMOS)を使用する。
そして、照明手段とテープとの間、またはテープと撮像手段との間に、500nm以下の光をカットするフィルタを組み合せて用いる。
上記500nm以下の光をカットするフィルタとして、例えば赤外透過フィルタがある。赤外透過フィルタとしては、例えば波長720nm以下の光をカットし、それ以上の波長を透過する赤外透過フィルタが市販されており、このようなフィルタを使用すればよい。
上記のような赤外透過フィルタを照明手段とテープとの間に設けることにより、テープには500nm以下の光が照射されない。したがって、テープから反射される光の成分が少なくなり、コントラストの良い画像を得ることが期待できる。
また、赤外透過フィルタをテープと撮像手段との間に設けることにより、テープから反射された500nm以下の光が撮像素子に入射しない。したがって、コントラストの良い画像を得ることが期待できる。
(iii)照明手段の光源として、波長500nm以上の光を含むハロゲンランプを用い、撮像手段は、波長500nm以下には感度がなく、赤外光域にのみ感度を有する撮像素子、例えば赤外用CCDカメラを使用する。
この場合は、テープから反射された500nm以下の光に感度がないので、上記の赤外透過フィルタを撮像手段の光入射側に設けた場合と同じように、コントラストの良い画像を得ることが期待できる。
(2)ステージからの反射について。
照明手段と撮像手段を上記のように構成するだけでは、十分にコントラストの良い画像を得ることができない。この原因ついてさらに検討したところ、以下のようなことがわかった。
従来、TABテープに照明光を照射してパターンを撮像する時、該テープが振動等により撮像素子の撮像位置や焦点位置からずれないように、テープの照明手段が設けられる側とは反対側に表面が平面のステージを設け、テープを吸着保持することが行なわれている。しかし、撮像時、TABテープを透過した波長500nm以上の照明光が、ステージの表面で反射し、再びテープを透過して、撮像素子に受光され、その結果画像のコントラストを悪化させる。
この対策として、検査装置を次のように構成する。
(i)パターン撮像時にテープを吸着保持するステージの赤外線反射率を10%以下とする。赤外線の反射率を10%以下にするためには、「ステージ表面を黒アルマイト処理する」、「反射の少ない色で塗装をする」、「フロスト加工をしてつや消しする」などがあげられる。
このように構成することで、再びテープを透過して撮像素子に受光される光の量を減らすことができ、コントラストの良い画像を得ることが期待できる。
(ii)パターン撮像時にテープを保持する手段として、テープを吸着保持するステージに換えて、テープの検査領域以外の周辺部を把持し、テンションを与えて固定する手段を設ける。これにより、ステージを用いる場合と同様に、撮像時テープが振動等により撮像素子の撮像位置や焦点位置からずれないようにすることができる。
一方、テープを透過した照明光を反射するものがなくなるので、テープを透過した光は撮像素子に受光されることはなく、コントラストの良い画像を得ることが期待できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)反射照明よりパターンを検出するパターン検査装置において、照明手段として、少なくとも500nm以上の波長を含む光を放射する光源を使用し、撮像手段として、500nm以上の波長に感度を有するものを使用したので、樹脂フィルムからの反射光成分を少なくし、また、樹脂フィルムから反射される500nm以下の波長の光をカットすることができる。
このため、配線部分と樹脂フィルム部分のコントラストが良い画像を得ることができ、配線パターンを容易に検出することが可能となった。
(2)上記(1)において、テープに対して照明手段の反対側に設けられたステージ表面の赤外線の反射率を10%以下にしたり、テープを保持するステージを設けずに、樹脂フィルムの周辺を把持する手段を設け、撮像時に該把持手段により上記樹脂フィルムにテンションを与えるようにすることで、ステージ表面での反射光の影響を低減化あるいは除去することができ、一層、コントラストのよい画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の第1の実施例の配線パターン検査装置の概略構成を示すブロック図である。なお、以下の実施例ではTABテープの配線パターンの検査について説明するが、本発明は、TABテープの外、ポリイミド系の樹脂フィルム上に形成されたパターンを反射照明光により検査する場合にも、同様に適用することができる。
本実施例のパターン検査装置は、テープ搬送機構10を備え、配線パターンが形成されたTABテープ5は、テープ搬送機構10の送り出しリール11から巻きだされ、巻き取りリール12に巻き取られる。
巻き取りリール12の近傍には、不良のパターンにマークをつけるマーカ部3が設けられている。マーカ部3において、不良と判定されたパターンにパンチで穿孔したり、あるいは、その部分が不良品であることが目視ですぐに確認できるように色塗りなどのマークを施す。
送り出しリール11から送り出されたTABテープ5は、検査部1に送られる。検査部1の搬送下流側には、搬送ローラ(図示せず)が設けられ、また、検査部1の搬送上流側には、ブレーキローラ(図示せず)が設けられており、TABテープ5の搬送方向にテンションをかけ、検査部1におけるTABテープ5のたるみを防いでいる。
検査部1は、反射照明手段1aと、TABテープ5で反射した照明光によりTABテープ5に形成されている回路等のパターン5aを撮像する撮像手段1bとから構成される。 また、TABテープ5に対して反射照明手段1aの反対側には、撮像中にTABテープ5を吸着保持するステージ1cを有する。このステージ1cは取り外すこともできる。
【0011】
反射照明手段1aの光源は、例えば、前記した波長850nmの光を出射する赤外LEDである。この赤外LEDは、前記したように出射する光のピーク波長が850nm、半値幅は40nmである。このLEDは、例えばテレビのリモコン等で一般に使用されている。
撮像手段1bとして、本実施例ではCCDカメラを使用した。CCDの受光感度は、前記した図12に示したように、波長400〜1000nm程度まで実用範囲である。なお、図12の横軸は波長(nm)、縦軸は応答特性を示し、この図では、10μmピクセル、7μmピクセルのものを示しているが、ともに波長400〜1000nm程度まで実用範囲である。なお、撮像手段1bとしては、CCDのほかにもCMOSを使用することができる。
【0012】
走査手段2は、TABテープ5の検査パターン5a上で、撮像手段1bと反射照明手段1aを同図の紙面左右方向に走査させ、TABテープ5の検査領域(パターンが形成されている領域)全体の画像を得る。
なお、走査手段2による走査方向は、同図紙面の前後方向であってもよく、この場合、上記反射照明手段1aは、撮像手段1bの光軸を軸として90°回転した状態に配置される。
また、撮像した画像パターンと基準となるマスターパターンとを比較し、製品の良否を判定するとともに、検査部1、走査手段2、マーカ部3、及びテープ搬送機構10の動作を制御する制御部4が設けられている。制御部4には、あらかじめパターン検査の基準となる基準パターン(マスタパターン)が入力されている。なお、基準パターンは、良品と判定されている実際のパターンを撮像した画像であっても良いし、CADデータを利用したものであっても良い。
TABテープ上のパターン検査時、反射照明手段1aによりTABテープ5が照明され、撮像手段1bには、TABテープ5からの反射光が入射する。撮像手段1bで撮像された検査パターンの画像は上記制御部4に送られ、上記基準パターンと比較され、パターンの良否が判定される。
【0013】
図1の装置を用い、TABテープを保持するステージを反射率の異なるものに種々取り替えた場合、また、ステージを設けない場合について、TABテープに形成された配線パターンを撮像した。
その結果を図2に示す。また、図3には、各ステージの表面反射率を示す。反射率の測定は、ウシオ電機製反射率測定器(URE)を使用した。
なお、本実施例におけるTABテープに使われている樹脂フィルムの、波長850nmにおける透過率は、前記図10に示したように約60%である。
図2(a)はステージの表面がアルミ板(波長850nmにおける反射率は約60%)の場合、(b)は銅板(波長850nmにおける反射率は約65%)の場合である。両者とも、撮像される画像は、配線パターンと樹脂フィルムの部分とのコントラストが小さく、配線パターンの検出は困難である。
【0014】
図2(c)はステージ表面を青色に色つけした場合、(d)はオレンジ色に色つけした場合(ともに波長850nmにおける反射率は約10%)である。
色つけした場合の撮像画像は、上記(a)(b)に比べて、配線パターンと樹脂フィルムの部分とのコントラストが大きくなり、これであれば、配線パターンの検出及び画像処理が可能である。
図2(e)は、ステージ表面を灰色に色つけした場合(波長850nmにおける反射率は約5%)、(f)は、表面を黒アルマイト処理した場合(つやあり黒)、(g)は、黒アルマイトの表面をサンドペーパーでフロスト加工した場合(つやなし黒)である。
(f)(g)それぞれの波長850nmにおける反射率は2〜3%である。撮像画像のコントラストは、(c)(d)に比べてさらに大きくなる。
したがって、TABテープの照明光が照射される側とは反対側に、照明光の波長の反射率が10%以下の部材を設けることにより、コントラストの大きい画像を撮像できる。
【0015】
図4に本発明の第2の実施例の配線パターン検査装置の概略構成図を示す。
前記図1と同様、TABテープ5は、テープ搬送機構10の送り出しリール11にから巻きだされ、巻き取りリール12に巻き取られる。
巻き取りリール12の近傍には、不良のパターンにマークをつけるマーカ部3が設けられている。
送り出しリール11から送り出されたTABテープ5は、検査部1に送られる。検査部1は、例えば前記した波長850nmの光を出射する赤外LEDからなる反射照明手段1aと、パターン5aを撮像する例えばCCDカメラからなる撮像手段1bとから構成される。
走査手段2は、TABテープ5の検査パターン5a上で、撮像手段1bと反射照明手段1aを同図の紙面左右方向に走査させる。
TABテープ上のパターン検査時、上記反射照明手段1aによりTABテープ5が照明され、撮像手段1bには、TABテープ5からの反射光が入射する。撮像手段1bで撮像された検査パターンの画像は制御部4に送られ、上記基準パターンと比較され、パターンの良否が判定される。
【0016】
本実施例では、前記図1に示したテープを吸着保持するステージをなくし、テープの検査領域以外の周辺部を把持して固定するテープ把持手段21を設けている。
図5は検査部1の平面図である。同図に示すように、テープ把持手段21は検査領域の周辺部分の四隅に設けられ、TABテープ5を把持するグリップ部22と、グリップ駆動部23から構成される。
グリップ部22が、TABテープ5の検査領域ではない周辺部分を把持し、グリップ駆動部23により、テープを幅方向に(同図上下方向)引っ張ってテンションを与え、撮像時、テープが移動しないように固定する。
【0017】
図6は、テープ把持手段21の詳細構成例を示す図である。同図は、搬送方向から見たテープ把持手段21の構成を示している。
グリップ部22は、把持部Gr1とGr2により、TABテープ5の周辺部を把持し、グリップ駆動部23により、グリップ部22は図面左右方向に移動する。
グリップ駆動部23は、送りモータ23aにより回転するボールねじ23bを備え、送りモータ23aによりボールねじ23bが回転し、ボールねじ23bに係合するグリップ部22が同図の左右方向、即ちTABテープ5の幅方向に移動する。
グリップ部22は、TABテープ5の周辺部を上部材22aの把持部Gr1と下部材22bの把持部Gr2とで上下から挟む構造になっている。下部材22bにはシャフト22cが取り付けられグリップ固定台22dに固定されている。
上部材22aは軸22eを介して下部材22bに取り付けられており、軸22eを中心に回動する。また、上部材22aと下部材22bの把持部Gr1,Gr2の反対側にはスプリング22fにより、上部材22aと下部材22bは把持部Gr1,Gr2の開く方向に付勢されている。
下部材22bには、エアシリンダ22gが取り付けられており、エアシリンダ22gの駆動軸は、下部材22bを貫通して突出し、その先端は上部材22aの軸22eを挟んで把持部Gr1とは反対側に当接している。このため、エアシリンダ22gを駆動すると、上部材22aが軸22eを中心として回動し、把持部Gr1,Gr2が閉じる。
【0018】
図2(h)に、テープを吸着保持するステージをなくし、テープの検査領域以外の周辺部を把持してテープ把持手段21で固定した場合の実験結果を示す。
TABテープ5を透過した照明光は、反射されることはなく、したがって、撮像素子には入射しない。したがって、コントラストの良い画像が得られる。
【0019】
上記第1、第2の実施例では、反射照明手段1aの光源として850nmの光を放射するLEDを使用したが、TABテープ5を透過する波長500nmの光を放射するLEDであれば、その他のLEDを使用することができる。例えば前記波長700nmの光を放射するLEDも同様に使用することができ、波長700nmの光を放射するLEDを使用しても、第1、第2の実施例と同様な効果を得ることができる。
【0020】
また、上記のLEDのような、赤外光域の単色光を放射する光源ではなく、ハロゲンランプやキセノンランプのような連続光を放射する光源であっても、波長500nm以上の光を含むものであれば、同様に使用することができる。
その場合は、反射照明手段1aとTABテープ5との間、またはTABテープ5と撮像手段1bとの間に、500nm以下の波長をカットするフィルタ、例えば赤外透過フィルタを設ければよい。
赤外透過フィルタを反射照明手段1aとTABテープ5との間に設ければ、TABテープ5には反射する500nm以下の光が照射されない。また、赤外透過フィルタをTABテープ5と撮像手段1bとの間に設ければ、TABテープ5から反射された500nm以下の光が撮像素子1bに入射しない。このため、上記実施例1、実施例2と同様に、コントラストの良い画像を得ることができる。
さらに、上記の赤外透過フィルタをテープと撮像手段1bとの間に設ける替わりに、撮像手段1bとして、波長500nm以下には感度がなく、赤外光域にのみ感度を有する撮像素子、例えば赤外用CCDカメラを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施例の配線パターン検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例の装置により撮像した配線パターンの画像を示す図である。
【図3】ステージ表面の材質、色等を変えた場合の表面反射率を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例の配線パターン検査装置の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例の検査部の平面図である。
【図6】テープ把持手段の詳細構成例を示す図である。
【図7】TABテープが作られる手順とTABテープの構造を示す図である。
【図8】配線パターンが形成されたTABテープを示す図である。
【図9】反射光を用いて撮像された配線パターンの一例を示す図である。
【図10】TABテープに使用される代表的なポリイミド系樹脂フィルム(厚さ75μm)の透過率を示す図である。
【図11】照明手段からの光が樹脂フィルムの部分で反射される様子を示す図である。
【図12】一般に市販されているCCDカメラの分光感度曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 検査部
1a 反射照明手段
1b 撮像手段
1c ステージ
2 走査手段
3 マーカ部
4 制御部
5 TABテープ
5a 検査パターン
10 テープ搬送機構
11 送り出しリール
12 巻き取りリール
21 テープ把持手段
22 グリップ部
23 グリップ駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド系の樹脂フィルム上に形成されたパターンを照明光により照明し、該パターンからの反射光を撮像することにより、上記パターンの外観を検査するパターン検査装置において、
赤外光を放射するLEDを有する照明手段と、
上記樹脂フィルムに対して上記照明手段と同一面側に設けた、赤外光域に感度を有するCCDまたはCMOSを有する撮像手段とを備えた
ことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
ポリイミド系の樹脂フィルム上に形成されたパターンを照明光により照明し、該パターンからの反射光を撮像することにより、上記パターンの外観を検査するパターン検査装置において、
赤外光を含む光を放射するランプを有する照明手段と、
上記樹脂フィルムに対して上記照明手段と同一面側に設けた、赤外光域に感度を有するCCDまたはCMOSを有する撮像手段と
上記照明手段から上記撮像手段に至る照明光の光路途中に挿入された、波長500nm以下の光をカットするフィルタとを備えた
ことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項3】
ポリイミド系の樹脂フィルム上に形成されたパターンを照明光により照明し、該パターンからの反射光を撮像することにより、上記パターンの外観を検査するパターン検査装置において、
赤外光を含む光を放射するランプを有する照明手段と、
上記樹脂フィルムに対して上記照明手段と同一面側に設けた、500nm以下の波長に感度がなく赤外光域に感度を有する撮像素子とを備えた
ことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項4】
撮像時、上記樹脂フィルムを吸着保持するステージを設け、
該ステージの表面赤外線反射率が10%以下である
ことを特徴とする請求項1,2または請求項3記載のパターン検査装置。
【請求項5】
樹脂フィルムを吸着保持するステージに替えて、樹脂フィルムの周辺を把持する手段を設け、撮像時に該把持手段により上記樹脂フィルムにテンションを与える
ことを特徴とする請求項1,2または請求項3記載のパターン検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−112845(P2006−112845A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298492(P2004−298492)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】