説明

ビーム誘起処理における窒素ベース化合物の使用

【課題】電子ビーム誘起付着、イオンビーム誘起付着およびレーザビーム誘起付着中に汚染物を除去する、または酸化可能な材料の付着またはエッチング中の酸化をリアルタイムで抑制する方法を提供する。
【解決手段】加工物にビームを照射すると同時に、付着前駆体ガスまたはエッチング前駆体ガスを、純化化合物およびキャリヤ・ガス(任意選択)とともに、または、予め混合してから、処理室内へ噴射する。ビームは、ビームを照射した領域にだけ膜を付着させ、または、ビームを照射した領域の膜だけをエッチングする。純化化合物は炭素などの不純物を、膜成長中に除去し、あるいは、エッチングされた材料の酸化を抑制する。付着前駆体ガスまたはエッチング前駆体ガスと膜純化化合物との同時注入または噴射前の予混合によって、成長/エッチング速度および達成可能な材料純度に関して、付着プロセスまたはエッチング・プロセスを最適化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子ビームまたはレーザ・ビームを使用した付着、エッチングなどのビーム誘起処理に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路、太陽電池、フラット・パネル・ディスプレイ等の製造など、いくつかの重要な技術領域は、化学蒸着(CVD)技法を使用して、半導体ウェーハ、フラット・パネル・ディスプレイなどの加工物の1つまたは複数の表面の全体にほぼ均一な膜を付着させることを含む。CVDは一般にサセプタを使用し、CVD処理室内でサセプタ上に加工物が置かれ、次いでその加工物が、1種または数種の付着前駆体ガスの熱分解を誘起させるのに十分な温度まで加熱される。CVDでは、加工物全体の高い(そして必須条件として相当に均一な)温度によって付着が誘起されるため、本質的に加工物の表面全体に膜が形成される。一般に、CVDの間に加工物内に過大な熱誘起応力が生じることを防ぎ、付着材料の組成および厚さが確実に均一になるように、加工物の温度は均一でなければならない。デバイス製造中には、上で概説したCVDプロセスの他に、加工物の1つまたは複数の表面全体がエッチングされるプラズマ・エンハンスト・エッチング・プロセスも使用され、エッチングは通常、パターン形成されたレジスト層の開口を通して実行される。
【0003】
しかしながら、ナノテクノロジなど多くの製造用途は、選択的な付着またはエッチング方法、またはパターン形成された付着またはエッチング方法、言い換えれば、CVDまたはプラズマ・エンハンスト・エッチングのように加工物の表面全体ではなく、加工物のある領域にだけ付着またはエッチングが起こるプロセスを求めている。このようなプロセスは、付着またはエッチング前駆体ガスを局所的に分解する方法を必要とする。レーザ・ビーム、電子ビームおよびイオン・ビームは全て、これらのプロセスに対して使用されている。例えば、電子ビーム、イオン・ビーム、クラスタ・ビームなどの荷電粒子ビームは、有機金属化合物などの前駆体ガスを分解することにより金属を付着させる目的に使用されている。荷電粒子ビームはさらに、ビームの存在下で加工物の材料と結合して揮発性の副生物を生成するヨウ素、二フッ化キセノンなどの前駆体を使用して材料をエッチングする目的にも使用されている。荷電粒子ビームは、サブミクロン・サイズのスポットに集束させることができ、したがって、荷電粒子ビームを使用して、ビームを所望のパターンに走査し、その間にビームがエッチングまたは付着を誘起することによる付着またはエッチングにより、構造を精密かつ随意に形成することができる。
【0004】
ビーム誘起付着によって形成された材料の大きな問題は、それらの材料の純度が一般に、CVDによって成長させた材料の純度に比べて非常に低い(しばしば50%未満)ことである。ビーム誘起付着によって成長する材料の純度を向上させるため、多くの方法が試みられた。例えば、Folch他、「Electron Beam Deposition of Gold Nanostructures in a Reactive Environment」、Applied Physics Letters、66(16)、2080〜82ページ(1995)は、環境制御型走査電子顕微鏡システムを使用し、電子ビーム誘起付着(EBID)プロセスを使用して、成長前駆体以外の反応性ガスからなる「反応性」環境において、金のナノ構造を付着させることを論じている。有機金属化合物「Au(CH32(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)」が付着前駆体の役目を果たし、膜を成長させる加工物は、室温のインジウムスズ酸化物であった。付着は、H2O蒸気またはAr80%とO220%の混合物(Ar/O2)(後者の場合、Arは、反応において何の役割も果たさない貴ガス種である)を含む酸化的環境で実行される。Folch他は、H2OおよびAr/O2はどちらも付着金膜の炭素含量を低下させるが、純粋なArは、付着金膜の炭素含量を低減させないことを見出した。Folch他は、Au膜の成長と同時に、室温で揮発性であるCOおよびCO2分子が形成されることにより、成長中の金膜内から炭素が除去されると考えている。
【0005】
Molhave他、「Solid Gold nanostructure Fabrication by Electron Beam Deposition」、Nano Letters.、第3巻、11号、1499〜1503ページ(2003)も、環境制御型走査電子顕微鏡を使用し、「Au(CH32(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)」前駆体を水蒸気環境で使用して、金ナノ構造を付着させている。Molhave他は、H2O環境が、多結晶金核(core)(Molhave他の実験では電子ビームによって形成される金柱(pillar))の成長を可能にすることを見出した。Molhave他はさらに、He60%/H240%の還元的環境およびAr80%/O220%の酸化的環境において金核を成長させようとしたが、成功しなかった。これらの結果は、還元的または酸化的であるガスの全てが、付着膜の質を実質的に向上させることができるわけではないことを例示している。Molhave他によって発表されたこれらの結果に対する本出願の出願人らによる解釈は、O2およびH2の表面滞留時間および電子ビーム誘起解離のための断面積が、(H2およびO2の場合にはそれぞれCHxまたはCOx種の形成によって)炭素を揮発させることにより付着構造を効果的に純化するのには、短すぎ、小さすぎるということである。Molhave他およびFolch他は、付着を支援する酸化的環境を記載している。
【0006】
上記の方法などの先行技術の材料純化法の問題は、それらの方法が、ビーム誘起付着プロセスの体積成長速度を低下させることである。ビーム誘起付着プロセスの成長速度は、CVDなどの他の成長法に比べて非常に低いため、このことは大きな短所である。この低い成長速度は、ビーム誘起付着の適用可能性および有用性を限定する。
【0007】
Sun他、「Electron−induced Nitridation of GaAs(100)with Ammonia」、J.Vac.Sci.Technol.、B、11(3)、610〜613ページ(1993)は、電子ビーム照射下で、アンモニア前駆体を使用して、GaAs基板上にGaN膜を形成することを記載している。Hubner他、「GaN Patterned Film Synthesis:Carbon Depletion by Hydrogen Atoms Produced from NH3 Activated by Electron Impact」、J.Vac.Sci.Technol.、A 13(4)、1831〜1936ページ(1995)は、電子の衝突によって活性化させたトリメチルガリウム(TMG)およびNH3を、GaN形成の前駆体として使用するプロセスを記載している。Hubner他のプロセスは108Kの温度で実行され、この温度は、電子ビーム照射の前に(本質的に無限の滞留時間を有する)TMGの単層を吸着させるために必要であった。この低い温度は、室温付近で実施される通常のEBIDプロセスからは相当に外れており、このプロセスを工業規模で応用する際の制約条件となるであろう。
【0008】
有機金属前駆体から付着させた金属膜を純化する目的には、水蒸気および酸素を含有するガスが使用されているが、このようなガスは、付着材料または基板を酸化することがあり、一般に材料の成長速度を低下させる。金、白金などの貴金属が酸化の影響を示すとは思われないが、対象の他の多くの膜は、酸素を使用したビーム誘起付着プロセス中に、有害な表面酸化物を形成することが予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第12/525,908号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Folch他、「Electron Beam Deposition of Gold Nanostructures in a Reactive Environment」、Applied Physics Letters、66(16)、2080〜82ページ(1995)
【非特許文献2】Molhave他、「Solid Gold nanostructure Fabrication by Electron Beam Deposition」、Nano Letters.、第3巻、11号、1499〜1503ページ(2003)
【非特許文献3】Sun他、「Electron−induced Nitridation of GaAs(100)with Ammonia」、J.Vac.Sci.Technol.、B、11(3)、610〜613ページ(1993)
【非特許文献4】Hubner他、「GaN Patterned Film Synthesis:Carbon Depletion by Hydrogen Atoms Produced from NH3 Activated by Electron Impact」、J.Vac.Sci.Technol.、A13(4)、1831〜1936ページ(1995)
【非特許文献5】Orloff、Handbook of Charged Particle Optics、CRC Press(1997)
【非特許文献6】Toth,M.他、Appl.Phys.Lett.91、053122(2007)
【非特許文献7】Thiel,B.L.およびToth,M.、J.Appl.Phys.97、051101(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、改良型のビーム誘起処理を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、電子ビーム誘起付着、イオン・ビーム誘起付着およびレーザ・ビーム誘起付着中に汚染物を除去することを可能にする新規の純化化合物の使用である。本発明のいくつかの実施形態の他の態様は、酸化可能な材料の付着またはエッチング中の酸化をリアルタイムで抑制する新規の化合物の使用である。
【0013】
好ましい実施形態では、ビーム誘起付着またはビーム誘起エッチングを強化するために、アンモニア、アミン、アミド、ヒドラジン、あるいはこれらの窒素含有化合物中の1つまたは複数の水素原子の代わりに有機置換基を挿入することによって誘導される化合物などの水素および窒素を含む化合物が使用される。以下では、これらの化合物を「膜純化化合物(FPC)」と呼ぶ。本発明の好ましい実施形態では、FPCが、ビーム誘起付着プロセスの成長速度を低下させない。本発明のいくつかの実施形態の他の態様は、ビーム誘起エッチング中の炭素含有材料の選択エッチングを可能にする新規のエッチング前駆体ガスの使用である。
【0014】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示された着想および特定の実施形態を、本発明と同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は認識すべきである。
【0015】
次に、本発明および本発明の利点のより徹底的な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電子ビーム誘起付着(EBID)、電子ビーム誘起エッチング(EBIE)などの本発明の一実施形態に基づくビーム誘起付着またはエッチング・プロセスの流れ図である。
【図2】毛管ガス噴射システム(GIS)を備えるEBID/EBIEシステムを示す図である。
【図3】毛管GISを備えるEBID/EBIEシステムであって、EBID処理室内へ噴射する前に、付着またはエッチング前駆体ガスをFPCおよび/またはキャリヤ・ガスと予混合する手段をさらに備えるEBID/EBIEシステムを示す図である。
【図4】環境制御型走査電子顕微鏡を利用して、本発明の一実施形態に基づくビーム・ケミストリ(beam chemistry)を実行するEBID/EBIEシステムを示す図である。
【図5】内側環境室を利用して、可能性のある処理室背景ガス汚染から基板付近の真空を分離するEBID/EBIEシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、ビーム誘起エッチング、ビーム誘起付着などのビーム誘起処理に適用される。本発明は、電子ビーム、イオン・ビーム、レーザ・ビーム、クラスタ・ビームおよび中性粒子ビームとともに使用することができる。以下に示す例は主に、本発明を例示するためEBIDおよびEBIDについて記述するが、当業者は、これらの例示から他のタイプのビームとともに本発明を使用する方法を決定することができ、本発明は、電子ビームとともに使用することに限定されない。例えば、本発明は、液体金属イオン源またはプラズマ・イオン源を有するイオン・ビーム・システムとともに使用することができる。
【0018】
以下に記載する化学反応は、本発明のさまざまな実施形態がどのように機能するのかについての本出願の出願人の理解を表すものであり、当業者が、本明細書に記載された例を他の実施形態に拡張するのを助けるために示したものだが、基礎をなす理論を本出願の出願人が正しく理解しているか否かに関わらず、本発明が機能することは証明されている。
【0019】
図1は、本発明の好ましい一方法実施形態の諸ステップを示す。ステップ100では、成長中の膜を汚染したり、処理に使用するビームを妨害する可能性がある背景ガスの濃度を低下させるためポンプによって高真空に排気された処理室内に、基板を配置する。加工物は室温に維持されることが好ましいが、さまざまな実施形態では、加工物を加熱し、または冷却してもよい。ステップ104では、弁を開いて、1種または数種のガスを処理室内へ入れる。本発明のいくつかの実施形態によれば、これらのガスは、付着またはエッチング前駆体ガスおよびFPC、好ましくは窒素を含有する還元ガスを含む。以下の実施形態は主に付着プロセスを記述する。基板上に膜を成長させているときに、膜の付着と膜の純化の両方を同時に実行するため、付着前駆体ガスとFPCは同時に与えることが好ましい。いくつかの構成では、これらのガスが、それぞれの供給システムから別々に室内へ入れられる。別の構成では、試料室に入れられる前に、付着前駆体ガスとFPCが予め混合され、それにより、これらのガスの相対濃度をより精密に制御して、付着速度および最終的な膜の純度に関して付着プロセス全体を最適化することが可能になる。これらのガスを付着処理室に別々に入れると、FPCの濃度を付着前駆体ガスに対して制御することが困難になり、それにより、付着速度および膜の純度に関して付着プロセスの全体効率を最適化することがより困難になる。付着前駆体ガスの量がFPCに対して過大であると、付着中の膜の純化が不十分となるため、不純な膜が生じる可能性がある。付着前駆体ガスに対してFPCの量が過大であると、膜の付着速度が最適速度に達しない可能性がある。本発明では、この先行技術の限界が、精密同時注入(co−injection)または予混合法を使用することにより回避される。
【0020】
多くの用途では、付着前駆体ガスおよび/またはエッチング前駆体ガスが、キャリヤ・ガスと混合される。キャリヤ・ガスは一般に、前駆体ガス、FPCおよび加工物の表面に対して化学的に不活性であるべきである。アルゴンなどの貴ガスが一般に選択される。これは貴ガスが、ほとんど全ての化学反応に対して不活性であるためである。しかしながら、いくつかのケースでは、単一のガス(例えばH2)がキャリヤ・ガスとFPCの両方の機能を果たすことができる。付着前駆体ガスと一緒に使用するキャリヤ・ガスと、FPCと一緒に使用するキャリヤ・ガスは異なっていてもよく、いくつかのケースでは、付着前駆体ガスまたはFPCだけをキャリヤ・ガスと混合し、それぞれの場合に、FPCまたは付着前駆体ガスをキャリヤ・ガスなしで使用することができる。本出願で、前駆体またはFPCを使用すると言うとき、それが、その前駆体またはFPCガスとキャリヤ・ガスとの混合物を使用することを含むことがある。
【0021】
いくつかの実施形態では、高真空の試料室内に加工物が保持され、加工物の表面の近くにこれらのガスが噴射され、加工物の表面におけるこれらのガスの濃度が、試料室の他の部分における濃度よりも高い。環境制御型走査電子顕微鏡内などの他の実施形態では、加工物の表面が、前駆体ガスおよび/またはFPCで満たされたある容積内に維持される。荷電粒子ビームとは違い、レーザでは、試料を真空に維持する必要はない。後に、さまざまな実施形態をより詳細に後述する。
【0022】
ステップ106では、ビームをオンにし(すなわちアンブランク(unblank)し)、このビームを加工物の表面に、垂直にまたはある角度で誘導し、それにより、加工物の表面において、前駆体ガスおよびFPCの1種または数種の化学反応を誘起させる。ステップ108では、このビームを、制御されたある時間、誘導する。この時間は、予めまたはリアルタイムで、自動的にまたはユーザが、ビーム・ラスタ・システムからの信号を使用して、決定することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、基板が、付着前駆体ガス、次いでFPCによって順番に処理される。付着前駆体ガスを室内へ入れ、ビームを基板に向かってある時間の間誘導し、それにより付着プロセスを開始し、その後、ビームを止める。次いで、付着前駆体ガス流をオフにし、FPCをオンにする。任意選択で、FPCをオンにする前に、所定の時間、室をポンピングして、ほぼ全ての残留付着前駆体ガスを除去する。次いで、ビームを再びオンにし、膜純化プロセスを開始させる。所定の時間の後、ビームをオフにし、FPC流をオフにする。次いで、1種または数種の原位置膜分析技法を使用して、付着膜の厚さを測定することができ、おそらくは膜の組成も評価することができる。付着膜が所望の厚さおよび組成を有する場合、付着プロセスは完了である。膜の特性が所望の特性でない場合には、上記のプロセスを繰り返す。1サイクルだけが必要な場合、そのプロセスは連続して実施される(sequential)。多数のサイクルが必要な場合、そのプロセスは交互に実施される(alternating)。
【0024】
ステップ110では、例えばビームをブランク(blank)することによって、ビームの誘導を停止する。ユーザは、付着膜を分析して、プロセスが完了しているかどうかを判定することができ、完了していない場合には、ビームを基板上の所望の位置に置き、上記のステップ106から処理を続ける。処理が完了した場合には、ガスを止める。
【0025】
本発明は任意のタイプのビームを使用することができるが、以下に記載する好ましい一実施形態は、電子ビーム誘起付着および/または電子ビーム誘起エッチングを含む。
【0026】
付着前駆体ガスの選択
多くの付着前駆体ガスが知られており、例えばOrloff、Handbook of Charged Particle Optics、CRC Press(1997)に記載されている。実用的なEBIDプロセスに役立つ各種付着前駆体ガスにとって好ましいいくつかの特性が存在する。
【0027】
(A)分解したとき、付着前駆体ガスは、所望の種の原子を付着させるべきである(例えばタングステンヘキサカルボニルからはタングステンが付着し、テトラキストリフルオロホスフィン白金からは白金が付着する)。
【0028】
(B)分解したとき、付着前駆体ガスは、所望の原子以外の原子を付着膜にあまり多く付着させるべきでない(例えば、W(CO)6の分解によって生成されたタングステン膜中の炭素原子)。
【0029】
(C)付着前駆体ガスは、EBIDプロセスに適した温度において揮発性であるべきである(例えば、前駆体蒸気が凝縮して処理室の表面に膜を形成する温度に前駆体を加熱することはできず、基板に対する熱損傷を引き起こすであろう基板温度で付着プロセスを実施することはできない)。
【0030】
(D)付着前駆体ガスは、上記(C)の基準を満たす温度であまり熱分解すべきではない(すなわち、付着前駆体ガスは、EBIDに加えて熱CVDを経験してはならない)。
【0031】
(E)付着前駆体ガスは、ガス送達システム、処理室、電子ビーム・カラムまたは基板に対して過度に腐食性であるべきではない。
【0032】
(F)EBIDにおいて適当であるために、付着前駆体ガスはさらに、他のさまざまな化学的および物理的要件を満たす必要があることがある(これらの要件は、商業的に実行可能な大規模用途に対する要件と比べて、研究開発用途に対する要件が異なることがある)。
【0033】
(G)付着前駆体ガスは、上記(C)の基準を満たす温度で、キャリヤ・ガスまたはFPC(あるいはこれら2つの混合物)と、自発的に(すなわち電子、イオンまたはレーザが存在しない状況で)反応してはならない。
【0034】
ビーム誘起処理用の付着前駆体ガスに対するこれらの特有の要件のため、ウェーハ全体を処理する目的に使用される多くのガスは、荷電粒子処理または他のビーム処理には適さない。これは例えば、それらのガスが、荷電粒子ビームが存在しない状況で基板と自発的に反応する可能性があるか、あるいは荷電粒子ビームによる活性化を可能にする十分に高い付着係数または十分に長い脱離時間を持たないことがあるためである。特定の材料を付着させる付着前駆体ガスを見つけ、またはそのような付着前駆体ガスを設計することが非常に困難であることがある。本発明のための付着前駆体ガスの特定な選択が、FPC(またはFPC+キャリヤ・ガス)と付着前駆体ガスから基板表面上に付着させる材料との間の可能性のある相互作用の影響を受けることがある。さまざまなタイプのビームとともに使用される前駆体は、それらのさまざまなビームとさまざまに相互作用し、したがってさまざまな要件を有する。
【0035】
膜純化化合物の選択
本発明のいくつかの実施形態によれば、追加のガスを使用して付着膜を純化することによって、付着膜の質(例えば純度、導電率、均質性など)が向上する。付着膜純化の具体的な目的はしばしば炭素汚染物の除去である。これらの汚染物は膜の導電率を低下させる傾向があり、それにより多くの用途において膜の性能を低下させる。
【0036】
好ましいFPCは、(H2OまたはO2などの)酸化ガスではなく、還元ガス、好ましくは窒素を含有する還元ガスである。「還元」ガスは一般に水素を含み、他の原子を含むこともある。いくつかの可能性のある還元化合物およびガス混合物を、ビーム誘起付着プロセスにおけるFPCとして使用することができる。本発明の文脈において、膜の「純化」は、ビーム誘起付着プロセスで、付着前駆体ガスとともにFPCを使用すると、この項に記載するFPCが存在しない場合よりも汚染(多くの実施形態では炭素汚染物)の少ない膜が形成されることを意味する。膜中の汚染の低減は一般に膜の導電率を改善する。いくつかのケースでは、FPCを予めキャリヤ・ガスと混合しておくことができる。
【0037】
好ましくは、本発明のビーム誘起付着法は、窒素を基にした多数の還元ガスのうちの任意の1種または数種のガスを利用する。1つの水素含有窒素化合物が、強い刺激臭を有し、−33.34°Cで沸騰する、苛性の危険化合物であるアンモニアNH3である。アンモニアは、加圧タンクから、あるいは熱分解してアンモニアと炭酸とを形成する炭酸アンモニウム(NH42CO3などの固体前駆物質から供給することができる。本出願の出願人らは、アンモニアが、FPCとして、特に水素に比べ、以下の望ましい特性を示すことを見出した。
【0038】
(i)電子ビームの照射下で、NH3は、炭素を直ちにCH4などの揮発性分子に転化させる反応を生じさせる。この特性は、アンモニア分子およびその吸着解離生成物の以下の特性に起因すると考えられる。
【0039】
(a)アンモニア分子は顕著な双極子モーメントを有し、それにより、多くの基板表面へのアンモニアの吸着を強化し、水素結合によって表面滞留時間を増大させ、
(b)アンモニアは、表面において再結合する強い傾向を有する2つの種に解離しない。
【0040】
(ii)電子ビームの照射下で、NH3は、EBID中に基板の酸化を引き起こしうる吸着酸素原子を生成しない。
【0041】
(iii)FPCとしてのアンモニアは、H2Oを膜純化化合物として使用したときには起こる分解反応を起こすことなく、多数のEBID前駆体(付着前駆体ガス)と混合することができる。
【0042】
(iv)ともに付着速度を低下させるH2OまたはO2が存在する場合とは対照的に、NH3がFPCとして存在すると、付着速度が増大することがある。EBIDプロセスは、EBIDの適用可能性を限定する非常に低い体積成長速度を示すため、この特性は非常に有益である。このNH3によって引き起こされるEBID成長速度の向上の背後にある機構は、Hによって引き起こされる、付着前駆体ガスの表面拡散係数の増大であると考えられる。
【0043】
次に複雑な種類の水素含有窒素FPC化合物は、アンモニア分子中の1つ、2つまたは3つ全ての水素原子が、アルキル基、アリール基などの有機置換基によって置換されたアミンである。アンモニアの1つの水素原子だけが置換されたとき、生じる化合物は第一級アミンであり、その例は、メチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミンなどである。2つの水素原子が置換されたとき(同一の置換基によって置換される必要は必ずしもない)、生じる化合物は第二級アミンであり、その例は、ジメチルアミン、メチルエタノールアミン、およびアジリジンなどの環状アミンなどである。3つの全ての水素原子が置換されると(この場合も同一の置換基によって置換される必要は必ずしもない)、第三級アミンが得られ、その例は、トリメチルアミン、ジメチルエタノールアミンなどである。第一級アミンおよび第二級アミンはそれぞれ2つのまたは1つの水素原子を保持しており、これにより、その分子は水素結合することができる。この規則に対する部分的例外が、窒素原子上の非共有電子対がベンゼン環と共役した芳香族アミンである。置換基の複雑さおよびサイズによって、アミンは、室温、室圧で液体または気体でありうる。
【0044】
別の種類の水素含有FPC分子が、一般式R1(CO)NR23を有するアミドであり、R2とR3のうちの一方または両方を水素とすることができる。FPCとしてアミドを使用する潜在的な欠点は、吸着アミド分子の電子ビーム誘起解離によって生成される吸着O原子によって表面酸化が起こる可能性があることである。
【0045】
水素を含むイオン性窒素化合物もFPCとして有用であることがある。その例は、水酸化アンモニウムNH4OH、炭酸アンモニウム(NH42CO3などである。水酸化アンモニウムは純粋なアンモニアよりも安全だが、この化合物の使用は、不可避的に、基板表面上の望ましくない水汚染を導入する。炭酸アンモニウムは室温で固体であり、したがって、いくつかのガス噴射システムではアンモニアよりも使用に適するが、この化合物は、室温において限られた蒸気圧を有する。
【0046】
上記の水素含有化合物は全て、単一の窒素原子を有する。明らかに、ヒドラジンN24、ならびにアミンおよびアミドの場合と同様にその4つの水素原子のうちの1つないし4つの水素原子を置換することによって誘導される化合物(この場合も複数の置換基が同じである必要はない)など、2つ以上の窒素原子を含むより複雑なFPC化合物も可能である。ヒドラジンは、非常に毒性が高く、危険なまでに不安定であり、安全のため、一般に水溶液として取り扱われる。ヒドラジンおよびヒドラジンから誘導された少なくとも1つの水素原子を含む化合物は水素結合することができ、それに対応して、一部の基板表面上において、強化された吸着および滞留時間を有する。
【0047】
ガス混合物を利用して、この強化されたEBIDプロセス用のFPCを供給することも可能である。例えば、窒素と水素(最大5.7%)の混合物である「フォーミング・ガス」は一般的に、還元的雰囲気を提供する目的に使用され、この限られた量の水素が爆発の危険を防ぐ。
【0048】
上記の任意の分子を、Arなどの「キャリヤ・ガス」と組み合わせて、EBIDプロセス用の混合物(FPC+キャリヤ・ガス)とすることもできる。
【0049】
EBIDおよび/またはEBIE処理室の構成
図2〜5は、EBID/EBIE処理室のさまざまな構成を示す。EBIDおよび/またはEBIEを使用して、基板上にパターン形成された構造を形成する処理室の構成は、いくつかの設計および動作パラメータによって特徴づけることができる。
【0050】
(A)電子ビーム・カラム設計。これは、電子源(一般に10-9トルレンジ(range)の真空を必要とする)と基板を含む室との間の差動ポンピングの程度、基板表面に対する集束電子ビームの入射角、基板におけるビームのサイズおよびエネルギー範囲、EBIDプロセス中に基板を画像化する方法など、カラム設計の諸側面を含む。
【0051】
(B)処理ガスを導入する方法。処理ガスには、付着前駆体ガスと、FPC、キャリヤ・ガスなどの他の追加のガスの両方が含まれる。これは、処理ガスが、室全体に導入されるのか(図4)、または電子ビームと基板表面との交点の近くに取り付けられた毛管によって導入されるのか(図2および3)、あるいは全体真空室内の小さな内側真空エンクロージャに導入されるのか(図5)を含む。
【0052】
(C)基板が主処理室内にあるのか(図2〜4)、または、主室内の別個の環境エンクロージャの中に含まれるのか(図5)。
【0053】
EBIDおよび/またはEBIEに対して使用する好ましい室設計は用途によって異なる。
【0054】
図2〜5に示す特定のシステム構成は例示だけが目的であり、図2〜5のシステムのうちの任意の1つのシステムを使用して本発明の方法を実現することができ、図2〜5に示すシステム構成は本発明の要素ではない。示されたシステムに対する、当業者によく知られた変更を使用して、本発明の方法を実現することもできる。
【0055】
図2は、EBIDと電子ビーム誘起エッチング(EBIE)の両方を含む従来の電子ビーム・ケミストリ用の処理室200の概略図である。当業者にはよく知られているように、電子ビーム201は、一般に電子源、レンズ、デフレクタ、ブランカおよびアパーチャを備える電子カラム(図示せず)によって生成される。図2では、電子ビーム201が、基板220の表面221に対して垂直に誘導されているように示されているが、いくつかの用途では、垂直に対してある角度で、基板表面221に向かって電子ビーム201を誘導することが好ましいことがある。基板220は可動ステージ222によって支持されており、可動ステージ222は、電子ビーム201が基板表面221のさまざまな領域に当たることを可能にする。基板220およびステージ222は、室分離弁204を通して高真空ポンプ(一般にターボ分子ポンプ)206によってポンピングされる高真空室202内に取り付けられている。高真空ポンプ206は、バッキング管路208を通してバッキング・ポンプ210によって支援され、ポンプ210からの排気は、排気管路212を通ってシステム200を出る。室202内の真空レベルは、単一の計器管234によって概略的に示された1つまたは複数の計器(計器はそれぞれ、特定の真空レベル範囲の真空レベルを読む)によって監視される。処理ガス(本発明において想定される付着前駆体ガスならびにおそらくはFPCおよびキャリヤ・ガスを含む)はガス噴射システム(GIS)226内を流れ、そこで予め混合され、次いで、毛管228によって、基板表面221の電子ビーム201の到達領域付近に向かって誘導される。リザーバ、ストップ・バルブおよび調整弁(図示せず)がGISの他の部分を構成することがある。システム200は、処理ガスである付着前駆体ガス、FPCおよびキャリヤ・ガスをGIS内で(すなわち基板220から比較的に離れた場所で)混合してもよい場合に、本発明の方法において使用することができる。基板のより近くでガスを混合しなければならない場合には、図3のシステム300の方が好ましいであろう。付着前駆体は一般に室温で固体または液体であり、任意選択で、ガス分子が基板へ流れる速度を制御するため、またはシステム226および管228を流れるガスが処理中に凝縮しないようにするために、冷却または加熱される。カラム内の対物レンズの最終の磁極片224は、高真空エンクロージャ全体の部分を構成することができ、それにより、対物レンズと基板表面221との間の作動距離をより短くすることができる。作動距離が短いほど、(1)源−基板間の拡大を低減させ、それにより、生成されるビームをより小さくすることができ、(2)基板表面221の上方で起こる電子−ガス散乱を低減させ、それにより、EBIDまたはEBIEプロセスに対して使用可能な基板220におけるビーム電流を増大させるという利点がある。基板の直上の領域230は、毛管228の働きにより、処理ガスの圧力が局所的に高い。室分離弁204が開くと、室202は活発にポンピングされ、一般に10-6から10-7ミリバールレンジの室ベース圧を与える。処理中は、室圧を10-5ミリバールレンジ、領域230の局所圧力を約10-3ミリバールとすることができる。
【0056】
システム構成200の利点には、領域230の処理ガス圧が強化されるため、付着またはエッチング速度が潜在的により高いことが含まれる(室202全体の平均背景圧に比べて)。欠点としては、(1)毛管228が必要なこと、特に、(おそらくは基板表面221における電子ビーム201の走査域の広さを制限する)毛管228の端部を、ビーム201の到達領域に対して慎重に位置決めする必要があること、(2)電子ビーム201が表面221と交差する点における付着前駆体ガスの圧力を直接に測定できないこと、(3)基板表面221が室202内の背景ガス種にさらされるため、成長中に膜が汚染される可能性があることなどが挙げられる。
【0057】
図3は、図2の処理室に代わる、従来の電子ビーム・ケミストリ用の代替処理室300の概略図であり、この処理室では、図2のシステム200を使用することによって可能な位置よりも基板320にずっと近い位置で、付着前駆体ガス、FPCおよびキャリヤ・ガス(任意選択)を予混合することができる。電子ビーム301は、電子カラム(図示せず)によって生成され、図2と同じビーム方向の考慮すべき点がここでも適用される。基板320は可動ステージ322によって支持されており、可動ステージ322は、電子ビーム301が基板表面321のさまざまな領域に当たることを可能にする。基板320およびステージ322は、室分離弁304を通して高真空ポンプ(一般にターボ分子ポンプ)306によってポンピングされる高真空室302内に取り付けられている。高真空ポンプ306は、バッキング管路308を通してバッキング・ポンプ310によって支援され、ポンプ310からの排気は、排気管路312を通ってシステム300を出る。室302内の真空レベルは、単一の計器管334によって概略的に示された1つまたは複数の計器(計器はそれぞれ、特定の真空レベル範囲の真空レベルを読む)によって監視される。処理ガス(本発明において想定される付着前駆体ガスならびにおそらくはFPCおよびキャリヤ・ガスを含む)はガス噴射システム(GIS)326内を流れ、次いで、毛管328によって、基板表面321の電子ビーム301の到達領域付近に向かって誘導される。リザーバ、ストップ・バルブおよび調整弁(図示せず)がGISの他の部分を構成することがある。付着前駆体は一般に室温で固体または液体であり、任意選択で、ガスの流量を制御するため、またはシステム326および毛管328を流れるガスが処理中に凝縮しないようにするために、冷却または加熱される。リザーバ350、ストップ・バルブ352および調整(絞り)弁354を備える供給システムを通して、追加の処理ガスを供給することができる。室温で揮発する処理ガス(2種類以上のガスの混合物でもよい)については、リザーバ350を、処理ガスを収容するタンクとすることができる。室温で固体または液体である処理ガスについては、揮発性を高め、または処理中の凝縮を防ぐために、リザーバ350を加熱または冷却することができる。これらの処理ガスは、毛管328内の接合部358で結合し、毛管328の接合部358と領域330の間の部分を流れている間に予混合され、その後、基板表面321の電子ビーム301の到達領域の直上の領域330に噴射される。図2の場合と同様に、カラム内の対物レンズの最終の磁極片324は、高真空エンクロージャ全体の部分を構成することができる。図2と同じ室圧および処理ガス圧の考慮すべき点がここでも適用される。
【0058】
システム構成300の利点および欠点は構成200のものと同様だが、第2のガス供給機能の追加によって、膜成長能力が向上する。しかしながら、この機能の追加により、システムの複雑さは必然的に増大し、これによりコストが増大し、信頼性が潜在的に低下する。
【0059】
図2に示したシステムは、任意選択で、2つ以上のGIS226を含むことができ、GISはそれぞれ、それらのGISによって送達されたガスが領域230内で混合するように、表面221の方へ向けられる。
【0060】
図4は、環境制御型走査電子顕微鏡内の電子ビーム・ケミストリ(ここもやはりEBIDおよび/またはEBIE)用処理室400の概略図である。この方法では、毛管を用いて基板表面421の近くにだけ処理ガスを導入する代わりに、リザーバ450、ストップ・バルブ452および調整(絞り)弁454を備える供給システムを通して、室402全体に処理ガスを充填する。図4では、「処理ガス」を、付着前駆体ガス、FPCおよびキャリヤ・ガス(任意選択)を含むものと解釈することができる。室温で揮発する処理ガス(2種類以上のガスの混合物でもよい)ついては、リザーバ450を、処理ガスを収容するタンクとすることができる。室温で固体または液体である処理ガスについては、揮発性を高め、または処理中の凝縮を防ぐために、リザーバ450を加熱または冷却することができる。基板420は可動ステージ422によって支持されており、可動ステージ422は、電子ビーム401が基板表面421のさまざまな領域に当たることを可能にする。基板420およびステージ422は、室分離弁404を通して高真空ポンプ(一般にターボ分子ポンプ)406によってポンピングされる真空室402内に取り付けられている。高真空ポンプ406は、バッキング管路408を通してバッキング・ポンプ410によって支援され、ポンプ410からの排気は、排気管路412を通ってシステム400を出る。室402内の真空レベルは、単一の計器管434によって概略的に示された1つまたは複数の計器(計器はそれぞれ、特定の真空レベル範囲の真空レベルを読む)によって監視される。図2および3の場合と同様に、電子カラム(図示せず)内の対物レンズの最終の磁極片424は、真空エンクロージャ全体の部分を構成することができる。しかしながら、図4の室構成の違いは、室全体に処理ガスが充填されるため、磁極片424の下端にアパーチャ460を導入して、処理ガス(および揮発性生成物)の電子カラムへの流入を制限する必要があることである。一般に、それぞれが1桁または数桁の真空分離を可能にする追加のいくつかのアパーチャを、カラムの光軸に沿って配置することができる。この室構成は、環境型走査電子顕微鏡に特徴的なものであり、したがって、このような室の中で実行されるプロセスは普通、「ESEM(登録商標)ビーム・ケミストリ」と呼ばれる。処理中、室402内の圧力は、室分離弁404が閉じた状態で、0.1から20トルとすることができる。当業者によく知られているように、処理中に、(図4には示されていないポンプを使用して)室402を粗引きして、定常状態背景不純物濃度を低下させ、それによって、成長中の膜への不純物の混入を低減させることができる。
【0061】
システム構成400の利点としては、(1)基板表面421の近くに毛管を配置する必要がない単純化された処理ガス噴射システム(GIS)、(2)電子ビーム401が表面421と交差する点における付着前駆体ガスの圧力をより大きくすることができること、(3)電子ビーム401が表面421と交差する点における付着前駆体ガスの圧力を直接に測定できること、(3)絶縁体である基板420の電荷安定化を達成することができることなどが挙げられる。欠点には、室402の圧力がより高いため、構成200および300に比べてカラムおよび室の汚染が増大する危険性があることが含まれる。
【0062】
図5は、参照によって本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された「High Pressure Charged Particle Beam System」という名称の米国特許出願第12/525,908号に記載されている、ESEMビーム・ケミストリ用のより複雑な第2の処理室500を示す。基板525は、処理室502内に位置するX−Y−Z移動ステージ520上に取り付けられた環境室578内に位置する。環境室578は、電子ビーム501が基板525に伝わることを可能にする圧力制限アパーチャ(PLA)527を含む。ステージ520は、環境室578およびPLA527を電子ビーム501に対して位置決めするために使用される。基板525は、X−Y−Zサブステージ522に接続され、サブステージ522は、PLA527とは無関係に、基板525を電子ビーム501に対して位置決めするために使用される。サブステージ522は、基板表面526のEBIDおよび/またはEBIEを実行する領域よりもPLA527が小さいときに必要である。代替実施形態では、基板525を、環境室578の内面に直接に取り付けることができる。高真空ポンプ(一般にターボ分子ポンプ)506が、室分離弁504を通して室502をポンピングする。高真空ポンプ506は、バッキング管路508を通してバッキング・ポンプ510によって支援され、ポンプ510からの排気は、排気管路512を通ってシステム500を出る。室502内の真空レベルは、単一の計器管534によって概略的に示された1つまたは複数の計器(計器はそれぞれ、特定の真空レベル範囲の真空レベルを読む)によって監視される。環境室578内の真空レベルは、単一の計器管570によって概略的に示された1つまたは複数の計器(計器はそれぞれ、特定の真空レベル範囲の真空レベルを読む)によって監視される。なお、室578は(SEMステージ520によって)機械的に運動するため、計器管570は、室578へ通じる可撓性の真空接続571を有していなければならない。図2〜4の場合と同様に、電子カラム(図示せず)内の対物レンズの最終の磁極片524は、真空エンクロージャ全体の部分を構成することができる。任意選択で、基板525を、処理中の基板温度の制御を可能にする熱/冷ステージ524上に支持することができる。試料の加熱または冷却は、例えば膜の純度を向上させ、または処理速度を増大させることにより、ガス媒介プロセスを改善することができる。熱/冷ステージ524は、環境室578内のサブステージ522に接続する断熱体523によって支持される。処理室502内のSEMステージ520上において室578を支持する断熱体521によって、第2の熱分離レベルが提供される。任意選択で、高ガス圧の室578の内面への前駆体の凝縮を防ぎ、原位置CVDなどのガス媒介プロセスを支援するために、室578が加熱される。
【0063】
室502と環境室578の両方からの(背景ガスを除去するための)高真空ポンピングの後、リザーバ560、ストップ・バルブ562および調整(絞り)弁564を備える供給システムを通して、環境室578に、0.1から20トルの圧力まで処理ガスを充填する。図5では、「処理ガス」を、付着前駆体ガス、キャリヤ・ガスおよびFPC、または付着前駆体ガス、キャリヤ・ガスおよびFPCの混合物を含むものと解釈することができる。なお、室578は機械的に運動するため、可撓管561が、処理ガス供給システムを環境室578に接続する。室温で揮発する処理ガス(2種類以上のガスの混合物でもよい)については、リザーバ560を、処理ガスを収容するタンクとすることができる。室温で固体または液体である処理ガスについては、前駆体の蒸気圧を制御するために、リザーバ560を加熱または冷却することができる。
【0064】
環境室578はさらに、可撓管551(ステージ520上での室578の運動を調整するための)、絞り弁554、ストップ・バルブ552およびポンプ550を備える別個のポンピング・システムを有する。図4の状況とは違い、この構成では、室分離弁504を通して高真空ポンプ506によって、あるいは別個の粗引きポンプ(図示せず)によって、主室502を絶えずポンピングすることができる。EBIDおよび/またはEBIE中に、電子検出器572を使用して基板を画像化することができ、電子検出器572は、(室578の運動を調整するための)可撓性電気接続573を通して外部ケーブル574に接続される。検出器572の動作は、Toth,M.他、Appl.Phys.Lett.91、053122(2007)、ならびにThiel,B.L.およびToth,M.、J.Appl.Phys.97、051101(2005)において論じられている。
【0065】
図5に示したこのより複雑なシステムの利点としては、(1)環境室578の内容積を室402の内容積よりもかなり小さくすることができるため、処理ガスをより効率的に使用することができること、(2)環境室578の内面の面積を室402の内面の面積よりもかなり小さくすることができるため、処理ガスの排出および異なるタイプの処理ガス間の切換えを迅速に実施することができること、(3)室402などのSEM室内において一般に使用される構成要素に対して、大量だと有害な化学的に腐食性のガスを使用することができること、(4)SEM室402であれば内側面への凝縮につながると思われる非常に高いガス圧を使用することができること、(5)排気された処理室502が室578の周囲の真空ジャケットの働きをするため、処理純度が向上することなどが挙げられる。欠点には、システムの複雑さが増大し、それにより、コストが増大し、信頼性が潜在的に低下することが含まれる。
【0066】
図に示したシステムを使用し、
加工物の表面に付着前駆体ガスを供給するステップと、
加工物の表面に向かって、窒素含有還元化合物を含む純化化合物を供給するステップと、
加工物の表面の局所領域に向かってビームを誘導するステップであり、ビームが、前駆体ガスの分解を引き起こして、加工物の表面に付着物を形成し、この付着した材料が汚染物を含み、ビームが、純化化合物と基板上に付着した材料との間の化学反応を誘起させて、汚染物を除去し、同じ方法を使用して純化化合物を使用せずに付着させた材料よりも汚染が少ない付着材料を提供する、ステップと
を使用して、加工物の表面に材料を付着させることができる。
【0067】
真空室内において維持される好ましい圧力は、使用する化合物および用途によって異なる。いくつかの実施形態では、加工物が、付着前駆体ガスおよび純化化合物を含む試料室内に配置され、室内の全体の圧力が0.001ミリバールよりも大きいか、または0.1ミリバールよりも大きい。
【0068】
ビームは、加工物上において、1ミクロン未満、より好ましくは100nm未満のスポット・サイズを有することが好ましい。
【0069】
ビーム誘起エッチング・システムおよびプロセスの諸態様
前項で説明したビーム誘起付着システムおよびプロセスと対応するビーム誘起エッチング・システムおよびプロセスとの間には多くの類似点がある。以下の3つの態様について特徴づけることができる。
【0070】
(1)処理室の物理構成
(2)エッチング前駆体ガスおよびFPCの選択(後者は、エッチング対象材料の酸化を抑制するために使用される)
(3)エッチング前駆体ガスのエッチング対象領域への輸送を助けるために使用される(任意選択の)キャリヤ・ガス
一般に、(1)に関する可能性は同じである。すなわち、エッチング処理室と付着処理室は同じ物理構成を有することができる。(2)では、エッチングのために、付着のために使用される付着前駆体ガスの代わりに、必要なエッチング前駆体ガスおよびエッチング対象材料の酸化を抑制する働きをする任意選択のFPCが使用される。FPC候補としてこれまでに論じたさまざまな窒素ベースの還元ガスも、エッチング前駆体ガス、特にダイヤモンド、フォトレジストなどの炭素含有材料をエッチングするエッチング前駆体ガスの適当な選択肢である。(3)に関しては、エッチング前駆体ガスに対するキャリヤ・ガスの考慮すべき点も、付着前駆体ガスを使用した付着プロセスに対するものと本質的に同じである。
【0071】
ビーム誘起付着と同様に、ビーム誘起エッチングも、電子ビーム、イオン・ビームなどの荷電粒子ビーム、レーザ・ビーム、クラスタ・ビーム、中性ビームまたはその他のビームを使用することができる。ビームは、ビームのタイプに応じた小さなスポット・サイズを提供するように集束することが好ましい。例えば、電子ビームは、100nm未満または10nm未満のスポット・サイズを形成することが好ましい。窒素含有還元ガスは、エッチング前駆体ガスとして使用できるだけでなく、他のエッチング前駆体ガスとともに使用して、加工物の酸化を抑制することもできる。
【0072】
したがって、図に示したシステムを使用し、集束ビームを使用し、
加工物の表面に、窒素含有還元エッチング前駆体ガスを供給するステップと、
加工物上の局所領域にビームを誘導するステップであり、このビームが、窒素含有還元エッチング前駆体ガスと加工物の材料との間の反応を誘起させて、表面をエッチングする、ステップと
を使用して、加工物を処理することができる。
【0073】
図に示したシステムは、加工物を処理するビーム・システムであって、
集束ビームの源と、
付着前駆体ガスまたはエッチング前駆体ガスの源と、
窒素含有還元純化化合物の源と、
ビーム・システムを制御するコンピュータであり、付着前駆体ガスまたはエッチング前駆体ガスおよび前記純化化合物を加工物の表面に供給し、加工物上にビームを、所定のパターンを描くように誘導して、付着前駆体ガスの分解により材料を付着させ、付着した材料を、純化化合物の分解により純化し、または加工物をエッチングするためのプログラム命令を記憶した記憶装置を含むコンピュータと
を備えるビーム・システムを提供する。
【0074】
加工物の表面に材料を付着させる本発明に基づく好ましい方法は、加工物の表面に付着前駆体ガスを供給するステップと、加工物の表面に、窒素含有化合物を含む純化化合物を供給するステップと、加工物の表面の局所領域に向かってビームを誘導するステップであり、このビームが、前駆体ガスの分解を引き起こして、加工物の表面に付着物を形成し、この付着した材料が汚染物を含み、純化化合物が、汚染物の濃度を低下させ、同じ方法を使用するが純化化合物を使用せずに付着させた材料よりも汚染が少ない付着材料を提供する、ステップとを含むことができる。
【0075】
汚染物は炭素を含むことができる。純化化合物は、還元化合物、NH3、ヒドラジン、置換ヒドラジン化合物、アミン、置換アミン化合物、アミド、置換アミド化合物またはフォーミング・ガスを含むことが好ましい。純化化合物の存在は材料の付着速度を低下させないことが好ましい。ビームは、電子ビーム、イオン・ビーム、クラスタ・ビーム、中性粒子ビームまたはレーザ・ビームを含むことが好ましい。付着前駆体は、有機金属化合物、または金属および炭素を含むことが好ましい。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、加工物が試料室内に配置され、前駆体ガスおよび純化化合物が、加工物の表面における前駆体ガスおよび純化化合物の圧力が試料室の加工物の表面から離れた部分における前駆体ガスおよび純化化合物の圧力よりも大きくなるように加工物の表面に十分に近い位置に配置されたノズルによって、加工物の表面に向かって誘導されることが好ましい。あるいは、加工物を試料室内に配置することができ、前駆体ガスと純化化合物は、異なる開口を通って試料室に入る。
【0077】
本発明の好ましいいくつかの実施形態では、ビームが、直径1ミクロン未満の荷電粒子ビームである。加工物は、付着前駆体ガスおよび純化化合物を含む試料室内に配置され、室内の全体の圧力は0.001ミリバールよりも大きいことが好ましい。好ましいいくつかの実施形態では、真空室に入る前に、前駆体ガスと純化化合物が混合される。
【0078】
加工物を処理する本発明の好ましい実施形態に基づくビーム・システムは、集束ビームの源と、付着前駆体ガスの源と、窒素含有純化化合物の源と、ビーム・システムを制御するコンピュータであり、付着前駆体ガスおよび純化化合物を加工物の表面に供給し、加工物上にビームを、所定のパターンを描くように誘導して、付着前駆体ガスの分解により材料を付着させ、付着した材料を、純化化合物の分解により純化するためのプログラム命令を記憶した記憶装置を含むコンピュータとを含む。
【0079】
本発明の好ましいシステムでは、純化化合物が還元化合物であり、集束ビームの源が、荷電粒子ビーム・カラムまたは荷電電子ビーム・カラムであり、かつ/あるいは、窒素含有純化化合物の源が、NH3、ヒドラジン、置換ヒドラジン化合物、アミン、置換アミン化合物、アミド、置換アミド化合物またはフォーミング・ガスの源を含む。
【0080】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物の表面に材料を付着させる方法であって、
前記加工物の表面に付着前駆体ガスを供給するステップと、
前記加工物の表面に向かって、窒素含有化合物を含む純化化合物を供給するステップと、
前記加工物の表面の局所領域に向かってビームを誘導するステップであり、前記ビームが、前記前駆体ガスの分解を引き起こして、前記加工物の表面に付着物を形成し、この付着した材料が汚染物を含み、前記純化化合物が、前記汚染物の濃度を低下させ、同じ方法を使用するが純化化合物を使用せずに付着させた材料よりも汚染が少ない付着材料を提供する、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記純化化合物が還元化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビームが、電子ビーム、イオン・ビーム、クラスタ・ビーム、中性粒子ビームまたはレーザ・ビームを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記純化化合物の存在が材料の付着速度を低下させない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記純化化合物がNH3を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記付着前駆体が有機金属化合物を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記汚染物が炭素である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記純化化合物が、ヒドラジンまたは置換ヒドラジン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記付着前駆体ガスが金属および炭素を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記純化化合物が、アミン、置換アミン化合物、アミド、置換アミド化合物またはフォーミング・ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記加工物が試料室内に配置され、前記前駆体ガスおよび前記純化化合物が、前記加工物の表面における前記前駆体ガスおよび前記純化化合物の圧力が前記試料室の前記加工物の表面から離れた部分における前記前駆体ガスおよび前記純化化合物の圧力よりも大きくなるように前記加工物の表面に十分に近い位置に配置されたノズルによって、前記加工物の表面に向かって誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記加工物が試料室内に配置され、前記前駆体ガスと前記純化化合物を、異なる開口を通って前記試料室に導入する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ビームが、直径1ミクロン未満の荷電粒子ビームである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記加工物が、付着前駆体ガスおよび純化化合物を含む試料室内に配置され、前記室内の全体の圧力が0.001ミリバールよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記真空室に導入する前に、前記前駆体ガスと前記純化化合物が混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
加工物の表面に材料を付着させる方法であって、
前記加工物の表面に付着前駆体ガスを供給するステップと、
前記加工物の表面に向かって純化化合物を供給するステップと、
前記加工物の表面の局所領域に向かってビームを誘導するステップであり、前記ビームが、前記付着前駆体の分解を引き起こして、前記加工物の表面に付着物を形成し、この付着した材料が汚染物を含み、前記純化化合物が、同じ方法を使用するが純化化合物を使用せずに付着させた材料よりも汚染が少ない付着材料を与える前記汚染物の濃度の低下を引き起こし、前記純化化合物が、同じ方法を使用するが純化化合物を使用せずに得られる付着速度を低下させない、ステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記ビームが、電子ビーム、イオン・ビーム、クラスタ・ビーム、中性粒子ビームまたはレーザ・ビームを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記純化化合物が窒素を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記純化化合物がNH3を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記付着前駆体が有機金属化合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記汚染物が炭素である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記純化化合物が、ヒドラジンまたは置換ヒドラジン化合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記付着前駆体ガスが金属および炭素を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記純化化合物が、アミン、置換アミン化合物、アミド、置換アミド化合物またはフォーミング・ガスを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
集束ビームを使用して加工物を処理する方法であって、
加工物の表面に、窒素含有エッチング前駆体ガスを供給するステップと、
前記加工物上の局所領域に向かってビームを誘導するステップであり、前記ビームが、前記窒素含有エッチング前駆体ガスと前記加工物の材料との間の反応を誘起させて、前記表面をエッチングする、ステップと
を含む方法。
【請求項26】
前記窒素含有エッチング前駆体ガスが還元ガスである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記窒素含有エッチング前駆体ガスがNH3を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記窒素含有エッチング前駆体ガスがヒドラジンまたは置換ヒドラジン化合物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記窒素含有エッチング前駆体ガスが、アミン、置換アミン化合物、アミド、置換アミド化合物またはフォーミング・ガスを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記ビームが、集束電子ビームまたはレーザ・ビームである、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記加工物の材料が炭素を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
加工物を処理するビーム・システムであって、
集束ビームの源と、
付着前駆体ガスの源と、
窒素含有純化化合物の源と、
前記ビーム・システムを制御するコンピュータであり、前記付着前駆体ガスおよび前記純化化合物を前記加工物の表面に供給し、前記加工物上に前記ビームを、所定のパターンを描くように誘導して、前記付着前駆体ガスの分解により材料を付着させ、付着した材料を、前記純化化合物の分解により純化するためのプログラム命令を記憶した記憶装置を含むコンピュータと
を備えるビーム・システム。
【請求項33】
前記純化化合物が還元化合物である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記集束ビームの前記源が荷電粒子ビーム・カラムである、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記集束ビームの前記源が荷電電子ビーム・カラムである、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
窒素含有純化化合物の前記源が、NH3、ヒドラジンまたは置換ヒドラジン化合物の源を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
窒素含有純化化合物の前記源が、アミン、置換アミン化合物、アミド、置換アミド化合物またはフォーミング・ガスの源を含む、請求項32に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−80142(P2011−80142A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−198850(P2010−198850)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(501419107)エフ・イ−・アイ・カンパニー (78)
【Fターム(参考)】