説明

フローティングシートの製造装置及び方法

本発明にかかるシート製造装置は、溶融物を保持する溝を備える容器を有する。溶融物は、溝の第1のポイントから第2のポイントに流れるように構成される。冷却プレートが、溶融物に近接して配置され、溶融物上にシートが形成される。スピルウェイは、溝の第2のポイントに配置される。このスピルウェイを、溶融物からシートを分離させるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原材料のシートの製造、特に溶融物から結晶性物質のシートを製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハやシリコンシートは、例えば集積回路や太陽電池に関する産業で使用される。太陽電池の需要は、再生可能なエネルギー源の需要が増加するのに従って増加し続けている。これらの需要の増加により、太陽電池産業は、コスト/パワー比を下げることを1つの目標としている。太陽電池には、結晶シリコンと薄膜の2つのタイプがある。太陽電池の大部分が結晶シリコンから作られる。現在、結晶シリコン型太陽電池の主要コストは、太陽電池を形成しているウエハである。太陽電池の効率、又は標準光の下での電力生産量は、このウエハの品質によって、ある程度限定されている。品質を損なうことなくウエハの製造コストを削減することは、コスト/パワー比を下げるとともに、クリーンエネルギー技術のより広い利用を可能とするであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
太陽電池の最高効率は、20%以上にすることができる。太陽電池は、エレクトロニクスグレードの単結晶シリコンウエハを使用して作られている。このようなウエハは、チョクラルスキー法の使用により、種結晶を成長させた筒状の単結晶シリコンを薄くスライスして作られる。これらは、厚さが200μm以下にスライスされる。単結晶の成長を維持する為に、種結晶をゆっくり成長させなければならず、溶融物を収容するるつぼで10μm/s以下で成長させる。その後のスライス工程は、切り口の損失又はソーブレード幅の損失が1枚のウエハ当たりおよそ200μmとなる。筒状の種結晶も、正方形の太陽電池を作るために四角にする必要がある。四角にすることと切り口の損失の両方が、材料の浪費と材料コストの増加につながる。太陽電池をより薄くすることは、シリコンの割合がカットの増加毎に無駄になる。しかしながら、インゴットのスライス技術の限界は、より薄い太陽電池を得る能力の妨げとなる可能性がある。
【0004】
他の太陽電池は、多結晶シリコンのインゴットをスライスしたウエハを使用して作られている。多結晶シリコンのインゴットは単結晶シリコンより速く成長させることができる。しかし、ウエハの品質は低くなる。これは、より多くの欠陥と粒子境界が存在することによる。このことは、太陽電池の効率の低下つながる。多結晶シリコンのインゴットをスライスする工程は、単結晶シリコンのインゴット又は種結晶と同じくらい効率が悪い。
【0005】
シリコンの無駄を抑える他の解決法は、イオン注入の後にシリコンインゴットからウエハを劈開することである。例えば、水素、ヘリウム、または他の貴ガスイオンが、シリコンインゴットの表面のすぐ下に注入され、注入領域が形成される。この後に、熱処理、物理的処理、又は化学的処理が続き、この注入領域に沿ってインゴットからウエハが劈開される。イオン注入によって劈開することは、切り口の損失が生じないものの、シリコンウエハを経済的に生産するのに適用範囲にあるか否かは、さらに立証されなければならない。
【0006】
さらに別の解決策は、溶融物からシリコンの薄いリボンを垂直に引きあげて、引き上げられたシリコンが冷えて固まってシートになるのを可能とする。この方法の引き上げ速度は、約18mm/min未満に制限される。シリコンが冷えて固まる間に、潜熱を垂直なリボンに沿って取り除かなければ成らない。このことは、リボンに沿って大きい温度勾配をもたらす。この温度勾配は、結晶シリコンのリボンに圧力を与えて、多結晶シリコンの質が損なわれる。リボンの幅と厚さも、この温度勾配によって制限される。例えば、幅は80mm未満、厚さは180μmに制限される。
【0007】
シリコンのリボンを、溶融物から物理的に水平に引張るテストも行われた。ロッドに取り付けられた種を溶融物に挿入し、このロッドと成果物としてのシートを、るつぼの縁から低角度で引張る。角度と表面張力のバランスをとって、溶融物がるつぼからあふれ出るのを防ぐ。しかし、このような引張工程を開始し、そして制御することは困難である。るつぼと溶融物に接近させて、種を挿入しなければならず、これは熱損失となる。この熱損失を補う為に、追加の熱が加えられる。これによって、溶融物に垂直温度勾配が生じ、非層流の流れを引き起こす。また対流のガス冷却が、溶融物に大きな熱流を引き起こす為に使用される。このような対流冷却は乱流である。ガスと溶融物の非層流は、シートの厚さ制御を妨げる。その上、るつぼの縁に形成されるメニスカスの重力と表面張力とのバランスをとる傾斜角度の調整は、非常に困難である。また、シートと溶融物との分流点で熱を取り除いているので、潜熱として取り除かれる熱と顕熱として取り除かれる熱とが突然変わることがある。このことは、この分流点でリボンに沿う大きな温度勾配を引き起こし、結晶中に転位を生じさせる。転位と反りは、シートに沿ったこれらの温度勾配によって引き起こされる。
【0008】
溶融物から水平に薄いシートを生産することは、まだ行われていない。分離によって溶融物から水平に薄いシートを生産することは、インゴットからシリコンをスライスするよりも安価であり、切り口の損失、又は四角化による損失を解消することができる。また、分離によって溶融物から水平に薄いシートを生産することは、水素イオン、又は別のシリコンリボンの引張りによる方法を使用してインゴットからシリコンを割くよりも安価となる。その上、溶融物から水平にシートを分離することは、リボンの引張りと比べてシートの結晶品質が向上する。材料のコストを削減可能なこのような結晶成長方法は、結晶型太陽電池のコストの削減に多大で有効なステップとなる。それ故、改良された装置と溶融物から結晶物質のシートを製造する方法のための技術が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様では、シートの生産装置を提供する。シート生産装置は、材料の溶融物を収容するように構成された溝を有する容器を備えている。溶融物を、溝の第1のポイントから第2のポイントに流れるように構成する。冷却プレートを、溶融物と近接して配置し、溶融物の1枚のシートを形成するように構成する。スピルウェイを、溝の第2のポイントに配列する。スピルウェイを、溶融物からシートを分離するように構成する。
【0010】
本発明の第2の態様では、シートの製造方法を提供する。このシートの製造方法は、溝を通して材料の溶融物を流すことを含む。溶融物は冷やされて、1枚のシートが溶融物上に形成される。シートと溶融物が流れ、そしてシートが溶融物から分離する。
【0011】
本発明の第3の態様では、シートの生産装置を提供する。シート生産装置は、材料の溶融物を収容する第1の溝を備えている。溶融物を、第1の溝の第1のポイントから第2のポイントに流れるように構成する。冷却プレートを、最初の溝に近接して配置し、溶融物の1枚のシートを形成するように構成する。スピルウェイが、最初の溝の第2のポイントに配列される。スピルウェイが、溶融物の中に配列されて、そして溶融物からシートを分離するように構成し、溶融物がシートから流れ出すようにする。溶融物を、第1の溝の第1のポイントに、第2の溝で送り出す。
【0012】
本開示をより深く理解する為に、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】溶融物からシートを分離する装置の実施例を示す、横からの断面図である。
【図2】図1に示す装置の実施例を示す、平面図である。
【図3】図1に示す装置の実施例を示す、正面からの断面図である。
【図4】図1に示す装置の実施例を示す、正面からの断面図であり、電磁流体ポンプを用いた図である。
【図5】図1に示す装置の実施例を示す、横からの断面図であり、電磁流体ポンプを用いた図である。
【図6】図1に示す装置の実施例を示す、正面からの断面図であり、スクリューポンプを用いた図である。
【図7】図1に示す装置の実施例を示す、平面図であり、スクリューポンプを用いた図である。
【図8】溶融物からシートを凝固させる実施例を示した、横からの断面図である。
【図9】図1に示す装置の実施例を示す、平面図であり、冷却プレートを用いた図である。
【図10】図1に示す装置の実施例を示す、横からの断面図であり、冷却ホイールを用いた図である。
【図11】シリコン及びゲルマニウム系二元状態図である。
【図12】段階的なバンドギャップとなるシートの実施例を示す図である。
【図13】ゲルマニウム系二元状態図の一部を示す図である。
【図14】システムを統合した実施例を示す、横からの断面図である。
【図15】空気ベアリングを使用したシートの移動の実施例を示す、横からの断面図である。
【図16】太陽電池を製造するシステムの統合を示す実施例である。
【図17】A〜Cは、粒子境界をコントロールする実施例を説明する図である。
【図18】オーム加熱の実施例を示す、正面からの断面図である。
【図19】シートを製造する他の実施例を示す、横からの断面図である。
【図20】溶融物からシートを分離する装置の更に別の実施例を示す、横からの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
太陽電池に関して、装置と方法について具体的に説明する。ここで、これらはまた、例えば、集積回路や、フラットパネルや、当業者に知られている他の回路基板にも使うことができるものである。更に、ここにシリコンとして記載される溶融物は、ゲルマニウム、シリコンとゲルマニウム、又は当業者に知られている他の材料も含まれる。従って、本発明においては、以下に記載の実施例には限定されない。
【0015】
図1は、溶融物からシートを分離する装置の実施例を示す、横からの断面図である。シートの形成装置21は、容器16とパネル15と20を備える。容器16、パネル15、及びパネル20は、例えば、タングステンや窒化ホウ素、窒化アルミニウム、モリブデン、グラファイト、炭素ケイ素、または石英である。容器16は、溶融物10を収容している。溶融物10は、シリコンである。一実施例として、溶融物10は、供給部11から補給される。供給部11は、固体シリコンを有する。別の実施例では、溶融物10は、容器16にポンプで供給される。シート13が、溶融物10上に形成される。一例として、シート13は少なくとも一部が、溶融物10中に浮いている。図1に示されるシート13は、溶融物10に浮いていて、シート13は、少なくとも部分的に溶融物10中に沈んでいるか、溶融物10の上部に浮いている。一例として、シート13の10%だけが、溶融物10の上部から飛び出している。
【0016】
この容器16には、少なくとも1つの溝17が設けられている。この溝17は、溶融物10を収容するように構成され、そして溶融物10は、溝17の第1のポイント18から第2のポイント19に流れる。一例として、溝17の周囲では、溶融物10の波が抑制されている。溶融物10は、例えば、圧力差、重力、又は他の手段によって移動させることができる。そして溶融物10は、スピルウェイ12を超えて流れる。このスピルウェイ12は、斜面、堰、小さなダム、または隅部であり、これは図1に示した実施例に限定されない。スピルウェイ12は、シート13を溶融物10から分離するものであればどのような形状であっても良い。
【0017】
パネル15は、この実施例では、溶融物10の表面下にその一部が広がるように形成されている。これにより、シート13を溶融物10から形成する際の波や小波を抑制することができる。これらの波や小波は、供給部11からの溶融物の追加やポンプ、当業者に知られている他の要因によって形成される。
【0018】
一実施例として、容器16とパネル15、20は、約1687Kより僅かに高い温度で維持される。シリコンに関しては、1687Kは結晶化温度(Tc)を示している。容器16とパネル15、20の温度を、僅かにTcよりも高い温度に維持することによって、冷却プレート14は、放射冷却を利用して、溶融物10の表面又は溶融物中においてシート13の所望する凝固速度を得ることができる。ここに示す実施例の冷却プレート14は、一つのセグメント又はセクションで構成される。溝17の下部25は、温度Tcより高い温度で温められて、溶融物10中に僅かな垂直温度勾配を引き起こし、シート13における組成的過冷、デンドライト結晶の形成、枝分かれの形成を防止する。しかし、容器16とパネル15、20は、溶融物10の溶融温度よりも高ければどの温度でも良い。これにより、溶融物10が、容器16とパネル15、20で固まることを防ぐ。
【0019】
装置21は、温度を僅かにTc以上に維持するが、これは少なくとも部分的に又は全体的に筐体26で装置21を覆うことによって実現される。図1は、筐体26で装置21を部分的に取り囲む、又は覆う場合を示したが、筐体は装置21を完全に覆っていても良く、装置21は、図1で示された実施例だけに限定されない。もし、筐体26が装置21を温度Tc以上に維持する場合は、装置21を加熱する必要性が避けられるかまたは減らすことができ、筐体26中、又は周囲のヒータは、どのような熱損失も補うことができる。この筐体26は非等方性の伝導率を有しており、等温にすることができる。このような筐体26は、ライナ27、ヒータを伴うレイヤー28、及び断熱材29を用いて構成されているが、当業者に知られている他の構造も適用可能である。一例として、ライナ27は、熱を伝えることができるものであり、またある場合はBN(窒化ホウ素)である。ヒータを備えるレイヤー28は、例えばRF誘導加熱、又は当業者に知られている他の加熱方法を含む。他の実施例においては、ヒータは、筐体26上、又は内側に配置されず、装置21中に配置される。一例として、容器16は異なる領域で、異なる温度に加熱されるが、これは容器16にヒータを埋め込むこと、またマルチゾーン温度コントロールを使用することによる。
【0020】
筐体26は、装置21が配置される環境を制御する。具体的には、筐体26は不活性ガスを有している。この不活性ガスは温度をTc以上に維持する。不活性ガスは、シート13の形成プロセスにおいて元々の不安定さを引き起こす、溶融物10に添加する溶質を減らすことができる。
【0021】
装置21は、冷却プレート14を備える。冷却プレート14は、シート13を溶融物10から形成する際に、熱を除去する。冷却プレート14は、溶融物10の表面又は溶融物中にシート13の凝固を引き起こし、これは冷却プレート14が溶融物10の凝固温度以下のときに引き起こされる。この冷却プレート14は、放射冷却を用いるものであり、例えばグラファイト又は炭素ケイ素から作られる。冷却プレート14は、液体の溶融物10からすばやく、均一に、そして所望量の熱を取り除く。溶融物10の乱れは抑えられ、シート13の欠陥の形成は抑制される。
【0022】
溶融物10の表面の融解熱を除去することは、低い欠陥密度でシート13を形成する他のリボン引き上げ法と比べて、シート13の生産を速めることができる。溶融物10の表面でシート13を冷却すること、又は溶融物10でシート13を流すことで、ゆっくりと、そして広い領域で融解潜熱が取り除かれ、これは大規模な水平流量を保持している間行われる。溶融物からシートを垂直に引き上げることは、約300μm/s(18mm/min)以上の結晶成長速度であるが、ここに記載の装置や方法の実施例は、もっと遅い結晶成長速度であり、これはチョクラルスキー法での成長に近い値である。一例として、結晶成長速度は約10μm/sよりも遅い。シートを溶融物の表面から垂直に引き上げる時、潜熱をシートに沿って取り除かなければならない。結晶領域、又はシートの幅を乗じたシートの厚みは僅かである。高い温度勾配は、垂直にシートを約18mm/minで引張るのに必要である。このような垂直に引張る方法を使用すると、結晶の質が不十分となる。溶融物10の表面のシート13を冷却すること、又は溶融物10でシート13を流すこと、更にシート13の品質を向上させることはまた、溶融物の表面から普通にリボンを引き上げることと比べて、生産速度とシート13のサイズを向上させることを可能とする。
【0023】
冷却プレート14の寸法を、長さと幅の両方で増加させる。長さを増やすことは、溶融物10の流速を、垂直の成長速度、結果としてシート13の厚みと同じ速度で速めることができる。冷却プレート14の幅を増やすことは、シート13の幅が広がることとなる。垂直にシートを引き上げる方法と異なり、ここに記載の装置と方法の実施例を用いることで、生産されるシート13の幅の固有の物理的な制限は生じない。
【0024】
一例として、溶融物10とシート13は、約1cm/sの速度で流れる。冷却プレート14は、長さが約20cmで、幅が約25cmである。シート13は、約20秒で約100μmの厚さに成長する。したがって、シートの厚さは、約5μm/sの速度で成長する。約100μmの厚さのシート13は、約10m/hourの割合で生産される。
【0025】
一実施例として、溶融物10の温度勾配は最小化される。これにより、溶融物10を層流とし、シート13を、冷却プレート14を使用して放射冷却で形成する。冷却プレート14と溶融物10との約300度の温度差は、溶融物10の表面又は内部に7μm/sの速度でシート13を形成する。
【0026】
溝17における冷却プレート14の下流とパネル20の真下の領域は、同じ温度である。この同じ温度領域は、シート13をアニーリングすることができる。
【0027】
シート13が溶融物10上に形成された後、シート13を、スピルウェイ12を使って溶融物10から分離する。溶融物10は、溝17の第1のポイント18から第2のポイント19へ流れる。シート13は、溶融物10とともに流れる。このシート13の移動は、連続して行われる。一例として、シート13は溶融物10の流れとほぼ同じ速度で移動する。したがって、シート13は溶融物10に対して停止している間に形成され、そして移動する。スピルウェイ12の形状又は方向を変更することで、シート13の速度プロファイルを変えることができる。
【0028】
溶融物10を、スピルウェイ12でシート13から分離する。一実施例として、溶融物10は、スピルウェイ12を超えて流れ、その流れの少なくとも一部が、シート13をスピルウェイ12を超えて移動させる。これによって、シート13の結晶の破損を最小化し又は避けることができるが、これはシート13に外部応力が全く作用しないからである。この実施例において、溶融物10は、シート13から分離してスピルウェイ12を超えて流れる。冷却はスピルウェイ12では起こらないので、シート13の熱衝撃は抑制される。一実施例として、スピルウェイ12における分離は、等温状態と近い状態で行われる。
【0029】
シート13は、溶融物から引き上げられる方法による場合よりも、装置21による場合のほうが速く形成されるが、これは、溶融物10が、溶融物10におけるシート13を適切に冷却、結晶化する速度で流れることによる。シート13は、溶融物10とほぼ同じ速度で流れる。これにより、シート13の圧力が減少する。リボンを溶融物から普通に引き上げる場合は、引き上げによってリボンに生じる圧力の為に、速度が制限される。一実施例として、装置21におけるシート13は、そのような引き上げによる圧力は全く生じない。これにより、シート13の品質と生産速度とが向上する。
【0030】
一実施例として、シート13は、スピルウェイ12を超えてまっすぐに進行する傾向がある。このシート13を、スピルウェイ12を超えた後に、破損を避けるために支える場合もある。支持装置22を、シート13を支える為に設ける。支持装置22は、シート13を支持するためにガス圧力差が用いられ、例えばガスや空気の送風機が使用される。シート13が溶融物10から分離した後、シート13が位置する周囲の温度がゆっくりと変化する。一例として、シート13の温度は、このシート13がスピルウェイ12からより遠くへ動くことに応じて低くなる。
【0031】
一例として、シート13の成長、シート13のアニーリング、及びスピルウェイ12を用いた溶融物10からのシート13の分離は、同じ温度環境下で行われる。スピルウェイ12を用いて分離することや、シート13と溶融物10をほぼ同じ速度で流すことは、シート13の圧力、又は力学的な歪を最小化させる。これによって、単結晶のシート13を生産できる可能性が高まる。
【0032】
別の実施例では、磁場が装置21の溶融物10とシート13に与えられる。これにより、溶融物10の非層流を弱め、シート13の結晶化を改善する。
【0033】
図2は、図1に示す装置の実施例を示す、平面図である。図3は、図1に示す装置の実施例を示す、正面からの断面図である。図2と図3は、溝30を備える装置21を示す。図2に示すように、溝17を流れる溶融物10は、矢印33で示される。溶融物は、冷却プレート14(図2の網掛領域で示される)を通り越してながれ、シート13が形成される。図2〜3に示すように、冷却プレート14は、溶融物10を含む壁31、32までは延在していない。これにより、壁31、32に対して凝固したシート13が形成されることが防止される。シート13と溶融物10は、スピルウェイ12を超えて流れ、シート13は溶融物10から分離される。そして溶融物10は、矢印34で示されるように、溝30を使って供給部11の近くに戻る。ここでは、2つの溝30を示したが、1つの溝であっても、また2つ以上の溝であってもよい。この装置は、2つの溝30だけに限定されない。更に溝30は、装置21の側部に示されているが、溶融物10を流すには別の構造とすることも可能である。
【0034】
図4は、図1に示す装置の実施例を示す、正面からの断面図であり、電磁流体(MHD)、又はローレンツ力によるポンプを用いた図である。この実施例において、コイル50、51は、装置21の上下に配置されていて、装置21中に縦の磁場(B)が作られている。溶融物10の横に配置したプレート56、57は、溝17における溶融物10にDC電流を供給する。プレート55、56、57、58はまた、溝30における溶融物10にDC電流を供給する。プレート55と56、プレート56と57、プレート57と58は、溶融物10中に少なくとも1つのDC電源から電流(I)を供給する。これにより、磁力52、53、54がベクトルの外積F=I×Bに基づいて発生する。ここで、Fは単位をニュートンとする力であり、Iは単位をアンペアとする電流であり、Bは単位をテスラとする磁力である。このローレンツ力は、溶融物10にポンプ作用を与え、溶融物10は、磁力によって流れる。ここでの溶融物10の流れはまた、溶融物10を加熱するが、シート13は加熱しない。
【0035】
図5は、図1に示す装置の実施例を示す、横からの断面図であり、MHDポンプ(電磁流体ポンプ)を用いた図である。この実施例で装置21は、1つの溝81を備える。このMHDポンプ80は、磁気及び電気の力で装置21の溶融物10を層流にする。MHDポンプ80は、図4に示されるものと同様の磁場と電流を有しているが、これは装置21よりも溝81で発生する。溶融物10は、MHDポンプ80を使うことで重力に逆らって流れる。
【0036】
図6は、図1に示す装置の実施例を示す、正面からの断面図であり、スクリューポンプを用いた図である。装置21は、各溝30にスクリューポンプ70を備えている。これらのスクリューポンプ70は、炭化ケイ素から作られており、溝30における溶融物10を連続して揚水することができる。図7は、図1に示す装置の実施例を示す、平面図であり、スクリューポンプを用いた図である。スクリューポンプ70は、溝30の全部又は一部に亘って延在している。
【0037】
別の実施例では、ポンプは、装置21で溶融物10を流すために使用される。一例として、このポンプはインペラーポンプである。さらに別の例では、ホイールが溶融物10を揚水する為に使用され、また溶融物10に所望の流速を与えることにより適切な押し湯効果が引き起こされる。勿論、当業者は、使用に供する別の揚水方法を想起するので、装置21は単にここに記載の揚水方法に限定されるものではない。その上、当業者であれば、装置21の他の構造や配置を考え出すであろう。
【0038】
図8は、溶融物からシートを凝固させる実施例を示した、横からの断面図である。溶融物10は、矢印33で示すように流れる。この実施例において、溶融物10は、パネル15、冷却パネル14、及びパネル20の直下を通る。溶融物10、パネル15、パネル20は、温度Tc又はこれより僅かに高い温度を維持する。この実施例における冷却パネル14は、セグメント化されており、冷却セグメント90、91、92、93、94を備えている。冷却セグメント90、91、92、93、94は、それぞれ異なる温度であるか、ほぼ同じ温度か、又は溶融物10からの伝熱量が異なるように構成したものである。冷却プレート14は、溶融物10を冷却してシート13を形成し、この時溶融物10は冷却プレート14を通り越して流れる。少なくとも溶融物10の時間と流速に基づいて、シート13の結晶化速度を、冷却セグメント90、91、92、93、94のそれぞれに対して制御する。冷却セグメント90、91、92、93、94のそれぞれの寸法は、結晶化速度に影響を与える。溶融物10からそれぞれの冷却セグメント90、91、92、93、94への伝熱を制御する能力は、シート13の結晶化速度を制御する。
【0039】
図9は、図1に示す装置の実施例を示す、平面図であり、冷却プレートを用いた図である。冷却プレート14は、少なくとも1つの曲がった縁部100を備えている。これにより、シート13の形状は、溶融物10中から形成される際に制御される。この実施例では、シート13が縁部100の直下を通る際に、このシート13の最初の幅は、最終的な幅よりも狭くなっている。シート13が冷却プレート14の直下を流れ続けるのにしたがって、シート13は最終的な幅に広がる。これにより、欠陥と結晶粒界を、シート13の定められた位置に移動させて、結晶境界をより良い状態にする。一例として、シート13の結晶は、先端100の曲がった形状により、シート13の端に向かって移動する。
【0040】
溶融物10の流速を、工程管理の種類によって変化させる。一例として、この溶融物10の流速は、約1cm/sである。冷却プレート14でのタイミングが、この流速の変更によって変えられて、これによりシート13の成長が向上し、また厚さが変更できる。
【0041】
また温度Tcを維持することは、シート13をアニールし、シート13の品質をより高めることとなる。溶融物10の溶質の存在による本質的な不安定性を避けるために、小さな垂直温度勾配が溶融物10で維持される。例えばこの垂直温度勾配は、約1K/cmである。シート13に垂直温度勾配が形成されるが、これは溶融物10の垂直温度勾配の形成によるものである。シート13が形成された後、シートはパネル20の直下を流れ、これによって溶融物10と同じ温度に維持される。この時、シート13には垂直温度勾配がもはやなく、歪がシート13で成長し、これによりアニーリングが必要となる。パネル20は、歪をアニールすることを可能とし、シート13の転位の可能性が減少する。
【0042】
シート13のデンドライト結晶の成長を制御する。第1の例では、溶融物10でゲルマニウムと混入物質のレベルを制御すると、シート13の表面95におけるゲルマニウム又は混入物質で誘導されるデンドライト結晶の成長や粗さを減らすことができる。第2の例では、表面95の粗さやデンドライト結晶が、研磨、酸化、又はエッチングにより修復される。
【0043】
図10は、図1に示す装置の実施例を示す、横からの断面図であり、冷却ホイールを用いた図である。放熱シールド112で取り囲まれ、少なくとも1つの冷却表面111を備える冷却ホイール110は、シート13の形成に使われる。冷却ホイール110は、溶融物10の放射率とは無関係に機能する。この実施例において、冷却ホイール110は、冷却セグメント90、91、92、93、94とともに機能する。この冷却表面111は、例えばグラファイトである。一例として、冷却表面111は約40μmの厚さのグラファイトである。冷却表面111は、例えば、約1000Kの温度で機能し始める。冷却表面111の各々によって、溶融物10からある量の熱が取り除かれるが、これは平衡温度Tcに到達し、シート13が形成され始める前に行われる。冷却表面111は、溶融物10を温度Tcで約0.3秒間平衡にし、潜熱を吸収して、一例として約10μmの厚さのシートが形成される。各冷却セグメント90、91、92、93、94が、溶融物10の流速とは無関係に、シート13の温度を平衡にするので、熱伝達は溶融物10の放射率とは独立している。その時、冷却ホイール110は、次の伝熱量を受け入れる為に回転し、このときシート13は矢印33で示すように、冷却セグメント90、91、92、93、94に流れる。
【0044】
一例として、シリコンだけを溶融物10に加える。しかしながら、ある実施例では、シリコン対ゲルマニウムの所望の割合を維持する為に、シリコンとゲルマニウムを溶融物10に加える。これは、供給部11を使用して、固体シリコンと固体ゲルマニウムを添加して得られる。一実施例として、溶融物10は、酸化を防ぐ為に不活性の雰囲気に維持される。図11は、シリコン及びゲルマニウム系二元状態図である。固体シリコン(密度ρが約2.4g/cm)は、純粋な液体シリコン(密度ρが約2.6g/cm)の表面で、1414℃(1687K)の結晶化温度で凝固する。
【0045】
一実施例として、ゲルマニウムを、溶融物10のシリコンに加える。溶融物10においてシリコンにゲルマニウムを加えることは、シート13の成長をより速めることができ、格子定数の変化によってシート13の欠陥を補うことが可能となる。ゲルマニウムが溶融物10のシリコンに加えられると、ゲルマニウムは液体の溶融物10に優先的に残存する。正確な濃度は、溶融物10の流速、又は溶融物10の正確な合成に依存している。固体の結晶シート13はゲルマニウムの濃度が低く、それ故、残っている溶融物10よりも融解温度が高いので、温度変動に対して安定している。また、シリコン−ゲルマニウム混合物を溶融物10として使用する場合には、シリコンは、容器16及びパネル15をコーティングする。これによって、溶融物10の汚染を減少させることができるが、これはシリコンコーティングが容器16とパネル15の表面をシールするからである。容器16とパネル15の温度は、このコーティングが形成されるように設定される。
【0046】
得られる固体フィルムは、いくらかゲルマニウムを含んでいる。ゲルマニウムが、溶融物10に約5%未満しか含まれていない場合には、シート13のバンドギャップを僅かに減らすだけである。バンドギャップは、固体で電子が存在していない状態のエネルギー範囲である。太陽電池に関しては、バンドギャップは、太陽のスペクトルのどの部分が吸収されるかによって決まる。異なった原子を結晶格子に加えると、シート13の全体的なバンドギャップに影響を与える。これは、電子の異なるエネルギーバンドが、結晶格子の変化によって変わるからである。普通の当業者に知られているように、他のゲルマニウムレベルでも可能であり、この実施例は、単に溶融物10に5%のゲルマニウムが入っている場合に限られない。溶融物10にシリコンとゲルマニウムの溶液を使えば、段階的なバンドキャップとなる太陽電池パネルを、液体溶融物10によってシート13から形成することができる。シリコンとゲルマニウムで作られた段階的なバンドギャップとなる太陽電池は、化学気相成長法(CVd)を使用することで作られているが、溶融物10にシリコンとゲルマニウムを用いることで、加工段階を無くして生産コストを下げることができる。
【0047】
図12は、段階的なバンドギャップとなるシートの実施例を示す図であり、図13は、ゲルマニウム系二元状態図の一部を示す図である。溶融物10が層流である場合は、ゲルマニウム濃度プロファイルは安定していて、より純粋なシート13が得られる。ゲルマニウムの密度はシリコンよりも高いので、この濃度プロファイルは、また、凝固開始部を安定させ、シート13の平面性を改善させる。層流はまた、溶融物10のゲルマニウムの段階付けを行うことができる。この実施例では、純粋なシート13はシリコンの割合が高い。伝熱59は、溶融物10からより純粋なシート13を形成できるように作用するので、溶融物10中のゲルマニウムや他の不純物の濃度が上昇する。図12は、溶融物10におけるゲルマニウム濃度のおおよそのパーセンテージを示している。図13は、溶融物10における液体62と、シート13における固体61を示している。
【0048】
図14は、システムを統合した実施例を示す、横からの断面図である。装置21は、処理手段を統合した連続した流れの中に組み入れられる。シート13は、例えば集積回路、太陽電池、またはフラットパネルとして加工される。従って、シート13は、装置21で生産された後に加工が行われる。この実施例では、シート13は、少なくとも一部が、重力によって溶融物10から移動する。ローラ124は、シート13を移動する際に、シート13を少なくとも部分的に支持する為に使用される。またローラ124は、シート13の移動を助ける為に使用される。一実施例として、シート13の屈曲を小さくする。このシート13の屈曲は、シート13の力学的な歪を最小化する。シート13は、溶融物10から移動して冷却される。一例として、シート13は約300Kで冷却される。シート13は、特定の冷却装置によって、所定の経過時間で、又はプロセス装置123で冷却される。これらのプロセス装置123は、例えば、研磨機、プラズマドーピングツール、凝結ツール、又は他のプロセスツールである。
【0049】
図15は、空気ベアリングを使用したシートの移動の実施例を示す、横からの断面図である。空気ベアリング122は、ローラ124に代えて、又は補足するものとしてシート13を支持する為に使用される。空気ベアリング122は、導管120の吸入口を通してアルゴンなどのガスを噴出する。そのとき、空気ベアリング122は、導管121の排気口を通してガスを排出する。空気ベアリング122によって形成されたシールによって、大気より低い圧力でガスを流す。いくつかの流速はまた、ガスの流れが速まる際に圧力が減少するベルヌーイ効果を引き起こす。
【0050】
図16は、太陽電池を製造するシステムの統合を示す実施例である。当業者であれば、別のシステムの統合でも実施可能であることが理解できるので、この工程は、単に図16に示されたものに限定されるものではない。シート13は、この実施例では大部分がシリコンであり、装置21で作られる。ローラ124は、シート13が装置21に残っている際には、少なくとも部分的にこのシート13を支持する。接点のドーピングは、例えばプラズマドーピングツール130が使用される。一例として、シート13は、プラズマドーピングツール130で接点をドーピングしている間、設置電位にしておく。他の例では、シート13は、プラズマドーピングツール130で変位している。別の例では、シート13が高温である間、プラズマドーピングツール130を使用する代わりに、シート13の接点をドーピングする工程ユニットとして、少なくともドーパントガスに浸される。
そして、スクリーン印刷機は、シート13に接点を印刷する。そして、加熱炉132は、シート13の接点の焼結、水素化、アニーリングを行う。そして、シート13は、個々の太陽電池134を形成するカッティング装置133により切断される。空気ベアリングは、様々な工程区画から分離するのに使用される。当業者であれば、区画の長さを、連続して流すための工程時間に対応させることが理解できるであろう。別の実施例では、シート13は、どの加工段階よりも前に切断される。したがって、シート13は、装置21から出た後に切断される。
【0051】
図17A〜Cは、粒子境界をコントロールする実施例を説明する図である。図17Aに示すように、壁31、32は、溝17の溶融物10を取り囲んでいる。溶融物10は矢印33で示される、冷却プレート14に向けて流れる。冷却14の先端140には、温度勾配が発生する。また、冷却板14は、別の温度勾配を持つこともでき、これは例えば溶融物10の流れとともに冷却プレート14の長さに沿って引き起こされる。別の例では、冷却プレート14は、全域が一定の温度である。
【0052】
この実施例では、先端140は、シート13の幅に沿って、高い温度から低い温度まで様々な温度領域を備える。図17Bに示すように、この先端140の様々な温度によって、より温度が高い領域に向かって個々の結晶が作られる。これは矢印142で示される。これにより、図17Cに示すように、シート13に、結晶粒界141のアレイが形成される。先端140の幅に沿う温度勾配の制御により、歪がアニールされる。歪のピークは、シート13の縁の温度勾配の最も高い所に発生する。温度勾配が約1000℃/m未満に保たれる場合は、2.5m幅のシート13が形成される。一つの曲がった成長境界を使用して、単結晶シート13が形成される。別の例では、温度勾配は制御されていて、シート13の成長、シート13のアニーリング、溶融物10からの分離が等温環境下で起こる。
【0053】
一実施例として、緻密で周期的な温度変動が使用される。これにより、シート13の結晶粒界が制御され、又は結晶の質が向上する。また、周期的な温度変動は、単結晶のシート13を形成し、太陽電池の効率を向上させるか、又は特定の角度での結晶成長を引き起こす。
【0054】
図18は、オーム加熱の実施例を示す、正面からの断面図である。この例において、溶融物10は、凝固したシリコン151の層に囲まれている。これにより、壁31、32、又は容器16に溶融物10が入り込むので、シート13の汚染が減る。凝固したシリコン151の温度がTcよりも下回っている間、溶融物10とシート13の温度は、オーム加熱によって高い温度で保持される。このオーム加熱は、電極150で行われる。電極150はタングステンで製造される。電極150は、溶融物10の流れに沿う冷却プレート14と、ほぼ同じ長さである。加熱ゾーン152は、壁31、32に最も近い、シート13の縁における温度と結晶成長を制御する。溶融部10の移動、又は溶融物10の対流電流の安定化のための磁場、推進力や加熱のための電流密度(J)、粘性抵抗や対流のための溶融物10の深さ、そして溶融物10やシート13の加熱や冷却のための周囲の温度のような要素が制御される。
【0055】
図19は、シートを製造する他の実施例を示す、横からの断面図である。システム160は、第1の装置161と、ローラ124を備える第2の装置162とを備える。ここでは第1の装置161と第2の装置162を示したが、システム160においてはこれらを2つ以上用いても良い。第1の装置161と第2の装置162は、図1の装置21に相当する。第1の装置161において、シート13が溶融物10から形成された後、シート13が第2の装置162に移動する。そして、シート13は、第2の装置162を通り抜ける。第2の装置162は、シート13を厚くするか、又は追加材料を加える。追加的な加工段階は、第2の装置162の後で行われる。第1の装置161での溶融物10は、第2の装置162での溶融物10と異なる。一実施例では、加工段階が第1の装置161と第2の装置162の間で行われる。
【0056】
一例として、太陽電池は、光の全体のスペクトルを利用するために、減少したバンドギャップに対応する異なった半導体材料の層を必要とする。第2の装置162は、シート13に追加の層を加えるが、これは第2の装置162の溶融物10にシート13が接触することによる。第1の装置161と第2の装置162の溶融物10は、種々の特性、組成、又は温度Tcを備えている。第2の装置162によって追加されるシート13の厚みは、第2の装置162の冷却プレート14で制御される。第2の装置162の溶融物162は流れているか、又は別の例では止まっている。
【0057】
図20は、溶融物からシートを分離する装置の更に別の実施例を示す、横からの断面図である。装置171は、MHD電極172を備える。溶融物10の両側のMHD電極172は、タングステンで作られていて、溶融物10を、冷却プレート14の直下の溝17の第1のポイント18から第2のポイント19に移動させる。第1のマグネット173と第2のマグネット174は、溶融物10の周りに配置されていて、垂直磁場を発生させる。第1のマグネット173と第2のマグネット174は、装置171におけるMHDの電極172とほぼおなじ領域に配置されている。MHD電極172は、図20に示すように、溶融物10を斜面に沿って上昇させる。最大角度は、式θ=JB/(ρg)で与えられ、Jは電流密度(A/m)、Bは磁場(T)、ρは密度(2600kg/m)、gは重力加速度(9.81m/s)を示す。
【0058】
一例として、Bは約2.5kG(約0.25T)、Jは約100A/(1m×1mm)(約1E5A/m)である。この例で、θは1ラジアンと同じ角度である。図20の構造で、溶融物10は、スピルウェイ12を除いてほぼ同じ高さである。これにより装置171の構成を簡素化して、装置171における他のポンプを減らすことができる。
【0059】
本開示は、ここで具体的に示した範囲に限定されない。実際に、本開示による他の様々な具体例や修正例は、ここでの開示に加えて、前述の記載や添付図面から当業者によって明らかにされるであろう。したがって、そのような他の具体例や修正例は、本開示に範囲に収まるはずである。その上、本開示は、特定の実施状況下で、特定の環境で、特定の目的のために記載したものであるが、普通の当業者にとっては、この開示の有用性はここでの開示に限定されず、本開示は、多くの環境化において、多くの目的のために、その実現の手助けとなるであろう。したがって、特許請求の範囲は、ここで説明したように、本開示の全容と精神から見て解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの製造装置であって、
材料の溶融物を収容するように構成された溝を有する容器を備え、前記溶融物を、前記溝の第1のポイントから第2ポイントに流れるように構成し、
前記溶融物に近接して配置される冷却プレートを備え、前記冷却プレートを、前記溶融物上に前記材料のシートを形成するように構成し、
前記溝の前記第2のポイントに配置されるスピルウェイを備え、前記スピルウェイを、前記溶融物から前記シートを分離するように構成したシートの製造装置。
【請求項2】
前記材料を、シリコンで構成した請求項1記載のシートの製造装置。
【請求項3】
前記材料は、シリコンとゲルマニウムであり、前記シートは、バンドギャップが段階的である請求項1記載のシートの製造装置。
【請求項4】
前記冷却プレートは、前記溶融物より少なくとも300K低い温度である請求項1記載のシートの製造装置。
【請求項5】
前記冷却プレートを、多数の冷却セグメントで構成した請求項1記載のシートの製造装置。
【請求項6】
前記多数の冷却セグメントは、それぞれ異なる温度である請求項5記載のシートの製造装置。
【請求項7】
前記冷却プレートは、放射冷却を用いるものである請求項1記載のシートの製造装置。
【請求項8】
前記シートは第1の幅を有し、前記冷却プレートは第2の幅を有し、前記第1の幅と第2の幅は同一である請求項1記載のシートの製造装置。
【請求項9】
前記冷却プレートは、曲がった縁部を備える請求項1記載のシートの製造装置。
【請求項10】
前記シートは、多結晶シリコン又は単結晶シリコンである請求項1記載のシートの製造装置。
【請求項11】
前記溶融物を、電磁流体ポンプ、スクリューポンプ、インペラーポンプ、ホイール、圧力手段の群から選択される装置を用いて、前記溝の第1ポイントから第2ポイントに流す請求項1記載の製造装置。
【請求項12】
前記容器と、前記冷却プレートと、前記スピルウェイは、筐体中に配置され、該筐体を、該筐体における少なくとも温度と圧力を制御するように構成する請求項1記載の製造装置。
【請求項13】
シートの製造方法であって、
溝を通して材料の溶融物を流し、前記溶融物を冷却し、前記溶融物上に前記材料のシートを形成し、前記シートと溶融物を流し、前記溶融物から前記シートを分離するシートの製造方法。
【請求項14】
前記シートと前記溶融物は、シリコン、又はシリコンとゲルマニウムである請求項13に記載のシートの製造方法。
【請求項15】
前記分離は、スピルウェイを使用して行われるものである請求項13に記載のシートの製造方法。
【請求項16】
前記冷却は、放射冷却である請求項13に記載のシートの製造方法。
【請求項17】
連続流の装置を使用して、前記シートから太陽電池を加工する工程を更に含む、請求項13に記載のシートの製造方法。
【請求項18】
前記シートを第2の溶融物に移動させ、前記第2の溶融物で前記シートを厚くする工程を更に含む請求項13に記載のシートの製造方法。
【請求項19】
前記請求項13の使用によって形成される製造物。
【請求項20】
シートの製造装置であって、
材料の溶融物を収容するように構成される第1の溝を備え、前記溶融物を、前記第1の溝の第1のポイントから第2のポイントに流れるように構成し、
前記溶融物に近接して配置される冷却プレートを備え、前記冷却プレートを、前記溶融物上に前記材料のシートを形成するように構成し、
前記第1の溝の前記第2のポイントに配置されるスピルウェイを備え、前記スピルウェイを、前記溶融物中に配置し、前記溶融物から前記シートを分離するように構成して前記溶融物を前記シートから流れださせ、
前記溶融物を前記第1の溝の前記第1のポイントに移動する第2の溝を備えるシートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−515311(P2011−515311A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550888(P2010−550888)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/037089
【国際公開番号】WO2009/114764
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(500239188)ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド (69)
【Fターム(参考)】