説明

ブレーキブースタの仕事室にブレーキ液を供給するための少なくとも1つの搬送ユニットを含むブレーキシステム

本発明は、少なくとも1つのピストン(3、4)を有するブレーキブースタ(BKV、3、4、5)のための電動駆動装置を含む、前記少なくとも1つのピストン(3、4)は、少なくとも1つの車輪ブレーキ(RB)内で昇圧および圧力除去のために前記駆動装置によって駆動され、特にブレーキペダルの形状のブレーキ作動装置(1)によって、前記駆動装置の誤作動の場合にのみ、機械的に調節可能であり、ブレーキライン(BL)を開閉するための少なくとも1つの分離弁(7)は、すべての車輪ブレーキ(RB)と前記ブレーキブースタ(BKV)の仕事室(A、A)との間の当該ブレーキライン(BL)内に配置される、ブレーキシステムに関する。前記ブレーキシステムは、少なくとも1つの送出ユニット(F)が、必要に応じて、ブレーキ液をリザーバ(20;20’)から前記ブレーキブースタ(BKV)の前記それぞれの仕事室(A、A)へ、ブレーキライン(BL)または前記ブレーキブースタ(BKV)、特に仕事室(A、A)に接続される少なくとも1つの供給ライン(ZL)を介して送出し、それぞれの供給ライン(ZL)を開閉するための制御される弁(8;16)がすべての供給ライン(ZL)内に配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによるブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムにおいて、自動車用ブレーキシステムのマスタブレーキシリンダ(HZ)は、最大ブレーキ圧に達するために必要とされる車輪ブレーキの吸入量に相当する排出量を有するようになされる。更に、ブレーキのフェード現象、または、通気が乏しくなったブレーキシステムのような極限状態のためのリザーブが提供される。車輪ブレーキの吸入量は車両に依存する。原理上、車両の重量に相対的に容量が増加する。Hzの排出量はピストンの直径とそのストロークによって判定できる。従来のブレーキシステムにおいて、ブレーキペダルは、プッシュロッドピストン(DK)を介してHzに接続され、ペダル移動が、一定のペダル踏み込み率で、Hzのプッシュロッドピストン(DK)に接続される。人間工学的理由により、ブレーキシステムは、ロック圧がペダル移動の約50%で達せられるように設計される。車両においてペダル移動は制限されるため、高級車両部類に対して、要求される必要な排出量がHzの直径の増加によって提供される必要がある。
【0003】
所望のブレーキ圧を達成するために必要とされるピストン力は、ピストン表面面積によってもたらされる。ペダル力は、いわゆる真空ブレーキブースタ(Vak.BKV)によって昇圧され、したがって、損なわれていないブレーキ力補助によってペダル力は適度になるだろう。
【0004】
2つの更なる事実が、ブレーキシステムの設計のために重要である。
・Vak.BKVの昇圧力はいわゆる遮断点によって制限される。原理上、この遮断点は約10.0MPa(100bar)に相当する高い摩擦値でロック圧を僅かに超えて存在する。しかし、ブレーキシステムのフェード現象の場合において、より高い圧力が必要とされ、それによって、ブレーキ力補助が飽和状態に達し、ペダル力はかなり増加する。この影響を抑えるために、ESPシステムを伴う車両は、ブレーキ液をHZからブレーキ回路へ圧送するためのいわゆるESPポンプを使用する。ここで、圧力上昇率はポンプの送出率に依存する。大型車両において、ポンプの送出率は約400ワットであり、したがって、圧力上昇率は、遮断点までの圧力範囲においてはかなり低めである。
・BKVが万一作動しない場合において、Hzのピストン表面面積はとても高いペダル力の原因となる。BKVの故障の場合に、ある圧力に達することを必要とする足の労力は、したがって、損なわれていないBKVの場合より約5倍高い。また、Hzおよび真空ブレーキブースタ内の戻りバネおよび摩擦のために、初期ペダル力はとても高い。したがって、中級車両部類からそれ以上の通常の運転者は、BKVが万一作動しない場合、適切な減速を達成できない。更に、運転者はまた、初期作動力が非常に高い事実によって困惑されるだろう。
【0005】
移動シミュレータを伴うシステムにおいて、ペダル移動およびピストン移動が固定的に連結されないため、Hzはより自由な大きさにできる。原理上、約20から30%のピストン移動の増加が使用され、同時にピストン移動全体が、フェード現象を含む高いロック圧での制動のために用いられる。これは、従来の設計のHZのピストン表面面積の50%だけを使用すること可能にし、したがって、より小さいペダル力は、必要とされるブレーキ圧を生成するために充分である。独国特許出願公開第102005018649.19号および独国特許出願公開第102006059840.7号に説明されるような電動ブレーキブースタは移動シミュレータシステムのために、特に役立つ。適切な実施形態において、これらの解決策は、とても小さい摩擦および電気モータの力の回復による追加的利点を有し、約50%小さい反力の原因となる。したがって、電動BKVの故障中の、ペダルの力/移動の特徴は、効果的なブレーキ力補助と比較して、さほど大きく異なるものではない。これらの利点にも関わらず、冒頭に説明された従来のブレーキシステムのHzをある大きさになすことに類似して、小型自動車から重いSUVまでの様々な吸入量に適応するために、幾つかのサイズのマスタブレーキシリンダが必要とされる。重車両のためのマスタブレーキシリンダの大きなピストン表面面積はとても高いペダル力の原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、幾つかの車両サイズにおいて用いられることができ、重車両の部類においても、僅かなペダル力が印加されさえすればよいブレーキシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を含むブレーキシステムを伴う本発明によって達成される。更なる好都合な実施形態は従属請求項の特徴によって提供される。
【0008】
本発明は、1つだけのより小さい直径のマスタブレーキシリンダだけを使用するという考えに基づき、例えば低級車両のためにも、大型車両のためにも、充分な大きさのマスタブレーキシリンダを備える。マスタブレーキシリンダの仕事室の容量が再供給によって効果的に増加されさえすれば、特に電動ブレーキシステムにおいて可能である。この場合、制動中にマスタブレーキシリンダのピストンがそれらの端部位置にほぼ達して、更なる昇圧が不可能なとき、再供給が常に起こる。再供給に先立って、すでに存在する弁によってブレーキ回路の分離が起こる。そして、マスタブレーキシリンダのピストン駆動は1つまたは複数のピストンを後方へ動かし、その一方で、同時に、追加のブレーキ液が、少なくとも1つのリザーバからマスタブレーキシリンダの1つまたは複数の仕事室にそれぞれ供給される。一旦再供給プロセスが完了すると、マスタブレーキシリンダはブレーキ回路と再度連結され、ブレーキ回路内の圧力は更に増加される。このため、各々の搬送ユニットは切換弁によってブレーキ回路から接続が再度断たれるか、または、分離される。
【0009】
本発明は、リザーバおよび弁を含む少なくとも1つの追加の搬送ユニットを好都合に提供する。マスタブレーキシリンダが、1つまたは2つの仕事室を提供しさえすれば、当該1つまたは両方の仕事室は、単一の送出ユニットによって充填される。しかし、少なくとも1つの再供給搬送ユニットをマスタブレーキの各々の仕事室にそれぞれ振り当てることは、仕事室の分離を好都合に確実にするために有利である。
【0010】
重車両のために、削減された直径を伴うマスタブレーキシリンダが使用でき、マスタブレーキシリンダの容量は、車輪ブレーキの吸入量に対して小さくなされる。極度の圧力要求のための送出ユニットを提供することによって、ブレーキ液の必要な追加の容量は、リザーバから獲得でき、必要に応じて、これは次いでブレーキ回路内に電動駆動式のBKVによって再供給される。
【0011】
再供給の要求は、マスタブレーキシリンダが移動する距離および上昇した圧力を使用して確認される。例えば、14.0MPa(140bar)でピストン移動がある場合、追加のブレーキ液が再供給室からHzに送出され、それによって、圧力が最大圧力まで増加される。
【0012】
したがって、小型自動車からSUVまで、同じマスタブレーキシリンダを用いることができる。あらゆる極度状態に適応するためにはマスタブレーキシリンダの容量が不充分な車両分類から上位で、追加の搬送ユニットは据え付けられる必要がある。マスタブレーキシリンダの寸法が、どの分類から上位で搬送ユニットが必要となるかを判定する。ブレーキ力補助(BKV)の故障の場合に、高性能の車両の分類は、マスタブレーキシリンダの小さいピストン表面面積のため、従来のシステムより実質的に低いペダル力から利点を得る。したがって、ペダル感覚は、損なわれていないブレーキ力補助を伴う通常の状況からさほど変化せず、それは運転者を動揺させないだろう。
【0013】
標準化し、車両による差異を縮小することにより、かなりの製造費用の削減および、予備部品の購買および在庫のための物流費用の削減が可能である。再供給構成要素の実施は容易であり、そのため、信頼できるものでもある。また、機能は診断可能である。
【0014】
好都合に、1つまたは複数の搬送ユニットは、それぞれ、電動駆動式のブレーキブースタのハウジングに配置されて、一体化される。
【0015】
再供給室は、更に1つの他の機能のために、すなわち、ブレーキライニングクリアランスを調節するために使用される。独国特許出願公開第(E114)号に説明されるように、ブレーキライニングの接触は、かなりの追加の燃料消費の原因となる。この特許出願は、これがどのようにブレーキラインおよびブレーキピストン内の負圧、ならびに、特別なピストン制御および切換弁の作動によって達成されるかを説明する。この特許出願において、ピストンが初期位置から後退させることができない場合、作動はとても複雑で、したがって、これは、電動ブレーキブースタに関する構造的追加費用を意味する。一方、再供給室を伴う場合、それは容易で、適切な容量がHZからこのチェンバ内に一時的に供給され、HZのピストンが弁を切り換えることによって後方へ動かされ、その結果、好ましくは1つの車輪シリンダ内の負圧を生成する。残りの車輪シリンダは、連続して動かされる。そうすることで、圧力計によって負圧を測定し、それに従ってプッシュロッドピストンの移動を制御することによって、クリアランスが車輪シリンダ内に生成できる。このブレーキクリアランスは、制動中または制動後のいつでも再度除去できる。したがって、外部信号によって、ブレーキライニングは制動操作の開始に先立って、ブレーキディスクと再度接触できる。このいわゆる予備充填によって、特に、予備充填の圧力がすでに0.5MPa(5bar)の圧力レベルに達している場合、ブレーキ移動の量を削減することが可能である。
【0016】
2つの実施可能な本発明の実施形態が、図面を参照にしてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マスタブレーキシリンダの各々の仕事室のための1つの送出ユニットを含む第1の実施形態によるブレーキシステムの図である。
【図1a】異なる車輪ブレーキ容量を有する2つの車両の図1のブレーキシステムの移動対圧力の略図である。
【図2】マスタブレーキシリンダの両方の仕事室のための連結される送出ユニットを含む第2の実施形態によるブレーキシステムの図である。
【図3】マスタブレーキシリンダの仕事室とリザーバとのそれぞれの間の電磁弁を含む第1の実施形態によるブレーキシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、独国特許出願公開第102005018649.19号、独国特許出願公開第102006059840.7号および独国特許出願公開第102005003648号に説明されるような電動ブレーキブースタの基本的構造を示し、これらの開示内容全体は参照として本願に含まれる。BKVが作動状態にない場合、ペダルはHzから分離される。ペダル力は、移動シミュレータ(図示せず)によって測定され、それは馴染みのペダル感覚を生成する。
【0019】
ペダル移動センサ11はペダル移動を検出し、それは、特性によって所望のブレーキ圧と関連付けられる。したがって、マスタブレーキシリンダ5のプッシュロッドピストン3上で作動するブレーキブースタ2は、ブレーキペダル1の作動によって作動される。浮動ピストン4は、排出量および圧力によって動かされる。ピストン3およびピストン4の両方は、それぞれのブレーキ回路内の圧力の生成の原因となる。適切なブレーキ液が、リザーバ内に提供される。知られたマスタブレーキシリンダの構造の詳細について、独国特許出願公開第102005018649.19号、独国特許出願公開第102006059840.7号および独国特許出願公開第102005003648号を参照されたい。移動シミュレータシステムにおいて、ペダル移動およびピストン移動は変化できることが知られている。高い摩擦値を伴う制動中、ピストンはペダルの前を進む。ピストン3、4が移動の端部領域に達するとき、再供給プロセスは実行される。そのプロセスにおいて、初めに、制御弁7が閉じられ、達成された圧力は車輪ブレーキ内に捕捉される。次いで再供給弁8が開かれる。同時にプッシュロッドピストン3が電動BKVによって後退させられ、マスタブレーキシリンダ内の圧力がゼロ(0)に向かって減少する原因となる。蓄積されるブレーキ液は、すでに充填された再供給室20から、マスタブレーキシリンダの仕事室A、A内に、バネ10およびピストン9を用いて送出される。例えば0.5MPa(5bar)の正圧が再供給室20内に存在することが好ましく、それによって、ブレーキ液は、マスタブレーキシリンダ内に能動的に送出される。これに次いで、再供給弁8が閉じられて、制御弁7が開かれる。ここでブレーキ液は適切なモータ駆動部によってブレーキ回路22内に排出され、したがって、それぞれのブレーキ回路22内の圧力は弁の位置によって更に増加する。そうして、ピストン3および4が端部領域(左手方向の位置)に達することなく、更なる圧力上昇が可能である。再供給は、任意で1つのブレーキ回路内のみへも可能である。ピストン表面面積およびピストン移動の適切な設計によって、Hz内の損失した容量は、あらゆる極端な事態に適応するために、再供給室内に利用可能に維持される。バネの適切な設計によって、バネ10の付勢は、例えば0.5から1.0MPa(5から10bar)の充填圧力を作る。大きな開口部を伴う再供給弁8との組合せにおいて、これは、仕事室A、A内への例えば約50msの急速な再供給を可能にし、それによって、圧力上昇における重大な遅れを防止する。
【0020】
再供給弁8は、流量および切り換え時間について最適化されなくてはならない。弁8は、通常閉状態の設計であることが好ましく、大きな弁座断面積を有することができる。そして、従来のコイルを使用することで、弁8は例えば5.0MPa(50bar)程の中高域の圧力によって開くことができる。これは、再供給弁の切り換えが約1.0MPa(10bar)で起こるため、再供給にとって不都合ではない。したがって、再供給ための高価な圧力補償弁の必要がない。時間的理由で、再供給ブロック20に全容量を1回で再供給しないことは意味があり得る。ピストン3、4が端部位置に、例えば14.0MPa(140bar)で接近する場合、次いで、最初に17.0MPa(170bar)まで昇圧するために充分な容量が再供給される。圧力が更に上昇する必要がある場合、例えば20.0MPa(200bar)の最大圧力ための新しい再供給段階において、17.0MPa(170bar)で容量の残余は再供給される。大多数の事例について、第1の再供給段階は充分であるため、これらの制動操作のために、再供給中の昇圧における時間遅れは削減される。
【0021】
始動または加速段階の各々の車両で再供給室20は充填でき、アセンブリライン端部での充填後、または、稼働中に診断できる。このために、例えば1.0MPa(10bar)の再供給室内の最大圧力がモータ駆動部によって制御される圧力で、取り込まれることが好ましい。この時点で再供給弁8が開いている場合、プッシュロッドピストン3は動いてはならない。しかし、万一このような場合、これは、ピストンシール内の漏れ、または、漏れのある再供給弁8を示すこととなる。容量の差は、ピストン移動Sによって確認可能である。容量の差および診断間隔は、漏れの程度の検出を可能にする。この目的のため、マスタブレーキシリンダは、最大再供給圧力に調節される。ここで更に、動かない再供給弁8またはピストン9を確認できる。再供給ブロック20が再度充填されると直ちに、ピストン3は後退させられる。そして、圧力/容量の特性の推移を見ることで、再供給ピストン9が動かされているか、または、再供給弁8が切り換えられているかが判定できる。
【0022】
代替的に、再供給室20の充填レベルは、制御弁7を閉じること、Hzを再供給室20の、例えば1.0MPa(10bar)の最大充填圧力に調節すること、操作変数になるようにピストンの位置を制御すること、再供給弁8を開くこと、および、Hz内の圧力降下のための圧力センサ12によって監視することによって検査できる。
【0023】
再供給容量を適用することによって、結果的に、幾つかの車両の分類について、同じ基本的システムを使用することが可能である。Hzおよび真空BKVからなる従来の解決策において、各々の車両の分類のために個別の寸法が使用されなくてはならず、それは、生産および修理における物流のためのより高い費用を意味する。
【0024】
更に、ブレーキ力補助の故障の場合に、より小さいピストンの直径は、非常に高いペダル力を生成する。
【0025】
移動シミュレータシステムにおいて、ブレーキシステムの通気状態は、圧力/容量の特性によって、定期的に確認できるため、マスタブレーキシリンダの容量および再供給ブロックの排出量からなるブレーキ作動のための全体の容量は、従来のシステムに比較して削減される。もはや、従来のシステムの場合のような、乏しい通気容量のための追加の安全容量を提供する必要がない。
【0026】
再供給室20の充填状態を監視するための更なる実現可能な手段は、任意のセンサ24を用いることである。このセンサはピストン9の位置を検出する。センサ24は、ピストン9の位置を検出する位置解像センサまたは切換機として設計できる。このセンサは、負圧を生成する機能のために充分な容量を提供することができるように、ピストンの診断または、所定の制御のために使用できる。
【0027】
図1aは、小型自動車Aおよびスポーツ用車両(SUV)Bのためのプッシュロッドピストン3のピストン移動Sに亘る圧力pの推移を示す。両方の車両は、同じマスタブレーキシリンダを使用している。点線はpmaxおよびピストン移動の端部における限界を示す。小型自動車は、乾燥したターマック上での制動操作中、僅か40%のピストン移動においてロック圧pに達する。その一方で、グラフBにおいて、SUVは際立ってより大きい吸入量、すなわち、ピストン移動を有し、したがって、pは、例えば、ピストン移動Sの70%において到達される。移動シミュレータ2の使用のために両方の事例において最大のペダル移動が、例えば40%に制限されるという事実は、再度言及される必要がある。Hzのピストンはペダルの前を進み、実際のピストン移動はペダル1において確認可能ではない。小型自動車のHzの容量で、例えば14.0MPa(140bar)がSUVにおいて達成できる。Bにおいて、圧力が更に増加される場合、例えばフェード現象中、先に言及された再供給プロセスNによって、Sに達するとき、例えば20.0MPa(200bar)まで圧力を増加させるための追加の容量が提供される。図1aにおいて、どのようにピストン3、4が後方へ動くか、そして、pMAXまで圧力を上昇することができるかが明らかになる。
【0028】
ブレーキ圧の削減中、圧力pまたは適切なピストンの位置において、追加の容量が再供給ブロック20に排出して戻される。このプロセスは戻し供給と呼ばれ、図1aにおいてR2と指示される。減圧中、例えば5.0MPa(50bar)において、開かれた制御弁20と共に、再供給弁8は開かれる。それによって、再供給室20は、再供給弁8での高い圧力の差のため、急速に充填される。したがって、戻し供給プロセスのために、車輪における圧力減少を妨げる必要がない。しかし、この結果は、車輪ブレーキにおける急速な圧力降下であり、それは、運転者にとって顕著であり得る。これを回避するため、圧力減少勾配または、再供給室20の変化率は、圧力センサ12および再供給弁のPWM制御によって変化させることができる。
【0029】
図1aにおいて、R2は代替的戻し供給プロセスを示す。減圧中、初めに制御弁7は閉じられて、再供給弁8が開かれる。適切なHzのピストン3の動きによって、再供給された追加の容量は、ここで、送出ユニット内に送出して戻される。次いで、制御弁7は再度開かれ、車輪ブレーキ内の圧力減少は継続できる。この戻し供給段階の間、車輪ブレーキにおいて圧力減少は起こらない。したがって、またここで、運転者が圧力減少の中断に気付かないように、このプロセスが急速に実施されることが重要である。
【0030】
再供給中のように戻し供給中、ペダルでの反応は、運転者によって気付かれるものではない。この制御された再供給室20内への戻し供給は、プッシュロッドピストン3および浮動ピストン4の初期位置における圧力が、確実に、周辺圧力とほぼ等しくなることを可能にし、したがって、主スリーブ23は、如何なる圧力の差とも関係なく、リザーバ6に通じる入口開口部21上を摺動する。この事は、図1に示されるような、いわゆるプランジャシリンダの充分長い寿命を確実にするために必要である。そうして、現在、ESP装置と共にブレーキシステムに使用されなくてはならない、いわゆる中央弁を伴うより高価で、より長いマスタブレーキシリンダの利用は回避できる。
【0031】
図2は、容量がまた、再供給室からマスタブレーキシリンダ内に再供給される、本発明の代替的第2の実施形態を示す。
【0032】
このユニットは、ピストン3の駆動部にタペット上方のロッド16を介して連結される2つのピストンを含むシリンダ13からなる。前進して昇圧する場合、駆動部はピストン14上に直接作動し、後方へ動く場合、ロッド16はバネ17によって運ばれる。これは安全の目的に役立ち、したがって、例えば、電磁弁の誤作動の場合、または、ロッド16が動かない場合に、ピストン3は、圧力の完全な削減のために初期位置まで後方に移動できる。
【0033】
再供給のために、2つの回路が可能である。この場合、ピストンの右手側において、電磁弁18aおよび制御弁7は、ピストン3が後方へ動かされる場合に閉じられ、一方、容量はリップシールを通して開いた電磁弁18aを介して、マスタブレーキシリンダ5に達する。次の前進移動中、電磁弁18aは再度閉じられ、電磁弁17aは開かれて、更なる圧力増加を引き起こす。ピストンの左手側において、それぞれピストン3および14の後退中、電磁弁19および制御弁7は閉じられ、電磁弁18は開かれて、リザーバ6から更なる容量を吸引する。前進移動中、ピストン14は、開いた電磁弁19および開いた制御弁7を介して、更なる圧力増加のために、Hz内に容量を送出する。
【0034】
図1による解決策において、再供給は再供給室20の容量に制限される。対照的に、図2による解決策において、再供給はリザーバが空になるまで継続できる。
【0035】
図3は、車輪ブレーキRBでのライニングクリアランスの能動的に調節するための、送出ユニット20の可能な使用法を示す。車輪ブレーキRBの構造は、一般によく知られており、ここで更に詳細に説明されることはない。更なる情報は、「Bremsenhandbuch、2nd edition、Vieweg 2004」を参照されたい。
【0036】
ブレーキディスクとブレーキライニングとの間のライニングクリアランスを調節するために、負圧が、直列式マスタブレーキシリンダ(THZ)3、4、5内に一時的に生成される。したがって、車輪ブレーキ内のブレーキピストンは能動的に後退させられ、車輪ライニングとブレーキディスクとの間の間隔を引き起こす。これが、ブレーキライニングとブレーキディスクとの間の残余の摩擦効果の除去をもたらす。再供給室20を使用して負圧は生成され、その基本的機能はすでに図1に説明されている。図1における構造の強化として、図3において、切換弁18が、マスタブレーキシリンダの仕事室A1およびA2とリザーバ6との間に位置付けられている。
【0037】
通常操作中、再供給室20は完全に充填されない。それらは、図1に説明された事例のような高圧力の要求のために、ブレーキ液を提供するのに充分な容量を含むが、追加の容量を取り込むこともできる。
【0038】
ライニングクリアランスの調節の開始において、ピストン3は、モータ駆動部2によって前進させられる。ピストン4はそれに対応して動く。それによって、再供給弁8が開いた状態で、ブレーキ液は、部分的にだけ充填されている再供給室20内に排出される。次いで、再供給弁8は閉じられる。この時点で、電磁弁17は閉じられ、制御弁7の1つは開かれることとなる。伸長した位置に未だにあるピストン3は、モータスピンドル駆動部によって、その初期位置に向かって部分的に後退させられる。これは、ブレーキライン22を介して、制御弁7が開いているそれぞれの車輪ブレーキRBに伝達される負圧をもたらす。この時点で、残りの3つの車輪ブレーキは、順次それぞれの制御弁を開くことによって後退させられる。ピストン3の移動は、対ブレーキピストンの表面面積の割合によって、ブレーキピストンの移動に比例する。この段階において、ピストンの運動がある圧力レベルまたは圧力の時間推移より下の場合にのみ評価されるように、負圧が評価される。圧力の時間推移は、負圧がピストンの摩擦に関して一定である場合、これはブレーキピストンの運動と同等であることを意味する。最後に、再度電磁弁18が開かれる。このようにして、THZ5内の負圧が除去される。THZ内の負圧段階の間、THZシールを通してリザーバからブレーキ液が、THZの仕事室A1およびA2に達することを防ぐことが、電磁弁18の仕事である。負圧段階において、すべての制御弁7を開けることによって、すべての車輪ブレーキRBのブレーキピストンを一斉に後退させることが可能である。
【0039】
冒頭に言及されたように、通常操作中、再供給室は完全に充填されず、したがって、それらは、ライニングクリアランスの調節のための容量を取り込むことができる。充填状態はセンサ24によって監視される。代替的に、初期に再供給室を完全に充填して、再供給室から所定の容量を流出させるために、ピストン3が後退させられ、制御弁7が閉じられ、電磁弁18が開かれるのと一緒に再供給弁8を一時的に開くことが可能である。更なる実現可能な手段は、再供給室を完全に空にし、ピストン3の移動によって所定の容量を取り込むことである。ここで、両方の再供給室20が別々に相互から充填され、したがって、1つのチェンバ20が常に完全に充填され、緊急事態のための容量が、図1に説明されるように提供されることは好都合である。
【0040】
調節されたライニングクリアランスのために、ブレーキライニングとブレーキディスクとの間の距離が増加される。これは、追加の吸入量、したがって、ピストン3の移動の損失の原因となるため、制動操作を阻害することとなる。したがって、可能性のある制動操作に先立って、ブレーキライニングがブレーキディスクと接触するように戻されることは重要である。これは、予備充填と呼ばれる。
【0041】
このために、再供給室20からのブレーキ液が使用できる。最初に、電磁弁18が閉じられ、制御弁7が開かれ、次いで、再供給弁8が開かれる。そうして、バネ10は、再供給室20からピストン9によって車輪ブレーキRB内にブレーキ液を排出する。必要とされる容量は、センサ24によって提供されるピストン9の位置によって制御できる。代替的に、予備充填の容量は再供給弁の開時間、および、再供給室20の充填圧力から調節される。圧力センサ12はまた、ライニングクリアランスが除去された場合を検出することができる。ブレーキライニングがブレーキディスクと接触すると直ちに、ブレーキ回路内の圧力が上がる。ブレーキ移動の削減について、約0.5MPa(5bar)までの予備充填は、より一層効果的であり、これは外部センサ、例えばペダル近接センサを必要とする。
【0042】
ライニングクリアランスが調節された状態で、再供給室20が例えば漏れのために空になる場合に適用可能な一方法が、以下の作業ステップを提供する。最初に、再供給弁8は閉じられた状態を維持し、制御弁が開かれる。ピストン3はモータ駆動部によって作動され、それによって、ライニングが接触するまでブレーキ回路内にブレーキ液の適切な容量が送出される。次いで、制御弁7は閉じられ、ピストン3は再度後退させられる。これは、仕事室A1およびA2内に負圧を生成する。ピストン3がその初期位置に達すると直ちに、負圧は適切な容量の差をリザーバから吸引する。
【符号の説明】
【0043】
1 ブレーキペダル
2 移動シミュレータを伴うモータ駆動部
3 プッシュロッドピストン DK
4 浮動ピストン
5 マスタブレーキシリンダ Hz
6 リザーバ
7 制御弁
8 再供給弁
9 ピストン
10 バネ
11 ペダル移動センサ
12 圧力センサ
13 シリンダ
14 二重ピストン
15 タペット
16 バネ
18 電磁弁
18a 電磁弁
19 電磁弁
19a 電磁弁
20 再供給室
21 入口開口部
22 ブレーキ回路
23 主スリーブ
24 センサ
max 最大ブレーキ圧
μ=1.0のためのロック圧(乾燥したターマック)
、A HZの仕事室
A 小型自動車の圧力/移動の特性
B SUVの圧力/移動の特性
F 搬送ユニット
L ライン
N 再供給
R1、R2 戻し供給
HZのピストン移動
再供給位置
再供給室の充填
BL ブレーキライン
ZL 供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのピストン(3、4)を有するブレーキブースタ(BKV、3、4、5)のための電動駆動装置を含むブレーキシステムであって、当該少なくとも1つのピストン(3、4)が少なくとも1つの車輪ブレーキ(RB)内で昇圧および圧力除去のために当該駆動装置によって駆動され、特にブレーキペダルの形状のブレーキ作動装置(1)によって、当該駆動装置の誤作動の場合にのみ機械的に調節可能であり、ブレーキライン(BL)を開閉するための少なくとも1つの分離弁(7)がすべての車輪ブレーキ(RB)と前記ブレーキブースタ(BKV)の仕事室(A、A)との間の当該ブレーキライン(BL)内に配置される、ブレーキシステムにおいて、
必要に応じて、ブレーキ液をリザーバ(20;20’)から前記ブレーキブースタ(BKV)の前記それぞれの仕事室(A、A)へ、ブレーキライン(BL)または前記ブレーキブースタ(BKV)、特に仕事室(A、A)にそれぞれ接続される少なくとも1つの供給ライン(ZL)を介して送出する少なくとも1つの搬送ユニット(F)が提供され、
前記それぞれの供給ライン(ZL)を開閉するための制御される弁(8;19、19a)が各々の供給ライン(ZL)内に配置される、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項2】
請求項1記載のブレーキシステムにおいて、
前記搬送ユニット(F)はピストンシリンダシステムであり、
その少なくとも1つのピストン(9;14)が駆動部またはバネ(10、17)によって加圧され、
前記駆動部またはバネはそれぞれ送出圧力を生成し、
リザーバが前記ピストンシリンダシステムの仕事室(20;20’)によって形成される、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のブレーキシステムにおいて、
搬送ユニット(F)は各々の仕事室(A、A)に付随される、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載のブレーキシステムにおいて、
前記搬送ユニット(F)の前記ピストンシリンダシステムの前記仕事室(20;20’)は前記ブレーキブースタ(BKV)によって充填可能である、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載のブレーキシステムにおいて、
前記搬送ユニット(F)はピストンシリンダシステムであって、それの少なくとも1つのピストン(14)は、前記ブレーキブースタ(BKV)の駆動部によって駆動されるか、または、そのピストン(3)に連結される、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項6】
請求項5記載のブレーキシステムにおいて、
前記ピストンシリンダシステムの前記少なくとも1つのピストン(14)は、前記ブレーキブースタ(BKV)の前記駆動されるピストン(3)にタペット(15、16)を介して連結される、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項7】
請求項6記載のブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキブースタ(BKV)内の昇圧中、前記タペット(15)は、前記搬送ユニット(F)の前記ピストンシリンダシステムの前記少なくとも1つのピストン(14)を形状嵌めによって運び、
一方、前記ブレーキブースタ(BKV)内の圧力除去中、前記タペット(15)は、前記搬送ユニット(F)の前記1つまたは複数のピストン(14)をバネ要素(17)のみによって運ぶ、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項8】
請求項5から7記載のいずれか一項記載のブレーキシステムにおいて、
前記ピストンシリンダシステムの各々の仕事室(20’)は、ライン(L)を介して前記ブレーキシステムのリザーバ(6)と通連し、
前記ライン(L)の任意の中断のための制御される遮断弁(18、18a)が当該ライン(L)内に配置される、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項記載のブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキブースタ(BKV)の前記仕事室(A、A)の容量は、前記車輪ブレーキ(RB)の最大圧力を達成するために必要とされるブレーキ液の量未満である、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項記載のブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキブースタ(BKV)の前記ピストンシリンダシステムは、誤作動の場合の手動作動中にブレーキ圧を上昇するために僅かなペダル力のみを必要とする直径を有する、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項記載のブレーキシステムにおいて、
前記供給ライン(ZL)内の前記切換弁(8)は、低圧力に適用され、大きな断面積の流路を有する、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項記載のブレーキシステムにおいて、
再供給室(20)の前記ピストン(9)の位置が、センサ(24)によって判定される、ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項記載のブレーキシステムを操作するための方法であって、前記ブレーキブースタ(BKV)の仕事室(A、A)へのブレーキ液の再供給中、当該仕事室(A、A)へ接続される前記車輪ブレーキ(RB)は、当該仕事室(A、A)から前記分離弁(7)を使用して圧力保持のために分離され、
同時に、前記供給ライン(ZL)内の前記弁(8、19、19a)は開き、
その前記1つまたは複数の仕事室は、前記ブレーキブースタ(BKV)の前記1つまたは複数のピストンを後退させることによって、拡張される、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
ブレーキ液は、ブレーキ圧上昇中の時間遅れを削減するために、1つまたは複数の搬送ユニット(F)によって複数回再供給される、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13または14記載の方法において、
前記搬送ユニット(F)の前記リザーバ(20、20’)を再充填するために、前記それぞれの仕事室(A、A)へ接続される前記車輪ブレーキ(RB)は、前記仕事室(A、A)から前記分離弁(7)を使用して分離され、
ブレーキ液は、前記ブレーキブースタの前記仕事室(A、A)から前記リザーバ(20、20’)へ当該ブレーキブースタ(BKV)内の昇圧によって送出され、
前記供給ライン(ZL)の前記弁(8)は、その閉位置へ充填操作後に動かされる、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13または14記載の方法において、
前記ブレーキブースタ(BKV)の前記駆動部によって駆動されるピストンシリンダシステムの前記仕事室(20’)の再充填中、当該仕事室を前記ブレーキシステムの前記リザーバ(6)と接続するライン(L)内に配置される弁(18、18a)は開かれ、
前記搬送ユニット(F)の前記仕事室(20’)を前記ブレーキブースタ(BKV)と接続する前記供給ライン(ZL)内に配置される弁(16)は閉じられる、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13から16のいずれか一項記載の方法において、
前記搬送ユニット(F)の機能が、前記ブレーキブースタ(BKV)のマスタブレーキシリンダのピストン運動を比較することによって、作動された再供給中、および/または、作動を停止された再供給中に、少なくとも1つの圧力センサの圧力信号を使用して、確認される、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13から17のいずれか一項記載の方法において、
前記ブレーキライン(BL)内の圧力除去中に、搬送ユニット(F)の前記リザーバ(20)を再充填するために、前記車輪ブレーキ(RB)からのブレーキ液が、前記弁(7、8)の対応する切り換えが提供される状態において、提供される、ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13から18のいずれか一項記載の方法において、
再供給室内の圧力除去の勾配は、再供給弁のPWM操作によって前記圧力センサを介して制御される、ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1から12のいずれか一項記載のブレーキシステムを操作するための方法、または、請求項13から19のいずれか一項記載の方法において、
前記ブレーキブースタの前記仕事室(A、A)内に負圧を生成するために、弁(18、18a)は閉じられ、
前記仕事室(A、A)を拡張するために、前記ブレーキブースタの前記ピストン(3、4)を後退させ、それによって、特に前記車輪ブレーキ(RB)内のライニングクリアランスを、一斉に開かれた弁(7)によって調節する、ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1から12のいずれか一項記載のブレーキシステムを操作する方法、または、請求項20記載の方法において、
再供給弁(8)が開かれる場合、マスタブレーキシリンダ(5)内の容量の一部が、当該マスタブレーキシリンダ(5)によって、1つまたは複数の再供給室(20)内に排出され、
ライニングクリアランスを達成するために、前記マスタブレーキシリンダ(5)の前記ピストン(3、4)を後退させることによって、前記再供給弁(8)が閉じられ、制御弁(7)が開かれた状態で、前記車輪ブレーキ(RB)内のブレーキピストンは、次いで、ブレーキディスクから離して持ち上げられる、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20または21記載の方法において、
前記車輪ブレーキ(RB)内の前記ライニングクリアランスは、連続してまたは一斉にまたは2つ一組で、調節される、ことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20から22のいずれか一項記載の方法において、
前記マスタブレーキシリンダ(5)の前記ピストン(3、4)を後退させることによる負圧の生成中、リザーバ(6)を当該マスタブレーキシリンダ(5)へ接続するライン(L)内に配置される弁(18)が閉じられる、ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20から23のいずれか一項記載の方法において、
前記ピストン(3、4)の所定のストロークが、センサ(12)によって判定される前記ブレーキライン(BL)またはマスタブレーキシリンダ(5)内の圧力を基に実行される、ことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20から24のいずれか一項記載の方法において、
再供給室(20)が負圧制御または前記ライニングクリアランスの調節のための更なる容量を取り込むために、前記再供給室(20)の前記ピストン(9)は、中間位置に存在する、ことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、
この中間位置は、前記電磁弁(8)の特定の開時間、および、前記マスタブレーキシリンダ(5)の前記仕事室(A、A)への容量の戻りによって、制動が起こっていない間に達成される、ことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項20から26のいずれか一項記載の方法において、
再供給室(20)の前記ピストン(9)の中間位置への調節が、位置センサ(24)によって達成される、ことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項20から27のいずれか一項記載の方法において、
再供給室(20)内に蓄積されるブレーキ液の量は、ブレーキを予備充填するための外部信号によって、制動操作の開始に先立って再供給弁(8)、および、任意に1つまたはすべての制御弁(7)を開くことによって提供される、ことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、
負圧の制御中の前記容量は、前記ブレーキの予備充填において、約0.5MPa(5bar)の圧力を生成するような量になされる、ことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項20から29のいずれか一項記載の方法において、
前記ピストン(3、4)によって車輪ブレーキ(RB)のブレーキディスクとブレーキライニングとの間のブレーキクリアランスを調節するために、前記ブレーキブースタの前記仕事室(A、A)内に負圧が生成され、同時に、前記それぞれの1つまたは複数の弁(7)は開かれ、
前記ブレーキブースタの前記それぞれの仕事室(A、A)をリザーバ(6)または再供給ユニット(20’)と接続するライン(L)は、前記弁(18;19、19a)によって閉じられる、ことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項20から30のいずれか一項記載の方法において、
前記ライニングクリアランスを除去するために、前記弁(18、18a)は、閉じられ、次いで、前記弁(7)と同様に前記それぞれの弁(8、19、19a)は開かれる、ことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31記載の方法において、
それぞれのブレーキライン(22)内の制動力をもたらす圧力において、当該ブレーキラインは、前記対応する弁(18、18a、19、19a)を開くことによって前記リザーバ(6)と接続される、ことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項20から32のいずれか一項記載の方法において、
前記ブレーキクリアランスを除去するために、前記弁(8)は閉じられ、前記1つまたは複数の弁(7)は開かれ、油圧伝達媒体は、次いで、前記ピストン(3、4)によって前記ブレーキライン(22)を介して前記車輪ブレーキに送出される、ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−506188(P2011−506188A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538494(P2010−538494)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/011021
【国際公開番号】WO2009/083217
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(509159159)アイピーゲート・アクチェンゲゼルシャフト (6)
【Fターム(参考)】