説明

プラズマを利用して基板を処理する装置

【課題】プラズマを利用し、基板を処理する装置に関する。
【解決手段】プラズマの特性を向上させるため磁気場を形成する磁石のユニットを提供する。ハウジングの側部の内、上部の領域には、第1磁石ユニットが、又、下部の領域には、第2磁石ユニットが提供される。各々の磁石ユニットは、複数の電磁石を有する。電磁石は、磁石ユニットが上部から見る際、正多角型の形状を有するように配置される。下部に配置される磁石ユニットは、上部に配置される磁石ユニットとの整列位置から、その中心軸を基準として一定角度回転された状態に配置される。上述した構造によって、ハウジング内のプラズマ密度の均一度が向上され、特に隣接する電磁石の間の領域でプラズマ均一度が低下することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する装置に係り、より詳細にはプラズマを利用して基板を処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を製造するためには、多様な工程が要求される。これらの工程の内、蒸着、飾刻(エッチング)、又洗浄等のような多数の工程は、ガスからプラズマを生成し、これをウェハーのような半導体基板上に供給することによって、ウェハー上に薄膜を蒸着したり、半導体基板から酸化膜などのような薄膜や汚染物質などを除去する。
【0003】
最近は、プラズマの特性を改善するため、プラズマ領域へ磁気場を付加する装置が多く使用されている。磁気場は、プラズマをチャンバー内に受容させ、チャンバーの内壁がプラズマによって損傷されることを減少できる。
【0004】
磁気場は、電子の運動を活性化させ、プラズマの生成及び持続に助力し、これによってプラズマ密度を増加させられ、磁気場は、チャンバー内でプラズマが均一に分布するようにしてウェハーの全体領域で飾刻の均一度や蒸着の均一度を向上させられる。
【0005】
現在プラズマ処理装置には、磁気場を提供する方法として大きく2つが利用されている。1つは、永久磁石を使用して磁気場を形成する方法であり、その他には、電磁石を使用して磁気場を形成する方法である。
【0006】
永久磁石を使用して磁気場を形成する場合、特定工程に対する磁気場の最適化を提供できるが、磁気場の形状(shape)や強度(intensity)を変化させにくい。
【0007】
電磁石を使用して磁気場を形成する場合、磁気場の形状や強度は、比較的自由に調節できるが、電磁石の配置構造の限界によって最適化された磁気場を提供しにくい。
【0008】
特許文献1には、チャンバーの周りに四つの電磁石が配置されたプラズマ飾刻装置が開示されている。このような構造の装置を使用する場合、プラズマの密度均一性を向上させることには限界があり、特に隣接する電磁石間の領域に相応するウェハー領域は、他の領域に比べて飾刻均一度が非常に低い。
【特許文献1】米国登録特許第5215619号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためのものであって、その目的は、プラズマを利用して工程を進行する際、基板全体領域で工程均一度を向上させられる構造を有するプラズマ処理装置を提供する。
【0010】
又、本発明の他の目的は、プラズマ密度均一性を向上させることができる構造を有するプラズマ処理装置を提供する。
【0011】
なお、本発明の他の目的は、これだけに制限されず、言及されなかったその他の目的は、下の記載から同業者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の一実施の形態によれば、プラズマ処理装置は、内部に基板を受け入れる空間を有するハウジングと、前記ハウジング内にガスを供給するガス供給部材、前記ハウジング内に供給されたガスからプラズマを発生させるプラズマソース、又前記ハウジング内でプラズマが発生した領域に磁気場を形成する磁気場形成部材を含む。
【0013】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記磁気場形成部材は、前記ハウジングの周りに配置される第1磁石ユニットと前記ハウジングの周りに配置され、前記第1磁石ユニットと層に分けられるように提供される第2磁石ユニットを有する。
【0014】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記第1磁石ユニットは、前記ハウジングを包む形状に配置され、相互に離隔された複数の第1磁石を含み、前記第2磁石ユニットは、前記ハウジングを包む形状に配置され、相互に離隔される複数の第2磁石を含める。前記第1磁石と前記第2磁石は、電磁石で提供される。
【0015】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットの間を横切る平面を基準として前記第1磁石と前記第2磁石は、非対称に配置される。
【0016】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記第1磁石ユニットは、前記第2磁石ユニットの上部に提供され、前記第2磁石各々は、隣接する前記第1磁石の間の垂直下部に配置される。
【0017】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記第1磁石と前記第2磁石の各々は、同じ形状で提供され、前記第1磁石と前記第2磁石は、同じ数で提供され、前記第2磁石各々は、隣接する前記第1磁石の間の中央位置の垂直下部に配置される。
【0018】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記第1磁石と前記第2磁石の各々は、直四角のリング形状で提供され、前記第1磁石各々と前記第2磁石の各々は、前記チャンバーと対向する面が平たく提供される。又、前記第1磁石と前記第2磁石は、各々偶数個で提供される。又、前記第1磁石と前記第2磁石は、各々四つ以上で提供されてもよい。
【0019】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記第1磁石と前記第2磁石は、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットが、各々上部から見る際、正多角形の形状を有するように配置され、前記第2磁石ユニットは、その中心軸を基準として前記第1磁石ユニットに対して前記正多角形の内角の倍数以外の角度で回転して配置される。
【0020】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記磁気場形成部材には、前記ハウジングの周りに配置され、前記第1磁石ユニット及び前記第2磁石ユニットと層で区切られるように提供され、電磁石の複数の第3磁石を具備する第3磁石ユニットがさらに提供される。
【0021】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記プラズマ処理装置には、前記磁気場形成部材をその中心軸を基準として回転させる回転部材がさらに提供される。前記プラズマ処理装置は、前記第1磁石ユニットを回転させる第1回転ユニットと前記第1磁石ユニットに対して独立的に前記第2磁石ユニットを回転させる第2回転ユニットを含める。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明の一実施の形態によれば、本発明の装置は、プラズマ工程が行われるハウジング、前記ハウジング内から前記ハウジング内に供給されたガスからプラズマを発生させるプラズマソース、前記ハウジングの側部を包むように配置され、相互層で区切られる二つ以上の磁石ユニットを含み、前記磁石ユニット各々は、前記ハウジングの側部を包むような形状に配置される複数の電磁石を具備し、相互に隣接する層に提供された前記磁石ユニットの電磁石は、その間を通じる面に対して非対称に配置される。
【0023】
本発明の望ましい実施の形態においては、前記磁石ユニット中の何れか一つの磁石ユニットに提供された磁石は、その上部に配置される磁石ユニットの隣接する磁石間に位置される。前記磁石ユニットは、各々上部から見る際、多角形の形状を有するように配置される。前記磁石ユニットは、各々上部から見る際、正多角形の形状を有するように配置され、前記磁石ユニットの内の何れか一つの磁石ユニットは、これと隣接した他の一つの磁石ユニットに対して前記正多角形の内角の正数倍とは相異なる角度で回転した状態に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、ハウジング内のプラズマ密度を比較的均一に提供できる。
【0025】
又、本発明によると、ウェハーの全体領域で飾刻均一度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を添付された図1乃至図13を参照してより詳細に説明する。
【0027】
本発明の実施の形態は、様々な形態に変形されることができ、本発明の範囲は、以下に詳説する実施の形態によって限定されるものと解析してはならない。本発明の実施の形態は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面での要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張されたものである。
【0028】
本実施の形態では、プラズマ処理対象物としてウェハーを例にあげて、プラズマソースとして容量結合型プラズマ(capacitivelycoupled plasma)を使用したプラズマ処理装置を例にあげて説明する。しかし本発明の技術的な思想は、これに限定されなく、対象物はガラス基板などのような他の種類の基板であることもあり、プラズマソースは、誘導結合型プラズマ(inductivelycoupled plasma)等のような多様な種類が使用される。
【0029】
図1は、本発明の一つの実施の形態に従う基板処理装置を概略的に示す平面図である。図1を参照すると、基板処理装置1は、設備前方端部モジュール(equipmentfront end module)10と工程設備20とを有する。
【0030】
設備前方端部モジュール10は、工程設備20の前方に装着され、ウェハーWが受容された容器16と工程設備20との間にウェハーWを移送する。設備前方端部モジュール10は、複数のロードポート(load ports)12とフレーム(frame)14を有する。フレーム14は、ロードポート12と工程設備20との間に位置される。ウェハーWを受け入れる容器16は、オーバーヘッドトランスファー(overheadtransfer)、オーバーヘッドコンベヤー(overhead conveyor)又は、自動案内車両(automatic guided vehicle)のような移送手段(未図示)によりロードポート12上に在置される。容器16は、前面開放一体式ポッド(FOUP:frontopen unified pod)のような密閉用容器が使用される。フレーム14内には、ロードポート12に在置された容器16と工程設備20との間にウェハーWを移送するフレームロボット18が設置される。フレーム14内には、容器16のドアを自動で開閉するドアオープナー(未図示)が設置される。又、フレーム14には、清浄空気がフレーム14内の上部から下部に流れるように清浄空気をフレーム14内に供給するファンフィルターユニット(fanfilter unit)(未図示)が提供される。
【0031】
工程設備20は、ロードロックチャンバー(loadlock chamber)22、返送チャンバー24、及び工程チャンバー26を有する。返送チャンバー24は、上部から見る際、概して多角の形状を有する。返送チャンバー24の側面には、ロードロックチャンバー22又は、工程チャンバー26が位置される。
【0032】
ロードロックチャンバー22は、返送チャンバー24の側部の内、設備前方端部モジュール10と隣接した側部に位置され、工程チャンバー26は、他の側部に位置される。ロードロックチャンバー22は、一つ又は、複数個が提供される。1つの例によると、ロードロックチャンバー22は、二つが提供される。二つのロードロックチャンバー22の中の一つには、工程進行のため工程設備20に流入されるウェハーWが収納され、他の一つには、工程が完了され工程設備20から流出されるウェハーWが収納される。これと違って、ロードロックチャンバー22は、一つ又は複数個が提供され、各々のロードロックチャンバー22でウェハーのローディング、アンローディングが成り立ってもよい。
【0033】
ロードロックチャンバー22内で複数のウェハーは、相互に上下に離隔され、相互に対向するように位置される。ロードロックチャンバーには、ウェハーのきわ領域の一部を支持するスロット22aが複数個提供される。
【0034】
返送チャンバー24及び工程チャンバー26の内部は、真空に維持され、ロードロックチャンバー22の内部は、真空及び大気圧に転換される。ロードロックチャンバー22は、外部汚染物質が返送チャンバー24及び工程チャンバー26に流入されることを防止する。ロードロックチャンバー22と返送チャンバー24との間、そして、ロードロックチャンバー22と設備前方端部モジュール10との間には、ゲートバルブ(未図示)が設置される。設備前方端部モジュール10とロードロックチャンバー22との間にウェハーWが移動される場合、ロードロックチャンバー22と返送チャンバー24との間に提供されるゲートバルブが閉じられ、ロードロックチャンバー22と返送チャンバー24との間にウェハーWが移動される場合、ロードロックチャンバー22と設備前方端部モジュール10との間に提供されるゲートバルブが閉じられる。
【0035】
工程チャンバー26は、ウェハーWに対して所定の工程を実行する。例えば、工程チャンバー26は、エシン(アッシング)、蒸着、飾刻、又は、洗浄などのような工程をプラズマを利用して実行する。工程チャンバー26は、ロードロックチャンバー22の側部に一つ又は、複数個が提供される。工程チャンバー26が複数提供される場合、各々の工程チャンバー26は、ウェハーWに対して相互に同じ工程を実行できる。オプションとして、工程チャンバー26が複数個提供される場合、工程チャンバー26は、順次、ウェハーWに対して一連の工程を実行してもよい。
【0036】
以下、プラズマを利用して工程を実行する工程チャンバー26をプラズマ処理装置と称する。
【0037】
図2は、ウェハーに対して飾刻工程を実行するプラズマ処理装置(plasmatreating apparatus)26の一例を概略的に示す断面図であり、図3は、図2の斜視図である。図2と図3を参照すると、プラズマ処理装置26は、ハウジング200、支持部材220、ガス供給部材240、シャワーヘッド260、プラズマソース360、及び磁気場形成部材400を有する。ハウジング200は、内部に工程が随行される空間202が提供された円筒形状を有する。ハウジング200の下部壁には、工程進行の際に発生する副産物を排出する排気管(未図示)が連結される。排気管には、工程進行の際にハウジング200内部を工程圧力で維持するポンプ(未図示)と排気管内の通路を開閉するバルブ(未図示)が設置される。
【0038】
支持部材220は、工程進行の際、ウェハーWを支持する支持板222を有する。支持板222は、概して円板形状を有する。支持板222の底面にはモーター(未図示)により回転可能な支持軸224が固定結合される。ウェハーWは、工程進行の際、回転できる。支持部材220は、静電気力、又は、機械的クランピングのような方式を使って、ウェハーWを固定できる。
【0039】
また、ガス供給部材240は、ハウジング200内部に工程ガスを供給する。ガス供給部材240は、ガス供給源244とハウジング200とを連結するガス供給管242を有する。ガス供給管242には、内部通路を開閉するバルブ242aが設置される。
【0040】
シャワーヘッド260は、ハウジング200内に流入された工程ガスを支持板222の上部領域で均一に分散させる。シャワーヘッド260は、ハウジング200内の上部に支持部材220と対向するように位置される。シャワーヘッド260は、環形の側壁262と円板形状の噴射板264とを有する。シャワーヘッド260の側壁262は、ハウジング200の上壁から下の方向に突出されるようにハウジング200に固定結合される。噴射板264は、側壁の下段に固定結合される。噴射板264の全体領域には多数の噴射ホール264aが形成される。工程ガスは、ハウジング200とシャワーヘッド260により提供された空間266に流入した後、噴射ホール264aを通じて、ウェハーWへ噴射される。
【0041】
リフトピンアセンブリー300は、支持板222へウェハーWをローディングするか、支持板222からウェハーWをアンローディングする。リフトピンアセンブリー300は、多数のリフトピン322、支えプレート324、及び駆動機326を有する。リフトピン322は、三つ提供され、支えプレート324に固定設置され、支えプレート324と共に移動する。支えプレート324は、円板形状を有し、ハウジング200内で支持板222の下、又は、ハウジング200外部に位置される。支えプレート324は、流空圧シリンダー又は、モーターのような駆動機326により上下に移動する。リフトピン322は、上部から見る際、概して正三角形の角頂点に相応して位置されるように配置する。支持板222には、上下方向に垂直に貫通するように多数の貫通ホールが形成される。各々のリフトピン322は、貫通ホール各々に挿入され、貫通ホールを通じて下方に移動される。各々のリフトピン322は、長いロッド形状を有し、上段は、上部にふっくらした形状を有する。
【0042】
プラズマソース360は、支持板222の上部領域に供給された工程ガスからプラズマを発生させる。プラズマソース360としては、容量結合型プラズマが使用される。プラズマソース360は、上部電極362、下部電極364、及び電力供給機366を有する。シャワーヘッド260の噴射板264は、金属材質から成り、上部電極362として機能する。下部電極364は、支持板222の内部空間に提供される。電力供給機366は、上部電極362又は、下部電極364へ高周波電力(RFpower)又は、マイクロ波電力(microwave power)を印加する。電力供給機366は、上部電極362と下部電極364の両方に電力を印加してもよい。あるいは、上部電極362と下部電極364の何れか一つの電極に電力を印加し、他の一つの電極は、接地してもよい。
【0043】
磁気場形成部材400は、ハウジング200の周りに配置され、プラズマが形成される領域に磁気場を提供する。図4は、磁気場形成部材400を示す斜視図であり、図5は、図4の平面図である。図5において、上部に位置される第1磁石ユニット420は、実線で示し、下部に位置される第2磁石ユニット440は、点線で示した。
【0044】
図4と図5を参照すると、磁気場形成部材400は、第1磁石ユニット420と第2磁石ユニット440とを有する。第1磁石ユニット420と第2磁石ユニット440とは、層を形成するように提供される。第1磁石ユニット420は、ハウジング200の側部の内で上部領域を包むように配置され、第2磁石ユニット440は、ハウジング200の側部の内で下部領域を包むように配置される。第1磁石ユニット420は、複数の第1磁石422を有し、第2磁石ユニット440は、複数の第2磁石442を有する。
【0045】
第1磁石422と第2磁石442は、磁気場の方向及び大きさの調節ができるように電磁石が使用される。第1磁石422と第2磁石442の各々は、コイルを有する。コイルは、銅材質で提供される。本実施形態では、第1磁石422と第2磁石442は、各々八つが提供され、各々の磁石422、442は、同じ形状を有する。各々の磁石422、442は、概して直四角のリング形状を有し、立てられた状態で配置される。ハウジング200と対向する磁石422、442の内側面は、平らに設けられる。
【0046】
第1磁石422と第2磁石442に提供されたコイルの各々には、電流供給機450が連結される。第1磁石422の内、何れか一つの磁石を基準として、順次第1-1磁石422a、第1-2磁石422b、第1-3磁石422c、第1-4磁石422d、第1-5磁石422e、第1-6磁石422f、第1-7磁石422g、第1-8磁石422hとする。第1-1磁石422aと第1-8磁石422hとの間及び第1-4磁石422dと第1-5磁石422eとの間を横切る線708を基準として相互に対称的に配置される磁石は、セットを成す。
【0047】
したがって、同一セットに属する磁石に提供されたコイルには、同じ大きさの電流を相互に反対方向に供給する。第1-1磁石乃至第1-4磁石422a、422b、422c、422dへ印加される電流の方向は、同一で、第1-5磁石乃至第1-8磁石422e、422f、422g、422hへ印加される電流の方向は、同一である。電流の大きさは、第1-1磁石422aから第1-4磁石422dまで行くにつれて徐々に小さくなるよう供給できる。
【0048】
上述したように、電流が供給される場合、第1-1磁石422aから第1-8磁石422hに向かう方向へ非線形磁気場ラインが形成され、第1-2磁石422bから第1-7磁石422gに向かう方向へ非線形磁気場ラインが形成され、第1-3磁石422cから第1-6磁石422fに向かう方向へ非線形磁気場ラインが形成され、第1-4磁石422dから第1-5磁石422eに向かう方向へ非線形磁気場ラインが形成される。第2磁石442も同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
ハウジング200の周りには、中央に上下方向に通空が形成された八面体形状の上部フレーム462と下部フレーム464が提供される。下部フレーム464は、上部フレーム462の下に提供される。第1磁石422は、上部フレーム462の内側面に各々固定設置され、第2磁石442は、下部フレーム464の内側面に各々固定設置される。第1磁石422は、一定の間隔で相互に離隔して配置され、第2磁石442も、一定の間隔で相互に離隔して配置される。上述した構造によって、第1磁石ユニット420と第2磁石ユニット440は、各々上部から見る際、概して正八角形の形状を有する。
【0050】
第1磁石ユニット420と第2磁石ユニット440は、これらの間を通じる水平面を基準に見ると、相互に非対称に提供される。例えば、第2磁石ユニット440は、第1磁石ユニット420と上下で相互に整列した位置から一定の角度回転した状態で提供される。一定の角度とは、正多角形の形状を持った第1磁石ユニット420の内角の倍数以外の角度である。例えば、一定の角度は、内角の半分である。上述したように、第1磁石ユニット420が正八角形の形状を有する場合、第2磁石ユニット440は、第1磁石ユニット420と整列した位置から67.5度(゜)回転した状態で提供される。したがって第2磁石442は、第1磁石422と上下で整列されず、二つの第1磁石422の間の垂直下部に第2磁石442が配置される。
【0051】
制御器(図示せず)は、プラズマ処理装置で第1磁石422と第2磁石442のコイルに印加される電流の大きさ及び方向を制御する。又、制御器は、プラズマソース360に提供される電力の大きさを制御する。又、制御器は工程進行中にウェハーWの移動や工程時間などのような装置の全般的な動作を制御する。
【0052】
図6A乃至図9Cは、本実施の形態のような構造の磁気場形成部材400を使用する際に得られる長所を説明するための図面である。図6A乃至図7Bは、ハウジング200内のウェハーWの上部領域に形成された磁気場の均一度がプラズマ密度(即ち、飾刻率)の均一度に及ぼす影響を示す。図6A及び図6Bに示したようにウェハーW領域に従う磁気場が均一な大きさで形成された場合、プラズマの密度が徐々に大きくなることが分かる。しかし、図7A及び図7Bに示したように、ウェハーWの直径方向について磁気場が相異なる大きさで提供された場合、プラズマ密度が概して均一に形成されたことが分かる。図6A乃至図7Bからプラズマ密度を均一に提供するためにはウェハーの領域別磁気場の大きさの差が一つの変化の要素になることが分かる。
【0053】
実験によると、ウェハーWの直径の両端領域、及びウェハーの中心領域を各々A、B、Cとすると、磁気場の大きさがA、C、Bに沿って徐々に低くなる場合、A領域での磁気場の大きさとC領域での磁気場の大きさの比が1.4乃至1.7範囲に属する場合、プラズマ密度の均一性が優秀である。
【0054】
図8A乃至図9Cは、磁気場形成部材の構造に伴うハウジング200内の磁気場の大きさ及びプラズマ密度を示す図面である。図8Aのように電磁石820が配置された構造の磁気場形成部材800を使用する場合、A領域での磁気場の大きさとB領域での磁気場の大きさの比は約2.0であり、図8Cに示したようにプラズマ密度(エッチング率)の均一度は、多少低い。図8Aのような構造の磁気場形成部材800を使用する際、磁気場に影響を及ぼす変化の要素を多様に変化させても、上述した適正範囲内に比を調節するのは、容易でない。しかし図9Aのような構造の磁気場形成部材400を使用する場合、A領域で磁気場の大きさとB領域で磁気場の大きさの比は、約1.6であり、図9Cに示したようにプラズマ密度(エッチング率)の均一率は、大きく向上した。
【0055】
プラズマ処理装置26には、磁石ユニット420、440を回転させる回転部材500が更に提供される。図10は、回転部材500が提供されたプラズマ処理装置26aの一例を概略的に示す。ハウジング200、プラズマソース360、及び磁気場形成部材400等は、上述した実施の形態と同一なので詳細な説明は省略する。ハウジング200の外側には、上下方向に通空が形成され、ハウジング200を包む筒形状の回転カバー600が設置される。第1磁石ユニット420と第2磁石ユニット440は、回転カバー600内に固定設置される。
【0056】
回転部材500は、第1磁石ユニット420と第2磁石ユニット440を同時に回転させる。一例によると、回転部材500は、第1プーリー502、第2プーリー504、ベルト506、及びモーター508を有する。モーター508の回転軸は、第1プーリー502に固定設置され、第2プーリー504は、回転カバー600の周りに固定設置される。ベルト506は、第1プーリー502と第2プーリー504を包むように提供される。モーター508の回転力は、第1プーリー502、ベルト506、そして第2プーリー504を通じて回転カバー600に伝えられる。回転部材500は、工程進行中にハウジング200内でプラズマ密度の均一度をより一層向上させる。上述した例では回転部材500が、ベルト506、プーリー502、504、及びモーター508を具備するアセンブリーで成り立つことを説明したが、回転部材500は、これとは違う多様な構造のアセンブリーが使用される。
【0057】
図11は、回転部材500’が提供されたプラズマ処理装置26bの他の例を概略的に示す。ハウジング200の外側には、上下方向に通空が形成され、ハウジング200を包む筒形状の第1回転カバー620と第2回転カバー640が設置される。第1回転カバー620と第2回転カバー640は、同じ形状で提供され、第2回転カバー640は、第1回転カバー620の下に提供される。第1磁石ユニット420は、第1回転カバー620に固定設置され、第2磁石ユニット440は、第2回転カバー640に固定設置される。
【0058】
回転部材500’は、第1回転ユニット520と第2回転ユニット540を含む。第1回転ユニット520と第2回転ユニット540は、上述した制御器によって制御される。第1回転ユニット520は、第1回転カバー620をその中心軸を基準として回転させて、第2回転ユニット540は、第2回転カバー640をその中心軸を基準として回転させる。第1回転カバー620の回転方向と第2回転カバー640の回転方向は同一でよく、回転速度は、異なっていても良い。これとは違って、第1回転カバー620の回転方向と第2回転カバー640の回転方向は、異なっていてもよい。
【0059】
上述した例では、図2の実施の形態に提供されたフレーム462、464とは別に、回転カバー620、640が提供されていた。しかしこれとは違って回転カバー620、640を使わないで、フレーム462、464を回転カバー620、640と同じ用途で使用できる。
【0060】
一般的な装置は、プラズマ密度の均一性を向上させるために多様な変化の要素(多様なパラメータ)を使う。これらの内、磁気場形成と関連したパラメータとしては、電磁石の数、各々の電磁石に印加される電流の大きさと電流の方向などがある。しかし、本実施形態の装置は、そのような既に知られたパラメータ以外に、層で区切られた第1磁石ユニット420と第2磁石ユニット440を提供して、第1磁石ユニット420に対する第2磁石ユニット440の非整列度合(回転角)、そして第1磁石ユニット420と第2磁石ユニット440と間の相対回転速度などの追加的なパラメータを使うことによって、プラズマ密度をより一層均一に提供できる。
【0061】
上述した例では、磁気場形成ユニット400が層で区切られた二つの磁石ユニット420、440を含むことを説明した。しかし磁気場形成ユニット400は、図12に示したように、層で区切られた三つ以上の磁石ユニットを具備できる。この場合、相互に隣接する磁石ユニットは、上述した実施の形態のように、整列した位置から一定の角度回転した状態に配置される。
【0062】
上述した例では、各々の磁石ユニット420、440が、八つの磁石422、442を有することを説明した。しかし各々の磁石ユニット420、440は、これと相異なる数の磁石422、442を有することができる。例えば、各々の磁石ユニット420、440は、図13に図示したように四つの磁石を有することができる。
【0063】
又、上述した例では、各々の磁石422、442が、電磁石であると説明した。しかしこれとは違い、各々の磁石422、442は永久磁石が使用されてもよい。
【0064】
又、上述した例では、各々の磁石ユニット420、440が上部から見る際、正多角形の配置で提供されることを説明した。しかしこれとは違い、各々の磁石ユニット420、440は、多角形或いは円形に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る基板処理装置の一例の概略的な構成を示す平面図である。
【図2】図1に示したプラズマ処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図3】図2に示したプラズマ処理装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】図3に示した磁気場形成部材の構成を概略的に示す斜視図である。
【図5】図2の平面図である。
【図6A】磁気場大きさの均一度とプラズマ密度の均一度の間の係りを示す図面である。
【図6B】磁気場大きさの均一度とプラズマ密度の均一度の間の係りを示す図面である。
【図7A】磁気場大きさの均一度とプラズマ密度の均一度の間の係りを示す図面である。
【図7B】磁気場大きさの均一度とプラズマ密度の均一度の間の係りを示す図面である。
【図8A】一般的なプラズマ処理装置と、図3のプラズマ処理装置を使用する場合の、ウェハーの領域に従う磁気場の強さとプラズマ密度を示す図面である。
【図8B】一般的なプラズマ処理装置と、図3のプラズマ処理装置を使用する場合の、ウェハーの領域に従う磁気場の強さとプラズマ密度を示す図面である。
【図8C】一般的なプラズマ処理装置と、図3のプラズマ処理装置を使用する場合の、ウェハーの領域に従う磁気場の強さとプラズマ密度を示す図面である。
【図9A】一般的なプラズマ処理装置と、図3のプラズマ処理装置を使用する場合の、ウェハーの領域に従う磁気場の強さとプラズマ密度を示す図面である。
【図9B】一般的なプラズマ処理装置と、図3のプラズマ処理装置を使用する場合の、ウェハーの領域に従う磁気場の強さとプラズマ密度を示す図面である。
【図9C】一般的なプラズマ処理装置と、図3のプラズマ処理装置を使用する場合の、ウェハーの領域に従う磁気場の強さとプラズマ密度を示す図面である。
【図10】本発明のプラズマ処理装置の多様な変形の例を示す図面である。
【図11】本発明のプラズマ処理装置の多様な変形の例を示す図面である。
【図12】本発明のプラズマ処理装置の多様な変形の例を示す図面である。
【図13】本発明のプラズマ処理装置の多様な変形の例を示す図面である。
【符号の説明】
【0066】
200 ハウジング
360 プラズマソース
400 磁気場形成部材
420 第1磁石ユニット
440 第2磁石ユニット
500 回転部材
600 回転カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置において、
内部に基板を受け入れる空間を有するハウジングと、
前記ハウジング内にガスを供給するガス供給部材と、
前記ハウジング内に供給されたガスからプラズマを発生させるプラズマソースと、
前記ハウジング内でプラズマが発生した領域に磁気場を形成する磁気場形成部材とを含み、
前記磁気場形成部材は、
前記ハウジングの周りに配置される第1磁石ユニットと、
前記ハウジングの周りに配置され、前記第1磁石ユニットと層に分けられるように提供される第2磁石ユニットとを含むことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1磁石ユニットは、前記ハウジングを包む形状に配置され、相互に離隔した複数の第1磁石を含み、
前記第2磁石ユニットは、前記ハウジングを包む形状に配置され、相互に離隔した複数の第2磁石を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1磁石と前記第2磁石は、電磁石であることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとの間を横切る平面を基準として、前記第1磁石と前記第2磁石は非対称に配置されることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1磁石と前記第2磁石は、上下方向に相互に整列した状態から外れるように配置されることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第1磁石ユニットは、前記第2磁石ユニットの上部に提供され、
各々の前記第2磁石は、隣接する前記第1磁石間の垂直下部に配置されることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第1磁石と前記第2磁石の各々は、同じ形状で提供され、前記第1磁石と前記第2磁石は同じ数で提供され、前記第2磁石の各々は隣接する前記第1磁石間の中央位置の垂直下部に配置されることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第1磁石と前記第2磁石の各々は、直四角のリング形状で提供されることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第1磁石各々と前記第2磁石の各々は、前記チャンバーと対向する面が平たいことを特徴とする請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記第1磁石と前記第2磁石は、各々偶数個で提供されることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記第1磁石と前記第2磁石は、各々四つ以上で提供されることを特徴とする請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記第1磁石と前記第2磁石は、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットが、各々上部から見る際、正多角形の形状を有するように配置され、前記第2磁石ユニットは、その中心軸を基準として前記第1磁石ユニットに対して前記正多角形の内角の倍数以外の角度で回転して配置されることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記磁気場形成部材は、前記ハウジングの周りに配置され、前記第1磁石ユニット及び前記第2磁石ユニットとは層で区切られるように提供され、電磁石の複数の第3磁石を具備する第3磁石ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記プラズマ処理装置は、前記磁気場形成部材をその中心軸を基準として回転させる回転部材をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項13の中に何れかの一つの項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記プラズマ処理装置は、前記第1磁石ユニットを回転させる第1回転ユニットと、前記第1磁石ユニットに対して独立的に前記第2磁石ユニットを回転させる第2回転ユニットとを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項13の中に何れかの一つの項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
プラズマ工程が随行されるハウジングと、
前記ハウジング内で前記ハウジング内に供給されたガスからプラズマを発生させるプラズマソースと、
前記ハウジングの側部を包むように配置され、相互に層で区切られる二つ以上の磁石ユニットとを含み、
各々の前記磁石ユニットは、前記ハウジングの側部を包む形状に配置される複数の電磁石を具備し、
相互に隣接する層に提供された前記磁石ユニットの電磁石は、その間を通る面に対して非対称に配置されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記磁石ユニットの何れかの磁石ユニットに提供された磁石は、その上部に配置される磁石ユニットの隣接する磁石間に位置されることを特徴とする請求項16に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記磁石ユニットは、各々上部から見る際、多角形の形状を有するように配置されることを特徴とする請求項16に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記磁石ユニットは、各々上部から見る際、正多角形の形状を有するように配置され、前記磁石ユニットの何れかの磁石ユニットは、これと隣接した他の一つの磁石ユニットに対して、前記正多角形の内角の正数倍とは相異なる角度で回転した状態に配置されることを特徴とする請求項16に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記プラズマ処理装置は、前記磁石ユニットを回転させる回転部材をさらに含むことを特徴とする請求項16乃至請求項19の中に何れかの一つの項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項21】
前記プラズマ処理装置は、前記磁石ユニット各々を相互に対して独立的に回転させる回転部材をさらに含むことを特徴とする請求項16乃至請求項19の中に何れかの一つの項に記載のプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−282790(P2008−282790A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197676(P2007−197676)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(500376449)セメス株式会社 (61)
【Fターム(参考)】