プラズマ処理装置用部材およびその製造方法
【課題】 成膜性や耐久性、信頼性に優れたプラズマ処理装置用部材を提供する。
【解決手段】 基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を有している。セラミックス膜は、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下である。
【解決手段】 基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を有している。セラミックス膜は、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスや液晶パネル等の電子部品を製造するための電子部品製造装置等のプラズマ処理装置用の部材と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶パネル等を製造する工程として、Siウェハやガラス基板上へのプラズマ処理による成膜工程やドライエッチング工程がある。プラズマ処理の際には、様々な腐食性ガスが用いられる。従来のチャンバ内壁は、金属製であり、チャンバ内に剥き出しの状態で露出していた。ところが、近年の半導体デバイス等の集積度向上に伴い、許容される金属の汚染量は極めて低くなってきている。また、プラズマ処理の高品質化のために、使用されるプラズマは、年々高密度化されてきている。
【0003】
このため、プラズマ処理装置において、チャンバ(プラズマ処理チャンバ)内に露出する部材として、プラズマや腐食ガスに対して高い耐食性を示すセラミックス焼結体が用いられるようになってきた。例えば、特許文献1に開示された電子部品製造装置は、セラミックス焼結体を用いた部材を使用している。
【0004】
5インチ、6インチのSiウェハに対応した規模のプラズマ処理チャンバをセラミックス焼結体から成る部材によって製作することは、比較的容易であった。しかし、8インチ、12インチのSiウェハや大型の液晶基板に対応した最近の大規模なプラズマ処理チャンバをセラミックス焼結体からなる部材によって製作することは、極めて困難である。これは、歩留まりが悪く、製造コストが高くなってしまうといった問題に因る。
【0005】
そこで、低コストで加工性に優れ、大型化が容易な金属製の基材の表面に溶射法を用いてセラミックス膜を形成して成る部材が、プラズマ処理チャンバに採用されてきている。このような部材は、セラミックス焼結体と同様の耐食性を持っている。例えば、特許文献2に開示された電子部品製造装置は、溶射法を用いてセラミックス膜(溶射膜)を形成して成る部材を有している。
【0006】
しかし、溶射法は電気やガスのエネルギによって溶融させた高融点のセラミックス粉末を基材に吹き付ける方法であるため、セラミックス原料の溶融不足が生じ易い。セラミックス原料の溶融が不足した場合には、溶射膜に開気孔や連続気孔が生じる。また、溶融状態からの急冷によって溶射膜に無数のマイクロクラックが生じる。溶射膜を有する部材を用いて製作したプラズマ処理チャンバ内において腐食性ガスやプラズマが溶射膜に接触すると、腐食性ガスが溶射膜の連続気孔やマイクロクラックを浸透し、基材の腐食が発生する。最終的には、溶射膜が剥離するなどの問題が起こる。また、溶射法において、溶射膜は、無数の気孔やマイクロクラックによる欠陥を補うために、100μm以上の厚さで形成される。このように厚い溶射膜と金属製の基材との間では、線膨張係数が不整合となる。この線膨張係数のミスマッチに因り、溶射膜は、プラズマ処理における昇温と冷却との繰り返しを経ると、剥離してしまう。
【0007】
そこで、溶射膜に代えてPVD法やCVD法によってセラミックス膜を成膜することが考えられる。しかし、これらの方法はいずれも、成膜時に真空の環境を必要とし、原料ノズルを成膜面から一定の距離に配置制御する必要があり、また、基材を高温に加熱する必要がある。このため、大型かつ複雑形状のプラズマ処理装置用部材の製造方法としては、有効な技術とは云えない。
【0008】
あるいは、金属の化合物や微粉末原料を分散させた溶液(ゾル)をスプレーノズルのような簡便な装置によって基材の表面に塗布し、熱処理を行うことでセラミックス膜を成膜する方法が考えられる。このような方法は、ゾルゲル法と呼ばれ、従前の技術であるが、成膜性や耐久性、信頼性に優れたセラミックス膜を成膜することができる。
【0009】
【特許文献1】特許第3103646号
【特許文献2】特開2001−164354号公報
【非特許文献1】「セラミックスの焼結」:守吉佑介ら著、内田老鶴圃出版、平成7年12月15日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、ゾルゲル法をプラズマ処理装置用部材のセラミックス膜の成膜方法として用いることには、次のような問題点がある。
【0011】
プラズマ処理装置用部材のセラミックス膜は、純度98%以上であることが望まれている。高純度の原料を使用してゾルゲル法を行う場合には、高温(例えば、700℃以上)での熱処理が必要である。
【0012】
ところが、プラズマ処理装置用部材の基材としては、Alから成るものが使用されることが多い。Alから成る基材は、Alの融点が低い(約600℃)ことに起因して、400℃以上にさらされると、変形や組成変化を生じ易い。
【0013】
あるいは、ゾルゲル法において、Alの変形や組成変化を回避できる低温で実施するためには、アルカリ金属や重金属等の様々な不純物をゾルに混入させたり、膜にガラス層を形成させなければならない。この場合、高耐食性を有する高純度のセラミックス膜を成膜することはできない。さらに、比較的低温で成膜したセラミックス膜においては、その成分粒子同士の結合力が低いため、パーティクルが発生する可能性が高い。
【0014】
つまり、従来、成膜性や耐久性、信頼性に優れたプラズマ処理装置用部材を得るべく、プラズマ処理装置用部材の製造方法としてゾルゲル法を用いる場合、高純度のセラミックス膜を得ることと、低融点金属から成る基材の変形や組成変化を回避することとに、問題があった。
【0015】
それ故、本発明の課題は、従来技術の問題点を解決し、成膜性や耐久性、信頼性に優れたプラズマ処理装置用部材を提供することである。
【0016】
本発明の他の課題は、上記のようなプラズマ処理装置用部材を製造できるプラズマ処理装置用部材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、以下の態様(1)〜(24)が、少なくとも得られる。
【0018】
(1)基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を有するプラズマ処理装置用部材において、前記セラミックス膜は、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下であることを特徴とするプラズマ処理装置用部材。
【0019】
(2)前記セラミックス膜として、ゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜を有することを特徴とする態様(1)のプラズマ処理装置用部材。
【0020】
(3)前記基材は、金属、セラミックス、ガラス、またはそれらの複合材料から成り、前記セラミックス膜は、周期律表の2〜6族元素、12〜14族元素、および希土類元素のうちの少なくとも一種以上の元素で構成された膜であることを特徴とする態様(1)または(2)のプラズマ処理装置用部材。
【0021】
(4)前記セラミックス膜は、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zn、Y、Zr、W、および希土類元素のうち少なくとも一種以上の元素で構成された膜であることを特徴とする態様(1)〜(3)のプラズマ処理装置用部材。
【0022】
(5)前記セラミックス膜は、膜厚3μm以下の際に波長400〜800nmの可視光領域で透過率80%以上の透光性を有することを特徴とする態様(1)〜(4)のプラズマ処理装置用部材。
【0023】
(6)前記セラミックス膜は、酸素を含んだ雰囲気中で250〜1200℃の温度範囲で形成されることを特徴とする態様(1)〜(5)のプラズマ処理装置用部材。
【0024】
(7)前記セラミックス膜は、純度99.5%以上であることを特徴とする態様(1)〜(6)のプラズマ処理装置用部材。
【0025】
(8)前記基材は、金属から成り、前記基材の表面に、該基材の表面を不働体化処理して成る膜を有することを特徴とする態様(1)〜(7)のプラズマ処理装置用部材。
【0026】
(9)前記基材は、アルミニウムから成り、前記基材の表面に、陽極酸化処理膜を有することを特徴とする態様(1)〜(7)のプラズマ処理装置用部材。
【0027】
(10)前記基材は、金属から成り、前記基材の表面に、熱処理によって形成された膜を有することを特徴とする態様(1)〜(7)のプラズマ処理装置用部材。
【0028】
(11)前記セラミックス膜として、前記基材上に溶射法によって形成された溶射膜と、該溶射膜上にゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜とを有することを特徴とする態様(1)〜(10)のプラズマ処理装置用部材。
【0029】
(12)前記セラミックス膜として、前記基材上にゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜と、該ゾルゲル膜上に溶射法によって形成された溶射膜とを有することを特徴とする態様(1)〜(10)のプラズマ処理装置用部材。
【0030】
(13)前記基材は、孔を持つ板状、管状、または容器状を呈することを特徴とする態様(1)〜(12)のプラズマ処理装置用部材。
【0031】
(14)基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を形成する工程を有するプラズマ処理装置用部材の製造方法において、前記セラミックス膜形成工程において、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、かつ、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下となるようにすることを特徴とするプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0032】
(15)前記セラミックス膜として、ゾルゲル膜をゾルゲル法によって形成することを特徴とする態様(14)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0033】
(16)金属、セラミックス、ガラス、またはそれらの複合材料から成る前記基材を形成する工程と、前記セラミックス膜として、周期律表の2〜6族元素、12〜14族元素、および希土類元素のうちの少なくとも一種以上の元素で構成された膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)または(15)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0034】
(17)前記セラミックス膜として、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zn、Y、Zr、W、および希土類元素のうち少なくとも一種以上の元素で構成された膜を形成する工程を有することを特徴とする態様(14)〜(16)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0035】
(18)前記セラミックス膜を、酸素を含んだ雰囲気中で250〜1200℃の温度範囲で形成することを特徴とする態様(14)〜(17)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0036】
(19)前記セラミックス膜は、純度99.5%以上であることを特徴とする態様(14)〜(18)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0037】
(20)金属から成る前記基材を形成する工程と、前記基材の表面に、該基材の表面を不働体化処理して成る膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(19)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0038】
(21)アルミニウムから成る前記基材を形成する工程と、前記基材の表面に、陽極酸化処理膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(19)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0039】
(22)金属から成る前記基材を形成する工程と、前記基材の表面に、熱処理によって形成された膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(19)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0040】
(23)前記セラミックス膜形成工程として、前記基材上に溶射法によって溶射膜を形成する工程と、該溶射膜上にゾルゲル法によってゾルゲル膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(22)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0041】
(24)前記セラミックス膜形成工程として、前記基材上にゾルゲル法によってゾルゲル膜を形成する工程と、該ゾルゲル膜上に溶射法によって溶射膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(19)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【発明の効果】
【0042】
本発明によるプラズマ処理装置用部材は、成膜性や耐久性、信頼性に優れている。
【0043】
本発明におけるゾルゲル膜は、高緻密かつ高平滑のため、高密度プラズマ環境下で高い耐プラズマ性を有する。また、腐食ガス環境下、薬液環境下においても、膜の緻密性が高く基材を保護することが可能なため、高いガス耐性、薬液耐性を示す。
【0044】
また、従来技術では複雑形状、管の内面等への均一成膜は不可能であったが、本発明によれば、液体のゾルを流し込む、若しくはディップすることで容易に成膜することが可能となる。
【0045】
さらに、高緻密なゾルゲル膜を溶射膜表面に成膜することで、溶射膜からのパーティクル発生を抑制することができる。
【0046】
また、溶射膜の下地処理、表面処理、またはサンドイッチ構造を有した複合膜を腐食ガス曝露した場合、緻密なゾルゲル膜が腐食ガスを遮断するため溶射膜の剥離を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明によるプラズマ処理装置用部材は、ゾルゲル法によって形成された純度98%以上であり、プラズマ耐食性および腐食ガス耐食性を有するセラミックス膜を有している。
【0048】
また、本発明によるプラズマ処理装置用部材の製造方法は、基材上に、純度98%以上であり、プラズマ耐食性および腐食ガス耐食性を有するセラミックス膜をゾルゲル法によって形成する工程を有している。
【0049】
即ち、本発明においては、金属、セラミックス、ガラスの一般的に構造材として使用される材料を基材とし、その表面を2〜6族元素、12〜14族元素、希土類元素から形成される酸化物、もしくは前記元素2種以上から形成される複合酸化物からなるセラミックス膜でコーティングしたプラズマ処理装置用部材である。本手法では、ゾルゲル法を適用し、スプレー法、ディップ法等を用いて基材に塗布し、250℃以上の酸素含有雰囲気で熱処理することによって、酸化物セラミックスを得ることが可能である。
【0050】
スプレー法は、専用設計、最適化されたノズルの使用が推奨されるが、それ以外にも一般に市販されているエアブラシ、スプレーガンを用いても、同様の膜を得ることが可能である。ディップ法は、基材を溶液中に浸漬し、その後低速度(毎分10〜50mm)かつ一定速度で引き上げることにより基材表面に均一なゾル膜を塗布する方法である。
【0051】
熱処理条件としては250〜1200℃の焼成温度で1〜5時間オーブンまたは電気炉を用いて加熱する必要がある。
【0052】
また、250℃という低温で98%〜99.99%の高純度セラミックス薄膜が得られるという特徴を有する。
【0053】
基材への直接成膜の他にも、溶射膜への表面コートによる複合化、基材へのゾルゲル膜の成膜後に溶射膜を塗布する複合化、そして陽極酸化膜、フッ化膜、等の基材の不働体化処理への成膜による複合膜としても応用できる。
【0054】
尚、本発明におけるゾルゲル膜の粒子径について電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子製、JEM-6700F)を用いて観察を行った。その結果、膜を構成する粒子径は全て50nm以下であることが確認された。従来の成膜法ではセラミックス膜の粒子径が100nm以上であったのに対して、本発明では粒子径50nmとすることにより、高純度(98%以上)かつ250℃からの低温成膜が可能となった。これは、ゾルゲル膜の粒子径を50nm以下に微粒子化させることにより、焼結温度が急激に低下し、250℃程度で焼結が開始されるためである。非特許文献1によると、粒子が小さくなるほど焼結に寄与する粒界拡散や体積拡散が相対的に増加し、この関係は蒸気圧が高く、緻密化しにくい物質を焼結するときに極めて有効となることと、粒径が小さくなると、単位体積当たりの接触点の数が多くなり、物質移動に関係する原子の発生場所や消滅場所が増加して、緻密化に好ましい状況になることとが記載されている。したがって、処理温度700℃未満といった低温にもかかわらず、ゾルゲル法のみで高純度を達成することが可能となった。
【実施例】
【0055】
以下、図面を参照して、本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材ならびにプラズマ処理装置用部材の製造方法を説明する。
【0056】
本発明の実施例としての試料1〜29と共に、比較例としての試料31〜37を製造し、これらの試料について、幾つかの特性を検証、評価した。その結果を、図10の表に示す。
【0057】
本発明の実施例である試料1〜29は、表中の基材欄に示される各種の材料からなる50〜200mm角の基材表面に、少なくともゾルゲル法を含む成膜法により、セラミックス膜が形成されたものである。ゾルゲル法によるセラミックス膜の成膜に用いた装置は、原料となるゾルをスプレーノズルにより基材に吹き付けて成膜を行った。また、熱処理には、電気炉を使用した。
【0058】
[実施例1]
本発明のセラミックス膜の基本物性の測定としてSi基板上に成膜したセラミックス膜の放出水分量について調査を行った。放出水分量の測定は、大気圧イオン化質量分析装置(APIMS:ルネサス東日本セミコンダクター製UG-302P)にて測定を行った。
【0059】
サンプルを1/2インチのSUS316Lの電解研磨管で製作したリアクターチューブ内に設置し、不純物濃度が1ppb以下の高純度Arガスをキャリアガスとしている。Arガスを1.2L/minの流量でサンプルを通過させ、サンプルから放出された水分をAPIMSにて計測するシステムである。
【0060】
セラミックス膜からの放出水分量測定時の温度プロファイルは、次のように設定した。25℃で10時間保持した後、100℃まで10分で昇温、100℃で1時間50分保持、以降は100℃ごとのステップ昇温を500℃まで行い、放出された水分量を測定した。
【0061】
図1は、Y2O3膜からの放出水分量の測定データを示す。横軸はAPIMSによる測定時間、縦軸は単位面積当たりから放出される水分子の個数になる。サンプルはゾルゲル法を用い、それぞれ大気中300℃、600℃、900℃で焼成し、膜厚1μmとした。
【0062】
図2は、25℃、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃の温度逆数(1/K)に対して各昇温段階で放出された水分量をプロットしたグラフを示す。水分脱離の活性化エネルギEaは、焼成温度に関わらず、0.055eVとなることが確認された。これは、表面の膜質には全く変化がなく、実効表面積のみが減少していることを示唆している。また、500℃までの昇温で放出された水分量は300℃焼成サンプル:4.23×1018分子/cm2、600℃焼成サンプル:1.75×1018分子/cm2、900℃焼成サンプル:6.31×1017分子/cm2であることが確認された。
【0063】
図3は、焼成温度と500℃まで昇温した際に放出される水分量との関係を示す。焼成温度が高くなるにつれて、Y2O3結晶粒同士の粒界での結合力が高まり、実行表面積が小さくなっていることから放出水分量が大幅に減少していることが分かる。また、300℃以上の焼成温度であれば、膜からの放出水分量は1019分子/cm2以下であることが分かる。
【0064】
[実施例2]
本発明の実施例2である試料1〜14については、図4に示す通り、各種基材に対してゾルゲル膜のみを成膜し、評価を実施した。
【0065】
[実施例3]
本発明の実施例3である試料15〜29については、図5に示す通り、アルミニウム(Al)またはステンレススチール(SUS)から成る基材表面上に不動態化処理膜等を形成して下地とし、下地上にゾルゲル膜を成膜し、評価を実施した。試料15のSUS基材においては、基材表面にCr2O3から成る不働体化処理を下地とし、さらにその上にゾルゲル膜を成膜し評価を実施した。試料16および17のAl金属基材においては、基材表面のAlを溶液中での電界処理により表面を酸化させた陽極酸化膜を下地とし、さらにゾルゲル膜を成膜し評価を実施した。試料18のAl金属基材においては、基材表面をフッ化したMgF2膜を下地とし、さらにゾルゲル膜を成膜し評価を実施した。
【0066】
[実施例4]
本発明の実施例4である試料19〜23の溶射膜とゾルゲル膜との複合化においては、図6に示す通り、溶射膜を成膜後その表面にゾルゲル膜を成膜した場合の複合膜について評価を実施した。
【0067】
[実施例5]
本発明の実施例5である試料24および25のゾルゲル膜、溶射膜、およびさらなるゾルゲル膜の複合化においては、図7に示す通り、ゾルゲル膜を下地としてその上に溶射膜を成膜した場合の複合膜について評価を実施した。
【0068】
[実施例6]
本発明の実施例6である試料26および27の溶射膜との複合化においては、図8に示す通り、ゾルゲル膜を下地としてその上に溶射膜を成膜し、さらにその表面にゾルゲル膜を成膜したサンドイッチ構造とした場合の複合膜について評価を実施した。
【0069】
[実施例7]
本発明の実施例7である試料28および29の溶射膜との複合化においては、図9に示す通り、陽極酸化膜を下地として溶射膜を成膜し、さらにその表面にゾルゲル膜を成膜した場合の複合膜について評価を実施した。
【0070】
[比較例]
これに対し、比較例である各試料31〜37は、図10の表に示される各種基材からなり、溶射法、熱CVD法、従来のゾルゲル法を用いてセラミックス膜を形成した。ここで、従来のゾルゲル法とは、セラミックス膜の構造および純度が本発明外となっている方法である。
【0071】
以下、本発明の実施例である試料1〜29と、比較例である試料31〜37との検証、評価結果について説明する。
【0072】
(膜純度)
各セラミックス膜について純度分析を実施した。分析方法はGDMS(グロー放電質量分析法)を用い、分析装置としてFI. Elemental製VG9000を用いた。
【0073】
プラズマ処理装置は、プリント配線等の微細化に伴い、よりシビアな不純物コントロールが必要となっている。そこで、電子部品の歩留りを向上させるためには、より高純度のセラミックス膜が必要とされる。
【0074】
本発明の実施例である試料1〜29におけるゾルゲル膜は、99%以上の純度を有している。
【0075】
これに対し、比較例である試料31および32における従来のゾルゲル膜では、技術的に低温成膜可能とするために多量のアルカリ金属が含まれているため、純度が85%程度であり、98%以上には及ばない。比較例である試料33および34における溶射膜は99%の純度であり、比較例である試料35〜37におけるCVD膜に関しては95%の純度となっている。
【0076】
(エッチング速度)
平行平板型RIEエッチング装置のチャンバ内に、6インチのシリコンウェハを設置した上に鏡面研磨した試験片を設置し、CF4+O2のプラズマにて、10時間のプラズマ暴露による腐蝕試験を行った。その際、研磨面の一部をポリイミドテープおよびシリコンウェハでマスクし、マスクのある部分とない部分の段差を触針法により測定し、エッチング速度を算出した。
【0077】
今回実施例として用いているセラミックスは、比較的プラズマに対して耐性を持つ酸化物のため、表面のエッチング量は非常に少ない。
【0078】
これに対し、比較例である試料31〜34に関しては、同様のY2O3、Al2O3であるものの、比較例である試料35〜37のCVD法で成膜した膜に関してはバラツキが見られる。
【0079】
(パーティクル数)
前記プラズマ試験後のシリコンウェハについては、パーティクルカウンタ(Tencor製Surfscan6420)を用い、大きさ0.5ミクロン以上の粒子数を計測した。
【0080】
パーティクル数は緻密かつ平坦膜であるゾルゲル膜は他の成膜方法に比べ良好な結果が得られた。ただし、本発明の実施例である試料19〜23については最表面が溶射膜のため、パーティクル数は、比較例である試料33および34と同様にパーティクルは増加している。しかし、溶射膜表面にゾルゲル膜を成膜した本発明の実施例である試料19〜23ならびに26および27については、ゾルゲル単体の膜に比べパーティクル数は増加しているものの、溶射膜のみに比べパーティクル数は3分の1程度に減少している。したがって、ゾルゲル膜を塗布することによりパーティクル軽減効果が得られた。
【0081】
(塩素ガス暴露)
電子部品製造装置の中でも半導体デバイスを製作する装置内では各プロセスにおいて腐食ガスに常に曝される環境となる。そこで、各実施例における膜をCl2ガスに曝露してその腐食ガス耐性を評価した。
【0082】
評価方法としては試料設置用セルに試験片を設置し、Cl2ガス100%、0.3MPa圧力の気流中で24時間のガス曝露試験を行った。セル内の温度は100℃とした。ガス曝露後の表面状態を確認し、表面腐食の有無、若しくは剥離の有無を評価基準とした。
【0083】
ゾルゲル膜が成膜された本発明の実施例である試料1〜29については、Cl2ガス曝露後も剥離せず、表面状態においても変化は確認されなかった。したがって、Cl2ガス耐性の低いAl金属基材を基材として用いた場合でも緻密なゾルゲル膜が成膜されることによって基材の腐食を防ぎ、プラズマ処理装置用部材としての耐久性、信頼性が向上していることが確認された。
【0084】
これに対し、比較例である試料31〜34の従来のゾルゲル膜、溶射単層膜においては、膜の剥離が発生した。この原因として、膜自体の気孔が多いために連続気孔を通過したCl2ガスがAl金属基材を直接腐食されたために膜が剥離したものと考えられる。
【0085】
比較例である試料35〜37のCVD膜に関しては、膜の剥離は発生しなかったが、膜表面の変質が確認された。
【0086】
(複雑形状への成膜性)
2段以上の段差や箱形状の内面など入り組んだ複雑形状、小径の円筒内面(例えば内経5mm程度のガス配管)、多孔質体の内部、繊維状フィルタの内部への成膜可否を判断した。
【0087】
実施例1〜18において、2段以上の段差や箱形状の内面に対して容易に成膜可能であった。本発明の実施例である試料19〜29の溶射膜との複合膜の場合には溶射膜が成膜可能な面に依存されるため、本評価では評価対象外とした。しかし、一部溶射膜を含む複雑な形状に対してゾルゲル膜を全面に成膜することは可能であった。
【0088】
これに対し、比較例の場合、従来のゾルゲル膜は、比較的複雑な形状に対して柔軟に成膜することが可能であったが、角や鋭いR形状に成膜した場合には密着性が低く膜剥離が発生した。溶射膜の場合は溶射原料が溶融したフレームを直線的に照射できる部位のみの成膜となるため、陰が生じる基材に対して成膜することは不可能であった。CVD膜は、供給される原料ガスに対して成膜する面が完全に露出していなければ成膜されず、また、成膜面において平行面と直角面の両方が存在する場合に両者の成膜レートが極端に変化するために、均一な成膜は不可能であった。
【0089】
次に、小径の円筒内面、多孔質体の内部、繊維状フィルタの内部については、原料溶液(ゾル)を通液・乾燥後に焼成を行った。ゾルゲル法を用いることにより、従来技術では不可能であった前記形状の部材に対しても成膜可能であった。比較例に示した溶射法、CVD法では、原理的に全面への成膜は不可能であった。また従来のゾルゲル法を用いた場合には成膜可能ではあったが、純度、パーティクルの観点からプラズマ処理装置用部材への応用は困難である。
【0090】
(透過性、透過率)
本発明の実施例である試料10〜13、比較例である試料37に関しては基材自体が透光性示すため、波長可視光400〜800nmでの透過率を測定した。測定には、自記分光光度計(日立製U-3500)を用いた。試料10〜12の透過率の結果をそれぞれ、図11〜13に示す。また、比較例としてCVD膜の透過率を、図14に示す。
【0091】
目視において、可視光領域での透過率が80%を下回ると、膜が曇って見え始める。また、透過率が60%を下回ると、明らかに膜が濁って見える。したがって、透光性が要求される部材に適用する場合に、良好な透光性を得るためには、80%以上の透過率が必要とされる。
【0092】
従来技術を用いた場合には膜厚が増加するにしたがって透過率が低下するのが通常であるが、本発明のゾルゲル膜に関しては、図11〜13に示すとおり、膜厚1μm〜5μmであれば、可視光領域で透過率の減少は殆ど発生しない。また、その透過率は、全波長域において90%程度を維持している。基材である、厚さ4mmの石英の透過率が全波長域において93%程度であることを考慮すると、膜のみの透過率で計算すれば97%程度となることが分かる。
【0093】
これに対し、CVD膜は、図14に示すとおり、1μmの時点で50〜80%程度と、透過率は著しく低下する。また、溶射膜、従来のゾルゲル膜に関しては、気孔を多く含むことや膜が厚いために透光性は示さない。
【0094】
(総合評価)
本発明の実施例である試料1〜18のゾルゲル単層膜若しくは溶射膜を含まない多層複合膜、また、比較例である試料31〜37については、エッチングレートが10nm/分以下の優れたプラズマ耐食性を示し、発生パーティクル数が50個以下の低発塵性を示し、加えて複雑形状への施工が可能な膜について総合評価を○とした。また、本発明の実施例である試料19〜29の溶射膜を含むゾルゲル膜との複合膜に関しては溶射膜単体と比較してパーティクル数、塩素ガス曝露特性が向上した膜に関し総合評価を○とした。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、半導体素子や液晶パネル等の電子部品製造装置に限らず、腐食性雰囲気を伴うプラズマ処理等を行う装置全般に用いられる部材と、その製造方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施例1によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、Y2O3膜からの放出水分量の測定データを示す。
【図2】本発明の実施例1によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、各昇温段階で放出された水分量を示す。
【図3】本発明の実施例1によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、焼成温度と500℃まで昇温した際に放出される水分量との関係を示す。
【図4】本発明の実施例2によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図5】本発明の実施例3によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図6】本発明の実施例4によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図7】本発明の実施例5によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図8】本発明の実施例6によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図9】本発明の実施例7によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図10】本発明によるプラズマ処理装置用部材の評価結果を、比較例の評価結果と共に示す表図である。
【図11】本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、実施例である試料10の波長可視光400〜800nmでの透過率を示す。
【図12】本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、実施例である試料11の波長可視光400〜800nmでの透過率を示す。
【図13】本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、実施例である試料12の波長可視光400〜800nmでの透過率を示す。
【図14】本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、比較例である試料37の波長可視光400〜800nmでの透過率を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスや液晶パネル等の電子部品を製造するための電子部品製造装置等のプラズマ処理装置用の部材と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶パネル等を製造する工程として、Siウェハやガラス基板上へのプラズマ処理による成膜工程やドライエッチング工程がある。プラズマ処理の際には、様々な腐食性ガスが用いられる。従来のチャンバ内壁は、金属製であり、チャンバ内に剥き出しの状態で露出していた。ところが、近年の半導体デバイス等の集積度向上に伴い、許容される金属の汚染量は極めて低くなってきている。また、プラズマ処理の高品質化のために、使用されるプラズマは、年々高密度化されてきている。
【0003】
このため、プラズマ処理装置において、チャンバ(プラズマ処理チャンバ)内に露出する部材として、プラズマや腐食ガスに対して高い耐食性を示すセラミックス焼結体が用いられるようになってきた。例えば、特許文献1に開示された電子部品製造装置は、セラミックス焼結体を用いた部材を使用している。
【0004】
5インチ、6インチのSiウェハに対応した規模のプラズマ処理チャンバをセラミックス焼結体から成る部材によって製作することは、比較的容易であった。しかし、8インチ、12インチのSiウェハや大型の液晶基板に対応した最近の大規模なプラズマ処理チャンバをセラミックス焼結体からなる部材によって製作することは、極めて困難である。これは、歩留まりが悪く、製造コストが高くなってしまうといった問題に因る。
【0005】
そこで、低コストで加工性に優れ、大型化が容易な金属製の基材の表面に溶射法を用いてセラミックス膜を形成して成る部材が、プラズマ処理チャンバに採用されてきている。このような部材は、セラミックス焼結体と同様の耐食性を持っている。例えば、特許文献2に開示された電子部品製造装置は、溶射法を用いてセラミックス膜(溶射膜)を形成して成る部材を有している。
【0006】
しかし、溶射法は電気やガスのエネルギによって溶融させた高融点のセラミックス粉末を基材に吹き付ける方法であるため、セラミックス原料の溶融不足が生じ易い。セラミックス原料の溶融が不足した場合には、溶射膜に開気孔や連続気孔が生じる。また、溶融状態からの急冷によって溶射膜に無数のマイクロクラックが生じる。溶射膜を有する部材を用いて製作したプラズマ処理チャンバ内において腐食性ガスやプラズマが溶射膜に接触すると、腐食性ガスが溶射膜の連続気孔やマイクロクラックを浸透し、基材の腐食が発生する。最終的には、溶射膜が剥離するなどの問題が起こる。また、溶射法において、溶射膜は、無数の気孔やマイクロクラックによる欠陥を補うために、100μm以上の厚さで形成される。このように厚い溶射膜と金属製の基材との間では、線膨張係数が不整合となる。この線膨張係数のミスマッチに因り、溶射膜は、プラズマ処理における昇温と冷却との繰り返しを経ると、剥離してしまう。
【0007】
そこで、溶射膜に代えてPVD法やCVD法によってセラミックス膜を成膜することが考えられる。しかし、これらの方法はいずれも、成膜時に真空の環境を必要とし、原料ノズルを成膜面から一定の距離に配置制御する必要があり、また、基材を高温に加熱する必要がある。このため、大型かつ複雑形状のプラズマ処理装置用部材の製造方法としては、有効な技術とは云えない。
【0008】
あるいは、金属の化合物や微粉末原料を分散させた溶液(ゾル)をスプレーノズルのような簡便な装置によって基材の表面に塗布し、熱処理を行うことでセラミックス膜を成膜する方法が考えられる。このような方法は、ゾルゲル法と呼ばれ、従前の技術であるが、成膜性や耐久性、信頼性に優れたセラミックス膜を成膜することができる。
【0009】
【特許文献1】特許第3103646号
【特許文献2】特開2001−164354号公報
【非特許文献1】「セラミックスの焼結」:守吉佑介ら著、内田老鶴圃出版、平成7年12月15日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、ゾルゲル法をプラズマ処理装置用部材のセラミックス膜の成膜方法として用いることには、次のような問題点がある。
【0011】
プラズマ処理装置用部材のセラミックス膜は、純度98%以上であることが望まれている。高純度の原料を使用してゾルゲル法を行う場合には、高温(例えば、700℃以上)での熱処理が必要である。
【0012】
ところが、プラズマ処理装置用部材の基材としては、Alから成るものが使用されることが多い。Alから成る基材は、Alの融点が低い(約600℃)ことに起因して、400℃以上にさらされると、変形や組成変化を生じ易い。
【0013】
あるいは、ゾルゲル法において、Alの変形や組成変化を回避できる低温で実施するためには、アルカリ金属や重金属等の様々な不純物をゾルに混入させたり、膜にガラス層を形成させなければならない。この場合、高耐食性を有する高純度のセラミックス膜を成膜することはできない。さらに、比較的低温で成膜したセラミックス膜においては、その成分粒子同士の結合力が低いため、パーティクルが発生する可能性が高い。
【0014】
つまり、従来、成膜性や耐久性、信頼性に優れたプラズマ処理装置用部材を得るべく、プラズマ処理装置用部材の製造方法としてゾルゲル法を用いる場合、高純度のセラミックス膜を得ることと、低融点金属から成る基材の変形や組成変化を回避することとに、問題があった。
【0015】
それ故、本発明の課題は、従来技術の問題点を解決し、成膜性や耐久性、信頼性に優れたプラズマ処理装置用部材を提供することである。
【0016】
本発明の他の課題は、上記のようなプラズマ処理装置用部材を製造できるプラズマ処理装置用部材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、以下の態様(1)〜(24)が、少なくとも得られる。
【0018】
(1)基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を有するプラズマ処理装置用部材において、前記セラミックス膜は、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下であることを特徴とするプラズマ処理装置用部材。
【0019】
(2)前記セラミックス膜として、ゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜を有することを特徴とする態様(1)のプラズマ処理装置用部材。
【0020】
(3)前記基材は、金属、セラミックス、ガラス、またはそれらの複合材料から成り、前記セラミックス膜は、周期律表の2〜6族元素、12〜14族元素、および希土類元素のうちの少なくとも一種以上の元素で構成された膜であることを特徴とする態様(1)または(2)のプラズマ処理装置用部材。
【0021】
(4)前記セラミックス膜は、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zn、Y、Zr、W、および希土類元素のうち少なくとも一種以上の元素で構成された膜であることを特徴とする態様(1)〜(3)のプラズマ処理装置用部材。
【0022】
(5)前記セラミックス膜は、膜厚3μm以下の際に波長400〜800nmの可視光領域で透過率80%以上の透光性を有することを特徴とする態様(1)〜(4)のプラズマ処理装置用部材。
【0023】
(6)前記セラミックス膜は、酸素を含んだ雰囲気中で250〜1200℃の温度範囲で形成されることを特徴とする態様(1)〜(5)のプラズマ処理装置用部材。
【0024】
(7)前記セラミックス膜は、純度99.5%以上であることを特徴とする態様(1)〜(6)のプラズマ処理装置用部材。
【0025】
(8)前記基材は、金属から成り、前記基材の表面に、該基材の表面を不働体化処理して成る膜を有することを特徴とする態様(1)〜(7)のプラズマ処理装置用部材。
【0026】
(9)前記基材は、アルミニウムから成り、前記基材の表面に、陽極酸化処理膜を有することを特徴とする態様(1)〜(7)のプラズマ処理装置用部材。
【0027】
(10)前記基材は、金属から成り、前記基材の表面に、熱処理によって形成された膜を有することを特徴とする態様(1)〜(7)のプラズマ処理装置用部材。
【0028】
(11)前記セラミックス膜として、前記基材上に溶射法によって形成された溶射膜と、該溶射膜上にゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜とを有することを特徴とする態様(1)〜(10)のプラズマ処理装置用部材。
【0029】
(12)前記セラミックス膜として、前記基材上にゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜と、該ゾルゲル膜上に溶射法によって形成された溶射膜とを有することを特徴とする態様(1)〜(10)のプラズマ処理装置用部材。
【0030】
(13)前記基材は、孔を持つ板状、管状、または容器状を呈することを特徴とする態様(1)〜(12)のプラズマ処理装置用部材。
【0031】
(14)基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を形成する工程を有するプラズマ処理装置用部材の製造方法において、前記セラミックス膜形成工程において、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、かつ、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下となるようにすることを特徴とするプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0032】
(15)前記セラミックス膜として、ゾルゲル膜をゾルゲル法によって形成することを特徴とする態様(14)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0033】
(16)金属、セラミックス、ガラス、またはそれらの複合材料から成る前記基材を形成する工程と、前記セラミックス膜として、周期律表の2〜6族元素、12〜14族元素、および希土類元素のうちの少なくとも一種以上の元素で構成された膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)または(15)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0034】
(17)前記セラミックス膜として、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zn、Y、Zr、W、および希土類元素のうち少なくとも一種以上の元素で構成された膜を形成する工程を有することを特徴とする態様(14)〜(16)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0035】
(18)前記セラミックス膜を、酸素を含んだ雰囲気中で250〜1200℃の温度範囲で形成することを特徴とする態様(14)〜(17)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0036】
(19)前記セラミックス膜は、純度99.5%以上であることを特徴とする態様(14)〜(18)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0037】
(20)金属から成る前記基材を形成する工程と、前記基材の表面に、該基材の表面を不働体化処理して成る膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(19)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0038】
(21)アルミニウムから成る前記基材を形成する工程と、前記基材の表面に、陽極酸化処理膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(19)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0039】
(22)金属から成る前記基材を形成する工程と、前記基材の表面に、熱処理によって形成された膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(19)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0040】
(23)前記セラミックス膜形成工程として、前記基材上に溶射法によって溶射膜を形成する工程と、該溶射膜上にゾルゲル法によってゾルゲル膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(22)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【0041】
(24)前記セラミックス膜形成工程として、前記基材上にゾルゲル法によってゾルゲル膜を形成する工程と、該ゾルゲル膜上に溶射法によって溶射膜を形成する工程とを有することを特徴とする態様(14)〜(19)のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【発明の効果】
【0042】
本発明によるプラズマ処理装置用部材は、成膜性や耐久性、信頼性に優れている。
【0043】
本発明におけるゾルゲル膜は、高緻密かつ高平滑のため、高密度プラズマ環境下で高い耐プラズマ性を有する。また、腐食ガス環境下、薬液環境下においても、膜の緻密性が高く基材を保護することが可能なため、高いガス耐性、薬液耐性を示す。
【0044】
また、従来技術では複雑形状、管の内面等への均一成膜は不可能であったが、本発明によれば、液体のゾルを流し込む、若しくはディップすることで容易に成膜することが可能となる。
【0045】
さらに、高緻密なゾルゲル膜を溶射膜表面に成膜することで、溶射膜からのパーティクル発生を抑制することができる。
【0046】
また、溶射膜の下地処理、表面処理、またはサンドイッチ構造を有した複合膜を腐食ガス曝露した場合、緻密なゾルゲル膜が腐食ガスを遮断するため溶射膜の剥離を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明によるプラズマ処理装置用部材は、ゾルゲル法によって形成された純度98%以上であり、プラズマ耐食性および腐食ガス耐食性を有するセラミックス膜を有している。
【0048】
また、本発明によるプラズマ処理装置用部材の製造方法は、基材上に、純度98%以上であり、プラズマ耐食性および腐食ガス耐食性を有するセラミックス膜をゾルゲル法によって形成する工程を有している。
【0049】
即ち、本発明においては、金属、セラミックス、ガラスの一般的に構造材として使用される材料を基材とし、その表面を2〜6族元素、12〜14族元素、希土類元素から形成される酸化物、もしくは前記元素2種以上から形成される複合酸化物からなるセラミックス膜でコーティングしたプラズマ処理装置用部材である。本手法では、ゾルゲル法を適用し、スプレー法、ディップ法等を用いて基材に塗布し、250℃以上の酸素含有雰囲気で熱処理することによって、酸化物セラミックスを得ることが可能である。
【0050】
スプレー法は、専用設計、最適化されたノズルの使用が推奨されるが、それ以外にも一般に市販されているエアブラシ、スプレーガンを用いても、同様の膜を得ることが可能である。ディップ法は、基材を溶液中に浸漬し、その後低速度(毎分10〜50mm)かつ一定速度で引き上げることにより基材表面に均一なゾル膜を塗布する方法である。
【0051】
熱処理条件としては250〜1200℃の焼成温度で1〜5時間オーブンまたは電気炉を用いて加熱する必要がある。
【0052】
また、250℃という低温で98%〜99.99%の高純度セラミックス薄膜が得られるという特徴を有する。
【0053】
基材への直接成膜の他にも、溶射膜への表面コートによる複合化、基材へのゾルゲル膜の成膜後に溶射膜を塗布する複合化、そして陽極酸化膜、フッ化膜、等の基材の不働体化処理への成膜による複合膜としても応用できる。
【0054】
尚、本発明におけるゾルゲル膜の粒子径について電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子製、JEM-6700F)を用いて観察を行った。その結果、膜を構成する粒子径は全て50nm以下であることが確認された。従来の成膜法ではセラミックス膜の粒子径が100nm以上であったのに対して、本発明では粒子径50nmとすることにより、高純度(98%以上)かつ250℃からの低温成膜が可能となった。これは、ゾルゲル膜の粒子径を50nm以下に微粒子化させることにより、焼結温度が急激に低下し、250℃程度で焼結が開始されるためである。非特許文献1によると、粒子が小さくなるほど焼結に寄与する粒界拡散や体積拡散が相対的に増加し、この関係は蒸気圧が高く、緻密化しにくい物質を焼結するときに極めて有効となることと、粒径が小さくなると、単位体積当たりの接触点の数が多くなり、物質移動に関係する原子の発生場所や消滅場所が増加して、緻密化に好ましい状況になることとが記載されている。したがって、処理温度700℃未満といった低温にもかかわらず、ゾルゲル法のみで高純度を達成することが可能となった。
【実施例】
【0055】
以下、図面を参照して、本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材ならびにプラズマ処理装置用部材の製造方法を説明する。
【0056】
本発明の実施例としての試料1〜29と共に、比較例としての試料31〜37を製造し、これらの試料について、幾つかの特性を検証、評価した。その結果を、図10の表に示す。
【0057】
本発明の実施例である試料1〜29は、表中の基材欄に示される各種の材料からなる50〜200mm角の基材表面に、少なくともゾルゲル法を含む成膜法により、セラミックス膜が形成されたものである。ゾルゲル法によるセラミックス膜の成膜に用いた装置は、原料となるゾルをスプレーノズルにより基材に吹き付けて成膜を行った。また、熱処理には、電気炉を使用した。
【0058】
[実施例1]
本発明のセラミックス膜の基本物性の測定としてSi基板上に成膜したセラミックス膜の放出水分量について調査を行った。放出水分量の測定は、大気圧イオン化質量分析装置(APIMS:ルネサス東日本セミコンダクター製UG-302P)にて測定を行った。
【0059】
サンプルを1/2インチのSUS316Lの電解研磨管で製作したリアクターチューブ内に設置し、不純物濃度が1ppb以下の高純度Arガスをキャリアガスとしている。Arガスを1.2L/minの流量でサンプルを通過させ、サンプルから放出された水分をAPIMSにて計測するシステムである。
【0060】
セラミックス膜からの放出水分量測定時の温度プロファイルは、次のように設定した。25℃で10時間保持した後、100℃まで10分で昇温、100℃で1時間50分保持、以降は100℃ごとのステップ昇温を500℃まで行い、放出された水分量を測定した。
【0061】
図1は、Y2O3膜からの放出水分量の測定データを示す。横軸はAPIMSによる測定時間、縦軸は単位面積当たりから放出される水分子の個数になる。サンプルはゾルゲル法を用い、それぞれ大気中300℃、600℃、900℃で焼成し、膜厚1μmとした。
【0062】
図2は、25℃、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃の温度逆数(1/K)に対して各昇温段階で放出された水分量をプロットしたグラフを示す。水分脱離の活性化エネルギEaは、焼成温度に関わらず、0.055eVとなることが確認された。これは、表面の膜質には全く変化がなく、実効表面積のみが減少していることを示唆している。また、500℃までの昇温で放出された水分量は300℃焼成サンプル:4.23×1018分子/cm2、600℃焼成サンプル:1.75×1018分子/cm2、900℃焼成サンプル:6.31×1017分子/cm2であることが確認された。
【0063】
図3は、焼成温度と500℃まで昇温した際に放出される水分量との関係を示す。焼成温度が高くなるにつれて、Y2O3結晶粒同士の粒界での結合力が高まり、実行表面積が小さくなっていることから放出水分量が大幅に減少していることが分かる。また、300℃以上の焼成温度であれば、膜からの放出水分量は1019分子/cm2以下であることが分かる。
【0064】
[実施例2]
本発明の実施例2である試料1〜14については、図4に示す通り、各種基材に対してゾルゲル膜のみを成膜し、評価を実施した。
【0065】
[実施例3]
本発明の実施例3である試料15〜29については、図5に示す通り、アルミニウム(Al)またはステンレススチール(SUS)から成る基材表面上に不動態化処理膜等を形成して下地とし、下地上にゾルゲル膜を成膜し、評価を実施した。試料15のSUS基材においては、基材表面にCr2O3から成る不働体化処理を下地とし、さらにその上にゾルゲル膜を成膜し評価を実施した。試料16および17のAl金属基材においては、基材表面のAlを溶液中での電界処理により表面を酸化させた陽極酸化膜を下地とし、さらにゾルゲル膜を成膜し評価を実施した。試料18のAl金属基材においては、基材表面をフッ化したMgF2膜を下地とし、さらにゾルゲル膜を成膜し評価を実施した。
【0066】
[実施例4]
本発明の実施例4である試料19〜23の溶射膜とゾルゲル膜との複合化においては、図6に示す通り、溶射膜を成膜後その表面にゾルゲル膜を成膜した場合の複合膜について評価を実施した。
【0067】
[実施例5]
本発明の実施例5である試料24および25のゾルゲル膜、溶射膜、およびさらなるゾルゲル膜の複合化においては、図7に示す通り、ゾルゲル膜を下地としてその上に溶射膜を成膜した場合の複合膜について評価を実施した。
【0068】
[実施例6]
本発明の実施例6である試料26および27の溶射膜との複合化においては、図8に示す通り、ゾルゲル膜を下地としてその上に溶射膜を成膜し、さらにその表面にゾルゲル膜を成膜したサンドイッチ構造とした場合の複合膜について評価を実施した。
【0069】
[実施例7]
本発明の実施例7である試料28および29の溶射膜との複合化においては、図9に示す通り、陽極酸化膜を下地として溶射膜を成膜し、さらにその表面にゾルゲル膜を成膜した場合の複合膜について評価を実施した。
【0070】
[比較例]
これに対し、比較例である各試料31〜37は、図10の表に示される各種基材からなり、溶射法、熱CVD法、従来のゾルゲル法を用いてセラミックス膜を形成した。ここで、従来のゾルゲル法とは、セラミックス膜の構造および純度が本発明外となっている方法である。
【0071】
以下、本発明の実施例である試料1〜29と、比較例である試料31〜37との検証、評価結果について説明する。
【0072】
(膜純度)
各セラミックス膜について純度分析を実施した。分析方法はGDMS(グロー放電質量分析法)を用い、分析装置としてFI. Elemental製VG9000を用いた。
【0073】
プラズマ処理装置は、プリント配線等の微細化に伴い、よりシビアな不純物コントロールが必要となっている。そこで、電子部品の歩留りを向上させるためには、より高純度のセラミックス膜が必要とされる。
【0074】
本発明の実施例である試料1〜29におけるゾルゲル膜は、99%以上の純度を有している。
【0075】
これに対し、比較例である試料31および32における従来のゾルゲル膜では、技術的に低温成膜可能とするために多量のアルカリ金属が含まれているため、純度が85%程度であり、98%以上には及ばない。比較例である試料33および34における溶射膜は99%の純度であり、比較例である試料35〜37におけるCVD膜に関しては95%の純度となっている。
【0076】
(エッチング速度)
平行平板型RIEエッチング装置のチャンバ内に、6インチのシリコンウェハを設置した上に鏡面研磨した試験片を設置し、CF4+O2のプラズマにて、10時間のプラズマ暴露による腐蝕試験を行った。その際、研磨面の一部をポリイミドテープおよびシリコンウェハでマスクし、マスクのある部分とない部分の段差を触針法により測定し、エッチング速度を算出した。
【0077】
今回実施例として用いているセラミックスは、比較的プラズマに対して耐性を持つ酸化物のため、表面のエッチング量は非常に少ない。
【0078】
これに対し、比較例である試料31〜34に関しては、同様のY2O3、Al2O3であるものの、比較例である試料35〜37のCVD法で成膜した膜に関してはバラツキが見られる。
【0079】
(パーティクル数)
前記プラズマ試験後のシリコンウェハについては、パーティクルカウンタ(Tencor製Surfscan6420)を用い、大きさ0.5ミクロン以上の粒子数を計測した。
【0080】
パーティクル数は緻密かつ平坦膜であるゾルゲル膜は他の成膜方法に比べ良好な結果が得られた。ただし、本発明の実施例である試料19〜23については最表面が溶射膜のため、パーティクル数は、比較例である試料33および34と同様にパーティクルは増加している。しかし、溶射膜表面にゾルゲル膜を成膜した本発明の実施例である試料19〜23ならびに26および27については、ゾルゲル単体の膜に比べパーティクル数は増加しているものの、溶射膜のみに比べパーティクル数は3分の1程度に減少している。したがって、ゾルゲル膜を塗布することによりパーティクル軽減効果が得られた。
【0081】
(塩素ガス暴露)
電子部品製造装置の中でも半導体デバイスを製作する装置内では各プロセスにおいて腐食ガスに常に曝される環境となる。そこで、各実施例における膜をCl2ガスに曝露してその腐食ガス耐性を評価した。
【0082】
評価方法としては試料設置用セルに試験片を設置し、Cl2ガス100%、0.3MPa圧力の気流中で24時間のガス曝露試験を行った。セル内の温度は100℃とした。ガス曝露後の表面状態を確認し、表面腐食の有無、若しくは剥離の有無を評価基準とした。
【0083】
ゾルゲル膜が成膜された本発明の実施例である試料1〜29については、Cl2ガス曝露後も剥離せず、表面状態においても変化は確認されなかった。したがって、Cl2ガス耐性の低いAl金属基材を基材として用いた場合でも緻密なゾルゲル膜が成膜されることによって基材の腐食を防ぎ、プラズマ処理装置用部材としての耐久性、信頼性が向上していることが確認された。
【0084】
これに対し、比較例である試料31〜34の従来のゾルゲル膜、溶射単層膜においては、膜の剥離が発生した。この原因として、膜自体の気孔が多いために連続気孔を通過したCl2ガスがAl金属基材を直接腐食されたために膜が剥離したものと考えられる。
【0085】
比較例である試料35〜37のCVD膜に関しては、膜の剥離は発生しなかったが、膜表面の変質が確認された。
【0086】
(複雑形状への成膜性)
2段以上の段差や箱形状の内面など入り組んだ複雑形状、小径の円筒内面(例えば内経5mm程度のガス配管)、多孔質体の内部、繊維状フィルタの内部への成膜可否を判断した。
【0087】
実施例1〜18において、2段以上の段差や箱形状の内面に対して容易に成膜可能であった。本発明の実施例である試料19〜29の溶射膜との複合膜の場合には溶射膜が成膜可能な面に依存されるため、本評価では評価対象外とした。しかし、一部溶射膜を含む複雑な形状に対してゾルゲル膜を全面に成膜することは可能であった。
【0088】
これに対し、比較例の場合、従来のゾルゲル膜は、比較的複雑な形状に対して柔軟に成膜することが可能であったが、角や鋭いR形状に成膜した場合には密着性が低く膜剥離が発生した。溶射膜の場合は溶射原料が溶融したフレームを直線的に照射できる部位のみの成膜となるため、陰が生じる基材に対して成膜することは不可能であった。CVD膜は、供給される原料ガスに対して成膜する面が完全に露出していなければ成膜されず、また、成膜面において平行面と直角面の両方が存在する場合に両者の成膜レートが極端に変化するために、均一な成膜は不可能であった。
【0089】
次に、小径の円筒内面、多孔質体の内部、繊維状フィルタの内部については、原料溶液(ゾル)を通液・乾燥後に焼成を行った。ゾルゲル法を用いることにより、従来技術では不可能であった前記形状の部材に対しても成膜可能であった。比較例に示した溶射法、CVD法では、原理的に全面への成膜は不可能であった。また従来のゾルゲル法を用いた場合には成膜可能ではあったが、純度、パーティクルの観点からプラズマ処理装置用部材への応用は困難である。
【0090】
(透過性、透過率)
本発明の実施例である試料10〜13、比較例である試料37に関しては基材自体が透光性示すため、波長可視光400〜800nmでの透過率を測定した。測定には、自記分光光度計(日立製U-3500)を用いた。試料10〜12の透過率の結果をそれぞれ、図11〜13に示す。また、比較例としてCVD膜の透過率を、図14に示す。
【0091】
目視において、可視光領域での透過率が80%を下回ると、膜が曇って見え始める。また、透過率が60%を下回ると、明らかに膜が濁って見える。したがって、透光性が要求される部材に適用する場合に、良好な透光性を得るためには、80%以上の透過率が必要とされる。
【0092】
従来技術を用いた場合には膜厚が増加するにしたがって透過率が低下するのが通常であるが、本発明のゾルゲル膜に関しては、図11〜13に示すとおり、膜厚1μm〜5μmであれば、可視光領域で透過率の減少は殆ど発生しない。また、その透過率は、全波長域において90%程度を維持している。基材である、厚さ4mmの石英の透過率が全波長域において93%程度であることを考慮すると、膜のみの透過率で計算すれば97%程度となることが分かる。
【0093】
これに対し、CVD膜は、図14に示すとおり、1μmの時点で50〜80%程度と、透過率は著しく低下する。また、溶射膜、従来のゾルゲル膜に関しては、気孔を多く含むことや膜が厚いために透光性は示さない。
【0094】
(総合評価)
本発明の実施例である試料1〜18のゾルゲル単層膜若しくは溶射膜を含まない多層複合膜、また、比較例である試料31〜37については、エッチングレートが10nm/分以下の優れたプラズマ耐食性を示し、発生パーティクル数が50個以下の低発塵性を示し、加えて複雑形状への施工が可能な膜について総合評価を○とした。また、本発明の実施例である試料19〜29の溶射膜を含むゾルゲル膜との複合膜に関しては溶射膜単体と比較してパーティクル数、塩素ガス曝露特性が向上した膜に関し総合評価を○とした。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、半導体素子や液晶パネル等の電子部品製造装置に限らず、腐食性雰囲気を伴うプラズマ処理等を行う装置全般に用いられる部材と、その製造方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施例1によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、Y2O3膜からの放出水分量の測定データを示す。
【図2】本発明の実施例1によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、各昇温段階で放出された水分量を示す。
【図3】本発明の実施例1によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、焼成温度と500℃まで昇温した際に放出される水分量との関係を示す。
【図4】本発明の実施例2によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図5】本発明の実施例3によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図6】本発明の実施例4によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図7】本発明の実施例5によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図8】本発明の実施例6によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図9】本発明の実施例7によるプラズマ処理装置用部材を示す概略的な断面図である。
【図10】本発明によるプラズマ処理装置用部材の評価結果を、比較例の評価結果と共に示す表図である。
【図11】本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、実施例である試料10の波長可視光400〜800nmでの透過率を示す。
【図12】本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、実施例である試料11の波長可視光400〜800nmでの透過率を示す。
【図13】本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、実施例である試料12の波長可視光400〜800nmでの透過率を示す。
【図14】本発明の実施例によるプラズマ処理装置用部材の特性を説明するためのグラフであり、比較例である試料37の波長可視光400〜800nmでの透過率を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を有するプラズマ処理装置用部材において、
前記セラミックス膜は、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下であることを特徴とするプラズマ処理装置用部材。
【請求項2】
前記セラミックス膜として、ゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜を有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項3】
前記基材は、金属、セラミックス、ガラス、またはそれらの複合材料から成り、
前記セラミックス膜は、周期律表の2〜6族元素、12〜14族元素、および希土類元素のうちの少なくとも一種以上の元素で構成された膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項4】
前記セラミックス膜は、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zn、Y、Zr、W、および希土類元素のうち少なくとも一種以上の元素で構成された膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項5】
前記セラミックス膜は、膜厚5μm以下の際に波長400〜800nmの可視光領域で透過率80%以上の透光性を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項6】
前記セラミックス膜は、酸素を含んだ雰囲気中で250〜1200℃の温度範囲で形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項7】
前記セラミックス膜は、純度99.5%以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項8】
前記基材は、金属から成り、
前記基材の表面に、該基材の表面を不働体化処理して成る膜を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項9】
前記基材は、アルミニウムから成り、
前記基材の表面に、陽極酸化処理膜を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項10】
前記基材は、金属から成り、
前記基材の表面に、熱処理によって形成された膜を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項11】
前記セラミックス膜として、前記基材上に溶射法によって形成された溶射膜と、該溶射膜上にゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜とを有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項12】
前記セラミックス膜として、前記基材上にゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜と、該ゾルゲル膜上に溶射法によって形成された溶射膜とを有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項13】
前記基材は、孔を持つ板状、管状、または容器状を呈することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項14】
基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を形成する工程を有するプラズマ処理装置用部材の製造方法において、
前記セラミックス膜形成工程において、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、かつ、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下となるようにすることを特徴とするプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項15】
前記セラミックス膜として、ゾルゲル膜をゾルゲル法によって形成することを特徴とする請求項14に記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項16】
金属、セラミックス、ガラス、またはそれらの複合材料から成る前記基材を形成する工程と、
前記セラミックス膜として、周期律表の2〜6族元素、12〜14族元素、および希土類元素のうちの少なくとも一種以上の元素で構成された膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14または15に記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項17】
前記セラミックス膜として、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zn、Y、Zr、W、および希土類元素のうち少なくとも一種以上の元素で構成された膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項18】
前記セラミックス膜を、酸素を含んだ雰囲気中で250〜1200℃の温度範囲で形成することを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項19】
前記セラミックス膜は、純度99.5%以上であることを特徴とする請求項14乃至18のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項20】
金属から成る前記基材を形成する工程と、
前記基材の表面に、該基材の表面を不働体化処理して成る膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項21】
アルミニウムから成る前記基材を形成する工程と、
前記基材の表面に、陽極酸化処理膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項22】
金属から成る前記基材を形成する工程と、
前記基材の表面に、熱処理によって形成された膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項23】
前記セラミックス膜形成工程として、前記基材上に溶射法によって溶射膜を形成する工程と、該溶射膜上にゾルゲル法によってゾルゲル膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至22のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項24】
前記セラミックス膜形成工程として、前記基材上にゾルゲル法によってゾルゲル膜を形成する工程と、該ゾルゲル膜上に溶射法によって溶射膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項1】
基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を有するプラズマ処理装置用部材において、
前記セラミックス膜は、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下であることを特徴とするプラズマ処理装置用部材。
【請求項2】
前記セラミックス膜として、ゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜を有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項3】
前記基材は、金属、セラミックス、ガラス、またはそれらの複合材料から成り、
前記セラミックス膜は、周期律表の2〜6族元素、12〜14族元素、および希土類元素のうちの少なくとも一種以上の元素で構成された膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項4】
前記セラミックス膜は、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zn、Y、Zr、W、および希土類元素のうち少なくとも一種以上の元素で構成された膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項5】
前記セラミックス膜は、膜厚5μm以下の際に波長400〜800nmの可視光領域で透過率80%以上の透光性を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項6】
前記セラミックス膜は、酸素を含んだ雰囲気中で250〜1200℃の温度範囲で形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項7】
前記セラミックス膜は、純度99.5%以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項8】
前記基材は、金属から成り、
前記基材の表面に、該基材の表面を不働体化処理して成る膜を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項9】
前記基材は、アルミニウムから成り、
前記基材の表面に、陽極酸化処理膜を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項10】
前記基材は、金属から成り、
前記基材の表面に、熱処理によって形成された膜を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項11】
前記セラミックス膜として、前記基材上に溶射法によって形成された溶射膜と、該溶射膜上にゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜とを有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項12】
前記セラミックス膜として、前記基材上にゾルゲル法によって形成されたゾルゲル膜と、該ゾルゲル膜上に溶射法によって形成された溶射膜とを有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項13】
前記基材は、孔を持つ板状、管状、または容器状を呈することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材。
【請求項14】
基材上に、純度98%以上であるセラミックス膜を形成する工程を有するプラズマ処理装置用部材の製造方法において、
前記セラミックス膜形成工程において、膜を構成している粒子の粒子径が50nm以下であり、かつ、膜からの放出水分量が1019分子/cm2以下となるようにすることを特徴とするプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項15】
前記セラミックス膜として、ゾルゲル膜をゾルゲル法によって形成することを特徴とする請求項14に記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項16】
金属、セラミックス、ガラス、またはそれらの複合材料から成る前記基材を形成する工程と、
前記セラミックス膜として、周期律表の2〜6族元素、12〜14族元素、および希土類元素のうちの少なくとも一種以上の元素で構成された膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14または15に記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項17】
前記セラミックス膜として、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zn、Y、Zr、W、および希土類元素のうち少なくとも一種以上の元素で構成された膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項18】
前記セラミックス膜を、酸素を含んだ雰囲気中で250〜1200℃の温度範囲で形成することを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項19】
前記セラミックス膜は、純度99.5%以上であることを特徴とする請求項14乃至18のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項20】
金属から成る前記基材を形成する工程と、
前記基材の表面に、該基材の表面を不働体化処理して成る膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項21】
アルミニウムから成る前記基材を形成する工程と、
前記基材の表面に、陽極酸化処理膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項22】
金属から成る前記基材を形成する工程と、
前記基材の表面に、熱処理によって形成された膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項23】
前記セラミックス膜形成工程として、前記基材上に溶射法によって溶射膜を形成する工程と、該溶射膜上にゾルゲル法によってゾルゲル膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至22のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【請求項24】
前記セラミックス膜形成工程として、前記基材上にゾルゲル法によってゾルゲル膜を形成する工程と、該ゾルゲル膜上に溶射法によって溶射膜を形成する工程とを有することを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置用部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−258634(P2007−258634A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84543(P2006−84543)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(391005824)株式会社日本セラテック (200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(391005824)株式会社日本セラテック (200)
【Fターム(参考)】
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