説明

プリドライバ回路、および、駆動回路

【課題】回生電流がモータ等の負荷から駆動回路を構成するプリドライバ回路側に流れても、駆動回路の制御に影響を与えないようにすること。
【解決手段】第1の電源電圧(VM)に接続された第1の駆動トランジスタと、接地に接続された第2の駆動トランジスタとの間の負荷に接続される接続ノード(N1)を出力端子とするブリッジ回路に接続されたプリドライバ回路において、接続ノード(N1)である出力端子に接続された出力モニタ回路を有し、該出力モニタ回路を用いて、出力端子に現れる電圧(Vout)に基づいて電圧のみをフィードバックさせる第1のフィードバック信号(S1)を生成し、第1のフィードバック信号(S1)に基づいて第2のフィードバック信号(S2)を生成して、出力端子に現れる電圧(Vout)が第1の電源電圧(VM)に近づくように、第1の駆動トランジスタを駆動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリドライバ回路に関し、詳細にはモータ等の負荷の電圧を制御する駆動回路のプリドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来のモータ等を駆動する駆動回路1の構成例を示す。
【0003】
駆動回路1は、ハイサイドのプリドライバ回路2と、モータ等の負荷4に接続されたブリッジ回路3とから構成されている。プリドライバ回路2としては、駆動回路1の出力電圧に基づいて制御されるプッシュプル回路5と、該プッシュプル回路5を介して出力される内部供給電圧と、出力電圧とに基づいて駆動電圧を出力するバッファ回路6とを備えた回路が知られている(特許文献1参照)。なお、7は、ローサイドのプリドライバ回路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,635,998号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6、図7は、ブリッジ回路3の構成例を示す。図6のブリッジ回路3は2個の駆動トランジスタ3a,3bからなり、図7のブリッジ回路3は4個の駆動トランジスタ3a,3b,3c,3dからなる。
【0006】
図6のブリッジ回路3では駆動トランジスタ3aのゲートに過剰の電圧がかかることにより、図7のブリッジ回路3では駆動トランジスタ3a,3cの各ゲートに過剰の電圧がかかることにより、ゲートが破壊されてしまうことは、上記プリドライバ回路2によって保護される。
【0007】
しかし、図5に示したように、上記プッシュプル回路5やバッファ回路6が出力電圧に直接接続されているため、モータ等の負荷4からプリドライバ回路2側に流れる回生電流が該プッシュプル回路5やバッファ回路6を含むプリドライバ回路2の内部回路に伝播してしまい、その結果、駆動回路1の制御に悪影響(例えば、誤動作や内部回路の素子破壊等)を及ぼす。
【0008】
そこで、本発明の目的は、回生電流がモータ等の負荷からプリドライバ回路側に流れても、駆動回路の制御に影響を及ぼさないようなプリドライバ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1の電源電圧に接続された第1の駆動トランジスタと、接地に接続された第2の駆動トランジスタとの間の負荷に接続される接続ノードを出力端子とするブリッジ回路に接続されたプリドライバ回路であって、前記接続ノードである前記出力端子に接続された出力モニタ回路を有し、該出力モニタ回路を用いて、前記出力端子に現れる電圧に基づいて電圧のみをフィードバックさせる第1のフィードバック信号を生成する第1のフィードバック信号生成手段と、前記生成された第1のフィードバック信号が入力され、前記出力端子に現れる電圧が前記第1の電源電圧に近づくように、前記第1の駆動トランジスタを駆動制御する第2のフィードバック信号を生成する第2のフィードバック信号生成手段と、一端が前記第1の電源電圧より高い電圧に接続され、他端が前記第2のフィードバック信号生成手段に接続された、入力信号によってオン・オフする第1のスイッチング手段とを具え、前記第1のスイッチング手段と前記第2のフィードバック信号生成手段とによって構成された駆動信号生成手段から前記第2のフィードバック信号を、前記第1の駆動トランジスタのゲートに駆動信号として出力することを特徴とする。
【0010】
前記出力モニタ回路は、ドレインが前記第1の電源電圧より高い電圧に接続され、ゲートが前記出力端子に接続される第1のN型トランジスタと、ドレインが前記第1の電源電圧より低い電圧に接続され、ゲートが前記出力端子に接続され、ソースが前記第1のN型トランジスタのソースに接続された第1のP型トランジスタとを含み、第1のフィードバック信号生成手段は、前記出力モニタ回路の前記第1のN型トランジスタと前記第1のP型トランジスタとの間の接続ノードに現れる電圧に基づいて、前記第1のフィードバック信号を生成することを特徴とする。
【0011】
前記第2のフィードバック信号生成手段は、ドレインが前記第1のスイッチング手段の他端に接続され、ソースが前記第1の駆動トランジスタに接続され、ゲートに第1のフィードバック信号が入力される第2のN型トランジスタであることを特徴とする。
【0012】
前記第1のフィードバック信号生成手段は、前記出力モニタ回路の第1のN型トランジスタと第1のP型トランジスタとの間の接続ノードに現れる電圧を所定量シフトさせた信号を、前記第1のフィードバック信号として出力する電圧シフト回路をさらに具えたことを特徴とする。
【0013】
前記電圧シフト回路は、ドレインが第1のN型トランジスタと第1のP型トランジスタとの間の接続ノードに接続され、ゲートがドレインに接続される第2のP型トランジスタと、ドレインが前記第2のP型トランジスタのソースに接続され、ゲートがドレインに接続される第3のP型トランジスタと、ドレインが前記第3のP型トランジスタのソースに接続され、ゲートがドレインに接続され、ソースが前記第1の電源電圧よりも高い電圧に接続され、ソースから前記第1のフィードバック信号を出力する第4のP型トランジスタとを含み、前記第1および第2のN型トランジスタ、前記第1〜第4のP型トランジスタ、および前記第1の駆動トランジスタ、の閾値電圧が略同一であることを特徴とする。
【0014】
前記駆動信号生成手段は、前記出力端子に現れる電圧が前記第1の電源電圧に近くなったことを検知して、前記第1のスイッチング手段の他端と前記第1の駆動トランジスタのゲートとを短絡させる第2のスイッチング手段をさらに具えたことを特徴とする。
【0015】
本発明は、少なくとも、第1の電源電圧に接続された第1の駆動トランジスタと、接地に接続された第2の駆動トランジスタとを有するブリッジ回路と、前記第1の駆動トランジスタと第2の駆動トランジスタとの間の接続ノードと、前記第1の駆動トランジスタのゲートとの間に接続されるプリドライバ回路とを具えることによって、駆動回路を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1の電源電圧(VM)に接続された第1の駆動トランジスタと、接地に接続された第2の駆動トランジスタとの間の負荷に接続される接続ノード(N1)を出力端子とするブリッジ回路に接続されたプリドライバ回路において、接続ノード(N1)である出力端子に接続された出力モニタ回路を有し、該出力モニタ回路を用いて、出力端子に現れる電圧(Vout)に基づいて電圧のみをフィードバックさせる第1のフィードバック信号(S1)を生成し、第1のフィードバック信号(S1)に基づいて第2のフィードバック信号(S2)を生成して、出力端子に現れる電圧(Vout)が第1の電源電圧(VM)に近づくように、第1の駆動トランジスタを駆動制御するようにしたので、回生電流がモータ等の負荷から駆動回路を構成するプリドライバ回路側に流れても、駆動回路の制御に影響を与えないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態である、プリドライバ回路の構成例を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態である、プリドライバ回路の構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態である、プリドライバ回路の構成例を示す回路図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態である、プリドライバ回路の構成例を示す回路図である。
【図5】従来のプリドライバ回路の構成例を示す回路図である。
【図6】従来のプリドライバ回路に接続されたブリッジ回路の構成例を示す回路図である。
【図7】従来のプリドライバ回路に接続されたブリッジ回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の例〕
本発明の第1の実施の形態を、図1に基づいて説明する。
【0019】
<回路構成>
図1は、駆動回路300の構成例を示す。
【0020】
駆動回路300は、ブリッジ回路100と、プリドライバ回路200とから構成される。
【0021】
ブリッジ回路100は、少なくとも、第1の電源電圧(VM)に接続された第1の駆動トランジスタ101と、接地に接続された第2の駆動トランジスタ102とを有する。
【0022】
プリドライバ回路200は、第1の駆動トランジスタ101と第2の駆動トランジスタ102との間の接続ノード(N1)と、第1の駆動トランジスタ101のゲートとの間に接続されている。接続ノード(N1)は、出力端子10とされ、モータ等の負荷400に接続されている。
【0023】
(プリドライバ回路)
以下、プリドライバ回路200の具体的な構成について説明する。
【0024】
プリドライバ回路200は、第1のフィードバック信号生成回路210と、第2のフィードバック信号生成回路222と、第1のスイッチング回路221とを備えている。第2のフィードバック信号生成回路222と、第1のスイッチング回路221とは、駆動信号生成回路220として構成されている。
【0025】
第1のフィードバック信号生成回路210は、接続ノード(N1)である出力端子10に接続された出力モニタ回路213を有する。この出力モニタ回路213を用いて、出力端子10に現れる電圧(Vout)に基づいて電圧のみをフィードバックさせる第1のフィードバック信号(S1)を生成する。
【0026】
第2のフィードバック信号生成回路222は、入力された第1のフィードバック信号(S1)に基づいて、出力端子10に現れる電圧(Vout)が第1の電源電圧(VM)に近づくように、第1の駆動トランジスタ101を駆動制御することが可能な第2のフィードバック信号(S2)を生成する。具体的には、第2のフィードバック信号(S2)によって、第1の駆動トランジスタ101のゲート−ソース間電圧が、およそ第1の駆動トランジスタ101の閾値電圧以上の値になればよい。
【0027】
第1のスイッチング回路221は、一端が第1の電源電圧(VM)より高い電圧(VG)に接続され、他端が第2のフィードバック信号生成回路222に接続されており、入力信号(SIN)によってオン・オフする。
【0028】
第1のスイッチング回路221は、PMOSで構成することができ、入力信号SINによりデジタル的にオン・オフする。なお、第1のスイッチング回路221は、バイポーラとしても構成可能である。
【0029】
そして、このプリドライバ回路200は、第1のスイッチング回路221と第2のフィードバック信号生成回路222とによって構成された駆動信号生成回路220から第2のフィードバック信号(S2)を、第1の駆動トランジスタ101のゲートに駆動信号(S3)として出力する。なお、第2のフィードバック信号生成回路222と、第1の駆動トランジスタのゲートとが直接接続されていれば、S2=S3となる。
【0030】
(出力モニタ回路)
出力モニタ回路213の構成について説明する。
【0031】
出力モニタ回路213は、第1のN型トランジスタ211と、第1のP型トランジスタ212とを備えている。
【0032】
第1のN型トランジスタ211は、ドレインが第1の電源電圧(VM)より高い電圧(V2)に接続され、ゲートが出力端子(10)に接続されている。
【0033】
第1のP型トランジスタ212は、ドレインが第1の電源電圧(VM)より低い電圧(V3)に接続され、ゲートが出力端子10に接続され、ソースが第1のN型トランジスタ211のソースに接続されている。
【0034】
そして、第1のフィードバック信号生成回路210は、出力モニタ回路213の第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212との間の接続ノード(N2)に現れる電圧に基づいて、第1のフィードバック信号(S1)を生成する。
(ブリッジ回路)
ブリッジ回路100は、少なくとも、第1の電源電圧(VM)に接続された第1の駆動トランジスタ101と、接地に接続された第2の駆動トランジスタ102との間の接続ノード(N1)を出力端子10とする。そして、第2の駆動トランジスタ102をオフした後に第1の駆動トランジスタ101をオンし、第1の駆動トランジスタ101をオフした後に第2の駆動トランジスタ102をオンすることによって出力端子10の電圧を制御し、該出力端子10に接続されるモータ等の負荷400を動作させる回路であれば、特に限定されるものではない。
【0035】
ブリッジ回路100は、図2に示したようなハーフブリッジ回路であっても、図7に示したフルブリッジ回路であってもよい。ブリッジ回路100がフルブリッジ回路である場合、本発明のプリドライバ回路200は、第1の電源電圧(VM)に接続される少なくとも一方の駆動トランジスタに駆動信号(S3)を出力するものであればよく、第1の電源電圧(VM)に接続される両方の駆動トランジスタに駆動信号(S3)を出力するものであることが好ましい。
【0036】
(電圧)
電圧VGは、第1の電源電圧(VM)より高い電圧であれば、特に限定されないが、第1の駆動トランジスタ101に過剰な負荷をかけないようにする観点から、第1の駆動トランジスタ101が許容する最大のゲート−ソース間の電圧をVGSmaxとしたときに、VGは、略VM+VGSmaxであることが好ましい。
【0037】
電圧V2は、第1の電源電圧(VM)より高い電圧であれば、特に限定されないが、回路を容易に構成する観点から、電圧V2は電圧VGと同じであることが好ましい。
【0038】
電圧V3は、第1の電源電圧(VM)より低い電圧であれば、特に限定されないが、回路を容易に構成する観点から、電圧V3は接地であることが好ましい。
【0039】
(入力信号)
入力信号SINは、第1のスイッチング回路221をオン・オフすることが可能な信号であれば、特に限定されない。入力信号SINとして、例えば、ハイサイドドライバのオン・オフを指示する信号を用いる場合、0Vと5Vのデジタル信号(方形波)をVGとVG−5Vとの間で振幅する方形波にレベルシフトされた信号を使用できる。
【0040】
具体例として、LOWが0Vで、HIGHが1.8Vの方形波に基づいて、第1のスイッチング回路221としてVGSの許容電圧が5VのP型MOSFETをオン・オフする入力信号SINを生成するためには、方形波をレベルシフタによってLOWがVG−5V、HIGHがVGとなるようにして入力信号SINとすることが可能であるが、これに限定されない。
【0041】
なお、500は、第2の駆動トランジスタ102のローサイドのプリドライバ回路であり、周知のNMOS用プリドライバ回路である。このローサイドのプリドライバ回路500は、MaxVgs以下で振幅するアナログ的な波形を出力するバッファとして構成することができる。
【0042】
<回路動作>
図1のプリドライバ回路200の動作について説明する。
【0043】
なお、動作説明においては、説明を簡略にするために、第1の駆動トランジスタ101と、第1のN型トランジスタ211の閾値電圧は略等しいものとする。また、第2のフィードバック信号生成回路222は、第1のフィードバック信号(S1)に2×VTを加算して出力するものであるとする。
【0044】
(1)まず、入力信号SINによって第1のスイッチング手段221がオンし、第2のフィードバック信号生成回路222を介して第1の駆動トランジスタ101のゲートを駆動する。
【0045】
(2)出力モニタ回路213は、第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212の2つのソースフォロアで構成されているため、第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212との間の接続ノード(N2)には、Vout−VTの電圧が出力される。
【0046】
本例においては、このVout−VTの電圧が、第1のフィードバック信号(S1)となる。ただし、VTは、第1のN型トランジスタ211の閾値電圧である。
【0047】
(3)第2のフィードバック信号生成回路222は、第1のフィードバック信号(S1)に基づいて、第2のフィードバック信号(S2)を出力する。
【0048】
(4)第1の駆動トランジスタ101のゲートにはVout+VTの電圧がかかるため、第1の駆動トランジスタ101のVGS=VG−VS=(Vout+VT)−Vout=VTとなり、出力端子10の電圧をさらに第1の電源電圧(VM)に近づけるように制御される。
【0049】
図1のプリドライバ回路200では、たとえ出力端子10から出力モニタ回路213の方向に電流(負荷400がモータの場合は、回生電流)が流れたとしても、出力モニタ回路213は電圧のみをフィードバックするので、該電流の影響を受けず、駆動回路300の制御に影響を与えることを抑止することが可能となる。これにより、例えば、駆動回路300において、誤動作や内部回路における素子の破壊等を防止することができる。
【0050】
プリドライバ回路210の出力モニタ回路213はソースフォロアとして構成されているため、入力信号に対して高速な応答が可能となり、これにより、出力端子10から出力モニタ回路213の方向に流れる電流が駆動回路300に影響を与えることを抑止しつつ、フィードバックによる遅延が駆動回路300の制御に与える影響も抑制することが可能となる。
【0051】
本例では、説明を簡略にするために、第1の駆動トランジスタ101、および、第1のN型トランジスタ211の閾値電圧は略等しいものとし、かつ、第2のフィードバック信号生成回路222が、第1のフィードバック信号(S1)に2×VTを加算して出力するものであると仮定したが、これに限定されるものではなく、各トランジスタの閾値電圧が異なったとしても、第2のフィードバック信号生成回路222が第1のフィードバック信号(S1)をどれだけシフトするかを適宜設定することにより、同様の制御が可能である。
【0052】
〔第2の例〕
本発明の第2の実施の形態を、図2に基づいて説明する。なお、前述した第1の例と同一部分については、その説明を省略し、同一符号を付す。
【0053】
<回路構成>
図2において、第1のフィードバック信号生成回路210は、電圧シフト回路214を備えている。この電圧シフト回路214は、出力モニタ回路213の第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212との間の接続ノード(N2)に現れる電圧を所定量シフトさせた信号を、第1のフィードバック信号(S1)として出力する。
【0054】
第2のフィードバック信号生成回路222は、第2のN型トランジスタ223により構成されている。この第2のN型トランジスタ223は、ドレインが第1のスイッチング回路221の他端に接続され、ソースが第1の駆動トランジスタ101に接続され、ゲートに第1のフィードバック信号(S1)が入力される。
【0055】
<回路動作>
図2のプリドライバ回路200の動作について説明する。
【0056】
以下の動作説明においては、第1のN型トランジスタ211と第2のN型トランジスタ223の閾値電圧が略同一(=VT)である。そして、電圧シフト回路214が、第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212との間の接続ノード(N2)の電圧を3×VTシフトさせた信号を、第1のフィードバック信号(S1)として出力する場合について考える。
【0057】
(1)まず、入力信号SINによって第1のスイッチング回路221がオンし、第2のN型トランジスタ223のドレイン端子をVGまで引き上げる。このN型トランジスタ223は信号S2−VTでソース端子をクランプする回路である。
【0058】
(2)出力モニタ回路213は、第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212の2つのソースフォロアで構成されているため、第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212との間の接続ノード(N2)には、Vout−VTの電圧が出力される。これにより、電圧シフト回路214は、Vout−VT+3×VT=Vout+2VTの第1のフィードバック信号(S1)を第2のN型トランジスタ223に出力する。
【0059】
(3)第2のN型トランジスタ223は、ソースフォロアになっているため、第1のフィードバック信号(S1)(=Vout+2VT)を、第2のN型トランジスタ223の閾値電圧VT分減算した信号であるVout+VTを第2のフィードバック信号S2として出力する。
【0060】
(4)このS2の電圧が第1の駆動トランジスタ101のゲートに印加されることにより、第1の駆動トランジスタ101がオンし、出力端子の電圧Voutが上昇する。
【0061】
(5)第1の駆動トランジスタ101のゲートにはVout+VTの電圧がかかるため、第1の駆動トランジスタ101のVGS=VG−VS=(Vout+VT)−Vout=VTとなり、出力端子の電圧をさらに第1の電源電圧VMに近づけるように制御される。
【0062】
本例では、第1のN型トランジスタ211と第2のN型トランジスタ223の閾値電圧が略同一(=VT)であり、電圧シフト回路214が第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212との間の接続ノード(N2)の電圧を3×VTシフトさせた信号を第1のフィードバック信号(S1)として出力する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、第1のN型トランジスタ211および第2のN型トランジスタ223の閾値電圧に応じて電圧シフト回路214がシフトさせる所定量を適宜設定することにより、同様の制御が可能となる。
【0063】
〔第3の例〕
本発明の第3の実施の形態を、図3に基づいて説明する。なお、前述した各例と同一部分については、その説明を省略し、同一符号を付す。
【0064】
<回路構成>
電圧シフト回路214は、第2のP型トランジスタ215と、第3のP型トランジスタ216と、第4のP型トランジスタ217とから構成される。
【0065】
第2のP型トランジスタ215は、ドレインが第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212との間の接続ノード(N2)に接続され、ゲートがドレインに接続されている。
【0066】
第3のP型トランジスタ216は、ドレインが第2のP型トランジスタ215のソースに接続され、ゲートがドレインに接続されている。
【0067】
第4のP型トランジスタ217は、ドレインが第3のP型トランジスタ216のソースに接続され、ゲートがドレインに接続され、ソースが第1の電源電圧(VM)よりも高い電圧(V5)に接続され、ソースから第1のフィードバック信号(S1)を出力する。
【0068】
第1のN型トランジスタ211および第2のN型トランジスタ223、第1〜第4のP型トランジスタ212,215,216,217、および第1の駆動トランジスタ101の閾値電圧(VT)は、略同一に設定されている。
【0069】
第2〜第4のP型トランジスタ215,216,217は、ダイオード接続されたP型トランジスタが3つ直列に接続される構成となるので、入力された電圧に3×VTを加算した信号(電圧値)を、第1のフィードバック信号(S1)として出力する。
【0070】
<回路動作>
図3のプリドライバ回路200の動作について説明する。
【0071】
(1)まず、入力信号SINによって第1のスイッチング回路221がオンし、第2のN型トランジスタ223のドレイン端子をVGまで引き上げる。この第2のN型トランジスタ223は、信号S2−VTでソース端子をクランプする回路である。
【0072】
(2)出力モニタ回路213は、第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212とで構成されたソースフォロアになっているため、第1のN型トランジスタ211と第1のP型トランジスタ212との間の接続ノード(N2)には、VOUT−VTの電圧が出力される。電圧シフト回路214は、VOUT−VT+3×VT=VOUT+2VTの第1のフィードバック信号(S1)を、第2のN型トランジスタ223に出力する。
【0073】
(3)第2のN型トランジスタ223は、ソースフォロアになっているため、第1のフィードバック信号S1(=VOUT+2VT)を第2のN型トランジスタ223の閾値電圧VT分減算した信号であるVOUT+VTを第2のフィードバック信号(S2)として出力する。
【0074】
(4)この第2のフィードバック信号(S2)の電圧が第1の駆動トランジスタ101のゲートに印加されることにより、第1の駆動トランジスタ101がオンし、出力端子10の電圧Voutが上昇する。
【0075】
(5)第1の駆動トランジスタ101のゲートには、Vout+VTの電圧がかかるため、第1の駆動トランジスタ101のVGS=VG−VS=(Vout+VT)−Vout=VTとなり、出力端子10の電圧をさらに第1の電源電圧(VM)に近づけるように制御される。
【0076】
本例では、出力端子10の電圧に応じて、受動的かつ高速に第2のフィードバック信号(S2)を、Vout+VTに制御することが可能となる。
【0077】
〔第4の例〕
本発明の第4の実施の形態を、図4に基づいて説明する。なお、前述した各例と同一部分については、その説明を省略し、同一符号を付す。
【0078】
駆動信号生成回路220は、第1のスイッチング回路221の他端と第1の駆動トランジスタ101のゲートとの間に接続された第2のスイッチング回路224を備えている。
【0079】
第2のスイッチング回路224は、PMOSで構成される。このPMOSのゲートは、接続ノード(N1)の出力電圧が第1の電源電圧(VM)に近づくとオンするように、N1の出力電圧とVMとを比較するコンパレータの出力により制御される。
【0080】
この第2のスイッチング回路224は、出力端子10に現れる電圧(Vout)が第1の電源電圧(VM)に近くなったことを検知して、第1のスイッチング回路221の他端と第1の駆動トランジスタ101のゲートとを短絡させる。
【0081】
第2のスイッチング回路224を有することにより、第2のスイッチング回路224がオンすれば、駆動信号(S3)はVGとなり、第1および第2のフィードバック信号(S1,S2)によらず、第1の駆動トランジスタ101をフルオンで制御することが可能になる。
【符号の説明】
【0082】
1 駆動回路
2 ハイサイドのプリドライバ回路
3 ブリッジ回路
4 負荷
5 プッシュプル回路
6 バッファ回路
7 ローサイドのプリドライバ回路
10 出力端子
100 ブリッジ回路
101 第1の駆動トランジスタ
102 第2の駆動トランジスタ
200 プリドライバ回路
210 第1のフィードバック信号生成回路
211 第1のN型トランジスタ
212 第1のP型トランジスタ
213 出力モニタ回路
214 電圧シフト回路
220 駆動信号生成回路
221 第1のスイッチング回路
222 第2のフィードバック信号生成回路
223 第2のN型トランジスタ
224 第2のスイッチング回路
300 駆動回路
400 負荷
500 第2の駆動トランジスタのプリドライバ回路
S1 第1のフィードバック信号
S2 第2のフィードバック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源電圧に接続された第1の駆動トランジスタと、接地に接続された第2の駆動トランジスタとの間の負荷に接続される接続ノードを出力端子とするブリッジ回路に接続されたプリドライバ回路であって、
前記接続ノードである前記出力端子に接続された出力モニタ回路を有し、該出力モニタ回路を用いて、前記出力端子に現れる電圧に基づいて電圧のみをフィードバックさせる第1のフィードバック信号を生成する第1のフィードバック信号生成手段と、
前記生成された第1のフィードバック信号が入力され、前記出力端子に現れる電圧が前記第1の電源電圧に近づくように、前記第1の駆動トランジスタを駆動制御する第2のフィードバック信号を生成する第2のフィードバック信号生成手段と、
一端が前記第1の電源電圧より高い電圧に接続され、他端が前記第2のフィードバック信号生成手段に接続された、入力信号によってオンオフする第1のスイッチング手段と
を具え、
前記第1のスイッチング手段と前記第2のフィードバック信号生成手段とによって構成された駆動信号生成手段から前記第2のフィードバック信号を、前記第1の駆動トランジスタのゲートに駆動信号として出力することを特徴とするプリドライバ回路。
【請求項2】
前記出力モニタ回路は、
ドレインが前記第1の電源電圧より高い電圧に接続され、ゲートが前記出力端子に接続される第1のN型トランジスタと、
ドレインが前記第1の電源電圧より低い電圧に接続され、ゲートが前記出力端子に接続され、ソースが前記第1のN型トランジスタのソースに接続された第1のP型トランジスタとを含み、
第1のフィードバック信号生成手段は、前記出力モニタ回路の前記第1のN型トランジスタと前記第1のP型トランジスタとの間の接続ノードに現れる電圧に基づいて、前記第1のフィードバック信号を生成することを特徴とする請求項1記載のプリドライバ回路。
【請求項3】
前記第2のフィードバック信号生成手段は、
ドレインが前記第1のスイッチング手段の他端に接続され、ソースが前記第1の駆動トランジスタに接続され、ゲートに第1のフィードバック信号が入力される第2のN型トランジスタであることを特徴とする請求項1又は2記載のプリドライバ回路。
【請求項4】
前記第1のフィードバック信号生成手段は、
前記出力モニタ回路の第1のN型トランジスタと第1のP型トランジスタとの間の接続ノードに現れる電圧を所定量シフトさせた信号を、前記第1のフィードバック信号として出力する電圧シフト回路をさらに具えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプリドライバ回路。
【請求項5】
前記電圧シフト回路は、
ドレインが第1のN型トランジスタと第1のP型トランジスタとの間の接続ノードに接続され、ゲートがドレインに接続される第2のP型トランジスタと、
ドレインが前記第2のP型トランジスタのソースに接続され、ゲートがドレインに接続される第3のP型トランジスタと、
ドレインが前記第3のP型トランジスタのソースに接続され、ゲートがドレインに接続され、ソースが前記第1の電源電圧よりも高い電圧に接続され、ソースから前記第1のフィードバック信号を出力する第4のP型トランジスタと
を含み、
前記第1および第2のN型トランジスタ、前記第1〜第4のP型トランジスタ、および前記第1の駆動トランジスタ、の閾値電圧が略同一であることを特徴とする請求項4記載のプリドライバ回路。
【請求項6】
前記駆動信号生成手段は、
前記出力端子に現れる電圧が前記第1の電源電圧に近くなったことを検知して、前記第1のスイッチング手段の他端と前記第1の駆動トランジスタのゲートとを短絡させる第2のスイッチング手段をさらに具えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のプリドライバ回路。
【請求項7】
少なくとも、第1の電源電圧に接続された第1の駆動トランジスタと、接地に接続された第2の駆動トランジスタとを有するブリッジ回路と、
前記第1の駆動トランジスタと第2の駆動トランジスタとの間の接続ノードと、前記第1の駆動トランジスタのゲートとの間に接続される請求項1ないし6のいずれかに記載のプリドライバ回路と
を具えたことを特徴とする駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−74996(P2012−74996A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219243(P2010−219243)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】