説明

プロセスユニット

【課題】簡素な構成により、現像カートリッジがフレームから不用意に外れることを防止できる、プロセスユニットを提供する。
【解決手段】現像カートリッジ10は、被押圧ボス41を備え、ドロワフレーム5に装着された状態において、被押圧ボス41が押圧部材31に押圧される押圧姿勢と押圧部材31からの押圧が解除される解除姿勢との間で変位可能である。押圧部材31は、ドロワフレーム5に設けられており、押圧部39および規制部38を有している。押圧部39は、現像カートリッジ10が押圧姿勢をなす状態で、被押圧ボス41に接触して、被押圧ボス41を押圧する。規制部38は、押圧部39とは異なる位置に設けられ、現像カートリッジ10が押圧姿勢をなす状態で、現像カートリッジ10が押圧姿勢から解除姿勢に変位するときの被押圧ボス41の移動方向である解除方向への被押圧ボス41の移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に備えられるプロセスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置の一例では、感光ドラムを保持するドラムカートリッジが装置本体内に着脱可能に設けられ、そのドラムカートリッジに現像ローラを保持する現像カートリッジが装着される。ドラムカートリッジに現像カートリッジが装着された状態で、それらはプロセスカートリッジをなす。
【0003】
現像カートリッジがドラムカートリッジに装着された状態において、現像ローラが感光ドラムに接触する。現像ローラを感光ドラムに所定の圧接力で接触させるために、ドラムカートリッジに押圧部材が設けられており、この押圧部材により現像カートリッジが感光ドラムに向けて押圧される。具体的には、押圧部材は、圧縮ばねにより付勢されている。現像カートリッジには、現像側ボスが設けられている。そして、現像カートリッジがドラムカートリッジに装着されると、押圧部材が現像側ボスに当接し、圧縮ばねの付勢力によって、押圧部材が現像側ボスを押圧し、現像ローラが感光ドラムに圧接される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−72284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用者によっては、プロセスカートリッジが装置本体内に勢いよく装着されることがある。装置本体内には、プロセスカートリッジを位置決めするための位置決め部材が設けられており、プロセスカートリッジが装置本体内に装着されると、ドラムカートリッジに設けられたドラム側ボスが位置決め部材に係合し、プロセスカートリッジが位置決めされる。そのため、プロセスカートリッジが装置本体内に勢いよく装着されると、ドラム側ボスが位置決め部材に係合するときの衝撃により、現像カートリッジがドラムカートリッジから外れるおそれがある。
【0006】
ドラムカートリッジから現像カートリッジが不用意に外れることを防止するため、ドラムカートリッジには、ロックレバーが備えられている。現像カートリッジがドラムカートリッジに装着されると、その装着方向の上流側からロックレバーが現像側ボスに当接する。これにより、現像カートリッジの装着方向の上流側への移動が規制され、現像カートリッジがドラムカートリッジから不用意に外れることが防止される。
【0007】
しかしながら、ロックレバーを備える構成は、プロセスカートリッジ(ドラムカートリッジ)の構成が複雑であり、その部品点数が多いという問題を有する。
【0008】
本発明の目的は、簡素な構成により、現像カートリッジがフレームから不用意に外れることを防止できる、プロセスユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、プロセスユニットにおいて、フレームと、前記フレームに保持される感光体と、前記フレームに対して着脱可能に構成された現像カートリッジと、前記フレームに設けられた押圧部材とを含み、前記現像カートリッジは、被押圧部と、前記感光体の表面に供給するための現像剤を担持する現像剤担持体とを備え、前記フレームに装着された状態において、前記被押圧部が前記押圧部材により押圧される押圧姿勢と、前記押圧部材による前記被押圧部の押圧が解除される解除姿勢との間で変位可能であり、前記押圧部材は、前記現像カートリッジが前記押圧姿勢をなす状態で、前記被押圧部に接触して、前記被押圧部を押圧する押圧部と、前記押圧部とは異なる位置に設けられ、前記現像カートリッジが前記押圧姿勢をなす状態で、前記現像カートリッジが前記押圧姿勢から前記解除姿勢に変位するときの前記被押圧部の移動方向である解除方向への前記被押圧部の移動を規制する規制部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像カートリッジは、被押圧部および現像剤担持体を備え、感光体を保持するフレームに装着された状態において、被押圧部が押圧部材に押圧される押圧姿勢と押圧部材からの押圧が解除される解除姿勢との間で変位可能である。押圧部材は、フレームに設けられており、押圧部および規制部を有している。押圧部は、現像カートリッジが押圧姿勢をなす状態で、被押圧部に接触して、被押圧部を押圧する。規制部は、押圧部とは異なる位置に設けられ、現像カートリッジが押圧姿勢をなす状態で、現像カートリッジが押圧姿勢から解除姿勢に変位するときの被押圧部の移動方向である解除方向への被押圧部の移動を規制する。
【0011】
規制部が被押圧部の解除方向への移動を規制することにより、現像カートリッジがフレームから不用意に外れることを防止できる。規制部は、押圧部材から独立して設けられるのではなく、押圧部材に備えられている。よって、簡素な構成により、現像カートリッジがフレームから不用意に外れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンタの断面図である。
【図2】図2は、図1に示されるドロワユニット(ドロワフレームの図示省略)の斜視図である。
【図3A】図3Aは、図1に示されるドロワユニット(ドロワフレームの図示省略)の右側面図であり、現像カートリッジの装着前の状態を示す。
【図3B】図3Bは、図1に示されるドロワユニット(ドロワフレームの図示省略)の右側面図であり、現像カートリッジの装着途中の状態を示す。
【図3C】図3Cは、図1に示されるドロワユニット(ドロワフレームの図示省略)の右側面図であり、現像カートリッジの装着完了後の状態を示す。
【図3D】図3Dは、図1に示されるドロワユニット(ドロワフレームの図示省略)の右側面図であり、被押圧ボスが規制部に当接したときの状態を示す。
【図3E】図3Eは、図1に示されるドロワユニット(ドロワフレームの図示省略)の右側面図であり、押圧部材が指で操作されている状態を示す。
【図3F】図3Fは、図1に示されるドロワユニット(ドロワフレームの図示省略)の右側面図であり、現像カートリッジが解除姿勢をなす状態を示す。
【図3G】図3Gは、図1に示されるドロワユニット(ドロワフレームの図示省略)の右側面図であり、現像カートリッジが上方に持ち上げられた状態を示す。
【図4】図4は、図3Dに示されるドロワユニットの一部の右側面図であり、被押圧ボスが規制部に当接したときの状態を示す。
【図5】図5は、第1変形例に係る押圧部材および被押圧ボスが備えられたドロワユニットの右側面図である。
【図6】図6は、図5に示されるドロワユニットの一部の右側面図であり、図5に示される被押圧ボスが規制部に当接したときの状態を示す。
【図7】図7は、第2変形例に係る押圧部材および被押圧ボスが備えられた現像カートリッジの右側面図である。
【図8】図8は、第3変形例に係る押圧部材および被押圧ボスが備えられた現像カートリッジの右側面図である。
【図9】図9は、第4変形例に係る押圧部材および被押圧ボスの右側面図である。
【図10】図10は、第5変形例に係る押圧部材および被押圧ボスの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
1.カラープリンタの構成
図1に示されるように、カラープリンタ1は、タンデム型のカラープリンタである。カラープリンタ1は、本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2内には、ドロワユニット3が装着されている。本体ケーシング2の前面には、フロントカバー4が開閉可能に設けられている。そして、ドロワユニット3は、フロントカバー4を開けた状態で、本体ケーシング2内の収容位置(図1に示される位置)と本体ケーシング2外の引出位置(図示せず)との間で水平方向に移動させることができる。
【0014】
なお、フロントカバー4が設けられている側(図1における右側)をカラープリンタ1の前側(正面側)とする。また、カラープリンタ1の上下左右に関しては、カラープリンタ1を前側から見たときを基準とする。また、ドロワユニット3については、特に言及がない限り、本体ケーシング2に装着された状態での方向を基準として説明する。
【0015】
ドロワユニット3は、平面視四角枠状のフレームの一例としてのドロワフレーム5を備えている。ドロワフレーム5は、左右方向に間隔を開けて対向する1対の側板と、1対の側板の各前端部間に架設されるフロントビーム6と、1対の側板の各後端部間に架設されるリヤビーム7とを備えている。
【0016】
ドロワフレーム5には、1対の側板間において、4つの感光体の一例としての感光ドラム8がそれぞれ左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に保持されている。4つの感光ドラム8は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色用として設けられ、前側からブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの順に前後方向に等間隔で並列に配置されている。
【0017】
また、ドロワフレーム5には、1対の側板間において、4つの帯電器9が保持されている。4つの帯電器9は、それぞれ感光ドラム8に対応して設けられ、その対応する感光ドラム8の後上方に配置されている。帯電器9は、たとえば、ワイヤおよびグリッドを備えるスコロトロン型帯電器である。
【0018】
ドロワユニット3は、ドロワフレーム5に対して着脱可能に構成された4つの現像カートリッジ10を備えている。4つの現像カートリッジ10は、それぞれ感光ドラム8に対応して設けられている。各現像カートリッジ10は、ドロワユニット3が引出位置に引き出された状態でドロワフレーム5の上方から装着され、感光ドラム8の前上方に配置される。
【0019】
各現像カートリッジ10は、現像筐体11と、現像筐体11に保持される現像剤担持体の一例としての現像ローラ12とを備えている。現像ローラ12は、左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられ、その表面(周面)の一部が現像筐体11から露出している。現像カートリッジ10がドロワフレーム5に装着された状態で、現像ローラ12の表面は、感光ドラム8の表面に前上方から接触する。
【0020】
本体ケーシング2内において、ドロワユニット3の上方には、各色に対応した4本のレーザビームを出射する露光器13が配置されている。
【0021】
感光ドラム8の回転に伴って、感光ドラム8の表面は、帯電器9からの放電によって一様に帯電された後、露光器13からのレーザビームにより選択的に露光される。この露光によって、感光ドラム8の表面から電荷が選択的に除去され、感光ドラム8の表面に静電潜像が形成される。静電潜像が現像ローラ12に対向すると、現像ローラ12から静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光ドラム8の表面にトナー像が担持される。
【0022】
なお、露光器13に代えて、4つのLEDアレイが各感光ドラム8に対応して設けられてもよい。
【0023】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット14が配置されている。給紙カセット14に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト15上に搬送される。搬送ベルト15は、4つの感光ドラム8に下方から対向して配置されている。感光ドラム8に対して搬送ベルト15の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ16が配置されている。搬送ベルト15上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト15の走行により、搬送ベルト15と各感光ドラム8との間を順次に通過する。そして、感光ドラム8の表面上のトナー像は、感光ドラム8と転写ローラ16との間で用紙Pと対向したときに、用紙Pに転写される。
【0024】
搬送ベルト15に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器17が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器17に搬送される。定着器17では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ18に排出される。
2.ドロワユニット
(1)カートリッジ案内部
ドロワユニット3のドロワフレーム5の各側板(図示せず)の内面には、図2,3A〜3Gに示されるように、ドロワフレーム5に対する4つの現像カートリッジ10の着脱を案内するためのカートリッジ案内部21が形成されている。より具体的には、各側板の内面には、ドロワフレーム5の内側に突出する突条(リブ状の壁)22が形成されている。突条22は、上方に開放される略U字状をなし、その突条22により区画される内側の部分により、カートリッジ案内部21が形成されている。
【0025】
突条22の下端部は、現像カートリッジ10がドロワフレーム5に装着された状態における感光ドラム8の回転中心と現像ローラ12の回転中心とを結ぶ直線と平行に延び、最下端で後上方に90°屈曲し、さらに前上方に90°屈曲して、当該直線と平行に延びている。すなわち、突状22の下端部は、角張ったC字状(コ字状)をなし、カートリッジ案内部21におけるそのC字状部分により形成される下端部は、感光ドラム8の回転中心と現像ローラ12の回転中心とを結ぶ直線と平行に延びている。また、カートリッジ案内部21の下端部の幅は、後述する軸カバー45の外径とほぼ同じにされている。
(2)押圧部材
また、ドロワフレーム5の各側板(図示せず)には、4つの現像カートリッジ10に対応して、それぞれ対応する現像カートリッジ10を押圧するための4つの押圧部材31が設けられている。押圧部材31は、側面視で中心角約60°の扇形から周面の一部を切り欠いた略扇形状の板状をなしている。より具体的には、押圧部材31は、側面視で半円弧状をなす半円弧面32と、半円弧面32の一端から延び、側面視でクランク形状をなすクランク状面33と、半円弧面32の他端から延び、側面視で略直線状をなす直線状面34と、クランク状面33および直線状面34に連続し、半円弧面32から離れる側に膨出する案内面の一例としての膨出面35とを有する形状に形成されている。
【0026】
各現像カートリッジ10の左右両側において、各現像カートリッジ10の前上端部と対向する位置には、左右方向に延びる支持軸36が設けられている。各支持軸36は、ドロワフレーム5の側板に回転不能に保持されている。
【0027】
そして、押圧部材31における半円弧面32の中心をなす部分に支持軸36の先端部が相対回転可能に挿通されることにより、押圧部材31は、支持軸36により、支持軸36を支点として揺動(回動)可能に支持されている。押圧部材31は、図3Gに示されるように、現像カートリッジ10と非接触な状態で、クランク状面33が鉛直方向に対して少し後側に傾斜する方向に延びる姿勢をなすように設けられている。
【0028】
また、支持軸36には、図2に示されるように、線ばね37が巻回されている。線ばね37の一端部は、支持軸36から下方に延び、ドロワフレーム5の側板に固定されている。線ばね37の他端部は、押圧部材31に固定されている。この線ばね37により、押圧部材31は、右側から見て時計回りに付勢されている。
【0029】
押圧部材31の直線状面34は、側面視において、途中部で90°屈曲して、後下方に僅かに延び、後方へさらに屈曲して、膨出面35に向かって延びている。これにより、直線状面34の膨出面35側の端部には、側面視直角三角形状をなす規制部38が形成されている。直線状面34の規制部38が形成されている部分以外の部分は、次に述べる被押圧部の一例としての被押圧ボス41を押圧するための押圧部39とされている。
3.現像カートリッジ
現像カートリッジ10の現像筐体11は、側面視で下端部が狭まった略三角形状をなしている。現像筐体11の左右両側面の前上端部には、被押圧ボス41が外側に向けて突設されている。被押圧ボス41は、略円柱状をなしている。被押圧ボス41における押圧部材31の規制部38と対向する部分には、後下方に窪む側面視L字状の切欠42が形成されている。これにより、被押圧ボス41は、図4に示されるように、切欠42内に、上下方向(鉛直方向)に対してやや前側に傾斜する第2被押圧部の一例としての第1平面42Aと、第1平面42Aに対して直交し、水平方向に対してやや後上がりに傾斜する第2平面42Bとを有している。
【0030】
現像ローラ12は、現像筐体11の下端部に保持されている。具体的には、現像ローラ12は、左右方向に延びる軸線を中心とする円柱状のローラ本体43と、ローラ本体43にその中心軸線に沿って挿通される現像ローラ軸44とを有している。現像ローラ軸44の両端部は、それぞれローラ本体43の左右両端面から突出し、現像筐体11の左右両側面を貫通して、現像筐体11に回転可能に保持されている。現像ローラ軸44における現像筐体11から突出する部分には、円筒状の軸カバー45が取り付けられている。
4.現像カートリッジの着脱
ドロワフレーム5に対する現像カートリッジ10の装着時には、ドロワフレーム5(ドロワユニット3)が本体ケーシング2外の引出位置に引き出される。そして、ドロワフレーム5の上方に現像カートリッジ10が配置され、現像ローラ12を下方に向けた姿勢で、現像カートリッジ10が感光ドラム8に向けて移動される。この移動の途中で、現像ローラ軸44の両端部の軸カバー45がカートリッジ案内部21内に上方から差し入れられる。その後、現像カートリッジ10の移動に伴って、軸カバー45がカートリッジ案内部21に案内され、現像ローラ12が感光ドラム8に近づく方向に移動する。そして、軸カバー45がカートリッジ案内部21の下端部に達すると、現像カートリッジ10の感光ドラム8に向かう方向へのそれ以上の移動が規制される。
【0031】
この状態において、現像カートリッジ10の被押圧ボス41は、図3Aに示されるように、押圧部材31の膨出面35の下端部に当接する。
【0032】
その後、現像カートリッジ10の上端部が前方に押される。これにより、被押圧ボス41は、膨出面35に摺擦しつつ直線状面34に向かって移動する。そして、被押圧ボス41は、図3Bに示されるように、膨出面35上から直線状面34の下方に潜り込み、押圧部材31を上方に押し上げる。
【0033】
さらに、被押圧ボス41は、直線状面34に摺擦しつつ半円弧面32に向かって移動し、規制部38を乗り越えて、図3Cに示されるように、規制部38に対して僅かに離間する位置まで移動する。そして、現像筐体11がドロワフレーム5に設けられた支持部101に後側から当接し、現像カートリッジ10のそれ以上の傾動が阻止されると、ドロワフレーム5に対する現像カートリッジ10の装着が完了する。この状態で、押圧部材31の押圧部39が被押圧ボス41に前上方から当接し、被押圧ボス41は、押圧部39により、現像ローラ12が感光ドラム8に押圧される方向とほぼ平行をなす方向に付勢される。このときの現像カートリッジ10の姿勢が、押圧姿勢の一例である。
【0034】
ドラムフレーム5に対する現像カートリッジ10の装着後、ドロワフレーム5は、本体ケーシング2内の収容位置に移動される。このとき、ドロワフレーム5が勢いよく移動されると、ドロワフレーム5の移動が収容位置で阻止された時の衝撃により、現像カートリッジ10の上端部に後方に向かう力が作用する場合がある。
【0035】
このような力が現像カートリッジ10の上端部に作用すると、現像カートリッジ10が後方に傾動する。これにより、被押圧ボス41が押圧部39に摺擦しつつ規制部38に向かって移動する。被押圧ボス41が規制部38に当接する位置まで移動すると、図3Dに示されるように、規制部38が被押圧ボス41の切欠42内に入り込む。そして、規制部38と被押圧ボス41の第1平面42Aとが当接する。
【0036】
このとき、図4に示されるように、規制部38と第1平面42Aとの当接部分を通って被押圧ボス41の移動方向である解除方向に延びる直線L1と、当該当接部分で規制部38および第1平面42Aに接する接線L2とは、右側から見たときに、直線L1に対して押圧部39により被押圧ボス41が押圧される方向の下流側において鋭角をなすように交差する。また、接線L2と、規制部38と第1平面42Aとの当接部分および支持軸36の中心を通る直線L3とは、直線L3に対して押圧部39により被押圧ボス41が押圧される方向の下流側において鋭角をなすように交差する。
【0037】
そのため、規制部38と被押圧ボス41の第1平面42Aとが当接した後、被押圧ボス41から規制部38が受ける力は、図3Dに矢印で示されるように、押圧部39が被押圧ボス41を押圧する方向の力に変換される。その結果、被押圧ボス41の解除方向への移動が規制され、被押圧ボス41が規制部38を乗り越えて、直線状面34から離れることが防止される。
【0038】
ドロワフレーム5に対する現像カートリッジ10の離脱時には、ドロワフレーム5(ドロワユニット3)が本体ケーシング2外の引出位置に引き出される。そして、図3Eに示されるように、押圧部材31が指で線ばね37による右側から見て時計回り方向への付勢力に抗して前方に回動され、押圧部39が被押圧ボス41から離間される。このとき、規制部38は、被押圧ボス41が解除方向へ移動するときの軌跡から退避する。
【0039】
その後、押圧部材31の姿勢を保持したまま、現像カートリッジ10の上端部が後方に押される。これにより、図3Fに示されるように、被押圧ボス41が押圧部材31の後方に位置すると、現像カートリッジ10が解除姿勢となる。現像カートリッジ10が解除姿勢になると、図3Gに示されるように、現像カートリッジ10が上方に引き上げられ、ドロワフレーム5からの現像カートリッジ10の離脱が達成される。
5.作用効果
(1)作用効果1
以上のように、現像カートリッジ10は、被押圧ボス41および現像ローラ12を備え、感光ドラム8を保持するドロワフレーム5に装着された状態において、被押圧ボス41が押圧部材31に押圧される押圧姿勢と押圧部材31からの押圧が解除される解除姿勢との間で変位可能である。押圧部材31は、ドロワフレーム5に設けられており、押圧部39および規制部38を有している。押圧部39は、現像カートリッジ10が押圧姿勢をなす状態で、被押圧ボス41に接触して、被押圧ボス41を押圧する。規制部38は、押圧部39とは異なる位置に設けられ、現像カートリッジ10が押圧姿勢をなす状態で、現像カートリッジ10が押圧姿勢から解除姿勢に変位するときの被押圧ボス41の移動方向である解除方向への被押圧ボス41の移動を規制する。
【0040】
規制部38が被押圧ボス41の解除方向への移動を規制することにより、現像カートリッジ10がドロワフレーム5から不用意に外れることを防止できる。規制部38は、押圧部材31から独立して設けられるのではなく、押圧部材31に備えられている。よって、簡素な構成により、現像カートリッジ10がドロワフレーム5から不用意に外れることを防止できる。
(2)作用効果2
押圧部39および規制部38は、解除方向にこの順で並んでいる。すなわち、解除方向において、押圧部39が相対的に上流側に配置され、規制部38が相対的に下流側に配置されている。そのため、被押圧ボス41が押圧部39に押圧されている状態から解除方向に移動したときに、その移動を規制部38によって確実に規制することができる。その結果、現像カートリッジ10がドロワフレーム5から不用意に外れることを良好に防止することができる。
(3)作用効果3
また、被押圧ボス41が解除方向に移動すると、被押圧ボス41が規制部38に当接して、被押圧ボス41の移動が規制される。その当接後に被押圧ボス41から規制部38に与えられる力は、押圧部39が被押圧ボス41を押圧する方向の押圧力に変換される。
【0041】
カラープリンタ1では、被押圧ボス41が規制部38に当接したときに、その当接部分を通って解除方向に延びる直線L1と当該当接部分で規制部38および被押圧ボス41に接する接線L2とは、当該直線に対して押圧部39により被押圧ボス41が押圧される方向の下流側において鋭角をなす。これにより、被押圧ボス41が規制部38に当接した後に被押圧ボス41から規制部38に与えられる力が押圧力に確実に変換される。
【0042】
その結果、押圧部39が被押圧ボス41を押圧する力が増すので、被押圧ボス41の移動がより確実に規制される。よって、現像カートリッジ10がドロワフレーム5から不用意に外れることを一層良好に防止することができる。
(4)作用効果4
規制部38は、現像カートリッジ10が押圧姿勢をなす状態で、被押圧ボス41から離間可能な位置に設けられている。これにより、現像カートリッジ10が押圧姿勢をなす状態において、規制部38は、通常、被押圧ボス41から離間している。そのため、規制部38が押圧部39による被押圧ボス41の押圧に影響を及ぼすおそれがなく、押圧部39による被押圧ボス41の良好な押圧を確保することができる。
(5)作用効果5
被押圧ボス41は、第1被押圧部の一例としての周面および第1平面42Aを含む。被押圧ボス41の周面は、押圧部39から力を受ける。第1平面42Aは、規制部38との当接後に規制部38から力を受ける。被押圧ボス41には、解除方向と反対側に窪むように切欠42が形成されており、第1平面42Aは、被押圧ボス41における切欠42に臨む面である。被押圧ボス41における押圧部39から力を受ける周面と規制部38から力を受ける第1平面42Aとが異なるので、押圧部39および規制部38を個別に設計することができ、押圧部材31の設計の自由度を増すことができる。
(6)作用効果6
押圧部材31は、ドロワフレーム5に設けられた支持軸36に回動可能に支持されて、押圧部材31により現像カートリッジ10に向けて付勢されている。このような簡素な構成により、押圧部材31の押圧部39による被押圧ボス41による押圧を達成することができる。
(7)作用効果7
被押圧ボス41が規制部38に当接したとき、右側から見て、その当接部分で規制部38および被押圧ボス41に接する接線L2と支持軸36の中心線および当接部分を結ぶ直線L3とのなす角度が鋭角となる。これにより、被押圧ボス41が規制部38に当接したときに、押圧部39が被押圧ボス41から離間する方向に押圧部材31が回動することを防止でき、被押圧ボス41の移動を規制部38により良好に規制することができる。
(8)作用効果8
押圧部材31は、膨出面35を有している。この膨出面35は、押圧部39と非接触状態の被押圧ボス41を押圧部39と接触する位置に案内するための案内面の機能をなす。したがって、現像カートリッジ10がドロワフレーム5に装着されるときに、膨出面35により、被押圧ボス41を押圧部39と接触する位置に案内することができる。そのため、被押圧ボス41を押圧部39と接触する位置に容易に配置することができる。
6.変形例
(1)第1変形例
押圧部材31および被押圧ボス41は、図4に示される構成に限らない。
【0043】
図4に示される押圧部材31に形成されている規制部38に代えて、たとえば、図5に示されるように、直線状面34の膨出面35側の端部に、規制部38よりも小さい突起状の規制部51が形成されてもよい。また、図5に示されるように、被押圧ボス41には、切欠42が形成されていなくてもよい。
【0044】
ドラムフレーム5に対する現像カートリッジ10の装着後、現像カートリッジ10の上端部に後方に向かう力が作用すると、被押圧ボス41が押圧部39に摺擦しつつ規制部51に向かって移動する。被押圧ボス41が規制部51に当接する位置まで移動すると、図6に示されるように、規制部51に被押圧ボス41が当接する。このとき、規制部51と被押圧ボス41との当接部分を通って被押圧ボス41の移動方向である解除方向に延びる直線L1と、当該当接部分で規制部51および被押圧ボス41に接する接線L2とは、直線L1に対して押圧部39により被押圧ボス41が押圧される方向の下流側において鋭角をなすように交差する。また、接線L2と、規制部51と被押圧ボス41との当接部分および支持軸36の中心を通る直線L3とは、直線L3に対して押圧部39により被押圧ボス41が押圧される方向の下流側において鋭角をなすように交差する。
【0045】
そのため、規制部51と被押圧ボス41とが当接した後、被押圧ボス41から規制部51が受ける力は、押圧部39が被押圧ボス41を押圧する方向の力に変換される。その結果、被押圧ボス41の解除方向への移動が規制され、被押圧ボス41が規制部51を乗り越えて、直線状面34から離れることが防止される。
(2)第2変形例
また、図7に示されるように、直線状面34の膨出面35側の端部に、図4に示される規制部38よりも小さく、前方に向く面が押圧部39(直線状面34)に対して鋭角をなす爪状の規制部61が形成されてもよい。
【0046】
この場合、被押圧ボス41の周面には、突起62が形成される。突起62は、被押圧ボス41が後方に向けて移動したときに、押圧部39と規制部61とがなす角部に当接する。これにより、その当接後に突起62から規制部61に与えられる力により、押圧部材31が右側から見て時計回りに回動し、その結果、押圧部39が被押圧ボス41を押圧する方向の力が増す。
【0047】
よって、この構成においても、前述した作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
(3)第3変形例
また、押圧部材31に規制部61が形成される場合、図8に示されるように、被押圧ボス41が平面視略涙形状に形成されて、被押圧ボス41が後方に向けて移動したときに、その側面視で尖った先端部71が押圧部39と規制部61とがなす角部に当接する構成が採用されてもよい。
【0048】
この構成においても、被押圧ボス41に突起62(図7参照)が形成された構成と同様の作用効果を奏することができる。
(4)第4変形例
側面視略扇形状の押圧部材31に代えて、図9に示される形状の押圧部材81が採用されてもよい。この押圧部材81は、支持軸36から後方に延びるアーム状をなしている。具体的には、押圧部81は、基端部が支持軸36に回動可能に支持され、後上方に少し延び、屈曲して後方に延びる押圧部82と、本体部82の先端部の下方に形成され、側面視四角形状の規制部83とを一体的に備えている。支持軸36と被押圧ボス41とは、前後方向に対向している。また、規制部83の前方に向いた面は、押圧部81が被押圧ボス41を押圧する状態で上下方向に延びている。
【0049】
この構成によれば、被押圧ボス41が後方に向けて移動したときに、被押圧ボス41が規制部83に当接し、その移動が阻止される。このとき、被押圧ボス41から規制部83には、押圧部材81を回動させる力が付与されないので、現像カートリッジ10がドロワフレーム5から不用意に外れることを防止できる。
(5)第5変形例
側面視略扇形状の押圧部材31に代えて、図10に示される形状の押圧部材91が採用されてもよい。この押圧部材91は、支持軸36から後方に延びるアーム状をなしている。具体的には、押圧部91は、基端部が支持軸36に回動可能に支持され、後上方に少し延び、屈曲して後方に延びる押圧部92と、本体部92の先端部の下方に形成され、側面視台形状の規制部93とを一体的に備えている。支持軸36と被押圧ボス41とは、前後方向に対向している。また、規制部93の前方に向いた面は、押圧部81が被押圧ボス41を押圧する状態で前下がりに傾斜している。
【0050】
この構成によれば、被押圧ボス41が後方に向けて移動したときに、被押圧ボス41が規制部93に当接し、その移動が阻止される。このとき、被押圧ボス41から規制部93に後下方に向かう力が付与される。したがって、押圧部材31が右側から見て時計回りに回動し、その結果、押圧部39が被押圧ボス41を押圧する方向の力が増す。よって、図9に示される押圧部材81と比較して、現像カートリッジ10がドロワフレーム5から不用意に外れることを確実に防止できる。
【0051】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。たとえば、本実施形態では、複数の現像カートリッジ10を着脱可能に備えるドロワフレーム5に押圧部39を設けたが、本発明は、モノクロタイプのドラムカートリッジに対して適用されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
5 ドロワフレーム
8 感光ドラム
10 現像カートリッジ
12 現像ローラ
31 押圧部材
35 膨出面
36 支持軸
38 規制部
39 押圧部
41 被押圧ボス
42A 第1平面
42 切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに保持される感光体と、
前記フレームに対して着脱可能に構成された現像カートリッジと、
前記フレームに設けられた押圧部材とを含み、
前記現像カートリッジは、
被押圧部と、
前記感光体の表面に供給するための現像剤を担持する現像剤担持体とを備え、
前記フレームに装着された状態において、前記被押圧部が前記押圧部材により押圧される押圧姿勢と、前記押圧部材による前記被押圧部の押圧が解除される解除姿勢との間で変位可能であり、
前記押圧部材は、
前記現像カートリッジが前記押圧姿勢をなす状態で、前記被押圧部に接触して、前記被押圧部を押圧する押圧部と、
前記押圧部とは異なる位置に設けられ、前記現像カートリッジが前記押圧姿勢をなす状態で、前記現像カートリッジが前記押圧姿勢から前記解除姿勢に変位するときの前記被押圧部の移動方向である解除方向への前記被押圧部の移動を規制する規制部とを備える、プロセスユニット。
【請求項2】
前記押圧部と前記規制部とが、前記解除方向に並んでいる、請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記規制部は、前記解除方向に移動する前記被押圧部が当接し、その当接後に前記被押圧部から受ける力を前記押圧部が前記被押圧部を押圧する方向の力に変換するように形成されている、請求項1または2に記載のプロセスユニット。
【請求項4】
前記規制部は、前記被押圧部が前記規制部に当接したときに、その当接部分を通って前記解除方向に延びる直線と当該当接部分で前記規制部および前記被押圧部に接する接線とが前記直線に対して前記押圧部により前記被押圧部が押圧される方向の下流側でなす角度が、鋭角となるように形成されている、請求項3に記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記規制部は、前記現像カートリッジが前記押圧姿勢をなす状態で、前記被押圧部から離間可能な位置に設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセスユニット。
【請求項6】
前記被押圧部は、前記押圧部から力を受ける第1被押圧部と、前記規制部との当接後に前記規制部から力を受ける第2被押圧部とを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセスユニット。
【請求項7】
前記被押圧部には、前記解除方向と反対側に窪むように切欠が形成されており、
前記第2被押圧部は、前記被押圧部における前記切欠に臨む面である、請求項6に記載のプロセスユニット。
【請求項8】
前記フレームに設けられ、前記押圧部材を回動可能に支持する支持軸と、
前記押圧部材を前記現像カートリッジに向けて付勢するための付勢部材とを備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセスユニット。
【請求項9】
前記押圧部材は、前記被押圧部が前記規制部に当接したときに、その当接部分で前記規制部および前記被押圧部に接する接線と前記支持軸の中心線および前記当接部分を結ぶ直線とのなす角度が、鋭角となるように設けられている、請求項8に記載のプロセスユニット。
【請求項10】
前記押圧部材は、前記押圧部と非接触状態の被押圧部を前記押圧部と接触する位置に案内するための案内面を有している、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−248295(P2011−248295A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124277(P2010−124277)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】