説明

プロセスユニット

【課題】回転モーメントが大きくなった場合でも良好な画像形成ができるようにする。
【解決手段】プロセスカートリッジ30は、感光ドラム32を支持した感光体カートリッジ30Aと、現像ローラ36を支持した現像剤カートリッジ30Bとを備え、現像剤カートリッジ30Bが、一側部に設けたカップリングジョイント301と、他側部にカップリングジョイント301と同軸に設けられた支持穴302とにより、感光体カートリッジ30Aに揺動可能に支持されている。現像ローラ36の回転中心Xを、感光ドラム32の回転中心Yとカップリングジョイント301の回転中心Zとを結ぶ線Lよりも、カップリングジョイント301の回転方向における上流側に位置させて、カップリングジョイント301に入力された回転力で、現像ローラ36を感光ドラム32に押圧するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光ドラムが支持されるドラムフレームと現像ローラが支持される現像フレームとを備えるプロセスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置に対して着脱自在に装着されるプロセスユニットとして、例えば特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1に開示されたプロセスユニットは、感光ドラムが回転可能に支持された感光体カートリッジに、現像ローラが回転可能に支持された現像カートリッジを装着して構成され、現像カートリッジの長手方向の一端に設けられたカップリングジョイント(現像カップリング)が、画像形成装置側から入力される回転力を現像ローラに伝達して、現像ローラを回転駆動させるようにしている。そして、現像ローラの外周面が感光ドラムの外周面に一様に当接するように、現像カートリッジは、押圧機構により感光ドラムへ向けて押圧されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−127995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カップリングジョイントに回転力を入力して現像ローラを回転駆動させると、カップリングジョイントを回転中心とした回転トルクが現像カートリッジに作用する。この回転トルクが小さいうちは、画像形成に影響を与えることがない。しかし、印字の高速化により現像ローラの回転トルクが高くなると、現像カートリッジに作用する回転トルクも大きくなる。そして、現像カートリッジは感光ドラムに対して固定されていないので、カップリングジョイントから入力された回転駆動力によって現像カートリッジが振動する。その結果、駆動入力を受ける一端の周囲において現像ローラと感光ドラムとの押圧力は安定せず、押圧力が過剰になることによりカブリ(印字すべきでない部分の汚れ)や、用紙の幅方向の縁部における濃度ムラなどが、画像品質に悪影響を与えることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、現像カートリッジに発生する回転トルクが大きくなった場合でも、感光ドラムと現像ローラの押圧力を安定させて良好な画像形成ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、感光ドラムと、当該感光ドラムを支持したドラムフレームと、前記感光ドラムと当接する現像ローラと、当該現像ローラを支持し、前記ドラムフレームに揺動可能に支持された現像フレームとを備えるプロセスユニットであって、前記現像フレームは、前記現像ローラの回転軸方向における一側部に設けられて、外部の駆動入力部が前記回転軸方向に係脱可能とされるとともに、入力された回転力を前記現像ローラに伝達するカップリングジョイントと、前記回転軸方向における他側部に前記カップリングジョイントと同軸に設けられた支持部とにより、前記ドラムフレームに揺動可能に支持されており、前記回転軸方向から見た場合における前記現像ローラの回転中心を、前記感光ドラムの回転中心と前記カップリングジョイントの回転中心とを結ぶ線よりも、前記カップリングジョイントの回転方向における上流側に位置させて、前記カップリングジョイントに入力された回転力により前記現像ローラを前記感光ドラムに押圧させる構成としたことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、カップリングジョイントに回転力が入力されると、現像フレームをカップリングジョイントの回転軸周りに回転させる回転モーメントが作用し、この回転モーメントは、現像ローラを感光ドラムへ向けて押圧する力として作用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像ローラの回転トルクが高くなっても、現像ローラは感光ドラムに安定して押圧されるので、良好な画像形成が可能となる。そして、この回転トルクは、カップリングジョイントから入力されるので、ギアを用いた場合には問題となるような、ギア同士が離れるような力は働かず、カップリングジョイントの回転中心回りの回転力のみを働かせることができる。
また、現像フレームの回転軸は、カップリングジョイントの回転中心回りの回転力のみを働かせることができる。すなわち、現像フレームの回転軸は、カップリングジョイントの回転軸と同軸にドラムフレームに支持されているので、カップリングジョイントから入力される回転駆動力により、現像フレームが振動することがない。さらに、現像フレームがカップリングジョイントと同軸に回転可能なので、回転モーメントは現像ローラの長手方向に分散して感光ドラムを押圧する。その結果、駆動入力時における感光体ドラムへの押圧力が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<レーザプリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は、本発明の実施形態に係るレーザプリンタの要部側断面図である。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0010】
本体ケーシング2の前側(以下の説明において、図1における右を前、左を後とする。)には、開閉自在なフロントカバー2Aが設けられており、フロントカバー2Aを開いたときにできる開口から、後述するプロセスカートリッジ30が着脱自在となっている。
【0011】
<フィーダ部の構成>
フィーダ部4は、本体ケーシング2に着脱自在に装着される給紙トレイ11と、給紙トレイ11から用紙3を画像形成部5へ搬送する用紙供給機構15とを備えている。用紙供給機構15は、公知の給紙ローラ、分離ローラ、分離パッドなど(符号省略)を有し、給紙トレイ11内の用紙3を一枚ずつ分離して上方の画像形成部5へ搬送する。
【0012】
<画像形成部の構成>
画像形成部5は、スキャナ部20、プロセスカートリッジ30、定着部40などを備えている。
【0013】
<スキャナ部の構成>
スキャナ部20は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず)、回転駆動されるポリゴンミラー21、レンズ22,23、反射鏡24,25などを備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示す経路を通って、プロセスカートリッジ30の感光ドラム32の表面上に高速走査にて照射される。
【0014】
<プロセスカートリッジの構成>
プロセスカートリッジ30は、スキャナ部20の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される構造となっている。このプロセスカートリッジ30は、感光ドラム32を支持した感光体カートリッジ30Aと、内部に現像剤としてのトナーを収容した現像剤カートリッジ30Bとからなる。
【0015】
感光体カートリッジ30Aは、外枠を構成するドラムフレーム31と、ドラムフレーム31内に設けられる感光ドラム32、スコロトロン型帯電器33および転写ローラ34とを主に備えている。
【0016】
現像剤カートリッジ30Bは、現像剤を収容する現像剤収容室61を形成する現像フレームの一例としての現像剤ケース35に、現像ローラ36、供給ローラ38、層厚規制ブレード39およびアジテータ70を備えている。このうち、現像ローラ36、供給ローラ38およびアジテータ70は、現像剤ケース35に回転可能に支持されている。そして現像剤ケース35内のトナーTは、供給ローラ38の矢印方向(反時計方向)への回転により、現像ローラ36に供給され、このとき、供給ローラ38と現像ローラ36との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ36上に供給されたトナーTは、現像ローラ36の矢印方向(反時計方向)への回転に伴って、層厚規制のための層厚規制ブレード39と現像ローラ36との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ36上に担持される。
【0017】
感光ドラム32は、現像剤カートリッジ30Bと結合するドラムフレーム31に、矢印方向(時計方向)へ回転可能に支持されている。この感光ドラム32は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面部分が正帯電性の感光層により形成されている。
【0018】
スコロトロン型帯電器33は、感光ドラム32の上方に、感光ドラム32に接触しないように、所定間隔を隔てて対向して配置されている。このスコロトロン型帯電器33は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光ドラム32の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
【0019】
転写ローラ34は、感光ドラム32の下方において、この感光ドラム32に対向して接触するように配置され、ドラムフレーム31に、矢印方向(反時計方向)へ回転可能に支持されている。この転写ローラ34は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料が被覆されて構成されている。転写ローラ34には、転写時に、定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0020】
そして、感光ドラム32の表面は、スコロトロン型帯電器33により一様に正帯電された後、スキャナ部20からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。ここで、「静電潜像」とは、一様に正帯電されている感光ドラム32の表面のうち、レーザビームによって露光されて電位が下がっている露光部分をいう。次いで、現像ローラ36の回転により、現像ローラ36上に担持されているトナーTが、感光ドラム32に対向して接触するときに、感光ドラム32の表面上に形成される静電潜像に供給される。そして、トナーTは、感光ドラム32の表面上で選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像によりトナー像が形成される。
【0021】
その後、感光ドラム32と転写ローラ34とは、用紙3を両者間で挟持して搬送するように回転駆動され、感光ドラム32と転写ローラ34との間を用紙3が搬送されることにより、感光ドラム32の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0022】
<定着部の構成>
定着部40は、プロセスカートリッジ30の下流側に配設され、加熱ローラ41と、この加熱ローラ41に対向して配置され加熱ローラ41との間で用紙3を挟持する加圧ローラ42を備えている。そして、このように構成される定着部40では、用紙3上に転写されたトナーTを、用紙3が加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させ、その後、その用紙3を、排紙パス44に搬送するようにしている。排紙パス44に送られた用紙3は、排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙される。
【0023】
<プロセスカートリッジの構造の詳細>
次に、プロセスカートリッジ30の詳細について説明する。参照する図面において、図2はプロセスカートリッジ30の分解斜視図であり、図3はプロセスカートリッジ30の側面図である。また、図4は、現像剤カートリッジを上からみた断面図であり、図5は、現像剤カートリッジの側面に設けたギアカバーを外した状態を示す側面図である。
【0024】
図2に示すように、プロセスカートリッジ30は、感光ドラム32を回転可能に支持する感光体カートリッジ30Aと、現像ローラ36を回転可能に支持する現像剤カートリッジ30Bと、ドラムフレーム31の左側面に取り付けられる支持部材の一例としての支持板80と、右側面に取り付けられる支持板90と、から構成される。なお、本明細書において、右および左は、図2に示した方向とする。
【0025】
支持板80は、ネジ85によりドラムフレーム31の左側板31Aに固定されている。支持板80は、感光ドラム32の回転軸321を挿通して位置決めするドラム位置決め孔81と、後記する現像剤カートリッジ30Bのカップリングジョイント301が挿通されて、カップリングジョイント301を感光ドラム32の回転軸321から一定距離で位置決めするジョイント位置決め孔82とを有する。
ドラム位置決め孔81およびジョイント位置決め孔82は、共に支持板80を筒状にして形成されている。
【0026】
支持板90は、ネジ95によりドラムフレーム31の右側板31Bに固定されている。支持板90には、左右方向内側に突出する円柱状の突起91と、突起91の下方に貫通孔92が形成されている。突起91は、後述する現像剤ケース35の支持穴302に挿通されて、現像剤カートリッジ30Bをドラムフレーム31に揺動可能に支持するものである。支持板80および支持板90が共にドラムフレーム31に固定されると、ジョイント位置決め孔82の中心は、突起91の軸上に位置するようになっている。
貫通孔92は、ドラムフレーム31の右側板31Bに左右方向外側に突出した突起31Cと嵌合して、支持板90をドラムフレーム31に対して位置決めさせる機能を果たす。
【0027】
現像剤カートリッジ30Bでは、現像ローラ36の軸方向における一側に、外部の駆動入力部から回転力が入力されるカップリングジョイント301が設けられており、他側に支持板90の突起91が挿入される支持部の一例としての支持穴302が、カップリングジョイント301に対して同軸に設けられている。
【0028】
現像剤カートリッジ30Bは、突起91を支持穴302に挿入し、支持板80のジョイント位置決め孔82にカップリングジョイント301を挿通させて、さらに支持板80,90が感光体カートリッジ30Aに固定されることで支持されており、現像剤カートリッジ30Bは、カップリングジョイント301の回転中心周りに揺動可能とされている。
【0029】
図3に示すように、プロセスカートリッジ30の左側面では、カップリングジョイント301の端面が、支持板80のジョイント位置決め孔82内で露出しており、本体ケーシング2内においてカップリングジョイント301の回転軸方向に進退可能に設けられた駆動入力部(図示せず)が係脱可能とされている。
カップリングジョイント301にはギアカバー300の一部に形成された保護リング305が外嵌されており、カップリングジョイント301の摺動面を保護している。
また、ドラム位置決め孔81から突出する感光ドラム32の回転軸321には、スナップリング83が装着されて、感光ドラム32の軸方向の位置が規定されている。
【0030】
図4に示すように、カップリングジョイント301は、現像剤ケース35の側面のギアカバー300を貫通しており、伝達ギア304が左右方向内側の端部に設けられている。
伝達ギア304は、現像ローラ36の回転軸361に取り付けられた現像ローラギア362と噛合しており、カップリングジョイント301に入力された回転力を、伝達ギア304および現像ローラギア362を介して現像ローラ36に伝達し、現像ローラ36を回転駆動させる。
【0031】
さらに、図5に示すように、伝達ギア304は、供給ローラ38の回転軸381に取り付けられた供給ローラギア382に噛合すると共に、アジテータ70の回転軸701に取り付けられたアジテータギア702と噛合するアイドルギア703とも噛合しており、カップリングジョイント301に入力された回転力を、これらギア382、703、702を介して供給ローラ38およびアジテータ70に伝達し、供給ローラ38およびアジテータ70を回転駆動させる。
なお、感光ドラム32は、図4に示す、感光ドラム32の左側の端部に設けられたギヤ322において、外部の駆動力入力ギアと係合して、回転駆動力が与えられるようになっている。
【0032】
図4に示すように、現像ローラ36は、回転軸361の一端側(左側)を、現像剤ケース35に設けた軸受354に挿通し、他端側(右側)を、現像剤ケース35に設けた円筒形状の軸受351に挿通して、現像剤ケース35で支持されている。
ここで、右側の軸受351は、軸受部材350の一部として形成されている。軸受部材350は、支持板90の突起91を受け入れる支持穴302を構成する部材と、軸受351とを一体にしたもので、現像剤ケース35に対し、ネジ353によりネジ止めされて一体に固定されている。
【0033】
現像ローラ36の軸方向の両端部には、現像ローラ36と同軸の円筒状の樹脂からなる部品であり、感光体ドラム32の表面に接触し、感光体ドラム32の表面と現像ローラ36の中心軸との距離を規制することで、現像ローラ36の感光体ドラム32への押圧力の上限を規制する突き当てコロ363が設けられている。突き当てコロ363の外径は、現像ローラ36の外径よりも僅かに小さく、現像ローラ36が感光ドラム32に押圧されて所定量つぶれると、突き当てコロ363が感光ドラム32に当接して、現像ローラ36が所定量以上つぶれないようになっている。現像ローラ36の回転軸と感光ドラム32の表面との距離を一定にして、現像ローラ36の押圧力を一定にするためである。
【0034】
感光ドラム32は、回転軸321の一端側(左側)を、ドラムフレーム31に設けた支持板80のドラム位置決め孔81に挿通し、他端側(右側)をドラムフレーム31の右側板31B自体に設けた支持孔311に挿通して、ドラムフレーム31で支持されている。
現像ローラ36にトナーTを供給する供給ローラ38は、回転軸381の両端が現像剤ケース35で支持されている。
【0035】
本実施形態のプロセスカートリッジ30では、現像ローラ36の回転軸361と、感光ドラム32の回転軸321と、供給ローラ38の回転軸381とは、互いに平行に位置している。
【0036】
図6に示すように、現像剤カートリッジ30Bを現像ローラ36の回転軸方向から見た場合における、現像ローラ36の回転中心Xは、感光ドラム32の回転中心Yとカップリングジョイント301の回転中心Zとを結ぶ線Lよりも、カップリングジョイント301の回転方向における上流側(図中下側)に位置するように、感光ドラム32、現像ローラ36、カップリングジョイント301の位置関係が規定されている。
本実施形態では、感光体カートリッジ30Aに設けた支持板80および支持板90により、感光ドラム32の回転中心Yと、カップリングジョイント301の回転中心Zとの位置関係を規定することで、上記の感光ドラム32、現像ローラ36およびカップリングジョイント301の位置関係を満足するように構成している。
【0037】
以上のように構成されたプロセスカートリッジ30の作用効果について説明する。
図5に示すように、カップリングジョイント301が、駆動入力部から入力された回転力により、図中矢印で示す方向(時計方向)に回転させられると、カップリングジョイント301の回転に伴って、現像ローラ36は、図中矢印方向(反時計方向)に回転させられる。
この際、本実施形態では、現像剤として非磁性一成分のトナーTを用いており、層厚規制ブレード39を現像ローラ36に押し当てることでトナーTを摩擦帯電させていることから、現像ローラ36と層厚規制ブレード39との摩擦に起因して、現像ローラ36および供給ローラ38を回転させるには抵抗がかかる。この抵抗は、現像ローラ36と供給ローラ38を一体にしようとしているから、カップリングジョイント301を回転させようとすると、現像剤カートリッジ30B全体がカップリングジョイント301の回転中心周りに回転しようとする回転力を生じ、この回転力は、図6に示すように、現像ローラ36を、カップリングジョイント301の回転中心Z周りに旋回させる回転モーメントを与える。
【0038】
この回転モーメントを受けて、現像ローラ36の回転中心Xは、カップリングジョイント301の回転中心Z周りに旋回して、図中符号Fで示す軌跡上を、感光ドラム32の回転中心Yとカップリングジョイント301の回転中心Zを結ぶ線Lに向けて移動する。
この際、現像ローラ36は、旋回方向における下流側に位置する感光ドラム32を押圧しながら回転中心Z周りに旋回し、現像ローラ36が感光ドラム32に接する位置においては、図中符号f2で示す接線方向の力と、符号f1で示す感光ドラム32の中心方向に向かう押圧力を与える。
【0039】
ここで、現像ローラ36の軸方向における両端部には、樹脂からなる突き当てコロ363が設けられているので、現像ローラ36が所定量潰れた後は、感光ドラム32と突き当てコロ363が接触して、それ以上現像ローラ36が潰れるのを防止する。そのため、現像ローラ36が感光ドラム32に押圧される力は、軸方向の全体にわたって一定になる。
これにより、感光ドラム32の表面上に、軸方向の全体にわたって均一濃度のトナー像が形成されるので、押圧力のムラによるカブリなどの発生が防止されて、良好な画像形成が可能となる。
【0040】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
現像ローラ36を回転軸361方向から見た場合における現像ローラ36の回転中心Xを、感光ドラム32の回転中心Yとカップリングジョイント301の回転中心Zとを結ぶ線Lよりも、カップリングジョイント301の回転方向における上流側に位置させている。そして、カップリングジョイント301に入力された回転力で、現像ローラ36がカップリングジョイント301の回転中心Z周りに旋回して、感光ドラム32に押圧されるようにしたので、カップリングジョイント301に入力される回転力で、現像ローラ36を感光ドラム32に長手方向において均一に接触させることができる。現像ローラ36の回転が層厚規制ブレード39により抵抗を受ける本実施形態では、このような効果は、現像ローラ36の回転速度を上げたときに特に顕著である。すなわち、非磁性一成分のトナーTを用いる場合には、本発明は特に有効である。
【0041】
これにより、押圧力のムラによるカブリの発生や、用紙3の縁に現れる波状の濃度ムラの発生を防止できるので、良好な画像形成が可能となる。また、カップリングジョイント301に入力された回転力により生じたカップリングジョイント301の回転中心Z周りの回転モーメントを積極的に利用しながら、画像形成を行うことができる。
【0042】
なお、現像ローラ36を感光ドラム32に押圧させるのに入力される駆動力は、カップリングジョイント301から入力されるので、現像剤ケース35に、カップリングジョイント301の軸回りに回転させるモーメントのみを与えることができる。すなわち、カップリングジョイント301ではなく、仮にギアに駆動力が入力される場合には、当該ギヤは、駆動力を与える他のギヤから逃げるような力が与えられ、この力により現像剤ケース35の回転モーメントは安定しない。しかし、本実施形態では、駆動力を入力する部材が軸方向に係脱するカップリングジョイント301が採用されているので、カップリングジョイント301回りの回転モーメントのみを得ることができる。
【0043】
そして、現像剤ケース35は、同軸上に配置されたカップリングジョイント301と支持穴302とによりドラムフレーム31に揺動可能に支持されているので、カップリングジョイント301から入力される回転駆動力により、現像剤ケース35が振動することがない。また、現像剤ケース35がカップリングジョイント301と同軸に回転可能なので、回転モーメントは現像ローラ36の長手方向に分散して感光ドラムを押圧する。その結果、駆動入力時における感光体ドラムへの押圧力が安定する。さらに、カップリングジョイント301の回転軸と、ドラムフレーム31に対する現像剤ケース35の揺動軸が一致しているので、カップリングジョイント301からの駆動力の入力により、現像剤フレーム35を曲げる力が働かない。
【0044】
また、カップリングジョイント301が、感光ドラム32の回転軸321を位置決めするドラム位置決め孔81と、カップリングジョイント301が挿通されて、カップリングジョイント301を感光ドラム32の回転軸321から一定距離で位置決めするジョイント位置決め孔82とが形成された支持板80を介して支持されている構成とした。
これにより、感光ドラム32の回転中心Yと、カップリングジョイント301の回転中心Zとの位置関係が正確に決まり、カップリングジョイント301から回転力が伝達される現像ローラ36の回転軸361と、感光ドラム32の回転軸321との位置関係もまた正確に規定されるので、現像ローラ36を感光ドラム32に確実に接触させることができる位置に配置できる。
【0045】
さらに、カップリングジョイント301は、ジョイント位置決め孔82において、保護リング305を介して支持されていること構成とした。
これにより、ジョイント位置決め孔82内で摺動するカップリングジョイント301の摩耗を防止できる。
【0046】
また、現像ローラ36の軸方向両端部には、現像ローラ36による感光ドラム32の押圧力を調整する突き当てコロ363が設けられている構成とした。
これにより、現像ローラ36と感光ドラム32の軸間距離を一定にして、現像ローラ36の感光ドラム32への押圧力を一定にすることができる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、支持板80および支持板90を、それぞれドラムフレーム31の左側と、右側に設けて、これらの支持板80,90により現像剤ケース35を支持させたが、ドラムフレーム31の左側と右側の一方または双方において、ドラムフレーム31の左側板31Aまたは右側板31B自体により現像剤ケース35を支持させてもよい。
【0048】
また、現像剤カートリッジ30Bは、現像ローラ36の軸方向における他側部に設けた支持穴302に、感光体カートリッジ30Aに固定される支持板90の突起91が挿入されて支持される構成としたが、支持穴302の代わりに突起を設け、かかる突起を、感光体カートリッジ30Aに設けた支持穴に挿入して、支持させるようにしてもよい。
【0049】
さらに、前記実施形態では、現像剤カートリッジ30Bが、一側部に設けたカップリングジョイント301と、他側部にカップリングジョイント301と同軸に設けられた支持穴302とにより、感光体カートリッジ30Aに揺動可能に支持されるようにしたが、
図7に示すように、カップリングジョイント301と支持穴302とは、接続部材で接続されていてもよい。図7に示すプロセスカートリッジ30′では、カップリングジョイント301の内側に係合したオーガ306が設けられ、オーガ306は、現像剤カートリッジ30Bの右側壁を貫通している。すなわち、図7の形態では、軸受部材350は、現像ローラ36の軸受351の他に、オーガ306の軸受352も一体で設けられ、現像剤ケース35に固定されている。
【0050】
前記実施形態のように、接続部材が無い場合には、カップリングジョイント301から入力された回転力は、現像剤ケース35をねじるように作用するが、このように接続部材を設けることで、回転力は、左側から右側まで接続部材を介して伝わるので、現像剤ケース35のねじりが抑制される。また、この形態では、接続部材が現像剤収容室61に配置されたオーガ306であるので、カップリングジョイント301の回転により、現像剤収容室61内のトナーTを攪拌することができる。なお、この形態において、接続部材は、必ずしも現像剤ケース35内を貫通する必要はなく、現像剤ケース35の外に露出していても構わない。
【0051】
前記実施形態においては、カップリングジョイント301は、保護リング305を介して支持板80に支持されていたが、保護リング305は必須ではなく、カップリングジョイント301が直接支持板80のドラム位置決め孔81に支持されていてもよい。
【0052】
前記実施形態においては、支持部材の一例として、板状の支持板90を例示したが、支持部材は、支持部材は、カップリングジョイント301および感光体ドラム32の軸方向からドラムフレーム31に固定され、カップリングジョイント301および感光体ドラム32に係合可能であり、感光体ドラム32の軸とカップリングジョイント301の軸間距離を規定して、そのために十分な強度があれば、任意に構成することができる。例えば、板状に限らず、図8(a)、(b)に示すように、カップリングジョイントの支持孔191を形成する部分と、感光体ドラム32を支持する支持孔192を形成する部分とを棒状の部材193で連結した支持ロッド190のような形態とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザプリンタの要部側断面図である。
【図2】プロセスカートリッジの分解斜視図である。
【図3】プロセスカートリッジの側面図である。
【図4】現像剤カートリッジを上からみた断面図である。
【図5】現像剤カートリッジの側面に設けたギアカバーを外した状態を示す側面図である。
【図6】現像ローラの配置を説明する図である。
【図7】変形例に係るプロセスカートリッジを上から見た断面図である。
【図8】(a)支持部材の他の例を示す正面図と、(b)(a)のX−X線断面図である。
【符号の説明】
【0054】
30 プロセスカートリッジ
30A 感光体カートリッジ
30B 現像剤カートリッジ
31 ドラムフレーム
32 感光ドラム
35 現像剤ケース(現像フレーム)
36 現像ローラ
38 供給ローラ
80 支持板
81 ドラム位置決め孔
82 ジョイント位置決め孔
90 支持板
91 突起
301 カップリングジョイント
302 支持穴
305 保護リング
306 オーガ
363 突き当てコロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムと、
前記感光ドラムを支持したドラムフレームと、
前記感光ドラムと当接する現像ローラと、
前記現像ローラを支持し、前記ドラムフレームに揺動可能に支持された現像フレームと、
前記現像フレームにおける前記現像ローラの回転軸方向の一方側に設けられるとともに、外部の駆動入力部が前記回転軸方向に係脱可能とされるとともに、入力された回転力を前記現像ローラに伝達するカップリングジョイントと、
前記現像フレームにおける前記回転軸方向の他方側に設けられ、前記カップリングジョイントの回転軸線と同軸に設けられた支持部と、
前記現像フレームの揺動中心と同軸に配置され、前記現像フレーム内の現像剤を攪拌する攪拌部材と、
を備え、
前記現像フレームは、
前記カップリングジョイントおよび前記支持部により、前記ドラムフレームに揺動可能に支持されており、
前記回転軸方向から見た場合における前記現像ローラの回転中心は、
前記感光ドラムの回転中心と前記カップリングジョイントの回転中心とを結ぶ線よりも、前記カップリングジョイントの回転方向における上流側に位置することを特徴とするプロセスユニット。
【請求項2】
前記カップリングジョイントは、前記ドラムフレームに設けた第1支持部材に支持されることにより、前記現像フレームが前記ドラムフレームに揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記第1支持部材は、ネジにより前記ドラムフレームに固定されることを特徴とする請求項2に記載のプロセスユニット。
【請求項4】
前記第1支持部材には、前記感光ドラムの回転軸を位置決めするドラム位置決め孔と、前記カップリングジョイントが挿通されて、前記カップリングジョイントを前記感光ドラムの回転軸から一定距離で位置決めするジョイント位置決め孔とが形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記カップリングジョイントは、前記ジョイント位置決め孔において、保護部材を介して支持されていることを特徴とする請求項4に記載のプロセスユニット。
【請求項6】
前記支持部は、
前記支持部と係合する係合部が形成された第2支持部材に支持されることにより、前記現像フレームが前記ドラムフレームに揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項7】
前記第2支持部材は、
前記ドラムフレームに前記第2支持部材を位置決めするための位置決め孔を有することを特徴とする請求項6に記載のプロセスユニット。
【請求項8】
前記現像ローラの軸方向両端部に前記現像ローラと同軸に設けられ、前記現像ローラと前記感光ドラムの互いの押圧力を規定する突き当てコロが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項9】
前記支持部は、前記現像フレームに設けられた支持穴であり、前記ドラムフレームに設けた突起が前記支持穴に挿通されることで、前記現像フレームが前記ドラムフレームに支持されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項10】
前記現像ローラの軸受けと、前記支持穴を構成する部材とは一体に形成されたことを特徴とする請求項9に記載のプロセスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−65181(P2011−65181A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262092(P2010−262092)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【分割の表示】特願2008−58093(P2008−58093)の分割
【原出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】