説明

モータ制御装置

【課題】DCモータ制御及びACモータ制御の両機能を兼用する際に、DCモータとACモータとの切り替えを、小規模及び低コストにて実現する。
【解決手段】制御部10の磁束電流指令AC/DC切替部11は、磁束指令部121から磁束電流指令を入力し、切替信号を入力し、切替信号がACを示す場合、入力した磁束電流指令を出力し、切替信号がDCを示す場合、予め設定されたデータ0の磁束電流指令を出力する。電気角AC/DC切替部12は、電気角計算部130により計算された電気角を入力し、切替信号を入力し、切替信号がACを示す場合、入力した電気角を出力し、切替信号がDCを示す場合、予め設定された固定の電気角330°を出力する。電圧指令2相−3相変換部131は、DCモータ105を駆動する場合、絶対値が等しく逆相となるU相電圧指令及びV相電圧指令、並びにデータ0のW相電圧指令を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置に関し、特に、1台のモータ制御装置にて、直流モータと交流モータとを切り替えて制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば産業用に用いられるモータ駆動装置として、直流モータ(DCモータ)または交流モータ(ACモータ)を制御するモータ制御装置が知られている。DCモータ用のモータ制御装置は、所定速度でモータを回転させるための直流電力を生成し、生成した直流電力をDCモータへ供給し、ACモータ用のモータ制御装置は、交流電力を生成してACモータへ供給する。このため、DCモータ用のモータ制御装置とACモータ用のモータ制御装置とは構成が異なるのが通常であり、別々の専用装置として開発及び製造が行われる。
【0003】
一般に、1台のモータ制御装置を用いてDCモータとACモータとを切り替えて制御する場合、モータ制御装置には、DCモータ制御を実現するハードウェアと、ACモータ制御を実現するハードウェアとが設けられる。モータ制御装置は、DCモータが接続された場合、DCモータ制御用のハードウェアに切り替え、ACモータが接続された場合、ACモータ制御用のハードウェアに切り替えて使用する。また、モータ制御装置にメカスイッチを設け、このメカスイッチを切り替えることにより、DCモータ制御とACモータ制御とを切り替える手法も知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、特許文献1に記載されたメカスイッチを用いることなく、ハードウェア構成の主回路を共通にして専用のレギュレータを使用するファームウェアを使用し、DCモータ制御とACモータ制御とを切り替える手法も知られている。
【0005】
しかしながら、DCモータ制御とACモータ制御との切り替えをメカスイッチまたはファームウェアを用いて実現する場合には、専用のメカスイッチまたはファームウェアが必要になるから、モータ制御装置全体としてサイズが大きくなり、コストが高くなってしまう。特に、ファームウェアを使用する手法では、DCモータ用のファームウェアとACモータ用のファームウェアとが異なるから、それぞれ別製品になってしまう。そこで、専用のメカスイッチ及びファームウェアを不要とし、サイズ及びコストの問題を解消する手法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
この特許文献2の手法は、制御部(特許文献2の明細書に記載されたマイクロコンピュータ4)がDCモータ制御とACモータ制御との両機能を兼用するものであり、ACモータが接続された場合、U相、V相及びW相の電圧指令を6個のPWM(Pulse Width Modulation)信号として、インバータの6個のスイッチング素子に出力し、DCモータが接続された場合、電圧指令を4個のPWM信号として、インバータの4個のスイッチング素子に出力する。しかしながら、特許文献2の手法では、制御部の具体的な構成及び具体的な処理が示されておらず、単に、出力信号の形態が示されているに過ぎない(特許文献2の図2〜図5)。
【0007】
以下、DCモータを制御するためのPWM指令を生成するDCモータ制御についての一般的な手法、及び、ACモータを制御するためのPWM指令を生成するACモータ制御についての一般的な手法について説明する。
【0008】
〔DCモータ制御〕
まず、DCモータ制御の手法について説明する。図8は、DCモータを制御するためのPWM指令を生成する従来のDCモータ制御部の構成を示すブロック図である。このDCモータ制御部110は、トルク指令部111、減算部112、トルク(Q軸)電流アンプ113、誘起電圧補償部114及び反転部115を備えている。DCモータ制御部110により生成されるU相トルク電圧指令及びV相トルク電圧指令は、PWM指令として、図示しないインバータのスイッチング素子へ出力される。そして、インバータは、PWM指令に応じた直流電力をDCモータへ供給し、PWM指令によってDCモータが回転制御される。
【0009】
トルク指令部111は、トルク指令、速度アンプ出力指令を入力すると共に、予め設定された速度制御/トルク制御切替信号及びトルク指令ランプ設定時間を入力する。そして、トルク指令部111は、速度制御/トルク制御切替信号が速度制御を示している場合、入力した速度アンプ出力指令を選択し、速度制御/トルク制御切替信号がトルク制御を示している場合、入力したトルク指令を選択する。トルク指令部111は、選択したトルク指令または速度アンプ出力指令をトルク電流指令として減算部112に出力する。また、トルク指令部111は、トルク指令をトルク電流指令として出力する場合、トルク指令ランプ設定時間に応じて、トルク指令の急激な変化をランプ状に変化させるようにトルク電流指令を生成して出力する。
【0010】
減算部112は、トルク指令部111からトルク電流指令を入力し、U相の電流を検出する電流センサ(図示せず)からのU相電流FB(トルク電流FB(Feed Back))を入力し、トルク電流指令からトルク電流FBを減算し、トルク電流偏差をトルク(Q軸)電流アンプ113に出力する。
【0011】
トルク(Q軸)電流アンプ113は、減算部112からトルク電流偏差を入力すると共に、誘起電圧補償部114からトルク(Q軸)用の補償値を入力し、予め設定された比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)を入力し、さらに、トルク電流アンプ許可信号を入力する。そして、トルク(Q軸)電流アンプ113は、トルク電流アンプ許可信号が許可を示している場合、トルク電流偏差が0になるようにPI制御を行って指令値を生成し、生成した指令値にトルク(Q軸)用の補償値を加算し、トルク電圧指令を出力する。トルク電圧指令は、反転部115に出力されると共に、U相トルク電圧指令がPWM指令として外部(図示しないインバータ)へ出力される。一方、トルク(Q軸)電流アンプ113は、トルク電流アンプ許可信号が不許可を示している場合、PI制御を行わず、データ0のトルク電圧指令を出力する。
【0012】
誘起電圧補償部114は、DCモータにおける誘起電圧の補償値であるトルク(Q軸)用の補償値を生成する。誘起電圧補償部114は、予め設定された非干渉補償係数、モータ無負荷電圧及び電圧指令係数を入力すると共に、UV相の電圧を検出する電圧センサ(図示せず)からのUV相電圧FBをモータ端子電圧Vuvとして入力する。そして、誘起電圧補償部114は、モータ端子電圧Vuv、非干渉補償係数、モータ無負荷電圧及び電圧指令係数に基づいて、トルク(Q軸)用の補償値を計算し、トルク(Q軸)用の補償値をトルク(Q軸)電流アンプ113に出力する。尚、トルク(Q軸)用の補償値の計算手法は既知であるから、ここでは説明を省略する。
【0013】
反転部115は、トルク(Q軸)電流アンプ113からトルク電圧指令を入力し、トルク電圧指令を反転する。反転したトルク電圧指令であるV相トルク電圧指令は、PWM指令として外部(図示しないインバータ)へ出力される。これにより、V相トルク電圧指令によるPWM指令は、U相トルク電圧指令によるPWM指令に対して逆相の信号となる。
【0014】
このように、DCモータ制御部110により生成されるU相トルク電圧指令、及びこの指令に対して逆相の特性を有するV相トルク電圧指令は、PWM指令として、図示しないインバータのスイッチング素子へ出力され、PWM指令に応じた直流電力がDCモータへ供給される。
【0015】
〔ACモータ制御〕
次に、ACモータ制御の手法について説明する。図9は、ACモータを制御するためのPWM指令を生成する従来のACモータ制御部の構成を示すブロック図である。このACモータ制御部120は、磁束指令部121、減算部122、磁束(D軸)電流アンプ123、トルク指令部124、減算部125、トルク(Q軸)電流アンプ126、電流FB3相−2相変換部127、非干渉補償部128、電機周波数計算部129、電気角計算部130及び電圧指令2相−3相変換部131を備えている。ACモータ制御部120により生成されるU相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令は、PWM指令として、図示しないインバータのスイッチング素子へ出力される。そして、インバータは、PWM指令に応じた交流電力をACモータへ供給し、PWM指令によってACモータが回転制御される。
【0016】
磁束指令部121は、磁束指令を入力すると共に、予め設定された磁束指令ランプ設定時間及びベース回転数を入力し、さらに、ACモータの回転情報を得るためのエンコーダ(図示せず)のカウンタ値によって計測された速度FBを入力する。そして、磁束指令部121は、速度FBがベース回転数以下の場合、磁束指令を磁束電流指令として減算部122に出力し、速度FBがベース回転数よりも大きい場合、速度FBがベース回転数以下のときの磁束指令の値から徐々に小さくなるように、予め設定された磁束電流指令を生成し減算部122に出力する。また、磁束指令部121は、出力する磁束電流指令を磁束指令で除算して磁束比率を計算し、(1/磁束比率)の値を電機周波数計算部129に出力する。また、磁束指令部121は、磁束指令が急激に変化した場合、磁束指令ランプ設定時間に応じて、磁束指令の急激な変化をランプ状に変化させるように磁束電流指令を生成して出力する。尚、磁束指令部121は、ACモータが誘導電動機の場合、前述の処理を行い、ACモータが同期電動機の場合、データ0の磁束電流指令を減算部122に出力する。
【0017】
減算部122は、磁束指令部121から磁束電流指令を入力すると共に、電流FB3相−2相変換部127から磁束電流FBを入力し、磁束電流指令から磁束電流FBを減算し、磁束電流偏差を磁束(D軸)電流アンプ123に出力する。
【0018】
磁束(D軸)電流アンプ123は、減算部122から磁束電流偏差を入力すると共に、非干渉補償部128から磁束(D軸)用の補償値を入力し、予め設定された比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)を入力し、さらに、磁束電流アンプ許可信号を入力する。そして、磁束(D軸)電流アンプ123は、磁束電流アンプ許可信号が許可を示している場合、磁束電流偏差が0になるようにPI制御を行って指令値を生成し、生成した指令値に磁束(D軸)用の補償値を加算し、磁束電圧指令を電圧指令2相−3相変換部131に出力する。一方、磁束(D軸)電流アンプ123は、磁束電流アンプ許可信号が不許可を示している場合、PI制御を行わず、データ0の磁束電圧指令を出力する。
【0019】
トルク指令部124は、トルク指令、速度アンプ出力指令を入力すると共に、予め設定された速度制御/トルク制御切替信号及びトルク指令ランプ設定時間を入力する。そして、トルク指令部124は、速度制御/トルク制御切替信号が速度制御を示している場合、入力した速度アンプ出力指令を選択し、速度制御/トルク制御切替信号がトルク制御を示している場合、入力したトルク指令を選択する。トルク指令部124は、選択したトルク指令または速度アンプ出力指令をトルク電流指令として減算部125、非干渉補償部128及び電機周波数計算部129に出力する。また、トルク指令部124は、トルク指令をトルク電流指令として出力する場合、トルク指令ランプ設定時間に応じて、トルク指令の急激な変化をランプ状に変化させるようにトルク電流指令を生成して出力する。
【0020】
減算部125は、トルク指令部124からトルク電流指令を入力すると共に、電流FB3相−2相変換部127からトルク電流FBを入力し、トルク電流指令からトルク電流FBを減算し、トルク電流偏差をトルク(Q軸)電流アンプ126に出力する。
【0021】
トルク(Q軸)電流アンプ126は、減算部125からトルク電流偏差を入力すると共に、非干渉補償部128からトルク(Q軸)用の補償値を入力し、予め設定された比例ゲイン(P)及び積分ゲイン(I)を入力し、さらに、トルク電流アンプ許可信号を入力する。そして、トルク(Q軸)電流アンプ126は、トルク電流アンプ許可信号が許可を示している場合、トルク電流偏差が0になるようにPI制御を行って指令値を生成し、生成した指令値にトルク(Q軸)用の補償値を加算し、トルク電圧指令を電圧指令2相−3相変換部131に出力する。一方、トルク(Q軸)電流アンプ126は、トルク電流アンプ許可信号が不許可を示している場合、PI制御を行わず、データ0のトルク電圧指令を出力する。
【0022】
電流FB3相−2相変換部127は、U相の電流を検出する電流センサ(図示せず)からのU相電流FBを入力すると共に、W相の電流を検出する電流センサ(図示せず)からのW相電流FBを入力し、さらに、電気角計算部130から電気角θeを入力し、3相軸からD軸及びQ軸への座標変換を行い、磁束電流FBを減算部122に出力し、トルク電流FBを減算部125に出力する。すなわち、電流FB3相−2相変換部127は、U相電流FB及びW相電流FBの電流軸を示す座標軸を、電気角θeの角度座標回転させ、磁束電流FB及びトルク電流FBの電流軸を示す座標軸へ変換する(回転座標を静止座標に変換する)。
【0023】
非干渉補償部128は、ACモータの磁束(D軸)とトルク(Q軸)との間の干渉をなくすための補償値である磁束(D軸)用の補償値及びトルク(Q軸)用の補償値を生成する。非干渉補償部128は、予め設定された非干渉補償係数、モータ無負荷電圧、電圧指令係数及び誘導電動機/同期電動機切替信号を入力すると共に、ACモータの回転情報を得るためのエンコーダ(図示せず)のカウンタ値によって計測された速度FBを入力し、トルク指令部124からトルク電流指令を入力する。そして、非干渉補償部128は、誘導電動機/同期電動機切替信号が誘導電動機を示している場合、非干渉補償係数、モータ無負荷電圧、電圧指令係数、速度FB及びトルク電流指令に基づいて、磁束(D軸)用の補償値及びトルク(Q軸)用の補償値を計算する。そして、非干渉補償部128は、磁束(D軸)用の補償値を磁束(D軸)電流アンプ123に出力し、トルク(Q軸)用の補償値をトルク(Q軸)電流アンプ126に出力する。一方、非干渉補償部128は、誘導電動機/同期電動機切替信号が同期電動機を示している場合、非干渉補償係数、モータ無負荷電圧、電圧指令係数、速度FB及びトルク電流指令に基づいて、トルク(Q軸)用の補償値を計算する。そして、非干渉補償部128は、磁束(D軸)用の補償値としてデータ0の補償値を磁束(D軸)電流アンプ123に出力し、トルク(Q軸)用の補償値をトルク(Q軸)電流アンプ126に出力する。尚、誘導電動機の場合における磁束(D軸)用の補償値及びトルク(Q軸)用の補償値の計算手法、及び、同期電動機の場合におけるトルク(Q軸)用の補償値の計算手法は既知であるから、ここでは説明を省略する。
【0024】
電機周波数計算部129は、予め設定されたすべり周波数設定値及び温度補正係数を入力すると共に、温度センサ(図示せず)により検出されたACモータの温度(モータ温度)、及びACモータの回転情報を得るためのエンコーダ(図示せず)からの入力信号(エンコーダ入力信号)である、ACモータの回転位置の計測値を示す位置FBを入力し、さらに、磁束指令部121から(1/磁束比率)の値を入力し、トルク指令部124からトルク電流指令を入力する。そして、電機周波数計算部129は、入力した位置FBの示すカウンタ値から差分を求め、その差分からACモータの速度FBを計算し、速度FB、すべり周波数設定値、モータ温度、温度補正係数、1/磁束比率及びトルク電流指令に基づいて、電機周波数を計算し、電機周波数を電気角計算部130に出力する。また、電機周波数計算部129は、ACモータが誘導電動機ではなく同期電動機の場合、すべり周波数設定値、モータ温度、温度補正係数、1/磁束比率及びトルク電流指令を用いることなく、速度FBに基づいて電機周波数を計算し、電機周波数を電気角計算部130に出力する。ここで、すべり周波数設定値は、ACモータが誘導電動機の場合に、磁束とトルクとを直交させるためのデータである。尚、誘導電動機の場合における電機周波数の計算手法、及び、同期電動機の場合における電機周波数の計算手法は既知であるから、ここでは説明を省略する。
【0025】
電気角計算部130は、電機周波数計算部129から電機周波数を入力し、予め設定された絶対位置オフセットを入力する。そして、電気角計算部130は、ACモータが同期電動機の場合、電機周波数に基づいて電気角を計算し、計算した電気角から絶対位置オフセットを減算し、減算結果を現在の電気角θe^として電圧指令2相−3相変換部131に出力する。また、電気角計算部130は、1演算周期前の電気角θeを電流FB3相−2相変換部127に出力する。一方、電気角計算部130は、ACモータが誘導電動機の場合、電機周波数に基づいて電気角を計算し、計算した電気角から絶対位置オフセットを減算することなく、計算結果の現在の電気角θe^を電圧指令2相−3相変換部131に出力し、1演算周期前の電気角θeを電流FB3相−2相変換部127に出力する。電気角計算部130により出力される電気角θe^,θeは、1周期で0から360°までの間で変化する角度を示し、以下の式により、ポール数と機械角から求めることができる値である。
機械角=電気角/(ポール数/2)
尚、電気角の詳細については説明を省略する。
【0026】
電圧指令2相−3相変換部131は、磁束(D軸)電流アンプ123から磁束電圧指令を入力し、トルク(Q軸)電流アンプ126からトルク電圧指令を入力し、さらに、電気角計算部130から電気角θe^を入力する。そして、電圧指令2相−3相変換部131は、D軸及びQ軸から3相軸への座標変換を行い、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令を外部へ出力する。すなわち、電圧指令2相−3相変換部131は、磁束電圧指令及びトルク電圧指令の電圧軸を示す座標軸を、電気角θe^の角度座標回転させ、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令の電圧軸を示す座標軸へ変換する(静止座標を回転座標に変換する)。U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令は、PWM指令としてそれぞれ外部(図示しないインバータ)へ出力される。
【0027】
このように、ACモータ制御部120により生成されるU相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令は、PWM指令として、図示しないインバータのスイッチング素子へ出力され、PWM指令に応じた交流電力がACモータへ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開平10−291755号公報
【特許文献2】特開2001−25275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
前述のとおり、特許文献2の手法は、メカスイッチ及びファームウェアを不要とし、DCモータ制御とACモータ制御との両機能を兼用するものであるが、その具体的な構成及び具体的な処理が示されていない。このため、1個の制御部において、DCモータ制御とACモータ制御とをどのようにして実現するかの具体的な手段が不明である。DCモータ制御の機能及びACモータ制御の機能は、図8に示したDCモータ制御部110及び図9に示したACモータ制御部120によりそれぞれ実現されるものであるが、別々の構成をしている。単に、DCモータ制御部110及びACモータ制御部120を並列に備えた場合には、個々の専用品を開発及び製造する必要があり、回路規模が大きくなりコストも高くなってしまう。
【0030】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、DCモータ制御及びACモータ制御の両機能を兼用する際に、DCモータとACモータとの切り替えを、小規模及び低コストにて実現可能なモータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するために、本発明によるモータ制御装置は、ACモータまたはDCモータを回転制御するためのPWM指令を出力する制御部と、前記制御部からPWM指令を入力し、前記PWM指令によってスイッチング素子をオンオフし、前記ACモータまたはDCモータへ電力を供給するインバータとを備えたモータ制御装置において、前記制御部が、磁束電流指令を生成する励磁指令部と、前記励磁指令部から磁束電流指令を入力し、前記ACモータを使用することを示すACまたは前記DCモータを使用することを示すDCを示す切替信号を入力し、前記切替信号がACを示す場合、前記入力した磁束電流指令を出力し、前記切替信号がDCを示す場合、予め設定されたデータ0の磁束電流指令を出力する磁束電流指令AC/DC切替部と、トルク電流指令を生成するトルク指令部と、電気角を計算する電気角計算部と、前記電気角計算部により計算された電気角を入力し、前記切替信号を入力し、前記切替信号がACを示す場合、前記入力した電気角を出力し、前記切替信号がDCを示す場合、予め設定された固定の電気角を出力する電気角AC/DC切替部と、前記インバータから前記ACモータまたはDCモータへ供給される電力の電流が電流FBとして検出され、前記電流FBの座標軸を、前記電気角AC/DC切替部より出力された電気角の角度座標回転させ、磁束電流FB及びトルク電流FBの座標軸へ変換する電流FB座標変換部と、前記磁束電流指令AC/DC切替部により出力された磁束電流指令と、前記電流FB座標変換部により変換された磁束電流FBとの間の磁束電流偏差が0になるように制御を行い、磁束電圧指令を生成する磁束電流アンプと、前記トルク指令部により生成されたトルク電流指令と、前記電流FB座標変換部により変換されたトルク電流FBとの間のトルク電流偏差が0になるように制御を行い、トルク電圧指令を生成するトルク電流アンプと、前記磁束電流アンプにより生成された磁束電圧指令及び前記トルク電流アンプにより生成されたトルク電圧指令の座標軸を、前記電気角AC/DC切替部により出力された電気角の角度座標変換させ、電圧指令を生成し、前記電圧指令を前記PWM指令として出力する電圧指令座標変換部と、を備えたことを特徴とする。
【0032】
また、本発明によるモータ制御装置は、前記ACモータを使用する場合の前記電圧指令座標変換部により生成された電圧指令を、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令としたときに、前記U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令のうちのいずれかが0のときの電気角を、前記電気角AC/DC切替部における予め設定された固定の電気角とする、ことを特徴とする。
【0033】
また、本発明によるモータ制御装置は、前記電気角AC/DC切替部における予め設定された固定の電気角を、30°、90°、150°、210°、270°及び330°のうちのいずれかを含む所定範囲の角度とする、ことを特徴とする。
【0034】
また、本発明によるモータ制御装置は、前記電気角AC/DC切替部における予め設定された固定の電気角を、前記W相電圧指令が0のときの330°を含む所定範囲の角度とし、前記電流FB座標変換部が、前記インバータから供給される電力のU相電流FB及びW相電流FBを入力し、前記U相電流FB及びW相電流FBの座標軸を、前記電気角AC/DC切替部より出力された電気角の角度座標回転させ、磁束電流FB及びトルク電流FBの座標軸へ変換し、前記電圧指令座標変換部が、前記ACモータを使用する場合、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令を生成し、前記U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令をPWM指令として出力し、前記DCモータを使用する場合、絶対値が等しく逆相のU相電圧指令及びV相電圧指令を生成すると共に、データ0のW相電圧指令を生成し、前記U相電圧指令及びV相電圧指令を前記PWM指令として出力する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明によれば、ACモータ制御の機能を用いて、DCモータ制御の機能を実現するようにした。これにより、DCモータ制御及びACモータ制御の両機能を兼用する際に、DCモータとACモータとの切り替えを小規模及び低コストにて実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態によるモータ制御装置を含む全体構成を示すシステム図である。
【図2】制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】磁束電流指令AC/DC切替部の構成を示すブロック図である。
【図4】電気角AC/DC切替部の構成を示すブロック図である。
【図5】(1)電圧指令と電気角の関係を示すグラフである。(2)は、電圧指令が0のときの電気角を示す図である。
【図6】ACモータが使用され、制御部がACモータ制御部として機能する場合の説明図である。
【図7】DCモータが使用され、制御部がDCモータ制御部として機能する場合の説明図である。
【図8】従来のDCモータ制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】従来のACモータ制御部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。本発明によるモータ制御装置は、ACモータ制御の機能を用いてDCモータ制御を実現する点に特徴がある。具体的には、モータ制御装置は、ACモータを使用する場合、ACモータ制御を実現し、DCモータを使用する場合、電気角を所定の角度に固定してACモータ制御を行うことで、DCモータ制御を実現する。DCモータの場合、機械的に磁束とトルクとの間に直交関係があり、電気角を所定の角度に固定することにより、DCモータ制御を実現することができるからである。所定の角度に固定される電気角は、ACモータへ3相交流電力が供給される場合において、3相交流電力を供給するためのPWM指令の基となるU相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令のうちのいずれかの電圧指令が略0のときの角度である。この電気角のときには、略0となる電圧指令以外の2つの電圧指令の相は逆となり、指令値の絶対値は等しくなる。
【0038】
〔モータ制御装置の構成〕
まず、本発明の実施形態によるモータ制御装置について説明する。図1は、モータ制御装置を含む全体構成を示すシステム図である。このモータ制御装置1は、制御部10、コンバータ101、平滑用コンデンサ102、インバータ103及びコネクタ106を備えている。モータ制御装置1は、商用交流電源であるAC電源100から3相交流電力を入力し、インバータ103が制御部10からPWM指令(ゲート信号)を入力して交流電力または直流電力を生成し、コネクタ106に接続されたACモータ104またはDCモータ105を駆動する電力変換装置である。
【0039】
コンバータ101は、AC電源100から3相交流電力を入力し、3相交流電力を直流電力に変換する。平滑用コンデンサ102は、コンバータ101により変換された直流電力を平滑する。ここで、平滑用コンデンサ102の一端はコンバータ101の出力正極端子及びインバータ103の入力正極端子に接続され、他端はコンバータ101の出力負極端子及びインバータ103の入力負極端子に接続される。
【0040】
インバータ103は、PWMインバータ回路を備え、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子a1〜c2のゲートに入力される制御信号であるPWM指令により、コレクターエミッタ間の導通/遮断を制御する。すなわち、インバータ103は、平滑用コンデンサ102により平滑された直流電力を入力し、制御部10からPWM指令を入力し、内在するスイッチング素子a1〜c2のゲートをPWM指令によりオンオフ動作させ、交流電力または直流電力を、コネクタ106を介してACモータ104またはDCモータ105へ供給する。
【0041】
制御部10は、図示しない電流センサから電流FB(U相電流FB及びW相電流FB)を入力し、図示しないエンコーダからACモータ104またはDCモータ105の回転情報を得るためのエンコーダ入力信号である位置FB及び速度FBを入力する。そして、制御部10は、コネクタ106に接続されるACモータ104またはDCモータ105の種別を示す切替信号に従って、切替信号がACを示している場合(コネクタ106にACモータ104が接続される場合)、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令を生成し、6個のPWM指令としてインバータ103に出力する。一方、制御部10は、切替信号がDCを示している場合(コネクタ106にDCモータ105が接続される場合)、U相トルク電圧指令及びV相トルク電圧指令を生成し、4個のPWM指令としてインバータ103に出力する。
【0042】
具体的には、モータ制御装置1のコネクタ106にACモータ104が接続され、切替信号がACを示している場合、制御部10は、図9に示した従来のACモータ制御部120と同等に機能し、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令を生成し、U相電圧指令をPWM指令としてインバータ103のスイッチング素子a1,a2に出力する。また、制御部10は、V相電圧指令をPWM指令としてインバータ103のスイッチング素子b1,b2に出力し、W相電圧指令をPWM指令としてインバータ103のスイッチング素子c1,c2に出力する。
【0043】
一方、モータ制御装置1のコネクタ106(U相及びV相の端子)にDCモータ105が接続され、切替信号がDCを示している場合、制御部10は、図8に示した従来のDCモータ制御部110と同等に機能し、U相トルク電圧指令及びV相トルク電圧指令を生成し、U相トルク電圧指令をPWM指令としてインバータ103のスイッチング素子a1,a2に出力する。また、制御部10は、V相トルク電圧指令をPWM指令としてインバータ103のスイッチング素子b1,b2に出力する。この場合、制御部10は、インバータ103のスイッチング素子c1,c2にPWM指令を出力しない。
【0044】
〔制御部〕
次に、図1に示したモータ制御装置1の制御部10について説明する。図2は、制御部10の構成を示すブロック図である。この制御部10は、磁束指令部121、減算部122、磁束(D軸)電流アンプ123、トルク指令部124、減算部125、トルク(Q軸)電流アンプ126、電流FB3相−2相変換部127、電機周波数計算部129、電気角計算部130、電圧指令2相−3相変換部131、磁束電流指令AC/DC切替部11、電気角AC/DC切替部12及び非干渉補償部13を備えている。制御部10は、図1に示したコネクタ106にACモータ104が接続され、切替信号がACを示している場合、図9に示した従来のACモータ制御部120と同等の機能を有する。また、制御部10は、コネクタ106(U相及びV相の端子)にDCモータ105が接続され、切替信号がDCを示している場合、図8に示した従来のDCモータ制御部110と同等の機能を有する。したがって、制御部10は、ACモータ制御部120及びDCモータ制御部110を兼用した機能を有している。
【0045】
制御部10と図9に示した従来のACモータ制御部120とを比較すると、制御部10及びACモータ制御部120は、磁束指令部121、減算部122、磁束(D軸)電流アンプ123、トルク指令部124、減算部125、トルク(Q軸)電流アンプ126、電流FB3相−2相変換部127、電機周波数計算部129、電気角計算部130及び電圧指令2相−3相変換部131を備えている点で同一である。これに対し、制御部10は、ACモータ制御部120の非干渉補償部128とは異なる非干渉補償部13を備え、さらに、磁束電流指令AC/DC切替部11及び電気角AC/DC切替部12を備えている点でACモータ制御部120と相違する。
【0046】
図2において、磁束指令部121、減算部122、磁束(D軸)電流アンプ123、トルク指令部124、減算部125、トルク(Q軸)電流アンプ126、電流FB3相−2相変換部127、電機周波数計算部129、電気角計算部130及び電圧指令2相−3相変換部131については図9と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0047】
〔非干渉補償部〕
次に、図2に示した制御部10の非干渉補償部13について説明する。この非干渉補償部13は、モータ制御装置1のコネクタ106にACモータ104が接続され、切替信号がACを示している場合、図9に示した非干渉補償部128と同等の機能を有する。また、非干渉補償部13は、モータ制御装置1のコネクタ106(U相及びV相の端子)にDCモータ105が接続され、切替信号がDCを示している場合、図8に示した誘起電圧補償部114と同等の機能を有する。
【0048】
非干渉補償部13は、ACモータ104の磁束(D軸)とトルク(Q軸)との間の干渉をなくすための補償値を生成し、一方で、DCモータ105における誘起電圧の補償値を生成する。具体的には、非干渉補償部13は、予め設定された非干渉補償係数、モータ無負荷電圧、電圧指令係数及び誘導電動機/同期電動機切替信号を入力すると共に、ACモータの回転情報を得るためのエンコーダ(図示せず)のカウンタ値によって計測された速度FBを入力し、トルク指令部124からトルク電流指令を入力し、さらに、オペレータにより設定される切替信号を入力する。
【0049】
非干渉補償部13は、切替信号がACを示しており、かつ、誘導電動機/同期電動機切替信号が誘導電動機を示している場合、非干渉補償係数、モータ無負荷電圧、電圧指令係数、速度FB及びトルク電流指令に基づいて、磁束(D軸)用の補償値及びトルク(Q軸)用の補償値を計算する。そして、非干渉補償部13は、磁束(D軸)用の補償値を磁束(D軸)電流アンプ123に出力し、トルク(Q軸)用の補償値をトルク(Q軸)電流アンプ126に出力する。一方、非干渉補償部13は、切替信号がDCを示しており、誘導電動機/同期電動機切替信号が同期電動機を示している場合、非干渉補償係数、モータ無負荷電圧、電圧指令係数、速度FB及びトルク電流指令に基づいて、トルク(Q軸)用の補償値を計算する。そして、非干渉補償部13は、磁束(D軸)用の補償値としてデータ0の補償値を磁束(D軸)電流アンプ123に出力し、トルク(Q軸)用の補償値をトルク(Q軸)電流アンプ126に出力する。
【0050】
また、非干渉補償部13は、切替信号がDCを示している場合、速度FB及びモータ無負荷電圧に基づいてモータ端子電圧Vuvを生成し、モータ端子電圧Vuv、非干渉補償係数、モータ無負荷電圧及び電圧指令係数に基づいて、トルク(Q軸)用の補償値を計算する。そして、非干渉補償部13は、磁束(D軸)用の補償値としてデータ0の補償値を磁束(D軸)電流アンプ123に出力し、トルク(Q軸)用の補償値をトルク(Q軸)電流アンプ126に出力する。
【0051】
これにより、切替信号がACを示しており、誘導電動機/同期電動機切替信号が誘導電動機を示している場合(ACモータ104が誘導電動機の場合)、非干渉補償部13から、磁束(D軸)用の補償値及びトルク(Q軸)用の補償値が出力され、誘導電動機/同期電動機切替信号が同期電動機を示している場合(ACモータ104が同期電動機の場合)、トルク(Q軸)用の補償値のみが出力される。また、切替信号がDCを示している場合(DCモータ105を使用する場合)、非干渉補償部13から、トルク(Q軸)用の補償値のみが出力される。したがって、非干渉補償部13は、図9に示した非干渉補償部128と同等の機能を有すると共に、図8に示した誘起電圧補償部114と同等の機能を有する。
【0052】
〔磁束電流指令AC/DC切替部〕
次に、図2に示した制御部10の磁束電流指令AC/DC切替部11について説明する。図3は、磁束電流指令AC/DC切替部11の構成を示すブロック図である。この磁束電流指令AC/DC切替部11は、磁束指令部121から磁束電流指令を入力すると共に、予め設定されたデータ0を入力し、さらに、オペレータにより設定される切替信号を入力する。磁束電流指令AC/DC切替部11は、切替信号がACを示している場合(ACモータ104を使用する場合)、磁束指令部121から入力した磁束電流指令を減算部122に出力する。一方、磁束電流指令AC/DC切替部11は、切替信号がDCを示している場合(DCモータ105を使用する場合)、予め設定されたデータ0の磁束電流指令を減算部122に出力する。尚、ACモータ104が同期モータの場合、磁束電流指令AC/DC切替部11は、磁束指令部121から入力したデータ0の磁束電流指令を減算部122に出力する。磁束電流指令AC/DC切替部11は、非干渉補償部13と同様の誘導電動機/同期電動機切替信号も入力するようにしてもよく、切替信号がACを示しており、誘導電動機/同期電動機切替信号が誘導電動機を示している場合、磁束指令部121から入力した磁束電流指令を減算部122に出力し、切替信号がACを示しており、誘導電動機/同期電動機切替信号が同期電動機を示している場合、または、切替信号がDCを示している場合、予め設定されたデータ0の磁束電流指令を減算部122に出力する。
【0053】
これにより、切替信号がACを示しており、ACモータ104が誘導電動機の場合、磁束指令部121から入力した磁束電流指令が減算部122に出力される。また、切替信号がACを示しており、ACモータ104が同期電動機の場合、データ0の磁束電流指令が減算部122に出力される。したがって、制御部10は、磁束(D軸)電流アンプ123を含む磁束(D軸)電流指令系統において、図9に示した従来のACモータ制御部120と同様に機能する。一方、切替信号がDCを示している場合(DCモータ105を使用する場合)、データ0の磁束電流指令が減算部122に出力され、電流FB3相−2相変換部127からもデータ0の磁束電流FBが減算部122に出力されるから、減算部122の減算結果である磁束電流偏差が0になり、磁束(D軸)電流アンプ123により出力される磁束電圧指令が0になるように制御される。したがって、制御部10は、磁束(D軸)電流アンプ123を含む磁束(D軸)電流指令系統が他の機能に影響を与えないから、図8に示した従来のDCモータ制御部110と同様に機能する。尚、電流FB3相−2相変換部127は、切替信号がDCを示している場合、電気角θe=330°を入力し、データ0の磁束電流FBを減算部122に出力する。詳細については後述する。
【0054】
〔電気角AC/DC切替部〕
次に、図2に示した制御部10の電気角AC/DC切替部12について説明する。図4は、電気角AC/DC切替部12の構成を示すブロック図である。この電気角AC/DC切替部12は、電気角計算部130から電気角θe^,θeを入力すると共に、予め設定された電気角330°を入力し、さらに、オペレータにより設定される切替信号を入力する。電気角AC/DC切替部12は、切替信号がACを示している場合(ACモータ104を使用する場合)、電気角計算部130から入力した電気角θe^を電圧指令2相−3相変換部131に出力し、電気角計算部130から入力した電気角θeを電流FB3相−2相変換部127に出力する。一方、電気角AC/DC切替部12は、切替信号がDCを示している場合(DCモータ105を使用する場合)、予め設定された電気角330°を電圧指令2相−3相変換部131及び電流FB3相−2相変換部127に出力する。
【0055】
これにより、切替信号がACを示している場合(ACモータ104を使用する場合)、電気角計算部130により計算された電気角θe^が電圧指令2相−3相変換部131に出力され、電気角計算部130により計算された電気角θeが電流FB3相−2相変換部127に出力される。したがって、制御部10は、電流FB3相−2相変換部127及び電圧指令2相−3相変換部131により座標変換を行う電気角系統において、図9に示した従来のACモータ制御部120と同様に機能する。一方、切替信号がDCを示している場合(DCモータ105を使用する場合)、予め設定された電気角θe^,θe=330°が電圧指令2相−3相変換部131及び電流FB3相−2相変換部127に出力される。この場合、後述する図5に示すように、電気角が330°のときは、U相電圧指令が0.86、V相電圧指令が−0.86及びW相電圧指令が0である。これは、図2における電圧指令2相−3相変換部131が、入力した磁束電圧指令(この場合は0)、トルク電圧指令及び電気角330°によって、U相電圧指令、この指令に対して逆相のV相電圧指令、及びデータ0のW相電圧指令を出力することを示している。DCモータ105は、U相電圧指令に対応するPWM指令、及びU相電圧指令の逆相となるW相電圧指令に対応するPWM指令に従って駆動することになる。したがって、制御部10は、図8に示した従来のDCモータ制御部110と同様に機能する。
【0056】
〔電気角〕
次に、ACモータ104を使用する場合のU相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令と電気角との間の関係について説明する。図5(1)は、ACモータ104を使用する場合のU相、V相及びW相電圧指令と電気角の関係を示すグラフであり、図5(2)は、U相、V相及びW相電圧指令のうちのいずれかの電圧指令が0のときの電気角を示す図である。図5(1)(2)から、0〜360°を1周期とする電気角において、電気角が30°のときに、U相電圧指令が0.86、V相電圧指令が0、W相電圧指令が−0.86であり、電気角が90°のときに、U相電圧指令が0、V相電圧指令が0.86、W相電圧指令が−0.86であり、電気角が150°のときに、U相電圧指令が−0.86、V相電圧指令が0.86、W相電圧指令が0であり、電気角が210°のときに、U相電圧指令が−0.86、V相電圧指令が0、W相電圧指令が0.86であり、電気角が270°のときに、U相電圧指令が0、V相電圧指令が−0.86、W相電圧指令が0.86であり、電気角が330°のときに、U相電圧指令が0.86、V相電圧指令が−0.86、W相電圧指令が0であることがわかる。つまり、電気角が150°,330°のときに、W相電圧指令が0であり、U相電圧指令の絶対値及びV相電圧指令の絶対値が等しくなっている。また、電気角が30°,210°のときに、V相電圧指令が0であり、U相電圧指令の絶対値及びW相電圧指令の絶対値が等しくなっている。また、電気角が90°,270°のときに、U相電圧指令が0であり、V相電圧指令の絶対値及びW相電圧指令の絶対値が等しくなっている。尚、図5(1)(2)におけるU相、V相及びW相電圧指令は、以下の式により計算したものである。
U相電圧指令=cos電気角
V相電圧指令=cos(120°−電気角)
W相電圧指令=cos(240°−電気角)
【0057】
これは、図2に示した制御部10が、図1に示したコネクタ106のU相及びV相にDCモータ105を接続した場合、電気角θe^,θeを150°または330°に固定に設定することによって、W相電圧指令を強制的に0にし、U相電圧指令及びV相電圧指令を互いに逆相にすることができることを示している。つまり、制御部10は、U相電圧指令を、図8に示した従来のDCモータ制御部110におけるU相トルク電圧指令として出力することができ、V相電圧指令を、図8に示したV相トルク電圧指令として出力することができる。また、制御部10は、図1に示したコネクタ106のU相及びW相にDCモータ105を接続した場合、電気角θe^,θeを30°または210°に固定に設定することによって、V相電圧指令を強制的に0にし、U相電圧指令及びW相電圧指令を絶対値の等しい逆相にすることができることを示している。つまり、制御部10は、U相電圧指令をU相トルク電圧指令として出力することができ、W相電圧指令をW相トルク電圧指令として出力することができる。また、制御部10は、図1に示したコネクタ106のV相及びW相にDCモータ105を接続した場合、電気角θe^,θeを90°または270°に固定に設定することによって、U相電圧指令を強制的に0にし、V相電圧指令及びW相電圧指令を絶対値の等しい逆相にすることができることを示している。つまり、制御部10は、V相電圧指令をV相トルク電圧指令として出力することができ、W相電圧指令をW相トルク電圧指令として出力することができる。尚、電気角θe^,θeが150°,30°,270°の場合、極性が逆になるから、それぞれU相及びV相を逆に、U相及びW相を逆に、V相及びW相を逆にしてDCモータ105と配線する必要がある。
【0058】
〔制御部の動作:ACモータを制御する場合〕
次に、図2に示した制御部10において、ACモータ104を使用する場合、すなわち切替信号がACを示している場合の動作について説明する。図6は、ACモータ104が使用され、制御部10が図9に示したACモータ制御部120として機能する場合の説明図である。図6に示すように、磁束電流指令AC/DC切替部11は、切替信号がACを示しているから、磁束指令部121から入力した磁束電流指令を減算部122に出力する。また、電気角AC/DC切替部12は、切替信号がACを示しているから、電気角計算部130から入力した電気角θe^,θeを電圧指令2相−3相変換部131及び電流FB3相−2相変換部127にそれぞれ出力する。また、非干渉補償部13は、切替信号がACを示しているから、誘導電動機/同期電動機切替信号に従って、磁束(D軸)用の補償値及びトルク(Q軸)用の補償値、または磁束(D軸)用の補償値(データ0の補償値)及びトルク(Q軸)用の補償値を、磁束(D軸)電流アンプ123及びトルク(Q軸)電流アンプ126にそれぞれ出力する。
【0059】
このように、図2に示した制御部10は、ACモータ104を使用する場合、すなわち切替信号がACを示している場合、図9に示した従来のACモータ制御部120と同様に機能する。
【0060】
〔制御部の動作:DCモータを制御する場合〕
次に、図2に示した制御部10において、DCモータ105を使用する場合、すなわち切替信号がDCを示している場合の動作について説明する。図7は、DCモータ105が使用され、制御部10が図8に示したDCモータ制御部110として機能する場合の説明図である。図7に示すように、磁束電流指令AC/DC切替部11は、切替信号がDCを示しているから、データ0の磁束電流指令を減算部122に出力する。また、電気角AC/DC切替部12は、切替信号がDCを示しているから、予め設定された電気角θe^,θe=330°を電圧指令2相−3相変換部131及び電流FB3相−2相変換部127にそれぞれ出力する。また、非干渉補償部13は、切替信号がDCを示しているから、磁束(D軸)用の補償値(補償値0)及びトルク(Q軸)用の補償値を、磁束(D軸)電流アンプ123及びトルク(Q軸)電流アンプ126にそれぞれ出力する。
【0061】
電流FB3相−2相変換部127は、U相電流FBを入力すると共に、W相電流FB(この場合0)を入力し、さらに、電気角AC/DC切替部12から電気角θe=330°を入力し、3相軸からD軸及びQ軸への座標変換を行い、データ0の磁束電流FBを減算部122に出力し、トルク電流FBを減算部125に出力する。電流FB3相−2相変換部127がデータ0のW相電流FBを入力するのは、電気角が330°に固定に設定されており、W相電圧指令が0だからである。また、電流FB3相−2相変換部127がデータ0の磁束電流FBを出力するのは、電気角θe=330°及びW相電流FBが0の座標変換を行うからである。ここで、U相電流FBをIu、W相電流FBをIw、磁束電流FBをIds、トルク電流FBをIqsとすると、以下の式により、電流FB3相−2相変換部127において電流FBの変換が行われる。
Ids=Iu×sin(θe+30°)+Iw×sin(θe+90°)
Iqs=Iu×sin(θe+120°)+Iw×sin(θe)
つまり、前記式により、W相電流FBであるIw=0、電気角θe=330°のとき、磁束電流FBであるIds=0だからである。
【0062】
減算部122は、磁束電流指令AC/DC切替部11からデータ0の磁束電流指令を入力すると共に、電流FB3相−2相変換部127からデータ0の磁束電流FBを入力し、データ0の磁束電流偏差を計算する。磁束(D軸)電流アンプ123は、減算部122からデータ0の磁束電流偏差を入力し、データ0の磁束電圧指令を電圧指令2相−3相変換部131に出力する。電圧指令2相−3相変換部131は、磁束(D軸)電流アンプ123からデータ0の磁束電圧指令を入力し、トルク(Q軸)電流アンプ126からトルク電圧指令を入力すると共に、電気角AC/DC切替部12から電気角θe^=330°を入力し、D軸及びQ軸から3相軸への座標変換を行う。そして、電圧指令2相−3相変換部131は、図5に示したように、絶対値が等しく逆相となるU相電圧指令及びV相電圧指定を出力すると共に、データ0のW相電圧指令を出力する。
【0063】
このように、図2に示した制御部10は、DCモータ105を使用する場合、すなわち切替信号がDCを示している場合、図8に示した従来のDCモータ制御部110と同様に機能する。
【0064】
以上のように、誘導電動機のACモータ104を使用する場合、モータ制御装置1の制御部10における電機周波数計算部129及び電気角計算部130が、すべり周波数を考慮した電気角θe^,θeを生成し、電圧指令2相−3相変換部131が、磁束電流とトルク電流とが直交関係を保つように、U相、V相及びW相電圧指令を生成する。すなわち、制御部10は、図示しないエンコーダからの信号に基づいて電気角θe^,θeを計算し、磁束(D軸)電流アンプ123による磁束電流制御、トルク(Q軸)電流アンプ126によるトルク電流制御、電機周波数計算部129及び電気角計算部130によるすべり周波数制御、及び、電圧指令2相−3相変換部131及び電流FB3相−2相変換部127による座標変換によって、誘導電動機のACモータ104を制御する。
【0065】
また、同期電動機のACモータ104を使用する場合、電機周波数計算部129及び電気角計算部130が、図示しないエンコーダからの信号によりロータのマグネット位置を検出し、その位置情報と絶対位置オフセットに基づいて電気角θe^,θeを生成し、電圧指令2相−3相変換部131が、U相、V相及びW相電圧指令を生成する。すなわち、制御部10は、図示しないエンコーダからの信号に基づいて電気角θe^,θeを計算し、トルク(Q軸)電流アンプ126による磁極に同期させたトルク電流制御、及び、電圧指令2相−3相変換部131及び電流FB3相−2相変換部127による座標変換によって、同期電動機のACモータ104を制御する。
【0066】
また、DCモータ105を使用する場合、機械的に磁束とトルクが直交関係にあるから、電気角を固定にして制御部10を動作させる。つまり、制御部10は、同期電動機のDCモータ105の場合と同様に、トルク(Q軸)電流アンプ126によるトルク電流制御、及び、電圧指令2相−3相変換部131及び電流FB3相−2相変換部127による座標変換によって、DCモータ105を制御する。
【0067】
具体的には、本発明によるモータ制御装置1の制御部10によれば、ACモータ104を使用する場合、すなわち切替信号がACを示している場合、磁束電流指令AC/DC切替部11が、磁束指令部121からの磁束電流指令を減算部122に出力し、電気角AC/DC切替部12が、電気角計算部130からの電気角θe^,θeを電圧指令2相−3相変換部131及び電流FB3相−2相変換部127にそれぞれ出力し、電圧指令2相−3相変換部131が、磁束(D軸)電流アンプ123により生成された磁束電圧指令と、トルク(Q軸)電流アンプ126により生成されたトルク電圧指令とを用いて、電気角θe^の座標変換を行い、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令を出力するようにした。これにより、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令に対応したPWM指令にて、ACモータ104を制御することができる。この場合、電流FB3相−2相変換部127は、U相電流FBとW相電流FBとを用いて、電気角θeの座標変換を行い、磁束電流FB及びトルク電流FBを出力する。
【0068】
一方、DCモータ105を使用する場合、すなわち切替信号がDCを示している場合、制御部10は、予め設定された固定の電気角θe^,θeにて、動作するようにした。具体的には、磁束電流指令AC/DC切替部11が、データ0の磁束電流指令を減算部122に出力し、電気角AC/DC切替部12が、予め設定された固定の電気角θe^,θe=330°を電圧指令2相−3相変換部131及び電流FB3相−2相変換部127にそれぞれ出力し、電圧指令2相−3相変換部131が、磁束(D軸)電流アンプ123からのデータ0の磁束電圧指令と、トルク(Q軸)電流アンプ126により生成されたトルク電圧指令とを用いて、電気角θe^=330°の座標変換を行い、絶対値が等しく逆相となるU相電圧指令及びV相電圧指定を出力すると共に、データ0のW相電圧指令を出力するようにした。これにより、互いに逆相となるU相電圧指令及びV相電圧指令のPWM指令にて、DCモータ105を制御することができる。この場合、電流FB3相−2相変換部127は、U相電流FBとデータ0のW相電流FBとを用いて、電気角θe=330°の座標変換を行い、データ0の磁束電流FBを減算部122に出力し、トルク電流FBを減算部125に出力する。そして、減算部122によって、磁束(D軸)電流アンプ123に入力される磁束電流偏差は0となる。
【0069】
したがって、モータ制御装置1の制御部10は、DCモータ制御及びACモータ制御の両機能を兼用する際に、電気角を固定に設定することで、ACモータ制御の機能を用いてDCモータ制御の機能を実現するようにした。これにより、ハードウェアまたはファームウェアを切り替えることなく、また、メカスイッチを用いることなく、ACモータ制御及びDCモータ制御を切り替えることができる。したがって、DCモータとACモータとの間の切り替えを、小規模及び低コストにて実現することが可能となる。
【0070】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、モータ制御装置1の制御部10では、DCモータ105を使用する場合、図2及び図7に示したように、予め設定された固定の電気角θe^,θe=330°を用いるようにしたが、図5(2)に示したように、DCモータ105とコネクタ106との間の配線に応じて、他の固定の電気角θe^,θe=30°,90°,150°,210°,270°を用いるようにしてもよい。また、予め設定された固定の電気角θe^,θeは、330°等を含む所定範囲の値であればよい。この所定範囲は、DCモータ105を制御可能な指令を生成することができ、トルク誤差が生じない範囲、すなわち、DCモータ105を所望どおりに回転制御可能な範囲である。
【符号の説明】
【0071】
1 モータ制御装置
10 制御部
11 磁束電流指令AC/DC切替部
12 電気角AC/DC切替部
13,128 非干渉補償部
100 AC電源
101 コンバータ
102 平滑用コンデンサ
103 インバータ
104 ACモータ
105 DCモータ
106 コネクタ
110 DCモータ制御部
111,124 トルク指令部
112,122,125 減算部
113,126 トルク(Q軸)電流アンプ
114 誘起電圧補償部
115 反転部
120 ACモータ制御部
121 磁束指令部
123 磁束(D軸)電流アンプ
127 電流FB3相−2相変換部
129 電機周波数計算部
130 電気角計算部
131 電圧指令2相−3相変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ACモータまたはDCモータを回転制御するためのPWM指令を出力する制御部と、前記制御部からPWM指令を入力し、前記PWM指令によってスイッチング素子をオンオフし、前記ACモータまたはDCモータへ電力を供給するインバータとを備えたモータ制御装置において、
前記制御部は、
磁束電流指令を生成する励磁指令部と、
前記励磁指令部から磁束電流指令を入力し、前記ACモータを使用することを示すACまたは前記DCモータを使用することを示すDCを示す切替信号を入力し、前記切替信号がACを示す場合、前記入力した磁束電流指令を出力し、前記切替信号がDCを示す場合、予め設定されたデータ0の磁束電流指令を出力する磁束電流指令AC/DC切替部と、
トルク電流指令を生成するトルク指令部と、
電気角を計算する電気角計算部と、
前記電気角計算部により計算された電気角を入力し、前記切替信号を入力し、前記切替信号がACを示す場合、前記入力した電気角を出力し、前記切替信号がDCを示す場合、予め設定された固定の電気角を出力する電気角AC/DC切替部と、
前記インバータから前記ACモータまたはDCモータへ供給される電力の電流が電流FBとして検出され、前記電流FBの座標軸を、前記電気角AC/DC切替部より出力された電気角の角度座標回転させ、磁束電流FB及びトルク電流FBの座標軸へ変換する電流FB座標変換部と、
前記磁束電流指令AC/DC切替部により出力された磁束電流指令と、前記電流FB座標変換部により変換された磁束電流FBとの間の磁束電流偏差が0になるように制御を行い、磁束電圧指令を生成する磁束電流アンプと、
前記トルク指令部により生成されたトルク電流指令と、前記電流FB座標変換部により変換されたトルク電流FBとの間のトルク電流偏差が0になるように制御を行い、トルク電圧指令を生成するトルク電流アンプと、
前記磁束電流アンプにより生成された磁束電圧指令及び前記トルク電流アンプにより生成されたトルク電圧指令の座標軸を、前記電気角AC/DC切替部により出力された電気角の角度座標変換させ、電圧指令を生成し、前記電圧指令を前記PWM指令として出力する電圧指令座標変換部と、
を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御装置において、
前記ACモータを使用する場合の前記電圧指令座標変換部により生成された電圧指令を、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令としたときに、前記U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令のうちのいずれかが0のときの電気角を、前記電気角AC/DC切替部における予め設定された固定の電気角とする、ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータ制御装置において、
前記電気角AC/DC切替部における予め設定された固定の電気角を、30°、90°、150°、210°、270°及び330°のうちのいずれかを含む所定範囲の角度とする、ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記電気角AC/DC切替部における予め設定された固定の電気角を、前記W相電圧指令が0のときの330°を含む所定範囲の角度とし、
前記電流FB座標変換部は、
前記インバータから供給される電力のU相電流FB及びW相電流FBを入力し、前記U相電流FB及びW相電流FBの座標軸を、前記電気角AC/DC切替部より出力された電気角の角度座標回転させ、磁束電流FB及びトルク電流FBの座標軸へ変換し、
前記電圧指令座標変換部は、
前記ACモータを使用する場合、U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令を生成し、前記U相電圧指令、V相電圧指令及びW相電圧指令をPWM指令として出力し、前記DCモータを使用する場合、絶対値が等しく逆相のU相電圧指令及びV相電圧指令を生成すると共に、データ0のW相電圧指令を生成し、前記U相電圧指令及びV相電圧指令を前記PWM指令として出力する、ことを特徴とするモータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−175725(P2012−175725A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32090(P2011−32090)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(390014384)日本リライアンス株式会社 (58)
【Fターム(参考)】