ルテニウム系材料およびルテニウム合金
本明細書には、ルテニウムおよび元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族の元素の少なくとも1つの元素またはこれらの組合せが含まれる、蒸着法または原子層堆積法において用いるための合金が記載される。また、本明細書には、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層、および元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族の元素の少なくとも1つの元素またはそれらの組合せを含む少なくとも1つの層が含まれる積層材料が記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、ルテニウム系材料および/またはルテニウム合金、蒸着法および原子層堆積法におけるそれらの使用、ならびにそれらから形成および/または製造された層状の材料および膜である。
【背景技術】
【0002】
電子部品および半導体部品は、絶えず増大しつつある数の消費者向けおよび商業的電子製品、通信用製品、ならびにデータ交換製品において用いられている。これらの消費者向け製品および商業的製品のいくつかの例としては、テレビジョン、コンピュータ、携帯電話、ポケットベル、手のひらサイズのシステム手帳、携帯ラジオ、カーステレオ、またはリモートコントローラーが挙げられる。これらの消費者向け電子製品および商業的電子製品に対する需要が増大するに従い、消費者向けおよびビジネス向けに、より小型化しおよびより携帯しやすくしたそれらと同じ製品に対する需要も存在する。
【0003】
これらの製品における小型化の結果、これらの製品を構成する部品もまた、より小さくおよび/またはより薄くならざるを得ない。より小型化するまたは縮小する必要があるこれらの部品の例としては、マイクロ電子チップの結線、半導体チップの部品、抵抗器、コンデンサ、プリント基板または配線盤、配線、キーボード、タッチパッド、およびチップのパッケージが挙げられる。
【0004】
電子部品および半導体部品が小型化または縮小されると、より大きな部品に存在するいずれかの欠陥は、縮小された部品においてより顕在化する。したがって、より大きな部品に存在するまたは存在する可能性のある欠陥は、可能であれば、部品をより小さい電子製品用に縮小する前に、特定して修正しなければならない。
【0005】
電子部品、半導体部品、および通信用部品の欠陥を特定して修正するために、それらの部品を製造するための、部品、用いられた材料および製造方法を細かく分割して分析しなければならない。電子部品、半導体部品、および通信/データ交換部品は、いくつかの場合、金属、金属合金、セラミックス、無機材料、ポリマーまたは有機金属材料などの材料の層から構成されている。材料層は、しばしば薄い(厚さが数十Å未満のオーダ)。材料層の品質を改善するために、層を形成する方法(金属または他の化合物の蒸着等)を検査し、可能であれば改善しなければならない。
【0006】
マイクロプロセッサのスピードへの増大する要求は、アルミニウム系結線から銅系結線への移行、即ち回路の電気抵抗低減を促した。銅(Cu)結線の難点の一つは、Cuの基板内への拡散である。従来から、TaN/TaまたはTiN/Tiの二層バリアー膜が、マイクロ電子回路製造において銅(Cu)拡散バリアー用に用いられてきた。これらのバリアー機構の欠点の一つは、CuをTaまたはTi上へ直接電気メッキすることが出来ないことである。従って、Cuシード膜をバリアー膜上に物理蒸着法(PVD)により配置して銅の電気化学メッキ(ECP)を容易にする。特徴として結線のサイズは、より小さくなるが、バリアー層/Cuシード層の複合厚さがバイアホール/トレンチのサイズに対して厚くなりすぎている。最近、ルテニウム(Ru)が有望なバリアー材料として登場したが、なぜなら、銅がPVDCuシード層なしでRu上に直接配置され得るからである。
【0007】
Ruは優れたバリアー強度を示すが、基板層(SiおよびSiO2)への接着性が許容できないほど劣ることがわかっている。例えば、ルテニウムは、Ru−Cの結合強度152Kcal/モル、Ti−Oの結合強度168Kcal/モル、またはTa−Oの結合強度198Kcal/モルに比べて43Kcal/モルであるRu−O結合強度を有する。接着性は、マイクロ電子結線における最も重要な因子の1つであるが、なぜなら界面の結合が弱い場合、デバイスの故障、特に応力およびエレクトロマイグレーションの結果としての故障を引き起こす可能性がしばしば増大するからである。過去には、Ru[1から3]、Ru−RuO2[4]、およびRuTiN−RuTiO[5]が拡散バリアーとして提示された。しかしながら、これらのアプローチは、厳密な接着性試験によりおこなわれなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、並外れたバリアー強度を有し、蒸着法および原子層堆積法(ALD)に用いることができる、ルテニウム系材料およびルテニウム系合金材料を開発することは理想的であろう。加えて、これらのルテニウム系材料およびルテニウム系合金材料は、すでに示唆されたものよりもより優れた接着性を備えているに違いなく、より低い電気抵抗を備えているに違いなく、それらは銅とのよりよい化学機械研磨(CMP)両立性を備えているに違いなく、粒子発生がより低いに違いなく、およびチャンバーの予防メンテナンス回数を低減するに違いないであろう。また、ルテニウム系材料および/またはルテニウム系合金材料から膜および積層材料を製造することは有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(主題の概要)
本明細書には、ルテニウムおよび元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族の元素の少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む、蒸着法または原子層堆積法において用いるための合金が記載される。
【0010】
さらに本明細書には、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層および元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族の元素の少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む少なくとも1つの層が含まれる積層材料が記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(詳細な説明)
蒸着法または原子層堆積法において用いることができるルテニウム系材料およびルテニウム系合金材料が開発されて、本明細書中に記載されている。また、これらのルテニウム系材料およびルテニウム系合金材料は、既存の上記材料より優れた接着性を有し、電気抵抗を低減し、Cuとのより良好な化学機械研磨(CMP)両立性を提供し、粒子の発生を低減し、窒化過程を含まないため、チャンバーの予防メンテナンス回数を低減する。また、ここには、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層、および元素周期表のIV族、V族もしくはVI族の少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む少なくとも1つの層を含む積層材料が記載されている。
【0012】
上記の蒸着方法において機能することが見出され、上記に略説した目標を満たす、ルテニウム系材料およびルテニウム系合金の開発において、下記原子−原子および原子−分子間結合、即ちTa−SiO2、Ti−SiO2、TiZr−SiO2、Ta−Ru、Ti−Ru、TiZr−Ru、Ta−Cu、Ti−Cu、Zr−Cu、およびRu−Cuが優れていることがわかった。この情報を用いて、IV族、V族、およびVI族の元素ならびにそれらとルテニウムとの合金(Ti−Ru、Zr−Ru、Hf−Ru、TiZr−Ru、V−Ru、Nb−Ru、Ta−Ru、Mo−Ru、W−Ruなど)を含む、一群の新規材料および合金が開発された。この研究に基づき、ルテニウムおよび元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む、蒸着法または原子層堆積法において用いるための合金をここに記載する。加えて、この研究により、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層および元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族の少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む少なくとも1つの層が含まれる積層材料を開発した。積層材料は、銅、銅合金、またはそれらの組合せを含む少なくとも1つの更なる層を含むこともできる。
【0013】
よく検討された実施形態において、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層のそれぞれの厚さは、約300Å未満である。他の実施形態において、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の厚さは、約200Å未満である。さらに他の実施形態において、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の厚さは、約150Å未満である。元素周期表のIV族、V族またはVI族の少なくとも1つの元素を含む少なくとも1つの層についても同様で、1つまたは複数の層の厚さは、それぞれ約300Å未満、約200Å未満および/または約150Å未満であり得る。
【0014】
ルテニウム濃度を調節して、接着性およびCuメッキ能を制御することができる。TiZrおよびTiZrNは、この種の用途におけるルテニウムおよびルテニウム系合金の優秀さを示すことに関してルテニウムに匹敵し得る。例えば、TiZrおよびTiZrNは、それぞれ550℃および650℃までCu拡散に対する良好なバリアー強度を示しており、Ruは700℃までの優れたバリアー強度を示している。PVD金属膜のほとんどは圧縮応力を受けるが、バリアー−Cu複合膜は最終的に引張り応力を受け、接着性が弱まる。一方、PVD TiZr膜の引張り応力は低く、Cuが蒸着される場合、応力がかかっても逆転しない。特に、TiZr−Ru合金は、特にその良好な接着強度およびCuを直接メッキできることの観点において、バリアー適用に対して非常に重要である。二層バリアー構成であるが、TiZr−Ru合金は、単一蒸着方法における膜の形成を可能にする。
【0015】
ここの合金および材料は、スパックリングターゲットの形成に用いられ得、ここにおいて考案されるそれらのターゲットは、用途およびPVD工程において用いられる装置による、いずれかの適した形状および大きさを含む。ここにおいて考案されるスパックリングターゲットもまた表面材料およびコア材料を含み、表面材料は、コア材料に結合している。表面材料は、いずれかの測定可能な時点においてエネルギー源に曝露されるターゲットの部分であり、表面被覆として望ましい原子を生じることを意図するターゲット材料全体の部分でもある。ここにおいて、用語「結合している」は、物質または成分の2つの部分の物理的結合(接着による、材料界面の結合)、または共有結合およびイオン結合などの結合力、ならびにVan der Waals引力、静電引力、クーロン引力、水素結合引力および/または磁気引力などの非結合力を含む、物質または成分の2つの部分間の物理的および/または化学的な引力を意味する。表面材料およびコア材料は、同じ元素構成または化学的組成/成分を一般に含むことができ、または表面材料の元素構成および化学的組成は、コア材料の元素構成および化学的組成とは異なるように改変または変更され得る。ほとんどの実施形態において、表面材料およびコア材料は同じ元素構成および化学的組成を含む。しかしながら、いつターゲットの有効寿命が終了したかを検知することが重要であり得るまたは材料の混合層を蒸着させることが重要である実施形態において、表面材料およびコア材料は、異なる元素構成または化学的組成を含むように調整され得る。
【0016】
コア材料は、表面材料にサポートを提供し、スパッタリング過程において更なる原子を場合により供給するように、またはいつターゲットの有効寿命が終了したかに関する情報を提供するように設計される。例えば、コア材料が本来の表面材料とは異なる材料を含み、品質管理装置がターゲットとウェーハとの間の空間内にコア材料の原子が存在することを検知した場合、既存の表面上/ウェーハ層上への望ましくない材料の蒸着によって金属被覆の化学的整合性および元素的純度が損なわれるおそれがあるため、ターゲットを除去し別のターゲットに取り換えるまたは製品も一緒に廃棄する必要があり得る。コア材料は、いずれもHoneywell International社が保有し、その全体が参照により本明細書中に組み込まれるPCT特許出願番号第PCT/US02/06146号および米国特許出願番号第10/672690号に開示されているような、大きな改質または微細な窪みを含まないスパックリングターゲットの一部でもある。換言すると、コア材料は、構造および形状が概ね均一である。
【0017】
スパックリングターゲットは、a)スパックリングターゲット内に確実に形成され得、b)エネルギー源に衝撃を与えられる場合、ターゲットから飛び出し得、c)ウェーハ上または表面上に最終層または前駆体層を形成するのに適し得る、いずれかの材料を一般に含むことができる。適したスパックリングターゲットを製造するように考案される材料は、金属、金属合金、導電性ポリマー、導電性複合材料、導電性モノマー、誘電材料、ハードマスク材料、および他の適したスパッタリング用材料である。ここにおいて、用語「金属」は、元素周期表のdブロックおよびfブロックにある元素、さらにはケイ素およびゲルマニウム等の金属様特性を有する元素を意味する。ここにおいて、用語「dブロック」は、元素の核の周囲の3d、4d、5d、および6d軌道を占める電子を有する元素を意味する。ここにおいて、用語「fブロック」は、ランタニド類およびアクチニド類を含む、元素の核の周囲の4f軌道および5f軌道を占める電子を有する元素を意味する。考案される金属は、上記のルテニウム系材料および合金を含み、この金属は、チタン、ケイ素、コバルト、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、バナジウム、ジルコニウム、アルミニウムおよびアルミニウム系材料、タンタル、ニオブ、スズ、クロム、白金、パラジウム、金、銀、タングステン、モリブデン、セリウム、プロメチウム、トリウムまたはこれらの組合せも含み得る。ここにおいて、用語「およびそれらの組合せ」は、銅のスパックリングターゲットに不純物のクロムおよびアルミニウムが含まれるように、スパックリングターゲットのいくつかにおいて、金属不純物があってよいこと、または金属間ならびに合金、ホウ化物、炭化物、フッ化物、窒化物、ケイ化物、酸化物、およびその他を含むターゲットなどのスパックリングターゲットを構成する他の材料間の意図的な組合せがあってよいことを意味すると理解されたい。
【0018】
ここで検討されるターゲットからの原子のスパッタリングによって生成される薄層または膜は、他の金属層、基板層、誘電体層、ハードマスク層またはエッチング停止層、ホトリソグラフィー用層、反射防止層などを含むいずれかの数の層または一貫した層上に形成され得る。いくつかの好ましい実施形態において、誘電体層は、Honeywell International社によって考案され、製造されまたは開示された誘電体材料を含むことができ、この誘電体材料には、a)発行された特許US5959157、US5986045、US6124421、US6156812、US6172128、US6171687、US6214746、および係属中の特許出願09/197478、09/538276、09/544504、09/741634、09/651396、09/545058、09/587851、09/618945、09/619237、09/792606に開示された化合物などの、FLARE(ポリ(アリレンエーテル))、b)係属中の特許出願09/545058;2001年10月17日出願の通し番号PCT/US01/22204;2001年12月31日出願のPCT/US01/50182;2001年12月31日出願の60/345374;2002年1月8日出願の60/347195;および2002年1月15日出願の60/350187に示されている化合物などの、アダマンタン系材料、c)本願の譲受人に譲渡された、米国特許第5,115,082号;第5,986,045号;および第6,143,855号;ならびに本願の譲受人に譲渡された2001年4月26日公開の国際特許公開WO 01/29052;および2001年4月26日公開のWO 01/29141、d)発行された特許US6022812、US6037275、US6042994、US6048804、US6090448、US6126733、US6140254、US6204202、US6208014、ならびに係属中の特許出願09/046474、09/046473、09/111084、09/360131、09/378705、09/234609、09/379866、09/141287、09/379484、09/392413、09/549659、09/488075、09/566287、および09/214219(これらは全て、本明細書中に参照によりその全体が組み込まれる。)に開示されている化合物などの、ナノポーラスなシリカ材料およびシリカ系化合物、ならびにe)Honeywell HOSP(登録商標)有機シロキサンを含むが、これらに限定されない。
【0019】
ウェーハまたは基板は、望ましい実質的に固体のいずれかの材料を含むことができる。特に望ましい基板は、膜、ガラス、セラミックス、プラスチック、金属もしくは被覆された金属、または複合材料を含む。いくつかの実施形態において、基板は、ヒ化ケイ素またはヒ化ゲルマニウムの鋳型またはウェーハ表面、銅、銀、ニッケルまたは金のメッキリードフレーム中に見られるパッケージング表面、回路基板またはパッケージ結線路、バイアホール壁または補強剤インターフェースに見られる銅表面(「銅」は、純銅、銅合金および銅酸化物の考慮すべき要素を含む。)、ポリイミド系フレックスパッケージ中に見られるようなポリマー系パッケージまたは基板インターフェース、鉛または他の金属の合金のはんだくず表面、ガラス、およびポリイミドなどのポリマーを含む。より好ましい実施形態において、基板は、ケイ素、銅、ガラス、またはポリマーなどのパッケージおよび回路基板産業において共通の材料を含む。本明細書において考案される基板層は、少なくとも2つの材料層を含むこともできる。基板層を含む1つの材料層は、上記の基板材料を含むことができる。基板層を含む他の材料層は、ポリマー、モノマー、有機化合物、無機化合物、有機金属化合物の層、連続層およびナノポーラス層を含むことができる。
【0020】
基板層はまた、材料が連続層であるよりナノポーラス層であることが望ましい場合、複数の空隙を含むこともできる。空隙は一般に球状であるが、管状、層状、円盤状または他の形状を含むいずれかの適した形状を代替的にまたは追加的に有することができる。空隙がいずれかの適切な直径を有することができることもまた、考案される。少なくともいくつかの空隙が隣接する空隙と結合してかなりの量の結合されたまたは「開放」の気孔を有する構造を作り出すことができることも、さらに考案される。空隙は、1μm未満の平均直径を有することが好ましく、100nm未満の平均直径を有することがより好ましく、10nm未満の平均直径を有することがさらにより好ましい。空隙が基板層内に均一にまたはランダムに分散できることが、さらに考案される。1つの好ましい実施形態において、空隙は、基板層内に均一に分散する。
【0021】
提供される表面は、本明細書において、いずれかの適した表面として考案され、それは、ウェーハ、基板、誘電材料、ハードマスク層、他の金属、金属合金または金属複合体層、反射防止層または他のいずれかの適した積層材料を含む。表面上に生成される被覆、層、または膜も、いずれかの適した厚さまたは望ましい厚さ(1原子または1分子の厚さ(1nm未満)から数mmの厚さまでの範囲)であってよい。
【0022】
本明細書に記載する、ルテニウム系合金および材料ならびに関係するスパックリングターゲットおよび蒸着源は、電子部品、半導体部品および通信部品/データ伝送部品を製造し、形成し、またはさもなければ改変するいずれかの方法または製造設計に組み込まれ得る。本明細書において考案されるような電子部品、半導体部品、および通信部品は、電子系、半導体系、および通信系製品に利用可能ないずれかの層状部品を含むと一般に考えられる。考案される部品は、マイクロチップ、回路基板、チップのパッケージ、セパレーターシート、回路基板の誘電体部品、印刷された配線板、タッチパッド、導波体、光ファイバーおよび光子伝送部品および音波伝送部品、二重ダマシン法を用いてまたは組み込んで製造されるいずれかの材料、ならびにコンデンサ、インダクタ、および抵抗器等の回路基板の他の部品を含む。
【0023】
電子系製品、半導体系製品および通信系製品/データ伝送系製品は、工業においてまたは消費者によってそのまま使用可能であるという意味において「仕上げる」ことができる。仕上げられた消費者向け製品の例は、テレビジョン、コンピュータ、携帯電話、ポケットベル、手のひらサイズのシステム手帳、携帯ラジオ、カーステレオ、およびリモートコントローラーである。やはりまた考案されるのは、仕上げられた製品に場合により利用される回路基板、チップのパッケージ、およびキーボード等の「中間」製品である。
【0024】
電子製品、半導体製品、および通信製品/データ伝送製品はまた、概念モデルから最終的な実物大モデルまでの開発のいずれかの段階での原型部品も含む。原型部品は、仕上げられた製品中に用いるように意図される実際の部品すべてを含んでも含まなくてもよく、原型部品は、初期試験において他の部品に影響を及ぼさないように複合材料で構成されたいつかの部品を有することができる。
【実施例】
【0025】
本研究において用いたターゲット材料は、Honeywell 3NグレードのTi−5原子%Zr合金(米国特許公開第2003/0132123号)、以降TiZrと呼ぶ)、3N5グレードのTa、および3N5グレードのRuであった。TiZrターゲットおよびTaターゲットを、熱間圧延金属シートから調製した。5原子%のZrをTiに加えることにより、平均粒径が10μm未満の微細構造を製造した。熱間圧延したTaの粒径は、30μmから50μmの範囲内であった。図1に、TaおよびTiZr合金の光学顕微鏡写真を例示する。TiおよびZrは、周期表の同じ族にあって、全組成範囲で完全に混和し固溶体を形成する。Ruターゲットを、粉体冶金法、それに続く最終的な真空熱処理により製造した。仕上げられたターゲットの平均粒径は、約85μmであった。
【0026】
窒化物膜を、真空を破ることなく連続して金属、窒化物、および銅の蒸着が可能なApplied Materials社のP5500 Endura(登録商標)システム内における反応物理蒸着(PVD)により調製した。膜を、200mmウェーハ上に調製した。具体的な蒸着条件を、データに基づき選択した。Ru膜のいくつかには、直接メッキ能を確認し全体的な接着強度を評価するため、Cuを電気化学的にメッキした。Cu拡散の検討に用いた試験片に対して、加熱処理の間に銅膜を酸化から保護するため、最終キャッピングを、PVD法TaNまたは化学蒸着(CVD)法Si3N4でおこなった。
【0027】
ラザフォード後方散乱分光法(RBS)および走査型電子顕微鏡検査(SEM)を用いて、Cu拡散の範囲を測定した。透過型電子顕微鏡検査(TEM)を実施して、膜微細構造を検査した。曲げ強度ゲージを用いて、膜の応力を測定した。接着強度を、ASTM標準テープ試験法[8]に準拠して、およびSEM断面検査により評価した。推奨に値することに、後者のSEM法は、接着強度の評価およびCu拡散の範囲決定において、最も厳密および精確な方法であることが判明した。SEM検査のためにウェーハを割る際に、弱い界面が存在すると剥離が生じた。テープ試験で弱く結合した界面が検出できなくても、SEM法では明らかになった。膜のシート抵抗(Rs)を、CDE ResMap 4探針測定器で測定した。バルク電気抵抗(ρ)は、較正された式ρ=Rst(式中、「t」は、膜の厚さである。)から算出された。膜の厚さを、膜の重量および比重、ならびにSEM断面法により良く較正された蒸着速度から求めた。
【0028】
結果および考察
スパックリングターゲット
熱間圧延されたTi−5原子%Zr合金のビッカース硬度値は、約210ksi(1.45GPa)であって、Taのビッカース硬度値(Hv=85ksiまたは0.59GPa)のほぼ3倍高いものであった。両方の金属を200℃で24時間熱アニールした後は両者の硬度に目立った違いがなくなり、スパッタリングの間にターゲットが安定のままであることを示唆した。TiZrおよびTaの0.2%降伏強度はそれぞれ68ksiおよび33ksiであった。TiZr合金の降伏強度が高いのは、大きなZr原子の付加により固溶体が硬化し粒径が微細化したためと思われた。
【0029】
ターゲットの機械的強度および熱安定性は重要であり、特に長期間投入自己イオン化プラズマ(SIP)システム[13]内で高電力稼動が必要な用途に対して重要である。機械的強度が優れているのみならず、TiZrは、コストが低く、重さが軽く、取扱いが容易で、均一に製造しやすく、高純度で利用でき、供給網のリスクが小さい。六方最密充填構造(h.c.p.)のTiZrは、粒組織を均一にし、不均一な粒組織による蒸着速度の変動は観察されていない。一方、形成されたTaがしばしば、高度に模様が付きまたは帯状のターゲットを生じ、許容できない膜の不均一性をもたらすことが知られている[14]。これは主に、Taの場合、鋳造時の粒が残り、体心立方構造(b.c.c.)内ですべりが生じて、アニーリング後に模様が付き帯状の微細構造となるためである。
【0030】
蒸着特性
粒径の改善は、ターゲットの粒径が機械的強度だけでなく蒸着率およびステップカバレッジにも影響するため、特に重要である。図2は、アスペクト比(AR)が4.3で0.4μmのバイアホールに対するTaNのステップカバレッジと、AR=5で0.16μmのバイアホールに対するTiZrNのステップカバレッジを比較している。TaNは、出力磁界が14mTで電力が4kWのイオン化金属プラズマ(IMP)チャンバー内で窒素と反応的に蒸着した(Arは25sccm、N2は28sccm)。TiZrN膜は、出力磁界が4.3mTで電力が6.5kWの従来型ワイドボディー・チャンバーで蒸着した(Arは55sccm、N2は75sccm)。蒸着膜全体の厚さに対する側壁のカバレッジを比較すると、蒸着法が従来型でありバイアホールが小さいにも関わらず、粒径の小さなTiZrターゲットが目で見てより良好なステップカバレッジを提供していることは明らかである。スパッタされた原子ビームの視準が改善されるため、より小さな粒径のターゲットでターゲット寿命が長くなることが実証された[15、16]。この物理的原理は、くぼんだ粒境界からスパッタされた原子が平坦な粒境界からスパッタされた原子より集束されやすく、粒境界みぞが多く導入されるほどまたは粒径が小さくなるほど、視準ビームの割合が大きくなるという事実に基づいている。集束された原子ビームは垂直から外れたビームが少なくなり、蒸着率およびステップカバレッジがよくなる。同時に、側壁への蒸着が低減して、遮蔽板の寿命が長くなり、チャンバーのメンテナンス回数を減らすことになる。
【0031】
接着
TaおよびTaNの双方ともがCu拡散に対する優れたバリアー強度を示しているが、Taの誘電体(すなわち、Si、SiO2)に対する接着性が貧弱なため、TaN/Ta二層構造がバリアー用途に用いられてきた。Taの誘電体に対する接着性が貧弱なのは、主として、次のセクションで説明するように、Ta膜の圧縮応力が高いためである。二層構造において、Cuが窒化物に良好に接着しないため、金属Taを接着層として加えなければならない。
【0032】
接着の性質を把握するため、さまざまな膜積層体について広範囲に接着強度の測定をおこなった。主要な結果のみを表Iにまとめた。この検討の主な目的は、良好な接着強度を有し、良好なバリアー強度を有し、Cuを直接電気化学的にメッキすることが可能なバリアー構造を特定すること、すなわちRuの使用を特定することであった。結果から、Ru単独では誘電体に対する適切な接着強度が生じず、Cuは、TaN、TiZrN等の窒化物に良好に接着せず、Taの誘電体に対する接着性が非常に劣ることが判明する。TaおよびTiZrは両方ともCuを直接電気化学的にメッキすることが不可能である。したがって、Cuの電気メッキの前にPVDによりCuシード層を蒸着させた。Ru標品については、Cuの蒸着にPVD法およびECP法の両方を用いた。両方法とも実質的に同等な応力および接着性をもたらした。試験したすべての組合せの内で、接着性およびメッキ性の必要条件を満たす許容される候補と特定されたのは、TiZr/Ru、TiZrN/Ru、およびTaN/Ruの二層構造のみであった。注意深く分析した結果、接着強度が膜の応力に大きく依存することが判明した。この分析について、つぎのセクションで説明する。
【0033】
【表1】
【0034】
応力
応力分析を、二軸膜の応力についての周知のStoney式を用いておこなった。式中、σはSI単位における平均膜応力[Pa]、Eは基板の弾性率[Pa]、νはポアソン比、tは膜の厚さ[m]、hは基板の厚さ[m]、R1およびR2は、それぞれ膜の蒸着前後の曲率半径[m]である。応力の算出において、(100)Siについて、E/(1−ν)=1.8×1011Paを用いる。
【0035】
【数1】
【0036】
図3は、CuおよびRuについて膜の厚さの関数としての応力の傾向を比較している。Cu被覆がSiO2およびSiを通って拡散するため、Cu膜はSi3N4を被覆したSiウェーハ上に2kWの電力で室温で蒸着した。他の膜をすべて、SiO2を被覆したウェーハ上に蒸着した。ルテニウム膜を、2kWの電力で100℃で蒸着した。Ru膜が圧縮性であるのに対し銅膜は引張り応力を示すが、膜厚さが増大すると、Cu膜もRu膜も応力傾向は圧縮から引張りに変わってゆく。曲線を注意深く調べると、テープ引張り試験での不合格は、応力傾向が圧縮から引張り(座屈)に変わった時に生じている。「座屈」および「接着力試験不合格」とのこのような関係は、発明者らの実験の多くにおいて一致してみられていた[10]。Cuについては応力傾向の逆転が明確ではないが、Cuも当初は圧縮性の膜として蒸着されるが、蒸着の間の急速アニーリングによって引張り応力になることを示す証拠がある。銅は、室温でもアニールされることが知られている[17]。これについては、さらに詳細に説明する。
【0037】
一般に、粒子、本明細書においてはスパッタされた粒子の打撃により膜が圧縮されるショットピーニング効果のため、PVD膜は圧縮性である。例えば、代表的なプロセス中のAr+イオンのエネルギーは400eVである。もしこのAr+イオンのエネルギーの半分がスパッタされた原子に移されると、原子は10km/秒を超える速度で飛び出る。このように高速の原子が基板に衝突すると、転位という形で膜に重大な損傷が生じ、膜を圧縮性にする。こうして、PVD膜には高密度の転位が残る。このことがTEMで確認された。転位という形で蓄えられたエネルギーは、修復および再結晶をおこなうエネルギーとなる。純AlおよびCu等の低融点金属の場合、このような効果はより顕著である。合金化されたAlにおいて、溶質のピン止めにより修復が実質的に妨げられる。スペースの制約上ここには記載しないが、圧縮データを注意深く調査すると、AlおよびCuは圧縮性膜として蒸着されるが、蒸着の間の動的な修復により引張り性となることがわかる。このことは、非常に低い温度で膜を蒸着することにより確認できる。蒸着条件によっては、特に基板が高温のプラズマ環境におかれた場合、Cu内で熱による修復がさまざまな程度で生じると思われる。
【0038】
図4では、4kWの電力で蒸着された、Ta膜およびTiZr膜の基板温度の関数としての応力の変動を比較している。膜の厚さはすべて20nmであった。Ta膜は、2000MPaを超える非常に高い圧縮応力をほとんどの温度領域で示した。応力が高いにもかかわらず、応力の傾向が大幅に変わらなかった(座屈効果が生じなかった)ため、剥離はなかった。しかしながら、次に示すように、引張り性のCu膜が蒸着された場合、高度に圧縮性のTa膜の接着安定性は保持されなかった。TiZr膜は、すべての温度において−150MPaと+400MPaとの間のおおよそ中間的な応力を示し、Cuの蒸着後でも予測されたように剥離はなかった。
【0039】
実際のデバイスで期待される膜積層体での最終的な特性を確認しなければならないため、SiO2被覆Siウェーハ上に20nm−Ta/10nm−Ru/1μm−Cuおよび20nm−TiZr/10nm−Ru/1μm−Cuとして3層膜積層体を形成した。この場合、対象のサイズおよび用いるPVDの方法により、一般的なバイアホール/トレンチライナーでの厚さとして、数nmから数十nmの厚さの膜が形成される。バリアー金属膜(Ta、TiZr、Ru)は電力2kWで100℃で蒸着し、Cu膜は電力2kWで室温で蒸着した。図5に、Ta/Ru/Cu膜積層体およびTiZr/Ru/Cu膜積層体の基板温度の関数としての応力の変動を示す。両方のタイプの膜積層の最終的な応力値は500MPaの範囲で、図3および図5を比較すればわかることが出来るように、Cu膜の厚さが最終的な応力を決定することが示唆される。予測されたように、Ta系バリアー膜は、Cu蒸着後に応力状態が高度な圧縮性から引張り性に逆転した結果、テープ引張り試験で不合格となった。一方、中間的なTiZr系バリアー膜積層体は、Cu蒸着後においても優れた接着性を維持した。応力が接着性を支配する要素の1つであることは明らかである。
【0040】
予測されたように、高融点の窒化物膜は、非常に高い圧縮応力を示し、100℃未満で蒸着されたTaN膜およびTiZrN膜の両方で3000MPaを超えた。200℃と300℃との間で蒸着したTiZrN膜ではかなり中間的な膜応力となり、一方、TaN膜の応力は高い蒸着温度であっても圧縮性にとどまっていた。圧縮応力が高いにも関わらず、TaN膜は、Cu蒸着後であっても良好な接着性を示した。一般に、非金属−非金属結合は、例えばSiO2−TaNおよびSiO2−TiZrNにおけるように、良好であることがわかっている。最終的な複合膜の応力は、20nm−TaN/10nm−Ru/1μm−Cuについて約450MPaの引張り応力であり、20nm−TiZrN/10nm−Ru/1μm−Cuについては約300MPaの引張り応力であった。Cuの電気メッキ性および拡散バリアー強度の評価について、窒化物膜およびRu膜を200℃で蒸着した。図6に、SiO2上のルテニウム膜の応力に対する温度の効果を示す。ルテニウム膜の応力は、蒸着温度が上昇するとともに圧縮性から引張り性に変わる。
【0041】
Cuのメッキ付け
Cuは、5nmの薄いRu膜上であっても、何の問題もなく直接電気メッキできる。接着性試験で、TiZr/Ru/ECP−CuでもまたはTiZrN/Ru/ECP−Cuでも剥離はみられず、TiZr/RuバリアーおよびTiZrN/Ruバリアーが、応力に関する限り、PVD−CuおよびECP−Cuの双方に適合することが示唆された。
【0042】
一般に、金属−非金属結合(すなわち、Ta−SiO2)は、金属−金属結合(すなわち、Ta−Cu)より弱い。CuをTaまたはTi上にメッキできないのは、接着を阻害する酸化物層が残存しているためであって、電気抵抗が高いためではない。CuはTaおよびTi上にメッキ可能であるが、うまく結合しない。CuもRuも酸化物を形成するが、表IIで比較しているように、酸素との親和性がTaおよびTiに比べ相対的に低いため、酸化物はより不安定である。ルテニウムは酸素に対する結合エネルギーが低く、酸化物形成の標準Gibbsエネルギーが大きく、Cuに匹敵する電気陰性度を有している。薄い銅酸化物は、硫酸に接触すると容易に溶解することが知られている。Ruが銅より、より貴な金属であることを考えると、より不安定なルテニウム酸化物は、酸中でのCuメッキにおいて容易に溶解すると考えられる。
【0043】
【表2】
【0044】
バリアー強度
Cu拡散に対するバリアー強度を評価するため、TaN膜およびTiZrN膜を35sccmのArガス流速および75sccmのN2ガス流速下で400℃/6.5kW/5mTで蒸着した。RBS分析により、金属対窒素の化学量論比がTa0.6〜0.4N0.4〜0.6および(TiZr)0.47〜0.60N0.53〜0.40の範囲であることが判明した。膜内のTi/Zr比は、ターゲットの比とほぼ同等であり、スパッタリングによりターゲットまたは膜の組成が変化したとは思われない。金属Taおよび金属TiZrを、Ar加圧下400℃/2kW/2.3mTで蒸着した。膜を酸化から保護するため、Si3N4キャッピングをアニーリングに先立って形成した。Ru膜積層体を、5nmのRuに続き約200nmのCuを蒸着し、最終的にTaNでキャッピングをおこなって調製した。ルテニウムを100℃で蒸着し、Cuを室温で蒸着した。
【0045】
金属のバリアー強度は、その金属の窒化物のバリアー強度より一般に低かった。TaNおよびTiZrNは双方とも最高700℃まで優れたバリアー強度を示したが、金属TaおよびTiZrは550℃までの安定性を示した。金属としてRuは700℃までの例外的なバリアー強度を示した。具体的な実施例を以下に記載する。
【0046】
図7に示すように、SEM断面写真により750℃で1時間のアニーリング後にTaNおよびTiZrNを通過してCuが実質的に拡散していることが示された。しかしながら、700℃では、5時間アニーリングしてもCu拡散を示すものはなかった。図8では、TaNおよびTiZrNの双方について1時間および5時間アニールした標品のRBSプロファイルを比較している。この場合、表面のCuが分析に確実に影響しないように、RBS分析に先立ってCu層を除去した。Si3N4層およびCu層を、それぞれ、濃HFおよび希HNO3酸で化学的に研磨して除去した。1時間アニールした標品のRBSスペクトルと5時間アニールした標品のRBSスペクトルとの間に識別可能な違いはなく、RBSスペクトル中にCuの痕跡が認められなかった。図9は、650℃で1時間アニールしたTiZrNのTEM微細構造および550℃で1時間アニールしたTiZrのSEM微細構造の断面図を示す。いずれの場合も、基板は清浄で、Cu拡散の兆候はみられなかった。
【0047】
図10には、700℃に1時間曝露したRuのバリアー強度を示す。SEM断面から、5nmの薄いRuバリアーでCu拡散の兆候がまったくないことがわかった。750℃で1時間アニールした標品では、散在する斑点状の拡散域がみられた。しかしながら、SEM断面にみられるように、特に750℃でアニールした標品にはRu/Cu界面の著しい劣化がある。この温度でのRu−Cu相形成は知られてないが、高温でのRu−Cu相互作用によって金属間化合物が形成され、Ru−Cu界面の結合を弱めたと思われる。
【0048】
図11には、550℃および650℃で1時間アニールしたTiZr/Ru/Cu積層体およびTiZrN/Ru/Cu積層体のSEM断面顕微鏡写真を示す。TiZr/Ruは、550℃まで優れたバリアー強度を示しCu拡散も剥離もみられなかったが、650℃ではバリアーが明らかに劣化していた。Ruが700℃までのCu拡散の遮断を示したため、650℃での劣化は、Cu拡散によるものではなく、バリアー自体の相互作用に関連すると思われる。劣化にもかかわらず、Cu/バリアー/基板の界面で剥離はなかった。予測通りに、TiZrN/Ruは、両方の温度に対して優れた接着性およびバリアー強度を示した。
【0049】
これまで試験したすべてのバリアーの内、金属としては特にルテニウムが最高の拡散バリアーであることがわかる。しかしながら、ルテニウムは誘電体への接着強度が低いため、候補として弱い。Taも誘電体への接着強度が低いことを示した。以上の結果をまとめると、観測されたバリアー強度は低い方から順に、Ta(550℃)、TiZr(550℃)、TiZr/Ru(550℃)、TaN(700℃)、TiZrN(700℃)、TaN/Ru(700℃)、TiZrN/Ru(700℃)、およびRu(700℃)である。接着性および電気メッキ性を考慮すると、バリアーの3つの最善の候補としてTiZr/Ru、TiZrN/Ru、およびTaN/Ruは同等である。
【0050】
電気抵抗
図12に、Ta、Ti、Ru、およびCuの膜厚の関数としての電気抵抗の測定値を示す。厚い膜の抵抗値は、100℃で蒸着されたTaで15μΩ−cm、64μΩ−cm(Ti、100℃)、13Ω−cm(Ru、100℃)、10μΩ−cm(Ru、400℃)、および1.9μΩ−cm(Cu、室温)である。これらの値は、表IIIの十分アニールされた金属のバルク抵抗値に比べ幾分高い。高い分は、微細なカラム状粒境界での電子散乱の増大およびPVD膜で一般に大きい転位のためである。予測通りに、400℃で蒸着したRuの抵抗値は、100℃で蒸着したRuの抵抗値より低い。
【0051】
電気抵抗(ρ)は、表面および界面で電子散乱が増大するため、膜厚の減少とともに実質的に増大した。平均自由行程(λ)は、λ=τVFから算出でき、式中、τは衝突間の平均自由時間、VFはフェルミ速度である。膜厚およびバルク抵抗値には、ρfilm∝ρbulk(1+λ/t)の関係があり得、式中、tは膜厚である。詳細な計算方法は引用文献[18、19]および他の固体物理学の成書において見出され得る。全体として、実験的に測定された膜の抵抗値は、またしてもPVD膜の欠陥密度が高いため、理論的予測値よりかなり高かった。
【0052】
図12に示したデータの中で、Taは、普通みられない二峰性の抵抗値傾向および40nmより薄い膜で200μΩ−cmを超えTiとほぼ同等な抵抗値を示した。したがって、Taは、微細電子結線ライナー用途に期待される膜として抵抗値においてTiをしのぐ利点がないと思われる。Taは、SiO2上で正方晶のβ−Ta(高抵抗)になり、TaN上で体心立方構造(b.c.c.)のα−Ta(低抵抗)になることが知られている[20]。上記の知見は、TaがSiO2上でまずβ型となり、その後Ta膜厚の増大とともにα型として成長することを示唆している。一方、Ruは、10nmの膜で26μΩ−cm未満と大幅に低い抵抗値を示した。明らかに、抵抗値が低いことは、バリアー用途にとってはTiZr/Ruの更なる利点である。
【0053】
【表3】
【0054】
窒化物膜の抵抗値は、元々の金属よりかなり高かった。図13には、膜厚が200nmを超えるものについての蒸着電力の関数としての抵抗値を示す。TaNは、2kWで2280μΩ−cmと普通みられないほど高い抵抗値を有していたが、電力を8.6kWに上げると254μΩ−cmまで急激に低下した。一方、TiZrN膜の抵抗値は、電力変動に対して変動が小さいのみならず、すべての電力レベルではるかに値が小さく、電力を2kWから8.6kWに上げても、106μΩ−cmから69μΩ−cmに変わったにすぎない。SEMおよびTEMによる検査で、普通みられないほど高いTaNの抵抗値が比重の小ささ、および蒸着電力を下げると増大する高度にアモルファスな部分と関係することがわかった。蒸着電力を2kWから8.6kWに上げると、膜の抵抗値が下がるとともに、密度は3.8g/cm3から13.9g/cm3に上昇した。
【0055】
上記のように、新規ルテニウム材料および合金の具体的な実施形態および応用、蒸着法または原子層堆積法におけるそれらの使用ならびに生成された膜を開示した。しかしながら、当業者が、本明細書中の発明の概念から逸脱することなく、上記以外の多くの改変をなしえることは明らかである。したがって、本発明の主題は、添付される特許請求の範囲の精神において以外に限定されるものではない。さらに、明細書および特許請求の範囲の双方の解釈において、すべての用語は、文脈と整合する限り最も幅広い範囲で解釈すべきである。特に、「含む」という用語は、非限定的に元素、部品または段階を指し、指された元素、部品もしくは段階は、存在可能で、利用可能でまたは明確には指されていない他の元素、部品もしくは段階と組合せ可能であることを示していると、解釈すべきである。
【0056】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】熱間圧延し焼きなましした、(a)Taおよび(b)Ti−5原子%Zr合金の光学顕微鏡写真を示す図である。
【図2】バイアホールステップカバレッジのSEM写真を示す図である。TaNはイオン化金属プラズマ(IMP)チャンバー内で粗い粒(50μm)のTaをターゲットとして蒸着し、TiZrNは、従来型の胴の広いチャンバー内で微細な粒(10μm)のTi−5原子%Zrをターゲットとして蒸着した。
【図3】(a)S3N4上のCuおよびSiO2上のRuに対する膜厚の関数としての応力の変動を示す図である。四角い点は、テープ引き剥がし試験で不合格となったデータポイントである。
【図4】20nm厚の(a)Ta膜および(b)TiZr膜に対する基板温度の関数としての応力の変動を示す図である。
【図5】20nm−Ta/10nm−Ru/1μm−Cu積層膜および20nm−TiZr/10nm−Ru/1μm−Cu積層膜に対する基板温度の関数としての応力の変動を示す図である。四角い点は、テープ引き剥がし試験で不合格となったデータポイントを表す。注:二番目のグラフには不合格となったデータポイントがない。
【図6】ルテニウム膜に対する応力への温度の影響を示す図である。
【図7】750℃で1時間焼きなましした20nm−TaN/Cu積層膜および20nm−TiZrN/Cu積層膜に対するSEM断面顕微鏡写真を示す図である。
【図8】700℃で1時間および5時間焼きなましした(a)27nm−TaN/Cu積層膜および(b)20nm−TiZrN/Cu積層膜のRBSプロフィルを示す図である。RBSスペクトルを、Si3N4保護層およびCu層を除去した後に測定した。
【図9】(a)650℃で1時間焼きなましした5nm−TiZrN/Cu積層膜のTEM微細構造、および(b)550℃で1時間焼きなましした25nm−TiZr/Cu積層膜のSEM断面図を示す図である。
【図10】(a)700℃および(b)750℃で1時間焼きなましした5nm−Ru/Cu積層膜のSEM断面図を示す図である。
【図11】それぞれ550℃および650℃で1時間処理した、(a,b)TiZr/Ru/Cu積層膜および(c,d)TiZrN/R/Cu積層膜のSEM断面顕微鏡写真である。
【図12】Ta、Ti、RuおよびCuに対する、膜厚の関数としての電気抵抗の変動を示す図である。
【図13】400℃で蒸着したTaN膜およびTiZrN膜に対する蒸着電力の関数としての電気抵抗の変動を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、ルテニウム系材料および/またはルテニウム合金、蒸着法および原子層堆積法におけるそれらの使用、ならびにそれらから形成および/または製造された層状の材料および膜である。
【背景技術】
【0002】
電子部品および半導体部品は、絶えず増大しつつある数の消費者向けおよび商業的電子製品、通信用製品、ならびにデータ交換製品において用いられている。これらの消費者向け製品および商業的製品のいくつかの例としては、テレビジョン、コンピュータ、携帯電話、ポケットベル、手のひらサイズのシステム手帳、携帯ラジオ、カーステレオ、またはリモートコントローラーが挙げられる。これらの消費者向け電子製品および商業的電子製品に対する需要が増大するに従い、消費者向けおよびビジネス向けに、より小型化しおよびより携帯しやすくしたそれらと同じ製品に対する需要も存在する。
【0003】
これらの製品における小型化の結果、これらの製品を構成する部品もまた、より小さくおよび/またはより薄くならざるを得ない。より小型化するまたは縮小する必要があるこれらの部品の例としては、マイクロ電子チップの結線、半導体チップの部品、抵抗器、コンデンサ、プリント基板または配線盤、配線、キーボード、タッチパッド、およびチップのパッケージが挙げられる。
【0004】
電子部品および半導体部品が小型化または縮小されると、より大きな部品に存在するいずれかの欠陥は、縮小された部品においてより顕在化する。したがって、より大きな部品に存在するまたは存在する可能性のある欠陥は、可能であれば、部品をより小さい電子製品用に縮小する前に、特定して修正しなければならない。
【0005】
電子部品、半導体部品、および通信用部品の欠陥を特定して修正するために、それらの部品を製造するための、部品、用いられた材料および製造方法を細かく分割して分析しなければならない。電子部品、半導体部品、および通信/データ交換部品は、いくつかの場合、金属、金属合金、セラミックス、無機材料、ポリマーまたは有機金属材料などの材料の層から構成されている。材料層は、しばしば薄い(厚さが数十Å未満のオーダ)。材料層の品質を改善するために、層を形成する方法(金属または他の化合物の蒸着等)を検査し、可能であれば改善しなければならない。
【0006】
マイクロプロセッサのスピードへの増大する要求は、アルミニウム系結線から銅系結線への移行、即ち回路の電気抵抗低減を促した。銅(Cu)結線の難点の一つは、Cuの基板内への拡散である。従来から、TaN/TaまたはTiN/Tiの二層バリアー膜が、マイクロ電子回路製造において銅(Cu)拡散バリアー用に用いられてきた。これらのバリアー機構の欠点の一つは、CuをTaまたはTi上へ直接電気メッキすることが出来ないことである。従って、Cuシード膜をバリアー膜上に物理蒸着法(PVD)により配置して銅の電気化学メッキ(ECP)を容易にする。特徴として結線のサイズは、より小さくなるが、バリアー層/Cuシード層の複合厚さがバイアホール/トレンチのサイズに対して厚くなりすぎている。最近、ルテニウム(Ru)が有望なバリアー材料として登場したが、なぜなら、銅がPVDCuシード層なしでRu上に直接配置され得るからである。
【0007】
Ruは優れたバリアー強度を示すが、基板層(SiおよびSiO2)への接着性が許容できないほど劣ることがわかっている。例えば、ルテニウムは、Ru−Cの結合強度152Kcal/モル、Ti−Oの結合強度168Kcal/モル、またはTa−Oの結合強度198Kcal/モルに比べて43Kcal/モルであるRu−O結合強度を有する。接着性は、マイクロ電子結線における最も重要な因子の1つであるが、なぜなら界面の結合が弱い場合、デバイスの故障、特に応力およびエレクトロマイグレーションの結果としての故障を引き起こす可能性がしばしば増大するからである。過去には、Ru[1から3]、Ru−RuO2[4]、およびRuTiN−RuTiO[5]が拡散バリアーとして提示された。しかしながら、これらのアプローチは、厳密な接着性試験によりおこなわれなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、並外れたバリアー強度を有し、蒸着法および原子層堆積法(ALD)に用いることができる、ルテニウム系材料およびルテニウム系合金材料を開発することは理想的であろう。加えて、これらのルテニウム系材料およびルテニウム系合金材料は、すでに示唆されたものよりもより優れた接着性を備えているに違いなく、より低い電気抵抗を備えているに違いなく、それらは銅とのよりよい化学機械研磨(CMP)両立性を備えているに違いなく、粒子発生がより低いに違いなく、およびチャンバーの予防メンテナンス回数を低減するに違いないであろう。また、ルテニウム系材料および/またはルテニウム系合金材料から膜および積層材料を製造することは有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(主題の概要)
本明細書には、ルテニウムおよび元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族の元素の少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む、蒸着法または原子層堆積法において用いるための合金が記載される。
【0010】
さらに本明細書には、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層および元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族の元素の少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む少なくとも1つの層が含まれる積層材料が記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(詳細な説明)
蒸着法または原子層堆積法において用いることができるルテニウム系材料およびルテニウム系合金材料が開発されて、本明細書中に記載されている。また、これらのルテニウム系材料およびルテニウム系合金材料は、既存の上記材料より優れた接着性を有し、電気抵抗を低減し、Cuとのより良好な化学機械研磨(CMP)両立性を提供し、粒子の発生を低減し、窒化過程を含まないため、チャンバーの予防メンテナンス回数を低減する。また、ここには、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層、および元素周期表のIV族、V族もしくはVI族の少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む少なくとも1つの層を含む積層材料が記載されている。
【0012】
上記の蒸着方法において機能することが見出され、上記に略説した目標を満たす、ルテニウム系材料およびルテニウム系合金の開発において、下記原子−原子および原子−分子間結合、即ちTa−SiO2、Ti−SiO2、TiZr−SiO2、Ta−Ru、Ti−Ru、TiZr−Ru、Ta−Cu、Ti−Cu、Zr−Cu、およびRu−Cuが優れていることがわかった。この情報を用いて、IV族、V族、およびVI族の元素ならびにそれらとルテニウムとの合金(Ti−Ru、Zr−Ru、Hf−Ru、TiZr−Ru、V−Ru、Nb−Ru、Ta−Ru、Mo−Ru、W−Ruなど)を含む、一群の新規材料および合金が開発された。この研究に基づき、ルテニウムおよび元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む、蒸着法または原子層堆積法において用いるための合金をここに記載する。加えて、この研究により、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層および元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族の少なくとも1つの元素またはこれらの組合せを含む少なくとも1つの層が含まれる積層材料を開発した。積層材料は、銅、銅合金、またはそれらの組合せを含む少なくとも1つの更なる層を含むこともできる。
【0013】
よく検討された実施形態において、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層のそれぞれの厚さは、約300Å未満である。他の実施形態において、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の厚さは、約200Å未満である。さらに他の実施形態において、ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の厚さは、約150Å未満である。元素周期表のIV族、V族またはVI族の少なくとも1つの元素を含む少なくとも1つの層についても同様で、1つまたは複数の層の厚さは、それぞれ約300Å未満、約200Å未満および/または約150Å未満であり得る。
【0014】
ルテニウム濃度を調節して、接着性およびCuメッキ能を制御することができる。TiZrおよびTiZrNは、この種の用途におけるルテニウムおよびルテニウム系合金の優秀さを示すことに関してルテニウムに匹敵し得る。例えば、TiZrおよびTiZrNは、それぞれ550℃および650℃までCu拡散に対する良好なバリアー強度を示しており、Ruは700℃までの優れたバリアー強度を示している。PVD金属膜のほとんどは圧縮応力を受けるが、バリアー−Cu複合膜は最終的に引張り応力を受け、接着性が弱まる。一方、PVD TiZr膜の引張り応力は低く、Cuが蒸着される場合、応力がかかっても逆転しない。特に、TiZr−Ru合金は、特にその良好な接着強度およびCuを直接メッキできることの観点において、バリアー適用に対して非常に重要である。二層バリアー構成であるが、TiZr−Ru合金は、単一蒸着方法における膜の形成を可能にする。
【0015】
ここの合金および材料は、スパックリングターゲットの形成に用いられ得、ここにおいて考案されるそれらのターゲットは、用途およびPVD工程において用いられる装置による、いずれかの適した形状および大きさを含む。ここにおいて考案されるスパックリングターゲットもまた表面材料およびコア材料を含み、表面材料は、コア材料に結合している。表面材料は、いずれかの測定可能な時点においてエネルギー源に曝露されるターゲットの部分であり、表面被覆として望ましい原子を生じることを意図するターゲット材料全体の部分でもある。ここにおいて、用語「結合している」は、物質または成分の2つの部分の物理的結合(接着による、材料界面の結合)、または共有結合およびイオン結合などの結合力、ならびにVan der Waals引力、静電引力、クーロン引力、水素結合引力および/または磁気引力などの非結合力を含む、物質または成分の2つの部分間の物理的および/または化学的な引力を意味する。表面材料およびコア材料は、同じ元素構成または化学的組成/成分を一般に含むことができ、または表面材料の元素構成および化学的組成は、コア材料の元素構成および化学的組成とは異なるように改変または変更され得る。ほとんどの実施形態において、表面材料およびコア材料は同じ元素構成および化学的組成を含む。しかしながら、いつターゲットの有効寿命が終了したかを検知することが重要であり得るまたは材料の混合層を蒸着させることが重要である実施形態において、表面材料およびコア材料は、異なる元素構成または化学的組成を含むように調整され得る。
【0016】
コア材料は、表面材料にサポートを提供し、スパッタリング過程において更なる原子を場合により供給するように、またはいつターゲットの有効寿命が終了したかに関する情報を提供するように設計される。例えば、コア材料が本来の表面材料とは異なる材料を含み、品質管理装置がターゲットとウェーハとの間の空間内にコア材料の原子が存在することを検知した場合、既存の表面上/ウェーハ層上への望ましくない材料の蒸着によって金属被覆の化学的整合性および元素的純度が損なわれるおそれがあるため、ターゲットを除去し別のターゲットに取り換えるまたは製品も一緒に廃棄する必要があり得る。コア材料は、いずれもHoneywell International社が保有し、その全体が参照により本明細書中に組み込まれるPCT特許出願番号第PCT/US02/06146号および米国特許出願番号第10/672690号に開示されているような、大きな改質または微細な窪みを含まないスパックリングターゲットの一部でもある。換言すると、コア材料は、構造および形状が概ね均一である。
【0017】
スパックリングターゲットは、a)スパックリングターゲット内に確実に形成され得、b)エネルギー源に衝撃を与えられる場合、ターゲットから飛び出し得、c)ウェーハ上または表面上に最終層または前駆体層を形成するのに適し得る、いずれかの材料を一般に含むことができる。適したスパックリングターゲットを製造するように考案される材料は、金属、金属合金、導電性ポリマー、導電性複合材料、導電性モノマー、誘電材料、ハードマスク材料、および他の適したスパッタリング用材料である。ここにおいて、用語「金属」は、元素周期表のdブロックおよびfブロックにある元素、さらにはケイ素およびゲルマニウム等の金属様特性を有する元素を意味する。ここにおいて、用語「dブロック」は、元素の核の周囲の3d、4d、5d、および6d軌道を占める電子を有する元素を意味する。ここにおいて、用語「fブロック」は、ランタニド類およびアクチニド類を含む、元素の核の周囲の4f軌道および5f軌道を占める電子を有する元素を意味する。考案される金属は、上記のルテニウム系材料および合金を含み、この金属は、チタン、ケイ素、コバルト、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、バナジウム、ジルコニウム、アルミニウムおよびアルミニウム系材料、タンタル、ニオブ、スズ、クロム、白金、パラジウム、金、銀、タングステン、モリブデン、セリウム、プロメチウム、トリウムまたはこれらの組合せも含み得る。ここにおいて、用語「およびそれらの組合せ」は、銅のスパックリングターゲットに不純物のクロムおよびアルミニウムが含まれるように、スパックリングターゲットのいくつかにおいて、金属不純物があってよいこと、または金属間ならびに合金、ホウ化物、炭化物、フッ化物、窒化物、ケイ化物、酸化物、およびその他を含むターゲットなどのスパックリングターゲットを構成する他の材料間の意図的な組合せがあってよいことを意味すると理解されたい。
【0018】
ここで検討されるターゲットからの原子のスパッタリングによって生成される薄層または膜は、他の金属層、基板層、誘電体層、ハードマスク層またはエッチング停止層、ホトリソグラフィー用層、反射防止層などを含むいずれかの数の層または一貫した層上に形成され得る。いくつかの好ましい実施形態において、誘電体層は、Honeywell International社によって考案され、製造されまたは開示された誘電体材料を含むことができ、この誘電体材料には、a)発行された特許US5959157、US5986045、US6124421、US6156812、US6172128、US6171687、US6214746、および係属中の特許出願09/197478、09/538276、09/544504、09/741634、09/651396、09/545058、09/587851、09/618945、09/619237、09/792606に開示された化合物などの、FLARE(ポリ(アリレンエーテル))、b)係属中の特許出願09/545058;2001年10月17日出願の通し番号PCT/US01/22204;2001年12月31日出願のPCT/US01/50182;2001年12月31日出願の60/345374;2002年1月8日出願の60/347195;および2002年1月15日出願の60/350187に示されている化合物などの、アダマンタン系材料、c)本願の譲受人に譲渡された、米国特許第5,115,082号;第5,986,045号;および第6,143,855号;ならびに本願の譲受人に譲渡された2001年4月26日公開の国際特許公開WO 01/29052;および2001年4月26日公開のWO 01/29141、d)発行された特許US6022812、US6037275、US6042994、US6048804、US6090448、US6126733、US6140254、US6204202、US6208014、ならびに係属中の特許出願09/046474、09/046473、09/111084、09/360131、09/378705、09/234609、09/379866、09/141287、09/379484、09/392413、09/549659、09/488075、09/566287、および09/214219(これらは全て、本明細書中に参照によりその全体が組み込まれる。)に開示されている化合物などの、ナノポーラスなシリカ材料およびシリカ系化合物、ならびにe)Honeywell HOSP(登録商標)有機シロキサンを含むが、これらに限定されない。
【0019】
ウェーハまたは基板は、望ましい実質的に固体のいずれかの材料を含むことができる。特に望ましい基板は、膜、ガラス、セラミックス、プラスチック、金属もしくは被覆された金属、または複合材料を含む。いくつかの実施形態において、基板は、ヒ化ケイ素またはヒ化ゲルマニウムの鋳型またはウェーハ表面、銅、銀、ニッケルまたは金のメッキリードフレーム中に見られるパッケージング表面、回路基板またはパッケージ結線路、バイアホール壁または補強剤インターフェースに見られる銅表面(「銅」は、純銅、銅合金および銅酸化物の考慮すべき要素を含む。)、ポリイミド系フレックスパッケージ中に見られるようなポリマー系パッケージまたは基板インターフェース、鉛または他の金属の合金のはんだくず表面、ガラス、およびポリイミドなどのポリマーを含む。より好ましい実施形態において、基板は、ケイ素、銅、ガラス、またはポリマーなどのパッケージおよび回路基板産業において共通の材料を含む。本明細書において考案される基板層は、少なくとも2つの材料層を含むこともできる。基板層を含む1つの材料層は、上記の基板材料を含むことができる。基板層を含む他の材料層は、ポリマー、モノマー、有機化合物、無機化合物、有機金属化合物の層、連続層およびナノポーラス層を含むことができる。
【0020】
基板層はまた、材料が連続層であるよりナノポーラス層であることが望ましい場合、複数の空隙を含むこともできる。空隙は一般に球状であるが、管状、層状、円盤状または他の形状を含むいずれかの適した形状を代替的にまたは追加的に有することができる。空隙がいずれかの適切な直径を有することができることもまた、考案される。少なくともいくつかの空隙が隣接する空隙と結合してかなりの量の結合されたまたは「開放」の気孔を有する構造を作り出すことができることも、さらに考案される。空隙は、1μm未満の平均直径を有することが好ましく、100nm未満の平均直径を有することがより好ましく、10nm未満の平均直径を有することがさらにより好ましい。空隙が基板層内に均一にまたはランダムに分散できることが、さらに考案される。1つの好ましい実施形態において、空隙は、基板層内に均一に分散する。
【0021】
提供される表面は、本明細書において、いずれかの適した表面として考案され、それは、ウェーハ、基板、誘電材料、ハードマスク層、他の金属、金属合金または金属複合体層、反射防止層または他のいずれかの適した積層材料を含む。表面上に生成される被覆、層、または膜も、いずれかの適した厚さまたは望ましい厚さ(1原子または1分子の厚さ(1nm未満)から数mmの厚さまでの範囲)であってよい。
【0022】
本明細書に記載する、ルテニウム系合金および材料ならびに関係するスパックリングターゲットおよび蒸着源は、電子部品、半導体部品および通信部品/データ伝送部品を製造し、形成し、またはさもなければ改変するいずれかの方法または製造設計に組み込まれ得る。本明細書において考案されるような電子部品、半導体部品、および通信部品は、電子系、半導体系、および通信系製品に利用可能ないずれかの層状部品を含むと一般に考えられる。考案される部品は、マイクロチップ、回路基板、チップのパッケージ、セパレーターシート、回路基板の誘電体部品、印刷された配線板、タッチパッド、導波体、光ファイバーおよび光子伝送部品および音波伝送部品、二重ダマシン法を用いてまたは組み込んで製造されるいずれかの材料、ならびにコンデンサ、インダクタ、および抵抗器等の回路基板の他の部品を含む。
【0023】
電子系製品、半導体系製品および通信系製品/データ伝送系製品は、工業においてまたは消費者によってそのまま使用可能であるという意味において「仕上げる」ことができる。仕上げられた消費者向け製品の例は、テレビジョン、コンピュータ、携帯電話、ポケットベル、手のひらサイズのシステム手帳、携帯ラジオ、カーステレオ、およびリモートコントローラーである。やはりまた考案されるのは、仕上げられた製品に場合により利用される回路基板、チップのパッケージ、およびキーボード等の「中間」製品である。
【0024】
電子製品、半導体製品、および通信製品/データ伝送製品はまた、概念モデルから最終的な実物大モデルまでの開発のいずれかの段階での原型部品も含む。原型部品は、仕上げられた製品中に用いるように意図される実際の部品すべてを含んでも含まなくてもよく、原型部品は、初期試験において他の部品に影響を及ぼさないように複合材料で構成されたいつかの部品を有することができる。
【実施例】
【0025】
本研究において用いたターゲット材料は、Honeywell 3NグレードのTi−5原子%Zr合金(米国特許公開第2003/0132123号)、以降TiZrと呼ぶ)、3N5グレードのTa、および3N5グレードのRuであった。TiZrターゲットおよびTaターゲットを、熱間圧延金属シートから調製した。5原子%のZrをTiに加えることにより、平均粒径が10μm未満の微細構造を製造した。熱間圧延したTaの粒径は、30μmから50μmの範囲内であった。図1に、TaおよびTiZr合金の光学顕微鏡写真を例示する。TiおよびZrは、周期表の同じ族にあって、全組成範囲で完全に混和し固溶体を形成する。Ruターゲットを、粉体冶金法、それに続く最終的な真空熱処理により製造した。仕上げられたターゲットの平均粒径は、約85μmであった。
【0026】
窒化物膜を、真空を破ることなく連続して金属、窒化物、および銅の蒸着が可能なApplied Materials社のP5500 Endura(登録商標)システム内における反応物理蒸着(PVD)により調製した。膜を、200mmウェーハ上に調製した。具体的な蒸着条件を、データに基づき選択した。Ru膜のいくつかには、直接メッキ能を確認し全体的な接着強度を評価するため、Cuを電気化学的にメッキした。Cu拡散の検討に用いた試験片に対して、加熱処理の間に銅膜を酸化から保護するため、最終キャッピングを、PVD法TaNまたは化学蒸着(CVD)法Si3N4でおこなった。
【0027】
ラザフォード後方散乱分光法(RBS)および走査型電子顕微鏡検査(SEM)を用いて、Cu拡散の範囲を測定した。透過型電子顕微鏡検査(TEM)を実施して、膜微細構造を検査した。曲げ強度ゲージを用いて、膜の応力を測定した。接着強度を、ASTM標準テープ試験法[8]に準拠して、およびSEM断面検査により評価した。推奨に値することに、後者のSEM法は、接着強度の評価およびCu拡散の範囲決定において、最も厳密および精確な方法であることが判明した。SEM検査のためにウェーハを割る際に、弱い界面が存在すると剥離が生じた。テープ試験で弱く結合した界面が検出できなくても、SEM法では明らかになった。膜のシート抵抗(Rs)を、CDE ResMap 4探針測定器で測定した。バルク電気抵抗(ρ)は、較正された式ρ=Rst(式中、「t」は、膜の厚さである。)から算出された。膜の厚さを、膜の重量および比重、ならびにSEM断面法により良く較正された蒸着速度から求めた。
【0028】
結果および考察
スパックリングターゲット
熱間圧延されたTi−5原子%Zr合金のビッカース硬度値は、約210ksi(1.45GPa)であって、Taのビッカース硬度値(Hv=85ksiまたは0.59GPa)のほぼ3倍高いものであった。両方の金属を200℃で24時間熱アニールした後は両者の硬度に目立った違いがなくなり、スパッタリングの間にターゲットが安定のままであることを示唆した。TiZrおよびTaの0.2%降伏強度はそれぞれ68ksiおよび33ksiであった。TiZr合金の降伏強度が高いのは、大きなZr原子の付加により固溶体が硬化し粒径が微細化したためと思われた。
【0029】
ターゲットの機械的強度および熱安定性は重要であり、特に長期間投入自己イオン化プラズマ(SIP)システム[13]内で高電力稼動が必要な用途に対して重要である。機械的強度が優れているのみならず、TiZrは、コストが低く、重さが軽く、取扱いが容易で、均一に製造しやすく、高純度で利用でき、供給網のリスクが小さい。六方最密充填構造(h.c.p.)のTiZrは、粒組織を均一にし、不均一な粒組織による蒸着速度の変動は観察されていない。一方、形成されたTaがしばしば、高度に模様が付きまたは帯状のターゲットを生じ、許容できない膜の不均一性をもたらすことが知られている[14]。これは主に、Taの場合、鋳造時の粒が残り、体心立方構造(b.c.c.)内ですべりが生じて、アニーリング後に模様が付き帯状の微細構造となるためである。
【0030】
蒸着特性
粒径の改善は、ターゲットの粒径が機械的強度だけでなく蒸着率およびステップカバレッジにも影響するため、特に重要である。図2は、アスペクト比(AR)が4.3で0.4μmのバイアホールに対するTaNのステップカバレッジと、AR=5で0.16μmのバイアホールに対するTiZrNのステップカバレッジを比較している。TaNは、出力磁界が14mTで電力が4kWのイオン化金属プラズマ(IMP)チャンバー内で窒素と反応的に蒸着した(Arは25sccm、N2は28sccm)。TiZrN膜は、出力磁界が4.3mTで電力が6.5kWの従来型ワイドボディー・チャンバーで蒸着した(Arは55sccm、N2は75sccm)。蒸着膜全体の厚さに対する側壁のカバレッジを比較すると、蒸着法が従来型でありバイアホールが小さいにも関わらず、粒径の小さなTiZrターゲットが目で見てより良好なステップカバレッジを提供していることは明らかである。スパッタされた原子ビームの視準が改善されるため、より小さな粒径のターゲットでターゲット寿命が長くなることが実証された[15、16]。この物理的原理は、くぼんだ粒境界からスパッタされた原子が平坦な粒境界からスパッタされた原子より集束されやすく、粒境界みぞが多く導入されるほどまたは粒径が小さくなるほど、視準ビームの割合が大きくなるという事実に基づいている。集束された原子ビームは垂直から外れたビームが少なくなり、蒸着率およびステップカバレッジがよくなる。同時に、側壁への蒸着が低減して、遮蔽板の寿命が長くなり、チャンバーのメンテナンス回数を減らすことになる。
【0031】
接着
TaおよびTaNの双方ともがCu拡散に対する優れたバリアー強度を示しているが、Taの誘電体(すなわち、Si、SiO2)に対する接着性が貧弱なため、TaN/Ta二層構造がバリアー用途に用いられてきた。Taの誘電体に対する接着性が貧弱なのは、主として、次のセクションで説明するように、Ta膜の圧縮応力が高いためである。二層構造において、Cuが窒化物に良好に接着しないため、金属Taを接着層として加えなければならない。
【0032】
接着の性質を把握するため、さまざまな膜積層体について広範囲に接着強度の測定をおこなった。主要な結果のみを表Iにまとめた。この検討の主な目的は、良好な接着強度を有し、良好なバリアー強度を有し、Cuを直接電気化学的にメッキすることが可能なバリアー構造を特定すること、すなわちRuの使用を特定することであった。結果から、Ru単独では誘電体に対する適切な接着強度が生じず、Cuは、TaN、TiZrN等の窒化物に良好に接着せず、Taの誘電体に対する接着性が非常に劣ることが判明する。TaおよびTiZrは両方ともCuを直接電気化学的にメッキすることが不可能である。したがって、Cuの電気メッキの前にPVDによりCuシード層を蒸着させた。Ru標品については、Cuの蒸着にPVD法およびECP法の両方を用いた。両方法とも実質的に同等な応力および接着性をもたらした。試験したすべての組合せの内で、接着性およびメッキ性の必要条件を満たす許容される候補と特定されたのは、TiZr/Ru、TiZrN/Ru、およびTaN/Ruの二層構造のみであった。注意深く分析した結果、接着強度が膜の応力に大きく依存することが判明した。この分析について、つぎのセクションで説明する。
【0033】
【表1】
【0034】
応力
応力分析を、二軸膜の応力についての周知のStoney式を用いておこなった。式中、σはSI単位における平均膜応力[Pa]、Eは基板の弾性率[Pa]、νはポアソン比、tは膜の厚さ[m]、hは基板の厚さ[m]、R1およびR2は、それぞれ膜の蒸着前後の曲率半径[m]である。応力の算出において、(100)Siについて、E/(1−ν)=1.8×1011Paを用いる。
【0035】
【数1】
【0036】
図3は、CuおよびRuについて膜の厚さの関数としての応力の傾向を比較している。Cu被覆がSiO2およびSiを通って拡散するため、Cu膜はSi3N4を被覆したSiウェーハ上に2kWの電力で室温で蒸着した。他の膜をすべて、SiO2を被覆したウェーハ上に蒸着した。ルテニウム膜を、2kWの電力で100℃で蒸着した。Ru膜が圧縮性であるのに対し銅膜は引張り応力を示すが、膜厚さが増大すると、Cu膜もRu膜も応力傾向は圧縮から引張りに変わってゆく。曲線を注意深く調べると、テープ引張り試験での不合格は、応力傾向が圧縮から引張り(座屈)に変わった時に生じている。「座屈」および「接着力試験不合格」とのこのような関係は、発明者らの実験の多くにおいて一致してみられていた[10]。Cuについては応力傾向の逆転が明確ではないが、Cuも当初は圧縮性の膜として蒸着されるが、蒸着の間の急速アニーリングによって引張り応力になることを示す証拠がある。銅は、室温でもアニールされることが知られている[17]。これについては、さらに詳細に説明する。
【0037】
一般に、粒子、本明細書においてはスパッタされた粒子の打撃により膜が圧縮されるショットピーニング効果のため、PVD膜は圧縮性である。例えば、代表的なプロセス中のAr+イオンのエネルギーは400eVである。もしこのAr+イオンのエネルギーの半分がスパッタされた原子に移されると、原子は10km/秒を超える速度で飛び出る。このように高速の原子が基板に衝突すると、転位という形で膜に重大な損傷が生じ、膜を圧縮性にする。こうして、PVD膜には高密度の転位が残る。このことがTEMで確認された。転位という形で蓄えられたエネルギーは、修復および再結晶をおこなうエネルギーとなる。純AlおよびCu等の低融点金属の場合、このような効果はより顕著である。合金化されたAlにおいて、溶質のピン止めにより修復が実質的に妨げられる。スペースの制約上ここには記載しないが、圧縮データを注意深く調査すると、AlおよびCuは圧縮性膜として蒸着されるが、蒸着の間の動的な修復により引張り性となることがわかる。このことは、非常に低い温度で膜を蒸着することにより確認できる。蒸着条件によっては、特に基板が高温のプラズマ環境におかれた場合、Cu内で熱による修復がさまざまな程度で生じると思われる。
【0038】
図4では、4kWの電力で蒸着された、Ta膜およびTiZr膜の基板温度の関数としての応力の変動を比較している。膜の厚さはすべて20nmであった。Ta膜は、2000MPaを超える非常に高い圧縮応力をほとんどの温度領域で示した。応力が高いにもかかわらず、応力の傾向が大幅に変わらなかった(座屈効果が生じなかった)ため、剥離はなかった。しかしながら、次に示すように、引張り性のCu膜が蒸着された場合、高度に圧縮性のTa膜の接着安定性は保持されなかった。TiZr膜は、すべての温度において−150MPaと+400MPaとの間のおおよそ中間的な応力を示し、Cuの蒸着後でも予測されたように剥離はなかった。
【0039】
実際のデバイスで期待される膜積層体での最終的な特性を確認しなければならないため、SiO2被覆Siウェーハ上に20nm−Ta/10nm−Ru/1μm−Cuおよび20nm−TiZr/10nm−Ru/1μm−Cuとして3層膜積層体を形成した。この場合、対象のサイズおよび用いるPVDの方法により、一般的なバイアホール/トレンチライナーでの厚さとして、数nmから数十nmの厚さの膜が形成される。バリアー金属膜(Ta、TiZr、Ru)は電力2kWで100℃で蒸着し、Cu膜は電力2kWで室温で蒸着した。図5に、Ta/Ru/Cu膜積層体およびTiZr/Ru/Cu膜積層体の基板温度の関数としての応力の変動を示す。両方のタイプの膜積層の最終的な応力値は500MPaの範囲で、図3および図5を比較すればわかることが出来るように、Cu膜の厚さが最終的な応力を決定することが示唆される。予測されたように、Ta系バリアー膜は、Cu蒸着後に応力状態が高度な圧縮性から引張り性に逆転した結果、テープ引張り試験で不合格となった。一方、中間的なTiZr系バリアー膜積層体は、Cu蒸着後においても優れた接着性を維持した。応力が接着性を支配する要素の1つであることは明らかである。
【0040】
予測されたように、高融点の窒化物膜は、非常に高い圧縮応力を示し、100℃未満で蒸着されたTaN膜およびTiZrN膜の両方で3000MPaを超えた。200℃と300℃との間で蒸着したTiZrN膜ではかなり中間的な膜応力となり、一方、TaN膜の応力は高い蒸着温度であっても圧縮性にとどまっていた。圧縮応力が高いにも関わらず、TaN膜は、Cu蒸着後であっても良好な接着性を示した。一般に、非金属−非金属結合は、例えばSiO2−TaNおよびSiO2−TiZrNにおけるように、良好であることがわかっている。最終的な複合膜の応力は、20nm−TaN/10nm−Ru/1μm−Cuについて約450MPaの引張り応力であり、20nm−TiZrN/10nm−Ru/1μm−Cuについては約300MPaの引張り応力であった。Cuの電気メッキ性および拡散バリアー強度の評価について、窒化物膜およびRu膜を200℃で蒸着した。図6に、SiO2上のルテニウム膜の応力に対する温度の効果を示す。ルテニウム膜の応力は、蒸着温度が上昇するとともに圧縮性から引張り性に変わる。
【0041】
Cuのメッキ付け
Cuは、5nmの薄いRu膜上であっても、何の問題もなく直接電気メッキできる。接着性試験で、TiZr/Ru/ECP−CuでもまたはTiZrN/Ru/ECP−Cuでも剥離はみられず、TiZr/RuバリアーおよびTiZrN/Ruバリアーが、応力に関する限り、PVD−CuおよびECP−Cuの双方に適合することが示唆された。
【0042】
一般に、金属−非金属結合(すなわち、Ta−SiO2)は、金属−金属結合(すなわち、Ta−Cu)より弱い。CuをTaまたはTi上にメッキできないのは、接着を阻害する酸化物層が残存しているためであって、電気抵抗が高いためではない。CuはTaおよびTi上にメッキ可能であるが、うまく結合しない。CuもRuも酸化物を形成するが、表IIで比較しているように、酸素との親和性がTaおよびTiに比べ相対的に低いため、酸化物はより不安定である。ルテニウムは酸素に対する結合エネルギーが低く、酸化物形成の標準Gibbsエネルギーが大きく、Cuに匹敵する電気陰性度を有している。薄い銅酸化物は、硫酸に接触すると容易に溶解することが知られている。Ruが銅より、より貴な金属であることを考えると、より不安定なルテニウム酸化物は、酸中でのCuメッキにおいて容易に溶解すると考えられる。
【0043】
【表2】
【0044】
バリアー強度
Cu拡散に対するバリアー強度を評価するため、TaN膜およびTiZrN膜を35sccmのArガス流速および75sccmのN2ガス流速下で400℃/6.5kW/5mTで蒸着した。RBS分析により、金属対窒素の化学量論比がTa0.6〜0.4N0.4〜0.6および(TiZr)0.47〜0.60N0.53〜0.40の範囲であることが判明した。膜内のTi/Zr比は、ターゲットの比とほぼ同等であり、スパッタリングによりターゲットまたは膜の組成が変化したとは思われない。金属Taおよび金属TiZrを、Ar加圧下400℃/2kW/2.3mTで蒸着した。膜を酸化から保護するため、Si3N4キャッピングをアニーリングに先立って形成した。Ru膜積層体を、5nmのRuに続き約200nmのCuを蒸着し、最終的にTaNでキャッピングをおこなって調製した。ルテニウムを100℃で蒸着し、Cuを室温で蒸着した。
【0045】
金属のバリアー強度は、その金属の窒化物のバリアー強度より一般に低かった。TaNおよびTiZrNは双方とも最高700℃まで優れたバリアー強度を示したが、金属TaおよびTiZrは550℃までの安定性を示した。金属としてRuは700℃までの例外的なバリアー強度を示した。具体的な実施例を以下に記載する。
【0046】
図7に示すように、SEM断面写真により750℃で1時間のアニーリング後にTaNおよびTiZrNを通過してCuが実質的に拡散していることが示された。しかしながら、700℃では、5時間アニーリングしてもCu拡散を示すものはなかった。図8では、TaNおよびTiZrNの双方について1時間および5時間アニールした標品のRBSプロファイルを比較している。この場合、表面のCuが分析に確実に影響しないように、RBS分析に先立ってCu層を除去した。Si3N4層およびCu層を、それぞれ、濃HFおよび希HNO3酸で化学的に研磨して除去した。1時間アニールした標品のRBSスペクトルと5時間アニールした標品のRBSスペクトルとの間に識別可能な違いはなく、RBSスペクトル中にCuの痕跡が認められなかった。図9は、650℃で1時間アニールしたTiZrNのTEM微細構造および550℃で1時間アニールしたTiZrのSEM微細構造の断面図を示す。いずれの場合も、基板は清浄で、Cu拡散の兆候はみられなかった。
【0047】
図10には、700℃に1時間曝露したRuのバリアー強度を示す。SEM断面から、5nmの薄いRuバリアーでCu拡散の兆候がまったくないことがわかった。750℃で1時間アニールした標品では、散在する斑点状の拡散域がみられた。しかしながら、SEM断面にみられるように、特に750℃でアニールした標品にはRu/Cu界面の著しい劣化がある。この温度でのRu−Cu相形成は知られてないが、高温でのRu−Cu相互作用によって金属間化合物が形成され、Ru−Cu界面の結合を弱めたと思われる。
【0048】
図11には、550℃および650℃で1時間アニールしたTiZr/Ru/Cu積層体およびTiZrN/Ru/Cu積層体のSEM断面顕微鏡写真を示す。TiZr/Ruは、550℃まで優れたバリアー強度を示しCu拡散も剥離もみられなかったが、650℃ではバリアーが明らかに劣化していた。Ruが700℃までのCu拡散の遮断を示したため、650℃での劣化は、Cu拡散によるものではなく、バリアー自体の相互作用に関連すると思われる。劣化にもかかわらず、Cu/バリアー/基板の界面で剥離はなかった。予測通りに、TiZrN/Ruは、両方の温度に対して優れた接着性およびバリアー強度を示した。
【0049】
これまで試験したすべてのバリアーの内、金属としては特にルテニウムが最高の拡散バリアーであることがわかる。しかしながら、ルテニウムは誘電体への接着強度が低いため、候補として弱い。Taも誘電体への接着強度が低いことを示した。以上の結果をまとめると、観測されたバリアー強度は低い方から順に、Ta(550℃)、TiZr(550℃)、TiZr/Ru(550℃)、TaN(700℃)、TiZrN(700℃)、TaN/Ru(700℃)、TiZrN/Ru(700℃)、およびRu(700℃)である。接着性および電気メッキ性を考慮すると、バリアーの3つの最善の候補としてTiZr/Ru、TiZrN/Ru、およびTaN/Ruは同等である。
【0050】
電気抵抗
図12に、Ta、Ti、Ru、およびCuの膜厚の関数としての電気抵抗の測定値を示す。厚い膜の抵抗値は、100℃で蒸着されたTaで15μΩ−cm、64μΩ−cm(Ti、100℃)、13Ω−cm(Ru、100℃)、10μΩ−cm(Ru、400℃)、および1.9μΩ−cm(Cu、室温)である。これらの値は、表IIIの十分アニールされた金属のバルク抵抗値に比べ幾分高い。高い分は、微細なカラム状粒境界での電子散乱の増大およびPVD膜で一般に大きい転位のためである。予測通りに、400℃で蒸着したRuの抵抗値は、100℃で蒸着したRuの抵抗値より低い。
【0051】
電気抵抗(ρ)は、表面および界面で電子散乱が増大するため、膜厚の減少とともに実質的に増大した。平均自由行程(λ)は、λ=τVFから算出でき、式中、τは衝突間の平均自由時間、VFはフェルミ速度である。膜厚およびバルク抵抗値には、ρfilm∝ρbulk(1+λ/t)の関係があり得、式中、tは膜厚である。詳細な計算方法は引用文献[18、19]および他の固体物理学の成書において見出され得る。全体として、実験的に測定された膜の抵抗値は、またしてもPVD膜の欠陥密度が高いため、理論的予測値よりかなり高かった。
【0052】
図12に示したデータの中で、Taは、普通みられない二峰性の抵抗値傾向および40nmより薄い膜で200μΩ−cmを超えTiとほぼ同等な抵抗値を示した。したがって、Taは、微細電子結線ライナー用途に期待される膜として抵抗値においてTiをしのぐ利点がないと思われる。Taは、SiO2上で正方晶のβ−Ta(高抵抗)になり、TaN上で体心立方構造(b.c.c.)のα−Ta(低抵抗)になることが知られている[20]。上記の知見は、TaがSiO2上でまずβ型となり、その後Ta膜厚の増大とともにα型として成長することを示唆している。一方、Ruは、10nmの膜で26μΩ−cm未満と大幅に低い抵抗値を示した。明らかに、抵抗値が低いことは、バリアー用途にとってはTiZr/Ruの更なる利点である。
【0053】
【表3】
【0054】
窒化物膜の抵抗値は、元々の金属よりかなり高かった。図13には、膜厚が200nmを超えるものについての蒸着電力の関数としての抵抗値を示す。TaNは、2kWで2280μΩ−cmと普通みられないほど高い抵抗値を有していたが、電力を8.6kWに上げると254μΩ−cmまで急激に低下した。一方、TiZrN膜の抵抗値は、電力変動に対して変動が小さいのみならず、すべての電力レベルではるかに値が小さく、電力を2kWから8.6kWに上げても、106μΩ−cmから69μΩ−cmに変わったにすぎない。SEMおよびTEMによる検査で、普通みられないほど高いTaNの抵抗値が比重の小ささ、および蒸着電力を下げると増大する高度にアモルファスな部分と関係することがわかった。蒸着電力を2kWから8.6kWに上げると、膜の抵抗値が下がるとともに、密度は3.8g/cm3から13.9g/cm3に上昇した。
【0055】
上記のように、新規ルテニウム材料および合金の具体的な実施形態および応用、蒸着法または原子層堆積法におけるそれらの使用ならびに生成された膜を開示した。しかしながら、当業者が、本明細書中の発明の概念から逸脱することなく、上記以外の多くの改変をなしえることは明らかである。したがって、本発明の主題は、添付される特許請求の範囲の精神において以外に限定されるものではない。さらに、明細書および特許請求の範囲の双方の解釈において、すべての用語は、文脈と整合する限り最も幅広い範囲で解釈すべきである。特に、「含む」という用語は、非限定的に元素、部品または段階を指し、指された元素、部品もしくは段階は、存在可能で、利用可能でまたは明確には指されていない他の元素、部品もしくは段階と組合せ可能であることを示していると、解釈すべきである。
【0056】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】熱間圧延し焼きなましした、(a)Taおよび(b)Ti−5原子%Zr合金の光学顕微鏡写真を示す図である。
【図2】バイアホールステップカバレッジのSEM写真を示す図である。TaNはイオン化金属プラズマ(IMP)チャンバー内で粗い粒(50μm)のTaをターゲットとして蒸着し、TiZrNは、従来型の胴の広いチャンバー内で微細な粒(10μm)のTi−5原子%Zrをターゲットとして蒸着した。
【図3】(a)S3N4上のCuおよびSiO2上のRuに対する膜厚の関数としての応力の変動を示す図である。四角い点は、テープ引き剥がし試験で不合格となったデータポイントである。
【図4】20nm厚の(a)Ta膜および(b)TiZr膜に対する基板温度の関数としての応力の変動を示す図である。
【図5】20nm−Ta/10nm−Ru/1μm−Cu積層膜および20nm−TiZr/10nm−Ru/1μm−Cu積層膜に対する基板温度の関数としての応力の変動を示す図である。四角い点は、テープ引き剥がし試験で不合格となったデータポイントを表す。注:二番目のグラフには不合格となったデータポイントがない。
【図6】ルテニウム膜に対する応力への温度の影響を示す図である。
【図7】750℃で1時間焼きなましした20nm−TaN/Cu積層膜および20nm−TiZrN/Cu積層膜に対するSEM断面顕微鏡写真を示す図である。
【図8】700℃で1時間および5時間焼きなましした(a)27nm−TaN/Cu積層膜および(b)20nm−TiZrN/Cu積層膜のRBSプロフィルを示す図である。RBSスペクトルを、Si3N4保護層およびCu層を除去した後に測定した。
【図9】(a)650℃で1時間焼きなましした5nm−TiZrN/Cu積層膜のTEM微細構造、および(b)550℃で1時間焼きなましした25nm−TiZr/Cu積層膜のSEM断面図を示す図である。
【図10】(a)700℃および(b)750℃で1時間焼きなましした5nm−Ru/Cu積層膜のSEM断面図を示す図である。
【図11】それぞれ550℃および650℃で1時間処理した、(a,b)TiZr/Ru/Cu積層膜および(c,d)TiZrN/R/Cu積層膜のSEM断面顕微鏡写真である。
【図12】Ta、Ti、RuおよびCuに対する、膜厚の関数としての電気抵抗の変動を示す図である。
【図13】400℃で蒸着したTaN膜およびTiZrN膜に対する蒸着電力の関数としての電気抵抗の変動を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着法または原子層堆積法において用いるための合金であり、ルテニウムおよび元素周期表IV族、V族、もしくはVI族の元素の少なくとも1つの元素またはそれらの組合せを含む、前記合金。
【請求項2】
少なくとも1つの元素が、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Wまたはそれらの組合せを含む、請求項1の合金。
【請求項3】
ケイ素、酸素、窒素またはそれらの組合せをさらに含む、請求項1の合金。
【請求項4】
請求項1の合金を含む、スパックリングターゲット。
【請求項5】
蒸着法が、物理蒸着法または化学蒸着法を含む、請求項1の合金。
【請求項6】
請求項1の合金を用いて生成された膜。
【請求項7】
膜が、銅拡散バリアー膜である、請求項6の膜。
【請求項8】
膜が、シードレス銅電気メッキに用いられる、請求項7の膜。
【請求項9】
膜が、非ルテニウム系合金から生成された膜に比べ改善された接着性を有する、請求項6の膜。
【請求項10】
請求項4のスパックリングターゲットにより形成された部品。
【請求項11】
請求項6の膜を組み込んでいる部品。
【請求項12】
ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層;および
元素周期表IV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素またはそれらの組合せを含む少なくとも1つの層
を含む、積層材料。
【請求項13】
少なくとも1つの元素が、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Wまたはそれらの組合せを含む、請求項12の材料。
【請求項14】
元素周期表IV族、V族、もしくはVI族の少なくとも1つの元素またはそれらの組合せを含む少なくとも1つの層が、ケイ素、酸素、窒素またはそれらの組合せをさらに含む、請求項12の材料。
【請求項15】
材料が、銅拡散バリアー膜である、請求項12の積層材料。
【請求項16】
材料が、シードレス銅電気メッキに用いられる、請求項15の積層材料。
【請求項17】
材料が、非ルテニウム系材料から生成された積層材料に比べ改善された接着性を有する、請求項16の積層材料。
【請求項18】
ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約300Å未満である、請求項12の積層材料。
【請求項19】
ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約200Å未満である、請求項18の積層材料。
【請求項20】
ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約150Å未満である、請求項19の積層材料。
【請求項21】
元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約300Å未満である、請求項12の積層材料。
【請求項22】
元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約200Å未満である、請求項21の積層材料。
【請求項23】
元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約150Å未満である、請求項22の積層材料。
【請求項24】
少なくとも1つの更なる材料層を含む、請求項12の積層材料。
【請求項25】
少なくとも1つの更なる材料層が、銅、銅合金、またはそれらの組合せを含む、請求項24の積層材料。
【請求項26】
請求項12の積層材料を組み込んでいる部品。
【請求項1】
蒸着法または原子層堆積法において用いるための合金であり、ルテニウムおよび元素周期表IV族、V族、もしくはVI族の元素の少なくとも1つの元素またはそれらの組合せを含む、前記合金。
【請求項2】
少なくとも1つの元素が、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Wまたはそれらの組合せを含む、請求項1の合金。
【請求項3】
ケイ素、酸素、窒素またはそれらの組合せをさらに含む、請求項1の合金。
【請求項4】
請求項1の合金を含む、スパックリングターゲット。
【請求項5】
蒸着法が、物理蒸着法または化学蒸着法を含む、請求項1の合金。
【請求項6】
請求項1の合金を用いて生成された膜。
【請求項7】
膜が、銅拡散バリアー膜である、請求項6の膜。
【請求項8】
膜が、シードレス銅電気メッキに用いられる、請求項7の膜。
【請求項9】
膜が、非ルテニウム系合金から生成された膜に比べ改善された接着性を有する、請求項6の膜。
【請求項10】
請求項4のスパックリングターゲットにより形成された部品。
【請求項11】
請求項6の膜を組み込んでいる部品。
【請求項12】
ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層;および
元素周期表IV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素またはそれらの組合せを含む少なくとも1つの層
を含む、積層材料。
【請求項13】
少なくとも1つの元素が、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Mo、Wまたはそれらの組合せを含む、請求項12の材料。
【請求項14】
元素周期表IV族、V族、もしくはVI族の少なくとも1つの元素またはそれらの組合せを含む少なくとも1つの層が、ケイ素、酸素、窒素またはそれらの組合せをさらに含む、請求項12の材料。
【請求項15】
材料が、銅拡散バリアー膜である、請求項12の積層材料。
【請求項16】
材料が、シードレス銅電気メッキに用いられる、請求項15の積層材料。
【請求項17】
材料が、非ルテニウム系材料から生成された積層材料に比べ改善された接着性を有する、請求項16の積層材料。
【請求項18】
ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約300Å未満である、請求項12の積層材料。
【請求項19】
ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約200Å未満である、請求項18の積層材料。
【請求項20】
ルテニウム系材料またはルテニウム系合金を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約150Å未満である、請求項19の積層材料。
【請求項21】
元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約300Å未満である、請求項12の積層材料。
【請求項22】
元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約200Å未満である、請求項21の積層材料。
【請求項23】
元素周期表のIV族、V族、もしくはVI族からの少なくとも1つの元素を含む少なくとも1つの層の各々の厚さが、約150Å未満である、請求項22の積層材料。
【請求項24】
少なくとも1つの更なる材料層を含む、請求項12の積層材料。
【請求項25】
少なくとも1つの更なる材料層が、銅、銅合金、またはそれらの組合せを含む、請求項24の積層材料。
【請求項26】
請求項12の積層材料を組み込んでいる部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−538591(P2008−538591A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507610(P2008−507610)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/013663
【国際公開番号】WO2006/115476
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(501228624)ハネウエル・インターナシヨナル・インコーポレーテツド (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/013663
【国際公開番号】WO2006/115476
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(501228624)ハネウエル・インターナシヨナル・インコーポレーテツド (24)
【Fターム(参考)】
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