説明

一時使用目的居室管理システム

【課題】鍵紛失が起こらず、セキュリティが確保され、使用の変更に柔軟に対応して居室を管理する一時使用目的居室管理システムを提供する。
【解決手段】一時使用目的居室管理システムは、居室の扉を解錠/旋錠する電子錠と、入力された予約の申込および解錠の要求が通信回線を介して管理装置に送信され、申込および要求に応じて行われた対処の通知が管理装置から送られてくる携帯情報端末と、登録予約が記憶される登録予約テーブル、申込と登録予約とに基づいて居室の使用が可能か否を判断し、可能と判断したとき登録予約を予約に従って更新するとともに解錠パスワードを含んだ予約受諾通知を申込に用いられた携帯情報端末に送信する予約管理手段、携帯情報端末から解錠の要求と一緒に送られてきた解錠パスワードが予約受諾通知に含まれていたとき、電子錠に解錠を指令する電子錠制御手段を備える管理装置と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビル内の会議室などの一時使用目的の居室の使用を管理する一時使用目的居室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオンライン予約システムは、公衆通信回線を利用したデータ通信を介して端末装置からの商品またはサービスの予約を受け付けるシステムであって、上記端末装置に固有の端末固有情報と該オンライン予約システムを利用可能な顧客情報とを関連づけて記憶する顧客データベースと、上記端末装置から発信された端末固有情報を取得する取得手段と、該端末固有情報が、上記顧客データベースに登録されたデータである場合に、上記予約を受け付ける予約認証手段と、を備える(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−350999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のビル内の会議室、応接室などの一時使用を目的とする居室の使用管理では、居室扉の解錠および旋錠のために用いる鍵として通常の鍵またはカードなどの個人ID媒体が用いられているので、鍵や個人ID媒体が紛失されたとき鍵の交換や個人ID媒体の無効処理および再発行処理が必要になる。
また、一時使用目的の居室であるから使用時間が定まっていないので、室内設備が居室使用者または設備監視者により個別に制御され、居室の使用状況にリアルタイムに追従した設備制御を行うことが困難であった。
また、居室の使用状況の管理は、人に依存する部分が多く、使用状況に柔軟に対応した、例えば、予約管理、居室使用状況把握、居室使用料金の請求などの管理を行うことが難しいという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、鍵紛失の心配がなく、セキュリティが確保され、予約または使用の変更に柔軟に対応して一時使用目的居室の使用を管理する一時使用目的居室管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる一時使用目的居室管理システムは、予約により一時的に使用できる一時使用目的居室を管理する一時使用目的居室管理システムにおいて、上記一時使用目的居室の扉を解錠/旋錠する電子錠と、識別情報が付加され、使用する人により入力された予約および解錠の要求を通信回線を介して管理装置に送信し、上記管理装置からの上記予約および解錠の要求に対する返答を受信する携帯情報端末と、上記一時使用目的居室の使用に係わる上記携帯情報端末の識別情報および解錠パスワードを含んだ登録予約が記憶される登録予約テーブル、上記予約の申込と上記登録予約とに基づいて上記一時使用目的居室の使用の可否を判断し、可と判断したとき上記登録予約を上記予約に従って更新するとともに上記解錠パスワードを含んだ返答を上記申込に用いられた上記携帯情報端末に送信する予約管理手段および上記携帯情報端末から上記解錠の要求がなされたとき、該携帯情報端末の識別情報と上記解除の要求に付加された解錠パスワードとが上記登録予約と同一の場合、上記電子錠に解錠を指令する電子錠制御手段を有する上記管理装置と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明の一時使用目的居室管理システムは、各個人が所持している携帯電話の電話番号と管理装置において予約の登録毎に生成される解錠パスワードとを組み合わせて管理装置により使用する予定の一時使用目的居室が解錠されるので、鍵が必要なくなり鍵の紛失などの問題が起こらない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、この発明を実施するための形態に係わる一時使用目的居室管理システムが適用された一時使用目的居室の概略図である。図2は、この実施の形態に係わる携帯電話のブロック図である。図3は、この実施の形態に係わる携帯電話のマイクロコンピュータの機能ブロック図である。図4は、この実施の形態に係わる管理装置の機能ブロック図である。図5は、管理装置に格納されている登録予約テーブルのデータ構造を示す図である。図6から図12は、各Webページに用意されているフォーマットを示す図である。図13から図16は、各使用状況における付帯設備や電子錠の状態を示すタイムチャートである。
【0009】
一時使用目的居室1は、例えば、図示しないビル内に配置され、使用者が特定されておらず、予約に基づき使用者が決まる一時使用目的の居室である。
そして、一時使用目的居室1は、例えば、ビルの図示しない管理室に備えられた管理装置2により管理されている。その管理装置2において管理される項目は、一時使用目的居室1の予約、予約変更、予約取消、使用終了および使用延長などの予約使用管理、扉の解錠/旋錠および付帯設備の始動/停止などの居室管理、使用実績の集計および課金などの使用料管理からなる。
さらに、一時使用目的居室1には、この管理のために扉3を解錠/旋錠する電子錠4、付帯設備としての空調設備5や照明設備6などを制御する付帯設備管理装置7が備えられている。
この管理装置2は、それぞれ電子錠4と付帯設備管理装置7に伝送線8を介して接続されている。
【0010】
一方、一時使用目的居室1を使用する人(以下、使用者と称す。)10は、携帯情報端末としての携帯電話11を各自所持している。また、携帯電話11は、その所在する位置の情報を全地球測位システム(以下、GPSと称す。)に準拠して算出する測位機能が備わっている。さらに、携帯電話11は、携帯情報端末の識別番号としての電話番号が付与されている。なお、以下の説明では、複数の使用者からなる1つのグループが一時使用目的居室1を使用する場合を説明する。さらに、管理装置2との間のやりとりをする使用者(以下、使用責任者と称す。)が決められている。
【0011】
そして、携帯電話11は、携帯電話システム12および公衆回線13を介して管理装置2に接続され、相互でデータの授受が行える。携帯電話システム12では、移動局としての携帯電話11と固定局14との間で無線通信によりデータが伝送され、固定局14と他の固定局14との間で有線通信回線15を介してデータが伝送される。
【0012】
携帯電話11は、図2に示すように、マイクロコンピュータ16、表示部17、入力部18、RF部19が備えられている。マイクロコンピュータ16は、図示しないROMに記憶された制御プログラムに従って、図示しないRAMをワークエリアとして使用しながら、携帯電話11全体の動作を制御する。
表示部17は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、マイクロコンピュータ16により制御されることによって各種の情報が表示される。
入力部18は、例えばキーボードやポインティングスティック、あるいは表示部17の表面に設けられるタッチスイッチなどにより構成され、使用者による操作に対応した指示や入力を取得し、マイクロコンピュータ16に送信する。
RF部19は、マイクロコンピュータ16からのデータに応じて高周波信号を変調し、固定局14へ送信する。また、RF部19は、固定局14から送信された変調波を受信し、元のデータを復調する。
さらに、携帯電話11は、図示しないGPSシステムの衛星からの信号を受信するGPS用アンテナ20が備えられている。
【0013】
マイクロコンピュータ16は、図3に示すように、入力部18から入力するWebアドレスに基づいて管理装置2の該当するWebページにアクセスし、一時使用目的居室1の予約、予約変更、予約取消、使用終了、使用延長および扉の解錠の要求を行うWebアクセス手段21、GPS用アンテナ20で受信されたGPS信号に基づき当該携帯電話11の位置を算出し、周期的に管理装置2に送信する位置情報送信手段22、管理装置2からの各種通知を受信し、その内容を表示部17に表示する通知受信手段23、携帯電話11の電話番号と各種通知に含まれる解錠パスワードを記憶する記憶手段24を有している。
【0014】
管理装置2は、図4に示すように、携帯電話11から送信されてくる一時使用目的居室1の予約、予約変更、予約取消、使用終了、使用延長のフォーマットに記載された内容と登録予約テーブル39に登録されている内容とに基づき一時使用目的居室1の予約、予約変更、予約取消、使用終了、使用延長の可否を判断し、可能な場合、登録予約テーブル39に新規に登録、変更、取消を行うとともに該当する携帯電話11に通知を行う予約管理手段31を有する。さらに、予約管理手段31は、予約、予約変更、予約取消、使用延長が不可の場合、それに対応する通知を該当する携帯電話11にメールする。
さらに、管理装置2は、携帯電話11からの携帯電話11の位置情報に基づき、使用者が該当する一時使用目的居室1に滞在しているか否かを判断する所在確認手段32、所在確認手段32で使用者が滞在していると判断したとき付帯設備を始動し、逆に所在確認手段32で使用者が不在であると判断したとき付帯設備を停止する付帯設備制御手段33を有している。
さらに、管理装置2は、登録予約テーブル39に登録されている終了時刻から所定の時間だけ前の時点で終了確認通知を行い、当該終了時刻から所定の時間だけ経過してもなお使用されているとき退出を促す終了管理手段34を有している。
さらに、管理装置2は、携帯電話11からの解錠要求に基づき電子錠4に解錠を指令し、所在確認手段32で使用者の所在が零になったことが確認されたとき、電子錠4に旋錠を指令する電子錠制御手段35を有している。
さらに、管理装置2は、使用実績を集計し、登録予約テーブル39に登録されている使用料金請求先に課金通知を発送する使用料金課金手段36を有する。
【0015】
さらに、管理装置2は、予約申込、予約変更申込、予約取消申込、使用権利譲渡申出、譲受申込、解錠要求、延長申込に関するWebページがそれぞれ格納されているWeb記憶手段38、管理対象の一時使用目的居室1毎に登録予約情報が格納されている登録予約テーブル39を備えられている。登録予約テーブル39に登録されている登録予約情報は、図5に示すように、登録番号、使用予定年、使用予定月、使用予定日、開始時刻、終了時刻、使用責任者氏名、使用責任者の携帯電話番号、使用者全員の氏名、使用者全員が所持する携帯電話の電話番号、請求先会社名、部署名、連絡先、解錠パスワードからなる。登録番号は登録予約の度に連番に付けられていく。
管理装置2は、インタネットプロトコルで通信が制御できるように、各Webページにインタネットプロトコルに準拠するWebアドレスが付与されている。
【0016】
管理装置2は、図示しない、CPU、ROM、RAM、HD、モデムが備えられるコンピュータから構成されている。HDは、ハードディスク装置であり、携帯電話11の表示部17に表示させる画面データや登録予約テーブル39の登録予約などが記憶されている。モデムは、管理装置2と公衆回線13とを接続するものである。
【0017】
次に、予約、予約変更、予約取消、使用権利譲渡、譲受、解錠、使用延長の手順について図6から図12を参照して説明する。
[予約]
使用責任者は、携帯電話11から予約申込のWebページのWebアドレスを入力し、管理装置2の予約申込のWebページから図6に示すような予約申込フォーマットを取り寄せ、携帯電話11の表示部17に表示させる。
予約申込フォーマットに入力する予約申込情報は、図6に示すように、居室名、使用日時情報、使用責任者情報、使用者情報、使用料金請求先情報から構成されている。使用日時情報は、使用年月日、開始時刻、終了時刻などからなる。使用責任者情報は、使用する予定の人の中で使用責任者として登録する人の氏名とその使用責任者の携帯電話番号などからなる。使用者情報は、使用責任者以外の使用する予定の人の氏名とその人の携帯電話番号などからなる。使用料金請求先情報は、会社名、部署名、連絡先などからなる。
使用責任者は、予約申込フォーマットに希望する居室名などの予約申込情報を入力し、管理装置2に送信する。
【0018】
管理装置2は、予約申込フォーマットを受信し、それに含まれる予約申込情報の中の使用日時情報と登録予約テーブル39の登録予約とに基づき当該一時使用目的居室1が当該日時時刻に使用可能か否を判定する。そして、管理装置2は、使用が不可と判定したとき、予約申込に用いられた携帯電話11に使用不可の情報をメールする。
一方、管理装置2は、使用が可能と判定したとき、登録予約テーブル39の登録予約を予約申込情報に基づいて更新する。さらに、乱数表を用いて当該登録予約に対応する解錠用キー情報としての解錠パスワードを生成する。この解錠パスワードも登録予約テーブル39に記憶される。
そして、管理装置2は、登録予約テーブル39の登録予約にある使用責任者および使用者の携帯電話11に予約受諾通知をメールする。予約受諾通知は、居室名、使用日時情報、使用責任者情報、使用者情報、解錠用アクセス先、解錠用キー情報としての解錠パスワードから構成されている。居室名、使用日時情報、使用者責任者情報、使用者情報は、予約申込情報と同様である。解錠用アクセス先は、管理装置2の解錠要求WebページのWebアドレスからなる。
携帯電話11は、受信した解錠パスワードと解錠要求WebページのWebアドレスを記憶手段24に記憶する。
このようにして一時使用目的居室1の使用予約の登録が行われる。そして、使用者全員に予約受諾通知がメールされるので、使用者全員に使用予約を徹底することができる。
【0019】
[予約変更]
使用責任者は、登録予約にある開始時刻前または使用中において予約変更申込することができる。なお、登録予約の取消は後述の登録予約取消として処理される。
使用責任者は、携帯電話11から予約変更申込のWebページのWebアドレスを入力し、管理装置2の予約変更申込のWebページから図7に示すような予約変更申込フォーマットを取り寄せ、携帯電話11の表示部17に表示させる。すでに、居室名および使用予定年月日の情報が表示され、変更することはできない。
予約変更申込フォーマットにおいて変更入力できる予約変更情報は、開始時刻、終了時刻、使用責任者情報、使用者情報、使用料金請求先情報である。但し、使用中はすでに開始時刻が過ぎているので、変更要求することはできない。
使用責任者は、予約変更申込フォーマットに変更する開始時刻、終了時刻などの変更情報を入力し、管理装置2に送信する。
【0020】
管理装置2は、予約変更申込フォーマットを受信し、予約変更情報の使用日時情報を登録予約テーブル39の登録予約を参照して変更が可能か否かを判定する。その他の予約変更情報の項目に関する変更の場合、変更が可能である。使用時間の変更も合わせて可能なとき、予約変更確認通知を使用責任者および使用者の携帯電話11にメールする。予約変更確認通知は、予約受諾通知と同様の項目であり、変更された項目だけ変わってくる。
一方、使用日時情報の時間帯がすでに他の人により予約されているとき、変更不可の通知を使用責任者および使用者の携帯電話11にメールする。
このようにして一時使用目的居室1の登録予約の変更が行われる。
【0021】
[登録予約取消]
使用責任者は、登録予約を使用予定の前日までならば取り消すことができる。
使用責任者は、携帯電話11から予約取消申込のWebページのWebアドレスを入力し、管理装置2の予約取消申込のWebページから図8に示すような予約取消申込フォーマットを取り寄せ、携帯電話11の表示部17に表示させる。すでに、居室名と使用日時情報が表示されており、変更することはできない。
使用責任者は、予約取消申込フォーマットの居室名と使用日時情報を確認して、管理装置2に送信する。
【0022】
管理装置2は、予約取消申込フォーマットを受信し、使用日が当日以前の場合、使用責任者の携帯電話11に取消可能な期限を過ぎているので取消ができない旨の取消不可通知をメールする。一方、使用日が明日以降の場合、管理装置2は、登録予約テーブル39から該当する登録予約を削除する。さらに、管理装置2は、使用責任者および使用者の携帯電話11に登録予約の取消が完了した旨の取消確認通知をメールする。
このようにして一時使用目的居室1の登録予約の取消が行われる。
【0023】
[使用権利譲渡]
使用責任者は、一時使用目的居室1を使用中に限り、登録予約の一時使用目的居室1の使用に関する権利を他人に譲渡することができる。
使用責任者は、携帯電話11から使用権利譲渡申出のWebページのWebアドレスを入力し、管理装置2の使用権利譲渡申出のWebページから図9に示すような使用権利譲渡申出フォーマットを取り寄せ、携帯電話11の表示部17に表示させる。
使用権利譲渡申出フォーマットにおいて入力する情報は、その一時使用目的居室1を使用責任者の使用に引き続いて使用を望んでいる人(以下、譲受対象者と称す。)の氏名と譲受対象者の携帯電話番号とである。
使用責任者は、使用権利譲渡申出フォーマットに譲受対象者の氏名とその譲受対象者の所持している携帯電話11の携帯電話番号を入力し、管理装置2に送信する。
【0024】
管理装置2は、使用権利譲渡申出フォーマットを受信し、譲受対象者の携帯電話11に譲受申込通知をメールする。
譲受申込通知は、居室名、使用日時情報、譲受申込のWebページのWebアドレスからなる。使用日時情報は、使用予約者が入力した譲受対象者が使用開始できる開始時刻と譲受を受けたときに可能な終了時刻とからなる。
【0025】
譲受対象者は、譲受を望むとき、携帯電話11から譲受申込のWebページのWebアドレスにアクセスして図10に示すような譲受申込フォーマットを取り寄せ、携帯電話11の表示部17に表示する。譲受申込フォーマットにおいて入力される情報は、終了時刻、使用者情報、使用料金請求先情報である。その他はすでに表示され、変更することができない。
譲受対象者は、譲受申込フォーマットに所定の譲受申込情報を入力し、管理装置2に送信する。
【0026】
管理装置2は、譲受申込フォーマットを受信し、それに含まれる譲受申込情報の終了時刻が使用予約者の終了時刻より後にある場合、譲受対象者の携帯電話に譲渡付加の情報をメールする。一方、終了時刻が使用予約者の予約していた終了時刻より前になる場合、登録予約テーブル39の登録予約を更新する。さらに、乱数表を用いて当該使用予約に対応する解錠用キー情報としての解錠パスワードを生成する。そして、譲受対象者の携帯電話11に譲渡完了通知をメールする。
譲渡完了通知は、居室名、使用日時情報、使用責任者情報、使用者情報、解錠用アクセス先、解錠用キー情報から構成されている。
携帯電話11は、受信した解錠パスワードを記憶手段24に記憶する。
このようにして一時使用目的居室1の使用する権利の譲渡を行うことができる。当事者だけで居室の使用が決まるのではなく、管理装置2により譲渡の仲介がなされるので、実際に使用した人を確実に把握できるとともに費用の課金も適切に行うことができる。
【0027】
[使用開始]
使用責任者または使用者は、開始時刻の間近に携帯電話11から解錠要求WebページのWebアドレスを入力し、管理装置2の解錠要求Webページにアクセスし、図11に示すような解錠要求フォーマットを携帯電話11の表示部17に表示する。そして、携帯電話11は、マクロが組み込まれており、そのマクロにより該当する携帯電話番号の欄に自身の携帯電話番号を、該当する解錠パスワードの欄に予約受諾通知に含まれて送られてきて、記憶手段24に記憶されている解錠パスワードを取り込む。使用責任者または使用者は、解錠要求情報として解除要求フォーマットを管理装置2に送信する。
このように携帯電話番号と解錠パスワードは携帯電話の記憶手段24から読み出されて解錠要求フォーマットに取り込まれるので、関係のない他人が解錠要求を行うことがない。
【0028】
管理装置2は、解錠要求情報を受信し、登録予約テーブル39の登録予約と対比して解錠の可否を判定する。
現在の時刻が登録予約の開始時刻から予め定められている時間T前の時点より前のとき、まだ1つ前の登録予約に係わる使用が終わっていないとして、解錠要求情報を送信した携帯電話11に今しばらく待つように送信する。
携帯電話番号または解錠パスワードのいずれか一方が登録予約テーブル39の登録予約の情報と違っているとき、登録予約以外の対象者からの解錠要求として、解錠要求情報を送信した携帯電話11に「使用予定者では有りませんので解錠できません」と送信する。
【0029】
解錠要求が行われた時刻が登録予約の開始時刻から時間T以内で、携帯電話番号と解錠パスワードが登録予約の情報と一致したとき、登録予約されている使用責任者および使用者の携帯電話11に「直ちに解錠致しますので携帯電話11を位置情報送信モードにして下さい」と送信する。引き続き、当該一時使用目的居室1の扉3の電子錠4を解錠する。
使用責任者または使用者は、各自携帯電話11を位置情報送信モードに設定し、扉3を開けて入室する。さらに、携帯電話11を位置情報送信モードに設定しているので、携帯電話11から管理装置2に定期的に全地球測位システム(以下、GPSと称す。)により測位された位置情報が送信される。
このようにして予約を行った一時使用目的居室1の電子錠4が管理装置2により解錠される。
このように各個人が所持している携帯電話11の電話番号と管理装置2において予約の登録毎に生成される解錠パスワードとを組み合わせて管理装置2により使用する予定の一時使用目的居室1が解錠されるので、鍵が必要なくなり鍵の紛失などの問題がなくなる。
【0030】
[使用確認]
管理装置2は、携帯電話11から管理装置2に送られてくる位置情報に基づいて周期的にその位置情報に基づく位置が当該一時使用目的居室1内であるか否かにより携帯電話11が当該一時使用目的居室1内にあるか否かを判定する。
直前に一時使用目的居室1内にないと判定されていた携帯電話11が一時使用目的居室1内にあると判定されたとき、付帯設備管理装置7に入室指令を送信する。付帯設備管理装置7は、その入室指令に基づき照明設備6や空調設備5を始動する。
【0031】
一方、携帯電話11が一時使用目的居室1内にないと判定され、直前に携帯電話11が一時使用目的居室1内にあると判定されてから予め定められた時間T経過している場合、管理装置2は、付帯設備管理装置7に入室者零指令を送信する。引き続き、当該一時使用目的居室1の扉3の電子錠4を旋錠する。付帯設備管理装置7は、入室者零指令を受信し、照明設備6や空調設備5を停止する。
このように自身の位置情報を管理装置2に送る携帯電話11が登録予約された一時使用目的居室1にあるか否かを判断されることにより、予約した人の携帯電話11がないとき電子錠4が旋錠されるので、予約した人以外の人が使用することができなくなり、セキュリティが向上する。
また、登録予約にある人の携帯電話11が一時使用目的居室1にあるときだけ付帯設備が稼動されるので、電力料金などの節約になる。
【0032】
[使用終了]
管理装置2は、登録予約されている終了時刻から予め定められた時間T前の時刻に、使用責任者の携帯電話11に終了確認通知をメールする。
終了確認通知は、登録予約にある終了時刻まで使用したときの使用時間と使用料金、延長使用が可能な場合の延長終了時刻、延長終了時刻まで使用を延長した場合の延長使用料金、延長を望むときに使用する延長申込のWebページのWebアドレスなどからなる。
【0033】
延長申込を終了時刻までに受信していないとき、携帯電話11からの位置情報に基づく携帯電話11の一時使用目的居室1内の所在を確認する。携帯電話11の一時使用目的居室1内の所在が確認されずに終了時刻から予め定められた時間Tが経過したとき、当該一時使用目的居室1の扉3の電子錠4を旋錠する。また、付帯設備管理装置7に入室者零指令を送信する。
【0034】
[退出促進]
一方、延長登録を終了時刻までに受信していないが、携帯電話11の一時使用目的居室1内の所在が確認されているとき、使用責任者の携帯電話11に退出確認通知をメールする。
退出確認通知は、終了時刻が過ぎていることと延長使用が可能な場合の延長終了時刻、延長終了時刻まで使用を延長した場合の延長使用料金、延長を望むときに延長申込のWebページのWebアドレスなどからなる。
【0035】
管理装置2は、退出確認通知のメール後予め定められた時間Tが経過したとき、付帯設備管理装置7に入室者零指令を送信する。付帯設備管理装置7は、入室者零指令に基づき照明設備6および空調設備5を停止する。この処理は早期の退室を促すために行われるものである。そしてこの処理が功を奏して携帯電話11の一時使用目的居室1内の所在が確認できなくなったら扉3の電子錠4を旋錠する。
【0036】
[延長申込]
一方、延長を望むとき、使用責任者は携帯電話11から延長申込のWebページのWebアドレスを入力し、管理装置2のWebページから図12に示すような延長申込フォーマットを取り寄せ、携帯電話11の表示部17に表示させる。
延長申込フォーマットにおいて入力できる延長申込情報は終了時刻だけからなる。
管理装置2は、受信した延長申込情報から入力された終了時刻が延長使用の可能な場合の延長終了時刻より以前であるか否かを判定する。以前の場合、登録予約テーブル39の登録予約を更新する。一方、終了時刻が延長終了時刻より遅いとき、使用責任者の携帯電話11に終了時刻の修正をメールする。使用責任者は、延長申込と同様にして終了時刻を修正入力して管理装置2に送信する。
このようにして登録予約の延長を行うことができる。
【0037】
[使用料金の請求]
管理装置2は、登録予約毎に使用が完了したのち、使用時間を算出し、時間当たりの単価に使用時間を積算して使用料金を算出する。そして、登録予約情報の請求先情報を参照して請求書を発行する。このようにして使用料金の請求書を発行することができる。
【0038】
次に、一時使用目的居室1の使用状況による付帯設備の始動/停止、電子錠の解錠/旋錠および課金の対象について図13から図16までを参照して説明する。
最初は、登録当初の登録予約に従って使用された場合について図13を参照して説明する。登録予約によれば開始時刻TSTARTと終了時刻TENDとの間の時間が登録予約されている。使用責任者としてA氏、使用者としてB氏が登録予約されている。
そして、A氏が、開始時刻TSTARTより前に解錠要求を行った。その時刻が開始時刻TSTART前予め定められた時間T以内であるので、付帯設備が始動され、電子錠4が解錠され、A氏が入室できた。次に、登録予約されているB氏が入室し、A氏が一旦退室した後、再度入室している。その後、B氏が退室し、さらにA氏が退室したので、管理装置2はその時刻後予め定められた時間T経過後付帯設備を停止し、電子錠4を旋錠している。その後、B氏が解錠要求を行い、付帯設備が始動され、電子錠4が解錠され、B氏が入室している。そして、B氏は終了時刻TEND後時間Tが経過しない時点で退室している。管理装置2は、終了時刻TEND後時間T経過した時点で一時使用目的居室1内に人がいないことを確認して付帯設備を停止し、電子錠4を旋錠している。そして、最初に電子錠4が解錠された時点から最終的に旋錠された時点までの間が使用されたと判定し、使用責任者A氏に請求書を発行する。
【0039】
次に、当初の登録予約が延長された場合について図14を参照して説明する。図13の場合と異なる点は、退室したA氏が再々度入室し、登録予約した終了時刻TEND以降も使用するために延長を申し込むことです。A氏が再々度入室し、終了確認通知を受信し、それに基づいて延長を申し込み、終了時刻TENDが延長終了時刻TENDEまで延長された。その後、B氏が退室し、その後A氏が延長された終了時刻TENDE後時間T以内で退室している。管理装置2は、延長された終了時刻TENDEから時間T経過した時点で一時使用目的居室1内に人がいないことを確認して付帯設備を停止し、電子錠4を旋錠している。そして、最初に電子錠4が解錠された時点から最終的に旋錠された時点の間が使用されたと判定し、使用責任者Aに請求書を発行する。
【0040】
次に、当初A氏、B氏が開始時刻TSTARTから終了時刻TENDまでの間を登録予約していたが、A氏、B氏による使用が早めに終わるので、C氏に一時使用目的居室1の使用する権利を譲渡する場合について図15を参照して説明する。
A氏が解錠要求を行って入室し、その後B氏が入室し、その後B氏が退室した後の時点(※1)でA氏がC氏への権利譲渡の申し出を行った。それに基づきC氏が譲受の申し込みを行い、受理されて、そのまま一時使用目的居室1が登録予約にある終了時刻TENDまでC氏により使用された。管理装置2は、C氏が退室し、終了時刻TEND後時間T経過時点で付帯設備を停止し、電子錠4を旋錠する。その後、管理装置2は、最初にA氏が入室した時点から譲渡の申し出を行った時点(※1)までの間がA氏により使用され、譲渡の申し出が行われた時点(※1)から最終的に電子錠4が旋錠された時点までの間がC氏により使用されたものと見なし、それぞれに請求書を発行する。なお、図15において、※2の時点は、譲渡の申し出が行われた時点(※1)から予め定められた時間T経過した時点を表し、※2の時点までに譲受の申し込みがなかったとき、使用する権利は消滅する。
【0041】
次に、当初A氏、B氏が開始時刻TSTARTから終了時刻TENDまでの間を登録予約していたが、A氏、B氏による使用が早めに終わるので、終了時刻TENDを繰り上げる場合について図16を参照して説明する。
A氏が解錠要求を行って入室し、その後B氏が入室し、その後B氏が退室した後の時点(※3)でA氏が予約変更の申し込みを行った。
管理装置2は、A氏が退室したことを確認し、予約変更の申し込みが行われた時点(※3)から時間T経過した時点(※4)で、付帯設備を停止し、電子錠4を旋錠する。その後、A氏が入室した時点から最終的に電子錠4が旋錠された時点の間がA氏により使用されたと判定し、請求書を発行する。
【0042】
このような一時使用目的居室管理システムは、予約した人が所持する携帯電話の電話番号により解錠要求を行う人を識別し、さらに、予約を登録するとき生成する解錠パスワードにより解錠を管理するので、鍵が必要なくなり、受け渡しに伴う紛失や紛失した後での鍵の交換などの管理費用が掛からない。
【0043】
また、使用前または使用中において携帯電話から変更、延長、終了の申込ができるので、使用状況に柔軟に登録予約を変更することができる。
【0044】
また、登録予約のある使用者であればだれでも解錠要求しうるので、特定の人の到着を待たないと居室が開かないという不便が解消できる。
【0045】
なお、携帯電話を携帯情報端末とした例について説明してきたが、インターネットに接続することができる携帯パソコンにGPS端末を備えてもこの発明を実施するための形態にすることができる。
【0046】
また、携帯情報端末の位置情報がGPSシステムを利用して得られる例について説明してきたが、PHSのように固定局の通信領域が小さくて、複数の固定局を用いることにより携帯情報端末の位置情報をPHSシステム側から得られる場合でもこの発明を実施するための形態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明を実施するための形態に係わる一時使用目的居室管理システムが適用された一時使用目的居室の概略図である。
【図2】この実施の形態に係わる携帯電話のブロック図である。
【図3】この実施の形態に係わる携帯電話のマイクロコンピュータの機能ブロック図である。
【図4】この実施の形態に係わる管理装置の機能ブロック図である。
【図5】登録予約テーブルに記憶されている登録予約のデータ構造を示す図である。
【図6】予約申込Webページに用意されている予約申込フォーマットを示す図である。
【図7】予約変更申込Webページに用意されている予約変更申込フォーマットを示す図である。
【図8】登録取消申込Webページに用意されている登録取消申込フォーマットを示す図である。
【図9】使用権利譲渡申出Webページに用意されている使用権利譲渡申出フォーマットを示す図である。
【図10】譲受申込Webページに用意されている譲受申込フォーマットを示す図である。
【図11】解錠要求Webページに用意されている解錠要求フォーマットを示す図である。
【図12】延長申込Webページに用意されている延長申込フォーマットを示す図である。
【図13】一時使用目的居室が予約通りに使用された場合の付帯設備や電子錠の状態を示すタイムチャートである。
【図14】一時使用目的居室が予約より延長して使用された場合の付帯設備や電子錠の状態を示すタイムチャートである。
【図15】一時使用目的居室の使用権利が譲渡された場合の付帯設備や電子錠の状態を示すタイムチャートである。
【図16】一時使用目的居室の使用が予約の途中で中止された場合の付帯設備や電子錠の状態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 一時使用目的居室、2 管理装置、3 扉、4 電子錠、5 空調設備、6 照明設備、7 付帯設備管理装置、8 伝送線、11 携帯電話、12 携帯電話システム、13 公衆回線、14 固定局、15 有線通信回線、16 マイクロコンピュータ、17 表示部、18 入力部、19 RF部、20 GPS用アンテナ、21 Webアクセス手段、22 位置情報送信手段、23 通知受信手段、24 記憶手段、31 予約管理手段、32 所在確認手段、33 付帯設備制御手段、34 終了管理手段、35 電子錠制御手段、36 使用料金課金手段、38 Web記憶手段、39 登録予約テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予約により一時的に使用できる一時使用目的居室を管理する一時使用目的居室管理システムにおいて、
上記一時使用目的居室の扉を解錠/旋錠する電子錠と、
識別情報が付加され、使用する人により入力された予約および解錠の要求を通信回線を介して管理装置に送信し、上記管理装置からの上記予約および解錠の要求に対する返答を受信する携帯情報端末と、
上記一時使用目的居室の使用に係わる上記携帯情報端末の識別情報および解錠パスワードを含んだ登録予約が記憶されている登録予約テーブル、上記予約の申込と上記登録予約とに基づいて上記一時使用目的居室の使用の可否を判断し、可と判断したとき上記登録予約を上記予約に従って更新するとともに上記解錠パスワードを含んだ返答を上記申込に用いられた上記携帯情報端末に送信する予約管理手段および上記携帯情報端末から上記解錠の要求がなされたとき、該携帯情報端末の識別情報と上記解除の要求に付加された解錠パスワードとが上記登録予約と同一の場合、上記電子錠に解錠を指令する電子錠制御手段を有する上記管理装置と、
を有することを特徴とする一時使用目的居室管理システム。
【請求項2】
上記情報携帯端末は、自身の位置情報を検出し、上記管理装置に送信する位置情報送信手段を有し、
上記管理装置は、上記位置情報に基づき上記登録予約の識別番号の上記携帯情報端末が上記一時使用目的居室に所在しているか否を判断する所在確認手段および上記携帯情報端末が上記一時使用目的居室に所在しているとき付帯設備を始動し、または所在していないとき付帯設備を停止する付帯設備制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載する一時使用目的居室管理システム。
【請求項3】
上記予約管理手段は、上記携帯情報端末から送られてくる登録予約の変更、取消または延長の申込と上記登録予約テーブルの登録予約とに基づいて上記一時使用目的居室の使用の変更、取消または延長が可能か否を判断し、可能と判断したとき上記登録予約テーブルの登録予約を上記変更、取消または延長の申込に従って更新するとともに該携帯情報端末に申込受諾通知を送信することを特徴とする請求項1または2に記載する一時使用目的居室管理システム。
【請求項4】
上記予約管理手段は、上記携帯情報端末からの上記一時使用目的居室の使用の権利の他人への譲渡の申し出に対して、上記他人に譲渡の申し出があったことを通知することを特徴とする請求項1乃至3に記載する一時使用目的居室管理システム。
【請求項5】
上記登録予約テーブルには、上記一時使用目的居室の使用が受諾された人の上記携帯情報端末の識別番号が記憶され、
上記電子錠制御手段は、上記登録予約テーブルに登録されている人の携帯情報端末から上記予約受諾通知に含まれていた解錠パスワードが解錠の要求と一緒に送られてきたとき、上記電子錠に解錠を指令することを特徴とする請求項1乃至4に記載する一時使用目的居室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−144264(P2006−144264A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332188(P2004−332188)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】