説明

三次元計測用画像撮影装置

【課題】撮影者を現在位置から次回撮影予定位置へ的確にガイドする三次元計測用画像撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明による三次元計測用画像撮影装置1は、測定対象物8を単カメラにより重複させながら順次撮影する三次元計測用画像撮影装置において、撮影者が移動しながら測定対象物8を撮影することによりライブ画像11を取得し、適時に静止画像である撮影画像を取得する撮影部2と、撮影部2の現在位置でのライブ画像11と次回撮影予定位置と略同じ相対的位置関係で撮影された静止画像である模擬対象物の見本画像12とを同一画面内に表示する表示部3と、撮影部2の現在位置でのライブ画像11と見本画像12とを比較して、次回撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置を判定する撮影位置判定部4と、現在位置から次回撮影予定位置へ撮影者が移動するようにガイド情報を作成し表示部に報知させる移動情報報知部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元計測用画像撮影装置に関する。詳しくは、撮影者を現在位置から次回撮影予定位置へガイドする三次元計測用画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の全体像を把握し、三次元モデル画像に再現するには、複数の撮影位置から撮影した撮影画像を連結していく必要がある。このように撮影者が移動しながら撮影した複数の撮影画像から撮影装置または対象物の三次元座標を測定するには、2枚以上の各撮影画像上で相互に対応する特徴点(対象物上の同一点を表す)を求め、これを追跡する必要がある。この場合、三次元計測に不適切な特徴点が撮影画像に混入し得るので、撮影画像における特徴点の適否を判定しながら、その撮影装置の撮影位置、姿勢又は対象物の位置座標を精度良く計測できる画像処理装置が提案されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−183256号公報(図1〜図11、段落0021〜0065)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定対象物の三次元モデル画像を正確かつ効率的に再現するには、測定対象物を撮影する複数の撮影位置を予め適正に配置しておく必要がある。そして予め定められた撮影予定位置に確実に移動して撮影する必要がある。しかしながら、実際に、移動中の撮影者が測定対象物とその周辺を見て、現在位置が撮影予定位置であるか否かを判断するのは困難であるという問題があった。特に、三次元モデル画像作成のための撮影に、未経験者や不慣れな者、さらに慣れた人でも、自動車、美術品、建造物、地形など測定対象物が大きい場合、その表面形状が複雑な場合、同様な繰り返し模様が現れる場合には、隣り合う画像間の重複範囲を適切に取りながら撮影することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、撮影者が次回撮影予定位置に的確に移動できるように、撮影者を現在位置から次回撮影予定位置へ的確にガイドする三次元計測用画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様の三次元計測用画像撮影装置1は、例えば、図1及び図4に示すように、測定対象物8を単カメラにより重複させながら順次撮影する三次元計測用画像撮影装置において、撮影者が移動しながら測定対象物8を撮影することによりライブ画像11を取得し、適時に静止画像である撮影画像を取得する撮影部2と、撮影部2の現在位置でのライブ画像11と次回撮影予定位置と略同じ相対的位置関係で撮影された静止画像である模擬対象物の見本画像12とを同一画面内に表示する表示部3と、撮影部2の現在位置でのライブ画像11と見本画像12とを比較して、次回撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置を判定する撮影位置判定部4と、現在位置から次回撮影予定位置へ撮影者が移動するようにガイド情報を作成し表示部に報知させる移動情報報知部5とを備える。
【0007】
ここにおいて、ライブ画像とは、例えば、現在の位置においてビデオカメラやデジタルカメラ等で取得された画像をいう。通常は、ビデオカメラやデジタルカメラを用いて撮影者が移動しながらファインダーやディスプレイ等に測定対象物をライブ画像として表示する。また、撮影画像とは、シャッター操作などにより撮影した静止画像をいう。また、模擬対象物の見本画像とは、測定対象物が自動車である場合には、典型的には、他の自動車について(形状が似ているほど好ましい)撮影予定位置と略同じ相対的位置関係(方向、距離)で既に撮影された撮影画像(静止画像)から選択された画像をいう。ただし、同じ型式の自動車や同一自動車で、ボケた部分や異物混入部分を修正したい、より高画質の撮影画像を得たい、条件を変えて撮影したい等の場合もあるので、模擬対象物は同じ型式の物や測定対象物を含むものとする。また、同じ相対的位置関係とは、撮影部と測定対象物との方向及び距離が、見本画像を撮影した撮影装置と模擬対象物との方向及び距離と等しいことを意味するが、測定対象物と模擬対象物の差異も考慮し、ここでは、方向、距離が同じに限られず、例えば差異が±10%以内であれば良い。また、同じ相対的位置関係で既に撮影された撮影画像には、撮影予定位置から撮影現場に設置された模擬対象物又は測定対象物を撮影した撮影画像を含むものとする。また、次回撮影予定位置は例えば、予め定められた撮影予定位置から予め定められた順序に従って決めても良く、現在位置から最短の撮影予定位置を選択しても良い。また、ガイド情報は方向及び距離をガイドするものでも良いが、距離に係るガイドは例えば「前へ」、「後へ」、「近くへ」、「遠くへ」と方向でも表現できるので、方向のみをガイドするものでも良い。
本態様のように構成すると、撮影者を現在位置から次回撮影予定位置へ的確にガイドする三次元計測用画像撮影装置を提供できる。
【0008】
本発明の第2の態様の三次元計測用画像撮影装置1Aは、第1の態様の三次元計測用画像撮影装置において、例えば図6に示すように、撮影部2で取得された撮影画像における特徴点を抽出する特徴点抽出部21と、特徴点抽出部21で抽出した特徴点の撮影画像における画面位置から、撮影画像を撮影した撮影位置の二次元座標又は三次元座標を求める撮影位置測定部23と、求められた撮影位置の位置座標に基づいて、複数の撮影予定位置の中から次回撮影予定位置を選択する次回撮影予定位置選択部24とを備え、表示部3は、見本画像12として選択された次回撮影予定位置と略同じ相対的位置関係で撮影された模擬対象物の画像を表示する。
【0009】
ここにおいて、撮影位置の二次元座標又は三次元座標を求めるには、例えば、DLT(Direct Linear Transformation)法または相互標定が用いられる。また、多くの撮影画像、多くの特徴点を用いる程、位置座標の精度を高くできる。
本態様のように構成すると、撮影者の撮影位置の二次元座標又は三次元座標を求めるので、撮影予定位置との定量的な位置関係に基づいて、撮影者を次回撮影予定位置に的確にガイドできる。
【0010】
本発明の第3の態様の三次元計測用画像撮影装置1は、第1又は第2の態様の三次元計測用画像撮影装置において、例えば図4に示すように、ガイド情報は、撮影部2の測定対象物8に対する相対的移動方向又は次回撮影予定位置を示す表示である。
【0011】
ここにおいて、相対的移動方向を示す表示とは、例えば、表示画面に矢印を表示する、文字で「右に移動してください」と表示する、音声で「右に移動してください」とアナウンスする等である。また、次回撮影予定位置を示す表示とは、例えば、次回撮影予定位置番号が2であれば、表示画面の撮影予定位置近傍に表示された番号2を点滅表示する、文字で「2番に移動してください」と表示する、音声で「2番に移動してください」とアナウンスする等である。
本態様のように構成すると、ガイド情報の表示を用いて撮影者に次回撮影予定位置をわかり易く報知できる。
【0012】
本発明の第4の態様の三次元計測用画像撮影装置1は、第1ないし第4のいずれかの態様の三次元計測用画像撮影装置において、例えば図8又は図9に示すように、自他識別可能な識別コードを有するマークCTの識別コードを識別するコード識別部22を備え、撮影部2は、撮影画像を測定対象物8と共に測定対象物8又はその周囲に存在する物に貼付された複数のマークCTを含むように撮影して取得し、特徴点抽出部21は、撮影画像からマークCTを特徴点として抽出し、コード識別部22は特徴点抽出部21で抽出されたマークCTの識別コードを識別する。
【0013】
ここにおいて、自他識別可能な識別コードを有するマークには、数字列、文字列、記号のように識別可能な符号を用いたコード、バーコード、2次元バーコード、カラーコードのようにパターン配置に識別性を持たせたコードが含まれる。このうち、実施例では主にカラーコードを使用する例を説明する。
このように構成すると、測定対象物又はその周囲に存在する物に自他識別可能な識別コードを有するマークを貼付することにより、撮影画像から撮影位置を正確に求めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撮影者を現在位置から次回撮影予定位置へ的確にガイドする三次元計測用画像撮影装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1に係る三次元計測用画像撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1における表示画面の例を示す図(その1)である。
【図3】実施例1における表示画面の例を示す図(その2)である。
【図4】実施例1における表示画面の例を示す図(その3)である。
【図5】実施例1における画像撮影の処理フロー例を示す図である。
【図6】実施例2に係る三次元計測用画像撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図7】カラーコードターゲットの例を示す図である。
【図8】実施例2における表示画面の例を示す図(その1)である。
【図9】実施例2における表示画面の例を示す図(その2)である。
【図10】レトロターゲットを用いた重心位置検出の説明図である。
【図11】対応点探索を説明するための図である。
【図12】相互標定を説明するための図である。
【図13】実施例2における画像撮影の処理フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において、互いに同一又は相当する部分には同一符号を付し,重複した説明は省略する。
【実施例1】
【0017】
[三次元計測用画像撮影装置の構成]
図1は本発明の実施例1に係る三次元計測用画像撮影装置1の構成を示すブロック図である。三次元計測用画像撮影装置1は、撮影部2、表示部3、撮影位置判定部4、移動情報報知部5、画像記憶部6、制御部7を備える。撮影位置判定部4、移動情報報知部5、制御部7はパーソナルコンピュータ(PC)9内に設けられる。撮影部2は、例えばビデオカメラやデジタルカメラで構成され、撮影者が移動しながら現在位置で測定対象物8を撮影してライブ画像を取得し、ファインダーやディスプレイ等に表示させ、また、シャッター操作などにより静止画像である撮影画像を撮影して取得する。本実施例では、ビデオカメラ又はデジタルカメラでライブ画像を撮影し、かつ、静止画像を撮影するものとする。ビデオカメラではシャッター操作により通常は撮影画像を外部のメモリに記憶するが、内部メモリがあればそこに記憶される。デジタルカメラではシャッター操作により撮影画像を内部メモリに記憶する。画像記憶部6は、例えばハードディスクで構成されデータベースとして使用される。画像記憶部6は、撮影部2で撮影された撮影画像、撮影予定位置と略同じ相対的位置関係で予め撮影された模擬対象物の見本画像等を記憶する。画像記憶部6としてカメラの内部メモリを用いても良いが、PCのハードディスクを用いる方が高速、多様な処理に適しているので好ましい。本実施例では、外部メモリを用いるカメラでは撮影画像を画像記憶部6に直接記憶し、内部メモリを用いるカメラでは撮影画像を画像記憶部6に転送するものとする。同じ相対的位置関係とは、撮影部と測定対象物との方向及び距離が、見本画像を撮影した撮影装置と模擬対象物との方向及び距離と等しいことを意味する。また、各見本画像は撮影予定位置と対応付けて記憶される。また、次回撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置を判定するためのライブ画像もシャッター操作などにより取得され、画像記憶部6に記憶される。記憶された撮影画像と相対的位置を判定するためのライブ画像の区別は、例えば撮影者が図示しない入力キーから、撮影画像の場合は1を、ライブ画像の場合は2を入力して行なう。また、ビデオカメラ又はデジタルカメラで撮影されたライブ画像は常時画像記憶部6のテンポラリメモリに上書きされて、表示部3に転送される。表示部3は、例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイを有する。少なくとも、撮影部2の現在位置でのライブ画像と次回撮影予定位置で撮影された静止画像である模擬対象物の見本画像とを同一画面内に表示する。両画像を左右に又は上下に並べて表示するのが比較し易いので好適であるが、同一画面内に表示されれば比較できるのでそれでも良い。また、表示部3は音声ガイドをする場合にはスピーカを有する。
【0018】
図2〜図4に、表示部3に表示される表示画面の例を示す。左側にライブ画像11を右側に見本画像12を並べて表示する。模擬対象物の見本画像12とは、撮影対象物8が例えば自動車である場合には、他の自動車について(形状が似ているほど好ましい)撮影予定位置と略同じ相対的位置関係(方向、距離)で既に撮影された自動車の撮影画像(静止画像)から選択された画像をいう。表示部3は、画像記憶部6に記憶された見本画像のうち次回撮影予定位置に対応付けられた画像から選んで表示する。また、撮影対象物と撮影予定位置との位置関係を二次元的に表す撮影位置画像13を表示する。撮影位置画像13には、撮影対象物8の設置領域14が表示され、撮影予定位置には番号が付され(○内に1〜8の番号を付して示す)、各撮影予定位置(○内に1〜○内に8)から撮影対象物8を観察・撮影する方向が矢印で表されている。撮影者は撮影予定位置に付された番号順に撮影予定位置へ移動して、順次、撮影対象物8を撮影すれば良い。静止画像の撮影が行なわれ、撮影者が入力キーから1を入力すると、見本画像12は次の次回撮影予定位置の画像に変化する。また、移動中に現在位置を知るため、ライブ画像を取得する際には、撮影者が入力キーから2を入力する。
【0019】
図2の表示画面は撮影部2が撮影予定位置(○内に1)にある場合を示している。ライブ画像11及び見本画像12には前方から撮影された自動車が表示され、自動車の方向が略一致している。撮影位置画像13には次回撮影予定位置(○内に1)が例えば赤色で表示され、他の撮影予定位置(○内に2〜8)が例えば黒色で表示されている。図3の表示画面は撮影部2が撮影予定位置(○内に2)にある場合を示している。ライブ画像11及び見本画像12には右前方から撮影された自動車が表示され、自動車の方向が略一致している。撮影位置画像13には次回撮影予定位置(○内に2)が例えば赤色で表示され、他の撮影予定位置(○内に1,3〜8)が例えば黒色で表示されている。図4の表示画面は撮影部2が撮影予定位置(○内に1)と撮影予定位置(○内に8)の中間にある場合を示している。例えば撮影者が撮影予定位置(○内に1〜7)での撮影を終えて撮影予定位置(○内に8)に移動する時に行き過ぎた場合である。ライブ画像11には前方やや左方から撮影された自動車が表示され、見本画像12には左前方から撮影された自動車が表示され、撮影位置画像13には次回撮影予定位置(○内に8)が例えば赤色で表示され、他の撮影予定位置(○内に1〜7)が例えば黒色で表示されている。また、ライブ画像11には、「右に移動してください」との文字表示がされ、撮影者に次回撮影予定位置である撮影予定位置(○内に8)の方向に移動するようにガイド情報を報知している。なお、撮影位置画像13の撮影予定位置(○内に1)と撮影予定位置(○内に8)との間に撮影予定位置(○内に8)に向かう矢印を表示してガイドしても良い。撮影者がこのガイド情報に従って自動車8に対して右回りに移動すれば、次回撮影予定位置(○内に8)に到達でき、次回撮影予定位置(○内に8)に到達すると、ライブ画像11と見本画像12における自動車の方向が略一致するので、次回撮影予定位置(○内に8)に到達したことがわかる。なお、このとき、ライブ画像11又は撮影位置画像13に「OK」と到達したことを示す文字表示をしても良く、音声で「OK」とアナウンスしても良い。静止画の撮影が行なわれると、見本画像12は次の次回撮影予定位置に対応付けられた画像に変化する。全ての撮影予定位置(○内に1〜8)での撮影が行なわれれば、次回撮影予定位置に対応付けられた画像はなくなるので見本画像12は空白になる。この場合、見本画像12に「撮影完了」と文字表示をしても良く、音声で「撮影完了」とアナウンスしても良い。
【0020】
撮影位置判定部4は、撮影部2すなわち撮影者の現在位置でのライブ画像11と見本画像12とを比較して、次回撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置を判定する。撮影位置判定部4はライブ画像11の自動車の方向を解析する。例えば、データベースに多くの見本画像12を撮影予定位置(○内に1〜8)と対応付けて蓄積し、これらの見本画像のパターン7からライブ画像11に比較的似たパターンを抽出してライブ画像11と比較する。例えば、撮影予定位置(○内に1)と撮影予定位置(○内に2)の両方のパターンに似ている場合には、撮影部2は撮影予定位置(○内に1)と撮影予定位置(○内に2)の中間に在ると判定し、その中で、撮影予定位置(○内に1)の見本画像により似ていれば、撮影予定位置(○内に1)により近い方にあり、撮影予定位置(○内に2)の見本画像により似ていれば、撮影予定位置(○内に2)により近い方にあると判定する。ライブ画像11のパターンと見本画像12のパターンの類似性は、例えばライブ画像11と見本画像12から特徴点を抽出し、対応する特徴点の画像間での距離を統計的に処理して求めても良い。また、撮影予定位置(○内に1〜8)以外の位置に対応付けられる見本画像(例えば撮影予定位置の中間と略同じ相対的位置関係で撮影された見本画像、斜め上方から撮影された見本画像等)も比較の対象として用いても良い。
【0021】
撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置(方向、距離)は、撮影画像内の測定対象物の方向と寸法から判定される。例えば、画像記憶部6に多数の方向、距離から撮影された見本画像を、方向、距離と対応付けて蓄積しておき、取得したライブ画像11をこれらの見本画像と比較し、類似性の高い画像を抽出して、撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置を判定する。取得されたライブ画像に自動車が大きく写っているときは撮影部2は自動車の近くにあり、自動車が小さく写っているときは撮影部2は自動車の遠くにあると判定される。また、ライブ画像11を、撮影予定位置(○内に1)の方向から取得した場合は自動車の前方、撮影予定位置(○内に2)の方向から取得した場合は自動車の右前方、撮影予定位置(○内に3)の方向から取得した場合は自動車の右方、撮影予定位置(○内に4)の方向から取得した場合は自動車の右後方、撮影予定位置(○内に5)の方向から取得した場合は自動車の後方、撮影予定位置(○内に6)の方向から取得した場合は自動車の左後方、撮影予定位置(○内に7)の方向から取得した場合は自動車の左方、撮影予定位置(○内に8)の方向から取得した場合は自動車の左前方と判定される。また、これらの中間位置、例えば、撮影予定位置(○内に1)と撮影予定位置(○内に2)の中間から取得した場合は自動車の前方やや右側にあると判定される。
【0022】
移動情報報知部5は、撮影部2の現在位置から次回撮影予定位置へ撮影者が移動するようにガイド情報を作成し、表示部3に報知させる。移動情報報知部5は撮影位置判定部4による次回撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置を判定に基づいてガイド情報を報知する。例えば、撮影部2が撮影予定位置(○内に1)や撮影予定位置(○内に2)にある場合には、ガイド情報を作成しなくても良く、「OK」と作成しても良い。また、例えば、撮影予定位置(○内に1)と撮影予定位置(○内に8)の中間にあり、次回撮影予定位置が撮影予定位置(○内に8)の場合には、「右に移動してください」とのガイド情報を作成し、表示部3であるディスプレイに文字表示させたり、スピーカにアナウンスさせる。また、例えば、撮影予定位置(○内に1)と撮影予定位置(○内に2)の中間にあり、次回撮影予定位置が撮影予定位置(○内に2)の場合には、「左に移動してください」とのガイド情報を作成し、表示部3であるディスプレイに文字表示させたり、スピーカにアナウンスさせる。また、ガイド情報は方向及び距離をガイドするものでも良いが、距離に係るガイドは方向でも表現できるので、方向のみをガイドするものでも良い。さらに、測定対象物8を周囲から撮影する等、測定対象物8と各撮影予定位置(○内に1〜8)との距離が予め決められている(例えば5m)場合、遠方からの撮影で距離の影響が無視できる場合には、「右へ」、「左へ」等横方向へのガイドでも良い。
【0023】
制御部7は、内臓メモリに制御プログラムを有し、三次元計測用画像撮影装置1の各部を制御し、信号及びデータの流れを制御し、三次元計測用画像撮影装置としての機能を実行させる。特に、撮像部2から常時ライブ画像を取得して、表示部3に表示させ、静止画像の撮影毎に、撮影予定位置に付された番号順に次回撮影予定位置を判定し、画像記憶部6から次回撮影予定位置に対応付けられた画像から測定対象物8に似た模擬対象物の画像を選んで見本画像12として表示部3に表示させる。また、撮影位置判定部4に、ライブ画像11と見本画像12とを比較させ、次回撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置を判定させ、移動情報報知部5に、次回撮影予定位置へ撮影者が移動するようにガイド情報を作成させる。
【0024】
図5に、本実施例における画像撮影の処理フロー例を示す。まず、制御部6に撮影予定位置(○内に1〜8)と撮影順番を設定する(S101)。ここでは撮影予定位置の番号順に撮影することとする。次に、表示部3にライブ画像と共に最初の次回撮影予定位置に対応付けられた見本画像を表示する(S102)。撮影者が、ライブ画像11と見本画像12を比較しながら、最初の次回撮影予定位置に到達したと判断して撮影画像を取得する(S103)。撮影が行なわれ、例えば撮影者が1を入力すると、見本画像は次の次回撮影予定位置に対応する画像に変化する(S104)。撮影者が、再度ライブ画像11と見本画像12を比較しながら、次回撮影予定位置に到達したと判断して撮影画像を取得する(S105)。このように、撮影予定位置の番号順に、画像表示と撮影を繰り返し、撮影者が、最後の次回撮影予定位置に到達したと判断して撮影画像を取得する(S106)。撮影予定位置での撮影が一巡したら、撮影者は、表示部3に撮影画像を表示させて解析し、適切な撮影予定位置で撮影されたか、画像にぶれや異物混入等の欠陥がないか解析し(S107)、不適切な画像があれば(S108でNO)、再度撮影予定位置を設定して(S101に戻る)、不足分の撮影画像を取得する。不適切な画像がなければ(S108でYES)、撮影を終了する。なお、解析の際に、撮影位置判定部4は撮影画像の自動車の方向を解析し、撮影位置画像13の撮影対象物の設置領域14内に自動車の方向(前方)を示す矢印を表示させても良い。
【0025】
以上説明したように、本実施例によれば、撮影者を現在位置から次回撮影予定位置へ的確にガイドする三次元計測用画像撮影装置を提供できる。
【実施例2】
【0026】
実施例2では、測定対象物又はその周囲に存在する物に自他識別可能な識別コードを有するマークを貼付し、マークの位置座標を用いて撮影位置の位置座標を求め、求められた撮影位置の位置座標に基づいて次回撮影予定位置を自動的に選択する例を説明する。
【0027】
図6は実施例2に係る三次元計測用画像撮影装置1の構成を示すブロック図である。図1の構成に特徴点抽出部21、コード識別部22、撮影位置測定部23、次回撮影予定位置選択部24が追加されている。これらはパーソナルコンピュータ(PC)9内に設けられる。特徴点抽出部21は、撮影部2で取得された撮影画像における特徴点を抽出する。コード識別部22はマークの識別コードを識別する。撮影位置測定部23は、特徴点抽出部21で抽出した特徴点の撮影画像における画面位置から、撮影画像を撮影した撮影位置の二次元座標又は三次元座標を求める。次回撮影予定位置選択部24は、求められた撮影位置の位置座標に基づいて、複数の撮影予定位置の中から次回撮影予定位置を選択する。また、撮影位置判定部4は、求められた撮影位置の位置座標に基づいて、次回撮影予定位置に対する撮影部の相対的位置を判定する。
【0028】
特徴点抽出部21は、撮影部2で取得された複数の撮影画像における特徴点を抽出する。本実施例では測定対象物である自動車の周囲にカラーコードターゲットが貼り付けられており、カラーコードターゲットを特徴点として使用できる。
【0029】
[カラーコードターゲット]
図7にカラーコードターゲットCTの例を示す。図7(a)はカラーコードの単位領域が3個、図7(b)は6個、図7(c)は9個のカラーコードターゲットである。図7(a)〜(c)のカラーコードターゲットCT(CT1〜CT3)は、位置検出用パターン(レトロターゲット部)P1、基準色パターン(基準色部)P2、カラーコードパターン(カラーコード部)P3、空パターン(白色部)P4で構成されている。
【0030】
レトロターゲット部P1は、ターゲット自体の検出用、その重心検出用、ターゲットの向き検出用、ターゲット領域検出用として使用する。
【0031】
基準色部P2は、照明やカメラ等の撮影条件による色のずれに対応するために、相対比較時の参照用、色ずれを補正するためのカラーキャリブレーション用として使用する。さらに、基準色部P2は、簡易な方法で作成されたカラーコードターゲットCTの色彩補正用として使用できる。例えば、色管理がなされていないカラープリンター(インクジェット・レーザー・昇華型等のプリンタ)で印刷したカラーコードターゲットCTを使用する場合は、使用プリンタ等で色彩に個体差が出るが、基準色部P2とカラーコード部P3の色を相対比較し補正することで、個体差の影響を押さえることができる。
【0032】
カラーコード部P3は、その各単位領域への配色の組み合わせによってコードを表現する。コードに使用するコード色の数により表現可能なコード数が変化する。例えば、コード色数がnの場合、n×n×n通りのコードを表せる。信頼度を上げるため、他の単位領域に使用されている色を重複して使用しないという条件を課した場合でも、n×(n−1)×(n−2)通りのコードを表せる。そして、コード色数を増やせばコード数を増加できる。さらに、カラーコード部P3の単位領域の数とコード色数を等しくするという条件を課すと、全てのコード色がカラーコード部P3に使用されるため、基準色部P2との比較のみで無く、カラーコード部P3の各単位領域間で色を相対比較することにより、各単位領域の色彩を確認して識別コードを決定することができ、信頼性を上げることができる。さらに、各単位領域の面積を全て同じにする条件を追加すると、カラーコードターゲットCTを画像中から検出する際にも使用できる。これは、異なる識別コードをもつカラーコードターゲットCT間でも各色の占有する面積が同じになるため、カラーコード部全体からの検出光からはほぼ同様な分散値が得られるからである。また、単位領域間の境界は等間隔に繰り返され、明確な色彩差が検出されるので、このような検出光の繰り返しパターンからもターゲットCTを画像中から検出することが可能である。
【0033】
白色部P4は、カラーコードターゲットCTの向き検出用と色ずれのキャリブレーション用として使用する。ターゲットCTの四隅の内、一カ所だけレトロターゲットが配置されない箇所があり、これをターゲットCTの向き検出用に使用できる。このように白色部P4はレトロターゲットと異なるパターンであれば良い。したがって、白色部には目視でコードを確認するための番号などの文字列を印刷しても良く、また、バーコード等のコード領域としても使用しても良い。さらに、検出精度を上げるために、テンプレートマッチング用のテンプレートパターンとして使用することも可能である。
【0034】
コード識別部22はカラーコードターゲットCTの識別コードを識別する。パターン配置とコード番号の対応関係を記録するカラーコードターゲット対応表を用いて、カラーコードターゲットCTのカラーコード部P3における色彩の配列から識別コードを判別し、カラーコードターゲットCTに番号を付与する。
【0035】
図8に表示部に表示される表示画面の例を示す。ライブ画像11には、測定対象物8である自動車の周囲にカラーコードターゲットCTが貼り付けられている。これは、撮影対象物8の周囲、もしくは撮影対象物8に配置されたカラーコードターゲットCTを自動的に抽出し、識別コードが識別されたカラーコードターゲットCTの位置から撮影位置測定部23で撮影部2の現在位置の二次元座標又は三次元座標を求め、次の次回撮影予定位置に対応する見本画像を自動的に表示するためである。撮影位置画像13において、撮影部2の現在位置が撮影予定位置(○内に6)と撮影予定位置(○内に7)の間に在ることが表示される。また、見本画像12には自動車を左後方から撮影した次回撮影予定位置(○内に6)の画像が表示され、移動情報報知部5により見本画像12の下に「右に移動してください」とのガイド情報が表示される。
【0036】
図9に表示部に表示される表示画面の別の例を示す。図9はライブ画像の表示例で、土器の表面にカラーコードターゲットCT及びレトロターゲット(黒で縁どられた白丸の部分)が貼り付けられている。この場合も図8の自動車の場合と同様に、カラーコードターゲットCTを自動的に抽出し、識別コードが識別されたカラーコードターゲットCTの位置からからカメラの位置を求め、次の見本画像を自動的に表示するためである。レトロターゲットはそれ自身では識別性が無いが、周囲に貼り付けられたカラーコードターゲットCTとの位置関係から識別性が生じるので、撮影部2の現在位置の二次元座標又は三次元座標を求めるために使用できる。
【0037】
カラーコードターゲットCTの位置はレトロターゲットP1を検出することにより求められる。カラーコードターゲットCT以外にレトロターゲットが貼付される場合、カラーコードターゲットCTに代えてレトロターゲットが貼付される場合も、マークの位置はレトロターゲットを検出することにより求められる。
【0038】
図10はレトロターゲットを用いた重心位置検出の説明図である。本実施例ではレトロターゲットは2つの同心円で形成されている。図10(A1)は同心円のうち小円の内側である内円部204の明度が明るく、小円と大円との間に形成された円環状の部分である外円部206の明度が暗いレトロターゲット200、図10(A2)は(A1)のレトロターゲット200の直径方向の明度分布図、図10(B1)は内円部204の明度が暗く、外円部206の明度が明るいレトロターゲット200、図10(B2)は(B1)のレトロターゲット200の直径方向の明度分布図を示している。レトロターゲットが図10(A1)のように内円部204の明度が明るい場合は、測定対象物1の撮影画像において重心位置での反射光量が多く明るい部分になっているため、画像の光量分布が図10(A2)のようになり、光量分布の閾値Toからレトロターゲットの内円部204や中心位置を求めることが可能となる。本実施例のカラーコードターゲットCTでは、(A1)の場合、正方形の位置検出用パターンP1の中心部に小円に相当する円が一つ形成されていればよく、大円の外側は明るくても暗くてもよいが、暗くするのが良い。暗い場合は、実質的に一つの円(小円)が形成されているだけである。(B1)の場合は、大円の外側は明るくても暗くてもよいが、大円の外側が明るい場合は、実質的に明るい下地に暗い1つの円(小円)が形成されているだけである。
【0039】
ターゲットの存在範囲が決定されると、例えばモーメント法によって重心位置を算出する。例えば、図10(A1)に表記されたレトロターゲット200の平面座標を(x、y)とする。そして、レトロターゲット200の明度が、閾値To以上のx、y方向の点について、(式1)、(式2)を演算する。
xg={Σx*f(x、y)}/Σf(x、y) −−−−(式1)
yg={Σy*f(x、y)}/Σf(x、y) −−−−(式2)
(xg、yg):重心位置の座標、f(x、y):(x、y)座標上の光量
なお、図10(B1)に表記されたレトロターゲット200の場合は、明度が閾値To以下のx、y方向の点について、(式1)、(式2)を演算する。これにより、レトロターゲット200の重心位置が求まる。
【0040】
カラーコードターゲット、レトロターゲットが用いられない場合、特徴点抽出部21は複数の撮影画像から特徴点を抽出する。特徴点には、例えば測定対象物8の中心位置、重心位置、コーナー位置、他と異なる特徴を有する位置、測定対象物8に貼付された又は投影された標識などがある。特徴点抽出には特徴抽出オペレータが使用される。ここではモラベック(MORAVEC)オペレータを用いる例を説明する。
【0041】
MORAVECオペレータは、汎用の特徴抽出器として古くから使用されている。MORAVECオペレータは、例えば、ある注目画素の周囲3×3画素をマスクとし、マスクが注目画素の周囲4方向に各1画素移動した際の濃度差分(方向濃度差分)の最小値をその注目画素の特徴量とする。処理が単純で高速であること、比較的容易にハード化が可能なことなどが特徴である。なお、高速処理を行うためには、画像の数倍のメモリが必要となる。ここではモラベックオペレータによる特徴点抽出を説明したが、他のオペレータ、例えばハリスオペレータやその他のもの、特徴点を検出できるものならなんでもよい。
【0042】
撮影位置測定部23は、特徴点抽出部21で抽出した特徴点の撮影画像における画面位置から、撮影画像を撮影した撮影位置の二次元座標又は三次元座標を求める。抽出されたターゲットの位置が既知の場合にはDLT法を使用して測定対象物8の特徴点及び撮影位置の二次元座標又は三次元座標を求めることができる。
[DLT法]
DLT法は、写真座標と被写体の三次元座標(対象点座標)との関係を三次の射影変換式で近似したものである。
DLT法の基本式は(式3−1)となる。
【数1】

(式3−1)に対し、分母を消去すると、次の線形式を導き出せる。
【数2】


更に、(式3−2)を変形すると、以下の式となる。
【数3】

(式3−3)を直接、最小二乗法を用いて解くと、写真座標と対象点座標との関係を決定するL〜L11の11個の未知変量を取得できる。したがって、位置座標が既知の6点について(式3−3)を解くことにより、被写体の写真座標(x,y)と被写体の三次元座標(対象点座標)(X,Y,Z)との関係が求まり、写真座標(x,y)と対象点座標(X,Y,Z)を結ぶ直線の収束点にあたる撮影位置の位置座標(0,0,0)を求めることができる。この場合、撮影位置は、対象点座標に対して(−X,−Y,−Z)の位置になる。
【0043】
ターゲットの位置が確定していない場合、特徴点の位置座標が不明な場合には、2枚以上の撮影画像における重複部分の特徴点を用いて、相互標定により測定対象物8の特徴点及び撮影位置の二次元座標又は三次元座標を求める。
まず、2枚の撮影画像をステレオ画像(一方を基準画像、他方を探索画像とする)とし、特徴点の対応付け(対応点探索)を行なう。相互相関処理により対応点探索を行なう。
【0044】
[相互相関処理]
相互相関係数による方法
【数4】

【0045】
図11は対応点探索を説明するための図である。図11に示すようにN×N画素のテンプレート画像を、それより大きいM×M画素の入力画像内の探索範囲(M−N+1)上で動かし、上式のC(a,b)が最大になるようなテンプレート画像の左上位置を求めて、テンプレート画像に対し探索されたとみなす。左右画像の場合には、例えば左画像上にN×N画素のテンプレート画像を設定し、右画像上にM×M画素の探索領域を設定し、この操作を各画像上での位置について行えばよい。
ここでは、対応点探索に関し、正規化相互相関処理について説明したが、他の手法、例えば、残差逐次検定法(SSDA)や、方向符号照合法(OCM)などを用いてもよい。
【0046】
次に、左右画像の対応付けられた点から、撮影部2での撮影位置や、特徴点の三次元座標を求める。まず、相互標定法によってカメラの位置、傾きを求める方法について説明する。
[外部標定要素の算出:相互標定]
モデル画像とは、2枚以上の立体写真が撮影されたときの状態に再現されたとき得られる立体像のことをいう。相対的に相似なモデル画像を形成することを、相互標定という。すなわち、相互標定とは、立体写真の対応する2本の光束が交会するように、左右それぞれの投影中心の位置および傾きを定めるものである。
【0047】
図12は相互標定を説明するための図である。次に,各モデル画像の標定計算の詳細について説明する。この計算により、左右それぞれのカメラの位置(三次元座標と三軸の傾き)が求められる。
以下の共面条件式によりそれらのパラメータを求める。
【数5】

【0048】
モデル座標系の原点を左側の投影中心にとり、右側の投影中心を結ぶ線をX軸にとるようにする。縮尺は、基線長を単位長さにとる。このとき求めるパラメータは、左側のカメラのZ軸の回転角κ、Y軸の回転角φ、右側のカメラのZ軸の回転角κ、Y軸の回転角φ、X軸の回転角ωの5つの回転角となる。この場合左側のカメラのX軸の回転角ωは0なので、考慮する必要ない。
【0049】
このような条件にすると、(式4)の共面条件式は(式5)のようになり、この式を解けば各パラメータが求まる。
【数6】

【0050】
ここで、モデル座標系XYZとカメラ座標系xyzの間には、次に示すような座標変換の関係式(式6)、(式7)が成り立つ。
【数7】

【0051】
これらの式を用いて、次の手順により、未知パラメータを求める。
(a)未知パラメータの初期近似値は通常0とする。
(b)共面条件式(式5)を近似値のまわりにテーラー展開し、線形化したときの微分係数の値を(式6)、(式7)により求め、観測方程式をたてる。
(c)最小二乗法をあてはめ、近似値に対する補正量を求める。
(d)近似値を補正する。
(e)補正された近似値を用いて、(b)〜(e)までの操作を収束するまで繰り返す。
未知パラメータ(κ,φ,κ,φ,ω)を求めることにより、カメラの位置と傾きが求まる。
【0052】
次回撮影予定位置選択部24は、求められた撮影位置の位置座標に基づいて、複数の撮影予定位置の中から次回撮影予定位置を選択する。次回撮影予定位置選択部24は、予め複数の撮影予定位置の位置座標と、当該撮影予定位置において撮影済か未撮影かを記憶した撮影予定位置表を有し、次回撮影予定位置選択部24は撮影予定位置表を参照して、例えば、求められた撮影位置と各撮影予定位置との距離(測定対象物が間に入る場合はこれを迂回した距離)を比較し、未撮影の撮影予定位置のうち求められた撮影位置と最短距離にある撮影予定位置を次回撮影予定位置として選択する。例えば図8の撮影位置画像13において、撮影部2の現在位置が撮影予定位置(○内に6)と撮影予定位置(○内に7)の間に在り、未撮影の撮影予定位置のうち撮影予定位置(○内に6)が位置座標が求められた撮影位置と最短距離にある場合は、見本画像12に撮影予定位置(○内に6)と略同じ相対的位置関係で撮影された画像が次回撮影予定位置の見本画像として表示される。もし、最短距離の撮影予定位置が2つある場合には、右回りか左回りのいずれかを優先させて選択させる。
【0053】
図13に画像撮影の処理フロー例を示す。
まず、測定対象物を選択し(S10)、測定対象物又はその周囲に存在する物にカラーコードターゲットを貼り付ける(S20)。撮影予定位置を予め定めておき、撮影を開始する(S30)。すなわち、表示部3にライブ画像11を表示し、撮影者は移動中の適当な位置で、例えばシャッターを操作し、入力キーから2を入力することにより、ライブ画像を取得する。次に、取得したライブ画像について特徴点抽出部21でカラーコードターゲットを検出し(S35)、コード識別部22でカラーコードターゲットの識別コードを識別する(S40)。撮影位置測定部23は、取得したライブ画像におけるカラーコードターゲットの位置とカラーコードターゲットが貼り付けられた位置座標から、撮影部2の現在位置の二次元座標又は三次元座標を計算して求める(S50)。次回撮影予定位置選択部24は、求められた撮影部2の現在位置の位置座標に基づいて次回撮影予定位置を求め(S55)、撮影位置判定部4は求められた撮影部2の現在位置の位置座標に基づいて次回撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置を判定する。移動情報報知部5は撮影位置判定部4の判定に添ってガイド情報を作成する。表示部3は、次回撮影予定位置と略同じ相対的位置関係で撮影された見本画像12を表示する(S60)。この際、表示部3の撮影位置画像13に現在位置を表示し、移動情報報知部5が作成したガイド情報を表示する。撮影者はガイド情報に従い、また、ライブ画像11と見本画像12を比較しながら次回撮影予定位置に到達し、例えばシャッターを操作し、入力キーから1を入力することにより、撮影画像を取得する(S70)。次に、取得された撮影画像について、カラーコードターゲットの検出(S35)から撮影画像の取得(S70)が順次繰り返される。もし、撮影画像の取得(S70)後に、撮影者が現在位置を知りたい時、ガイド情報を得たい時にはその位置でシャッターを操作し、入力キーから2を入力することにより、ライブ画像を取得する。この場合には、撮影画像取得の場合と次回撮影予定位置に対する撮影部2の相対的位置が異なるが、カラーコードターゲットの検出(S35)から撮影画像の取得(S70)が行なわれる。全ての撮影予定位置での撮影が行なわれたら(S80でYES)、撮影を終了する。
【0054】
以上説明したように、本実施例によれば、撮影者を現在位置から次回撮影予定位置へ的確にガイドする三次元計測用画像撮影装置を提供できる。
【0055】
また、本発明は、以上の実施の形態のフローチャート等に記載の三次元計測用画像撮影方法の発明、当該方法の発明を三次元計測用画像撮影装置に実行させるためのプログラムとしても実現可能である。プログラムは三次元計測用画像撮影装置の内蔵記憶部に蓄積して使用してもよく、外付けの記憶装置に蓄積して使用してもよく、インターネットからダウンロードして使用しても良い。また、当該プログラムを記録した記録媒体としても実現可能である。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施例に種々変更を加えられることは明白である。
【0057】
例えば、以上の実施例では、ライブ画像と静止画像を同一のビデオカメラやデジタルカメラで取得する例を説明したが、例えば、各撮影予定位置において左右に少しずれた位置(例えば一歩動いた位置)から1回ずつ合計2回撮影し、一組のステレオ画像としても良い。このようにするとステレオカメラでの撮影に近くなり、カメラの標定や撮影位置の計測が容易になる。また、実施例2では、ライブ画像と撮影画像の撮影と撮影者のキー入力により、撮影位置測定部が撮影位置を求め、見本画像の次回撮影予定位置が変化する例を説明したが、次回撮影位置選択部24が次回撮影予定位置を選択した時に、自動的に見本画像の次回撮影予定位置が変化するようにしても良い。また、撮影予定位置数、ターゲットの配置、ガイド情報の文章等は適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、三次元計測や三次元モデル画像作成のための撮影に利用できる。特に、未経験者や不慣れな者が撮影する場合に、また、慣れた人でも、測定対象物が大きい場合、表面形状が複雑な場合、同様な繰り返し模様が現れる場合等に、本発明を利用すると、隣り合う画像での撮影を適切な重複範囲で撮影することができる。
【符号の説明】
【0059】
1,1A 三次元計測用画像撮影装置
2 撮影部
3 表示部
4 撮影位置判定部
5 移動情報報知部
6 画像記憶部
7 制御部
8 測定対象物
9 パーソナルコンピュータ(PC)
11 ライブ画像
12 見本画像
13 撮影位置画像
14 撮影対象物の設置領域
21 特徴点抽出部
22 コード識別部
23 撮影位置測定部
24 次回撮影位置選択部
200 レトロターゲット
204 内円部
206 外円部
CT カラーコードターゲットCT
P1 レトロターゲット部
P2 基準色部
P3 カラーコード部
P4 白色部
To 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物を単カメラにより重複させながら順次撮影する三次元計測用画像撮影装置において;
撮影者が移動しながら測定対象物を撮影することによりライブ画像を取得し、適時に静止画像である撮影画像を取得する撮影部と;
前記撮影部の現在位置でのライブ画像と次回撮影予定位置と略同じ相対的位置関係で撮影された静止画像である模擬対象物の見本画像とを同一画面内に表示する表示部と;
前記撮影部の現在位置でのライブ画像と前記見本画像とを比較して、前記次回撮影予定位置に対する撮影部の相対的位置を判定する撮影位置判定部と;
前記現在位置から前記次回撮影予定位置へ撮影者が移動するようにガイド情報を作成し、前記表示部に報知させる移動情報報知部とを備える;
三次元計測用画像撮影装置。
【請求項2】
前記撮影部で取得された複数の撮影画像における特徴点を抽出する特徴点抽出部と;
前記特徴点抽出部で抽出した特徴点の前記撮影画像における画面位置から、前記撮影画像を撮影した撮影位置の二次元座標又は三次元座標を求める撮影位置測定部と;
求められた前記撮影位置の位置座標に基づいて、複数の撮影予定位置の中から次回撮影予定位置を選択する次回撮影予定位置選択部とを備え;
前記表示部は、前記見本画像として前記選択された次回撮影予定位置と略同じ相対的位置関係で撮影された模擬対象物の画像を表示する;
請求項1に記載の三次元計測用画像撮影装置。
【請求項3】
前記ガイド情報は、前記撮影部の前記測定対象物に対する相対的移動方向又は前記次回撮影予定位置を示す表示である;
請求項1又は請求項2に記載の三次元計測用画像撮影装置。
【請求項4】
自他識別可能な識別コードを有するマークの前記識別コードを識別するコード識別部を備え;
前記撮影部は、前記撮影画像を前記測定対象物と共に前記測定対象物又はその周囲に存在する物に貼付された複数の前記マークを含むように撮影して取得し;
前記特徴点抽出部は、前記撮影画像から前記マークを特徴点として抽出し;
前記コード識別部は前記特徴点抽出部で抽出されたマークの前記識別コードを識別する;
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の三次元計測用画像撮影装置。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−219825(P2010−219825A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63658(P2009−63658)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】