説明

不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法

【課題】メモリセルのサイズを縮小することができる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供すること
【解決手段】不揮発性半導体記憶装置1は、第1方向Xに沿って形成されたトレンチ20を有する基板10と、そのトレンチ20外の基板10表面上に第1ゲート絶縁膜11を介して形成された浮遊ゲート40と、そのトレンチ20内の基板10表面上に第2ゲート絶縁膜21を介して形成された埋設ゲート30と、第3ゲート絶縁膜31を介して浮遊ゲート40を覆うように形成された制御ゲート50と、浮遊ゲート40下方の基板10中に形成されたソース領域61及びドレイン領域62とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を概略的に示す平面図である。また、図2A〜図2Cは、その不揮発性半導体記憶装置の線a−a’、線b−b’、線c−c’のそれぞれに沿った断面図である。
【0003】
この不揮発性半導体記憶装置100は、トレンチ120を有する基板110と、トンネル酸化膜111を介して基板110上に形成された浮遊ゲート140と、ONO(酸化物−窒化物−酸化物)膜131を介して浮遊ゲート140を覆うように形成された制御ゲート150と、ソース領域161と、ドレイン領域162とを備えている。素子分離に用いられるトレンチ120内には、酸化膜123が埋め込まれ、そのトレンチ120の底部には不純物層130が形成されている。制御ゲート150には、ワード線133が接続されている。図2Bに示されるように、ドレイン領域162には、層間絶縁膜171を貫通するように形成されたコンタクトプラグ191が接続し、そのコンタクトプラグ191にはビット線192が接続されている。また、図2Cに示されるように、ソース領域161は、トレンチ120の形状に沿って基板110上に形成されている。つまり、このソース領域161は、ソース線を形成している。
【0004】
このような不揮発性半導体記憶装置100において、メモリセルのサイズを縮小するためには、トレンチ120の深さを増し、素子分離性を向上させる必要がある。しかしながら、トレンチ120が深くなるにつれて、そのトレンチ120の側壁に不純物を導入し、ソース領域161を形成することが困難になる(図2C参照)。また、トレンチ120の形状に沿って形成されるソース線の抵抗(ソース抵抗)が高くなるという問題がある。更に、トレンチ120が深くなるにつれて、そのトレンチ120に酸化膜を埋め込むことが困難になり、このことは空洞の形成や動作不良の原因となる。近年、不揮発性半導体記憶装置は大容量化の一途を辿っており、メモリセルサイズの更なる縮小、集積密度の更なる向上が望まれている。
【0005】
特許文献1は、他の不揮発性半導体記憶装置を開示している。この不揮発性半導体記憶装置は、一方向に形成された溝を有する第1導電型半導体基板と、溝内全面に形成された第1ゲート絶縁膜と、浮遊ゲートと、第2導電型不純物拡散層と、制御ゲートとを備えている。この浮遊ゲートは、上記溝内に埋設され、その上部は半導体基板表面から突出している。第2導電型不純物拡散層は、浮遊ゲートに第1ゲート絶縁膜を介して対向するように、溝の両側壁に形成されている。制御ゲートは、半導体基板上から浮遊ゲート上に延設されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−118939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、メモリセルのサイズを縮小することができる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置(1)は、第1方向(X)に沿って形成されたトレンチ(20)を有する基板(10)と、そのトレンチ(20)外の基板(10)表面上に第1ゲート絶縁膜(11)を介して形成された浮遊ゲート(40)と、そのトレンチ(20)内の基板(10)表面上に第2ゲート絶縁膜(21)を介して形成された埋設ゲート(30)と、第3ゲート絶縁膜(31)を介して浮遊ゲート(40)を覆うように形成された制御ゲート(50)と、浮遊ゲート(40)下方の基板(10)中に形成されたソース領域(61)及びドレイン領域(62)とを備える。
【0010】
このような不揮発性半導体記憶装置(1)において、基板(10)がP型の基板である場合、埋設ゲート(30)には負電圧が印加される。これにより、素子分離が能動的に制御され、ドレイン領域(62)間のパンチスルーが防止される。素子分離性が向上するので、ドレイン領域(62)間の距離を縮小することが可能である。すなわち、メモリセルのサイズが縮小され、集積密度が増大する。
【0011】
また、素子分離性を向上させるために、トレンチ(20)の深さを増す必要がない。従って、トレンチ(20)に対する「埋め込み性」が向上する。これにより、埋め込み不良の発生が抑制され、素子の動作不良が抑制される。よって、歩留まりが向上する。この埋め込み性の観点から、埋設ゲート(30)は、ポリシリコン膜(22)から形成されることが好適である。
【0012】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置(1)において、埋設ゲート(30)は、第1ゲート絶縁膜(11)の下方に形成される。特に、埋設ゲート(30)と第1ゲート絶縁膜(11)との間のトレンチ(20)の深さ方向(Z)に沿った距離(d)が、10nm以上であると好ましい。これにより、埋設ゲート(30)と浮遊ゲート(40)との間に十分な耐圧が得られる。
【0013】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置(1)は、層間絶縁膜(71)を貫通しドレイン領域(62)に接続するように形成されたコンタクトプラグ(91)と、層間絶縁膜(71)上にコンタクトプラグ(91)に接続するように形成された上部配線(92)と、ソース領域(61)に接続された第1中間配線(81)とを更に備える。ここで、第1中間配線(81)は、上部配線(92)と基板(10)との間の中間層に形成される。また、この不揮発性半導体記憶装置(1)は、埋設ゲート(30)に接続された第2中間配線(82)を更に備える。この、第2中間配線(82)も、第1中間配線(81)と同じ中間層に形成される。これら、第1中間配線(81)及び第2中間配線(82)は、第1方向(X)に直角な第2方向(Y)に沿って形成される。
【0014】
このように、ソース配線となる第1中間配線(81)をトレンチ(20)の形状に沿って形成する必要がないので、ソース抵抗が低減される。よって、メモリセルの動作電流が確保され、動作マージンが広がる。また、トレンチ(20)の深さに依存せずに、第1中間配線(81)を容易に形成することが可能である。更に、複数の埋設ゲート(30)に所定の電圧を印加するための第2中間配線(82)は、この第1中間配線(81)と同じ中間層に容易に形成することが可能である。
【0015】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置(1)の製造方法は、(A)基板(10)上に第1ゲート絶縁膜(11)を形成する工程と、(B)第1ゲート絶縁膜(11)上に第1ポリシリコン膜(12)を形成する工程と、(C)第1ポリシリコン膜(12)及び第1ゲート絶縁膜(11)を貫通し、基板(10)に到達するトレンチ領域(20)を第1方向(X)に沿って形成する工程と、(D)トレンチ領域(20)内に第2ゲート絶縁膜(21)を形成する工程と、(E)第2ゲート絶縁膜(21)上に第2ポリシリコン膜(22)を形成する工程と、(F)第2ポリシリコン膜(22)をエッチングすることによって、第2ポリシリコン膜(22)からなる埋設ゲート(30)を形成する工程と、(G)全面に第3ゲート絶縁膜(31)を形成する工程と、(H)第3ゲート絶縁膜(31)上に第3ポリシリコン膜(32)を形成する工程と、(I)第1方向(X)に交差する第2方向(Y)に沿った所定の領域における第3ポリシリコン膜(32)、第3ゲート絶縁膜(31)、及び第1ポリシリコン膜(12)を除去することによって、第1ポリシリコン膜(12)からなる浮遊ゲート(40)と、第3ポリシリコン膜(32)からなる制御ゲート(50)とを形成する工程と、(J)浮遊ゲート(40)の第1方向(X)に沿った両側の基板(10)中に、それぞれソース領域(61)及びドレイン領域(62)を形成する工程とを備える。上記(F)形成する工程において、埋設ゲート(30)が第1ゲート絶縁膜(11)の下方に形成されるように、第2ポリシリコン膜(22)がエッチングされると好ましい。
【0016】
また、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置(1)の製造方法は、(K)全面に絶縁膜(71)を形成する工程と、(L)その絶縁膜(71)を貫通しソース領域(61)に接続するように、第1中間配線(81)を第2方向(Y)に沿って形成する工程と、(M)その絶縁膜(71)を貫通し埋設ゲート(30)に接続するように、第2中間配線(82)を第2方向(Y)に沿って形成する工程とを更に備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法によれば、メモリセルのサイズが縮小され、集積密度が増大する。
【0018】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法によれば、ソース抵抗が低減され、動作マージンが広がる。
【0019】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法によれば、素子の動作不良が抑制され、歩留まりが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明による不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を説明する。
【0021】
(構成)
図3は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を概略的に示す平面図である。また、図4A〜図4Fは、図3における線A−A’、線B−B’、線C−C’、線D−D’、線E−E’及び折れ線F−F’のそれぞれに沿った断面図である。
【0022】
図3に示されるように、この不揮発性半導体記憶装置1において、ビット線(ドレイン配線92)はX方向(第1方向)に沿って形成されており、ワード線(制御ゲート50、金属膜33)はY方向(第2方向)に沿って形成されている。また、Z方向(第3方向)は、基板の法線方向とする。これらX方向、Y方向、Z方向は、互いに直交している。ビット線とワード線が交差する領域にメモリセルが形成され、複数のメモリセルからメモリセルアレイ領域2が構成されている。
【0023】
本発明に係る不揮発性半導体記憶装置1は、基板10、浮遊ゲート40、制御ゲート50、ソース領域61、ドレイン領域62、及び埋設ゲート30を備えている。この基板10は、例えばP型シリコン基板である。また、この基板10には、素子分離用の複数のトレンチ20が形成されている。図3に示されるように、この複数のトレンチ20は、X方向に沿って略平行に形成されている。また、上述のZ方向は、このトレンチ20の深さ方向としても定義され得る。
【0024】
図4Aに示されるように、浮遊ゲート40は、トレンチ20外部の基板10の表面上に、第1ゲート絶縁膜11を介して形成されている。この浮遊ゲート40は、例えばN型不純物がドープされたポリシリコンにより形成されている。また、この第1ゲート絶縁膜11は、例えば9nmの膜厚を有するSiO膜であり、「トンネル酸化膜」の役割を果たす。
【0025】
また、埋設ゲート30は、トレンチ20内部の基板10の表面上に、第2ゲート絶縁膜21を介して形成されており、X方向に延びている。この第2ゲート絶縁膜21は、例えば10nmの膜厚を有するSiO膜である。また、この埋設ゲート30は、例えばN型不純物がドープされたポリシリコンにより形成されている。この場合、アスペクト比が比較的高いトレンチ20内に、酸化膜の代わりにポリシリコンが埋め込まれるので、埋め込み性が向上し好ましい。更に、図4Aに示されるように、この埋設ゲート30は、トレンチ20内部に埋め込まれている、すなわち、上述の第1ゲート絶縁膜11より下に形成されている。この場合、この埋設ゲート30と上述の浮遊ゲート40との間に十分な耐圧が得られ、好ましい。埋設ゲート30の上面と第1ゲート絶縁膜11との間のZ方向に沿った距離dは、10nm以上であるとより好ましい。
【0026】
埋設ゲート30上には、酸化膜23が形成されている。そして、この酸化膜23及び上述の浮遊ゲート40を覆うように第3ゲート絶縁膜31が形成されている。この第3ゲート絶縁膜31として、ONO(酸化物−窒化物−酸化物)膜が例示される。また、この第3ゲート絶縁膜31上には、浮遊ゲート40を覆うように制御ゲート50が形成されている。この制御ゲート50は、例えばN型不純物がドープされたポリシリコンにより形成されている。図3及び図4Aに示されるように、制御ゲート50は、Y方向に延びるように形成されている。また、図4Aに示されるように、この制御ゲート50が、浮遊ゲート40の上面及び側面の一部を覆うように形成されていると、容量結合の観点から好ましい。制御ゲート50上には、例えばWSiからなる金属膜33が形成され、その金属膜33上には層間絶縁膜71が形成されている。
【0027】
図4Bに示されるように、基板10中には、例えばN型不純物を導入することによりドレイン領域62が形成されている。このドレイン領域62は、トレンチ20により分離された素子領域に、すなわち、浮遊ゲート40の下方の基板10中に形成されている。このドレイン領域62には、層間絶縁膜71を貫通するように形成されたコンタクトプラグ91が接続されている。このコンタクトプラグ91は、タングステンにより形成されている。また、層間絶縁膜71上には、Alからなるドレイン配線(上部配線)92が形成されており、このコンタクトプラグ91に接続している。図3に示されるように、このドレイン配線92は、X方向に延びるように形成されており、「ビット線」の役割を果たす。
【0028】
また、図4Cに示されるように、基板10中には、例えばN型不純物を導入することによりソース領域61が形成されている。このソース領域61は、トレンチ20により分離された素子領域に、すなわち、浮遊ゲート40の下方の基板10中に形成されている。このソース領域61には、Y方向に延びるように形成されたソース配線(第1中間配線)81が接続されている。このソース配線81は、タングステンにより形成されている。図4Cに示されるように、このソース配線81は、層間絶縁膜71内部に、すなわち、上述のドレイン配線92と基板10との間の“中間層”に形成されている。
【0029】
図4Dに示されるように、浮遊ゲート40は、第1ゲート絶縁膜11を介して基板10上に形成されている。また、制御ゲート50は、第3ゲート絶縁膜31を介して浮遊ゲート40上に形成されている。これら浮遊ゲート40及び制御ゲート50は、X方向に沿って分離されており、その側面にはゲート側壁70が形成されている。このようにして、各メモリセルが形成されている。また、浮遊ゲート40の下方の基板10中には、ソース領域61及びドレイン領域62が形成されている。これらソース領域61及びドレイン領域62は、浮遊ゲート40の両側に対向するように形成されている。層間絶縁膜71上にX方向に沿って形成されたドレイン配線92は、コンタクトプラグ91を介してドレイン領域62に接続されている。また、ソース領域61に接続するソース配線81は、ドレイン配線92と基板10との間の中間層にY方向に沿って形成されている。
【0030】
図4Eに示されるように、トレンチ20内の基板10上には、第2ゲート絶縁膜21が形成され、その第2ゲート絶縁膜21上には、埋設ゲート30が形成されている。この埋設ゲート30は、X方向に沿って形成されている。
【0031】
上述の通り、基板10には、複数のトレンチ20がX方向に沿って略平行に形成されている。これら複数のトレンチ20には、複数の埋設ゲート30がそれぞれ埋め込まれている。つまり、これら複数の埋設ゲート30もX方向に沿って略平行に形成されている。但し、図3に示されるように、メモリセルアレイの端部3においては、これら複数の埋設ゲート30は、Y方向に沿って互いに接続されるように形成されている。そして、このメモリセルアレイの端部3において、埋設ゲート配線82が、複数の埋設ゲート30に接続するように形成されている。つまり、この埋設ゲート配線82も、Y方向に延びるように形成されている。この埋設ゲート配線82によって、複数の埋設ゲート30に所定の電位が印加される。
【0032】
図4Fに示されるように、Y方向に延びる埋設ゲート配線82は、埋設ゲート30に接続するように形成されている。そして、この埋設ゲート配線(第2中間配線)82は、上述のソース配線(第1中間配線)81と同様に、ドレイン配線92と基板10との間の“中間層”に形成されている。また、この埋設ゲート配線82は、ソース配線81と同様にタングステンにより形成されている。この場合、ソース配線81と同じ工程によって、埋設ゲート配線82を容易に形成することが可能であり、好ましい。
【0033】
以上のような構造を有する不揮発性半導体記憶装置1における埋設ゲート30の役割は次の通りである。すなわち、基板10が例えばP型半導体基板である場合、データ書き込み時/読み出し時に、埋設ゲート30には埋設ゲート配線82を通して「負電圧」が印加される。その負電圧の大きさは、例えば−2V〜−3Vである。これにより、ドレイン領域62間のパンチスルーが防止される。つまり、トレンチ20内部に埋め込まれた埋設ゲート30に負電圧を印加することによって、素子分離が能動的に制御される。このように、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置1によれば、素子分離性が向上するので、ドレイン領域62間の距離を縮小することが可能である。すなわち、メモリセルのサイズが縮小され、集積密度が増大する。
【0034】
また、素子分離性を向上させるために、トレンチ20の深さを増す必要がない。従って、トレンチ20に酸化膜等を容易に埋め込むことが可能となる。つまり、アスペクト比が比較的高いトレンチ20に対する「埋め込み性」が向上する。これにより、埋め込み不良の発生が抑制され、素子の動作不良が抑制される。よって、歩留まりが向上する。この埋め込み性の観点から、埋設ゲート30の材料としてはポリシリコンが好適である。
【0035】
また、埋設ゲート30と浮遊ゲート40との間の耐圧の観点から、この埋設ゲート30は、第1ゲート絶縁膜11より下方に形成されていると好ましい。特に、埋設ゲート30の上面と第1ゲート絶縁膜11との間のZ方向に沿った距離dが10nm以上である場合、十分な耐圧が得られ好適である。また、埋設ゲート30が第1ゲート絶縁膜11より下に形成されている場合、図4Aに示されたように、制御ゲート50を、浮遊ゲート40の上面だけでなく側面をも十分覆うように形成することが可能となる。この時、制御ゲート50と浮遊ゲート40との容量結合が向上し、更に好ましい。
【0036】
更に、本発明によれば、トレンチ20内には埋設ゲート30が形成されるので、ソース配線81は、図4Dに示されるように、ドレイン配線92と基板10との間の“中間層”に形成される。これによる追加的な効果は次の通りである。すなわち、ソース配線をトレンチの形状に沿って形成する(従来技術:図2C参照)必要がないので、ソース抵抗が低減される。また、トレンチ20の深さに依存せずに、ソース配線81を容易に形成することが可能となる。このように、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置1によれば、ソース抵抗が低減されるので、メモリセルの動作電流が確保され、動作マージンが広がる。また、複数の埋設ゲート30に所定の電圧を印加するための埋設ゲート配線(第2中間配線)82は、このソース配線(第1中間配線)81と同じ“中間層”に形成されればよい。
【0037】
(製造方法)
次に、以上のような構造を有する不揮発性半導体記憶装置1を製造する方法を説明する。図5〜図11は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線A−A’に沿った断面図である。図12〜図17、及び図19は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線D−D’に沿った断面図である。図18は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線F−F’に沿った断面図である。
【0038】
図5に示されるように、まず、基板10上に第1ゲート絶縁膜11が形成される。基板10は、例えばP型シリコン基板であり、第1ゲート絶縁膜11は、約9nmの膜厚を有するSiO膜である。続いて、第1ゲート絶縁膜11上に、約150nmの膜厚を有する第1ポリシリコン膜12が形成される。この時、第1ポリシリコン膜12には、N型不純物がドープされている。続いて、第1ポリシリコン膜12上に、約10nmの膜厚を有する酸化膜13が形成され、その酸化膜13上に約100nmの膜厚を有する窒化膜14が形成される。
【0039】
次に、X方向に沿った所定のパターンを有するマスクを用い、窒化膜14、酸化膜13、第1ポリシリコン膜12、第1ゲート絶縁膜11、及び基板10が順次エッチングされる。これにより、図6に示されるように、トレンチ領域20がX方向に沿って形成される。このトレンチ領域20は、窒化膜14、酸化膜13、第1ポリシリコン膜12、第1ゲート絶縁膜11を貫通し、基板10内部に達している。
【0040】
次に、図7に示されるように、全面に第2ゲート絶縁膜21が形成され、その第2ゲート絶縁膜21上に第2ポリシリコン膜22が形成される。この第2ゲート絶縁膜21は、約10nmの膜厚を有するSiO膜である。また、第2ポリシリコン膜22には、N型不純物がドープされている。このようにして、トレンチ領域20内部には、第2ゲート絶縁膜21を介して、第2ポリシリコン膜22が埋め込まれる。
【0041】
次に、トレンチ領域20内に一部の第2ポリシリコン膜22が残るように、第2ポリシリコン膜22がエッチングされる。これにより、図8に示されるように、この第2ポリシリコン膜22からなる埋設ゲート30が、トレンチ領域20内に形成される。ここで、形成される埋設ゲート30の上面が第1ゲート絶縁膜11の下方に位置するように、第2ポリシリコン膜22はエッチングされる。具体的には、埋設ゲート30の上面と第1ゲート絶縁膜11との間のZ方向に沿った距離dが10nm以上になるまで、エッチングが行われると好適である。
【0042】
次に、酸化膜(SiO膜)23が、プラズマCVD法等によって全面に形成され、CMP(化学的機械研磨)等によって平坦化が行われる。これにより、図9に示されるように、トレンチ領域20内に酸化膜23が埋め込まれる。
【0043】
次に、図10に示されるように、窒化膜14及び酸化膜13がエッチングにより除去される。また、トレンチ領域20内の酸化膜23の一部がエッチングにより除去される。ここで、酸化膜23が基板10の上面から50nm以上残存するように、エッチングが行われる。
【0044】
次に、図11に示されるように、全面に第3ゲート絶縁膜31が形成される。この第3ゲート絶縁膜31は、例えば、約12nmの膜厚を有するONO(酸化物−窒化物−酸化物)膜である。続いて、この第3ゲート絶縁膜31上に、約150nmの膜厚を有する第3ポリシリコン膜32が形成される。この時、第3ポリシリコン膜32には、N型不純物がドープされている。続いて、第3ポリシリコン膜32上に、約100nmの膜厚を有する金属膜(WSi膜)33が形成され、その金属膜33上に約100nmの膜厚を有する窒化膜34が形成される。
【0045】
この時点での線D−D’に沿った断面が、図12に示されている。つまり、基板10上に第1ゲート絶縁膜11が形成され、第1ゲート絶縁膜11上に第1ポリシリコン膜12が形成されている。また、第1ポリシリコン膜12上に第3ゲート絶縁膜31が形成され、第3ゲート絶縁膜31上に第3ポリシリコン膜32が形成されている。更に、第3ポリシリコン膜32上に金属膜33が形成され、金属膜33上に窒化膜34が形成されている。
【0046】
次に、Y方向に沿った所定のパターンを有するマスクを用いて、エッチングが行われる。これにより、窒化膜34、金属膜33、第3ポリシリコン膜32、第3ゲート絶縁膜31、及び第1ポリシリコン膜12が順次除去され、図13に示された構造が得られる。このようにして、第1ポリシリコン膜12からなる浮遊ゲート40、及び第3ポリシリコン膜32からなる制御ゲート50が形成される。
【0047】
次に、窒化膜34をマスクとして、N型の不純物イオンが、P型の基板10中に注入される。これにより、図14に示されるように、ソース領域61及びドレイン領域62が、基板10中に形成される。これらソース領域61及びドレイン領域62は、浮遊ゲート40のX方向に沿った両側の基板10中に、対向するように形成される。
【0048】
次に、窒化膜が全面に形成され、その後、その窒化膜に対して異方性エッチングが行われる。これにより、図15に示されるように、制御ゲート50に隣接するゲート側壁70が形成される。
【0049】
次に、SiOからなる層間絶縁膜71が全面に形成される。続いて、図16に示されるように、ソース領域61が露出するように、層間絶縁膜71に開口部が形成される。同時に、メモリセルアレイの端部3(図3参照)においても、埋設ゲート30が露出するように、層間絶縁膜71に開口部が形成される。ここで、これら開口部は、Y方向に延びるように形成される。
【0050】
次に、全面にタングステン膜が形成され、異方性エッチングが行われる。これにより、図17に示されるように、層間絶縁膜71を貫通しソース領域61に接続するソース配線(第1中間配線)81が形成される。このソース配線81は、Y方向に沿って形成されている。
【0051】
同時に、図18に示されるように、メモリセルアレイの端部3においては、層間絶縁膜71を貫通し埋設ゲート30に接続する埋設ゲート配線(第2中間配線)82が形成される。この埋設ゲート配線82も、Y方向に沿って形成される。このように、複数の埋設ゲート30に所定の電位を印加するための埋設ゲート配線82は、ソース配線81を形成する工程と同一の工程により、容易に形成される。
【0052】
次に、SiOからなる層間絶縁膜71が全面に更に形成される。続いて、ドレイン領域62が露出するように、層間絶縁膜71に開口部が形成される。そして、その開口部内にタングステンが埋め込まれる。これにより、図19に示されるように、層間絶縁膜71を貫通しドレイン領域62に接続するコンタクトプラグ91が形成される。続いて、Alからなるドレイン配線(上部配線)92が、所定のパターニングによって、層間絶縁膜71上に形成される。具体的には、このドレイン配線92は、コンタクトプラグ91に接続するようにX方向に沿って形成される。
【0053】
このようにして、図3、図4A〜図4Fに示された本発明に係る不揮発性半導体記憶装置1が製造される。
【0054】
以上に説明されたように、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置1及びその製造方法によれば、メモリセルのサイズが縮小され、集積密度が増大する。また、ソース抵抗が低減され、動作マージンが広がる。更に、素子の動作不良が抑制され、歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、従来技術に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を概略的に示す平面図である。
【図2A】図2Aは、従来技術に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を示す線a−a’に沿った断面図である。
【図2B】図2Bは、従来技術に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を示す線b−b’に沿った断面図である。
【図2C】図2Cは、従来技術に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を示す線c−c’に沿った断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を概略的に示す平面図である。
【図4A】図4Aは、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を示す線A−A’に沿った断面図である。
【図4B】図4Bは、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を示す線B−B’に沿った断面図である。
【図4C】図4Cは、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を示す線C−C’に沿った断面図である。
【図4D】図4Dは、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を示す線D−D’に沿った断面図である。
【図4E】図4Eは、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を示す線E−E’に沿った断面図である。
【図4F】図4Fは、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の構造を示す線F−F’に沿った断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線A−A’に沿った断面図である。
【図6】図6は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線A−A’に沿った断面図である。
【図7】図7は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線A−A’に沿った断面図である。
【図8】図8は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線A−A’に沿った断面図である。
【図9】図9は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線A−A’に沿った断面図である。
【図10】図10は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線A−A’に沿った断面図である。
【図11】図11は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線A−A’に沿った断面図である。
【図12】図12は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線D−D’に沿った断面図である。
【図13】図13は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線D−D’に沿った断面図である。
【図14】図14は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線D−D’に沿った断面図である。
【図15】図15は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線D−D’に沿った断面図である。
【図16】図16は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線D−D’に沿った断面図である。
【図17】図17は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線D−D’に沿った断面図である。
【図18】図18は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線F−F’に沿った断面図である。
【図19】図19は、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置を製造するプロセスを示す線D−D’に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 不揮発性半導体記憶装置
2 メモリセルアレイ領域
3 端部
10 基板
11 第1ゲート絶縁膜
12 第1ポリシリコン膜
13 酸化膜
14 窒化膜
20 トレンチ領域
21 第2ゲート絶縁膜
22 第2ポリシリコン膜
23 酸化膜
30 埋設ゲート
31 第3ゲート絶縁膜
32 第3ポリシリコン膜
33 金属膜(ワード線)
34 窒化膜
40 浮遊ゲート
50 制御ゲート
61 ソース領域
62 ドレイン領域
70 ゲート側壁
71 層間絶縁膜
81 ソース配線
82 埋設ゲート配線
91 コンタクトプラグ
92 ドレイン配線(ビット線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って形成されたトレンチを有する基板と、
前記トレンチ外の前記基板表面上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された浮遊ゲートと、
前記トレンチ内の前記基板表面上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された埋設ゲートと、
第3ゲート絶縁膜を介して前記浮遊ゲートを覆うように形成された制御ゲートと、
前記浮遊ゲート下方の前記基板中に形成されたソース領域/ドレイン領域と
を具備する
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置であって、
前記埋設ゲートは、前記第1ゲート絶縁膜の下方に形成された
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
請求項2に記載の不揮発性半導体記憶装置であって、
前記埋設ゲートと前記第1ゲート絶縁膜との間の前記トレンチの深さ方向に沿った距離は、10nm以上である
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の不揮発性半導体記憶装置であって、
前記埋設ゲートには負電圧が印加される
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の不揮発性半導体記憶装置であって、
前記埋設ゲートは、ポリシリコン膜から形成される
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の不揮発性半導体記憶装置であって、
層間絶縁膜を貫通し前記ドレイン領域に接続するように形成されたコンタクトプラグと、
前記層間絶縁膜上に前記コンタクトプラグに接続するように形成された上部配線と、
前記ソース領域に接続された第1中間配線と
を更に具備し、
前記第1中間配線は、前記上部配線と前記基板との間に形成された
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
請求項6に記載の不揮発性半導体記憶装置であって、
前記埋設ゲートに接続された第2中間配線を更に具備し、
前記第2中間配線は、前記第1中間配線と同じ層に形成された
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】
請求項7に記載の不揮発性半導体記憶装置であって、
前記第1中間配線及び前記第2中間配線は、前記第1方向に直角な第2方向に沿って形成された
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項9】
(A)基板上に第1ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(B)前記第1ゲート絶縁膜上に第1ポリシリコン膜を形成する工程と、
(C)前記第1ポリシリコン膜及び前記第1ゲート絶縁膜を貫通し、前記基板に到達するトレンチ領域を第1方向に沿って形成する工程と、
(D)前記トレンチ領域内に第2ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(E)前記第2ゲート絶縁膜上に第2ポリシリコン膜を形成する工程と、
(F)前記第2ポリシリコン膜をエッチングすることによって、前記第2ポリシリコン膜からなる埋設ゲートを形成する工程と、
(G)全面に第3ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(H)前記第3ゲート絶縁膜上に第3ポリシリコン膜を形成する工程と、
(I)前記第1方向に交差する第2方向に沿った所定の領域における前記第3ポリシリコン膜、前記第3ゲート絶縁膜、及び前記第1ポリシリコン膜を除去することによって、前記第1ポリシリコン膜からなる浮遊ゲートと、前記第3ポリシリコン膜からなる制御ゲートとを形成する工程と、
(J)前記浮遊ゲートの前記第1方向に沿った両側の前記基板中に、それぞれソース領域及びドレイン領域を形成する工程と
を具備する
不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
前記(F)形成する工程において、前記埋設ゲートが前記第1ゲート絶縁膜の下方に形成されるように、前記第2ポリシリコン膜がエッチングされる
不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
(K)全面に絶縁膜を形成する工程と、
(L)前記絶縁膜を貫通し前記ソース領域に接続するように、第1中間配線を前記第2方向に沿って形成する工程と、
(M)前記絶縁膜を貫通し前記埋設ゲートに接続するように、第2中間配線を前記第2方向に沿って形成する工程と
を更に具備する
不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−32489(P2006−32489A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206194(P2004−206194)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】