説明

乗員保護装置

【課題】ドアサッシュやセンタピラーが設定されていない車両であっても、車両が衝撃を受けてエアバッグが展開作動したときに、乗員に押されることによるエアバッグの車幅方向外側(車外方向)への移動を抑制する。
【解決手段】前席用のエアバッグ3をドア1内に設けて該エアバッグ3の袋体29の先端に連結リング33を設け、後席用のエアバッグ7をドア1の後方の車体側部5内に設けて該エアバッグ7の袋体31の先端に連結リング35を設ける。ドア1の後方の車体側部5内にはさらに可動式ロールバー9を設ける。可動式ロールバー9は、外筒部11内から可動部13が上方に向けて突出作動するときに、可動部13の先端が、可動式ロールバー9とほぼ同時に展開作動するエアバッグ3,7の連結リング33,35に挿入して連結状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグと可動式ロールバーとを備えた乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ルーフが設定されていない、あるいはルーフが開閉可能となる車両であるオープンカーにおいて、車両の衝突時や横転時に、シートの後方に配置したロールバーの上部から乗員頭部の上部や側部を覆うように展開するエアバッグを設けた乗員保護装置が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
また、サイドエアバッグの展開時に、サイドドア及びそのドアサッシュと、サイドエアバッグの外側にて張力が付与された状態に広がるネットとによって、展開状態のサイドエアバッグの車外方向への移動を抑制するものが知られている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−306324号公報
【特許文献2】特開平10−297413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献1に記載のものは、展開したエアバッグがその格納部であるロールバーに片持ち状に支持されているため、車両横転時や衝突時など車両が衝撃を受けたときに、エアバッグが乗員に押されて車幅方向外側(車外方向)に移動してしまう恐れがある。
【0006】
これに対して特許文献2に記載のものは、展開したエアバッグの車幅方向外側への移動を抑制できるが、この場合にはエアバッグを固定してあるドアサッシュが必要であることから、ドアサッシュやセンタピラーが設定されていないオープンカーなどの車両には適用することができない。
【0007】
そこで、本発明は、ドアサッシュやセンタピラーが設定されていない車両であっても、車両が衝撃を受けたときに、乗員に押されることによるエアバッグの車幅方向外側(車外方向)への移動を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、可動式ロールバーの上方への突出方向先端と、エアバッグの展開作動した状態での袋体の上端付近との間に、上方に向けて突出作動するときの可動式ロールバーの先端が、展開前の袋体の上端付近に連結する連結部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、展開するエアバッグの袋体の上端付近が、上方に向けて突出作動する可動式ロールバーの先端に連結するので、展開状態のエアバッグは、下部側がその展開前の格納部である車体側部に支持されるとともに、上部側が可動式ロールバーの先端によって支持されることになり、したがって、ドアサッシュやセンタピラーが設定されていない車両であっても、車両が衝撃を受けたときに、乗員に押されることによるエアバッグの車幅方向外側(車外方向)への移動を抑制することができる。この際、エアバッグの内圧を上げて外曲げモーメントに対する曲げ剛性を高める必要がなく、エアバッグの内圧を充分に低く維持でき、乗員に対する反力も小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す車体内部の斜視図である。
【図2】第1の実施形態のシステム構成図である。
【図3】第1の実施形態のエアバッグと可動式ロールバーとの連結構造を示す側面図である。
【図4】第1の実施形態の車両前後方向から見たエアバッグと可動式ロールバーとの位置関係を示す概略断面図である。
【図5】図3に示す連結構造の連結状態での側面図である。
【図6】図1に対しエアバッグ及び可動式ロールバーが作動した状態を示す斜視図である。
【図7】図4のサイドウィンドウガラスが閉じた状態でエアバッグ及び可動式ロールバーが作動するときの動作を(a)〜(c)の順に示す動作説明図である。
【図8】第2の実施形態を示す、図4に対応する断面図である。
【図9】第2の実施形態のエアバッグが展開作動したときの断面図である。
【図10】第2の実施形態の車両が横転したときの車体側部周辺の断面図である。
【図11】第3の実施形態を示す、図4に対応する断面図である。
【図12】第3の実施形態の車両が横転したときの車体側部周辺の断面図である。
【図13】第4の実施形態のエアバッグと可動式ロールバーとの連結構造を示すもので、その連結動作を(a)〜(c)の順に示す動作説明図である。
【図14】第4の実施形態の変形例のエアバッグと可動式ロールバーとの連結構造を示すもので、その連結動作を(a)〜(c)の順に示す動作説明図である。
【図15】第5の実施形態の車体側部の内側から見たエアバッグと可動式ロールバーとの連結部分を示す側面図である。
【図16】図15の連結構造を拡大した、図3に相当する側面図で、(a)は連結前の状態、(b)は連結後の状態をそれぞれ示す。
【図17】第5の実施形態の変形例を示す側面図で、(a)は連結前の状態、(b)は連結後の状態をそれぞれ示す。
【図18】第6の実施形態を示す、図15に相当するもので、エアバッグ及び可動式ロールバーが作動するときの動作を(a)〜(c)の順に示す動作説明図である。
【図19】第7の実施形態のエアバッグと可動式ロールバーとの連結構造を示す車両前後方向から見た断面図で、(a)は連結前の状態、(b)は連結後の状態をそれぞれ示す。
【図20】図19(a)のA矢視図である。
【図21】(a)は第8の実施形態のエアバッグと可動式ロールバーとの連結構造の連結前の状態を示す車体前後方向から見た断面図で、(b)は(a)のB矢視図である。
【図22】(a)は第8の実施形態のエアバッグと可動式ロールバーとの連結構造の連結後の状態を示す車体前後方向から見た断面図で、(b)は(a)のC矢視図である。
【図23】第9の実施形態のシステム構成図である。
【図24】第9の実施形態のフローチャートである。
【図25】第10の実施形態のフローチャートである。
【図26】第11の実施形態のエアバッグと可動式ロールバーとの連結構造を示す側面図である。
【図27】第12の実施形態の可動式ロールバーが作動した状態での車両後方から見た後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1に示す車両は、後席(図1中で右側)を有する2ドア車のオープンカーであり、前席(図1中で左側)横にあるドア1の内装材の内側に上方に膨張展開する前席用のエアバッグ3を収納し、後席横の車体側部5の内装材の内側には上方に膨張展開する後席用のエアバッグ7を収納している。これら各エアバッグ3,7は、図1に示す格納状態で左右のドア1及び後席横の左右の車体側部5の上縁近傍にてほぼ水平状態としている。なお、ドア1と後席横の車体側部5とで車体側部を構成している。
【0013】
また、後席用エアバッグ7のドア1側近傍の車体側部5には、上下方向に延びる可動式ロールバー9を、上端が下端よりも車両前方(図1中で左側)となるよう傾斜した状態で内装材の内側に格納してある。この可動式ロールバー9は、車体側部5側に固定される中空の外筒部11内に、可動部13を上方に向けて突出移動可能に収容している。
【0014】
これら各エアバッグ3,7及び可動式ロールバー9を作動させるために、本実施形態では、図2のシステム構成図で示すように、車両衝突時の衝撃を検知する加速度センサや車体の横傾きを検知する角速度センサなどからなる車両の横転を検知する横転検知手段としての横転挙動センサ15を備えている。この横転挙動センサ15は、車体の前後端や側面部、中心部などに取り付けている。
【0015】
上記した横転挙動センサ15は、前記した各エアバッグ3,7及び可動式ロールバー9を作動制御する制御部であるコントローラ21に接続され、コントローラ21は、各エアバッグ3,7をそれぞれ展開作動させるための展開点火装置23,25及び、可動式ロールバー9を突出作動させるための点火装置27に接続されている。
【0016】
これらの点火装置23,25,27には、図示しないインフレータが接続され、点火によって内部の火薬を反応させ、あるいは内部のボンベに貯留したガスを開放するなどして、エアバッグ3,7の袋体29,31(図6参照)を膨張展開させるとともに、可動式ロールバー9の可動部13を突出作動させる。
【0017】
コントローラ21は、横転挙動センサ15から送信される電圧値を処理して衝撃の加速度値や車体の横傾きの角速度値を求め、これらが設定値を超えたときに、点火装置23,25,27に点火信号を送信し、上記したようにエアバッグ3,7及び可動式ロールバー9を作動させる。
【0018】
上記した各エアバッグ3,7の袋体29,31の図6の展開作動した状態での上端(先端)には、図3に示すように、受け部としての環状の連結リング33,35を取付部37,39介して取り付けてある。連結リング33,35は、貫通孔33a,35aをそれぞれ備え、この貫通孔33a,35aが上下方向に貫通するようほぼ水平状態で、互いに近接して可動式ロールバー9の直上部に配置されている。
【0019】
また、ドア1の開閉時に、前席用のエアバッグ3側の連結リング33が車体側部5に干渉するのを避けるために、図1における左側の座席(図1中で紙面手前側の座席)のドア開口部1a側にて図示するように、ドア開口部1aの後端縁(車体側部5のドア1側の前端縁)に連結リング33が通過するスリット(切欠部)5aを設けている。
【0020】
スリット5aは、図3に示すように、ドア1の後端縁に対応する稜線L1より車両前方側(図3中で左側)のドア開口部1aの2つの稜線L2と稜線L3との間の部分に設けてある。稜線L2より車両後方に位置する稜線L3は、ドア後端縁の稜線L1と重なっていてもよく、この稜線L3と稜線L2との間の部分は、車体側部5の外表面に対して車幅方向内側に位置している。
【0021】
したがって、連結リング33は、車両側方から見ればドア1に隠れることになり、また、ドア1の閉時にはスリット5aもドア1に覆われるので、外観上の見栄えを確保できるとともに、乗員が連結リング33に干渉して乗降性を損なうのを抑制することができる。
【0022】
また、図示していないが、図3における連結リング33の上下両側及び車両後方側の三方を覆う仕切板を、ドア1の内面に設けてもよい。これにより、ドア開放時での連結リング33への何らかの干渉による変形を抑えることができる。なお、この場合、連結リング33用のスリット5aと同様に、ドア開閉時に、仕切板が通るスリットを車体側部5側に設ける必要がある。また、可動式ロールバー9が突出作動するときには、この仕切板を破壊することになる。
【0023】
一方、可動式ロールバー9の可動部13の突出方向先端(上端)は、図3に示すように、二股状の係止突起41,43を備える挿入部45を形成している。この挿入部45は、係止突起41,43相互間にほぼU字形状の切欠部である凹部47を備え、凹部47の開口側に弾性部材としての一対の板バネ49,51を設けており、前記した連結リング33,35とで連結部を構成している。
【0024】
これら各板バネ49,51は、基端部49a,51aを凹部47の側面47a,47bにそれぞれ固定し、上部の屈曲部49b,51bを経て下方に延びる弾接部49c,51c同士を互いに弾性的に押し付けている。
【0025】
また、凹部47の上記板バネ49,51を取り付けた部位よりも先端側は、先端側ほど係止突起41,43相互の間隔が広くなるようなテーパ面47c,47dとしている。この各テーパ面47c,47dは、板バネ49,51の屈曲部49b,51bから下方に延びる弾接部49c,51cに連続するように形成してある。
【0026】
そして、各係止突起41,43の上方、より正確には、可動式ロールバー9の傾斜方向上方の延長上に、前記した連結リング33,35の貫通孔33a,35aが位置している。したがって、可動式ロールバー9が作動してその可動部13が突出作動すると、図5に示すように、各係止突起41,43は、連結リング33,35の貫通孔33a,35aに入り込み、連結リング33,35が弾接部49c,51cを押し広げるようにして凹部47の底部側に入り込むことになる。
【0027】
このとき、図4に示すように可動式ロールバー9は、ウィンドウシールドパネルとしてのサイドウィンドウガラス53,54よりも車両外側に位置する一方、各エアバッグ3,7はサイドウィンドウガラス53,54よりも車両内側(車室55側)に位置している。ここでサイドウィンドウガラス53は前席に対応し、サイドウィンドウガラス54は後席に対応している。
【0028】
なお、前席側のサイドウィンドウガラス53は、図3中の稜線L2より車両前方(図3中で左側)にて昇降するので、連結リング33は、サイドウィンドウガラス53に阻害されることなく、サイドウィンドウガラス53より車外側に位置する可動式ロールバー9の上部に位置させることが可能である。
【0029】
また、図4に示すように、取付部37,39の基端部付近には、サイドウィンドウガラス53よりも硬度が高い破壊部57,59を設けている。破壊部57,59は、車室55側が凹曲面となるよう屈曲しているサイドウィンドウガラス53の内面に向かう尖った部分57a,59aを備えている。なお、この尖った部分57a,59aは図3では省略している。
【0030】
次に、第1の実施形態の作動について説明する。コントローラ21が車両の横転を検知すると、まず可動式ロールバー9の可動部13を突出作動する信号を点火装置27に送る。点火装置27の点火によって図示しないインフレータが作動し、これに基づき可動式ロールバー9の可動部13が、上方かつ前方の前記した傾斜に対応する図3の直線Pに沿って伸張を開始する。
【0031】
可動式ロールバー9の可動部13が伸張し始めると、図5に示すように可動部13の先端の係止突起41,43が連結リング33,35の貫通孔33a,35aに入り込み、連結リング33,35が板バネ49,51を弾性変形させつつ凹部47内に入り込んで挿入部45に係止した状態となる。これにより、各エアバッグ3,7と可動ロールバー9とが連結された状態となる。
【0032】
連結リング33,35が凹部47内に入り込んだ状態では、板バネ49,51の弾接部49c,51cは復元して元の互いに押し付け合う状態に戻るので、凹部47の開口部は元の閉じた状態となり、連結リング33,35の凹部47からの離脱は抑制される。
【0033】
このとき、コントローラ21は、可動式ロールバー9の点火装置27への点火信号送信とほぼ同時か僅かに遅れて各エアバッグ3,7の点火装置23,25に点火信号を送信してエアバッグ3,7を展開作動させる。これにより、可動式ロールバー9の可動部13の突出作動に伴ってエアバッグ3,7の袋体29,31も膨張展開し、最終的には図6に示すように、可動部13が伸びきった状態で、袋体29,31の膨張展開も終了する。
【0034】
なお、可動式ロールバー9が突出作動するときには、可動部13の先端が車体側部5の外板を突き破り、エアバッグ3,7が展開作動するときは車体内側の内装材を突き破る。
【0035】
上記伸びきった状態での可動部13の先端は、伸長する前の位置に対して車両前方に位置しており、この可動部13の先端で袋体29,31の上端を支持することになる。一方袋体29,31の下端は、該袋体29,31を展開前に格納する格納部61,63に支持されることになり、この展開状態の各袋体29,31は、車幅方向から見て、ほぼ三角形状を呈している。
【0036】
上記図6の状態で、前席用エアバッグ3の袋体29は前席に着座している図示しない乗員の側部を覆う一方、後席用エアバッグ9の袋体31は後席に着座している図示しない乗員の側部を覆うことになる。
【0037】
このように、各エアバッグ3,7は、袋体29,31の展開時に、車体に対して下部と上部の双方に支持されることになるので、車両が衝撃を受けたときに、乗員に押されることによる車幅方向外側(車外方向)への移動を抑制することができ、乗員を効率よく保護することができる。この際、エアバッグ3,7の内圧を上げて外曲げモーメントに対する曲げ剛性を高める必要がなく、このためエアバッグ3,7の内圧を充分に低く維持でき、乗員に対する反力も小さく抑えることができるので、信頼性の高い乗員保護装置とすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、連結部は、エアバッグ3,7側に設けられて貫通孔33a,35aを備える連結リング33,35と、可動式ロールバー9側に設けられて貫通孔33a,35aに入り込んで係止する挿入部45と、を備えている。このため、連結リング33,35の貫通孔33a,35aに挿入部45が入り込むことで、各エアバッグ3,7と可動式ロールバー9とを容易に連結することができる。
【0039】
また、本実施形態では、連結リング33,35は、貫通孔33a,35aが上下方向に貫通するよう設けられ、この貫通孔33a,35aが、挿入部45を備えた可動式ロールバー9の突出移動方向に位置している。このため、可動式ロールバー9が突出作動したときに、挿入部45は貫通孔33a,35aに容易に入り込むことになる。
【0040】
また、本実施形態では、挿入部45は、連結リング33,35が入り込む側に開口部を有するほぼU字形状の凹部47を備えている。このため、連結リング33,35は凹部47にて確実に保持されて各エアバッグ3,7と可動式ロールバー9との連結が可能となる。
【0041】
さらに、本実施形態では、挿入部45は、上記した凹部47の開口部を閉じる方向に押圧する板バネ49,51を設け、この板バネ49,51は、連結リング33,35が凹部47に入り込むときに弾性変形して前記開口部を開放する。このため、凹部47の開口部を開閉させる際に、駆動手段を設ける必要もなく、簡単な構成で連結リング33,35を凹部47に入り込ませることができる。
【0042】
また、本実施形態では、エアバッグ3をドア1側に設ける一方、可動式ロールバー9をドア1の車体後方側に位置する車体本体側の車体側部5に設け、少なくともドア1を開閉するときには、前記連結部の連結状態が解除されているので、ドア1の開閉を容易に行え、乗員の乗降性を確保することができる。
【0043】
また、本実施形態では、可動式ロールバー9が上方に突出移動してその先端がエアバッグ3,7の展開作動した袋体29,31の上端付近に連結した状態の前記連結部は、展開作動した袋体29,31よりも車両幅方向の外側に位置している。このため、車両の横転時にドア1や車体側部5が地面に接近するときは、エアバッグ3,7は、地面が平坦であれば、袋体29,31の上端付近の可動式ロールバー9との連結部周辺が地面に接地することになり、袋体29,31自体の地面への接地を抑制できる。
【0044】
これにより、乗員がエアバッグ3,7に干渉するときにエアバッグ3,7の低い内圧が原因で袋体29,31が乗員からの干渉力で潰れてしまっても、乗員と干渉している部分のエアバッグ3,7の接地を抑制し、エアバッグ3,7の張力で拘束する乗員の地面からの衝撃を緩和することができる。
【0045】
また、本実施形態では、エアバッグ3をドア1側に設ける一方、可動式ロールバー9をドア1の車体後方側に位置する車体本体側の車体側部5に設け、上方に突出移動してエアバッグ3,7の展開作動した袋体29,31の上端付近に連結した状態の可動式ロールバー9の先端が、上方に突出移動する前の格納状態の先端よりも、車体前方に位置している。
【0046】
このため、後部座席を有する2ドア車で、例えばドア1の前後長が長く、可動式ロールバー9の格納状態でのエアバッグ3,7への連結部分が前席乗員に対してより後方に位置してしまうような場合に、突出作動後の可動式ロールバー9先端の連結部分がより前方となるので、膨張展開したエアバッグ3の袋体29による前席乗員を保護する面積をより大きく確保することがきる。
【0047】
図7に示すように、可動式ロールバー9及びエアバッグ3,7が作動するときに、サイドウィンドウガラス53または54が閉じられているときは、可動式ロールバー9の展開作動に伴って破壊部57または59がサイドウィンドウガラス53または54に衝突して粉砕し破壊する。これにより、エアバッグ3,7の袋体29,31や可動式ロールバー9の可動部13に作用する作動に対する抵抗力が小さくなり、サイドウィンドウガラス53または54が破壊されずに閉じた状態のままに比較して、作動時間を短縮することができる。
【0048】
また、本実施形態では、閉状態のウィンドウシールドパネル53,54をドア1または車体側部5で保持する部材の車両幅方向の外曲げモーメント強度を、エアバッグ3,7の展開作動時にその展開する袋体29,32が閉状態のウィンドウシールドパネル53,54に作用する展開力によるウィンドウシールドパネル53,54の外曲げモーメントよりも高くする。
【0049】
これにより、破壊部57または59がサイドウィンドウガラス53または54に衝突したときに、サイドウィンドウガラス53または54が割れずに車両幅方向の外側に変位して破壊部57,59から遠ざかる方向に逃げる挙動を抑制することになる。その結果、破壊部57または59がサイドウィンドウガラス53または54に干渉(衝突)したときに、サイドウィンドウガラス53または54を確実かつ早期に粉砕することができる。
【0050】
また、図7(c)のように、エアバッグ3,7と可動式ロールバー9が作動を完了したときには、エアバッグ3,7の車両に保持された上下端の間の部分の袋体29,31は、車両前後方向から見たときに、可動式ロールバー9の可動部13の先端から、ドア1(または車体側部5)の外表面の外側に凸となる曲面上に接するように延びる直線Fよりも、車両幅方向内側に位置している。
【0051】
これにより、車両の横転によってサイドウィンドウガラス53,54周りが地面に接地するときは、地面の位置は上記した直線F上となり、エアバッグ3,7の袋体29,31は、地面から上方に浮いた状態となって地面から離れた状態となる。この結果、上記車両の横転時に、内圧を低く設定しているエアバッグ3,7が乗員に押されて潰れきったとしても、該エアバッグ3,7は、張力によって地面への接触が抑えられ、乗員を確実に保護することができる。
【0052】
また、本実施形態では、車両が衝撃を受けることで可動式ロールバー9が損傷して作動不能となったとき、すなわち車両横転時に可動式ロールバー9が展開しないときであっても、連結リング33,35が可動式ロールバー9の上方にあるため、エアバッグ3,7の展開作動は支障なく行える。
【0053】
[第2の実施形態]
図8に示すように、第2の実施形態では、前席用,後席用の各エアバッグ3A,7Aの袋体29,31の格納部61A,63A内の車幅方向外側(図8中で右側)に、袋体29,31の車幅方向外側で展開するエアバッグ3A,7Aの袋体65,67を格納している。なお、ここでの袋体65,67は、袋体29,31の内部と連通する副室型としており、袋体29,31と一体化したものである。すなわち、図示しないインフレータの作動によって発生するガスが、袋体29,31及び袋体65,67の双方に供給されて展開する。
【0054】
この場合、エアバッグ3A,7Aが展開作動するときに、図9に示すように、展開した副室側の袋体65,67は、同様にして展開している袋体29または31と、ドア1または車体側部5の内装材との間に挟まれた状態となって袋体29,31を車室55側に押し付けることになる。すなわち、袋体65,67は、袋体29,31を車室55側に向けて押し付ける押し付け用のエアバッグであって、押付体を構成している。
【0055】
これにより袋体29,31は、前記第1の実施形態での展開した状態よりも、車室55側に位置することになり、前記した直線Fとの間隔が大きくなる。そのため、図10に示すように、車両の横転によってサイドウィンドウガラス53,54周りが地面に接地する場合に、袋体29,31と地面との間隔は、袋体65,67がない場合に比べて大きくなる。その結果、内圧を低く設定しているエアバッグ3A,7Aがより強く乗員(頭部)69に押されて潰れきったとしても、該エアバッグ3A,7Aは、袋体29,31に生じた張力Tによって地面への接触が抑えられ、乗員69をより確実に保護することができる。
【0056】
さらに、乗員69と袋体29,31との干渉力によって、袋体29,31に生じた張力Tが袋体65,67を圧縮するので、乗員69とエアバッグ袋体29,31との干渉力が小さくなる。これにより、袋体29,31から該袋体29,31で拘束される乗員69への衝撃力が小さくなり、袋体29,31の乗員69への保護機能が向上する。
【0057】
また、袋体65,67の膨張展開によって、袋体29,31に働く張力Tが、袋体65,67がない場合に比較して大きくなる。これにより、可動式ロールバー9の可動部13が、横転による接地荷重等により先端が車両幅方向内側となるよう曲がることで、格納部61A,63Aと可動部13の先端との間隔が、曲がらない場合に比較して短くなっても、袋体29,31の張力Tを高く維持することができる。この結果、袋体29,31と地面との間隔を保持できるので、乗員69への保護機能がさらに向上する。
【0058】
また、押付体である袋体65,67は、通常時には格納部61A,63A内に格納されているので、外観品質を維持することができる。
【0059】
なお、上記実施形態では、袋体65,67は、袋体29,31の内部と連通する副室型としているが、袋体29,31とは別のインフレータなどの点火装置を設けて、袋体29,31とは別に展開させるようにしてもよい。
【0060】
袋体65,67を、袋体29,31の内部と連通する副室型とすることで、ドア1または車体側部5の内部、袋体29,31と共通の格納部61A,63Aを設定でき、袋体65,67専用の格納部を別途設定する必要がなくなる。これにより、ドア1または車体側部5内において、エアバッグ3Aまたは7Aを格納するのに要する容積が小さくて済み、ドア1または車体側部5の厚さを、袋体29,31とは別の点火装置を設けた場合に比較して薄くすることができ車体の軽量化を達成することができる。
【0061】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、図11,12に示すように、前記第2の実施形態における押し付け用のエアバッグ(袋体65,67)に代えて、図11の収納状態から図12の突出状態に変位する押付部材71を、ドア1または車体側部5の内部における格納部61または63の上部に近接して収納する突出部材として設けている。この押付部材71は、図11,12に示すように、車両前後方向から見てほぼ立方体形状であり、展開した袋体29,31の車両前後方向長さにほぼ相当する車両前後方向長さを備えている。
【0062】
このような押付部材71は、エアバッグ3,7の袋体29,31の展開時もしくは展開直後に、図12のようにして車室55側に向けて突出し、前記第2の実施形態での袋体65,67と同様にして展開状態の袋体29,31を車室55側に向けて押し付けることになり、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
この場合、押付部材71が剛体で構成されているので、袋体29,31に対する押付け力をより確実に確保でき、袋体29,31に働く張力Tをより確実に維持することが可能となる。
【0064】
なお、上記した押付部材71の突出作動については、エアバッグと同様な点火装置により発生するガス圧で行えばよい。
【0065】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、図13に示すように、前記図3に示した第1の実施形態における板バネ49,51に代えて、凹部47の開口部を開閉する一対の開閉体73,75と、この開閉体73,75を閉じ方向に押圧する弾性手段としての押圧バネ77,79と、を設けている。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0066】
開閉体73,75は、可動体13の係止突起41,43に対して回転支持ピン81,83を介して回転可能に支持され、一方押圧バネ77,79は係止突起41,43と開閉体73,75との間に設けてある。そして、押圧バネ77,79による開閉体73,75の閉じ方向の回転を規制するストッパ85,87を係止突起41,43に設けることで、開閉体73,75は図13(a)の閉じ状態が保持される。すなわち、この開閉体73,75は、弾性手段によって先端側が凹部47の底部側から開口部側に移動する方向に押圧されて閉状態とするストッパ85,87を備えていることになる。
【0067】
したがって、可動式ロールバー9の可動部13が突出作動したときには、連結リング33,35が開閉体73,75を押圧バネ77,79に抗して図13(b)のように押し下げることで、図13(c)のように凹部47に入り込むことになる。連結リング33,35が凹部47に入り込んだ状態では、開閉体73,75は、押圧バネ77,79によって凹部47の開口部を閉じた状態に復帰する。
【0068】
これにより、凹部47開口部を開閉させる機構として板バネ49,51のみを設けた第1の実施形態に比較して、開口部の開閉を開閉体73,75と押圧バネ77,79との組み合わせて行うことで、開閉動作をよりスムーズに行うことができる。
【0069】
図14は、上記図13に示した第4の実施形態の変形例である。この変形例は、可動式ロールバー9の可動部13の先端に設けた凹部47Aが、下方に向けて開口しており、この開口部に図13と同様の開閉体73,75と押圧バネ77,79を設けている。ただし、ここでの開閉体73,75は図13に対して上下が逆であり、押圧バネ77,79も開閉体73,75の下部に配置している。
【0070】
上記した凹部47Aは、その下部の開口部が図14中で左方向の外部に開口する切欠部89を備えている。したがって、可動部13の先端(上端)は、それより下部側から連続して上方に延びる係止部13aと、係止部13aから車両前方に向けて直角に屈曲する屈曲部13bと、屈曲部13bから係止部13aと平行に下方に向けて延びる係止部13cと、を備えている。
【0071】
そして、上記した切欠部89に対応する位置に、エアバッグ3側の連結リング33を配置している。また、エアバッグ7側の連結リング35については、開閉体75の下方の係止部13aに係止させた状態で、凹部47Aの開口部付近に配置しておけばよい。
【0072】
上記図14の変形例では、エアバッグ3,7が展開作動して袋体29,31が膨張展開する際に、連結リング33,35が上方に移動することで、開閉体73,75を開放して凹部47A内に入り込む。したがって、この場合には、可動式ロールバー9の突出作動よりもエアバッグ3,7の展開作動を先に行わせるように、図2に示すコントローラ21により制御する必要があり、凹部47A内に入り込んだ連結リング33,35の可動式ロールバー9に対する連結状態がより確実なものとなる。
【0073】
また、エアバッグ3側の連結リング33は、ドア1の開閉時に、切欠部89を水平方向に通過できる位置となるように、切欠部89との上下方向の位置関係を設定している。
【0074】
[第5の実施形態]
第5の実施形態は、図15,16に示すように、可動式ロールバー9の可動部13の先端付近における車両前後方向(図15,図16中で左右方向)両側に、凹部47B1,47B2をそれぞれ形成している。この各凹部47B1,47B2は、車両前方側,後方側にそれぞれ切欠部91,93によって外部に開口しており、この切欠部91,93から、連結リング33,35をそれぞれ挿入配置している。
【0075】
したがって、ドア1の開閉時には、連結リング33が、切欠部91に対し水平方向に移動して凹部47B1内に出入りする。
【0076】
そして、各凹部47B1,47B2の開口部には弾性部材としての板バネ95,97をそれぞれ設けてあり、該板バネ95,97は、その一端を凹部47B1,47B2の切欠部91,93側の側壁99,101の上端に連結し、他端をその反対側の側壁103,105に上方に向けて押付けるようにして接触させている。
【0077】
したがって、可動式ロールバー9の可動部13が突出作動する際には、連結リング33,35が板バネ95,97を押し下げることで、図16(b)のように凹部47B1,47B2内に入り込むことになる。連結リング33,35が凹部47B1,47B2に入り込んだ状態では、板バネ95,97が復元して凹部47B1,47B2の開口部を閉じた状態となる。
【0078】
この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、凹部47B1,47B2の開口部を開閉させる際に、駆動手段を設ける必要もなく、簡単な構成で連結リング33,35を凹部47B1,47B2に入り込ませることができる。
【0079】
図17は、上記図15,図16に示した第5の実施形態の変形例である。この変形例は、可動式ロールバー9の可動部13の先端に設けた凹部47C1,47C2が、下方に向けて開口しており、この開口部に図16と同様の板バネ95,97を設けている。ただし、ここでの板バネ95,97は図16に対して上下が逆である。
【0080】
したがって、この変形例においては、連結リング33,35が凹部47C1,47C2の下方に位置しているので、前記図14の変形例と同様に、エアバッグ3,7の展開作動時にその袋体29,31が膨張展開する際に連結リング33,35が上方に移動することで、板バネ95,97を弾性変形させて凹部47C1,47C2内に入り込む。したがって、この場合においても、可動式ロールバー9の突出作動よりもエアバッグ3,7の展開作動を先に行わせるように、図2に示すコントローラ21により制御する必要がある。また、凹部47C1,47C2内に入り込んだ連結リング33,35の可動式ロールバー9に対する連結状態がより確実なものとなる。
【0081】
[第6の実施形態]
第6の実施形態は、図18に示すように、可動式ロールバー9の可動部13の先端付近における車体前後方向に開口部を有するほぼU字形状の凹部47D1,47D2を備え、この凹部47D1,47D2の前記開口部を開閉可能とするよう進退移動する可動体としてのピストン107,109を設けている。ピストン107,109は、コントローラ21からの信号で作動する電磁ソレノイドや火薬により作動するもので、可動式ロールバー9の前記した傾斜方向に沿って移動する。
【0082】
上記したピストン107,109は、通常時では図18(a)に示すように、後退位置にあって凹部47D1,47D2の開口部を開放しており、このときエアバッグ3,7の連結リング33,35が、図16(a)と同様にして凹部47D1,47D2内に入り込んでいる。すなわち、ピストン107,109の進出移動方向前方に連結リング33,35の貫通孔33a,35aが位置している。
【0083】
したがって、ドア1の開閉時には、ピストン107を後退位置とすることで、連結リング33が凹部47D1に対し水平方向に移動して出入りすることになり、膨張展開したエアバッグ3,7と突出移動した可動式ロールバー9とを連結する構造であっても、ドア1の開閉が行えて乗員の乗降性を確保することができる。
【0084】
そして、車両の横転を検知して可動式ロールバー9の可動部13が突出作動する際には、コントローラ21からの信号によりまずピストン107,109が前進移動し、図18(b)のように、連結リング33,35の貫通孔33a,35aに入り込んで凹部47D1,47D2の開口部を閉じた状態とする。これにより、可動式ロールバー9の可動部13の先端と各エアバッグ3,7とが連結された状態となる。
【0085】
この連結状態で、コントローラ21からの信号により、図18(c)示すように、可動部13が突出作動するとともに、各エアバッグ3,7が展開作動する。
【0086】
このように、本実施形態では、ピストン107,109が連結リング33,35の貫通孔33a,35aに入り込むことで、可動式ロールバー9とエアバッグ3,7とを連結しているので、この連結状態を強固なものとすることができ、車両が横転したときの乗員保護をより確実なものとすることができる。
【0087】
[第7の実施形態]
第7の実施形態は、図19,図20に示すように、エアバッグ3,7の連結リング33,35の貫通孔33a,35aを、図19中で左右方向に対応する車幅方向に貫通するよう設けている。これに対応して可動式ロールバー9の可動部13の先端付近には、連結リング33,35が入り込む側となる車幅方向外側(ドア1の開方向)に開口部を有するU字形状の凹部47E1,47E2を備えている。
【0088】
この凹部47E1,47E2は、切欠凹部111,113を上下方向に並べて設け、この切欠凹部111,113の中央に係止ピン115,117を車幅方向外側に向けて突出して設けることで形成している。係止ピン115,117は、基端側の軸部115a,117aと、軸部115a,117aより大径の先端側の頭部115b,117bとを有している。この際、軸部115a,117aの可動式ロールバー9の突出移動方向に対応する位置である図19中で上部側が前記した凹部47E1,47E2となる。
【0089】
そして、この凹部47E1及び47E2の上部に位置する開口部に、弾性部材としての板バネ119,121及び123,125をそれぞれ配置している。ここで板バネ119と板バネ123は、頭部115b,117bに基端部をそれぞれ取り付ける一方、板バネ121と板バネ125は、基端部を切欠凹部111,113の底部にそれぞれ取り付けている。また、板バネ119と板バネ121の先端は、下方に屈曲して互いに接触するかあるいは近接した位置に配置するとともに、板バネ123と板バネ125の先端も、下方に屈曲して互いに接触するかあるいは近接した位置に配置する。
【0090】
ここで連結リング33,35の貫通孔33a,35aの内径は、頭部115b,117bの外径より大きくしてあり、この状態で、通常時では、各連結リング33,35は、貫通孔33a,35aに係止ピン115,117が挿入された状態で切欠凹部111,113内に位置することになる。ただし、この位置関係は、連結リング33については、ドア1が閉じたときに対応する。連結リング33は、ドア1の開閉時に、切欠凹部111に対して出入りすることになる。
【0091】
連結リング33,35は、切欠凹部111,113内に位置するときには、係止ピン115,117の中心と貫通孔33a,35aの中心とがほぼ一致するとともに、係止ピン115,117の軸部115a,117aに対応した位置にある。
【0092】
第7の実施形態では、可動式ロールバー9の可動部13が突出作動する際には、前記図15,図16に示した第5の実施形態と同様に、連結リング33及び35が板バネ119,121及び123,125を押し下げることで、図19(b)のように凹部47E1,47E2内に入り込むことになる。連結リング33,35が凹部47E1,47E2に入り込んだ状態では、板バネ119,121及び123,125が復元して凹部47E1,47E2の開口部を閉じた状態となる。
【0093】
したがって、この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、凹部47E1,47E2の開口部を開閉させる際に、駆動手段を設ける必要がなく、簡単な構成で連結リング33,35を凹部47E1,47E2に入り込ませることができる。
【0094】
なお、本実施形態では、板バネ119,121及び123,125を、軸部115a,117aの上部に配置する代わりに下部に配置することで、前記図14及び図17に示した例のように、エアバッグ3,7の展開作動時にその袋体29,31が膨張展開する際に連結リング33,35が上方に移動することで、板バネ119,121及び123,125を弾性変形させて凹部47E1,47E2内に入り込む。したがって、この場合においても、可動式ロールバー9の突出作動よりもエアバッグ3,7の展開作動を先に行わせるように、図2に示すコントローラ21により制御する必要がある。ただし、この例での凹部47E1,47E2は、図19とは逆に軸部115a,117aの下部に形成されていることになる。
【0095】
[第8の実施形態]
第8の実施形態は、図21,図22に示すように、前記図19,図20に示した第7の実施形態の板バネ119,121及び123,125に代えて、前記図18に示した第6の実施形態におけるものと同様な可動体としてのピストン127及び129を用いている。このピストン127及び129は、通常時は図21のように係止ピン115,117の頭部115b,117b内に収容してあり、作動時には図22のように上記収容状態から上方に向けて突出する。
【0096】
したがって、車両の横転を検知して可動式ロールバー9の可動部13が突出作動する際には、コントローラ21からの信号によりまずピストン127及び129が前進移動し、図22のように、凹部47E1,47E2の開口部側を閉じた状態とする。これにより、可動式ロールバー9の可動部13の先端と各エアバッグ3,7とが連結された状態となる。
【0097】
この連結状態で、コントローラ21からの信号により、前記図18(c)と同様にして、可動部13が突出作動するとともに、各エアバッグ3,7が展開作動する。
【0098】
このように、本実施形態では、ピストン127及び129が進出移動して凹部47E1,47E2の開口部側を閉じた状態とすることで、可動式ロールバー9とエアバッグ3,7とを連結しているので、この連結状態を強固なものとすることができ、車両が横転したときの乗員保護をより確実なものとすることができる。
【0099】
[第9の実施形態]
第9の実施形態は、そのシステム構成として、図23に示すように、前記図2の第1の実施形態に対し、衝突する相手物としての衝突物を検知するレーザ光などによる車両の衝突を事前に検知する衝突事前検知手段としての衝突事前検知センサ17及び、荷重センサなどからなる車両の衝突を検知する衝突検知手段としての衝突検知センサ19を追加して設けている。これら各センサ17,19は、横転挙動センサ15と同様に、コントローラ21に接続した状態で、車体の前後端や側面部、中心部などに取り付けている。
【0100】
本実施形態では、可動式ロールバー9を車体側面部に配置しているので、側面衝突で車体側面部が大きく変形すると可動式ロールバー9が損傷して展開不可能になる可能性に対応する。
【0101】
すなわち、側面衝突の事前検知で衝突前に可動式ロールバー9を展開させるか、側面衝突後の可動式ロールバー9の展開であれば少なくとも衝突側の可動式ロールバー9を展開させず、したって該衝突側の可動式ロールバー9の可動部13の展開による可動式ロールバー9とエアバッグ3,7との連結も生じさせない。
【0102】
これにより、側面衝突で損傷が生じた可動式ロールバー9によってエアバッグ3,7の展開が阻害されないようにし、展開作動した状態のエアバッグ3,7による乗員拘束力を確保する。
【0103】
次に、上記図23のシステム構成におけるコントローラ21の制御動作について、図24のフローチャートに基づき説明する。まず、各センサ15,17,19を初期化し(ステップS1)、衝突事前検知センサ17により衝突を事前検知したかどうかを判断し(ステップS2)、衝突を事前検知した場合には、可動式ロールバー9が衝突前に突出作動可能かどうかを判断する(ステップS3)。
【0104】
なお、「可動式ロールバー9が衝突前に突出可能である」場合とは、可動式ロールバー9の突出作動時間をTr、衝突の事前検知から衝突までの時間をTTCとした場合、Tr>TTCの関係が成立したときに相当する。この衝突の事前検知から衝突までの時間TTCは、衝突を事前検知した時点での衝突物との相対速度に基づき計測される。
【0105】
ここで、衝突前に可動式ロールバー9を突出可能であれば、可動式ロールバー9の点火装置27を点火して衝突前に可動式ロールバー9を突出作動させるとともに(ステップS4)、エアバッグ3,7の点火装置23,25にも点火してエアバッグ3,7を展開作動させる(ステップS5)。これにより、車両が衝突後に横転する場合であっても、前記図6の状態となって乗員を保護することになる。
【0106】
一方、ステップS3において、衝突前に可動式ロールバー9を突出可能でない場合、すなわち、可動式ロールバー9が突出作動完了前に側面衝突する場合には、衝突前に可動式ロールバー9を突出作動させずに、エアバッグ3,7の点火装置23,25に点火してエアバッグ3,7のみを展開作動させる(ステップS5)。これにより、側面衝突で可動式ロールバー9が損傷して展開不可能になる場合に対応できる。
【0107】
前記ステップS2で衝突を事前検知していない場合には、衝突検知センサ19により衝突を検知したかどうかを判断し(ステップS6)、衝突を検知していない場合には、横転挙動センサ15により車両の横転を検知したかどうかを判断する(ステップS7)。
【0108】
ここで横転を検知していたら、上記と同様にして可動式ロールバー9の点火装置27に点火して衝突前に可動式ロールバー9を突出作動させるとともに(ステップS4)、エアバッグ3,7の点火装置23,25にも点火してエアバッグ3,7を展開作動させる(ステップS5)。
【0109】
また、前記ステップS6で衝突を検知した場合には、この衝突面側の可動式ロールバー9であれば(ステップS8)、その衝突側の可動式ロールバー9を突出作動させずに、エアバッグ3,7のみを展開作動させる(ステップS5)。一方、非衝突面側の可動式ロールバー9については、可動式ロールバー9を突出作動させるとともに(ステップS4)、エアバッグ3,7のみを展開作動させる(ステップS5)。
【0110】
これにより、側面衝突で可動式ロールバー9が損傷して展開不可能になる場合に対応できると同時に、衝突する側と反対側の車体側部については、可動式ロールバー9を突出作動させて図6のように展開するエアバッグ3,7の先端に連結して乗員を保護する。
【0111】
なお、ステップS4で可動式ロールバー9を突出作動させる前に、ウィンドウシールドパネル53,54が閉じているときには、例えばステップS2で衝突を事前検知したときにウィンドウシールドパネル53,54を開放させるようにしてもよい。
【0112】
これにより、エアバッグ3,7と可動式ロールバー9との連結を維持しながらこれらが作動する場合に、該作動を阻害するウィンドウシールドパネル53が、作動時の移動軌跡外となるので、作動に対する抵抗力が減少して作動に要する時間を、ウィンドウシールドパネル53閉じているときに比べて短縮することができる。
【0113】
上記図24に示す制御動作は、前記図1の第1の実施形態の構成に限らず、図13の第4の実施形態及び図15の第5の実施形態にも適用できる。
【0114】
[第10の実施形態]
第10の実施形態を図25のフローチャートに示す。この実施形態は、前記図18の第6の実施形態や図21の第8の実施形態のように、可動体としてのピストン107,109やピストン127,129を使用するものに対応している。
【0115】
すなわち、前記第9の実施形態による図24のフローチャートに対し、各センサ15,17,19の初期化(ステップS1)後に、可動式ロールバー9とエアバッグ3,7との連結状態を確認すべく、ピストン107,109またはピストン127,129が後退位置として凹部47D1,47D2または凹部47E1,47E2の開口部を開放しているかどうかの判断(ステップS10)を追加している。
【0116】
上記ステップS10で、ピストン107,109またはピストン127,129が前進位置となって開口部が閉じられている場合には、ピストン107,109またはピストン127,129を後退位置として凹部47D1,47D2または凹部47E1,47E2の開口部を開放状態とする(ステップS11)。
【0117】
さらに、図24のフローチャートに対し、可動式ロールバー9を突出作動させる前に、ピストン107,109またはピストン127,129を前進位置として可動式ロールバー9とエアバッグ3,7とを連結状態とする動作(ステップS20)を追加する。
【0118】
このため、本実施形態では、エアバッグ3,7を展開作動させる一方、可動式ロールバー9を側面衝突で損傷して作動不可能になって突出させないときは、ピストン107,109またはピストン127,129を前進移動させずに後退位置のままとして、エアバッグ3,7の袋体29,31の上端付近と可動式ロールバー9の上端付近との連結を解除した状態となる。
【0119】
このため、可動式ロールバー9を側面衝突で損傷して突出作動不可能になった場合でも、エアバッグ3,7は展開するので、乗員の保護を行うことができる。
【0120】
その他の動作については、図24に示した第9の実施形態と同様である。したがって、本実施形態においても、第9の実施形態と同様に、側面衝突で可動式ロールバー9が損傷して突出作動不可能になる場合に対応できると同時に、衝突する側と反対側の車体側部については、可動式ロールバー9を突出作動させて展開するエアバッグ3,7の先端に連結して乗員を保護する。
【0121】
[第11の実施形態]
第11の実施形態は、図3に示した第1の実施形態に対し、図26に示すように、後席側のエアバッグ7については、その膨張展開時での上端に位置する先端の連結リング131を、可動式ロールバー9の可動部13の先端に設けてある挿入部45に連結具133を介して常時連結した状態とする。
【0122】
また、図3の一対の板バネ49,51に代えて1つの板バネ135を設けているが、図3の一対の板バネ49,51であっても構わない。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0123】
このように、本実施形態では、車体側部5に設けてある後席側のエアバッグ7については、前席側のエアバッグ3のようにドア1の開閉が伴わないことから、可動式ロールバー9に常時連結することが可能となり、連結状態をより強固にできるとともに、構造の簡素化を図ることができる。
【0124】
[第12の実施形態]
第12の実施形態は、図27に示すように、可動式ロールバー9の外筒部11の先端部に、上方に延び、かつ、車幅方向内側に向けて曲面状に屈曲するへら状の変形抑止部材137を設けている。なお、図27では、可動式ロールバー9の突出作動後の状態を示しているが、展開後のエアバッグ3,7については省略している。
【0125】
変形抑止部材137は、可動式ロールバー9の可動部13が突出作動して前記図10のように車両が横転したときに、可動部13の車室側への曲げ変形を抑えることができ、これにより展開後のエアバッグ3,7と地面との距離を確保して乗員を保護することができる。
【0126】
なお、上記した変形抑止部材137は、外筒部11に一体化して設けているが、車体側部5側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 ドア(車体側部)
3,3A 前席側のエアバッグ
5 車体側部
7,7A 後席側のエアバッグ
9 可動式ロールバー
15 横転挙動センサ(横転検知手段)
17 衝突事前検知センサ(衝突事前検知手段)
19 衝突検知センサ(衝突検知手段)
29,31 エアバッグの袋体
33,35 エアバッグの連結リング(連結部,受け部)
33a,35a 連結リングの貫通孔
45 可動式ロールバーの挿入部(連結部)
47,47A,47B1,47B2,47C1,47C2,47D1,47D2,47E1,47E2 凹部
49,51,95,97,119,121,123,125 板バネ(弾性部材)
53,54 ウィンドウシールドパネル
55 車室
57,59 破壊部
65,67 エアバッグの押し付け用の袋体(押し付け用のエアバッグ,押付体)
73,75 開閉体
77,79 押圧バネ(弾性手段)
85,87 ストッパ
107,109,127,129 ピストン(可動体)
115,117 係止ピン
115a,117a 係止ピンの軸部
115b,117b 係止ピンの頭部
137 変形抑止部材
F 連結部から、車体側部の外表面の外側に凸となる曲面上に接するよう延びる直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部の車室内側から上方に向けて展開作動するエアバッグと、前記車体側部から上方に向けて突出作動する可動式ロールバーとを有する乗員保護装置であって、前記可動式ロールバーの突出方向先端と、前記エアバッグの展開作動した状態での袋体の上端付近との間に、前記可動式ロールバーが上方に向けて突出作動する際に、該可動式ロールバーの先端が展開前の前記袋体の上端付近に連結する連結部を設けたことを特徴とする乗員保護装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗員保護装置において、前記連結部は、前記エアバッグ側に設けられて貫通孔を備える受け部と、前記可動式ロールバー側に設けられて前記受け部の貫通孔に入り込んで連結する挿入部と、を備えていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項3】
請求項2に記載の乗員保護装置において、前記受け部は、前記貫通孔が上下方向に貫通するよう設けられ、この貫通孔が、前記挿入部を備えた前記可動式ロールバーの前記突出移動方向に位置していることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の乗員保護装置において、前記挿入部は、前記受け部に入り込んだ状態で該受け部が入り込む凹部を備えていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項5】
請求項4に記載の乗員保護装置において、前記凹部の開口側を閉じる方向に押圧する弾性部材を設け、この弾性部材は、前記受け部が前記凹部に入り込むときに弾性変形して前記開口側を開放することを特徴とする乗員保護装置。
【請求項6】
請求項5に記載の乗員保護装置において、前記受け部は前記貫通孔が車幅方向に貫通するよう設けられる一方、前記挿入部は車幅方向外側に向けて突出して設けられて前記貫通孔に挿入される係止ピンを備え、この係止ピンは、先端が大径となる頭部を、基端が小径となる軸部をそれぞれ備え、前記軸部の外周側の前記可動式ロールバーの突出移動方向に対応する位置を、前記受け部が入り込む凹部とし、この凹部の開口側を閉じる方向に押圧する弾性部材を設け、この弾性部材は、前記受け部が前記凹部に入り込むときに弾性変形して前記開口側を開放することを特徴とする乗員保護装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の乗員保護装置において、前記凹部は上方に向けて開口しており、前記可動式ロールバーが突出作動するときに前記受け部が前記弾性部材を弾性変形させて前記凹部に入り込むことを特徴とする乗員保護装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の乗員保護装置において、前記凹部は下方に向けて開口しており、前記エアバッグが展開作動するときに前記受け部が前記弾性部材を弾性変形させて前記凹部に入り込むことを特徴とする乗員保護装置。
【請求項9】
請求項4に記載の乗員保護装置において、前記凹部の開口側を開閉可能に移動する開閉体を設け、この開閉体は、弾性手段によって先端側が前記凹部の底部側から前記開口側に移動する方向に押圧されて閉状態とするストッパを備えていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項10】
請求項9に記載の乗員保護装置において、前記凹部は上方に向けて開口しており、前記可動式ロールバーが突出作動するときに前記受け部が前記弾性手段に抗して前記開閉体を開放させて前記凹部に入り込むことを特徴とする乗員保護装置。
【請求項11】
請求項8に記載の乗員保護装置において、前記凹部は下方に向けて開口しており、前記エアバッグが展開作動するときに前記受け部が前記弾性手段に抗して前記開閉体を開放させて前記凹部に入り込むことを特徴とする乗員保護装置。
【請求項12】
請求項2に記載の乗員保護装置において、前記受け部は前記貫通孔が車幅方向に貫通するよう設けられる一方、前記挿入部は車幅方向外側に向けて突出して設けられて前記貫通孔に挿入される係止ピンを備え、前記係止ピンの先端側とその周囲の側壁部との間の開口側を開閉可能に移動する可動体を設け、前記係止ピンが前記貫通孔に挿入された状態で、前記可動式ロールバーが突出作動する際に、前記可動体が前進移動して前記開口側を閉じることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項13】
請求項3に記載の乗員保護装置において、前記挿入部は、前記受け部が入り込む車両前後方向に開口する凹部をそれぞれ備え、この各凹部の開口側を開閉可能とするよう進退移動する可動体を設け、この可動体は、前記可動式ロールバーが突出作動する際に、前記受け部が前記凹部に入り込んだ状態で前進移動することで、前記貫通孔に挿入されることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグをドア側に設ける一方、前記可動式ロールバーを前記ドアの車両後方側に位置する車体側部に設け、少なくとも前記ドアを開閉するときには、前記可動体を後退位置とすることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグをドア側に設ける一方、前記可動式ロールバーを前記ドアの車体後方側に位置する車体側部に設け、少なくとも前記ドアを開閉するときには、前記連結部の連結状態が解除されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグをドアの車両後方側の前記車体側部に設ける一方、前記可動式ロールバーを前記ドアの車両後方側近傍の前記車体側部に設け、前記可動式ロールバーの突出方向先端と、前記車両後方側近傍の車体側部に設けた前記エアバッグの展開作動した状態での袋体の上端付近とを常時連結することを特徴とする乗員保護装置。
【請求項17】
請求項12または13に記載の乗員保護装置において、前記可動式ロールバーの突出作動開始前に、車両の衝突を検知する衝突検知手段が衝突を検知した場合は、前記可動体を前進移動させずに後退位置として、前記エアバッグを展開作動させることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記可動式ロールバーが上方に突出作動してその先端が前記エアバッグの展開作動した袋体の上端付近に連結した状態の前記連結部は、前記展開作動した袋体よりも車幅方向外側に位置していることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記可動式ロールバーが上方に突出作動してその先端が前記エアバッグの展開作動した袋体の上端付近に連結した状態の前記連結部から、車体側部の外表面の外側に凸となる曲面上に接するように延ばす直線よりも、前記展開作動した袋体が、車幅方向内側に位置していることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記可動式ロールバーが上方に突出作動してその先端が前記エアバッグの展開作動した袋体の上端付近に連結した状態で、前記展開作動した袋体と車体側部との間に、前記袋体を車室側に向けて押し付ける押付体を設けたことを特徴とする乗員保護装置。
【請求項21】
請求項20に記載の乗員保護装置において、前記押付体は、前記エアバッグの展開作動時に、車体側部の内部に格納された状態から車室側に向けて突出することを特徴とする乗員保護装置。
【請求項22】
請求項21に記載の乗員保護装置において、前記押付体は、前記展開作動した袋体と車体側部との間に展開作動する押し付け用のエアバッグであることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項23】
請求項22に記載の乗員保護装置において、前記押し付け用のエアバッグは、前記連結部により前記可動式ロールバーと連結するエアバッグの袋体の内部と連通する押し付け用の袋体を備えていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項24】
請求項21に記載の乗員保護装置において、前記押付体は、前記展開作動した袋体と車体側部との間に、車体側部の内部に収納された状態から車室側に向けて突出する突出部材であることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグをドア側に設ける一方、前記可動式ロールバーを前記ドアの車体後方側の車体側部に設け、上方に突出移動して前記エアバッグの展開作動した袋体の上端付近に連結した状態の前記可動式ロールバーの先端が、上方に突出移動する前の格納状態の先端よりも、車両前方に位置していることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項26】
請求項1ないし25のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記可動式ロールバーの突出方向先端と前記エアバッグの袋体との間の前記連結部付近に、前記可動式ロールバーが突出作動しつつ前記エアバッグが展開作動するときに、閉状態のウィンドウシールドパネルに衝突して該ウィンドウシールドパネルを破壊する破壊部を設けたことを特徴とする乗員保護装置。
【請求項27】
請求項26に記載の乗員保護装置において、前記閉状態のウィンドウシールドパネルの下部を車体側部で保持する部材の車両幅方向の外曲げモーメント強度を、前記エアバッグの展開作動時にその展開する袋体が前記閉状態のウィンドウシールドパネルに作用する展開力によるウィンドウシールドパネルの外曲げモーメント強度よりも大きくすることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項28】
請求項1ないし27のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、突出作動した状態の前記可動式ロールバーの車幅方向内側に近接する位置に、前記可動式ロールバーが車幅方向内側へ向けて荷重を受けたときに該荷重を受けて可動式ロールバーの変形を抑える変形抑止部材を設けたことを特徴とする乗員保護装置。
【請求項29】
請求項14または15に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグを展開作動させる一方、前記可動式ロールバーを突出作動させないときは、前記可動体を前進移動させずに後退位置として、前記エアバッグの袋体の上端付近と可動式ロールバーの上端付近との連結を解除した状態とすることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項30】
請求項7または10に記載の乗員保護装置において、車両の横転時に前記可動式ロールバーが展開しないときは、前記エアバッグを展開作動させることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項31】
請求項1ないし30のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグの展開作動開始時及び前記可動式ロールバーの突出作動開始時に、これらエアバッグ及び可動式ロールバーを設定している車体側部に設けた開閉可能なウィンドウシールドパネルを開状態とすることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項32】
請求項1ないし31のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグ及び可動式ロールバーを備える車両が衝突する相手物を事前に検知する衝突事前検知手段を設け、この衝突事前検知手段が車両の衝突を避けられない状態を検知したときに、前記可動式ロールバーを上方に突出作動させるとともに前記エアバッグを展開作動させて前記連結部を連結状態とすることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項33】
請求項1ないし32のいずれか1項に記載の乗員保護装置において、前記可動式ロールバーの突出作動開始前に、車両の衝突を検知する衝突検知手段が衝突を検知した場合は、前記可動式ロールバーの突出作動を停止することを特徴とする乗員保護装置。
【請求項34】
請求項33に記載の乗員保護装置において、前記可動式ロールバーの突出作動開始前に、車両の衝突を検知する衝突検知手段が衝突を検知した場合は、衝突相手物との衝突側に位置する可動式ロールバーの突出作動を停止する一方、非衝突側に位置する可動式ロールバーを突出作動させることを特徴とする乗員保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−68290(P2011−68290A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222437(P2009−222437)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】