説明

乗用型作業機の走行変速装置

【課題】田植機等の乗用型農作業機において、走行変速装置の組み立ての容易性向上や部材の強度アップ等を図る。
【手段】走行変速装置は走行ミッションケース9を有する。走行ミッションケース9は深さが深い本体部9aと浅い深さの蓋部9bとの2つ割構造になっており、内部に軸やギア等が配置されている。本体部9aの内部には板状の中間部材87が固定されており、この中間部材87で軸が支持されている。軸の支持スパンを短くできるため、軸の支持強度がアップすると共に耐久性も向上する。軸の安定性が高くなるため、蓋部9bを取り外してから再取り付けすることが容易になる。従って、メンテナンスも楽に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば乗用型田植機のような乗用型作業機の走行変速装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用型農作業機の一例として例えば乗用型田植機がある。この乗用型田植機はエンジンが搭載された走行機体とその後ろに配置した苗植装置とを有しており、苗植装置は走行機体に昇降自在に連結されている。走行機体は左右の前輪と後輪とを有しており、エンジンの動力は走行変速装置を介して前輪及び後輪に伝達される。
【0003】
走行変速装置は中空の走行ミッションケースを有しており、その内部に軸群、ギア群、走行クラッチ、デフ装置(差動装置)、ブレーキなどを配置している。走行ミッションケースは複数のシェル状部材をボルトで締結して中空に構成されており、2つ割方式(2パーツ方式)のものが特許文献1に開示されている。2つ割方式では、軸の一端が一方のパーツで支持されて、軸の他端は他方のパーツで支持されている。
【0004】
また、近年の乗用型田植機は走行フィーリングを高めるためHST(静油圧式無段変速機)を設けていることが多く、HSTは走行ミッションケースに取り付けられている。また、HSTのみでは伝達効率が低くなる領域があるため、HSTと遊星ギア機構とを併用したHMT(油圧機械式無段変速機)を搭載することも広く行われており、本願出願人は乗用型田植機等にHMTを早くから搭載して市場で高い評価を受けている。
【0005】
更に、乗用型田植機は車輪走行式であって前輪を旋回させて操舵しているが、走行ミッションケースにフロントアクスル装置を取り付けて、走行ミッションケースの内部にデフ装置を設けることにより、旋回に際して左右前輪の回転速度を変えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−160406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、走行変速装置の走行ミッションケースは内部が密閉されているため複数の部材で構成することは不可避であり、この点、2つ割方式にすると構造は最も簡単になる。しかし、従来のように単に2つ割りにした構成では、軸はその一端を一方のパーツで支持して他端を他方のパーツで支持した単純な両端支持になるため、組み立てが面倒である。
【0008】
すなわち、走行ミッションケースを構成する2つのパーツに軸が嵌まる穴を設けており、各軸を一方のパーツに正確に姿勢保持した状態でないと他方のパーツを各軸に嵌め込みできないが、単なる2つ割方式では、組み立て前には各軸はその一端が一方のパーツの穴に嵌まっているに過ぎないため、若干ながら倒れる現象が生じて正確に姿勢保持できないことがあり、このため、各軸に他方のパーツを嵌め込む作業が面倒になるのである。
【0009】
特に、走行ミッションケースを田植機等の作業機に組み込んだ後は、軸が横向きになることが多く、すると、メンテナンスや部品交換に際して他方のパーツを取り外すと、軸は自重によって倒れるようとするため、他方のパーツを嵌め込むことが一層面倒になるのであった。
【0010】
更に、単なる2つ割方式では、軸はその一端と他端とが支持されるに過ぎないため支持スパンは必然的に長くならざるを得ず、すると曲げに対する強度も低くなって耐久性が低下する虞がある。
【0011】
本願発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題の解決手段として本願発明者たちは各請求項の発明を完成させた。このうち請求項1の発明は、走行ミッションケースとその内部に配置された軸群及びギア群を有しており、前記走行ミッションケースは、深さが深い本体部とこれを覆う浅い蓋部とを有しており、前記軸群は前記本体部及び蓋部の開口面と交叉した姿勢に配置されている、という構成において、前記走行ミッションケースの本体部に、前記軸群のうち少なくとも一部に対する軸受として機能する中間部材を固定しているものである。
【0013】
請求項2の発明は請求項1を具体化したものであり、この発明は、更に、エンジンからの動力が伝達されるHSTと、前記HSTと組み合わさってHMTを構成する遊星ギア機構とを有しており、前記HSTは、前記走行ミッションケースにおける本体部のうち前記蓋部と反対側に位置した底部の外面に取り付けられており、前記遊星ギア機構を、前記走行ミッションケースにおける本体部の底部と前記中間部材との間に配置している。
【0014】
請求項3の発明は請求項1又は2を具体化したものであり、この発明では、前記走行ミッションケースの本体部と蓋部とにはそれぞれ車輪駆動用のアクスル装置が取り付けられており、前記走行ミッションケースには、一方のアクスル装置に動力伝達する一方の車輪駆動軸と他方のアクスル装置に動力伝達する他方の車輪駆動軸とが同心に配置されており、かつ、両車輪駆動軸を差動させるためのデフ装置を前記本体部と中間部材との間に配置している。
【0015】
請求項4の発明は請求項1〜3を更に具体化したもので、前記走行ミッションケースにおける本体部の内周と前記中間部材の外周との間にオイルが自在に流通し得る空間を空けている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によると、走行ミッションケースの内部に配置した軸は、蓋部を外した状態であっても本体部と中間部材とで支持されるため、正確な位置に正確に位置決めされた状態に保持される。このため軸の他端が蓋に嵌まる場合であっても、蓋の嵌め込みが容易であり、このため走行ミッションケースの組み立てを正確に能率良く行える。また、中間部材が補強部材として機能し得るため、走行ミッションケースの強度アップにも貢献する。
【0017】
また、走行ミッションケースを作業機に組み込んだ状態でメンテナンスや部品交換のために蓋部を取り外した場合、軸が横向きの姿勢になっていても軸は所定の位置に安定良く保持されているため、蓋の再取り付けを簡単に行うことができるのであり、従って、本願発明はメンテナンスや部品交換に際しての作業性アップに特に有効であると言える。
【0018】
更に、単なる2割り方式であると、メンテナンスや修理のために軸やギアを抜き外す場合は、走行ミッションケースを機体から取り外さねばならない場合が多く、すると、実質的には機体を大きく分解せねばならない事態に到るが、本願発明では、本体部の深さが深いことと中間部材を有することによって、軸やギアの多くを深さの深い本体部に所定の姿勢で保持し得るため、本体部を機体に取付けたまで蓋部のみを外すことで軸の交換のような作業を行うことができるのであり、このため、メンテナンスや修理に際して走行ミッションケースを取り外す頻度を著しく小さくできる。この点においても、メンテナンスや修理の作業性を向上できる。
【0019】
また、中間部材を配置したことで軸の支持スパンを短かくできるため、軸の強度を高くして耐久性を向上できる。更に、軸は本体部と中間部材とのみで支持したり、中間部材と蓋部とのみで支持したりすることも可能であり、このため、軸の支持構造の自由性も向上できる。この点も本願発明の特徴である。
【0020】
さて、走行ミッションケースを構成する1つのパーツに軸受け部を複数設けることも理論的には可能であるが、この場合は、パーツは鋳型を用いた鋳物として製造してから複雑な後加工をせねばならないため、生産性が低くてコストも高くなる。すなわち、1個の走行ミッションケースごとに1つの鋳型を製造し、注湯、硬化、鋳型の除去、軸受け部の切削加工、といった手順を踏まねばならないため、生産性が低くてコストも高くなる。また、軸にギアを取り付けた状態のままでは軸をセットできないため、組み付けも非常に厄介である。
【0021】
これに対して本願発明のように、分離自在な中間部材を設けると、走行ミッションケースを構成する本体部には軸の一端部を支持する軸受け部を設ければ足りることから、簡単な構造とすることができるため、密着・離反自在な金型を使用して、キャビティへの注湯、固化、金型を分離しての型抜き、といった方法で製造されるダイキャスト品(成形品)を採用することができる。
【0022】
これにより、本体部(或いは蓋部も)を高い寸法精度で能率良く低コストで製造しつつ、中間部材を使用して軸を安定良く支持できるのである。従って、生産性を高くしてコスト抑制にも貢献できるのである。また、中間部材は着脱できるため、軸は、これにギア等の部材を取付けた状態のままで一端を本体部に挿入してから中間部材をセットする、という単純な手順て組み付けることができ、このため組み立て作業も容易である。
【0023】
既述のように、HSTと遊星ギア機構とを組み合わせてHMTを構成すると低速域から高速域まで広い範囲にわたって高い伝動効率を確保できるが、走行ミッションケースが単なる2つ割方式であると、遊星ギア機構の支持スパンが長くなって耐久性低下が懸念される。
【0024】
これに対して請求項2の構成を採用すると、遊星ギア機構は中間部材によっても支持できるため、遊星ギア機構の支持安定性を格段に向上できる。また、本体部と中間部材との間に走行クラッチを配置することも簡単であり、このため走行変速装置のコンパクト化にも貢献できる。更に、遊星ギア機構は本体部と中間部材の間に保持されているため、HMTを走行ミッションケースに取り付けたままで蓋部を取り付けたり取り外したりすることができるのであり、その結果、走行ミッションケースの組み立てやメンテナンスも容易になる。
【0025】
既述のように車輪走行式の作業機においてデフ装置は必須であるが、2本の車輪駆動軸を安定的に支持しないと耐久性が低くなる。この点、本願の請求項3の構成を採用すると、デフ装置が本体部と中間部材とで安定的に保持されるため、結果として2本の車輪駆動軸も安定良く支持されることになり、その結果、デフ機構の耐久性を向上させることができる。
【0026】
走行ミッションケースの内部にはオイルが溜まっているのが通常である。特に、HSTを有する作業機では、走行ミッションケースをHSTの作動油のタンクに兼用していることが一般的であり、また、作業機が油圧シリンダやパワーステアリングを備えている場合は、一般に、走行ミッションケースをこれらの作動油のタンクに兼用している。
【0027】
そして、作動油は高温になることが多いため走行ミッションケースの内部で循環させてできるだけ冷却する必要があるが、請求項4の構成を採用すると、走行ミッションケースの内部でのオイル(作動油)の循環は阻害されないため、オイルの冷却機能を阻害することがない。また、中間部材を小型化できるため、材料費を抑制できると共に走行変速装置の軽量化にも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態に係る田植機の側面図である。
【図2】田植機全体の平面図である。
【図3】走行機体の概略を示す側面図である。
【図4】走行機体の概略を示す底面図である。
【図5】(A)は走行ミッションケースの斜視図、(B)は走行ミッションケースを仮想線で示すと共に中間部材を分離した要部の背面図である。
【図6】伝動系統図である。
【図7】要部の分離斜視図である。
【図8】(A)は走行ミッションケースの内部を後ろから見た斜視図、(B)は走行ミッションケースの内部の分離斜視図である。
【図9】走行ミッションケースの蓋部を省略した状態での側面図である。
【図10】走行変速装置を示す平断面図である。
【図11】走行変速装置を示す部分的な平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本願発明を乗用型田植機(以下、単に「田植機」という)に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では方向を特定するために「前後」「左右」の文言を使用するが、これは、前進方向を向いたオペレータの姿勢を基準にしている。
【0030】
(1).田植機の概要
まず、図1〜5を参照して田植機の概要を説明する。図1,2示すように、田植機は、左右前輪2及び左右後輪3で走行自在に支持された走行機体1と、走行機体1の後ろに配置した苗植装置4とを有している。前輪2は走行機体1に水平旋回自在に取り付いており、後輪3は走行機体1に水平旋回不能に取り付いている。
【0031】
苗植装置4は昇降リンク機構6を介して走行機体1に昇降自在に連結されており、昇降リンク機構6を油圧式の昇降シリンダ5で回動させることで苗植装置4が昇降する。苗植装置4は、ロータリー式植付け機構や苗載せ台、フロート等を有するが、本願発明とは直接には関係ないのでそれらの詳細は省略する。図示していないが、走行機体1の後部には施肥装置を取り付けることができる。
【0032】
図3,4に示すように、走行機体1は多数の部材から成る機体フレーム7を有しており、機体フレーム7の前部でエンジン8を支持している。エンジン8の後ろには、走行変速装置を構成する走行ミッションケース9が配置されており、走行ミッションケース9の前部に取り付けた左右のフロントアクスル装置10に前輪2が取り付けられている。後輪3はリヤアクスルケース12に取り付けられており、走行ミッションケース9とリアアクスルケース12とは円筒状の連結フレーム11で連結されている。
【0033】
エンジン8はボンネント15で覆われており、ボンネット15の左右両側に予備苗台16を配置している。ボンネット15の後ろ側に運転席17を配置している。走行機体1はオペレータが載る車体カバー(ステップ)18を有している。座席17の下方に燃料タンクを配置しているが、詳細は省略する。運転席17の前方に操向ハンドル19を配置している。
【0034】
図4,5に示すように、フロントアクスル装置10は、前側車体フレームにブラケット7aを介して固定された固定支持部10aと、固定支持部10aに略水平回転可能に取り付けられた回動支持部10bとを有しており、回動支持部10bに設けた前車軸に前輪2を取り付けている。回動支持部10bにはナックルアーム20が固定されており、ナックルアーム20にタイロッド21が相対回動可能に連結されている。そして、操向ハンドル19を回転操作すると、左右のタイロッド21が同時に動き、これによって左右の前輪2が同じ方向に水平旋回する。その結果、田植機の舵取りが行われる。
【0035】
例えば図5に示すように、走行ミッションケース9の左側面にはHST24を装着している。HST24にはエンジン8からベルト25で動力伝達される。エンジン8は出力軸(クランク軸)が左右横長の姿勢となるように横置きされており、従って、HST24も入力軸及び出力軸を左右横長にした姿勢で走行ミッションケース9の左側面に取り付けられている。HST24の入力軸26には冷却用のファン27を固定している。
【0036】
HST24には、油圧ポンプの動力が油圧モータに伝達される割合を制御するための斜板が内蔵されており、この斜板は、例えば図5に示す上向きの制御軸28を回転することで駆動される。他方、図4に示すように、操縦フロアのうち平面視で走行ミッションケース9よりも右側の部位には変速ペダル29を設けている。変速ペダル29の回動角度(踏み込み量)はポテンショメータで検知される。
【0037】
そして、ポテンショメータの検知信号に基づいて制御モータ(図示せず)を駆動し、この制御モータによって動くリンク機構(図示せず)で制御軸28を回転させることにより、HST24における油圧ポンプから油圧モータへの動力伝達割合が変化し、これにより、変速ペダル29の踏み込み量に応じて車速が無段階に調節される。
【0038】
例えば図5に示すように、走行ミッションケース9の前端部に油圧式パワーステアリングユニット30が取り付けられており、操向ハンドル19の回転トルクはパワーステアリングユニット30で増幅されてタイロッド21に伝達される。
【0039】
例えば図5(A)に示すように、走行ミッションケース9の右側面には、HST24の入力軸26に直結された第1駆動軸41で駆動されるオイルポンプユニット31が配置されている。オイルポンプユニット31はチャージポンプ31aと補助ポンプ31bとを並設したタンデム型であり、両ポンプ31a,31bはHST24の入力軸26で駆動される。
【0040】
チャージポンプ31a及び補助ポンプ31bには、オイルフィルター31′を介してオイルが吸入される。HST24の入力軸26はエンジンが運転されている限り常に回転しており、従って、チャージポンプ31aも常に回転している。チャージポンプ31aで発生した圧油はHST24の作動油供給ポートにパイプ32で送られる。補助ポンプ31bで発生した圧油はパワーステアリングユニット30に送られる(図ではパワーステアリングユニット30に送るパイプは省略している。)。HST24から排出された余剰油やリーク油はドレンパイプ35で走行ミッションケース9に戻る。
【0041】
走行ミッションケース9の後部には既述した昇降シリンダ5を制御するためのバルブユニット34が固定されており、パワーステアリングユニット30から排出された圧油はパイプ33でバルブユニット34に送られる。走行ミッションケース9の前面には前向きに突出したステアリング支持部36を形成し、このステアリング支持部36にパワーステアリングユニット30を取り付けている。走行ミッションケース9の前端とエンジン8とはブラケットで連結されている。
【0042】
(2).伝動系統
次に、図6以下の図面も参照して走行変速装置の詳細を説明する。例えば図5(B)に示すように、走行ミッションケース9は深さが深い主部9aと、これに被さると共に主部9aよりは深さが浅い蓋部9bとの2つのシェル状部材で構成されており、両者はボルトで締結されている。両者の開口面(締結面・合わせ面)は後述する各軸の軸心と直交して(横切って)いる。
【0043】
次に、伝動系統を主として図6に基づいて説明する。HST24は、入力軸26で駆動される油圧ポンプ38とこの油圧ポンプ38で駆動される油圧モータ39とを有する。油圧モータ39は出力軸40を有する。HST24の入力軸26にはこれと同心で一体に回転する第1駆動軸41が連結されており、第1駆動軸41に固定した主動ギア42と、出力軸40上に遊転自在に配置された従動キャリアギア43とが常に噛合している。
【0044】
他方、出力軸40と同心に配置した第2駆動軸44の端部に内歯ギア45を遊転配置する一方、HST24の出力軸41にはサンギア46が固定されており、内歯ギア45とサンギア46とに、従動キャリアギア43に取り付けた遊星ギア47が噛み合っている。このような遊星ギア機構とHST24とでHMTが構成されている。第2駆動軸44と内歯ギア45とはボール式等の走行クラッチ48を介して係脱自在に連動連結されている。
【0045】
次に、機械式の副変速機構を説明する。第2駆動軸44には第1〜第4のギア49〜52が相対回転不能に固定されている。また、走行ミッションケース9の内部には第1回転軸44と平行な第1中間回転軸53及び第2中間回転軸54が配置されており、第2中間回転軸53に、外径が相違する第5ギア55及び第6ギア56が相対回転不能で軸方向にスライド自在に取り付けられていると共に、第5ギア55及び第6ギア56を挟んで左右両側に第7ギア57と第8ギア58とが相対回転不能に固定されている。第1中間回転軸53の一端部には第12ギア68を刻設し、他端部には多板式のブレーキ(駐車ブレーキ)59を設けている。
【0046】
第2中間回転軸54は後進回転用アイドル軸であり、第1ギア49に常に噛合した第9ギア60と、第6ギア56がスライドして係脱する第10ギアとが相対回転不能に固定されている。図6は展開した状態で表示しているために、第2駆動軸44と第2中間軸52とを離した状態に描かれているが、実際には、矢印で示すように、第5ギア55は第2ギア50に噛合し、第6ギア56は第3ギア60と第10ギア61とのいずれかに選択的に噛合できる。
【0047】
走行ミッションケース9には、左車輪駆動軸63と右車輪駆動軸64とが他の軸と平行に配置されている。左右の車輪駆動軸63,64はデフケース65を有するデフ装置66によって差動的に連結されており、デフケース65に固定した第11ギア67と第12ギア68とが噛合している。すなわち、第2中間軸53から左右の車輪駆動軸63,64に動力伝達される。デフ装置66はデフロック装置69で作動機能を解除できる。走行ミッションケース9と左右のフロントアクスル装置10とはアクスルハウジング70で接続されている。
【0048】
詳細は省略するが、第5ギア55及び第6ギア56をスライドさせることにより、田植機は、植付けモード(低速前進)、路上走行モード(高速前進)、苗継ぎモード(ニュートラル)、ニュートラルモード、後進モードの5つのモードに切り換えられる。第5ギア55及び第6ギア56のスライド操作は、図3に示す変速レバー71を操作することで行われる。
【0049】
本願発明とは直接には関係ないので詳細は省略するが、変速ペダル29(図2,3参照)を踏み込んでいる状態では走行クラッチ48は自動的に入りとなり、変速ペダル29を戻し切るとブレーキ59が軽く効く。また、ブレーキ59はブレーキペダル72(図3参照)を踏むことで強く効かせることができる。
【0050】
更に、走行ミッションケース9の内部には第3中間回転軸74が配置されている。第3中間回転軸74上には第13ギア75が相対回転不能に固定されると共に、第14ギア76が遊転自在に配置されており、第2中間回転軸53上の前記第8ギア58から第14ギア76に動力伝達されている。第13ギア75は、第1中間回転軸53上の第7ギア57を介して第2駆動軸44上の第14ギア52と噛み合っており、これにより、副変速機構を経由する前のHMT出力回転が第13ギア75に伝達される。
み合っている。
【0051】
走行ミッションケース9の右側部からは作業出力軸78が後ろ向きに突出しており、この作業出力軸78には、第3中間回転軸74からベベルギア79の対によって動力伝達される。作業出力軸78の動力は株間ケース80に入力されて、ここからPTO軸81によって苗植装置4に動力伝達される。
【0052】
走行ミッションケース9における左側幅方向の中心よりやや左側部の後面からは、後輪駆動軸82が後ろ向きに突出している。後輪駆動軸82は第4中間回転軸83からベベルギア84の対を介して動力伝達されている。更に、第4中間回転軸83には、第13ギア76に噛合する第15ギア85を固定しており、後輪駆動軸82の回転は、機体の前後方向に向いて延びるドライブ軸86でリアアクスルケース12の内部に伝達される。
【0053】
(3).軸の支持構造の詳細
既述のように、走行ミッションケース9は深さが深い本体部9aと深さが浅い蓋部9bとで構成されており、図6に概念的に表示しているように、本体部9aの内部には前後方向に延びる中間部材87が配置されており、本体部9aの左右幅方向の略中間位置に分離自在に(着脱自在)に固定されている。第2駆動軸44、第1〜第4の中間回転軸53,54,74,83の5本の軸及びデフケース65の一端部は、ベアリングを介して中間部材87で回転自在に支持されている。
【0054】
第1駆動軸41は中間部材87で支持されていないが、第1駆動軸41を中間部材87で支持することは可能である。軸群の配置やギア群の配置、及び軸の支持構造の具体的な態様は図7以下に表されている。この点を次に説明する。
【0055】
走行ミッションケース9は側面視でタマゴ形に近い形状になっており、その前端部の下部にステアリング支持部36を設けている。本実施形態では、HST24で使用した作動油はステアリング支持部36を経由して走行ミッションケース9の内部に戻される(作動油を冷却するためである。)。
【0056】
図9に示すように、軸の群は、各々の回転軸線が車両の幅方向(左右方向)に延びる姿勢になっており、全体として走行ミッションケース9の前部から後ろ下部の方向に並ぶように配置されている。具体的には、最も上部でかつ前部に第1駆動軸41が配置されて、その後ろに第2駆動軸44が配置され、第2駆動軸44の下方に第3中間回転軸54と第2中間回転軸53とが前後に別れた状態で配置されており、更に、第2中間回転軸53の下方に車輪駆動軸63,64と第3中間回転軸74が前後に離れた状態で配置されており、最も下部で最も後ろに第4中間回転軸83が配置されている。
【0057】
中間部材87は板状でかつ軸群の並び方向に沿って長く延びており、従って、側面視では斜め方向に長く延びる外観を呈している。また、中間部材87の外周面と走行ミッションケース9における本体部9aの内周面との間には大きな空間が空いており、従って、作動油は本体部9aの中間部材87との間の空間を自在に移動し得る。
【0058】
図5(B)から理解できるように、中間部材87は本体部9aに深く(軸方向・左右幅方向の略中間位置程度に)入り込んだ状態に配置されている。そして、図7に示すように、本体部9aには中間部材87を固定するためのボス部89が形成されており、このボス部89に中間部材87の周縁部をボルト90で締結している。ボス部89は、本体部9aの底部内面及び壁部内面からケース内方に張り出した段状の態様のものと、本体部9aの側壁内面からアイランド状にケース内方に突出した態様のものとが存在している。
【0059】
図10に示すように、HST24の入力軸26と第1駆動軸41とは主動ギア42を介して連結されている。また、第1駆動軸41の右端部は蓋部9bにベアリングを介して回転自在に支持されている。また、第2駆動軸44は、その左右中央部は中間部材87に、右端部は蓋部9bにそれぞれベアリングを介して回転自在に支持されており、更に、第2駆動軸44の左端部には内歯ギア45とサンギア46を並置して遊嵌しており、サンギア46は本体部9aの左側壁にベアリングを介して回転自在に支持されている。
【0060】
従って、第2駆動軸44はサンギア46を介して本体部9aで回転自在に支持されていると共に、中間部材87並びに蓋部9bによっても回転自在に支持されている。また、第2駆動軸44と内歯ギア45との間には走行クラッチ48が構成されているが、これら内歯ギア45と走行クラッチ48とは本体部9aと中間部材87との間の短いスパンの範囲内に納められているため、第2駆動軸44の支持強度は極めて高くなっており、内歯ギア45と走行クラッチ48との支持安定性も優れている。かつ、内歯ギア45等の遊星ギア機構と走行クラッチ48とが近接して配置されているため、走行変速装置をコンパクト化できる。
【0061】
また、第2駆動軸44は本体部9aと中間部材87とで姿勢がしっかりと保持されているため、蓋部9bの位置合わせも正確に行える。従って、組み立てが容易であると共に、メンテナンスも容易である。なお、走行クラッチ48を継断操作するシフターを符号91で示している(図10,図8(B)参照9)。
【0062】
第1中間回転軸53と第2中間回転軸54とは、中間部材87と蓋部9bとにベアリングを介して回転自在に支持されている。これら両中間回転軸53,54は本体部9aと蓋部9bとで支持した場合に比べて長さを短くできるため、それだけ曲げに対する強度を高くできると共に姿勢安定性にも優れている。従って、耐久性を向上できると共に組み立てやメンテナンスも容易ならしめることができる。
【0063】
第1中間回転軸53と第2中間回転軸54を短くすることで本体部9aと中間部材87との間にできたスペースを、径方向に空間が必要な遊星ギア機構とデフ装置66との収容に用いることができる。
【0064】
図10及び図11に示すように、ブレーキ59は蓋部9bの内側に取り付けられている。そして、走行ミッションケース9の本体部9aはリアアクスルケース12に連結フレーム11で固定されているため、本体部9aは簡単には取り外しできないが、蓋部9bは比較的容易に取り外すことができる。そして、ブレーキ59は酷使されるためメンテナンスや交換の必要性も高いが、本実施形態ては取り外しが容易な蓋部9bにブレーキ59を取り付けているため、ブレーキ59のメンテナンスや交換も容易に行える。図では省略しているが、ブレーキ59の操作部材は蓋部9bに設けている。
【0065】
更に述べると、本実施形態では、走行ミッションケース9の本体部9aはリアアクスルケース12に連結フレーム11で固定されることで走行機体1の強度メンバー(骨組み部材)としても機能しており、かかる構成とすることで走行変速装置1の全体の構造の簡素化という利点が得られるが、かかる利点を確保しつつ、ブレーキ59のメンテナンスを交換を容易ならしめているのである。
【0066】
第2中間回転軸53に設けた第5ギア55及び第6ギア56は、例えば図8に示す変速シフター92によってスライドする。変速シフター92は左右横長のシフトバー93に取り付けられており、シフトバー93は走行ミッションケース9における本体部9aの左側方に部分的に露出している。
【0067】
シフトバー93は、中間部材87と蓋部9bとの間にに左右スライド自在に嵌まっている。そして、例えば図8(B)に示すように、シフトバー93にはその位置を保持するための溝94が複数条(5条)形成されており、この溝94にばねで付勢された押圧子(例えばボール)が嵌まることで、変速シフター92が、田植機は、植付けモード(低速前進)、路上走行モード(高速前進)、苗継ぎモード(ニュートラル)、ニュートラルモード、後進モードの5つのモードのうちのいずかに保持される。
【0068】
そして、図8に示すように、中間部材87には、ばねと押圧子を保持するホルダー(図示せず)を挿入する上向き穴95を設けている。このように、本体部9aに対して分離自在な中間部材87には、シフトバー93を副変速機構と一緒に仮支持させることができるため、走行変速装置の組み立ても簡単になる。この点は本実施形態の利点の一つであり、独立した発明たり得る(従来は、シフトバーを走行ミッションケースに支持させていたため、組み立てが面倒であった。)。
【0069】
図10に示すように、デフケース65は本体部9aと中間部材87とにベアリングを介して回転自在に支持されている。本体部9aには蓋部9bに向いて突出した内向き突出部9cを設けており、この内向き突出部9cの端部でデフケース65の左端部を回転自在に支持している。このように、デフケース65はその両端を回転自在に支持されているため、短い幅で極めて高い安定性を保持している。また、本実施形態では、本体部9aに設けた内向き突出部9cの内部に、デフロック装置69を構成するデフロッククラッチ96が配置されている。このためデフロック装置69をコンパクト化できる。
【0070】
この内向き突出部9cは全体的には筒状の形態を成しているが、幅方向に沿う切欠き(図示せず)を部分的に設けて、突出部9cに近い本体部9aに支持したデフロックフォーク(図示せず)のフォーク部分をこの切欠きを通じてデフロッククラッチ96に接続することにより、デフロッククラッチ96を軸方向摺動操作自在としている。
【0071】
図11に示すように、第3中間回転軸74は中間部材87と蓋部9bとにベアリングを介して回転自在に支持されている。第3中間回転軸74は本体部9aで支持した場合に比べて長さを短くできるため、強度と安定性とを向上できる。また、第4中間回転軸83は本体部9aと中間部材87とに回転自在に支持されている。そして、第4中間回転軸83の長さはごく短くて足りるため、極めて高い強度と安定性とを確保できる。
【0072】
さて、蓋部9bには、第3中間回転軸74と作業駆動軸78とを取り付けため、平断面L形でケース内方への開口部とケース後方への開口を有する空所97が空いている。作業駆動軸78は前後2つのベアリング88で空所97に回転自在に支持されていると共に、スナップリング99で抜け止めされている。そして、作業駆動軸78に設けた被動ベベルギア79は空所79の後方開口部から抜き外しできる大きさに設定している。
【0073】
更に述べると、第3中間軸74の被動ベベルギア79は、ベアリングよりも外側において第3中間軸74のスプライン嵌合していると共に、空所79内に位置して、空所97の後方開口部から抜き外しできる大きさに設定しており、このため、第3中間軸74からベベルギア79だけを抜き外すことができるのであり、このため、蓋部9bを一々取り外すことなくスナップリング99を外して作業駆動軸78を抜き外すことにより、2つのベベルギア79を交換することができる。
【0074】
作業駆動軸78は走行速度に比例して回転するものであり、このため、苗の植付け間隔(株間)は基本的には株間ケース80に内蔵した株間調節機構によって調節されるが、例えば、製造メーカーとしては、作物や地域の特性に応じて株間を基準株間に対して僅かに変更する仕様をオプション的に用意しておきたい場合がある。すなわち、株間の微調整機能をオプションとして用意しておきたい場合がある。そして、本実施形態では、作業駆動軸78を簡単に取り外して2個のベベルギア79を交換できるため、株間の微調整の要望に簡単に応えることができるのである。
【0075】
さて、田植機では圃場の凹凸があっても苗の植付け深さが一定になるように昇降シリンダ5で苗植装置4の姿勢を変更することが行われており、この場合、車速に応じて昇降シリンダ5の作動感度を変えることが行われている。このためには車速を検知するセンサが必要である。また、速度を出し過ぎた場合にオペレータに注意を促すために車速センサを設けるというように、車速センサを他の目的に使用することもある。
【0076】
そして、特開2000−175525号公報では、車速センサで後輪ドライブ軸の回転数を検知しているが、後輪ドライブ軸は露出したままであることが多いため、車速センサが汚れることが懸念される。さりとて後輪ドライブ軸と車速センサとをカバーで覆うと構造が複雑化してコストが嵩む。
【0077】
これに対して本実施形態では、図11に示すように、蓋部9bのうち作業駆動軸78の外側には車速センサ100を設けて、作業駆動軸78の回転数から車速を演算するように構成している。作業駆動軸78には、2個の軸受け88の間で当該軸78と共に回転する検知用ギア101を設けており、ギアの凹凸をパルス数に変換して車速を検知している。
【0078】
この実施形態では、車速センサ100は蓋部9bで保護されているため、別にカバーを設けなくとも汚れの心配はない。また、蓋部9bの側面は外側(右側)に露出しているため、車速センサ100の取り付け・取り外しも簡単に行える。
【0079】
走行ミッションケース9の内部の油を抜いてから蓋部9aを取り外すことができるが、この場合、右前輪も取り外される。従って、蓋部9aを取り外すと走行機体1は3輪支持の状態になるが、何らかの部材で支えることで走行機体1を安定良く保持できる。従って、整備工場においてクレーン等で全体を持ち上げて分解しなくても、例えばユーザーの倉庫や作業現場等においても、蓋部9bを取り外して走行ミッションケース9の内部のメンテナンスや修理を行うことができる。このため、メンテナンスや修理に要する手間を著しく軽減できる。
【0080】
(4).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば走行ミッションケースや中間部材の具体的な形状は必要に応じて任意に変更できる。中間部材を複数で構成することも可能である。この場合は、複数の中間部材を本体部の開口面の広がり方向に分離して配置することも可能であるし、本体部の深さ方向に分けて配置することも可能である(従って、軸を複数の中間部材で支持することも可能である。)。
【0081】
無段変速機を設ける場合、HSTに限らないのであり、ベルト式のCVTなどを設けることも可能である。また、田植機等の苗移植機に適用する場合、株間調節装置を走行ミッションケースに内蔵することも可能である。また、本願発明は田植機以外の他の作業機にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本願発明は田植機等の乗用型農作業機に具体化して有用性を発揮する。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0083】
1 走行機体
4 苗植装置
8 エンジン
9 走行ミッションケース
9a 本体部
9b 蓋部
24 無段変速機の一例としてのHST
10 フロントアクスル装置
11 連結フレーム
12 リアアクスルケース
26 HSTの入力軸
40 HSTの出力軸
41 第1駆動軸
44 第2駆動軸
45 遊星ギア機構(HMT)を構成する内歯ギア
48 走行クラッチ
53,54,74,83 中間回転軸
59 ブレーキ(駐車ブレーキ)
63,64 車輪駆動軸
65 デフケース
66 デフ装置
72 ブレーキペダル
87 中間部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行ミッションケースとその内部に配置された軸群及びギア群を有しており、
前記走行ミッションケースは、深さが深い本体部とこれを覆う浅い蓋部とを有しており、前記軸群は前記本体部及び蓋部の開口面と交叉した姿勢に配置されている、
という構成であって、
前記走行ミッションケースの本体部に、前記軸群のうち少なくとも一部に対する軸受として機能する中間部材を固定している、
乗用型作業機の走行変速装置。
【請求項2】
更に、エンジンからの動力が伝達されるHSTと、前記HSTと組み合わさってHMTを構成する遊星ギア機構とを有しており、
前記HSTは、前記走行ミッションケースにおける本体部のうち前記蓋部と反対側に位置した底部の外面に取り付けられており、前記遊星ギア機構を、前記走行ミッションケースにおける本体部の底部と前記中間部材との間に配置している、
請求項1に記載した乗用型作業機の走行変速装置。
【請求項3】
前記走行ミッションケースの本体部と蓋部とにはそれぞれ車輪駆動用のアクスル装置が取り付けられており、前記走行ミッションケースには、一方のアクスル装置に動力伝達する一方の車輪駆動軸と他方のアクスル装置に動力伝達する他方の車輪駆動軸とが同心に配置されており、かつ、両車輪駆動軸を差動させるためのデフ装置を前記本体部と中間部材との間に配置している、
請求項1又は2に記載した乗用型作業機の走行変速装置。
【請求項4】
前記走行ミッションケースにおける本体部の内周と前記中間部材の外周との間にオイルが自在に流通し得る空間を空けている、
請求項1〜3のうちのいずれかに記載した乗用型作業機の走行変速装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−51531(P2012−51531A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197645(P2010−197645)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】