説明

位置標定システム及び車載装置

【課題】移動体の位置精度を改良し、将来の高精度化への課題を解決する。
【解決手段】移動体から発射された電波を反射するレーンマーカ13と、レーンマーカ13が設置された位置を示す位置情報を送信するビーコン11、12と、移動体に搭載される車載装置14とを備え、車載装置14は、レーンマーカ13に対する移動体の位置を検出する位置検出手段と、ビーコン11、12から送信されたレーンマーカ13の位置情報を取得する位置情報取得手段と、レーンマーカ13に対する移動体の位置及びレーンマーカ13の位置情報に基づいて算出した移動体の位置により移動体の位置を標定する位置標定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体、特に自動車の現在位置を高精度に検出するための位置標定システム及び車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
およそ20年前カーナビゲーション装置の経路誘導サービスを実現する位置標定技術が実用化された。以来、カーナビゲーション装置の普及は進み、現在では累計1700万台、4台に1台装着されているほど普及した。カーナビゲーション装置における位置標定システムは、GPS(global positioning system)測位、ディファレンシャル補正、慣性航法(方位センサ+車速センサ)、地図、及びマップマッチングの技術で成り立っている。
【0003】
図10は、カーナビゲーション装置における位置標定システムの概要を示す。図10において、位置標定システムは、インフラストラクチャー(infrastructure)として、GPS衛星121、基準局122、GPS補正サイト(インターネット等)123があり、車載装置124としては、GPS測位装置125、方位センサと車速センサによる慣性航法測位装置126等で構成される。
【0004】
次に、従来の位置標定システムについて、インフラストラクチャー側から説明する。GPS衛星121は24機以上が、地球上空約2万kmの軌道を周回しており、原子時計の時刻と衛星の位置等を送信している。このGPS衛星121からの信号を基準局122である電子基準点でも受信しており、電子基準点で計算された位置と電子基準点との位置の差を補正信号としてGPS補正サイト123へ送信している。GPS補正サイト123は車両よりもたらされたGPS測位による位置情報を基に車両に最寄の基準点3箇所の補正データからその車両の補正データを算出し、車両へ返信する。車両はこの補正データを基に補正を行なっている。これを、ディファレンシャル補正の中でもVirtual Reference Station(VRS)補正と言う。
【0005】
次に、車載装置124側を説明する。車両には、GPS測位方式による測位装置125と慣性航法による測位装置126と2種類の測位装置が装着されている。GPS測位装置125は、4機以上のGPS衛星121からの信号から車両の位置を算出する。この算出された絶対位置情報(例えば、北緯35°、東経135°)の精度を向上させるため、上述したディファレンシャル補正のうちの簡易版(国内8箇所に基準局122を設置し、その補正データをFM多重放送)で絶対位置の補正を行なっている。
【0006】
慣性航法による測位装置126は、車両の走行方向を検出する方位センサと走行距離を検出する車速センサで構成される。そのため、前回測定した車両の位置を基点に方位センサにより方向、車速センサにより距離を算出し、今回の車両の位置を算出している。この慣性航法の動作原理から、車両の位置誤差が走行距離、走行時間に比例して累積(例えば、1km走行するたびに、10mを超える位置誤差を生じる場合がある)していくため、GPS測位による絶対位置情報により時々累積誤差をリセットする補正を行なっている。
【0007】
しかしながら、市街地等においては、4機以上のGPS衛星121を捕捉するのは困難であり、GPS測位による絶対位置情報が得られるまで、長い時間、慣性航法だけで測位するため、車両の位置誤差は数10mになっている場合が多い。また、マップマッチングは、地図上の道路をベースにして走行路を特定する手法であり、高精度化する手法ではない。そのため、現状のカーナビゲーション装置に使用されている位置標定装置は、走行路の特定はできるが、走行車線の特定はできないレベルである。
【0008】
また、別の技術として、道路上にレーンマーカを埋設して車両の走行位置を高精度で検知するシステムも提案されているが、レーンマーカに対する車両の相対位置は検出できても、絶対位置を検出することはできなかった(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
以上のように、従来の位置標定システムでは、数10mの絶対位置精度、経路誘導サービスを実現する程度の位置標定が可能である。
【非特許文献1】半田 悟、他2名、“レーンマーカシステム”、Matsushita Technical Journal Vol.47 No.5 Oct. (2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の位置標定システムにあっては、カーナビゲーション装置の経路誘導サービスを実現させる精度は達成できているが、将来想定されている運転支援サービスに使われる走行レーン検出のような精度を達成するレベルには程遠いという事情がある。この原因は、慣性航法による累積誤差を補正するのがGPSによる絶対位置補正のみであり、市街地等においては、GPS衛星を充分に捕捉できないからである。
【0011】
本発明は、移動体の絶対位置精度を現状の数10mレベルから例えば数10cm〜数mレベルへ改良し、将来の高精度化への課題を解決することができる位置標定システム及び車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の位置標定システムは、移動体の位置を標定するための位置標定システムであって、前記移動体から発射された電波を反射するレーンマーカと、前記レーンマーカが設置された位置を示す位置情報を送信する路側機と、前記移動体に搭載される車載装置とを備え、前記車載装置は、前記レーンマーカに対する前記移動体の位置を検出する位置検出手段と、前記路側機から送信された前記レーンマーカの位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記レーンマーカに対する前記移動体の位置及び前記レーンマーカの位置情報に基づいて算出した前記移動体の位置により前記移動体の位置を標定する位置標定手段とを備える。
【0013】
本発明の車載装置は、移動体に搭載され、前記移動体から発射された電波を反射するレーンマーカと、前記レーンマーカが設置された位置を示す位置情報を送信する路側機とからの信号に基づいて前記移動体の位置を標定する車載装置であって、前記レーンマーカに対する前記移動体の位置を検出する位置検出手段と、前記路側機から送信された前記レーンマーカの位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記レーンマーカに対する前記移動体の位置及び前記レーンマーカの位置情報に基づいて算出した前記移動体の位置により前記移動体の位置を標定する位置標定手段とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レーンマーカに対する移動体の位置及びレーンマーカの位置情報に基づいて算出した移動体の位置により移動体の位置を標定することにより、GPS衛星を十分捕捉できない市街地等においても、例えば数10cm〜数mの高精度の位置標定が可能になり、運転支援システム等のサービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本実施形態の位置標定システムの構成を示すものである。図1において、GPS衛星、GPS補正信号、慣性航法は、従来技術として示した図10と同一であるため、説明を省略する。本発明の実施形態のために新たに加わる構成物は、路側機として準マイクロ波でレーンマーカ13の位置情報を通信する電波ビーコン11、または、赤外線によりレーンマーカ13の位置情報を通信する光ビーコン12があり、道路中に埋設するものとして、中長波または超音波の電波式により、例えば送信波の2倍の周波数で電波を反射するレーンマーカ13がある。また、車載装置14としては、電波ビーコン11または光ビーコン12等の路側機からレーンマーカ13の位置情報を得る機能、レーンマーカ13からの位置を算出する機能等がある。
【0016】
図2は、道路の周辺に設置される電波ビーコン11及び光ビーコン12、道路中に埋設される電波式のレーンマーカ13の概略図である。電波ビーコン11は既に高速道路を中心に約3,000箇所に設置されており、直径約70mの略円形のサービスエリアに対して、準マイクロ波で渋滞情報や電波ビーコンの位置情報を送信している。光ビーコン12は既に一般道を中心に約42,000基(ガントリー15で車線毎に設置されるため、地点としては約26,000箇所)に設置されており、直径約3.5mの略円形のサービスエリアに対して、赤外線で渋滞情報や光ビーコンの位置情報を送信している。
【0017】
図3は、車載装置14と電波式のレーンマーカ13の概略構成図を示す。車載装置14は、レーンマーカ13に発射する220kHzの電波を生成する送信部35と、送信部35で生成した220kHzの電波をレーンマーカ13に向けて発射する送信アンテナ34と、レーンマーカ13から反射される440kHzの電波を受信する受信アンテナ3本で構成される検出器31と、検出器31で受信した440kHzの受信波を増幅する受信部32と、レーンマーカ13の位置を検出する位置検出部36とを有する。
【0018】
一方、レーンマーカ13は、パッシブ逓倍反射方式電波レーンマーカであり、車載装置14の送信アンテナ34から発射される220kHzの電波を受信する受信アンテナ部5と、受信アンテナ部5で受信した220kHzの信号を440kHzの信号に変換する周波数変換部37と、変換した440kHzの信号を車載装置14に送信する送信アンテナ部8と、ケース9とを有する。
【0019】
レーンマーカ13と車載装置14からなるシステムの特徴としては、レーンマーカ13は電池不要であり、位相識別により情報を付与することが可能で、アンテナの設置可能高さが車両下面より20〜50cmと大部分の車両またはバンパーに設置でき、車両が停止・微速でも正常に動作することが挙げられる。また、車載装置14の検出器は微弱無線規格内の電波出力で動作するため、車両側での電波使用申請は不要で低消費電力である。
【0020】
さらに、レーンマーカ13からの反射波を2つ以上のアンテナ入力の比で位置演算するために、車両側はレーンマーカ13からの距離を正確に算出できる。これらの特徴を有することにより、高精度の横位置検出精度を実現することが可能である。
【0021】
図4は、本実施形態の車載装置14の概略構成を示すブロック図である。車載装置14は、GPS衛星65からGPS信号を受信してGPS測位を行なうGPS測位部61と、方位センサと車速センサにより車両の現在位置を測位する慣性航法測位部62と、電波ビーコン11または光ビーコン12からレーンマーカ13の位置情報を取得するレーンマーカ位置取得部63と、慣性航法測位部62により測位した車両の現在位置を、GPS測位部61による測位結果、または車両とレーンマーカ13との相対位置に基づく測位結果に従って補正し、車両の現在位置を標定する車両位置標定部64とを有する。
【0022】
更に、車載装置14は、送信アンテナ34と、検出器31を構成する受信アンテナ43〜45と、送信部35を構成する送信アンプ51及び発振回路56と、受信部32を構成する受信アンプ52〜54及び検波回路57〜59と、位置検出部36を構成する位相差検出部55及び車両とレーンマーカ13との相対位置を算出する相対位置算出部60とを有する。
【0023】
図4において、発振回路56は220kHzの周波数の信号を発振し、その出力をレーンマーカ13に対して送信するため送信アンプ51に出力する。送信アンテナ34は略環状または略矩形状のループアンテナである。受信アンテナ43〜45は、レーンマーカ13からの440kHzの周波数の送信波を受信するためのアンテナである。受信アンプ52〜54は、受信信号を各々増幅するための増幅器である。検波回路57〜59は、受信アンプ52〜54により増幅された増幅信号を検波して相対位置算出部60に出力する。図4において、受信回路は3系統設けられ、車両のバンパーの左と中央と右とに配置される。位相差検出器55は、送信電波と受信電波との間の位相差を検出する。
【0024】
次に、車載装置14の動作について説明する。送信アンテナ34は、220kHzの周波数の電波を連続波としてレーンマーカ13に対して送信する。受信アンテナ43〜45は、車両のバンパーの両側と中央とに配置されていて、レーンマーカ13からの440kHzの周波数に対してチューニングされており、車両がレーンマーカ13の近傍を通過すると、レーンマーカ13から反射された440kHzの周波数の電波を受信増幅する。検波回路57〜59により検出した信号は相対位置算出部60に出力される。また、位相差検出器55は、送信電波と受信電波との位相比較を行い、その結果を相対位置算出部60に出力する。相対位置算出部60は、3系統の受信アンテナ43〜45が受信する電波の電界強度を比較して、レーンマーカ13に対する車両の相対位置を算出する。
【0025】
図5は、電波式レーンマーカ13の構造を示す。図5において、5はフェライトとコイルの受信アンテナ、6は周波数逓倍回路、7は位相器、8は基板上の銅パターンで形成された送信アンテナ、9はケース、4は蓋、33は位相表示(この例では30°)である。
【0026】
図6は、電波式レーンマーカ13の回路図を示す。図6(a)において、5はフェライトとコイルの受信アンテナ、6はダイオードブリッジによる周波数逓倍回路、7はコンデンサと抵抗で構成される位相器、8は回路図に表した送信アンテナである。また、図6(b)は、電波式レーンマーカ13の機能を表わすブロック図で、周波数変換部37をダイオードブリッジで構成する場合は、受信アンテナ5で受信した信号の周波数を2逓倍して、送信アンテナ8から出力する。なお、図6(a)中のE,F,G点における信号波形は後述する。
【0027】
図7は、図6に示した電波式レーンマーカ13の構成要素と各部の波形を対応させて示す図である。図7(b)の波形の横軸は時間を縦軸は振幅を示している。同図に示すように、受信アンテナ5により受信した220kHzの受信電波(E)の周波数は、ダイオードブリッジで構成される周波数逓倍回路6において2逓倍され、440kHzの周波数の信号(F)に変換される。次いで所定量(図7(b)では15°)の位相差が、コンデンサと抵抗で構成される位相器7において与えられ、送信アンテナ8から反射送信電波(G)として送信される。この位相差は回路定数を変更すれば任意の値に変更することができる。
【0028】
次に、レーンマーカ13の動作を説明する。レーンマーカ13は受信する220kHzの周波数の電波とは異なる440kHzの周波数で、位相器7で与えられた位相差を有する電波を送信する。受信電波と送信電波の周波数が異なることにより、送信源(例えば車載装置14)からレーンマーカ13へ220kHzの周波数の電波を送信していても、レーンマーカ13はその周波数とは異なる440kHzの周波数の電波を送信するため、干渉がなく、車載装置14はレーンマーカ13の相対位置を正確に算出することができる。
【0029】
図8は、電波式レーンマーカ13の埋設位置と付与する位相の例を示す。図8に示すように、レーンマーカ13の埋設は車線方向に対して直交する方向に1直線上に埋設する。電波式レーンマーカ13は到達距離が2m程度であるため、白線近傍と車線中央に埋設すると、(車線幅は4m以下のため)走行するすべての車両に電波を反射できる。
【0030】
図8は片側3車線の道路に対し、上り、下り各々の車線中央、及び白線近傍等多数の位相を付与した例を示す。この例では、それぞれのレーンマーカ13の位相差は、上下3車線であるので360°/15=24°としている。
【0031】
また、これらのレーンマーカ13に対応して路側機を設置し、レーンマーカ13の位置情報を通信する必要がある。電波ビーコン11は1地点に1台、光ビーコン12は各レーンマーカ13に対応して、または、近くに設置された2台のレーンマーカ13に対応して設置される。レーンマーカ13の位置情報は、1地点に対し、レーンマーカ13に対応する位相と位置情報を通信すればよく、同一の通信内容となる。
【0032】
次に、図9を参照して上記構成の位置標定システムの動作について説明する。図9(a)は、車両10を横から見たときのアンテナの装着位置を示す図で、車両10のバンパー41に装着された送信アンテナから220kHzの中長波の電波が常時送信されている。レーンマーカ13から2m程度の位置に車両10が近づくと車両10のバンパー41の3本の受信アンテナには440kHzのレーンマーカ13からの反射波が到達してくる。この反射波はレーンマーカ13が最も近づいたときに最大となる。
【0033】
つまり、図9(b)に示すように、レーンマーカ13を結ぶ線が車両10のバンパー41が越えた時、最大となる。この時の3本の受信アンテナに到来する440kHzの電波の信号レベル比から、最寄のレーンマーカ13からの距離(車両10の左または右の方向情報、及び距離)が高精度で算出可能である。なお、この距離は、少なくとも2本のアンテナと車載装置により三角測量により求めることができ、1本のアンテナはキャリブレーションに利用することができる。
【0034】
また、最寄のレーンマーカ13からの位相情報(図9(b)では72゜)も検出する。レーンマーカ13の近傍には、電波ビーコン11または光ビーコン12が設置され、レーンマーカ13の位相及び位置情報が通信されているので、車載装置14は最寄2個のレーンマーカ13の位置情報からこの2個のレーンマーカ13を越えた時点の車両10の位置を正確に算出できる。
【0035】
例えば、図9(b)において、位相72°のレーンマーカ13の位置情報(緯度、経度)を(A1,B1)、位相48°のレーンマーカ13の位置情報を(A2,B2)、レーンマーカ13間の距離をD、車線中央と受信アンテナ(中央)44の距離をdとすると、三角測量により、車両10の位置(緯度、経度)は、重心位置の((A1+A2)d/D,(B1+B2)d/D)として求めることができる。
【0036】
上述した車両10の位置情報に基づいて、車両位置標定部64は、慣性航法測位部62(方位センサ+車速センサ)が算出していた位置情報を補正する。この補正は、十分なGPS衛星が捕捉できないエリア(例えば、高層ビル街、トンネル、地下街等)で効果を発揮するため、電波ビーコン11、光ビーコン12、レーンマーカ13等のインフラストラクチャーを設置するのは、これらのエリアだけでよい。また、このインフラストラクチャーの設置間隔は、慣性航法による位置誤差が高精度位置標定に問題のある誤差に達するまでにすればよく、例えば、1kmごとに図8に示すように埋設を行なう。
【0037】
本実施の形態における位置精度の向上は、車両10の横方向だけでなく、縦方向にも達成されるため、レーンマーカ13の埋設地点を例えば、横断歩道の車道側の停止線、または停止線の手前数100mの地点にすることも考えられる。
【0038】
慣性航法による位置情報の補正は、レーンマーカ13等の相対位置標定による補正だけでなく、GPS等の絶対位置標定による補正でも構わなく、信頼性レベルの高い位置標定を選択できる。また、その組み合わせで補正しても本実施の形態と同一趣旨である。
【0039】
また、本実施の形態では電波式レーンマーカ13を用いたが、電波式レーンマーカ13を磁気式レーンマーカに変えても同様に実現できるが、磁気式レーンマーカは電波式レーンマーカの位相に相当するところが磁気のプラスとマイナスの2値の極性しかなく、サービスエリアが70mもある電波式レーンマーカの組み合わせは困難である。
【0040】
また、本実施の形態における構成は、カーナビゲーション装置を基本にしているため、カーナビゲーション装置と一体とすることがコスト的には有利である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の位置標定システム及び車載装置は、レーンマーカに対する移動体の位置及びレーンマーカの位置情報に基づいて算出した移動体の位置により移動体の位置を標定することにより、GPS衛星を十分捕捉できない市街地等においても、例えば数10cm〜数mの高精度の位置標定が可能になり、運転支援システム等のサービスを提供することができるという効果を有し、移動体、特に自動車の現在位置を高精度に検出するための位置標定システム及び車載装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態における位置標定システムの概略構成図
【図2】本発明の実施の形態における位置標定システムの説明図
【図3】本発明の実施の形態における車載装置と電波式レーンマーカの構成図
【図4】本発明の実施の形態における車載装置の概略ブロック図
【図5】本発明の実施の形態にかかる電波式レーンマーカの構造図
【図6】本発明の実施の形態にかかる電波式レーンマーカの回路図
【図7】本発明の実施の形態にかかる電波式レーンマーカの受信電波と反射送信する電波の位相の説明図
【図8】本発明の実施の形態にかかる電波式レーンマーカの埋設と付与する位相の例を示す図
【図9】(a)は本発明の実施の形態にかかるアンテナの車両への装着位置を示す図、(b)は本発明の実施の形態にかかる車両とレーンマーカとの位置算出例を示す図
【図10】従来の位置標定システムの概略構成図
【符号の説明】
【0043】
4 蓋
5 受信アンテナ部
6 周波数低倍回路
7 位相器
8 送信アンテナ部
9 ケース
10 車両
11 電波ビーコン
12 光ビーコン
13 レーンマーカ
14,124 車載装置
31 検出器
32 受信部
33 位相表示
34 送信アンテナ
35 送信部
36 位置検出部
37 周波数変換部
41 バンパー
43 受信アンテナ(右)
44 受信アンテナ(中央)
45 受信アンテナ(左)
51 送信アンプ
52,53,54 受信アンプ
55 位相差検出器
56 発振回路
57,58,59 検波回路
60 相対位置算出部
61 GPS測位部
62 慣性航法測位部
63 レーンマーカ位置情報取得部
64 車両位置標定部
65,121 GPS衛星
101,102 白線
122 基準局
123 GPS補正サイト
125 GPS測位装置
126 慣性航法測位装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置を標定するための位置標定システムであって、
前記移動体から発射された電波を反射するレーンマーカと、
前記レーンマーカが設置された位置を示す位置情報を送信する路側機と、
前記移動体に搭載される車載装置とを備え、
前記車載装置は、前記レーンマーカに対する前記移動体の位置を検出する位置検出手段と、前記路側機から送信された前記レーンマーカの位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記レーンマーカに対する前記移動体の位置及び前記レーンマーカの位置情報に基づいて算出した前記移動体の位置により前記移動体の位置を標定する位置標定手段とを備える位置標定システム。
【請求項2】
前記レーンマーカは、前記移動体から発射された電波の周波数と異なる周波数の電波を反射する請求項1記載の位置標定システム。
【請求項3】
前記レーンマーカは、前記移動体からの電波到達範囲内の異なる地点に、少なくとも2つ設置される請求項1記載の位置標定システム。
【請求項4】
前記レーンマーカは、車線の中央及び車線分離線の近傍に、前記車線とほぼ直交する方向に複数個設置される請求項3記載の位置標定システム。
【請求項5】
前記位置検出手段は、前記レーンマーカからの電波到達範囲内の異なる位置に、少なくとも2つの受信アンテナを備える請求項1記載の位置標定システム。
【請求項6】
前記路側機は、各レーンマーカの位置情報を送信する電波ビーコンである請求項3記載の位置標定システム。
【請求項7】
前記路側機は、各レーンマーカの位置情報を送信する光ビーコンである請求項3記載の位置標定システム。
【請求項8】
各レーンマーカは、前記移動体から発射された電波を互いに異なる位相差で反射する請求項3記載の位置標定システム。
【請求項9】
前記位置検出手段は、前記レーンマーカから反射された電波の位相差に基づいてレーンマーカを識別する請求項8記載の位置標定システム。
【請求項10】
前記位置標定手段は、前記レーンマーカの識別により前記移動体が走行する車線を特定する請求項9記載の位置標定システム。
【請求項11】
前記車載装置は、前記車載装置に搭載された方位センサ及び車速センサを用いた慣性航法により前記移動体の位置を算出する手段と、慣性航法により算出した前記移動体の位置を前記位置標定手段により標定した前記移動体の位置で補正する手段とを備える請求項1から10の何れか一項記載の位置標定システム。
【請求項12】
移動体に搭載され、前記移動体から発射された電波を反射するレーンマーカと、前記レーンマーカが設置された位置を示す位置情報を送信する路側機とからの信号に基づいて前記移動体の位置を標定する車載装置であって、
前記レーンマーカに対する前記移動体の位置を検出する位置検出手段と、
前記路側機から送信された前記レーンマーカの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記レーンマーカに対する前記移動体の位置及び前記レーンマーカの位置情報に基づいて算出した前記移動体の位置により前記移動体の位置を標定する位置標定手段とを備える車載装置。
【請求項13】
前記車載装置に搭載された方位センサ及び車速センサを用いた慣性航法により算出した前記移動体の位置を前記位置標定手段により標定した前記移動体の位置で補正する補正手段を備える請求項12に記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−275904(P2006−275904A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98016(P2005−98016)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(591115475)株式会社三菱総合研究所 (12)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(591056927)財団法人日本自動車研究所 (26)
【Fターム(参考)】