説明

低圧EGRシステム制御装置および方法

【課題】インタークーラおよび低圧EGRクーラの凝縮水発生が最小化される低圧EGRシステム制御装置および方法を提供する。
【解決手段】低圧EGRクーラおよびインタークーラの凝縮水発生に関連する直接因子および間接因子の情報を検出する運転情報検出部10、前記運転情報検出部10で検出される凝縮水発生に関連する間接因子を設定されたマップに適用して低圧EGR制御デューティを決定し、凝縮水発生に関連する直接因子の条件に応じて低圧EGRバルブのデューティを制御し、インタークーラおよび低圧EGRクーラで凝縮水が発生しないように抑制させる制御部20、および、前記制御部20から印加されるデューティ制御信号に応じて低圧EGR量を調節させる低圧EGRバルブ30、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低圧EGR(Exhaust Gas Recirculation)システム制御装置および方法に係り、より詳しくは、直接因子を基準とするEGR量の制御の代わりに、直接因子に影響を与える多様な制御変数の最適化マッピングによるEGR量の制御によって凝縮水発生の最小化が可能な低圧EGRシステム制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関には、排気ガスの一部を再び吸気系に再循環させて燃焼時の最高温度を低めることにより、Noxの発生を抑制して燃費向上を計るEGRシステムが装着されている。
図1は、内燃機関に装着されているEGRシステムの構成を示す図である。
図1に示す通り、EGRシステムは、エンジン100の排気マニホルダに連結しているターボチャージャ102前端の排出ガスを吸気系に再循環させる高圧EGRシステム110と、触媒103後端の排出ガスをコンプレッサの前端に再循環させる低圧EGRシステム120とから構成される。
【0003】
高圧EGRシステム110は、エンジン100の運転条件に応じてデューティ制御されターボチャージャ102前端の排出ガスの再循環量を調節する第1EGRバルブ111と、第1EGRバルブ111を介して再循環する排出ガスを冷却させて吸気マニホルダに流入させる第1EGRクーラ112とを含む。外気(fresh air)は吸気口101を介して流入し、ターボチャージャ102を経た後にインタークーラ104で冷却され、エンジン100に供給される。
また、低圧EGRシステム120は、エンジン100の運転条件に応じてデューティ制御されて触媒103後端の排出ガスの再循環量を調節する第2EGRバルブ121と、第1EGRバルブ121を介して再循環する排出ガスを冷却させる第2EGRクーラ122と、フィルタ123とを含む。
【0004】
第2EGRバルブ121は3方向バルブで構成され、低圧EGR量と排圧の量を調節する。
低圧EGRシステム120は、ターボチャージャ102後端の排出ガスを再循環させることにより、高速・高負荷の運転条件でもターボの効率を弱化させずに多量の排出ガスを供給することができ、NOx低減および燃費低減の効果を有する。
しかし、低圧EGRシステムは、再循環する排出ガスがEGRクーラおよびインタークーラを通過して熱交換する過程において凝縮水を発生させる。
凝縮水の発生量は次のように決定される。
凝縮水発生量=排出ガスに含まれている水蒸気量(g)−下降した温度における飽和水蒸気量(g/m)×排出ガス流量(m
すなわち、低圧EGRガスに含まれている水蒸気量と熱交換器の水分量が支配的な因子に作用して凝縮水を発生させる。
【0005】
図2は、低圧EGRシステムの一実施形態であって、インタークーラの凝縮水発生の関連因子と問題点を示す図である。
図2に示す通り、低圧EGRシステムにおいて、インタークーラの凝縮水発生に間接的に作用する因子としては、冷却水温度、インタークーラ効率、負荷、燃料量、外気温度、車速、大気圧、ブースト圧、相対湿度、低圧EGRと高圧のEGR比率などが含まれる。
また、インタークーラの凝縮水発生に直接的に作用する因子としては、上述した間接的な因子の影響を受けるインタークーラの後端温度、インタークーラの通過流量、作動流体内部の水蒸気量などが含まれる。
【0006】
したがって、上述したような間接的な因子と直接的な因子によってインタークーラに凝縮水が発生するが、インタークーラで発生する凝縮水はインタークーラを腐食させ、インタークーラの氷結詰りを招き、燃焼室部品の損傷および排出ガスを悪化させるという問題を生じさせる。
図3は、低圧EGRシステムの他の一実施形態であって、低圧EGRクーラの凝縮水発生の関連因子と問題点を示す図である。
図3に示すように、低圧EGRシステムにおいて、低圧EGRクーラの凝縮水発生に間接的に作用する因子としては、冷却水温度、低圧EGRクーラ効率、車圧、負荷、燃料量、外気温度、車速、大気圧、ブースト圧、相対湿度、低圧EGRと高圧のEGR比率などが含まれる。
【0007】
また、低圧EGRクーラの凝縮水発生に直接的に作用する因子としては、上述した間接的な因子の影響を受ける低圧EGRクーラの後端温度、低圧EGRクーラの通過流量、作動流体内部の水蒸気量などが含まれる。
したがって、上述したような間接的な因子と直接的な因子によって低圧EGRクーラに凝縮水が発生し、ターボコンプレッサホイールの損傷、低圧EGRバルブの腐蝕、低圧EGRクーラの腐蝕、フィルタ詰りなどが発生するという問題点がある。
【0008】
特許文献1には、インタークーラで発生する凝縮水をリザーバタンクに貯蔵し、凝縮水が一定量に到達すれば電子式バルブを動作させて凝縮水を自動排出させる技術が記載されている。
また、特許文献2には、低圧EGRクーラ部に凝縮水を排出するための別の排気通路をさらに構成し、発生する凝縮水が排気管を経て排出されるようにする技術が記載されている。
しかし、このような従来の技術はシステムの追加構成が必要となり、全体システムの価格を上昇させるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許登録US6,301,887
【特許文献2】特開2008−002351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、インタークーラおよび低圧EGRクーラの後端温度に影響を与える間接因子である多様な制御変数の組み合わせとインタークーラおよび低圧EGRクーラの後端温度、およびインタークーラおよび低圧EGRクーラの通過流量に応じて低圧EGR量を制御することにより、インタークーラおよび低圧EGRクーラの凝縮水発生が最小化されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明の一実施形態によれば、低圧EGRクーラおよびインタークーラの凝縮水発生に関連する直接因子および間接因子の情報を検出する運転情報検出部、前記運転情報検出部で検出される凝縮水発生に関連する間接因子を設定されたマップに適用して低圧EGR制御デューティを決定し、凝縮水発生に関連する直接因子の条件に応じて低圧EGRバルブのデューティを制御し、インタークーラおよび低圧EGRクーラで凝縮水が発生しないように抑制させる制御部、および、前記制御部から印加されるデューティ制御信号に応じて低圧EGR量を調節させる低圧EGRバルブ、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記運転情報検出部は、エンジン回転数、冷却水温、大気圧、外気温度、車速、ブースト圧、燃料量、低圧EGRクーラの差圧、相対湿度、高圧EGRと低圧EGRの比率を凝縮水発生の間接因子として検出することを特徴とする。
【0013】
前記運転情報検出部は、低圧EGRクーラの後端温度、低圧EGRクーラの通過流量、作動流体内部の水蒸気量、インタークーラの後端温度、インタークーラの通過流量を凝縮水発生の直接因子として検出することを特徴とする。
【0014】
前記制御部は、インタークーラの後端温度が設定された第1基準温度未満であり、ブースト圧が第1基準圧未満であれば、インタークーラの凝縮水発生条件であると判定し、低圧EGRバルブを閉鎖して低圧EGR量を「0%」に制御することを特徴とする。
【0015】
前記制御部は、低圧EGRクーラの後端温度が設定された第1基準温度未満であり、低圧EGRクーラの差圧が第2基準圧を超過し、ブースト圧が第3基準圧未満であれば、低圧EGRクーラの凝縮水発生条件であると判定し、低圧EGRバルブを閉鎖して低圧EGR量の「0%」に制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、エンジン回転数と燃料量に応じて高圧EGR量と低圧EGR量の合計によって決定される総EGR目標流量を決定する過程、冷却水温と大気圧、外気温度、車速による補正量を適用して最終EGR量を決定する過程、高圧EGR量と低圧EGR量の比率を決定して低圧EGRバルブを制御する過程、インタークーラの凝縮水発生に関連する直接因子の情報を検出し、凝縮水発生条件を満たしているかを判断する過程、および、インタークーラの凝縮水発生条件を満たしていれば、低圧EGRバルブを閉鎖して低圧EGR量を「0%」に制御する過程、を含むことを特徴とする。
【0017】
前記インタークーラの凝縮水発生に関連する直接因子は、インタークーラの後端温度とブースト圧を含むことを特徴とする。
【0018】
前記インタークーラの凝縮水発生条件は、インタークーラの後端温度が第1基準温度未満であり、ブースト圧が第1基準圧未満である条件をすべて満たすものとして設定されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、エンジン回転数と燃料量に応じて高圧EGR量と低圧EGR量の合計によって決定される総EGR目標流量を決定する過程、冷却水温と大気圧、外気温度、車速による補正量を適用して最終EGR量を決定する過程、高圧EGR量と低圧EGR量の比率を決定して低圧EGRバルブを制御する過程、低圧EGRクーラの凝縮水発生に関連する直接因子の情報を検出し、凝縮水発生条件を満たしているかを判断する過程、および、低圧EGRクーラの凝縮水発生条件を満たしていれば、低圧EGRバルブを閉鎖して低圧EGR量を「0%」に制御する過程、を含むことを特徴とする。
【0020】
前記低圧EGRクーラの凝縮水発生に関連する直接因子は、低圧EGRクーラの後端温度、低圧EGRクーラの差圧、ブースト圧を含むことを特徴とする。
【0021】
前記低圧EGRクーラの凝縮水発生条件は、低圧EGRクーラの後端温度が第1基準温度未満であり、低圧EGRクーラの差圧が第2基準圧を超過し、ブースト圧が第3基準圧未満である条件をすべて満たすものとして設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、直接因子に影響を与える多様な制御変数の最適化マッピングによるEGR量の制御によって凝縮水発生が最小化することにより、インタークーラ、ターボチャージャ、低圧EGRクーラ、低圧EGRバルブ、燃焼室などを含むエンジン部品の耐久性、信頼性および安定性を向上させることができる。
また、低圧EGRバルブを最適に制御することにより、燃費の向上とNOx低減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】内燃機関に適用されるEGRシステムの構成を示す図である。
【図2】低圧EGRシステムの一実施形態であって、インタークーラの凝縮水発生の関連因子と問題点を示す図である。
【図3】低圧EGRシステムの他の一実施形態であって、低圧EGRクーラの凝縮水発生の関連因子と問題点を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る低圧EGRシステム制御装置を概略的に示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る低圧EGRシステムの制御手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る低圧EGRシステムの制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る低圧EGRシステム制御装置を概略的に示す図である。
図4に示す通り、本発明に係る低圧EGRシステムは、運転情報検出部10、制御部20、および低圧EGRバルブ30を含む。
運転情報検出部10は、車両の運行に応じて低圧EGRシステムの凝縮水発生に関連する直接因子および間接因子に対する各種情報を検出し、制御部20に提供する。
運転情報検出部10は、低圧EGRシステムで凝縮水発生に間接因子として作用するエンジン回転数、冷却水温、運行地域の大気圧、運行地域の外気温度、車速、ターボチャージャのブースト圧力、燃料量、低圧EGRクーラの差圧、相対湿度、高圧EGRと低圧EGRの比率などの情報を検出する。
【0025】
運転情報検出部10は、低圧EGRシステムで凝縮水発生に直接因子として作用する低圧EGRクーラの後端温度、低圧EGRクーラの通過流量、作動流体内部の水蒸気量、インタークーラの後端温度、インタークーラの通過流量などの情報を検出する。
制御部20は、運転情報検出部10から印加される間接因子の多様な制御変数(冷却水温、大気圧、負荷、燃料量、車速、外気温度、ブースト圧、低圧EGRと高圧EGRの比率など)に応じ、設定されたマップから最適の制御値を抽出する。
また、直接因子であるインタークーラの後端温度、インタークーラの通過流量、低圧EGRクーラの後端温度、低圧EGRクーラの通過流量を考慮し、制御変数の組み合わせから抽出した制御値に応じて低圧EGRバルブ30のデューティを制御し、インタークーラおよび低圧EGRクーラで凝縮水が発生しないようにする。
低圧EGRバルブ30は、制御部20から印加されるデューティ制御信号に応じて開閉量が調整され、低圧EGR量を調節させる。
【0026】
上記機能を含む本発明に係る低圧EGRシステムの動作は、次のように実行される。
図5は、本発明の第1実施形態に係る低圧EGRシステムの制御手順を示すフローチャートであって、インタークーラの凝縮水発生を最小化する動作である。
本発明が適用される車両の運行が開始されれば、運転情報検出部10は、低圧EGRシステムからインタークーラの凝縮水発生に関連する間接因子である諸般的な運転情報を検出して制御部20に印加する(S101)。
このとき、制御部20は、エンジン回転数と燃料量の情報を適用し、高圧EGR量と低圧EGR量の合計によって決定される総EGR目標流量を決定する(S102)。
【0027】
そして、制御部20は、設定されたマップに応じて冷却水温、大気圧、外気温度、車速による補正量を適用し(S103)、最終EGR量を決定する(S104)。
このように、運転条件による最終EGR量が決定されれば、制御部20は、高圧EGR大低圧EGR比率を決定し(S105)、最終低圧EGR量を算出する(S106)。
その後、制御部20は、デューティ制御によって低圧EGRバルブ30とスロットルバルブ(図示せず)を調節し、算出された最終低圧EGR量が追従されるようにする(S107)。
このように、低圧EGRバルブ30を調節して最終低圧EGR量を追従させる過程において、制御部20は、運転情報検出部10からインタークーラの後端温度とブースト圧を検出し(S108)、インタークーラの後端温度が凝縮水発生を判定するために設定された第1基準温度未満であるかを判断する(S109)。
【0028】
S109の判断において、制御部20は、インタークーラの後端温度が設定された第1基準温度を超過する状態であれば、インタークーラで凝縮水を発生させない条件であると判定し、S101の過程にリターンする。
しかし、S109の判断において、制御部20は、インタークーラの後端温度が設定された第1基準温度未満の状態であれば、インタークーラで凝縮水を発生させ得る条件であると判定し、ブースト圧が設定された第1基準圧未満であるかを判断する(S110)。
S110の判断において、制御部20は、ブースト圧が設定された第1基準圧を超過する状態であれば、インタークーラで凝縮水を発生させない条件であると判定し、S101の過程にリターンする。
【0029】
しかし、S110の判断において、制御部20は、ブースト圧が設定された第1基準圧を超過する状態であれば、インタークーラで凝縮水を発生させ得る条件であると判定する(S111)。
したがって、制御部20は、インタークーラで凝縮水が発生することを防ぐために、低圧EGR量を「0」に決定した後、デューティ制御によって低圧EGRバルブ30を閉鎖させてインタークーラの温度を上昇させることにより、インタークーラで凝縮水が発生しないようにする(S112)。
以上で説明したように、本発明の第1実施形態は、インタークーラの後端温度とブースト圧を適用してインタークーラでの凝縮水発生の可能性を判断し、これに応じて低圧EGR量を制御することにより、凝縮水の発生によるエンジン部品の損傷およびフィールドクレームが発生しないようにすることができる。
【0030】
図6は、本発明の第2実施形態に係る低圧EGRシステムの制御手順を示すフローチャートであって、低圧EGRクーラの凝縮水発生を最小化する動作である。
本発明が適用される車両の運行が開始されれば、運転情報検出部10は、低圧EGRシステムから低圧EGRクーラの凝縮水発生に関連する間接因子の諸般的な運転情報を検出して制御部20に印加する(S201)。
このとき、制御部20は、エンジン回転数と燃料量の情報を適用し、高圧EGR量と低圧EGR量の合計によって決定される総EGR目標流量を決定する(S202)。
そして、制御部20は、設定されたマップに応じて冷却水温、大気圧、外気温度、車速による補正量を適用し(S203)、最終EGR量を決定する(S204)。
【0031】
このように、運転条件による最終EGR量が決定されれば、制御部20は、高圧EGR大低圧EGR比率を決定した後(S205)、最終低圧EGR量を算出する(S206)。
この後、制御部20は、デューティ制御によって低圧EGRバルブ30とスロットルバルブ(図示せず)を調節し、算出された最終低圧EGR量が追従されるようにする(S207)。
このように、低圧EGRバルブ30を調節して最終低圧EGR量を追従させる過程において、制御部20は、運転情報検出部10から低圧EGRクーラの後端温度と低圧EGRクーラの差圧およびブースト圧を検出する(S208)。
【0032】
その後、制御部20は、低圧EGRクーラの後端温度が凝縮水発生を判定するために設定された第1基準温度未満であるかを判断する(S209)。
S209の判断において、制御部20は、低圧EGRクーラの後端温度が設定された第1基準温度を超過する状態であれば、低圧EGRクーラで凝縮水を発生させない条件であると判定し、S201の過程にリターンする。
しかし、S209の判断において、制御部20は、低圧EGRクーラ後端温度が設定された第1基準温度未満の状態であれば、低圧EGRクーラで凝縮水を発生させ得る条件であると判定し、低圧EGRクーラの差圧と設定された第2基準圧を比較し、低圧EGRクーラの差圧が第2基準圧を超過するかを判断する(S210)。
【0033】
S210の判断において、制御部20は、低圧EGRクーラの差圧が設定された第2基準圧未満であれば、低圧EGRクーラで凝縮水を発生させない条件であると判定し、S201の過程にリターンする。
しかし、S210の判断において、制御部20は、低圧EGRクーラの差圧が設定された第2基準圧を超過すれば、低圧EGRクーラで凝縮水を発生させ得る条件であると判定し、ブースト圧が設定された第3基準圧未満であるかを判断する(S211)。
S211の判断において、制御部20は、ブースト圧が設定された第3基準圧を超過する状態であれば、低圧EGRクーラで凝縮水を発生させない条件であると判定し、前記S201の過程にリターンする。
【0034】
しかし、S211の判断において、制御部20は、ブースト圧が設定された第3基準圧未満であれば、低圧EGRクーラで凝縮水を発生させ得る条件であると判定する(S212)。
したがって、制御部20は、低圧EGRクーラで凝縮水が発生することを防ぐために、低圧EGR量を「0」に決定した後、デューティ制御によって低圧EGRバルブ30を閉鎖させて低圧EGRクーラの流量を調節することにより、凝縮水が発生しないようにする(S213)。
以上で説明したように、本発明の第2実施形態は、低圧EGRクーラの後端温度と低圧EGRの差圧およびブースト圧を適用して低圧EGRクーラで凝縮水が発生する可能性を判断し、これに基づいて低圧EGR量を制御することにより、凝縮水の発生によるエンジン部品の損傷およびフィールドクレームが発生しないようにすることができる。
【符号の説明】
【0035】
10:運転情報検出部
20:制御部
30:低圧EGRバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧EGRクーラおよびインタークーラの凝縮水発生に関連する直接因子および間接因子の情報を検出する運転情報検出部、
前記運転情報検出部で検出される凝縮水発生に関連する間接因子を設定されたマップに適用して低圧EGR制御デューティを決定し、凝縮水発生に関連する直接因子の条件に応じて低圧EGRバルブのデューティを制御し、インタークーラおよび低圧EGRクーラで凝縮水が発生しないように抑制させる制御部、および
前記制御部から印加されるデューティ制御信号に応じて低圧EGR量を調節させる低圧EGRバルブ、
を含むことを特徴とする低圧EGRシステム制御装置。
【請求項2】
前記運転情報検出部は、エンジン回転数、冷却水温、大気圧、外気温度、車速、ブースト圧、燃料量、低圧EGRクーラの差圧、相対湿度、高圧EGRと低圧EGRの比率を凝縮水発生の間接因子として検出することを特徴とする請求項1に記載の低圧EGRシステム制御装置。
【請求項3】
前記運転情報検出部は、低圧EGRクーラの後端温度、低圧EGRクーラの通過流量、作動流体内部の水蒸気量、インタークーラの後端温度、インタークーラの通過流量を凝縮水発生の直接因子として検出することを特徴とする請求項1に記載の低圧EGRシステム制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、インタークーラの後端温度が設定された第1基準温度未満であり、ブースト圧が第1基準圧未満であれば、インタークーラの凝縮水発生条件であると判定し、低圧EGRバルブを閉鎖して低圧EGR量を「0%」に制御することを特徴とする請求項1に記載の低圧EGRシステム制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、低圧EGRクーラの後端温度が設定された第1基準温度未満であり、低圧EGRクーラの差圧が第2基準圧を超過し、ブースト圧が第3基準圧未満であれば、低圧EGRクーラの凝縮水発生条件であると判定し、低圧EGRバルブを閉鎖して低圧EGR量の「0%」に制御することを特徴とする請求項1に記載の低圧EGRシステム制御装置。
【請求項6】
エンジン回転数と燃料量に応じて高圧EGR量と低圧EGR量の合計によって決定される総EGR目標流量を決定する過程、
冷却水温と大気圧、外気温度、車速による補正量を適用して最終EGR量を決定する過程、
高圧EGR量と低圧EGR量の比率を決定して低圧EGRバルブを制御する過程、
インタークーラの凝縮水発生に関連する直接因子の情報を検出し、凝縮水発生条件を満たしているかを判断する過程、および
インタークーラの凝縮水発生条件を満たしていれば、低圧EGRバルブを閉鎖して低圧EGR量を「0%」に制御する過程、
を含むことを特徴とする低圧EGRシステム制御方法。
【請求項7】
前記インタークーラの凝縮水発生に関連する直接因子は、インタークーラの後端温度とブースト圧を含むことを特徴とする請求項6に記載の低圧EGRシステム制御方法。
【請求項8】
前記インタークーラの凝縮水発生条件は、インタークーラの後端温度が第1基準温度未満であり、ブースト圧が第1基準圧未満である条件をすべて満たすものとして設定されることを特徴とする請求項7に記載の低圧EGRシステム制御方法。
【請求項9】
エンジン回転数と燃料量に応じて高圧EGR量と低圧EGR量の合計によって決定される総EGR目標流量を決定する過程、
冷却水温と大気圧、外気温度、車速による補正量を適用して最終EGR量を決定する過程、
高圧EGR量と低圧EGR量の比率を決定して低圧EGRバルブを制御する過程、
低圧EGRクーラの凝縮水発生に関連する直接因子の情報を検出し、凝縮水発生条件を満たしているかを判断する過程、および、
低圧EGRクーラの凝縮水発生条件を満たしていれば、低圧EGRバルブを閉鎖して低圧EGR量を「0%」に制御する過程、
を含むことを特徴とする低圧EGRシステム制御方法。
【請求項10】
前記低圧EGRクーラの凝縮水発生に関連する直接因子は、低圧EGRクーラの後端温度、低圧EGRクーラの差圧、ブースト圧を含むことを特徴とする請求項9に記載の低圧EGRシステム制御方法。
【請求項11】
前記低圧EGRクーラの凝縮水発生条件は、低圧EGRクーラの後端温度が第1基準温度未満であり、低圧EGRクーラの差圧が第2基準圧を超過し、ブースト圧が第3基準圧未満である条件をすべて満たすものとして設定されることを特徴とする請求項9に記載の低圧EGRシステム制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−87779(P2012−87779A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156293(P2011−156293)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】