説明

低温焼成セラミック焼結体およびその製造方法、並びに配線基板

【課題】高強度で熱伝導率やヤング率も高く、且つ緻密であると同時に、1000℃以下の低温での焼成によって製造することができ、Cu、Ag、Au、Al等の低抵抗導体から成る配線層を表面或いは内部に備えた絶縁基板として有用な低温焼成セラミック焼結体を得る。
【解決手段】結晶相として、(a)ガーナイト結晶相および/またはスピネル結晶相、(b)アスペクト比が3以上の針状晶を含むセルシアン結晶相、及び(c)AlN、Si、SiC、Al、ZrO、3Al・2SiO及びMgSiOの群から選ばれる少なくとも1種の結晶相、を含有しており、且つ開気孔率が0.3%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子収納用パッケージ、多層配線基板等に使用される絶縁基板に最適な低温焼成セラミック焼結体およびその製造方法、ならびに配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における情報通信技術の急速な発展は、半導体素子等の高速化、大型化をもたらし、これに伴って、このような素子を備えた配線基板では、信号の伝送損失を低減するために、配線層の低抵抗化が求められている。そこで、1000℃以下での焼成によって緻密化でき、銀、銅または金等の低抵抗金属を主成分とする配線層との同時焼成が可能な低温焼成セラミックスを絶縁基板とする配線基板が提案されている。
【0003】
例えば、特開平2−141458号公報には、SiO、Al、CaO、MgOおよびBを含有するガラス粉末に対して、Al粉末とセルシアン(BaAlSi)粉末を添加したガラスセラミックスが開示されており、このようなガラスセラミックスを絶縁基板材料として使用すれば、銅を配線層として非酸化性雰囲気中で焼成する場合でも、脱バインダ性を損なうことなく炭素残量の少ない配線基板が得られることが記載されている。
【0004】
また、特開平6−305770号公報には、SiO、B、CaO、BaO、Al、アルカリ金属(Li、Na、K)酸化物、MgO、ZnO、TiOおよびZrOを含有するガラス粉末に対して、Al粉末とセルシアン粉末およびアノーサイト粉末を添加したガラスセラミックスが開示されており、このようなガラスセラミックスは、非酸化性雰囲気中でも焼成でき、このガラスセラミックスを用いることにより、絶縁基板の低誘電率化が可能となり、且つその強度を2700kg/cmまで高めることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02−141458号公報
【特許文献2】特開平06−305770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来のガラスセラミックから得られる焼結体は、アルミナ質焼結体等の従来の絶縁基板材料に比べて、機械的強度の点で未だ不満足であり、例えば2700kg/cmよりも高い強度の絶縁基板を得ることができない。また、熱伝導率が低いという欠点も有している。即ち、半導体素子の大型化や高速化は、半導体素子から発生する発熱量の増大をもたらし、この結果、熱伝導率の低いガラスセラミック焼結体を絶縁基板とする配線基板では、熱抵抗が増大したり、機械的信頼性が低下するという問題を生じる。
【0007】
更に、従来のガラスセラミック焼結体はヤング率が低く、例えば、該焼結体を絶縁基板とする半導体素子収納用パッケージでは、金属製のヒートシンクやヒートスプレッダーなどの放熱板、蓋体を用いての気密封止のために必要なリッド、シールリング等の封止用金具、あるいは、ポッティング剤やアンダーフィル剤などの封止樹脂等を、絶縁基板表面に接着すると、絶縁基板自体が変形してしまい、半導体素子(チップ)の実装(一次実装)部分に歪が発生したり、最悪の場合には、実装部の破壊やチップの破壊を引き起こす恐れ
があった。また、このような絶縁基板を備えた配線基板をプリント基板等に実装(二次実装)した場合、絶縁基板とプリント基板との熱膨張差に起因し、かつ絶縁基板のヤング率が低いことによって、絶縁基板に大きな反りが発生し、端子部にクラックや剥離が生じて電気的な接続信頼性が低下するという問題があった。
【0008】
従って、本発明は、銀、銅、金等の低抵抗金属との同時焼成が可能であり、高い強度及び高いヤング率を有する低温焼成セラミック焼結体およびその製造方法、並びにかかる焼結体を用いた配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の低温焼成セラミック焼結体は、結晶相として、(a)ガーナイト結晶相および/またはスピネル結晶相、(b)アスペクト比が3以上の針状晶を含むセルシアン結晶相、及び(c)AlN、Si、SiC、Al、ZrO、3Al・2SiO及びMgSiOの群から選ばれる少なくとも1種の結晶相、を含有しており、且つ開気孔率が0.3%以下であることを特徴とするものであり、かかる結晶相を存在せしめることによって、銀、銅、金等の低抵抗金属との同時焼成が可能であり、高い強度、ヤング率、靱性を有する焼結体となる。
【0010】
かかる焼結体は、ガラス粉末とセラミック粉末との混合粉末から成る成形体を焼成することにより結晶相の制御を容易に行うことができ、特に前記結晶相(a)および(b)が、前記ガラス粉末から析出したものであることが望ましい。
【0011】
また、この焼結体は、PbO含有量およびAO(A:アルカリ金属)含有量は、耐環境性、耐薬品性、吸湿性等の点で、それぞれ1重量%以下に抑制されていることが望ましい。
【0012】
さらに、この焼結体は、上記の構成に伴い、2W/mK以上の熱伝導率、280MPa以上の抗折強度、100GPa以上のヤング率、1.5MPa・m1/2以上の破壊靭性を有することができる。
【0013】
また、前記(b)セルシアン結晶相は、六方晶を含み且つX線回折測定において、Ihex/Imon(式中、Ihexは、六方晶のメインピーク強度を示し、Imonは、単斜晶のメインピーク強度を示す。)で表されるメインピーク強度比が3以上であるX線回折パターンを示すことによって、針状晶である六方晶を多く析出させて、強度、靱性を向上させることができる。
【0014】
さらに、この焼結体中には、(d)Y(イットリウム)含有結晶相を含むことによって、さらに強度、ヤング率を向上させることができる。(d)Y(イットリウム)含有結晶相としては、YAlO、YAl、BaY、Ba、YZr12、YZrO11の群から選ばれる少なくとも1種が好適であり、このY(イットリウム)含有結晶相が、ガラスから析出したものであることが望ましい。
【0015】
さらに、この焼結体中の非晶質相が50重量%以下、特に非晶質相を実質上含有していないことが望ましい。なお、非晶質相を含む場合、非晶質相中にはY(イットリウム)を含有することによって非晶質層のヤング率を向上させ焼結体の強度、ヤング率を向上させることができる。
【0016】
本発明の低温焼成セラミック焼結体の製造方法によれば、SiO;10〜35重量%、Al;1〜20重量%、MgO及び/又はZnO;6〜25重量%、B;5〜30重量%、BaO;10〜40重量%、を含有するガラス粉末A、または、SiO
;10〜40重量%、Al;1〜30重量%、MgO及び/又はZnO;6〜25重量%、BaO;10〜40重量%、Y;1〜20重量%を含有するガラス粉末Bのガラス粉末と、AlN、Si、SiC、Al、ZrO、3Al・2SiO及びMgSiOの群から選ばれる少なくとも1種のセラミック粉末とを、20:80乃至90:10の重量比で混合し、得られた混合粉末を成形し、次いで1000℃以下で焼成することを特徴とする。
【0017】
なお、前記ガラス粉末Aは、20重量%以下の量でCaOおよび/またはSrOを、10重量%以下の量でZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよく、ガラス転移点(Tg)が、500〜850℃であることが望ましい。
【0018】
また、ガラス粉末Bは、Bを30重量%以下、CaO又はSrOを20重量%以下、及びZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種を10重量%以下の量で含有していてもよく、ガラス転移点(Tg)が、550〜850℃であることが望ましい。
【0019】
上記のセラミック粉末は、0.5以上の加圧嵩密度/真密度比を有し、また前記混合粉末は、加圧嵩密度/真密度比が0.45以上となるように調製されていることが望ましい。
【0020】
さらに、前記混合粉末には、PbO含有量およびAO(A:アルカリ金属)含有量がそれぞれ1重量%以下となるように調製されていることが望ましい。
【0021】
また、本発明の配線基板は、上記の低温焼成セラミック焼結体を絶縁基板とし、その表面および/または内部にCu、Ag、Au、Alの群から選ばれる少なくとも1種を含有する導体層を形成してなることを特徴とするものであり、前記導体層は、前記混合粉末から成る成形体との同時焼成によって形成することができる。また、この配線基板には薄膜形成法によって前記セラミック焼結体表面に導体層を形成することもできる。
【発明の効果】
【0022】
以上詳述した通り、本発明によれば、ガーナイト結晶相および/またはスピネル結晶相や、アスペクト比が3以上の針状晶を含むセルシアン結晶相などの特定の結晶相を存在せしめることによって、銀、銅、金等の低抵抗金属との同時焼成が可能であり、高い強度、高熱伝導性、ヤング率、靱性を有する焼結体を得ることができる。また、上記の焼結体を配線基板における絶縁基板として用いることによって基板強度を高め、高信頼性の配線基板が得ることができ、また、絶縁基板の平滑性に優れることから、この配線基板には薄膜形成法によって前記セラミック焼結体表面に導体層を形成することもできる、などあらゆる配線基板に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の低温焼成セラミック焼結体の構造を示す図であり、
【図2】図2は、本発明の低温焼成セラミック焼結体を絶縁基板とする配線基板(半導体素子収納パッケージ)の一例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の低温焼成セラミック焼結体は、図1に示すように、少なくとも3種の結晶相(a)、(b)及び(c)を有するものであり、これら結晶相の粒界に、通常、ガラス粉末に由来する非晶質相(残留ガラス相)Gを有する。
結晶相(a):結晶相(a)は、ガーナイト結晶相および/またはスピネル結晶相であり
、理想的には、ZnAl、MgAlで表される化学組成を有する。このような結晶相(a)は、単結晶としてのヤング率が200GPa以上を示す。従って、このような結晶相を析出させることにより、焼結体のヤング率を高めることができる。
【0025】
また、この結晶相(a)は粒状結晶であり、特にその平均粒径は1μm以下であることが好ましい。このような微結晶を焼結体中に分散させることにより、焼結体のヤング率を向上させるとともに、抗折強度を高めることができる。
【0026】
本発明において、上述した結晶相(a)は、焼成によって原料ガラス粉末から析出することが好ましく、これにより、ガラスの結晶化度が高められ、後述する非晶質相(残留ガラス相)Gの含有量が少なくなり、焼結体の開気孔率を低下させ、且つ焼結体のヤング率を高めることができる。
【0027】
また、上記結晶相(a)には、ZnAlとMgAlが固溶し、(Zn,Mg)Alの形態のガーナイト結晶相を形成していてもよい。即ち、原料ガラス粉末中に含まれるMgO及び/又はZnOを結晶相(a)中に固溶させることによっても、ガラスの結晶化度を高めることができ、上記と同様に、焼結体の開気孔率を低下させ、且つ焼結体のヤング率を高めることができ、また上記のスピネル結晶相は、ガーナイト結晶相と同様の特性を有しているため、このようなスピネル結晶相を析出させることによっても、ガーナイト結晶相を析出させた場合と同様の効果が発現する。
結晶相(b):結晶相(b)は、セルシアン結晶相であり、理想的にはBaAlSiで表される化学組成を有する。
【0028】
本発明においては、このセルシアン結晶相として、アスペクト比が3以上、好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上の針状晶(図1において13aで示す)を含有していることが重要であり、このような針状晶13aを析出させることにより、焼結体の強度および熱伝導率を向上させることができ、また焼結体の誘電率を低下させることができる。尚、針状晶のアスペクト比とは、焼結体の断面SEMおよびEPMA分析によって観察されるセルシアン(BaAlSi)結晶相のうち、アスペクト比(長径/短径比)が大きいものから10個を選択したときの平均値を指し、特に針状晶13aは、長径1〜10μm、短径0.1〜2μm程度であることが望ましく、特に、クラックの進展を抑制して抗折強度を向上する点で、針状晶13aがランダムに分散したものであることが望ましい。また、セルシアン結晶相(b)としては、針状晶13a以外に、粒状晶(図1において13bで示す)を含んでいてもよい。
【0029】
また、本発明においては、セルシアン結晶相(b)としては、X線回折測定において下記式:
Ihex/Imon
式中、Ihexは、六方晶のメインピーク強度を示し、
Imonは、単斜晶のメインピーク強度を示す、
で表されるメインピーク強度比が、3以上、好ましくは5以上、最も好適には7以上のX線回折パターンを示すことが、焼結体の破壊靭性、抗折強度、熱伝導率を向上できる点で望ましい。即ち、六方晶は、上記の針状晶13aを形成し、単斜晶は、上記の粒状晶13bを形成する。従って、メインピーク強度比が上記範囲内であるときは、針状晶13aが多く析出しており、この結果、焼結体の上記特性が向上するわけである。
【0030】
尚、六方晶とは、JCPDSカード28−0124の結晶相を示し、単斜晶とは、同38−1450の結晶相を示す。
【0031】
また、六方晶及び単斜晶のメインピークとは、X線回折図において、これら結晶相の最
も強度の高いピークを意味し、六方晶のメインピークは、d値が3.900のピークに対応し、単斜晶のメインピークは、d値が3.355のピークに対応する。従って、上記のピーク強度比は、I(d=3.900)/I(d=3.355)として算出される。
【0032】
更に、上述したセルシアン結晶相(b)も、結晶相(a)と同様、焼成によって原料ガラス粉末から析出することが好ましく、これにより、ガラスの結晶化度が高められ、非晶質相(残留ガラス相)Gの含有量を少なくし、焼結体の開気孔率を低下させ、且つ焼結体のヤング率を高めることができる。
結晶相(c):結晶相(c)は、ガラス粉末と混合されるセラミック粉末から析出するセラミック結晶相であり、特に、AlN、Si、SiC、Al、ZrO
3Al・2SiO及びMgSiOの群から選ばれる結晶相である。かかるセラミック結晶相(c)は、焼結体のヤング率を向上させると同時に、抗折強度を向上させるための成分である。この結晶相は、通常、粒状晶として存在するが、さらには板状晶であることが好ましく、これによって、さらに焼結体の抗折強度を向上させるとともに、熱伝導率も向上する。
【0033】
尚、かかるセラミック結晶相(c)は、上記の窒化物、炭化物、酸化物或いは複合酸化物の1種或いは2種以上から形成されるものであるが、強度や焼結性等の点で、少なくともAl結晶相を含有していることが好ましい。
【0034】
また、上記のセラミック結晶相(c)は、焼結体中に、10〜80重量%、特に30〜75重量%、さらに40〜70重量%の量で含まれていることが望ましい。
結晶相(d):本発明の低温焼成セラミック焼結体においては、上述した結晶相(a)〜(c)に加えて、結晶相(d)(図1においては省略されている)として、Y(イットリウム)含有結晶相を含有していることが、焼結体の強度を高める上で好適である。
【0035】
このようなY含有結晶としては、これに限定されるものではないが、YAlO、YAl、BaY、Ba,YZr12、YZrO11等を例示することができ、これらは、1種単独で析出していてもよいし、また2種以上が析出していてもよい。更に、前述した結晶相(a)及び(b)と同様、このようなY含有結晶相も焼成によって原料ガラス粉末から析出することが望ましい。
その他の結晶相:本発明の低温焼成セラミック焼結体の優れた特性が損なわれない限り、上述した各種の結晶相以外の他の結晶相、例えば、SiO、CaAlSi、SrAlSi、CaMgSi、SrMgSi、BaMgSi、ZnO、MgSiO、ZnSiO、ZrSiO、CaMgSi、ZnAlSi18、CaSiO、SrSiO、BaSiO等が存在していてもよい。例えば、このような他の結晶相は、総量で40重量%以下、好ましくは30重量%以下、最も好ましくは20重量%以下の範囲で焼結体中に含有していてもよい。
非晶質相:本発明の焼結体は、ガラス粉末とセラミック粉末との混合粉末からなる成形体を焼成することにより得られるものである場合、通常、図1に示すように、非晶質相(残存ガラス相)Gを含有している。焼結体のヤング率を向上させるために、非晶質相Gは少ない方が望ましく、例えば、焼結体中のガラス含量は、50重量%以下、特に30重量%以下、さらに20重量%以下、さらには10重量%以下であることが好ましく、非晶質ガラス相Gは、実質上、焼結体中の存在しなくてもよい。なお、焼結体中の各結晶相および非晶質相の含有量は、焼結体のX線回折ピークからリートベルト法によって求められる。焼結体組成:本発明の低温焼成セラミック焼結体は、上述した結晶相(a)、(b)及び(c)を必須成分として含有し、必要により結晶相(d)が析出しており、析出した結晶相の種類に応じた化学組成を有している。
【0036】
例えば、Y含有結晶相(d)が析出していない焼結体の好適な化学組成は、以下の通り
である。
【0037】
SiO:2〜31.5重量%、特に4.5〜21重量%
Al:11〜82重量%、特に32.1〜74.5重量%
ZnO+MgO:1.2〜22.5重量%、特に3〜14重量%
:1〜27重量%、特に3〜17.5重量%
BaO:2〜36重量%、特に6.3〜35重量%
CaOおよびSrOの群から選ばれる少なくとも1種:
0〜18重量%、特に0.2〜7重量%
ZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種:
0〜9重量%、特に0.2〜3.5重量%
また、Y含有結晶相(d)が析出している焼結体の好適な化学組成は、以下の通りである。
【0038】
SiO:2〜38重量%、特に4.5〜25.5重量%
Al:6〜86重量%、特に17.6〜77.5重量%
BaO:2〜38重量%、特に6〜29.8重量%
:0.2〜19重量%、特に0.9〜12.8重量%
ZnO+MgO:1.2〜23.8重量%、特に2.4〜12.8重量%
:0〜28.5重量%、特に0〜12.3重量%
CaOおよびSrOの群から選ばれる少なくとも1種:
0〜19重量%、特に0〜12.8重量%
ZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種:
0〜9.5重量%、特に0〜5.1重量%
また、焼結体中には、ガラス粉末やセラミック粉末中に含まれる不純物成分に関連して、PbOやAO(A:Li、Na、K、Rbのアルカリ金属)などの金属酸化物が含まれるが、耐環境性、耐薬品性、吸湿性等の点で、PbO及びAOの含有量は、それぞれ1重量%以下、特に0.1重量%以下に抑制されていることが好ましい。このような成分の含有量の調整は、用いるガラス粉末やセラミック粉末から不純物成分を除去することにより行なうことができる。
【0039】
上述した本発明の低温焼成セラミック焼結体は、結晶相(a)〜(c)が析出していることに関連して、開気孔率が0.3%以下、特に0.25%以下、更には0.2%以下と低く、極めて緻密であり、また熱伝導率が2W/mK以上、特に2.5W/mK以上、更には3W/mK以上と極めて高く、抗折強度は、280MPa以上、特に300MPa以上、更には320MPa以上であり、破壊靭性は、1.5MPa・m1/2以上、特に1.8MPa・m1/2以上、更には2.0MPa・m1/2以上であり、ヤング率は、100GPa以上、特に120GPa以上、さらには140GPa以上である。
(低温焼成セラミック焼結体の製造方法)
上述した本発明の低温焼成セラミック焼結体は、ガラス粉末とセラミック粉末とを混合して混合粉末を調製し、この混合粉末を適当なバインダを用いて所定形状に成形し、脱バインダの後に焼成することにより製造される。
ガラス粉末:ガラス粉末としては、目的とする低温焼成セラミック焼結体の結晶構造に応じて、Y(イットリウム)成分を含有しないもの、或いはY成分を含有するものが使用される。
【0040】
Y(イットリウム)成分を含有しないガラス粉末は、前述したY含有結晶相(d)が析出していない低温焼成セラミック焼結体を製造するために使用されるものであり、その好適な組成は、以下の通りである。
【0041】
SiO;10〜35重量%、特に15〜30重量%
Al;1〜20重量%、特に3〜15重量%
MgO及び/又はZnO;6〜25重量%、特に10〜20重量%
;5〜30重量%、特に10〜25重量%
BaO;10〜40重量%、特に10〜25重量%
CaOおよびSrOの群から選ばれる少なくとも1種:
0〜20重量%、特に1〜10重量%
ZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種:
0〜10重量%、特に1〜5重量%
即ち、Y(イットリウム)成分を含有しないガラス粉末において、SiO
Al、MgOおよび/またはZnO、BaO、Bの含有量が上記範囲を逸脱すると、焼結体の開気孔率が0.3%を越え、または上述した特定の結晶相を析出させることが困難となり、焼結体のヤング率が低下すると同時に、強度や熱伝導率も低下する傾向がある。上記各成分のうち、SiOおよびAlの含有量が上記範囲よりも少ないと、ガラスの軟化点が低下して焼成時の脱バインダ性が悪くなり、逆に上記範囲よりも多いと、後述する1000℃以下の焼成にて焼結体の開気孔率が大きくなる傾向にある。また、MgOおよび/またはZnO、BaOおよびBの含有量が上記範囲よりも少ないと、1000℃以下の焼成にて焼結体の開気孔率が大きくなり、また、後述するセラミック粉末(フィラー成分)の添加可能な量が減じて強度および熱伝導率が低下する。逆に多いと、ガラスの軟化点が低下して焼成時の脱バインダ性が悪くなるとともに、開気孔率が大きくなる傾向にある。
【0042】
また、ガラス原料中に任意成分として含まれるCaOやSrOは、ガラスの軟化挙動を制御する作用を有しており、しかも、CaAlSi結晶相、SrAlSi結晶相(特に針状晶)、CaMgSi結晶相、SrMgSi結晶相等の他の結晶相を、特に針状晶として、ガラス中から析出させる作用をも有している。したがって、このような成分を含有するガラス粉末を用いることは、焼結体の抗折強度や誘電率を制御する上で有利である。さらに、ZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種は、上述した特定の結晶相(a)や(b)の析出を促進する効果がある。
【0043】
また、Y(イットリウム)成分を含有するガラス粉末は、前述したY含有結晶相(d)が析出している低温焼成セラミック焼結体を製造するために使用されるものであり、その好適な組成は、以下の通りである。
【0044】
SiO;10〜40重量%、特に15〜30重量%
Al;1〜30重量%、特に3〜25重量%
MgO及び/又はZnO;6〜25重量%、特に9〜20重量%
BaO;10〜40重量%、特に15〜37重量%
;1〜20重量%、特に3〜15重量%
CaOおよびSrOの群から選ばれる少なくとも1種:
0〜20重量%、特に0〜15重量%
ZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種:
0〜10重量%、特に0〜5重量%
即ち、Y(イットリウム)成分含有ガラス粉末において、SiO、Al、MgO、ZnO、BaOの含有量が上記範囲を逸脱すると、焼結体の開気孔率が0.3%を越え、または上述した特定の結晶相(a)及び(b)を析出させることが困難となり、焼結体のヤング率が低下し、強度や熱伝導率も低下する傾向がある。また、Y成分を含有していないガラス粉末と同様、SiOおよびAlの含有量が上記範囲よりも少ないと、ガラスの軟化点低下により焼成時の脱バインダ性が悪くなり、上記範囲よりも多いと、
1000℃以下の焼成にて焼結体の開気孔率が大きくなるおそれがある。また、MgOおよび/またはZnO、BaOの含有量が上記範囲よりも少ないと、1000℃以下の焼成にて焼結体の開気孔率が大きくなり、さらにセラミック粉末(フィラー成分)の添加可能な量が減じ、強度および熱伝導率が低下する。逆に多いと、ガラスの軟化点が低下して焼成時の脱バインダ性が悪くなるとともに、開気孔率が大きくなるおそれがある。
【0045】
さらに、このガラス粉末中に含まれるYは、前述したY含有結晶相(d)をガラス中から析出させ、焼結体の抗折強度を高める効果を有している。また、このYは、ガラスの軟化点を上昇させる働きとガラス粉末に由来する非晶質相(残留ガラス相)Gのヤング率を向上させる働きを有している。例えば、本発明の低温焼成セラミック焼結体を、耐マイグレーション性に優れた銅を配線層として備えた配線基板の絶縁基板として用いる場合、非酸化性雰囲気中での脱バインダを可能とするために、ガラス粉末のガラス転移点(Tg)を550℃以上、特に600〜850℃に高める必要がある。
【0046】
ところが、ガラス転移点がこのような高温側にシフトされたガラス粉末を用いると、フィラー成分であるセラミック結晶相、特にAl結晶相の含有量が不足し、絶縁基板(低温焼成セラミック焼結体)の抗折強度が低下する傾向がある。しかるに、Yを含有するガラス粉末を用いることにより、残留ガラス相Gのヤング率が向上するため、抗折強度の低下を有効に防止することができる。
【0047】
また、Yは、結晶化剤としての機能をも有しており、Yを含有するガラスでは、前述したガーナイトおよび/またはスピネル結晶相(a)やセルシアン結晶相(b)のガラス中からの析出を促進させ、これら結晶相の含有量を増大させることができる。即ち、ガラス粉末中のY含量の調整により、焼結体中に析出する結晶相(a)及び結晶相(b)の量を調整することができる。本発明において、かかるガラス粉末中のY含量が前述した範囲よりも少ないと、上述した高強度化効果が不十分となり、また前述した範囲よりも多いと、焼結体の開気孔率が0.3%を超えてしまう。
【0048】
上述したY成分含有ガラス粉末において、他の成分、即ち、CaOおよび/またはSrO、或いはZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種の成分は、Y成分を含有していないガラス粉末に関して述べたのと同様の機能を有している。
【0049】
本発明において、上述したY成分を含有していないガラス粉末は500〜850℃のガラス転移点(Tg)を有していることが好ましく、Y成分含有ガラス粉末は、550〜850℃のガラス転移点(Tg)を有していることが好ましい。このようなガラス転移点(Tg)を有するガラス粉末は、配線基板(特に銅配線層を備えたもの)中の絶縁基板の製造に有利である。即ち、銅配線層を備えた配線基板を製造するには、先にも述べた通り、熱処理を非酸化性雰囲気中で行なう必要があり、例えば脱バインダのための熱処理も非酸化性雰囲気で行なわれる。この場合、ガラス転移点が上記範囲よりも低いと、焼結体の収縮開始温度が低くなりすぎてしまい、この結果、脱バインダを有効に行なうことが困難となってしまう。一方、ガラス粉末のガラス転移点が850℃よりも高いと、1000℃以下の温度での焼成によっては、緻密な焼結体を得ることが困難となり、その開気孔率は0.3%よりも高くなってしまう。
【0050】
また、上述したガラス粉末中のPbO含有量及びAO含有量(A:アルカリ金属)は、既に述べた通り、耐環境性、耐薬品性、吸湿性等の点で、それぞれ1重量%以下、特に0.1重量%以下に抑制されていることが好ましい。
セラミック粉末:本発明においては、上述したガラス粉末に混合するセラミック粉末(フィラー成分)としては、AlN、Si、SiC、Al、ZrO、3Al・2SiO及びMgSiOの群から選ばれる少なくとも1種が使用される。即
ち、これらのセラミック粉末は、前述した結晶相(c)を焼結体中に存在せしめるために使用される。本発明において、これらのセラミック粉末としては、前述したガラス粉末との濡れ性がよく、1000℃以下の低温での焼結性が良好であるという点で、Al粉末が好適である。特に前述したガラス粉末としてY成分含有ガラス粉末を用いる場合には、セラミック粉末として、Al粉末を用いることが最適である。
【0051】
また、焼結体中のボイド量を低減し、ヤング率、抗折強度、熱伝導率を高めるために、上記セラミック粉末の真密度に対する加圧嵩密度の比(加圧嵩密度/真密度)の比が、0.5以上、特に0.52以上、最適には0.54以上であることが望ましい。これによって、例えば焼結体の開気孔率を0.3%以下とすることができる。
【0052】
ここで、セラミック粉末の加圧嵩密度とは、セラミック粉末2gを、圧力98MPa×30secの条件で直径20mmφの円柱形状に一軸成形して得られる成形体の密度を意味する。セラミック粉末の加圧嵩密度比を上記範囲内に設定するためには、粒度分布を制御したり、凝集の少ないセラミック粉末を用いたり、粒径のピーク値が2つ以上存在するように、平均粒径の異なる2種以上のセラミックの粉末を用いることにより、セラミック粉末の加圧嵩密度を高めることが効果的である。
混合粉末の調製:本発明においては、前述したガラス粉末とセラミック粉末とを混合し、所望により適当な溶媒を加えて粉砕し、両者が均一に分散した混合粉末を調製する。
【0053】
このような混合粉末の調製においては、ガラス粉末としてY成分を含有していないガラス粉末を用いる場合には、該ガラス粉末とセラミック粉末とを、20:80乃至90:10、好ましくは25:75乃至80:20、最も好適には、30:70乃至70:30の重量比で用いるのがよく、またガラス粉末としてY成分含有ガラス粉末を用いる場合には、該ガラス粉末とセラミック粉末(特にAl)とを、20:80乃至95:5、好ましくは25:75乃至90:10、最も好適には、30:70乃至85:15の重量比で用いるのがよい。
即ち、セラミック粉末(或いはAl粉末)の添加量が上記範囲よりも少ないと、焼結体のヤング率、強度、熱伝導率が低下し、その添加量が上記範囲よりも多いと、1000℃以下の焼成によっては焼結体の開気孔率を、例えば0.3%以下に低減することができず、緻密な焼結体を得ることが困難となる。
【0054】
また、上記のようなガラス粉末とセラミック粉末との混合粉末についても加圧嵩密度/真密度の比が0.45以上、特に0.5以上、最適には0.54以上であることが望ましい。
【0055】
さらに、本発明においては、ガラス粉末と特定のセラミック粉末との混合比が上述した量比を満足しており、且つ焼結体のヤング率、強度、熱伝導率等の特性が損なわれない限りにおいて、上記以外の他のセラミック粉末、例えばSiO、CaAlSi、SrAlSi、CaMgSi、SrMgSi、BaMgSi、ZnO、MgSiO、ZnSiO、ZrSiO、CaMgSi、ZnAlSi18、CaSiO、SrSiO、BaSiO等を混合することもできる。これらは、前述した他の結晶相として、存在するものである。
成形:上記のようにして調製された混合粉末に、所望により、有機バインダ、可塑剤、溶媒を添加、混合してスラリー(成形用スラリー)を調製し、それ自体公知の成形法、例えば、ドクターブレード法、カレンダーロール法、圧延法、プレス成形、押出形成、射出成形、鋳込み成形、テープ成形等によって所定形状の成形体を作成する。
焼成:上記で得られた成形体を、450〜750℃で脱バインダ処理した後、酸化性雰囲気あるいは非酸化雰囲気中、1000℃以下、好ましくは700〜1000℃、さらに好ましくは800〜950℃の温度で焼成することにより、本発明の低温焼成セラミック焼
結体が得られる。
【0056】
なお、焼結体中に上述した特定の結晶相(a)、(b)を析出させるため、また、焼結体の開気孔率を低減するためには、脱バインダ処理後の昇温速度を20℃/時間以上とすることが望ましく、また、焼成温度での保持時間を0.2〜10時間、特に0.5〜2時間とすることが望ましい。
配線基板:上述した低温焼成セラミック焼結体は、各種配線基板中の絶縁基板として極めて有用である。図2には、このような配線基板として代表的な半導体素子収納用パッケージを例にとって、その概略断面図を示した。
【0057】
図2において、このパッケージAは、複数の絶縁層1a〜1dからなる絶縁基板1を備えており、この絶縁基板1の表面及び内部には、銀、銅、金等の低抵抗金属から成る配線層2、2が形成されている。また、上記の配線層2、2を電気的に接続するためのビアホール導体3が、絶縁層1a〜1dを貫通するように形成されている。このビアホール導体3は、銀、銅、金等の低抵抗金属を含有している。さらに、パッケージAの下面には複数の接続用電極4が配列されており、この接続用電極4は、プリント基板等の外部回路基板Bの接続用電極4Bと接続されている。
【0058】
絶縁基板1の上面中央部には、半導体素子等のデバイス5がガラス、アンダーフィル剤等の接着剤(図示せず)を介して接着固定され、このデバイス5の表面はポッティング剤等からなる封止樹脂7により封止されている。デバイス5は配線層2とワイヤボンディング6等を介して電気的に接続され、従って、デバイス5と、絶縁基板1の下面に形成された複数の接続用電極4とは、配線層2およびビアホール導体3を介して電気的に接続されている。
【0059】
本発明においては、絶縁基板1を、上述した低温焼成セラミック焼結体から形成することにより、絶縁基板1の強度および熱伝導率を高めることができ、パッケージAの実装信頼性および機械的信頼性を高めることができる。また、デバイス5に発生する熱が効率よく放熱されるため、絶縁基板1の温度上昇が有効に抑制され、デバイス5の誤作動を防止することができる。
【0060】
また、絶縁基板1は、1000℃以下の低温焼成によって作成することができるため、銀、銅または金のうちの少なくとも1種の低抵抗金属を特に主成分とする低抵抗導体を用いての同時焼成により配線層2を形成することができる。従って、配線層2を低抵抗化でき、信号の遅延を小さくできる。
【0061】
なお、図2においては、デバイス5はワイヤボンディング6を介して配線層2と接続されているが、デバイス5を半田等により、絶縁基板1表面の配線層2に直接接続することもできる。更に封止樹脂7を用いず、絶縁基板1の表面にキャビティを形成してデバイス5を収納し、封止金具(図示せず。)等を用い、蓋体によってデバイス5が収納されたキャビティを封止することもできる。
【0062】
本発明によれば、本発明の低温焼成セラミック焼結体から成る絶縁基板1はヤング率が100GPa以上と高い。従って、この絶縁基板1に封止金具、封止樹脂等を接着しても絶縁基板1が大きく反ることなく、半導体素子の実装(一次実装)部分に歪みが発生することなく、また、接続用電極4に応力が集中して接続用電極4、4B(二次実装部分)にクラックや剥離が生じることなく実装信頼性を高めることができる。
【0063】
上記パッケージのような配線基板は、前述した低温焼成セラミック焼結体を製造するのと同様にして製造することができる。即ち、前述したガラス粉末とセラミック粉末とを一
定の量比で混合した混合粉末を用いて成形用スラリーを調製し、この成形用スラリーを用いて、例えば厚みが50〜500μmのセラミックグリーンシート(絶縁層1a〜1d用のシート)を成形する。
【0064】
このグリーンシートの所定位置にスルーホールを形成し、このスルーホール内に、銅や銀、金等の低抵抗金属を含有する導体ペーストを充填する。また、表面に配線層2が形成される絶縁層に対応するグリーンシートの表面には、上記の導体ペーストを用いて、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などの公知の印刷手法を用いて配線層2の厚みが5〜30μmとなるように、配線パターンを印刷塗布する。
【0065】
そして、上記のようにして作成された複数のグリーンシートを位置合わせして積層圧着し、次いで、酸化性雰囲気中、低酸化性或いは非酸化性雰囲気中にて脱バインダ処理した後、1000℃以下の酸化性雰囲気または非酸化性雰囲気で焼成することにより、配線層2を備えた絶縁基板1が作製される。
【0066】
なお、脱バインダ雰囲気或いは焼成雰囲気は、用いる低抵抗金属の種類に応じて適宜決定され、例えば、銅等の酸化性雰囲気中での焼成によって酸化する金属を用いる場合には非酸化性雰囲気中にて脱バインダ或いは焼成が行なわれる。
【0067】
上記のようにして形成された絶縁基板1の表面に、半導体素子等のデバイス5を搭載し、配線層2と信号の伝達が可能なように接続される。先にも述べた通り、配線層2上にデバイス5を直接搭載させて両者を接続することもできるし、あるいはワイヤボンディング6を用いてデバイス5と絶縁基板1表面の配線層2とを接続させることもできる。また、フリップチップなどにより、両者を接続することも可能である。
【0068】
さらに、デバイス5が搭載された絶縁基板1表面に、封止樹脂7を塗布して硬化させるか、絶縁基板1と同種の絶縁材料や、その他の絶縁材料、あるいは放熱性が良好な金属等からなる蓋体をガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤により接合することにより、デバイス5を気密に封止することができ、これによりパッケージAを作製することができる。
【0069】
このように、本発明の低温焼成セラミック焼結体は、1000℃以下の低温での焼成により製造することができるため、かかる焼結体を絶縁基板材料として用いることにより、Cu、Ag、Au及びAl等の低抵抗導体との同時焼成により、これら低抵抗導体から成る配線層と絶縁基板とを一挙に製造することができ、各種配線基板の生産効率を高めることができる。
【0070】
また、図2の例では、低抵抗導体を含むペーストを絶縁層形成用のセラミックグリーンシートに塗布しての同時焼成により絶縁基板1及び配線層2が形成された例を示したが、絶縁基板1が本発明の低温焼成セラミック焼結体により形成されている場合には、特に絶縁基板1の表面に、所謂薄膜形成法を利用して、微細な配線層(例えば、配線層幅が75μm以下、配線層間隔が75μm以下、配線層厚みが1〜10μm)を、Cu、Ag、Au及びAl等の低抵抗導体により高精度で形成することができる。
【0071】
即ち、図2の絶縁基板1を例にとって説明すると、前述した方法により、内部にビアホール導体3を備えた絶縁基板1を製造する。この絶縁基板1は、1つの絶縁層から形成されていてもよいし、また内部に前述した配線層2が同時焼成により形成されていてもよい。かかる絶縁基板1の表面に、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着等の薄膜形成法により、Cu、Ag、Au及びAl等の低抵抗導体から成る薄膜金属層を形成する。次いで、レジスト塗布、所定パターンのマスクを用いての露光、エッチングによる不要部金属層の除去及びレジスト除去により、上記のような微細なパターンの配線層を絶縁
基板1の表面に形成することができる。
【0072】
本発明の低温焼成セラミック焼結体は、開気孔率が0.3%以下と低いためボイドが少なく、表面平滑性が良好であるため、かかる焼結体から成る絶縁基板1の表面に、上記のような薄膜形成法を利用して、微細なパターンの配線層を位置ズレ等の不都合を生じることなく、高精度で形成することができる。また、薄膜形成法によって絶縁基板1の表面に薄膜金属層を形成するに先だっては、基板1の表面を、表面粗さRa(JIS B0601)が0.1μm以下、特に0.05μm以下の平滑面にしておくことが望ましいが、本発明の低温焼成セラミック焼結体から成る絶縁基板1は、表面平滑性に優れており、例えばその焼き肌面の表面粗さRaは、1.0μm以下、特に0.5μm以下である。従って、上記の研磨加工を短時間で容易に行なうことができ、この点でも本発明は有利である。
【0073】
また、本発明の低温焼成セラミック焼結体は、強度等の機械的特性にも優れているため、上記のような絶縁基板1の厚みを0.5mm以下、特に0.4mm以下、更には0.2mm以下とすることもでき、薄型で且つ機械的信頼性の高い配線基板の製造にも有用である。
【実施例】
【0074】
実施例1
下記の組成からなる3種のガラス粉末(平均粒径は何れも2μm)のガラス粉末を準備した。
ガラスA:SiO28重量%−Al10重量%−ZnO15重量%
−B18重量%−BaO28重量%−ZrO1重量%
(ガラス転移点:610℃)
ガラスB:SiO20重量%−Al8重量%−ZnO20重量%
−B21重量%−BaO−20重量%−SrO9重量%
−ZrO1重量%−TiO1重量%
(ガラス転移点:570℃)
ガラスC:SiO24重量%−Al8重量%−ZnO15重量%
−B18重量%−BaO−26重量%−SrO1重量%
−CaO5重量%−SnO1重量%−ZrO2重量%
(ガラス転移点:590℃)
一方、平均粒径が1〜2μmの表1に示すセラミック粉末2gを直径20mmφの金型内に充填して98MPaの圧力で30秒間一軸プレス成形を行い、この成形体の密度を加圧嵩密度として算出した。また、He置換法により真密度を測定し、加圧嵩密度/真密度の比を算出し表1に示した。
【0075】
そして、上記ガラス粉末とセラミック粉末を用いて、表1の組成に従い混合し、この混合物に有機バインダ、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調製した後、このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのシート状成形体を作製した。さらに、このシート状成形体を所望の厚さになるように複数枚積層し、60℃の温度で10MPaの圧力を加えて熱圧着した。
【0076】
得られた積層体を大気中、500℃で脱バインダ処理した後、200℃/時間で昇温して、大気中で表1の条件にて焼成してセラミック焼結体を得た。
【0077】
次に、得られたセラミック焼結体について、アルキメデス法により開気孔率を測定した。また、超音波パルス法にてヤング率を測定した。さらに、このセラミック焼結体をφ10mm、厚さ1.5mmに加工し、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率を測定した。また、このセラミック焼結体を3mm×4mm×50mmに加工し、オートグラフを用いてJ
IS R−1601に基づく3点曲げ強度を測定した。さらに、このセラミック焼結体を鏡面研磨し、IF法にて破壊靭性を測定した。結果を表2に示した。
【0078】
さらに、セラミック焼結体をφ16mm、厚さ2mmに加工し、両面にIn−Gaペーストを塗布して電極とし、LCRメーターを用いて、測定周波数1MHzにおいて静電容量を測定し、試料寸法から比誘電率を算出した。また、セラミック焼結体中における結晶相をX線回折測定から同定し、ピーク強度の大きさを比較した。
【0079】
また、BaAlSi結晶相に関しては、六方晶のメインピークをd=3.900とし、単斜晶のメインピークをd=3.355として、強度比I(d=3.900)/I(d=3.355)を算出した。
【0080】
さらに、セラミック焼結体を鏡面研磨し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真からBaAlSi結晶相(針状晶)のアスペクト比を算出した。これらの結果を表2に示した。
【0081】
また、上記多層配線基板の絶縁基板表面に、真空蒸着法によって、Ti層を0.2μmの厚さで形成した後、TiW、TiMo、Ni、Cr、Ta等の種々の金属層を厚み10μmで形成した後、Cu層を3μmの厚みで形成した。なお、TiWおよびTiMoの合金層中のW、Mo含有量は90重量%である。
【0082】
その後、この薄膜金属層に感光性フォトレジストを一面に塗布し、フォトリソグラフィー技術によりエッチングマスクを作成し、薄膜層の一部を酸性エッチング液により不要部の薄膜を除去して、大きさが1×1mmの評価用パッドを形成した。そして、このパッドに対して、Cuからなるピンを半田付けして、−40℃と125℃の各温度に制御した恒温槽に多層配線基板を15分/15分の保持を1サイクルとして100サイクルの熱サイクルを施した後に、このピンを垂直に引き上げ、半田もしくは薄膜金属層が離れた時の強度を薄膜金属層の接着強度として評価し、その結果を表2に示した。
【0083】
一方、比較例として上記ガラスA、B、Cに代わり、以下の組成からなるガラスDおよびガラスEを用いて同様に評価を行った。
ガラスD:SiO43重量%−Al7重量%−B8重量%
−BaO37重量%−CaO5重量%
(ガラス転移点:640℃)
ガラスE:SiO10重量%−Al3重量%−ZnO35重量%
−B45重量%−NaO7重量%
(ガラス転移点:650℃)
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
表1、2の結果から明らかなように、前述した結晶相(a)〜(c)に相当する結晶相が析出し、かつセルシアン結晶相(b)(BaAlSi結晶相)が少なくともアスペクト比が3以上の針状晶を含む試料No.2〜8、10、
12〜22では、X線回折測定における六方晶(hex.)と単斜晶(mon.)とのメインピークの強度比I(hex.)/I(mon.)が3以上であり、開気孔率0.3%以下、抗折強度が280MPa以上、熱伝導率が2W/mK以上、ヤング率が100GPa以上、破壊靭性が1.5MPa・m1/2以上となった。また、これらの焼結体について、焼き肌面の表面粗さRaを測定したところ、何れも0.5μm以下であった。また、薄膜金属層を形成した場合においても、22.5MPa以上の高い接着強度を示した。
【0087】
一方、ガラス粉末の量が90重量%よりも多い試料No.1、11では、フィラーが不充分で800℃以上の焼成によって成分の一部の流失が見られ適正な試料の作製が困難であった。また、ガラス粉末の量が20重量%よりも少ない試料No.9では、開気孔率が大きくなり、緻密なセラミック焼結体を得ることができなかった。
【0088】
また、試料No.23、24は、AlN、Si、SiC、Al
ZrO、3Al・2SiO、MgSiOの群から選ばれる結晶相(c)を含有しないことから、抗折強度が280MPaよりも低く、また、ヤング率も100GPaより低かった。
【0089】
さらに、ガラス粉末として所定量のZnOやBaOを含まないガラスD、Eを用いた試料No.25、26では、いずれも抗折強度が280MPaよりも低く、熱伝導率が2W/mKより低く、ヤング率が100GPaよりも低く、破壊靭性が1.5MPa・m1/2より低かった。
実施例2
実施例1の試料No.10の試料の原料粉末に対して、アクリル系バインダと可塑剤とトルエンを添加、混合し、ドクターブレード法によって厚み250μmのシート状成形体を作製した。次に、該シート状成形体の所定位置にビアホールを形成し、銀を主成分とする導体ペーストを充填した後、スクリーン印刷法により前記導体ペーストを用いてシート状成形体の表面に配線パターンを形成した。
【0090】
そして、前記配線パターンを形成したシート状成形体を位置合わせしながら4枚積層、熱圧着した。この積層体を大気中、500℃で脱バインダ処理した後、200℃/時間で昇温し、大気中、800℃で1時間焼成して銀を主成分とする配線層を具備する配線基板を作製した。
【0091】
得られた配線基板について、半導体素子を実装した後、封止剤を用いて封止したところ反りや変形等を示さず、また、配線層の導通を確認したところ、断線等がなく、低抵抗で良好な導通特性を示した。
実施例3
下記の組成からなる2種のガラス粉末(平均粒径は何れも2μm)を準備した。
ガラスF:SiO29重量%−Al12重量%−ZnO15重量%
−B10重量%−BaO30重量%−ZrO1重量%
−Y3重量% (ガラス転移点:660℃)
ガラスG:SiO24重量%−Al8重量%−ZnO7重量%
−MgO8重量%−B10重量%−BaO−26重量%
−SrO1重量%−CaO5重量%−SnO1重量%
−ZrO2重量%−Y8重量%
(ガラス転移点:500℃)
そして、これらのガラス粉末に対して、平均粒径が1〜2μmの表3に示す金属酸化物粉末を用いて、表3の組成に従い混合した。
【0092】
そして、この混合物を用い、実施例1と同様にして、低温焼成セラミック焼結体を得た(焼成温度は表3に示す)。
【0093】
得られた焼結体について、実施例1と同様に、開気孔率、熱伝導率、3点曲げ強度を測定し、更に、焼結体中における結晶相をX線回折測定から同定し、これらの結果表3に示した。尚、同定された結晶相は、ピーク強度の大きい順に表3に示した。
【0094】
さらに、実施例1と同様に、焼結体を鏡面研磨し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真からBaAlSi結晶相のアスペクト比を算出した。結果は表3に示した。
【0095】
【表3】

【0096】
表3の結果から明らかなように、ガーナイト結晶相(結晶相(a))、針状のセルシアン結晶相(結晶相(b))、特定のセラミック結晶相(結晶相(c))及びY含有結晶相(結晶相(d))が析出した試料No.1〜8では、熱伝導率が2W/mK以上、抗折強度が280MPa以上となった。
実施例4
実施例3の試料No.1の試料の原料粉末に対して、アクリル系バインダと可塑剤とトルエンを添加、混合し、ドクターブレード法によって厚み250μmのグリーンシートを作製した。次に、該グリーンシートの所定位置にビアホールを形成し、銅を主成分とする導体ペーストを充填した後、スクリーン印刷法により前記導体ペーストを用いてグリーンシート表面に配線層を形成した。
【0097】
そして、前記配線層を形成したグリーンシートを位置合わせしながら4枚積層、熱圧着した。この積層体を水蒸気含有窒素中、700℃で脱バインダ処理した後、200℃/時間で昇温した後、窒素中、800℃で1時間焼成して銅を主成分とする配線層を具備する多層配線基板を作製した。
【0098】
得られた配線基板について、配線層の導通を確認したところ、断線等がなく、低抵抗で良好な導通特性を示した。
【符号の説明】
【0099】
1 絶縁基板
2 配線層
3 ビアホール導体
4 接続用電極
5 デバイス
A 半導体素子収納用パッケージ
B 外部回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶相として、(a)ガーナイト結晶相および/またはスピネル結晶相、(b)アスペクト比が3以上の針状晶を含むセルシアン結晶相、及び(c)AlN、Si、SiC、Al、ZrO、3Al・2SiO及びMgSiOの群から選ばれる少なくとも1種の結晶相、を含有しており、且つ開気孔率が0.3%以下であることを特徴とする低温焼成セラミック焼結体。
【請求項2】
ガラス粉末とセラミック粉末との混合粉末から成る成形体を焼成することにより得られる請求項1記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項3】
前記結晶相(a)および(b)が、前記ガラス粉末から析出したものである請求項2記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項4】
PbO含有量およびAO(A:アルカリ金属)含有量が、それぞれ1重量%以下に抑制されている請求項1乃至請求項3のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項5】
2W/mK以上の熱伝導率を有する請求項1乃至請求項4のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項6】
280MPa以上の抗折強度を有する請求項1乃至請求項5のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項7】
100GPa以上のヤング率を有する請求項1乃至請求項6のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項8】
前記(b)セルシアン結晶相は、六方晶を含み且つX線回折測定において下記式:
Ihex/Imon
式中、Ihexは、六方晶のメインピーク強度を示し、
Imonは、単斜晶のメインピーク強度を示す、
で表されるメインピーク強度比が3以上であるX線回折パターンを示す請求項1乃至請求項7のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項9】
1.5MPa・m1/2以上の破壊靭性を有している請求項1乃至請求項8のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項10】
さらに、(d)Y(イットリウム)含有結晶相を含む請求項1乃至請求項9のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項11】
(d)Y(イットリウム)含有結晶相が、YAlO、YAl、BaY、Ba,YZr12、YZrO11の群から選ばれる少なくとも1種である請求項10記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項12】
前記Y(イットリウム)含有結晶相が、ガラスから析出したものである請求項10または請求項11記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項13】
非晶質相を50重量%以下の量で含有している請求項1乃至請求項12のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項14】
前記非晶質相が、Y(イットリウム)を含有している請求項1乃至請求項13のいずれか
記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項15】
非晶質相を実質上含有していない請求項1記載の低温焼成セラミック焼結体。
【請求項16】
SiO;10〜35重量%、Al;1〜20重量%、MgO及び/又はZnO;6〜25重量%、B;5〜30重量%、BaO;10〜40重量%、を含有するガラス粉末と、AlN、Si、SiC、Al、ZrO、3Al・2SiO及びMgSiOの群から選ばれる少なくとも1種のセラミック粉末とを、20:80乃至90:10の重量比で混合し、得られた混合粉末を成形し、次いで1000℃以下で焼成することを特徴とする低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項17】
前記ガラス粉末が、20重量%以下の量でCaOおよび/またはSrOを含有している請求項16記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項18】
前記ガラス粉末が、10重量%以下の量でZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種を含有している請求項16または請求項17記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項19】
前記セラミック粉末が、0.5以上の加圧嵩密度/真密度比を有している請求項16乃至請求項18のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項20】
前記混合粉末は、加圧嵩密度/真密度比が0.45以上となるように調製される請求項16乃至請求項19のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項21】
前記混合粉末は、PbO含有量およびAO(A:アルカリ金属)含有量がそれぞれ1重量%以下となるように調製される請求項16乃至請求項20のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項22】
前記ガラス粉末のガラス転移点(Tg)が、500〜850℃である請求項16乃至請求項21のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項23】
SiO;10〜40重量%、Al;1〜30重量%、MgO及び/又はZnO;6〜25重量%、BaO;10〜40重量%、Y;1〜20重量%を含有するガラス粉末と、AlN、Si、SiC、Al、ZrO、3Al・2SiO及びMgSiOの群から選ばれる少なくとも1種のセラミック粉末とを、20:80乃至90:10の重量比で混合し、得られた混合粉末を成形し、次いで1000℃以下で焼成することを特徴とする低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項24】
前記ガラス粉末は、Bを30重量%以下、CaO又はSrOを20重量%以下、及びZrO、SnOおよびTiOの群から選ばれる少なくとも1種を10重量%以下の量で含有している請求項23記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項25】
前記セラミック粉末は、0.5以上の加圧嵩密度/真密度比を有している請求項23または請求項24記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項26】
前記混合粉末は、加圧嵩密度/真密度比が0.45以上となるように調製される請求項23乃至請求項25のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項27】
前記混合粉末は、PbO含有量およびAO(A:アルカリ金属)含有量がそれぞれ1重量%以下となるように調製される請求項23乃至請求項26のいずれか記載の低温焼成セ
ラミック焼結体の製造方法。
【請求項28】
前記ガラス粉末のガラス転移点(Tg)が、550〜850℃である請求項23乃至請求項27のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体の製造方法。
【請求項29】
請求項1乃至請求項15のいずれか記載の低温焼成セラミック焼結体の表面および/または内部にCu、Ag、Au、Alの群から選ばれる少なくとも1種を含有する導体層を形成してなることを特徴とする配線基板。
【請求項30】
前記導体層が、前記混合粉末から成る成形体との同時焼成によって形成されている請求項29の配線基板。
【請求項31】
前記導体層が、薄膜形成法によって前記セラミック焼結体表面に形成されている請求項29または請求項30記載の配線基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−225446(P2011−225446A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120685(P2011−120685)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【分割の表示】特願2001−257775(P2001−257775)の分割
【原出願日】平成13年8月28日(2001.8.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】