説明

使用管理システム及び使用管理方法

【課題】複数の設備に対して簡単な構成で確実な認証を行う。
【解決手段】データベース27には、会員の顔の特徴量と、機器A17〜機器C19、プールの利用の可否からなる管理情報が記録されている。会員は、受付時にリストバンド11に内蔵されたRFIDタグ11aに記憶されているシリアルナンバを受付リーダ12で読み取らせる。管理装置14は、顔情報を照合して、会員のレコードを特定し、それにシリアルナンバを記録する。機器A17〜機器C19、プールの利用時に、会員は、対応するリーダでRFIDタグ11aに記憶されているシリアルナンバを読み取らせる。読み取ったシリアルナンバが記録されているレコードの管理情報から、その会員のその設備の利用の可否が判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の設備を制御する使用管理システム及び使用管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、各種の設備を使用する際に、使用しようとしている者が、それを使用することを許可されている否かを判定する認証を行うものがある。例えば、タバコの自動販売機では、タバコを購入する際にICカードを自動販売機に読み取らせることで認証を行い、認証の結果、成年であればタバコの購入が許可される。
【0003】
しかし、上記のようなICカードを用いた認証方式では、そのICカードを所持している者が許可者本人であるか否かの確認まではできない。そこで、人物を撮影した画像から人物の顔を検出し、その顔画像を用いて認証を行う方式が知られている。例えば、特許文献1のゲート管理システムでは、通行者がゲートを通過する際に、その通行者が所持している無線タグから識別子を読み取るとともに、通行者の顔を撮影し、その顔画像を識別子に対応させて予め登録されている顔画像と比較して通行者の本人であることの確認を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−324183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように顔画像による認証を行う場合には、本人であることを確実に確認することができる反面、利用する設備、例えばゲートや自動販売機ごとにカメラを設ける必要がありコストの増大を招くといった問題があった。また、隣接する複数の設備を使用する場合、1つの設備で認証を行ったとしても、他の設備については再度顔の撮影を行って認証を行わなければならず、認証が煩わしくなるといった問題もあった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、複数の設備に対する確実な認証を低コストで実現することができる使用管理システム及び使用管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明の請求項1記載の使用管理システムでは、設備を使用する使用者の顔画像またはその特徴量と、複数の設備の使用者の使用の可否からなる管理情報とが対応付けられて記録されたデータベースと、識別子が付与され、使用者に交付される認証部材と、複数の設備の使用に先立って使用者の顔を撮影し顔画像を出力する撮影手段と、撮影手段で撮影される使用者の認証部材から識別子を読み取り、撮影手段からの顔画像に対応した識別子を出力する第1の読取手段と、撮影手段からの顔画像またはその顔画像から取得した特徴量と、データベースの顔画像または特徴量とを照合して、撮影された使用者の管理情報を特定し、顔画像に対応する識別子を特定した管理情報に対応付ける認証登録手段と、複数の設備のそれぞれに設けられ、認証部材から識別子を読み取る第2の読取手段と、複数の設備のそれぞれに設けられ、設備の使用を制限する複数の制限手段と、いずれかの第2の読取手段で識別子が読み取られた際に、読み取られた識別子について認証登録手段によって管理情報が対応付けられ、かつ読み取りを行った第2の読取手段に対応する設備の使用が対応付けられた管理情報によって許可されているときに、対応する設備に設けた制限手段による制限を解除する使用制御手段とを備えたものである。
【0008】
請求項2記載の使用管理システムでは、識別子と管理情報との対応付けを解除する解除手段を備えたものである。
【0009】
請求項3記載の使用管理システムでは、施設内の設備を使用する使用者と顔画像またはその特徴量とが対応付けられて記録された顔情報記憶手段と、使用者と複数の設備の使用の可否からなる管理情報とが対応付けられて記録された管理情報記憶手段と、施設内の各使用者の有無が記録された状態情報を記憶する状態記憶手段と、施設内に入る人物及び施設外に出る人物を撮影する撮影手段と、撮影手段で撮影される人物の出入方向を検出するための検出手段と、撮影手段で撮影された撮影画像から人物の顔を検出し、検出した顔に対応する顔画像またはその特徴量を出力する顔認識手段と、顔認識手段からの顔画像または特徴量と、顔情報記憶手段の顔画像または特徴量とを照合して、撮影された使用者を判定するする判定手段と、判定手段の判定結果と検出結果とに基づいて、状態情報を更新する更新手段と、複数の設備のそれぞれに設けられ、設備の使用を制限する複数の制限手段と、状態情報に示される施設内にいる各使用者に対応する各管理情報に基づいて設備の使用の可否を判定、許可された設備に設けた制限手段による制限を解除する使用制御手段とを備えたものである。
【0010】
請求項4記載の使用管理方法では、使用者の顔画像またはその特徴量と設備の使用の可否からなる管理情報とを予め登録しておき、設備の使用に先立って、使用者の顔画像とともに使用者の認証部材からの識別子を取得し、取得した顔画像またはその特徴量から使用者の管理情報を特定し、この特定した管理情報と取得した識別子とを対応付け、設備が使用されるときには、使用される設備ごとに使用者の認証部材から識別子を読み取り、その識別子に対応する管理情報に基づいて、当該設備の使用の可否を判定するものである。
【0011】
請求項5記載の使用管理方法では、施設内の設備を使用する使用者と顔画像またはその特徴量とを対応付けるとともに、使用者と複数の設備の使用の可否からなる管理情報とを対応付けておき、 施設を出入りする人物を撮影した撮影画像から撮影された人物の顔画像またはその特徴量を取得し、取得した顔画像または特徴量に基づいて施設を出入りした使用者を判定して、施設内の各使用者の有無を示す状態情報を更新し、
この状態情報に示される施設内にいる各使用者に対応する各管理情報に基づいて設備の使用の可否を判定するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、予め使用者の顔画像や特徴量と設備の使用の可否からなる管理情報とを登録しておくとともに、設備の使用に先立って、使用者の顔画像と識別子を取得して、顔画像あるいは特徴量から特定した使用者の管理情報に取得した識別子を対応付け、設備使用時には、設備ごとに認証部材から読み取った識別子に対応する管理情報に基づいて、当該設備の使用の可否を判定するようにしたから、顔による確実な認証を行うことができるとともに、複数の設備を使用するごとに顔を認証する必要がなく、設備ごとの顔を撮影するためのカメラを不要とすることができる。
【0013】
また、本発明によれば、施設内の設備を使用する使用者と顔画像またはその特徴量とを対応付けるとともに、使用者と複数の設備の使用の可否からなる管理情報とを対応付けておき、施設内に出入りする人物の顔画像あるいはその特徴量から使用者を判定して、施設内の各使用者の有無を示す状態情報を更新し、施設内にいる各使用者に対応する各管理情報に基づいて設備の使用の可否を判定するにしたから、顔による確実な認証を行うことができるとともに、複数の設備を使用するごとに顔を認証する必要がなく、設備ごとの顔を撮影するためのカメラを不要とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
本発明を実施した第1実施形態における使用管理システムを図1に示す。この第1実施形態では、会員制のスポーツジムの各種設備を、その使用者である会員に応じて管理するように使用管理システムを設けたものである。
【0015】
リストバンド11は、受付カウンタで会員にそれぞれ交付され、会員の腕に装着される。このリストバンド11には、認証部材としてのRFIDタグ11aを内蔵している。RFIDタグ11aは、ICチップと、このICチップに接続された送受信アンテナ等から構成された周知のものであり、外部のリーダからの電磁波を受けて電磁誘導によって生じる電力をエネルギーとして作動し、リーダとの間でデータ通信を行う。RFIDタグ11aには、ユニークに付与したシリアルナンバ(S/N)を識別子として記憶しており、リーダに対して記憶しているシリアルナンバを送信する。
【0016】
受付リーダ12,カメラ13は、例えば受付カウンタの近くに配してある。第1の読取手段としての受付リーダ12は、受付の際にリストバンド11のシリアルナンバを読み取って登録するためのものである。この受付リーダ12は、受付時間内においては常に電磁波を発信し続け、リストバンド11が近接するごとに、そのリストバンド11のRFIDタグ11aとデータ通信を行う。すなわち、受付リーダ12は、リストバンド11のRFIDタグ11aに記憶されているシリアルナンバを非接触で読み出す。受付リーダ12は、読み出したシリアルナンバを管理装置14に送る。
【0017】
カメラ13は、会員の顔を含む画像を撮影し、得られる撮影画像を管理装置14に送る。このカメラ13の撮影動作は、例えば受付リーダ12によるシリアルナンバを読み出しに同期して行うようにしてあり、シリアルナンバを読み取ったリストバンド11を装着している会員を撮影する。
【0018】
返却リーダ15は、受付リーダ12と同じくRFIDタグ11aに記憶されているシリアルナンバを非接触で読み出して管理装置14に送る。この返却リーダ15は、施設を利用した後にシリアルナンバの登録を解除するためのものであり、会員がリストバンド11を返却した際に、リストバンド11を近接させてRFIDタグ11aからシリアルナンバを読み取らせる。
【0019】
機器A17,機器B18,機器C19は、それぞれ異なる種類のトレーニングマシンとなっており、会員が利用(使用)する設備となっている。機器A17,機器B18,機器C19には、設備の使用を制限するための制限装置17a,18a,19aを取り付けてある。また、機器A17,機器B18,機器C19の近傍には、それぞれに対応させて第2の読取手段としてのリーダ17b,18b,19bを設けてある。
【0020】
制限装置17aは、管理装置14の制御によって、機器A17をトレーニングマシンとしての動作を許容した許容状態と、禁止した禁止状態とに切り替える。例えば、通常は機器A17を禁止状態としており、管理装置14からの許可信号の入力で許容状態にする。制限装置18a,19aについても同様であり、対応する機器B18,機器19を許容状態と禁止状態とに切り替える。
【0021】
上記の制限装置17a,18a,19aは、例えば対応するトレーニングマシンが電動で動作するものであれば、例えば許可信号でオンとなって機器の電源をオンとする電子スイッチ等で構成され、電源を入れないことでトレーニングマシンの動作を禁止する。また、錘を上下させたりするトレーニングマシンや、自転車を漕ぐようなトレーニングマシンであれば、そのトレーニングマシンの錘やペダル等の可動部材をロックするロック位置とロックを解除した解除位置とで移動するロック部材と、そのロック部材を許可信号に応じて移動させるアクチュエータなどで構成する。
【0022】
なお、制限した状態としては、全機能を使用できなくする他、一部の機能を利用できなくする、一定以上の負荷に設定できなくする等の各種の制限を採用することができる。
【0023】
リーダ17b,18b,19bは、受付リーダ12や返却リーダ15と同じく、RFIDタグ11aに記憶されているシリアルナンバを非接触で読み出して管理装置14に送る。機器A17,機器B18,機器C19を利用する会員は、利用する機器に対応するリーダにリストバンド11を近づけてRFID11aに記憶されているシリアルナンバを読み取らせる。管理装置14は、シリアルナンバに基づいて、そのシリアルナンバで特定される会員に、シリアルナンバを読み取ったリーダに対応する機器の利用が許可されているか否かを調べる。許可されている場合には、管理装置14は、その機器の制限装置に許可信号を送る。
【0024】
ドア21は、スポーツジム内の設備の1つであるプールの出入り口に設けてあり、このドア21は、施錠装置21aとともに、プールの制限手段を構成する。また、ドア21のプールと反対側には第2の読取手段としてのリーダ21bを配してある。
【0025】
施錠装置21aは、例えば電磁式の鍵であり、通常はドア21を施錠した状態となっており開扉を禁止し、管理装置14からの許可信号に応答して解錠して開扉を許容する。プールを利用する会員は、リーダ21bにリストバンド11を近づけてRFID11aに記憶されているシリアルナンバを読み取らせる。管理装置14は、シリアルナンバに基づいて、そのシリアルナンバで特定される会員に、プールの利用が許可されているか否かを調べ、許可されている場合に施錠装置21aに許可信号を送る。なお、プール側からのドア21からの開扉は自由に行うことができるようにしてある。
【0026】
管理装置14は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成されており、これにアプリケーションソフトをインストールする等して、顔認識部25,認証登録部26、データベース(DB)27、使用制御部28として機能する。
【0027】
顔認識部25は、カメラ13とともに撮影手段を構成している。この顔認識部25は、カメラ13からの撮影画像から人物の顔の領域を特定し、その特定した領域内の画像、すなわち顔画像を解析することで、撮影した会員の顔の特徴量を顔情報として出力する。特徴量としては、例えば、顔の輪郭の形状、肌の色、目(位置・形状・瞳の色)、鼻(位置・形状)、唇(位置・形状)、髪型(位置・形状・色)等がある。なお、特徴量は、予め登録してある会員の顔の特徴量と照合して会員を特定できるように適宜に決めることができる。
【0028】
認証登録部26には、受付の際には、受付リーダ12からのシリアルナンバと、それに対応する顔情報とが入力される。すなわち、会員の顔情報とともに、その会員が装着しているリストバンド11から得られるシリアルナンバが入力される。認証登録部26は、顔情報が入力されると、その顔情報とデータベース27に登録されている各会員の顔情報とを照合することによって、カメラ13で撮影された会員、すなわち受付をした会員を特定し、特定した会員のデータベース27上のレコードにシリアルナンバを記録する。後述するように、レコードには管理情報が記録されており、そのレコードにシリアルナンバを記録することによって、管理情報とシリアルナンバ(識別子)の対応付けを行う。
【0029】
また、認証登録部26には、リストバンド11の返却の際には、返却リーダ15からのシリアルナンバが入力される。認証登録部26は、返却リーダ15からのシリアルナンバが入力されると、そのシリアルナンバが記録されているデータベース27上のレコードを特定し、そのレコードからシリアルナンバを消去する。すなわち、返却リーダ15と認証登録部26とにより識別子と管理情報との対応付けを解除する解除手段が構成される。なお、施設の利用時間終了後、各レコードからシリアルナンバを消去するための手段を設けてもよい。
【0030】
使用制御部28には、リーダ17b〜19b,21bからのシリアルナンバが入力される。この使用制御部28は、この入力されるシリアルナンバと、データベース27に記録されているレコードとに基づいて、機器A17,機器B18,機器C19、及びプールの利用の可否を判定する。
【0031】
上記判定の際には、使用制御部28は、入力されるシリアルナンバが記録されているレコード、すなわちシリアルナンバに対応付けられた管理情報を特定する。各会員のレコードの管理情報には、機器A17,機器B18,機器C19、及びプールの利用の可否が記録されており、使用制御部28は、その管理情報にしたがって利用の可否を判定する。利用が許可されている場合には、使用制御部28は、シリアルナンバを出力したリーダに対応する機器の制限装置またはドア21の施錠装置21aに許可信号を送る。なお、シリアルナンバが記録されているレコードがない場合には、許可信号は送られない。
【0032】
図2にデータベース27の内容を模式的に示す。データベース27には、会員のそれぞれについてレコードRaを記録してあり、1人の会員に1つのレコードRaを記録してある。各レコードRaは、対応する会員の会員ナンバ(No.)、顔情報、管理情報を予め記録してある。また、各レコードRaは、シリアルナンバを記録するシリアルナンバ領域を設けてある。
【0033】
会員ナンバは、例えば会員となった順番に付与されたユニークな数字となっている。顔情報としては、会員となった際に、その会員を撮影した顔画像から顔認識部25と同じ手順で作成された特徴量を記録してある。認証登録部26は、このレコードRaの顔情報と顔認識部25からの顔情報を照合して、受付をした会員のレコードRaを特定する。なお、顔情報として特徴量を用いる代わりに、顔画像を用いパターンマッチング等によって会員のレコードRaを特定してもよい。
【0034】
管理情報は、機器A17,機器B18,機器C19、及びプールのそれぞれについての利用の可否(許可・不許可)を記録してある。これらの利用の可否は、会員の種別や機器の利用指導の受講の有無などに応じて決めてある。
【0035】
シリアルナンバ領域は、認証登録部26によってシリアルナンバが記録され、また消去される。認証登録部26は、受付リーダ12でRFIDタグ11aからシリアルナンバを読み出したときには、顔情報を用いて特定されたレコードRaのシリアルナンバ領域にそのシリアルナンバを記録する。また、認証登録部26は、返却リーダ15でRFIDタグ11aからシリアルナンバを読み出したときには、そのシリアルナンバで特定されるレコードRaから、そのシリアルナンバを消去する。
【0036】
次に上記構成の作用について説明する。会員がスポーツジムを利用する場合には、利用ごとに受付カウンタにおいてリストバンド11の交付を受け、そのリストバンド11を腕に装着する。この後、会員は、設備の利用に先立って、カメラ13に顔を向けながらリストバンド11を受付リーダ12に近接させる。
【0037】
リストバンド11を受付リーダ12に近接させる、それのRFIDタグ11aに記憶されているシリアルナンバが受付リーダ12によって読み出され、これが認証登録部26に送られる。また、このシリアルナンバの読み出しに同期してカメラ13が作動し、会員が撮影される。
【0038】
カメラ13からの撮影画像は、顔認識部25によって顔画像の部分が特定され、その顔画像から撮影した会員の顔の特徴量が取得される。そして、この特徴量が顔情報として認証登録部26に送られる。顔情報が認証登録部26に入力されると、その顔情報とデータベース27の各レコードRaに記録されている顔情報とが照合されることによって、カメラ13で撮影した会員のレコードRaが特定される。なお、レコードRaを特定する際には、レコードRaの顔情報と顔認識部25からの顔情報が完全に一致する必要はなく、そのレコードRaの会員であると特定できる程度で一致すればよい。
【0039】
上記のようにして受付を完了させた会員は、所望とする設備を利用する。そして、会員は、利用する設備に対応するリーダにリストバンド11を近づけてシリアルナンバを読み取らせる。
【0040】
例えば機器A17を利用する場合には、会員は、装着しているリストバンド11をリーダ17bに近づけてシリアルナンバを読み取らせる。すると、リーダ17bからのシリアルナンバが使用制御部28に送られ、使用制御部28によって、そのシリアルナンバがシリアルナンバ領域に記録されているレコードRaが特定される。レコードRaの特定後、使用制御部28によって、そのレコードRaの管理情報の機器A17に対する内容が参照され、シリアルナンバを入力したリーダ17bに対応する機器A17の会員の利用の可否が判定される。
【0041】
その会員の機器A17の利用が許可となっている場合には、使用制御部28からの許可信号が制限装置17aに対して送られることにより、制限装置17aによる機器A17に対する制限が解除されて許容状態となる。これにより、会員は、機器A17を利用することができるようになる。一方、その会員の機器A17の利用が不許可となっている場合には、使用制御部28から許可信号が送られない。このため、会員は、機器A17を利用することはできない。
【0042】
他の機器B18,機器C19を利用する場合についても同様であり、シリアルナンバで特定されたレコードRaの管理情報が調べられ、その機器B18または機器C19の利用が許可されている場合にだけ許可信号が送出されることで、その機器を利用することができるようになる。
【0043】
また、プールを利用する場合には、リーダ21bに装着しているリストバンド11を近づけてシリアルナンバを読み取らせる。同様な手順により、レコードRaが特定されて会員のプ−ル利用の可否が判定される。例えば、プールの利用が許可となっている場合には、使用制御部28から許可信号が施錠装置21aに対して送られることにより、ドア21が解錠される。一方、プールの利用が許可されていない場合には、許可信号が施錠装置21aに対して送られないので、ドア21が施錠された状態を維持する。これにより、プールを利用することができる会員だけがドア21を開けてプールに入ることができる。
【0044】
例えば、図2に示される会員ナンバ「001」の会員の場合、そのレコードRaの管理情報は、機器A17,機器B18,機器C19、及びプールが許可となっているので、その会員がリーダ17b〜19b,21bにリストバンド11を近接させれば、対応する機器の制限装置17a〜17c、または施錠装置21aに許可信号が入力されるので、いずれも利用できる。
【0045】
会員ナンバ「002」の会員の場合には、そのレコードRaの管理情報には、機器A17,機器B18,機器C19については許可となっているので、会員ナンバ「001」の会員の場合と同様にそれら機器のいずれをも利用できる。しかし、会員ナンバ「002」の会員は、プールについては不許可が記録されているので、その会員がリーダ21bにリストバンド11を近接させても、ドア21を開くことはできず、プールを利用することはできない。
【0046】
一方、例えば会員でない非会員が、リストバンド11を勝手に持ち出した場合等では、たとえ会員と同様に上記のようにして受付をしても、その者の顔情報と一致する顔情報が記録されているレコードRaがデータベース27にはなく、シリアルナンバの登録は行われない。したがって、いずれのリーダにリストバンド11を近接させてシリアルナンバを読み取らせても、一致するシリアルナンバが記録されたレコードRaがないから、許可信号が送出されることはない。したがって、非会員の利用を防止することができる。
【0047】
以上のように、この実施形態によれば、複数の設備に対して顔による認証を一度行えばよく、顔による認証のための装置を設備ごとに設ける必要がなく、会員も個々の設備を利用するごとに認証をする必要がなくなるから効率的に設備を利用することができる。
【0048】
上記実施形態では、各会員について予め決められている各設備の利用可否だけに基づいて、利用の可否を判定しているが、複数の条件で設備の利用の可否を判定することもできる。例えば、条件としては、設備の利用可否と、時間による利用の可否との組み合わせがある。この場合には、図3に示すように、各レコードRaの管理情報として、機器A17,機器B18,機器C19、及びプールのそれぞれについての利用の可否とともに、会員の利用時間帯の可否を記録しておく。
【0049】
上記利用時間帯は、例えば「9:00〜17:00」の昼間と、「17:00〜21:00」の夜間とに区分されている。そして、全時間帯で利用できる会員のレコードRaには、昼間と夜間のそれぞれに許可を記録し、また昼間のみ利用可能な会員のレコードRaには昼間にだけに許可を、さらに夜間のみ利用可能な会員のレコードRaには夜間にだけに許可を予め記録しておく。
【0050】
使用制御部28は、シリアルナンバが入力されると、それによって特定されたレコードRaの管理情報のうち、現在の時間に対応する利用時間帯の利用の可否と、シリアルナンバが送られてきたリーダに対応する設備の利用の可否をそれぞれ参照する。そして、いずれもが許可であるときにだけ許可信号を出力する。
【0051】
上記の図3の例では、複数の条件のいずれもが許可となっているときにのみ許可信号を出力するが、他の判断手法であってもよく、例えばいずれか一方の条件が許可であるときに、許可信号を出力するようにしてもよい。
【0052】
上記第1の実施形態では、認証部材としてRFIDタグを用いているが、認証部材としてはこれに限るものではなく、接触、非接触、光学式等の様々な方式で識別子を読み取るものを採用することができる。また、第1,第2の読取手段は、認証部材に応じたものを用いればよい。さらに、識別子は、シリアル番号に限るものではなく、他の認証部材と区別できるような各種情報を採用することができる。
【0053】
[第2実施形態]
第2実施形態における使用管理システムを図4に示す。この第2実施形態では、建物(住居)の各種設備をその使用者である住人に応じて管理するように使用管理システムを設けたものである。
【0054】
第1カメラ31は、建物の玄関の内側に配され、玄関から建物内に入ってくる人物を撮影して出力する。第2カメラ32は、玄関の外側に配され、玄関から建物外に出る人物を撮影して出力する。センサ33は、人物が玄関から建物内に入ってくることを検出するためのものであり、センサ34は、人物が玄関から建物外に出ることを検出するためのものである。第1カメラ31は、センサ33の検出結果に基づいて撮影動作を行い、第2カメラ32は、センサ34の検出結果に基づいて撮影動作を行う。
【0055】
出入方向を検出するための検出手段としてのセンサ33,34としては、例えば赤外線や超音波等を用いて人物の接近と、接近してくる方向を検出するものなどを利用できる。また、第1カメラ31、第2カメラ32によって動画像を撮影し、その動画像から人物の移動方向を検出して出入方向を検出するように構成することもできる。
【0056】
制御装置35は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成されており、これにアプリケーションソフト等をインストールする等して各部機能を実現している。顔認識部36は、第1カメラ31,第2カメラ32からの撮影画像が入力される。この顔認識部36は、撮影画像から人物の顔の領域を特定し、その特定した領域内の顔画像を解析することで撮影した人物の特徴量を顔情報として出力する。
【0057】
顔情報記憶手段としての第1記憶部37には、建物の住人ごとの顔情報が予め書き込んである。判定部38は、顔認識部36からの顔情報と第1記憶部37の顔情報とを照合することにより、第1カメラ31または第2カメラ32で撮影された人物が住人のいずれであるかを判定し、その結果を住人情報として出力する。なお、顔情報としては、顔画像を用いてもよい。
【0058】
状態記憶手段としての第2記憶部39は、住人のそれぞれについての在宅または不在を示す状態情報を記憶する。出入管理部40には、判定部38からの住人情報と、センサ33,34からの各検出結果が入力される。この出入管理部40は、状態情報を更新する更新手段となっており、センサ33,34の検出結果に基づいて、住人情報に示される住人が建物内に入ったのか、建物から出たのかを判別して、第2記憶部39に記憶されている状態情報を更新する。
【0059】
管理情報記憶手段としての第3記憶部41には、住人のそれぞれについてのレコードが記録されている。各レコードは、後述するように建物内の各種設備の利用の可否が管理情報として記録されている。
【0060】
使用制御手段としての建物内制御部42は、第2記憶部39の状態情報と、第3記憶部の管理情報とに基づいて各種設備の利用の可否を制御する。建物内制御部42には、ガスレンジ44に設けた制限装置44a、書斎のドア45の施錠装置45a、建物内のライトの点灯・消灯を制御するライトコントローラ46を接続してある。制限装置44aは、ガスレンジ44に対し、またドア45と施錠装置45aは書斎に対し、ライトコントローラ46はライト47に対して、それぞれ制限手段となっている。
【0061】
制限装置44aは、建物内制御部42からの許可信号が入力されているときにだけ、ガスレンジ44を利用可能にする。この制限装置44aとしては、例えばガスレンジ44に接続されたガス管に設けられ、通常は弁を閉じており許可信号の入力で弁を開放する電磁弁で構成される。施錠装置45aは、例えば電磁式の鍵で構成され、通常は書斎のドア45を施錠した状態とし、建物内制御部42からの許可信号が入力されているときだけ解錠した状態とする。
【0062】
ライトコントローラ46には、建物内の各ライト47を接続してあり、また各ライト47に対応する複数のスイッチからなるスイッチ部48を接続してある。このライトコントロ−ラ46は、建物内制御部42からの許可信号が入力されているときには、スイッチ部48の操作に応じてライト47の点灯・消灯をコントロールし、許可信号が入力されていないときには、スイッチ部48の操作に関わらず全てのライト47を消灯する。
【0063】
図5に示すように、第3記憶部41には、例えば建物の住人である父親、母親、子供の3人分のレコードRbが記録されている。各レコードRbには、対応する住人のガスレンジ44の使用、書斎の出入、ライトのオン/オフの許可・不許可からなる管理情報を予め記録してある。この例では、父親については、全て許可とされ、母親は書斎のドア以外が許可となっている。子供は、ライトのオン・オフだけが許可となっている。
【0064】
建物内制御部42は、在宅情報によって示されている在宅している住人に許可されている設備の制限装置44a,施錠装置45a,ライトコントローラ46に対してだけ許可信号を出力する。
【0065】
上記構成によれば、住人が建物の出入りを行うと、センサ33,34によってそれが検出されて、第1カメラ31あるいは第2カメラ32でその住人が撮影される。そして、撮影画像から顔認識部36によって、その顔の特徴量が求められて顔情報とされ、判定部38が第1記憶部37の顔情報と照合することによって住人が特定される。
【0066】
住人が特定されると、出入管理部40が第2記憶部39にアクセスして、状態情報を更新する。すなわち、センサ33,34の検出結果に基づいて住人が建物から出たと判断されたときには、特定された住人を不在とし、住人が建物に入ったと判断されたときには、特定された住人を在宅とする。このようにして、顔認識により、住人の建物の出入が調べられ、その出入ごとに在宅情報が更新される。
【0067】
建物内制御部42は、第2記憶部39を監視しており、状態情報状態が更新されると、その更新に応じて各許可信号の出力を変化させる。例えば、状態情報が全住人の不在を示しているときには、建物内制御部42からは、制限装置44a、施錠装置45a、ライトコントローラ46のいずれに対しても許可信号が出力されない。
【0068】
上記のような状態で子供が帰宅したときには、状態情報が更新されて子供だけが在宅となる。子供のレコードRbには、ライトのオン・オフだけが許可となっているので、建物内制御部42からは、ライトコントローラ46にだけ許可信号が出力されるようになる。したがって、子供はスイッチ部48を操作してライト47のオン・オフを行うことができる。しかし、ガスレンジ44を操作して点火したり、ドア45を開けて書斎に入ることはできない。
【0069】
母親が帰宅した場合には、状態情報が更新されて母親が在宅となる。また、母親のレコードRbには、書斎のドア45以外が許可となっているので、建物内制御部42からは、制限装置44aとライトコントローラ46とに許可信号が出力された状態になる。これにより、母親は、ライト47のオン・オフとともに、ガスレンジ44の利用が可能になる。子供が在宅しているときに母親が帰宅すれば、ライトコントローラ46に対する許可信号の出力を継続しながら、制限装置44aに許可信号が出力され、母親と子供の両者がライト47のオン・オフ,ガスレンジ44の利用が可能になる。
【0070】
さらに、父親が帰宅した場合には、父親が在宅となる。また、父親のレコードRbには、全てが許可となっているので、建物内制御部42からは、制限装置44aと、施錠装置45aと、ライトコントローラ46とに許可信号が出力された状態になる。したがって、父親はもちろん、母親や子供が在宅していればそれらの者も、ガスレンジ44の利用、書斎のドア45の開閉、ライト47のオン・オフのいずれを利用できるようになる。
【0071】
逆に住人のいずれかが建物から出た場合に、その者だけに許可されていた設備があれば、それについての許可信号が出力されなくなり、他の在宅している住人はその設備を利用することができなくなる。したがって、例えば母親と父親とがの在宅した状態から、父親が外出すると、施錠装置45aの許可信号の出力が停止されるため、母親は書斎のドア45を開くことができなくなる。
【0072】
以上のように、顔による認証のための装置を設備ごとに設ける必要がなく、会員も個々の設備を利用するごとに認証をする必要がなくなるから効率的に設備を利用することができる。
【0073】
上記各実施形態では、スポーツジム、建物(住居)を例にして説明したが、本発明は、アミューズメント施設、駐車場、病院、宿泊施設等様々な施設やエリア、及び様々な設備に利用することができる。特に、人の出入りを管理可能な施設やエリアに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明を実施した第1実施形態の使用管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】データベースに記録されているレコードの内容を示す説明図である。
【図3】複数の条件で設備の利用可否を判定するようにした例におけるレコードの内容を示す説明図である。
【図4】本発明を実施した第2実施形態の使用管理システムの構成を示すブロック図である。
【図5】レコードに記録されている管理情報の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0075】
11a RFIDタグ
13 カメラ
12,15,17b〜19b,21b リーダ
17〜19 機器
17a〜19a 制限装置
21 ドア
21a 施錠装置
25,36 顔認識部
26 認証登録部
27 データベース
28 使用制御部
37,39,41 記憶部
38 判定部
40 出入管理部
42 建物内制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備を使用する使用者の顔画像またはその特徴量と、複数の設備の使用者の使用の可否からなる管理情報とが対応付けられて記録されたデータベースと、
識別子が付与され、使用者に交付される認証部材と、
前記複数の設備の使用に先立って使用者の顔を撮影し顔画像を出力する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影される使用者の認証部材から識別子を読み取り、前記撮影手段からの顔画像に対応した識別子を出力する第1の読取手段と、
前記撮影手段からの顔画像またはその顔画像から取得した特徴量と、前記データベースの顔画像または特徴量とを照合して、撮影された使用者の管理情報を特定し、顔画像に対応する識別子を特定した管理情報に対応付ける認証登録手段と、
前記複数の設備のそれぞれに設けられ、前記認証部材から識別子を読み取る第2の読取手段と、
前記複数の設備のそれぞれに設けられ、設備の使用を制限する複数の制限手段と、
いずれかの前記第2の読取手段で識別子が読み取られた際に、読み取られた識別子について前記認証登録手段によって管理情報が対応付けられ、かつ読み取りを行った第2の読取手段に対応する設備の使用が対応付けられた管理情報によって許可されているときに、対応する設備に設けた前記制限手段による制限を解除する使用制御手段とを備えたことを特徴とする使用管理システム。
【請求項2】
識別子と管理情報との対応付けを解除する解除手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の使用管理システム。
【請求項3】
施設内の設備を使用する使用者と顔画像またはその特徴量とが対応付けられて記録された顔情報記憶手段と、
使用者と複数の設備の使用の可否からなる管理情報とが対応付けられて記録された管理情報記憶手段と、
施設内の各使用者の有無が記録された状態情報を記憶する状態記憶手段と、
施設内に入る人物及び施設外に出る人物を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影される人物の出入方向を検出するための検出手段と、
撮影手段で撮影された撮影画像から人物の顔を検出し、検出した顔に対応する顔画像またはその特徴量を出力する顔認識手段と、
前記顔認識手段からの顔画像または特徴量と、前記顔情報記憶手段の顔画像または特徴量とを照合して、撮影された使用者を判定するする判定手段と、
前記判定手段の判定結果と前記検出結果とに基づいて、前記状態情報を更新する更新手段と、
前記複数の設備のそれぞれに設けられ、設備の使用を制限する複数の制限手段と、
前記状態情報に示される施設内にいる各使用者に対応する各管理情報に基づいて設備の使用の可否を判定、許可された設備に設けた前記制限手段による制限を解除する使用制御手段とを備えたことを特徴とする使用管理システム。
【請求項4】
使用者の顔画像またはその特徴量と設備の使用の可否からなる管理情報とを予め登録しておき、
設備の使用に先立って、使用者の顔画像とともに使用者の認証部材からの識別子を取得し、取得した顔画像またはその特徴量から使用者の管理情報を特定し、この特定した管理情報と取得した識別子とを対応付け、
設備が使用されるときには、使用される設備ごとに使用者の認証部材から識別子を読み取り、その識別子に対応する管理情報に基づいて、当該設備の使用の可否を判定することを特徴とする使用管理方法。
【請求項5】
施設内の設備を使用する使用者と顔画像またはその特徴量とを対応付けるとともに、使用者と複数の設備の使用の可否からなる管理情報とを対応付けておき、
施設を出入りする人物を撮影した撮影画像から撮影された人物の顔画像またはその特徴量を取得し、取得した顔画像または特徴量に基づいて施設を出入りした使用者を判定して、施設内の各使用者の有無を示す状態情報を更新し、
この状態情報に示される施設内にいる各使用者に対応する各管理情報に基づいて設備の使用の可否を判定することを特徴とする使用管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−61266(P2010−61266A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224672(P2008−224672)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】