説明

停止義務地点学習装置及び停止義務地点学習プログラム、並びにこれを用いたナビゲーション装置

【課題】学習効率の低下を最小限に抑えつつ、停止義務情報を関連付ける交差点を適切に決定することのできる停止義務地点学習装置を提供する。
【解決手段】停止義務情報を生成して、当該停止義務情報を一時停止義務がある交差点に関連付けて記憶する停止義務地点学習装置であって、停止義務指標の画像認識を行う画像認識範囲を、各交差点を基準として設定する認識範囲設定手段と、自車位置周辺の画像情報に含まれる、停止義務指標の画像認識を行なう画像認識手段と、停止義務指標の画像認識結果に基づいて停止義務情報を生成する停止義務情報生成手段と、画像認識範囲がN個に亘って順次重複している場合に、当該N個の画像認識範囲を連続する一つの範囲である和範囲とし、当該和範囲に含まれる、画像認識に成功した停止義務指標の個数に基づいて、停止義務情報を関連付ける交差点を決定する停止義務地点決定手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一時停止義務があることを表す停止義務情報を生成して、当該停止義務情報を一時停止義務がある交差点に関連付けて記憶する停止義務地点学習装置及び停止義務地点学習プログラム、並びにこれを用いたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の運転者に対して走行中の道路に関する情報を提供したり、そのような情報に基づいて車両の動作制御への補助或いは介入を行なったりして、車両の運転を支援する各種の技術が提案されている。例えば、車両が走行中の道路の前方に一時停止義務のある交差点がある場合に、それを認識して車両の運転者にその旨を通知したり、交差点手前でエンジンの回転数やブレーキ動作等を制御することにより安全かつ確実に一時停止を実行させたりすることができる運転支援装置が知られている(例えば、以下の特許文献1を参照)。
【0003】
この運転支援装置は、自車位置周辺の画像情報に含まれる一時停止標識の画像認識を行なう画像認識手段と、一時停止標識の画像認識結果に基づいて停止義務情報を自車位置情報と対応付けて記憶する記憶手段とを備える。そして、画像認識手段が一時停止標識の画像認識に成功した場合において、それに対応する情報が記憶手段に存在しない場合、新たな停止義務情報を追加して情報を更新する。そして、運転支援装置は、記憶手段の更新後の記憶内容に基づいて運転支援を行なう。
【0004】
【特許文献1】特開2006−275690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された運転支援装置では、一時停止標識の画像認識結果に基づく停止義務情報を自車位置情報と対応付けて記憶することにより、一時停止義務のある交差点を学習していく。ここで、自車位置情報は、GPS受信機を介してGPS衛星から受信される信号を解析することにより取得することができる。このようにして取得される自車位置情報は、一般に、数メートルから数十メートルの誤差を有している。そのため、一時停止義務のある交差点に対応する一時停止標識の画像認識処理を行う範囲に関しては、自車位置情報が有する誤差の大きさを考慮して設定する必要がある。具体的には、例えば一時停止標識の位置を基準として一定の距離分だけの前後幅を持たせて画像認識範囲を設定する必要がある。
【0006】
しかしながら、このようにして画像認識範囲を設定する場合、複数の交差点どうしが互いに近接している場合には、それぞれの交差点に対応する一時停止標識の画像認識処理を行う画像認識範囲が相互に一部重複してしまう。このような状況が生じてしまう場合の例を図11に示した。図11の例においては、交差点U1と交差点U2とが比較的近接しており、交差点U1に対応する一時停止標識の画像認識範囲X1と交差点U2に対応する一時停止標識の画像認識範囲X2とが、範囲Yにおいて一部重複している。本来的には、画像認識範囲X1で一時停止標識の画像認識に成功した場合には交差点U1に一時停止義務があると判定され、同様に、画像認識範囲X2で一時停止標識の画像認識に成功した場合には交差点U2に一時停止義務があると判定されるはずである。しかし、範囲Yにおいて一時停止標識の画像認識に成功した場合には、交差点U1及び交差点U2のどちらに対応させて停止義務情報を記憶すれば良いかを一意に決定することができない。
【0007】
そのため、複数の画像認識範囲が相互に重複する範囲で一時停止標識の画像認識に成功した場合には、少なくとも停止義務のある交差点が存在することが分かっていながらも、対応付ける交差点が確定できないために学習効率が低下してしまうという問題があった。一方、重複範囲を二分割して二つの交差点に割り振る等の所定の法則に従い、いずれかの交差点に対応させて停止義務情報を記憶させる場合には、現実とは異なる交差点に対応させて記憶してしまう場合があり、現実の状況に合致した運転支援を行うことができない場合があるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、学習効率の低下を最小限に抑えつつ、停止義務情報を関連付ける交差点を適切に決定することのできる停止義務地点学習装置及び停止義務地点学習プログラム、並びにこれを用いたナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するための、本発明に係る一時停止義務があることを表す停止義務情報を生成して、当該停止義務情報を一時停止義務がある交差点に関連付けて記憶する停止義務地点学習装置の特徴構成は、一時停止義務があることを表す停止義務指標の画像認識を行う画像認識範囲を、各交差点を基準として設定する認識範囲設定手段と、自車位置周辺の画像情報に含まれる、前記停止義務指標の画像認識を行なう画像認識手段と、前記停止義務指標の画像認識結果に基づいて前記停止義務情報を生成する停止義務情報生成手段と、前記画像認識範囲がN(Nは2以上の自然数)個に亘って順次重複している場合に、当該N個の前記画像認識範囲を連続する一つの範囲である和範囲とし、当該和範囲に含まれる、画像認識に成功した前記停止義務指標の個数に基づいて、前記停止義務情報を関連付ける交差点を決定する停止義務地点決定手段と、を備える点にある。
【0010】
上記の特徴構成によれば、自車位置周辺の画像情報に含まれる、一時停止義務があることを表す停止義務指標の画像認識結果に基づいて停止義務情報を生成して記憶することで、一時停止義務がある交差点に係る情報を収集することができる。このとき、停止義務地点決定手段により、各交差点を基準として設定される複数の画像認識範囲の和範囲に含まれる、画像認識に成功した停止義務指標の個数に基づいて一時停止義務があることを表す停止義務情報を関連付ける交差点が決定される。この場合、複数の画像認識範囲が相互に重複する範囲で停止義務指標の画像認識に成功した場合であっても、和範囲内において画像認識に成功した停止義務指標の個数次第では停止義務情報を関連付ける交差点を確定させることができる。したがって、学習効率の低下を最小限に抑えつつ、停止義務情報を関連付ける交差点を適切に決定することのできる停止義務地点学習装置を提供することができる。
【0011】
ここで、前記停止義務地点決定手段は、前記和範囲においてN個の前記停止義務指標の画像認識に成功した場合には、前記和範囲を構成するそれぞれの画像認識範囲に対応する交差点に前記停止義務情報を関連付けるように決定する構成とすると好適である。
【0012】
この構成によれば、停止義務地点決定手段は、順次重複する画像認識範囲の個数と画像認識に成功した停止義務指標の個数とが一致する場合には、停止義務指標の画像認識に成功した位置によらずに、それぞれの画像認識範囲に対応する交差点に停止義務情報を関連付けるように決定することができる。よって、いずれかの停止義務指標の画像認識に、複数の画像認識範囲の重複範囲において成功した場合であっても、確実にすべての交差点に停止義務情報を関連付けることができる。
【0013】
また、前記停止義務地点決定手段は、前記和範囲において1個以上N個未満の前記停止義務指標の画像認識に成功した場合に、さらに、隣接する画像認識範囲とは重複しない画像認識範囲である非重複範囲において前記停止義務指標の画像認識に成功した場合には、当該非重複範囲に対応する交差点に前記停止義務情報を関連付けるように決定し、互いに隣接する画像認識範囲どうしが重複する範囲である重複範囲において前記停止義務指標の画像認識に成功した場合には、当該重複範囲を含む複数の前記画像認識範囲に対応する交差点には前記停止義務情報を関連付けないと決定する構成とすると好適である。
【0014】
この構成によれば、停止義務地点決定手段は、和範囲において少なくとも1個の停止義務指標の画像認識に成功した場合であって、かつ順次重複する画像認識範囲の個数と画像認識に成功した停止義務指標の個数とが一致しない場合には、停止義務指標の画像認識に成功した位置に応じて、停止義務情報を関連付ける交差点を適切に決定することができる。つまり、停止義務指標の画像認識に成功した位置が、誤学習のおそれがない非重複範囲である場合にのみ停止義務情報を関連付ける交差点を決定し、停止義務指標の画像認識に成功した位置が、誤学習のおそれがある重複範囲である場合には当該重複範囲を含む複数の画像認識範囲に対応する交差点には停止義務情報を関連付けないと決定することにより、誤学習を抑制しつつ、停止義務指標の画像認識に成功した位置次第では停止義務情報を関連付ける交差点を確定させることができる。
【0015】
また、前記停止義務地点決定手段は、前記和範囲において前記停止義務指標の画像認識に成功しなかった場合には、前記和範囲を構成するそれぞれの画像認識範囲に対応する交差点には前記停止義務情報を関連付けないと決定する構成とすると好適である。
【0016】
この構成によれば、画像情報の中から停止義務指標の画像認識に成功しなかった場合には、和範囲を構成するそれぞれの画像認識範囲に対応する交差点には一時停止義務がないことを適切に決定することができる。
【0017】
また、前記和範囲に含まれる前記画像認識範囲の個数を表す重複範囲数を取得する重複範囲数取得手段と、前記和範囲において画像認識に成功した前記停止義務指標の個数を表す停止義務地点数を計測する停止義務地点数計測手段と、を備え、前記停止義務地点決定手段は、前記重複範囲数及び前記停止義務地点数に基づいて、前記停止義務情報を関連付ける交差点を決定する構成とすると好適である。
【0018】
この構成によれば、重複範囲数取得手段により取得される重複範囲数と、停止義務地点数計測手段により計測される停止義務地点数とを参照することにより、停止義務地点決定手段による停止義務情報を関連付ける交差点を決定する処理を適切に実行することができる。
【0019】
また、交差点に対応するノード及び各交差点を結ぶ道路に対応するリンクにより道路の接続関係を表す道路ネットワーク情報を含む地図情報を記憶した地図情報記憶手段を備え、前記停止義務情報は、前記ノード又は前記リンクの一方端に関連付けて記憶される構成とすると好適である。
【0020】
この構成によれば、地図情報記憶手段に記憶されるノード又はリンクに関する情報を利用して、停止義務情報を一時停止義務がある交差点に適切に関連付けて記憶することができる。よって、例えば、車両の運転者に対して一時停止を促す注意喚起や、車両制御等の各種の用途に適切に利用させることが可能となる。
【0021】
また、前記停止義務指標が、道路の路面に設けられた停止線と、当該停止線に隣接して設けられた「とまれ」の文字列の中の少なくとも一部の文字との組み合せである構成とすると好適である。
【0022】
一般に、一時停止義務のある交差点の手前には、停止線が設けられるとともにその手前には「とまれ」等の文字列が路面上にペイント表示されている。よって、上記の構成を採用することにより、一時停止義務がある交差点を適切に選別することができる。また、停止線及び「とまれ」の文字列の双方の画像認識に成功した場合にのみ停止義務指標の画像認識に成功したと判定されることになるので、誤認識を抑制することができる。さらに、「とまれ」の文字列については、その中の一部の文字のみの画像認識を行なうように構成することで、画像認識の処理負担を軽減することができる。
【0023】
本発明に係るナビゲーション装置の特徴構成は、これまで説明してきた停止義務地点学習装置と、前記停止義務情報に基づいて、前記一時停止義務がある交差点についての案内を行う案内手段と、を備える点にある。
【0024】
この特徴構成によれば、ナビゲーション装置は、上記の停止義務地点学習装置を用いて収集された停止義務情報を参照して一時停止義務がある交差点についての案内を行なうので、もともと地図情報記憶手段に格納されていなかった一時停止義務がある交差点についても、停止義務情報を生成して記憶した後は、例えば、車両の運転者に対して停止義務がある旨の案内を行い、一時停止を促す注意喚起を行なうこと等が可能となる。
【0025】
本発明に係る、一時停止義務があることを表す停止義務情報を生成して、当該停止義務情報を一時停止義務がある交差点に関連付けて記憶する処理をコンピュータに実行させる停止義務地点学習プログラムの特徴構成は、一時停止義務があることを表す停止義務指標の画像認識を行う画像認識範囲を、各交差点を基準として設定する認識範囲設定ステップと、自車位置周辺の画像情報に含まれる、前記停止義務指標の画像認識を行なう画像認識ステップと、前記停止義務指標の画像認識結果に基づいて前記停止義務情報を生成する停止義務情報生成ステップと、前記画像認識範囲がN(Nは2以上の自然数)個に亘って順次重複している場合に、当該連続するN個の前記画像認識範囲を連続する一つの範囲である和範囲とし、当該和範囲に含まれる、画像認識に成功した前記停止義務指標の個数に基づいて、前記停止義務情報を関連付ける交差点を決定する停止義務地点決定ステップと、をコンピュータに実行させる点にある。
【0026】
この特徴構成によれば、自車位置周辺の画像情報に含まれる、一時停止義務があることを表す停止義務指標の画像認識結果に基づいて停止義務情報を生成して記憶する処理をコンピュータに実行させることで、一時停止義務がある交差点に係る情報を収集することができる。このとき、停止義務地点決定ステップで、各交差点を基準として設定される複数の画像認識範囲の和範囲に含まれる、画像認識に成功した停止義務指標の個数に基づいて一時停止義務があることを表す停止義務情報を関連付ける交差点が決定される。この場合、複数の画像認識範囲が相互に重複する範囲で停止義務指標の画像認識に成功した場合であっても、和範囲内において画像認識に成功した停止義務指標の個数次第では停止義務情報を関連付ける交差点を確定させることができる。したがって、学習効率の低下を最小限に抑えつつ、停止義務情報を関連付ける交差点を適切に決定することのできる停止義務地点学習プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。図2は、地図データベースDB1に記憶されている地図情報Mの構成の例を示す図であり、図3は、地物データベースDB2に記憶されている道路標示等の地物情報Fの例を示す図である。図4は、自車両への撮像装置18の配置構成の一例を示す図である。図5は、画像認識範囲Cの設定方法の一例を説明するための説明図であり、図6及び図7は、停止義務地点決定部9による停止義務情報sを関連付ける交差点の決定方法を説明するための説明図である。
【0028】
本実施形態に係るナビゲーション装置1が備える停止義務地点学習装置2は、自車位置周辺の画像情報Gに含まれる、一時停止義務があることを表す停止義務指標Iの画像認識を行ない、画像認識結果に基づいて停止義務情報sを生成する。そして、停止義務地点学習装置2は、当該停止義務情報sを一時停止義務がある交差点に関連付けて記憶していく。また、ナビゲーション装置1は、目的地までの経路案内等の通常の処理を行うとともに、停止義務地点学習装置2が学習して記憶した停止義務情報sを参照して、一時停止義務がある交差点についての案内を行う。
【0029】
図1に示す地点情報収集装置2の各機能部、具体的には、自車位置情報取得部3、画像情報取得部4、認識範囲設定部5、重複範囲数取得部6、画像認識部7、停止義務地点数計測部8、停止義務地点決定部9、停止義務情報生成部10及びナビゲーション用演算部11は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPUなどの演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。そして、これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して相互に情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。また、地図データベースDB1及び地物データベースDB2は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等のように、情報を記憶可能な記録媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウェア構成として備えており、学習データベースDB3は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−RAMを備えたDVDドライブ等のように、情報の書換えが可能な記録媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウェア構成として備えている。以下、本実施形態に係るナビゲーション装置1の各部の構成について詳細に説明する。
【0030】
1.地図データベース
地図データベースDB1は、所定の経度および緯度で区切られた区画と呼ばれる矩形領域毎に分けられた地図情報Mが記憶されたデータベースである。図2は、地図データベースDB1に記憶されている地図情報Mの構成の例を示す図である。この図に示すように、地図情報Mは、交差点に対応する多数のノードnと、各交差点間を結ぶ道路に対応するリンクkとの接続関係により道路ネットワークを表す道路情報Raを有している。各ノードnは、緯度及び経度で表現された地図上の位置(座標)の情報を有している。各リンクkは、ノードnを介して接続されており、その属性情報として、道路種別、地域種別、リンク長、道路幅、リンク形状を表現するための形状補間点等の情報を有している。なお、図2においては、一つの区画の道路情報Raのみを図示し、他の区画の道路情報Raは省略して示している。
【0031】
2.地物データベース
地物データベースDB2は、道路の路面に設けられた地物の情報、すなわち地物情報Fを記憶するデータベースである。図3は、地物データベースDB2に記憶されている道路標示の地物情報Fの例を示す図である。本実施形態において地物データベースDB2に地物情報Fが記憶される地物としては、例えば、道路の路面に設けられた停止線や、当該停止線に隣接して設けられた「とまれ」の文字列等が挙げられる。その他にも、例えば、横断歩道、停止線、最高速度等を表す速度標示、ゼブラゾーン、道路に沿って車線を分ける区画線(実線、破線、二重線等の各種区画線を含む。)、各車線の進行方向を指定する進行方向別通行区分標示(矢印標示、例えば、直進矢印、右折矢印等を含む)等に係る地物情報Fを含んでいても良い。また、地物情報Fが記憶される地物としては、このような道路標示のほか、信号機、標識(例えば、一時停止標識)、陸橋、トンネル等の各種の地物も含めることができる。地物情報Fは、その内容として各地物の位置情報と、それに関連付けられた地物属性情報とを有している。ここで、位置情報は、道路情報Raを構成するリンクk又はノードn等と関連付けられた各地物の代表点の地図上の位置(座標)、及び各地物の向きの情報を有している。また、地物属性情報は、各地物の地物種別を表す種別情報、或いは、地物の形状、大きさ、色彩等の地物形態情報等を含んでいる。ここで、地物種別は、具体的には、「横断歩道」、「停止線」、「速度標示(30km/時)」等のような、基本的に同じ形態を有する地物の種別を表す情報である。また、詳しくは説明しないが、地物情報Fは、画像認識部7による道路上の実際の地物の画像認識処理と合わせて、自車位置情報Pの補正や車両制御等に用いることができる。
【0032】
3.学習データベース
学習データベースDB3は、後述する停止義務情報生成部10により生成される停止義務情報sを記憶するデータベースであり、停止義務情報記憶手段として機能する。この学習データベースDB3には、画像認識部7による停止義務指標I(詳しくは後述する)の画像認識結果に基づいて生成する停止義務情報sが、一時停止義務がある交差点に関連付けて記憶される。
【0033】
4.自車位置情報取得部
自車位置情報取得部3は、自車両の現在位置を示す自車位置情報Pを取得する自車位置情報取得手段として機能する。ここでは、自車位置情報取得部3は、GPS受信機15、方位センサ16、及び距離センサ17と接続されている。ここで、GPS受信機15は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する装置である。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、自車位置情報取得部3へ出力される。自車位置情報取得部3では、GPS受信機15で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、自車両の現在位置(緯度及び経度)、進行方位、移動速度等の情報を取得することができる。方位センサ16は、自車両の進行方位又はその進行方位の変化を検出するセンサである。この方位センサ16は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム、車輪部に取り付ける角度センサ等により構成される。そして、方位センサ16は、その検出結果を自車位置情報取得部3へ出力する。距離センサ17は、自車両の車速や移動距離を検出するセンサである。この距離センサ17は、例えば、車両のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、自車両の加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を積分する回路等により構成される。そして、距離センサ17は、その検出結果としての車速及び移動距離の情報を自車位置情報取得部3へ出力する。
【0034】
そして、自車位置情報取得部3は、これらのGPS受信機15、方位センサ16及び距離センサ17からの出力に基づいて、公知の方法により自車位置を特定する演算を行う。また、自車位置情報取得部3は、地図データベースDB1から自車位置周辺の地図情報Mを取得し、それに基づいて公知のマップマッチングを行うことにより自車位置を地図情報Mに示される道路上に合わせる補正も行う。このようにして、自車位置情報取得部3は、緯度及び経度で表された自車両の現在位置の情報、及び自車両の進行方位の情報を含む自車位置情報Pを取得する。ただし、GPS受信機15によりGPS衛星から受信される信号は、一般に、数メートルから数十メートルの誤差を有している。そのため、このようにして取得される自車位置情報Pも、数メートルから数十メートルの誤差を有することになる。自車位置情報取得部3で得られた自車位置情報Pは、認識範囲設定部5及び地点情報生成部9に出力される。
【0035】
5. 画像情報取得部
画像情報取得部4は、撮像装置18により撮像した自車両の周辺の画像情報Gを取得する画像情報取得手段として機能する。ここで、撮像装置18は、撮像素子を備えた車載カメラ等であって、少なくとも自車両の周辺の道路の路面を撮像可能な位置に設けられている。このような撮像装置18としては、例えば、図4に示すような自車両の後方の路面を撮像するバックカメラを用いると好適である。以下では、このようなバックカメラを用いて自車両の周辺の画像情報Gを取得する例について説明する。画像情報取得部4は、撮像装置18により撮像した画像情報Gをフレームメモリ(不図示)等を介して所定の時間間隔で取り込む。この際の画像情報Gの取り込みの時間間隔は、例えば、10〜50ms程度とすることができる。これにより、画像情報取得部4は、撮像装置18により撮像した複数フレームの画像情報Gを連続的に取得することができる。ここで取得された画像情報Gは、画像認識部7へ出力される。
【0036】
6.認識範囲設定部
認識範囲設定部5は、一時停止義務があることを表す停止義務指標I(詳しくは後述する)の画像認識を行う画像認識範囲Cを、各交差点Tを基準として設定する認識範囲設定手段として機能する。画像認識範囲Cの設定に際しては、図5に示すように、認識範囲設定部5は、まず、自車位置情報P及び地図情報Mに基づき、自車位置よりも進行方向前方側の所定距離D内にある直近の交差点T1に対応するノードn1を抽出する。次に、交差点T1に対応するノードn1の位置を第一の基準点B1として、リンクk(車両の進行方向)に沿って自車位置側へ所定距離Wだけオフセットした位置を第二の基準点B2として求める。ここで、ノードnの位置からオフセットさせる所定距離Wとしては、交差点T1において自車両が走行中の道路と交差する道路の道路幅の1/2に予め設定された一定距離を加えて設定される可変値とすることができる。予め設定される一定距離は、停止義務指標Iと交差点の入口との間の距離の平均値に基づいて設定される固定値(例えば、1メートル)とすると好ましい。一般に、ノードnの位置は交差点Tの中心点に設定されていることから、上記のような距離を所定距離Wとして設定することにより、第二の基準点B2を、交差点Tに進入する直前位置に設けられる場合が多い停止義務指標Iの位置と略同じ位置に設定することができる。交差点Tにおいて自車両が走行中の道路と交差する道路の道路幅に関する情報は、当該道路に対応するリンクkが有する属性情報を参照して取得することができる。
【0037】
次に、認識範囲設定部5は、リンクk(車両の進行方向)に沿って第二の基準点B2の両側にそれぞれ所定距離Eだけ広げた範囲を画像認識範囲C1として設定する。ここで、所定距離Eとしては、上述した自車位置情報Pが有する誤差の最大値に合わせて設定される固定値(例えば、50メートル)とすることができる。このような距離を所定距離Eとして設定することにより、自車位置情報Pが所定の誤差を有していたとしても、第二の基準点B2の位置に停止義務指標Iが存在する場合には、全長が2Eとなる画像認識範囲C内のいずれかの位置において、後述する画像認識部7により画像認識をすることが可能となる。
【0038】
本実施形態においては、認識範囲設定部5は、先に抽出した交差点T1に加えて、当該交差点T1よりもさらに自車位置の進行方向前方側に存在する次の交差点T2に対応するノードn2も抽出する。そして、交差点T2についても上記と同様にして画像認識範囲C2を設定する(図6を参照)。次に、認識範囲設定部5は、画像認識範囲C1と画像認識範囲C2とが部分的に重複しているか否かを判定する。画像認識範囲C1と画像認識範囲C2とが重複していない場合には、認識範囲設定部5は、画像認識範囲C1のみを画像認識範囲Cとして設定する。一方、画像認識範囲C1と画像認識範囲C2とが重複している場合には、認識範囲設定部5は、先に抽出した交差点T1及びT2に加えて、当該交差点T1及びT2よりもさらに自車位置の進行方向前方側に存在する次の交差点T3に対応するノードn3も抽出する。そして、交差点T3についても上記と同様にして画像認識範囲C3を設定する。次に、認識範囲設定部5は、画像認識範囲C2と画像認識範囲C3とが部分的に重複しているか否かを判定する。画像認識範囲C2と画像認識範囲C3とが重複していない場合には、認識範囲設定部5は、画像認識範囲C1及び画像認識範囲C2を画像認識範囲Cとして設定する。一方、画像認識範囲C2と画像認識範囲C3とが重複している場合には、認識範囲設定部5は、先に抽出した交差点T1、T2及びT3に加えて、当該交差点T1、T2及びT3よりもさらに自車位置の進行方向前方側に存在する次の交差点T4に対応するノードn4も抽出する。このような処理を、N(Nは自然数)番目の交差点TNに対応する画像認識範囲CNと(N+1)番目の交差点T(N+1)に対応する画像認識範囲C(N+1)とが重複していないと判断されるまで繰り返す。このようにして、認識範囲設定部5は、N個に亘って順次重複している画像認識範囲C1、C2、・・・、CNを、それぞれ交差点T1、T2、・・・、TNを基準として順次設定する。
【0039】
図6に示す例では、画像認識範囲C1と画像認識範囲C2とが相互に部分的に重複しているが、画像認識範囲C2と画像認識範囲C3とは重複せずに完全に分離している。したがって、図6の例では、認識範囲設定部5は、2個に亘って順次重複している画像認識範囲C1及びC2を、それぞれ交差点T1及びT2を基準として順次設定する。このとき、認識範囲設定部5は、互いに隣接する画像認識範囲Cどうしが重複する範囲である重複範囲L及び隣接する画像認識範囲Cとは重複しない画像認識範囲である非重複範囲Rの設定も行なうように構成されている。図示の例では、画像認識範囲C1は非重複範囲R1と重複範囲L12とに分けられ、画像認識範囲C2は重複範囲L12と非重複範囲R2とに分けられる。そして、画像認識範囲C1及び画像認識範囲C2を連続する一つの範囲として捉えた範囲が本発明における「和範囲A」とされる。すなわち、和範囲Aは、画像認識範囲C1の非重複範囲R1と、画像認識範囲C1と画像認識範囲C2との重複範囲L12と、画像認識範囲C2の非重複範囲R2とに亘る範囲となる。言い換えれば、和範囲Aは、画像認識範囲C1におけるリンクkに沿った車両の進行方向後方側の端部から、画像認識範囲C2におけるリンクkに沿った車両の進行方向前方側の端部までの範囲となる。
【0040】
7.重複範囲数取得部
重複範囲数取得部6は、和範囲Aに含まれる画像認識範囲Cの個数を表す重複範囲数Nl(Nlは自然数)を取得する重複範囲数取得手段として機能する。上述したように、認識範囲設定部5は、自車位置の進行方向前方側に存在する交差点TN、T(N+1)を抽出して、それらの交差点Tにそれぞれ対応する画像認識範囲CN、C(N+1)を設定するとともに、画像認識範囲CNと画像認識範囲C(N+1)とが部分的に重複しているか否かを判定する。そして、このような処理を、画像認識範囲CNと画像認識範囲C(N+1)とが重複していないと判定されるまで繰り返す。本実施形態においては、重複範囲数取得部6は、この画像認識範囲CNと画像認識範囲C(N+1)とが重複していないと判定された際のNの値を、重複範囲数Nlとして取得する。取得された重複範囲数Nlは、停止義務地点決定部9に出力される。
【0041】
8.画像認識部
画像認識部7は、自車位置周辺の画像情報Gに含まれる、停止義務指標Iの画像認識を行なう画像認識手段として機能する。画像認識部7は、認識範囲設定部5により設定された画像認識範囲Cにいて、画像情報Gの中から停止義務指標Iの画像認識を行う。ここで、停止義務指標Iは、一時停止義務がある交差点に対応させて設けられ、当該交差点の手前に一時停止義務がある旨を車両の運転者に通知する指標である。例えば、道路の路肩に設置された一時停止標識(「とまれ」標識)や、道路の路面に設けられた停止線に隣接して設けられた「とまれ」標示等が挙げられる。「とまれ」標示を利用する場合、「とまれ」標示全体を停止義務指標Iとしても良いし、「とまれ」の文字列の中の少なくとも一部の文字を停止義務指標Iとしても良い。さらに、これらと停止線との組み合せを停止義務指標Iとしても良い。本実施形態においては、道路の路面に設けられた停止線と当該停止線に隣接して設けられた「とまれ」の文字列のうちの文字「ま」及び「れ」との組み合せが、停止義務指標Iとされている。
【0042】
したがって、本実施形態においては、画像認識部7は、和範囲Aに含まれる画像認識範囲Cにおいて、画像情報Gの中から停止義務指標Iとして文字「ま」、「れ」及び停止線の画像認識処理を行う。ここで、停止義務指標Iに含まれる文字列「とまれ」のうち、文字「ま」及び「れ」のみについて画像認識処理を行うのは、文字「ま」及び「れ」は、道路上に設けられた各種の地物の中でも比較的エッジが多く、また複雑な形状を有しており、文字らしい特徴を元来備えているので、これらの文字の画像認識に成功すれば、文字列「とまれ」全体の画像認識に成功したとみなすことができるからである。文字「ま」、「れ」及び停止線の画像認識に際しては、画像情報Gに対して二値化処理やエッジ検出処理等を行い、当該画像情報Gに含まれている地物の輪郭情報を抽出する。画像認識部7は、抽出した地物の輪郭情報と停止義務指標Iである文字「ま」、「れ」及び停止線の形態の特徴量とのパターンマッチングを行うことにより、画像情報Gに含まれる文字「ま」、「れ」及び停止線の画像を抽出する。その結果、画像情報Gの中から文字「ま」、「れ」及び停止線の画像を抽出できた場合には、画像認識部7は停止義務指標Iの画像認識に成功したと判定して、その結果を停止義務地点数計測部8及び停止義務情報生成部10に対して出力する。
【0043】
9.停止義務地点数計測部
停止義務地点数計測部8は、和範囲Aにおいて画像認識に成功した停止義務指標Iの個数を表す停止義務地点数Ns(Nsは自然数)を計測する停止義務地点数計測手段として機能する。停止義務地点数計測部8は、停止義務地点数Nsの初期値として「0」を有しており、和範囲Aに含まれる画像認識範囲Cにおいて、画像情報Gの中から停止義務指標Iとしての文字「ま」、「れ」及び停止線の画像認識処理に成功するたびに、停止義務地点数Nsに「1」を加える処理を行なう(Ns=Ns+1)。和範囲Aにおいてすべての画像情報Gについての画像認識処理を終了した際の停止義務地点数Nsは、停止義務地点決定部9に出力される。
【0044】
10.停止義務地点決定部
停止義務地点決定部9は、後述する停止義務情報sを関連付ける交差点Tを決定する停止義務地点決定手段として機能する。本実施形態においては、停止義務地点決定部9は、重複範囲数取得部6から出力された重複範囲数Nl及び停止義務地点数計測部8から出力された停止義務地点数Nsに基づいて、停止義務情報sを関連付ける交差点Tを決定する。以下では、停止義務地点決定部9による停止義務情報sを関連付ける交差点Tの決定方法を説明する。
【0045】
まず、重複範囲数Nlが2以上の場合、少なくとも画像認識範囲C1と画像認識範囲C2とが重複することになり、和範囲Aは画像認識範囲C1から画像認識範囲CNlを連続する一つの範囲として捉えた範囲に一致する。図6に示す例では、画像認識範囲C1及び画像認識範囲C2だけが重複し、画像認識範囲C2と画像認識範囲C3は重複していないので、重複範囲数Nlは「2」となる。このとき、和範囲Aには、画像認識範囲C1の非重複範囲R1と、画像認識範囲C1と画像認識範囲C2との重複範囲L12と、画像認識範囲C2の非重複範囲R2とが含まれる。ここで、画像認識範囲C1の非重複範囲R1における画像情報Gの中から停止義務指標Iの画像認識に成功した場合には、画像認識範囲C1に対応する交差点T1に一時停止義務があると確実に判定することができる。同様に、画像認識範囲C2の非重複範囲R2における画像情報Gの中から停止義務指標Iの画像認識に成功した場合には、画像認識範囲C2に対応する交差点T2に一時停止義務があると確実に判定することができる。一方、画像認識範囲C1と画像認識範囲C2との重複範囲L12における画像情報Gの中から停止義務指標Iの画像認識に成功した場合には、画像認識範囲C1に対応する交差点T1及び画像認識範囲C2に対応する交差点T2のどちらに一時停止義務があるのかを確実に判定することができない。そのため、重複範囲L12で停止義務指標Iの画像認識に成功した場合には、少なくとも一時停止義務のある交差点が存在することが分かっていながらも、対応付ける交差点を確実に判定することができないために学習効率が低下してしまう。そこで、停止義務地点決定部9は、重複範囲数Nlと停止義務地点数Nsとの関係に基づいて、以下の決定パターンにしたがって停止義務情報sを関連付ける交差点Tを決定することで、学習効率の低下を最小限に抑えることを可能としている。
【0046】
決定パターン1
停止義務地点決定部9は、和範囲Aにおける画像情報Gの中から重複範囲数Nlと等しい個数の停止義務指標Iの画像認識に成功した場合、すなわちNs=Nlと判定された場合には、和範囲Aを構成するそれぞれの画像認識範囲Cに対応する交差点Tに停止義務情報sを関連付けるように決定する。
パターン1にしたがった停止義務情報sを関連付ける交差点Tの決定方法を図6を参照して説明する。図6(a)は、2個の画像認識範囲C1及びC2を連続する一つの範囲として捉えた和範囲A内に、自車両が走行中の道路上に2組の停止義務指標Iとしての文字「ま」、「れ」及び停止線が存在している様子を示している。図6(b)〜(d)は、図6(a)に対応させて、進行中の道路上における交差点T、第二の基準点B2(停止義務指標Iに略対応)、及び実際に画像認識に成功した時点における自車位置情報Pが示す地点の位置を簡略化して示している。図6(b)〜(d)においては、交差点Tを「●」で、第二の基準点B2を「△」で、実際に画像認識に成功した時点における自車位置情報Pが示す地点を「☆」で示している(図7においても同様である)。ここで、停止義務指標Iに略対応する第二の基準点B2と、実際に画像認識に成功した時点における自車位置情報Pが示す地点との間の距離が、先に説明した自車位置情報Pが有する誤差に相当することになる。この例では、Ns=Nl=2であるので、決定パターン1では、これらいずれの場合にあっても、停止義務地点決定部9は、それぞれの画像認識範囲C1及びC2に対応する交差点T1及びT2に停止義務情報sを関連付けるように決定する。このような決定パターン1によれば、例えば図6(b)や(d)のように、自車位置情報Pが車両の進行方向に対して後方側或いは前方側に比較的大きな誤差を有している状態(実際の自車位置に対して車両の進行方向後方側或いは前方側に比較的大きくずれた位置を自車位置として認識している状態)のときに、重複範囲L12においていずれか一方の停止義務指標Iの画像認識を行なうことになってしまったとしても、確実に交差点T1及びT2の双方に停止義務情報sを関連付けることができる。よって、学習効率の低下を最小限に抑えることが可能とされている。
【0047】
決定パターン2
停止義務地点決定部9は、和範囲Aにおける画像情報Gの中から1個以上Nl個未満の停止義務指標Iの画像認識に成功した場合、すなわち1≦Ns<Nlと判定された場合には、停止義務指標Iの画像認識に成功した位置に応じて、停止義務情報sを関連付ける交差点Tを可変に決定する。具体的には、画像認識部7が非重複範囲Rにおいて停止義務指標Iの画像認識に成功した場合には、停止義務地点決定部9は、当該非重複範囲Rに対応する交差点Tに停止義務情報sを関連付けるように決定する。一方、画像認識部7が重複範囲Lにおいて停止義務指標Iの画像認識に成功した場合には、停止義務地点決定部9は、当該重複範囲Lを含む複数の画像認識範囲Cに対応する交差点Tには停止義務情報sを関連付けないと決定する。
パターン2にしたがった停止義務情報sを関連付ける交差点Tの決定方法を図7を参照して説明する。図7(a)は、2個の画像認識範囲C1及びC2を連続する一つの範囲として捉えた和範囲A内に、自車両が走行中の道路上に1組の停止義務指標Iとしての文字「ま」、「れ」及び停止線が存在している様子を示している。決定パターン2では、自車位置情報Pが有する誤差の大きさ及び方向性次第では、その処理内容が異なる場合がある。すなわち、例えば図7(b)のように、自車位置情報Pが車両の進行方向に対して後方側に比較的大きな誤差を有している状態(実際の自車位置に対して車両の進行方向後方側に比較的大きくずれた位置を自車位置として認識している状態)では、重複範囲L12において停止義務指標Iの画像認識に成功することになる。そのため、停止義務地点決定部9は、重複範囲L12を含む画像認識範囲C1及びC2に対応する交差点T1及びT2には停止義務情報sを関連付けないと決定する。このようにすれば、停止義務情報sを関連付ける交差点Tを誤って決定することを防止することができる。一方、例えば図7(c)のように、自車位置情報Pが車両の進行方向に対して前方側に比較的大きな誤差を有している状態(実際の自車位置に対して車両の進行方向前方側に比較的大きくずれた位置を自車位置として認識している状態)では、非重複範囲R2において停止義務指標Iの画像認識に成功することになる。そのため、停止義務地点決定部9は、非重複範囲R2に対応する交差点T2に停止義務情報sを関連付けるように決定する。このようにすれば、停止義務情報sを関連付ける交差点Tを誤って決定するおそれがない場合には、停止義務情報sを関連付ける交差点Tを確実に決定し、学習効率の低下を抑制することができる。
【0048】
決定パターン3
停止義務地点決定部9は、和範囲Aにおける画像情報Gの中から停止義務指標Iの画像認識に成功しなかった場合、すなわちNs=0と判定された場合には、和範囲Aを構成するそれぞれの画像認識範囲Cに対応する交差点Tには停止義務情報sを関連付けないと決定する。このようにすれば、画像情報Gの中から停止義務指標Iの画像認識に成功しなかった場合には、和範囲Aを構成するそれぞれの画像認識範囲Cに対応する交差点Tには一時停止義務がないことを適切に決定することができる。
【0049】
なお、重複範囲数Nlが1の場合には、画像認識範囲C1と画像認識範囲C2とは重複しないので、和範囲Aは画像認識範囲C1に一致することになる。この場合、停止義務地点決定部9は、画像認識部7が画像認識範囲C1において停止義務指標Iとしての文字「ま」、「れ」及び停止線の画像認識に成功した場合には、画像認識範囲C1に対応する交差点T1に停止義務情報sを関連付けるように決定する。すなわち、Nl=1の場合に行われる処理は通常通りの処理と同様であり、この場合、停止義務地点決定部9は実質的には何の処理も行わない。
【0050】
11.停止義務情報生成部
停止義務情報生成部10は、停止義務指標Iの画像認識結果に基づいて停止義務情報sを生成する停止義務情報生成手段として機能する。本実施形態においては、停止義務情報sは、一時停止義務があることを表す属性情報として生成される。生成した停止義務情報sは学習データベースDB3に出力され、学習データベースDB3に記憶される。このとき、それぞれの停止義務情報sは、停止義務地点決定部9により決定された結果に従い、関連付けられるべき交差点Tに対応する地図情報Mに関連付けて記憶される。本実施形態においては、それぞれの停止義務情報sは、地図情報Mが有するリンクkの情報に関連付けて記憶される。具体的には、停止義務情報sは、停止義務地点決定部9が決定した停止義務情報sを関連付ける交差点Tに対応するノードnに接続されるリンクkにおける、当該ノードn側のリンク端に関連付けて記憶される。このような位置は、実際に一時停止義務のある交差点に接続される道路端の位置に対応したものとなるので、停止義務情報sを利用して一時停止義務のある交差点の案内を適切に行なうことが可能となる。
【0051】
12.ナビゲーション用演算部
ナビゲーション用演算部11は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路計算、目的地までの進路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行するためにアプリケーションプログラムに従って動作する演算処理手段である。例えば、ナビゲーション用演算部11は、地図データベースDB1から自車両周辺の地図情報Mを取得して表示入力装置19に地図の画像を表示するとともに、当該地図の画像上に、自車位置情報Pに基づいて自位置マークを重ね合わせて表示する処理を行う。また、ナビゲーション用演算部11は、公知の方法により計算された出発地から目的地までの経路と自車位置情報とに基づいて、表示入力装置19及び音声出力装置20の一方又は双方を用いて進路案内を行う。このとき、ナビゲーション用演算部11は、学習データベースDB3に格納された停止義務情報sを参照して、一時停止義務がある交差点Tについての案内を行う。したがって、本実施形態においてナビゲーション用演算部11は、停止義務情報sに基づいて一時停止義務がある交差点Tについての案内を行う案内手段として機能する。なお、ナビゲーション用演算部11は、この他にも、リモートコントローラや表示入力装置19と一体的に設けられたタッチパネルなどのユーザインタフェース等、ナビゲーション装置1として必要な公知の各種構成に接続されている。
【0052】
13.停止義務地点学習処理の手順
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1に適用される、停止義務地点学習装置2において実行される停止義務地点学習処理の手順について説明する。図8は、本実施形態に係る停止義務地点学習プログラムの処理順序を示すフローチャートであり、図9は、停止義務地点決定処理の処理手順を示すフローチャートである。以下に説明する停止義務地点学習処理の手順は、上記の停止義務地点学習装置2の各機能部を構成するハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方の組み合せにより実行される。停止義務地点学習装置2の各機能部がプログラムにより構成される場合には、停止義務地点学習装置2が有する演算処理装置は、上記の各機能部を構成する停止義務地点学習プログラムを実行するコンピュータとして動作する。
【0053】
まず、停止義務地点学習処理の全体の手順について説明する。図8に示すように、まず自車位置情報取得部3は、GPS受信機15、方位センサ16及び距離センサ17からの出力に基づき、自車位置情報Pを取得する(ステップ#01)。次に認識範囲設定部5は、自車位置情報P及び地図情報Mに基づき、自車位置よりも進行方向前方側の所定距離D内にある直近の交差点Tに対応するノードnを抽出し(ステップ#02)、当該交差点Tを基準として、停止義務指標Iの画像認識を行う画像認識範囲Cを設定する(ステップ#03)。次に認識範囲設定部5は、交差点Tよりもさらに自車位置の進行方向前方側に存在する次の交差点T’に対応するノードn’を抽出し(ステップ#04)、当該交差点T’を基準として、停止義務指標Iの画像認識を行う画像認識範囲C’を設定する(ステップ#05)。次に認識範囲設定部5は、画像認識範囲Cと画像認識範囲C’とが相互に重複しているか否かを判定する(ステップ#06)。画像認識範囲Cと画像認識範囲C’とが相互に重複していると判定された場合には(ステップ#06:Yes)、再度ステップ#04からステップ#06の処理を繰り返す。一方、画像認識範囲Cと画像認識範囲C’とが相互に重複していないと判定された場合には(ステップ#06:No)、重複範囲数取得部6は、和範囲Aに含まれる画像認識範囲Cの個数を表す重複範囲数Nlを取得し(ステップ#07)、重複範囲数Nlが2以上であるか否かを判定する(ステップ#08)。重複範囲数Nlが2未満、すなわち「1」であると判定された場合には(ステップ#08:No)、画像認識部7は、画像認識範囲Cにおいて自車位置周辺の画像情報Gに含まれる停止義務指標Iの画像認識を行い(ステップ#13)、その後ステップ#14に進む。一方、重複範囲数Nlが2以上であると判定された場合には(ステップ#08:Yes)、認識範囲設定部5は、それぞれの画像認識範囲Cについて、重複範囲L及び非重複範囲Rの設定を行なう(ステップ#09)。
【0054】
次に画像認識部7は、画像認識範囲Cにおいて自車位置周辺の画像情報Gに含まれる停止義務指標Iの画像認識を行う(ステップ#10)。そして停止義務地点数計測部8は、和範囲Aにおいて画像認識に成功した停止義務指標Iの個数を表す停止義務地点数Nsを計測する(ステップ#11)。次に停止義務地点決定部9は、重複範囲数Nl及び停止義務地点数Nsに基づいて停止義務情報sを関連付ける交差点Tを決定する停止義務地点決定処理を実行する(ステップ#12)。停止義務地点決定処理の手順については後述する。最後に、停止義務情報生成部10は停止義務情報sを生成するとともに、それぞれの停止義務情報sは、関連付けられるべき交差点Tに対応するリンク情報に関連付けて記憶される(ステップ#14)。このとき、ステップ#08で重複範囲数Nlが2以上であると判定されていた場合にあっては、停止義務地点決定処理により決定された結果に従って、それぞれの停止義務情報sが関連付けられるべき交差点Tに対応するリンク情報に関連付けて記憶される。以上で、停止義務地点学習処理を終了する。
【0055】
14.停止義務地点決定処理の手順
次に、ステップ#12の停止義務地点決定処理の詳細について説明する。図9に示すように、まず停止義務地点決定部9は、停止義務地点数Nsと重複範囲数Nlとが等しいか否かを判定する(ステップ#21)。停止義務地点数Nsと重複範囲数Nlとが等しいと判定された場合には(ステップ#21:Yes)、停止義務地点決定部9は、和範囲Aを構成するそれぞれの画像認識範囲Cに対応する交差点Tに停止義務情報sを関連付けるように決定する(ステップ#22)。一方、停止義務地点数Nsと重複範囲数Nlとが等しくないと判定された場合には(ステップ#21:No)、次に停止義務地点決定部9は、停止義務地点数Nsが「0」であるか否かを判定する(ステップ#23)。停止義務地点数Nsが「0」であると判定された場合には(ステップ#23:Yes)、停止義務地点決定部9は、和範囲Aを構成するそれぞれの画像認識範囲Cに対応する交差点Tには停止義務情報sを関連付けないと決定する(ステップ#24)。一方、停止義務地点数Nsが「0」ではない、すなわち停止義務地点数Nsが1以上重複範囲数Nl未満であると判定された場合には(ステップ#23:No)、次に停止義務地点決定部9は、画像認識部7が停止義務指標Iの画像認識に成功した位置が、非重複範囲R内であるか否かを判定する(ステップ#25)。非重複範囲R内であると判定された場合には(ステップ#25:Yes)、停止義務地点決定部9は、当該非重複範囲Rに対応する交差点Tに停止義務情報sを関連付けるように決定する(ステップ#26)。一方、非重複範囲R内ではない、すなわち重複範囲L内であると判定された場合には(ステップ#25:No)、停止義務地点決定部9は、当該重複範囲Lを含む複数の画像認識範囲Cに対応する交差点Tには停止義務情報sを関連付けないと決定する(ステップ#27)。以上で、停止義務地点決定処理を終了する。
【0056】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態においては、交差点T1に対応する画像認識範囲C1と交差点T2に対応する画像認識範囲C2とが重複し、交差点T2に対応する画像認識範囲C2と交差点T3に対応する画像認識範囲C3とは重複しない場合、すなわち重複範囲数Nlが「2」である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本発明は重複範囲数Nlが3以上である場合にも当然適用することができる。図10に、重複範囲数Nlが「4」である場合の例を示した。図示の例にあっては、交差点T1に対応する画像認識範囲C1、交差点T2に対応する画像認識範囲C2、交差点T3に対応する画像認識範囲C3、及び交差点T4に対応する画像認識範囲C4が順次重複している。なお、図示はされていないが、交差点T4に対応する画像認識範囲C4と、交差点T4の次に現れる交差点T5に対応する画像認識範囲C5とは重複していない。この場合、画像認識範囲C1から画像認識範囲C4までを連続する一つの範囲として捉えた範囲が「和範囲A」とされる。そして、画像認識範囲C1は非重複範囲R1と重複範囲L12とに分けられ、画像認識範囲C2は重複範囲L12と非重複範囲R2と重複範囲L23とに分けられる。また、画像認識範囲C3は重複範囲L23と非重複範囲R3と重複範囲L34とに分けられ、画像認識範囲C4は重複範囲L34と非重複範囲R4とに分けられる。
【0057】
この例においては、和範囲Aにおいて画像認識に成功した停止義務指標Iの個数を表す停止義務地点数Nsが「4」であった場合には、停止義務地点決定部9は、和範囲Aを構成するそれぞれの画像認識範囲C1〜C4に対応する交差点T1〜T4に停止義務情報sを関連付けるように決定する。また、和範囲Aにおいて画像認識に成功した停止義務指標Iの個数を表す停止義務地点数Nsが「0」であった場合には、停止義務地点決定部9は、和範囲Aを構成するそれぞれの画像認識範囲C1〜C4に対応する交差点T1〜T4には停止義務情報sを関連付けないと決定する。そして、和範囲Aにおいて画像認識に成功した停止義務指標Iの個数を表す停止義務地点数Nsが「1」から「3」のいずれかであった場合には、画像認識部7が非重複範囲R1、R2、R3、R4のいずれかにおいて停止義務指標Iの画像認識に成功した場合には、停止義務地点決定部9は、当該非重複範囲Rにそれぞれ対応する交差点T1、T2、T3、T4に停止義務情報sを関連付けるように決定する。一方、画像認識部7が重複範囲L12、L23、L34のいずれかにおいて停止義務指標Iの画像認識に成功した場合には、停止義務地点決定部9は、当該重複範囲Lを含む複数の画像認識範囲Cに対応する交差点Tには停止義務情報sを関連付けないと決定する。
【0058】
(2)上記の実施形態においては、停止義務指標Iが存在する位置を中心として画像認識範囲Cが設定され得るようにする目的で、交差点Tに対応するノードnの位置を第一の基準点B1とするとともに、リンクk(車両の進行方向)に沿って自車位置側へ所定距離Wだけオフセットした位置を第二の基準点B2とし、リンクk(車両の進行方向)に沿って第二の基準点B2の両側にそれぞれ所定距離Eだけ広げた範囲を画像認識範囲Cとして設定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第二の基準点B2を設定することなく、交差点Tに対応するノードnの位置の両側にそれぞれ所定距離Eだけ広げた範囲を画像認識範囲Cとして設定しても良い。この場合、停止義務指標Iが存在する位置が画像認識範囲Cの中心と略一致しなくなる状況も生じ得るが、画像認識範囲Cの設定方法を単純化し、そのための処理負荷を軽減することができる。
【0059】
(3)上記の実施形態においては、所定距離Wを、交差点T1において自車両が走行中の道路と交差する道路の道路幅の1/2に予め設定された一定距離を加えて設定される可変値とするとともに、所定距離Eを、自車位置情報Pが有する誤差の最大値に合わせて設定される固定値とする場合を例として説明した。しかし、所定距離Wや所定距離Eの大きさの設定は任意であり、これらに限定されない。例えば、所定距離Wを予め設定された固定値としたり、所定距離Eを、マップマッチング処理後の走行距離に応じて設定される可変値としたりしても良い。
【0060】
(4)上記の実施形態においては、道路の路面に設けられた停止線と、当該停止線に隣接して設けられた「とまれ」の文字列のうちの文字「ま」及び「れ」との組み合せを停止義務指標Iとして設定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば道路の路面に設けられた停止線と当該停止線に隣接して設けられた「とまれ」の文字列全体を停止義務指標Iとして設定することができる。また、一時停止義務があることを表す指標となり得るものであれば、これ以外にも、一時停止標識や、一時停止標識と停止線との組み合せ等を停止義務指標Iとして設定することもできる。
【0061】
(5)上記の実施形態においては、生成した停止義務情報sが関連付けられるべき交差点Tに対応するリンク情報に関連付けて記憶される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、生成した停止義務情報sを、関連付けられるべき交差点Tに対応するノード情報に関連付けて記憶する構成としても良い。この構成の場合、地図情報Mを構成するノードn自体が交差点に対応したものであることから、停止義務情報sを関連付けるべき一時停止義務のある交差点との対応が取りやすいというメリットがある。この場合にあっては、当該ノードnに接続されるリンクkのうち、どのリンクkとの接続部側に一時停止義務があるかを示す情報も合わせて記憶させておくことが好ましい。
【0062】
(6)上記の実施形態においては、生成した停止義務情報sが学習データベースDB3に記憶される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば学習データベースDB3を設けずに、生成した停止義務情報sが、ノードn及びリンクkで構成される道路ネットワーク情報に関連付けられて、地図データベースDB1に直接記憶されるように構成してあっても良い。この場合にあっては、地図データベースDB1を、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−RAMを備えたDVDドライブ等のように、情報の書換えが可能な記録媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウェア構成として備えた構成としておく。
【0063】
(7)上記の実施形態においては、自車両の後方の路面を撮像するバックカメラを用いて自車両の周辺の画像情報Gを取得する例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば路面を含む自車両の前方の状況を撮像するフロントカメラを用いて自車両の周辺の画像情報Gを取得する構成としてあっても良い。一般的にフロントカメラは、自車両前方の比較的広範囲の画像情報Gを取得するように設けられることが多いので、例えば一時停止標識を停止義務指標Iとして設定する場合における撮像装置18の構成として適している。
【0064】
(8)上記の各実施形態においては、停止義務地点学習装置2及びナビゲーション装置1の全ての構成が車両に積載されている場合を念頭において説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、停止義務地点学習装置2及びナビゲーション装置1の一部が、通信ネットワークを介して車外に設けられた構成としてあっても良い。例えば、各機能部、各データベースの一部又は全部を、外部サーバーに設けた構成として、通信ネットワークを介在させて停止義務地点学習処理及びナビゲーション処理を行うように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、一時停止義務があることを表す停止義務情報を生成して、当該停止義務情報を一時停止義務がある交差点に関連付けて記憶する停止義務地点学習装置及び停止義務地点学習プログラム、並びにこれを用いたナビゲーション装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図
【図2】地図データベースに記憶されている地図情報の構成の例を示す図
【図3】地物データベースに記憶されている道路標示の地物情報の例を示す図
【図4】自車両への撮像装置の配置構成の一例を示す図
【図5】画像認識範囲の設定方法の一例を説明するための説明図
【図6】停止義務地点決定手段による停止義務情報を関連付ける交差点の決定方法を説明するための説明図
【図7】停止義務地点決定手段による停止義務情報を関連付ける交差点の決定方法を説明するための説明図
【図8】本実施形態に係る停止義務地点学習プログラムの処理順序を示すフローチャート
【図9】停止義務地点決定処理の処理手順を示すフローチャート
【図10】別実施形態に係る停止義務地点決定手段による停止義務情報を関連付ける交差点の決定方法を説明するための説明図
【図11】従来技術の課題を説明するための説明図
【符号の説明】
【0067】
1 ナビゲーション装置
2 停止義務地点学習装置
5 認識範囲設定部(認識範囲設定手段)
6 重複範囲数取得部(重複範囲数取得手段)
7 画像認識部(画像認識手段)
8 停止義務地点数計測部(停止義務地点数計測手段)
9 停止義務地点決定部(停止義務地点決定手段)
10 停止義務情報生成部(停止義務情報生成手段)
11 ナビゲーション用演算部
DB1 地図データベース(地図情報記憶手段)
G 画像情報
M 地図情報
n ノード
k リンク
s 停止義務情報
I 停止義務指標
C 画像認識範囲
A 和範囲
L 重複範囲
R 非重複範囲
Nl 重複範囲数
Ns 停止義務地点数
T 交差点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時停止義務があることを表す停止義務情報を生成して、当該停止義務情報を一時停止義務がある交差点に関連付けて記憶する停止義務地点学習装置であって、
一時停止義務があることを表す停止義務指標の画像認識を行う画像認識範囲を、各交差点を基準として設定する認識範囲設定手段と、
自車位置周辺の画像情報に含まれる、前記停止義務指標の画像認識を行なう画像認識手段と、
前記停止義務指標の画像認識結果に基づいて前記停止義務情報を生成する停止義務情報生成手段と、
前記画像認識範囲がN(Nは2以上の自然数)個に亘って順次重複している場合に、当該N個の前記画像認識範囲を連続する一つの範囲である和範囲とし、当該和範囲に含まれる、画像認識に成功した前記停止義務指標の個数に基づいて、前記停止義務情報を関連付ける交差点を決定する停止義務地点決定手段と、
を備える停止義務地点学習装置。
【請求項2】
前記停止義務地点決定手段は、前記和範囲においてN個の前記停止義務指標の画像認識に成功した場合には、前記和範囲を構成するそれぞれの画像認識範囲に対応する交差点に前記停止義務情報を関連付けるように決定する請求項1に記載の停止義務地点学習装置。
【請求項3】
前記停止義務地点決定手段は、前記和範囲において1個以上N個未満の前記停止義務指標の画像認識に成功した場合に、さらに、
隣接する画像認識範囲とは重複しない画像認識範囲である非重複範囲において前記停止義務指標の画像認識に成功した場合には、当該非重複範囲に対応する交差点に前記停止義務情報を関連付けるように決定し、
互いに隣接する画像認識範囲どうしが重複する範囲である重複範囲において前記停止義務指標の画像認識に成功した場合には、当該重複範囲を含む複数の前記画像認識範囲に対応する交差点には前記停止義務情報を関連付けないと決定する請求項1又は2記載の停止義務地点学習装置。
【請求項4】
前記停止義務地点決定手段は、前記和範囲において前記停止義務指標の画像認識に成功しなかった場合には、前記和範囲を構成するそれぞれの画像認識範囲に対応する交差点には前記停止義務情報を関連付けないと決定する請求項1から3のいずれか一項に記載の停止義務地点学習装置。
【請求項5】
前記和範囲に含まれる前記画像認識範囲の個数を表す重複範囲数を取得する重複範囲数取得手段と、
前記和範囲において画像認識に成功した前記停止義務指標の個数を表す停止義務地点数を計測する停止義務地点数計測手段と、を備え、
前記停止義務地点決定手段は、前記重複範囲数及び前記停止義務地点数に基づいて、前記停止義務情報を関連付ける交差点を決定する請求項1から4のいずれか一項に記載の停止義務地点学習装置。
【請求項6】
交差点に対応するノード及び各交差点を結ぶ道路に対応するリンクにより道路の接続関係を表す道路ネットワーク情報を含む地図情報を記憶した地図情報記憶手段を備え、
前記停止義務情報は、前記ノード又は前記リンクの一方端に関連付けて記憶される請求項1から5のいずれか一項に記載の停止義務地点学習装置。
【請求項7】
前記停止義務指標が、道路の路面に設けられた停止線と、当該停止線に隣接して設けられた「とまれ」の文字列の中の少なくとも一部の文字との組み合せである請求項1から6のいずれか一項に記載の停止義務地点学習装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の停止義務地点学習装置と、
前記停止義務情報に基づいて、前記一時停止義務がある交差点についての案内を行う案内手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項9】
一時停止義務があることを表す停止義務情報を生成して、当該停止義務情報を一時停止義務がある交差点に関連付けて記憶する処理をコンピュータに実行させる停止義務地点学習プログラムであって、
一時停止義務があることを表す停止義務指標の画像認識を行う画像認識範囲を、各交差点を基準として設定する認識範囲設定ステップと、
自車位置周辺の画像情報に含まれる、前記停止義務指標の画像認識を行なう画像認識ステップと、
前記停止義務指標の画像認識結果に基づいて前記停止義務情報を生成する停止義務情報生成ステップと、
前記画像認識範囲がN(Nは2以上の自然数)個に亘って順次重複している場合に、当該連続するN個の前記画像認識範囲を連続する一つの範囲である和範囲とし、当該和範囲に含まれる、画像認識に成功した前記停止義務指標の個数に基づいて、前記停止義務情報を関連付ける交差点を決定する停止義務地点決定ステップと、
をコンピュータに実行させる停止義務地点学習プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−8390(P2010−8390A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171695(P2008−171695)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】