説明

光電変換素子及びその製造方法並びに撮像素子

【課題】暗電流の発生の少ない光電変換素子及び固体撮像素子を提供すること。
【解決手段】 導電性膜と、光電変換膜と、透明導電性膜とを含む光電変換素子であって、前記光電変換膜が、結晶化したフラーレン又はフラーレン誘導体を含み、前記結晶化したフラーレン又はフラーレン誘導体が、前記導電性膜の膜面に対して垂直に(111)方向に配向している、電変換素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子及びその製造方法並びに撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子としては、半導体中に光電変換部位を2次元的に配列して画素とし、各画素で光電変換により発生した信号をCCDやCMOS形式により電荷転送、読み出す、平面型受光素子が広く用いられている。従来の光電変換部位は、一般にSiなどの半導体中にpn接合を形成するなどして形成されている。
近年、多画素化が進む中で画素サイズが小さくなっており、フォトダイオード部の面積が小さくなり、開口率の低下、集光効率の低下が問題になっている。開口率等を向上させる手法として、有機材料を用いた有機光電変換膜を有する固体撮像素子が検討されている。
【0003】
有機光電変換素子においては、高いS/N比を得ることが重要な課題の1つである。有機光電変換素子のS/N比を高くするには、光電変換効率の向上、低暗電流化が必要とされる。光電変換効率を向上させる技術としては、光電変換膜においてpn接合やバルクへテロ構造を導入することが検討されている。また、低暗電流化のための技術としては、ブロッキング層の導入等が検討されている。
【0004】
pn接合やバルクへテロ構造の導入する場合、暗電流の増大が問題になることが多い。
また、光電変換効率の改善程度も材料の組み合わせにより程度の差があり、特にバルクへテロ構造を導入する方法をとる場合、バルクへテロ構造導入前に対しS/Nが増大しない場合もあり、どの材料を組み合わせるかが重要となる。
【0005】
また、使用する材料の種類、光電変換膜の膜構造は、光電変換効率(励起子解離効率、電荷輸送性)、暗電流(暗時キャリア量等)の主要因の一つであるとともに、これまでの報告ではほとんど触れられていないが、信号応答速度の支配因子となる。特に、光電変換素子を固体撮像素子として用いる場合、高光電変換効率、低暗電流、高速応答速度を全て満たすことが重要あるが、そのような性能を満たす有機光電変換材料、素子構造はこれまで具体的に示されていない。
【0006】
有機光電変換膜において、高光電変換効率(高励起子解離効率)の発現、高速応答性(高電子輸送性)のために、フラーレン又はフラーレン誘導体を用いたバルクへテロ構造を導入する技術が知られている。
例えば特許文献1において、フラーレン又はフラーレン誘導体を含有する光電変換膜が開示されている。しかしながら、光電変換効率や応答速度の向上及び暗電流の低減においてさらなる改良が求められている。
【0007】
また、特許文献2には、複数の有機半導体によるバルクヘテロ膜を用い、かつ少なくとも1つの有機半導体が結晶粒子となっている太陽電池が記載されているが、高速応答性や暗電流の低減について開示されておらず、光電変換素子の撮像素子への適用に関する記載もない。
更に、非特許文献1において、高効率化に関して光電変換膜の膜構造の重要性が示唆されている。しかしながら、非特許文献1における光電変換素子も太陽電池を意図したものであり、かかる文献に記載の技術をそのまま撮像センサに適用すると、使用材料、膜構造に起因する暗電流が大きく、撮像素子として使用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−123707号公報
【特許文献2】特開2002−076391号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Jpn.J.Appl.Phys,43,L1014(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、高効率、高速応答で、かつ暗電流が低い光電変換素子及び固体撮像素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は以下の手段により解決することができる。
(1)導電性膜と、光電変換膜と、透明導電性膜とを含む光電変換素子であって、
前記光電変換膜が、結晶化したフラーレン又はフラーレン誘導体を含み、
前記結晶化したフラーレン又はフラーレン誘導体が、前記導電性膜の膜面に対して垂直に(111)方向に配向している、光電変換素子。
(2)前記光電変換膜が、前記フラーレン又はフラーレン誘導体以外に少なくとも1種の有機材料を含む、上記(1)に記載の光電変換素子。
(3)前記導電性膜と、前記光電変換膜と、前記透明導電性膜とがこの順に積層された、上記(1)又は(2)に記載の光電変換素子。
(4)上記(2)又は(3)に記載の光電変換素子の製造方法であって、
基板上に、前記導電性膜、前記光電変換膜、及び前記透明導電性膜を形成する工程を含み、
前記光電変換膜の形成において、フラーレン又はフラーレン誘導体と、それ以外の少なくとも1種の有機材料とを共蒸着する工程を含む、光電変換素子の製造方法。
(5)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法であって、
基板上に、前記導電性膜、前記光電変換膜、及び前記透明導電性膜を形成する工程を含み、
前記光電変換膜の形成において、基板を加熱した状態でフラーレン又はフラーレン誘導体を蒸着することで該フラーレン又はフラーレン誘導体が結晶化した部位の形成を行う工程を含む、光電変換素子の製造方法。
(6)前記フラーレン又はフラーレン誘導体の蒸着速度が0.5〜3Å/sである、上記(4)又は(5)に記載の製造方法。
(7)前記フラーレン又はフラーレン誘導体を蒸着する際の基板温度が100℃以下である、上記(4)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法。
(8)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光電変換素子又は上記(4)〜(7)のいずれか1項に記載の製造方法により製造された光電変換素子を備えた撮像素子であって、
前記光電変換膜が上方に積層された半導体基板と、
前記半導体基板内に形成され、前記光電変換膜で発生した電荷を蓄積するための電荷蓄積部と、
前記光電変換膜の電荷を前記電荷蓄積部へ伝達するための接続部とを備えた撮像素子。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光電変換効率及び高速応答性に優れ暗電流が低い光電変換素子及び固体撮像素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】光電変換素子の構成例の一例を示す断面模式図である。
【図2】光電変換素子の他の構成例を示す断面模式図である。
【図3】撮像素子の1画素分の断面模式図である。
【図4】他の構成例の撮像素子の1画素分の断面模式図である。
【図5】他の構成例の撮像素子の1画素分の断面模式図である。
【図6】実施例1におけるフラーレンC60を含む共蒸着層のX線回折パターンを示す。
【図7】実施例2におけるフラーレンC60を含む共蒸着層のX線回折パターンを示す。
【図8】比較例1におけるフラーレンC60を含む共蒸着層のX線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[光電変換素子]
本発明の光電変換素子は、導電性膜と、光電変換膜と、透明導電性膜とを含む。該導電性膜と、該光電変換膜と、該透明導電性膜がこの順に積層されている形式が好ましい。
以下、本発明の光電変換素子の好適な実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る光電変換素子の構成例を示す。図1に示す光電変換素子10は、基板Sと、基板S上に形成された下部電極として機能する導電性薄膜(以下、下部電極とする)11と、下部電極11上に形成された光電変換層12と、上部電極として機能する透明導電性膜(以下、上部電極とする)15とがこの順に積層された構成である。図1示す光電変換素子10において、光電変換層12が光電変換膜を形成する。
【0015】
また、図2に別の光電変換素子の構成例を示す。図2に示す光電変換素子は、電荷ブロッキング層(電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層)を備えた構成である。図2(a)に示す光電変換素子10aは、下部電極11と光電変換層12との間に電子ブロッキング層16Aを備えた構成であり、図2(b)に示す光電変換素子10bは、更に上部電極15と光電変換層12との間に正孔ブロッキング層16Bを備えた構成である。図2に示す光電変換素子10aにおいて、光電変換層12と電荷ブロッキング層が光電変換膜を形成する。
図2に示すように、電子ブロッキング層16A、正孔ブロッキング層16Bを設けることにより、電圧が印加されたときに電極から光電変換層12に電子又は正孔の注入を抑制することができ、より確実に暗電流の低減を図ることができる。
なお、図2に示す構成は、電子を上部電極15に移動させ、正孔を下部電極11に移動させるように電圧を印加させる(すなわち、上部電極15を電子取り出し用電極とする)構成であるが、電子を下部電極11に移動させ、正孔を上部電極15に移動させるように電圧を印加させる(すなわち、下部電極11を電子取り出し用電極とする)場合は、下部電極11と光電変換層12との間に正孔ブロッキング層、上部電極15と光電変換層12との間に電子ブロッキング層を形成する。
また、電荷ブロッキング層を複数形成する構成とすることもできる。
【0016】
本実施形態に係る光電変換素子を構成する要素について説明する。
(電極)
電極(上部電極(透明導電性膜)15と下部電極(導電性膜)11)は、導電性材料から構成される。導電性材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などを用いることができる。
上部電極15から光が入射されるため、上部電極15は検知したい光に対し十分透明である事が必要である。具体的には、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属薄膜、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、高導電性、透明性等の点から、導電性金属酸化物である。上部電極15は光電変換層12上に成膜するため、該光電変換層12の特性を劣化させることのない方法で成膜される事が好ましい。
【0017】
下部電極11は、用途に応じて、透明性を持たせる場合と、逆に透明を持たせず光を反射させるような材料を用いる場合等がある。具体的には、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、アルミ等の金属及びこれらの金属の酸化物や窒化チタンなどの窒化物などの導電性化合物、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0018】
電極を形成する方法は特に限定されず、電極材料との適正を考慮して適宜選択することができる。具体的には、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等により形成することができる。
電極の材料がITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で形成することができる。更に、ITOを用いて作製された膜に、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。
【0019】
上部電極15はプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーで上部電極15を作成することで、プラズマが基板に与える影響を少なくすることができ、光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、上部電極15の成膜中にプラズマが発生しないか、プラズマ発生源から基体までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基体に到達するプラズマが減ずるような状態を意味する。
【0020】
上部電極15の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置がある。EB蒸着装置パルスレーザー蒸着装置については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
【0021】
プラズマ発生源から基体への距離が2cm以上であって基体へのプラズマの到達が減ずるような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)については、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着法などが考えられ、それらについては沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。
【0022】
透明な導電性金属酸化物(TCO)などの透明導電膜を上部電極15とした場合、DCショート、あるいはリーク電流増大が生じる場合がある。この原因の一つは、光電変換層12に導入される微細なクラックがTCOなどの緻密な膜によってカバレッジされ、反対側の第一電極膜11との間の導通が増すためと考えられる。そのため、Alなど膜質が比較して劣る電極の場合、リーク電流の増大は生じにくい。上部電極15の膜厚を、光電変換層12の膜厚(すなわち、クラックの深さ)に対して制御する事により、リーク電流の増大を大きく抑制できる。上部電極15の厚みは、光電変換層12厚みの1/5以下、好ましくは1/10以下であるようにする事が望ましい。
【0023】
通常、導電性膜をある範囲より薄くすると、急激な抵抗値の増加をもたらすが、本実施形態に係る光電変換素子を組み込んだ固体撮像素子では、シート抵抗は、好ましくは100〜10000Ω/□でよく、薄膜化できる膜厚の範囲の自由度は大きい。また、上部電極(透明導電性膜)15は厚みが薄いほど吸収する光の量は少なくなり、一般に光透過率が増す。光透過率の増加は、光電変換層12での光吸収を増大させ、光電変換能を増大させるため、非常に好ましい。薄膜化に伴う、リーク電流の抑制、薄膜の抵抗値の増大、透過率の増加を考慮すると、上部電極15の膜厚は、5〜100nmであることが好ましく、更に好ましくは5〜20nmである事が望ましい。
【0024】
(光電変換層)
光電変換膜は、フラーレン又はフラーレン誘導体を含有し、好ましくは更にフラーレン又はフラーレン誘導体以外の有機材料を少なくとも1種含有する。光電変換膜は、好ましくは、フラーレン又はフラーレン誘導体と、それ以外の少なくとも1種の有機材料が混合、若しくは積層された状態で形成される。フラーレン又はフラーレン誘導体は光電変換膜中の光電変換層に含有されることが好ましい。フラーレン又はフラーレン以外の少なくとも1種の有機材料は、光電変換層に用いる場合、光電変換材料であることが好ましい。光電変換材料は、光を吸収して電荷に変換するのに用いる材料であり、例えば後述のp型有機半導体材料などが挙げられる。
フラーレンとは、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブを表す。
フラーレン誘導体とは、フラーレンに置換基が付加された化合物である。置換基としては、アルキル基、アリール基、又は複素環基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。複素環基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
フラーレン誘導体としては、特に以下の化合物が好ましい。
【0025】
【化1】

【0026】
【化2】

【0027】
また、フラーレン及びフラーレン誘導体としては、日本化学会編 季刊化学総説No.43(1999)、特開平10−167994号公報、特開平11−255508号公報、特開平11−255509号公報、特開2002−241323号公報、特開2003−196881号公報等に記載の化合物を用いることもできる。
【0028】
光電変換膜中においては、結晶化したフラーレン又はフラーレン誘導体が含まれており、この結晶化したフラーレン又はフラーレン誘導体が導電性膜の膜面(又は基板面)に対して垂直に(111)方向に配向している。
本発明ではフラーレン又はフラーレン誘導体が導電性膜の膜面(又は基板面)に垂直に(111)方向に配向している。即ち、導電性膜の膜面(又は基板面)に対して略90°(X線回折による測定で、(111)の方向の指数のみが観察される状態。即ち、他の指数のピークが、無配向状態時のピーク強度の((111)方向の指数ピークに対する強度比が)1%未満)の方向が、結晶の(111)方向となるようにフラーレン又はフラーレン誘導体が配向している。本発明には、光電変換層膜が、結晶化したフラーレン又はフラーレン誘導体からなる部位と、結晶化せず無配向(例えばアモルファス)なフラーレン又はフラーレン誘導体からなる部位との積層構造からなる場合などがあり得る。結晶化した部位の検出は、断面TEM像での電子線回折が存在する部位を計測することで求めることができる。
フラーレン又はフラーレン誘導体が結晶化した状態であるか否かは、フラーレン又はフラーレン誘導体を含む光電変換膜のX線回折像や断面の電子線回折像に、フラーレン又はフラーレン誘導体の結晶構造に由来する結晶ピークあるいは回折点が認められるかどうかで判断できる。
フラーレン又はフラーレン誘導体の少なくとも一部が結晶化した状態であることにより、更に高い光電変換効率が得られるとともに、フラーレン又はフラーレン誘導体のキャリアパスが有効に形成された状態となるので、素子の高速応答性に更に寄与することができる。
フラーレン又はフラーレン誘導体の少なくとも一部を結晶化させる手段としては、適当な光電変換材料を選択した上で、フラーレン類の比率を上げること、成膜中に基板を加熱すること等が挙げられる。
【0029】
また、フラーレン又はフラーレン誘導体が前記(111)方向に配向した状態であることは、基板上に成膜した光電変換膜をX線回折法で測定することにより、フラーレン又はフラーレン誘導体の結晶のピークが観察され、かつ該ピークが基板に垂直な方向に対して(111)方向の指数のみ複数((111)、(222)、(333)など)観測されることから確認できる。
フラーレン又はフラーレン誘導体が基板面に対して垂直な方向に(111)方向に配向していることにより、ランダムに結晶化した構造を含む場合よりもフラーレンフラーレン誘導体を含む光電変換膜の凹凸が抑制され、それにより上部電極がその凹凸に入り込んで下部電極と近接してリーク電流が増大する事が抑制されたり、光電変換層の上に成膜する層(例えば電荷ブロッキング層)の平坦性、カバレッジが向上するため注入電流が抑制されたりする事となり、高い暗電流抑制効果が得られる。この観点から、光電変換膜中のフラーレン又はフラーレン誘導体が結晶化した部位においては、一様に(配向方向が同じに)結晶化していることが好ましく、該部位において50〜100%のフラーレン又はフラーレン誘導体が(111)方向に結晶化していることが好ましく、80〜100%のフラーレン又はフラーレン誘導体が(111)方向に結晶化していることが好ましい。結晶化している割合、及び一様に結晶化している割合は、X線回折によるピークの比率や断面TEM像での電子線回折により求めることができる。
【0030】
フラーレン又はフラーレン誘導体の前記結晶方向を制御するには、成膜時における基板温度及び蒸着速度等を調節することでも前記結晶方向を実現することができる。具体的には、基板温度をより高い温度で加熱し、蒸着速度をより遅い速度にすることが好ましい。但し、過度に高温、低蒸着速度にすると、フラーレン又はフラーレン誘導体の結晶化が促進され、フラーレン又はフラーレン誘導体と光電変換材料との混合層における膜面の凹凸が増大することがある。膜面の凹凸が増大すると、その上層に電極を敷設した際、ショート(リーク電流)が増大する原因となり、暗電流が増大するため、好ましくない。
【0031】
基板温度は、光電変換膜中に存在するフラーレン又はフラーレン誘導体以外の材料の種類、フラーレン又はフラーレン誘導体の含有比率等によって異なるが、120℃以下とすることが好ましく、100℃以下とすることがより好ましい。基板温度の下限は、60℃とすることが好ましく、70℃とすることがより好ましい。
また、蒸着速度は、光電変換膜中に存在するフラーレン又はフラーレン誘導体以外の、フラーレン又はフラーレン誘導体の含有比率等によって異なるが、0.1〜15Å/sとすることが好ましく、0.5〜3.0Å/sとすることがより好ましい。
【0032】
また、光電変換膜中に存在するフラーレン以外の材料の種類やフラーレン又はフラーレン誘導体の比率を変更することによっても膜凹凸の増大が抑制しつつ前記結晶方向を実現することができるので、素子の感度、高速応答性、低暗電流性が優れたものとなる。
具体的には、フラーレン及びフラーレン誘導体の含有量は、光電変換層中50モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましく、75モル%以上が更に好ましい。
また、含有量の上限は、90モル%が好ましいい。
【0033】
更に、フラーレン又はフラーレン誘導体と、それ以外の少なくとも1種の材料による光電変換層(例えば混合層)の上に、凹凸を緩和する層を積層することによっても、前記膜面凹凸を抑制することができる。この膜凹凸を緩和する層としては、電荷ブロック層(電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層)がその効果を担うことが好ましい。
なお、混合層の膜面凹凸は、算術平均粗さRaが3.0nm以下であることが好ましく、2.0nm以下であることがより好ましい。
【0034】
また、光電変換層は、フラーレン又はフラーレン誘導体以外の有機材料を少なくとも1種用いることも好ましい。フラーレン又はフラーレン誘導体以外の材料としてp型有機半導体を含むことが好ましい。
p型有機半導体(化合物)は、ドナー性有機半導体(化合物)であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いてよい。
【0035】
上記の中でも、トリアリールアミン化合物、ピラン化合物が好ましく、トリアリールアミン化合物がより好ましい。
トリアリールアミン化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
一般式(I)
【0036】
【化3】

【0037】
一般式(I)中、Zは56員環を形成するのに必要な原子群を表す。L、L、Lはそれぞれ無置換メチン基、置換メチン基を表す。Dは原子群を表す。
nは0以上の整数を表す。
【0038】
は56員環を形成するのに必要な原子群を表し、形成される環としては、通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましく、その具体例としては例えば以下のものが挙げられる。
【0039】
(a)1,3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン核、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン等。
(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン等。
(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オン等。
(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドール等。
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツル酸又は2−チオバルビツル酸及びその誘導体等。誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体、1,3−ジ(2―ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニン及びその誘導体等。誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン、3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
【0040】
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン等。
(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイド等。
(i)2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン等。
(j)2,4−チアゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン等。
(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、2−エチル−4−チアゾリノン等。
(l)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン等。
(m)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン等。
(n)2−イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オン等。
(o)3,5−ピラゾリジンジオン核:例えば1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン、1,2−ジメチル−3,5−ピラゾリジンジオン等。
(p)ベンゾチオフェンー3−オン核:例えばベンゾチオフェンー3−オン、オキソベンゾチオフェンー3−オン、ジオキソベンゾチオフェンー3−オン等。
(q)インダノン核:例えば1−インダノン、3−フェニルー1−インダノン、3−メチルー1−インダノン、3,3−ジフェニルー1−インダノン、3,3−ジメチルー1−インダノン等。
【0041】
で形成される環として好ましくは、1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェンー3−オン核、インダノン核であり、より好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核)、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェンー3−オン核、インダノン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含み、例えばバルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核)であり、特に好ましくは1,3−インダンジオン核、バルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核、最も好ましくは1,3−インダンジオン核及びそれらの誘導体である。
【0042】
により形成される環として好ましいものは下記の式で表される。
【0043】
【化4】

【0044】
は5ないし6員環を形成するに必要な原子群を表す。Zとしては上記Zにより形成される環中から選ぶことができ、好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)であり、特に好ましくは1,3−インダンジオン核、バルビツル酸核、2-チオバルビツール酸核及びそれらの誘導体である。
【0045】
アクセプター部同士の相互作用を制御する事により、C60などのフラーレン又はフラーレン誘導体と共蒸着膜とした際、高い正孔輸送性を発現させる事ができることを見出した。アクセプター部の構造、及び立体障害となる置換基の導入により相互作用の制御を行う事が可能である。バルビツル酸核、2−チオバルビツール酸核において、2つのN位の水素を好ましくは2つとも、置換基により置換する事で好ましく分子間相互作用を制御する事が可能であり、置換基としては後述の置換基Wがあげられるが、より好ましくはアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基である。
により形成される環が1,3−インダンジオン核の場合、下記一般式(IV)で示される基下記一般式(V)で示される基である場合が好ましい。
一般式(IV)
【0046】
【化5】

【0047】
41〜R44はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
一般式(V)
【0048】
【化6】

【0049】
41、R44、R45〜R48はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
前記一般式(IV)で示される基の場合、R41〜R44はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては例えば後述の置換基Wとして挙げたものが適用できる。また、R41〜R44はそれぞれ隣接するものが、結合して環を形成することができ、R42とR43が結合して環(例えば、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環)を形成する場合が好ましい。R41〜R44としては全てが水素原子である場合が好ましい。
前記一般式(IV)で示される基が前記一般式(V)で示される基である場合が好ましい。
前記一般式(V)で示される基の場合、R41、R44、R45〜R48はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては例えば後述の置換基Wとして挙げたものが適用できる。R41、R44、R45〜R48としては全てが水素原子である場合が好まし
い。
【0050】
により形成される環が2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)の場合、下記一般式(VI)で示される基である場合が好ましい。
一般式(VI)
【0051】
【化7】

【0052】
81、R82はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R83は、酸素原子、硫黄原子又は置換基を表す。
前記一般式(VI)で示される基の場合、R81、R82はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては例えば後述の置換基Wとして挙げたものが適用できる。R81、R82としてはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基ヘテロ環基(2−ピリジル等)が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、t−ブチル)を表す場合がより好ましい。
83は、酸素原子、硫黄原子又は置換基を表すが、R83としては酸素原子、又は硫黄原子を表す場合が好ましい。前記置換基としては結合部が窒素原子であるものと炭素原子であるものが好ましく、窒素原子の場合はアルキル基(炭素数1〜12)若しくはアリール基(炭素数6〜12)が好ましく、具体的にはメチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基が挙げられる。炭素原子の場合は更に少なくとも一つの電子吸引性基が置換していれば良く、電子吸引性基としてはカルボニル基、シアノ基、スルホキシド基、スルホニル基、ホスホリル基が挙げられ、更に置換基を有している場合が良い。この置換基としては後述の置換基Wが挙げられる。R83としては、該炭素原子を含む5員環6員環を形成するものが好ましく、具体的には下記構造のものが挙げられる。
【0053】
【化8】

【0054】
【化9】

【0055】
上記の基中のPhはフェニル基を表す。
、L、Lはそれぞれ独立に、無置換メチン基、置換メチン基を表す。置換メチン基同士が結合して環(例、6員環例えばベンゼン環)を形成してもよい。置換メチン基の置換基は置換基Wが挙げられるが、L、L、Lは全てが無置換メチン基である場合が好ましい。
【0056】
nは0以上の整数を表し、好ましくは0以上3以下の整数を表し、より好ましくは0である。nを増大させた場合、吸収波長域が長波長にする事ができるか、熱による分解温度が低くなる。可視域に適切な吸収を有し、かつ蒸着成膜時の熱分解を抑制する点でn=0が好ましい。
【0057】
は原子群を表す。前記Dは−NR(R)を含む基であることが好ましく、更に、前記Dが−NR(R)が置換したアリール基(好ましくは、置換されてよい、フェニル基、ナフチル基アントラセニル基、より好ましくは、置換基されてもよい、フェニル基ナフチル基)を表す場合が好ましい。R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を表し、R、Rで表される置換基は後述の置換基Wが挙げられるが、好ましくは、脂肪族炭化水素基(好ましくは置換されてよいアルキル基、アルケニル基)、アリール基(好ましくは置換されてよいフェニル基)、ヘテロ環基である。
前記ヘテロ環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサジアゾール等の5員環が好ましい。
、Rが置換基(好ましくはアルキル基、アルケニル基)である場合、それらの置換基は、−NR(R)が置換したアリール基の芳香環(好ましくはベンゼン環)骨格の水素原子、置換基と結合して環(好ましくは6員環)を形成してもよい。この場合、Dは後記の一般式(VIII)、(IX)(X)で表される場合が好ましい。
、Rは互いに置換基同士が結合して環(好ましくは5員又は6員環、より好ましくは6員環)を形成してもよく、また、R、RはそれぞれがL(L、L、L
いずれかを表す)中の置換基と結合して環(好ましくは5員又は6員環、より好ましくは6員環)を形成してもよい。
はパラ位にアミノ基が置換したアリール基(好ましくはフェニル基)である場合が好ましい。この場合、Dは下記一般式(II)で示されることが好ましい。
前記アミノ基は置換されていてもよい。該アミノ基の置換基としては、後述の置換基Wが挙げられるが、脂肪族炭化水素基(好ましくは置換されてよいアルキル基)、アリール基(好ましくは置換されてよいフェニル基)、ヘテロ環基が好ましい。
前記アミノ基はアリール基が2つ置換した、いわゆるジアリール基置換のアミノ基が好ましく、この場合、Dは下記一般式(III)で示されることが好ましい。
更に、前記アミノ基の置換基(好ましくは置換されてよいアルキル基、アルケニル基)は、該アミノ基がパラ位に置換したアリール基の芳香環(好ましくはベンゼン環)骨格の水素原子、置換基と結合して環(好ましくは6員環)を形成してもよい。
一般式(II)
【0058】
【化10】

【0059】
式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子置換基を表す。またRとR、RとR、RとR、RとR、RとRがそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(III)
【0060】
【化11】

【0061】
式中、R11〜R14、R20〜R24、R30〜R34はそれぞれ独立に、水素原子置換基を表す。またR11〜R14、R20〜R24、R30〜R34がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
【0062】
、Rが脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基の場合の置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルホニル基、シリル基、芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、芳香族ヘテロ環基である。具体例は置換基Wで挙げたものが適用できる。
【0063】
、Rとして好ましくはアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基である。R、Rとして特に好ましくはアルキル基、Lと連結して環を形成するアルキレン基、アリール基であり、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、Lと連結して5ないし6員環を形成するアルキレン基、置換若しくは無置換のフェニル基であり、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基である。
【0064】
前記Dが下記の一般式(VII)で示される場合も好ましい。
一般式(VII)
【0065】
【化12】

【0066】
式中、R91〜R98はそれぞれ独立に、水素原子置換基を表す。mは0以上の整数を表す。mは01である場合が好ましい。Rx、Ryは、それぞれ独立に水素原子置換基を表し、mが2以上の場合、各6員環に結合するRx、Ryは異なる置換基であっても良い。また、R91とR92、R92とRxと、RxとR94、R94とR97、R93とRy、RyとR95、R95とR96、R97とR98はそれぞれ互いに独立して環を形成しても良い。また、L(nが0のときはL)との結合部は、R91、R92、R93の位置でも良く、その場合、一般式(VII)中のLとの結合部として表記されている部位に、それぞれR91、R92、R93に相当する置換基水素原子が結合し、隣接するR同士は結合して環を形成しても良い。ここで、「隣接するR同士は結合して環を形成しても良い。」とは、例えば、R91がL(nが0のときはL)との結合部になる場合、一般式(VII)の結合部にはR90が結合しているとするとR90とR93とが結合し環を形成してもよく、また、R92がL(nが0のときはL)との結合部になる場合、一般式(VII)の結合部にはR90が結合しているとするとR90とR91、R90とR93とがそれぞれ結合し環を形成してもよく、また、R93がL(nが0のときはL)との結合部になる場合、一般式(VII)の結合部にはR90が結合しているとするとR90とR91、R91とR92とがそれぞれ結合し環を形成してもよいことを言う。
上記の環はベンゼン環である場合が好ましい。
91〜R98、Rx、Ryの置換基は置換基Wが挙げられる。
91〜R96はいずれも水素原子である場合が好ましく、Rx、Ryはいずれも水素原子である場合が好ましい。R91〜R96は水素原子であり、かつRx、Ryも水素原子である場合が好ましい。
前記R97及びR98は、それぞれ独立に、置換基されてよいフェニル基を表す場合が好ましく、該置換基としては置換基Wが挙げられるが、好ましくは無置換フェニル基である。
mは0以上の整数を表すが、0又は1が好ましい。
【0067】
前記Dが一般式(VIII)、(IX)(X)で表される基である場合も好ましい。
一般式(VIII)
【0068】
【化13】

【0069】
式中、R51〜R54はそれぞれ独立に、水素置換基を表す。該置換基として後述の置換基Wが挙げられる。R52とR53、R51とR52はそれぞれ連結して環を形成してもよい。
一般式(IX)
【0070】
【化14】

【0071】
式中、R61〜R64はそれぞれ独立に、水素置換基を表す。該置換基として後述の置換基Wが挙げられる。R62とR63、R61とR62はそれぞれ連結して環を形成してもよい。
一般式(X)
【0072】
【化15】

【0073】
式中、R71〜R73はそれぞれ独立に、水素置換基を表す。該置換基として後述の置換基Wが挙げられる。R72とR73はそれぞれ連結して環を形成してもよい。
【0074】
前記Dは前記一般式(II)(III)で示される基がより好ましく用いられる。
一般式(II)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子置換基を表す。またRとR、RとR、RとR、RとR、RとRがそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
〜Rにおける置換基は後述の置換基Wが挙げられるが、好ましくはR〜Rが水素原子、RとR若しくはRとRが5員環を形成する場合であり、より好ましくはR〜Rのいずれもが水素原子である場合である。
、Rにおける置換基は後述の置換基Wが挙げられるが、置換基の中でも、置換若しくは無置換のアリール基が好ましく、置換アリール基の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチレン基、フェナントリル基、アントリル基)が好ましい。R、Rは好ましくはフェニル基、アルキル置換フェニル基、フェニル置換フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基フルオレニル基(好ましくは9,9’−ジメチル−2−フルオレニル基)である。
一般式(III)中、R11〜R14、R20〜R24、R30〜R34はそれぞれ独立に、水素原子置換基を表す。またR11〜R14、R20〜R24、R30〜R34がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。その環形成の例としては、R11とR12、R13とR14が結合してベンゼン環を、R20〜R24の隣接する2つ(R24とR23、R23とR20、R20とR21、R21とR22)が結合してベンゼン環を、R30〜R34の隣接する2つ(R34とR33、R33とR30、R30とR31、R31とR32)が結合してベンゼン環を、R22とR34が結合してN原子と共に5員環を形成する場合が挙げられる。
11〜R14、R20〜R24、R30〜R34で表される置換基は後述の置換基Wが挙げられるが、好ましくはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)であり、これらの基は更に後述の置換基W(好ましくはアリール基)が置換していてもよい。中でも、R20、R30が前記置換基である場合が好ましく、かつ、その他のR11〜R14、R21〜R24、R31〜R34は水素原子である場合がより好ましい。
【0075】
一般式(I)で表される化合物は、特開2000−297068号公報に記載の化合物であり、前記公報に記載のない化合物も、前記公報に記載の合成方法に準じて製造することができる。
以下に、一般式(I)で示される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
【化16】

【0077】
【化17】

【0078】
【化18】

【0079】
【化19】

【0080】
【化20】

【0081】
【化21】

【0082】
【化22】

【0083】
【化23】

【0084】
上記のR101、R102はそれぞれ独立に水素原子、置換基を表す。置換基としては後述の置換基Wが挙げられるが、アルキル基、アリール基が好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物は、特開2000−297068号公報に従って、合成することができる。
【0085】
ピラン化合物としては下記一般式(P−I)で表される部分構造を含む化合物が好ましい。
一般式(P−I)
【0086】
【化24】

【0087】
式中、XはO、S、N−R10を表す。R10は水素原子又は置換基(例えば、後述の置換基W)を表す。R、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、少なくとも一方は電子求引性基を表す。また、R、Rは連結して環を形成してもよい。Rは結合手置換基(例えば、後述の置換基W)を表すが、少なくとも1つは結合手(−)である。nrは1〜4の整数を表す。nrが2以上のときはRは同じでも異なっていてもよい。2位と3位のR同士、5位と6位のR同士はそれぞれ互いに連結して環を形成してもよい。
【0088】
前記一般式(P−I)で示される部分構造を含む化合物は下記一般式(P−Ia)で表される化合物が好ましい。
一般式(P−Ia)
【0089】
【化25】

【0090】
式中、X、R、Rはそれぞれ一般式(P−I)におけるX、R、Rと同義であり、好ましいものも同じである。R〜Rはそれぞれ独立に、水素置換基を表す。RとRは連結して環を形成してもよい。Lは共役結合からなる連結基を表す。Dは原子群を表す。
【0091】
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。R〜Rで表される置換基としては、例えば後述の置換基Wとして挙げたものが適用できる。
【0092】
として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基であり、更に好ましくは水素原子である。
【0093】
として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、Rと連結して環を形成したものであり、より好ましくは水素原子、アルキル基であり、更に好ましくは水素原子である。
【0094】
として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、Rと連結して環を形成したものであり、より好ましくはアルキル基(好ましくは炭素数2以上20以下のアルキル基、より好ましくは炭素数3以上20以下の分岐又は環状アルキル基、更に好ましくは炭素数4以上12以下の4級炭素を持つ分岐又は環状アルキル基、特に好ましくはtert−ブチル基である。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2以上30以下、より好ましくは炭素数3以上25以下、更に好ましくは炭素数4以上25以下のアルケニル基である。)、アリール基(好ましくはo−位に置換基のあるアリール基、より好ましくは炭素数7以上30以下のo−位に置換基のあるアルキル置換フェニル基、更に好ましくは2,6−ジメチル置換フェニル基、特に好ましくは2,4,6−トリメチルフェニル基である。)であり、特に好ましくはtert−ブチル基、2,4,6−トリメチルフェニル基であり、最も好ましくはtert−ブチル基である。また、 Rは、−L−Dであってもよい。
【0095】
Xは酸素原子、硫黄原子、N−R10を表し、R10は、水素原子又は置換基を表す。Xとして好ましくは酸素原子、N−R10であり、より好ましくは酸素原子である。
【0096】
10で表される置換基としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、ヘテロ環基が挙げられ、より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基であり、更に好ましくは、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基である。R10で表される置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には連結して環を形成してもよい。
【0097】
Lは共役結合の連結基を表す。Lで表される連結基として好ましくは、C、N、O、S、Se、Te、Si、Ge等で形成される共役結合性連結基であり、より好ましくはアルケニレン、アルキニレン、アリーレン、二価の芳香族ヘテロ環(好ましくはアジン、アゾール、チオフェン、フラン環から形成される芳香族へテロ環である。)、アゾ、イミン及びNとこれらの組み合わせから成る基であり、更に好ましくはアルケニレン、アリーレン、二価の芳香族へテロ環及びNとこれらの組み合わせから成る基であり、特に好ましくはアルケニレン及び炭素数6〜30のアリーレン(更に好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12である。)の組合せから成る基である。
Lで表される連結基の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0098】
【化26】

【0099】
【化27】

【0100】
【化28】

【0101】
【化29】

【0102】
は原子群を表す。前記Dは−NR(R)を含む基であることが好ましく、更に、前記Dが−NR(R)が結合した2価のアリーレン基を表す場合が好ましい。R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を表し、R、R、Lは環を形成してもよい。R、Rは互いに置換基同士が結合して環(好ましくは5員又は6員環、より好ましくは6員環)を形成してもよく、また、R、RはそれぞれがL中の置換基と結合して環(好ましくは5員又は6員環、より好ましくは6員環)を形成してもよい。R、Rで表される置換基は後述の置換基Wが挙げられるが、好ましくは、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基である。
はパラ位にアミノ基が結合した2価のアリーレン基(好ましくはフェニレン基)である場合が好ましい。該アミノ基は置換されていてもよく、更に該アミノ基の置換基はアリーレン基中のアリール基(好ましくはフェニル基のベンゼン環)の置換基と結合して環を形成しうる。該アミノ基の置換基としては、後述の置換基Wが挙げられるが、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基が好ましい。
【0103】
、Rが脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基の場合の置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルホニル基、シリル基、芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、芳香族ヘテロ環基である。具体例は後述の置換基Wで挙げたものが適用できる。
【0104】
、Rとして好ましくはアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基である。R、Rとして特に好ましくはアルキル基、Lと連結して環を形成するアルキレン基、アリール基であり、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、Lと連結して5ないし6員環を形成するアルキレン基、置換又は無置換のフェニル基であり、特に好ましくは、置換又は無置換のフェニル基である。
前記一般式(P−Ia)で示される化合物が下記の一般式(P−Ib)で示される化合物であるが好ましい。
一般式(P−Ib)
【0105】
【化30】

【0106】
式中、X、及びR〜R、Dは一般式(P−Ia)におけるX、及びR〜R、Dと同義である。L、Lはそれぞれ独立に、メチン基、置換メチン基を表す。Zは56員環を形成するのに必要な原子群を表す。nは1以上の整数を表す。nは好ましくは1〜3の整数である。
前記一般式(P−Ib)で示される化合物が下記の一般式(P−Ic)で示される化合物であることが好ましい。
一般式(P−Ic)
【0107】
【化31】

【0108】
式中、X、R〜R、L、L、Z及びnは一般式(P−Ib)におけるX、R〜R、L、L、Z及びnと同義である。R〜Rはそれぞれ独立に、水素置換基を表す。RとR、RとR、RとR、RとR、RとRはそれぞれ連結して環を形成してもよい。
前記一般式(P−Ia)で示される化合物が下記の一般式(P−Id)で示される化合物であることが好ましい。
一般式(P−Id)
【0109】
【化32】

【0110】
式中、R〜R、L、L、D及びnは一般式(P−Ib)におけるX、R〜R、L、L、D及びnと同義である。Zは5ないし6員環を形成するに必要な原子群を表す。
前記一般式(P−Ia)で示される化合物が下記の一般式(P−Ie)で示される化合物であることも好ましい。
一般式(P−Ie)
【0111】
【化33】

【0112】
式中、X、R〜R、L、L、n及びDは一般式(P−Ib)におけるR〜R、L、L、n及びDと同義である。R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
前記一般式(P−Ie)で示される化合物が下記の一般式(P−If)で示される化合物であることも好ましい。
一般式(P−If)
【0113】
【化34】

【0114】
式中、X、R〜R、R11、R14、L、L、n及びDは一般式(P−Ie)におけるX、R〜R、R11、R14、L、L、n及びDと同義である。R15〜R18はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
前記一般式(P−Ie)におけるR11〜R14が全て、水素原子であることが好ましい。前記一般式(P−If)におけるR11、R14〜R18が全て、水素原子を表すことが好ましい。前記Dが次式(P−Ig)
【0115】
【化35】

【0116】
であることが好ましい。式中、R、Rはそれぞれ独立に、水素置換基を表す。RとRは連結して環を形成してもよい。R、Rが共に無置換置換フェニル基であることが特に好ましい。
【0117】
本発明で用いられる一般式(P−I)で示される部分構造を含む化合物、特に4Hピラン系化合物について説明する。
一般式(P−I)中、XはO、S、N−R10を表す。R、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、少なくとも一方は電子求引性基を表す。また、R、Rは連結して環を形成してもよい。但し、RとRが共にシアノ基であることはない。R〜R10はそれぞれ独立に、水素置換基を表す。RとRは連結して環を形成してもよい。Lは共役結合からなる連結基を表す。Dは原子群を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、少なくとも一方は電子求引性基を表す。また、R、Rは連結して環を形成してもよい。前記RとRに含まれるSp炭素の総和が3以上であることが好ましい。
【0118】
、Rで表される置換基としては、例えば後述の置換基Wとして挙げたものが適用できる。R、Rで表される置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、チオカルボニル基、オキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスホリル基、イミノ基、ハロゲン原子、シリル基、芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは、Hammettのσp値(例えば、シグマパラ値の定義及び値はChem. Rev. 1991, 165−195に記載されている)が0.2以上の電子求引性基であり、更に好ましくはアリール基、芳香族ヘテロ環基、カルボニル基、チオカルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、イミノ基、ハロゲン原子、及びR、Rが連結して電子求引性基の環を形成したものであり、特に好ましくは芳香族ヘテロ環基、カルボニル基、イミノ基、R、Rが連結して電子求引性基の環を形成したものであり、最も好ましくは,R、Rが連結して電子求引性基の環を形成したものである。
【0119】
一般式(P−Ib)で表される化合物は、一般式(P−Ia)のR、Rが連結して環を形成した化合物であり、一般式(P−Ib)及び(P−Ic)中のZは5ないし6員環を形成するに必要な原子群を表し、形成される環としては、通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましく、その具体例としては例えば以下のものが挙げられる。
【0120】
(a)1,3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン核、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン等。(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン等。(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オン等。(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドール等。(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツル酸又は2−チオバルビツル酸及びその誘導体等。誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体、1,3−ジ(2―ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニン及びその誘導体等。誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン、3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
【0121】
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン等。(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイド等。(i)2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン等。(j)2,4−チアゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン等(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、2−エチル−4−チアゾリノン等。(l)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン等。(m)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン等。(n)イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オン等。(o)3,5−ピラゾリジンジオン核:例えば1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン、1,2−ジメチル−3,5−ピラゾリジンジオン等。(p)ベンゾチオフェンー3−オン核:例えばベンゾチオフェンー3−オン、オキソベンゾチオフェンー3−オン、ジオキソベンゾチオフェンー3−オン等。(q)インダノン核:例えば1−インダノン、3−フェニルー1−インダノン、3−メチルー1−インダノン、3,3−ジフェニルー1−インダノン、3,3−ジメチルー1−インダノン等。
【0122】
で形成される環として好ましくは、1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェンー3−オン核、インダノン核であり、より好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェンー3−オン核、インダノン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)であり、特に好ましくは1,3−インダンジオン核である。
【0123】
、Lはそれぞれ独立に、無置換メチン基、置換メチン基を表す。置換メチン基の置換基は後述の置換基Wが挙げられるが、L、Lは共に無置換メチン基である場合が好ましい。nは1以上の整数を表す。nは好ましくは1である。
【0124】
一般式(P−Ib)で表される化合物は、一般式(P−Ic)で表される化合物がより好ましい。一般式(P−Ic)で表される化合物式中、X、R〜R10、L、L、Z及びnは一般式(P−Ib)におけるX、R〜R10、L、L、Z及びnと同義であり、好ましいものも同じである。
〜Rはそれぞれ独立に、水素置換基を表す。置換基としては、好ましくは脂肪族炭化水素基(好ましくはアルキル基、アルケニル基)、アルコキシ基が挙げられる。
とR、RとR、RとR、RとR、RとRはそれぞれ連結して環を形成してもよい。好ましくはRとRが連結して6員環を形成する場合である。
【0125】
一般式(P−Ib)で表される化合物は、更に一般式(P−Id)で表される化合物が好ましい。一般式(P−Id)中、R〜R、L、L、D及びnは一般式(P−Ib)における、R〜R、L、L、D及びnと同義であり、好ましいものも同じである。
は5ないし6員環を形成するに必要な原子群を表す。Z3で形成される環としては、例えば一般式(P−Ib)におけるZで形成される環のうち、1,3−ジカルボニル構造を環内に持つものであり、例えば1,3−シクロペンタンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−インダンジオン、3,5−ピラゾリジンジオン、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核などが挙げられ、好ましくは1,3−インダンジオン、3,5−ピラゾリジンジオン、バルビツル酸2−チオバルビツル酸及びその誘導体であり、より好ましくは1,3−インダンジオン、1,2−ジアリール−3,5−ピラゾリジンジオンであり、更に好ましくは1,3−インダンジオン、1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオンであり、特に好ましくは1,3−インダンジオンである。Z3で形成される環は置換基を有してもよく、置換基としては例えば置換基Wとして挙げたものが適用できる。
【0126】
一般式(P−Ib)で表される化合物は、更に一般式(P−Ie)で表される化合物が好ましい。一般式(P−Ie)中、X、R〜R10、L、L、n及びDは一般式(P−Ib)におけるX、R〜R10、L、L、n及びDと同義であり、好ましいものも同じである。
11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては例えば後述の置換基Wとして挙げたものが適用できる。R11〜R14としては全てが水素原子である場合が好ましい。
【0127】
一般式(P−Ib)で表される化合物は、更に一般式(P−If)で表される化合物が好ましい。一般式(P−If)中、X、R〜R11、R14、L、L、n及びDは一般式(P−Ie)におけるX、R〜R11、R14、L、L、n及びDと同義であり、好ましいものも同じである。
15〜R18はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては例えば後述の置換基Wとして挙げたものが適用できる。R15〜R18としては全てが水素原子である場合が好ましい。
【0128】
式(P−Ig)において、R、Rで表される置換基はR、Rと同義であり、好ましいものも同じである。
【0129】
以下に、一般式(P−I)で表される部分構造を含む化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0130】
【化36】

【0131】
【化37】

【0132】
【化38】

【0133】
【化39】

【0134】
【化40】

【0135】
【化41】

【0136】
【化42】

【0137】
【化43】

【0138】
【化44】

【0139】
【化45】

【0140】
【化46】

【0141】
【化47】

【0142】
【化48】

【0143】
【化49】

【0144】
【化50】

【0145】
【化51】

【0146】
【化52】

【0147】
ピラン化合物としては下記一般式(P−II)で表される部分構造を含む化合物が好ましい。
一般式(P−II)で示される部分構造を含む化合物について詳細に説明する。
一般式(P−II)
【0148】
【化53】

【0149】
一般式(P−II)中、Ra、Rb、Rcはそれぞれ独立に、結合手置換基を表す。na、nb、ncは0〜5の整数を表す。na、nb、ncが2以上のときはRa、Rb、Rcは同じでも異なっていてもよい。但し、na+nb+ncは0ではなく、0でないときの、Ra、Rb、Rcの少なくとも1つは結合手(−)である。二つのRa、二つのRb、二つのRcがそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
Ra、Rb、Rcはそれぞれ独立に、結合手置換基を表すが、Ra、Rb、Rcの少なくとも1つは結合手(−)であることが好ましい。結合手として好ましい置換位置は4、4’、4’’位である。化合物中の結合手の数は1〜3が好ましく、1がより好ましい。Ra、Rb、Rcが置換基である場合の置換基は後述の置換基Wがあげられる。na、nb、ncは0〜5の整数を表すが、na+nb+ncは0ではなく、1以上15以下の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。na、nb、ncが2以上のときはRa、Rb、Rcは同じでも異なっていてもよく、二つのRa、二つのRb、二つのRcがそれぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。この場合、Raについては例えば、2位と3位、3位と4位、4位と5位、5位と6位が結合してベンゼン環等の芳香族炭化水素環や芳香族ヘテロ環を形成できる。Rb、Rcについても同様である。
前記2、3、5、6位のRa、2’、3’、5’、6’位のRb、2’’、3’’、5’’、6’’位のRcが同一であることが好ましく、前記同一のRa、Rb、Rcが水素原子であることが好ましい。更に、前記4位のRa、4’位のRb、4’’位のRcのうち二つが同一であることが好ましく、前記4位のRa、4’位のRb、4’’位のRcのうち二つが水素原子であることより好ましい。
ここで、結合手(−)は前記一般式(P−I)で示される部分構造中のRの結合手に直接、連結基を介して結合することが好ましい。この場合の連結基としては前記一般式(P−Ib)で表されるL=L、L=Lとフェニレン基との組合せからなる連結基等が挙げられる。
【0150】
ピラン化合物としては、前記一般式(P−I)で示される部分構造及び前記一般式(P−II)で示される部分構造を含む化合物も好ましい。該一般式(P−I)で示される部分構造及び一般式(P−II)で示される部分構造を含む化合物について記載する。前記の一般式(P−I)で示される部分構造、及び前記の一般式(P−II)で示される部分構造を両方とも有する化合物が本発明では好ましい化合物であり、中でも、下記一般式(P−III)で示される化合物が好ましく用いられる。
一般式(P−III)
【0151】
【化54】

【0152】
一般式(P−III)中、X、R、Rはそれぞれ、一般式(P−I)におけるX、R、Rと同義である。R21、R22、R23はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R21とR22は互いに結合して環を形成してもよいが、それぞれが一般式(P−Ib)におけるR、R、Rと同義であり、好ましいものも同じである。L、Lはそれぞれ独立に、メチン基、置換メチン基を表す。nlは1以上の整数を表すが、L、L、nlはそれぞれ一般式(P−Ib)におけるL、L、nと同義であり、好ましいものも同じである。R24〜R37はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R24〜R37のうちの二つが互いに結合して環を形成してもよい。置換基を表す場合のR24〜R37は後述の置換基Wが挙げられる。R24〜R37が環を形成する場合、前記Ra、Rb、Rcと同様にベンゼン環等の芳香族炭化水素環や芳香族ヘテロ環を形成できる。
【0153】
一般式(P−I)、(P−II)で示される部分構造を含む化合物、及び一般式(P−III)で表される化合物は、種々の合成法により合成することができるが、例えば、ジ置換アニリン骨格のアリール基をホルミル化した後、活性メチレン化合物と無塩基下若しくは塩基存在下反応させる方法等が適用できる。例えば特開平11−335661号、特開平11−292875号、特開平11−335368号、特開2000―351774号、特開2001―81451号、前記非特許文献1等に記載の方法を参考にして合成できる。
【0154】
一般式(P−II)で示される部分構造を含む化合物、及び一般式(P−III)で表される化合物の具体例は前記D−39〜D−44、D−104〜D−106が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0155】
光電変換層は、蒸着により形成することができる。蒸着は、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)のいずれでもよいが、真空蒸着等の物理蒸着が好ましい。真空蒸着により成膜する場合、真空度、蒸着温度等の製造条件は常法に従って設定することができる。なお、蒸着は基板を加熱した状態で行うことが好ましい。
【0156】
(電荷ブロッキング層)
本発明に係る光電変換素子は、前述のように電荷ブロッキング層を有することが好ましい。電荷ブロッキング層を有することにより、より確実に暗電流を抑制することができる。
電荷ブロッキング層(正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層)を形成するための材料としては、以下のものが挙げられる。 正孔ブロッキング層は、電子受容性有機材料を用いることができる。
電子受容性材料としては、1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン(OXD−7)等のオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、バソクプロイン、バソフェナントロリン、及びこれらの誘導体、トリアゾール化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、ビス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール化合物などを用いることができる。また、電子受容性有機材料でなくとも、十分な電子輸送性を有する材料ならば使用することは可能である。ポルフィリン系化合物や、DCM(4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(4-(ジメチルアミノスチリル))-4Hピラン)等のスチリル系化合物、4Hピラン系化合物を用いることができる。
具体的には、以下の化合物が好ましい。なお、以下の具体例において、Eaはその材料の電子親和力(eV)を示し、Ipはその材料のイオン化ポテンシャル(eV)を示す。
【0157】
【化55】

【0158】
電子ブロッキング層には、電子供与性有機材料を用いることができる。
具体的には、低分子材料では、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポリフィリン化合物、トリアゾール誘導体、オキサジザゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アニールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体などを用いることができ、高分子材料では、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、ジアセチレン等の重合体や、その誘導体を用いることができる。電子供与性化合物でなくとも、十分なホール輸送性を有する化合物であれば用いることは可能である。
具体的には、以下の化合物が好ましい。
【0159】
【化56】

【0160】
【化57】

【0161】
電荷ブロッキング層(16A,16B)は、蒸着により形成することができる。蒸着は、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)のいずれでもよいが、真空蒸着等の物理蒸着が好ましい。真空蒸着により成膜する場合、真空度、蒸着温度等の製造条件は常法に従って設定することができる。
電荷ブロッキング層の厚みは、10nm以上300nm以下が好ましく、更に好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。10nm以上とすることにより、好適な暗電流抑制効果が得られ、300nm以下とすることにより、好適な光電変換効率が得られる。
【0162】
なお、本発明の光電変換素子の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来の技術を利用して製造することができる。本発明の光電変換素子の製造方法の好ましい態様は、基板上に、導電性膜、光電変換膜、及び透明導電性膜を形成する工程を含み、更に、以下の少なくともいずれかの工程を含む。
(1)光電変換膜の形成において、フラーレン又はフラーレン誘導体と、それ以外の少なくとも1種の光電変換材料とを共蒸着する工程。
(2)前記光電変換膜の形成において、基板を加熱した状態でフラーレン又はフラーレン誘導体を蒸着することで該フラーレン又はフラーレン誘導体が結晶化した部位の形成を行う工程。
ここで、本発明でいう「光電変換膜」とは、一対電極に挟まれた膜全体を意味する。具体的には、光電変換する部分である光電変換層やそれ以外の機能層(例えば電子ブロッキング層)を含むものである。
上記(1)工程において蒸着温度等の製造条件は常法に従って設定することができる。また、蒸着速度は前記光電変換層で述べた範囲とすることができる。更に、上記各工程における基板温度は、前記光電変換層で述べた範囲とすることができる。
【0163】
[撮像素子]
次に、光電変換素子を備えた撮像素子の構成例を説明する。なお、以下に説明する構成例において、すでに説明した部材などと同等な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。
【0164】
(撮像素子の第1構成例)
図3は、撮像素子の1画素分の断面模式図である。
撮像素子100は、1画素が同一平面上でアレイ状に多数配置されたものであり、この1画素から得られる信号によって画像データの1つの画素データを生成することができる。
【0165】
図3に示す撮像素子の1画素は、n型シリコン基板1と、n型シリコン基板1上に形成された透明な絶縁膜7と、絶縁膜7上に形成された下部電極101、下部電極101上に形成された光電変換層102と、光電変換層102上に形成された透明電極材料を含む上部電極104とを有する光電変換素子を備えている。光電変換素子上には開口の設けられた遮光膜14が形成されている。上部電極104上には透明な絶縁膜105が形成されている。なお、遮光膜14は絶縁膜7中に形成されている形式も好ましい。
【0166】
n型シリコン基板1内には、その浅い方からp型不純物領域(以下、p領域と略す)4と、n型不純物領域(以下、n領域と略す)3と、p領域2がこの順に形成されている。p領域4の遮光膜14によって遮光されている部分の表面部には、高濃度のp領域6が形成され、p領域6の周りはn領域5によって囲まれている。
【0167】
p領域4とn領域3とのpn接合面のn型シリコン基板1表面からの深さは、青色光を吸収する深さ(約0.2μm)となっている。したがって、p領域4とn領域3は、青色光を吸収してそれに応じた電荷を蓄積するフォトダイオード(Bフォトダイオード)を形成する。
【0168】
p領域2とn型シリコン基板1とのpn接合面のn型シリコン基板1表面からの深さは、赤色光を吸収する深さ(約2μm)となっている。したがって、p領域2とn型シリコン基板1は、赤色光を吸収してそれに応じた電荷を蓄積するフォトダイオード(Rフォトダイオード)を形成する。
【0169】
p領域6は、光電変換層102の電荷を蓄積する電荷蓄積部であり、絶縁膜7に開けられた開口に形成された接続部9を介して下部電極101と電気的に接続されている。下部電極101で捕集された正孔は、p領域6の電子と再結合するため、捕集した正孔の数に応じ、p領域6にリセット時に蓄積された電子が減少することとなる。接続部9は、下部電極101とp領域6以外とは絶縁膜8によって電気的に絶縁される。
【0170】
p領域2に蓄積された電子は、n型シリコン基板1内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域4に蓄積された電子は、n領域3内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域6に蓄積されている電子は、n領域5内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換されて、撮像素子100外部へと出力される。各MOS回路は配線10によって図示しない信号読み出しパッドに接続される。なお、p領域2、p領域4に引き出し電極を設け、所定のリセット電位をかけると、各領域が空乏化し、各pn接合部の容量は限りなく小さい値になる。これにより、接合面に生じる容量を極めて小さくすることができる。
【0171】
このような構成により、光電変換層102でG光を光電変換し、n型シリコン基板1中のBフォトダイオードとRフォトダイオードでB光及びR光を光電変換することができる。また上部でG光がまず吸収されるため、B−G間及びG−R間の色分離は優れている。これが、シリコン基板内に3つのPDを積層し、シリコン基板内でBGR光を全て分離する形式の撮像素子に比べ、大きく優れた点である。
なお、上記基板1、各領域2〜6について、それぞれ、p型とn型を逆にすることにより下部電極101で電子を捕集する形式にすることも可能である。また、領域2、3を省略し、絶縁膜105上、若しくはその下にカラーフィルターを形成することで、該カラーフィルターでBGRの色分離を行い、各画素それぞれに該当する光に対し光電変換層102で光電変換して各画素でBGRそれぞれの光を検出する形式も可能である。その場合、下部電極101はBGR各光を透過しない事が望ましく、例えば、Al、Mo、TiNなどが好ましく用いられる。
【0172】
(撮像素子の第2構成例)
本実施形態では、図3の撮像素子のようにシリコン基板1内に2つのフォトダイオードを積層する構成ではなく、入射光の入射方向に対して垂直な方向に2つのフォトダイオードを配列して、p型シリコン基板内で2色の光を検出するようにしたものである。
【0173】
図4は、本構成例の撮像素子の1画素分の断面模式図である。
なお、図3の撮像素子例の場合と同様に、図4中の各領域についてp型とn型を逆転させることにより、下部電極101で電子を捕集する形式にすることも可能である。
図4に示す撮像素子200の1画素は、n型シリコン基板17と、n型シリコン基板17上方に形成された下部電極101、下部電極101上に形成された光電変換層102と、該光電変換層102上に形成された上部電極104とを有する光電変換素子を備えている。光電変換素子上には開口の設けられた遮光膜34が形成されている。また、上部電極104上には透明な絶縁膜33が形成されている。なお、遮光部34は絶縁膜24中に形成されている形式も好ましい。
【0174】
遮光膜34の開口下方のn型シリコン基板17表面には、n領域19とp領域18からなるフォトダイオードと、n領域21とp領域20からなるフォトダイオードとが、n型シリコン基板17表面に並んで形成されている。n型シリコン基板17表面上の任意の面方向が、入射光の入射方向に対して垂直な方向となる。
【0175】
n領域19とp領域18からなるフォトダイオードの上方には、透明な絶縁膜24を介してB光を透過するカラーフィルタ28が形成され、その上に下部電極101が形成されている。n領域21とp領域20からなるフォトダイオードの上方には、透明な絶縁膜24を介してR光を透過するカラーフィルタ29が形成され、その上に下部電極101が形成されている。カラーフィルタ28,29の周囲は、透明な絶縁膜25で覆われている。
【0176】
n領域19とp領域18からなるフォトダイオードは、カラーフィルタ28を透過したB光を吸収してそれに応じた電子を発生し、発生した電子をp領域18に蓄積する基板内光電変換部として機能する。n領域21とp領域20からなるフォトダイオードは、カラーフィルタ29を透過したR光を吸収してそれに応じた電子を発生し、発生した電子をp領域20に蓄積する基板内光電変換部として機能する。
【0177】
n型シリコン基板17表面の遮光膜34によって遮光されている部分には、p領域23が形成され、p領域23の周りはn領域22によって囲まれている。
【0178】
p領域23は、絶縁膜24,25に開けられた開口に形成された接続部27を介して下部電極101と電気的に接続されている。下部電極101で捕集された正孔は、p領域23の電子と再結合するため、捕集した正孔の数に応じ、p領域23にリセット時に蓄積された電子が減少することとなる。接続部27は、下部電極101とp領域23以外とは絶縁膜26によって電気的に絶縁される。
【0179】
p領域18に蓄積された電子は、n型シリコン基板17内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域20に蓄積された電子は、n型シリコン基板17内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域23に蓄積されている電子は、n領域22内に形成されたnチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換されて、撮像素子200外部へと出力される。各MOS回路は配線35によって図示しない信号読み出しパッドに接続される。
なお、信号読出し部は、MOS回路ではなくCCDとアンプによって構成してもよい。つまり、p領域18、p領域20、及びp領域23に蓄積された電子をn型シリコン基板17内に形成したCCDに読み出し、これをCCDでアンプまで転送して、アンプからその電子に応じた信号を出力させるような信号読出し部であってもよい。
【0180】
このように、信号読み出し部は、CCD及びCMOS構造が挙げられるが、消費電力、高速読出し、画素加算、部分読出し等の点からは、CMOSの方が好ましい。
なお、図4の撮像素子では、カラーフィルタ28,29によってR光とB光の色分離を行っているが、カラーフィルタ28,29を設けず、p領域20とn領域21のpn接合面の深さと、p領域18とn領域19のpn接合面の深さを各々調整して、それぞれのフォトダイオードでR光とB光を吸収するようにしてもよい。
【0181】
n型シリコン基板17と下部電極101との間(例えば絶縁膜24とn型シリコン基板17との間)に、光電変換層102を透過した光を吸収して、該光に応じた電荷を発生しこれを蓄積する無機材料からなる無機光電変換部を形成することも可能である。この場合、n型シリコン基板17内に、この無機光電変換部の電荷蓄積領域に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すためのMOS回路を設け、このMOS回路にも配線35を接続しておけばよい。
また、n型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを1つとし、n型シリコン基板17上方に光電変換部を複数積層した構成としてもよい。更に、n型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを複数とし、n型シリコン基板17上方に光電変換部を複数積層した構成としてもよい。また、カラー画像を作る必要がないのであれば、n型シリコン基板17内に設けるフォトダイオードを1つとし、光電変換部を1つだけ積層した構成としてもよい。
【0182】
(撮像素子の第3構成例)
本実施形態の撮像素子は、シリコン基板内にフォトダイオードを設けず、シリコン基板上方に複数(ここでは3つ)の光電変換素子を積層した構成である。
【0183】
図5は、本構成例の撮像素子の1画素分の断面模式図である。なお、図3、4の撮像素子例の場合と同様に、図5中の42〜47の各領域について、p型とn型を逆転させることにより、下部電極101r、101g、101bで電子を捕集する形式にすることも可能である。
図5に示す撮像素子300は、R光電変換素子と、B光電変換素子と、G光電変換素子とをシリコン基板41の上方に順に積層した構成である。
【0184】
R光電変換素子は、シリコン基板41上方に、下部電極101rと、下部電極101r上に形成された光電変換層102rと、該光電変換層102r上に形成された上部電極104rと備える。
【0185】
B光電変換素子は、上記のR光電変換素子の上部電極104r上に積層された下部電極101bと、下部電極101b上に形成された光電変換層102bと、該光電変換層102b上に形成された上部電極104bとを備える。
【0186】
G光電変換素子は、上記のB光電変換素子の上部電極104b上に積層された下部電極101gと、下部電極101g上に形成された光電変換層102gと、該光電変換層102g上に形成された上部電極104gを備える。本構成例の撮像素子は、R光電変換素子とB光電変換素子とG光電変換素子とが、この順に積層された構成である。
【0187】
R光電変換素子の上部電極104rとB光電変換素子の下部電極101bとの間に透明な絶縁膜59が形成され、B光電変換素子の上部電極104bとG光電変換素子の下部電極101gとの間に透明な絶縁膜63が形成されている。G光電変換素子の上部電極104g上には、開口を除く領域に遮光膜68が形成され、該上部電極104gと遮光膜68を覆うように透明な絶縁膜67が形成されている。
【0188】
R,G,Bの各光電変換素子に含まれる下部電極、光電変換層、及び上部電極は、それぞれ、既に説明した光電変換素子のものと同じ構成とすることができる。ただし、光電変換層102gは、緑色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する有機材料を含むものとし、光電変換層102bは、青色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する有機材料を含むものとし、光電変換層102rは、赤色光を吸収してこれに応じた電子及び正孔を発生する有機材料を含むものとする。
【0189】
シリコン基板41表面の遮光膜68によって遮光されている部分には、p領域43,45,47が形成され、それぞれの周りはn領域42,44,46によって囲まれている。
【0190】
p領域43は、絶縁膜48に開けられた開口に形成された接続部54を介して下部電極101rと電気的に接続されている。下部電極101rで捕集された正孔は、p領域43の電子と再結合するため、捕集した正孔の数に応じ、p領域43にリセット時に蓄積された電子が減少することとなる。接続部54は、下部電極101rとp領域43以外とは絶縁膜51によって電気的に絶縁される。
【0191】
p領域45は、絶縁膜48、R光電変換素子、及び絶縁膜59を貫通する孔に形成された接続部53を介して下部電極101bと電気的に接続されている。下部電極101bで捕集された正孔は、p領域45の電子と再結合するため、捕集した正孔の数に応じ、p領域45にリセット時に蓄積された電子が減少することとなる。接続部53は、下部電極101bとp領域45以外とは絶縁膜50によって電気的に絶縁される。
【0192】
p領域47は、絶縁膜48、R光電変換素子、絶縁膜59、B光電変換素子、及び絶縁膜63を貫通する孔に形成された接続部52を介して下部電極101gと電気的に接続されている。下部電極101gで捕集された正孔は、p領域47の電子と再結合するため、捕集した正孔の数に応じ、p領域47にリセット時に蓄積された電子が減少することとなる。接続部52は、下部電極101gとp領域47以外とは絶縁膜49によって電気的に絶縁される。
【0193】
p領域43に蓄積されている電子は、n領域42内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域45に蓄積されている電子は、n領域44内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換され、p領域47に蓄積されている電子は、n領域46内に形成されたpチャネルMOSトランジスタからなるMOS回路(不図示)によってその電荷量に応じた信号に変換されて、撮像素子300外部へと出力される。各MOS回路は配線55によって図示しない信号読み出しパッドに接続される。なお、信号読出し部は、MOS回路ではなくCCDとアンプによって構成してもよい。つまり、p領域43,45,47に蓄積された電子をシリコン基板41内に形成したCCDに読み出し、これをCCDでアンプまで転送して、アンプからその電子に応じた信号を出力させるような信号読出し部であってもよい。
【0194】
以上の説明において、B光を吸収する光電変換層とは、例えば、少なくとも400〜500nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率が50%以上であるものを意味する。G光を吸収する光電変換層とは、例えば、少なくとも500〜600nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率が50%以上であることを意味する。R光を吸収する光電変換層とは、例えば、少なくとも600〜700nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率が50%以上であることを意味する。
【0195】
[置換基W]
置換基Wについて記載する。
置換基Wとしてはハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といっても良い)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、その他の公知の置換基が挙げられる。
【0196】
更に詳しくは、Wは、下記の(1)〜(48)などを表す。
(1)ハロゲン原子
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子
(2)アルキル基
直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。それらは、(2−a)〜(2−e)なども包含するものである。
(2−a)アルキル基
好ましくは炭素数1から30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)
【0197】
(2−b)シクロアルキル基
好ましくは、炭素数3から30の置換無置換のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)
(2−c)ビシクロアルキル基
好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)
【0198】
(2−d)トリシクロアルキル基
好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のトリシクロアルキル基(例えば、1−アダマンチル)
【0199】
(2−e)更に環構造が多い多環シクロアルキル基
なお、以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、更にアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。
【0200】
(3)アルケニル基
直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、(3−a)〜(3−c)を包含するものである。
【0201】
(3−a)アルケニル基
好ましくは炭素数2から30の置換無置換のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)
【0202】
(3−b)シクロアルケニル基
好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)
【0203】
(3−c)ビシクロアルケニル基
置換無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)
【0204】
(4)アルキニル基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)
【0205】
(5)アリール基
好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、フェロセニル)
【0206】
(6)複素環基
好ましくは、56員の置換若しくは無置換の、芳香族若しくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数2から50の5若しくは6員の芳香族の複素環基である。
(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル。なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い)
【0207】
(7)シアノ基
【0208】
(8)ヒドロキシ基
【0209】
(9)ニトロ基
【0210】
(10)カルボキシ基
【0211】
(11)アルコキシ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)
【0212】
(12)アリールオキシ基
好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)
【0213】
(13)シリルオキシ基
好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)
【0214】
(14)ヘテロ環オキシ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)
【0215】
(15)アシルオキシ基
好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)
【0216】
(16)カルバモイルオキシ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)
【0217】
(17)アルコキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)
【0218】
(18)アリールオキシカルボニルオキシ基
好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)
【0219】
(19)アミノ基
好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアニリノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)
【0220】
(20)アンモニオ基
好ましくは、アンモニオ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキル、アリール、複素環が置換したアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)
【0221】
(21)アシルアミノ基
好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)
【0222】
(22)アミノカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ(例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)
【0223】
(23)アルコキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)
【0224】
(24)アリールオキシカルボニルアミノ基
好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)
【0225】
(25)スルファモイルアミノ基
好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)
【0226】
(26)アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ(例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)
【0227】
(27)メルカプト基
【0228】
(28)アルキルチオ基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)
【0229】
(29)アリールチオ基
好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールチオ(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)
【0230】
(30)ヘテロ環チオ基
好ましくは、炭素数2から30の置換無置換のヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)
【0231】
(31)スルファモイル基
好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)
【0232】
(32)スルホ基
【0233】
(33)アルキル若しくはアリールスルフィニル基
好ましくは、炭素数1から30の置換無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換無置換のアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)
【0234】
(34)アルキル若しくはアリールスルホニル基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)
【0235】
(35)アシル基
好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換若しくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)
【0236】
(36)アリールオキシカルボニル基
好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)
【0237】
(37)アルコキシカルボニル基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)
【0238】
(38)カルバモイル基
好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイル(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)
【0239】
(39)アリール及びヘテロ環アゾ基
好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換若しくは無置換のヘテロ環アゾ基(例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)
【0240】
(40)イミド基
好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド
【0241】
(41)ホスフィノ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)
【0242】
(42)ホスフィニル基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のホスフィニル基(例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)
【0243】
(43)ホスフィニルオキシ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)
【0244】
(44)ホスフィニルアミノ基
好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)
【0245】
(45)ホスフォ基
【0246】
(46)シリル基
好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)
(47)ヒドラジノ基
好ましくは炭素数0から30の置換若しくは無置換のヒドラジノ基(例えば、トリメチルヒドラジノ)
(48)ウレイド基
好ましくは炭素数0から30の置換若しくは無置換のウレイド基(例えばN,N−ジメチルウレイド)
【0247】
また、2つのWが共同して環を形成することもできる。このような環としては芳香族、非芳香族の炭化水素環、複素環や、これらが更に組み合わされて形成された多環縮合環が挙げられる。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、及びフェナジン環が挙げられる。
【0248】
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SONHSO−基(スルフォニルスルファモイル基)が挙げられる。より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
【実施例】
【0249】
[実施例1]
以下のようにして、光電変換素子を作製した。まず、基板上に、アモルファス性ITO30nmをスパッタ法により成膜し下部電極を形成した。
この下部電極上に、下記化合物(1)とフラーレン(C60)をそれぞれ単層換算で100nm、300nmとなるように、蒸着速度は1.7Å/sで共蒸着した層をそれぞれ真空加熱蒸着により、基板の温度を80℃に制御した状態で成膜し、光電変換層を形成した。更に、その上に、TPDを20nm、mMTDATAを300nm成膜して電子ブロッキング層を形成した。光電変換層及び電子ブロッキング層の真空蒸着は全て4×10−4Pa以下の真空度で行った。
更にその上に、上部電極としてスパッタ法によりアモルファス性ITOを10nm成膜して、透明の上部電極を形成し、光電変換素子を作製した。
【0250】
[実施例2]
実施例1の光電変換層の成膜において、化合物(1)とフラーレン(C60)の共蒸着層を、基板温度80℃、蒸着速度13.6Å/sで成膜すること以外は同様にして光電変換素子を作製した。
【0251】
[比較例1]
実施例1の光電変換層の成膜において、化合物(1)とフラーレン(C60)の共蒸着層を基板温度105℃にて成膜すること以外は同様にして光電変換素子を作製した。
【0252】
【化58】

【0253】
[X線回折の解析]
X線回折装置(2θ―θ法)を用い、化合物(1)とフラーレンC60の共蒸着層をITO電極基板上に成膜した場合のX線回折の解析を行った(θ=0°が基板の水平方向に、すなわち、θ=90°が基板に対して垂直方向に一致するように試料をセットした)。その結果を図6〜8に示す。
【0254】
[評価]
実施例1、2及び比較例1の素子について、5×10V/cm電圧印加時の暗電流値(相対値)を測定した。その結果を下記表に示す。
なお、比較例1、実施例1、2とも、0〜98%信号強度への立ち上がり時間は同等であり、感度は、実施例1と比較例1は、フラーレン(C60)の強い結晶化により同程度に高く、実施例1の成膜条件に対し基板を室温で成膜した条件(フラーレン(C60)の結晶化なし)での性能に対し、それぞれ約2倍の感度であった。
なお、上記評価は、下部電極側にプラスの電圧を印加する形で行った。暗電流は、作成した素子にソースメーターを接続し、光が当たらない状態で電圧印加しながら流れる電流量を測定する事で計測した。
【0255】
【表1】

【0256】
上記結果より、本発明によれば、高速応答、高感度の性能を発現した上で、低い暗電流の光電変換素子及び撮像素子が得られることがわかる。
【符号の説明】
【0257】
11 下部電極(導電性膜)
12 光電変換層(光電変換膜)
15 上部電極(透明導電性膜)
16A 電子ブロッキング層
16B 正孔ブロッキング層
100,200,300 撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性膜と、光電変換膜と、透明導電性膜とを含む光電変換素子であって、
前記光電変換膜が、結晶化したフラーレン又はフラーレン誘導体を含み、
前記結晶化したフラーレン又はフラーレン誘導体が、前記導電性膜の膜面に対して垂直に(111)方向に配向している、光電変換素子。
【請求項2】
前記光電変換膜が、前記フラーレン又はフラーレン誘導体以外に少なくとも1種の有機材料を含む、請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記導電性膜と、前記光電変換膜と、前記透明導電性膜とがこの順に積層された、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の光電変換素子の製造方法であって、
基板上に、前記導電性膜、前記光電変換膜、及び前記透明導電性膜を形成する工程を含み、
前記光電変換膜の形成において、フラーレン又はフラーレン誘導体と、それ以外の少なくとも1種の有機材料とを共蒸着する工程を含む、光電変換素子の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法であって、
基板上に、前記導電性膜、前記光電変換膜、及び前記透明導電性膜を形成する工程を含み、
前記光電変換膜の形成において、基板を加熱した状態でフラーレン又はフラーレン誘導体を蒸着することで該フラーレン又はフラーレン誘導体が結晶化した部位の形成を行う工程を含む、光電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記フラーレン又はフラーレン誘導体の蒸着速度が0.5〜3Å/sである、請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記フラーレン又はフラーレン誘導体を蒸着する際の基板温度が100℃以下である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子又は請求項4〜7のいずれか1項に記載の製造方法により製造された光電変換素子を備えた撮像素子であって、
前記光電変換膜が上方に積層された半導体基板と、
前記半導体基板内に形成され、前記光電変換膜で発生した電荷を蓄積するための電荷蓄積部と、
前記光電変換膜の電荷を前記電荷蓄積部へ伝達するための接続部とを備えた撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−14895(P2011−14895A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128283(P2010−128283)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】