説明

全閉形電動機

【課題】外気を機内に流通させることなく、冷却性能を向上させて小型化軽量化が可能となる車両駆動用全閉形電動機を提供することを目的とする。
【解決手段】ステータフレームと、このステータフレームの内周面に設けられたステータ鉄心と、ロータシャフトに取り付けられたロータ鉄心を機内に有するとともに、外気を前記機内に流入させない構造を備えた全閉型電動機において、前記ステータフレームの両端に取り付けられ、前記機内との間に外気の流路を形成する第1および第2のブラケットと、前記ロータ鉄心の一方の面に取り付けられ、前記ロータ鉄心に設けられた軸方向に貫通する通気穴と同軸方向で連通する通気穴を有する第1の部材と、前記ロータ鉄心の他方の面に取り付けられ、前記ロータ鉄心に設けられた軸方向に貫通する通気穴に対応する位置から放射方向に形成された通気穴を有する第2の部材とを備えたことを特徴とする全閉形電動機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両駆動用全閉形電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電車等の鉄道車両では車体の床下に配置された台車の中に駆動用の電動機を装荷し、この電動機の回転力を歯車装置を介して車輪に伝達し、車両を走行させる。
【0003】
従来、この駆動用電動機には、外気を機内に流通させて冷却する開放型電動機が使用されていたが、近年、低騒音化と機内の外気による汚損をなくすことにより長期非分解を図るため、全閉形の電動機の採用が検討されている。
【0004】
この車両駆動用全閉形電動機の構造を図10にて説明する。円筒状で一端に側板を有したフレーム1の内周部に環状のステータ鉄心2が取付けてあり、このステータ鉄心の内周側に複数の溝が設けられ、この溝の中にステータコイル3が取付けられ、ステータコイル3の両端部はステータ鉄心2より張り出している。
【0005】
フレーム1の一端側に軸受6を内蔵したベアリングブラケット4を取付け、他端側に軸受7を内蔵したベアリングハウジング5を取付け、この軸受6、7によってロータシャフト8を回転自在に指示してある。ロータシャフト8の中央部分に環状のロータ鉄心9を取付け、このロータ鉄心の外周側に設けた複数の溝の中にロータバー10が取付けられてある。
【0006】
フレーム1の外側面には多数の冷却フィン1a、1bが設けてあり、ベアリングブラケットの外側面にも多数の冷却フィン4aが設けてある。フレーム1は、台車(図示せず)に固定支持され、ロータシャフト8の突出部8aは、継手11により駆動歯車側(図示せず)と直結してある。
【0007】
この全閉形駆動電動機は、運転時にステータコイル3、及びロータバー10が発熱し電動機は温度上昇する。電動機内で発熱した熱はフレーム1やベアリングブラケット4等の表面により外気に放出して電動機を冷却する。この冷却作用を促進させるため放熱フィン1a、1b,4aが設けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−46960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の全閉形駆動電動機では、外気が機内を流通しないので、機内が外気に混入する塵埃で汚損されることはなくなるが、次に述べる問題があり、実用化を図るうえで改善が望まれていた。
【0010】
第1の問題は、冷却能力の低下による容量(出力)低下である。ステータコイル3とロータバー10に発生する熱は、フレーム1やブラケット4より間接的に外気に放出して冷却することになり、冷却性が著しく低下する。そのため、運転時の電動機の温度上昇が規定値をオーバーすることになり、所定の出力を得ることが出来なくなる。
【0011】
又温度上昇を規定値内に納めるためにはステータコイル3、ロータバー10の大型化を図って発生する熱を小さく抑える必要が生じ、必然的に大型化する。電動機が大型化した場合は、台車内に装荷(収納)することが出来なくなる。
【0012】
第2の問題は、軸受6及び軸受7の温度上昇が過大になることである。外気で機内のロータ冷却できないため、ロータの温度上昇が従来より増大し、この熱がロータシャフト8を介して、軸受に伝達し、軸受の温度を上昇させる。又、機内の空気も加熱されることから、この熱がベアリングブラケット4、ベアリングブラケット5に伝わり、同様に軸受の温度を上昇させる。
【0013】
軸受6及び軸受7は、軸受内および軸受周囲のポケット部に充填してあるグリースによって潤滑している。グリースは温度が高くなると熱劣化が進み、潤滑性が低下するため交換が必要になる。
【0014】
全閉形電動機として、機内の汚損を無くし、分解周期を長くするつもりでも軸受部の温度上昇が規定以上に大きくなった場合は、潤滑グリースの早期劣化が生じ、電動機の分解によるグリースの交換を行わなければならなくなり、分解周期を延ばすことは出来なくなる。
【0015】
そこで、本発明は、外気を機内に流通させることなく、冷却性能を向上させて小型化軽量化と分解周期の延長が可能となる車両駆動用全閉形電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題は、ステータフレームと、このステータフレームの内周面に設けられたステータ鉄心と、ロータシャフトに取り付けられたロータ鉄心を機内に有するとともに、外気を前記機内に流入させない構造を備えた全閉型電動機において、前記ステータフレームの両端に取り付けられ、前記機内との間に外気の流路を形成する第1および第2のブラケットと、前記ロータ鉄心の一方の面に取り付けられ、前記ロータ鉄心に設けられた軸方向に貫通する通気穴と同軸方向で連通する通気穴を有する第1の部材と、前記ロータ鉄心の他方の面に取り付けられ、前記ロータ鉄心に設けられた軸方向に貫通する通気穴に対応する位置から放射方向に形成された通気穴を有する第2の部材とを備えたことによって達成することが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、外気を機内に流通させることなく、冷却性能を向上させて小型化軽量化と分解周期の延長が可能となる全閉形電動機を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に基づく第1の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機の縦断図である。
【図2】本発明に基づく第2の実施の形態の全閉形電動機の縦断図である。
【図3】図3は、図2の部分断面図である。
【図4】本発明に基づく第3の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機の縦断図である。
【図5】放熱板の他の実施の形態の構成図である。
【図6】放熱板の他の実施の形態の構成図である。
【図7】放熱板の他の実施の形態の構成図である。
【図8】本発明に基づく第4の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機の縦断図である。
【図9】図8の部分断面図である。
【図10】従来の車両駆動用全閉形電動機の縦断図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
本発明に基づく第1の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機について図を参照し詳細に説明する。図1は、本発明に基づく第1の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機の縦断図である。
【0020】
本発明に基づく第1の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機は、ロータ鉄心9の両端側に放熱板19及び放熱板20を設け、この放熱板19、20の各々の外周部と固定子部材13、14との間に、円周状の微小間隙部を形成し、放熱板19、20の各々の外側の位置に配置してあるベアリングブラケット15とベアリングブラケット16に内臓された軸受6、7によってロータシャフト8を支持し、放熱板19、20と軸受支持部材15、16との間にロータシャフト8を中心とする環状の外気導入空間21、22を形成し、固定子部材15、16に設けた複数個の連通口13a、15a、14a、16aによって各々の外気導入空間を機外空間と連通してある。
【0021】
本実施の形態の車両駆動用全閉形電動機の運転により、機内に発生した熱は、フレーム12の外周面および冷却フィン12aより機外空間(外気)に放出されると同時に、ロータより発生した熱は、鉄心押さえ板17、18を介して放熱板19、20に伝達した後、外気導入空間21、22に放出される。又、加熱された機内空間(内気)の熱も放熱板19、20を介して外気導入空間21、22に放出される。
【0022】
外気導入空間21、22には、車両走行時の走行風が流入すると共に放熱板19,20の回転によって外気導入空間内の空気が、攪拌されるため、外気導入空間内の空気は常に外気と同様の温度となるため、放熱板からの機内の熱の放出作用は活発に行われる。
【0023】
更に放熱板19、20の機内外の壁面にフィン19a、19bおよび20a、20bが多数設けてあるため、機内の熱の外気への授受は更に効果的に行われる。
【0024】
このように電動機全体の冷却が従来の全閉形電動機に比べて大幅に向上するため、電動機の小形軽量化又は出力増大が可能になる。また、軸受6、7を支持しているベアリングブラケット15およびベアリングハウジング16と機内空間の間に、外気導入空間21、22を設けてあるため、内気の熱によりベアリングブラケット15とベアリングハウジング16が加熱されることはなくなると共に、フレーム12から軸受6、7に伝達される熱も連通口13a、15a、14a、16aを流通する外気によって冷却され抑制される。
【0025】
そのため、軸受6、7およびその近傍の温度上昇は従来の全閉形電動機に比べて大幅に低減され、潤滑グリースの劣化を防ぐことができるので、グリースの寿命を長くすることが出来、電動機の分解周期を長くすることが出来る。
【0026】
次に、本発明に基づく第1の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機の構成について図1を参照し、詳細に説明する。
【0027】
本発明に基づく第1の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機において、フレーム12の内周部には、環状のステータ鉄心2を固定している。ステータ鉄心2の内周側に設けた複数の溝内にステータコイル3を収納し、フレーム12の駆動側端にブラケット13を取付け、このブラケット13に、軸受6を内蔵したベアリングブラケット15を取付けてある。フレーム12の他端部には、ブラケット14を取付け、このブラケット14に軸受7内蔵したベアリングハウジング16を取付けてある。フレーム12の外周面には多数の冷却フィン12aが設けてある。 軸受6、7により、ロータシャフト8の両端部を支持し、ロータシャフト8の中央部にロータ鉄心9を取付け、ロータ鉄心9の両端に鉄心押さえ板17、18を取付けてある。 ロータ鉄心8の外周側に複数の溝を設け、この中にロータバー10を収納している。ロータの両側の鉄心押え板17、18の外側に密着して放熱板19、20が取付けられ、各々の放熱板の外周部と固定側のブラケット13、14の内周部の間は円周状の微小間隙で対抗したラビリンスを形成している。
【0028】
駆動側の放熱板19とベアリングブラケット15とブラケット13の間に、外気導入空間21を形成し、この外気導入空間は複数個の連通口13a、15aによって機外空間と連通してある。同様に、反駆動側の放熱板20とベアリングハウジング16とブラケット14の間に外気導入空間22を形成し、この外気導入空間は複数個の連通口14a、16aにより機外空間と連通してある。
【0029】
放熱板19の機外側壁面に多数のフィン19aを設け、機内側の壁面に多数のフィン19bを設けてある。
【0030】
このフィン19a、19bは、放熱板の円周方向(回転方向)に連続して延びた形状に形成してある。同様に放熱板20の機外側壁面に多数のフィン20aを設け、機内側壁面に多数のフィン20bを設けてある。フィン20a、20bは、放熱板の円周方向(回転方向)に連続して延びた形状に形成してある。
【0031】
このように構成された本発明に基づく第1の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機は、運転により機内に発生した熱はフレーム12の表面と冷却フィン12aより外気に放出されると同時に、ロータの両側面に設けた放熱板19、20より外気導入空間21、22に放出される。
【0032】
外気導入空間21、22には、車両の走行に伴い走行風が流通すし、更に放熱板の回転によって外気導入空間内の空気が攪拌されるため、常に外気が放熱板の表面を流通する。そのため、機内より放熱板に伝わった熱は、効率よく外気に放出され、冷却性能が向上する。
【0033】
また、放熱板19、20の内外壁にはフィン19a、19bおよび20a、20bが多数設けてあるので、表面積が増大し、内気から外気への熱の授受が更に有効に行われ冷却性が向上する。尚、冷却フィン19a、20aは、送風用のファンとは異なり、回転方向(周方向)に延びた形状としてあるので、回転時に風切り音の発生がなく、騒音の発生を防ぐことができる。
【0034】
更に、ベアリングブラケット15およびベアリングハウジング16の機内側背面の外気導入空間21、22に冷たい外気が常に流通するので、ベアリングブラケット15およびベアリングハウジング16は冷却され、軸受及び軸受近傍の温度上昇は抑制される。また、ロータシャフトから軸受に伝わる熱も、放熱板19、20により途中で外気に放出されるので、軸受に熱が伝わりにくくなっている。
【0035】
本発明に基づく第1の実施の形態の全閉形電動機は、冷却性の向上を図ることが出来るため、従来の全閉形電動機に比べて小形軽量化又は容量(出力)の増大を図ることが出来る。同時に軸受部の温度上昇を抑えることが出来るため、潤滑グリースの劣化を防ぎ電動機の分解周期の延長を図ることが出来る。
【0036】
(第2の実施の形態)
本発明に基づく第2の実施の形態の全閉形電動機について、図を参照し詳細に説明する。図2は、本発明に基づく第2の実施の形態の全閉形電動機の縦断図である。図3は、図2の部分断面図である。尚、図1に記載したものと同一の構造のものには、同符号を付して説明を省略する。
【0037】
本発明に基づく第2の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機は、ロータ鉄心9に軸方向に貫通した複数個の通気穴9aを設け、反駆動側の鉄心押え板24にも通気穴24aを設け、駆動側の鉄心押え板23にはラジアルダクト23aを設けていることを特徴のひとつとしている。
【0038】
本実施の形態の全閉形電動機の運転時には、鉄心押え板23の回転によるラジアルダクト23aのファン作用により内気が外周側に吹き上げられ、駆動側の機内空間の内気はロータ鉄心の外周とステータ鉄心の内周の間の空間25を通って反駆動側機内空間に流通し、更にロータ鉄心の通気穴9aを流通して、ラジアルダクト23aに戻る。
【0039】
このように運転時に内気は、ロータ鉄心外周空間25を経て機内を循環流通する。そのため、機内で最も温度上昇が大きくなるロータ鉄心外周部が有効に冷却されると同時に、機内全体が均一に冷却されるので、局部的な加熱(ローカルヒート)を防ぐことが出来、電動機全体としての冷却性が向上する。
【0040】
本実施の形態の車両駆動用全閉形電動機においても、冷却フィン19a、20aは、送風用のファンとは異なり、回転方向(周方向)に延びた形状としてあるので、回転時に風切り音の発生がなく、騒音の発生を防ぐことができる。
【0041】
(第3の実施の形態)
本発明に基づく第3の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機について、図を参照し詳細に説明する。図4は、本発明に基づく第3の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機の縦断図である。尚、図1乃至図3に記載したものと同一の構造のものには、同符号を付して説明を省略する。
【0042】
本発明に基づく第3の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機は、ロータ鉄心9に複数個の通気穴9aを設け、ロータ鉄心にも通気穴17a、18aを設ける。更に、放熱板19、20に通気穴19c、20cを設け、各々の通気穴を連通することにより、駆動側外気導入空間21と反駆動側の外気導入空間22とを連通した構造としてある。
【0043】
このように構成された車両駆動用全閉形電動機は、ロータ鉄心内を軸方向に貫通する複数個の通気穴9aと鉄心押え板の通気穴17a、18aを外気が流通することが出来るため、冷却性が向上し、特にロータの冷却性向上に有効となる。
【0044】
次に、放熱板に設けたフィンの他の実施の形態について説明する。図5は、放熱板の他の実施の形態の構成図である。図6は、放熱板の他の実施の形態の構成図である。図7は、放熱板の他の実施の形態の構成図である。
【0045】
図5に記載の放熱板は、放熱板26の機外側のフィン26aと機内側のフィン26bを円周方向(回転方向)に複数個配列し、更に断続的に配置したものである。
【0046】
このように構成された放熱板は、内気又は外気に接する表面積が大きくなるが、回転時の風切り騒音を小さくすることが出来る。また、フィン26が断続的に配置されているので、回転時の空気の攪拌作用が連続的なフィンに比べ、わずかに増大し放熱効果が向上する。
【0047】
次に放熱板の他の実施の形態について説明する。図6は、本発明に基づく車両駆動用全閉形電動機に設けられた放熱板の構成図である。図7は、本発明に基づく車両駆動用全閉形電動機に設けられた放熱板の構成図である。
【0048】
図6に記載の放熱板27は、機内外壁面にピン状の突起27a、27bを多数設けてある。そのため、表面積の増大による放熱性能の向上と、回転時の騒音発生防止を図ることができる。
【0049】
図7に記載の放熱板28は、その壁面に放射状に多数のリブ28a、28bを設けてある。そのため、表面積の増大による放熱性能の向上と、回転時の騒音発生防止を図ることができる。
【0050】
(第4の実施の形態)
本発明に基づく第4の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機について、図を参照し詳細に説明する。図8は、本発明に基づく第4の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機の縦断図である。図9は、図8の部分断面図である。尚、図1乃至図7に記載したものと同一の構造のものには、同符号を付して説明を省略する。
【0051】
本発明に基づく第4の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機において、放熱板20とベアリングブラケット16の間に外気導入空間22が形成されている。ロータシャフト8は、軸受7により支持され、軸受の機内側に隣接してカラー29がシャフト8に固定してある。カラー29の機内側の側面および外周面は外気導入空間22に接しており、カラー29の側面にはフィン29aが多数放射状に設けてある。
【0052】
このように構成された車両駆動用全閉形電動機の運転時にロータに発生した熱は、ロータシャフト8に伝わって、軸受7を加熱しようとするが、軸受の機内側に固定されたカラー29がロータシャフト8の熱を外気導入空間に放出し、軸受側に伝熱する熱を低減するため、軸受7の温度上昇は一層低減される。
【0053】
このように構成された車両駆動用全閉形電動機は、カラー29に設けた多数のフィン29aにより、外気導入空間22に接するカラー29の表面積を増大させるとともに、回転時にフィン29aによって空気の攪拌を促進し、カラー29から外気導入空間の放熱作用を向上させるので軸受の温度低減効果は向上する。
【0054】
以上、本発明に基づく第1乃至第4の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機については誘導電動機として説明を行ったが、本発明に基づく車両駆動用全閉形電動機は、誘導電動機に限定されるものではなく、たとえばロータに永久磁石を用いた同期電動機やその他の方式の電動機においても適用可能である。
【0055】
また、第1乃至第4の実施の形態の車両駆動用全閉形電動機については、放熱板と外気導入空間を駆動側、反駆動側の両方に構成しているものとして説明を行ったが、放熱板、外気導入空間をいずれか一方にのみ構成することでも、本発明の効果を奏することができるので特に両方に設けるということに限定しない、
本発明に基づく車両駆動用全閉形電動機は、固定子フレームの表面からの放熱のほかに、ロータの側面に設けた放熱板によって外気に積極的に放熱を行うことができるため、冷却性能が向上し、電動機の小形軽量化又は容量の増大を図ることができる。また、軸受支持をするベアリングブラケット(又はハウジング)の機内側に外気導入空間を形成し、この空間に外気を流通させることが出来るため、軸受及び軸受支持部を冷却し軸受部の温度上昇を低減することが出来る。更に、ロータシャフトから軸受に伝達される熱は、放熱板やカラーによって外気導入空間に放出されるため、軸受の温度上昇を更に低減することが出来る。
【0056】
軸受の温度上昇を更に低減することにより、潤滑グリースの劣化を防ぐことが出来、分解周期の延長が可能となる。
【0057】
また、放熱板の冷却性を向上させるフィンを多数設けてあるが、このフィンの形状を回転時の風切り音が小さい形状としてあるので、騒音の発生を防ぎ、低騒音化を図ることが出来る。
【符号の説明】
【0058】
1・・・フレーム、1a・・・冷却フィン、2・・・ステータ鉄心、
3・・・ステータコイル、4・・・ベアリングブラケット、4a・・・冷却フィン
5・・・ベアリングハウジング、6・・・軸受、7・・・軸受
8・・・ロータシャフト、9・・・ロータ鉄心、10・・・ロータバー、
11・・・継手、12・・・フレーム、12a・・・冷却フィン、
13・・・ブラケット、13a・・・連通口、14・・・ブラケット、
14a・・・連通口、15・・・ベアリングブラケット、15a・・・連通口、
16・・・ベアリングハウジング、16a・・・連通口、17・・・鉄心押え板、
18・・・鉄心押え板、19・・・放熱板、19a・・・フィン、
19b・・・フィン、20・・・放熱板、20a・・・フィン、20b・・・フィン、
21・・・外気導入空間、22・・・外気導入空間、23・・・鉄心押え板、
23a・・・ラジアルダクト、24・・・鉄心押え板、24a・・・通気穴、
25・・・ロータ鉄心外周空間、26・・・放熱板、26a・・・フィン、
26b・・・フィン、27・・・放熱板、27a・・・突起、27b・・・突起、
28・・・放熱板、28a・・・リブ、28b・・・リブ、29・・・カラー、
29a・・・フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータフレームと、このステータフレームの内周面に設けられたステータ鉄心と、ロータシャフトに取り付けられたロータ鉄心を機内に有するとともに、外気を前記機内に流入させない構造を備えた全閉型電動機において、
前記ステータフレームの両端に取り付けられ、前記機内との間に外気の流路を形成する第1および第2のブラケットと、
前記ロータ鉄心の一方の面に取り付けられ、前記ロータ鉄心に設けられた軸方向に貫通する通気穴と同軸方向で連通する通気穴を有する第1の部材と、
前記ロータ鉄心の他方の面に取り付けられ、前記ロータ鉄心に設けられた軸方向に貫通する通気穴に対応する位置から放射方向に形成された通気穴を有する第2の部材と
を備えたことを特徴とする全閉形電動機。
【請求項2】
前記第1および第2の部材は、鉄心押え板と放熱板から構成されることを特徴とする請求項1に記載の全閉形電動機。
【請求項3】
前記ロータ鉄心に設けられた軸方向に貫通する通気穴と同軸方向で連通する通気穴および前記ロータ鉄心に設けられた軸方向に貫通する通気穴に対応する位置から放射方向に形成された通気穴は、それぞれ鉄心押え板に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の全閉形電動機。
【請求項4】
前記第2の部材に形成され、前記ロータ鉄心に設けられた軸方向に貫通する通気穴に対応する位置から放射方向に形成された通気穴は、前記ロータシャフトからの距離が離れるほど、ロータ鉄心の回転方向の幅が広くなることを特徴とする請求項1に記載の全閉形電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−205894(P2011−205894A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156154(P2011−156154)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【分割の表示】特願2005−313265(P2005−313265)の分割
【原出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】