説明

制御装置

【課題】坂道において安全にアイドリングストップするための制御を行う制御装置を提供すること。
【解決手段】移動体に備えられ、
前記移動体の停止する位置が坂道であるか否かを判定する制御部を備える制御装置であって、
前記制御部は前記移動体が停止する位置が坂道であるときに、アイドリングストップに関する制御と所定の制御を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関するものであり、特に坂道において安全にアイドリングストップするための制御を行う制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワークすることにより、交通事故や渋滞などといった道路交通問題の解決を目的とした高度道路通信システム(Intelligent Transport Systems、以下「ITS」という。)が研究、開発されている。ITSの中でも特に安全運転支援システムを扱う分野における自動車向け無線通信の形態は路車間通信と車車間通信とに大別できる。路車間通信は路側機と車両が情報を通信するのに対し、車車間通信は車両同士が直接情報の通信を行う。
【0003】
路車間通信により路側機から車両に発信される情報には交差点情報や信号機情報が含まれるものと考えられる。交差点情報としては交差点を識別するための識別情報、信号機情報としては信号機を識別するための識別情報、信号機の現在の信号表示情報(信号機の現在の表示色を示す情報)、信号機の現在の信号表示(信号機の表示色)が次の信号表示に変更されるまでの時間、信号機の次の信号表示情報等の情報が含まれる。そしてこのような交差点情報や信号機情報を活用して種々の制御を行う装置が提案されている。例えば地球温暖化等の環境問題への配慮から、アイドリングストップを自動的に行う車両が増えており、その際に交差点情報や信号機情報を活用する装置が提案されている。
【0004】
特許文献1に開示されている原動機の制御装置は車両に対する進行不許可信号表示(赤色)が進行許可信号表示(青色)に切り替わるまでの時間を検出する検出手段と、その検出手段で検出された時間に基づいて原動機の停止制御を実施する停止制御実施手段とを備えている。これにより、進行不許可信号表示から進行許可信号表示に切り替わるまでの時間が所定時間以上であるときにエンジンを停止することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−213388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、エンジンを停止するとブレーキアシストや、ブレーキを軽い力で踏み込み可能とするブレーキ倍力装置などの補助装置が動作しなくなる。そのため、ブレーキペダルが重くなり、しっかりと踏み込むことができずブレーキの効果が十分に得られないといった問題が生じる。特に、坂道においては、ブレーキの効果が十分に得られないと車両が坂道の上流側から下流側に移動することにより下流側に存在する他の車両と衝突する可能性があるため、上記特許文献1に開示されている原動機の制御装置は坂道におけるアイドリングストップには適さない。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑み、坂道において安全にアイドリングストップするための制御を行う制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の制御装置は、移動体に備えられ、前記移動体の停止する位置が坂道であるか否かを判定する制御部を備える制御装置であって、前記制御部は前記移動体が停止する位置が坂道であるときに、アイドリングストップに関する制御と所定の制御を行うことを特徴とする。
【0009】
この構成によると、移動体が停車した位置が坂道であるときは、坂道において安全にアイドリングをストップできるように所定の制御を行うので他の移動体との衝突等の危険を回避することができる。
【0010】
また上記構成の制御装置において、前記制御装置は、少なくとも信号機情報を含む情報を受信する通信部を備え、前記制御部は前記信号機情報に基づく信号機の信号表示が進行不許可信号表示であるときに、前記所定の制御を行うことを特徴とする。
【0011】
この構成によると、信号機の信号表示が進行不許可信号表示であるときに坂道において安全にアイドリングをストップできるように所定の制御を行うので、すぐに発進しなければならない可能性が高い状況で所定の制御が行われることを防ぐことできる。
【0012】
また上記構成の制御装置において、前記制御部は、前記進行不許可信号表示が進行許可信号表示に切り替わるまでの時間が所定時間未満であるときは、前記所定の制御を行わないことを特徴とする。
【0013】
この構成によると、進行不許可信号表示が進行許可信号表示に切り替わるまでの時間が所定時間以下であるときは所定の制御を行わないので、移動体の停止時間が比較的短いと推定される状況で所定の制御が行われることを防ぐことができる。
【0014】
また上記構成の制御装置において、前記制御装置は、前記移動体の現在位置を検出する現在位置検出部と、前記移動体の進行方向を検出する進行方向検出部と、地図情報が記憶されている地図情報記憶部と、を備え、前記制御部は、前記現在位置、前記進行方向及び前記地図情報に基づき、前記移動体の前方の信号機を特定し、前記信号機は、前記移動体の前方の信号機であることが望ましい。
【0015】
また上記構成の制御装置において、前記所定の制御は、パーキングブレーキを作動させることであることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、坂道において安全にアイドリングをストップできるようにパーキングブレーキを作動させるため他の移動体などとの衝突等の危険を回避することができる。
【0017】
また上記構成の制御装置において、前記制御装置は報知部を備え、前記所定の制御は、フットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させることを報知するように前記報知部を制御することであることを特徴とする。
【0018】
この構成によると、坂道において安全にアイドリングをストップできるように移動体の運転者に対してフットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させることを報知するため他の移動体との衝突等の危険を回避することができる。なお、坂道においては一般的にフットブレーキを作動させている(ブレーキペダルを踏んでいる)ことが多いと考えられる。しかしながらエンジンが稼働中においては真空倍力装置によりブレーキペダルを踏む力が増幅されることによってブレーキペダルを強く踏み込まなくても車両を停車させることができる。これに対しエンジンが停止すると真空倍力装置が作動しなくなるためブレーキペダルを強く踏み込まなければ車両を停車させることができない。一方でエンジンを停止することによりブレーキペダルが重くなるためエンジンが停止してからブレーキペダルを強く踏み込むことは困難である。そこで、フットブレーキを作動させることを促すことにより、運転者は予め(エンジンが稼働中であり、ブレーキペダルを強く踏み込むことが容易である状態で)ブレーキペダルを強く踏み込み、フットブレーキを作動させることができるのでエンジンを停止した後に他の車両と衝突する等の危険を回避することができる。
【0019】
また上記構成の制御装置において、前記アイドリングストップに関する制御は、エンジンの停止及びエンジンの停止を促す報知の少なくとも一方であることが望ましい。
【0020】
また上記構成の制御装置において、前記制御部は、傾斜センサにより取得される傾斜情報、画像取得手段により得られた画像情報、地図情報記憶部に記憶されている地図情報、のうち少なくとも一つを取得して前記移動体が停止する位置が坂道であるか否かを判定することが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、移動体が停車した位置が坂道であるときは、坂道において安全にアイドリングをストップできるように所定の制御を行うので他の移動体との衝突等の危険を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】は、本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【図3】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【図4】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【図5】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第4のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために本発明の制御装置が組み込まれたナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の装置にも等しく適応し得るものである。例えば、ナビゲーション機能を有しない装置であってもよく、また、車両から取り外して持ち運びが可能な装置であってもよい。なお、以下の説明では、ナビゲーション装置が車に取付けられた場合を例示するが、バイク等がナビゲーション装置を備えて(保持して)いてもよい。図1は本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置20は制御部1と、表示部2と、操作部3と、現在位置検出部4と、進行方向検出部5と、速度検出部6と、地図情報記憶部7と、バッテリ8と、通信部9と、報知部10とを備えている。
【0024】
制御部1はナビゲーション装置20全体を総括的に制御する制御手段である。制御部1はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御や動作の手順が記述された各種プログラムが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
【0025】
表示部2は地図画面(目的地への経路、自車の現在位置を示すマークなどを含む地図画像を表示する画面)やメニュー画面を表示するための表示手段である。
【0026】
操作部3はユーザが目的地を入力したり、メニューを操作したりするための入力操作手段である。なお、操作部3としては、ナビゲーション装置本体に各種のキーやボタンを設けてもよいし、表示部2にタッチパネル機能を付加してもよい。また、操作部3としてナビゲーション装置本体を遠隔操作するためのリモートコントローラを用いても構わない。
【0027】
現在位置検出部4は自車の現在位置を検出するものであり、GPS受信機、自立航法手段、位置計算用CPU等を含んで構成される。自立航法手段は操角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなり、自車の走行距離と進行方向とをそれぞれ検出し、これらの値に基づいて現在位置を求める。また、GPS受信機は複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して3次元測位処理又は2次元測位処理を行って自車の絶対位置及び進行方向を計算する。ここで進行方向は現時点の自車位置と直前の自車位置とに基づいて計算される。
【0028】
進行方向検出部5は自車の進行方向を検出するものである。進行方向の検出方法は特に限定されず、例えばタイヤの回転方向から検出することとしてもよいし、方位センサを用いて検出してもよいし、上述のように現時点の自車位置と直前の自車位置とに基づいて計算してもよい。なお、現在位置検出部4が自車の現在位置に加えて進行方向を検出することができる場合には進行方向検出部5を別途設けない構成としてもよい。
【0029】
速度検出部6はナビゲーション装置20が搭載された自車の移動速度を検出する。移動速度は車速センサや加速度センサの出力から算出してもよいし、GPS履歴間の走行距離とGPS受信時刻の差から算出してもよい。
【0030】
地図情報記憶部7は目的地への経路探索や誘導を行う際に参照される地図情報が記憶されている。地図情報には、ネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)が含まれる。地図情報記憶部7としてはNANDフラッシュやSDメモリカードなどを好適に用いることができる。なお、地図情報記憶部7はナビゲーション装置20に内蔵しても構わないし、ナビゲーション装置20に着脱可能な構成としても構わない。なお、地図情報には、地図画像が含まれていてもよいし、地図情報に含まれるネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)に基づき地図画像を表示部2に描画してもよい。また、地図情報は予め地図情報記憶部7に記憶される以外にも、後述する通信部9が路側機などから地図情報を受信し、受信された地図情報が地図情報記憶部7に記憶されてもよい。
【0031】
バッテリ8はナビゲーション装置20の携帯使用時における電源供給手段であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を好適に用いることが可能である。もちろん、バッテリ8として、アルカリマンガン乾電池やマンガン乾電池などの一次電池を用いても構わないし、燃料電池を用いても構わない。
【0032】
通信部9はナビゲーション装置20と通信可能な他の通信装置(以下「他の通信装置」という。)に情報を送信する送信部(図示せず)と他の通信装置から送信される情報を受信する受信部(図示せず)とを有する。通信方法は無線通信や赤外線通信などの非接触通信としてもよいし、バス接続などの有線通信としてもよい。他の通信装置としては例えば他の車両(移動体)に搭載されたナビゲーション装置等の車載装置、路側機、歩行者が所持する携帯電話等の移動通信端末などを挙げることができる。通信部9が路側機から受信する情報には交差点情報や信号機情報などが含まれる。なお、通信部9は、路側機以外にも他の車両(移動体)に搭載されたナビゲーション装置等の車載装置や、携帯電話等の移動通信端末などから交差点情報や信号機情報を受信してもよい。また、通信部9は、単一の交差点情報や信号機情報を受信するのではなく、複数の交差点情報や信号機情報を受信してもよい。ここで、通信部9が受信する交差点情報及び信号機情報について説明を行なう。なお、以下の説明では、交差点毎に路側機が設置され、路側機から、当該路側機が設置された交差点の情報(交差点情報)及び当該路側機が設置された交差点に設置されている一又は複数の信号機の情報(信号機情報)を含む情報が送信されるものとする。
【0033】
交差点情報には、例えば、交差点の位置(緯度・経度)や路側機(交差点)を識別する情報などが含まれる。後述する通り、交差点情報に基づいて、自車の前方の交差点の信号機情報を判別する。
【0034】
信号機情報には、信号機を識別するための識別情報(信号機番号)、交差点への進入方向に対応付けられた信号現示情報、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示情報及び該信号表示に変更されるまでの時間等の情報が含まれる。ここで、信号機情報には、信号機毎に信号機の現在の信号表示情報などの情報が含まれる。すなわち、信号機情報は、路側機が設置された交差点に設置されている信号機の情報であるから、路側機が設置された交差点が四叉路であれば、4つの信号機が設置されている。そのため、信号機情報には、4つの信号機毎に、信号機を識別するための識別情報(信号機番号)、交差点への進入方向に対応付けられた信号現示情報、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示情報及び該信号表示に変更されるまでの時間等の情報が含まれている。なお、信号機情報には、信号表示のサイクルの情報が含まれていても良い。信号表示のサイクルの情報とは、例えば、進行許可信号表示(青色)が○○秒、進行注意信号表示(黄色)が○○秒、進行停止信号表示(赤色)が○○秒という信号表示のサイクルである。
【0035】
報知部10は自車の運転者に対して各種情報を報知する。報知方法は運転者が内容を理解することができる方法であれば特に制限されないが、例えばスピーカ(不図示)を介して所定の音声を出力することにより行われる。また、表示部2に所定の文字や画像等を表示することによって行ってもよく、或いは音声と表示を同時に行うこととしてもよい。説明の簡略化のために報知部10と表示部2を別の構成として設けているが、報知方法が表示部2への所定の文字や画像等の表示を含む場合には報知部10が表示部2を含む構成として設けてもよい。
【0036】
[第1実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第1実施形態について図2を用いて説明する。本発明のナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【0037】
ステップS01において制御部1は自車の車両情報を取得する。自車の車両情報とは現在位置検出部4によって検出される自車の現在位置、進行方向検出部5によって検出される自車の進行方向、速度検出部6によって検出される自車の移動速度を含む情報である。次にステップS02において制御部1は自車が停車しているか否かを判定する。自車が停車していなければ(ステップS02のN)処理を終了する。自車が停車していれば(ステップS02のY)ステップS03に進む。なお、「自車が停車している」とは速度検出部6により検出される自車の移動速度が0km/hである状態をいう。その他にも、距離センサにより検出される移動距離が0の場合や、GPS受信機により検出される現在位置が移動していない場合(前回の位置と、今回の位置が同一の場合)にも停車と判定してもよい。
【0038】
ステップS03において制御部1は自車が停車した位置が坂道であるか否かを判定する。自車が停車した位置が坂道でなければ(ステップS03のN)処理を終了する。自車が停車した位置が坂道であれば(ステップS03のY)ステップS04に進む。なお、制御部1が、自車が停車した位置が坂道であるか否かを判定する方法は、例えば自車に搭載されたジャイロセンサ(或いはジャイロスコープ)等の傾斜センサにより取得される自車の傾斜情報に基づいて判定してもよいし、自車に搭載された画像センサ等の画像取得手段(不図示)により得られた画像情報を取得して画像認識処理を行うことにより判定してもよい。また、地図情報記憶部7に記憶されている地図情報に坂道に関する情報が含まれている場合には、該坂道に関する情報を取得して判定してもよいし、地図情報記憶部7に記憶されている地図情報に含まれるノードデータに基づいて(例えば自車を挟む二つのノードの高度差に基づいて)判定してもよい。本実施形態において坂道はその傾斜度(勾配)が限定されるものではなく、0度以上の傾斜度であれば坂道であると判定してもよいし、所定の傾斜度以上の傾斜度のときに坂道と判定してもよい。
【0039】
ステップS04において制御部1はエンジンを停止させると共に、パーキングブレーキを作動させる。自動でエンジンを停止させるシステム(上述の先行技術文献1)及び自動でパーキングブレーキを作動させるシステムは従来から知られている方法を用いることができる。自動的にパーキングブレーキを作動させるシステムとしては、車両が停止してから所定時間が経過した場合や、自動変速機のシフトポジションが駐車レンジやニュートラルレンジに設定され、且つブレーキペダルが踏込まれているような場合や、エンジンの停止中にパーキングブレーキが十分に作動していないこと等が原因で車両が動き出したことが検出された場合に自動的にパーキングブレーキを作動させるシステムが知られている(特開2006−315607号公報、特開平06−263016号公報)。
【0040】
本実施形態によれば、坂道において安全にアイドリングをストップできるようにエンジンを停止させると共に、パーキングブレーキを作動させるため他の移動体との衝突等の危険を回避することができる。なお、本実施形態のように、エンジンを停止させると共に、パーキングブレーキを作動させるのではなく、エンジンを停止させる前に、パーキングブレーキを作動させてもよい。
[第2実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第2実施形態について図3を用いて説明する。図3はナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。なお、ステップS11〜ステップS13は第1実施形態のステップS01〜ステップS03と同様であるため省略する。
【0041】
ステップS14において制御部1は報知部10を制御して、自車の運転者に対してエンジンを停止させると共に、フットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させるように報知する。例えば「エンジンを停止すると共にパーキングブレーキを作動させてください。」と音声案内する方法や、「エンジンを停止すると共にブレーキペダルを強く踏み込んでください」と表示部2に表示する方法等がある。なお、より詳細に報知する場合では、「坂道のため、パーキング(フット)ブレーキを作動させた後、エンジンを停止して下さい。」などと報知してもよい。これにより、パーキングブレーキを作動させる理由と、作動手順をユーザに報知することができる。
【0042】
本実施形態によれば、坂道において安全にアイドリングをストップできるように自車の運転者に対してエンジンを停止させると共に、或いは、停止させる前に、フットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させることを報知するため他の移動体との衝突等の危険を回避することができる。
[第3実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第3実施形態について図4を用いて説明する。図4はナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。なお、ステップS21〜ステップS23は第1実施形態のステップS01〜ステップS03と同様であるため省略する。
【0043】
ステップS24において制御部1は通信部9が受信した交差点情報及び信号機情報を取得する。なお、交差点情報及び信号機情報を取得するタイミングは当該タイミング(ステップS23の後)とは限られない。車両情報の取得(ステップS21)と同時に取得するものであってもよいし、また、車両情報の取得と同時或いは別々に、定期的或いは不定期(他の通信装置の送信タイミングに基づいて)に取得されてもよい。定期的或いは不定期に複数回情報を取得する場合には、取得された情報のうち最も新しい情報を使用することとしてもよい。なお、車両情報も同様に、取得するタイミングはフローチャートの位置に限定されず、定期的或いは不定期に取得されてもよい。
【0044】
ステップS25において制御部1は自車の前方の信号機の現在の信号表示が進行不許可信号表示(赤信号)であるか否かを判定する。制御部1は自車の前方の信号機の現在の信号表示が進行不許可信号表示であるか否かを判定するために、まず、自車の現在位置、自車の進行方向及び地図情報記憶部7に記憶されている地図情報に基づいて自車の前方の交差点を特定する。以下に、自車の前方の交差点の特定方法を説明する。上述の通り地図情報記憶部7にはノードデータやリンクデータが記憶されている。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、道路種別、交差点情報や交差点名称などを示すノード属性、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。また、リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、道路種別、距離及び/又は所要時間等を含むリンクコスト、道路名称、進行方向のデータを含んで構成される。リンクデータは上記に加えて、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが付与される。すなわちノードデータに含まれる交差点情報には交差点のノード番号や交差点の位置座標に関する情報が含まれているため、制御手段1は、自車が現在何処におり(緯度・経度)どの方向に進んでいるか(進行方向)を取得することにより、自車の前方の交差点を特定することができる。
【0045】
自車の前方の交差点を特定することにより当該交差点に設置されている信号機が自車の前方の信号機であると特定することができるが、当該交差点に複数の信号機が設置されている場合には、複数の信号機のうちどの信号機が自車の前方の信号機か(自車の進行方向に対応付けられた信号機か)を特定する必要がある。
【0046】
よって、次に自車の前方の信号機の特定方法を説明する。自車の前方の交差点であると特定された交差点の情報(ノード番号や緯度・経度)と、通信部9が路側機から受信した交差点情報に基づき、次に到着すると予測される交差点の信号機情報を判別する。特定された交差点の位置(緯度・経度)と同一の交差点の位置(緯度・経度)を含んでいる受信した交差点情報に対応付けられた信号機情報を、自車の前方の交差点の信号機情報と判別する。すなわち、上述の通り、信号機情報には交差点に設置された信号機毎に、各信号機番号と、交差点への進入方向に対応付けられた信号現示情報が含まれているので、交差点に複数の信号機が設置されている場合であっても、どのルートを通ってその交差点に侵入するか(交差点に対応するノードに接続するリンク番号)及び自車の進行方向(リンクの進行方向でもよい)を取得することにより、どの信号機の信号表示情報を取得する必要があるのかを特定することができる。
【0047】
また、地図情報記憶7に記憶されている地図情報に信号機識別情報(信号機の位置、識別するため及び進行方向に対応付けられた信号機番号)が含まれている場合には、制御部1は、自車の現在位置、進行方向及び地図情報に基づいて、自車の前方の交差点に設置され、自車の前方の信号機(自車の進行方向に対応づけられた信号機)を特定することができる。
【0048】
なお、上述の自車の前方の信号機を特定する方法はいずれも自車の前方の交差点を特定し、その後当該交差点に設置された信号機を特定しているが、交差点を特定することなく自車の前方の信号機を特定するものであってもよい。例えば、信号機毎に路側機が設置されており、各路側機から信号機情報(信号機の位置、信号機と車両の現在位置及び進行方向との対応付け、を含む)を受信したときに、自車の現在位置及び進行方向に対応付けられた信号機が複数ある場合には、自車の現在位置から自車の進行方向(走行中の道路(リンク)の進行方向でも良い)において最も近い(座標間の距離が小さい)信号機を自車の前方の信号機と特定する。その他にも、信号機の所定距離手前に、通信範囲が狭い路側器が設置され、当該路側器から当該所定距離奥の信号機の情報(信号機情報)が送信されている場合には、受信した信号機情報は、次の信号機(前方の信号機)の信号機情報であると判定してもよい。
【0049】
以下の説明において、交差点に設置された信号機とは、上記のように特定された信号機である。なお、制御部1は自車の現在位置及び進行方向に加え、地図情報或いは通信部9が受信した信号機(又は交差点)の位置に基づき、自車が信号機(交差点)から所定距離以内手前で停車していると判定していることが好ましく、以下の説明では、自車が信号機(交差点)の所定距離手前で停車している、すなわち、当該信号機の信号表示により停車しているものとして説明を行なう。制御部1は通信部9が受信した信号機情報において、上記特定した信号機の信号機番号と同一の番号が付与された信号機の信号機情報(又は信号機の位置が同一の信号機の信号機情報でもよい)から現在の信号表示に関する情報を取得し、自車の前方の信号機の現在の信号表示が進行不許可信号表示であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0050】
なお、地図情報に、信号機識別情報が含まれない場合は、自車の現在位置、進行方向及び地図情報に基づいて、自車が次に到着する交差点を特定し、その交差点の位置(ノード位置)と通信部9が受信した信号機情報に含まれる信号機の位置とを比較し、距離差が微小であれば、次に到着する交差点の信号機であると判定する、これにより、交差点に設置された信号機が特定され、特定された信号機の信号機情報(進行方向に対応付けられた情報)と、自車の進行方向(走行中の道路(リンク)の進行方向でも良い)に基づき、自車の前方の信号機を特定する。そして、特定した信号機の信号機情報から現在の信号表示に関する情報を取得し、自車の前方の信号機の現在の信号表示が進行不許可信号表示であるか否かを判定してもよい。
【0051】
信号表示が進行不許可信号表示でなければ(ステップS25のN)処理を終了する。信号表示が進行不許可信号表示であれば(ステップS25のY)ステップS26に進む。ステップS26において制御部1は所定の制御を行う。所定の制御とは上述の第1実施形態のステップS04又は第2実施形態のステップS14において制御部1が行った制御であり、例えば、エンジンを停止させると共にパーキングブレーキを作動させる制御、又は、自車の運転者に対してエンジンを停止させると共にフットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させるように報知する制御などである。
【0052】
本実施形態によれば、移動体の前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であるときに限り坂道において安全にアイドリングをストップできるように所定の制御を行うので、すぐに発進しなければならない可能性が高い状況で所定の制御が行われることを防ぐことできる。
[第4実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第4実施形態について図5を用いて説明する。図5はナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第4のフローチャートである。なお、ステップS31〜ステップS35は第3実施形態のステップS21〜ステップS25と同様であるため省略する。
【0053】
ステップS36において制御部1は自車の前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であるときに、その進行不許可信号表示が進行許可信号表示に切り替わるまでの時間が所定時間以上か否か(或いは、以下か否か)を判定する。進行不許可信号表示(赤信号)が進行許可信号表示(青信号)に切り替わるまでの時間(以下、「残時間」という。)は、上述した信号機の現在の信号表示に関する情報を取得すると同時に取得される。残時間が所定時間以上でなければ、言い換えると所定時間未満であれば(ステップS36のN)処理を終了する。残時間が所定時間以上であれば(ステップS36のY)ステップS37に進む。ステップS37において制御部1は所定の制御を行う。
【0054】
本実施形態によれば、移動体の前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であり、且つ、進行不許可信号表示が進行許可信号表示に切り替わるまでの残時間が所定時間以上の場合に、坂道において安全にアイドリングをストップできるように所定の制御を行うので、すぐに発進しなければならない可能性が高い状況で所定の制御が行われることを防ぐことできる。
【0055】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、他の実施形態にも適用することが可能である。
【0056】
例えば、上記の実施形態では、所定の制御とは、エンジンを停止させると共にパーキングブレーキを作動させる制御、又は、自車の運転者に対してエンジンを停止させると共にフットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させるように報知する制御と記載したが、これに限ることはなく、例えば、所定の制御とは、パーキングブレーキを作動させる制御、及び、エンジンを停止させるように報知する制御としてもよい。その他にも、エンジンを停止させる制御、及び、フットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させるように報知する制御としてもよい。本内容は、第1実施形態及び第2実施形態にも適用できる。なお、上記の説明では、所定の制御として、一律に説明を行なったが、上記特許文献1のようにエンジンを停止させる制御、及び、エンジンを停止させるように報知する制御などのアイドリングストップに関する制御をアイドリングストップに関する制御と表現し、パーキングブレーキを作動させる制御、及び、フットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させるように報知する制御などを所定の制御として表現してもよい。そして、停車した位置は坂道である場合に、アイドリングストップに関する制御と所定の制御を行なうことで、坂道において安全にアイドリングストップすることができる。
【0057】
その他にも、上記の実施形態では、停車した後に、停車した位置は坂道であるか否かを判定しているが、これに限ることはなく、例えば、次の交差点に到着するときの次の信号機(前方の信号機)の信号表示が進行不許可信号表示か否かを判定し、進行不許可信号表示と判定した場合、当該交差点から所定距離手前の範囲に坂道があるか否かを地図情報を参照して判定し、坂道がある場合、すなわち、停車する可能性がある位置が坂道である場合に、所定の制御を行なってもよい。例えば、自車の運転者に対してエンジンを停止させると共にフットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させるように報知する制御である。なお、進行不許可信号表示と判定した場合ではなく、進行不許可信号表示と判定し、且つ、残時間が所定時間以上の場合に、上記処理を行なってもよい。なお、停車した後に、停車した位置は坂道であるか否かを判定する場合と、停車する可能性がある位置が坂道であるか否かを判定する場合を含めて、停車する位置が坂道であるか否かを判定するという表現を用いる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は坂道において安全にアイドリングストップするための制御を行う制御装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・制御部、2・・・表示部、3・・・操作部、4・・・現在位置検出部、5・・・進行方向検出部、6・・・速度検出部、7・・・地図情報記憶部、8・・・バッテリ、9・・・通信部、10・・・報知部、20・・・ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられ、
前記移動体の停止する位置が坂道であるか否かを判定する制御部を備える制御装置であって、
前記制御部は前記移動体が停止する位置が坂道であるときに、アイドリングストップに関する制御と所定の制御を行うことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
少なくとも信号機情報を含む情報を受信する通信部を備え、
前記制御部は前記信号機情報に基づく信号機の信号表示が進行不許可信号表示であるときに、前記所定の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記進行不許可信号表示が進行許可信号表示に切り替わるまでの時間が所定時間未満であるときは、前記所定の制御を行わないことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記移動体の現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記移動体の進行方向を検出する進行方向検出部と、
地図情報が記憶されている地図情報記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記現在位置、前記進行方向及び前記地図情報に基づき、前記移動体の前方の信号機を特定し、前記信号機は、前記移動体の前方の信号機であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記所定の制御は、パーキングブレーキを作動させることであることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は報知部を備え、
前記所定の制御は、フットブレーキ及びパーキングブレーキの少なくとも一方を作動させることを報知するように前記報知部を制御することであることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記アイドリングストップに関する制御は、エンジンの停止及びエンジンの停止を促す報知の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、傾斜センサにより取得される傾斜情報、画像取得手段により得られた画像情報、地図情報記憶部に記憶されている地図情報、のうち少なくとも一つを取得して前記移動体が停止する位置が坂道であるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−47147(P2012−47147A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191990(P2010−191990)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】