加工物上にニッケル鉄を無電解析出させるための組成物及びその析出方法
加工物30上にニッケル鉄を無電解析出させる方法及びその組成物を提供する。加工物30上にニッケル鉄を無電解析出させる際に用いられる析出液は、ニッケルイオン源、第一鉄源、錯化剤、還元剤及びpH調節剤を含む。その析出液は、アルカリ金属イオンを実質的には含まない。磁気エレクトロニクス装置で使用されるフラックス集中システムの作製方法は、加工物30を提供するステップと、加工物30上に絶縁材料層34を形成するステップとによって開始される。溝36が絶縁層34に形成され、バリア層40が溝内に析出される。ニッケル鉄クラッド層46がバリア層40上に析出される。ニッケル鉄クラッド層の析出後、溝付近の絶縁材料層34は、原子約1×1011個/cm2未満のアルカリ金属イオン濃度を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物上へのニッケル鉄の電気化学的な析出に係り、詳しくは、アルカリ金属を実質的には含まない析出液を用いた加工物上へのニッケル鉄の無電解析出に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気エレクトロニクス装置、スピンエレクトロニクス装置及びスピントロニクス装置は、主として電子スピン効果を利用する機器を指す。磁気エレクトロニクス効果は、多くの情報機器で使用され、不揮発性、高信頼性、耐放射線性を有し、高密度のデータ保存及び検索を提供する。多くの磁気エレクトロニクス情報機器として、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)、磁気センサー及びディスクドライブ用読み書きヘッド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
一般に、磁気エレクトロニクス情報機器は、例えば、MOSFET類等の種々の半導体素子を有する基板に形成された磁気エレクトロニクス素子(例えば、巨大磁気抵抗(GMR)素子又は磁気トンネル接合(MTJ)素子)のアレイによって構成されている。磁気エレクトロニクス素子は、導電体から形成される磁場によってプログラムされている。一般に、一つが磁気エレクトロニクス素子の下部に(ディジット線として)形成され、もう一つが磁気エレクトロニクス素子の上面に(ビット線として)形成された2つの電流キャリア伝導体は、磁気エレクトロニクス素子のプログラミング用の磁場を提供するため交差マトリクスの形態で配列されている。
【0004】
最新の半導体プロセスでは、電流キャリア伝導体の金属配線を使用する場合が多い。金属配線の形成方法として、ダマシン法又はインレイド法によるものがあり、その方法では、誘電体層に溝をパターニングし、エッチングして、該溝内に金属層(通常は銅)を析出させる。フラックス集中システムは多くの場合、金属配線の近傍に形成される。フラックス集中システムは、一般に、金属配線の3つの側面に形成されたクラッド層を利用し、磁気エレクトロニクス素子に最も近い側面をクラッド層の無い状態のままにする。このように、クラッド層は、配線の磁気フラックスを磁気エレクトロニクス素子に向けて集中させる機能を果たす。クラッド層が存在しないと、所望の磁場強度を得るために高電流が必要となる。高電流は、プログラムされていない磁気エレクトロニクス素子の近傍に悪影響をもたらす虞がある。また、クラッド層は、外部磁場からの遮蔽をある程度提供している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クラッド層の作製によく用いられる方法として、磁気エレクトロニクス素子の上方、又は下方にある誘導体層をエッチングして溝を形成し、該溝にニッケル−鉄(NiFe)の析出させる方法がある。ニッケル鉄は、望ましい軟磁性のため、一般的なクラッド材料の一つとされている。一般に、ニッケル鉄は、プラズマ蒸着(PVD)を用いて溝内に析出される。しかしながら、PVDによるニッケル鉄の析出は、ニッケル鉄が溝内において等角的に析出されないため望ましくない。非等角的な析出によって、溝内にボイドが形成される虞がある。図1は、PVDにより非等角的な厚さで析出されたニッケル鉄層を示す。図1は、半導体加工物10上に形成された誘電体層12の断面構造を示す。溝14が誘電体層12に形成されている。溝14を囲む誘電体層12の表面は場領域16となっている。場領域は、溝よりも高くされた任意の隣接する素子、形質又は表面である。磁場領域は、略平面をなしているが、そうである必要はない。ニッケル鉄層18は、PVDによって誘電体層12上に成膜されている。磁場領域16上のニッケル鉄層は略均一な厚さを有している。一方、溝14の側壁を覆うニッケル鉄層は均一ではなく、溝14の底部近傍の厚さ22よりも、該溝14の開口近傍の厚さ20の方が大きくなっている。
【0006】
ニッケル鉄を析出させる別の方法として、電着(電気メッキとも称される)がある。しかしながら、電着処理時において加工物の全体に亘り電流密度が均一にならないため、小さい寸法の形態ではその不均一さが特に問題となり、溝の内側壁を等角的に被覆することが困難になる。また、ニッケル鉄層がクラッド層として機能するのに適切な厚さを得ることも困難である。
【0007】
他の利用分野では、ニッケル鉄は、例えば無電解析出等の電気化学的な方法によって析出されてきた。無電解析出法は、各部において等角的に析出させるのに好適に用いられてきた。しかしながら、無電解析出法では、ナトリウムイオン(Na+)やカリウム(K+)イオン等の少量のアルカリ金属イオンを含む電気化学析出液がよく用いられる。従って、そのような方法は、トランジスタ等の電子機器を作製するのに望ましくなく、機器内部に極僅かな量のNa+イオンやK+イオンしか含まれてなくても、それらの機器を故障させてしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、フラックス集中システムで使用されるニッケル鉄層を析出させる方法を改良することが要求されている。更に、アルカリ金属を実質的には含まない電気化学析出液を用いるニッケル鉄の無電解析出方法を提供することが要求されている。更に、本発明の他の望ましい特徴及び特性は、添付の図面ならびに前述した技術分野及び背景技術とともに、後述する詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、以下の図面を参照して説明され、図中、同じ部材番号は同じ要素を示す。
以下の詳細な説明は、例示にすぎず、本発明やその使用法及び利用分野を限定するものではない。更に、前述の技術分野、背景技術、要約又は下記の詳細な説明で明示又は示唆された理論により拘束されることを意図していない。
【0010】
図面について説明すると、図2〜図8は、本発明の一実施形態による磁気エレクトロニクス機器用クラッド導体、具体的には、クラッドディジット線の製造方法を示している。磁気エレクトロニクス機器として、ランダムアクセスメモリ、磁気センサー、誘導素子、ディスクドライブ用読み書きヘッド、ならびに電流キャリア伝導体の磁気特性を利用する他の機器等が挙げられる。図2に示すように、この方法では、まず、半導体ウェハ等の基板層32を有する加工物30が提供される。基板層32は、1つ又は複数の層からなり、感度増幅器、トランジスタ及びデジタル回路等の回路を有してもよいが、それらは簡潔さを期すため図示されていない。誘電体層34が、基板32上に成膜されてもよい。誘電体層34は、酸化ケイ素(SiO2)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、窒化ケイ素(SiN)又は他のlow−k誘電体材料等の好適な絶縁材料から形成される。
【0011】
図3に示すように、パターニングしてエッチングすることにより、誘電体層34の一部が除去されることによって、誘電体層34内に1つ又は複数の溝36が形成される。溝36は、場領域38の近傍に形成される。以下により詳細に説明するように、溝36の全長及び高さは、動作クラッド導体を形成するのに好適な値であれば任意である。誘電体層34は、例えばプラズマドライエッチング等の一般的なエッチング法を用いてエッチングされる。
【0012】
図4に示すように、第1の導電性バリア層40は、加工物30上及び溝36の内側を覆うように形成されている。第1の導電性バリア層40は、誘電体層34を通って銅が拡散することを抑止、又は最小限に抑えると共に、誘電体層34上に銅が成膜されることを可能とするか、容易にする。第1の導電性バリア層40は、1つ又は複数の導電層からなる。第1の導電性バリア層40は、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタルケイ素(TaSiN)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、又は銅が拡散して周囲の材料に侵入したり、該材料との望ましくない反応を抑止する他の金属から形成される。本発明の好ましい実施形態において、第1のバリア層40はタンタルから形成される。第1の導電性バリア層40は、物理蒸着(PVD)、イオン化金属プラズマ(IMP)、化学気相蒸着(CVD)又は半導体産業で周知な他の方法を用いて析出される。
【0013】
本発明の一実施形態では、次に、PVD、IMP、CVD又は半導体産業で周知な他の方法を用いて、第1のシード層42が、第1の導電性バリア層40上及び溝36の内側を覆うように析出される。第1のシード層42は、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)又は他の好適な金属から形成される。好ましくは、第1のシード層42は銅から形成される。
【0014】
次に、本発明の別の実施形態において、図5に示すように、活性化層44が銅シード層42上に析出される。活性化層44は、以下に更に詳細に説明するように、その次に形成されるクラッド層を析出させ易くするための触媒として機能する。例えば活性化層44等の成長は、半導体産業において既によく知られている。例えば、活性化層44は、半導体業界で周知の置換析出法とも称される浸漬析出法を用いて、あるいは他の好適な方法によって析出される。活性化層44は、パラジウムから形成されることが好ましく、該パラジウムは、銅シード層42と相互作用して活性化層44を形成する。一方、銅シード層42上に析出され、かつ次に形成されるクラッド層を析出させ易くする任意の金属から活性化層44が形成されることは明らかである。第1の導電性バリア層40、第1のシード層42及び活性化層44が、溝36の大きさに適した厚さにそれぞれ成長させられることは明らかである。
【0015】
次に、無電解析出を用いて、ニッケル鉄クラッド層46が析出される。無電解析出法は、アルカリ金属を実質的には含まない無電解析出液を利用する。本明細書に使用されるように、「アルカリ金属を実質的には含まない」析出液(又はその成分)、あるいは「アルカリ金属イオンを実質的には含まない」析出液(又はその成分)との文言は、析出液(又はその成分)中のアルカリ金属の濃度が十分に低く、ニッケル鉄クラッド層46の析出時に、誘電体層34等のニッケル鉄層近傍の絶縁材料層中に含まれるアルカリ金属イオン濃度が原子1×1012個/cm2以下であることを意味する。このようにすれば、絶縁材料層中のアルカリ金属イオンの濃度は、半導体加工物30に形成される素子の物理的、化学的及び/又は電気的特性に悪影響を及ぼすことはない。本発明の好ましい実施形態において、誘電体層34等のニッケル鉄層近傍にある絶縁材料層中のアルカリ金属イオン濃度は、原子1×1011個/cm2以下である。ニッケル鉄クラッド層46は、約70〜約90原子重量%の範囲のニッケル濃度、及び約10〜約30原子重量%の範囲の第一鉄濃度を含み、クラッド層の磁気特性を高めるホウ素及び/又はリンを適量含む。本発明の一実施形態において、ニッケル鉄クラッド層46中のホウ素及び/又はリンの濃度は、約1〜約15原子重量%である。本発明の好ましい実施形態において、ニッケル鉄クラッド層46は、約75〜約78原子重量%の範囲のニッケル濃度、及び約16〜約18原子重量%の第一鉄濃度を含み、ホウ素及び/又はリンを約5〜約9原子重量%含む。本発明のより好ましい実施形態において、ニッケル鉄クラッド層46は、約75原子重量%のニッケル濃度、及び約18原子重量%の第一鉄濃度を含み、ホウ素及び/又はリンを約7原子重量%含む。
【0016】
無電解析出液は、ニッケルイオン源と第一鉄イオン源とから調製される。ニッケルイオン源は、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル及び/又は他の好適なニッケルイオン源からなる。第一鉄イオン源は、スルファミン酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄及び/又は他の好適な第一鉄イオン源からなる。無電解析出液は、1以上の錯化剤からも調製される。錯化剤としては、グリシン、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、酢酸及び/又は無電解析出法に使用される周知の他の好適な錯化剤等が挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液は、2種類の錯化剤、即ちグリシン及び酒石酸から形成される。また、無電解析出液は、1以上の還元剤を用いても調製される。還元剤としては、ジメチルアミノボラン(DMAB)、モルホリンボラン(MPB)、グリオキシル酸、次亜リン酸アンモニウム及び/又は無電解析出法に使用される周知の他の好適な還元剤等が挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液は、DMABを用いて調製される。還元剤及び/又は錯化剤は、上述したようにクラッド層の磁気特性を高くするため、ホウ素及び/又はリンをニッケル鉄クラッド層46に寄与させることが好ましい。
【0017】
本発明の一実施形態において、ニッケル鉄の析出速度を制御するため、無電解析出液のpHは、約7.5〜約9.5の範囲に維持される。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液のpHは、約7.8〜約8.2の範囲に設定される。従って、無電解析出は、溶液のpHを調節するためのpH調節剤を用いてもよい。pH調節剤として、エレクトロニクス用の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化アンモニウム及び/又は無電解析出法に用いられる周知の他の好適なpH調節剤等が挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液は、pH調節剤としてのTMAHを用いて調製される。
【0018】
上述された無電解析出液の成分は、例えば、撹拌棒による急速な撹拌や撹拌機による撹拌等の任意の簡便な混合方法を使用して、任意の好適な順序で混ぜ合わせてもよい。本発明の一実施形態において、無電解析出液は、約2.0〜3.0g/リットル、好ましくは、約2.2〜約2.4g/リットルの範囲の濃度で存在するニッケルイオン、約0.25〜約40g/リットル、好ましくは、約0.32〜約0.36g/リットルの範囲の濃度で存在する第一鉄イオン、約2.0〜約10g/リットル、好ましくは、約4.0〜約5.0g/リットルの範囲の濃度で存在するグリシン、約20.0〜約40.0g/リットル、好ましくは、約25.0〜30.0g/リットルの範囲の濃度で存在する酒石酸、約1.5〜約6.0g/リットル、好ましくは、1.8〜約2.2g/リットルの範囲の濃度で存在するDMAB、及び無電解メッキ液のpHを約7.5〜約9.5、好ましくは、約7.8〜約8.2の範囲内に調節するのに十分な量の25%TMAH溶液を用いて調製される。
【0019】
図5に示すように、ニッケル鉄クラッド層46は、約35℃〜約65℃の析出温度で無電解析出液と活性化層44とを接触させることにより形成される。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液の析出温度は、約40℃〜50℃の範囲であり、より好ましくは、約41℃である。無電解析出は、場領域38を覆うニッケル鉄クラッド層46の厚さが約5〜約40nm(約50〜約400Å)の範囲、好ましくは、約15〜約20nm(約150〜約200Å)の範囲になるまで継続して行われる。無電解析出を用いた結果、ニッケル鉄クラッド層46が溝36内において等角的に析出される。即ち、ニッケル鉄クラッド層46は、溝36の大きさとは無関係に、溝36の底部及び側壁を覆うように均一な厚さを有して析出される。
【0020】
本発明の別の実施形態において、図6に示すように、ニッケル鉄クラッド層46の析出後、第2の導電性バリア層48が加工物30上に析出される。第2の導電性バリア層48は、ニッケル鉄クラッド層46と、その後に形成され、ニッケル鉄クラッド層46の磁気特性に悪影響を及ぼす銅配線層との間に生じるあらゆる金属間干渉を低減し、又は除去する機能を果たす。第2の導電性バリア層48は、第1の導電性バリア層40を形成する上述した任意の材料から形成される。第2の導電性バリア層48は、タンタルから形成されることが好ましい。第2のバリア層48は、PVD、IMP、CVD又は半導体産業で周知な他の好適な方法を用いて析出される。
【0021】
本発明の一実施形態において、次に、第2のシード層50が、第2のバリア層48上及び溝36の内側を覆うように析出される。第2のシード層50は、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)又は他の好適な金属から形成される。第2のシード層50は、銅から形成されることが好ましい。第2のシード層50は、PVD、IMP、CVD又は半導体産業で周知な他の好適な方法を用いて析出される。第2の導電性バリア層48及び第2のシード層50が、溝36の大きさに適した厚さにまで成長させられることは明らかである。
【0022】
次に、図7に示すように、導体配線52が、加工物30上及び溝36の内側を覆うように形成される。導体配線52は、任意の好適な析出方法を用いて形成される。本発明の好ましい実施形態において、電気メッキによって、導体配線52が加工物30上及び溝36の内側に析出される。導体配線52は、銅、アルミニウム、金、銀及びそれらの類似物、又はこれらの合金から形成してもよい。第2のシード層50及び導体配線52は、銅から形成されることが好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態において、次に、導体配線52を安定化させるため、加工物30に対してアニール処理が施される。加工物30は、約100〜約500℃の範囲、好ましくは、約200〜約300℃の範囲の温度でアニール処理される。アニール温度は、より好ましくは、約250℃である。加工物30は、約15分〜約1時間アニール処理が施される。加工物30は、約30分間アニール処理されることが好ましい。
【0024】
図8に示すように、導体配線52の析出及びアニール処理の実施後、導体配線52、第2のシード層50、第2の導電性バリア層48、ニッケル鉄クラッド層46、活性化層44、第1のシード層42及び第1の導電性バリア層40、並びに加工物30上及び溝36の内側を覆う第2のクラッド層等の他の金属層などを含む場領域38上に形成される過剰の金属は、化学機械平坦化(CMP)、ドライ又はウェットエッチング等の半導体産業で周知の好適な方法を用いて場領域38から除去される。従って、図8に示すように、上記の方法によって、導体配線52と、導体配線52の3つの表面を均一な厚さで包囲するニッケル鉄クラッド層46を用いたフラックス集中システムとを備える導電性ディジット線54が作製される。
【0025】
図9〜13は、本発明の別の実施形態による磁気エレクトロニクス機器で使用されるクラッド導体、特にクラッドビット線の製造方法を示す。図9に示すように、その方法では、まず、基板層112を有する半導体ウェハ等の加工物100が提供される。基板層112は、1つ又は複数の層からなり、感度増幅器、トランジスタ及びデジタル回路等の回路を有してもよいが、それらは簡潔さを期すため図示されていない。基板層112は、巨大磁気抵抗(GMR)素子又は磁気トンネル接合(MTJ)素子等の磁気エレクトロニクス素子を少なくとも1つ含み、それら素子についても簡潔さを期すため図示されていない。誘電体層114は、基板112上に析出される。誘電体層114は、酸化ケイ素(SiO2)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)又は他のlow−k酸化誘電体材料等の好適な酸化絶縁材料から形成される。
【0026】
パターニングしてエッチングすることにより、誘電体層114の一部が除去されることによって、誘電体層114内に1つ又は複数の溝116が形成される。溝116は、場領域118の近傍に形成される。以下により詳細に説明するように、溝116の全長及び高さは、動作クラッド導体を形成するのに好適な値であれば任意である。誘電体層34は、例えばプラズマドライエッチング等の一般的なエッチング法を用いてエッチングされる。
【0027】
この製造方法は、更に、図4及び図5を参照して上述したステップを用いて、第1の導電性バリア層120、第1のシード層122、第1の活性化層124及び第1のニッケル鉄クラッド層126を形成する。第1の導電性バリア層120、第1のシード層122、第1の活性化層124及び第1のニッケル鉄クラッド層126は、第1の導電性バリア層20、第1のシード層22、活性化層24及びニッケル鉄クラッド層26について上述したものと同じ工程及び材料から形成してもよい。溝116内に形成された場合、第1のニッケル鉄クラッド層126は、溝116の底面を覆う底面128と、溝116の側壁を覆う側壁130とを有する。
【0028】
図10に示すように、加工物100上に第1のニッケル鉄クラッド層126を析出させた後、第1のニッケル鉄クラッド層126の底面128は溝116から除去されるが、第1のニッケル鉄クラッド層126の側壁130は除去されずにそのまま残存する。底面128は、例えばスパッタリング等の単一指向性を有する適切な方法を用いて除去される。
【0029】
次に、図11に示すように、第2の導電性バリア層132が、加工物100上及び溝116の内側を覆うように形成される。本発明の一実施形態において、第2のシード層134が、第2の導電性バリア層132上に形成される。第2の導電性バリア層132及び第2のシード層134は、第2の導電性バリア層28及び第2のシード層30について上述したものと同じ工程及び材料から形成してもよい。
【0030】
図12に示すように、導体配線136は、加工物100上及び溝116の内側を覆うように形成される。導体配線136は、電気メッキによる析出又は他の適切な析出法によって形成してもよい。導体配線136は、銅又はその合金から形成してもよい。第2のシード層134及び導体配線136は、銅から形成されることが好ましい。本発明の一実施形態において、次に、導体配線136を安定化させるため、加工物100に対してアニール処理が施される。加工物100は、約100〜約500℃の範囲、好ましくは、約200〜約300℃の範囲の温度でアニール処理される。アニール温度は、より好ましくは、約250℃である。加工物100は、約15分〜約1時間、アニール処理が施される。加工物100は、30分間アニール処理されることが好ましい。
【0031】
導体配線136の析出及びアニールの実施後、導体配線136、第2のシード層134、第2の導電性バリア層132、第1のニッケル鉄クラッド層126、第1の活性化層124、第1のシード層122及び第1の導電性バリア層120、並びに加工物100上及び溝116の内側を覆うように析出された第2のクラッド層等の他の金属層を含む場領域118上に形成される過剰の金属は、化学機械平坦化(CMP)、ドライ又はウェットエッチング等の半導体産業で周知の好適な方法を用いて場領域118から除去される。
【0032】
本発明の一実施形態において、図13に示すように、次に、第2の又は「最上の」活性化層138が、導体配線136上に析出される。本明細書に使用される場合、「最上の」との文言は、溝116の開口部付近の位置を意味する。第2の活性化層138は、以下に詳細に説明するように、その次に形成される最上クラッド層を析出させ易くするための触媒として機能する。第2の活性化層138は、半導体業界で周知の置換析出法とも称される浸漬析出法を用いて、あるいは他の好適な方法によって析出される。第2の活性化層138は、パラジウムから形成されることが好ましく、該パラジウムは、導体配線136と相互作用して第2の活性化層138を形成する。一方、導体配線136上に析出され、かつ次に形成されるクラッド層を析出させ易くする任意の金属から第2の活性化層138が形成されることは明らかである。
【0033】
次に、上述した無電解析出液を用いた無電解析出法によって、第2の又は「頂部の」ニッケル鉄クラッド層140が第2の活性化層138上に析出される。第2のニッケル鉄クラッド層140は、第1のニッケル鉄クラッド層126及びニッケル鉄クラッド層46について上述したものと同じ成分を含み、同じ材料から形成してもよい。上記の無電解析出液を用いたニッケル鉄の析出は金属に対して選択的である。従って、活性化銅層上に析出される一方、誘電体材料層114上には析出されない。このようにすれば、ビット線142を形成するため、自己整合した第2のニッケル鉄クラッド層140が、マスキング工程及びパターニング工程を追加して行うことなく、銅配線層136上に析出される。第2のニッケル鉄クラッド層140が自己整合しているため、位置ずれした頂部クラッド層からの電気接触によるビット線142とそれに隣接するビット線との間の短絡が発生し難くなると考えられる。
【0034】
上記の詳細な説明において、少なくとも一つの実施形態を示したが、非常に多数の変形例が存在することは理解すべきである。更に、これらの実施形態は実例にすぎず、いかなる形態であっても、本発明の範囲、利用可能性又は構成を限定しないことも理解すべきである。むしろ、前記の詳細な説明は、当業者にとって、実施形態を実施する際の簡便な指針を提供するものである。添付の特許請求の範囲に記載される本発明、及びその均等物の範囲から逸脱しない限り、機器の機能及び配置について種々の変更が行えることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】プラズマ蒸着によりニッケル鉄クラッド層が析出された加工物の断面図。
【図2】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図3】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図4】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図5】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図6】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図7】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図8】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図9】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【図10】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【図11】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【図12】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【図13】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物上へのニッケル鉄の電気化学的な析出に係り、詳しくは、アルカリ金属を実質的には含まない析出液を用いた加工物上へのニッケル鉄の無電解析出に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気エレクトロニクス装置、スピンエレクトロニクス装置及びスピントロニクス装置は、主として電子スピン効果を利用する機器を指す。磁気エレクトロニクス効果は、多くの情報機器で使用され、不揮発性、高信頼性、耐放射線性を有し、高密度のデータ保存及び検索を提供する。多くの磁気エレクトロニクス情報機器として、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)、磁気センサー及びディスクドライブ用読み書きヘッド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
一般に、磁気エレクトロニクス情報機器は、例えば、MOSFET類等の種々の半導体素子を有する基板に形成された磁気エレクトロニクス素子(例えば、巨大磁気抵抗(GMR)素子又は磁気トンネル接合(MTJ)素子)のアレイによって構成されている。磁気エレクトロニクス素子は、導電体から形成される磁場によってプログラムされている。一般に、一つが磁気エレクトロニクス素子の下部に(ディジット線として)形成され、もう一つが磁気エレクトロニクス素子の上面に(ビット線として)形成された2つの電流キャリア伝導体は、磁気エレクトロニクス素子のプログラミング用の磁場を提供するため交差マトリクスの形態で配列されている。
【0004】
最新の半導体プロセスでは、電流キャリア伝導体の金属配線を使用する場合が多い。金属配線の形成方法として、ダマシン法又はインレイド法によるものがあり、その方法では、誘電体層に溝をパターニングし、エッチングして、該溝内に金属層(通常は銅)を析出させる。フラックス集中システムは多くの場合、金属配線の近傍に形成される。フラックス集中システムは、一般に、金属配線の3つの側面に形成されたクラッド層を利用し、磁気エレクトロニクス素子に最も近い側面をクラッド層の無い状態のままにする。このように、クラッド層は、配線の磁気フラックスを磁気エレクトロニクス素子に向けて集中させる機能を果たす。クラッド層が存在しないと、所望の磁場強度を得るために高電流が必要となる。高電流は、プログラムされていない磁気エレクトロニクス素子の近傍に悪影響をもたらす虞がある。また、クラッド層は、外部磁場からの遮蔽をある程度提供している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クラッド層の作製によく用いられる方法として、磁気エレクトロニクス素子の上方、又は下方にある誘導体層をエッチングして溝を形成し、該溝にニッケル−鉄(NiFe)の析出させる方法がある。ニッケル鉄は、望ましい軟磁性のため、一般的なクラッド材料の一つとされている。一般に、ニッケル鉄は、プラズマ蒸着(PVD)を用いて溝内に析出される。しかしながら、PVDによるニッケル鉄の析出は、ニッケル鉄が溝内において等角的に析出されないため望ましくない。非等角的な析出によって、溝内にボイドが形成される虞がある。図1は、PVDにより非等角的な厚さで析出されたニッケル鉄層を示す。図1は、半導体加工物10上に形成された誘電体層12の断面構造を示す。溝14が誘電体層12に形成されている。溝14を囲む誘電体層12の表面は場領域16となっている。場領域は、溝よりも高くされた任意の隣接する素子、形質又は表面である。磁場領域は、略平面をなしているが、そうである必要はない。ニッケル鉄層18は、PVDによって誘電体層12上に成膜されている。磁場領域16上のニッケル鉄層は略均一な厚さを有している。一方、溝14の側壁を覆うニッケル鉄層は均一ではなく、溝14の底部近傍の厚さ22よりも、該溝14の開口近傍の厚さ20の方が大きくなっている。
【0006】
ニッケル鉄を析出させる別の方法として、電着(電気メッキとも称される)がある。しかしながら、電着処理時において加工物の全体に亘り電流密度が均一にならないため、小さい寸法の形態ではその不均一さが特に問題となり、溝の内側壁を等角的に被覆することが困難になる。また、ニッケル鉄層がクラッド層として機能するのに適切な厚さを得ることも困難である。
【0007】
他の利用分野では、ニッケル鉄は、例えば無電解析出等の電気化学的な方法によって析出されてきた。無電解析出法は、各部において等角的に析出させるのに好適に用いられてきた。しかしながら、無電解析出法では、ナトリウムイオン(Na+)やカリウム(K+)イオン等の少量のアルカリ金属イオンを含む電気化学析出液がよく用いられる。従って、そのような方法は、トランジスタ等の電子機器を作製するのに望ましくなく、機器内部に極僅かな量のNa+イオンやK+イオンしか含まれてなくても、それらの機器を故障させてしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、フラックス集中システムで使用されるニッケル鉄層を析出させる方法を改良することが要求されている。更に、アルカリ金属を実質的には含まない電気化学析出液を用いるニッケル鉄の無電解析出方法を提供することが要求されている。更に、本発明の他の望ましい特徴及び特性は、添付の図面ならびに前述した技術分野及び背景技術とともに、後述する詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、以下の図面を参照して説明され、図中、同じ部材番号は同じ要素を示す。
以下の詳細な説明は、例示にすぎず、本発明やその使用法及び利用分野を限定するものではない。更に、前述の技術分野、背景技術、要約又は下記の詳細な説明で明示又は示唆された理論により拘束されることを意図していない。
【0010】
図面について説明すると、図2〜図8は、本発明の一実施形態による磁気エレクトロニクス機器用クラッド導体、具体的には、クラッドディジット線の製造方法を示している。磁気エレクトロニクス機器として、ランダムアクセスメモリ、磁気センサー、誘導素子、ディスクドライブ用読み書きヘッド、ならびに電流キャリア伝導体の磁気特性を利用する他の機器等が挙げられる。図2に示すように、この方法では、まず、半導体ウェハ等の基板層32を有する加工物30が提供される。基板層32は、1つ又は複数の層からなり、感度増幅器、トランジスタ及びデジタル回路等の回路を有してもよいが、それらは簡潔さを期すため図示されていない。誘電体層34が、基板32上に成膜されてもよい。誘電体層34は、酸化ケイ素(SiO2)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、窒化ケイ素(SiN)又は他のlow−k誘電体材料等の好適な絶縁材料から形成される。
【0011】
図3に示すように、パターニングしてエッチングすることにより、誘電体層34の一部が除去されることによって、誘電体層34内に1つ又は複数の溝36が形成される。溝36は、場領域38の近傍に形成される。以下により詳細に説明するように、溝36の全長及び高さは、動作クラッド導体を形成するのに好適な値であれば任意である。誘電体層34は、例えばプラズマドライエッチング等の一般的なエッチング法を用いてエッチングされる。
【0012】
図4に示すように、第1の導電性バリア層40は、加工物30上及び溝36の内側を覆うように形成されている。第1の導電性バリア層40は、誘電体層34を通って銅が拡散することを抑止、又は最小限に抑えると共に、誘電体層34上に銅が成膜されることを可能とするか、容易にする。第1の導電性バリア層40は、1つ又は複数の導電層からなる。第1の導電性バリア層40は、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタルケイ素(TaSiN)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、又は銅が拡散して周囲の材料に侵入したり、該材料との望ましくない反応を抑止する他の金属から形成される。本発明の好ましい実施形態において、第1のバリア層40はタンタルから形成される。第1の導電性バリア層40は、物理蒸着(PVD)、イオン化金属プラズマ(IMP)、化学気相蒸着(CVD)又は半導体産業で周知な他の方法を用いて析出される。
【0013】
本発明の一実施形態では、次に、PVD、IMP、CVD又は半導体産業で周知な他の方法を用いて、第1のシード層42が、第1の導電性バリア層40上及び溝36の内側を覆うように析出される。第1のシード層42は、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)又は他の好適な金属から形成される。好ましくは、第1のシード層42は銅から形成される。
【0014】
次に、本発明の別の実施形態において、図5に示すように、活性化層44が銅シード層42上に析出される。活性化層44は、以下に更に詳細に説明するように、その次に形成されるクラッド層を析出させ易くするための触媒として機能する。例えば活性化層44等の成長は、半導体産業において既によく知られている。例えば、活性化層44は、半導体業界で周知の置換析出法とも称される浸漬析出法を用いて、あるいは他の好適な方法によって析出される。活性化層44は、パラジウムから形成されることが好ましく、該パラジウムは、銅シード層42と相互作用して活性化層44を形成する。一方、銅シード層42上に析出され、かつ次に形成されるクラッド層を析出させ易くする任意の金属から活性化層44が形成されることは明らかである。第1の導電性バリア層40、第1のシード層42及び活性化層44が、溝36の大きさに適した厚さにそれぞれ成長させられることは明らかである。
【0015】
次に、無電解析出を用いて、ニッケル鉄クラッド層46が析出される。無電解析出法は、アルカリ金属を実質的には含まない無電解析出液を利用する。本明細書に使用されるように、「アルカリ金属を実質的には含まない」析出液(又はその成分)、あるいは「アルカリ金属イオンを実質的には含まない」析出液(又はその成分)との文言は、析出液(又はその成分)中のアルカリ金属の濃度が十分に低く、ニッケル鉄クラッド層46の析出時に、誘電体層34等のニッケル鉄層近傍の絶縁材料層中に含まれるアルカリ金属イオン濃度が原子1×1012個/cm2以下であることを意味する。このようにすれば、絶縁材料層中のアルカリ金属イオンの濃度は、半導体加工物30に形成される素子の物理的、化学的及び/又は電気的特性に悪影響を及ぼすことはない。本発明の好ましい実施形態において、誘電体層34等のニッケル鉄層近傍にある絶縁材料層中のアルカリ金属イオン濃度は、原子1×1011個/cm2以下である。ニッケル鉄クラッド層46は、約70〜約90原子重量%の範囲のニッケル濃度、及び約10〜約30原子重量%の範囲の第一鉄濃度を含み、クラッド層の磁気特性を高めるホウ素及び/又はリンを適量含む。本発明の一実施形態において、ニッケル鉄クラッド層46中のホウ素及び/又はリンの濃度は、約1〜約15原子重量%である。本発明の好ましい実施形態において、ニッケル鉄クラッド層46は、約75〜約78原子重量%の範囲のニッケル濃度、及び約16〜約18原子重量%の第一鉄濃度を含み、ホウ素及び/又はリンを約5〜約9原子重量%含む。本発明のより好ましい実施形態において、ニッケル鉄クラッド層46は、約75原子重量%のニッケル濃度、及び約18原子重量%の第一鉄濃度を含み、ホウ素及び/又はリンを約7原子重量%含む。
【0016】
無電解析出液は、ニッケルイオン源と第一鉄イオン源とから調製される。ニッケルイオン源は、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル及び/又は他の好適なニッケルイオン源からなる。第一鉄イオン源は、スルファミン酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄及び/又は他の好適な第一鉄イオン源からなる。無電解析出液は、1以上の錯化剤からも調製される。錯化剤としては、グリシン、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、酢酸及び/又は無電解析出法に使用される周知の他の好適な錯化剤等が挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液は、2種類の錯化剤、即ちグリシン及び酒石酸から形成される。また、無電解析出液は、1以上の還元剤を用いても調製される。還元剤としては、ジメチルアミノボラン(DMAB)、モルホリンボラン(MPB)、グリオキシル酸、次亜リン酸アンモニウム及び/又は無電解析出法に使用される周知の他の好適な還元剤等が挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液は、DMABを用いて調製される。還元剤及び/又は錯化剤は、上述したようにクラッド層の磁気特性を高くするため、ホウ素及び/又はリンをニッケル鉄クラッド層46に寄与させることが好ましい。
【0017】
本発明の一実施形態において、ニッケル鉄の析出速度を制御するため、無電解析出液のpHは、約7.5〜約9.5の範囲に維持される。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液のpHは、約7.8〜約8.2の範囲に設定される。従って、無電解析出は、溶液のpHを調節するためのpH調節剤を用いてもよい。pH調節剤として、エレクトロニクス用の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化アンモニウム及び/又は無電解析出法に用いられる周知の他の好適なpH調節剤等が挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液は、pH調節剤としてのTMAHを用いて調製される。
【0018】
上述された無電解析出液の成分は、例えば、撹拌棒による急速な撹拌や撹拌機による撹拌等の任意の簡便な混合方法を使用して、任意の好適な順序で混ぜ合わせてもよい。本発明の一実施形態において、無電解析出液は、約2.0〜3.0g/リットル、好ましくは、約2.2〜約2.4g/リットルの範囲の濃度で存在するニッケルイオン、約0.25〜約40g/リットル、好ましくは、約0.32〜約0.36g/リットルの範囲の濃度で存在する第一鉄イオン、約2.0〜約10g/リットル、好ましくは、約4.0〜約5.0g/リットルの範囲の濃度で存在するグリシン、約20.0〜約40.0g/リットル、好ましくは、約25.0〜30.0g/リットルの範囲の濃度で存在する酒石酸、約1.5〜約6.0g/リットル、好ましくは、1.8〜約2.2g/リットルの範囲の濃度で存在するDMAB、及び無電解メッキ液のpHを約7.5〜約9.5、好ましくは、約7.8〜約8.2の範囲内に調節するのに十分な量の25%TMAH溶液を用いて調製される。
【0019】
図5に示すように、ニッケル鉄クラッド層46は、約35℃〜約65℃の析出温度で無電解析出液と活性化層44とを接触させることにより形成される。本発明の好ましい実施形態において、無電解析出液の析出温度は、約40℃〜50℃の範囲であり、より好ましくは、約41℃である。無電解析出は、場領域38を覆うニッケル鉄クラッド層46の厚さが約5〜約40nm(約50〜約400Å)の範囲、好ましくは、約15〜約20nm(約150〜約200Å)の範囲になるまで継続して行われる。無電解析出を用いた結果、ニッケル鉄クラッド層46が溝36内において等角的に析出される。即ち、ニッケル鉄クラッド層46は、溝36の大きさとは無関係に、溝36の底部及び側壁を覆うように均一な厚さを有して析出される。
【0020】
本発明の別の実施形態において、図6に示すように、ニッケル鉄クラッド層46の析出後、第2の導電性バリア層48が加工物30上に析出される。第2の導電性バリア層48は、ニッケル鉄クラッド層46と、その後に形成され、ニッケル鉄クラッド層46の磁気特性に悪影響を及ぼす銅配線層との間に生じるあらゆる金属間干渉を低減し、又は除去する機能を果たす。第2の導電性バリア層48は、第1の導電性バリア層40を形成する上述した任意の材料から形成される。第2の導電性バリア層48は、タンタルから形成されることが好ましい。第2のバリア層48は、PVD、IMP、CVD又は半導体産業で周知な他の好適な方法を用いて析出される。
【0021】
本発明の一実施形態において、次に、第2のシード層50が、第2のバリア層48上及び溝36の内側を覆うように析出される。第2のシード層50は、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)又は他の好適な金属から形成される。第2のシード層50は、銅から形成されることが好ましい。第2のシード層50は、PVD、IMP、CVD又は半導体産業で周知な他の好適な方法を用いて析出される。第2の導電性バリア層48及び第2のシード層50が、溝36の大きさに適した厚さにまで成長させられることは明らかである。
【0022】
次に、図7に示すように、導体配線52が、加工物30上及び溝36の内側を覆うように形成される。導体配線52は、任意の好適な析出方法を用いて形成される。本発明の好ましい実施形態において、電気メッキによって、導体配線52が加工物30上及び溝36の内側に析出される。導体配線52は、銅、アルミニウム、金、銀及びそれらの類似物、又はこれらの合金から形成してもよい。第2のシード層50及び導体配線52は、銅から形成されることが好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態において、次に、導体配線52を安定化させるため、加工物30に対してアニール処理が施される。加工物30は、約100〜約500℃の範囲、好ましくは、約200〜約300℃の範囲の温度でアニール処理される。アニール温度は、より好ましくは、約250℃である。加工物30は、約15分〜約1時間アニール処理が施される。加工物30は、約30分間アニール処理されることが好ましい。
【0024】
図8に示すように、導体配線52の析出及びアニール処理の実施後、導体配線52、第2のシード層50、第2の導電性バリア層48、ニッケル鉄クラッド層46、活性化層44、第1のシード層42及び第1の導電性バリア層40、並びに加工物30上及び溝36の内側を覆う第2のクラッド層等の他の金属層などを含む場領域38上に形成される過剰の金属は、化学機械平坦化(CMP)、ドライ又はウェットエッチング等の半導体産業で周知の好適な方法を用いて場領域38から除去される。従って、図8に示すように、上記の方法によって、導体配線52と、導体配線52の3つの表面を均一な厚さで包囲するニッケル鉄クラッド層46を用いたフラックス集中システムとを備える導電性ディジット線54が作製される。
【0025】
図9〜13は、本発明の別の実施形態による磁気エレクトロニクス機器で使用されるクラッド導体、特にクラッドビット線の製造方法を示す。図9に示すように、その方法では、まず、基板層112を有する半導体ウェハ等の加工物100が提供される。基板層112は、1つ又は複数の層からなり、感度増幅器、トランジスタ及びデジタル回路等の回路を有してもよいが、それらは簡潔さを期すため図示されていない。基板層112は、巨大磁気抵抗(GMR)素子又は磁気トンネル接合(MTJ)素子等の磁気エレクトロニクス素子を少なくとも1つ含み、それら素子についても簡潔さを期すため図示されていない。誘電体層114は、基板112上に析出される。誘電体層114は、酸化ケイ素(SiO2)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)又は他のlow−k酸化誘電体材料等の好適な酸化絶縁材料から形成される。
【0026】
パターニングしてエッチングすることにより、誘電体層114の一部が除去されることによって、誘電体層114内に1つ又は複数の溝116が形成される。溝116は、場領域118の近傍に形成される。以下により詳細に説明するように、溝116の全長及び高さは、動作クラッド導体を形成するのに好適な値であれば任意である。誘電体層34は、例えばプラズマドライエッチング等の一般的なエッチング法を用いてエッチングされる。
【0027】
この製造方法は、更に、図4及び図5を参照して上述したステップを用いて、第1の導電性バリア層120、第1のシード層122、第1の活性化層124及び第1のニッケル鉄クラッド層126を形成する。第1の導電性バリア層120、第1のシード層122、第1の活性化層124及び第1のニッケル鉄クラッド層126は、第1の導電性バリア層20、第1のシード層22、活性化層24及びニッケル鉄クラッド層26について上述したものと同じ工程及び材料から形成してもよい。溝116内に形成された場合、第1のニッケル鉄クラッド層126は、溝116の底面を覆う底面128と、溝116の側壁を覆う側壁130とを有する。
【0028】
図10に示すように、加工物100上に第1のニッケル鉄クラッド層126を析出させた後、第1のニッケル鉄クラッド層126の底面128は溝116から除去されるが、第1のニッケル鉄クラッド層126の側壁130は除去されずにそのまま残存する。底面128は、例えばスパッタリング等の単一指向性を有する適切な方法を用いて除去される。
【0029】
次に、図11に示すように、第2の導電性バリア層132が、加工物100上及び溝116の内側を覆うように形成される。本発明の一実施形態において、第2のシード層134が、第2の導電性バリア層132上に形成される。第2の導電性バリア層132及び第2のシード層134は、第2の導電性バリア層28及び第2のシード層30について上述したものと同じ工程及び材料から形成してもよい。
【0030】
図12に示すように、導体配線136は、加工物100上及び溝116の内側を覆うように形成される。導体配線136は、電気メッキによる析出又は他の適切な析出法によって形成してもよい。導体配線136は、銅又はその合金から形成してもよい。第2のシード層134及び導体配線136は、銅から形成されることが好ましい。本発明の一実施形態において、次に、導体配線136を安定化させるため、加工物100に対してアニール処理が施される。加工物100は、約100〜約500℃の範囲、好ましくは、約200〜約300℃の範囲の温度でアニール処理される。アニール温度は、より好ましくは、約250℃である。加工物100は、約15分〜約1時間、アニール処理が施される。加工物100は、30分間アニール処理されることが好ましい。
【0031】
導体配線136の析出及びアニールの実施後、導体配線136、第2のシード層134、第2の導電性バリア層132、第1のニッケル鉄クラッド層126、第1の活性化層124、第1のシード層122及び第1の導電性バリア層120、並びに加工物100上及び溝116の内側を覆うように析出された第2のクラッド層等の他の金属層を含む場領域118上に形成される過剰の金属は、化学機械平坦化(CMP)、ドライ又はウェットエッチング等の半導体産業で周知の好適な方法を用いて場領域118から除去される。
【0032】
本発明の一実施形態において、図13に示すように、次に、第2の又は「最上の」活性化層138が、導体配線136上に析出される。本明細書に使用される場合、「最上の」との文言は、溝116の開口部付近の位置を意味する。第2の活性化層138は、以下に詳細に説明するように、その次に形成される最上クラッド層を析出させ易くするための触媒として機能する。第2の活性化層138は、半導体業界で周知の置換析出法とも称される浸漬析出法を用いて、あるいは他の好適な方法によって析出される。第2の活性化層138は、パラジウムから形成されることが好ましく、該パラジウムは、導体配線136と相互作用して第2の活性化層138を形成する。一方、導体配線136上に析出され、かつ次に形成されるクラッド層を析出させ易くする任意の金属から第2の活性化層138が形成されることは明らかである。
【0033】
次に、上述した無電解析出液を用いた無電解析出法によって、第2の又は「頂部の」ニッケル鉄クラッド層140が第2の活性化層138上に析出される。第2のニッケル鉄クラッド層140は、第1のニッケル鉄クラッド層126及びニッケル鉄クラッド層46について上述したものと同じ成分を含み、同じ材料から形成してもよい。上記の無電解析出液を用いたニッケル鉄の析出は金属に対して選択的である。従って、活性化銅層上に析出される一方、誘電体材料層114上には析出されない。このようにすれば、ビット線142を形成するため、自己整合した第2のニッケル鉄クラッド層140が、マスキング工程及びパターニング工程を追加して行うことなく、銅配線層136上に析出される。第2のニッケル鉄クラッド層140が自己整合しているため、位置ずれした頂部クラッド層からの電気接触によるビット線142とそれに隣接するビット線との間の短絡が発生し難くなると考えられる。
【0034】
上記の詳細な説明において、少なくとも一つの実施形態を示したが、非常に多数の変形例が存在することは理解すべきである。更に、これらの実施形態は実例にすぎず、いかなる形態であっても、本発明の範囲、利用可能性又は構成を限定しないことも理解すべきである。むしろ、前記の詳細な説明は、当業者にとって、実施形態を実施する際の簡便な指針を提供するものである。添付の特許請求の範囲に記載される本発明、及びその均等物の範囲から逸脱しない限り、機器の機能及び配置について種々の変更が行えることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】プラズマ蒸着によりニッケル鉄クラッド層が析出された加工物の断面図。
【図2】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図3】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図4】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図5】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図6】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図7】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図8】本発明の一実施形態によるクラッドディジット線の製造方法を示す模式断面図。
【図9】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【図10】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【図11】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【図12】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【図13】本発明の一実施形態によるクラッドビット線の製造方法を示す模式断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物上にニッケル鉄を無電解析出させるのに使用される析出液において、
ニッケルイオン源、第一鉄イオン源、錯化剤、還元剤、及びpH調節剤から調製され、実質的にはアルカリ金属イオンを含まない析出液。
【請求項2】
請求項1記載の析出液において、
前記ニッケルイオン源は、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル及び硫酸ニッケルを含む群から選択され、前記第一鉄イオン源は、スルファミン酸鉄、塩化鉄及び硫酸鉄を含む群から選択され、前記錯化剤は、グリシン、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及び酢酸を含む群から選択され、前記還元剤は、ジメチルアミノボラン、モルホリンボラン、グリオキシル酸及び次亜リン酸アンモニウムを含む群から選択され、前記析出液は、約7.5〜約9.5の範囲のpHを有し、前記pH調節剤は、エレクトロニクス用水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化アンモニウムを含む群から選択される析出液。
【請求項3】
加工物上にニッケル鉄を無電解析出させる方法において、
ニッケルイオン源、第一鉄イオン源、錯化剤、還元剤及びpH調節剤を含み、実質的にはアルカリ金属を含まない析出液を調製するステップと、
前記実質的にはアルカリ金属を含まない析出液を約35℃〜約65℃の範囲にまで昇温させるステップと、
前記実質的にはアルカリ金属を含まない析出液に前記加工物を接触させるステップと
を備える方法。
【請求項4】
磁気エレクトロニクス装置で使用されるフラックス集中システムを作製する方法において、
加工物を提供するステップと、
前記加工物上に絶縁材料の層を形成するステップと、
前記絶縁材料の一部を除去して絶縁層に溝を形成するステップと、
前記溝内にバリア層を析出させるステップと、
前記バリア層上にニッケル鉄クラッド層を析出させるステップと
を備え、
前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの後、前記溝付近の絶縁材料の層は、原子約1×1011個/cm2未満のアルカリ金属イオン濃度を有する方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、
前記バリア層を析出させるステップの後で、かつ前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの前にシード層を形成するステップと、
前記シード層を形成するステップの後で、かつ前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの前に活性化層を形成するステップと
を更に備える方法。
【請求項6】
請求項4記載の方法において、
前記バリア層を析出させるステップは、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、窒化タンタルケイ素、コバルト、ルテニウム、ロジウム及びパラジウムを含む群から選択される少なくとも1種類の材料を含むバリア層を析出させるステップからなる方法。
【請求項7】
請求項4記載の方法において、
前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップは、無電解析出によりニッケル鉄クラッド層を析出させるステップからなり、前記無電解析出によりニッケル鉄クラッド層を析出させるステップは、ニッケルイオン源、第一鉄イオン源、錯化剤、還元剤及びpH調節剤を含む無電解メッキ液を用いて析出させるステップからなり、前記無電解析出液は、実質的にはアルカリ金属イオンを含まず、前記無電解析出によりニッケル鉄クラッド層を析出させるステップは、約7.5〜約9.5の範囲のpHを有する無電解メッキ液を用いて析出させるステップからなる方法。
【請求項8】
請求項4記載の方法において、
前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップは、前記ニッケル鉄クラッド層を約5〜約40nmの範囲の厚さに析出させるステップからなり、前記ニッケル鉄クラッド層は、約70〜約90原子重量%のニッケルと、約10〜約30原子重量%の第一鉄と、約1〜約15原子重量%のホウ素及びリンのうちの少なくとも1種類とからなる成分を含む方法。
【請求項9】
磁気エレクトロニクス装置で使用されるディジット線を作製する方法において、
基板を提供するステップと、
前記基板上に絶縁材料層を形成するステップと、
前記絶縁材料層の一部を除去して同絶縁材料層に溝を形成するステップと、
前記溝内に第1のバリア層を析出させるステップと、
無電解析出により前記バリア層上にニッケル鉄クラッド層を析出させるステップと、
前記ニッケル鉄クラッド層上に第2のバリア層を析出させるステップと、
前記第2のバリア層上及び前記溝の内側に導体配線を形成するステップと
を備え、
無電解析出により前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの後、前記溝付近の絶縁材料層は、原子約1×1011個/cm2未満のアルカリ金属イオン濃度を有する方法。
【請求項10】
磁気エレクトロニクス装置で使用されるビット線を作製する方法において、
基板を提供するステップと、
前記基板上に絶縁材料層を形成するステップと、
前記絶縁材料層の一部を除去して同絶縁材料層に溝を形成するステップであって、前記溝が底面及びそれに一体化された側壁を有するステップと、
前記溝の底面及び側壁を覆うように第1のバリア層を析出させるステップと、
無電解メッキにより前記バリア層上に第1のニッケル鉄クラッド層を析出させるステップであって、前記第1のニッケル鉄クラッド層が底面及びそれに一体化された側壁を有し、前記ニッケル鉄クラッド層の底面が前記溝の底面付近に位置するステップと、
前記第1のニッケル鉄クラッド層の底面を除去するステップと、
前記ニッケル鉄クラッド層の側壁及び前記溝の底面を覆うように第2のバリア層を析出させるステップと、
前記第2のバリア層上及び前記溝の内側を覆うように導体配線を形成するステップと、
無電解析出により前記導体配線上に第2のニッケル鉄クラッド層を析出させるステップと
を備え、
無電解析出により前記第1のニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの後、前記溝付近の絶縁材料層は、原子約1×1011個/cm2未満のアルカリ金属イオン濃度を有する方法。
【請求項1】
加工物上にニッケル鉄を無電解析出させるのに使用される析出液において、
ニッケルイオン源、第一鉄イオン源、錯化剤、還元剤、及びpH調節剤から調製され、実質的にはアルカリ金属イオンを含まない析出液。
【請求項2】
請求項1記載の析出液において、
前記ニッケルイオン源は、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル及び硫酸ニッケルを含む群から選択され、前記第一鉄イオン源は、スルファミン酸鉄、塩化鉄及び硫酸鉄を含む群から選択され、前記錯化剤は、グリシン、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及び酢酸を含む群から選択され、前記還元剤は、ジメチルアミノボラン、モルホリンボラン、グリオキシル酸及び次亜リン酸アンモニウムを含む群から選択され、前記析出液は、約7.5〜約9.5の範囲のpHを有し、前記pH調節剤は、エレクトロニクス用水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化アンモニウムを含む群から選択される析出液。
【請求項3】
加工物上にニッケル鉄を無電解析出させる方法において、
ニッケルイオン源、第一鉄イオン源、錯化剤、還元剤及びpH調節剤を含み、実質的にはアルカリ金属を含まない析出液を調製するステップと、
前記実質的にはアルカリ金属を含まない析出液を約35℃〜約65℃の範囲にまで昇温させるステップと、
前記実質的にはアルカリ金属を含まない析出液に前記加工物を接触させるステップと
を備える方法。
【請求項4】
磁気エレクトロニクス装置で使用されるフラックス集中システムを作製する方法において、
加工物を提供するステップと、
前記加工物上に絶縁材料の層を形成するステップと、
前記絶縁材料の一部を除去して絶縁層に溝を形成するステップと、
前記溝内にバリア層を析出させるステップと、
前記バリア層上にニッケル鉄クラッド層を析出させるステップと
を備え、
前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの後、前記溝付近の絶縁材料の層は、原子約1×1011個/cm2未満のアルカリ金属イオン濃度を有する方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、
前記バリア層を析出させるステップの後で、かつ前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの前にシード層を形成するステップと、
前記シード層を形成するステップの後で、かつ前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの前に活性化層を形成するステップと
を更に備える方法。
【請求項6】
請求項4記載の方法において、
前記バリア層を析出させるステップは、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、窒化タンタルケイ素、コバルト、ルテニウム、ロジウム及びパラジウムを含む群から選択される少なくとも1種類の材料を含むバリア層を析出させるステップからなる方法。
【請求項7】
請求項4記載の方法において、
前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップは、無電解析出によりニッケル鉄クラッド層を析出させるステップからなり、前記無電解析出によりニッケル鉄クラッド層を析出させるステップは、ニッケルイオン源、第一鉄イオン源、錯化剤、還元剤及びpH調節剤を含む無電解メッキ液を用いて析出させるステップからなり、前記無電解析出液は、実質的にはアルカリ金属イオンを含まず、前記無電解析出によりニッケル鉄クラッド層を析出させるステップは、約7.5〜約9.5の範囲のpHを有する無電解メッキ液を用いて析出させるステップからなる方法。
【請求項8】
請求項4記載の方法において、
前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップは、前記ニッケル鉄クラッド層を約5〜約40nmの範囲の厚さに析出させるステップからなり、前記ニッケル鉄クラッド層は、約70〜約90原子重量%のニッケルと、約10〜約30原子重量%の第一鉄と、約1〜約15原子重量%のホウ素及びリンのうちの少なくとも1種類とからなる成分を含む方法。
【請求項9】
磁気エレクトロニクス装置で使用されるディジット線を作製する方法において、
基板を提供するステップと、
前記基板上に絶縁材料層を形成するステップと、
前記絶縁材料層の一部を除去して同絶縁材料層に溝を形成するステップと、
前記溝内に第1のバリア層を析出させるステップと、
無電解析出により前記バリア層上にニッケル鉄クラッド層を析出させるステップと、
前記ニッケル鉄クラッド層上に第2のバリア層を析出させるステップと、
前記第2のバリア層上及び前記溝の内側に導体配線を形成するステップと
を備え、
無電解析出により前記ニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの後、前記溝付近の絶縁材料層は、原子約1×1011個/cm2未満のアルカリ金属イオン濃度を有する方法。
【請求項10】
磁気エレクトロニクス装置で使用されるビット線を作製する方法において、
基板を提供するステップと、
前記基板上に絶縁材料層を形成するステップと、
前記絶縁材料層の一部を除去して同絶縁材料層に溝を形成するステップであって、前記溝が底面及びそれに一体化された側壁を有するステップと、
前記溝の底面及び側壁を覆うように第1のバリア層を析出させるステップと、
無電解メッキにより前記バリア層上に第1のニッケル鉄クラッド層を析出させるステップであって、前記第1のニッケル鉄クラッド層が底面及びそれに一体化された側壁を有し、前記ニッケル鉄クラッド層の底面が前記溝の底面付近に位置するステップと、
前記第1のニッケル鉄クラッド層の底面を除去するステップと、
前記ニッケル鉄クラッド層の側壁及び前記溝の底面を覆うように第2のバリア層を析出させるステップと、
前記第2のバリア層上及び前記溝の内側を覆うように導体配線を形成するステップと、
無電解析出により前記導体配線上に第2のニッケル鉄クラッド層を析出させるステップと
を備え、
無電解析出により前記第1のニッケル鉄クラッド層を析出させるステップの後、前記溝付近の絶縁材料層は、原子約1×1011個/cm2未満のアルカリ金属イオン濃度を有する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−512430(P2007−512430A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538102(P2006−538102)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/034832
【国際公開番号】WO2005/048275
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/034832
【国際公開番号】WO2005/048275
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】
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