説明

化合物



式(I):A−B−Cの化合物及びそれらの異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態及びプロドラッグ、式中:Bは式(i)(式中RはH又はMeである)から成る群より選択され;又はBは一つ又は二つの環ヘテロ原子を含有する二価Cヘテロ環残基であり;Aは式(ii)であり、RA3及びRA5はハロ、OR及びRACから独立して選択され、RはH又はMeであり、及びRACはH又はC1〜4アルキルであり;XはN及びCRA4から選択され、RA4はH、OR、CHOH、COH、NHSOMe及びNHCOMeから選択され;RA2及びRA6はH、ハロ及びORから独立して選択され;又はRA3及びRA4はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、又はRA2及びRA3はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、少なくとも一つの窒素環原子を含有するC5〜6ヘテロ環又はヘテロ芳香族環を形成することができ;もしXがNでなければ、RA2〜RA6の一つ、二つ又は三つはHではなく;Cは式(iii)であり、XはN及びCHから選択され、YはN及びCHから選択され、及びZはN及びCRC6から選択され;RC3はH、ハロ及び置換されていてもよいN−含有C5〜7ヘテロ環基から選択され;RC5は式(iv)から選択された基であり、該基は、一つ又は二つのC1〜4アルキル基又はカルボキシ基により選択されることができ;RC6はHであり;又はX及びYがNである場合、RC5及びRC6(式中、ZはCRC6である)は、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、式(v)から成る群より選択される縮合C芳香環を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、mTOR阻害剤として作用する化合物、それらの使用及びそれらの合成に関する。
【0002】
背景技術
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)/AKTシグナル伝達経路の成長因子/分裂促進的活性化は、最終的に鍵となる細胞周期及び成長制御因子mTOR、ラパマイシンの哺乳動物標的(もしくは、FRAP(FKBP12及びラパマイシン関連タンパク質)、RAFT1(ラパマイシン及びFKBP12標的1)、RAPT1(ラパマイシン標的1)とも称され−すべて、FK−506−結合タンパク質FKBP12とSEP(シロリムスエフェクタータンパク質)の相互作用により誘導される)、を導く。mTORは、約289kDaのサイズの哺乳動物セリン/スレオニンキナーゼであり、そして、進化的に保存された真核生物TORキナーゼのメンバーである(参照文献1〜4)。mTORタンパク質は、PI3−キナーゼ及び他のファミリーメンバー、例えば、DNA−PKcs(DNA依存性プロテインキナーゼ)、ATM(失調症−毛細血管拡張変異)とのC末端(触媒ドメイン)相同性のため、タンパク質のPI3−キナーゼ様キナーゼ(PIKK)ファミリーのメンバーである。C末端中の触媒ドメインに加え、mTORはFKBP12/ラパマイシン複合体結合ドメイン(FRB)を含んでいる。N末端において、20までのHEAT(ハンチンチン、EF3、PP2A及びTORアルファ制御サブユニット)モチーフが観察され、一方、よりC末端はFAT(FRAP−ATM−TRRAP)ドメインであり、そしてタンパク質の最C末端に追加のFATドメインが観察される(FAT−C)(参照文献5、6)。
【0003】
TORは、細胞成長(サイズ)及び増殖両方の中心的制御因子として同定されており、一部、翻訳開始により支配されている。S6−キナーゼ(S6K1)のTOR依存性リン酸化は、細胞周期進行に関与するリボソームタンパク質の翻訳を可能にする(参照文献7〜9)。Cap依存性翻訳は真核生物翻訳開始因子4E(eIF4E)−結合タンパク質1(4E−BP1(PHAS−1))のリン酸化により制御されている。この修飾は、PHAS−1結合eIF4Eを妨げ、それにより活性eIF4F翻訳複合体の形成を可能にする(参照文献10,11,12に概説されている)。これらのシグナル伝達要素の活性化は、インスリン、他の成長因子及び栄養に依存しており、好ましい環境条件下のみの、細胞周期進行の制御におけるmTORのゲートキーパーとして役割を示唆している。PI3K/AKTシグナル伝達カスケードはmTORの上流にあるが、特定の癌において調節解除されていることが示されており、例えば、PTEN欠失細胞において成長因子非依存性活性化を生じている。mTORはこの経路の制御のための軸に位置しており、このキナーゼの阻害剤(例えば、シロリムス(ラパマイシン又はRapamune(商標))及びエベロリムス(RAD001又はCertican(商標))はすでに免疫抑制剤及び薬剤溶出ステント(参照文献13、14に概説されている)として承認されており、現在癌治療のための新規剤として特別の興味を集めている。
【0004】
腫瘍細胞増殖は、腫瘍サプレッサー機能の喪失のような正常増殖制御機構の調節解除により生じる。一つのこうした腫瘍サプレッサーはホスファターゼ及び染色体10から欠落したテンシン相同体(PTEN)である。多発性進行癌(MMAC)において変異していることも知られているこの遺伝子は、細胞周期休止に著しい役割を果たすことが示されており、p53後の最も高度の突然変異腫瘍サプレッサーである。神経膠芽腫、子宮内膜及び前立腺癌の30%までが、この座位の体細胞突然変異又は欠失を有している(参照文献15,16)。
【0005】
PI3Kは、ホスファチジルイノシトール4,5,ビスホスフェート(PIP2)をホスファチジルイノシトール3,4,5,トリホスフェート(PIP3)に変換し、一方、PTENはPIP3から3’ホスフェートを除去してPIP2を生成する原因となる。PI3−K及びPTENは、AKT(PKBとしても知られている)をリクルートし活性化して、下流シグナル伝達カスケードを開始させる、PIP3の適切なレベルを維持するように働いている。PTENが存在しないと、このカスケードの不適切な調節が生じ、AKTが効果的構成的に活性化されるようになり、細胞増殖が調節解除される。この細胞シグナル伝達プロセスの調節解除についての代わりの機構は、PI3Kアイソフォームp110アルファの変異形の最近の同定である(参照文献17)。この変異体の明らかに増加した活性は、増加したPIP3産生をもたらすと考えられており、多分その過剰はPTENの機能を相殺できる。PI3Kからの増加したシグナル伝達は、それ故、mTORへの、結果として、その下流の活性因子の増加したシグナル伝達を生じる。
【0006】
mTORと細胞周期調節(G1からS期へ)を結びつける証拠に加え、mTORの阻害はこれらの調節事象の阻害を生じ、mTOR活性の下方調節は、細胞増殖阻害を生じることが示されている(参照文献7,18,19に概説されている)。mTORの既知の阻害剤、ラパマイシンは、平滑筋、T細胞のようなさまざまな組織タイプから誘導された細胞、並びに、黄紋筋肉腫、神経芽腫及び髄芽腫、小細胞肺癌、骨肉腫、膵臓癌、及び乳癌及び前立腺癌を含む多様な範囲の腫瘍タイプから誘導された細胞の増殖又は成長を強く阻害する(参照文献20に概説されている)。ラパマイシンは承認されており、免疫抑制剤として臨床使用されており、その臓器拒絶の防止は成功しており、以前の療法より副作用が遙かに少ない(参照文献20、21)。ラパマイシン及びその類似体(RAD001、CCI−779)によるmTORの阻害は、薬剤とFK506結合タンパク質、FKBP12との前もっての相互作用によりなし遂げられる。続いて、FKBP12/ラパマイシンの複合体がmTORのFRBドメインに結合し、mTORから下流シグナル伝達を阻害する。
【0007】
PI3K、LY294002及びワートマニンの強力であるが非特異的阻害剤が、mTORのキナーゼ機能を阻害し、そしてタンパク質の触媒ドメインを標的にすることにより作用することも示されている(参照文献21)。キナーゼドメインを標的とする小分子によるmTOR機能の阻害に加えて、キナーゼが機能しないmTORは、上流活性化シグナルをmTOR、PHAS−1又はp70S6キナーゼの下流エフェクターに伝搬できないことが示されている(参照文献22)。mTORのすべての機能がラパマイシン感受性ではなく、このことは、ラパマイシンはmTORそれ自体の活性を阻害するよりも、mTORの基質プロフィールを変化させるという観察に関連している(参照文献23)。それ故、キナーゼドメインに方向付けられたmTORの阻害剤は、より有効なmTORの阻害剤に違いないことが提案されている。
【0008】
成長阻害(細胞分裂停止)を誘発するラパマイシンの能力それ自体に加え、ラパマイシン及びその誘導体は、シスプラチン、カンプトテシン、及びドキソルビシンを含む多数の化学療法剤の細胞毒性を強化することが示されている(参照文献20に概説されている)。電離放射線誘導細胞殺害の増強も、mTORの阻害に続いて観察されている(参照文献24)。実験的及び臨床的証拠は、ラパマイシン類似体の、単独で又は他の療法と併用して、癌の治療における有効性の証拠を示している(参照文献10、18、20を参照されたい)。
【0009】
現在までのmTOR薬理学の大部分は、ラパマイシン及びその類似体を介したmTORの阻害に焦点を当ててきた。しかしながら、上に指摘したように、キナーゼドメイン標的化機構を介してmTORの活性を阻害すると報告されているただ一つの非ラパマイシン剤は、小分子LY294002及び天然物ワートマニンである(参照文献21)。
【0010】
発明の要旨
本発明者は、mTORのATP−競合阻害剤であり、及びそれ故、それらの作用機構が非ラパマイシン様である化合物を同定した。
【0011】
従って、本発明の第一の側面は、式I:
A−B−C (I)
[式中:
Bは:
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、RはH又はMeである)
から成る群より選択され:
又はBは、一つ又は二つの環ヘテロ原子を含有する二価Cヘテロ環残基であり;
Aは:
【0014】
【化2】

【0015】
(RA3及びRA5はハロ、OR及びRACから独立して選択され、RはH又はMeであり、及びRACはH又はC1〜4アルキルであり;
は、N及びCRA4から選択され、RA4はH、OR、CHOH、COH、NHSOMe及びNHCOMeから選択され;
A2及びRA6はH、ハロ及びORから独立して選択され;
又はRA3及びRA4はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、又はRA2及びRA3はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、少なくとも一つの窒素環原子を含有するC5〜6ヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよく;
XがNでないならば、RA2〜RA6の一つ、二つ又は三つはHではない)
であり;
Cは:
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、XはN及びCHから選択され、YはN及びCHから選択され、及びZはN及びCRC6から選択され;
C3はH、ハロ及び置換されていてもよいN−含有C5〜7ヘテロ環基から選択され;
C5は:
【0018】
【化4】

【0019】
から選択される基であり、
該基は一つ又は二つのC1〜4アルキル基又はカルボキシ基から選択されてもよく:
C6はHであり;
又は、X及びYがN、RC5及びRC6である場合(式中、ZはCRC6である)、それらが結合されている炭素原子と一緒になって
【0020】
【化5】

【0021】
から成る群より選択される縮合C芳香環を形成してもよく、
但し、X及びYがNであり、及びZがN又はCHであり、RC3及びRC5が両方モルホリノであるならば、Bは
【0022】
【化6】

【0023】
ではない)
である]
の化合物及びそれらの異性体、塩、溶媒和物、化学的に保護された形態、及びプロドラッグを提供する。
【0024】
それ故、X及びYがNであり、及びRC5及びRC6が、それらが結合されている炭素原子と一緒になって縮合C芳香環を形成する場合、
Cは:
【0025】
【化7】

【0026】
である。
本発明の第二の側面は、式I:
A−B−C (I)
[式中:
Bは:
【0027】
【化8】

【0028】
(式中、RはH又はMeである)
から成る群より選択され:
又はBは、一つ又は二つの環ヘテロ原子を含有する二価Cヘテロ環残基であり;
Aは:
【0029】
【化9】

【0030】
(RA3及びRA5はハロ、OR及びRACから独立して選択され、RはH又はMeであり、及びRACはH又はC1〜4アルキルであり;
は、N及びCRA4から選択され、RA4はH、OR、CHOH、COH、NHSOMe及びNHCOMeから選択され;
A2及びRA6はH、ハロ及びORから独立して選択され;
又はRA3及びRA4はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、又はRA2及びRA3はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、少なくとも一つの窒素環原子を含有するC5〜6ヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよく;
XがNでないならば、RA2〜RA6の一つ、二つ又は三つはHではない)
であり;
Cは:
【0031】
【化10】

【0032】
(式中、XはN及びCHから選択され、YはN及びCHから選択され、及びZはN及びCRC6から選択され;
C3はH、ハロ及び置換されていてもよいN−含有C5〜7ヘテロ環基から選択され;
C5は:
【0033】
【化11】

【0034】
から選択される基であり、
該基は一つ又は二つのC1〜4アルキル基又はカルボキシ基から選択されてもよく:
C6はHであり;
又は、X及びYがN、RC5及びRC6である場合(式中、ZはCRC6である)、それらが結合されている炭素原子と一緒になって
【0035】
【化12】

【0036】
から成る群より選択される縮合C芳香環を形成してもよい)
である]
の化合物及びそれらの異性体、塩、溶媒和化合物、化学的に保護された形態、及びプロドラッグ、及び薬学的に許容できる担体又は希釈剤を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0037】
本発明の第三の側面は、ヒト又は動物身体の治療の方法においての使用のための、第二の側面の化合物を提供する。
本発明の第四の側面は、mTORの阻害により改善される疾患を治療するための医薬の製造における、本発明の第二の側面において定義した化合物の使用を提供する。
【0038】
本発明のさらなる側面は、癌、免疫抑制、免疫寛容、自己免疫疾患、炎症、骨量減少、腸障害、肝線維症、肝壊死、関節リウマチ、網膜症、心臓同種移植片血管障害、乾癬、ベータサラセミア及びドライアイのような眼球状態の治療のための医薬の製造における、本発明の第二の側面において定義した化合物の使用を提供する。mTOR阻害剤は、抗菌剤としても有効であることができる。
【0039】
本発明の別のさらなる側面は、癌治療における補助剤として使用するための、又は電離放射線又は化学療法剤での治療のために腫瘍細胞を増強するための医薬の製造における、本発明の第二の側面において定義した化合物の使用を提供する。
【0040】
本発明の他のさらなる側面は、mTORの阻害により改善される疾患の治療を提供し、前記治療は、前記治療は、治療を必要とする対象に第二の側面において定義した化合物(好ましくは医薬組成物の形態で)の療法的に有効な量を投与することを含んでなり、また癌の治療を提供し、前記治療は、治療を必要とする対象に、同時に又は連続的に電離放射線又は化学療法剤と併用される第一の側面において定義した化合物(好ましくは医薬組成物の形態で)の療法的に有効な量を投与することを含んでなる、を提供する。
【0041】
定義
アルキル:本明細書で使用される用語「アルキル」とは、1〜20の炭素原子(特に記載しない限り)を有する炭化水素化合物の炭素原子から水素原子を取り除くことにより得られる一価部分に関し、脂肪族又は脂環式であることができ、飽和されていても又は不飽和(例えば、部分的不飽和又は完全不飽和)であってもよい。それ故、用語「アルキル」は以下に議論する下位集合、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルなどを含む。
【0042】
アルキル基の関連で、接頭辞(例えば、C1〜4、C1〜7、C1〜20、C2〜7、C3〜7など)は炭素原子の数又は炭素原子の数の範囲を示す。例えば、本明細書において使用される用語「C1〜4アルキル」は、1〜4の炭素原子を有するアルキル基に関する。アルキル基の例には、C1〜4アルキル(「低級アルキル」)、C1〜7アルキル及びC1〜20アルキルが含まれる。第一の接頭辞は他の制限により変化してもよいことに注意されたい;例えば、不飽和アルキル基については、第一の接頭辞は少なくとも2でなければならず、環状アルキル基については、第一の接頭辞は少なくとも3でなければならない、など。
【0043】
(未置換)飽和アルキル基の例には、限定されるわけではないが、メチル(C)、エチル(C)、プロピル(C)、ブチル(C)、ペンチル(C)、ヘキシル(C)、ヘプチル(C)、オクチル(C)、ノニル(C)、デシル(C10)、ウンデシル(C11)、ドデシル(C12)、トリデシル(C13)、テトラデシル(C14)、ペンタデシル(C15)及びエイコデシル(C20)が含まれる。
【0044】
(未置換)飽和直鎖アルキル基の例には、限定されるわけではないが、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、n−ブチル(C)、n−ペンチル(アミル)(C)、n−ヘキシル(C)及びn−ヘプチル(C)が含まれる。
【0045】
(未置換)飽和分枝鎖アルキル基の例には、イソ−プロピル(C)、イソ−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、イソ−ペンチル(C)及びネオ−ペンチル(C)が含まれる。
【0046】
アルケニル:本明細書において使用される用語「アルケニル」は、一つ又はそれより多くの炭素−炭素二重結合を有するアルキル基に関する。アルケニル基の例には、C2〜4アルケニル、C2〜7アルケニル、C2〜20アルケニルが含まれる。
【0047】
(未置換)不飽和アルケニル基の例には、限定されるわけではないが、エテニル(ビニル、−CH=CH)、1−プロペニル(−CH=CH−CH)、2−プロペニル(アリル、−CH−CH=CH)、イソプロペニル(1−メチルビニル、−C(CH)=CH)、ブテニル(C)、ペンテニル(C)及びヘキセニル(C)が含まれる。
【0048】
アルキニル:本明細書において使用される用語「アルキニル」は、一つ又はそれより多くの炭素−炭素二重結合を有するアルキル基に関する。アルキニル基の例には、C2〜4アルキニル、C2〜7アルキニル、C2〜20アルキニルが含まれる。
【0049】
(未置換)不飽和アルキニル基の例には、限定されるわけではないが、エチニル(ethynyl)[エチニル(ethinyl)、−C≡CH]及び、2−プロピニル(プロパルギル、−CH−C≡CH)が含まれる。
【0050】
シクロアルキル:本明細書において使用される用語「シクロアルキル」は、シクリル基でもあるアルキル基に関する;即ち、炭素環式化合物の炭素環式環の脂環式環原子から水素原子を取り除くことにより得られる一価部分、それは飽和されていても又は不飽和(例えば、部分的不飽和、完全不飽和)であってもよく、前記部分は3〜20の環原子を含む、3〜20の炭素原子を有する(特に記載しない限り)。それ故、用語「シクロアルキル」は、下位集団、シクロアルケニル及びシクロアルキニルを含む。好ましくは、各環は3〜7環原子を有する。シクロアルキル基の例には、C3〜20シクロアルキル、C3〜15シクロアルキル、C3〜10シクロアルキル、C3〜7シクロアルキルが含まれる。
【0051】
シクロアルキル基の例には、限定されるわけではないが:
飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロパン(C)、シクロブタン(C)、シクロペンタン(C)、シクロヘキサン(C)、シクロヘプタン(C)、メチルシクロプロパン(C)、ジメチルシクロプロパン(C)、メチルシクロブタン(C)、ジメチルシクロブタン(C)、メチルシクロペンタン(C)、ジメチルシクロペンタン(C)、メチルシクロヘキサン(C)、ジメチルシクロヘキサン(C)、メンタン(C10);
不飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロペン(C)、シクロブテン(C)、シクロペンテン(C)、シクロヘキセン(C)、メチルシクロプロペン(C)、ジメチルシクロプロペン(C)、メチルシクロブテン(C)、ジメチルシクロブテン(C)、メチルシクロペンテン(C)、ジメチルシクロペンテン(C)、メチルシクロヘキセン(C)、ジメチルシクロヘキセン(C);
飽和多環式炭化水素化合物:
ツジャン(C10)、カラン (C10)、ピナン(C10)、ボルナン(C10)、ノルカラン(C)、ノルピナン(C)、ノルボルナン(C)、アダマンタン(C10)、デカリン(デカヒドロナフタレン)(C10);
不飽和多環式炭化水素化合物:
カンフェン(C10)、リモネン(C10)、ピネン(C10);
芳香環を有する多環式炭化水素化合物:
インデン(C)、インダン(例えば、2,3−ジヒドロ−1H−インデン)(C)、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)(C10)、アセナフテン(C12)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)、アセフェナントレン(C15)、アセアントレン(C16)、コラントレン(C20);
から誘導される基が含まれる。
【0052】
ヘテロシクリル:本明細書で使用する用語「ヘテロシクリル」は、ヘテロ環式化合物の環原子から水素原子を取り除くことにより得られる一価部分に関し、その部分は3〜20の環原子を有し(特に記載しない限り)、その1〜10は環ヘテロ原子である。好ましくは、各環は3〜7の環原子を有し、その1〜4は環ヘテロ原子である。
【0053】
この関連で、接頭辞(例えば、C3〜20、C3〜7、C5〜6など)は、環原子(炭素原子であれ又はヘテロ原子であれ)の数又は環原子の数の範囲を示す。例えば、本明細書で使用する用語「C5〜6ヘテロシクリル」は、5又は6の環原子を有するヘテロシクリル基に関する。ヘテロシクリル基の基の例には、C3〜20ヘテロシクリル、C5〜20ヘテロシクリル、C3〜15ヘテロシクリル、C5〜15ヘテロシクリル、C3〜12ヘテロシクリル、C5〜12ヘテロシクリル、C3〜10ヘテロシクリル、C5〜10ヘテロシクリル、C3〜7ヘテロシクリル、C5〜7ヘテロシクリル及びC5〜6ヘテロシクリルが含まれる。
【0054】
単環式ヘテロシクリル基の例には、限定されるわけではないが:
:アジリジン(C)、アゼチジン(C)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C)、ピロリン(例えば、3−ピロリン、2,5−ジヒドロピロール)(C)、2H−ピロール又は3H−ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C)、ピペリジン(C)、ジヒドロピリジン(C)、テトラヒドロピリジン(C)、アゼピン(C);
:オキシラン(C)、オキセタン(C)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C)、オキソール(ジヒドロフラン)(C)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C)、ジヒドロピラン(C)、ピラン(C)、オキセピン(C);
:チイラン(C)、チエタン(C)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C)、チエパン(C);
:ジオキソラン(C)、ジオキサン(C)及びジオキセパン(C);
:トリオキサン(C);
:イミダゾリジン(C)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C)、イミダゾリジン(C)、ピラゾリジン(ジヒドロピラゾール)(C)、ピペラジン(C);
:テトラヒドロオキサゾール(C)、ジヒドロオキサゾール(C)、テトラヒドロイソオキサゾール(C)、ジヒドロイソオキサゾール(C)、モルホリン(C)、テトラヒドロオキサジン(C)、ジヒドロオキサジン(C)、オキサジン(C);
:チアゾリン(C)、チアゾリジン(C)、チオモルホリン (C);
:オキサジアジン(C);
:オキサチオール(C)及びオキサチアン(チオキサン)(C);及び
:オキサチアジン(C);
から誘導される基が含まれる。
【0055】
置換(非芳香族)単環式ヘテロシクリル基の例には、環式形態のサッカリド、例えば、アラビノフラノース、リキソフラノース、リボフラノース及びキシロフラノースのようなフラノース(C)、及びアロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、グロピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース及びタロピラノースのようなピラノース(C)から誘導される基が含まれる。
【0056】
N含有C5〜7ヘテロ環基:本明細書で使用される用語「N含有C5〜7ヘテロ環基」とは、少なくとも一つの窒素環原子を含有する5〜7員のヘテロ環を指す。これらの基には、限定されるわけではないが:
:ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C)、ピロリン(例えば、3−ピロリン、2,5−ジヒドロピロール)(C)、2H−ピロール又は3H−ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C)、ピペリジン(C)、ジヒドロピリジン(C)、テトラヒドロピリジン(C)、アゼピン(C);
:イミダゾリジン(C)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C)、イミダゾリン(C)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C)、ピペラジン(C);
:テトラヒドロオキサゾール(C)、ジヒドロオキサゾール(C)、テトラヒドロイソオキサゾール(C)、ジヒドロイソオキサゾール(C)、モルホリン(C)、テトラヒドロオキサジン(C)、ジヒドロオキサジン(C)、オキサジン(C);
:チアゾリン(C)、チアゾリジン(C)、チオモルホリン(C);
:オキサジアジン(C);
:オキサチアジン(C);
が含まれる。
【0057】
二価Cヘテロ環残基:本明細書で使用される用語「二価Cヘテロ環残基」とは、ヘテロ環化合物の環原子から二つの水素原子を取り除いて得られる二価の部分を指し、前記部分は5個の環原子を有している。これらの残基は、一つ又は二つの環ヘテロ原子を有する。これらは、C5ヘテロ環基として上に記載した基から誘導することが可能である。
【0058】
スピロ−C3〜7シクロアルキル又はヘテロシクリル:本明細書で使用される用語「スピロC3〜7シクロアルキル又はヘテロシクリル」とは、両方の環に共通した単一原子により連結されたC3〜7シクロアルキル又はC3〜7ヘテロシクリル環を指す。
【0059】
5〜20アリール:本明細書で使用される用語「C5〜20アリール」とは、C5〜20芳香族化合物の芳香族環原子から水素原子を取り除いて得られる一価の部分に関し、前記化合物は一つの環、又は二つ又はそれより多くの環(例えば、縮合された)を有しており、及び5〜20の環原子を有しており、及び前記環(単数又は複数)の少なくとも一つは芳香族環である。好ましくは、各環は5〜7個の環原子を有する。
【0060】
環原子は、「カルボアリール基」でのようにすべて炭素原子であることもでき、この場合、基は都合がよいように「C5〜20カルボアリール」基と称される。
ヘテロ環原子を有していないC5〜20アリール(即ち、C5〜20カルボアリール基)の例には、限定されるわけではないが、ベンゼン(即ち、フェニル)(C)、ナフタリン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)及びピレン(C16)から誘導される基が含まれる。
【0061】
もしくは、環原子は「ヘテロアリール基」のように、限定されるわけではないが、酸素、窒素及び硫黄を含む、一つ又はそれより多くのヘテロ原子を含むことができる。この場合、基は都合がよいように「C5〜20 ヘテロアリール」基と称され、「C5〜20」は、炭素原子であれ又はヘテロ原子であれ環原子を意味する。好ましくは、各環は5〜7の環原子を有し、その0〜4は環ヘテロ原子である。
【0062】
5〜20ヘテロアリール基の例には、限定されるわけではないが、フラン(オキソール)、チオフェン(チオール)、ピロール(アゾール)、イミダゾール(1,3−ジアゾール)、ピラゾール(1,2−ジアゾール)、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール及びオキサトリアゾールから誘導されるCヘテロアリール基;及びイソオキサジン、ピリジン(アジン)、ピリダジン(1,2−ジアジン)、ピリミジン(1,3−ジアジン;例えば、シトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4−ジアジン)及びトリアジンから誘導されるCヘテロアリール基が含まれる。
【0063】
ヘテロアリール基は、炭素又はヘテロ環原子を介して結合されることができる。
縮合環を含んでなるC5〜20ヘテロアリール基の例には、限定されるわけではないが、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドールから誘導されるCヘテロアリール基;キノリン、イソキノリン、ベンゾジアジン、ピリドピリジンから誘導されるC10ヘテロアリール基;アクリジン及びキサンテンから誘導されるC14ヘテロアリール基が含まれる。
【0064】
5〜6ヘテロ環式又はヘテロ芳香環:本明細書で使用される用語「C5〜6ヘテロ環式又はヘテロ芳香環」は、5又は6の環原子を有し、完全飽和、部分的不飽和又は芳香族であることができる環を指す。環は、C5〜6ヘテロ環式及びヘテロアリール基が誘導される上記の基の一つであることができる。
【0065】
上記アルキル、ヘテロシクリル及びアリール基は、単独であれ又は別の置換基の一部であれ、それら自身が、それら自身及び以下にリストした追加の置換基から選択される一つ又はそれより多くの基で随意に置換されていてもよい。
【0066】
ハロ:−F、−Cl、−Br及び−I。
ヒドロキシ:−OH。
エーテル:−OR、式中、Rはエーテル置換基、例えば、C1〜7アルキル基(C1〜7アルコキシ基とも称される)、C3〜20ヘテロシクリル基(C3〜20ヘテロシクリルオキシ基とも称される)又はC5〜20アリール基(C5〜20アリールオキシ基とも称される)、好ましくはC1〜7アルキル基である。
【0067】
ニトロ:−NO
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):−CN。
アシル(ケト):−C(=O)R、式中、Rはアシル置換基、例えば、H、C1〜7アルキル基(C1〜7アルキルアシル又はC1〜7アルカノイルとも称される)、C3〜20ヘテロシクリル基(C3〜20ヘテロシクリルアシルとも称される)、又はC5〜20アリール基(C5〜20アリルアシルとも称される)、好ましくはC1〜7アルキル基である。アシル基の例には、限定されるわけではないが、−C(=O)CH(アセチル)、−C(=O)CHCH(プロピオニル)、−C(=O)C(CH(ブチリル)及び、−C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)が含まれる。
【0068】
カルボキシ(カルボン酸):−COOH。
エステル(カルボキシレート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):−C(=O)OR、式中、Rはエステル置換基、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基、又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。エステル基の例には、限定されるわけではないが、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH、−C(=O)OC(CH及び−C(=O)OPhが含まれる。
【0069】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキサミド):−C(=O)NR、式中、R及びRは独立して、アミノ基で定義されたアミノ置換基である。アミド基の例には、限定されるわけではないが、−C(=O)NH、−C(=O)NHCH、−C(=O)N(CH、−C(=O)NHCHCH及び−C(=O)N(CHCHが含まれる。また、アミド基の例には、R及Rが、それらが結合されている窒素原子と一緒になってヘテロ環構造を形成するアミド基が含まれ、例えば、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル及びピペラジニルカルボニルが含まれる。
【0070】
アミノ:−NR、式中、R及びRは独立してアミノ置換基、例えば、水素、C1〜7アルキル基(C1〜7アルキルアミノ又はジ−C1〜7アルキルアミノとも称される)、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくは、H又はC1〜7アルキル基であり、又は「環式」アミノ基の場合、R及びRはそれらが結合されている窒素原子と一緒になって4〜8環原子を有するヘテロ環を形成する。アミノ基の例には、限定されるわけではないが、−NH、−NHCH、−NHCH(CH、−N(CH、−N(CHCH及び−NHPhが含まれる。環式アミノ基の例には、限定されるわけではないが、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、ペルヒドロジアゼピニル、モルホリノ及びチオモルホリノが含まれる。環式アミノ基は、本明細書に定義した置換基のいずれか、例えば、カルボキシ、カルボキシレート及びアミドによりそれらの環が置換されていてもよい。
【0071】
アシルアミド(アシルアミノ):−NRC(=O)R、式中、Rはアミド置換基、例えば、水素、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはH又はC1〜7アルキル基、最も好ましくはHであり、及び、Rはアシル置換基、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又は、C5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。アシルアミド基の例には、限定されるわけではないが、−NHC(=O)CH、−NHC(=O)CHCH及び、−NHC(=O)Phが含まれる。R及Rは一緒になって、例えば、スクシンイミジル、マレイミジル及びフタリミジル:
【0072】
【化13】

【0073】
のような環式構造を形成してもよい。
ウレイド:−N(R)CONR、式中、R及びRは独立して、アミノ基で定義されたアミノ置換基であり、及びRはウレイド置換基、例えば、水素、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくは、水素又はC1〜7アルキル基である。ウレイド基の例には、限定されるわけではないが、−NHCONH、−NHCONHMe、−NHCONHEt、−NHCONMe、−NHCONEt、−NMeCONH、−NMeCONHMe、−NMeCONHEt、−NMeCONMe、−NMeCONEt及び−NHC(=O)NHPhが含まれる。
【0074】
アシルオキシ(逆エステル):−OC(=O)R、式中、Rはアシルオキシ置換基、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくは、C1〜7アルキル基である。アシルオキシ基の例には、限定されるわけではないが、−OC(=O)CH(アセトキシ)、−OC(=O)CHCH、−OC(=O)C(CH、−OC(=O)Ph、−OC(=O)CF及び−OC(=O)CHPhが含まれる。
【0075】
チオール:−SH。
チオエーテル(スルフィド):−SR、式中、Rはチオエーテル置換基、例えば、C1〜7アルキル基(C1〜7アルキルチオ基とも称される)、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくは、C1〜7アルキル基である。C1〜7アルキルチオ基の例には、限定されるわけではないが、−SCH及び−SCHCHが含まれる。
【0076】
スルホキシド(スルフィニル):−S(=O)R、式中、Rはスルホキシド置換基、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくは、C1〜7アルキル基である。スルホキシド基の例には、限定されるわけではないが、−S(=O)CH及び−S(=O)CHCHが含まれる。
【0077】
スルホニル(スルホン):−S(=O)R、式中、Rはスルホン置換基、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくはC1〜7アルキル基である。スルホン基の例には、限定されるわけではないが、−S(=O)CH(メタンスルホニル、メシル)、−S(=O)CF、−S(=O)CHCH及び4−メチルフェニルスルホニル(トシル)が含まれる。
【0078】
チオアミド(チオカルバミル):−C(=S)NR、式中、R及び、Rは独立して、アミノ基で定義されたアミノ置換基である。アミド基の例には、限定されるわけではないが、−C(=S)NH、−C(=S)NHCH、−C(=S)N(CH及び−C(=S)NHCHCHが含まれる。
【0079】
スルホンアミノ:−NRS(=O)R、式中、Rはアミノ基で定義されたアミノ置換基であり、及びRはスルホンアミノ置換基、例えば、C1〜7アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基又はC5〜20アリール基、好ましくは、C1〜7アルキル基である。スルホンアミノ基の例には、限定されるわけではないが、−NHS(=O)CH、−NHS(=O)Ph及び−N(CH)S(=O)が含まれる。
【0080】
前に記載したように、上にリストした置換基を形成する基、例えば、C1〜7アルキル、C3〜20ヘテロシクリル及びC5〜20アリールは、それら自身置換されていてもよい。それ故、上記の定義は、置換されている置換基に及んでいる。
【0081】
さらなる優先
以下の優先を、適用可能である場合、本発明の各側面に適用することが可能である。各基についての優先は、適用可能である場合、他の基のいずれか又はすべてについての優先と組み合わせることができる。
【0082】
X及びYがNであり、及びZがN又はCHであり、RC3及びRC5が両方モルホリノである場合、Bは
【0083】
【化14】

【0084】
ではない、という条件は、本発明のいずれの側面にも適用することができる。

Aは好ましくは:
【0085】
【化15】

【0086】
(式中、RA2〜RA6は上に定義した通りである)である。
A3及びRA4はそれらが結合されている炭素原子と一緒に、又はRA2及びRA3はそれらが結合されている炭素原子と一緒に、少なくとも一つの窒素環原子を含有するC5〜6ヘテロ環式又はヘテロ芳香環を形成し、前記環が芳香族であれば、例示の基には、限定されるわけではないが、ピリジン、ピロール(例えば、アゾール)、イミダゾール(例えば、1H−イミダゾール)、トリアゾール(例えば、1−Me−トリアゾール)が含まれる。もし前記環が芳香族でなければ、それはオキサゾロンであることができる。
【0087】
ACは、メチル及びt−ブチルから選択され、いくつかの態様において、好ましくはメチルである。
A3及びRA5がOHである場合、RA4はただHであることが好ましいであろう。
【0088】
A2及びRA6は好ましくは、H及びORから選択されることができる。
いくつかの態様において、Aは:
【0089】
【化16】

【0090】
[式中、RA3及びRA5は、ハロ、OR及びR(式中Rは、H又はMeである)から独立して選択され;
A4は、OR、COH、NHSOMe及びNHCOMeから選択され;又は、RA3及びRA5がOHである場合、RA4はHであってもよく;
A2及びRA6は、H及びORから独立して選択され;
A2〜RA6の一つ、二つ又は三つはHではない]
である。
【0091】
A2〜RA6の二つ又は三つがHではないことが好ましく、及びRA2〜RA6の三つがHではないことがより好ましい。HではないRA2〜RA6は、好ましくはOR、及びより好ましくはOHである。
【0092】
A4がOR、及びより具体的にはOHであることが好ましい。
A3及びRA5は、好ましくはH及びORから独立して選択され、及びより好ましくはH及びOHから選択される。
【0093】
A2及びRA6は、好ましくはH及びOHから独立して選択される。
好ましいA基は:2、3、4−トリヒドロキシフェニル;3、4、5−トリヒドロキシフェニル;2、4、6−トリヒドロキシフェニル;3、4−ジヒドロキシフェニル;及び3、5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニルである。
【0094】

もしBが二価Cヘテロ環残基であるならば、A及びCに結合された環原子は、さらなる環原子により分離されていることが好ましい。少なくとも一つの環原子が窒素であることが好ましく、その場合、二つの環ヘテロ原子があり、第二の原子は窒素及び硫黄から選択されていることがさらに好ましい。もし単一の環ヘテロ原子しかないならば、この原子は好ましくは酸素及び硫黄から選択される。
【0095】
Bは:
【0096】
【化17】

【0097】
から成る群より選択することができる。
いくつかの態様において、Bは
【0098】
【化18】

【0099】
から成る群より選択することができる。
本発明のいくつかの側面において、Bは
【0100】
【化19】

【0101】
(式中、RはHである)ではないことが好ましい。
Bは
【0102】
【化20】

【0103】
(式中、Rは式Iで定義した通りである)ではないことが好ましい。
Bは、好ましくは:
【0104】
【化21】

【0105】
(式中、RはH又はMeであり、及び好ましくはHである)
から成る群より選択される。
Bは、好ましくは:
【0106】
【化22】

【0107】
から選択される。
【0108】

もしX及びYがNであり、及びRC5及びRC6が、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、縮合C芳香環を形成するならば、Cは:
【0109】
【化23】

【0110】
から選択されることができる。
もしX及びYがNであり、及びRC5及びRC6が、それらが結合されている炭素原子と一緒になって、縮合C芳香環を形成するならば、RC3は好ましくはHであり、及び、Cはより好ましくは:
【0111】
【化24】

【0112】
である。
X、Y及びZの少なくとも二つがNであり、及びX、Y及びZのすべてがNであることがより好ましい。
【0113】
もしX、Y及びZの二つがNであるならば、Z、及びX及びYの一つがNであることが好ましい。Z及びYがNであることがより好ましい。
X、Y及びZの3未満がNである場合、RC3がH、及び置換されていてもよいN含有C5〜6ヘテロ環基から選択されることが好ましい。
【0114】
C3のための、好ましい置換されていてもよいN含有C5〜7ヘテロ環基には、限定されるわけではないが、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル(piperadinyl)、ピペラジニル(piperazinyl)(好ましくは、N−置換)、ホモピペラジニル(好ましくは、N−置換)及びピロリジニルが含まれる。
【0115】
ピペラジニル及びホモピペラジニル基のための好ましいN−置換基はエステル、特定的には、エステル置換基としてC1〜7アルキル基を有するエステル、例えば、−C(=O)OCH、−C(=O)OCHCH及び−C(=O)OC(CHが含まれる。
【0116】
より好ましいN−含有C5〜7ヘテロ環基は、モルホリノ及びピペラジニルであり、モルホリノが最も好ましい。これらの基は、好ましくは置換されていない。
C5のための好ましい基には、RがHであるものが含まれる。
【0117】
C5のための特に好ましい基はモルホリノであり、それはいくつかの態様において、好ましくは置換されており、及びいくつかの態様において、好ましくは置換されていない。
【0118】
他の形態を含むこと
上記に含まれるものは、これらの置換基のよく知られたイオン、塩、溶媒和及び保護形態である。例えば、カルボン酸(−COOH)への言及は、アニオン性(カルボキシレート)形態(−COO)、それらの塩及び溶媒和物、ならびに慣用的保護形態も含んでいる。同様に、アミノ基への言及は、プロトン化形態(−NHR)、アミノ基の塩及び溶媒和物(例えば、塩酸塩)、ならびにアミノ基の慣用的保護形態も含んでいる。同様に、ヒドロキシル基への言及は、アニオン性形態(−O)、それらの塩及び溶媒和物、ならびにヒドロキシル基の慣用的保護形態も含んでいる。
【0119】
異性体、塩、溶媒和物、保護形態及びプロドラッグ
特定の化合物は、限定されるわけではないが、シス−及びトランス−型;E−及びZ−型;c−、t−及びr−型;エンド−及びエキソ−型;R−、S−及びメソ−型;D−及びL−型;d−及びl−型;(+)及び(−)型;ケト−、エノール−及びエノラート−型;シン−及びアンチ−型;シンクリナル−及びアンチクリナル−型;α−及びβ−型;アキシャル及びエクアトリアル型;ボート−、チェアー−、ツイスト−、エンベロープ−及びハーフチェアー−型;及びそれらの組み合わせ、を含む一つ又はそれより多くの特定的な幾何学異性体、光学異性体、対掌体、ジアステレオマー、エピマー、立体異性体、互変異性体、コンフォメーション異性体又はアノマー形態で存在することができ、以後集合的に「異性体」(又は「異性体形態」)と称される。
【0120】
もし化合物が結晶形態であれば、多数の異なった多形形態で存在することができる。
互変異性型についての以下の議論を除いて、具体的に、本明細書で使用される用語「異性体」から除外されるものは、構造的(又は構成的)異性体(即ち、単に空間における原子の位置によるものよりも、原子間の連結が異なっている異性体)であることに注意されたい。例えば、メトキシ基(−OCH)への言及は、その構造的異性体、ヒドロキシメチル基(−CHOH)への言及と解釈すべきではない。同様に、オルト−クロロフェニルへの言及は、その構造的異性体、メタ−クロロフェニルへの言及と解釈すべきではない。しかしながら、構造の種類への言及は、その種類内に入る構造的異性体を十分に含むことができる(例えば、C1〜7アルキルはn−プロピル及びイソ−プロピルを含み;ブチルはn−、イソ−、sec−及びtert−ブチルを含み;メトキシフェニルはオルト−、メタ−及びパラ−メトキシフェニルを含む)。
【0121】
上記の除外は、例えば、以下の互変異性対:ケト/エノール、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ及びニトロ/aci−ニトロ、におけるような、例えば、ケト−、エノール−及びエノレート−型の互変異性型には関係しない。
【0122】
用語「異性体」中に具体的に含まれているものが、一つ又はそれより多くの同位元素置換を有する化合物であることに注目されたい。例えば、Hは、H、H(D)及び、H(T)を含むいずれかの同位元素型であることができ;Cは、12C、13C及び14Cを含むいずれかの同位元素型であることができ;Oは、16O及び18Oを含むいずれかの同位元素型であることができる。
【0123】
特に記載しない限り、特定の化合物への言及は、すべてのこうした異性体形態を含む(全体の又は部分的ラセミ体及びそれらの他の混合物を含んで)。こうした異性体形態の製造(例えば、不斉合成)及び分離(例えば、分別結晶化及びクロマトグラフィー法)の方法は、当該技術分野において知られているか又は、本明細書又は既知の方法に教示された方法を既知の様式で適応させることにより容易に得られる。
【0124】
特に記載しない限り、特定の化合物への言及は、例えば、以下に議論するそれらのイオン、塩、溶媒和物及び保護形態、ならびにその異なった多形形態も含んでいる。
活性化合物の対応する塩、例えば、薬学的に許容できる塩を製造する、精製する及び/又は取り扱うのが都合がよい又は望ましいであろう。薬学的に許容できる塩の例は、参照文献25に議論されている。
【0125】
例えば、もし化合物がアニオン性であれば、又はアニオン性であることができる官能基(例えば、−COOHは−COOであることができる)を有していれば、適したカチオンと塩を形成することができる。適した無機カチオンには、限定されるわけではないが、Na及びKのようなアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+のようなアルカリ土類カチオン及びAl3+のような他のカチオンが含まれる。適した有機カチオンには、限定されるわけではないが、アンモニウムイオン(即ち、NH)及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH、NHR、NR)が含まれる。いくつかの適した置換アンモニウムイオンの例は、エチルアミノ、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン及びトロメタミン、ならびにリシン及びアルギニンのようなアミノ酸から誘導されるものである。一般的な四級アミンの例は、N(CHである。
【0126】
もし化合物がカチオン性であれば、又はカチオン性であることができる官能基(例えば、−NHは−NHであることができる)を有していれば、適したアニオンと塩を形成することができる。適した無機アニオンの例には、限定されるわけではないが、以下の無機酸から誘導されるものが含まれる:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸及び亜リン酸。適した有機アニオンの例には、限定されるわけではないが、以下の有機酸から誘導されるものが含まれる:酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、乳酸、リンゴ酸、パモ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、安息香酸、桂皮酸、ピルビン酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、吉草酸及びグルコン酸。適した重合体アニオンの例には、限定されるわけではないが、以下重合体の酸から誘導されるものが含まれる:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0127】
活性化合物の対応する溶媒和物を製造する、精製する及び/又は取り扱うのが都合がよい又は望ましいであろう。慣用的意味で本明細書において使用される用語「溶媒和物」とは、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒の複合体を指す。もし溶媒が水であるならば、溶媒和物は都合よく水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などと呼ぶことができる。
【0128】
活性化合物を化学的に保護された形態で製造する、精製する及び/又は取り扱うのが都合がよい又は望ましいであろう。本明細書において使用される用語「化学的に保護された形態」とは、一つ又はそれより多くの反応性官能基が望まれない化学反応から保護されている、即ち、保護された又は保護基の形態である(マスクされたマスキング基又はブロックされた又はブロッキング基としても知られている)化合物に関する。反応性官能基を保護することにより、他の非保護反応性官能基が関与する反応を、保護された基に影響を及ぼすことなく実施することが可能である:保護基は、分子の残りの部分に実質的に影響を及ぼすことなく、通常続いての工程で除去することができる。例えば、参照文献26を参照されたい。
【0129】
例えば、ヒドロキシ基は、エーテル(−OR)又はエステル(−OC(=O)R)、例えば:t−ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)又はトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリル又はt−ブチルジメチルシリルエーテル;又はアセチルエステル(−C(=O)CH、−OAc)として保護することができる。
【0130】
例えば、アルデヒド又はケトン基は、各々アセタール又はケタールとして保護することができ、カルボニル基(>C=O)は、例えば、第一級アルコールとの反応によりジエーテル(>C(OR))に変換されている。アルデヒド又はケトン基は、酸の存在下、大過剰の水を使用する加水分解により容易に再生される。
【0131】
例えば、アミン基は、例えば、アミド又はウレタンとして、例えば、メチルアミド(−NHCO−CH)として;ベンジルオキシアミド(−NHCO−OCH、−NH−Cbz)として;t−ブトキシアミド(−NHCO−OC(CH、−NH−Boc)として;2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHCO−OC(CH、−NH−Bpoc)として、9−フルオレニルメトキシアミド(−NH−Fmoc)として、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NH−Nvoc)として、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NH−Teoc)として、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NH−Troc)として、アリルオキシアミド(−NH−Alloc)として、2−(フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NH−Psec)として;又は、適切な場合、N−オキシド(>NO?)として、保護することができる。
【0132】
例えば、カルボン酸基はエステルとして、例えば:C1〜7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t−ブチルエステル);C1〜7ハロアルキルエステル(例えば、C1〜7トリハロアルキルエステル);トリC1〜7アルキルシリル−C1〜7アルキルエステル;又はC5〜20アリール−C1〜7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル);として、又はアミドとして、例えば、メチルアミドとして、保護することができる。
【0133】
例えば、チオール基は、チオエーテル(−SR)として、例えば、:ベンジルチオエーテル;アセトアミドメチルエーテル(−S−CHNHC(=O)CH)として、保護することができる。
【0134】
活性化合物をプロドラッグの形態で製造する、精製する及び/又は取り扱うのが都合がよい又は望ましいであろう。本明細書において使用される用語「プロドラッグ」とは、代謝された場合(例えば、インビボで)に所望の活性化合物を生成する化合物に関する。典型的には、プロドラッグは不活性であるか又は活性化合物よりも活性が低いが、有利な取り扱い、投与又は代謝特性を提供することができる。
【0135】
例えば、いくつかのプロドラッグは活性化合物のエステル(例えば、生理学的に許容できる代謝的に不安定なエステル)である。代謝の間、エステル基(−C(=O)OR)が切断されて活性薬剤を生成する。こうしたエステルは、適切な場合には、親化合物中に存在するいずれか他の反応性基の先行保護、必要とされるなら続いての脱保護を伴って、例えば、親化合物中のいずれかのカルボン酸基(−C(=O)OH)のエステル化により形成することができる。こうした代謝的に不安定なエステルの例には、Rが、C1〜20アルキル(例えば、−Me、−Et);C1〜7アミノアルキル(例えば、アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル);及びアシルオキシ−C1〜7アルキル(例えば、アシルオキシメチル;アシルオキシエチル;例えば、ピバロイルオキシメチル;アセトキシメチル;1−アセトキシエチル;1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボニルオキシエチル;1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル;1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;及び1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)であるものが含まれる。
【0136】
さらに適したプロドラッグ形態には、ホスホネート及びグリコール酸塩が含まれる。特に、ヒドロキシ基(−OH)をホスホネートプロドラッグにすることが可能であり、クロロジベンジル亜リン酸エステルとの反応、続いての水素化によりホスホネート基−O−P(=O)(OH)が形成される。こうした基は代謝の間にホスファターゼ酵素により切断されることが可能であり、ヒドロキシ基を有する活性薬剤を生成する。
【0137】
また、いくつかのプロドラッグは酵素的に活性化されて活性化合物、又はさらなる化学反応により活性化合物を生成する化合物を生成する。例えば、プロドラッグは糖誘導体又は他のグリコシドコンジュゲートであることができ、又はアミノ酸エステル誘導体であることができる。
【0138】
アクロニム
便宜上、多くの化学部分は、限定されるわけではないが、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(nPr)、イソ−プロピル(iPr)、n−ブチル(nBu)、tert−ブチル(tBu)、n−ヘキシル(nHex)、シクロヘキシル(cHex)、フェニル(Ph)、ビフェニル(biPh)、ベンジル(Bn)、ナフチル(naph)、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、ベンゾイル(Bz)及びアセチル(Ac)を含む、周知の略語を使用して表されている。
【0139】
便宜上、多くの化学化合物は、限定されるわけではないが、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソ−プロパノール(i−PrOH)、メチルエチルケトン(MEK)、エーテル又はジエチルエーテル(EtO)、酢酸(AcOH)、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含む、周知の略語を使用して表されている。
【0140】
一般的合成法
Bが:
【0141】
【化25】

【0142】
から選択される場合、式Iの化合物は式1a:
【0143】
【化26】

【0144】
として表すことができ、式中、B’は二つの可能なB基を表している。
B’が:
【0145】
【化27】

【0146】
である場合、式1aの化合物は、式2:
【0147】
【化28】

【0148】
の化合物と式3:
B’−C 式3
の化合物との、触媒量のp−トルエンスルホン酸又は類似の化合物の存在下でのカップリングにより合成することができる。
【0149】
B’が:
【0150】
【化29】

【0151】
である場合、式1aの化合物は、式4:
【0152】
【化30】

【0153】
の化合物と式3:
B’−C 式3
の化合物を、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートのようなアミドカップリング剤の存在下でのカップリングにより合成することができる。
【0154】
式3の化合物は、式5:
Cl−C 式5
の化合物から、有機溶媒中、ヒドラジン水和物又はメチルヒドラジンの添加により合成することができる。マイクロ波加熱を、慣用的加熱に代わる手段として使用することができる。
【0155】
Cが:
【0156】
【化31】

【0157】
(式中、XはN又はCHである)である式5の化合物は、式5a:
【0158】
【化32】

【0159】
により表すことが可能である。
C3が置換されていてもよいN−含有C5〜7ヘテロ環基である式5aの化合物は、RC3がハロ、例えば、Clである式5aの化合物から、それらを適切なアミンと反応させることにより合成することが可能である。こうした化合物は、RC5がハロ、例えば、Clである化合物から同様の様式で合成することが可能である。もしRC3及びRC5が同一のアミンから形成されるならば、好ましくは、これらの工程は同時に実施される。
【0160】
Cが:
【0161】
【化33】

【0162】
である式5の化合物の合成は、下記実施例4、5及び15に例示されており、方法は、RC3基を導入するように、必要に応じて、適応させることが可能である。
Cが:
【0163】
【化34】

【0164】
であり、及びBが:
【0165】
【化35】

【0166】
である式3:
B’−C 式3
の化合物は式3a:
【0167】
【化36】

【0168】
として表すことができ、それは式6:
【0169】
【化37】

【0170】
の化合物から、亜硝酸ナトリウム及び塩化スズ(II)二水和物との反応により合成することができる。式6の化合物は、既知の方法を使用して容易に合成することが可能である。
【0171】
Bが、一つ又は二つの環ヘテロ原子を含有する二価Cヘテロ環式残基である場合、式Iの化合物は式1b:
A−B’’−C 式1b
として表すことができ、式中、B’’は可能なB基を表している。
【0172】
Aが
【0173】
【化38】

【0174】
である式1bの化合物は、AがBr−である式1bの化合物から、Suzuki条件を使用し、適切なボロン酸又はエステルのカップリングにより合成することができる。
AがBr−である式1bの化合物は、式5:
Cl−C 式5
の化合物から、適切な有機溶媒中、水素化ナトリウムとともに、式7:
Br−B’’ 式7
の添加により合成することができる。
【0175】
もしくは、式5の化合物の前駆物質を、式7の化合物とカップリングさせることができ、合成を続ける前に、基Cの最終転換を実施する。
【0176】
使用
本発明は、活性化合物を提供し、具体的にはmTORの活性を阻害することにおいて活性である。
【0177】
本明細書において使用される用語「活性な」とは、mTOR活性を阻害することが可能である化合物に関し、及び具体的には、固有の活性を有する化合物(薬剤)ならびにこうした化合物のプロドラッグの両方を含み、前記プロドラッグは、それ自身ほとんど活性を示さないか、又は固有の活性がなくてもよい。
【0178】
特定の化合物により与えられるmTOR阻害を評価するために都合よく使用することができる一つのアッセイが下記実施例に記載されている。
本発明はさらに、細胞中におけるmTORの活性を阻害する方法を提供し、前記方法は、前記細胞と、好ましくは薬学的に許容できる組成物の形態での活性化合物の有効量を接触させることを含んでなる。こうした方法は、インビトロ又はインビボで実行することができる。
【0179】
例えば、細胞の試料をインビトロで増殖させることができ、活性化合物を前記細胞と接触させ、そしてこれらの細胞に対する化合物の効果を観察する。「効果」の例として、特定の時間における細胞増殖の阻害、又は特定の時間にわたる細胞周期のG1期での細胞の蓄積、を決定することができる。活性化合物が細胞に対して影響を及ぼすことが観察された場合、同一のタイプの細胞を有する患者を治療する方法における化合物の有効性の、予後又は診断マーカーとして使用することができる。
【0180】
状態を治療することの関連において本明細書で使用される用語「治療」とは、一般に、ヒト又は動物(例えば、獣医学応用)にかかわらず、いくらかの所望の効果、例えば、状態の進行の阻害が達成される治療及び療法に関し、そして、進行の速度の減少、進行の速度の休止、状態の改善及び状態の治癒を含む。
【0181】
本明細書において使用される用語「補助剤」は、既知の療法手段と同時の活性化合物の使用に関する。こうした手段には、薬剤の細胞障害性投与計画及び/又は異なった癌タイプの治療に使用される電離放射線が含まれる。本発明からの化合物と併用することが可能な補助抗癌剤の例には、限定されるわけではないが、以下のものが含まれる:アルキル化剤:ナイトロジェンマスタード、メクロレタミン、シクロフォスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブチル:ニトロソ尿素:カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル−CCNU)、エチレンイミン/メチルメラミン、トリエチレンメラミン(TEM)、トリエチレンチオホスホルアミド(チオテパ)、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン):アルキルスルホン酸;ブスルファン;トリアジン、ダカルバジン(DTIC):代謝拮抗剤;葉酸類似体、メトトレキサート、トリメトレキサート、ピリミジン類似体、5−フルオロウラシル、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシッド(AraC、シタラビン)、5−アザシチジン、2,2’−ジフルオロデオキシシチジン:プリン類似体;6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アザチオプリン、2’−デオキシコホルマイシン(ペントスタチン、エリトロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2−CdA):トポイソメラーゼI阻害剤;カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、ルビテカン:天然産物;細胞分裂抑制薬、パクリタキセル、ビンカアルカロイド、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、ビノレルビン、タキソテール(商標)(ドセタキセル)、エストラムスチン、リン酸エストラムスチン;エピポドフィロトキシン、エトポシド、テニポシド:抗生物質;アクチノマイシンD、ダウノマイシン(ルビドマイシン)、ドキソルブシン(アドリアマイシン)、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシンC、ダクチノマイシン:酵素;L−アスパラギナーゼ、RNAse A:生物学的応答修飾剤;インターフェロン−アルファ、IL−2、G−CSF、GM−CSF:分化剤;レチノイン酸誘導体:放射線増感剤;メトロニダゾール、ミソニダゾール、デスメチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、RSU1069、EO9、RB6145、SR4233、ニコチンアミド、5−ブロモデオキシウリジン、5−ヨードデオキシウリジン、ブロモデオキシシチジン:白金配位錯体;シスプラチン、カルボプラチン:アントラセンジオン;ミトキサントロン、AQ4N置換尿素、ヒドロキシ尿素;メチルヒドラジン誘導体、N−メチルヒドラジン(MIH)、プロカルバジン;副腎皮質抑制剤、ミトタン(o.p’−DDD)、アミノグルテチミド:サイトカイン;インターフェロン(α、β、γ)、インターロイキン;ホルモン及びアンタゴニスト;副腎皮質ステロイド/アンタゴニスト、プレドニゾン及び均等物、デキサメタゾン、アミノグルテチミド;プロゲスチン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール;エストロゲン、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール/均等物;抗エストロゲン、タモキシフェン;アンドロゲン、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン/均等物;抗アンドロゲン、フルタミド、性腺刺激ホルモン−放出ホルモン類似体、リュープロリド;非ステロイド性抗アンドロゲン、フルタミド;EGFR抑制剤、VEGF抑制剤;プロテアソーム抑制剤。
【0182】
活性化合物は、例えば、インビトロで既知の化学療法剤又は電離放射線療法に対して細胞を感作するため、mTORを阻害するように細胞培養添加物としても使用することができる。
【0183】
活性化合物は、例えば、候補宿主が問題とする化合物での治療の恩恵を受けそうであるかどうかを決定するため、インビトロアッセイの一部として使用することもできる。
【0184】

本発明は、癌を治療するための抗癌剤又は補助剤である活性化合物を提供する。当業者は、候補化合物が、いずれか特定の細胞タイプ(単独で又は組み合わせて)についての癌性状態を治療するかどうかを容易に決定できる。
【0185】
癌の例には、限定されるわけではないが、肺癌、小細胞肺癌、胃腸癌、腸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、睾丸癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、脳腫瘍、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫及び白血病が含まれる。
【0186】
限定されるわけではないが、肺、胃腸(例えば腸、結腸を含んで)、乳(乳腺)、卵巣、前立腺、肝臓(肝性)、腎臓(腎性)、膀胱、膵臓、脳及び皮膚を含むすべてのタイプの細胞を治療することができる。
【0187】
投与
活性化合物又は活性化合物を含んでなる医薬組成物は、限定されるわけではないが、経口(例えば経口摂取による);局所的(例えば経皮、鼻腔内、眼、頬、及び舌下を含む);肺(例えば、口又は鼻を介して、例えば、エアゾールを使用する、例えば、吸入又は注入療法により);直腸;膣;非経口、例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、鞘内、脊髄内、嚢内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下及び基質内を含んでいる注射により;例えば、皮下に又は筋肉内に持続性製剤の移植により;を含んだ、全身性/末梢性であれ又は所望の作用の部位であれ、いずれか都合のよい投与経路で投与することができる。
【0188】
対象は、真核生物、動物、脊椎動物、哺乳動物、げっ歯動物(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ(例えば、マウス)、イヌ科動物(例えば、イヌ)、ネコ科動物(例えば、ネコ)、ウマ(例えば、ウマ)、霊長動物、サル(例えば、小さなサル又は大きなサル)、小さなサル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、大きなサル(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)又は、ヒトであることができる。
【0189】
製剤
投与されるべき活性化合物を単独で投与することは可能であるが、当業者には周知の一つ又はそれより多くの薬学的に許容できる担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定化剤、防腐剤、滑沢剤、又は他の材料、並びに、随意の他の治療薬又は予防薬、と一緒に、上で定義した少なくとも一つの活性化合物を含んでなる、医薬組成物(例えば、製剤)として存在することが好ましい。
【0190】
それ故、本発明はさらに上で定義した医薬組成物、及び、本明細書に記載した一つ又はそれより多くの薬学的に許容可能な担体、賦形剤、緩衝剤、アジュバント、安定化剤又は、他の材料と一緒に、上で定義した少なくとも一つの活性化合物を混合することを含んでなる、医薬組成物を作製する方法を提供する。
【0191】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容できる」とは、健全な医学判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー応答又は他の問題又は合併症なしに、利点/危険性比が釣り合って、対象(例えば、ヒト)の組織との接触に使用するために適している、化合物、材料、組成物及び/又は剤形に関する。各担体、賦形剤などは、製剤の他の成分と適合しているという意味においても「許容できる」でなければならない。
【0192】
適した担体、希釈剤、賦形剤などは、標準的な薬学テキストに見ることができる。例えば、参照文献27〜29を参照されたい。
製剤は、都合よく単位剤形で存在することができ、薬学の分野において周知のいずれかの方法により製造することができる。こうした方法には、一つ又はそれより多くの補助成分を構成する担体と活性化合物を会合させる工程が含まれる。一般に、製剤は、活性化合物と液体担体又は細かく粉砕した固体担体、又は両方、を均質に及び親密に会合させ、そして次ぎに必要に応じて生成物を成形することにより製造される。
【0193】
製剤は、液体、液剤、懸濁剤、乳剤、エレキシル剤、シロップ剤、タブレット剤、ロセンジ剤、顆粒剤、パウダー剤、カプセル剤、カシェ剤、ピル剤、アンプル剤、坐薬、ペッサリー剤、軟膏、ゲル剤、ペースト剤、クリーム剤、スプレー剤、霧剤、泡剤、ローション剤、油剤、ボーラス剤、舐剤、又はエアゾール剤の形態であることができる。
【0194】
経口投与(例えば、経口摂取)に適した製剤は、各々が前もって決められた量の活性化合物を含有しているカプセル剤、カシェ剤又は錠剤;散剤又は顆粒剤;水性又は非水性液体中の液剤又は懸濁剤;又は油中水液体乳化剤又は水中油液体乳化剤;ボーラス剤;舐剤;又はペースト剤のような不連続な単位として存在することができる。
【0195】
錠剤は、随意に一つ又はそれより多くの補助成分と、慣用的手段、例えば、圧縮又は成形により作製することができる。圧縮錠剤は、一つ又はそれより多くの結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アラビアゴム、ソルビトール、トラガカントゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤又は希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸);崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);表面活性剤又は分散剤又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム);及び保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合された、粉末又は顆粒のような自由流動形態中の活性化合物を、適した機械中で圧縮することにより製造することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を適した機械で成形することにより作製することができる。錠剤は、随意に被覆又は刻み目を付けることができ、そしてその中の活性化合物の持続又は制御放出を提供するように、例えば、変動した比率のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して製剤することができ、所望の放出プロフィールを提供する。錠剤は、随意に腸コーティングで提供することができ、胃以外の消化管の一部での放出を提供する。
【0196】
局所投与(例えば経皮、鼻腔内、眼、口腔、及び舌下)に適した製剤は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾール又は油として製剤することができる。もしくは、製剤は、活性化合物及び随意に一つ又はそれより多くの賦形剤又は希釈剤を含浸した包帯又は接着プラスターのような、パッチ又はドレッシングを含んでなることができる。
【0197】
口中の局所投与に適した製剤には、フレーバー付与基剤(通常スクロース及びアカシア又はトラガカント)中の活性化合物を含んでなるロレンジ;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアのような不活性基剤中に活性化合物を含んでなるトローチ;適した液体基剤中に活性化合物を含んでなる口中洗浄液、が含まれる。
【0198】
眼への局所投与に適した製剤には、活性化合物が適した担体、特に活性化合物のために水性溶媒に溶解された又は懸濁された点眼剤も含まれる。
担体が固体である、鼻投与に適した製剤には、例えば、約20〜約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末が含まれ、それは吸い込み、即ち、鼻に近づいて保持された粉末の容器から鼻腔を通した急速な吸入による様式で投与される。例えば、鼻スプレー、点鼻剤のような又はネブライザーでのエアロゾル投与による、投与のための担体が液体である適した製剤には、活性化合物の水性又は油性溶液が含まれる。
【0199】
吸入による投与に適した製剤には、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ−テトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適したガスのような適した噴霧剤の使用による、加圧パックからのエアロゾルスプレーとして存在するものが含まれる。
【0200】
皮膚を介した局所投与に適した製剤には、軟膏、クリーム及び乳化剤が含まれる。軟膏で製剤された場合、活性化合物は随意にパラフィン性又は水混和可能軟膏基剤とともに用いられる。もしくは、活性化合物は、水中油クリーム基剤のクリームで製剤することができる。もし望むなら、クリーム基剤の水性相は、例えば、少なくとも約30%w/wの多価アルコール、即ち、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール及びそれらの混合物のような二つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有するアルコールを含むことができる。局所製剤は、望ましくは、皮膚又は他の影響する領域を通した活性化合物の吸収又は浸透を増強する化合物を含むことができる。こうした皮膚浸透増強剤の例には、ジメチルスルホキシド及び関連類似体が含まれる。
【0201】
局所乳化剤として製剤された場合、油性相は、単に乳化剤(さもなくばエマルジェント(emulgent)としても知られている)を随意に含んでなることができるが、又は少なくとも一つの乳化剤と脂肪又は油、又は脂肪及び油の両方の混合物を含んでなることもできる。好ましくは、親水性乳化剤が、安定化剤として働く親油性乳化剤と一緒に含まれている。それは脂肪及び油の両方を含んでいることも好ましい。安定化剤(単数又は複数)あり又はなしの乳化剤(単数又は複数)はいわゆる乳化ろうを作り上げ、ろうは、油及び/又は脂肪と一緒になって、クリーム製剤の油性分散相を形成する、いわゆる乳化軟膏基剤を作り上げる。
【0202】
適したエマルジェント及び乳化剤安定化剤には、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン及びラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。製剤のための適した油又は脂肪の選択は、医薬乳化剤製剤に使用されやすいほとんどの油中の活性化合物の溶解度は非常に低くてもよいので、望まれる美容的特性を達成することに基づいている。それ故、クリームは好ましくは、チューブ又は他の容器からの漏出を避けるための適したコンシステンシーを有する、脂ぎっていない、非染色性及び洗浄可能な製品であるべきである。ジイソアジピン酸エステル、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル又はCrodamol CAPとして知られている分枝鎖エステルの混和物のような、直鎖又は分枝鎖、一又は二塩基性アルキルエステルを使用することができ、最後の三つのエステルが好ましいエステルである。必要とされる特性に応じて、これらは単独で又は組み合わせて、使用することができる。もしくは、白色軟パラフィン及び/又は液体パラフィン、又は他の鉱油のような高融点脂質を使用することが可能である。
【0203】
直腸投与に適した製剤は、例えば、ココアバター又はサリチル酸塩を含んでなる適した基剤を有する座剤として示される。
膣投与に適した製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡又はスプレー製剤として示すことができ、活性化合物に加えて、適切であると当該技術分野で既知の担体を含んでいる。
【0204】
非経口投与(例えば、皮膚、皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む注射による)に適した製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、抗菌剤及び意図されるレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含むことができる、水性及び非水性等張、発熱物質を含まない、滅菌注射溶液;懸濁剤及び増粘剤、及び化合物が血液成分又は一つ又はそれより多くの器官を標的にするように設計されたリポソーム又は他の微粒子システムを含むことができる水性及び非水性滅菌懸濁液、が含まれる。こうした製剤に使用するために適した等張性のビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射液、リンガー液又は乳酸加リンガー液が含まれる。典型的には、溶液中の活性化合物の濃度は、約1ng/mlから約10μg/ml、例えば、約10ng/mlから1μg/mlである。製剤は、単位服用量又は多回量密閉容器、例えば、アンプル又はバイアルで提供され、使用直前の滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存することができる。即時調合注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から製造することができる。製剤は、活性化合物が血液成分又は一つ又はそれより多くの器官を標的にするように設計されたリポソーム又は他の微粒子システムの形態であることができる。
【0205】
用量
活性化合物及び活性化合物を含んでなる組成物の適切な用量は、患者間で変動しうることが理解されるであろう。最適用量の決定は、一般に本発明の治療の何らかの危険性又は有害な副作用と、療法利益のレベルを平衡させることを含んでいる。選択される用量レベルは、限定されるわけではないが、特定の化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排出速度、治療の持続時間、併用して使用される他の薬剤、化合物及び/又は物質、年齢、性、体重、状態、一般的健康度、及び患者の以前の病歴を含む多様な因子に依存するであろう。化合物の量及び投与経路は、最終的には医師の裁量であるが、一般には、実質的に悪い又は有害な副作用を起こすことなく所望の効果を達成する作用部位での局所濃度を達成するであろう用量である。
【0206】
インビボ投与は一回用量で、治療の経過を通して連続的に又は間欠的に(例えば、適切な間隔で分割量を)達成することが可能である。最も有効な手段及び投与の用量を決定する方法は、当業者には周知であり、療法に使用された製剤、療法の目的、治療されている標的細胞、及び治療されている対象で変動するであろう。治療する医師に選択された用量及び形式で、単回または多回の投与を行なうことができる。
【0207】
一般に、活性化合物の適した用量は、1日当たり、対象の体重1キログラム当たり、約100μgから約250mgの範囲である。活性化合物が塩、エステル、プロドラッグなどである場合、投与される量は、親化合物に基づいて計算され、使用されるべき実際の重量が比例して増加する。
【0208】
実施例
一般実験法
薄層クロマトグラフィーは、Merck Kieselgel 60F254ガラスプレートを使用して実施した。プレートは、UVランプ(254nm)の使用により可視化した。E.M.Merckにより供給されたシリカゲル60(粒子サイズ40〜63μm)をフラッシュクロマトグラフィーに用いた。H NMRスペクトルは、Bruker DPX-300装置を用い、300MHzで記録した。化学シフトはテトラメチルシランを基準とした。
【0209】
ライブラリーサンプルの精製及び同定
サンプルはGilson LC ユニットで精製した。移動相A−0.1%TFA水溶液、移動相B−アセトニトリル、流速6ml/分;濃度勾配−典型的には90%A/10%Bで1分から出発し、15分後に97%まで上昇、2分保持し、その後出発条件に戻る。カラム:Jones Chromatography Genesis 4μm、C18カラム、10 mm x 250 mm。254nmでのUV検出に基づいてピーク取得。
【0210】
質量スペクトルは、正イオンモードでのFinnegan LCQ装置を用いて記録した。移動相A−0.1%ギ酸水溶液。移動相B−アセトニトリル;流速2ml/分;濃度勾配−95%A/5%Bで1分から出発し、5分後に98%Bに上昇、3分保持した後、出発条件に戻る。カラム:変動、しかしいつもC18 50mm x 4.6mm(現在、Genesis C18 4μm. Jones Chromatography)。PDA検出 Warers 996、スキャン範囲210〜400nm。
【0211】
マイクロ波合成
反応は、ロボットアームを備えたPersonal Chemistry(商標) Emrys Optimiserマイクロ波合成ユニットで実施した。パワー範囲、2.45GHzで0〜300W;圧力範囲、0〜20バール;温度は2〜5℃/秒の間で上昇;温度範囲、60〜250℃。
【0212】
実施例1a:6−(N’−メチレン−ヒドラジノ)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン誘導体(5)の合成
【0213】
【化39】

【0214】
(i)4,6−ジクロロ[1,3,5]トリアジン−2−イルアミン誘導体(2)の合成
塩化シアヌール酸(1)(3.00g、16.26mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(40ml)冷却(−60℃)溶液に、適切なアミン(2.80ml、32.5mmol)の水(1.4ml)溶液を加えた。アミン溶液は10分以上かけて滴下様式で加えた。混合物を冷却浴から除き、反応を十分にクエンチさせる水(25ml)を加えた。クエンチした混合物を5分撹拌した後、濾過して沈殿物を分離した。濾過ケーキを水(250ml)で洗浄し、真空デシケーター中で乾燥すると、所望の4,6−ジクロロ[1,3,5]トリアジン−2−イルアミンを得、それを最少量の温EtOAcからの再結晶によりさらに精製すると生成物を得た。
【0215】
【表1】

【0216】
(iia)6−クロロ−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン誘導体(3)(アミン基が異なっている)の合成
適切な4,6−ジクロロ[1,3,5]トリアジン−2−イルアミン(2)(0.35mmol)のジメチルホルムアミド(5ml)冷却(−50℃)溶液に、粉末KCO(1.14mmol)、及び次ぎに適切なアミン(0.35mmol)を滴下様式で加えた。混合物を−50℃で10分撹拌し、次ぎに室温まで徐々に温めた。反応混合物に酢酸エチル(10ml)及び水(10ml)を加えた。有機抽出物を除き、飽和食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して真空下で濃縮すると、典型的には、さらなる精製なしに使用する、適切に純粋な形態での所望の生成物として結晶性固形物を得た。
【0217】
【表2】

【0218】
(iib)6−クロロ−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン誘導体(3)(アミン基は同一である)の合成
塩化シアヌール酸(1)(3g、16.3mmol)のアセトン(50ml)冷却(0℃)溶液に、適切なアミン(68.7mmol)の水(2.99ml)溶液を加えた。直ぐに沈殿が形成されるので溶液は濁った白色になった。反応物を0℃で80分維持し、その後混合物へさらに水(100ml)を加え、固形物を濾過により分離した。濾過ケーキを冷水(50ml)で洗浄し、真空デシケーター中で乾燥すると、典型的には、さらなる精製なしに使用する、適切に純粋な形態での所望の生成物として白色固形物を得た。
【0219】
【表3】

【0220】
(iii)6−ヒドラジノ−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン誘導体(4)の合成
(a)適切な6−クロロ−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(3)(20mmol)のエタノール(25ml)懸濁液に、ヒドラジン水和物(5ml、100mmol)を加えた。混合物を次ぎに加熱還流し、この温度に3時間維持した。この時間の経過後、混合物を室温まで冷却し、その時点で固形物を濾過し、エタノール(2x20ml)で洗浄すると、さらなる精製なしに使用するために適切に純粋である白色結晶性固形物として所望の生成物を得た。
(b)適切な6−クロロ−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(3)(3.5mmol)のメチルヒドラジン(5ml)懸濁液を5時間加熱還流した。混合物を0℃に冷却し、水(10ml)を加えた。生じた沈殿を濾過により混合物から除去し、水(2x10ml)で洗浄すると、さらなる精製なしに使用するために適切にきれいである無色固形物として所望の生成物を得た。
【0221】
【表4】

【0222】
(iv)6−(N’−メチレン−ヒドラジノ)−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン誘導体(5)の合成
(a)適切な6−ヒドラジノ−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン誘導体(4)(0.71mmol)のエタノール(4ml)混合物に、適切なアルデヒド(0.71mmol)及び触媒p−トルエンスルホン酸(0.04mmol、4.3mg)を加えた。混合物をマイクロ波照射の影響下、130℃で600秒加熱した(固定保持時間、前もって20秒撹拌)。さらなる冷却(0℃)により沈殿が形成され、それを吸引濾過により分離した。次ぎに濾過ケーキを氷冷エタノール(5ml)で洗浄すると所望の生成物を得た。
(b)適切な6−ヒドラジノ−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン誘導体(4)(0.50mmol)のエタノール(2ml)溶液に、適切なアルデヒド(0.50mmol)及び触媒p−トルエンスルホン酸(0.036mmol、6.1mg)を加えた。混合物を次ぎに冷却(0℃)すると沈殿の形成が生じた。固形物を吸引濾過により分離し、氷冷エタノール(5ml)で洗浄すると所望の生成物を得た。
【0223】
【表5】

【0224】
【表6】

【0225】
実施例1(b):4−[(4−クロロ−6−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−ヒドラゾノメチル]−2,6−ジメトキシフェノール(7)の合成
【0226】
【化40】

【0227】
(i)(4−クロロ−6−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−ヒドラジン(6)
この物質は実施例1a(iii)の方法を使用して(2a)から合成すると、99%の収率で得た。M/Z(LC-MS、ESP):231[M+H]+、R/T=2.93分。
【0228】
(ii)4−[(4−クロロ−6−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−ヒドラゾノメチル]−2,6−ジメトキシフェノール(7)
この物質は実施例1a(iv)の方法を使用して(6)から合成した。M/Z(LC−MS、ESP):純度97%、395[M+H]、R/T=4.08分。
【0229】
実施例2:6−(N’−メチレン−ヒドラジノ)−ピリミジン−2,4−ジアミン誘導体(12)の合成
【0230】
【化41】

【0231】
(i)2,6−ジクロロピリミジン−4−イルアミン誘導体(9)の合成
2,4,6−トリクロロピリミジン(8)(2.73mmol)のエタノール(6ml)冷却(−5℃)溶液に、適切なアミン(2.73mmol)そして次ぎにEtN(0.303ml、2.18mmol)を滴下様式で加えた。冷却浴を取り除き、反応物を室温まで温めた。次ぎに水を混合物に加えると沈殿の形成を生じた。固形物を吸引濾過により分離し、氷冷EtOH(6ml)で洗浄すると所望の生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(溶出液は、典型的には、100%ヘキサンから4:1−ヘキサン:EtOAcへ)により精製した。
【0232】
【表7】

【0233】
(iia)6−クロロ−ピリミジン−2,4−ジアミン誘導体(10)(アミン基は異なっている)の合成
適切な2,6−ジクロロピリミジン−4−イルアミン誘導体(9)(0.85mmol)のTHF/EtOH(2:1、1.5ml)溶液に、適切なアミン(2.13mmol)のエタノール(1ml)溶液を加えた。混合物を室温で一夜撹拌し、0℃まで冷却するとすぐ沈殿が形成した。固形物を吸引濾過により分離し、氷冷EtOHで洗浄し、真空デシケーター中で乾燥すると所望の生成物を得た。
【0234】
【表8】

【0235】
(iib)6−クロロ−ピリミジン−2,4−ジアミン誘導体(10)(アミン基は同位置である)の合成
化合物10eは、2倍量のモルホリンを使用し、実施例2(iia)の方法により作製した。
【0236】
化合物10fは以下のように作製した:2,4,6−トリクロロピリミジン(8)(1.23g、6.7mmol)のTHF(40ml)冷却(0℃)溶液に、不活性雰囲気下、ピペリジン(3.32ml、33.6mmol)を加えると白色沈殿の形成を生じ、それは撹拌を困難にした。混合物を50℃で24時間加熱し、その後室温まで冷却し、そして水(40ml)で希釈した。有機抽出物を分離し、MgSOを用いて乾燥し、濾過し、そして真空下で乾燥すると無色固形物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(溶出液として、70:30から60:40へのヘキサン:EtOAc)により精製すると、分析的に純粋な形態の所望の生成物を得た(1.62g、86%)。
【0237】
【表9】

【0238】
(iii)6−ヒドラジノ−ピリミジン−2,4−ジアミン誘導体(11)の合成
適切な6−クロロ−ピリミジン−2,4−ジアミン誘導体(0.85mmol)の1−ブタノール(1.0ml)懸濁液に、ヒドラジン水和物(1.0ml)を加えた。混合物を加熱還流し、撹拌しながらこの温度で48時間維持した。混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮すると、典型的には、赤色の粘着性残渣を得た。残渣をEtOHで摩砕すると無色固形物を得た。
【0239】
【表10】

【0240】
(iv)6−(N’−メチレン−ヒドラジノ)−ピリミジン−2,4−ジアミン誘導体(12)の合成
これらは実施例1a(iv)の方法を使用し、11から合成した。
【0241】
【表11】

【0242】
実施例3a:2,6−ジメトキシフェノール−4−ボロン酸(15)の合成
【0243】
【化42】

【0244】
(i)4−ブロモ−2,6−ジメトキシフェノール(14)
2,6−ジメトキシフェノール(13)(15g、97.35mmol)のCHCl(200ml)冷却(−78℃)溶液に、N−ブロモスクシンイミド(17.4g、97.35mmol)を20分以上かけて一部ずつ加えた。反応混合物を不活性雰囲気下、−78℃で4時間撹拌した後に室温まで温め、さらに16時間撹拌した。次ぎに溶媒を真空下で除去するとスラリーを得、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(7:3−CHCl:ヘキサン)及び次ぎにCHCl/ヘキサンから再結晶して精製すると、分析的にクリーンである白色固形物として表題化合物を得た(9.66g、42.57%)。m/z(LC−MS、ESP):231[M−H]、R/T=3.17分。
【0245】
(ii)2,6−ジメトキシフェノール−4−ボロン酸(15)
4−ブロモ−2,6−ジメトキシフェノール(14)(9.32g、40mmol)の無水ジエチルエーテル(100ml)溶液にホウ酸トリイソプロピル(11ml、48mmol)を加えた。反応混合物を−78℃まで冷却し、不活性雰囲気下、n−ブチルリチウム(1.7Mペンタン溶液、56ml、96mmol)を加えた。溶液を−78℃でさらに5時間撹拌し、次ぎに室温まで温め、そして撹拌しながらさらに16時間この状態に維持した。反応物を次ぎに0℃まで冷却し、pHが酸性になるまで2M HClを注意深く加えた。EtOAc(7x60ml)を使用して混合物を抽出し、有機抽出物を合わせ、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして真空下で濃縮すると黄色スラリーを得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(7:3−EtOAc:ヘキサン)により精製すると、表題化合物(0.92g、11.62%)を白色固形物として得た。m/z(LC−MS、ESP):197[M−H]、R/T=0.52分。
【0246】
実施例3b:4−[1−(4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−3H−イミダゾール−4−イル]−2,6−ジメトキシフェノール(17a)の合成
【0247】
【化43】

【0248】
(i)2−(4−ブロモ−3H−イミダゾール−1−イル)−4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン(16)
4−ブロモ−1H−イミダゾール(0.249g、2.0mmol)の無水ジメチルホルムアミド(4ml)冷却溶液に、水素化ナトリウム(60%鉱油分散物)(0.088g、2.2mmol)を徐々に加えた。ガスの発生が止んだら(30分)、2−クロロ−4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン(3b)(0.571g、2.00mmol)を一度に加え、生じた混合物をマイクロ波反応器中、120℃で正確に14分加熱した(固定温度保持時間、高吸収設定)。生じた褐色/黄色スラリーを水(10ml)で希釈し、濾過した。濾過ケーキを冷水(2x10ml)で洗浄し、真空デシケーター中で乾燥すると、さらなる精製なしに使用するのに適切に純粋な形態で表題化合物を得た。m/z(LC−MS、ESP):396[M+H]、R/T=3.61分。
【0249】
(ii)4−[1−(4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−3H−イミダゾール−4−イル]−2,6−ジメトキシフェノール(17a)
2−(4−ブロモ−3H−イミダゾール−1−イル)−4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン(16)(0.317g、0.80mmol)の無水ジオキサン(3ml)溶液を含有するマイクロ波反応バイアルに、リン酸三カリウム(0.34g、1.6mmol)及び2,6−ジメトキシフェノール−4−ボロン酸(15)(0.317g、1.6mmol)を加えた。混合物を超音波処理及び溶液を通した窒素の通気により5分間脱気した後、ビス(トリブチルホスフィン)パラジウム(0)を添加した。バイアルを封じ、マイクロ波照射の影響下、170℃で11分加熱した(固定保持時間)。粗反応混合物を濾過し濾過ケーキをメタノール(10ml)で洗浄した。溶媒を真空下で除去し、粗混合物を分取HPLCを使用する精製にかけると所望の生成物を得た。m/z(LC−MS、ESP):470[M−H]、R/T=3.23分。
【0250】
(iii)以下の二つの化合物を、化合物17aと類似の様式で、化合物16から作製した:
【0251】
【表12】

【0252】
実施例3c:4−[1−(4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−2,6−ジメトキシフェノール(19)の合成
【0253】
【化44】

【0254】
(i)2−(4−ブロモ−ピラゾール−1−イル)−4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン(18)
4−ブロモピラゾール(0.29g、2.0mmol)の無水DMF(4ml)冷却(0℃)溶液にNaH(60%鉱油分散物、0.088g、2.2mmol)を10分以上かけて少しずつ加えた。混合物を室温まで温め、30分撹拌した後、2−クロロ−4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン(3b)(0.571g、2.00mmol)を加えた。混合物をマイクロ波照射の影響下(120℃、14分)で加熱した。冷却した後、反応物を水(10ml)で希釈し、濾過した。濾過ケーキを追加の冷水(10ml)で洗浄し、採集して乾燥すると、さらなる精製なしに使用するのに適切に純粋な形態で表題化合物を得た(92.4%、0.73g)。m/z(LC−MS、ESP):396[M+H]、R/T=3.56分。
【0255】
(ii)4−[1−(4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5] トリアジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−2,6−ジメトキシフェノール(19)
この化合物は、実施例3b(ii)の方法に従って、(15)及び(18)のカップリングにより合成した。m/z(LC−MS、ESP):470[M−H]、R/T=3.23分。
【0256】
実施例3d:2,6−ジメトキシ−4−[1−(4−モルホリン−4−イル−ピリミジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−フェノールの合成
【0257】
【化45】

【0258】
(i)4−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−モルホリン(21)
不活性雰囲気下で撹拌した2,4−ジクロロピリミジン(20)(1.0g、6.7mmol)のエタノール(20ml)冷却(0℃)懸濁液に、トリエチルアミン(1.4ml、10.1mmol)そして次ぎにモルホリン(0.59ml、6.7mmol)を加えた。混合物をこの温度で3時間維持し、その後真空下で濃縮し、NaOH(20ml、1M)で希釈し、EtOAc(3x20ml)で抽出した。有機層を合わせて乾燥し(NaSO)、濾過し、真空下で濃縮すると無色固形物を得た。粗残渣を、EtOAc/ヘキサンを使用して再結晶すると、さらなる精製を必要としない表題化合物を無色固形物として得た(1.21g、90%)。m/z(LC−MS、ESP):200[M+H]、R/T=3.26分。
【0259】
(ii)4−[2−(4−ブロモ−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−モルホリン(22)
4−ブロモ−1H−ピラゾール(0.74g、5.0mmol)の無水DMF(7ml)冷却(0℃)溶液にNaH(60%鉱油分散物、0.22g、5.5mmol)を10分以上かけて少しずつ加えた。混合物をこの状態で30分撹拌した後、4−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−モルホリン(21)(1.0g、5.00mmol)を加えた。反応物を次ぎにマイクロ波照射の影響下で加熱した(120℃、14分、固定保持時間、高吸収設定)。反応物を次ぎに室温まで冷却し、水(14ml)を加えると沈殿が形成した。固形物を濾過により集め、水で洗浄し、そしてデシケーター中で乾燥すると、さらなる精製なしに使用するのに適切に純粋な形態で表題化合物を得た(1.44g、93%)。m/z(LC−MS、ESP):310 M+H]、R/T=3.08分。
【0260】
(iii)2,6−ジメトキシ−4−[1−(4−モルホリン−4−イル−ピリミジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−フェノール(23)
この化合物は、実施例3b(ii)の方法に従って、(15)及び(18)のカップリングで粗残渣を得ることにより合成され、それを分取HPLCによる精製にかけると所望の化合物を得た。m/z(LC−MS、ESP):470.4[M+H]、R/T=3.23分。
【0261】
実施例3e:2,6−ジメトキシ−4−[2−(2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−チアゾール−4−イル]−フェノール(27)の合成
【0262】
【化46】

【0263】
(i)4−(4−ブロモ−チアゾール−2−イル)−2−クロロ−ピリミジン(25)
2,4−ジブロモチアゾール(24)(0.73g、3.0mmol)の無水ジエチルエーテル(7ml)冷却(−78℃)溶液に、シリンジを介してn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、1.5ml、3.28mmol)を滴下様式で加えた。黄色溶液を−78℃で15分撹拌した後、2−クロロピリミジン(20)(2.73mmol、0.313g)の無水ジエチルエーテル(8ml)懸濁液を加えた。混合物を室温まで温め、撹拌しながらこの状態を16時間維持した。混合物を、THF(0.7ml)中の水(0.061ml、3.41mmol)の滴下により注意深くクエンチし、そして次にDDQ(0.681g、3.0mmol)を加えて芳香族化を達成した。混合物を0℃まで冷却し、3M NaOH(水溶液)(2.28ml、6.83mmol)を加えると、粘着性固形物が反応容器の底に接着した。溶媒を集め、乾燥し(MgSO)、濾過して真空下で濃縮すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態で表題化合物を得た(0.58g、69.8%)。m/z(LC−MS、ESP):327[M+H]、R/T=3.73分。
【0264】
(ii)4−[4−(4−ブロモ−チアゾール−2−イル)−ピリミジン−2−イル]−モルホリン(26)
4−(4−ブロモ−チアゾール−2−イル)−2−クロロ−ピリミジン(25)(0.498g、1.8mmol)のEtOH(8ml)溶液に、粉末化炭酸カリウム(0.274g、1.98mmol)及びモルホリン(0.17ml、1.98mmol)を加えた。混合物をマイクロ波照射の影響下で加熱した(10分、90℃、高吸収設定)。反応混合物を次ぎに室温まで冷却させ、シリカの薄いパッドを通して濾過した後、真空下で濃縮させた。溶出液としてヘキサン:EtOAc(9:1)を使用するフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により粗残渣を精製すると、分析的に純粋な形態で表題化合物を得た(0.18g、30.5%)。m/z(LC−MS、ESP):327[M+H]、R/T=3.92分。
【0265】
(iii)2,6−ジメトキシ−4−[2−(2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−チアゾール−4−イル]−フェノール(27)
この化合物は、実施例3b(ii)の方法に従い、(15)及び(26)のカップリングで粗残渣を得ることにより合成され、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(溶出液−9:1−MeOH:CHCl)による精製にかけると分析的に純粋な形態でオレンジ色固形物を得た(30.0%)。m/z(LC−MS、ESP):401.3[M+H]、R/T=3.66分。
【0266】
実施例3f:2,6−ジメトキシ−4−[1−(4−モルホリン−4−イル−ピリミジン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル]−フェノール(29)の合成
【0267】
【化47】

【0268】
(i)4−[2−(4−ブロモ−イミダゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−モルホリン(28)
4−ブロモ−1H−イミダゾール(0.8g、4.0mmol)の無水DMF(5.0mmol)冷却(0℃)溶液に、NaH(60%鉱油分散物、0.176g、4.4mmol)を10分以上かけて少しずつ加えた。ガスの発生が止んだら、4−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−モルホリン(21)(0.79g、4.00mmol)を加え、混合物をマイクロ波照射の影響下で加熱した(120℃、14分、固定保持時間、前もって10秒撹拌、高吸収設定)。水(14ml)を反応混合物に加えると沈殿の形成を起こした。沈殿を濾過により分離し、水(10ml)で洗浄し、デシケーター中で乾燥すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態で表題化合物を得た(1.17g、94.4%)。m/z(LC−MS、ESP):310[M+H]、R/T=3.79分。
【0269】
(ii)2,6−ジメトキシ−4−[1−(4−モルホリン−4−イル−ピリミジン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル]−フェノール(29)
この化合物は、実施例3b(ii)の方法に従って、(15)及び(28)のカップリングで粗残渣を得ることにより合成され、それを分取HPLCにより精製すると表題化合物を得た。m/z(LC−MS、ESP):384.4[M+H]、R/T=2.80分。
【0270】
実施例4:N−メチレン−N’−ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−イル−ヒドラジン誘導体
【0271】
【化48】

【0272】
(i)ピロロ[3,4−c]ピリジン−1,3−ジオン(31)
シンコメロン酸(30)(50g、300mmol)の無水酢酸(123.5g、1200mmol)懸濁液を、すべての固形物が溶解して混合物が均質になるまで加熱還流した(140〜150℃)。混合物を次ぎに冷却し、真空下で濃縮した。アセトアミド(50g、846mmol)を加え、混合物を140℃で3時間加熱し、その後それを室温まで冷却した。冷却により形成した固形残渣を粉砕し、水(100ml)で摩砕し、濾過し、追加の水で洗浄し、そしてデシケーター中で乾燥すると、さらなる精製なしに使用するのに適切に純粋な形態で表題化合物を得た(42.26g、95.1%)。m/z(LC−MS、ESP):149[M+H]、R/T=0.44分。
【0273】
(ii)3−アミノ−イソニコチン酸(32)
NaOH(10%水溶液、640ml)を7℃まで冷却し、臭素(15ml、286.82mmol)を滴下した。ピロロ[3,4−c]ピリジン−1,3−ジオン(41.711g、281.6mmol)を反応混合物に加えた後、80℃に30分加熱した。この時間の後、反応物を37℃まで温め、そして酢酸(70ml)の添加によりpHを5.5に変更した。形成した懸濁液を濾過により分離し、20mlの氷冷メタノールで洗浄すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態で表題化合物を得た(26.58g、68.33%)。m/z(LC−MS、ESP):139[M+H]、R/T=0.72分。
【0274】
(iii)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−オール(33)
3−アミノ−イソニコチン酸(32)(26.24g、190.0mmol)及び酢酸ホルムアミジン(39.56g、380mmol)の混合物をジメチルアセトアミド(100ml)中で撹拌し、150℃に加熱した。撹拌しながら反応物をこの温度に12時間維持した後、25℃まで冷却し、pH7〜8が達成されるまで炭酸水素ナトリウム溶液(5%水溶液)で塩基性とした。生じた薄い褐色固形物を濾過により分離し、水(20ml)で洗浄し、デシケーター中で乾燥すると、さらなる精製を必要としない所望の化合物を得た(24.50g、87.63%)。m/z(LC−MS、ESP):148[M+H]、R/T=1.09分。
【0275】
(iv)4−クロロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン(34)
ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−オール(33)(1.47g、10mmol)の塩化チオニル(30ml)及びジメチルホルムアミド(50μl、触媒)懸濁液を1時間加熱還流(90℃)した。混合物を冷却し、真空下で濃縮し、次ぎにCHCl(50ml)で希釈すると、懸濁液が形成した。固形物を濾過により分離し冷CHCl(10ml)で洗浄すると、さらなる精製なしに使用するのに十分に純粋な形態で表題化合物を得た(1.65g、99.4%)。m/z(LC−MS、ESP):166[M+H]、R/T=2.82分 。
【0276】
(v)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−イル−ヒドラジン(35)
4−クロロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン(34)(1.65g、10mmol)の無水THF(10ml)懸濁液に、ヒドラジン(1M THF溶液、30ml、30mmol)を加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌すると黄色沈殿が形成した。固形物を 濾過により分離し、冷THF(10ml)で洗浄し、乾燥すると、さらなる精製を必要としない単一の生成物として表題化合物を得た(1.56g、96.9%)。m/z(LC−MS、ESP):162[M+H]、R/T=0.85分。
【0277】
(vi)N−メチレン−N’−ピリド[3,4−d]ピリミジン−4−イル−ヒドラジン誘導体(36)
これらの化合物は、実施例1a(iv)の方法を使用して35から合成した。
【0278】
【表13】

【0279】
実施例5:N−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−N’−メチレン−ヒドラジン誘導体の合成
【0280】
【化49】

【0281】
(i)6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−オール(38)
2−アミノ−4,5−ジメチル安息香酸(37)(5g、25.30mmol)及び酢酸ホルムアミジン(5.2g、50.00mmol)を2−メトキシエタノール(80ml)に溶解し、混合物を16時間加熱還流した。混合物を冷却し、真空下で濃縮し、少量の水に懸濁した。pH7が達成されるまで炭酸水素ナトリウム(5%水溶液)を注意深く加えた(ガス発生)。懸濁液を濾過し、濾過ケーキを水で洗浄すると、さらなる精製を必要としない褐色固形物として表題化合物を得た(4.50g、86.2%)。m/z(LC−MS、ESP):207[M+H]、R/T=3.16分。
【0282】
(ii)4−クロロ−6,7−ジメトキシ−キナゾリン(39)
6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−オール(1.65g、8.0mmol)及びオキシ塩化リン(1.52ml、16.4mmol)の1,2−ジクロロエタン(16ml)懸濁液に、ジイソプロピルアミン(3.48ml、20mmol)を滴下様式で加えた。次ぎに混合物を不活性雰囲気下で16時間、80℃に加熱した。この時間後、反応物を室温まで冷却し、乾固するまで真空下で濃縮し、CHCl(50ml)に溶解し、炭酸水素ナトリウム溶液(5%水溶液、2x25ml)で洗浄した。有機層を分離し、MgSOを使用して乾燥し、濾過して真空下で濃縮すると褐色残渣を得、それをCHCl:EtOAc−2:98から5:95、で溶出するフラッシュクロマトグラフィー(SiO)により精製すると、表題化合物を黄色固形物として得た(1.6g、88.9%)。m/z(LC−MS、ESP):207[M+H]、R/T=3.51分。
【0283】
(iii)(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−ヒドラジン(40)
4−クロロ−6,7−ジメトキシ−キナゾリン(0.20g、0.89mmol)の無水THF(0.5ml)懸濁液に、ヒドラジン(1M THF溶液、2.0ml、2.0mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌すると沈殿が形成し、それを濾過により分離し、そして冷THFで洗浄すると、さらなる精製なしに使用するのに十分に純粋である粘着性の灰色がかった白色固形物として所望の生成物を得た(177mg、91%)。m/z(LC−MS、ESP):221[M+H]、R/T=2.48分。
【0284】
(iv)N−(6,7−ジメトキシ−キナゾリン−4−イル)−N’−メチレン−ヒドラジン誘導体(41)
これらの化合物は、実施例1a(iv)の方法を使用して40から合成した。
【0285】
【表14】

【0286】
実施例6:4−[(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−ヒドラゾノメチル]−フェノール誘導体の合成
【0287】
【化50】

【0288】
(i)4−(3−ニトロ−フェニル)−モルホリン(43)
3−ニトロアニリン(42)(5.52g、40.00mmol)の無水ジメチルアセトアミド(15ml)溶液に、2−ブロモエチルエーテル(7.52ml、60.00mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(13.94ml、80.0mmol)を加えた。混合物を120℃に6時間加熱した。この時間後、反応物を室温まで冷却すると、混合物はスラリーの形態をとっているように見えた。スラリーをCHCl(80ml)に溶解し、0.2M HCl(3x30ml)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして真空下で濃縮すると褐色の半固体残渣を得、それをEtOで摩砕すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態で所望の生成物を得た(8.33g、79.7%)。m/z(LC−MS、ESP):209[M+H]、R/T=3.46分。
【0289】
(ii)3−モルホリン−4−イル−フェニルアミン(44)
4−(3−ニトロ−フェニル)−モルホリン(43)(4.16g、20mmol)のメタノール(50ml)冷却(0℃)溶液に、Pd/C(10%添加、460mg)を加えた。混合物をH(1気圧)下、室温で16時間撹拌した。次ぎに混合物をセライト(商標)パッドを通して濾過し、MgSOを使用して濾液を乾燥し、濾過しそして真空下で濃縮すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいであるオレンジ色固形物として表題化合物を得た(3.39g、95.2%)。m/z(LC−MS、ESP):179[M+H]、R/T=1.69分。
【0290】
(iii)(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−ヒドラジン(45)
3−モルホリン−4−イル−フェニルアミン(44)(0.18g、1.00mmol)の2M HCl(水溶液)冷却(−5℃)溶液に、亜硝酸ナトリウム(69mg、1.00mmolを1mlの水に)を滴下した。赤色溶液を−5℃で10分撹拌した後、塩化スズ(II)二水和物(1.13g、5.0mmol)を加えた。混合物を激しく撹拌し、1時間以上の時間をかけて室温まで温めた。溶液が塩基性(pH=8)になるまで2M NaOH(水溶液)を加え、次ぎにEtOAc(2x20ml)で抽出した。合わせた有機抽出液はMgSOを使用して乾燥し、濾過し、真空下で濃縮すると所望の生成物、(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−ヒドラジンを得た(0.15g、79.0%)。m/z(LC−MS、ESP):194.4[M+H]、R/T=1.00分。
【0291】
(iv)4−[(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−ヒドラゾノメチル]−フェノール誘導体(46)
これらの化合物は、実施例1a(iv)の方法を使用して45から合成した。
【0292】
【表15】

【0293】
実施例7:5−[(4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−ヒドラゾノメチル]誘導体(47)の合成
【0294】
【化51】

【0295】
無水DMA(0.5ml)中の(4,6−ジ−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン−2−イル)−ヒドラジン(4a)(0.02g、0.070mmol)及び適切な芳香族酸(47)(0.012g、0.070mmol)の混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(15μl、0.085mmol)そして次ぎにO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(0.03g、0.08mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した後、分取HPLCによる精製にかけると所望の生成物を得た。
【0296】
【表16】

【0297】
実施例8:2,6−ジメトキシ−4−[3−(2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−3H−イミダゾール−4−イル]−フェノール(50)の合成
【0298】
【化52】

【0299】
(i)4−(5−ブロモ−イミダゾール−1−イル)−2−クロロ−ピリミジン(48)
2,4−ジクロロピリミジン(0.447g、3mmol)の無水DMF(4ml)溶液に、炭酸カリウム(0.415g、3mmol)を加えた。反応混合物を不活性雰囲気下で冷却した(0℃)後、5−ブロモ−1−H−イミダゾール(0.441g、3mmol)のDMF(2ml)溶液を加えた。次ぎに反応物をこの温度でさらに3時間撹拌した後、水(3ml)を加えた。生じた白色沈殿物を濾過により混合物から分離し、水で洗浄した後に乾燥させると、精製なしに使用するのに適切に純粋である白色固形物として表題化合物を得た(0.18g、23%)。m/z(LC−MSW、ESP):259.2,261.2(臭素同位元素)[M+H]、R/T=3.47分。
【0300】
(ii)4−[4−(5−ブロモ−イミダゾール−1−イル)−ピリミジン−2−イル]−モルホリン(49)
モルホリン(0.256g、2.94mmol)の無水DMF(5ml)冷却(0℃)溶液にNaH(0.117g、2.94mmol、60%鉱油分散物)を加えた。混合物をこの温度で30分撹拌した後、4−(4−ブロモ−イミダゾール−1−イル)−2−クロロ−ピリミジン(0.64g、2.45mmol)を加えた。反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で7分加熱した(120℃、高吸収設定)。冷却した後、混合物を水(7ml)で希釈し、生じた黄色沈殿を濾過により分離し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO)(4:1−ヘキサン:EtOAc)により精製すると、分析的に純粋な形態の白色固形物として表題化合物を得た(0.76g、38.6%)。m/z(LC−MSW、ESP):310.2[M+H]、R/T=3.21分。
【0301】
(iii)2,6−ジメトキシ−4−[3−(2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−3H−イミダゾール−4−イル]−フェノール(50)
4−[4−(4−ブロモ−イミダゾール−1−イル)−ピリミジン−2−イル]−モルホリン(0.20g、0.65mmol)の無水ジオキサン(6ml)及び無水DMA(0.6m)溶液に、リン酸三カリウム(0.28g、1.3mmol)及び2,6−ジメトキシ−フェノール−ボロン酸(0.18g、0.91mmol)を加えた。生じた混合物は、10分超音波処理により脱ガスした後、ビス(トリ−ブチルホスフィン)パラジウム(0.017g、0.033mmol)を加え、さらに5分脱ガスした。反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で加熱した(170℃、11分、低吸収設定)。完了後、反応物を薄いシリカプラグを通して濾過し、プラグを10%メタノール/CHClで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(1:1−EtOAc:ヘキサン)により精製すると、分析的に純粋な形態の白色結晶性固形物として所望の生成物を得た(0.24g、96%)。m/z(LC−MSW、ESP):384.4[M+H]、R/T=2.90分。
【0302】
実施例9:2,6−ジメトキシ−4−[1−(2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル]−フェノール(53)の合成
【0303】
【化53】

【0304】
(i)4−(4−ブロモ−イミダゾール−1−イル)−2−クロロ−ピリミジン(51)
2,4−ジクロロピリミジン(0.447g、3mmol)の無水DMF(4ml)溶液に、炭酸カリウム(0.415g、3mmol)を加えた。反応混合物を不活性雰囲気下で冷却した(0℃)後、4−ブロモ−1−H−イミダゾール(0.441g、3mmol)のDMF(2ml)溶液を加えた。次ぎに反応物をこの温度でさらに3時間撹拌した後、水(3ml)を加えた。生じた白色沈殿物を濾過により混合物から分離し、水で洗浄した後に乾燥させると、精製なしに使用するのに適切に純粋である白色固形物として表題化合物を得た(0.18g、23%)。m/z(LC−MSW、ESP):259.2,261.2(臭素同位元素)[M+H]、R/T=3.47分。
【0305】
(ii)4−[4−(4−ブロモ−イミダゾール−1−イル)−ピリミジン−2−イル]−モルホリン(52)
モルホリン(0.256g、2.94mmol)の無水DMF(5ml)冷却(0℃)溶液にNaH(0.117g、2.94mmol、60%鉱油分散物)を加えた。混合物をこの温度で30分撹拌した後、4−(4−ブロモ−イミダゾール−1−イル)−2−クロロ−ピリミジン(0.64g、2.45mmol)を加えた。反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で7分加熱した(120℃、高吸収設定)。冷却した後、混合物を水(7ml)で希釈し、生じた黄色沈殿を濾過により分離し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO)(4:1−ヘキサン:EtOAc)により精製すると、分析的に純粋な形態の白色固形物として表題化合物を得た(0.76g、38.6%)。m/z(LC−MSW、ESP):310.3[M+H]、R/T=3.26分。
【0306】
(iii)2,6−ジメトキシ−4−[3−(2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−3H−イミダゾール−4−イル]−フェノール(53)
4−[4−(4−ブロモ−イミダゾール−1−イル)−ピリミジン−2−イル]−モルホリン(0.20g、0.65mmol)の無水ジオキサン(6ml)及び無水DMA(0.6m)溶液に、リン酸三カリウム(0.28g、1.3mmol)及び2,6−ジメトキシ−フェノール−ボロン酸(0.18g、0.91mmol)を加えた。生じた混合物は、10分超音波処理により脱ガスした後、ビス(トリ−ブチルホスフィン)パラジウム(0.017g、0.033mmol)を加え、さらに5分脱ガスした。反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で加熱した(170℃、11分、低吸収設定)。完了後、反応物を薄いシリカプラグを通して濾過し、プラグを10%メタノール/CHClで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(1:1−EtOAc:ヘキサン)により精製すると、分析的に純粋な形態の白色結晶性固形物として所望の生成物を得た(0.24g、96%)。m/z(LC−MSW、ESP):384.4[M+H]、R/T=2.72分。
【0307】
実施例10:2−[N’−エチリデン−ヒドラジノ]−ピリミジン−4−イルアミン誘導体(56)の合成
【0308】
【化54】

【0309】
(i)2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミン誘導体(54)
2,4−ジクロロピリミジン(10g、67.6mmol)及び炭酸カリウム(9.3g、67.6mmol)の無水DMA(45ml)冷却(0℃)懸濁液に、適切なアミン(1当量、67.6mmol)を30分以上かけて滴下様式で加えた。次ぎに混合物をこの温度でさらに3時間維持した後、粉砕した氷上に注意深く注いだ。生じた白色沈殿を濾過により分離し、水で洗浄すると所望の生成物を得た。54a:NRR’=モルホリノ:m/z(LC−MSW、ESP):200.4[M+H]、R/T=3.98分。
【0310】
(ii)2−ヒドラジノ−ピリミジン−4−イルアミン誘導体(55)
適切な2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミン誘導体(1当量、46.1mmol)のエタノール(45ml)溶液にヒドラジン水和物(7.2ml、231mmol)を加えた。混合物を不活性雰囲気下、90℃に4時間加熱した。反応物を次ぎに0℃まで冷却し、生じた沈殿を濾過により分離した。集めた生成物を冷水で洗浄し、最少量の熱エタノールから再結晶すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態で所望の生成物を得た。55a:NRR’=モルホリノ:m/z(LC−MSW、ESP):195.4[M+H]、R/T=0.37分。
【0311】
(iii)2−[N’−アリールイリデン−ヒドラジノ]−ピリミジン−4−イルアミン誘導体(56)
適切な2−ヒドラジノ−ピリミジン−4−イルアミン誘導体(1当量、0.26mmol)のエタノール溶液に、p−トルエンスルホン酸(0.05当量、0.013mmol)及び適切なアルデヒド(1.2当量、0.30mmol)を加えた。反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で加熱した(10分、130℃、高吸収設定)。反応物を冷却し、濾過した。濾過物を冷エタノールで洗浄すると、所望の生成物に相当する白色固形物を得た。
【0312】
【表17】

【0313】
実施例11:4−(4−アリール−チアゾール−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(59)の合成
【0314】
【化55】

【0315】
(i)4−(4−ブロモ−チアゾール−2−イル)−2−クロロ−ピリミジン(57)
2,4−ジブロモチアゾール(1.22g、5.0mmol)の無水ジエチルエーテル(15ml)冷却(−78℃)溶液に、n−ブチルリチウム(2.2mlの2.5Mヘキサン溶液、5.5mmol)を滴下様式で加えた。撹拌しながら混合物をこの温度で1時間維持した後、2−クロロピリミジン(0.85g、7.5mmol)の無水ジエチルエーテル(15ml)懸濁液を徐々に加え、生じた溶液をゆっくりと室温まで温めた。混合物は次ぎに室温で1時間撹拌した後、THF(1.25ml)中の水(0.113ml、5.0mmol)でクエンチし、DDQ(1.25g、5.4mmol)のTHF(6.25ml)溶液で処理した。混合物を次ぎに25℃で15分撹拌し、0℃まで冷却し、ヘキサン(4.16ml)次ぎに冷2M NaOH(6.25ml、12.5mmol)で処理した。有機抽出物を分離し、残った水性分画をさらにCHCl(3x20ml)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして真空下で濃縮すると粘着性の褐色残渣を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(1:1−CHCl:ヘキサンから始めて7:3−CHCl:ヘキサンへ)により精製すると、分析的に純粋な形態の、表題化合物に相当する白色固形物を得た(1.38g、47.1%)。m/z(LC−MSW、ESP):278.0[M+H]、R/T=3.90分。
【0316】
(ii)2−クロロ−4−(4−アリール−チアゾール−2−イル)−ピリミジン誘導体(58)
4−(4−ブロモ−チアゾール−2−イル)−2−クロロ−ピリミジン(0.2g、1当量)の無水ジオキサン(8ml)溶液に、適切なボロン酸又はエステル(3.2当量)及びリン酸三カリウム(4当量)を加えた。混合物を、10分超音波処理により脱ガスした後、ビス(トリ−ブチルホスフィン)パラジウム(0.05当量)を加えた。生じた溶液をさらに10分超音波処理により脱ガスした。次ぎに反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で加熱した(130℃、1時間、中程度の吸収設定)。冷却後、反応混合物を真空下で濃縮すると粘着性の油状物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(7:3−CHCl:ヘキサンから始めて99:1−CHCl:MeOHへ)により精製すると、分析的に純粋な形態の所望の化合物を得た。
【0317】
(iii)4−(4−アリール−チアゾール−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(59)
適切なクロロピリミジン誘導体(1当量、0.14mmol)のエタノール(2ml)溶液に、炭酸カリウム(2.1当量)及び適切なアミン(1.1当量)を加えた。反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で加熱した(90℃、10分、高吸収設定)。粗反応物を次ぎに薄いシリカパッドを通して濾過した後、分取HPLCにより精製すると所望の生成物を得た。
【0318】
【表18】

【0319】
実施例12:4−(5−アリール−フラン−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(62)の合成
【0320】
【化56】

【0321】
(i)4−(5−ブロモ−フラン−2−イル)−2−クロロ−ピリミジン(60)
2,5−ジブロモフラン(3.06g、8.88mmol)の無水ジエチルエーテル(50ml)冷却(−78℃)溶液に、n−ブチルリチウム(3.9mlの2.5Mヘキサン溶液、9.77mmol)を加えた。混合物をこの温度で90分撹拌した後、2−クロロピリミジンを加えた。混合物をさらに30分撹拌した後、室温まで温め、さらに2時間撹拌した。溶液にDDQ(2g、8.88mmol)を加え、それを30分撹拌した後、真空下で濃縮すると粘着性の褐色シロップを得た。シロップをEtOAに溶解し、飽和炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機抽出物を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして真空下で濃縮すると粗残渣を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(100%ヘキサンから始めて7:2−ヘキサン:EtOAcへ)により精製すると、純粋な形態の表題化合物を得た(3.06g、40.20%)。m/z(LC−MSW、ESP):346[M+H]、R/T=4.41分。
【0322】
(ii)4−(5−ブロモ−フラン−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(61)
4−(5−ブロモ−フラン−2−イル)−2−クロロ−ピリミジン(1.23g、4.74mmol)のエタノール(60ml)溶液に、適切なアミン(2.5当量)を加えた。混合物を70℃で10時間加熱した後、冷却し、真空下で濃縮するとスラリーを得た。残渣をEtOAc(100ml)に溶解し、水(100ml)で洗浄した。有機抽出物を分離し、そして乾燥(MgSO)した後、濾過して真空下で濃縮すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態で所望の生成物を得た。61a:NRR’=モルホリノ:m/z(LC−MSW、ESP):310[M+H]、R/T=3.33分。
【0323】
(iii)4−(5−アリール−フラン−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(62)
適切な4−(5−ブロモ−フラン−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(1当量、0.081mmol)の、10%DMF含有無水ジオキサン溶液(総計1.5ml)に、リン酸三カリウム(2当量)を加えた。溶液を10分超音波処理で脱ガスした後にビス(トリ−ブチルホスフィン)パラジウム(0.06当量)を添加し、さらに5分間、超音波処理で脱ガスした。次ぎに反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で加熱した(26分、170℃、中程度の吸収設定)。混合物を冷却し、シリカプラグを通して濾過して真空下で濃縮し、そして分取HPLCにより精製すると所望の生成物を得た。
【0324】
【表19】

【0325】
実施例13:4−(5−アリール−フラン−2−イル)−2,6−ジモルホリノ−ピリミジン誘導体(66)の合成
【0326】
【化57】

【0327】
(i)2,4−ジクロロ−6−フラン−2−イル−ピリミジン(63)
2,4,6−トリクロロピリミジン(0.5g、2.73mmol)、2−フランボロン酸(0.152g、1.36mmol)、炭酸カリウム(0.377g、1.36mmol))のトルエン(2.5ml)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.08g、0.068mmol)を加えた。反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で加熱した(130℃、600秒、低吸収設定)。粗反応物を真空下で濃縮するとオレンジ色の油状物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(19:1−ヘキサン:EtOAc)で精製すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態の表題化合物を得た(342mg、58%)。m/z(LC−MSW、ESP):215.1[M+H]、R/T=4.68分。
【0328】
(ii)4−(5−ブロモ−フラン−2−イル)−2,6−ジクロロピリミジン(64)
2,4−ジクロロ6−フラン−2−イル−ピリミジン(1.44g、6.71mmol)のDMF(20ml)撹拌溶液に、N−ブロモスクシンイミド(1.31g、7.38mmol)を少しずつ加えた。生じた混合物を室温で2.5時間撹拌した後、EtOAc(50ml)で希釈し、水(2x50ml)で洗浄した。有機抽出物を乾燥し(MgSO)、濾過して真空下で濃縮すると、オレンジ色の半結晶性スラリーを得た。粗残渣をエーテルで洗浄して濾過すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態の白色結晶性固形物として所望の生成物が残った(1.29g、99%)。m/z(LC−MSW、ESP):294[M+H]、R/T=5.09分。
【0329】
(iii)4−(5−ブロモ−フラン−2−イル)−2,6−ジモルホリノピリミジン(65)
4−(5−ブロモ−フラン−2−イル)−2,6−ジクロロ−ピリミジン(1.93g、6.51mmol)のDMA(35ml)溶液に、モルホリン(2.83g、32.54mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.21g、32.54mmol)を加えた。反応混合物を70℃に7時間加熱した後、それを冷却してEtOAc(100ml)希釈し、次ぎに水(2x50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して真空下で濃縮すると黒ずんだ油状物を得た。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(1:3−EtOAc:ヘキサン)により精製すると表題化合物を白色結晶性固形物として得た(0.95g、37%)。m/z(LC−MSW、ESP):396[M+H]、R/T=4.38分。
【0330】
(iv)4−(5−アリール−フラン−2−イル)−2,6−ジモルホリノ−ピリミジン誘導体(66)
4−(5−ブロモ−フラン−2−イル)−2,6−ジモルホリノ−ピリミジン(0.03g、0.076mmol)のジオキサン(2ml)溶液に、2滴の水、適切なボロン酸(1.2当量)、リン酸三カリウム(1.2当量)及びビス(トリス−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0.05当量)を加えた。反応容器を封じ、マイクロ波照射の影響下で加熱した(150℃、600秒、中程度の吸収設定)。次ぎに反応物をEtOAc(5ml)で希釈し、水(2ml)及び食塩水(2ml)で洗浄した。有機抽出物を分離し、シリカプラグを通して濾過し、真空下で濃縮し、分取HPLCにより精製すると、所望の生成物を得た。
【0331】
【表20】

【0332】
実施例14:4−(4−アリール−チオフェン−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(69)の合成
【0333】
【化58】

【0334】
(i)4−(4−ブロモ−チオフェン−2−イル)−2−クロロ−ピリミジン(67)
2,4−ジブロモチオフェン(1g、4.13mmol)のジエチルエーテル(30ml)冷却(−78℃)溶液に、n−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、4.55mmol、1.82ml)を加えた。溶液をこの温度に1時間維持した後、2−クロロピリミジン(0.47g、4.13mmol)を一度に加えた。混合物を−78℃でさらに1.5時間維持した後、室温まで温めた。酢酸エチル(20ml)続いてDDQ(0.94g、4.13mmol)を加えた。反応物をさらに30分撹拌した後、真空下で濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO)(7:3−ヘキサン:EtOAc)により精製すると、表題化合物に相当する淡黄色固形物として所望の生成物を得た(0.42g、37%)。m/z(LC−MSW、ESP):275[M+H]、R/T=4.72分。
【0335】
(ii)4−(4−ブロモ−チオフェン−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(68)
4−(4−ブロモ−チオフェン−2−イル)−2−クロロ−ピリミジン(1当量、1.20mmol)のエタノール(30ml)溶液を室温で撹拌し、この溶液に適切なアミン(5当量)を加えた。混合物を70℃に16時間加熱した。冷却後、反応物を真空下で濃縮するとスラリーを得、それをEtOAc(150ml)に溶解して飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100ml)で洗浄した。有機抽出物を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして真空下で濃縮すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態で所望の生成物を得た。68a:NRR’=モルホリノ:m/z(LC−MSW、ESP):326[M+H]、R/T=4.93分。
【0336】
(iii)4−(4−アリール−チオフェン−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(69)
適切な4−(4−ブロモ−チオフェン−2−イル)−ピリミジン−2−イルアミン誘導体(1当量、0.08mmol)の1:1−トルエン:エタノール(5ml)溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.05当量)、炭酸ナトリウム(2当量)及び適切なボロン酸(1当量)を加えた。反応混合物をマイクロ波照射の影響下で加熱し(140℃、30分、中程度の吸収設定)、冷却し、薄いシリカプラグを通して濾過し、真空下で濃縮し、そして分取HPLCにより精製すると所望の生成物を得た、
【0337】
【表21】

【0338】
実施例15:2−{N−メチル−N’−[1−アリール−メチリデン]−ヒドラジノ}−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミン誘導体(75)の合成
【0339】
【化59】

【0340】
(i)1H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン(71)
2−アミノニコチン酸(10g、72.5mmol)、塩化アンモニウム(39g、725mmol)及びシアン酸カリウム(30g、362mmol)を水(80ml)に加えたスラリーを80℃に加熱し、撹拌しながらこの温度に30分維持した後、200℃に加熱した。混合物をこの高温で2時間撹拌し、放置して冷却した。次ぎに水(200ml)を加え、生じた混合物を濾過した。固形物を熱水(100ml)、次ぎに冷水(2x100ml)で洗浄すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態の標題化合物に相当する黄色固形物を得た(11.79g、99%)。m/z(LC−MSW、ESP):164[M+H]、R/T=2.11分。
【0341】
(ii)2,4−ジクロロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(72)
1H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン(5.0g、30.65mmol)のトルエン(50ml)溶液に、不活性雰囲気下、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(19.81g、153.2mmol)を加えた。次ぎにオキシ塩化リン(23.50g、153.2mmol)を混合物に滴下した後、反応物を100℃に3時間加熱した。混合物を真空下で濃縮し、CHCl(200ml)で希釈した後、氷水(300ml)内に注意深く注いだ。二相混合物をセライト(商標)の薄いパッドを通して濾過し、中和して分離した。水性相をさらにCHCl(2x100ml)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、そして真空下で濃縮すると濃厚なシロップを得、それは粗形態のまま次の工程で使用した。
【0342】
(iii)2−クロロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミン誘導体(73)
粗2,4−ジクロロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン(6.66g、33.47mol)を、不活性雰囲気下、無水THF(50ml)で希釈した。この溶液に適切なアミン(0.8当量)を徐々に加え、生じた混合物を室温で1時間撹拌した。反応物を真空下で濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を注意深く加えた。固形物を次ぎに濾過し、さらに飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100ml)で洗浄すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態の所望の化合物を得た。73a:NRR’=モルホリノ:m/z(LC−MSW、ESP):251[M+H]、R/T=2.75分。
【0343】
(iv)2−(N−メチル−ヒドラジノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミン誘導体(74)
イソプロピルアルコール(10ml)を含むフラスコに、適切な2−クロロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミン誘導体(1当量、0.4mmol)及びメチルヒドラジン(2当量、0.8mmol)を加えた。還流凝縮器を付け、混合物を50℃に16時間加熱した。次ぎに混合物を冷却し(0℃)、生じた沈殿を濾過により分離すると、さらなる精製なしに使用するのに適切にきれいな形態の所望の生成物を得た。73a:NRR’=モルホリノ:m/z(LC−MSW、ESP):261[M+H]、R/T=2.31分。
【0344】
(v)2−{N−メチル−N’−[1−アリール−メチリデン]−ヒドラジノ}−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミン誘導体(75)
適切な2−(N−メチル−ヒドラジノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミン誘導体(1当量、0.20mmol)のイソプロピルアルコール(5ml)溶液に、適切なアルデヒド(2当量)を加えた。次ぎにpH4に達するまで酢酸を加えた。反応物を80℃に1時間加熱した後、それを冷却し、生じた沈殿を集めた。固形物を冷イソプロピルアルコールで洗浄すると、所望の生成物であることが示された。
【0345】
【表22】

【0346】
実施例16:生物学的アッセイ
mTOR酵素活性アッセイのため、mTORタンパク質をヒーラ細胞細胞質抽出物から免疫沈降により単離し、基質として組換えPHAS−1を使用して、本質的に以前に記載されているように活性を決定した(参照文献21)。
【0347】
試験されたすべての化合物は15μM未満のIC50値を示した。以下の化合物は1.5μM未満のIC50値を示した:5a、5b、5l、5n、5r、5t、12a、12b、12h、171〜17c、27、29、36a〜36c、41a、47a、50、53、59a、59d〜59f、59i、59j、62a、66a〜66h、69a、75a、75b。
【0348】
参照文献リスト
以下の文献はすべて本明細書において援用される。
1) Brown, et al., Nature, 369, 756-758 (1994)
2) Chiu, et al., Proc Natl Acad Sci, 91, 12574-12578 (1994)
3) Sabatini, et al., Cell, 78, 35-43, (1994)
4) Sabers, et al., J Biol Chem, 270, 825-822 (1995)
5) Abraham, Curr Opin Immunol, 8, 412-418 (1996)
6) Schmelze and Hall, Cell, 103, 253-262 (2000)
7) Burnett, et al., Proc Natl Acad Sci, 95, 1432-1437 (1998)
8) Terada, et al., Proc Natl Acad Sci, 91,11477-11481 (1994)
9) Jeffries, et al., EMBO J, 16 ,3693-3704 (1997)
10) Bjornsti and Houghton, Nat Rev Cancer, 4, 335-348 (2004)
11) Gingras, et al., Genes Dev, 13, 1422-1437 (1999)
12) Gingras, et al., Genes Dev, 15, 807-826 (2001)
13) Neuhaus, et al., Liver Transplantation, 7, 473-484 (2001)
14) Woods and Marks, Ann Rev Med, 55, 169-178 (2004)
15) Dahia, Endocrine-Related Cancer, 7, 115-129 (2000)
16) Cristofano and Pandolfi, Cell, 100, 387-390 (2000)
17) Samuels, et al., Science, 304, 554 (2004)
18) Huang and Houghton, Curr Opin Pharmacol, 3, 371-377 (2003)
19) Sawyers, Cancer Cell, 4, 343-348 (2003)
20) Huang and Houghton, Curr Opin in Invest Drugs, 3, 295-304 (2002)
21) Brunn, et al., EMBO J, 15, 5256-5267 (1996)
22) Edinger, et al., Cancer Res, 63, 8451-8460, (2003)
23) Lawrence, et al., Curr Top Microbiol Immunol, 279, 199-213 (2004)
24) Eshleman, et al., Cancer Res, 62, 7291-7297 (2002)
25) Berge, et al., J. Pharm. Sci., 66, 1-19 (1977).
26) Green, T. and Wuts, P., 「Protective Groups in Organic Synthesis」, 3rd Edition, John Wiley and Sons (1999)
27) 「Handbook of Pharmaceutical Additives」, 2nd Edition (eds. M. Ash and I. Ash), 2001 (Synapse Information Resources, Inc., Endicott, New York, USA),
28) 「Remington’s Pharmaceutical Sciences」, 20th edition, pub. Lippincott, Williams & Wilkins, 2000
29) 「Handbook of Pharmaceutical Excipients」, 2nd edition, 1994.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
A−B−C (I)
[式中:
Bは:
【化1】

(式中、RはH又はMeである)
から成る群より選択され:
又はBは、一つ又は二つの環ヘテロ原子を含有する二価Cヘテロ環残基であり;
Aは:
【化2】

(RA3及びRA5はハロ、OR及びRACから独立して選択され、RはH又はMeであり、及びRACはH又はC1〜4アルキルであり;
は、N及びCRA4から選択され、RA4はH、OR、CHOH、COH、NHSOMe及びNHCOMeから選択され;
A2及びRA6はH、ハロ及びORから独立して選択され;
又はRA3及びRA4はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、又はRA2及びRA3はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、少なくとも一つの窒素環原子を含有するC5〜6ヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよく;
XがNでないならば、RA2〜RA6の一つ、二つ又は三つはHではない)
であり;
Cは:
【化3】

(式中、XはN及びCHから選択され、YはN及びCHから選択され、及びZはN及びCRC6から選択され;
C3はH、ハロ及び置換されていてもよいN−含有C5〜7ヘテロ環基から選択され;
C5は:
【化4】

から選択される基であり、
該基は一つ又は二つのC1〜4アルキル基又はカルボキシ基から選択されてもよく:
C6はHであり;
又は、X及びYがN、RC5及びRC6である場合(式中、ZはCRC6である)、それらが結合されている炭素原子と一緒になって
【化5】

から成る群より選択される縮合C芳香環を形成してもよく、
但し、X及びYがNであり、及びZがN又はCHであり、RC3及びRC5が両方モルホリノであるならば、Bは
【化6】

ではない)
である]
の化合物及びそれらの異性体、塩、溶媒和化合物、化学的に保護された形態、及びプロドラッグ。
【請求項2】
Aが:
【化7】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ACがメチルである、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
A2及びRA6がH及びORから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物
【請求項5】
A4がORである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Bが
【化8】

から成る群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Bが:
【化9】

(式中、RはHである)ではない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
X、Y及びZの少なくとも二つがNである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
X、Y及びZのすべてがNである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
C3がモルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル及びピロリジニルから選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
C5がモルホリノである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
式I:
A−B−C (I)
[式中:
Bは:
【化10】

(式中、RはH又はMeである)
から成る群より選択され:
又はBは、一つ又は二つの環ヘテロ原子を含有する二価Cヘテロ環残基であり;
Aは:
【化11】

(RA3及びRA5はハロ、OR及びRACから独立して選択され、RはH又はMeであり、及びRACはH又はC1〜4アルキルであり;
は、N及びCRA4から選択され、RA4はH、OR、CHOH、COH、NHSOMe及びNHCOMeから選択され;
A2及びRA6はH、ハロ及びORから独立して選択され;
又はRA3及びRA4はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、又はRA2及びRA3はそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、少なくとも一つの窒素環原子を含有するC5〜6ヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよく;
XがNでないならば、RA2〜RA6の一つ、二つ又は三つはHではない)
であり;
Cは:
【化12】

(式中、XはN及びCHから選択され、YはN及びCHから選択され、及びZはN及びCRC6から選択され;
C3はH、ハロ及び置換されていてもよいN−含有C5〜7ヘテロ環基から選択され;
C5は:
【化13】

から選択される基であり、
該基は一つ又は二つのC1〜4アルキル基又はカルボキシ基から選択されてもよく:
C6はHであり;
又は、X及びYがN、RC5及びRC6である場合(式中、ZはCRC6である)、それらが結合されている炭素原子と一緒になって
【化14】

から成る群より選択される縮合C芳香環を形成してもよい)
である]
の化合物及び薬学的に許容できる担体又は希釈剤を含んでなる医薬組成物。
【請求項13】
Aが
【化15】

である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ACがメチルである、請求項12又は請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
A2及びRA6がH及びORから選択される、請求項12〜14のいずれか一項に記載の組成物
【請求項16】
A4がORである、請求項12〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
Bが
【化16】

から成る群より選択される、請求項12〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
Bが:
【化17】

(式中、RはHである)ではない、請求項12〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
X、Y及びZの少なくとも二つがNである、請求項12〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
X、Y及びZのすべてがNである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
C3がモルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル及びピロリジニルから選択される、請求項12〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
C5がモルホリノである、請求項12〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
ヒト又は動物身体の治療の方法においての使用のための、請求項12〜22のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項24】
mTORの阻害により改善される疾患を治療するための医薬の製造における、請求項12〜22のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項25】
mTORの阻害により改善される疾患が、癌、免疫抑制、免疫寛容、自己免疫疾患、炎症、骨量減少、腸障害、肝線維症、肝壊死、関節リウマチ、網膜症、心臓同種移植片血管障害、乾癬、ベータサラセミア及び眼球状態から選択される、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
癌療法における補助剤として使用するための、又は電離放射線又は化学療法剤での治療のために腫瘍細胞を増強するための医薬の製造における、請求項12〜22のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容できる塩の使用。

【公表番号】特表2008−531537(P2008−531537A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556664(P2007−556664)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000668
【国際公開番号】WO2006/090167
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507205830)クドス ファーマシューティカルズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】