説明

半導体チップ積層体および半導体チップ積層用接着剤組成物

【課題】接着剤層を構成する硬化後の接着剤組成物中に含まれるイオン不純物の量が小さいために、高温・多湿条件下においても、良好なパッケージ信頼性(耐HAST性)を発揮することができる半導体チップ積層体を提供すること。
【解決手段】複数の半導体チップが接着剤層を介して積層されてなる半導体チップ積層体であって、前記接着剤層が、アクリル重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、熱硬化剤(C)および熱硬化促進剤として特定の有機ホスフィン系化合物(D)を含み、前記有機ホスフィン系化合物(D)の含有量が、前記エポキシ樹脂(B)および熱硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.001〜15重量部である接着剤組成物からなることを特徴とする半導体チップ積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板−チップ間、チップ−チップ間をボンディングする工程、およびシリコンウェハ等をダイシングし、さらにピックアップして得られた半導体チップ用いて、基板−チップ間、チップ−チップ間をボンディングする工程で使用する、いわゆるチップスタックに特に適した半導体チップ積層用接着剤組成物およびそれを使用した半導体チップ積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハは大径の状態で製造され、このウエハは素子小片(半導体チップ)に切断分離(ダイシング)された後に次の工程であるボンディング工程に移されている。この際、半導体ウエハは予め粘着シートに貼着された状態でダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディング、ピックアップの各工程が加えられた後、次工程のボンディング工程に移送される。
【0003】
また、ボンディング工程において、基板−チップ間、チップ−チップ間などをボンディングするために、接着シートが用いられている。
上述の工程の中でピックアップ工程とボンディング工程のプロセスを簡略化するために、ウエハ固定機能とダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンディング用接着シートが種々提案されている(たとえば、特許文献1〜4)。
【0004】
このような接着シートは、いわゆるダイレクトダイボンディングを可能にし、液状のダイ接着用接着剤の塗布工程を省略できるようになる。
一方、半導体装置の高速化および小型化を図るために半導体チップを三次元的に積層した「積層型半導体装置」がある。
【0005】
このような装置としては、大きなチップ上に小さなチップを積層したタイプ(たとえば、特許文献5)、周縁部に段差が形成されたチップを積層したタイプ(たとえば、特許文献6)、2つのチップを背中合わせに接合し、一方のチップは基板に接合し、他方のチップはボンディングワイヤで基板に接合したタイプ(たとえば、特許文献7)などが提案されている。
【0006】
そしてこれら積層型半導体装置の積層されるチップ同士の接着には、半導体装置の品質(チップ積層高さのバラツキやチップ傾き)および生産性の面から、液状のダイアタッチ用接着剤よりもダイシング・ダイボンディングシートが広く用いられている。
【0007】
ダイシング・ダイボンディングシートの接着剤には、接着力を発現させる成分として、アクリル重合体およびエポキシ樹脂系熱硬化樹脂が含まれ、さらに該エポキシ樹脂用の熱硬化剤および熱硬化促進剤が含まれている場合が多い。
【0008】
また、シートの経時安定性や生産性の面から、熱硬化促進剤としてはイミダゾール化合物が広く用いられている。
【特許文献1】特開平2−32181号公報
【特許文献2】特開平8−239636号公報
【特許文献3】特開平10−8001号公報
【特許文献4】特開2000−17246号公報
【特許文献5】特開平7−38053号参照
【特許文献6】特開平6−244360号参照
【特許文献7】特開平7−273275号参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、半導体装置に対する要求特性は非常に厳しいものとなっており、特に厳しい高温度・高湿度環境下におけるパッケージ信頼性が求められている。しかし、半導体チップ自体が薄型化した結果、チップの強度が低下し、厳しい湿熱環境下におけるパッケージ信頼性(耐HAST性)は十分なものとは言えなくなってきた。なお、この高温・高湿度環境下でのパッケージ信頼性は、HAST(highly-accelerated temperature and humidity stress test)により、評価することができる。
【0010】
また最先端の半導体素子では、シリコンチップの回路やパッド部に、従来のアルミニウム合金ではなく銅が使用されつつある。これは、銅が、アルミニウム合金に比べて抵抗率が小さく、高密度の電流を流すことができるためである。
【0011】
しかしながら、上述のような厳しい湿熱環境下で、さらに半導体チップの回路やパッド部に銅が使用された結果、配線や回路・パッドの腐食が、アルミニウム合金を用いた時以上に顕在化するといった問題が生じている。
【0012】
このような問題は、特に、半導体チップ上に、ワイヤーを接続し、ワイヤーを接着剤に埋め込むようにこの半導体チップと同じサイズの他の半導体チップを接着して形成される半導体チップ積層体で見られ、高温高湿度の条件下で放置されることにより、接着剤中のイオン性不純物が吸湿された水へ溶け出し、その結果、接着剤層の絶縁抵抗値の低下が起こることによって生じる。さらには、接着剤層中に埋め込まれたワイヤーの間の絶縁性が保てず、最悪の場合にはショートするに至る。
【0013】
本発明者らは、例えば、エポキシ樹脂の熱硬化促進剤としてイミダゾール化合物を含んだダイシング・ボンディング用接着剤組成物に関して、イミダゾール化合物が、エポキシ樹脂の熱硬化時に、エポキシ樹脂中に残渣として含まれる塩素化合物より塩化物イオンを単離させ、さらに、この塩化物イオンがイオン性の不純物となることを知見として得ている。
【0014】
そのため、この接着剤組成物を使用して半導体チップ積層体を製造した場合、高温・高湿度環境下での電圧印加時においては、半導体チップ積層体のパッケージ信頼性は、低いものとなることが分かっている。特に、近年の傾向である銅製の回路およびパッドを有する半導体チップの場合においては、高温・高湿下での電圧印加時に、ワイヤーと回路との接触部分などで、銅の腐食が進行して、著しく絶縁性が低下してしまう。一方、イミダゾール化合物の量を低減した場合、接着剤樹脂組成物の硬化性が著しく低下してしまう。
【0015】
本発明は、上述の従来技術の問題点を鑑みてなされたものであって、高温・多湿条件下においても、良好なパッケージ信頼性(耐HAST性)を発揮することができる半導体チップ積層体、およびこのような特性を、半導体チップ積層体に付与することができ、接着剤組成物を熱硬化させる際に、高い熱硬化反応の効率を発揮することができる半導体チップ積層用接着剤組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、このような課題の解決を目的として鋭意研究した結果、特定の熱硬化性促進剤を含む接着剤組成物によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0017】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]複数の半導体チップが接着剤層を介して積層されてなる半導体チップ積層体であって、
前記接着剤層が、アクリル重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、熱硬化剤(C)および熱硬化促進剤として下記式(I)で示される有機ホスフィン系化合物(D)を含み、
前記有機ホスフィン系化合物(D)の含有量が、前記エポキシ樹脂(B)および前記熱硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.001〜15重量部である接着剤組成物からなることを特徴とする半導体チップ積層体。
【0018】
【化1】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基および炭素原子数7〜16のアリールアルキル基からなる群から選択される官能基であり、Y-は有機アニオンを示す。)
[2]前記有機ホスフィン系化合物(D)を示す式(1)中のY-が、有機ボレートアニ
オンまたはカルボン酸イオンであることを特徴とする[1]に記載の半導体チップ積層体。
[3]基板と、該基板上に固定された[1]または[2]に記載の半導体チップ積層体とを備えることを特徴とする積層型半導体装置。
[4]前記複数の半導体チップの平面形状が、同一形状であることを特徴とする[3]に記載の積層型半導体装置。
[5]前記複数の半導体チップの平面積が、基板から離れるに従って小さくなっていることを特徴とする[3]に記載の積層型半導体装置。
[6]前記複数の半導体チップの回路面が、パッシベーション膜で被覆されていないことを特徴とする[3]〜[5]の何れか一項に記載の積層型半導体装置。
[7]アクリル重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、熱硬化剤(C)および熱硬化促進剤として下記式(I)で示される有機ホスフィン系化合物(D)を含み、
前記有機ホスフィン系化合物(D)の含有量が、前記エポキシ樹脂(B)および熱硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.001〜15重量部であることを特徴とする半導体チップ積層用接着剤組成物。
【0019】
【化2】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基および炭素原子数7〜16のアリールアルキル基からなる群から選択される官能基であり、Y-は有機アニオンを示す。)
[8]前記有機ホスフィン系化合物(D)を示す式(1)中のY-は、有機ボレートアニ
オンまたはカルボン酸イオンであることを特徴とする[7]に記載の半導体チップ積層用接着剤組成物。
[9][7]または[8]に記載の半導体チップ積層用接着剤組成物からなる接着剤層が基材フィルム上に形成されてなることを特徴とする半導体チップ積層用接着シート。
【発明の効果】
【0020】
本発明の半導体チップ積層体は、接着剤層を構成する硬化後の該接着剤組成物中に含まれるイオン不純物の量が小さいために、高温・多湿条件下においても、良好なパッケージ信頼性(耐HAST性)を発揮することができる。また、本発明の半導体チップ積層用接着剤組成物は、このような特性を、半導体チップ積層体に付与することができる。さらに、本発明の半導体チップ積層体に使用される接着剤組成物は、熱硬化促進剤として有機ホスフィン系化合物を含むために、接着剤組成物を熱硬化させる際に、高い熱硬化反応の効率を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る半導体チップ積層体は、複数の半導体チップが接着剤層を介して積層されてなる半導体チップ積層体であって、前記接着剤層が、アクリル重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、熱硬化剤(C)および熱硬化促進剤として特定の有機ホスフィン系化合物(D)を必須成分として含み、有機ホスフィン系化合物(D)の含有量が、エポキシ樹脂(B)および熱硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.001〜15重量部である本発明の接着剤組成物からなることを特徴とする半導体チップ積層体である。
【0022】
また、半導体チップ積層体または接着剤組成物の各種物性を改良するため、該接着剤組成物は必要に応じて、他の成分を含んでいても良い。
以下、本発明について具体的に説明するが、アクリル重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、熱硬化剤(C)、特定の有機ホスフィン系化合物(D)については、それぞれ、A成分、B成分、C成分、D成分と称する場合がある。
【0023】
1.接着剤組成物
アクリル重合体(A)
アクリル重合体(A)としては、従来公知のアクリル重合体を用いることができる。
【0024】
アクリル重合体(A)の重量平均分子量は、1万以上200万以下であることが好ましく、10万以上150万以下であることがより好ましい。アクリル重合体(A)の重量平均分子量が1万よりも低い場合、基材との接着力が高くなり、ピックアップ不良が起こることがあり、200万を超える場合、基板凹凸へ接着剤層が追従できないことがありボイドなどの発生要因になる。
【0025】
アクリル重合体(A)のガラス転移温度は、−60〜50℃であることが好ましく、−50〜40℃であることがより好ましく、−40〜30℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が−60℃よりも低い場合、接着剤層と基材との剥離力が大きくなってチップのピックアップ不良が起こることがあり、10℃を超える場合、ウエハを固定するための接着力が不十分となるおそれがある。
【0026】
アクリル重合体(A)のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体が挙げられる。例えば、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、環状骨格を有する(メタ)アクリレート、例えばシクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イミドアクリレート等が挙げられ、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等が共重合されていてもよい。また、水酸基を有している方が、エポキシ樹脂との相溶性が良いため好ましい。
【0027】
エポキシ樹脂(B)
エポキシ樹脂(B)としては、従来公知の種々のエポキシ樹脂を用いることができる。前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などの構造単位中に2つ以上の官能基が含まれるエポキシ樹脂およびその水添物が挙げられる。
【0028】
本発明の接着剤樹脂組成物には、アクリル重合体(A)100重量部に対して、エポキシ樹脂(B)が、好ましくは1〜1500重量部含まれ、より好ましくは3〜1000重量部含まれる。1重量部未満であると十分な接着性が得られないことがあり、1500重量部を超えると、基材と接着剤層との剥離力が大きくなってチップのピックアップ不良が発生したり、接着剤層の造膜性に劣るという問題がある。
【0029】
熱硬化剤(C)
熱硬化剤(C)は、エポキシ樹脂(B)に対する硬化剤として機能する。好ましい熱硬化剤(C)としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられ、その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。
【0030】
熱硬化剤の具体的な例としては、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、多官能系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂などのフェノール性熱硬化剤;DICY(ジシアンジアミド)などのアミン系熱硬化剤が挙げられる。これらの熱硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
熱硬化剤(C)の使用量は、エポキシ樹脂(B)100重量部に対して、好ましくは0.1〜500重量部であり、より好ましくは1〜200重量部である。熱硬化剤(C)の量が0.1重量部未満であると、硬化不足で接着性が得られないことがあり、500重量部を超える量であれば吸湿率が高まりパッケージ信頼性を低下させることがある。
【0032】
本発明の接着剤組成物には、(A)成分100重量部に対して、(C)成分が、1〜1500重量部含まれることが好ましく、3〜1000重量部含まれることがより好ましい。(A)成分100重量部に対して、(C)成分が1重量部未満である場合、該接着剤組成物からなる接着剤層と半導体チップとの間に十分な接着性が得られないことがあり、1500重量部を超える場合、熱硬化剤がブリードアウトして不純物の原因となる。
【0033】
有機ホスフィン系化合物(D)
有機ホスフィン系化合物(D)は、エポキシ樹脂(B)と熱硬化剤(C)との熱硬化反応を促進する熱硬化促進剤として使用され、下記一般式(I)で示される有機ホスフィン系化合物である。
【0034】
【化3】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基および炭素原子数7〜16のアリールアルキル基からなる群から選択される官能基であり、Y-は有機アニオンを示す。)
上記有機アニオンとしては、有機ボレートアニオンまたはカルボン酸イオンであることが好ましい。
【0035】
有機ボレートアニオンとしては、テトラフェニルボレート、テトラメチルフェニルボレート、テトラパラフルオロフェニルボレート、テトラメトキシフェニルボレート、テトラメタフルオロフェニルボレートなどが挙げられ、特にテトラフェニルボレート、テトラメチルフェニルボレートが好ましい。
【0036】
また、カルボン酸イオンとしては、デカン酸イオン、酢酸イオンが挙げられ、特にデカン酸イオンが好ましい。
そして、前記一般式(1)で表される有機ホスフィン系化合物(D)の具体的な化合物例としては、テトラフェニルホスフィン―テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスフィン―テトラメチルフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラメチルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラエチルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラn−プロピルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラiso−プロピルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラn−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラiso−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラs−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラt−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラn−ペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラiso−ペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラt−ペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、テトラネオペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルエチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルn−プロピルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルiso−プロピルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルn−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルiso−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルt−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルs−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルn−ペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルt−ペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリメチルネオペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルメチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルn−プロピルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルiso−プロピルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルn−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルiso−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルt−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルs−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルn−ペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルt−ペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリエチルネオペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ブチルメチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ブチルn−プロピルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ブチルiso−プロピルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ブチルiso−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ブチルt−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ブチルs−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ブチルn−ペンチルホスホニウ
ム四フッ化ボレート、トリn−ブチルt−ペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ブチルネオペンチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ペンチルメチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ペンチルエチルホスホニウム四フッ化ボレート、トリn−ペンチルn−ブチルホスホニウム四フッ化ボレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いられる。このなかでも、熱硬化反応率が向上することで、接着剤組成物に高い接着性を発揮させることができるという観点から、有機ホスフィン系化合物(D)は、テトラフェニルホスフィン―テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスフィン―テトラメチルフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、テトラフェニルホスホニウムチオシアネートが好ましい。
【0037】
また、本発明の接着剤組成物における有機ホスフィン系化合物(D)の含有量は、(B)成分および熱硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.001〜15重量部であり、0.005〜10重量部とすることが好ましく、0.01〜8重量部とすることがさらに好ましい。有機ホスフィン系化合物(D)の含有量が上記範囲にあると、該接着剤組成物は高い熱硬化反応の効率および貯蔵安定性を発揮することができる。接着剤組成物における(D)成分の含有量が、(B)成分および(C)成分の合計100重量部に対して、0.001重量部未満である場合、該接着剤組成物の熱硬化反応率が低下し、15重量部を超える場合、該接着剤組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
【0038】
エネルギー線重合性化合物(E)
接着剤組成物をエネルギー線照射によって硬化させることで、接着剤層の接着力を低下させることができ、基材と接着剤層との層間剥離を容易に行えるようになることから、本発明の接着剤組成物は、エネルギー線重合性化合物(E)を含むことが好ましい。
【0039】
エネルギー線重合性化合物(E)は、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する化合物である。このエネルギー線重合性化合物(E)としては、具体的には、ジシクロペンタジエンジメトキシジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、イタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が用いられる。
【0040】
このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、重量平均分子量が100〜30,000、好ましくは300〜10,000程度である。
エネルギー線重合性化合物(E)を使用する場合、エネルギー線重合性化合物(E)は、アクリル共重合体(A)100重量部に対して通常1〜400重量部、好ましくは3〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部の割合で用いられる。400重量部を超えると、有機基板やリードフレームに対する接着剤層の粘着性を低下させることがある。
このようなエネルギー線重合性化合物(E)を含有する接着剤組成物は、エネルギー線照射により硬化する。エネルギー線として、具体的には紫外線、電子線等が用いられる。
【0041】
光重合開始剤(F)
前記エネルギー線重合性化合物(E)を使用し、エネルギー線として紫外線を用いる場合に、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくするために、本発明の接着剤樹脂組成物は、光重合開始剤(F)を含むことが好ましい。
【0042】
このような光重合開始剤(F)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、β−クロールアンスラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。光重合開始剤(F)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
光重合開始剤(F)の配合割合は、理論的には、接着剤中に存在する不飽和結合量やその反応性および使用される光重合開始剤の反応性に基づいて、決定されるべきであるが、複雑な混合物系において、決定は必ずしも容易ではない。光重合開始剤(F)を使用する場合には、一般的な指針として、光重合開始剤(F)は、アクリル共重合体(A)100重量部に対して0.1〜10重量部含まれることが望ましく、1〜5重量部がより好ましい。含量が上記範囲にあると、満足なピックアップ性が得られる。10重量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、接着剤の硬化性が不十分となることがある。
【0044】
カップリング剤(G)
接着剤組成物の半導体チップに対する粘着性、密着性を向上させるとともに、接着剤組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を発揮することから、本発明の接着剤樹脂組成物は、カップリング剤(G)を含むことが好ましい。
【0045】
カップリング剤としては、上記(A)成分、(B)成分等が有する官能基と反応する基を有する化合物が好ましく使用される。カップリング剤としては、シランカップリング剤が望ましい。
【0046】
このようなカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0047】
これらカップリング剤を使用する際には、エポキシ樹脂(B)100重量部に対して通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部の割合で用いられる。0.1重量部未満だと効果が得られない可能性があり、20重量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
【0048】
無機充填材剤(H)
接着剤組成物の熱膨張係数を調整するために、無機充填材(H)を用いてもよい。チップまたは金属基板もしくは有機基板の熱膨張係数に対し、無機充填材(H)を接着剤組成物に配合して、硬化後の接着剤層の熱膨張係数を最適化することで、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、硬化後の接着剤層の吸湿率を低減させることも可能となる。
【0049】
好ましい無機充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素などの粉末;これらを球形化したビーズ;単結晶繊維;ガラス繊維が挙げられる。これらの中では、シリカ粉末、アルミナ粉末が好ましい。また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機充填材(H)の含有量は、通常、該接着剤組成物100重量%に対して0〜80重量%の範囲で調整される。
【0050】
架橋剤(I)
接着剤組成物の初期接着力および凝集力を調整できることから、本発明の接着剤樹脂組成物は、必要に応じて架橋剤(I)を含んでもよい。
【0051】
架橋剤としては有機多価イソシアナート化合物、有機多価イミン化合物が挙げられる。
上記有機多価イソシアナート化合物としては、芳香族多価イソシアナート化合物、脂肪族多価イソシアナート化合物、脂環族多価イソシアナート化合物およびこれらの多価イソシアナート化合物の三量体、ならびにこれら多価イソシアナート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
【0052】
有機多価イソシアナート化合物のさらに具体的な例としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアナート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアナート、トリメチロールプロパンアダクトトルイレンジイソシアナート、リジンイソシアナートなどが挙げられる。
【0053】
上記有機多価イミン化合物の具体例としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
架橋剤(H)はアクリル重合体(A)100重量部に対して通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部の比率で用いられる。
【0054】
その他の成分
本発明の接着剤組成物には、上記成分の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。
【0055】
例えば、硬化後の可とう性を保持するため可とう性成分を添加することができる。可とう性成分は、常温および加熱下で可とう性を有する成分である。可とう性成分は、熱可塑性樹脂やエラストマーからなるポリマーであってもよいし、ポリマーのグラフト成分、ポリマーのブロック成分であってもよい。また、可とう性成分がエポキシ樹脂に予め変性された変性樹脂であってもよい。
【0056】
また、半導体装置の配線やパッドにおける電食の原因となる塩素イオンをはじめとする、接着剤から遊離したイオンを捕捉する効果を有することから、接着剤組成物には、イオン捕捉剤が含まれていてもよい。イオン捕捉剤としては、イオン吸着タイプ(多孔質フィラータイプ)、イオン交換タイプのいずれであってもよい。
さらに、本発明に係る接着剤組成物は、各種物性を改良するため、必要に応じ、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料等の各種添加剤をさらに含んでいても良い。
【0057】
接着剤組成物
上記のような特定成分を含む接着剤組成物は、熱硬化促進剤として有機ホスフィン系化合物を含むために、接着剤組成物を熱硬化させる際に、高い熱硬化反応の効率を発揮することができる。また、該接着剤組成物中に含まれるイオン不純物の量が小さいために、本発明の半導体チップ積層体に、高温・多湿条件下においても、良好なパッケージ信頼性(耐HAST性)を付与できる。
【0058】
すなわち、本発明の接着剤組成物は、特に、従来の積層型半導体装置で見られたように、積層型半導体装置が高温高湿度の条件下で放置されることにより、積層されたチップとチップとの間の接着剤中のイオン不純物が、吸湿された水へ溶け出すことで発生する接着剤層の絶縁抵抗値の低下、さらには、接着剤層中に埋め込まれたワイヤーの間の絶縁性が維持できなくなって発生するショートといった問題を、低減させることが可能になる。
【0059】
そのため、本発明の接着剤組成物は、半導体チップを2層以上積層する半導体チップ積層体において、半導体チップ同士を接着するのに使用されることが好ましい。
本発明に係る接着剤組成物は、上記各成分を適宜の割合で混合して得られる。なお、混合に際しては、各成分を予め溶媒で希釈しておいてもよく、また混合時に溶媒を加えてもよい。
【0060】
2.接着シート
本発明に係る接着シートは、基材上に、上記接着剤組成物からなる接着剤層が積層してなる。本発明に係る接着シートの形状は、テープ状、ラベル状などあらゆる形状を採り得る。
【0061】
また、接着シートは、基材上に、接着剤層を構成する組成物を塗布乾燥することで製造されてもよく、また接着剤層を剥離フィルム上に設け、これを上記基材に転写することで製造されてもよい。なお、接着シートの使用前に、接着剤層を保護するために、接着剤層の上面に剥離フィルムを積層しておいてもよい。また、接着剤層の表面外周部には、リングフレーム等の他の治具を固定するために別途接着剤層や粘着テープが設けられていてもよい。
【0062】
接着シートの基材としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、フッ素樹脂等のフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。また、上記フィルムは、透明または不透明フィルムであってもよく、無色または着色フィルムであってもよい。
【0063】
本発明に係る接着シートは、各種の被着体に貼付され、被着体に所要の加工を施した後、接着剤層は、被着体に固着残存させて基材から剥離される。すなわち、接着剤層を、基材から被着体に転写する工程を含むプロセスに使用される。このため、基材の接着剤層に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下であることが望ましい。このような表面張力が低い基材は、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また基材の表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
【0064】
基材の剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系等が用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
【0065】
上記の剥離剤を用いて基材の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等により塗布して、常温または加熱あるいは電子線硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで積層体を形成したりすればよい。
【0066】
基材の膜厚は、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μm程度である。
また、接着剤層の厚みは、通常は1〜500μm、好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜150μm程度である。
【0067】
3.半導体チップ積層体および積層型半導体装置
本発明に係る半導体チップ積層体は、複数の半導体チップが本発明に係る接着剤組成物からなる接着剤層を介して積層されてなる。
【0068】
この半導体チップ積層体は、本発明に係る接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、前記半導体ウエハを接着剤層とともにダイシングして半導体チップとし、前記半導体チップ裏面に接着剤層を固着残存させて基材から剥離し、前記半導体チップを他の半導体チップ上に前記接着剤層を介して熱圧着する工程(以下「熱圧着工程(a)」ともいう。)を含む方法で製造することができる。
【0069】
また、本発明に係る積層型半導体装置は、基板と、該基板上に固定された前記半導体チップ積層体とを備えることを特徴とする。
この積層型半導体装置は、上記熱圧着工程(a)を含む方法で製造された半導体チップ積層体を、基板上に固定する工程を含む方法で製造することができる。
【0070】
なお、本発明に係る接着シートに半導体ウエハを貼着し、半導体ウエハをダイシングして半導体チップとする工程において、該接着シートの接着剤組成物がエネルギー線重合性化合物(E)を含む場合には、接着剤層に、基材側からエネルギー線を照射し、接着剤層の凝集力を上げ、接着剤層と基材との間の接着力を低下させることができる。
【0071】
ここで、照射されるエネルギー線としては、紫外線(UV)または電子線(EB)等が用いられ、好ましくは紫外線が用いられる。
エネルギー線照射は、半導体ウエハの貼付後、半導体チップの剥離前のいずれの段階で行ってもよく、たとえばダイシングの後に行ってもよく、また下記のエキスパンド工程の後に行ってもよい。さらにエネルギー線照射を複数回に分けて行ってもよい。
【0072】
ダイシングソーなどの切断手段を用いて、上記のシリコンウエハを切断し半導体チップを得る工程において、切断手段によるシリコンウエハの切断深さは、シリコンウエハの厚みと、接着剤層の厚みとの合計およびダイシングソーの磨耗分を加味した深さにすることが好ましい。
【0073】
必要に応じ、接着シートのエキスパンドを行うと、半導体チップ間隔が拡張し、半導体チップのピックアップをさらに容易に行えるようになる。この際、接着剤層と基材との間にずれが発生することになり、接着剤層と基材との間の接着力が減少し、チップのピック
アップ性が向上する。
【0074】
このようにして半導体チップのピックアップを行うと、切断された接着剤層を半導体チップ裏面に固着残存させて基材から剥離することができる。
なお、本発明に係る積層型半導体装置を製造するにあたり、基板上に既に積層された他の半導体チップ(下段チップ)の上に本発明の接着剤組成物からなる接着剤層を介して半導体チップを熱圧着してもよく、他の半導体チップの上に本発明の接着剤組成物からなる接着剤層を介して半導体チップを熱圧着して半導体チップ積層体を形成して、半導体チップ積層体を形成した後、この半導体チップ積層体を基板上に固定してもよい。固定手段としては、接着剤層を介しての熱圧着が挙げられる。
【0075】
なお、この下段チップは、基板上に接着剤層等を介して直接積層された(または積層される)半導体チップであってもよく、基板上に積層された(または積層される)、複数の半導体チップを含む半導体チップ積層体の最上段の(基板から最も遠い)半導体チップであってもよい。
【0076】
また、基板と半導体チップ積層体の最下段の(基板に最も近い)半導体チップとの間には、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層が介在していてもよい。
また、積層型半導体装置においては、図1(a)〜(b)に示すように、複数の半導体チップの平面形状が同一形状あってもよく、図2(a)〜(b)に示すように、積層型半導体装置において、複数の半導体チップの平面積が、基板から離れるに従って小さくなってもよい。
【0077】
また、高温・多湿条件下におけるパッケージ信頼性(耐HAST性)をさらに改善する観点から、半導体チップの回路面が、パッシベーション膜で被覆されていてもよい。
パッシベーション膜としては、回路表面の耐腐食性を向上させる被膜であれば特に限定されないが、例えば、窒化アルミニウム膜、窒化ケイ素膜などの金属窒化物、酸化アルミニウム膜、酸化ケイ素膜などの金属酸化膜、PSG(Phospho−Silicate−Glass)膜、ポリイミド膜等が挙げられる。
【0078】
また、パッシベーション膜は、公知の方法により、半導体チップの回路面に形成することができるが、例えば、スピンコート、フォトリソグラフィー、プラズマCVD、熱CVD、光CVDなどのCVD法、スパッタリング、真空蒸着などのPVD法等を用いて形成される。
【0079】
従来の接着剤組成物を使用した半導体チップ積層体では、半導体チップの回路面がパッシベーション膜で被覆されていない場合、該回路面と接着剤層とが接触する面で腐食が生じやすく、腐食を防ぐために、該回路面はパッシベーション膜で被膜されているのに対して、本発明の接着剤組成物を使用した半導体チップ積層体では、回路面にパッシベーション膜を被覆しなくても、回路面の腐食を防止し、さらに、回路面にパッシベーション膜を被覆することによって、一層、回路面の腐食を防止することができる。
【0080】
たとえば、図1に示される積層型半導体装置10において、半導体チップ12の回路面12aがパッシベーション被膜で被覆されている場合、接着剤層16と半導体チップ12の回路面12aとが接触する部分において、回路の腐食は防止されている。
【0081】
また、図2に示される積層型半導体装置10において、半導体チップ12の回路面12aが、パッシベーション被膜で被覆されている場合、回路面の何れの箇所においても腐食
は防止されている。
【0082】
一方、半導体チップの回路面にパッシベーション膜が被覆されていなくても従来に比べて十分な耐腐食性を有し、かつコスト削減や製造工程の省略化等に寄与することから、積層型半導体装置において、半導体チップの回路面が、パッシベーション膜で被覆されていなくてもよい。
【0083】
なお、半導体チップ積層体および積層型半導体装置における半導体チップの積層された数(段数)は、通常、2〜64段であるが、必要に応じて、さらに多くても良く、例えば100段以上であってもよい。
【0084】
また、基板と、前記半導体チップ積層体の半導体チップとは、通常、ボンディングワイヤにより導通が確保されるが、ソルダーバンプ、金バンプおよび銅バンプからなる群から選択される少なくとも1つの導通手段を介して、半導体チップ積層体が基板に固定され、導通が確保されてもよい。
【0085】
半導体チップを下段チップ表面に載置する場合には、積層するチップの接着剤層が下段チップに接続されたボンディングワイヤに接触しないように、チップを下段チップ表面に載置してもよく(図2参照)、接着剤層の厚さまたは下段チップに接続されたボンディングワイヤの高さを調節して、ボンディングワイヤを埋め込むように載置してもよい(図1参照)。基板に半導体チップ積層体を固定するにあたり、基板上に既に積層された他の半導体チップ(下段チップ)の上に接着剤層を介して半導体チップを熱圧着してもよく、他の半導体チップの上に接着剤層を介して半導体チップを熱圧着して半導体チップ積層体を形成して、半導体チップ積層体を形成した後、この半導体チップ積層体を基板上に熱圧着等により固定してもよい。
【0086】
本発明に係る半導体チップ積層体および積層型半導体装置で使用される接着剤組成物中に含まれるイオン不純物の量が小さいために、高温・多湿条件下においても、接着剤組成物に吸湿された水へ溶け出すイオン性不純物の量も小さくすることができる。その結果、接着剤層の絶縁抵抗値が低下し、さらには、接着剤層中に埋め込まれたワイヤー等の導通手段間の絶縁性が保てず、最悪の場合にはショートするに至ったという従来の問題点を防ぎ、高温・多湿条件下においても、優れたパッケージ信頼性(耐HAST性)を発揮することができる。
【0087】
半導体チップを基板上、あるいは下段チップの表面に載置する際の加熱温度は、通常は80〜200℃、好ましくは100〜180℃であり、加熱時間は、通常は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜3分であり、チップマウント圧力は、通常1kPa〜200MPaである。
【0088】
半導体チップを基板上、あるいは下段チップの表面に載置した後、必要に応じさらに加熱を行ってもよい。この際の加熱条件は、上記加熱温度の範囲であって、加熱時間は通常1〜180分、好ましくは10〜120分である。
【0089】
また、チップマウント後の加熱処理は行わずに仮粘着状態としておき、後工程で行われる樹脂封止での加熱を利用して接着剤層を硬化させてもよい。さらに、半導体装置が複数の接着剤層を有する場合には、これらの接着剤を、一層設けるごとに熱硬化してもよく、複数層設けてから熱硬化してもよく、全層設けてから一括して熱硬化してもよい。
【0090】
このような工程を経ることで、接着剤層が硬化し、半導体チップを基板または他の半導体チップに強固に接着することができる。接着剤層はダイボンド条件では流動化しているため、基板表面や下段チップ表面の回路パターンに由来する僅かな凹凸があっても十分に埋め込まれ、ボイドの発生を防止できる。
【実施例】
【0091】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0092】
(1)半導体チップ積層用接着シートの製造
各実施例および比較例の半導体チップ積層用接着シートに使用した接着剤組成物を構成する各成分は下記の通りであり、成分比率は表1に示す。なお、表中、数値は固形分(不揮発分)換算の重量部を示す。
(A)アクリル共重合体;日本合成化学工業株式会社製コーポニールN−2359−6(Mw:約30万)
(B−1)液状エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本触媒株式会社製エポセットBPA328, エポキシ当量235g/eq)
(B−2)固体エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製EPPN502H, エポキシ当量167g/eq)
(C)熱硬化剤;ノボラック型フェノール樹脂(昭和高分子株式会社:ショウノールBRG−556, フェノール性水酸基当量104g/eq)
(D−1)熱硬化促進剤;テトラフェニルホスフィン―テトラフェニルボレート(北興化学工業株式会社製 TPP−K)
(D−2)熱硬化促進剤;テトラフェニルホスフィン―テトラメチルフェニルボレート(北興化学工業株式会社製 TPP−MK)
(D−3)熱硬化促進剤;テトラブチルホスホニウムデカン酸塩(北興化学工業株式会社製 TBP−DA)
(D−4)熱硬化促進剤;テトラフェニルホスホニウムチオシアネート(北興化学工業株式会社製 TPP−SCN)
(D−5)熱硬化促進剤;2−フェニルー4,5ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製 キュアゾール2PHZ)
(E)エネルギー線重合性化合物;活性エネルギー線硬化性多官能アクリレートオリゴマー(共栄社化学社製ライトアクリレートDCP−A)
(F)光重合開始剤;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア184)
(G)シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 KBM403)
(H)無機充填材(株式会社アドマテックス製アドマファインSC2050)
また、半導体チップ積層用接着シートの基材としては、ポリエチレンフィルム(厚さ100μm、表面張力33mN/m)を用いた。
【0093】
【表1】

[実施例および比較例]
(1)半導体チップ積層用接着シートの製造;
表1に記載の組成の接着剤組成物を、シリコーン処理された剥離フィルム(リンテック株式会社製 SP−PET381031(S))上に、乾燥後の膜厚が60μmになるようにダイコーターにより塗布し、オーブンにて100℃,1分間乾燥した後に基材と貼り合わせて、接着剤層を基材に転写することで半導体チップ積層用粘接着シートを作成した。
【0094】
(2)半導体チップの製造;
シリコンウエハ(150mm径、厚さ850μm)の表面にポジ型感光性ポリイミド(東レ社製:PW−1200)をスピンコート塗布した。ホットプレートを用いて110℃で3分間プリベークしたのち露光および現像を行い、光洋サーモシステム製イナートオーブンINL−60を用いて、窒素雰囲気下、170℃で30分間、さらに320℃で60分間処理し、シリコンウエハ表面にポリイミド膜からなるパッシベーション膜(膜厚10μm)を形成した。なお、実施例5および比較例3では、該パッシベーション膜を形成しなかった。
【0095】
次いで、シリコンウエハのパッシベーション膜が形成されていない面を150μmの厚さに#2000研磨し、この研磨面に、実施例および比較例の接着シートの貼付をテープマウンター(リンテック社製, Adwill RAD2500)により行い、ウエハダイシング用リングフレームに固定した。その後、紫外線照射装置(リンテック社製, Adwill RAD2000)を用いて基材面から紫外線を照射(350mW/cm2
190mJ/cm2)した。次いで、ダイシング装置(株式会社ディスコ製, DFD
651)を使用してダイシングし、8mm×8mmまたは6mm×6mmのサイズのチップを得た。ダイシングの際の切り込み量については、基材を20μm切り込むようにした。
【0096】
(3)積層型半導体装置の製造;
基板として銅箔張り積層板(三菱ガス化学株式会社製 CCL−HL830)の銅箔上に回路パターンが形成され、パターン上にソルダーレジスト(太陽インキ製造株式会社製
PSR4000 AUS303)を40μm厚で有しているBT基板を用いた(株式会社チノ技研製)。上記(1)で得た接着シート上のチップを、接着剤層とともに基材から取り上げ、BT基板上に、接着剤層を介して120℃, 100gf, 1秒間の条件で圧着し、次いで120℃で30分間、さらに140℃で30分間の条件で加熱し、接着剤層を充分熱硬化させて、チップを固定させた。
【0097】
この基板に固定済みのチップ(「1段目チップ」と称する。)上に、1段目チップと同じサイズの接着剤層付きチップ(「2段目チップ」と称する。)を、120℃, 100gf, 1秒間の条件で圧着し、次いで120℃で30分間、さらに140℃で30分間加熱して、2段目チップの粘接着剤層を十分に硬化させた。
【0098】
なお、実施例1〜4、及び比較例1、2においては、1段目チップおよび2段目チップとして8mm×8mmのチップを使用した。作成された積層型半導体チップは、1段目チップおよび2段目チップの平面形状が同一形状である。
【0099】
一方、実施例5及び比較例3については、1段目チップとして8mm×8mmのチップ、2段目チップとして6mm×6mmのチップを使用した。作成された積層型半導体チップにおいて、半導体チップの平面積が、基板から離れるに従って小さくなっている。
【0100】
その後、モールド樹脂(京セラケミカル株式会社製 KE−1100AS3)で封止厚700μmになるようにBT基板を封止し(封止装置:アピックヤマダ株式会社製 MPC−06M Trial Press)、175℃で5時間かけてモールド樹脂を硬化さ
せた。ついで、封止されたBT基板をダイシングテープ(リンテック株式会社製Adwill D−510T)に貼付して、ダイシング装置(株式会社ディスコ製, DFD651)を使用して12mm×12mmサイズにダイシングすることで、積層型半導体装置を得た。
【0101】
<評価>
(4)半導体チップ積層用接着剤組成物の反応性評価;
まず、照度120mW/cm2, 光量120mJ/cm2の条件でUV硬化させ、熱硬化させなかった半導体チップ積層用接着剤組成物(0.0150g)を下記条件の示差走査熱量計(DSC)に供し、エポキシ樹脂の硬化熱に由来する発熱量(積分量)を測定した。測定された発熱量をΔH0(kJ)とした。
示差走査熱量計(DSC)
装置:パーキンエルマー社製、Pyris−I
昇温速度:10℃/min
温度範囲:50℃〜300℃
【0102】
また、同条件でUV硬化後、120℃で30分さらに140℃で30分かけて熱硬化させた半導体チップ積層用接着剤組成物(0.0150g)を、同条件で示差走査熱量計に供し、エポキシ樹脂の硬化熱に由来する発熱量(積分量)を測定した。測定された発熱量をΔH1(kJ)とした。
【0103】
ついで、測定されたΔH0(kJ)およびΔH1(kJ)を下記式に基づいて、エポキシ樹脂が反応した割合を示す反応率(%)を算出した。結果を表2に示す。
反応率=(ΔH0−ΔH1)/ΔH0×100
なお、反応率が100%である場合、接着剤組成物中における未反応のエポキシ樹脂はなく、接着剤組成物中のすべてのエポキシ樹脂が熱硬化反応したことを示す。
【0104】
(5)イオン不純物測定;
半導体チップ積層用接着シートの接着剤層同士を合計の厚さが200μmとなるまで室温で積層した。得られた積層体に、一方の面から紫外線を照射し(照度120mW/cm2, 光量120mJ/cm2)、さらに逆の面から同条件で紫外線を照射した。
【0105】
次いで、この積層体をオーブンで、120℃で30分間、さらに140℃で30分間加熱して、接着剤硬化物を得た。
得られた接着剤硬化物を、粉砕機(株式会社平工製作所製 振動粉砕機 TI−100)を用いて粉砕し、100メッシュのステンレス製金網で篩い、イオン濃度測定用テフロン(登録商標)製容器内で金網通過分1gを純水20mlと混合し、121℃で24時間加熱して抽出液を作成した。
得られた抽出液のイオン濃度をイオンクロマトグラフィー(日本ダイオネクス株式会社製 DX−320)で測定した。結果を表2に示す。
【0106】
(6)高温・高湿度環境下でのパッケージ信頼性(耐HAST性)の評価;
上記(3)で得られた積層型半導体装置を、電極引き出し用の2次基板へ実装後、前処理として60℃, 60%RH条件下に120時間放置し、130℃,85%RH、220時間, 印加電圧3.5Vの条件下で該装置に常時通電した。
【0107】
評価は、電極間の絶縁抵抗値が1×107Ωより低いものを不良と判断し、各半導体装
置20個について行い、不良発生数(NG数)を数えた。結果を表2に示す。
【0108】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明によれば、接着剤層を構成する硬化後の接着剤組成物中に含まれるイオン不純物の量が小さいために、高温・多湿条件下においても、良好なパッケージ信頼性(耐HAST性)を発揮することができる半導体チップ積層体を提供することができる。
【0110】
このような特性を、半導体チップ積層体に付与することができ、熱硬化促進剤として有機ホスフィン系化合物を含むために、接着剤組成物を熱硬化させる際に、高い熱硬化反応の効率を発揮することができる半導体チップ積層用接着剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1(a)は、本発明の積層型半導体装置の断面を模式的に示す図である。図1(b)は、本発明の積層型半導体装置の上面を示す図である(積層型半導体装置の半導体チップの積層状態を模式的に示すために一部切欠きされている)。
【図2】図2は、本発明の積層型半導体装置の断面を模式的に示す図である。図2(b)は、本発明の積層型半導体装置の上面を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
10:積層型半導体装置
12:半導体チップ(下段チップ)
12a:半導体チップ12の回路面
14:半導体チップ(上段チップ)
14a:半導体チップ14の回路面
16:接着剤層
18:ボンディングワイヤ
20:基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップが接着剤層を介して積層されてなる半導体チップ積層体であって、
前記接着剤層が、アクリル重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、熱硬化剤(C)および熱硬化促進剤として下記式(I)で示される有機ホスフィン系化合物(D)を含み、
前記有機ホスフィン系化合物(D)の含有量が、前記エポキシ樹脂(B)および前記熱硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.001〜15重量部である接着剤組成物からなることを特徴とする半導体チップ積層体。
【化1】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基および炭素原子数7〜16のアリールアルキル基からなる群から選択される官能基であり、Y-は有機アニオンを示す。)
【請求項2】
前記有機ホスフィン系化合物(D)を示す式(1)中のY-が、有機ボレートアニオン
またはカルボン酸イオンであることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップ積層体。
【請求項3】
基板と、該基板上に固定された請求項1または2に記載の半導体チップ積層体とを備えることを特徴とする積層型半導体装置。
【請求項4】
前記複数の半導体チップの平面形状が、同一形状であることを特徴とする請求項3に記載の積層型半導体装置。
【請求項5】
前記複数の半導体チップの平面積が、基板から離れるに従って小さくなっていることを特徴とする請求項3に記載の積層型半導体装置。
【請求項6】
前記複数の半導体チップの回路面が、パッシベーション膜で被覆されていないことを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の積層型半導体装置。
【請求項7】
アクリル重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、熱硬化剤(C)および熱硬化促進剤として下記式(I)で示される有機ホスフィン系化合物(D)を含み、
前記有機ホスフィン系化合物(D)の含有量が、前記エポキシ樹脂(B)および熱硬化剤(C)の合計100重量部に対して、0.001〜15重量部であることを特徴とする半導体チップ積層用接着剤組成物。
【化2】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数6〜15のアリール基および炭素原子数7〜16のアリールアルキル基からなる群から選択される官能基であり、Y-は有機アニオンを示す。)
【請求項8】
前記有機ホスフィン系化合物(D)を示す式(1)中のY-が、有機ボレートアニオン
またはカルボン酸イオンであることを特徴とする請求項7に記載の半導体チップ積層用接着剤組成物。
【請求項9】
請求項7または8に記載の半導体チップ積層用接着剤組成物からなる接着剤層が基材フィルム上に形成されてなることを特徴とする半導体チップ積層用接着シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−129816(P2010−129816A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303743(P2008−303743)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】