説明

半導体メモリ装置

【課題】高度に集積化したDRAMを提供する。
【解決手段】基板201上にメモリセルアレイを駆動するための回路202を形成し、その上にビット線205を形成し、ビット線205上に半導体領域208とワード線210a、210b、キャパシタを形成する。ビット線が半導体領域208の下に位置し、ワード線210a、210b、キャパシタが半導体領域208の上に位置するため、ビット線205の配置の自由度が高まり、オープンビット線型のDRAMとすることで6F以下、あるいはセルトランジスタの構造を特殊なものとすることで4F以下とできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体メモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)は代表的な半導体メモリ装置として広く用いられている。DRAMには、ビット線の信号検出方法の違いから、オープンビット線方式とフォールデッドビット線方式という2種類がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
フォールデッドビット線方式は、ワード線とビット線の交点の半分にしかメモリセルを設けることができないため、1メモリセルあたりの面積は8F以上である(Fは最小加工寸法(Feature Size))。これに対し、オープンビット線方式では、理想的にはコンタクトを共有できるので1メモリセルあたりの面積は6Fまで縮小できる。
【0004】
また、DRAMのキャパシタの形成方式としてシリコン基板に深い穴を形成するトレンチキャパシタ方式とトランジスタの上方に電極を積層するスタックキャパシタ方式という2種類の方式が用いられている。最小加工寸法が小さくなると、トレンチキャパシタ方式よりスタックキャパシタ方式の方が有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5396450号
【特許文献2】米国特許第5802000号
【特許文献3】米国特許第5877522号
【特許文献4】米国特許第5302843号
【特許文献5】米国特許第7772053号
【特許文献6】米国特許第5764562号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スタックキャパシタ方式を用いてオープンビット線方式のDRAMを作製しようとすると、回路設計およびデバイス特性に負担がかかる。すなわち、キャパシタとビット線がともにトランジスタの上方に存在するため、キャパシタを迂回するように、ビット線を斜めに形成すること(特許文献2)や、補助電極を設けること(特許文献3)が必要となる。
【0007】
例えば、特許文献3では、トランジスタとビット線を接続するため補助配線が必要であり、また、特許文献2では、ビット線がワード線と直角でない角度で交差する(その結果、メモリセルが平行四辺形となる)ことが求められる。すなわち、利用されないスペースや余分なプロセスが必要となる。その結果、例えば、ビット線を斜めに配置した場合には1つのメモリセルの面積はどのように最適化しても6Fより大きくなる。
【0008】
これらは、ビット線とキャパシタが共にトランジスタの上に存在するためであり、ビット線がキャパシタを避けるように配置することが求められるためである。
【0009】
また、ワード線とキャパシタ、ビット線がともにトランジスタの上方にあることから、ワード線とビット線との間の寄生容量、およびキャパシタとビット線の間の寄生容量も大きくなる。DRAMでは、キャパシタの容量は、ビット線の寄生容量との比率で決定されるため、ビット線の寄生容量が大きいと、キャパシタの容量も大きくせざるを得ない。しかし、特に微細化したメモリセルでは、十分な容量のキャパシタを形成することが困難になりつつある。
【0010】
本発明では、このような問題点の少なくとも1つを解決することを課題とする。例えば、可能な限り面積を削減することのできる半導体メモリ装置あるいはその回路の構造や作製方法を提供することを課題とする。あるいは、ビット線の寄生容量の削減できる半導体メモリ装置あるいはその回路の構造や作製方法を提供することを課題とする。また、本発明は信頼性や特性の高い半導体装置およびその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、基板上に形成されたビット線と、ビット線上に形成された島状の半導体領域と、島状の半導体領域上に形成されたゲート絶縁体と、ゲート絶縁体上に形成されたワード線および島状の半導体領域上に形成されたキャパシタを有し、1つの島状の半導体領域は少なくとも2本のワード線と重なり、その島状の半導体領域のうち、2本のワード線と重なる領域の間には、ビット線との接続のための電極が設けられたことを特徴とするメモリセルアレイを有する半導体メモリ装置である。
【0012】
また、本発明の一態様は、基板上に形成されたビット線と、ビット線上に形成された島状の半導体領域と、島状の半導体領域上に形成されたゲート絶縁体と、ゲート絶縁体上および島状の半導体領域上に形成された2本のワード線および島状の半導体領域上に形成されたキャパシタを有し、島状の半導体領域がビット線と重畳する面積は、島状の半導体領域の面積の80%以上であることを特徴とするメモリセルアレイを有する半導体メモリ装置である。
【0013】
また、本発明の一態様は、基板上に形成されたセンスアンプ回路と、センスアンプ回路上に形成された第1乃至第3のビット線と、第1のビット線上に形成された島状の半導体領域と、島状の半導体領域上に形成されたゲート絶縁体と、ゲート絶縁体上および島状の半導体領域上に形成された2本のワード線および島状の半導体領域上に形成されたキャパシタを有するメモリセルアレイを有し、第1のビット線と第2のビット線はセンスアンプ回路に接続し、第1のビット線の一端と第2のビット線の一端の間に、第3のビット線が設けられていることを特徴とする半導体メモリ装置である。
【0014】
ここで、ビット線の下には上記のメモリセルアレイを駆動するための回路(センスアンプやデコーダ等)が設けられていてもよい。また、島状の半導体領域の形成される場所は平坦面上に限られず、凹部あるいは凸部に設けられていてもよい。さらに、隣接するビット線の高さあるいは深さは異なってもよい。
【発明の効果】
【0015】
上記において、島状の半導体領域とワード線によってトランジスタが構成される。上記のように、ビット線はトランジスタの下方にあり、また、ワード線およびキャパシタはトランジスタの上方にある。このため、キャパシタの位置に関係なくビット線を配置できるため、極めて効率的なレイアウトとなり、1メモリセルの面積は理想的には6Fまで縮小できる。
【0016】
また、島状の半導体領域を凹部に設ける場合、ワード線は主に凹部の側面に形成されるが、ビット線へのコンタクトプラグを凹部の底面に形成したコンタクトホール中に設ければよいので、1メモリセルの面積は理想的には4Fまで縮小できる。
【0017】
なお、凹部あるいは凸部の側面にワード線が形成される場合は、ワード線をゲートとするトランジスタのチャネル長は、概略、凹部あるいは凸部の側面の高さあるいは深さ程度である。したがって、例えば、そのような高さや深さを適切に設定することにより、集積度を損ねること無く、最小加工寸法よりチャネル長を大きくでき、短チャネル効果を抑制できる。
【0018】
また、上記の構成では、ビット線はキャパシタやワード線とは離れた位置にあるため、それらとの間での寄生容量も削減できる。ビット線の寄生容量が小さくなれば、メモリセルに設けるキャパシタの容量もそれに比例して小さくすることができる。
【0019】
なお、上記の構成では、ビット線はトランジスタの下方にあり、特に障害となるような構造物が設けられていないことから、ビット線を配置する深さは任意に設定できる。もちろん、ビット線を他の配線から離れて形成することでより寄生容量を低減できる。また、隣接するビット線の深さを異なるものとすることによって、隣接するビット線間に生じる寄生容量をも低減できる。
【0020】
また、メモリセルアレイの下にはそれを駆動するための回路を設けることにより、チップ面積を削減できる。一般にDRAMのチップの表面の2割乃至5割は駆動回路であり、これとメモリセルアレイを重ねることにより、チップ面積を削減することができ、また、同じチップ面積であれば、より多くのメモリセルを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の半導体メモリ装置に適用される回路配置の例を説明する図である。
【図2】本発明の半導体メモリ装置に適用される回路配置の例を説明する図である。
【図3】本発明の半導体メモリ装置に適用される回路配置の例を説明する図である。
【図4】本発明の半導体メモリ装置の作製方法の例を説明する図である。
【図5】本発明の半導体メモリ装置の作製方法の例を説明する図である。
【図6】本発明の半導体メモリ装置のレイアウトの例を説明する図である。
【図7】本発明の半導体メモリ装置の作製方法の例を説明する図である。
【図8】本発明の半導体メモリ装置の構造の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
また、第1、第2という序数は構成物の混同をさけるために付記するものであり、必ずしも順序を意味するものではない。例えば、第1層間絶縁体の下層に別の層間絶縁体があってもよく、第1コンタクトプラグと第2コンタクトプラグの中間の層に別のコンタクトプラグを設けることもできる。
【0024】
(実施の形態1)
図1および図2は本発明が適用されるDRAMの回路配置の例を示す。図1および図2においてY方向に延在する線はビット線を示し、図では第m列乃至第(m+7)列が示されている。また、図1および図2においてX方向に延在する線はワード線を示し、図では第n行乃至第(n+18)行が示されている。さらに、図1および図2において、線の交点にある丸はメモリセルを、線の一端に接続される長方形はセンスアンプを示す。
【0025】
図1はオープンビット線型DRAMの中でも、リラックスド・オープンビット線型と称される回路配置を示している。図では、センスアンプ101aに接続するビット線103a、103bが上下に設けられる。
【0026】
例えば、第(n+12)行第(m+7)列のメモリセル102のデータを読み取るには、第(n+12)行のワード線をアクティブにして、メモリセル102を含む第(n+12)行のメモリセルに蓄積されていた電荷をビット線に開放し、続いて、第(n+8)行と第(n+17)行の間に設けられたセンスアンプを動作させて、各センスアンプに接続されているビット線の電位差を増幅する。
【0027】
これらのセンスアンプのうち、例えば、センスアンプ101aはメモリセル102のデータを読み出すのに使用される。センスアンプ101aはビット線103aとビット線103bの電位を比較するが、第(n+12)行のワード線をアクティブにすることによって電位が変動するのは、ビット線103bのみであり、ビット線103aの電位はほとんど変動しない。したがって、ビット線103bの電位を増幅して出力する。
【0028】
一方、その他の動作させたセンスアンプ、例えば、センスアンプ101bはデータの読み取りには関与しないが、第(n+12)行のワード線をアクティブにすることにより、その行のメモリセルに蓄積されていた電荷がビット線に開放されてしまうので、再度、メモリセルを充電する必要があるため、それぞれのビット線の電位を増幅する。オープンビット線型DRAMの動作の詳細は、特許文献1を参照すればよい。
【0029】
図2は他のオープンビット線型DRAMの回路配置を示している。ここでは、例えば、第(n+8)行と第(n+9)行の間にセンスアンプを2つ設ける。一般にセンスアンプをビット線1列分の幅(2F)に形成することは困難であるので、ビット線2列以上の幅(4F以上)を有するように形成する。この例では、センスアンプはビット線2列分の幅に形成できたとする。そして、ビット線2列分の幅に2つのセンスアンプを隣接して形成する。
【0030】
この例では、例えば、センスアンプ111aは第(m+6)列のビット線113aと第(m+6)列のビット線113bの電位を比較し、センスアンプ111bは第(m+7)列のビット線113cと第(m+7)列のビット線113dの電位を比較する。
【0031】
図1に示す形式の回路では、マトリクスの端にはビット線が最密に配置されない部分(すなわち、ビット線2列のスペースにビット線が1列しか配置されない部分)が生じるが、図2の例では、マトリクス全般にわたってビット線を最密に配置できる。
【0032】
図2の回路で、例えば、第(n+12)行第(m+7)列のメモリセル112のデータを読み取るには、第(n+12)行のワード線をアクティブにして、メモリセル112を含む第(n+12)行のメモリセルに蓄積されていた電荷をビット線に開放し、続いて、第(n+8)行と第(n+9)行の間に設けられたセンスアンプを動作させて、各センスアンプに接続されているビット線の電位差を増幅する。
【0033】
これらのセンスアンプのうち、例えば、センスアンプ111bはメモリセル112のデータを読み出すのに使用される。センスアンプ111bはビット線113cとビット線113dの電位を比較するが、第(n+12)行のワード線をアクティブにすることによって電位が変動するのは、ビット線113dのみであり、ビット線113cの電位はほとんど変動しない。したがって、ビット線113dの電位を増幅して出力する。
【0034】
一方、その他の動作させたセンスアンプ、例えば、センスアンプ111aはデータの読み取りには関与しないが、第(n+12)行のワード線をアクティブにすることにより、その行のメモリセルに蓄積されていた電荷がビット線に開放されてしまうので、再度、メモリセルを充電する必要があるため、それぞれのビット線の電位を増幅する。
【0035】
なお、回路が微細化することにより、トランジスタのしきい値のばらつきがが、不純物濃度の統計的なゆらぎ(Statistical Fluctuation of Impurity Concentration)のために大きくなることが問題となっている。センスアンプに使用するトランジスタもこの影響を強く受ける。
【0036】
センスアンプでは、微小な電位差を増幅することが求められ、センスアンプを構成するトランジスタのしきい値のばらつきは入力する電位差より小さいことが必要である。このことによるしきい値のばらつきは、チャネル面積の平方根に反比例し、チャネル面積が4倍となると、しきい値ばらつきは半分とできる。そのため、センスアンプを構成するトランジスタのチャネル面積を過剰に小さくすると電位差の増幅に支障をきたす。
【0037】
以上のような理由により、センスアンプを構成するトランジスタ1つのチャネル面積を8F以上、好ましくは25F以上とすることが必要となり、センスアンプをビット線2列分の領域に形成することが困難となっている。そのような条件では、図1に示すようなリラックスド・オープンビット線型の回路配置は現実的ではない。これに対しては図2に示す回路配置をさらに拡張した図3に示すような回路配置を採用すればよい。
【0038】
図3に示す回路配置では、1つのセンスアンプがビット線4列分の幅を必要とするため、ビット線4列分の幅に4つのセンスアンプ(センスアンプ121a乃至121d)を隣接して形成する。この例では、例えば、センスアンプ121aは第(m+7)列のビット線123cと第(m+7)列のビット線123dの電位を比較し、センスアンプ121bは第(m+6)列のビット線123aと第(m+6)列のビット線123bの電位を比較する。
【0039】
センスアンプがさらに大きな面積を必要としても同様に対応できる。なお、このようにチャネル面積の大きなトランジスタを使用するとセンスアンプの占める面積が大きくなるが、本実施の形態では、後述するように、メモリセルはセンスアンプの上に立体的に形成されるので、集積度を低下させる要因とはならない。
【0040】
また、チャネル面積の大きなトランジスタを用いたセンスアンプでは、トランジスタのゲート容量が大きくなり、ビット線の電位変動が小さくなるが、チャネル面積の増加によって、しきい値のばらつきが低減するので、電位差の増幅の際のエラーの発生する確率は低下する。
【0041】
例えば、センスアンプのトランジスタのチャネル面積を100倍に増加させるとする。センスアンプのトランジスタのゲート容量が増加することにより、ビット線の電位変動はやや低下する。しかし、半分となることはない。一方、トランジスタのチャネル面積が100倍になることにより、しきい値ばらつきは10分の1となるので、ビット線の電位変動がやや低下しても、増幅の際にエラーが発生する確率は10分の1程度まで低減できる。
【0042】
図1あるいは図2に使用できるセンスアンプはフリップフロップ回路にスイッチング素子を加えたものであればよい。例えば、図6にその例を示す。図6は、図2の回路配置に用いることのできるセンスアンプの配線等のレイアウトを示す。このような構造を有するセンスアンプの作製に関する詳細は公知の半導体集積回路製造技術を参照できる。
【0043】
図6(A)は半導体基板等に形成される素子形成領域とその上に設けられる第1配線等の例を示している。半導体基板としては、単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム、単結晶砒化ガリウム等を表面に有するものを用いるとよい。図6(A)の一点鎖線で囲まれた領域300はセンスアンプの形成される領域を示す。領域300には、素子形成領域302nと素子形成領域302pを設け、その上に重ねて第1配線301a乃至301dを形成する。
【0044】
これらはいずれもトランジスタのゲートとして機能する。第1配線301a乃至301dを用いて自己整合的にn型あるいはp型の不純物をドーピングできる。ここでは、素子形成領域302nにn型トランジスタを、素子形成領域302pにp型トランジスタを形成する。さらに、素子形成領域302nと素子形成領域302pには図に示すように上層への接続に用いるコンタクトプラグを設ける。
【0045】
図6(B)は、図6(A)に示した回路の上に形成される第2配線303a、303b、303n、303pと上層へのコンタクトプラグのレイアウトを示す。第2配線303aおよび303bはn型トランジスタのドレインとp型トランジスタのドレインを接続するために設けられ、第2配線303nおよび303pは、それぞれ、n型トランジスタおよびp型トランジスタのソースに接続して、センスアンプの電源を供給するために用いられる。
【0046】
さらに、第1配線301cと上層、第1配線301dと上層、第2配線303aと上層、あるいは第2配線303bと上層等への接続のためにコンタクトプラグが設けられる。
【0047】
図6(C1)は、図6(B)に示した回路の上に形成される第3配線のレイアウトを示す。第3配線304aは図の下方に形成されるインバータのゲートと上方に形成されるインバータの出力を接続し、第3配線304bは図の上方に形成されるインバータのゲートと下方に形成されるインバータの出力を接続する。
【0048】
また、図6(C1)の第3配線304cおよび304dは下層からのコンタクトプラグと接続する。第3配線304cおよび304dはビット線であり、例えば、図1のビット線103a、103bに相当する。図1のセンスアンプ101a、101bにはこの回路を用いればよい。なお、図2のセンスアンプ111a、111bに用いる場合には、さらに上層の配線が必要であるので、図6(C1)の第3配線304cおよび304dを形成する部分に、図6(C2)に示すようにコンタクトプラグを形成する。
【0049】
図6(D)は、図6(C2)に示した回路の上に形成される第4配線305a乃至305cのレイアウトを示す。第4配線305a乃至305cはビット線であり、例えば、第4配線305aは図2のビット線113aに、第4配線305bは図2のビット線113bに、第4配線305cは図2のビット線113cに相当する。なお、第4配線305cは図6に示すセンスアンプの上を通過するだけで、図に示すセンスアンプとは接続しない。図3の回路構成のセンスアンプも同様に形成することができる。
【0050】
また、第4配線305cを設けなければ、図1のセンスアンプ101a、101bにも用いることができ、例えば、第4配線305aは図1のビット線103aに、第4配線305bは図1のビット線103bに相当する。
【0051】
本実施の形態の半導体メモリ装置では、メモリセルは上記したセンスアンプ等の回路の上に形成される。その作製工程を図4(A)乃至図4(D)、図5(A)及び図5(B)を用いて説明する。図4(A)、図4(B)、図5(A)及び図5(B)は半導体メモリ装置のビット線に平行な一断面を示す。
【0052】
まず、基板201上に、上記のようにセンスアンプを含む半導体回路202を形成する。この例では半導体回路202には2層の配線しか使用されていないが、図6(A)乃至図6(D)で説明したように3層以上の配線を使用してもよい。そして、適切な厚さの第1絶縁体203と第1コンタクトプラグ204を形成する。
【0053】
そして、第1コンタクトプラグに接するようにビット線205を形成する。さらに、その上に適切な厚さの第2絶縁体206とビット線に接続する第2コンタクトプラグ207を形成する。第1絶縁体203と第2絶縁体206の厚さは、ビット線の寄生容量を決定する上で重要である。100nm乃至1μmとすることがこの好ましい。また、第1絶縁体203と第2絶縁体206は酸化シリコン等の比較的誘電率の低い材料で形成するとよい。
【0054】
図4(A)を上方より見た模式図を図4(C)に示す。図4(C)の線分ABの断面が図4(A)、図4(B)に相当する。図4(C)には隣接するビット線205aも示す。
【0055】
その後、島状の半導体領域208を形成し、これを覆ってゲート絶縁体209を形成する。半導体領域208およびゲート絶縁体209の厚さは適宜、決定できるが、トランジスタのチャネル長が短い場合には、いずれも薄くすることが好ましく、例えば、酸化シリコン換算の厚さ(EOT)で、チャネル長の1/50乃至1/5とするとよい。
【0056】
なお、ゲート絶縁体209の厚さはトンネル電流等が問題とならない程度に薄くするとよい。また、ゲート絶縁体209は比誘電率が10以上の材料で形成してもよい。
【0057】
半導体領域208に用いる半導体の種類には制約は無いが、移動度が5cm/Vs以上であることが好ましい。例えば、多結晶シリコン、多結晶ゲルマニウム、多結晶シリコンゲルマニウム、インジウム酸化物あるいはインジウム酸化物に他の金属元素を添加した酸化物、窒化ガリウムあるいは窒化ガリウムに酸素を添加した化合物、砒化ガリウム、砒化インジウム、硫化亜鉛等を用いればよい。
【0058】
なお、セルトランジスタのオフ抵抗を上昇させることはメモリセルのリフレッシュ周期を長くできるので好ましい。例えば、通常のトランジスタの100万倍のオフ抵抗であれば、実用的にはリフレッシュ動作を必要としないで使用できる。
【0059】
このような非常に高いオフ抵抗を得るためには、バルクのシリコン(バンドギャップ1.1電子ボルト)では不十分であり、バンドギャップが2.5電子ボルト以上4電子ボルト以下、好ましくは3電子ボルト以上3.8電子ボルト以下のワイドバンドギャップ半導体を使用することが必要となる。例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛等の酸化物半導体、窒化ガリウム等の窒化物半導体、硫化亜鉛等の硫化物半導体等を用いればよい。
【0060】
オフ抵抗は、熱的に励起するキャリアの濃度に比例する。ドナーやアクセプタによるキャリアが全く存在しない状態(真性半導体)であっても、バルクのシリコンの場合にはバンドギャップが1.1電子ボルトなので、室温(300K)での熱励起キャリアの濃度は1×1011cm−3程度である。
【0061】
一方、バンドギャップ3.2電子ボルトの半導体では熱励起キャリアの濃度は1×10−7cm−3程度となる。電子移動度が同じ場合、抵抗率は、キャリア濃度に反比例するので、バンドギャップ3.2電子ボルトの半導体の抵抗率は、シリコンより18桁も大きい。
【0062】
なお、ドナーやアクセプタによるキャリアは極力、低濃度であることが好ましく、その濃度は、1×1012cm−3以下とすることが好ましい。これらのキャリア濃度によりトランジスタのしきい値が決定される。
【0063】
また、シリコンであっても、極めて薄い場合には、量子力学的な効果によりバンドギャップが拡大することが、報告されている(特許文献5参照)。
【0064】
半導体領域208とゲート絶縁体209を形成した後、ワード線210a、210bを形成する。この状態を上方より見た模式図を図4(D)に示す。図4(D)には隣接する半導体領域208aも示す。ワード線210a、210bはメモリセルのセルトランジスタのゲートとしても機能する。
【0065】
一般に、下層に半導体集積回路が設けられている場合には、それらによって発生するノイズが上層のトランジスタの動作に支障をもたらすことがある。この問題に対しては、上層のトランジスタの下に何らかのシールド層を設けて、ノイズを吸収させるとよいが、図4(B)および図4(D)に見られるように、ビット線205と半導体領域208が重なるように配置されると、ビット線205がシールド層となり、ノイズを吸収する。半導体領域208がビット線205と重畳する面積は、半導体領域208の面積の80%以上であるとよい。
【0066】
次に、イオン注入法等により、半導体領域208にワード線210a、210bをマスクとして不純物を注入し、n型あるいはp型の不純物がドーピングされた領域211を形成する。なお、第2コンタクトプラグ207が半導体領域208と接する部分とワード線210a、210bとの距離、あるいは、後で形成する第3コンタクトプラグと半導体領域208と接する部分とワード線210a、210bとの距離が20nm以下、好ましくは10nm以下の場合には、ドーピングされた領域211を形成しなくてもよい。
【0067】
また、半導体領域208が予め何らかの導電型を有している場合で、ワード線210a、210bを構成する材料との仕事関数差を利用して、トランジスタの制御をおこなえる場合には特にドーピングされた領域211を形成する必要は無い。例えば、酸化シリコン上の多結晶シリコンは特別に不純物をドーピングしなくとも、n型を呈するが、ワード線210a、210bに窒化インジウム、窒化亜鉛、p型シリコン等の仕事関数が5電子ボルト以上の材料を用いると、ワード線210a、210b近傍の多結晶シリコン中の電子を排除できるので、極めて抵抗率の高い領域を形成することができる。
【0068】
次に、酸化シリコン等の比較的誘電率の低い材料で第3絶縁体212を形成して、第3コンタクトプラグ213a、213bを形成する。さらに、やはり誘電率の低い材料で第4絶縁体214を形成し、これにキャパシタを形成するための孔を設ける。
【0069】
そして、孔の内面に厚さ2nm乃至20nmの第1キャパシタ電極215a、215bを形成する。なお、第1キャパシタ電極215a、215bの厚さの上限は最小加工寸法Fに応じて、決定すればよく、Fが20nmであれば、5nm以下とすることが好ましく、Fが10nmであれば、2.5nm以下とすることが好ましい。
【0070】
次に、図5(A)に示すように、厚さ2nm乃至20nmのキャパシタ絶縁体216を形成する。キャパシタ絶縁体216としては各種のhigh−k材料を用いることができるが、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウムストロンチウム等が好ましい。
【0071】
さらに、第2キャパシタ電極217を形成する。本実施の形態では、第2キャパシタ電極217をビット線205と平行に形成する。このようにして、オープンビット線方式のDRAMのメモリセルを作製できる。なお、第2キャパシタ電極217には、常に同じ電位を与えてもよいが、ビット線205に同期した電位としてもよい。例えば、特許文献6に記載されているように、ビット線とは逆の位相の相補的な電位を与えてもよい。
【0072】
(実施の形態2)
図7および図8に本実施の形態を示す。なお、本実施の形態でも、実施の形態1と同様にセンスアンプ等の半導体回路上にメモリセルが形成されるが、図7、図8では、それらの半導体回路は省略する。以下図面にしたがって説明する。
【0073】
<図7(A)>
第1絶縁体401の上にビット線402を形成する。このとき、ビット線402の配置にはいくつかの方式がある。例えば、図8(A)と図8(B)に示すように、ビット線402と隣接するビット線402a、402bを全て同じ深さあるいは同じ層に形成する方法である。図8(A)はビット線402を形成した面を図7(A)の線分CDを含む平面で切断した断面の模式図であり、図8(A)の線分EFの断面を図8(B)に示す。なお、図8(A)および図8(C)の線分ABの断面は図7に示される。
【0074】
図8(B)に示されるように、ビット線402に隣接するビット線402a、402bとも同じ深さ、あるいは同じ層に形成される。この方法は作製工程が少ないという特徴がある。
【0075】
もうひとつの方法は、図8(C)と図8(D)に示すように、ビット線402と隣接するビット線402a、402bを、異なる深さあるいは異なる層に形成する方法である。図8(C)は図7(A)の線分CDを含む平面で切断した断面の模式図であり、図8(C)の線分EFの断面を図8(D)に示す。
【0076】
図8(C)では、隣接するビット線402a、402bが示されていないが、断面図である図8(D)に示されるように、隣接するビット線402a、402bはビット線402とは異なる深さに形成されている。この方法では追加の工程が必要であるが、同じ層にビット線を形成する方法より隣接するビット線間の寄生容量を低減できる。図8(D)では、ビット線の深さは2種類としたが、3種類以上とすることもできる。
【0077】
従来のDRAMではビット線が配置される部分にはキャパシタ等の構造物があり、ビット線の配置はきわめて制限されていたが、本実施の形態では、キャパシタはビット線から離れた場所に形成されるため、ビット線の配置の自由度が高く、上記のような深さの異なるビット線を形成することもできる。本実施の形態ではいずれの方法も採用することができる。
【0078】
次に、第2絶縁体403および第3絶縁体404を形成する。第2絶縁体403および第3絶縁体404は異種の材料あるいはエッチングレートの異なる材料とするとよい。例えば、第2絶縁体403として酸化シリコン、第3絶縁体404として、窒化シリコンを用いることができる。そして、第2絶縁体403および第3絶縁体404にビット線402に接続する第1コンタクトプラグ405を埋め込む。
【0079】
次に、絶縁体および導電層を形成し、これを溝状にエッチングして、溝408およびこれによる分断される第4絶縁体406、導電層407a、407bを形成する。この際、エッチングは第3絶縁体で停止するようにする。すなわち、第3絶縁体がエッチングストッパーとなる。
【0080】
<図7(B)>
次に、溝408の底面および側面に半導体膜を形成し、半導体膜および導電層407a、407bをエッチングして、島状の半導体領域409を形成する。さらにゲート絶縁体410を半導体領域409上に形成する。
【0081】
<図7(C)>
その後、導電性材料の膜を形成し、これを異方性エッチングすることにより、溝408の側面のゲート絶縁体410に接するワード線411a、411bを形成する。溝の側面にこのようなワード線411a、411bを形成する方法は、特許文献4を参照すればよい。また、特許文献4に開示されているように、ワード線411a、411bをマスクとして不純物を半導体領域にドーピングしてもよい。
【0082】
このように形成されるワード線411a、411bを用いたトランジスタでは、チャネル長を最小加工寸法より大きくすることができる。すなわち、チャネル長はおおよそ、溝408の深さとワード線411a(あるいはワード線411b)の水平方向の長さ(図7(C)中にxで示す)との和である。溝408の深さを最小加工寸法より大きくすると、チャネル長は最小加工寸法より大きくなり、短チャネル効果を抑制できる。
【0083】
また、長さxは最小加工寸法とは無関係に設定できる。例えば、必要な導電性さえ確保できれば、長さxを最小加工寸法の1/2以下、好ましくは1/4以下とできる。すると、溝408の幅は最小加工寸法の2倍以下、好ましくは1倍とできる。その結果、1つのメモリセルの面積を5F、好ましくは4Fとできる。
【0084】
例えば、溝408の幅を2Fとしたとき、長さxが、好ましくは0.5F以下であれば、同じ溝408に形成されるワード線411aと411bが分離できる。この結果、1つのメモリセルが必要な長さは2.5Fであり、1つのメモリセルの面積は、線分ABに垂直な方向(すなわち、図8の線分EF方向)の長さ(ビット線間隔)2Fとの積である5Fとできる。
【0085】
また、溝408の幅をFとしたとき、長さxが、好ましくは0.25F以下であれば、同じ溝408に形成されるワード線411aと411bが分離できる。この結果、1つのメモリセルが必要な長さは2Fであり、1つのメモリセルの面積は4Fとできる。これはマトリクス型のメモリセルアレイでの理論上の下限値である。
【0086】
なお、このような高密度化、小面積化はビット線402がトランジスタの下にあるために可能であり、ビット線がワード線の上にあると、溝408の側面にワード線を形成する方法であっても、より大きな面積が必要である。これは、溝408にワード線に加えて、ビット線とのコンタクトを設ける必要があるためである。コンタクトがワード線と接触してはならないことから、溝408の幅はFより大きく、現実には2Fより大きくすることが必須となる。
【0087】
<図7(D)>
第5絶縁体412を形成し、さらに、導電層407a、407bと接続する第2コンタクトプラグ413a、413bを形成する。第2コンタクトプラグ413a、413b上には実施の形態1で示したようにキャパシタを形成すればよい。導電層407a、407bはエッチングストッパーとしての機能を有し、特に半導体領域409が薄い場合には効果的である。その後、図5(A)および図5(B)で示した方法を用いて、キャパシタを形成すればよい。
【符号の説明】
【0088】
101a センスアンプ
101b センスアンプ
102 メモリセル
103a ビット線
103b ビット線
111a センスアンプ
111b センスアンプ
112 メモリセル
113a ビット線
113b ビット線
113c ビット線
113d ビット線
121a センスアンプ
121b センスアンプ
121c センスアンプ
121d センスアンプ
123a ビット線
123b ビット線
123c ビット線
123d ビット線
201 基板
202 半導体回路
203 第1絶縁体
204 第1コンタクトプラグ
205 ビット線
205a ビット線
206 第2絶縁体
207 第2コンタクトプラグ
208 半導体領域
208a 半導体領域
209 ゲート絶縁体
210a ワード線
210b ワード線
211 ドーピングされた領域
212 第3絶縁体
213a 第3コンタクトプラグ
213b 第3コンタクトプラグ
214 第4絶縁体
215a 第1キャパシタ電極
215b 第1キャパシタ電極
216 キャパシタ絶縁体
217 第2キャパシタ電極
300 領域
301a 第1配線
301b 第1配線
301c 第1配線
301d 第1配線
302n 素子形成領域
302p 素子形成領域
303a 第2配線
303b 第2配線
303n 第2配線
303p 第2配線
304a 第3配線
304b 第3配線
304c 第3配線
304d 第3配線
305a 第4配線
305b 第4配線
305c 第4配線
401 第1絶縁体
402 ビット線
402a ビット線
402b ビット線
403 第2絶縁体
404 第3絶縁体
405 第1コンタクトプラグ
406 第4絶縁体
407a 導電層
407b 導電層
408 溝
409 半導体領域
410 ゲート絶縁体
411a ワード線
411b ワード線
412 第5絶縁体
413a 第2コンタクトプラグ
413b 第2コンタクトプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたビット線と、前記ビット線上に形成された島状の半導体領域と、前記島状の半導体領域上に形成されたゲート絶縁体と、前記ゲート絶縁体上および前記島状の半導体領域上に形成された2本のワード線および前記島状の半導体領域上に形成されたキャパシタを有し、前記島状の半導体領域のうち、前記2本のワード線と重なる領域の間には、前記ビット線との接続のための電極が設けられたメモリセルアレイを有することを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項2】
基板上に形成されたビット線と、前記ビット線上に形成された島状の半導体領域と、前記島状の半導体領域上に形成されたゲート絶縁体と、前記ゲート絶縁体上および前記島状の半導体領域上に形成された2本のワード線および前記島状の半導体領域上に形成されたキャパシタを有し、前記島状の半導体領域が前記ビット線と重畳する面積は、前記島状の半導体領域の面積の80%以上であるメモリセルアレイを有することを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項3】
基板上に形成されたセンスアンプ回路と、前記センスアンプ回路上に形成された第1乃至第3のビット線と、前記第1のビット線上に形成された島状の半導体領域と、前記島状の半導体領域上に形成されたゲート絶縁体と、前記ゲート絶縁体上および前記島状の半導体領域上に形成された2本のワード線および前記島状の半導体領域上に形成されたキャパシタを有するメモリセルアレイを有し、前記第1のビット線と前記第2のビット線は前記センスアンプに接続し、前記第1のビット線の一端と前記第2のビット線の一端の間に、前記第3のビット線が設けられていることを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項4】
前記ビット線の下には前記メモリセルアレイを駆動するための回路を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の半導体メモリ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、前記島状の半導体領域は凹部あるいは凸部の側面に形成された部分を有することを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項6】
前記ビット線は隣接するビット線と異なる層に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体メモリ装置。
【請求項7】
前記島状の半導体領域は、酸化物半導体よりなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の半導体メモリ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−178555(P2012−178555A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19408(P2012−19408)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】