説明

半導体回路およびトリミング方法

【課題】チップサイズをほとんど変えずに仮トリミングを可能とする半導体回路を実現する。
【解決手段】n個のトリミング回路1A〜1Cと、n個のトリミング回路1A〜1Cが接続される被調整回路4とを有する半導体回路において、セレクタ回路2と、n個のフリップフロップ回路3A〜3Cとを備え、セレクタ回路2を第1のモードに設定することで、n個のトリミング回路1A〜1Cがそれぞれn個のフリップフロップ回路3A〜3Cを経由して被調整回路4に接続され、セレクタ回路2を第2のモードに設定することで、n個のフリップフロップ回路3A〜3Cnビットのカウンタ回路3を構成し、カウンタ回路の3出力が被調整回路4に接続されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリミング回路を備えた半導体回路およびその半導体回路のトリミング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体回路の製造において、プロセスばらつきによる特性変動を調整するために、テスト工程でトリミングを行い、特性を合わせ込むことがよく行われている。しかし、一旦トリミングを行うと元に戻すことが出来ないため、トリミングを行う前にトリミングを行った場合と同等の特性をテスト時に仮に測定し(これ以降は仮トリミングと表記)、トリミングの後に所定の特性が得られないということを防止することが行われる。
【0003】
図6は、トリミングパターンのビット数が3ビットである場合の特許文献1に記載の仮トリミングを可能とする半導体回路の模式図である。切断可能な配線を有しその配線の切断の有無により特性を調整することが可能なトリミング回路1A、1B、1Cと、シフトレジスタ回路12と、スイッチ11A、11B、11Cを有するセレクタ回路11と、被調整回路4で構成される。
【0004】
この回路の動作を説明する。なお、これ以降の説明において、ハイレベルの信号=1、ローレベルの信号=0と表記する。通常動作時には、スイッチ11Aはトリミング回路1Aの出力O1Aが、スイッチ11Bはトリミング回路1Bの出力O1Bが、スイッチ11Cはトリミング回路1Cの出力O1Cが選択されるように、セレクタ制御入力端子兼クロック入力端子14からセレクタ制御信号が入力され、トリミング回路1A、1B、1Cのトリミング状態(配線の切断/非切断)により被調整回路4が調整される。
【0005】
テスト時には、スイッチ11Aはシフトレジスタ回路12の出力O12Aが、スイッチ11Bはシフトレジスタ回路12の出力O12Bが、スイッチ11Cはシフトレジスタ回路12の出力O12Cが選択されるように、セレクタ制御入力端子兼クロック入力端子14からトリミングクロックが入力される。
【0006】
トリミングデータ入力端子13からトリミングデータを入力し、セレクタ制御入力端子兼クロック入力端子14からトリミングクロックを入力し、シフトレジスタ回路12の出力O12A、O12B、O12Cの設定値を変化させていくことで、被調整回路4が調整される。
【0007】
この調整中に、被調整回路4の特性が規定値に入るトリミングパターンを見つけ、このトリミングパターンでトリミングを行う。例えば、シフトレジスタ回路12の各出力の設定値が(O12C、O12B、O12A)=(1、0、0)の状態で被調整回路4の特性が規定値に入った場合は、トリミング回路1C、1B、1Aの出力が(O1C、O1B、O1A)=(1、0、0)になるようにトリミングを行う。
【0008】
図7は、トリミングパターンのビット数が3ビットである場合の特許文献2に記載の仮トリミングを可能とする半導体回路の模式図である。切断可能な配線を有しその配線の切断の有無により特性を調整することが可能なトリミング回路1A、1B、1Cと、レジスタ回路15A、15B、15C、スイッチ11A、11B、11Cを有するセレクタ回路11、被調整回路4で構成される。
【0009】
この回路の動作を説明する。通常動作時には、スイッチ11Aはトリミング回路1Aの出力O1Aが、スイッチ11Bはトリミング回路1Bの出力O1Bが、スイッチ11Cはトリミング回路1Cの出力O1Cが選択されるように、セレクタ制御入力端子9からセレタタ制御信号が入力され、トリミング回路1A、1B、1Cのトリミング状態により被調整回路4が調整される。
【0010】
テスト時には、スイッチ11Aはレジスタ回路15Aの出力O15Aが、スイッチ11Bはレジスタ回路15Bの出力O15Bが、スイッチ11Cはレジスタ回路15Cの出力O15Cが選択されるように、セレクタ制御入力端子9からセレクタ制御信号が入力される。
【0011】
トリミングデータ入力端子13A、13B、13Cからトリミングデータを入力し、クロック入力端子16からトリミングクロックを入力し、レジスタ回路15A、15B、15Cの出力O15A、O15B、O15Cの設定値を変化させていくことで、被調整回路4が調整される。
【0012】
この調整中に、被調整回路4の特性が規定値に入るトリミングパターンを見つけ、このトリミングパターンでトリミングを行う。例えば、レジスタ回路15C、15B、15Aの設定値が(O15C、O15B、O15A)=(1、0、0)の状態で被調整回路4の特性が規定値に入った場合は、トリミング回路1C、1B、1Aの出力が(O1C、O1B、O1A)=(1、0、0)になるようにトリミングを行う。
【特許文献1】特開平05−63090号公報
【特許文献2】特開2003−249562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1記載の回路では、仮トリミングを行うためのトリミングデータ入力端子が必要になるため、端子、つまりパッドが増えチップサイズが大きくなる問題があった。
【0014】
同様に、特許文献2記載のトリミング回路では、トリミングデータ入力端子がトリミングパターンのビット数分必要になり、さらに、トリミングクロックを入力するクロック入力端子が必要になるため、端子、つまりパッドが増えチップサイズが大きくなる問題があった。
【0015】
本発明は、これらの問題を解決し、チップサイズをほとんど変えずに仮トリミングを可能とする半導体回路を実現するとともに、テストシーケンスを改良することで不良サンプルを減らし効率の良いトリミングを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を解決するため、請求項1にかかる発明の半導体回路は、半導体プロセスの後のテスト工程で特性の合わせ込みのために配線の切断/非切断が行われるn個のトリミング回路と、該n個のトリミング回路が接続される被調整回路とを有する半導体回路において、セレクタ回路と、n個のフリップフロップ回路とを備え、前記セレクタ回路を第1のモードに設定することで、前記n個のトリミング回路がそれぞれ前記n個のフリップフロップ回路を経由して前記被調整回路に接続され、前記セレクタ回路を第2のモードに設定することで、前記n個のフリップフロップ回路がnビットのカウンタ回路を構成し、該カウンタ回路の出力が前記被調整回路に接続されることを特徴とする。
請求項2にかかる発明の半導体回路は、半導体プロセスの後のテスト工程で特性の合わせ込みのために配線の切断/非切断が行われるn個のトリミング回路と、該n個のトリミング回路が接続される被調整回路とを有する半導体回路において、セレクタ回路と、n個ビットのカウンタ回路とを備え、前記セレクタ回路を第1のモードに設定することで、前記n個のトリミング回路がそれぞれ前記被調整回路に直接接続され、前記セレクタ回路を第2のモードに設定することで、前記カウンタ回路の出力が前記被調整回路に接続されることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の半導体回路において、前記被調整回路を含む内部回路の入力端子と前記カウンタ回路のクロック入力端子とに共用される共用入力端子を備え、該共用入力端子は、前記セレクタ回路を前記第1のモードに設定したときは前記内部回路の入力端子として機能し、前記セレクタ回路を前記第2のモードに設定したときは前記カウンタ回路のクロック入力端子として機能することを特徴とする。
請求項4にかかる発明のトリミング方法は、被調整回路に接続されたn個のトリミング回路によるトリミングに先立ち、前記被調整回路に仮トリミングを行い、該仮トリミングの結果に応じて前記n個のトリミング回路の配線の切断/非切断を行うトリミング方法において、複数の半導体回路についての被調整回路の特性を2種類に分類した結果と該各分類特性を規定値の範囲内に合わせ込む2個のトリミングパターンとの組み合わせからなるトリミングテーブルを取得し、被調整回路の現在の特性に応じて、前記トリミングテーブルに基づきトリミングパターンを選択し、該トリミングパターンをnビットのカウンタ回路のカウント値で実現し、該カウンタ回路の前記カウンタ値の出力を前記被調整回路に接続して仮トリミングを行い、該仮トリミングされた前記被調整回路の特性を測定し、該測定結果が前記規定値の範囲内にあるとき、前記トリミング回路に対して、前記仮トリミングと同じトリミングパターンとなるよう配線の切断/非切断を行うことを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項4に記載のトリミング方法において、前記仮トリミングされた前記被調整回路の特性の測定結果が、前記規定値の範囲からはずれ、且つ前記カウンタ回路の前記カウント値より前の第1のカウント値で実現されるトリミングパターンに対応するとき、前記カウンタ回路をリセットしてから前記第1のカウント値までカウントし、該カウント値の出力を前記被調整回路に接続して再仮トリミングを行い、該再仮トリミングされた前記被調整回路の特性を測定し、該測定結果が前記規定値の範囲内にあるとき、前記トリミング回路に対して、前記再仮トリミングと同じトリミングパターンとなるよう配線の切断/非切断を行うことを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項4に記載のトリミング方法において、前記仮トリミングされた前記被調整回路の特性の測定結果が、前記規定値の範囲からはずれ、且つ前記カウンタ回路の前記カウント値を越えた第2のカウント値で実現されるトリミングパターンに対応するとき、前記カウンタ回路をさらに前記第2のカウント値までカウントし、該カウント値の出力を前記被調整回路に接続して再仮トリミングを行い、該再仮トリミングされた前記被調整回路の特性を測定し、該測定結果が前記規定値の範囲内にあるとき、前記トリミング回路に対して、前記再仮トリミングと同じトリミングパターンとなるよう配線の切断/非切断を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1および2にかかる本発明によれば、トリミングデータ入力端子が不要となり、また請求項3にかかる発明によれば、さらに専用のクロック入力端子も不要となり、チップサイズをほとんど変えずに仮トリミングを可能とする回路が実現できる。また、請求項4〜6にかかる発明によれば、不良サンプルを減らし効率の良いトリミングを行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1の実施例>
図1は、トリミングパターンのビット数が3ビットである場合の、本発明の第1の実施例の半導体回路である。切断可能な配線を有しその配線の切断の有無により特性を調整することが可能なトリミング回路1A、1B、1Cと、スイッチ2A、2B、2C、2D、2Eを有するセレクタ回路2により接続を変更することで個々の記憶回路とするかカウンタ回路3とするかを選択可能なフリップフロツプ回路3A、3B、3Cと、被調整回路4とで構成される。
【0019】
最初にこの回路の動作を説明する。なお、これ以降の説明において、ハイレベルの信号=1、ローレベルの信号=0と表記する。通常動作時には、スイッチ2A、2Bはクロック入力端子6が、スイッチ2Cはトリミング回路1Aの出力O1Aが、スイッチ2Dはトリミング回路1Bの出力O1Bが、セレタタ回路2Eはトリミング回路1Cの出力O1Cが選択されるように、モード切替端子5からモード切替信号が入力される。フリップフロップ回路3Aはトリミング回路1Aのトリミング状態を保持する記憶回路、フリップフロップ回路3Bはトリミング回路1Bのトリミング状態を保持する記憶回路、フリップフロップ回路3Cはトリミング回路1Cのトリミング状態を保持する記憶回路として構成される。
【0020】
クロック入力端子6より1クロック入力されると、トリミング回路1A、1B、1Cのトリミング状態が記憶回路としてのフリップフロップ回路3A、3B、3Cに保持され、そこに保持されたトリミング回路1A、1B、1Cのトリミング状態により、被調整回路4が調整される。
【0021】
テスト時には、スイッチ2A、2Cはフリップフロツプ回路3Aの反転出力O3AXが、スイッチ2B、2Dはフリップフロツプ回路3Bの反転出力O3BXが、スイッチ2Eはフリップフロツプ回路3Cの反転出力O3CXが選択されるように、モード切替端子5からモード切替信号が入力され、フリップフロップ回路3A、3B、3Cは3ビットのカウンタ回路3として構成される。
【0022】
クロック入力端子6よりトリミングクロックが入力されると、カウンタ回路3がカウントアップしていく。つまり、カウンタ回路3の出力O3A、O3B、O3Cの設定値が変化していくことで被調整回路4が調整される。
【0023】
この調整中に、被調整回路4の特性が規定値に入るトリミングパターンを見つけ、このトリミングパターンでトリミングを行う。例えば、カウンタ回路3の設定値が(O3C、O3B、O3A)=(1、0、0)の状態で被調整回路4の特性が規定値に入った場合は、トリミング回路1C、1B、1Aの出力が(O1C、O1B、O1A)=(1、0、0)になるようにトリミングを行う。
【0024】
図3は、カウンタ回路3のトリミングクロックの入力方法を説明した図である。通常動作時は、デマルチプレクサ回路7は内部回路入力端子17が選択されるようにモード切替端子5からモード切替信号が入力され、内部回路入力端子兼カウンタ用クロック入力端子8は、被調整回路4を含む内部回路10の入力端子となる。
【0025】
テスト時には、デマルチプレクサ回路7はクロック入力端子6が選択されるようにモード切替端子5からモード切替信号が入力され、内部回路入力端子兼カウンタ用クロック入力端子8は、カウンタ回路3用のトリミングクロックを入力するクロック入力端子となる。すなわち、内部回路入力端子とカウンタ用クロック入力端子を共用する。
【0026】
以上のような回路構成とすることで、トリミングデータ入力端子、また、トリミングクロックを入力する専用のクロック入力端子が不要となるため、端子、つまりパッドが減りチップサイズが大きくなるのを防ぐことが可能となる。
【0027】
なお、本発明の第1の実施例におけるセレクタ回路2やデマルチプレクサ回路7は、MOSトランジスタで構成されたアナログスイッチの他、同機能のものであれば特に限定されない。また、記憶回路兼カウンタ回路3も同機能のものであればDフリップフロップに限定されない。また、トリミング回路1A〜1Cは、切断可能な配線を有し配線の切断の有無により特性を調整することが可能であれば回路構成は限定されない。また、内部回路入力端子17とカウンタ用クロック入力端子6を共用することが出来ない場合は、別々の端子としても良い。
【0028】
次にトリミングの方法を、図1の実施例、図4のフローチャート、図5のトリミングテーブル例を用いて説明する。ここで図5のトリミングテーブル例の見方を説明する。このトリミングテーブル例は、複数の半導体回路の被調整回路4について予め求めたもので、調整を行うアナログ値として、発振周波数を例としている。特性の規定値を300kHz〜350kHzとしており、初期特性が300kHz〜350kHzであれば、トリミングは不要である。トリミング前の被調整回路4の初期特性が例えば350kHz〜400kHzであった場合、トリミング回路1C、1B、1Aの出力が(O1C、O1B、O1A)=(1、0、0)になるようにトリミングを行えば、規定値300kHz〜350kHzになることを示す。
【0029】
つまり、トリミング前の被調整回路4の初期特性が350kHz〜400kHzであった場合は、カウンタ回路3の設定値を(O3C、O3B、O3A)=(1、0、0)にして仮トリミングを行えば、規定値300kHz〜350kHzになることを示す。
【0030】
図5のトリミングテーブルの発生頻度は、トリミング前の発振周波数の分布を示す。発生頻度の一番多いところをトリミング回路1A、1B、1Cの配線を切断しないトリミングパターンとし、度数分布が少なくなるにつれてトリミング回路1A、1B、1Cの配線を切断する本数を増やすトリミングパターンとしておけば、配線の切断箇所が少なくて済み、テスト時間を短縮することが可能である。
【0031】
最後にトリミング方法を図4のフローチャートに沿って説明する。最初にカウンタ回路3をリセットし(S1)、カウンタ回路3の設定値を初期状態(O3C、O3B、O3A)=(0、0、0)にして、被調整回路4の初期特性を測定する(S2)。被調整回路4の初期特性が例えば410kHzであった場合は、トリミングテーブルに従い、カウンタ回路3の設定値が(O3C、O3B、O3A)=(1、0、1)になるまで、途中で測定は行わずにカウントアップする(S3−Y、S4−N、S5)。
【0032】
その後、再度被調整回路4の特性測定を行い(S6)、その結果が規定の300kHz〜350kHzになることを確認して(S7−Y、S8)から、トリミング回路1C、1B、1Aの出力値が(O1C、O1B、O1A)=(1、0、1)になるようにトリミングを行う(S9)。
【0033】
ほとんどの場合は、このようにトリミングテーブルに従って仮トリミングを行えば、被調整回路4の特性が規定値300kHz〜350kHzになるはずであるが、稀に、被調整回路4の特性が規定値にならない場合がある。
【0034】
仮トリミングの結果、被調整回路4の特性が規定値にならない場合は、1番目の手順として、カウンタ回路3の設定値がn(nは自然数)カウント前でなければ調整が不可能かどうかを判断し(S10)、カウンタ回路3の設定値がnカウント前でなければ調整が不可能な場合(S10−Y)は、一度カウンタ回路3をリセットし(S11)てから、nカウント前まで途中で測定は行わずにカウントアップし(S12)、再々度被調整回路4の特性測定を行う(S13)。
【0035】
例えば、仮トリミングの結果、被調整回路4の特性が290kHzのように規定値300kHz〜350kHzに対して低い方にずれた場合は、調整が50kHzほど過剰であるので、カウンタ回路3の設定値を現在の(O3C、O3B、O3A)=(1、0、1)から(O3C、O3B、O3A)=(1、0、0)にすれば、被調整回路4の特性が規定値300kHz〜350kHzに入るはずであるが、1カウント前の状態にしなければならないので、一度カウンタ回路3をリセットし、カウンタ回路3の設定値が(O3C、O3B、O3A)=(1、0、0)になるまで、途中の測定はせずに一気にカウントアップし(S12)、再々度被調整回路4の特性測定を行い(S13)、その結果が規定の300kHz〜350kHzになることを確認して(S14−Y)から、トリミング回路1C、1B、1Aの出力値が(O1C、O1B、O1A)=(1、0、0)になるようにトリミングを行う(S19)。
【0036】
仮トリミングの結果、被調整回路4の特性が規定値にならない場合は、2番目の手順として、カウンタ回路3の設定値がnカウント後であれば調整可能かどうかを判断し、調整が可能であれば(S15−Y)、nカウントアップし(S16)、再々度被調整回路4の特性測定を行う(S17)。
【0037】
例えば、仮トリミングの結果、被調整回路4の特性が360kHzのように規定値300kHz〜350kHzに対して高い方にずれた場合は、調整が50kHzほど不足しているので、カウンタ回路3の設定値を現在の(O3C、O3B、O3A)=(1、0、1)から(O3C、O3B、O3A)=(1、1、0)にすれば、被調整回路4の特性が規定値300kHz〜350kHzに入るはずであり、1カウントアップすることで調整が可能なので、カウンタ回路3の設定値を1カウントアップし(S16)、再々度被調整回路4の特性測定を行い(S17)、その結果が規定の300kHz〜350kHzになることを確認して(S18−Y)から、トリミング回路1C、1B、1Aの出力値が(O1C、O1B、O1A)=(1、1、0)になるようにトリミングを行う(S9)。
【0038】
仮トリミングを2度行えば、ほぼ確実に、被調整回路4の特性が規定値に入るはずであるが、それでも規定値にならない場合は、被調整回路4の特性が規定値になるまで1番目の手順と2番目の手順を繰り返す。以上のようなトリミング方法とすることで、不良サンプルを減らし効率の良いトリミングが可能となる。
【0039】
本発明の第1の実施例は、以上のように、パッド数が減りチップサイズの増大を防ぎ、また、効率の良いトリミングを行うことが可能であることから、ほとんどコストアップさせずに、トリミングを行う前に仮トリミングを行うことでトリミングを行った場合と同等の特性を測定し、トリミングの後に所定の特性が得られないということを防止することが可能となる。
【0040】
<第2の実施例>
図2は、トリミングパターンのビット数が3ビットである場合の、本発明の第2の実施例の半導体回路である。切断可能な配線を有しその配線の切断の有無により特性を調整することが可能なトリミング回路1A、1B、1Cと、カウンタ回路3と、スイッチ11A、11B、11Cを有するセレクタ回路11と、被調整回路4で構成される。
【0041】
最初にこの回路の動作を説明する。通常動作時には、スイッチ11Aはトリミング回路1Aの出力O1Aが、スイッチ11Bはトリミング回路18の出力O1Bが、スイッチ11Cはトリミング回路1Cの出力O1Cが選択されるように、モード切替端子5からセレクタ制御信号が入力され、トリミング回路1A、1B、1Cのトリミング状態により被調整回路4が調整される。
【0042】
テスト時には、スイッチ11Aはカウンタ回路3の出力O3Aが、スイッチ11Bはカウンタ回路3の出力O3Bが、スイッチ11Cはカウンタ回路3の出力O3Cが選択されるように、モード切替端子5からセレクタ制御信号が入力され、クロック入力端子6よりトリミングクロックが入力されると、カウンタ回路3がカウントアップしていく。つまり、カウンタ回路3の出力O3A、O3B、O3Cの設定値が変化していくことで被調整回路4が調整される。
【0043】
この調整中に、被調整回路4の特性が規定値に入るトリミングパターンを見つけ、このトリミングパターンでトリミングを行う。例えば、カウンタ回路3の設定値が(O3C、O3B、O3A)=(1、0、0)の状態で被調整回路4の特性が規定値に入った場合は、トリミング回路1C、1B、1Aの出力が(O1C、O1B、O1A)=(1、0、0)になるようにトリミングを行う。
【0044】
本実施例でも、図3に示したように、デマルチプレクサ回路7を使用することにより、内部回路入力端子17とカウンタ用クロック入力端子6を1つの内部回路入力端子兼カウンタ用クロック入力端子8で兼用できる。
【0045】
以上のような回路構成とすることで、トリミングデータ入力端子、また、トリミングクロックを入力するクロック入力端子が不要となるため、端子、つまりパッドが減りチップサイズが大きくなるのを防ぐことが可能となる。
【0046】
なお、本発明の第2の実施例におけるセレクタ回路11、デマルチプレクサ回路7は、MOSトランジスタで構成されたアナログスイッチの他、同機能のものであれば特に限定されない。また、カウンタ回路3も同機能のものであればDフリップフロップに限定されない。また、トリミング回路1A〜1Cは、切断可能な配線を有し配線の切断の有無により特性を調整することが可能であれば回路構成は限定されない。また、内部回路入力端子17とカウンタ用クロック入力端子6を共用することが出来ない場合は、別々の端子としても良い。
【0047】
次にトリミングの手順については、実施例1と同様なので、説明を省略する。以上のようなトリミング方法とすることで、不良サンプルを減らし効率の良いトリミングが可能となる。
【0048】
本発明の第2の実施例は、以上のように、パッド数が減りチップサイズの増大を防ぎ、また、効率の良いトリミングを行うことが可能であることから、ほとんどコストアップさせずに、トリミングを行う前に仮トリミングを行うことで、トリミングを行った場合と同等の特性を測定し、トリミングの後に所定の特性が得られないということを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の仮トリミングを可能とする半導体回路の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明の仮トリミングを可能とする半導体回路の第2の実施例を示す図である。
【図3】本発明の仮トリミングを可能とする半導体回路の第1、第2の実施例のトリミングクロックの入力方法を示す図である。
【図4】本発明の仮トリミングを可能とする半導体回路のトリミング方法を示す図である。
【図5】本発明の仮トリミングを可能とする半導体回路のトリミングテーブル例を示す図である。
【図6】特許文献1記載の仮トリミングを可能とする半導体回路の模式図である。
【図7】特許文献2記載の仮トリミングを可能とする半導体回路の模式図である。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B,1C:トリミング回路、O1A,O1B,O1C:トリミング回路出力、2:セレクタ回路、2A,2B,2C,2D,2E:スイッチ、3:カウンタ回路、3A,3B,3C:フリップフロップ回路、O3A,O3B,O3C:カウンタ回路出力、O3AX,O3BX,O3CX:カウンタ回路反転出力、4:被調整回路、5:モード切替端子、6:クロック入力端子、7:デマルチプレクサ回路、8:内部回路入力端子兼カウンタ用クロック入力端子、9:セレクタ制御入力端子、10:内部回路、11:セレクタ回路、11A,11B,11C:スイッチ、12:シフトレジスタ回路、O12A,O12B,O12C:シフトレジスタ回路出力、13:トリミングデータ入力端子、13A,13B,13C:トリミングデータ入力端子、14:セレクタ制御入力端子兼クロック入力端子、15A,15B,15C:レジスタ回路、O15A,O15B,O15C:レジスタ回路出力、16:クロック入力端子、17:内部回路入力、18:半導体回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセスの後のテスト工程で特性の合わせ込みのために配線の切断/非切断が行われるn個のトリミング回路と、該n個のトリミング回路が接続される被調整回路とを有する半導体回路において、
セレクタ回路と、n個のフリップフロップ回路とを備え、
前記セレクタ回路を第1のモードに設定することで、前記n個のトリミング回路がそれぞれ前記n個のフリップフロップ回路を経由して前記被調整回路に接続され、
前記セレクタ回路を第2のモードに設定することで、前記n個のフリップフロップ回路がnビットのカウンタ回路を構成し、該カウンタ回路の出力が前記被調整回路に接続される、
ことを特徴とする半導体回路。
【請求項2】
半導体プロセスの後のテスト工程で特性の合わせ込みのために配線の切断/非切断が行われるn個のトリミング回路と、該n個のトリミング回路が接続される被調整回路とを有する半導体回路において、
セレクタ回路と、n個ビットのカウンタ回路とを備え、
前記セレクタ回路を第1のモードに設定することで、前記n個のトリミング回路がそれぞれ前記被調整回路に直接接続され、
前記セレクタ回路を第2のモードに設定することで、前記カウンタ回路の出力が前記被調整回路に接続される、
ことを特徴とする半導体回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体回路において、
前記被調整回路を含む内部回路の入力端子と前記カウンタ回路のクロック入力端子とに共用される共用入力端子を備え、
該共用入力端子は、前記セレクタ回路を前記第1のモードに設定したときは前記内部回路の入力端子として機能し、前記セレクタ回路を前記第2のモードに設定したときは前記カウンタ回路のクロック入力端子として機能する、
ことを特徴とする半導体回路。
【請求項4】
被調整回路に接続されたn個のトリミング回路によるトリミングに先立ち、前記被調整回路に仮トリミングを行い、該仮トリミングの結果に応じて前記n個のトリミング回路の配線の切断/非切断を行うトリミング方法において、
複数の半導体回路についての被調整回路の特性を2種類に分類した結果と該各分類特性を規定値の範囲内に合わせ込む2個のトリミングパターンとの組み合わせからなるトリミングテーブルを取得し、
被調整回路の現在の特性に応じて、前記トリミングテーブルに基づきトリミングパターンを選択し、該トリミングパターンをnビットのカウンタ回路のカウント値で実現し、該カウンタ回路の前記カウンタ値の出力を前記被調整回路に接続して仮トリミングを行い、
該仮トリミングされた前記被調整回路の特性を測定し、
該測定結果が前記規定値の範囲内にあるとき、前記トリミング回路に対して、前記仮トリミングと同じトリミングパターンとなるよう配線の切断/非切断を行う、
ことを特徴とするトリミング方法。
【請求項5】
請求項4に記載のトリミング方法において、
前記仮トリミングされた前記被調整回路の特性の測定結果が、前記規定値の範囲からはずれ、且つ前記カウンタ回路の前記カウント値より前の第1のカウント値で実現されるトリミングパターンに対応するとき、
前記カウンタ回路をリセットしてから前記第1のカウント値までカウントし、該カウント値の出力を前記被調整回路に接続して再仮トリミングを行い、
該再仮トリミングされた前記被調整回路の特性を測定し、
該測定結果が前記規定値の範囲内にあるとき、前記トリミング回路に対して、前記再仮トリミングと同じトリミングパターンとなるよう配線の切断/非切断を行う、
ことを特徴とするトリミング方法。
【請求項6】
請求項4に記載のトリミング方法において、
前記仮トリミングされた前記被調整回路の特性の測定結果が、前記規定値の範囲からはずれ、且つ前記カウンタ回路の前記カウント値を越えた第2のカウント値で実現されるトリミングパターンに対応するとき、
前記カウンタ回路をさらに前記第2のカウント値までカウントし、該カウント値の出力を前記被調整回路に接続して再仮トリミングを行い、
該再仮トリミングされた前記被調整回路の特性を測定し、
該測定結果が前記規定値の範囲内にあるとき、前記トリミング回路に対して、前記再仮トリミングと同じトリミングパターンとなるよう配線の切断/非切断を行う、
ことを特徴とするトリミング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−239133(P2009−239133A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85223(P2008−85223)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000191238)新日本無線株式会社 (569)
【Fターム(参考)】