説明

半導体基板、半導体基板の製造方法、電子デバイス、および電子デバイスの製造方法

【課題】結晶薄膜を有する半導体基板の設計および上記結晶薄膜の膜質および膜厚の制御を容易にできる半導体基板を提供する。
【解決手段】ベース基板と、ベース基板上に、一体にまたは分離して設けられ、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層とを備え、阻害層は、ベース基板まで阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の第1開口領域を有し、複数の第1開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の第1開口を含み、複数の第1開口の一部は、電子素子が形成されるべき第1化合物半導体が設けられている第1素子形成開口であり、複数の第1開口の他の一部は、電子素子が形成されない第1ダミー開口である半導体基板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、半導体基板の製造方法、電子デバイス、および電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、活性領域にGaAs等の3−5族化合物半導体を用いた半導体デバイスが開発されている。例えば、特許文献1には、GaAs基板上に、AlGaAsのバッファ層およびGaAsのチャネル層の結晶薄膜が積層された化合物半導体エピタキシャルウエハが開示されている。
(特許文献1)特開平11−345812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
結晶薄膜を半導体デバイスの活性領域として用いる場合には、半導体基板上に結晶薄膜の膜質および膜厚が均一な膜を形成することが必要とされる。半導体基板のいずれの位置においても膜質および膜厚が均一になる成膜条件を選択することにより、半導体基板上のさまざまな位置に形成される電子素子の特性を均一にすることができる。しかしながら、結晶薄膜の成長は、反応容器内の熱移動、原料または反応中間体の物質移動、気相反応、および表面反応等のさまざまな現象の影響を受けるので、電子素子の配置に応じて成膜条件を設計することは困難である。特に、基板の一部に半導体を選択成長させる場合には、結晶薄膜の成長速度が、選択成長部のサイズおよび形状等に依存することが多いので、設計と制御が一層困難になる。
【0004】
また、半導体基板上に形成される電子素子の試作後に、試作した電子素子の特性に応じて、半導体基板における結晶薄膜の配置を変更しなければならない場合がある。結晶薄膜成長のプロセス条件等を設計し直すことが必要になると、設計着手から製造着手までの時間が長くなる。さらに、結晶薄膜上に形成するデバイスの仕様に応じて結晶薄膜成長のプロセス条件等を最適化することは、製造コストを増加させる要因である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、ベース基板と、ベース基板上に、一体にまたは分離して設けられ、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層とを備え、阻害層は、ベース基板まで阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の第1開口領域を有し、複数の第1開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の第1開口を含み、複数の第1開口の一部は、電子素子が形成されるべき第1化合物半導体が設けられている第1素子形成開口であり、複数の第1開口の他の一部は、電子素子が形成されない第1ダミー開口である半導体基板を提供する。
【0006】
当該半導体基板において、例えば、少なくとも一部の第1ダミー開口に、第1化合物半導体と同一の組成の第2化合物半導体と、第2化合物半導体上に設けられた第1絶縁体とが設けられている。少なくとも一部の第1ダミー開口に、第1化合物半導体と同一の組成であり、かつ、第1化合物半導体よりも厚みが小さい第3化合物半導体が設けられていてもよい。少なくとも一部の第1ダミー開口には、第1化合物半導体と同一の組成の化合物半導体が設けられていなくてもよい。
【0007】
複数の第1開口領域において、例えば、複数の第1開口が格子状に配置されている。複数の第1開口領域が、等間隔に配置されていてもよい。また、複数の第1開口領域は、例えば、格子状に配置されている。
【0008】
第1化合物半導体は、例えば3−5族化合物半導体である。ベース基板はSi基板またはSOI基板であり、第1素子形成開口の内部には、ベース基板上に、第1化合物半導体に格子整合または擬格子整合する第1シード結晶がさらに設けられており、第1化合物半導体が第1シード結晶上で結晶成長していてもよい。第1シード結晶は、CSiGeSn1−x−y−z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ0≦x+y+z≦1)を含む。
【0009】
阻害層は、複数の第1開口領域内に設けられた複数の第1開口と異なる配置で設けられ、ベース基板まで阻害層を貫通する複数の第2開口を含む第2開口領域をさらに有してもよい。複数の第2開口の一部は、第1化合物半導体と同一の工程で形成される、電子素子を形成できる第4化合物半導体が設けられている第2素子形成開口であり、複数の第2開口の他の一部は、電子素子が形成されない第2ダミー開口であってもよい。
【0010】
ベース基板は、Si基板またはSOI基板であり、第2素子形成開口の内部には、ベース基板上に、第4化合物半導体に格子整合または擬格子整合する第2シード結晶が設けられており、第4化合物半導体が、第2シード結晶上で結晶成長していてもよい。第2シード結晶は、例えばCSiGeSn1−x−y−z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ0≦x+y+z≦1)を含む。
【0011】
本発明の第2の態様においては、ベース基板を準備する段階と、ベース基板上に、一体にまたは分離して、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層を設ける段階と、阻害層に、ベース基板まで阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の開口領域を形成する段階と、複数の開口の内部で化合物半導体を結晶成長させる段階と、複数の開口のうち、電子素子が形成されないダミー開口で結晶成長した化合物半導体の少なくとも一部を除去する段階とを備え、複数の開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の開口を含む半導体基板の製造方法が提供される。
【0012】
当該製造方法の複数の開口領域を形成する段階において、例えば、それぞれの複数の開口を格子状に配置する。また、複数の開口領域を形成する段階において、それぞれの複数の開口領域を等間隔に配置してもよい。さらに、複数の開口領域を形成する段階において、それぞれの複数の開口領域を格子状に配置してもよい。
【0013】
ベース基板は、Si基板またはSOI基板であり、化合物半導体を結晶成長させる段階の前に、ベース基板上に、化合物半導体に格子整合または擬格子整合するシード結晶を設ける段階をさらに備えてもよい。シード結晶は、CSiGeSn1−x−y−z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ0≦x+y+z≦1)結晶を含んでもよい。シード結晶を設ける段階においては、例えば、CSiGeSn1−x−y−z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ0≦x+y+z≦1)結晶の成長後または成長中に、CSiGeSn1−x−y−z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ0≦x+y+z≦1)結晶をアニールする。
【0014】
本発明の第3の態様においては、ベース基板を準備する段階と、ベース基板上に、一体にまたは分離して、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層を設ける段階と、阻害層に、ベース基板まで阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の開口領域を形成する段階と、複数の開口の内部で化合物半導体を結晶成長させる段階と、複数の開口のうち、電子素子が形成されないダミー開口で結晶成長した化合物半導体上に絶縁体を設ける段階とを備え、複数の開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の開口を含む半導体基板の製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第4の態様においては、ベース基板と、ベース基板上に、一体にまたは分離して設けられ、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層とを備え、阻害層は、ベース基板まで阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の第1開口領域を有し、複数の第1開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の第1開口を含み、複数の第1開口の一部は、電子素子が形成されるべき第1化合物半導体が設けられている第1素子形成開口であり、複数の第1開口の他の一部は、電子素子が形成されない第1ダミー開口である半導体基板の第1化合物半導体上に電子素子が形成された電子デバイスが提供される。
【0016】
当該電子デバイスは、例えば、複数の第1化合物半導体を有し、複数の第1化合物半導体のそれぞれに電子素子が形成され、それぞれの電子素子を互いに電気的に結合する配線と、少なくとも一部の第1ダミー開口に設けられた、第1化合物半導体と同一の組成の第2化合物半導体と、第2化合物半導体上に設けられ、第2化合物半導体と配線とを絶縁する絶縁体とをさらに備える。電子デバイス上には、電子素子を試験する試験素子が、ベース基板上の、複数の第1開口領域と異なる領域に形成されていてもよい。
【0017】
当該電子素子は、増幅素子、スイッチング素子、集積回路を構成する集積回路素子、電気を光に変換する発光素子、および、受光する光に応じた電圧または電流を出力する受光素子、からなる群から選択された少なくとも1つの電子素子である。ベース基板は、Si基板またはSOI基板であり、Si基板またはSOI基板のシリコン結晶に形成されたシリコン素子をさらに備え、シリコン素子の少なくとも1つと、電子素子の少なくとも1つとが、電気的に結合されていてもよい。
【0018】
本発明の第5の態様においては、ベース基板を準備する段階と、ベース基板上に、一体にまたは分離して、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層を設ける段階と、阻害層に、ベース基板まで阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の開口領域を形成する段階と、複数の開口の内部で化合物半導体を結晶成長させる段階と、複数の開口のうち、電子素子が形成されないダミー開口で結晶成長した化合物半導体の少なくとも一部を除去する段階と、複数の開口のうち、電子素子を形成すべき素子形成開口で結晶成長した化合物半導体上に電子素子を形成する段階とを備え、複数の開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の開口を含む電子デバイスの製造方法が提供される。ベース基板は、Si基板またはSOI基板であり、阻害層を設ける段階の前に、活性領域がシリコン材料であるシリコン素子をベース基板に形成する段階と、シリコン素子と電子素子とを電気的に結合する配線を形成する段階とをさらに備える。
【0019】
本発明の第6の態様においては、ベース基板を準備する段階と、ベース基板上に、一体にまたは分離して設けられ、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層を設ける段階と、阻害層に、ベース基板まで阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の開口領域を形成する段階と、複数の開口の内部で化合物半導体を結晶成長させる段階と、複数の開口のうち、電子素子が形成されないダミー開口で結晶成長した化合物半導体上に絶縁体を設ける段階と複数の開口のうち、電子素子を形成すべき素子形成開口で結晶成長した化合物半導体上に電子素子を形成する段階とを備え、複数の開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の開口を含む電子デバイスの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】半導体基板110の平面図の一例を概略的に示す。
【図2】図1に示した半導体基板110のA−A’の断面を示す。
【図3A】半導体基板110の平面図の他の一例を示す。
【図3B】半導体基板110の平面図の他の一例を示す。
【図3C】半導体基板110の平面図の他の一例を示す。
【図3D】半導体基板110の平面図の他の一例を示す。
【図3E】半導体基板110の平面図の他の一例を示す。
【図3F】半導体基板110の平面図の他の一例を示す。
【図3G】半導体基板110の平面図の他の一例を示す。
【図4】電子デバイス400の断面図の一例を概略的に示す。
【図5】電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。
【図6】電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。
【図7】電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。
【図8】電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。
【図9】電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。
【図10】電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。
【図11A】電子デバイス500の断面の一例を示した断面図である。
【図11B】電子デバイス500における阻害層504の平面パターンを示した平面図である。
【図12A】電子デバイス500の製造方法の一例を示した断面図である。
【図12B】電子デバイス500の製造方法の一例を示した断面図である。
【図12C】電子デバイス500の製造方法の一例を示した断面図である。
【図12D】電子デバイス500の製造方法の一例を示した断面図である。
【図13】半導体基板1110の平面図の一例を概略的に示す。
【図14A】電子デバイス400における化合物半導体の膜厚分布を示すグラフである。
【図14B】電子デバイス400における化合物半導体の膜厚分布を示すグラフである。
【図15A】電子デバイス400のレーザ顕微鏡による写真である。
【図15B】電子デバイス400のレーザ顕微鏡による写真である。
【図16A】電子デバイス500のレーザ顕微鏡による写真である。
【図16B】電子デバイス500のレーザ顕微鏡による写真である。
【図17】電子デバイス500のトランジスタ特性を示すグラフである。
【図18】電子デバイス500の断面TEM写真である。
【図19A】電子デバイス500における化合物半導体の膜厚分布を示すグラフである。
【図19B】電子デバイス500における化合物半導体の膜厚分布を示すグラフである。
【図19C】電子デバイス500における化合物半導体の膜厚分布を示すグラフである。
【図20】比較例における化合物半導体の膜厚分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合がある。図面相互間においても互いの寸法の関係又は比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0022】
図1は、半導体基板110の平面図の一例を示す。図2は、図1に示した半導体基板110のA−A’の断面を示す。半導体基板110は、ベース基板120および阻害層130を備える。阻害層130は、ベース基板120上に、一体にまたは分離して設けられ、化合物半導体の結晶成長を阻害する。
【0023】
例えば、MOCVD法を用いて化合物半導体の結晶をエピタキシャル成長させる場合において、阻害層130は、化合物半導体の結晶が阻害層130の表面でエピタキシャル成長することを阻害する。阻害層130は、例えば、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層、窒化タンタル層もしくは窒化チタン層、またはこれらを積層した層である。阻害層130の厚みは、例えば0.05〜5μmである。阻害層130は、例えば、CVD法またはスパッタ法により形成される。
【0024】
阻害層130は、一例として、ベース基板120の全面に一体となって設けられる。また、阻害層130は、ベース基板120の複数の異なる領域に分離して設けられてもよい。阻害層130は、ベース基板120の全面に形成された後に、一部の領域をエッチングにより除去することで、複数の領域に分離される。
【0025】
阻害層130は、複数の開口領域140を有する。複数の開口領域140は、阻害層130をベース基板120にまで貫通し、それぞれの開口領域140の内部に同一の配置で設けられた複数の開口146を有する。具体的には、開口領域140のそれぞれが有する複数の開口146の基準位置を相互に接続して形成される図形は、全ての開口領域140において合同である。
【0026】
素子形成開口142の基準位置は、例えば、素子形成開口142の中心点である。なお、素子形成開口142の基準位置として、素子形成開口142を均質な剛体の一断面とみなした場合の重心点を用いてもよい。
【0027】
開口146の内部では、化合物半導体の結晶を選択成長させることができる。開口146は、ベース基板120の主面に略垂直な積層方向に、阻害層130をベース基板120にまで貫通する。開口146は、例えば、エッチング等のフォトリソグラフィ法により形成される。
【0028】
ここで、本明細書において、「略垂直な方向」とは、厳密に垂直な方向だけでなく、基板および各部材の製造誤差を考慮して、垂直からわずかに傾いた方向をも含む。なお、ベース基板120に阻害層130を積層した方向を積層方向と称する。
【0029】
半導体基板110の製造工程においては、複数の開口146の全てに同一工程内で同一の化合物半導体を結晶成長させる。複数の開口146の一部は、電子素子が形成されるべき化合物半導体が設けられる素子形成開口142である。複数の開口146の他の一部は、電子素子が形成されないダミー開口144である。つまり、素子形成開口142内の化合物半導体には、電子素子が形成される。これに対して、ダミー開口144内の化合物半導体には、電子素子が形成されない。ダミー開口144内の化合物半導体上には、絶縁体が設けられてもよい。また、ダミー開口144内の化合物半導体は、除去されてもよい。
【0030】
図1において、それぞれの開口領域140は、4個の開口146を有する。開口領域140は、任意の数の開口146を有してもよい。複数の開口146は、例えば規則的に配置される。「規則的に配置する」とは、複数の素子形成開口142の基準位置間の距離が一定である位置、または周期的に変化する位置に配置することをいう。
【0031】
複数の開口146は、それぞれの開口領域140内に、例えば格子状に配置される。一例として、複数の開口146の基準位置としての中心点が、第1の方向に一直線に配置されるとともに、第1の方向と直交する第2の方向にも一直線に配置される。
【0032】
複数の開口146は、例えば幅がW、長さがLの長方形の格子状に配置される。複数の開口146は、幅Wおよび長さLが等しい正方形の格子状に、相互の距離が等しく配置されてもよい。複数の開口146は、第1の方向と第2の方向とが直交しない角度で交差する平行四辺形またはひし形からなる格子状に配置されてもよい。第1の方向および第2の方向のそれぞれにおいて複数の開口146が等間隔に並ぶ格子状に配置することによって、それぞれの開口146で結晶成長する化合物半導体の膜質および膜厚を均一にすることが容易になる。
【0033】
複数の開口領域140は、例えば、等間隔に配置される。複数の開口領域140は、格子状に配置されてもよい。複数の開口領域140が等間隔に配置されることにより、ベース基板120における複数の素子形成開口142の平均密度が均一になる。その結果、複数の素子形成開口142のそれぞれにおいて結晶成長する化合物半導体の膜質および膜厚の均一性が向上する。
【0034】
半導体基板110は、複数の素子形成開口142の全てに同一の工程内で同一の化合物半導体を結晶成長させて製造される。従って、複数の素子形成開口142のうちのいずれの開口146が素子形成開口142として選択される場合であっても、選択された素子形成開口142内の化合物半導体は同等の膜質および膜厚となる。つまり、半導体基板110に形成される電子素子は、同質の化合物半導体上に形成される。その結果、複数の素子形成開口に形成される電子素子は、それぞれ同等の特性を有する。
【0035】
複数の素子形成開口142の全てに同一工程内で同一の化合物半導体を結晶成長させる場合には、単一のプロセス条件を用いて化合物半導体を結晶成長させることができる。従って、複数の素子形成開口142のうちのいずれの素子形成開口142に電子素子が形成される場合であっても、電子素子を形成する素子形成開口142の位置の組み合わせごとにプロセス条件を設定する工数が削減される。その結果、半導体基板を効率よく製造することができる。
【0036】
なお、素子形成開口142は、ダミー開口144に囲まれるように配置されることが好ましい。素子形成開口142を、ダミー開口144に囲まれるように配置することにより、複数の素子形成開口142のそれぞれの内部に結晶成長する化合物半導体の膜質および膜厚の均一性が向上する。
【0037】
図2に示すとおり、阻害層130はベース基板120の主面126上に設けられる。阻害層130は複数の開口146を有する。具体的には、阻害層130は、素子形成開口142−1、素子形成開口142−2、ダミー開口144−1、およびダミー開口144−2を有する。
【0038】
ベース基板120は、例えば、Si基板、SOI(Silicon−On−Insulator)基板、Ge基板、GOI(Germanium−On−Insulator)基板、GaAs基板、またはサファイア基板である。Si基板は、例えば単結晶Si基板である。
【0039】
素子形成開口142−1および素子形成開口142−2の内部には、第1化合物半導体160が設けられている。素子形成開口142−1および素子形成開口142−2に設けられた第1化合物半導体160には、例えばHBT(Heterojunction Bipolar Transistor)、FET(Field−Effect Transistor)などの電子素子が形成される。
【0040】
第1化合物半導体160は、ベース基板120の主面126に接する。第1化合物半導体160は、化合物半導体を含む複数の層を有してもよい。第1化合物半導体160は、例えば3−5族化合物半導体である。第1化合物半導体160は、CSiGeSn1−x−y−z結晶を有してもよい。ここで、x、y及びzは、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ0≦x+y+z≦1を満たす実数を表す。x、y及びzは、0≦x<1、かつ0<x+y+z≦1であることが好ましい。以下の説明における、x、y及びzの範囲についても同様である。
【0041】
第1化合物半導体160は、例えば、エピタキシャル成長法により形成される。第1化合物半導体160は、例えば、化学気相析出法(CVD法とも称する)、有機金属気相成長法(MOCVD法とも称する)、分子線エピタキシ法(MBE法とも称する)、または原子層成長法(ALD法とも称する)により形成される。
【0042】
第1化合物半導体160をアニールしてもよい。第1化合物半導体160の内部には、ベース基板120と第1化合物半導体160との格子定数の違い等により、格子欠陥等の欠陥が発生する場合がある。当該欠陥は、第1化合物半導体160を加熱してアニールすることにより、第1化合物半導体160の内部を移動する。
【0043】
上記の欠陥は、第1化合物半導体160の内部を移動して、第1化合物半導体160の界面または第1化合物半導体160の内部にあるゲッタリングシンク等に捕捉される。その結果、第1化合物半導体160をアニールすることにより、第1化合物半導体160の結晶性が向上する。第1化合物半導体160は、非晶質または多結晶のCSiGeSn1−x−y−zをアニールして形成してもよい。
【0044】
第1化合物半導体160を複数の段階に分けてアニールしてもよい。例えば、第1化合物半導体160の融点に達しない温度で第1化合物半導体160に高温アニールを実施した後、高温アニールの温度より低い温度での低温アニールを実施する。このような2段階のアニールを、複数回繰り返してもよい。第1化合物半導体160がCSiGeSn1−x−y−zを有する場合、高温アニールの温度および時間は、例えば、850〜900℃で2〜10分間である。低温アニールの温度および時間は、例えば、650〜780℃で2〜10分間である。
【0045】
ダミー開口144−1の内部には、第1化合物半導体160および絶縁体190が設けられている。絶縁体190は、例えば、第1化合物半導体160がダミー開口144−1で結晶成長した後で設けられる。絶縁体190の上には、電子素子が形成されない。
【0046】
ダミー開口144−2の内部には、第1化合物半導体160が設けられていない。例えば、ダミー開口144−2内で第1化合物半導体160を結晶成長させた後で、エッチング等により第1化合物半導体160が削除されている。ダミー開口144−2には電子素子が形成されない。
【0047】
開口146は、例えば(√3)/3以上のアスペクト比を有する。アスペクト比が(√3)/3以上の開口146の内部に、ある程度の厚さを有する結晶が形成されると、当該結晶に含まれる格子欠陥等の欠陥が、開口146の壁面でターミネートされる。その結果、開口146に露出した上記結晶の表面は、当該結晶が形成された時点で優れた結晶性を備える。
【0048】
ここで、本明細書において、「開口のアスペクト比」とは、「開口の深さ」を「開口の幅」で除した値をいう。例えば、電子情報通信学会編「電子情報通信ハンドブック 第1分冊」(751ページ、1988年、オーム社発行)によると、アスペクト比の定義として「エッチング深さ/パターン幅」が記載されている。本明細書においても、同様の意義でアスペクト比の用語を用いる。
【0049】
なお、「開口の深さ」は、基板上に薄膜を積層した場合の積層方向の深さである。「開口の幅」は、積層方向に垂直な方向の幅である。複数の開口の幅がある場合には、開口のアスペクト比の算出にあたり、最小の幅を用いる。たとえば、開口の積層方向から見た形状が長方形である場合、長方形の短辺の長さをアスペクト比の計算に用いる。
【0050】
開口の形状が円形、長円(rounded rectangular)形、または楕円形である場合には、それぞれの直径または短径が「開口の幅」に相当する。さらに開口の積層方向の断面形状も任意の形状であってよい。当該断面形状は、例えば、矩形、台形、または放物線形状などである。断面形状が台形である場合、最短の長さとなる開口部底面の幅あるいは開口部入り口の幅が「開口部の幅」に相当する。
【0051】
開口の積層方向から見た形状が長方形または正方形であり、積層方向の断面形状が矩形の場合、開口部内部の立体形状は直方体である。開口部内部の立体形状は、直方体以外の任意の形状であってもよい。直方体以外の立体形状を有する開口のアスペクト比を算出する場合には、開口部内部の立体形状を直方体に近似してアスペクト比を算出する。
【0052】
図3Aは、半導体基板110の平面図の他の一例を示す。同図においては、阻害層130は、複数の開口領域140と異なる配置の開口を含む開口領域150および開口領域170をさらに有する。開口領域150は、複数の開口156を有する。複数の開口156の一部は、複数の開口領域140と同じ工程で形成される、電子素子を形成できる化合物半導体が設けられる素子形成開口152である。当該化合物半導体は、複数の開口146内に第1化合物半導体160を形成する場合と同一の原料および同一の製法を用いて形成される。素子形成開口152には、例えば開口領域140に設けられた化合物半導体の検査に用いられるTEG(Test Element Group)デバイスが形成されていてもよい。
【0053】
複数の開口156の他の一部は、電子素子が形成されないダミー開口154である。素子形成開口152には、素子形成開口142に設けられている化合物半導体と同一の組成の化合物半導体が設けられてもよい。ダミー開口154においては、ダミー開口154内に設けられた化合物半導体が除去されていてもよい。また、ダミー開口154には、絶縁体が設けられていてもよい。
【0054】
開口領域150内の複数の開口156は、電子素子の形成以外の目的に使用されてもよい。例えば、複数の開口156の一部は、開口146および開口156の内部で選択成長した結晶の形状を確認したり、開口146内で結晶成長する化合物半導体の膜厚を制御したりすることを目的として使用される。
【0055】
開口領域170の形状は、開口領域140と同一である。ただし、開口領域170の内部に設けられている複数の開口176の配置は、複数の開口146の配置と異なっている。複数の開口176の一部は、電子素子が形成されるべき化合物半導体が設けられる素子形成開口172である。複数の開口176の他の一部は、電子素子が形成されないダミー開口174である。素子形成開口172には、素子形成開口172に設けられている化合物半導体と同一の組成の化合物半導体が設けられてもよい。
【0056】
図3Bは、半導体基板110の平面図の他の一例を示す。同図においては、複数の開口領域140は、異なる形状または異なる大きさの複数の開口146を有する。複数の開口146の形状は、任意の形状であってよい。当該形状は、たとえば正方形、長方形、円形、長円形、および楕円形である。開口領域140が異なる形状または異なる大きさの複数の素子形成開口142を有することにより、形成すべき電子素子の仕様に適した大きさの素子形成開口142に結晶成長した化合物半導体を使用することができる。
【0057】
図3Cは、半導体基板110の平面図の他の一例を示す。同図における半導体基板110は、複数の開口領域180をさらに備える。複数の開口領域180のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の開口186を有する。複数の開口186の一部は、電子素子が形成されるべき化合物半導体が設けられている素子形成開口182である。複数の開口186の他の一部は、電子素子が形成されないダミー開口184である。
【0058】
図3Cに示す構成においては、半導体基板110が、内部に同一の配置で設けられた複数の開口を有する開口領域を複数有する。半導体基板110が当該構成を有する場合には、膜質および膜厚が均一な化合物半導体を、半導体基板110に形成すべき電子素子または電子デバイスに要求される特性に応じた配置で設けることができる。
【0059】
図3Dは、半導体基板110の平面図の他の一例を示す。同図における複数の開口領域140は、相互に離れて格子状に設けられている。複数の開口領域140は、第1の方向(図3DにおけるX方向)および第1の方向と直交する第2の方向(図3DにおけるY方向)において、それぞれ異なる距離で等間隔に配置されている。
【0060】
図3Eは、半導体基板110の平面図の他の一例を示す。同図における複数の開口領域140は、半導体基板110上の位置Cを中心にして等しい角度で回転して配置されている。このように、複数の開口領域140は、回転対称性を有する周期的配列パターンに従って配置されてもよい。つまり、複数の開口領域140は、ベース基板120上の基準位置を中心とする円周上を、一定の回転角ごとに移動した位置に配置されてもよい。
【0061】
例えば、複数の開口146内に設けられる第1化合物半導体160が結晶構造を有する場合には、複数の開口領域140は、180度、120度、90度、または60度ずつ回転して配置される。複数の開口146内に設けられる第1化合物半導体160が準結晶構造を有する場合には、複数の開口領域140は、72度、45度、36度、または30度ずつ回転して配置される。複数の開口領域140は、鋭角72度および鈍角108度のひし形と、鋭角36度および鈍角144度のひし形とを組み合わせたペンローズ・タイル状に配置されてもよい。
【0062】
図3Fは、半導体基板110の平面図の他の一例を示す。同図においては、阻害層130は、ベース基板120上の複数の領域に分離されている。分離されたそれぞれの領域には、1個の開口146が形成されている。阻害層130は、複数の分離された領域を有する複数の開口領域140を有する。
【0063】
それぞれの開口領域140における、当該分離された領域以外の領域においては、ベース基板120が露出している。ベース基板120が露出した領域に、電子素子が設けられてもよい。例えば、ベース基板120が露出した領域は、素子形成開口142内の第1化合物半導体160に設けられる電子素子を試験する試験素子を形成するTEGデバイス領域として用いられる。
【0064】
図3Gは、半導体基板110の平面図の他の例を示す。半導体基板110における複数の開口領域140は、四辺形以外の多角形である。開口領域140以外の領域には、開口領域140に含まれる開口146と異なる形状の開口352および開口354が配置されている。開口352および開口354には、例えば、開口領域140内の開口146に形成される電子素子を試験する試験素子を形成してもよい。
【0065】
図4は、電子デバイス400の断面図の一例を概略的に示す。電子デバイス400は、半導体基板410、電子素子491、電子素子492、および配線498を備える。
【0066】
半導体基板410は、ベース基板420および阻害層430を有する。ベース基板420とベース基板120とは同様の構成を有する。ベース基板420は、例えばSi基板またはSOI基板等のSi結晶を有する基板である。阻害層430と阻害層130とは、同様の構成を有する。
【0067】
阻害層430は、ベース基板420の主面426上に設けられる。阻害層430は、複数の開口446を有する。複数の開口446の一部は、2個の素子形成開口442(442−1、442−2)であり、複数の開口446の他の一部は素子形成開口442に隣接する2個のダミー開口444(444−1、444−2)である。
【0068】
素子形成開口442は、電子素子が形成される第1化合物半導体470または第1化合物半導体471が内部に形成される開口である。ダミー開口444は、電子素子が形成されない開口である。
【0069】
エピタキシャル成長の原料である前駆体が過剰に供給される場合、ダミー開口444は、素子形成開口442への前駆体供給量の制御手段として機能する。半導体基板410がダミー開口444を有すると、第1化合物半導体470および第1化合物半導体471のエピタキシャル成長の間に、素子形成開口442だけでなくダミー開口444にも第1化合物半導体470および第1化合物半導体471の前駆体の一部が供給される。その結果、素子形成開口442への余分な前駆体の供給が抑制される。
【0070】
従って、第1シード結晶460、第1シード結晶461、第1化合物半導体470、および第1化合物半導体471は、素子形成開口442の内部で安定して成長する。このように、素子形成開口442における結晶成長が安定するので、素子形成開口442とともにダミー開口が設けられていない場合に比べて、半導体基板410の製造におけるプロセス条件の設定が容易になる。また、半導体基板410に結晶成長する第1化合物半導体470の膜質および膜厚の制御が容易になる。
【0071】
素子形成開口442およびダミー開口444は、同一の開口領域に含まれる。半導体基板410は、図4に示す個数および配置と異なる個数および配置の素子形成開口442およびダミー開口444を有してもよい。
【0072】
素子形成開口442−1の内部においては、ベース基板420、第1シード結晶460、および第1化合物半導体470が、主面426に略垂直な方向に、この順に配置される。素子形成開口442−2の内部においては、ベース基板420、第1シード結晶461、および第1化合物半導体471が、主面426に略垂直な方向に、この順に配置される。
【0073】
半導体基板410は、ダミー開口444−2の内部に、シード結晶462、第2化合物半導体472、および絶縁体482を有する。ダミー開口444−2の内部において、ベース基板420、シード結晶462、第2化合物半導体472、および絶縁体482が、主面426に略垂直な方向に、この順に配置される。半導体基板410は、他方のダミー開口444−1の内部に、絶縁体484を有する。絶縁体484は、ベース基板420に接する。ダミー開口444−1の内部には、第1化合物半導体470よりも厚みが小さい第3化合物半導体が設けられてもよい。当該第3化合物半導体上に、絶縁体484が設けられていてもよい。
【0074】
第1シード結晶460および第1シード結晶461は、第1化合物半導体470および第1化合物半導体471に良好なシード面を提供する。第1シード結晶460および第1シード結晶461は、ベース基板420または主面426に存在する不純物が、第1化合物半導体470および第1化合物半導体471の結晶性に悪影響を及ぼすことを抑制する。第1シード結晶460と第1シード結晶461とは、同一の工程で形成されてよく、同様の構成を有してよい。以下の説明では、第1シード結晶461についての説明を省略する。
【0075】
第1シード結晶460は、ベース基板420の主面426に接する。第1シード結晶460は、半導体の結晶を含む層である。第1シード結晶460は、例えば複数の層を含む。第1シード結晶460は、CSiGeSn1−x−y−z結晶を有してもよい。ベース基板420がSi基板またはSOI基板等のSi結晶を有する基板であり、第1化合物半導体がGaAs、GaAlAsなどの3−5族化合物半導体である場合には、第1シード結晶460は、CSiGeSn1−x−y−z結晶であることが好ましく、SiGe(0≦y≦0.1、0.9≦z≦1、かつy+z=1)であることがさらに好ましく、Ge結晶であることが特に好ましい。
【0076】
第1シード結晶460は、例えば、エピタキシャル成長法により選択成長させることができる。第1シード結晶460は、例えば、化学気相析出法、有機金属気相成長法、分子線エピタキシ法、または原子層成長法により形成される。第1シード結晶460は、エピタキシャル成長法などによりシード結晶層を形成した後、エッチングおよびフォトリソグラフィ法等によりパターニングすることで、ベース基板420の一部に形成してもよい。
【0077】
第1シード結晶460をアニールしてもよい。第1シード結晶460の内部には、ベース基板420と第1シード結晶460との格子定数の違い等により、格子欠陥等の欠陥が発生する場合がある。上記欠陥は、例えば、第1シード結晶460を加熱してアニールすることにより、第1シード結晶460の内部を移動して、第1シード結晶460の界面または第1シード結晶460の内部にあるゲッタリングシンク等に捕捉される。その結果、第1シード結晶460の結晶性が向上する。第1シード結晶460は、非晶質または多結晶のCSiGeSn1−x−y−zをアニールすることで形成してもよい。
【0078】
シード結晶462は、第1シード結晶460と同一の工程で形成される。シード結晶462は、ダミー開口444の内部に形成される以外は、第1シード結晶460および第1シード結晶461と同様の構成を有する。
【0079】
第1化合物半導体470は、第1シード結晶460と格子整合または擬格子整合する。第1化合物半導体470と第1化合物半導体160とは同様の構成を有する。第1化合物半導体470は、第1シード結晶460に接する。第1化合物半導体470は、GaAs等の3−5族化合物半導体である。第1化合物半導体470は、例えばCSiGeSn1−x−y−zを含む。第1化合物半導体470は、複数の層を含んでもよい。第1化合物半導体470と第1シード結晶460との界面は、素子形成開口442の内部にある。第1化合物半導体470は、例えば、MOCVD法等のエピタキシャル成長法により形成される。
【0080】
ここで、本明細書において、「擬格子整合」とは、完全な格子整合ではないが、互いに接する2つの半導体の格子定数の差が小さく、格子不整合による欠陥の発生が顕著でない範囲で、互いに接する2つの半導体を積層できる状態をいう。このとき、各半導体の結晶格子が弾性変形できる範囲内で変形することで、上記格子定数の差が吸収される。例えば、GeとGaAsとの積層状態は、擬格子整合と呼ばれる。
【0081】
第1化合物半導体471は、第1化合物半導体470と同一の工程で形成される。第1化合物半導体471は、第1化合物半導体470と同様の構成を有する。第2化合物半導体472は、第1化合物半導体470と同一の工程で形成される。第2化合物半導体472は、シード結晶462と格子整合または擬格子整合する以外は、第1化合物半導体470および第1化合物半導体471と同様の構成を有する。
【0082】
絶縁体482は、第2化合物半導体472と配線498とを絶縁する。絶縁体482は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、その他の絶縁性酸化物または絶縁性窒化物である。また絶縁体482は、これら絶縁性酸化物または絶縁性窒化物の混合物または積層膜であってもよい。絶縁体482の他の例は、ガラス等のアモルファス物質、耐熱性有機物、耐熱性ポリマーである。絶縁体482は、例えば、熱CVD法、プラズマCVD法、スパッタ法、または塗布法により薄膜を形成した後、当該薄膜をパターニングして形成される。
【0083】
絶縁体484は、ベース基板420と配線498とを絶縁する。絶縁体484は、例えば、絶縁体482と同様の材料を含む。絶縁体484は、絶縁体482と同一の工程で形成されてもよい。絶縁体484は、例えば、第1化合物半導体と同一の工程においてダミー開口444に形成された化合物半導体の少なくとも一部が除去された後、ダミー開口444の内部に形成される。
【0084】
電子素子491は、第1化合物半導体470に形成される。電子素子491は、第1化合物半導体470をチャネル層に用いる。電子素子491は、例えばHBTである。電子素子491は、一対の入出力電極494と制御電極495とを有する。制御電極495は、電圧が印加され、一対の入出力電極494の間の電流を制御する。
【0085】
電子素子491は、HBTに限定されない。電子素子491は、増幅素子、スイッチング素子、集積回路を構成する集積回路素子、電気を光に変換する発光素子、および、受光する光に応じた電圧または電流を出力する受光素子のいずれかの電子素子であってもよい。増幅素子またはスイッチング素子として、FETあるいはHBTを例示できる。集積回路としてデジタルICを例示できる。発光素子としてpn接合を有する発光デバイス、受光素子としてpn接合またはショットキー接合を含む受光デバイスを例示できる。
【0086】
電子素子491の他の例は、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)、MISFET(Metal−Insulator−Semiconductor Field−Effect Transistor)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)等の半導体デバイス、半導体レーザー、発光ダイオード、発光サイリスタ等の発光デバイス、光センサ、受光ダイオード等の受光デバイス、太陽電池のような能動素子である。電子素子491の他の例は、抵抗、キャパシタ、インダクタ等の受動素子である。
【0087】
電子素子492は、第1化合物半導体471上に形成される。電子素子492は、例えば第1化合物半導体471をチャネル層に用いるHBTである。電子素子492は、一対の入出力電極496と制御電極497とを有する。制御電極497は、電圧が印加され、一対の入出力電極496の間の電流を制御する。電子素子492は、電子素子491と同様に、HBT以外の素子であってもよい。電子素子492は、例えば、電子素子491と電気的に結合される。電子素子491の一方の入出力電極494は、電子素子492の一方の入出力電極496と配線498により接続される。
【0088】
図5から図10を用いて、電子デバイス400の製造方法について説明する。また、半導体基板410の製造方法について説明する。
【0089】
図5は、電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。図5に示すとおり、まず、ベース基板420を準備する。ベース基板420は、Si結晶層を有するSi基板またはSOI基板である。続いて、ベース基板420の主面426に阻害層430を形成する。阻害層430を形成する段階において、例えば、CVD法により酸化シリコンが形成される。
【0090】
図6は、電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。図6に示すとおり、阻害層430に、ベース基板420の主面426に略垂直な方向に阻害層430を貫通する開口446を形成する。開口446は、例えば、エッチング等のフォトリソグラフィ法により形成される。阻害層430には、ベース基板420の主面426を露出させる複数の開口446が形成される。複数の開口446を形成する段階において、複数の開口446の一部の開口446を規則的に配置して形成してもよい。本実施形態においては、素子形成開口442−1、素子形成開口442−2、ダミー開口444−1、およびダミー開口444−2を等間隔に形成する。
【0091】
図7は、電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。図7に示すとおり、素子形成開口442−1および素子形成開口442−2の内部に、それぞれ第1シード結晶460および第1シード結晶461が設けられる。第1シード結晶460および第1シード結晶461は、Si基板またはSOI基板に含まれるSi結晶層に接してもよい。第1シード結晶460および第1シード結晶461は、例えば、CVD法によりCSiGeSn1−x−y−zを結晶成長させることで素子形成開口442−2の内部に設けられる。
【0092】
第1シード結晶460および第1シード結晶461を設ける段階において、ダミー開口444−2およびダミー開口444−1の内部に、それぞれシード結晶462およびシード結晶464が設けられる。シード結晶462およびシード結晶464は、第1シード結晶460および第1シード結晶461と同じ材料からなる。
【0093】
第1シード結晶460、第1シード結晶461、シード結晶462、およびシード結晶464が設けられた後、第1シード結晶460、第1シード結晶461、シード結晶462、およびシード結晶464をアニールしてもよい。なお、当該結晶の成長中にアニールを実施してもよい。なお、第1シード結晶460、第1シード結晶461、シード結晶462、およびシード結晶464は、複数の素子形成開口442および複数のダミー開口444のうちの一部の開口のみに設けてもよい。
【0094】
図8は、電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。図8に示すとおり、素子形成開口442−1および素子形成開口442−2の内部に、それぞれ第1化合物半導体470および第1化合物半導体471を結晶成長させる。第1化合物半導体470および第1化合物半導体471は、例えば、MOCVD法によりGaAsを結晶成長させる。第1化合物半導体470および第1化合物半導体471は、阻害層430の表面よりも凸に結晶成長してもよい。
【0095】
第1化合物半導体470および第1化合物半導体471を結晶成長する段階において、ダミー開口444−2およびダミー開口444−1の内部で、それぞれ第2化合物半導体472および第3化合物半導体474が結晶成長する。第2化合物半導体472および第3化合物半導体474は、第1化合物半導体470と同様の材料を含んでよく、第1化合物半導体470と同様の方法で結晶成長する。なお、第1化合物半導体470、第1化合物半導体471、第2化合物半導体472、および第3化合物半導体474は、複数の素子形成開口442および複数のダミー開口444のうちの一部の開口のみに設けてもよい。
【0096】
図9は、電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。図9に示すとおり、ダミー開口444−2の内部にある第2化合物半導体472の少なくとも一部が除去される。例えば、第2化合物半導体472は、阻害層430の表面より凹になるように、少なくとも一部が除去される。また、ダミー開口444−1の内部にある第3化合物半導体474およびシード結晶464が除去される。このとき、第1化合物半導体470および第1化合物半導体471は、除去されない。
【0097】
第2化合物半導体472、第3化合物半導体474、およびシード結晶464は、例えば、エッチングにより除去される。このとき、第1化合物半導体470および第1化合物半導体471は、例えば、レジストにより保護される。また、第2化合物半導体472、第3化合物半導体474、およびシード結晶464は、阻害層430の一部と一緒に除去される。なお、シード結晶462の少なくとも一部を除去してもよい。
【0098】
電子デバイス400の製造において、第2化合物半導体472を除去することは、必須ではない。例えば、第2化合物半導体472が阻害層430の表面よりも凸に形成されていない場合には、第2化合物半導体472を除去しなくてよい。
【0099】
図10は、電子デバイス400の製造過程の一例を概略的に示す。図10に示すとおり、ダミー開口444−2に、絶縁体482が形成される。絶縁体482は、第2化合物半導体472またはシード結晶462を覆うように形成される。絶縁体484は、第3化合物半導体474が除去されたダミー開口444−1の内部に形成される。絶縁体484を、第1化合物半導体470よりも厚みが小さくなるまで除去された第3化合物半導体474上に設けてもよい。絶縁体482および絶縁体484は、例えば、CVD法により形成された酸化シリコンである。
【0100】
続いて、第1化合物半導体470に、一対の入出力電極494および制御電極495を形成することで、電子素子491が形成される。入出力電極494および制御電極495は、例えば、真空蒸着法により、チタン(Ti)、金(Au)等の導電性材料の薄膜を形成し、当該薄膜をフォトリソグラフィ法などによりパターニングすることで得られる。
【0101】
同様にして、第1化合物半導体470に、一対の入出力電極496および制御電極497を形成して、電子素子492が形成される。さらに一方の入出力電極494と一方の入出力電極496とを接続する配線498を形成して、電子デバイス400が得られる。配線498は、例えば、真空蒸着法により、Ti、Au等の導電性材料の薄膜が形成され、当該薄膜をフォトリソグラフィ法などによりパターニングすることで得られる。
【0102】
図11Aは、電子デバイス500の断面の一例を示した断面図である。電子デバイス500は、ベース基板502、阻害層504、シード結晶506、化合物半導体508、絶縁体510、および電子素子512を有する。阻害層504は、ベース基板502の上に形成される。シード結晶506は、阻害層504で覆われないベース基板502上に形成されている。化合物半導体508は、シード結晶506に接してシード結晶506上に形成されている。
【0103】
図11Bは、電子デバイス500における阻害層504の平面パターンを示した平面図である。阻害層504は、ベース基板502の上に孤立して形成されており、各阻害層504には開口Aが形成されている。ここでは阻害層504ごとに一つの開口Aを備える場合を例示するが、各阻害層504に複数の開口Aが形成されてもよい。各阻害層504は孤立しているので、隣接する阻害層504の間には溝Bが形成される。シード結晶506は、開口Aの底部および溝Bの底部に形成される。開口Aのシード結晶506上に形成された化合物半導体508には電子素子512が形成され、溝Bのシード結晶506上に形成された化合物半導体508は絶縁体510で覆われている。
【0104】
図12Aから図12Dは、電子デバイス500の製造方法の一例を工程順に示した断面図である。図12Aに示すとおり、阻害層504を有するベース基板502が準備される。ベース基板502として、表面がシリコン結晶であるSi基板またはSOI基板が挙げられる。ベース基板502の上に阻害層504が形成される。阻害層504として、例えば、CVD法により酸化シリコンが形成される。
【0105】
図12Bに示すとおり、阻害層504を加工する。阻害層504は、ベース基板502の上面に沿って、互いに離して複数形成する。そして、離して形成した各阻害層504の間には溝Bが形成される。また離して形成した各阻害層504にはベース基板502まで貫通する開口Aが形成される。阻害層504の加工には、例えば、エッチング等のフォトリソグラフィ法を用いることができる。互いに離れて形成された阻害層504は規則的に形成されることが好ましい。互いに離れて形成された阻害層504には一個もしくは複数の開口が形成されてよい。
【0106】
本実施形態では、3つの孤立した阻害層504が等間隔に形成され、それぞれの阻害層504に1つずつ形成された3つの開口Aが等間隔に形成されている。開口A、及び阻害層504と隣接する阻害層504との間の溝Bは、ベース基板502の上面を露出させる。
【0107】
図12Cに示すとおり、開口Aの内部、及び溝Bの内部にはシード結晶506が形成される。シード結晶506は、表面がシリコンである基板またはSOI基板に含まれるシリコン結晶層に接することが好ましい。シード結晶506として、例えば、CVD法により形成されるCSiGeSn1−x−y−z結晶が挙げられる。シード結晶506が形成された後、シード結晶506は、アニールされることが好ましい。アニールは、シード結晶506の成長中に実施されてもよい。本実施形態において、全ての開口A、及び全ての溝Bにシード結晶506が形成される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、複数の開口Aのうち一部の開口Aの内部にシード結晶506が形成されてもよい。
【0108】
図12Dに示すとおり、開口Aの内部、及び溝Bの内部に、化合物半導体508が形成される。化合物半導体508として、例えば、MOCVD法により形成されたGaAsが挙げられる。化合物半導体508は、阻害層504の表面よりも凸に形成されることが好ましい。本実施形態において、全ての開口Aの内部、及び全ての溝Bの内部に、化合物半導体508が形成される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、複数の開口Aのうち一部の開口Aの内部あるいは溝Bの一部に化合物半導体508が形成されてもよい。
【0109】
溝Bに形成された化合物半導体508を覆うように絶縁体510を形成し、開口Aに形成された化合物半導体508に電子素子512を形成することで、図11Aおよび図11Bに示す電子デバイス500を製造できる。絶縁体510として、CVD法またはスパッタ法により形成される酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。電子素子512としてヘテロバイポーラトランジスタが挙げられる。電子素子512は周知の製造方法で製造できる。なお、開口Aに形成された化合物半導体508のうち、後の工程でデバイス加工を行わない化合物半導体508については、これを覆うように絶縁体510が形成されてもよい。
【0110】
図13は、半導体基板1110の他の実施形態の平面図を示す。図11Aおよび図11Bを用いて、開口の別の配置例について説明する。図11Aおよび図11Bに示すとおり、半導体基板1110は、阻害層1130、開口領域1140、および開口領域1150を備える。
【0111】
複数の開口領域1140のそれぞれは、複数の開口1146を同一の配置で有する。複数の開口1146の一部は、電子素子が形成されるべき素子形成開口1142である。複数の開口1146の他の一部は、電子素子が形成されないダミー開口1144である。
【0112】
開口領域1150においては、開口領域1140内の開口と異なる配置で複数の開口が設けられている。例えば、開口領域1150には、素子形成開口1152およびダミー開口1154が設けられている。素子形成開口1152には、電子素子を形成することができる。ダミー開口1154には、例えば、ダミー開口1154内に形成された化合物半導体上に絶縁体が設けられていることにより、電子素子を形成することができない。なお、開口領域1150が有する開口の一部は、開口領域1140の対応する位置に配置されていてもよい。
【0113】
半導体基板1110は、ベース基板120またはベース基板420と同様のベース基板1120を有する。そこで、半導体基板110または半導体基板410と同様の構成については、説明を省略する。また、開口領域1140は、開口領域140に対応して、同一の構成を有する。そこで、開口領域1140については、説明を省略する。
【0114】
素子形成開口1142は、素子形成開口142または素子形成開口442に対応して、同様の構成を有する。そこで、素子形成開口1142については、説明を省略する。素子形成開口1142の内部には、第1化合物半導体160または第1化合物半導体470と同様の構成を有する第1化合物半導体が形成される。なお、図11Aおよび図11Bにおいて、第1化合物半導体は図示されていない。
【0115】
ダミー開口1144はダミー開口444に対応する。ダミー開口1144の内部には、第2化合物半導体472と同様の構成を有する第2化合物半導体472、および、絶縁体482と同様の構成を有する絶縁体が形成される。ダミー開口1144の内部には、絶縁体484と同様の構成を有する絶縁体が形成されてもよい。
【0116】
素子形成開口1152は、第1化合物半導体が素子形成開口1142の内部で結晶成長する工程と同一の工程で結晶成長する第4化合物半導体を有する。第4化合物半導体は、第1化合物半導体160または第1化合物半導体470と同様の構成を有する。
【0117】
素子形成開口1152の内部には、第1シード結晶層と同様の構成を有する第2シード結晶が設けられてもよい。素子形成開口1152の内部において、ベース基板1120、第2シード結晶、および第4化合物半導体が、ベース基板1120の主面に略垂直な方向に、この順に配置される。なお、図11Aおよび図11Bにおいて、第4化合物半導体および第2シード結晶は図示されていない。
【0118】
ダミー開口1154の内部には、第1化合物半導体が素子形成開口1142の内部で結晶成長した工程と同一の工程で形成される第5化合物半導体と、第2絶縁体が設けられる。ダミー開口1154の内部において、ベース基板、第5化合物半導体、および第2絶縁体が、ベース基板1120の主面に略垂直な方向に、この順に配置される。
【0119】
当該第2絶縁体は、絶縁体484と同様の構成を有する。第2絶縁体は、ダミー開口1154の内部に、第1化合物半導体が素子形成開口1142の内部で結晶成長する工程と同一の工程で結晶成長した化合物半導体が除去された後に、ダミー開口1154の内部に形成される。
【0120】
ベース基板の一部に半導体を選択的に結晶成長させる選択成長技術は、電子デバイスの性能を向上する上で有用な技術である。しかし、電子デバイスの形成に必要な結晶薄膜の成長速度、結晶組成、ドーピング濃度、および結晶の3次元的形状等の重要パラメータは、選択成長部および阻害層のサイズ、形状等に依存する。この結果、電子デバイスの設計においては、これらの結晶成長条件を考慮する必要があり、電子デバイスごとに異なる位置で均一な膜質および膜厚を有する結晶薄膜を成長させるには、高度な技術と経験を要していた。
【0121】
以上に記載した実施形態によれば、同一の位置に複数の開口を有する複数の開口領域を有する半導体基板410を用いることで、電子デバイス400の設計と開発に際して、電子デバイス400ごとに異なる位置での結晶薄膜の成長に関わる設計部分の負担が大幅に削減される。この結果、電子デバイス400の設計および試作から最終製品に至る設計負荷並びに設計着手から製造着手までの時間の大幅な低減が可能になる。
【0122】
また、選択成長した結晶薄膜を有する半導体基板110の製造において、個々の電子デバイス設計に応じてカスタムメイドで半導体基板を設計および製作する場合に比べて、同一の位置に複数の開口を有する複数の開口領域を有する半導体基板110を準備することで製品の標準化が可能となる。この結果、高性能な半導体基板110のコストが低減するという工業的な意義が生じる。
【実施例】
【0123】
(実施例1)
図5から図10の手順に従って、電子デバイス400を作製した。ベース基板420として、市販のSOI基板を準備した。阻害層430として、酸化シリコン層をCVD法により形成した。酸化シリコン層の厚さは1μmであった。フォトリソグラフィ法により、複数の開口を形成した。複数の開口は、直交する2つの方向のそれぞれにおいて等間隔に形成されており、同一の平面形状を有する。開口の平面形状を一辺が10μmの正方形として、30μmピッチで等間隔に配置した。開口の一辺が10μmであるので、開口の間隔は20μmであった。開口は、シード結晶の膜厚が0.5μm、GaAsの膜厚が3μmになるように設計した。
【0124】
開口の内部に、Geのシード結晶を形成した。Geのシード結晶は、ハロゲンを含むCVD法により形成した。シード結晶は、成長温度が600℃、反応容器内の圧力が2.6kPaの条件で成膜した。シード結晶は、成膜後、850℃で10分間アニールした後、780℃で10分間アニールした。シード結晶の膜厚は0.5μmであり、設計どおりに形成できた。
【0125】
開口の内部に、シード結晶に接するGaAsを形成した。GaAsは、原料ガスとしてトリメチルガリウムとアルシンとを用いたMOCVD法により形成した。GaAsは、成長温度が650℃、反応容器内の圧力が9.9kPaの条件で成膜した。GaAsの膜厚は2.5μmであり、誤差は設計誤差の範囲であった。
【0126】
その後、一部の開口の内部のGaAsの一部をエッチングにより除去した。また、別の一部の開口の内部のGaAsおよびシード結晶を、酸化シリコン層と一緒に除去した。その後、GaAsの一部が除去された開口、およびGaAsおよびシード結晶と一緒に酸化シリコン層が除去された領域に、新たに酸化シリコン層を形成した。これにより、半導体基板410を作製した。また、半導体基板410の複数のGaAsのそれぞれにHBTを形成した。HBT同士を電気的に結合して、電子デバイス400を作製した。
【0127】
エッチピット法により活性層の表面を検査したところ、活性層の表面に欠陥は発見されなかった。第1シード結晶460の断面内部をTEMにより観察をしたところ、欠陥は発見されなかった。また、電子デバイス400は設計通りに動作した。
【0128】
(実施例2)
図5から図8の手順に従って、結晶成長を行った。ベース基板420として市販のSi基板を準備した。阻害層430として、酸化シリコン層を熱酸化法により形成した。酸化シリコン層の厚さは1μmであった。フォトリソグラフィ法により、酸化シリコン層に複数の開口を形成した。開口は、同一の平面形状を有する開口を等間隔に形成した。開口の平面形状は、一辺が10μmの正方形として、30μmピッチで等間隔に配置した。つまり、開口は、30μmごとに形成されている。開口内に膜厚が1μmとなるようシード結晶としてGe結晶を成長し、アニールを行った。その後、GaAs結晶を成長した。
【0129】
規則配列開口群内の各開口の中央での結晶成長膜厚をレーザ顕微鏡にて測定した。測定結果を図14Aおよび図14Bに示す。図14Aは、30μm□の開口が50μmピッチで形成された場合の結果である。横軸は、開口領域の端部からの距離である。端部近傍で膜厚の低下が見られるが、端部から遠ざかることで一定の膜厚に落ち着いていくことが見て取れる。図14Bは、40μm□の開口が50μmピッチで形成された場合の結果である。開口領域端部からの距離に対する膜厚の変化は、図14Aと同様であるが、その変化量及び膜厚の絶対値には違いがあることがわかる。これより、端部を除いて開口領域内では各開口に成長される結晶の膜厚は均一であることが確認できた。また、阻害層の大きさ、開口の大きさを調整することで、膜厚を調整できることがわかった。
【0130】
上記のように作成したGaAs結晶に電子デバイス400としてHBTを形成した。図15Aおよび図15Bは、作成したHBTのレーザ顕微鏡による写真である。
【0131】
(実施例3)
図12Aから図12Dの手順に従って、電子デバイス500としてHBTを作製した。ベース基板502として、市販のSi基板を準備した。阻害層504として、酸化シリコン層を熱酸化法により形成した。酸化シリコン層の厚さは、1μmであった。フォトリソグラフィ法により、複数の孤立した阻害層504を形成した。また、同時に阻害層504には開口Aを形成した。阻害層504の平面形状は一辺が40μmの正方形とし、その中央部に開口Aを形成した。開口Aの平面形状は一辺が20μmの正方形とした。阻害層504は50μmピッチで等間隔に形成した。阻害層504の一辺が40μmであるので、隣接する阻害層504間には溝Bが形成された。溝Bの間隔は10μmであった。開口Aは、シード結晶506の膜厚が1.0μm、GaAsの膜厚が1.0μmになるよう設計した。
【0132】
開口Aの内部に、CVD法によりGeのシード結晶506を形成した。シード結晶506は、成長温度が、600℃、反応容器内の圧力が0.5kPaの条件で成膜した。シード結晶506は、成膜後、800℃で10分間のアニールを実行した後680℃で10分間のアニールを実行するという2段階のアニールを10回繰り返した。阻害層504と隣接する阻害層504の間の阻害層504が存在しない溝Bにも同様にシード結晶506が形成された。
【0133】
開口Aの内部、溝Bの内部に、シード結晶506に接するGaAsを、化合物半導体508として形成した。GaAsは、原料ガスとしてトリメチルガリウムとアルシンとを用いたMOCVD法により形成した。GaAsは、成長温度が、650℃、反応容器内の圧力が8.0kPaの条件で成膜した。その上にGaAs、InGaP、InGaAsからなるヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)構造を同じくMOCVD法により形成した。予め設定した特定の開口Aの結晶について、フォトリソグラフィによる加工を行い、HBTデバイス構造を作製し、電子デバイス500を作製した。
【0134】
作製した電子デバイス500のレーザ顕微鏡による写真を図16Aおよび図16Bに示す。図16Aは、複数個の開口にHBT素子を作製し、それを並列接続した電子デバイス500を示す。図16Bは、単一の開口にHBT素子を作製した電子デバイス500を示す。作製した電子デバイス500に電流を注入したところ、図17に示すようなトランジスタ動作を確認できた。図17は、電子デバイス500のベース電流を37.5μAから150μAの範囲で変化させた場合のコレクタ電圧に対するコレクタ電流を示すグラフである。また電子デバイス500の一つを断面TEMにより観察を行ったところ、図18に示すように無転位であることが確認できた。
【0135】
(実施例4)
図12Aの手順に従って、結晶成長を行った。ベース基板502として市販のSi基板を準備した。Si基板上に酸化シリコン層を熱酸化法により形成した。酸化シリコン層の厚さは1μmであった。フォトリソグラフィ法により、酸化シリコン層に複数の阻害層504を形成した。基板成長面を上方から見て正方形に形成された阻害層504の中央に正方形の開口Aを形成した。阻害層504が50μmピッチで等間隔に配置されるよう加工を行った。開口A内に膜厚が1μmとなるようGeからなるシード結晶506を成長し、実施例3と同じ条件でアニールを行った後、GaAsを成長した。
【0136】
開口領域内の各開口の中央での結晶成長膜厚をレーザ顕微鏡にて測定した。測定結果を図19Aから図19Cに示す。図19Aは、開口Aの一辺の長さを20μmとし、阻害層504の一辺の長さを40μmとした場合の結果である。横軸は、開口領域の端部からの距離である。端部近傍で膜厚の低下が見られるが、端部から遠ざかることで一定の膜厚に落ち着いていくことが見て取れる。
【0137】
図19Bは、開口Aの一辺の長さを20μmとし、阻害層504の一辺の長さを35μmとした場合の結果である。図19Cは、開口Aの一辺の長さを30μmとし、阻害層の一辺の長さを40μmとした場合の結果である。図19Bおよび図19Cの結果は、開口領域端部からの距離に対する膜厚の変化は図19Aと同様であるが、その変化量及び膜厚の絶対値には違いがあることがわかる。これより、端部を除いて開口領域内では各開口Aに成長される結晶の膜厚は均一であることが確認できた。また、阻害層504の大きさ、開口Aの大きさを調整することで、膜厚を調整できることがわかった。
【0138】
(比較例1)
阻害層の大きさ、開口の大きさ、及び並び方が不規則であること以外は実施例4と同様に基板の加工を行い、シード結晶及びGaAsの成長を行った。各開口中央での結晶成長膜厚をレーザ顕微鏡にて測定した。測定結果を図20に示す。これより、阻害層及び開口の並び方が不規則であると各開口における膜厚にばらつきが生じることがわかる。
【0139】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0140】
110 半導体基板、120 ベース基板、126 主面、130 阻害層、140 開口領域、142 素子形成開口、144 ダミー開口、146 開口、150 開口領域、152 素子形成開口、154 ダミー開口、156 開口、160 第1化合物半導体、170 開口領域、172 素子形成開口、174 ダミー開口、176 開口、180 開口領域、182 素子形成開口、184 ダミー開口、186 開口、190 絶縁体、352 開口、354 開口、400 電子デバイス、410 半導体基板、420 ベース基板、426 主面、430 阻害層、442 素子形成開口、444 ダミー開口、446 開口、460 第1シード結晶、461 第1シード結晶、462 シード結晶、464 シード結晶、470 第1化合物半導体、471 第1化合物半導体、472 第2化合物半導体、474 第3化合物半導体、482 絶縁体、484 絶縁体、491 電子素子、492 電子素子、494 入出力電極、495 制御電極、496 入出力電極、497 制御電極、498 配線、500 電子デバイス、502 ベース基板、504 阻害層、506 シード結晶、508 化合物半導体、510 絶縁体、512 電子素子、1110 半導体基板、1120 ベース基板、1130 阻害層、1140 開口領域、1142 素子形成開口、1144 ダミー開口、1146 開口、1150 開口領域、1152 素子形成開口、1154 ダミー開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板上に、一体にまたは分離して設けられ、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層と
を備え、
前記阻害層は、前記ベース基板まで前記阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の第1開口領域を有し、
前記複数の第1開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の第1開口を含み、
前記複数の第1開口の一部は、電子素子が形成されるべき第1化合物半導体が設けられている第1素子形成開口であり、
前記複数の第1開口の他の一部は、電子素子が形成されない第1ダミー開口である半導体基板。
【請求項2】
少なくとも一部の前記第1ダミー開口に、
前記第1化合物半導体と同一の組成の第2化合物半導体と、
前記第2化合物半導体上に設けられた第1絶縁体と
が設けられている請求項1に記載の半導体基板。
【請求項3】
少なくとも一部の前記第1ダミー開口に、前記第1化合物半導体と同一の組成であり、かつ、前記第1化合物半導体よりも厚みが小さい第3化合物半導体が設けられている請求項1に記載の半導体基板。
【請求項4】
少なくとも一部の前記第1ダミー開口に、前記第1化合物半導体と同一の組成の化合物半導体が設けられていない請求項1に記載の半導体基板。
【請求項5】
前記複数の第1開口領域において、前記複数の第1開口が格子状に配置されている請求項1から請求項4の何れか一項に記載の半導体基板。
【請求項6】
前記複数の第1開口領域が、等間隔に配置されている請求項1から請求項5の何れか一項に記載の半導体基板。
【請求項7】
前記ベース基板はSi基板またはSOI基板であり、
前記第1素子形成開口の内部には、前記ベース基板上に、前記第1化合物半導体に格子整合または擬格子整合する第1シード結晶がさらに設けられており、
前記第1化合物半導体が前記第1シード結晶上で結晶成長した請求項1から請求項6の何れか一項に記載の半導体基板。
【請求項8】
前記阻害層は、前記複数の第1開口領域内に設けられた前記複数の第1開口と異なる配置で設けられ、前記ベース基板まで前記阻害層を貫通する複数の第2開口を含む第2開口領域をさらに有する請求項1から請求項7の何れか一項に記載の半導体基板。
【請求項9】
前記複数の第2開口の一部は、前記第1化合物半導体と同一の工程で形成される、電子素子を形成できる第4化合物半導体が設けられている第2素子形成開口であり、
前記複数の第2開口の他の一部は、電子素子が形成されない第2ダミー開口である請求項8に記載の半導体基板。
【請求項10】
前記ベース基板は、Si基板またはSOI基板であり、
前記第2素子形成開口の内部には、前記ベース基板上に、前記第4化合物半導体に格子整合または擬格子整合する第2シード結晶が設けられており、
前記第4化合物半導体が、前記第2シード結晶上で結晶成長した請求項9に記載の半導体基板。
【請求項11】
ベース基板を準備する段階と、
前記ベース基板上に、一体にまたは分離して、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層を設ける段階と、
前記阻害層に、前記ベース基板まで前記阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の開口領域を形成する段階と、
前記複数の開口の内部で前記化合物半導体を結晶成長させる段階と、
前記複数の開口のうち、電子素子が形成されないダミー開口で結晶成長した前記化合物半導体の少なくとも一部を除去する段階と
を備え、
前記複数の開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の開口を含む半導体基板の製造方法。
【請求項12】
ベース基板を準備する段階と、
前記ベース基板上に、一体にまたは分離して、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層を設ける段階と、
前記阻害層に、前記ベース基板まで前記阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の開口領域を形成する段階と、
前記複数の開口の内部で前記化合物半導体を結晶成長させる段階と、
前記複数の開口のうち、電子素子が形成されないダミー開口で結晶成長した化合物半導体上に絶縁体を設ける段階と
を備え、
前記複数の開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の開口を含む半導体基板の製造方法。
【請求項13】
前記ベース基板は、Si基板またはSOI基板であり、
前記化合物半導体を結晶成長させる段階の前に、前記ベース基板上に、前記化合物半導体に格子整合または擬格子整合するシード結晶を設ける段階をさらに備える請求項11または請求項12に記載の半導体基板の製造方法。
【請求項14】
前記シード結晶は、CSiGeSn1−x−y−z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ0≦x+y+z≦1)結晶を含む請求項13に記載の半導体基板の製造方法。
【請求項15】
前記シード結晶を設ける段階において、CSiGeSn1−x−y−z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ0≦x+y+z≦1)結晶の成長後または成長中に、前記CSiGeSn1−x−y−z(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、かつ0≦x+y+z≦1)結晶をアニールする請求項14に記載の半導体基板の製造方法。
【請求項16】
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の半導体基板の前記第1化合物半導体上に電子素子が形成された電子デバイス。
【請求項17】
複数の前記第1化合物半導体を有し、前記複数の第1化合物半導体のそれぞれに電子素子が形成され、
それぞれの前記電子素子を互いに電気的に結合する配線と、
少なくとも一部の前記第1ダミー開口に設けられた、前記第1化合物半導体と同一の組成の第2化合物半導体と、
前記第2化合物半導体上に設けられ、前記第2化合物半導体と前記配線とを絶縁する絶縁体と
をさらに備える請求項16に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記電子素子を試験する試験素子が、前記ベース基板上の、前記複数の第1開口領域と異なる領域に形成されている請求項16または請求項17に記載の電子デバイス。
【請求項19】
前記ベース基板は、Si基板またはSOI基板であり、
前記Si基板または前記SOI基板のシリコン結晶に形成されたシリコン素子をさらに備え、
前記シリコン素子の少なくとも1つと、前記電子素子の少なくとも1つとが、電気的に結合されている請求項16から請求項18の何れか一項に記載の電子デバイス。
【請求項20】
ベース基板を準備する段階と、
前記ベース基板上に、一体にまたは分離して、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層を設ける段階と、
前記阻害層に、前記ベース基板まで前記阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の開口領域を形成する段階と、
前記複数の開口の内部で前記化合物半導体を結晶成長させる段階と、
前記複数の開口のうち、電子素子が形成されないダミー開口で結晶成長した前記化合物半導体の少なくとも一部を除去する段階と、
前記複数の開口のうち、電子素子を形成すべき素子形成開口で結晶成長した前記化合物半導体上に電子素子を形成する段階と
を備え、
前記複数の開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の開口を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項21】
ベース基板を準備する段階と、
前記ベース基板上に、一体にまたは分離して設けられ、化合物半導体の結晶成長を阻害する阻害層を設ける段階と、
前記阻害層に、前記ベース基板まで前記阻害層を貫通する複数の開口を有する複数の開口領域を形成する段階と、
前記複数の開口の内部で前記化合物半導体を結晶成長させる段階と、
前記複数の開口のうち、電子素子が形成されないダミー開口で結晶成長した化合物半導体上に絶縁体を設ける段階と
前記複数の開口のうち、電子素子を形成すべき素子形成開口で結晶成長した前記化合物半導体上に電子素子を形成する段階と
を備え、
前記複数の開口領域のそれぞれは、内部に同一の配置で設けられた複数の開口を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項22】
前記ベース基板は、Si基板またはSOI基板であり、
前記阻害層を設ける段階の前に、活性領域がシリコン材料であるシリコン素子を前記ベース基板に形成する段階と、
前記シリコン素子と前記電子素子とを電気的に結合する配線を形成する段階と
をさらに備える請求項20または請求項21に記載の電子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図17】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−239130(P2010−239130A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52646(P2010−52646)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】