半導体発光装置
【課題】半導体発光素子からの出射光を効率良く外部へ取り出すことができる半導体発光装置を提供する。
【解決手段】半導体発光素子11と、半導体発光素子11が搭載される台座12と、半導体発光素子11からの光を通過させ、かつ半導体発光素子11に近い側から遠い側に向かって広口となる貫通孔16を備え、半導体発光素子11が封止されるキャップ13と、少なくとも一部がキャップ13の貫通孔16内に支持され、半導体発光素子11からの出射光を透過させる第1の透光部材17と、第1の透光部材17よりも大きい屈折率を有し、少なくとも一部がキャップ13の貫通孔16内に支持され、第1の透光部材17からの光を透過させる第2の透光部材18とを備える半導体発光装置。
【解決手段】半導体発光素子11と、半導体発光素子11が搭載される台座12と、半導体発光素子11からの光を通過させ、かつ半導体発光素子11に近い側から遠い側に向かって広口となる貫通孔16を備え、半導体発光素子11が封止されるキャップ13と、少なくとも一部がキャップ13の貫通孔16内に支持され、半導体発光素子11からの出射光を透過させる第1の透光部材17と、第1の透光部材17よりも大きい屈折率を有し、少なくとも一部がキャップ13の貫通孔16内に支持され、第1の透光部材17からの光を透過させる第2の透光部材18とを備える半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置に関し、より詳細には、高輝度で、紫外域光から赤色光を発光する発光ダイオード及び半導体レーザ等の半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源である半導体発光素子からの出射光をいかに効率よく外部へ取り出すかが、半導体発光装置にとって大きな課題となっており、このため、種々の開発がなされてきた。
例えば、従来のLED発光装置は、カップを有するリードフレーム上にLEDを載置し、LED全体を樹脂で封止している。封止樹脂は、カップ内部を充填する樹脂と、この樹脂を含めたカップ全体を包囲する樹脂とから構成される。このカップ内部を充填する樹脂には、LEDの発光波長を他の波長に変換又は一部吸収する蛍光物質が含まれており、LEDからの出射光が蛍光物質により波長変換される。変換光は、四方八方に散乱するが、ほとんどの変換光はカップ内部で反射して外部へ取り出される。
しかし、このような構成では、カップ内で反射された光の一部が戻り光となって、LEDに照射され、吸収されることがある。これにより、LEDの特性が悪化したり、出力光の減少及びライフ特性の悪化を招く。加えて、LEDと蛍光物質とが直接接触するため、LEDで発生した熱が蛍光物質に伝搬し、蛍光物質の特性を悪化させるとともに、封止樹脂にも伝搬し、封止樹脂を劣化させるという問題があった(特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、光広がり角の小さい発光装置を得るためには、LEDから出射された光を、できるだけ多くカップ内面で反射させる必要がある。そのために、カップのLED載置面の面積をLEDの底面より大きくし、カップの深さを深くし、LEDの側面からの光をカップの底面及び斜面の広い面積で反射させる。
しかし、LEDの側面からの出射光をカップ内で反射させることにより、出射光全体として減少するなどの問題を招く。
【0004】
また、蛍光物質の特性悪化を改善するために、LED又は半導体レーザと蛍光物質とを離間させて搭載する発光装置では、散乱光がLED又は半導体レーザ自体に吸収される割合が増加し、出力光の減少及びライフ特性の悪化がより顕著となり、発光効率の低い発光装置となるという問題もある(特許文献4〜7)。
さらに、上述した発光効率の低下を改善するために、LEDと蛍光物質とを離間させ、蛍光物質の外周に封止樹脂を設けた発光装置が提案されているが、この場合でも、一部の樹脂がLEDと接触しているため、LEDの発熱により、樹脂が劣化するという問題がある(特許文献6)。
【特許文献1】特開平10−163535
【特許文献2】特開2006−60244
【特許文献3】特開2005−194340
【特許文献4】特開平7−282609
【特許文献5】特開2005−19981
【特許文献6】特開平11−87778
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、半導体発光素子からの出射光を効率良く外部へ取り出すことができる半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体発光装置は、
半導体発光素子と、
該半導体発光素子が搭載される台座と、
該半導体発光素子からの光を通過させ、かつ前記半導体発光素子に近い側から遠い側に向かって広口となる貫通孔を備え、前記半導体発光素子が封止されるキャップと、
少なくとも一部が前記キャップの貫通孔内に支持され、前記半導体発光素子からの出射光を透過させる第1の透光部材と、
少なくとも一部が前記キャップの貫通孔内に支持され、蛍光体を含有し、前記第1の透光部材からの光を透過させる第2の透光部材とを備えることを特徴とする。
この半導体発光装置では、第2の透光部材が、第1の透光部材よりも大きい屈折率を有することが好ましい。
また、前記半導体発光素子は、前記キャップから離間されていることが好ましい。
さらに、前記第1の透光部材は、光の入射側の表面が、前記キャップの貫通孔内に配置されてなることが好ましい。
また、前記半導体発光素子は、半導体レーザ又は端面発光LEDであることが好ましい。
前記第2の透光部材は、第1の透光部材よりも低い融点又は軟化点を有する材料により形成されていることが好ましい。
前記第2の透光部材は、光の入射側及び/又は出射側に曲面を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の半導体発光装置によれば、半導体発光素子から出射された光のうち、第2の透光部材で反射し、半導体発光素子側に戻ろうとする光を再反射させることができ、光を効率的に外部へ取り出すことが可能となる。その結果、発光効率の高い半導体発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の半導体発光装置は、典型的には、図1及び図2に示したように、半導体発光素子(例えば、半導体レーザ、以下、単に「発光素子」と記することがある)11と、発光素子11を載置するための台座12と、発光素子11を台座12の一部とともに覆うキャップ13とを備えて構成される。
キャップ13は、有底の円筒形状をしており、その上面の略中央部分に、発光素子11からの出射光が通過する貫通孔16が形成されている。この貫通孔16は、発光素子に対向する内側から外側に向かって広口となる形状を有している。また、この貫通孔16内には、内側から、発光素子からの出射光を透過する第1の透光部材と、第1の透光部材からの光を透過する第2の透光部材とが、この順に配置されている。
台座12には、発光素子11の電極(図示せず)とワイヤ19を介して電気的に接続されたリード14の一端を鉛直方向に突出させるための貫通孔20が形成されている。貫通孔20における台座12とリード14との隙間には、絶縁材15が埋設されている。
【0009】
なお、本発明の半導体発光装置は、図3に示したように、キャップ23の側面に、内側から外側に向かって広口となる貫通孔26が形成され、このキャップ23が、半導体発光素子11と台座22の一部とを覆っていてもよい。
図10に示すように、通常、半導体発光素子から出射された光のうち、第1の透光部材内17に進入した光53aは、第2の透光部材18で反射し、半導体発光素子側に戻ろうとする(光:53b)。しかし、本発明の半導体発光装置によれば、第1の透光部材17の内表面17a(光入射側表面)で再反射させる(光:53c)ことができ、光を効率的に外部へ取り出すことが可能となる。また、第2の透光部材の内側表面が、傾斜した内壁を備える貫通孔内に配置されるため、第2の透光部材で反射される光を貫通孔の内壁によって効率的に反射させることができる。
【0010】
(半導体発光素子)
半導体発光素子としては、発光ダイオード、半導体レーザなど種々のものが利用できる。指向性が高いため、光を一方向へ導波しやすく、出射光を高効率で外部へ取り出すことができることから、半導体レーザが好ましい。
半導体レーザ素子としては、特に限定されず、n型半導体層とp型半導体層との間に、多重又は単一量子井戸構造を有する活性層を挟持した構造のものが挙げられる。
発光素子から出射される光の波長は特に限定されないが、例えば、青色系レーザ光の場合には、半導体層がIII族窒化物半導体により形成されていることが好ましい。
【0011】
III族窒化物半導体からなる半導体レーザ素子としては、例えば、サファイア、SiC、ZnO、GaN等の導電性又は絶縁性基板上に、下地としてノンドープAlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる窒化物半導体を成長させ、その上にSiドープAlxGa1−xN(0<x<1)からなるn型コンタクト層、SiドープInxGa1−xN(0≦x≦1)からなるクラック防止層(省略可能)、ノンドープAlxGa1−xN(0≦x≦1)とSiドープGaNとからなる超格子構造であるn型クラッド層、GaNからなるn型ガイド層、ノンドープInxGa1−xN(0<x<1)の井戸層とSiドープまたはノンドープのInxGa1−xN(0<x<1)の障壁層とを有する多重量子井戸構造である活性層、MgドープAlxGa1−xN(0<x<1)からなるキャップ層、ドンドープGaNからなるp型ガイド層、ドンドープAlxGa1−xN(0≦x≦1)とMgドープGaNとからなる超格子構造があるp型クラッド層、MgドープGaNからなるp型コンタクト層を積層したものが挙げられる。さらに、この半導体レーザ素子には、光導波路端面(共振器端面)に2層以上の反射膜(SiO2、TiO2、ZrO2、AlN、Al2O3、MgF2等)を有する。
【0012】
なお、発光素子は、台座上に、放熱部材を介して、例えば、ボンディング部材によって設置されることが好ましい。発光素子の台座上への載置は、フェイスダウン実装、フェイスアップ実装、フリップチップ構造等いずれの形態でもよい。フェイスダウン実装とは、発光素子の半導体層側を実装基体(放熱部材)に実装したものである。フェイスアップ実装とは、発光素子の基板側を実装基体(放熱部材)に実装したものである。フリップチップ実装とは、発光素子表面と実装基体とを、アレイ上に並んだ導電性の突起状の端子(バンプ)によって接続する構造である。
【0013】
本発明の半導体発光装置は、1つの装置に発光素子が、1個のみ搭載されていてもよいし、2個以上搭載されていてもよい。複数の発光素子が搭載される場合は、それらの波長は、同じ波長帯でもよいし、異なっていてもよい。特に、RGBに対応する発光素子を同じ放熱部材上に配置したものが適している。この場合、放熱部材上に、それぞれ分離した状態で配置されてもよいし、放熱部材上に配置された1つの素子の上に2つの素子が配置されていてもよい。また、放熱部材上に配置された1つの素子の上に、他の2つの素子が1つの素子として形成されているような2波長集積型配置としてもよいし、それらの逆でもよい。このような発光素子の場合にも、効果的に放熱することができる。
【0014】
放熱部材は、発光素子で発生した熱を逃がす役割を果たすものであり、発光素子の基板よりも熱伝導率が高いものであることが好ましい。また、発光素子と熱膨張係数が近いもの、熱応力を緩和させることができるもの、その表面が無機材料のみで構成されているもの、所定の方向に熱を逃がすことができるもの(例えば、Al2O3、Si、AlN、ダイヤモンド、Cu−ダイヤモンド等)のいずれか又は全てを備える材料が好ましい。これらの材料は自己形状保持力を有しているものが容易に組み立てることができるため好ましい。具体的には、Al2O3、SiC、AlN、Cu、Cu−W、Cu−Mo、Cu−ダイヤモンド、ダイヤモンド、Si等又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0015】
発光素子と放熱部材とを接着させるボンディング部材としては、Au−Sn等の合金、Ti/Pt/Au、Ti/Pt/Au/Ptのような多層構造膜等が挙げられる。ボンディングは、例えば、熱融着することが適している。
【0016】
また、発光素子として、発光ダイオードを使用する場合、端面発光型のものが好適である。端面発光型ダイオードとは、半導体レーザと同じように活性層の端面から光が出射されるものを指す。このようなダイオードは、活性層の屈折率を高くし、光導波作用を起こさせることにより、端面から光の出射を実現している。このように出力面積を絞ることで、半導体発光素子からの出力光を、後述するキャップに形成された貫通孔内へ導波させやすくなり、ひいては、発光素子からの光取り出し効率を向上させることができる。
【0017】
(台座)
台座は、発光素子を搭載するための部材である。その形状は、特に限定されるものではなく、例えば、平面視、正方形、長方形等の多角形、円形、半円形、楕円形等が挙げられる。台座は、Cu、Fe、Co、Ni、Au、Al、真鍮、コバール、ステンレス等の金属、Al2O3、SiC、AlN等のセラミックス、ダイヤモンド等により形成することができる。なお、台座は、用いる発光素子の光出射形態に応じて、発光素子を水平方向、鉛直方向等、任意の方向に搭載するために、鉛直方向等に立設された壁部を有していてもよい。
このような台座は、必ずしも1つの部品から構成されていなくてもよく、複数の部材又は部位から構成されてもよい。部材又は部位間は、Au−Sn等の蝋付け、抵抗溶接、半田付け等で接合することができる。
台座から、リード等を突出させるために、1又は2以上の貫通孔又は凹部が形成されていてもよいし、例えば、台座とリードとの隙間に絶縁材等を埋め込んでいてもよい。絶縁材としては、ZrO2、Al2O3、AlN、SiC等のセラミックス、シリコーン、エポキシ、芳香族ポリエーテルケトン等の樹脂、低融点ガラス等又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
(キャップ)
キャップは、発光素子を被覆するためのものであり、特に、台座に搭載された発光素子を気密封止するためのものである。キャップは、特に限定されないが、熱伝導率が高い材料で形成されていることが好ましく、例えば、Ni−Fe合金、コバール、Ni、Co、Fe、真鍮等種々の材料を用いることができる。通常、キャップは、発光素子とは離間され、発光素子を被覆するとともに、台座に、抵抗溶接及び半田付け等で接着される。従って、プロジェクションを用いた抵抗溶接が可能であるFe−Ni合金、Ni、コバール等によって形成されていることが好ましい。また、キャップは、酸化等の劣化を防止するため、例えば、Ni、Ag等のめっき等が施されてもよい。
キャップは、発光素子と離間させて配置することにより、発光素子で発生する熱を、キャップに備えられた後述する第2の透光部材へ伝わり難くすることができるため、発光効率の低下を最小限にとどめることができる。
キャップの形状は、特に限定されるものではなく、例えば、有底の筒型(円柱又は多角形柱等)又は錐台型(円錐台又は多角形錐台等)、ドーム型及びこれらの変形形状等、種々の形状が挙げられる。
【0019】
キャップは、発光素子の台座への搭載形態に応じて、発光素子の光出射部位に対向する部分に、発光素子からの光を通過させる貫通孔を有している。従って、貫通孔は、キャップの上面又は側面等のいずれの部位に形成されていてもよい。
貫通孔の平面形状は、特に限定されず、例えば、キャップ内側又は外側の平面視で、円形、楕円形、長方形、正方形、菱形等の多角形等が挙げられる。また、キャップ内側と外側とで、異なる平面形状であってもよい。キャップ内側の貫通孔の大きさは、発光素子の出射光の広がり角、発光素子とキャップとの距離等によって適宜調整することができる。
例えば、少なくともキャップ内側においては、発光素子の出射光の外形及び大きさに合わせたもの、つまり、発光素子からの出射光がほぼ全て貫通孔に進入できるものであればよい。ここで、ほぼ全てとは、全体の出射光の80%以上を意味する。例えば、キャップ内側の貫通孔の面積は、以下の式で表される範囲に設定することができる。
【数1】
(式中、A(mm2)はキャップ内側の貫通孔の面積、L(mm)は発光素子とキャップまでの距 離、R(°)は、発光素子からの出射光の広がり角を表す(図9参照))。
【0020】
具体的には、図9に示すように、発光素子11の光出射面である端面の幅が0.03〜0.8mm程度、厚みが0.01〜0.8mm程度、面積が0.0009〜0.5mm2程度とし、さらに、発光素子からの出射光の広がり角Rを10〜65°程度とし、発光素子11と貫通孔16との距離Lを0.02〜0.8mm程度とすると、貫通孔16のキャップ内側の直径aは、0.01〜0.8mm程度、断面積Aは0.000076〜0.5mm2程度とすることができる。
貫通孔は、キャップの内側(発光素子に近い側)から外側に(発光素子に遠い側)向かって広口となっている。つまり、発光素子から遠ざかる方向へ向かって、平面形状(横断面積)が大きくなっている。従って、貫通孔の形状としては、逆円錐台形状、カップ形状等が挙げられる。貫通孔のキャップ内側から外側への広がりの程度は、特に限定されるものではないが、例えば、貫通孔の外周に広がるキャップ表面に対して30〜75°程度の傾斜角(例えば、図2のα)を有していることが好ましい。このような傾斜角に設定することにより、後述する第2の透光部材の内側表面で反射する光を、貫通孔の内壁によって効率的に反射させることができるため、光の取り出し効率を向上させることができる。
なお、貫通孔には、後述する、少なくとも一部の第2の透光部材が支持されており、さらに、この第2の透光部材の発光素子側に、半導体発光素子からの光を透過させる第1の透光部材の少なくとも一部を支持している。貫通孔は、第2の透光部材の全てを貫通孔内で支持していなくてもよく、例えば、キャップ外側に突出するように配置されていてもよい。また、第1の透光部材の全てを貫通孔内で支持していてもよいが、例えば、キャップ内側に突出するように配置されていてもよい。
【0021】
キャップは、さらに、反射部材を備えていてもよい。反射部材は、発光素子から出射された光、波長変換部材から放出された光又は光拡散材により拡散された光を反射させる。反射部材は、例えば、第2の透光部材が配置される部位及びその周辺、つまり、貫通孔の内壁の一部又は全面、台座の一部又は全面、キャップの内側及び/又は外側の一部又は全面等に配置されていることが好ましい。このような反射部材を配置することにより、意図しない方向に出射及び/又は反射した光を、再反射させることにより外部に効率的に取り出すことが可能となり、光取り出し効率を向上させることができる。
反射部材は、特に限定されるものではないが、例えば、Ag、Au、Al、Ni、In、Pd、Ti等の金属、In−Ag、Au−Ag、Ag−Bi、Ag−Nd−Cu、Ag−Au−Cu、Ti−Ni−Au−Ag−Al、Ti−Ag−Al、Ti−Ni−Au−Ag、Ni−Au−Ag、Au−Ag−Al、Ti−Ag、Ag−Al等の合金、AlN、SiO2、TiO2、Ta2O5、SiO、SiN、ZnO、Al2O3、Ti3O5、Ti2O3、TiO、Nb2O5、CeO5、ZnS、MgF2等又はこれらの組み合わせの単層膜又は積層膜等により形成することができる。なお、反射部材の厚みは特に限定されないが、例えば、貫通孔内を塞がないように、貫通孔の内壁に沿って形成されることが好ましい。
【0022】
反射部材は、保護膜で被覆されていてもよい。保護膜は、反射部材の劣化を抑制する機能を果たし、これにより、発光装置の寿命を長くすることができる。反射部材が外部と接することを防ぎ、反射部材自体の化学反応及び汚染を防止する。
保護膜は、光透過率の高い材料で形成されることが好ましい。これにより、反射部材で反射した光を効率良く、外部へ取り出すことができる。具体的には、ZnO、SiO、SiO2、Al2O3、ITO、MgF2、Nb2O5、TiO2、ZrO2、AlNガラス、セラミックス(ZrO2、Al2O3、AlN、GaN等)、樹脂(シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等)等又はこれらの組み合わせが挙げられる。
また、保護膜は、第2の透光部材及び第1の透光部材とキャップとの接着に寄与することもできる。これにより、第2の透光部材及び第1の透光部材のキャップへの密着強度を向上させることができる。
なお、保護膜の厚みは特に限定されないが、例えば、貫通孔内を塞がないように、反射部材の全て覆うように形成することが好ましい。
【0023】
(第2の透光部材)
第2の透光部材は、発光素子からの光を通過させる部材であり、実質的に透明であることが必要である。ここで透明とは、発光素子から出射された光の吸収率が低いこと、言い換えると、発光素子から出射された光の60%以上、85%以上、さらに90%以上を透過させることができることを指す。
また、第2の透光部材は、後述するように、大気及び後述する第1の透光部材より屈折率が大きいことが好ましい。
【0024】
第2の透光部材は、例えば、ガラス、石英ガラス、サファイア、セラミック(ZrO2、Al2O3、AlN、GaN等)、樹脂(シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等)等又はこれらの組み合わせにより形成することができる。また、第2の透光部材は、後述するように、波長変換部材が第2の透光部材内に存在する場合があるため、発光素子からの出射光が波長変換部材を照射し、波長変換された光の吸収率が低い材料であることがさらに好ましい。
【0025】
第2の透光部材の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、半球状、レンズ状、円盤状、円錐形状、円錐台形状又は平面視が多角形形状に加工されたこれらの形状等が挙げられる。なかでも、球状、半球状等、光の入射側及び/又は出射側に曲面を備えるもの、特に光の入射側に曲面を備えるものが、反射による発光素子への戻り光を最小限にとどめることができるとともに、光取り出し効率が高くなることから好ましい。第2の透光部材が曲面によって形成されている場合には、良好な配向特性を得るために、この第2の透光部材は、貫通孔の中心に位置する部分及び/又はその周辺が最上点に位置していることが好ましい。なお、第2の透光部材の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、0.001mm〜1mm程度が例示される。第2の透光部材の厚みは、全面にわたって均一であることが好ましい。
第2の透光部材は、貫通孔内に配置した第1の透光部材を被覆するように、第2の透光部材を構成する材料を、加熱・溶解し、その量を制御しながら、貫通孔内に導入することにより形成することができる。具体的には、雰囲気加熱による融着、ランプヒータによる加熱融着、レーザ光による加熱融着又は治具を熱することによる融着等の方法を利用することができる。
【0026】
また、第2の透光部材は、半導体発光素子から入射される光の反射を低減させるためのフィルタが、その表面に形成されていてもよい。フィルタとしては、単層膜又は多層膜のいずれでもよく、特に、多層膜を用いる場合、高屈折率材料と低屈折率材料を交互に成膜することが好ましい。具体的には、AlN、SiO2、TiO2、Ta2O5、SiO、Al2O3、Ti3O5、Ti2O3、TiO、Nb2O5、CeO5、ZnS、MgF2等又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
第2の透光部材は、波長変換部材及び/又は光拡散材を含有していることが好ましい。なお、このような材料を含有するか否かにかかわらず、第2の透光部材は、単層で形成されていてもよいし、材料の異なる複数層の積層構造であってもよいし、さらに波長変換部材及び/又は光拡散材の1又は2以上を単層又は複数層において含有するように形成されていてもよい。
【0028】
波長変換部材は、発光素子から出射された光が照射されることで、波長変換した光を発するものであり、これにより、発光素子の光と、波長変換部材で波長変換された光との混色光を外部に取り出すことができる。換言すれば、必要に応じた波長変換部材を選択することで、所望の波長の光を取り出すことができる。波長変換部材は、1種のみでもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、波長変換物質を用いて、白色光を得る方法として以下の方法が例示される。第1の方法は、発光素子から発光される青色光で、黄色発光の蛍光体を励起させる。これにより、一部波長変換された黄色光と、変換されない青色光が混色され、白色光として放出される。第2の方法は、発光素子から放出される紫外光により、赤色、青色、黄色蛍光体を励起させる。波長変換された3色光が混色され、白色として放出される。第3の方法は、発光素子から放出された青色光により、緑色、赤色蛍光体を励起させる。波長変換された2色光と発光素子の光が混色され、白色として放出される。
【0029】
波長変換部材は、特に限定されるものではないが、代表的には、銅で賦活された硫化カドミ亜鉛、セリウムで賦活されたYAG系蛍光体及びLAG系蛍光体、CASN、CASBN、CCA、βサイアロン、シリケート、CaS、Srチオガレート等の蛍光体又はこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、例えば、特開2005−8844号公報等に例示されている公知の蛍光体を波長変換部材として用いることができる。
【0030】
光拡散材としては、発光素子から出射された光及び/又は波長変換部材にから出射された光を拡散させる。これにより、発光素子の光を均一に放射させることができ、色分布の良好な光を得ることができる。例えば、窒化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、二酸化珪素、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、銀、シリカ(ヒュームシリカ、沈降性シリカ等)、チタン酸カリウム、ケイ酸バリウム、ガラスファイバー等及びこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、第2の透光部材の横断面積の最大値は、貫通孔の横断面積の最小値より大きいことが好ましい。これにより、発光素子から出射された光のうち、第2の透光部材の発光素子側表面で反射された戻り光の一部を、貫通孔における内壁で再反射させて、外部へ効率的に取り出すことができる。
【0031】
(第1の透光部材)
第1の透光部材は、主としてキャップにおける貫通孔内で支持され、かつ、発光素子からの光を直接透過させ、その後方に配置する第2の透光部材に光を入射させるための部材であり、透明であることが必要である。また、上述した第2の透光部材の材料等にもよるが、この第2の透光部材の融点又は軟化点よりも、高い融点又は軟化点を有するものが好ましい。このような材料を用いることにより、上述したように、この第1の透光部材を被覆するように、後述する融着等による第2の透光部材の形成に、十分に耐性を有し、第2の透光部材の形成を容易かつ簡便に行うことを可能とする。
さらに、第1の透光部材は、大気の屈折率(波長400〜800における屈折率:約1)より大きい屈折率(nin)を有し、上述した第2の透光部材の屈折率(nout)より小さい屈折率を有している(つまり、1<nin<nout)ことが好ましい。ここでの屈折率差は、特に限定されないが、例えば、第1の透光部材の屈折率は、第2の透光部材の屈折率が1.8〜2.0程度であれば、1.6〜1.79程度(好ましくは、1.6〜1.7程度)であることことが例示される。
【0032】
通常、発光素子から出射した光が直接上述した第2の透光部材に入射した場合、大気と第2の透光部材との界面による反射によって、その光が発光素子側に戻ることがあり、光の取り出し効率を減少させる。一方、発光素子から出射した光は、まず、第1の透光部材を通過し、次いで、第2の透光部材に入射する。これにより、第1の透光部材によって、第2の透光部材表面での光の反射を緩和することができる。言い換えると、半導体発光素子の出射光を直接第2の透光部材へ進入させる場合に生じる、第2の透光部材の前面における反射の影響を低減させることができる。つまり、半導体発光素子からの光の第2の透光部材での反射を、第1の透光部材を配置することにより、第1の透光部材の前面で再反射させることができる。また、第2の透光部材表面で反射し、発光素子側に戻ろうとする光を、第2の透光部材と第1の透光部材との界面で再反射させることができる。その結果、戻り光を低減することができ、ひいては、効率良く半導体発光素子の光を外部へ取り出すことができ、発光効率を向上させることができる。このことは、上述したような第1の透光部材及び第2の透光部材の屈折率の関係を備えている場合に、特に有効である。
第1の透光部材は、発光素子(特にLDを用いた場合)に近い側に配置されるため、融点が低い場合には、出射光に起因する熱により変形することがある。また、通常、第1の透光部材は、2つの熱源(発光素子と蛍光体(を含有する第2の透光部材))との間に配置される。従って、融点の高いものであることが好ましい。例えば、石英ガラス、サファイア、セラミックス(ZrO2、Al2O3、AlN、GaN等)、樹脂(シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等)等又はこれらの組み合わせにより形成することができる。第1の透光部材の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、0.001mm〜1mm程度が例示される。この厚みは、必ずしも全面にわたって均一でなくてもよい。
【0033】
第1の透光部材の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、半球状、レンズ状、円盤状、円錐形状、円錐台形状又は平面視が多角形形状に加工されたこれらの形状等が挙げられる。なかでも、球状、半球状等、光の入射側及び/又は出射側に曲面を備えるものが、その表面で反射して発光素子側に戻る光を低減させることができ、あるいは、光取り出し効率を向上させることとなり、好ましい。なお、第1の透光部材は、貫通孔の最下面(キャップの内側表面)よりも、貫通孔側に、その下面が配置していることが好ましい。
透明部材は、上述したような、光拡散材を含有していてもよい。
また、第1の透光部材は、半導体発光素子から入射される光の反射を低減させるためのフィルタが、その表面に形成されていてもよい。フィルタとしては、単層膜又は多層膜のいずれでもよく、特に、多層膜を用いる場合、高屈折率材料と低屈折率材料を交互に成膜することが好ましい。具体的には、上述した第2の透光部材におけるフィルタと同様のものが例示される。
以下に、本発明の半導体発光装置の実施例を図面に基づいて説明する。
【0034】
実施例1
この実施例における半導体発光装置10は、図1及び図2に示すように、発光素子11、発光素子11を搭載するための円盤状の台座12と、発光素子11を台座12の一部とともに被覆するキャップ13とを備えて構成される。
発光素子11としては、ピーク波長445nmの半導体レーザ素子を用いた。
キャップ13は、円筒の上端が環状の上面により被覆された形状を有しており、このキャップ13には、発光素子11の光出射面に対向する部位に、発光素子11からの出射光が通過する円形の貫通孔16が形成されている。この貫通孔16は、発光素子11に対向する内側から外側に向かって広口となる形状を有している。貫通孔16の直径は、キャップ13の内側で200μm、外側で1000μmであり、貫通孔の内壁の傾斜角(図2中、α)は、60°である。発光素子11の光出射面からキャップ13(貫通孔16)までの距離は、ほぼ250μmである。また、キャップ13の厚みは、例えば、0.85mm程度である。
【0035】
この貫通孔16内には、内側から、発光素子11からの出射光を透過する第1の透光部材17と、第1の透光部材からの光を透過する第2の透光部材18とが、この順に配置されている。
第1の透光部材17は、サファイアによって形成され、直径が約0.4mmのほぼ球状の形状を有している。この第1の透光部材17の屈折率は1.76であった。
第2の透光部材18は、蛍光体としてYAG及びLAG、拡散材としてSiO2が含有された硼珪酸ガラスによって形成されており、第1の透光部材17の球面に沿って、厚み約0.4mmで第1の透光部材17を被覆している。第2の透光部材18は、キャップ13の貫通孔16内に、低融点ガラスを用いて接着されている。この第2の透光部材18の屈折率は1.8であった。
【0036】
台座12は、銅と鉄との合金により形成されており、用いる発光素子11の形態に対応して、略鉛直方向に立設された壁部12aを備えていている。台座12には、発光素子11の電極(図示せず)とワイヤ19を介して電気的に接続され、台座12に対して垂直方向に配置されたリード14の一端を突出させるための貫通孔12bが形成されている。貫通孔12bにおける台座12とリード14との隙間には、絶縁材15として、低融点ガラスが埋設されている。このリード14により、外部電極と電気的に接続可能となる。
【0037】
この半導体発光装置の光取り出し構造は、例えば、以下のように形成することができる。
まず、所望の金属からなる板を加工して上述した形状のキャップを準備する。
キャップの上面の中央部分に貫通孔を形成する。この貫通孔の形成は、例えば、切削加工、プレス加工、射出成形、パンチ加工等により形成することができ、この際、内側から外側に広口となる形状に制御する。
また、貫通孔の最小直径よりも大きく、最大直径よりも小さく、かつ、キャップの上面の厚みよりも小さな直径を有する球形の第1の透光部材を準備する。
波長変換部材として蛍光体を含有する第2の透光部材を構成するガラスを準備する。
その後、キャップの貫通孔内に、球形の第1の透光部材を載置し、第1の透光部材よりも低融点の材料、例えば、低融点ガラスを用い、900℃の雰囲気加熱による融着により、第1の透光部材をキャップに固定する。
続いて、第1の透光部材の表面であって、キャップの貫通孔内に第2の透光部材材料を配置し、800℃の雰囲気加熱で、表面を金型で押さえながら融着により、第2の透光部材を第1の透光部材に固定する。
【0038】
このように構成された半導体発光装置では、発光素子11から出射された光は、貫通孔16を通過後、透過部材17に入射し、その後、第2の透光部材18に入射し、第2の透光部材18内の蛍光体により波長変換される。体発光素子の青色と、蛍光体より得られた黄色及び緑色との混色により、非常に効率の高い白色が得られた。
【0039】
なお、比較例として、図11に示すように、キャップ13の貫通孔16内に、蛍光体及び拡散材を含有した第2の透光部材98のみを備える以外は、実質的に実施例1の半導体発光装置と同じ構成の半導体発光装置30を作製した。
上述した図2に示す半導体発光装置と、図11に示す比較例の半導体発光装置とを用いて、発光素子の出力を変化させた場合の光束を測定した。
その結果を図12に示す。
図12によれば、図2に示す半導体発光装置(実線)では、比較例の半導体発光装置(点線)に対して、400nWの出力時において、光束が約36%向上することが確認された。
【0040】
このように、実施例における半導体発光装置では、貫通孔がキャップの内側から外側にかけて広口となっていることから、発光素子から出射する光の、この貫通孔からの戻り光を効果的に再反射させることが可能となる。その結果、光の取り出し効率を増大させることができる。
また、貫通孔内において、半導体素子に近い側から順に、第1の透光部材及び第2の透光部材が配置されているため、発光素子から出射された光のうち、第2の透光部材と第1の透光部材との界面で反射して発光素子側に戻ろうとする光を、第1の透光部材と大気との界面で効率的に再反射させることが可能となる。その結果、戻り光を効果的に防止することができる。
特に、第1の透光部材の底面(最も発光素子に違い側)が貫通孔内に配置されている場合には、発光素子から出射された光のうち、第1の透光部材と大気との界面で反射して発光素子側に戻ろうとする光をも、貫通孔の内壁によって効率的に反射させることができる。よって、戻り光をより効果的に防止することができる。
【0041】
一方、比較例の半導体発光装置では、第2の透光部材と大気との界面において、発光素子からの出射光の一部が反射し、実施例1の半導体発光装置と比較して、光の取り出し効率をより低下させる。
【0042】
実施例2
この実施例の半導体発光装置40は、図4に示したように、キャップ13の貫通孔の内壁から、キャップ13の外側の表面の一部に、Agによる反射部材41設けたこと以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
この反射部材41は、例えば、スパッタ法によって形成することができる。
この反射部材41を設けることにより、第2の透光部材18及び/又は第1の透光部材17のキャップ13の内側の表面において反射して発光素子11側に戻ろうとする光を、貫通孔16の傾斜の程度と相まって、効果的にキャップ13の外側に取り出すことができる。
【0043】
実施例3
この実施例の半導体発光装置50は、図5に示したように、キャップ13の貫通孔の内壁から、キャップ13の外側の表面の一部に、Agによる反射部材51及びSiO2による保護膜52を設けたこと以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
この反射部材51を設けることにより、実施例2と同様の効果を得ることができるとともに、保護膜52を設けることにより、反射部材の劣化を防止することができる。
【0044】
実施例4
この実施例の半導体発光装置60は、図6に示したように、キャップ13の貫通孔内から、キャップ13の外側の表面の一部に、第2の透光部材68が凸状に形成されている以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
これにより、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0045】
実施例5
この実施例の半導体発光装置70は、図7に示したように、キャップ13の貫通孔内から、キャップ13の内側の表面の一部に、第1の透光部材27が下に凸状に形成されている以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
これにより、実施例1とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0046】
実施例6
この実施例の半導体発光装置80は、図8に示したように、キャップ13の貫通孔内において、第1の透光部材87及び第2の透光部材88が平坦に形成されている以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
これにより、実施例1とほぼ同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、内視鏡用光源、ヘッドライド、検査機光源、センサー光源、ディスプレイバックライト、光通信に用いられる光源として最適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の半導体発光装置の外観斜視図である。
【図2】図1の半導体発光装置の概略縦断面図である。
【図3】本発明の別の半導体発光装置の概略縦断面図である。
【図4】本発明の実施例2の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図5】本発明の実施例3の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図6】本発明の実施例4の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図7】本発明の実施例5の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図8】本発明の実施例6の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図9】本発明の半導体発光装置の半導体発光素子と貫通孔との位置及び形状等の関係を説明するための概略縦断面図である。
【図10】本発明の半導体発光装置における光の進路を説明するための要部の概略図である。
【図11】比較例1における半導体発光装置の縦断面図である。
【図12】図2及び図11の半導体発光装置における出力−光束特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0049】
10、20、30、40、50、60、70、80 半導体発光装置
11 発光素子
12、22 台座
12a 壁部
13、23 キャップ
14 リード
15 絶縁体
16、12b、26 貫通孔
17、77、87 第1の透光部材
17a 内表面
18、68、78、88、98 第2の透光部材
19 ワイヤ
41、51 反射部材
52 保護膜
53a、53b、54c 光
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置に関し、より詳細には、高輝度で、紫外域光から赤色光を発光する発光ダイオード及び半導体レーザ等の半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源である半導体発光素子からの出射光をいかに効率よく外部へ取り出すかが、半導体発光装置にとって大きな課題となっており、このため、種々の開発がなされてきた。
例えば、従来のLED発光装置は、カップを有するリードフレーム上にLEDを載置し、LED全体を樹脂で封止している。封止樹脂は、カップ内部を充填する樹脂と、この樹脂を含めたカップ全体を包囲する樹脂とから構成される。このカップ内部を充填する樹脂には、LEDの発光波長を他の波長に変換又は一部吸収する蛍光物質が含まれており、LEDからの出射光が蛍光物質により波長変換される。変換光は、四方八方に散乱するが、ほとんどの変換光はカップ内部で反射して外部へ取り出される。
しかし、このような構成では、カップ内で反射された光の一部が戻り光となって、LEDに照射され、吸収されることがある。これにより、LEDの特性が悪化したり、出力光の減少及びライフ特性の悪化を招く。加えて、LEDと蛍光物質とが直接接触するため、LEDで発生した熱が蛍光物質に伝搬し、蛍光物質の特性を悪化させるとともに、封止樹脂にも伝搬し、封止樹脂を劣化させるという問題があった(特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、光広がり角の小さい発光装置を得るためには、LEDから出射された光を、できるだけ多くカップ内面で反射させる必要がある。そのために、カップのLED載置面の面積をLEDの底面より大きくし、カップの深さを深くし、LEDの側面からの光をカップの底面及び斜面の広い面積で反射させる。
しかし、LEDの側面からの出射光をカップ内で反射させることにより、出射光全体として減少するなどの問題を招く。
【0004】
また、蛍光物質の特性悪化を改善するために、LED又は半導体レーザと蛍光物質とを離間させて搭載する発光装置では、散乱光がLED又は半導体レーザ自体に吸収される割合が増加し、出力光の減少及びライフ特性の悪化がより顕著となり、発光効率の低い発光装置となるという問題もある(特許文献4〜7)。
さらに、上述した発光効率の低下を改善するために、LEDと蛍光物質とを離間させ、蛍光物質の外周に封止樹脂を設けた発光装置が提案されているが、この場合でも、一部の樹脂がLEDと接触しているため、LEDの発熱により、樹脂が劣化するという問題がある(特許文献6)。
【特許文献1】特開平10−163535
【特許文献2】特開2006−60244
【特許文献3】特開2005−194340
【特許文献4】特開平7−282609
【特許文献5】特開2005−19981
【特許文献6】特開平11−87778
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、半導体発光素子からの出射光を効率良く外部へ取り出すことができる半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体発光装置は、
半導体発光素子と、
該半導体発光素子が搭載される台座と、
該半導体発光素子からの光を通過させ、かつ前記半導体発光素子に近い側から遠い側に向かって広口となる貫通孔を備え、前記半導体発光素子が封止されるキャップと、
少なくとも一部が前記キャップの貫通孔内に支持され、前記半導体発光素子からの出射光を透過させる第1の透光部材と、
少なくとも一部が前記キャップの貫通孔内に支持され、蛍光体を含有し、前記第1の透光部材からの光を透過させる第2の透光部材とを備えることを特徴とする。
この半導体発光装置では、第2の透光部材が、第1の透光部材よりも大きい屈折率を有することが好ましい。
また、前記半導体発光素子は、前記キャップから離間されていることが好ましい。
さらに、前記第1の透光部材は、光の入射側の表面が、前記キャップの貫通孔内に配置されてなることが好ましい。
また、前記半導体発光素子は、半導体レーザ又は端面発光LEDであることが好ましい。
前記第2の透光部材は、第1の透光部材よりも低い融点又は軟化点を有する材料により形成されていることが好ましい。
前記第2の透光部材は、光の入射側及び/又は出射側に曲面を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の半導体発光装置によれば、半導体発光素子から出射された光のうち、第2の透光部材で反射し、半導体発光素子側に戻ろうとする光を再反射させることができ、光を効率的に外部へ取り出すことが可能となる。その結果、発光効率の高い半導体発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の半導体発光装置は、典型的には、図1及び図2に示したように、半導体発光素子(例えば、半導体レーザ、以下、単に「発光素子」と記することがある)11と、発光素子11を載置するための台座12と、発光素子11を台座12の一部とともに覆うキャップ13とを備えて構成される。
キャップ13は、有底の円筒形状をしており、その上面の略中央部分に、発光素子11からの出射光が通過する貫通孔16が形成されている。この貫通孔16は、発光素子に対向する内側から外側に向かって広口となる形状を有している。また、この貫通孔16内には、内側から、発光素子からの出射光を透過する第1の透光部材と、第1の透光部材からの光を透過する第2の透光部材とが、この順に配置されている。
台座12には、発光素子11の電極(図示せず)とワイヤ19を介して電気的に接続されたリード14の一端を鉛直方向に突出させるための貫通孔20が形成されている。貫通孔20における台座12とリード14との隙間には、絶縁材15が埋設されている。
【0009】
なお、本発明の半導体発光装置は、図3に示したように、キャップ23の側面に、内側から外側に向かって広口となる貫通孔26が形成され、このキャップ23が、半導体発光素子11と台座22の一部とを覆っていてもよい。
図10に示すように、通常、半導体発光素子から出射された光のうち、第1の透光部材内17に進入した光53aは、第2の透光部材18で反射し、半導体発光素子側に戻ろうとする(光:53b)。しかし、本発明の半導体発光装置によれば、第1の透光部材17の内表面17a(光入射側表面)で再反射させる(光:53c)ことができ、光を効率的に外部へ取り出すことが可能となる。また、第2の透光部材の内側表面が、傾斜した内壁を備える貫通孔内に配置されるため、第2の透光部材で反射される光を貫通孔の内壁によって効率的に反射させることができる。
【0010】
(半導体発光素子)
半導体発光素子としては、発光ダイオード、半導体レーザなど種々のものが利用できる。指向性が高いため、光を一方向へ導波しやすく、出射光を高効率で外部へ取り出すことができることから、半導体レーザが好ましい。
半導体レーザ素子としては、特に限定されず、n型半導体層とp型半導体層との間に、多重又は単一量子井戸構造を有する活性層を挟持した構造のものが挙げられる。
発光素子から出射される光の波長は特に限定されないが、例えば、青色系レーザ光の場合には、半導体層がIII族窒化物半導体により形成されていることが好ましい。
【0011】
III族窒化物半導体からなる半導体レーザ素子としては、例えば、サファイア、SiC、ZnO、GaN等の導電性又は絶縁性基板上に、下地としてノンドープAlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる窒化物半導体を成長させ、その上にSiドープAlxGa1−xN(0<x<1)からなるn型コンタクト層、SiドープInxGa1−xN(0≦x≦1)からなるクラック防止層(省略可能)、ノンドープAlxGa1−xN(0≦x≦1)とSiドープGaNとからなる超格子構造であるn型クラッド層、GaNからなるn型ガイド層、ノンドープInxGa1−xN(0<x<1)の井戸層とSiドープまたはノンドープのInxGa1−xN(0<x<1)の障壁層とを有する多重量子井戸構造である活性層、MgドープAlxGa1−xN(0<x<1)からなるキャップ層、ドンドープGaNからなるp型ガイド層、ドンドープAlxGa1−xN(0≦x≦1)とMgドープGaNとからなる超格子構造があるp型クラッド層、MgドープGaNからなるp型コンタクト層を積層したものが挙げられる。さらに、この半導体レーザ素子には、光導波路端面(共振器端面)に2層以上の反射膜(SiO2、TiO2、ZrO2、AlN、Al2O3、MgF2等)を有する。
【0012】
なお、発光素子は、台座上に、放熱部材を介して、例えば、ボンディング部材によって設置されることが好ましい。発光素子の台座上への載置は、フェイスダウン実装、フェイスアップ実装、フリップチップ構造等いずれの形態でもよい。フェイスダウン実装とは、発光素子の半導体層側を実装基体(放熱部材)に実装したものである。フェイスアップ実装とは、発光素子の基板側を実装基体(放熱部材)に実装したものである。フリップチップ実装とは、発光素子表面と実装基体とを、アレイ上に並んだ導電性の突起状の端子(バンプ)によって接続する構造である。
【0013】
本発明の半導体発光装置は、1つの装置に発光素子が、1個のみ搭載されていてもよいし、2個以上搭載されていてもよい。複数の発光素子が搭載される場合は、それらの波長は、同じ波長帯でもよいし、異なっていてもよい。特に、RGBに対応する発光素子を同じ放熱部材上に配置したものが適している。この場合、放熱部材上に、それぞれ分離した状態で配置されてもよいし、放熱部材上に配置された1つの素子の上に2つの素子が配置されていてもよい。また、放熱部材上に配置された1つの素子の上に、他の2つの素子が1つの素子として形成されているような2波長集積型配置としてもよいし、それらの逆でもよい。このような発光素子の場合にも、効果的に放熱することができる。
【0014】
放熱部材は、発光素子で発生した熱を逃がす役割を果たすものであり、発光素子の基板よりも熱伝導率が高いものであることが好ましい。また、発光素子と熱膨張係数が近いもの、熱応力を緩和させることができるもの、その表面が無機材料のみで構成されているもの、所定の方向に熱を逃がすことができるもの(例えば、Al2O3、Si、AlN、ダイヤモンド、Cu−ダイヤモンド等)のいずれか又は全てを備える材料が好ましい。これらの材料は自己形状保持力を有しているものが容易に組み立てることができるため好ましい。具体的には、Al2O3、SiC、AlN、Cu、Cu−W、Cu−Mo、Cu−ダイヤモンド、ダイヤモンド、Si等又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0015】
発光素子と放熱部材とを接着させるボンディング部材としては、Au−Sn等の合金、Ti/Pt/Au、Ti/Pt/Au/Ptのような多層構造膜等が挙げられる。ボンディングは、例えば、熱融着することが適している。
【0016】
また、発光素子として、発光ダイオードを使用する場合、端面発光型のものが好適である。端面発光型ダイオードとは、半導体レーザと同じように活性層の端面から光が出射されるものを指す。このようなダイオードは、活性層の屈折率を高くし、光導波作用を起こさせることにより、端面から光の出射を実現している。このように出力面積を絞ることで、半導体発光素子からの出力光を、後述するキャップに形成された貫通孔内へ導波させやすくなり、ひいては、発光素子からの光取り出し効率を向上させることができる。
【0017】
(台座)
台座は、発光素子を搭載するための部材である。その形状は、特に限定されるものではなく、例えば、平面視、正方形、長方形等の多角形、円形、半円形、楕円形等が挙げられる。台座は、Cu、Fe、Co、Ni、Au、Al、真鍮、コバール、ステンレス等の金属、Al2O3、SiC、AlN等のセラミックス、ダイヤモンド等により形成することができる。なお、台座は、用いる発光素子の光出射形態に応じて、発光素子を水平方向、鉛直方向等、任意の方向に搭載するために、鉛直方向等に立設された壁部を有していてもよい。
このような台座は、必ずしも1つの部品から構成されていなくてもよく、複数の部材又は部位から構成されてもよい。部材又は部位間は、Au−Sn等の蝋付け、抵抗溶接、半田付け等で接合することができる。
台座から、リード等を突出させるために、1又は2以上の貫通孔又は凹部が形成されていてもよいし、例えば、台座とリードとの隙間に絶縁材等を埋め込んでいてもよい。絶縁材としては、ZrO2、Al2O3、AlN、SiC等のセラミックス、シリコーン、エポキシ、芳香族ポリエーテルケトン等の樹脂、低融点ガラス等又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
(キャップ)
キャップは、発光素子を被覆するためのものであり、特に、台座に搭載された発光素子を気密封止するためのものである。キャップは、特に限定されないが、熱伝導率が高い材料で形成されていることが好ましく、例えば、Ni−Fe合金、コバール、Ni、Co、Fe、真鍮等種々の材料を用いることができる。通常、キャップは、発光素子とは離間され、発光素子を被覆するとともに、台座に、抵抗溶接及び半田付け等で接着される。従って、プロジェクションを用いた抵抗溶接が可能であるFe−Ni合金、Ni、コバール等によって形成されていることが好ましい。また、キャップは、酸化等の劣化を防止するため、例えば、Ni、Ag等のめっき等が施されてもよい。
キャップは、発光素子と離間させて配置することにより、発光素子で発生する熱を、キャップに備えられた後述する第2の透光部材へ伝わり難くすることができるため、発光効率の低下を最小限にとどめることができる。
キャップの形状は、特に限定されるものではなく、例えば、有底の筒型(円柱又は多角形柱等)又は錐台型(円錐台又は多角形錐台等)、ドーム型及びこれらの変形形状等、種々の形状が挙げられる。
【0019】
キャップは、発光素子の台座への搭載形態に応じて、発光素子の光出射部位に対向する部分に、発光素子からの光を通過させる貫通孔を有している。従って、貫通孔は、キャップの上面又は側面等のいずれの部位に形成されていてもよい。
貫通孔の平面形状は、特に限定されず、例えば、キャップ内側又は外側の平面視で、円形、楕円形、長方形、正方形、菱形等の多角形等が挙げられる。また、キャップ内側と外側とで、異なる平面形状であってもよい。キャップ内側の貫通孔の大きさは、発光素子の出射光の広がり角、発光素子とキャップとの距離等によって適宜調整することができる。
例えば、少なくともキャップ内側においては、発光素子の出射光の外形及び大きさに合わせたもの、つまり、発光素子からの出射光がほぼ全て貫通孔に進入できるものであればよい。ここで、ほぼ全てとは、全体の出射光の80%以上を意味する。例えば、キャップ内側の貫通孔の面積は、以下の式で表される範囲に設定することができる。
【数1】
(式中、A(mm2)はキャップ内側の貫通孔の面積、L(mm)は発光素子とキャップまでの距 離、R(°)は、発光素子からの出射光の広がり角を表す(図9参照))。
【0020】
具体的には、図9に示すように、発光素子11の光出射面である端面の幅が0.03〜0.8mm程度、厚みが0.01〜0.8mm程度、面積が0.0009〜0.5mm2程度とし、さらに、発光素子からの出射光の広がり角Rを10〜65°程度とし、発光素子11と貫通孔16との距離Lを0.02〜0.8mm程度とすると、貫通孔16のキャップ内側の直径aは、0.01〜0.8mm程度、断面積Aは0.000076〜0.5mm2程度とすることができる。
貫通孔は、キャップの内側(発光素子に近い側)から外側に(発光素子に遠い側)向かって広口となっている。つまり、発光素子から遠ざかる方向へ向かって、平面形状(横断面積)が大きくなっている。従って、貫通孔の形状としては、逆円錐台形状、カップ形状等が挙げられる。貫通孔のキャップ内側から外側への広がりの程度は、特に限定されるものではないが、例えば、貫通孔の外周に広がるキャップ表面に対して30〜75°程度の傾斜角(例えば、図2のα)を有していることが好ましい。このような傾斜角に設定することにより、後述する第2の透光部材の内側表面で反射する光を、貫通孔の内壁によって効率的に反射させることができるため、光の取り出し効率を向上させることができる。
なお、貫通孔には、後述する、少なくとも一部の第2の透光部材が支持されており、さらに、この第2の透光部材の発光素子側に、半導体発光素子からの光を透過させる第1の透光部材の少なくとも一部を支持している。貫通孔は、第2の透光部材の全てを貫通孔内で支持していなくてもよく、例えば、キャップ外側に突出するように配置されていてもよい。また、第1の透光部材の全てを貫通孔内で支持していてもよいが、例えば、キャップ内側に突出するように配置されていてもよい。
【0021】
キャップは、さらに、反射部材を備えていてもよい。反射部材は、発光素子から出射された光、波長変換部材から放出された光又は光拡散材により拡散された光を反射させる。反射部材は、例えば、第2の透光部材が配置される部位及びその周辺、つまり、貫通孔の内壁の一部又は全面、台座の一部又は全面、キャップの内側及び/又は外側の一部又は全面等に配置されていることが好ましい。このような反射部材を配置することにより、意図しない方向に出射及び/又は反射した光を、再反射させることにより外部に効率的に取り出すことが可能となり、光取り出し効率を向上させることができる。
反射部材は、特に限定されるものではないが、例えば、Ag、Au、Al、Ni、In、Pd、Ti等の金属、In−Ag、Au−Ag、Ag−Bi、Ag−Nd−Cu、Ag−Au−Cu、Ti−Ni−Au−Ag−Al、Ti−Ag−Al、Ti−Ni−Au−Ag、Ni−Au−Ag、Au−Ag−Al、Ti−Ag、Ag−Al等の合金、AlN、SiO2、TiO2、Ta2O5、SiO、SiN、ZnO、Al2O3、Ti3O5、Ti2O3、TiO、Nb2O5、CeO5、ZnS、MgF2等又はこれらの組み合わせの単層膜又は積層膜等により形成することができる。なお、反射部材の厚みは特に限定されないが、例えば、貫通孔内を塞がないように、貫通孔の内壁に沿って形成されることが好ましい。
【0022】
反射部材は、保護膜で被覆されていてもよい。保護膜は、反射部材の劣化を抑制する機能を果たし、これにより、発光装置の寿命を長くすることができる。反射部材が外部と接することを防ぎ、反射部材自体の化学反応及び汚染を防止する。
保護膜は、光透過率の高い材料で形成されることが好ましい。これにより、反射部材で反射した光を効率良く、外部へ取り出すことができる。具体的には、ZnO、SiO、SiO2、Al2O3、ITO、MgF2、Nb2O5、TiO2、ZrO2、AlNガラス、セラミックス(ZrO2、Al2O3、AlN、GaN等)、樹脂(シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等)等又はこれらの組み合わせが挙げられる。
また、保護膜は、第2の透光部材及び第1の透光部材とキャップとの接着に寄与することもできる。これにより、第2の透光部材及び第1の透光部材のキャップへの密着強度を向上させることができる。
なお、保護膜の厚みは特に限定されないが、例えば、貫通孔内を塞がないように、反射部材の全て覆うように形成することが好ましい。
【0023】
(第2の透光部材)
第2の透光部材は、発光素子からの光を通過させる部材であり、実質的に透明であることが必要である。ここで透明とは、発光素子から出射された光の吸収率が低いこと、言い換えると、発光素子から出射された光の60%以上、85%以上、さらに90%以上を透過させることができることを指す。
また、第2の透光部材は、後述するように、大気及び後述する第1の透光部材より屈折率が大きいことが好ましい。
【0024】
第2の透光部材は、例えば、ガラス、石英ガラス、サファイア、セラミック(ZrO2、Al2O3、AlN、GaN等)、樹脂(シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等)等又はこれらの組み合わせにより形成することができる。また、第2の透光部材は、後述するように、波長変換部材が第2の透光部材内に存在する場合があるため、発光素子からの出射光が波長変換部材を照射し、波長変換された光の吸収率が低い材料であることがさらに好ましい。
【0025】
第2の透光部材の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、半球状、レンズ状、円盤状、円錐形状、円錐台形状又は平面視が多角形形状に加工されたこれらの形状等が挙げられる。なかでも、球状、半球状等、光の入射側及び/又は出射側に曲面を備えるもの、特に光の入射側に曲面を備えるものが、反射による発光素子への戻り光を最小限にとどめることができるとともに、光取り出し効率が高くなることから好ましい。第2の透光部材が曲面によって形成されている場合には、良好な配向特性を得るために、この第2の透光部材は、貫通孔の中心に位置する部分及び/又はその周辺が最上点に位置していることが好ましい。なお、第2の透光部材の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、0.001mm〜1mm程度が例示される。第2の透光部材の厚みは、全面にわたって均一であることが好ましい。
第2の透光部材は、貫通孔内に配置した第1の透光部材を被覆するように、第2の透光部材を構成する材料を、加熱・溶解し、その量を制御しながら、貫通孔内に導入することにより形成することができる。具体的には、雰囲気加熱による融着、ランプヒータによる加熱融着、レーザ光による加熱融着又は治具を熱することによる融着等の方法を利用することができる。
【0026】
また、第2の透光部材は、半導体発光素子から入射される光の反射を低減させるためのフィルタが、その表面に形成されていてもよい。フィルタとしては、単層膜又は多層膜のいずれでもよく、特に、多層膜を用いる場合、高屈折率材料と低屈折率材料を交互に成膜することが好ましい。具体的には、AlN、SiO2、TiO2、Ta2O5、SiO、Al2O3、Ti3O5、Ti2O3、TiO、Nb2O5、CeO5、ZnS、MgF2等又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
第2の透光部材は、波長変換部材及び/又は光拡散材を含有していることが好ましい。なお、このような材料を含有するか否かにかかわらず、第2の透光部材は、単層で形成されていてもよいし、材料の異なる複数層の積層構造であってもよいし、さらに波長変換部材及び/又は光拡散材の1又は2以上を単層又は複数層において含有するように形成されていてもよい。
【0028】
波長変換部材は、発光素子から出射された光が照射されることで、波長変換した光を発するものであり、これにより、発光素子の光と、波長変換部材で波長変換された光との混色光を外部に取り出すことができる。換言すれば、必要に応じた波長変換部材を選択することで、所望の波長の光を取り出すことができる。波長変換部材は、1種のみでもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、波長変換物質を用いて、白色光を得る方法として以下の方法が例示される。第1の方法は、発光素子から発光される青色光で、黄色発光の蛍光体を励起させる。これにより、一部波長変換された黄色光と、変換されない青色光が混色され、白色光として放出される。第2の方法は、発光素子から放出される紫外光により、赤色、青色、黄色蛍光体を励起させる。波長変換された3色光が混色され、白色として放出される。第3の方法は、発光素子から放出された青色光により、緑色、赤色蛍光体を励起させる。波長変換された2色光と発光素子の光が混色され、白色として放出される。
【0029】
波長変換部材は、特に限定されるものではないが、代表的には、銅で賦活された硫化カドミ亜鉛、セリウムで賦活されたYAG系蛍光体及びLAG系蛍光体、CASN、CASBN、CCA、βサイアロン、シリケート、CaS、Srチオガレート等の蛍光体又はこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、例えば、特開2005−8844号公報等に例示されている公知の蛍光体を波長変換部材として用いることができる。
【0030】
光拡散材としては、発光素子から出射された光及び/又は波長変換部材にから出射された光を拡散させる。これにより、発光素子の光を均一に放射させることができ、色分布の良好な光を得ることができる。例えば、窒化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、二酸化珪素、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、銀、シリカ(ヒュームシリカ、沈降性シリカ等)、チタン酸カリウム、ケイ酸バリウム、ガラスファイバー等及びこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、第2の透光部材の横断面積の最大値は、貫通孔の横断面積の最小値より大きいことが好ましい。これにより、発光素子から出射された光のうち、第2の透光部材の発光素子側表面で反射された戻り光の一部を、貫通孔における内壁で再反射させて、外部へ効率的に取り出すことができる。
【0031】
(第1の透光部材)
第1の透光部材は、主としてキャップにおける貫通孔内で支持され、かつ、発光素子からの光を直接透過させ、その後方に配置する第2の透光部材に光を入射させるための部材であり、透明であることが必要である。また、上述した第2の透光部材の材料等にもよるが、この第2の透光部材の融点又は軟化点よりも、高い融点又は軟化点を有するものが好ましい。このような材料を用いることにより、上述したように、この第1の透光部材を被覆するように、後述する融着等による第2の透光部材の形成に、十分に耐性を有し、第2の透光部材の形成を容易かつ簡便に行うことを可能とする。
さらに、第1の透光部材は、大気の屈折率(波長400〜800における屈折率:約1)より大きい屈折率(nin)を有し、上述した第2の透光部材の屈折率(nout)より小さい屈折率を有している(つまり、1<nin<nout)ことが好ましい。ここでの屈折率差は、特に限定されないが、例えば、第1の透光部材の屈折率は、第2の透光部材の屈折率が1.8〜2.0程度であれば、1.6〜1.79程度(好ましくは、1.6〜1.7程度)であることことが例示される。
【0032】
通常、発光素子から出射した光が直接上述した第2の透光部材に入射した場合、大気と第2の透光部材との界面による反射によって、その光が発光素子側に戻ることがあり、光の取り出し効率を減少させる。一方、発光素子から出射した光は、まず、第1の透光部材を通過し、次いで、第2の透光部材に入射する。これにより、第1の透光部材によって、第2の透光部材表面での光の反射を緩和することができる。言い換えると、半導体発光素子の出射光を直接第2の透光部材へ進入させる場合に生じる、第2の透光部材の前面における反射の影響を低減させることができる。つまり、半導体発光素子からの光の第2の透光部材での反射を、第1の透光部材を配置することにより、第1の透光部材の前面で再反射させることができる。また、第2の透光部材表面で反射し、発光素子側に戻ろうとする光を、第2の透光部材と第1の透光部材との界面で再反射させることができる。その結果、戻り光を低減することができ、ひいては、効率良く半導体発光素子の光を外部へ取り出すことができ、発光効率を向上させることができる。このことは、上述したような第1の透光部材及び第2の透光部材の屈折率の関係を備えている場合に、特に有効である。
第1の透光部材は、発光素子(特にLDを用いた場合)に近い側に配置されるため、融点が低い場合には、出射光に起因する熱により変形することがある。また、通常、第1の透光部材は、2つの熱源(発光素子と蛍光体(を含有する第2の透光部材))との間に配置される。従って、融点の高いものであることが好ましい。例えば、石英ガラス、サファイア、セラミックス(ZrO2、Al2O3、AlN、GaN等)、樹脂(シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等)等又はこれらの組み合わせにより形成することができる。第1の透光部材の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、0.001mm〜1mm程度が例示される。この厚みは、必ずしも全面にわたって均一でなくてもよい。
【0033】
第1の透光部材の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、半球状、レンズ状、円盤状、円錐形状、円錐台形状又は平面視が多角形形状に加工されたこれらの形状等が挙げられる。なかでも、球状、半球状等、光の入射側及び/又は出射側に曲面を備えるものが、その表面で反射して発光素子側に戻る光を低減させることができ、あるいは、光取り出し効率を向上させることとなり、好ましい。なお、第1の透光部材は、貫通孔の最下面(キャップの内側表面)よりも、貫通孔側に、その下面が配置していることが好ましい。
透明部材は、上述したような、光拡散材を含有していてもよい。
また、第1の透光部材は、半導体発光素子から入射される光の反射を低減させるためのフィルタが、その表面に形成されていてもよい。フィルタとしては、単層膜又は多層膜のいずれでもよく、特に、多層膜を用いる場合、高屈折率材料と低屈折率材料を交互に成膜することが好ましい。具体的には、上述した第2の透光部材におけるフィルタと同様のものが例示される。
以下に、本発明の半導体発光装置の実施例を図面に基づいて説明する。
【0034】
実施例1
この実施例における半導体発光装置10は、図1及び図2に示すように、発光素子11、発光素子11を搭載するための円盤状の台座12と、発光素子11を台座12の一部とともに被覆するキャップ13とを備えて構成される。
発光素子11としては、ピーク波長445nmの半導体レーザ素子を用いた。
キャップ13は、円筒の上端が環状の上面により被覆された形状を有しており、このキャップ13には、発光素子11の光出射面に対向する部位に、発光素子11からの出射光が通過する円形の貫通孔16が形成されている。この貫通孔16は、発光素子11に対向する内側から外側に向かって広口となる形状を有している。貫通孔16の直径は、キャップ13の内側で200μm、外側で1000μmであり、貫通孔の内壁の傾斜角(図2中、α)は、60°である。発光素子11の光出射面からキャップ13(貫通孔16)までの距離は、ほぼ250μmである。また、キャップ13の厚みは、例えば、0.85mm程度である。
【0035】
この貫通孔16内には、内側から、発光素子11からの出射光を透過する第1の透光部材17と、第1の透光部材からの光を透過する第2の透光部材18とが、この順に配置されている。
第1の透光部材17は、サファイアによって形成され、直径が約0.4mmのほぼ球状の形状を有している。この第1の透光部材17の屈折率は1.76であった。
第2の透光部材18は、蛍光体としてYAG及びLAG、拡散材としてSiO2が含有された硼珪酸ガラスによって形成されており、第1の透光部材17の球面に沿って、厚み約0.4mmで第1の透光部材17を被覆している。第2の透光部材18は、キャップ13の貫通孔16内に、低融点ガラスを用いて接着されている。この第2の透光部材18の屈折率は1.8であった。
【0036】
台座12は、銅と鉄との合金により形成されており、用いる発光素子11の形態に対応して、略鉛直方向に立設された壁部12aを備えていている。台座12には、発光素子11の電極(図示せず)とワイヤ19を介して電気的に接続され、台座12に対して垂直方向に配置されたリード14の一端を突出させるための貫通孔12bが形成されている。貫通孔12bにおける台座12とリード14との隙間には、絶縁材15として、低融点ガラスが埋設されている。このリード14により、外部電極と電気的に接続可能となる。
【0037】
この半導体発光装置の光取り出し構造は、例えば、以下のように形成することができる。
まず、所望の金属からなる板を加工して上述した形状のキャップを準備する。
キャップの上面の中央部分に貫通孔を形成する。この貫通孔の形成は、例えば、切削加工、プレス加工、射出成形、パンチ加工等により形成することができ、この際、内側から外側に広口となる形状に制御する。
また、貫通孔の最小直径よりも大きく、最大直径よりも小さく、かつ、キャップの上面の厚みよりも小さな直径を有する球形の第1の透光部材を準備する。
波長変換部材として蛍光体を含有する第2の透光部材を構成するガラスを準備する。
その後、キャップの貫通孔内に、球形の第1の透光部材を載置し、第1の透光部材よりも低融点の材料、例えば、低融点ガラスを用い、900℃の雰囲気加熱による融着により、第1の透光部材をキャップに固定する。
続いて、第1の透光部材の表面であって、キャップの貫通孔内に第2の透光部材材料を配置し、800℃の雰囲気加熱で、表面を金型で押さえながら融着により、第2の透光部材を第1の透光部材に固定する。
【0038】
このように構成された半導体発光装置では、発光素子11から出射された光は、貫通孔16を通過後、透過部材17に入射し、その後、第2の透光部材18に入射し、第2の透光部材18内の蛍光体により波長変換される。体発光素子の青色と、蛍光体より得られた黄色及び緑色との混色により、非常に効率の高い白色が得られた。
【0039】
なお、比較例として、図11に示すように、キャップ13の貫通孔16内に、蛍光体及び拡散材を含有した第2の透光部材98のみを備える以外は、実質的に実施例1の半導体発光装置と同じ構成の半導体発光装置30を作製した。
上述した図2に示す半導体発光装置と、図11に示す比較例の半導体発光装置とを用いて、発光素子の出力を変化させた場合の光束を測定した。
その結果を図12に示す。
図12によれば、図2に示す半導体発光装置(実線)では、比較例の半導体発光装置(点線)に対して、400nWの出力時において、光束が約36%向上することが確認された。
【0040】
このように、実施例における半導体発光装置では、貫通孔がキャップの内側から外側にかけて広口となっていることから、発光素子から出射する光の、この貫通孔からの戻り光を効果的に再反射させることが可能となる。その結果、光の取り出し効率を増大させることができる。
また、貫通孔内において、半導体素子に近い側から順に、第1の透光部材及び第2の透光部材が配置されているため、発光素子から出射された光のうち、第2の透光部材と第1の透光部材との界面で反射して発光素子側に戻ろうとする光を、第1の透光部材と大気との界面で効率的に再反射させることが可能となる。その結果、戻り光を効果的に防止することができる。
特に、第1の透光部材の底面(最も発光素子に違い側)が貫通孔内に配置されている場合には、発光素子から出射された光のうち、第1の透光部材と大気との界面で反射して発光素子側に戻ろうとする光をも、貫通孔の内壁によって効率的に反射させることができる。よって、戻り光をより効果的に防止することができる。
【0041】
一方、比較例の半導体発光装置では、第2の透光部材と大気との界面において、発光素子からの出射光の一部が反射し、実施例1の半導体発光装置と比較して、光の取り出し効率をより低下させる。
【0042】
実施例2
この実施例の半導体発光装置40は、図4に示したように、キャップ13の貫通孔の内壁から、キャップ13の外側の表面の一部に、Agによる反射部材41設けたこと以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
この反射部材41は、例えば、スパッタ法によって形成することができる。
この反射部材41を設けることにより、第2の透光部材18及び/又は第1の透光部材17のキャップ13の内側の表面において反射して発光素子11側に戻ろうとする光を、貫通孔16の傾斜の程度と相まって、効果的にキャップ13の外側に取り出すことができる。
【0043】
実施例3
この実施例の半導体発光装置50は、図5に示したように、キャップ13の貫通孔の内壁から、キャップ13の外側の表面の一部に、Agによる反射部材51及びSiO2による保護膜52を設けたこと以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
この反射部材51を設けることにより、実施例2と同様の効果を得ることができるとともに、保護膜52を設けることにより、反射部材の劣化を防止することができる。
【0044】
実施例4
この実施例の半導体発光装置60は、図6に示したように、キャップ13の貫通孔内から、キャップ13の外側の表面の一部に、第2の透光部材68が凸状に形成されている以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
これにより、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0045】
実施例5
この実施例の半導体発光装置70は、図7に示したように、キャップ13の貫通孔内から、キャップ13の内側の表面の一部に、第1の透光部材27が下に凸状に形成されている以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
これにより、実施例1とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0046】
実施例6
この実施例の半導体発光装置80は、図8に示したように、キャップ13の貫通孔内において、第1の透光部材87及び第2の透光部材88が平坦に形成されている以外、実施例1の半導体発光装置と同様である。
これにより、実施例1とほぼ同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、内視鏡用光源、ヘッドライド、検査機光源、センサー光源、ディスプレイバックライト、光通信に用いられる光源として最適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の半導体発光装置の外観斜視図である。
【図2】図1の半導体発光装置の概略縦断面図である。
【図3】本発明の別の半導体発光装置の概略縦断面図である。
【図4】本発明の実施例2の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図5】本発明の実施例3の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図6】本発明の実施例4の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図7】本発明の実施例5の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図8】本発明の実施例6の半導体発光装置を示す概略縦断面図である。
【図9】本発明の半導体発光装置の半導体発光素子と貫通孔との位置及び形状等の関係を説明するための概略縦断面図である。
【図10】本発明の半導体発光装置における光の進路を説明するための要部の概略図である。
【図11】比較例1における半導体発光装置の縦断面図である。
【図12】図2及び図11の半導体発光装置における出力−光束特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0049】
10、20、30、40、50、60、70、80 半導体発光装置
11 発光素子
12、22 台座
12a 壁部
13、23 キャップ
14 リード
15 絶縁体
16、12b、26 貫通孔
17、77、87 第1の透光部材
17a 内表面
18、68、78、88、98 第2の透光部材
19 ワイヤ
41、51 反射部材
52 保護膜
53a、53b、54c 光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子と、
該半導体発光素子が搭載される台座と、
該半導体発光素子からの光を通過させ、かつ前記半導体発光素子に近い側から遠い側に向かって広口となる貫通孔を備え、前記半導体発光素子が封止されるキャップと、
少なくとも一部が前記キャップの貫通孔内に支持され、前記半導体発光素子からの出射光を透過させる第1の透光部材と、
少なくとも一部が前記キャップの貫通孔内に支持され、蛍光体を含有し、前記第1の透光部材からの光を透過させる第2の透光部材とを備える半導体発光装置。
【請求項2】
第2の透光部材が、第1の透光部材よりも大きい屈折率を有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記半導体発光素子は、前記キャップから離間されている請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記第1の透光部材は、光の入射側の表面が、前記キャップの貫通孔内に配置されてなる請求項1から3のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記半導体発光素子は、半導体レーザ又は端面発光LEDである請求項1から4のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記第2の透光部材は、第1の透光部材よりも低い融点又は軟化点を有する材料により形成されている請求項1から5のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記第2の透光部材は、光の入射側及び/又は出射側に曲面を備える請求項1から6のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項1】
半導体発光素子と、
該半導体発光素子が搭載される台座と、
該半導体発光素子からの光を通過させ、かつ前記半導体発光素子に近い側から遠い側に向かって広口となる貫通孔を備え、前記半導体発光素子が封止されるキャップと、
少なくとも一部が前記キャップの貫通孔内に支持され、前記半導体発光素子からの出射光を透過させる第1の透光部材と、
少なくとも一部が前記キャップの貫通孔内に支持され、蛍光体を含有し、前記第1の透光部材からの光を透過させる第2の透光部材とを備える半導体発光装置。
【請求項2】
第2の透光部材が、第1の透光部材よりも大きい屈折率を有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記半導体発光素子は、前記キャップから離間されている請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記第1の透光部材は、光の入射側の表面が、前記キャップの貫通孔内に配置されてなる請求項1から3のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記半導体発光素子は、半導体レーザ又は端面発光LEDである請求項1から4のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記第2の透光部材は、第1の透光部材よりも低い融点又は軟化点を有する材料により形成されている請求項1から5のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記第2の透光部材は、光の入射側及び/又は出射側に曲面を備える請求項1から6のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−272576(P2009−272576A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124134(P2008−124134)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
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