説明

半導体装置、電子装置、車両、及び過熱検出方法

【課題】過熱検出回路の検出温度がばらつくことを抑制する。
【解決手段】コンパレータ170には、第1抵抗110と第1定電流源120の間の電圧Aと、ダイオード130と第2定電流源140の間の電圧Bが入力される。第1リーク電流源150は、ドレインが第1抵抗110と第1定電流源120の間に接続されており、ソース及びゲート電極が第1定電流源120と第2配線104の間に接続されている。第2リーク電流源160は、ドレインが第1配線102とダイオード130の間に接続されており、ソース及びゲート電極がダイオード130と第2定電流源140の間に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱検出回路を有する半導体装置、電子装置、車両、及び過熱検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は動作中に発熱し、温度が上昇する。そして温度が上昇しすぎると、半導体装置は壊れてしまう。このため、半導体装置には、過熱検出回路が組み込まれることがある。
【0003】
特許文献1には、以下の過熱検出回路が記載されている。まず、コンパレータの第1の入力は、安定化基準電圧に接続されている。また、電流源とダイオードが互いに直列に接続されている。そしてコンパレータの第2の入力は、電流源とダイオードの間に接続されている。
【0004】
特許文献2には、N型のポリシリコン抵抗体の抵抗値の変化と、P型のポリシリコン抵抗体の抵抗値の変化を検出することにより、過熱を検出する回路が記載されている。
【0005】
なお、特許文献3には、過熱検出回路ではないが、以下の回路が記載されている。まず、入力バッファ回路の出力端子をコンパレータに接続する。また入力バッファ回路の入力部には漏れ電流が生じる。そこで、入力バッファ回路と同様の構成を有する擬似入力バッファ回路を設け、この擬似入力バッファの漏れ電流を検出することにより、入力バッファ回路の入力部への入力を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−169222号公報
【特許文献2】特開2007−315836号公報
【特許文献3】特開2003−215206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体装置は、特性にある程度のばらつきが生じる。一方、過熱検出回路は、高い精度で意図した温度を検出することが望まれる。すなわち過熱検出回路には、検出温度のばらつきを小さくする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、過熱検出回路を備え、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1定電流源に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第1リーク電流源と、
を備える半導体装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、半導体装置の温度が上昇すると、第1リーク電流源を流れる電流量が指数関数的に多くなる。このため、第1抵抗と第1定電流源の間の電圧は、半導体装置の温度が一定温度以上になると急激に変化する。このため、検出すべき温度が、第1抵抗と第1定電流源の間の電圧が急激に変化する領域に位置するようにすると、過熱検出回路の検出温度がばらつくことを抑制できる。
【0010】
本発明によれば、過熱検出回路を備え、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1素子に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第2リーク電流源と、
を備える半導体装置が提供される。
【0011】
本発明によれば、半導体装置の温度が上昇すると、第2リーク電流源を流れる電流量が指数関数的に多くなる。このため、第1素子と第2定電流源の間の電圧は、半導体装置の温度が一定温度以上になると急激に変化する。このため、検出すべき温度が、第1素子と第2定電流源の間の電圧が急激に変化する領域に位置するようにすると、過熱検出回路の検出温度がばらつくことを抑制できる。
【0012】
本発明によれば、電源から供給される電力によって駆動する負荷と、
前記電源から前記負荷への電源供給を制御する半導体装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記電源供給を制御する電力制御素子、及び過熱検出回路を有し、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1定電流源に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第1リーク電流源と、
を備える電子装置が提供される。
【0013】
本発明によれば、電源から供給される電力によって駆動する負荷と、
前記電源から前記負荷への電源供給を制御する半導体装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記電源供給を制御する電力制御素子、及び過熱検出回路を有し、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1素子に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第2リーク電流源と、
を備える電子装置が提供される。
【0014】
本発明によれば、バッテリーと、
前記バッテリーから供給される電力によって駆動する電気部品と、
前記バッテリーから前記電気部品への電源供給を制御する半導体装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記電源供給を制御する電力制御素子、及び過熱検出回路を有し、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1定電流源に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第1リーク電流源と、
を備える車両が提供される。
【0015】
本発明によれば、バッテリーと、
前記バッテリーから供給される電力によって駆動する電気部品と、
前記バッテリーから前記電気部品への電源供給を制御する半導体装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記電源供給を制御する電力制御素子、及び過熱検出回路を有し、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1素子に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第2リーク電流源と、
を備える車両が提供される。
【0016】
本発明によれば、半導体装置が有する過熱検出回路を用いて、前記半導体装置が過熱していることを検出する過熱検出方法であって、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1定電流源に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第1リーク電流源と、
を備え、
前記コンパレータの出力が切り替わることにより、前記半導体装置が加熱していることを検出する過熱検出方法が提供される。
【0017】
本発明によれば、半導体装置が有する過熱検出回路を用いて、前記半導体装置が過熱していることを検出する過熱検出方法であって、
前記過熱検出回路は、
第1電圧が印加される第1配線と、
前記第1電圧よりも低電圧である第2電圧が印加される第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1素子に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第2リーク電流源と、
を備え、
前記コンパレータの出力が切り替わることにより、前記半導体装置が加熱していることを検出する過熱検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、過熱検出回路の検出温度がばらつくことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路の回路図である。
【図2】第1定電流源及び第2定電流源の構成の第1例を示す図である。
【図3】第1定電流源及び第2定電流源の構成の第2例を示す図である。
【図4】図1に示した過熱検出回路の動作を説明するための図である。
【図5】図1に示した過熱検出回路の動作を説明するための図である。
【図6】第2の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路の回路図である。
【図7】図6に示した過熱検出回路による効果を説明するための図である。
【図8】第3の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路の回路図である。
【図9】図8に示した過熱検出回路による効果を説明するための図である。
【図10】第4の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路の回路図である。
【図11】第5の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路の回路図である。
【図12】第6の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路の回路図である。
【図13】第7の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路の回路図である。
【図14】第8の実施形態に係る電子装置の回路構成を示す図である。
【図15】図14に示した電子装置を有する車両の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路100の回路図である。過熱検出回路100は、第1配線102、第2配線104、第1抵抗110、第1定電流源120、ダイオード130(第1素子)、第2定電流源140、第1リーク電流源150、第2リーク電流源160、及びコンパレータ170を有している。第1配線102と第2配線104には、互いに異なる電圧が印加されている。例えば第1配線102には、定電圧Vdが入力され、第2配線104には、Vdよりも一定値低い電圧が入力される。
【0022】
第1抵抗110は、第1配線102に接続している。第1抵抗110は、例えばポリシリコン抵抗であるが、これに限定されない。第1定電流源120は、第1抵抗110に直列に接続しており、第1抵抗110と第2配線104とを接続している。ダイオード130は、第1配線102に接続している。第2定電流源140は、ダイオード130に直列に接続しており、ダイオード130と第2配線104とを接続している。なお、ダイオード130は、複数、第1配線102から第2定電流源140に向かう方向が順方向となるように直列に接続されている。
【0023】
コンパレータ170には、第1抵抗110と第1定電流源120の間の電圧Aと、ダイオード130と第2定電流源140の間の電圧Bが入力される。具体的には、コンパレータ170の反転入力端子には電圧Aが入力され、非反転入力端子には電圧Bが入力される。そしてコンパレータ170の出力Voutが、過熱検出信号となる。
【0024】
第1リーク電流源150は、N型のMOSトランジスタのソース及びゲート電極を短絡した、いわゆるMOS型ダイオードである。第1リーク電流源150は、ドレインが第1抵抗110と第1定電流源120の間に接続されており、ソース及びゲート電極が第1定電流源120と第2配線104の間に接続されている。
【0025】
また第2リーク電流源160も、N型のMOSトランジスタのソース及びゲート電極を短絡した、いわゆるMOS型ダイオードである。第2リーク電流源160は、ドレインが第1配線102とダイオード130の間に接続されており、ソース及びゲート電極がダイオード130と第2定電流源140の間に接続されている。
【0026】
なお、本実施形態に係る半導体装置は、過熱検出回路100のほかに、発熱源となる素子を有している。この素子は、例えば、パワーMOSトランジスタなどの電力制御用の素子である。
【0027】
図2は、第1定電流源120及び第2定電流源140の構成の第1例を示す図である。本図に示す第1定電流源120及び第2定電流源140は、カレントミラー型の定電流源である。具体的には、第1定電流源120及び第2定電流源140は、いずれもMOSトランジスタを有している。このMOSトランジスタは、ドレインがダイオード130及び第2定電流源140に接続されており、ソースが第2配線104に接続されている。さらに、このMOSトランジスタのゲート電極は、MOSトランジスタ180のゲート電極に接続されている。MOSトランジスタ180は、ドレインとゲート電極が接続されている。MOSトランジスタ180のドレインは、抵抗素子182を介して第1配線102に接続しており、MOSトランジスタ180のソースは第2配線104に接続している。
【0028】
図3は、第1定電流源120及び第2定電流源140の構成の第2例を示す図である。本図に示す例において、第1定電流源120及び第2定電流源140は、ディプレッショn型のMOSトランジスタを有している。詳細には、第1定電流源120及び第2定電流源140は、MOSトランジスタのドレインをダイオード130及び第2定電流源140に接続し、ソース及びゲート電極を第2配線104に接続した構成を有している。
【0029】
図4及び図5は、図1に示した過熱検出回路100の動作を説明するための図である。
【0030】
まず、ダイオード130の順方向電圧は、温度が上昇するにつれて低くなる(例えば数mV/℃)。このため、第2リーク電流源160を設けない場合、電圧Bは、温度が上昇していくにつれて、一次関数的に上昇していく。
【0031】
一方、第1リーク電流源150及び第2リーク電流源160には、微小なリーク電流が生じている。このリーク電流量は、チャネル濃度及びチャネル幅の少なくとも一方により、設計段階で制御することができる。
【0032】
第1リーク電流源150のリーク電流量が増加すると、第1抵抗110を流れる電流量が増加する。このため、第1抵抗110と第1定電流源120の間の電圧Aは、低下していく。
【0033】
また、第2リーク電流源160のリーク電流量が増加すると、ダイオード130を流れる電流量は減少する。このため、ダイオード130と第2定電流源140の間の電圧Bは、上昇していく。
【0034】
一方、第1リーク電流源150及び第2リーク電流源160のリーク電流の量は、図4(a)に示すように、温度が上昇するにつれて指数関数的に増加する。このため、図4(b)に示すように、第1抵抗110と第1定電流源120の間の電圧Aは、温度が上昇していくにつれて、指数関数的に低下していく。一方、ダイオード130と第2定電流源140の間の電圧Bは、指数関数的に上昇していく。
【0035】
コンパレータ170の出力は、電圧Aと電圧Bの大小関係が入れ替わったタイミングで、切り替わる。本実施形態では、図4(b)に示すように、電圧Aと電圧Bの大小関係が入れ替わる温度が、第1リーク電流源150及び第2リーク電流源160のリーク電流量が急激に上昇する温度領域に位置するように、各素子を設計する。このようにすると、各素子の特性がばらつき、図4(b)に示す電圧A,Bと温度の関係を示すグラフが上下にずれても、電圧Aと電圧Bの大小関係が入れ替わる温度は大きく変化しない。従って、過熱検出回路100の検出温度がばらつくことを抑制できる。なお、この効果は、電圧Aと電圧Bの大小関係が入れ替わる温度における、電圧Aを示す曲線の接線と、電圧Bを示す曲線の接線とが成す角度αが大きい(例えば90°以上)ほど、顕著になる。
【0036】
また、図5に示すように、電圧Bと温度の関係を示す曲線が、設計時の曲線から上下にずれた場合を考える。設計時の曲線より下にΔVずれた場合、コンパレータ170の出力が切り替わる温度は、基準温度T1からΔT高くなる。逆に、設計曲線より上にΔVずれた場合、コンパレータ170の出力が切り替わる温度は、基準温度T1からΔT高くなる。しかし、電圧Bは、温度が上昇するにつれて指数関数的に上昇していくため、ΔT>ΔTとなる。過熱検出回路は、その目的から、検出温度が設計温度から高温側にずれるのは特に好ましくない。これに対して本実施形態では、検出温度が設計温度から高温側にずれにくくなっているため、過熱検出回路として好ましい特性を有している。
【0037】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路100の構成を示す回路図である。本実施形態に係る過熱検出回路100は、第2リーク電流源160を備えない点を除いて、第1の実施形態に係る過熱検出回路100と同様の構成である。
【0038】
図7は、図6に示した過熱検出回路100による効果を説明するための図である。本実施形態では、第1配線102と第2定電流源140の間には第2リーク電流源160が設けられていない。このため、電圧Bは、第1の実施形態と異なり、温度が上がるにつれてわずかに上昇する。しかしこの場合でも、電圧Aと電圧Bの大小関係が入れ替わる温度が、第1リーク電流源150及び第2リーク電流源160のリーク電流量が急激に上昇する温度領域に位置するように、各素子を設計すると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路100の構成を示す回路図である。本実施形態に係る過熱検出回路100は、第1リーク電流源150を備えない点を除いて、第1の実施形態に係る過熱検出回路100と同様の構成である。
【0040】
図9は、図8に示した過熱検出回路100による効果を説明するための図である。本実施形態では、第1抵抗110と第2配線104の間には第1リーク電流源150が設けられていない。このため、第1の実施形態と異なり、電圧Aの温度依存性はほとんどないか、又は温度が上がるにつれてわずかに電圧Aが低下する。しかしこの場合でも、電圧Aと電圧Bの大小関係が入れ替わる温度が、第1リーク電流源150及び第2リーク電流源160のリーク電流量が急激に上昇する温度領域に位置するように、各素子を設計すると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路100の構成を示す回路図である。本実施形態に係る過熱検出回路100は、ダイオード130の代わりに第2抵抗132を有している点を除いて、第1の実施形態に係る過熱検出回路100と同様の構成である。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
(第5の実施形態)
図11は、第5の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路100の構成を示す回路図である。本実施形態に係る過熱検出回路100は、ダイオード130の代わりにMOSトランジスタ134を有している点を除いて、第1の実施形態に係る過熱検出回路100と同様の構成である。MOSトランジスタ134は、ドレインが第1配線102に接続されており、ソース及びゲート電極が、第2定電流源140に接続されている。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
(第6の実施形態)
図12は、第6の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路100の構成を示す回路図である。本実施形態に係る過熱検出回路100は、以下の点を除いて、第1の実施形態に係る過熱検出回路100と同様の構成である。
【0044】
まず、第1リーク電流源150の代わりに、ダイオードからなる第1リーク電流源152を有している。第1リーク電流源152は、N型層が第1抵抗110に接続しており、P型層が第2配線104に接続している。すなわち第2リーク電流源162を構成するダイオードは、逆方向に接続されている。
【0045】
また、第2リーク電流源160の代わりに、ダイオードからなる第2リーク電流源162を有している。第2リーク電流源162は、N型層が第1配線102に接続しており、P型層がダイオード130と第2定電流源140の間に接続している。すなわち第2リーク電流源162を構成するダイオードは、逆方向に接続されている。
【0046】
ダイオードを逆方向に接続した場合、逆方向電流も温度が上昇するにつれて指数関数的に増加する。従って、本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
(第7の実施形態)
図13は、第7の実施形態に係る半導体装置が有する過熱検出回路100の構成を示す回路図である。本実施形態に係る過熱検出回路100は、ダイオード130を有していない点を除いて、第1の実施形態に係る過熱検出回路100と同様の構成である。
【0048】
本実施形態において、第1リーク電流源150のリーク電流量が増加すると、第1抵抗110を流れる電流量が増加する。このため、第1抵抗110と第1定電流源120の間の電圧Aは、低下していく。また、過熱検出回路100の温度が上昇して第2リーク電流源160のリーク電流量が流れやすくなると、第2リーク電流源160と第2定電流源140の間の電圧Bは、上昇していく。
【0049】
従って、本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
(第8の実施形態)
図14は、第8の実施形態に係る電子装置の回路構成を示す図である。この電子装置は、例えば車両に用いられており、電子装置2、電源4、及び負荷6を有している。電源4は例えば車両に搭載されているバッテリーである。負荷6は、例えば車両に搭載されている電子部品、例えばヘッドランプである。そして電子装置2は、電源4から負荷6に供給する電力を制御している。
【0051】
電子装置2は、回路基板(例えばプリント配線基板)上に半導体装置10,12を搭載したものである。
【0052】
半導体装置10は、IPD(Intelligent Power Device)であり、電力制御用MOSトランジスタ20、制御回路(ロジック回路)30、及び過熱検出回路100を同一の半導体基板に形成したものである。電力制御用MOSトランジスタ20は、例えば縦型MOSトランジスタである。制御回路30は、電力制御用MOSトランジスタ20の動作を制御している。過熱検出回路100は、第1〜第6の実施形態のいずれかに示した構成を有している。
【0053】
電力制御用MOSトランジスタ20は、電源4から負荷6に供給される電力を制御する。そして電力制御用MOSトランジスタ20を介して電源4から負荷6に電力が供給されると、電力制御用MOSトランジスタ20が発熱するため、半導体装置10の温度は上昇していく。そして半導体装置10の温度が基準値以上になると、過熱検出回路100が制御回路30に信号を出力する。制御回路30は、過熱検出回路100から信号が入力されると、電力制御用MOSトランジスタ20の動作を終了させ、電源4から負荷6への電力供給を終了させる。
【0054】
半導体装置12は、マイコンであり、回路基板の配線を介して半導体装置10に接続している。半導体装置12は、半導体装置10を制御している。詳細には、半導体装置12は、制御回路30に制御信号を入力する。そして制御回路30は、半導体装置12から入力された制御信号に従って、電力制御用MOSトランジスタ20のゲート電極に信号を入力する。
【0055】
図15は、図14に示した電子装置2を有する車両の構成を示す図である。この車両は、例えば図15(a)に示すように自動車であってもよいし、図15(b)に示すようにバイクであってもよい。いずれの車両も、電源4としてのバッテリー、電子装置2、及び負荷6としてのヘッドランプ400を有している。
【0056】
本実施形態によれば、半導体装置10は、上記したいずれかの実施形態に係る過熱検出回路100を有している。従って、過熱によって電力制御用MOSトランジスタ20が壊れることを抑制できる。
【0057】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0058】
2 電子装置
4 電源
6 負荷
10 半導体装置
12 半導体装置
20 電力制御用MOSトランジスタ
30 制御回路
100 過熱検出回路
102 第1配線
104 第2配線
110 第1抵抗
120 第1定電流源
130 ダイオード
132 第2抵抗
134 MOSトランジスタ
140 第2定電流源
150 第1リーク電流源
152 第1リーク電流源
160 第2リーク電流源
162 第2リーク電流源
170 コンパレータ
180 MOSトランジスタ
182 抵抗素子
400 ヘッドランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱検出回路を備え、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1定電流源に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第1リーク電流源と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1リーク電流源はMOS型ダイオードであり、前記MOS型ダイオードのドレインは前記第1抵抗に接続しており、前記MOS型ダイオードのソース及びゲート電極は前記第2配線と前記第1定電流源の間に接続している半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1リーク電流源は、前記第1抵抗に接続しているP型層、及び前記第2配線に接続しているN型層を有しており、前記P型層及び前記N型層がPN接合を形成している素子である半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置において、
前記第1素子に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第2リーク電流源を備える半導体装置。
【請求項5】
過熱検出回路を備え、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1素子に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第2リーク電流源と、
を備える半導体装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の半導体装置において、
前記第2リーク電流源は、前記第1配線に接続しているN型層、及び前記第2定電流源に接続しているP型層を有しており、前記P型層及び前記N型層がPN接合を形成している素子である半導体装置。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の半導体装置において、
前記第2リーク電流源はMOS型ダイオードであり、前記MOS型ダイオードのドレインは前記第1配線に接続しており、前記MOS型ダイオードのソース及びゲート電極は前記第1素子と前記第2定電流源の間に接続している半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置において、
電力を制御する電力制御素子を備える半導体装置。
【請求項9】
電源から供給される電力によって駆動する負荷と、
前記電源から前記負荷への電源供給を制御する半導体装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記電源供給を制御する電力制御素子、及び過熱検出回路を有し、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1定電流源に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第1リーク電流源と、
を備える電子装置。
【請求項10】
電源から供給される電力によって駆動する負荷と、
前記電源から前記負荷への電源供給を制御する半導体装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記電源供給を制御する電力制御素子、及び過熱検出回路を有し、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1素子に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第2リーク電流源と、
を備える電子装置。
【請求項11】
バッテリーと、
前記バッテリーから供給される電力によって駆動する電気部品と、
前記バッテリーから前記電気部品への電源供給を制御する半導体装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記電源供給を制御する電力制御素子、及び過熱検出回路を有し、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1定電流源に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第1リーク電流源と、
を備える車両。
【請求項12】
バッテリーと、
前記バッテリーから供給される電力によって駆動する電気部品と、
前記バッテリーから前記電気部品への電源供給を制御する半導体装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記電源供給を制御する電力制御素子、及び過熱検出回路を有し、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1素子に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第2リーク電流源と、
を備える車両。
【請求項13】
半導体装置が有する過熱検出回路を用いて、前記半導体装置が過熱していることを検出する過熱検出方法であって、
前記過熱検出回路は、
第1配線と、
第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1定電流源に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第1リーク電流源と、
を備え、
前記コンパレータの出力が切り替わることにより、前記半導体装置が加熱していることを検出する過熱検出方法。
【請求項14】
半導体装置が有する過熱検出回路を用いて、前記半導体装置が過熱していることを検出する過熱検出方法であって、
前記過熱検出回路は、
第1電圧が印加される第1配線と、
前記第1電圧よりも低電圧である第2電圧が印加される第2配線と、
前記第1配線に接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列に設けられ、前記第1抵抗と前記第2配線を接続する第1定電流源と、
前記第1配線に接続しており、抵抗、ダイオード、又はMOS型ダイオードである第1素子と、
前記第1素子に直列に設けられ、前記第1素子と前記第2配線を接続する第2定電流源と、
前記第1抵抗と前記第1定電流源の間の電圧と、前記第1素子と前記第2定電流源の間の電圧が入力されるコンパレータと、
前記第1素子に並列に設けられ、流れる電流が指数関数的な温度依存性を有する第2リーク電流源と、
を備え、
前記コンパレータの出力が切り替わることにより、前記半導体装置が加熱していることを検出する過熱検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−90153(P2013−90153A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229110(P2011−229110)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】