説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】リーク電流の増大や被膜性の劣化やトランジスタ特性の劣化等のエッチングに伴う不具合を防ぐことが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】CMOSトランジスタ500は、ゲート電極202を有するN型MOSトランジスタおよびゲート電極201を有するP型MOSトランジスタを同一の半導体基板1上に備え、ゲート電極202は、ゲート絶縁膜5と多結晶シリコン層61と金属層62と多結晶シリコン層63とを含み、ゲート電極201は、ゲート絶縁膜5と金属層62と多結晶シリコン層63とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、エッチングに伴う不具合を防ぐための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のMOS構造を有する半導体装置が製造されている(例えば、特許文献1)。なお、本明細書においては、MOSという用語を、ゲート絶縁膜として酸化物以外の材料を用いたトランジスタにも広く適用させるものとする。
【0003】
【特許文献1】特開2007−19396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置の製造方法においては、以下で説明するように、二点の問題点があった。
【0005】
第一の問題点として、特許文献1の図5〜6に示されるように、P型ウェル32上方の金属層64を選択除去するが、この際、P型ウェル32上のゲート絶縁膜5にダメージが入り、ゲート絶縁膜5のリーク電流が増大するという問題が発生する。これは、金属層64を堆積してから除去するまでに、金属層64とゲート絶縁膜5とが一部反応し界面層が形成され、この界面層も金属層64除去時に除去されるからである。
【0006】
第二の問題点として、特許文献1の図7〜8に示されるように、構造が異なる複数のゲート電極を同時に形成する必要があるが、多結晶シリコン層63のエッチング後には、基板表面に、PMOSでは金属層64が露出し、かつNMOSではゲート絶縁膜5が露出してしまう。この状態で、ゲート絶縁膜5のエッチング突き抜けを発生させずに金属層64だけをエッチングするためには、金属/ゲート絶縁膜のエッチング選択比を大きなエッチング条件で行わなければならない。しかし、金属/ゲート絶縁膜のエッチング選択比の大きなエッチングを行うと、金属層64の側壁はテーパー形状とならざるを得ないので、後の絶縁膜形成時に、テーパー形状となった金属層64の下端において絶縁膜膜厚が薄くなり被膜性が劣化する。また、トランジスタへの注入がその金属層のテーパーに影響され、トランジスタ特性が劣化してしまう等の問題が発生する。
【0007】
本発明は以上の問題点を解決するためになされたものであり、リーク電流の増大や被膜性の劣化やトランジスタ特性の劣化等のエッチングに伴う不具合を防ぐことが可能な半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施の形態において、CMOSトランジスタは、第1ゲート電極を有するN型MOSトランジスタおよび第2ゲート電極を有するP型MOSトランジスタを同一の半導体基板上に備え、第1ゲート電極は、第1ゲート絶縁膜と、第1半導体層と、金属層と、第2半導体層とを含み、第2ゲート電極は、第2ゲート絶縁膜と、第1ゲート電極と同種の金属層と、第3半導体層とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エッチングに伴い、P型ウェル上の第1ゲート絶縁膜にダメージが入り、第1ゲート絶縁膜のリーク電流が増大するという問題を防ぐことができる。また、第2半導体層のエッチング後に、金属層や第1半導体層をエッチングする際においても、金属層や第1半導体層の側壁を垂直形状に保つことができるので、被膜性の劣化やトランジスタ特性の劣化が発生してしまうという問題を防ぐことができる。すなわち、エッチングに伴う不具合を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係るCMOSトランジスタ500の構造を示す断面図である。CMOSトランジスタ500は、コアPMOSトランジスタ501、コアNMOSトランジスタ502、I/O−PMOSトランジスタ503、およびI/O−NMOSトランジスタ504を備えている。
【0011】
I/O−PMOSトランジスタ503およびI/O−NMOSトランジスタ504は、外部素子とのインプット/アウトプットを司るトランジスタであり、内部回路を司るコアPMOSトランジスタ501およびコアNMOSトランジスタ502に比べ、一般的により高い電源電圧で駆動される。
【0012】
コアPMOSトランジスタ501およびI/O−PMOSトランジスタ503はN型ウェル31において設けられており、コアNMOSトランジスタ502およびI/O−NMOSトランジスタ504はP型ウェル32において設けられている。N型ウェル31およびP型ウェル32はともに半導体基板1の一方の主面(図1において上側)に設けられている。
【0013】
また、N型ウェル31とP型ウェル32とは素子分離絶縁体2によってその上記主面側が分離されている。言い換えれば、素子分離絶縁体2は、PMOSトランジスタが配置されるPMOS領域とNMOSトランジスタが配置されるNMOS領域とを分離している。
【0014】
半導体基板1、N型ウェル31、およびP型ウェル32は、いずれも、例えばシリコンを主成分として採用している。特に断らない限り他の不純物層についても同様にシリコンを採用することができる。素子分離絶縁体2には例えばシリコン酸化物を採用することができる。
【0015】
コアPMOSトランジスタ501はゲート電極201と、一対のP型ソース/ドレイン層101とを有している。N型ウェル31のうち、一対のP型ソース/ドレイン層101で挟まれ、ゲート電極201と対峙する領域は、コアPMOSトランジスタ501のチャネル領域として機能する。
【0016】
コアNMOSトランジスタ502はゲート電極202と、一対のN型ソース/ドレイン層102とを有している。P型ウェル32のうち、一対のN型ソース/ドレイン層102で挟まれ、ゲート電極202と対峙する領域は、コアNMOSトランジスタ502のチャネル領域として機能する。
【0017】
I/O−PMOSトランジスタ503はゲート電極201と、一対のP型ソース/ドレイン層103とを有している。N型ウェル31のうち、一対のP型ソース/ドレイン層103で挟まれ、ゲート電極201と対峙する領域は、I/O−PMOSトランジスタ503のチャネル領域として機能する。
【0018】
I/O−NMOSトランジスタ504はゲート電極202と、一対のN型ソース/ドレイン層104とを有している。P型ウェル32のうち、一対のN型ソース/ドレイン層104で挟まれ、ゲート電極202と対峙する領域は、I/O−NMOSトランジスタ504のチャネル領域として機能する。
【0019】
P型ソース/ドレイン層101は、P型の主層75と、主層75の底よりも上記主面からみて底が浅い副層73,77とを含む(図示の都合上、副層73,77を同一の層として示している)。副層73はP型のソース/ドレインエクステンションであり、主層75よりもチャネル領域側に突出する。副層77はN型のポケットであり、実際には、副層73よりも上記主面からみて底が深く、副層73よりもチャネル領域側に突出する。
【0020】
N型ソース/ドレイン層102は、N型の主層76と、主層76の底よりも上記主面からみて底が浅い副層74,78とを含む(図示の都合上、副層74,78を同一の層として示している)。副層74はN型のソース/ドレインエクステンションであり、主層76よりもチャネル領域側に突出する。副層78はP型のポケットであり、実際には、副層74よりも上記主面からみて底が深く、副層74よりもチャネル領域側に突出する。
【0021】
P型ソース/ドレイン層103は、P型の主層75と、主層75の底よりも上記主面からみて底が浅い副層71とを含む。副層71はP型のソース/ドレインエクステンションであり、主層75よりもチャネル領域側に突出する。
【0022】
N型ソース/ドレイン層104は、N型の主層76と、主層76の底よりも上記主面からみて底が浅い副層72とを含む。副層72はN型のソース/ドレインエクステンションであり、主層76よりもチャネル領域側に突出する。
【0023】
いずれのMOSトランジスタにおいても、ゲート電極の周囲には、オフセットスペーサ81と、断面がL字型のサイドウォール82と、サイドウォール82の入隅を埋めるスペーサ9とが設けられている。オフセットスペーサ81およびサイドウォール82の材料としては、例えば酸化膜が採用され、スペーサ9の材料としては、窒化膜が採用される。
【0024】
素子分離絶縁体2、副層(ソース/ドレインエクステンション)71〜74、オフセットスペーサ81、サイドウォール82、スペーサ9、およびゲート電極201〜202の上には、ライナー絶縁膜12および層間絶縁膜13が設けられている。ライナー絶縁膜12の材料としては、窒化膜が採用され、層間絶縁膜13の材料としては、例えば酸化膜が採用される。
【0025】
コンタクトプラグ14は、ライナー絶縁膜12および層間絶縁膜13を貫通するように設けられている。コンタクトプラグ14の下端(上記主面側)の位置においては、副層(ソース/ドレインエクステンション)71〜74およびゲート電極201〜202に、シリサイド層11が形成されている。このシリサイド層11を介して、副層(ソース/ドレインエクステンション)71〜74およびゲート電極201〜202は、コンタクトプラグ14と電気的に接続されている。シリサイド層11は例えばコバルトシリサイドで構成されている。なお、シリサイド層11は、電気的な接続を良好にする観点から、設けられることが望ましいものの、必須ではない。また、コンタクトプラグ14の材料としては、金属を採用することができる。
【0026】
コアPMOSトランジスタ501は、ゲート電極201とN型ウェル31との間に、ゲート絶縁膜5Cを有している。コアNMOSトランジスタ502は、ゲート電極202とP型ウェル32との間に、ゲート絶縁膜5Cを有している。I/O−PMOSトランジスタ503は、ゲート電極201とN型ウェル31との間に、ゲート絶縁膜5Cより厚いゲート絶縁膜5Iを有している。I/O−NMOSトランジスタ504は、ゲート電極202とP型ウェル32との間に、ゲート絶縁膜5Cより厚いゲート絶縁膜5Iを有している。以下では、ゲート絶縁膜5C,5Iを総称して、単にゲート絶縁膜5とも呼ぶ。
【0027】
ゲート絶縁膜5の材料としては、酸化シリコンの他、誘電率が高い酸化ハフニウム(HfO2)や、シリコン酸化ハフニウム(HfxSiyz)、アルミニウム酸化ハフニウム(HfxAlyz)などのハフニウム酸化物や、あるいは、ハフニウムシリコン窒化酸化物を採用することができる。
【0028】
ゲート電極201は、ゲート絶縁膜5側から順に、金属層62、多結晶シリコン層63、およびシリサイド層11を含んでいる。またゲート電極202は、ゲート絶縁膜5側から順に、多結晶シリコン層61、金属層62、多結晶シリコン層63、およびシリサイド層11を含んでいる。なお、金属層62は、3nm以上の厚さを有している。
【0029】
一般的なCMOSトランジスタにおいては、ゲート電極として多結晶シリコンを採用する場合、通常は、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとで、ゲート電極の導電型を異ならせる。PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとで、相互の閾値を調整する必要があるからである。
【0030】
しかし本実施の形態では、多結晶シリコン層63は、ゲート絶縁膜5のみならず、3nm以上の厚さを有する金属層62を少なくとも介在させてチャネル領域に対峙している。よって、多結晶シリコン層63の導電型が、直ちにコアPMOSトランジスタ501およびI/O−PMOSトランジスタ503の閾値を決定することはない。よって、本実施の形態では、ゲート電極201〜202において、同種の多結晶シリコン層63を共通に用いることにより、製造工程数を低減している。
【0031】
他方、多結晶シリコン層61は、ゲート電極202において、ゲート絶縁膜5のみを介在させてチャネル領域に対峙しているので、多結晶シリコン層61の導電型は、N型であることが望ましい。もちろん、ゲート電極201において、金属層62は、ゲート絶縁膜5のみを介在させてチャネル領域に対峙しているので、金属層62の材料としては、コアPMOSトランジスタ501およびI/O−PMOSトランジスタ503それぞれに適した仕事関数を有する金属を採用することが望ましい。N型ウェル31の主成分としてシリコンを採用する場合、当該金属としては、シリコンの価電子帯に近い仕事関数(5.15eVを中心として±0.3eVの範囲すなわち5.12〜5.18eV)を有することが望ましい。
【0032】
かかる仕事関数を有する材料としては、例えば、Pt、Ir、Rn、Re、Os、Ti、Ru、またはMoなどの金属や、TiN、TaN、HfC、MoN、またはRuoなどの金属化合物を挙げることができる。
【0033】
図2〜15は、図1のCMOSトランジスタ500の製造方法に係る各工程を順に示す断面図である。
【0034】
まず、図2を参照して、半導体基板1の一方の主面に素子分離絶縁体2を離隔して複数設ける。素子分離絶縁体2形成には、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法を採用する。そして、注入用酸化膜51を主面に形成する。
【0035】
次に、図3を参照して、NMOSトランジスタを後に形成する領域(NMOS領域)において、上記主面上にフォトレジスト91を形成する。
【0036】
そして、フォトレジスト91をマスクとし、注入用酸化膜51を介してN型不純物を主面に導入する。注入されるN型不純物としては例えば燐を採用できる。N型不純物の注入により、N型ウェル31が形成される。その後、フォトレジスト91を除去する。なお、コアPMOSトランジスタ501のN型ウェル31とI/O−PMOSトランジスタ503のN型ウェル31とは、同時の注入により形成されてもよく、あるいは、注入量を異ならせて別々の注入により形成されてもよい。
【0037】
次に、図4を参照して、PMOSトランジスタを後に形成する領域(PMOS領域)において、主面上にフォトレジスト92を形成する。
【0038】
そして、フォトレジスト92をマスクとし、注入用酸化膜51を介してP型不純物を主面に導入する。注入されるP型不純物としては例えば硼素を採用できる。P型不純物の注入により、P型ウェル32が形成される。その後、フォトレジスト92を除去する。なお、コアNMOSトランジスタ502のP型ウェル32とI/O−NMOSトランジスタ504のP型ウェル32とは、同時の注入により形成されてもよく、あるいは、注入量を異ならせて別々の注入により形成されてもよい。
【0039】
次に、図5を参照して、主面上において、注入用酸化膜51を除去し、例えば酸化シリコンから、ゲート絶縁膜52を形成する。そして、I/O−PMOSトランジスタ503およびI/O−NMOSトランジスタ504を後に形成する領域(I/O−MOS領域)上にフォトレジスト93を形成し、フォトレジスト93をマスクとして、ゲート絶縁膜52を選択除去する。これにより、I/O−PMOSトランジスタ503およびI/O−NMOSトランジスタ504を後に形成する領域(I/O−MOS領域)上に、選択的に、ゲート絶縁膜52を残存させることができる。
【0040】
次に、図6を参照して、主面上において、ハフニウム酸化物やハフニウムシリコン窒化酸化物から、ゲート絶縁膜53を形成する。これにより、I/O−MOS領域に、ゲート絶縁膜52,53からなる二層構造のゲート絶縁膜5Iが形成され、コアMOS領域に、ゲート絶縁膜53からなる一層構造のゲート絶縁膜5Cが形成される。
【0041】
次に、図7を参照して、主面側で露出する面の全体に亘り、多結晶シリコン層61を5〜20nmの厚さで形成する。
【0042】
なお、多結晶シリコン層61の導電型をN型にするには、N型の不純物(例えば燐)を導入しつつ多結晶シリコン層61を形成することが望ましい。先に多結晶シリコン層61を形成してからN型の不純物をその表面から注入することによっても、多結晶シリコン層61の導電型をN型にすることはできる。しかし、イオン注入をゲート絶縁膜5近傍まで行う場合よりも、N型の不純物を導入しつつ多結晶シリコン層61を形成する方が、ゲート電極201〜202のゲート絶縁膜5側における空乏層の発生をより低減することができる。
【0043】
次に、図8を参照して、フォトレジスト94をP型ウェル32上に形成し、フォトレジスト94をマスクとして、N型ウェル31上の多結晶シリコン層61を選択除去する。
【0044】
次に、図9を参照して、主面側で露出する面の全体に亘り、金属層62を3nm以上の厚さで形成し、続いて、多結晶シリコン層63を形成する。金属層62には、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって生成されるTiNを採用する。
【0045】
以上により、N型ウェル31の上方すなわちPMOS領域では、ゲート絶縁膜5上に金属層62および多結晶シリコン層63から積層膜が形成され、P型ウェル32の上方すなわちNMOS領域では、ゲート絶縁膜5上に多結晶シリコン層61、金属層62および多結晶シリコン層63から積層膜が形成される。
【0046】
なお、多結晶シリコン層63の導電型をN型にするには、N型の不純物(例えば燐)を導入しつつ多結晶シリコン層63を形成することが望ましい。
【0047】
次に、図10を参照して、ゲート電極パターニング用の所定のパターンを有するフォトレジスト95を多結晶シリコン層63上に形成する。そして、フォトレジスト95をマスクとして、金属層62が全面露出するまで、多結晶シリコン層63をエッチングする。
【0048】
次に、図11を参照して、フォトレジスト95をマスクとして、N型ウェル31上の金属層62とP型ウェル32上の金属層62とを同時にエッチングする。このときに、PMOS領域とNMOS領域とで金属層62を同時にエッチングできるので、金属層62の側壁を、テーパー形状にすることなく、垂直形状に保つことができる。
【0049】
次に、図12を参照して、更に、フォトレジスト95をマスクとして、P型ウェル32上の多結晶シリコン層61をエッチングする。この多結晶シリコン層61のエッチング時においても、特許文献1とは異なり、NMOS領域におけるゲート絶縁膜5のエッチング突き抜けを防止するために金属/ゲート絶縁膜のエッチング選択比の大きなエッチングを行う必要がない。従って、多結晶シリコン層61の側壁も、テーパー形状にすることなく、垂直形状に保つことができる。すなわち、N型ウェル31上およびP型ウェル32上において、それぞれ、ゲート電極201〜202の側壁を垂直形状に保つことができる。
【0050】
そして、I/O−PMOSトランジスタ503の副層(ソース/ドレインエクステンション)71を形成する。また、I/O−NMOSトランジスタ504の副層(ソース/ドレインエクステンション)72を形成する。
【0051】
詳細には図示されないが、副層(ソース/ドレインエクステンション)71を形成する際には、フォトレジスト塗布後にI/O−PMOSトランジスタ503のみフォトレジストを選択除去し、P型不純物(例えば硼素)をイオン注入によってN型ウェル31へ導入する。
【0052】
同様に、副層(ソース/ドレインエクステンション)72を形成する際には、フォトレジスト塗布後にI/O−NMOSトランジスタ504のみフォトレジストを選択除去し、N型不純物(例えば砒素)をイオン注入によってP型ウェル32へ導入する。
【0053】
次に、図13を参照して、半導体基板1上全面に、絶縁膜を堆積し、当該絶縁膜に全面エッチバックを行うことにより、オフセットスペーサ81を形成する。
【0054】
そして、コアPMOSトランジスタ501の副層(ソース/ドレインエクステンション)73を形成する。また、コアNMOSトランジスタ502の副層(ソース/ドレインエクステンション)74を形成する。
【0055】
詳細には図示されないが、副層(ソース/ドレインエクステンション)73を形成する際には、フォトレジスト塗布後にコアPMOSトランジスタ501のみフォトレジストを選択除去し、P型不純物(例えば硼素)をイオン注入によってN型ウェル31へ導入する。そして更に、短チャネル効果を抑制するため、N型不純物(例えば砒素)を主面に対して斜めにイオン注入し、副層(ポケット)77を形成する。
【0056】
同様に、副層(ソース/ドレインエクステンション)74を形成する際には、フォトレジスト塗布後にコアNMOSトランジスタ502のみフォトレジストを選択除去し、N型不純物(例えば砒素)をイオン注入によってP型ウェル32へ導入する。そして更に、短チャネル効果を抑制するため、P型不純物(例えば硼素)を主面に対して斜めにイオン注入し、副層(ポケット)78を形成する。
【0057】
なお、これらのイオン注入のドーズ量や注入エネルギーは、副層(ソース/ドレインエクステンション)73〜74や副層(ポケット)77〜78に要求される深さや抵抗値で決まる。
【0058】
次に、図14を参照して、主面側で露出する面の全体に亘り、酸化膜および窒化膜をこの順に形成し、当該酸化膜および窒化膜にエッチバックを行うことにより、酸化膜からなるサイドウォール82および窒化膜からなるスペーサ9を形成する。
【0059】
そして、N型ウェル31の上方すなわちPMOS領域において、多結晶シリコン層63/金属層62/ゲート絶縁膜5の積層構造と、その周囲のオフセットスペーサ81、サイドウォール82、およびスペーサ9とをマスクとして、主層75を形成する。
【0060】
また、P型ウェル32の上方すなわちNMOS領域において、多結晶シリコン層63/金属層62/多結晶シリコン層61/ゲート絶縁膜5の積層構造と、その周囲のオフセットスペーサ81、サイドウォール82、およびスペーサ9とをマスクとして、主層76を形成する。
【0061】
詳細には図示されないが、主層75を形成する際には、P型ウェル32の上方をフォトレジストで覆い、P型不純物(例えば硼素)をイオン注入によって、副層71,73,77を含むN型ウェル31へ導入する。
【0062】
同様に、主層76を形成する際には、N型ウェル31の上方をフォトレジストで覆い、N型不純物(例えば砒素)をイオン注入によって、副層72,74,78を含むP型ウェル32へ導入する。
【0063】
そして、P型ソース/ドレイン層101,103およびN型ソース/ドレイン層102,104を活性化するためのアニールを行う。アニールには例えばランプアニールが採用される。
【0064】
そして、主面側で露出する面の全体に亘り、シリサイド用の金属、例えばコバルトを形成し、アニールによって第1のシリサイド化を行う。そして、未反応の上記シリサイド用の金属を除去し、更にアニールを行うことにより第2のシリサイド化を行い、シリサイドの相転移を促してシリサイドの抵抗を下げる。これにより、図15に示されるように、副層(ソース/ドレインエクステンション)71〜74および多結晶シリコン層63の露出面にシリサイド層11が形成される。
【0065】
そして、周知の製造プロセスによって、ライナー絶縁膜12、層間絶縁膜13、およびコンタクトプラグ14が形成され、図1に示されるCMOSトランジスタ500が得られる。
【0066】
このように、本実施の形態に係る半導体装置は、ゲート電極202(第1ゲート電極)を有するN型MOSトランジスタおよびゲート電極201(第2ゲート電極)を有するP型MOSトランジスタを同一の半導体基板1上に備えるCMOSトランジスタ500(半導体装置)であって、ゲート電極202は、半導体基板1上に配置されたゲート絶縁膜5(第1ゲート絶縁膜)と、ゲート絶縁膜5上に配置された多結晶シリコン層61(第1半導体層)と、多結晶シリコン層61上に配置された金属層62(金属系材料層)と、金属層62上に配置された多結晶シリコン層63(第2半導体層)とを含み、ゲート電極201は、半導体基板1上に配置されたゲート絶縁膜5(第2ゲート絶縁膜)と、ゲート絶縁膜5上に配置された金属層62と、金属層62上に配置された多結晶シリコン層63(第3半導体層)とを含む。
【0067】
従って、特許文献1とは異なり、N型MOSトランジスタのゲート電極202の金属層62を除去する必要はない。よって、P型ウェル32上のゲート絶縁膜5にダメージが入り、ゲート絶縁膜5のリーク電流が増大するという問題を防ぐことができる。
【0068】
また、特許文献1とは異なり、多結晶シリコン層63のエッチング後に、金属層62や多結晶シリコン層61をエッチングする際においても、金属層62や多結晶シリコン層61の側壁を垂直形状に保つことができる。従って、被膜性の劣化やトランジスタ特性の劣化が発生してしまうという問題を防ぐことができる。
【0069】
すなわち、本実施の形態に係る半導体装置およびその製造方法によれば、エッチングに伴う不具合を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図3】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図4】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図5】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図6】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図7】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図8】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図9】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図10】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図11】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図12】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図13】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図14】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【図15】実施の形態1に係るCMOSトランジスタの製造方法に係る工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 半導体基板、2 素子分離絶縁体、5,52,53 ゲート絶縁膜、9 スペーサ、11 シリサイド層、12 ライナー絶縁膜、13 層間絶縁膜、14 コンタクトプラグ、31 N型ウェル、32 P型ウェル、51 注入用酸化膜、61,63 多結晶シリコン層、62 金属層、71〜74,77,78 副層、75,76 主層、81 オフセットスペーサ、82 サイドウォール、91〜95 フォトレジスト、101,103 P型ソース/ドレイン層、102,104 N型ソース/ドレイン層、201,202 ゲート電極、500 CMOSトランジスタ、501 コアPMOSトランジスタ、502 コアNMOSトランジスタ、503 I/O−PMOSトランジスタ、504 I/O−NMOSトランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ゲート電極を有するN型MOSトランジスタおよび第2ゲート電極を有するP型MOSトランジスタを同一の半導体基板上に備える半導体装置であって、
前記第1ゲート電極は、
前記半導体基板上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート絶縁膜上に配置された第1半導体層と、
前記第1半導体層上に配置された金属系材料層と、
前記金属系材料層上に配置された第2半導体層とを含み、
前記第2ゲート電極は、
前記半導体基板上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に配置された前記第1ゲート電極と同種の金属系材料層と、
前記第1ゲート電極と同種の金属系材料層上に配置された第3半導体層とを含む
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記第2半導体層と前記第3半導体層とは同種の半導体層からなる
半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置であって、
前記金属系材料層の厚さは3nm以上である
半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記第1半導体層は、導電型がN型のシリコンからなり、
前記金属系材料層の仕事関数は、5.12〜5.18eVの範囲にある
半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記金属系材料層は、Pt、Ir、Rn、Re、Os、Ti、Ru、またはMoからなる
半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記金属系材料層は、TiN、TaN、HfC、MoN、またはRuOからなる
半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記ゲート絶縁膜は、ハフニウム酸化物からなる
半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記ゲート絶縁膜は、ハフニウムシリコン窒化酸化物からなる
半導体装置。
【請求項9】
第1ゲート電極を有するN型MOSトランジスタが配置されたNMOS領域および第2ゲート電極を有するP型MOSトランジスタが配置されたPMOS領域を同一の半導体基板上に備える半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記NMOS領域および前記PMOS領域において前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記工程(a)の後に、前記NMOS領域において選択的に前記ゲート絶縁膜上に第1半導体層を形成する工程と、
(c)前記工程(b)の後に、前記半導体基板の主面全面に金属系材料層を形成する工程と、
(d)前記工程(c)の後に、前記半導体基板の主面全面に第2半導体層を形成する工程と、
(e)前記工程(d)の後に、エッチングによるパターニングを行い、前記NMOS領域においては、前記ゲート絶縁膜、前記第1半導体層、前記金属系材料層および前記第2半導体層よりなる第1ゲート電極を、前記PMOS領域においては、前記ゲート絶縁膜、前記金属系材料層および前記第2半導体層よりなる第2ゲート電極を、それぞれ形成する工程と
を含む半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−111222(P2009−111222A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283028(P2007−283028)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】