説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】不揮発性メモリを有する半導体装置の特性を向上させる。
【解決手段】シリコン基板1上のメモリ領域Rmに不揮発性メモリを形成する工程であって、シリコン基板1の主面に選択ゲート電極CGを形成し、いずれか一方の側壁面に隣り合うダミーゲートDGを形成する。その後、ダミーゲートDGをイオン注入マスクとしたイオン注入D01によって、メモリソース・ドレイン領域SDmを形成する。その後ダミーゲートDGを除去し、ダミーゲートDGが配置されていた箇所に、電荷蓄積膜とメモリゲート電極とを順に形成することで、メモリゲート電極の側方下部にメモリソース・ドレイン領域SDmが配置された構造を形成する。本工程では、メモリソース・ドレイン領域SDmを形成するためのイオン注入D01を施した後に、電荷蓄積膜とメモリゲート電極とを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置技術に関し、特に、不揮発性メモリ構造を有するものを有効に動作させる方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体素子を集積した大規模集積回路(Large Scale Integrated Circuit:LSI)は様々なシステムの制御に用いられており、社会を支えるインフラストラクチャの一つとなってきている。今日のLSIの動作は、プログラムに従って演算処理を行うことを基本としているため、多くの場合、プログラムを格納できることが必須の条件となっている。そのための素子として、LSIに組み込まれた集積半導体メモリの一つである不揮発性半導体記憶装置(不揮発性メモリ)が極めて重要になってきている。また、LSIを様々な装置に応用するためには、記憶したプログラムを組み換え得る不揮発性メモリであることが求められる。このように、書き換えができ、かつ、LSIの電源を切っても記憶情報が残る不揮発性メモリは、無くてはならないものと言える。
【0003】
半導体素子の不揮発性メモリについては、例えば、S.Sze著、「フィジックス オブ セミコンダクタ デバイシーズ(Physics of Semiconductor Devices, 2nd edition)」 第2版、ウィリー出版(Wiley-Interscience pub.)、p.496〜506(非特許文献1)に、所謂浮遊ゲート型の不揮発性メモリや絶縁膜を用いた不揮発性メモリの記載がみられる。特に、絶縁膜を積層し、その界面や絶縁膜中の捕獲準位(トラップ準位)等に電荷を蓄えることで、情報を蓄積する不揮発性メモリがある。このような不揮発性メモリは、浮遊ゲート型に比べて新たな導電層を形成する必要がなく、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)LSIプロセスと整合性良く、不揮発性メモリを形成できることが知られている。
【0004】
電荷を蓄える絶縁膜としては、窒化膜と酸化膜とを積層させることで、電荷の保持特性と書き換え耐性とを両立できることから、以前より広く用いられている。例えば、パイオニア的な開発例として、ヤツダ(Yatsuda)等による報告、「アイ・イー・イー・イー トランザクション オン エレクトロン デバイシーズ(IEEE Transaction on Electron Devices)」VOL. ED-32, No.2, pp.224-231, 1985(非特許文献2)がみられる。ここでは、メモリトランジスタと選択トランジスタを直列に配した2トランジスタセルを用いている。メモリトランジスタでは、チャネルとゲート間にバイアスすることでF−N(Fowler-Nordheim)トンネル電流および直接トンネル電流を用いて、チャネル全面に電荷の注入・放出を行わせるようにしている。
【0005】
また、一つのメモリトランジスタではなく、上述Yatsuda等の方法とは異なる2つのトランジスタを組み合わせることでメモリ動作させるメモリセルも提案されている。この動作については、例えば「1997年シンポジウムオンVLSIテクノロジー(1997 Symposium on VLSI Technology)」、p.63〜64(非特許文献3)に記述がみられる。この構造では、メモリ動作させる多結晶シリコンゲート(以下、メモリゲート電極)とメモリセルの選択を行うゲート(以下、選択ゲート電極(制御ゲート電極、コントロールゲート電極ともいう))が分かれて形成されている。また、同様の記載が、例えば米国特許US5969383号明細書(特許文献1)や米国特許US6477084号明細書(特許文献2)にもみることができ、スプリットゲート構造と呼ばれることがある。
【0006】
上記のようなスプリットゲート構造の不揮発性メモリにおける、書き込み動作に関しては、例えば「1986年アイ・イー・イー・イー、インターナショナル エレクトロン デバイス ミーティング、テクニカルダイジェスト(1986 IEEE, International Electron Device Meeting, Technical Digest)」、p.584〜587(非特許文献4)にA.T.Wu等による記述がみられる。また、上記のようなスプリットゲート構造の不揮発性メモリにおける、消去動作に関しては、例えば「1987年アイ・イー・イー・イー、インターナショナル エレクトロン デバイス ミーティング、テクニカルダイジェスト(1987 IEEE, International Electron Device Meeting, Technical Digest)」、p.718〜721(非特許文献5)にT.Y.Chan等による記述がみられる。
【0007】
また、例えば、特開2002−289715号公報(特許文献3)には、スプリットゲート型メモリと同様の構造である、ツインMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide Semiconductor(Silicon))メモリセルアレイの制作方法に関する技術が開示されている。
【特許文献1】米国特許US5969383号明細書
【特許文献2】米国特許US6477084号明細書
【特許文献3】特開2002−289715号公報
【非特許文献1】S.Sze著、「フィジックス オブ セミコンダクタ デバイシーズ(Physics of Semiconductor Devices, 2nd edition)」 第2版、ウィリー出版(Wiley-Interscience pub.)、p.496〜506
【非特許文献2】「アイ・イー・イー・イー トランザクション オン エレクトロン デバイシーズ(IEEE Transaction on Electron Devices)」VOL. ED-32, No.2, pp.224-231, 1985
【非特許文献3】「1997年シンポジウムオンVLSIテクノロジー(1997 Symposium on VLSI Technology)」、p63〜64
【非特許文献4】「1986年アイ・イー・イー・イー、インターナショナル エレクトロン デバイス ミーティング、テクニカルダイジェスト(1986 IEEE, International Electron Device Meeting, Technical Digest)」、p.584〜587
【非特許文献5】「1987年アイ・イー・イー・イー、インターナショナル エレクトロン デバイス ミーティング、テクニカルダイジェスト(1987 IEEE, International Electron Device Meeting, Technical Digest)」、p.718〜721
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようなスプリットゲート構造の不揮発性メモリに関して、本発明者らの検討によって以下のような課題が見出された。
【0009】
スプリットゲート構造の不揮発性メモリを半導体基板上に形成する工程では、半導体基板にイオン注入を施すことで、ソース・ドレイン領域を形成する工程が含まれる。ここで、本発明者らが検討した製造工程によれば、2つのゲート電極(選択ゲート電極、メモリゲート電極)をイオン注入マスクとして当該イオン注入を施し、ソース・ドレイン領域を形成する。
【0010】
しかしながら、このゲート電極をイオン注入マスクとしたイオン注入工程は、電荷蓄積膜にダメージを与え得ることが分かり、結果として、不揮発性メモリの特性向上を妨げる一原因となっていることが明らかになった。
【0011】
本発明者らが検討したスプリットゲート型の不揮発性メモリは、メモリゲート電極と半導体基板との間に、電荷を蓄積するための積層絶縁膜が配置されている。そして、このメモリゲート電極をイオン注入マスクとして半導体基板にイオン注入を施した場合、不純物イオンがメモリゲート電極を突き抜けて電荷蓄積膜に達し、電荷蓄積膜にダメージを与えることになる。
【0012】
特に、近年のLSIのスケーリング(縮小化)に伴い、トランジスタのゲート長が短くなるにつれて、プロセス・加工の安定性の面から、選択ゲート電極およびメモリゲート電極の高さも下げることが望ましい。このような状況下においては、イオン注入による電荷蓄積膜へのダメージは、より大きくなる。
【0013】
このようなイオン注入による電荷蓄積膜へのダメージ、特に、電荷の漏出を防ぐ目的で電極および基板の界面に配置されたバリア絶縁膜へのダメージは、保持電荷の電極および基板への漏出を促進させてしまう。結果として、スプリットゲート型の不揮発性メモリにおいて、データ保持特性やメモリ動作の信頼性などの特性を向上させることが困難になっている。
【0014】
そこで、本発明の目的は、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性を向上させる技術を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願においては複数の発明が開示されるが、そのうちの一実施例の概要を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0017】
半導体基板上の第1領域に不揮発性メモリを形成する工程であって、半導体基板の主面に第1ゲート絶縁膜を隔てて第1ゲート電極を形成した後、第1ゲート電極のいずれか一方の側壁面に隣り合って配置するダミーゲートを形成し、ダミーゲートの側方下部の半導体基板に第1半導体領域を形成する。その際、ダミーゲートをイオン注入マスクとしたイオン注入によって、第1半導体領域を形成する。その後ダミーゲートを除去し、ダミーゲートが配置されていた箇所に、電荷蓄積膜と第2ゲート電極とを順に形成することで、第2ゲート電極の側方下部に第1半導体領域が配置された構造を形成する。本工程では、第1半導体領域を形成するためのイオン注入を施した後に、電荷蓄積膜と第2ゲート電極とを形成する。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される複数の発明のうち、上記一実施例により得られる効果を代表して簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0019】
即ち、不揮発性半導体記憶装置の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
まず、本発明者らが検討したスプリットゲート型の不揮発性メモリの構成、および、その製造工程に見られる課題について詳細に説明する。
【0022】
本発明者らが検討したスプリットゲート型の不揮発性メモリでは、基本的には、nチャネル型のMIS(Metal Insulator Semiconductor)型電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)(以下、単にn型MISトランジスタ)をベースとした2つのMISトランジスタを有している。即ち、選択トランジスタと、その脇のメモリトランジスタとを、所謂‘縦積み’の配置で連結させるようにした構造とされている。これを等価回路として示したのが図1である。なお、図2および図3には、それぞれ図1に示す回路に対応するメモリ素子の平面図およびそのXa−Xa線の断面図を一例として示す。
【0023】
この不揮発性メモリNVMaは、選択トランジスタQsと、メモリトランジスタQmとを有している。選択トランジスタQsとメモリトランジスタQmとは直列に電気的に接続されている。
【0024】
選択トランジスタQsの選択ゲート電極CGaは、例えば低抵抗な多結晶シリコン(ポリシリコン)からなり、シリコン基板1aの主面上に選択ゲート絶縁膜ICaを介して形成されている。選択ゲート絶縁膜ICaは、例えば酸化シリコン膜により形成されている。一方、メモリトランジスタQmのメモリゲート電極MGaは、例えば低抵抗な多結晶シリコンからなり、シリコン基板1aの主面上であって、上記選択ゲート電極CGaの側面に、電荷蓄積膜IMaを介して形成されている。電荷蓄積膜IMaは、酸化シリコン膜で窒化シリコン膜を挟んだ、所謂MONOS構造となっており、電荷保持を担う積層絶縁膜である。メモリゲート電極MGaは、スペーサと呼ばれるプロセスを用いて形成することが有効である。形成方法については、後に詳しく説明する。
【0025】
また、シリコン基板1の主面において、選択ゲート電極CGaの片側、および、メモリゲート電極MGaの片側には、メモリソース・ドレイン領域SDmaが形成されている。メモリソース・ドレイン領域SDmaは、シリコン基板1aとは逆導電型の半導体領域である。なお、メモリソース・ドレイン領域SDmaは、不純物濃度のより低いエクステンション領域を有する、所謂LDD(Lightly Doped Drain)構造であっても良い。
【0026】
このような不揮発性メモリNVMaを用いてアレイを構成した場合の配置構成例を図4に示した。選択トランジスタQsの選択ゲート電極CGaがワード線SGLを構成し、メモリトランジスタQmのメモリゲート電極MGaがワード線MGLを構成している。また、選択トランジスタQs側のメモリソース・ドレイン領域SDmaがビット線BLになり、メモリトランジスタQm側のメモリソース・ドレイン領域SDmaがソース線SLになっている。
【0027】
図5および図6に、この不揮発性メモリNVMaの代表的な書き込み・消去動作を説明するための説明図を示した。この不揮発性メモリNVMaの基本的な動作として、書き込み、消去、保持、および、読み出しの4つの状態が考えられる。ただし、この4つの状態の呼び名は、代表的なものとして用いており、書き込みと消去については、逆の呼び方をすることもできる。また、動作も代表的なものを用いて説明するが、様々な異なる動作方法が考えられている。ここでは、説明のため、n型MISトランジスタで構成した不揮発性メモリNVMaについて述べるが、pチャネル型MISトランジスタ(以下、単にp型MISトランジスタ)で構成したものでも、原理的には同様に説明できる。
【0028】
不揮発性メモリNVMaの書き込み動作について、図5を用いて説明する。書き込み動作時には、メモリトランジスタQm側のメモリソース・ドレイン領域SDmaに正電位を与え、選択トランジスタQs側のメモリソース・ドレイン領域SDmaにシリコン基板1aと同じ接地電位を与える。この状態で、メモリゲート電極MGaにシリコン基板1aに対して高いゲートオーバードライブ電圧を加えることで、メモリゲート電極MGa下のチャネルを強反転させ、メモリトランジスタQmをオン状態にする。ここで、選択ゲート電極CGaに、選択トランジスタQsの閾値電圧より0.1ないし0.2V程度高い電圧を印加することで、選択トランジスタQsもオン状態にする。
【0029】
このとき、2つのゲート電極CGa,MGaの境界付近に最も強い電界を生じる。これにより多くのホットエレクトロンが発生し、メモリゲート電極MGa側に注入される。図中では、インパクトイオン化による電荷担体(キャリア)の発生の様子を要部p01に示した。また、白抜きの丸印で電子eを示し、ハッチングを付した丸印で正孔(ホール)hを示した。この現象は、ソースサイドインジェクション(Source Side Injection:SSI)と称され、上記非特許文献4に記述が見られる。ここでの記述は、浮遊(フローティング)ゲート型のメモリセルを用いているが、本不揮発性メモリNVMaのような電荷蓄積膜IMaを用いたMONOS型においても、注入機構は同様である。
【0030】
上記の方式でのホットエレクトロン注入の特徴として、電界が選択ゲート電極CGaとメモリゲート電極MGaとの境界付近に集中するため、メモリゲート電極MGaの選択ゲート電極CGa側端部に、集中的にキャリア注入が行われる。また、浮遊ゲート型では、電荷保持層が電極によって構成されているが、MONOS型では、積層絶縁膜である電荷蓄積膜IMa中にキャリアが蓄積されるため、極めて狭い領域にキャリアが保持される。
【0031】
不揮発性メモリNVMaの消去動作について、図6を用いて説明する。消去動作時には、メモリゲート電極MGaに負電位を与え、メモリトランジスタQm側のメモリソース・ドレイン領域SDmaに正電位を与える。これにより、メモリソース・ドレイン領域SDmaの端部における、メモリゲート電極MGaと平面的にオーバーラップした領域で、強反転が生じる。このとき、バンド間トンネル(Band to Band Tunneling:BTBT)現象を起こし、正孔hが生成される。図中では、このBTBT現象の様子を要部p02に示した。BTBT現象については、上記非特許文献5に記述が見られる。本不揮発性メモリNVMaにおいては、発生した正孔hがチャネル方向へ加速され、メモリゲート電極MGaのバイアスに引かれ、電荷蓄積膜IMa中に注入されることで、消去動作が行われる。
【0032】
また、BTBT現象により生成した正孔hが2次的な電子−正孔対を発生する様子を、図中の要部p03に示した。これらのキャリアも、電荷蓄積膜IMa中に注入され得る。即ち、電子eの電荷により上昇していたメモリトランジスタQmの閾値電圧を、注入された正孔hの電荷により引き下げることができる。
【0033】
保持時、電荷は電荷蓄積膜IMa中に注入されたキャリアの電荷として保持される。積層絶縁膜である電荷蓄積膜IMa中でのキャリアの移動は極めて少なく遅いため、メモリゲート電極MGaに電圧が印加されていなくても、電荷は保持される。
【0034】
読み出し時、選択トランジスタQs側のメモリソース・ドレイン領域SDmaに正電位を与え、選択ゲート電極CGaに正電位を与えることで、選択ゲート電極CGa下のチャネルを強反転させ、選択トランジスタQsをオン状態にする。ここで、書き込み、消去状態により与えられるメモリトランジスタQmの閾値電圧差を判別できる程度の電位(即ち、書き込み状態の閾値電圧と消去状態の閾値電圧との中間電位)をメモリゲート電極MGaに与える。これにより、保持していた電荷情報を電流として読み出すことができる。
【0035】
このスプリットゲート型の不揮発性メモリNVMaの通常の製造方法としては、始めに選択ゲート電極CGaを加工する。続いて、スペーサと称される工程を用いてメモリゲート電極MGaを、選択ゲート電極CGaの側壁に、スペーサ状に形成する。その後、選択ゲート電極CGaとメモリゲート電極MGaとをイオン注入マスクとして、シリコン基板1aにイオン注入を施し、メモリソース・ドレイン領域SDmaを形成する方法が有効である。以下にその製造方法の詳細を示す。
【0036】
図7〜図11を用いて、本発明者らが検討したスプリットゲート型の不揮発性メモリNVMaを有する半導体装置の製造工程を説明する。各図では、図2のXa−Xa線に沿って矢印方向に見た断面図を左に、Ya−Ya線に沿って矢印方向に見た断面図を右に示している。また、この形成工程においては、所謂0.13ミクロン世代相当のプロセスを用いて説明する。
【0037】
まず、図7に示すように、公知の浅溝素子分離(Shallow Trench Isolation:STI)プロセスを用いて、シリコン基板1a主面に活性領域(アクティブ領域)を規定するための分離部2aを形成する。その後、活性領域にシリコン表面を露出させ、熱酸化法により基板表面を酸化させることで、厚さ2.5nm程度の酸化シリコン膜からなる第1絶縁膜I1aを形成する。続いて、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法により、厚さ200nm程度の多結晶シリコン膜からなる第1導体膜E1aを堆積する。
【0038】
その後、第1導体膜E1aを加工して、上記図2、図3などを用いて説明した選択ゲート電極CGaを形成する。このとき、ここでは示していないが、演算回路部のゲート電極などを同時に加工しても良い。その後、第1絶縁膜I1aを加工して、選択ゲート絶縁膜ICaを形成する。
【0039】
次に、露出したシリコン基板1aおよび選択ゲート電極CGaの表面を覆うようにして、電荷蓄積膜IMaを形成する。上記図3などを用いて説明したように、電荷蓄積膜IMaは、電荷を蓄積する機能を有する積層絶縁膜であり、以下のようにして形成する。まず、酸化を施すことで4nm程度の第1酸化シリコン膜を形成する。続いて、第1酸化シリコン膜の上にCVD法により5nm程度の第1窒化シリコン膜を堆積し、その上に、酸化またはCVD法により5nm程度の第2酸化シリコン膜を形成する。上記3層の積層絶縁膜は電荷を蓄積する機能を有し、上記図3などを用いて説明した電荷蓄積膜IMaに相当する。
【0040】
続いて、電荷蓄積膜IMaを覆うようにして、高濃度のp型またはn型不純物を含んだ多結晶シリコン膜からなる第2導体膜E2aを堆積する。第2導体膜E2aは、CVD法などにより、80nm程度形成する。
【0041】
次に、図8に示すように、第2導体膜E2aに対して全面的に異方性エッチングを施す。このように、エッチングマスクを用いずに全面的に異方性エッチングを施す工程を、エッチバック工程ともいう。これにより、選択ゲート電極CGaの側壁面に、電荷蓄積膜IMaを介して隣り合って配置するように、スペーサ状の第2導体膜E2aからなるメモリゲート電極MGaを形成する。また、ここでは図示していないが、同様の凸部の側壁に残る第2導体膜E2aのうち不要なものを除去するように、追加エッチングを施しても良い。
【0042】
上記の工程を終えた時点では、メモリゲート電極MGaは、選択ゲート電極CGaの一対の側壁面の両側に形成されたことになる。ここで、上記図3、図4、図5などを用いて説明したように、本不揮発性メモリNVMaの構成としては、選択ゲート電極CGaの片側に形成すればよい。そこで、続く工程では、選択ゲート電極CGaの両側壁面に形成したメモリゲート電極MGaのうち片方を、追加エッチングにより除去する。このとき、第2導体膜E2aとは材質の異なる電荷蓄積膜IMaを、下地保護膜(エッチングストップ膜)として用いることができる。
【0043】
その後、電荷蓄積膜IMaのうち、メモリゲート電極MGaに覆われずに露出した部分を、エッチングにより除去する。続いて、シリコン基板1aの表面を洗浄した後、熱酸化することで、2nm程度の酸化シリコン膜を形成する(図中では記述を省略)。
【0044】
次に、図9に示すように、選択ゲート電極CGaおよびメモリゲート電極MGaをイオン注入マスクとして用い、シリコン基板1aにイオン注入Daを施すことで、メモリソース・ドレイン領域SDmaを形成する。イオン注入Daでは、IV族のシリコン基板1aに対して、例えばV族のヒ素(As)イオンを注入する。従って、メモリソース・ドレイン領域SDmaはn型(第1導電型)の半導体領域となる。
【0045】
なお、本工程では、イオン注入Daよりも、加速エネルギーおよびドーズ量の低いイオン注入を施すことで、所謂エクステンション領域を形成しても良い。その場合、後の工程で、選択ゲート電極CGaとメモリゲート電極MGaとの側壁にサイドウォールスペーサを形成した後に、これらをイオン注入マスクとして、上記のイオン注入Daを施すことで、メモリソース・ドレイン領域SDmaを形成する。
【0046】
次に、図10に示すように、シリコン基板1aおよび上記の工程で形成した構成を覆うようにして酸化シリコン膜を形成し、これをエッチバックすることで、選択ゲート電極CGaおよびメモリゲート電極MGaとの側壁面を覆うような、スペーサ形状のサイドウォールスペーサspaを形成する。
【0047】
次に、図11に示すように、公知のサリサイドプロセスにより、選択ゲート電極CGa上、メモリゲート電極MGa上、および、メモリソース・ドレイン領域SDma上に金属シリサイド層scaを形成する。続いて、通常のCMOSプロセスの配線工程を施すことで、層間絶縁膜IL中に金属配線MLを形成する。
【0048】
以上が、本発明者らが検討した半導体装置が有する不揮発性メモリNVMaの製造工程である。以上のようにして、シリコン基板1a上にスプリットゲート型の不揮発性メモリNVMaを形成できる。
【0049】
しかしながら、上記の製造工程は以下のような課題を有することが、本発明者らの更なる検討によって明らかになった。即ち、上記図9を用いて説明したイオン注入Daによって、メモリゲート電極MGa下の電荷蓄積膜IMaにダメージを与えてしまう。これは、上述のように、LSIの縮小による高性能化によってメモリゲート電極MGaの高さがより低くなるにつれて、より顕著になる課題である。不揮発性メモリNVMaにおいて、ダメージを与えられた電荷蓄積膜IMaを用いることは、電荷の保持特性や信頼性など、特性の向上を妨げる一原因となる。
【0050】
次に、本実施の形態1の半導体装置の製造方法、および、その製造方法によって形成される本実施の形態1の半導体装置について、図12〜図26を用いて詳しく説明する。本実施の形態1の半導体装置の製造方法は、シリコン基板(半導体基板)1上のメモリ領域(第1領域)Rmに不揮発性メモリNVMを形成する工程を有する。また、本実施の形態1の半導体装置の製造方法は、シリコン基板1上の周辺回路領域(第2領域)Rpに周辺回路素子を形成する工程を有していても良い。以下では、両領域Rm,Rpに施す工程を説明する。図の左側には、メモリ領域Rmに不揮発性メモリNVMを形成する工程中の断面図を示し、図の右側には、周辺回路領域Rpに周辺回路素子の一例としてMISトランジスタQ1を形成する工程を示す。同図中に示されるメモリ領域Rmおよび周辺回路領域Rpの断面図は、同一工程中の断面図である。
【0051】
まず、図12に示すように、公知のSTIプロセスを用いてシリコン基板1の主面に分離部2を形成し、各素子を作り込む活性領域を規定する。その後、シリコン基板1の周辺回路領域Rpのうち、n型MISトランジスタを形成する領域にp型不純物を、また、p型MISトランジスタを形成する領域にn型不純物を注入し、それぞれの領域を規定する(図示しない)。
【0052】
その後、熱酸化を施すことで、シリコン基板1のメモリ領域Rmと周辺回路領域Rpとの主面上に、酸化シリコンを主体とする絶縁膜である第1絶縁膜I1を2.5nm程度形成する。続いて、シリコン基板1の、メモリ領域Rmと周辺回路領域Rpとの主面上に、第1絶縁膜I1を隔てて、多結晶シリコンを主体とする導体膜からなる第1導体膜E1を形成する。
【0053】
ここでは、まず、所定の不純物を含ませていない、所謂ノンドープの多結晶シリコンからなる第1導体膜E1を形成する。続いて、シリコン基板1上にフォトレジスト膜を形成し、周辺回路領域Rpを覆うように、フォトリソグラフィ法によってパターニングする。その後、フォトレジスト膜をイオン注入マスクとして、メモリ領域Rmの第1導体膜E1にn型不純物をイオン注入する。続いて、同様の方法により、周辺回路領域Rpのうち、n型MISトランジスタを形成する領域の第1導体膜E1にn型不純物を、また、p型MISトランジスタを形成する領域の第1導体膜E1にp型不純物をイオン注入する。その後、例えば、950℃で120秒程度の熱処理を施し、多結晶シリコンからなる第1導体膜E1に注入した不純物を活性化する。
【0054】
なお、上記工程は、以下のように施しても良い。まず、図13に示すように、上記図12と同様にして、分離部2を形成する。続いて、シリコン基板1のメモリ領域Rmと周辺回路領域Rpとの主面上に、順に、酸化シリコン膜からなる周辺用第1絶縁膜(第1絶縁膜)I1pと、多結晶シリコン膜からなる周辺用第1導体膜(第1導体膜)E1pとを形成する。
【0055】
次に、図14に示すように、メモリ領域Rmの周辺用第1導体膜E1pおよび周辺用第1絶縁膜I1pを除去する。これは、例えば周辺回路領域Rpをフォトレジスト膜で覆い、これをエッチングマスクとしてドライエッチングを施すことで行う。
【0056】
次に、図15に示すように、シリコン基板1のメモリ領域Rmの主面上と、周辺回路領域Rpの周辺第1導体膜E1p上に、順に、酸化シリコン膜からなるメモリ用第1導体膜(第1導体膜)E1mと、多結晶シリコン膜からなるメモリ用第1導体膜(第1導体膜)E1mとを形成する。
【0057】
次に、図16に示すように、周辺回路領域Rpのメモリ用第1導体膜E1mおよびメモリ用第1絶縁膜I1mを除去する。これは、例えばメモリ領域Rmをフォトレジスト膜で覆い、これをエッチングマスクとしてドライエッチングを施すことで行う。
【0058】
以上図13〜図16の工程によって、メモリ領域Rmのシリコン基板1上には、メモリ用第1導体膜E1mからなる第1導体膜E1およびメモリ用第1絶縁膜I1mからなる第1絶縁膜I1を形成し、周辺回路領域Rpのシリコン基板1上には、周辺用第1導体膜E1pからなる第1導体膜E1および周辺用第1絶縁膜I1pからなる第1絶縁膜I1を形成する。このようにすることで、メモリ領域Rm上と周辺回路領域Rp上とで、膜厚の異なる第1導体膜E1または第1絶縁膜I1を形成することができる。第1導体膜E1および第1絶縁膜I1は、後にゲート電極およびゲート絶縁膜となる構成要素であり、本工程のようにすることで、領域によって厚さの異なるゲート電極およびゲート絶縁膜を形成することができる。続く工程では、それらの厚さは同様であるとして、以下説明する。従って、以上の工程は、上記図12で説明した工程であっても、上記図13〜図16を用いて説明した工程であっても良い。
【0059】
続く工程では、図17に示すように、第1導体膜E1を所望のゲートパターンに加工して、メモリ領域Rmには第1導体膜E1からなる選択ゲート電極(第1ゲート電極)CGを形成し、周辺回路領域Rpには第1導体膜E1からなる周辺ゲート電極Gpを形成する。ここでは、公知のフォトリソグラフィ法によってエッチングマスクを形成し(図示しない)、異方性エッチングを施すことで、各ゲートパターンに加工する。更に、同様の平面パターンとなるように、第1絶縁膜I1を加工して、メモリ領域Rmには第1絶縁膜I1からなる選択ゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)ICを形成し、周辺回路領域Rpには第1絶縁膜I1からなる周辺ゲート絶縁膜Ipを形成する。
【0060】
上記の工程により、シリコン基板1のメモリ領域Rmの主面上に、選択ゲート絶縁膜ICを隔てて選択ゲート電極CGを形成したことになる。また、シリコン基板1の周辺回路領域Rpの主面上に、周辺ゲート絶縁膜Ipを隔てて周辺ゲート電極Gpを形成したことになる。
【0061】
次に、図18に示すように、シリコン基板1のメモリ領域Rmの主面、選択ゲート電極CG、シリコン基板1の周辺回路領域Rpの主面、および、周辺ゲート電極Gpを一体的に覆うようにして保護膜LP1を形成する。ここでは、保護膜LP1として、例えば、酸化シリコンを主体とする絶縁膜を、熱酸化法またはCVD法により、3nm程度形成する。本実施の形態1の製造方法において、保護膜LP1を形成することの効果、および、保護膜LP1として上記の材料を用いることの効果に関しては、後に詳しく説明する。
【0062】
続いて、保護膜LP1を覆うようにして、第1ダミー膜LD1を形成する。ここでは、第1ダミー膜LD1として、例えば、CVD法により、p型(第2導電型)不純物を含む多結晶シリコン膜を80nm程度堆積する。本実施の形態1の製造方法において、第1ダミー膜LD1を形成することの効果、および、第1ダミー膜LD1として上記の材料を用いることの効果に関しては、後に詳しく説明する。
【0063】
次に、図19に示すように、第1ダミー膜LD1にエッチバック工程(上記図8の説明参照)を施すことで、メモリ領域Rmの選択ゲート電極CG、および、周辺回路領域Rpの周辺ゲート電極Rpの側壁に、保護膜LP1を隔てて、第1ダミー膜LD1からなるダミーゲートDGを形成する。
【0064】
次に、図20に示すように、メモリ領域Rmの選択ゲート電極CGの片側のダミーゲートを除去する。これには、まず、フォトリソグラフィ法により、少なくとも選択ゲート電極CGの片側の側壁部が露出するようにパターニングされたフォトレジスト膜3を形成する。その後、フォトレジスト膜3をエッチングマスクとして、ドライエッチングを施すことで、メモリ領域Rmの選択ゲート電極CGの片側のダミーゲートDGを除去する。その後、フォトレジスト膜3を除去する。
【0065】
以上、図18〜図20の工程により、本実施の形態1の製造方法では、シリコン基板1上のメモリ領域Rmにおいては、選択ゲート電極CGの一対の側壁面のうちいずれか一方に隣り合って配置するようにして、ダミーゲートDGを形成したことになる。また、シリコン基板1上の周辺回路領域Rpにおいては、周辺ゲート電極Gpの一対の側壁面の両側に隣り合って配置するようにして、ダミーゲートDGを形成したことになる。ここで、本実施の形態1の製造方法では、上記図18の工程で保護膜LP1を形成しているから、当該保護膜LP1を隔てて、各ゲート電極CG,Gpの側壁面に隣り合うようにして、ダミーゲートDGを形成したことになる。
【0066】
次に、図21に示すように、シリコン基板1のメモリ領域Rmの主面のうち、選択ゲート電極CGおよびダミーゲートDGの側方下部(特に、両者が隣接していない方の側方下部)に、メモリソース・ドレイン領域(第1半導体領域)SDmを形成する。また、シリコン基板1の周辺回路領域Rpの主面のうち、ダミーゲートDGの側方下部(特に、周辺ゲート電極Gpと隣接していない方の側方下部)に、周辺ソース・ドレイン領域(第2半導体領域)SDpを形成する。
【0067】
メモリ領域Rmについては、選択ゲート電極CGおよびダミーゲートDGをイオン注入マスクとして、シリコン基板1の主面にイオン注入D01を施すことで、メモリソース・ドレイン領域SDmを形成する。ここで、周辺回路領域Rpについても、p型MISトランジスタの領域にはフォトレジスト膜を形成しておき、このフォトレジスト膜、周辺ゲート電極GpおよびダミーゲートDGをイオン注入マスクとして、シリコン基板1の主面に、同様のイオン注入D01を施す。これにより、n型MISトランジスタの周辺ソース・ドレイン領域SDpを形成できる。本実施の形態1の製造方法において、メモリソース・ドレイン領域SDmを形成するために、上記のようなイオン注入D01を施すことの効果に関しては、後に詳しく説明する。
【0068】
イオン注入D01では、IV族のシリコン基板1に対して、例えばV族のヒ素イオンを、加速エネルギー5〜40keV、ドーズ量1×1015〜4×1015cm−2程度で注入する。従って、メモリソース・ドレイン領域SDmおよび周辺ソース・ドレイン領域SDpは、n型の半導体領域となる。
【0069】
また、周辺回路領域Rpのうちのp型MISトランジスタを形成する領域においては、p型の周辺ソース・ドレイン領域SDpを形成する必要がある。これには、n型MISトランジスタを形成する領域を、フォトリソグラフィ法によって形成したフォトレジスト膜などで覆っておき、これをイオン注入マスクとして、上記のイオン注入D01を施す。そして、p型MISトランジスタを形成する領域には、例えば、III族のホウ素(B)イオン(またはBFイオン)等のp型不純物を注入する。
【0070】
また、例えば、イオン注入D01では、ヒ素イオンのほかに、リン(P)イオンを重ね打ちしても良い。
【0071】
また、本実施の形態1の製造方法では、選択ゲート電極CGを保護膜LP1で覆った状態で、上記のイオン注入D01を施す。これにより、選択ゲート電極CGの側方下部に形成されるメモリソース・ドレイン領域SDmと、選択ゲート電極CGとの間には、平面的に見て、保護膜LP1の厚さ分だけ距離(オフセット)が生じ得る。これを補うために、イオン注入D01は基板に対して垂直ではなく、角度をつけた斜め注入としても良い。また、イオン注入D01後に施す、不純物の活性化および拡散のための熱処理において、その温度と時間で拡散距離を制御し、オフセットを無くすこともできる。
【0072】
次に、シリコン基板1のメモリ領域Rmおよび周辺回路領域RpのダミーゲートDGを、等方的なドライエッチングにより除去する。
【0073】
その後、図22に示すように、フォトリソグラフィ法によってメモリ領域Rmを覆うようにパターニングした、フォトレジスト膜4を形成する。そして、このフォトレジスト膜4をイオン注入マスクとして、イオン注入D02を施す。イオン注入D02では、周辺回路領域Rpのうちp型MISトランジスタを形成する領域にはフォトレジスト膜を形成しておき、これをイオン注入マスクとしてヒ素イオンを注入する。これにより、周辺回路領域Rpのn型MISトランジスタを形成する領域においては、周辺ゲート電極Gpがイオン注入マスクとなり、シリコン基板1の周辺回路領域Rpの主面のうち、周辺ゲート電極Gpの側方下部に、n型の半導体領域であるエクステンション領域(第3半導体領域)exnが形成される。なお、イオン注入D01では、上記図21のイオン注入D01よりも加速エネルギーおよびドーズ量が低くなるようにして、ヒ素イオンを注入する。従って、エクステンション領域exnは、周辺ソース・ドレイン領域SDpと同じ導電型であって、周辺ソース・ドレイン領域SDpの不純物濃度よりも低く、周辺ソース・ドレイン領域SDpよりも浅くなるようにして形成される。その後、フォトレジスト膜4を除去する。本実施の形態1の製造方法において、周辺回路領域Rpのエクステンション領域exnを上記のようにして形成することの効果に関しては、後に詳しく説明する。
【0074】
なお、周辺回路領域Rpのうちp型MISトランジスタを形成する領域にp型のエクステンション領域を形成する場合には、上記図21の方法と同様に、フォトレジスト膜によるイオン注入マスクをかけ分けることで、別工程によって極性の異なる不純物イオンを注入する。
【0075】
続く工程では、イオン注入D01,D02によって形成したメモリソース・ドレイン領域SDmや、周辺ソース・ドレイン領域SDpや、エクステンション領域exnなどを活性化、および、拡散させるために、熱処理を施す。熱処理は、例えば、RTA(Rapid Thermal Anneal)により、1000℃において10秒の熱処理を施す。
【0076】
また、本実施の形態1の製造方法では、周辺ゲート電極Gpを保護膜LP1で覆った状態で、上記のイオン注入D02を施す工程を説明した。これにより、周辺ゲート電極Gpの側方下部に形成される周辺ソース・ドレイン領域SDpと、周辺ゲート電極Gpとの間には、平面的に見て、保護膜LP1の厚さ分だけオフセットが生じ得る。これを補うために、イオン注入D02は基板に対して垂直ではなく、角度をつけた斜め注入としても良い。
【0077】
また、上記のRTA工程において、不純物の活性化および拡散のための熱処理において、その温度と時間で拡散距離を制御し、オフセットを無くすこともできる。
【0078】
また、イオン注入D02を施す前に、周辺回路領域Rpの保護膜LP1を予め除去しておき、それからイオン注入D02を施すことで、周辺ゲート電極Rpと周辺ソース・ドレイン領域SDpとのオフセットを無くすこともできる。
【0079】
次に、図23に示すように、弗化水素(フッ酸、HF)溶液によるウェットエッチングを施すことで、メモリ領域Rmおよび周辺回路領域Rpの保護膜LP1を除去する。その後、シリコン基板1のメモリ領域Rmの主面と選択ゲート電極CGとを一体的に覆うようにして、電荷蓄積膜IMを形成する。上記図7の工程で説明したように、電荷蓄積膜IM(上記図7では電荷蓄積膜IMa)は、3層の積層絶縁膜から構成される。この電荷蓄積膜IMの構成に関しては、最適膜厚や材料に関して様々な提案がなされているが、本実施の形態1の製造方法では、以下のような構成となるように形成する。即ち、シリコン基板1に近い方から順に、第1酸化シリコン膜IS1を4nm程度、第1窒化シリコン膜IN1を5nm程度、そして、第2酸化シリコン膜IS2を5nm形成する。
【0080】
このように、本実施の形態1の製造方法では、少なくとも、上記図21の工程でメモリソース・ドレイン領域SDmを形成した後に、本図23の工程で電荷蓄積膜IMを形成する。このような順序で上記工程を施すことの効果に関しては、後に詳しく説明する。
【0081】
上記の電荷蓄積膜IMを構成する積層膜の形成方法としては、ISSG(In Situ Steam Generation)法が知られている。単結晶または多結晶のシリコンからなるシリコン基板1または選択ゲート電極CG上の第1酸化シリコン膜IS1、第1酸化シリコン膜IS1上の第1窒化シリコン膜IN1、第1窒化シリコン膜IN1上の第2酸化シリコン膜IS2は、それぞれ、ISSG法によって形成できる。特に、第1窒化シリコン膜IN1上の第2酸化シリコン膜IS2においては、予め、窒化シリコン膜を8〜9nm程度堆積しておいてから、シリコン上膜厚換算で5nm程度となるようにISSG法による酸化を行うことで、窒化シリコン膜が4nm程度消費され、上記膜厚の積層構造を形成できる。
【0082】
なお、本工程では、特別なマスク工程を施さない限り、周辺回路領域Rpにも同様の電荷蓄積膜IMが形成されことになるが、本実施の形態1の製造方法では差し支え無い。
【0083】
次に、図24に示すように、シリコン基板1のメモリ領域Rmの選択ゲート電極CGの側壁面に隣り合って配置するようにして、例えば、p型(第2導電型)の不純物を含む多結晶シリコンを主体とする導体膜である、メモリゲート(第2ゲート電極)電極MGを形成する。これには、例えば、CVD法により、p型不純物を含む多結晶シリコン膜を80nm程度堆積し、エッチバック工程を施すことで、上記のような形状のメモリゲート電極MGを形成する。なお、本工程では、特別なマスク工程を施さない限り、シリコン基板1の周辺回路領域Rpの周辺ゲート電極Gpの側壁にも同様のメモリゲート電極MGが形成されるが、本実施の形態1の製造方法ではこれは差し支え無い。
【0084】
次に、図25に示すように、シリコン基板1のメモリ領域Rmの選択ゲート電極CGの片側のメモリゲート電極MGを除去する。特に、本実施の形態1の製造方法では、上記図20の工程により、ダミーゲートDGを残した方と同じ側の側壁にメモリゲート電極MGが残るように、反対側のメモリゲート電極MGを除去する。
【0085】
これには、まず、フォトリソグラフィ法により、少なくとも選択ゲート電極CGの片方の側壁部が露出するようにパターニングされたフォトレジスト膜5を形成する。特に、メモリ領域Rmにおいては、上記図20の工程で形成したフォトレジスト膜3と同様のパターンを有するフォトレジスト膜5を形成する。その後、フォトレジスト膜5をエッチングマスクとして、ドライエッチングを施すことで、メモリ領域Rmの選択ゲート電極CGの片側のメモリゲート電極MGを除去する。その後、フォトレジスト膜5を除去する。
【0086】
なお、フォトレジスト膜5は周辺回路領域Rpをも露出するようにパターニングすれば、周辺回路領域Rpのメモリゲート電極MGにも上記のドライエッチングが作用し、除去される。
【0087】
以上、図24、図25の工程により、本実施の形態1の製造方法では、選択ゲート電極CGの一対の側壁面のうち、上記図20の工程においてダミーゲートを形成した側壁面と同じ側壁面に隣り合って配置するように、メモリゲート電極MGが形成されたことになる。更に、シリコン基板1の主面のうち、上記図21の工程で形成したメモリソース・ドレイン領域SDmの側方上部に配置するように、電荷蓄積膜IMを隔ててメモリゲート電極MGが形成されたことになる。
【0088】
このとき、上記図18の工程で説明した第1ダミー膜LD1(後のダミーゲートDG)と、上記図24の工程で説明した、メモリゲート電極MGとなる多結晶シリコン膜とは、同程度の膜厚(80nm程度)で形成している。そして、両者とも、エッチバックによって、選択ゲート電極CGの側壁に隣り合って配置する形状の、ダミーゲートDGおよびメモリゲート電極MGとなるように加工している。従って、本実施の形態1の製造方法では、ダミーゲートDGとメモリゲート電極MGとでは、チャネル長方向の寸法がほぼ等しくなる。これにより、本実施の形態1の製造方法によれば、ダミーゲートDGの側方下部に形成したメモリソース・ドレイン領域SDmは、後にダミーゲートDGを除去して形成するメモリゲート電極MGから見ても、その側方下部に配置された構造となる。
【0089】
結果として、本実施の形態1によっても、上記で説明した、本発明者らが検討した不揮発性メモリNVMaと同様の構成を形成することができる。
【0090】
続く工程では、上記図10、図11などを用いて説明した工程と同様にして、図26に示すように、酸化シリコン膜からなるサイドウォールスペーサsp、コバルトシリサイドまたはニッケルシリサイドなどからなる金属シリサイド層scを形成する。
【0091】
以上の工程によって、同一のシリコン基板1上において、メモリ領域Rmに本実施の形態1の不揮発性メモリNVMを形成し、周辺回路領域Rpに周辺回路素子の一例としてのn型MISトランジスタQ1を形成できる。
【0092】
以下では、本実施の形態1の半導体装置の製造方法、および、その製造方法によって形成される本実施の形態1の半導体装置が有する作用、効果に関して詳しく説明する。
【0093】
本実施の形態1の製造方法の特徴の一つとして、上記図21の工程でイオン注入D01によってメモリソース・ドレイン領域SDmを形成した後に、上記図22の工程で、電荷蓄積膜IMを形成する工程がある。これは、イオン注入D01を施す際に必要となるイオン注入マスクを、ダミーゲートDGに担わせることで可能になっている。即ち、電荷蓄積膜IMを形成した後でなければ形成できないメモリゲート電極MGはイオン注入マスクとして用いず、電荷蓄積膜IMの形成工程とは独立して形成できるダミーゲートDGを、イオン注入マスクとして用いている。
【0094】
このように、本実施の形態1の半導体装置の製造方法によれば、電荷蓄積膜IMを形成する前に、メモリソース・ドレイン領域SDmを形成するためのイオン注入D01を施すことができる。これは、以下のような効果をもたらす。即ち、電荷蓄積膜IMに、イオン注入D01によるダメージを与えることなく、メモリソース・ドレイン領域SDmを形成できる。このように、電荷蓄積膜IMを形成した後の工程では、シリコン基板1に対してのいかなるイオン注入工程も施さないような本実施の形態1の製造方法によって、電荷保持特性がより良好であり、また、メモリ動作の信頼性がより高い不揮発性メモリNVMを形成できる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性を向上させることができる。
【0095】
また、ダミーゲートDGは、イオン注入D01のイオン注入マスクとして、メモリゲート電極MGのかわりに適用するという観点からは、導体膜であっても、絶縁膜であっても、その材料の種類は制限されない。これに対し、本実施の形態1の製造方法では、ダミーゲートDGとして、p型不純物を含んだ多結晶シリコンを主体とする導体膜を形成するとして、工程を説明した。これは、上記図18〜図20の工程で形成するダミーゲートDGは、後の上記図24、図25の工程で形成するメモリゲート電極MGと同じ材料によって形成する方がより好ましい、という観点に基づいて材料を選択したことによる。上記図24、図25の工程で説明したしように、メモリゲート電極MGは、p型不純物を含んだ多結晶シリコンを主体とする導体膜である。ダミーゲートDGをメモリゲート電極MGと同じ材料で形成する方がより好ましい理由について、以下で詳細に説明する。
【0096】
本実施の形態1の製造方法によれば、メモリゲート電極MGの側方下部に配置させるメモリソース・ドレイン領域SDmを、ダミーゲートDGをイオン注入マスクとするイオン注入D01によって形成する。このとき、設計通りに素子を形成することが望ましいという観点から、ダミーゲートDGを除去した後には、当該ダミーゲートDGと同様の位置に、同様の形状でメモリゲート電極MGを配置できる方が良い。そこで、上記のように、ダミーゲートDGの材料として、メモリゲート電極MGとなる材料と同じ材料を適用する。これにより、両者を同様の条件で形成し、同様の条件で加工を施せば、ダミーゲートDGとメモリゲート電極MGとを、同様の位置に、同様の形状で形成し易くなる。このように、ダミーゲートDGをメモリゲート電極MGと同じ材料で形成することで、不揮発性メモリNVMを形成する過程において生じ得る設計寸法からのずれを、低減することができる。これにより、上記のように効果的な、ダミーゲートDGを適用した本実施の形態1の製造方法において、加工精度をより向上させることができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0097】
また、ダミーゲートDGをイオン注入D01のイオン注入マスクとして適用することだけを考えれば、上記図18の工程で、ダミーゲートDGの下に保護膜LP1を形成しなくても良い。一方、本実施の形態1の製造方法では、ダミーゲートDGを形成する前に、保護膜LP1を形成する方が、より好ましい。その理由は以下の通りである。
【0098】
ダミーゲートDGに対しては、上述したように、その形状加工のために異方性エッチングを施したり、後の工程で除去するためにエッチングを施したりする。このとき、不揮発性メモリNVMの構成要素である選択ゲート電極CGやシリコン基板1などを、エッチングのダメージから保護するために、保護膜LP1をエッチングストップ膜として適用できる。これにより、上記のように効果的な、ダミーゲートDGを適用した本実施の形態1の製造方法においてエッチングにより発生するダメージを、より低減させることができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0099】
この観点からは、保護膜LP1は、所定のエッチングに対するエッチング速度が、ダミーゲートDGのエッチング速度と大きく異なるほど、より好ましい。即ち、保護膜LP1とダミーゲートDGとの組み合わせは、酸化シリコン膜と多結晶シリコン膜との組み合わせに限定されるものではなく、エッチング時の選択比がより大きくとれる材料の組み合わせが望ましい。上記のように、メモリゲート電極MGと同じ材料を用いるという条件から、ダミーゲートDGとして多結晶シリコン膜を用いるのであれば、例えば、酸化シリコン膜や、窒化シリコン膜などは多結晶シリコン膜とエッチング速度が異なり、保護膜LP1の材料として選択し得る。本実施の形態1では、保護膜LP1として、酸化シリコンを主体とする絶縁膜を適用した例を示した。
【0100】
また、メモリゲート電極MGの材料としては、所謂MISトランジスタのゲート電極として機能することが必要であって、p型の不純物を含む多結晶シリコン膜に限定されるものではない。より具体的には、n型の不純物を含む多結晶シリコン膜や、金属材料などであっても良い。
【0101】
例えば、n型の不純物を含む多結晶シリコン膜をメモリゲート電極MGに適用した場合には、p型の不純物を含む多結晶シリコン膜をメモリゲート電極MGに適用した場合と比較して、メモリゲートトランジスタ部分の初期閾値電圧を低くすることができる。そして、この初期閾値電圧の低下分だけ、消去時に電化蓄積膜IMに注入するホールの量を少なくすることができ、所望の消去閾値電圧まで、より少量のホール注入量で消去できることになる。その結果、BTBTホットホール注入による電化蓄積膜IMへのダメージが低減できる。また、このように初期閾値電圧が低く、ホール注入量が少ないほど、所望の消去閾値電圧までホールを注入した時のバリア絶縁膜(第1、第2酸化シリコン膜IS1,IS2)にかかる電界はより弱くなる。結果として、消去時のホール保持特性は向上する。
【0102】
一方で、p型の不純物を含む多結晶シリコン膜をメモリゲート電極MGに適用した場合は、初期閾値電圧が高いため、書き込み時の電子の注入量を少なくして、所望の書き込み閾値電圧まで電子を注入することができる。その結果、ホットエレクトロン注入による電化蓄積膜IMへのダメージを低減できる。また、このように初期閾値電圧が高く、電子の注入量が少ないほど、所望の書き込み閾値電圧まで電子を注入した時のバリア絶縁膜(第1、第2酸化シリコン膜IS1,IS2)にかかる電界はより弱くなる。結果として、書き込み時の電子保持特性は向上する。
【0103】
また、p型の不純物を含む多結晶シリコン膜をメモリゲート電極MGに適用した場合は、メモリゲート電極MGとシリコン基板1との間に電圧をかけて、メモリゲート電極MG中のホールをトンネル現象により電荷蓄積膜IMに注入させて、消去動作を実現することもできる。このような消去方法は、BTBT現象によるホットホールを利用した消去動作に比べて低速ではあるものの、電荷蓄積膜IMへのダメージを低減できる。結果として、メモリの保持特性を向上させることができる。
【0104】
一方、本発明者らが検討した、上記図7〜図11を用いて説明した不揮発性メモリNVMaおよびその製造方法では、メモリソース・ドレイン領域SDmaと逆導電型のメモリゲート電極MGaを形成し難い。なぜなら、メモリゲート電極MGaを形成した後に、当該メモリゲート電極MGaをイオン注入マスクとして、メモリソース・ドレイン領域SDmaを形成するためのイオン注入Daを施すからである。これにより、メモリゲート電極MGaは、メモリソース・ドレイン領域SDmaに注入したドーパントと同程度の濃度のドーパントを含むことになる。たとえ、メモリゲート電極MGaを形成する際に、逆導電型となる不純物を多量に含ませてあったとしても、イオン注入Daは、それを打ち消す方向に作用する。なお、この状態では、メモリゲート電極MGa中の多数キャリアは相殺されるが、メモリゲート電極MGaには、メモリソース・ドレイン領域SDmaに注入した不純物と極性の不純物を、同程度の濃度含んでいる。
【0105】
これに対し、本実施の形態1の製造方法によれば、メモリゲート電極MGを形成する前に、メモリソース・ドレイン領域SDmを形成するためのイオン注入D01を施す。従って、イオン注入D01によって、メモリソース・ドレイン領域SDmに注入される不純物イオンが、メモリゲート電極MGに注入されることはない。これにより、メモリゲート電極MGの導電型を任意に選択できる。特に、上記のような、メモリソース・ドレイン領域SDmと、メモリゲート電極MGとの導電型が逆導電型であるような不揮発性メモリNVMを実現できる。言い換えれば、メモリゲート電極MG中に含まれるn型不純物(第1不純物)の濃度が、メモリソース・ドレイン領域SDm中におけるn型不純物の濃度よりも低いという特徴を有した、不揮発性メモリNVMを有する半導体装置を実現できる。結果として、上述の理由から、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。なお、上記のメモリゲート電極MGとメモリソース・ドレイン領域SDmの導電型に関しては、n型導電型とp型導電型とを入れ替えても、同様の効果が得られる。
【0106】
また、本実施の形態1の製造方法のように、メモリソース・ドレイン領域SDmを形成するためのイオン注入D01の後に、メモリゲート電極MGを形成することは、以下のような効果をももたらす。即ち、メモリゲート電極MGとメモリソース・ドレイン領域SDmの導電型が逆導電型であっても、メモリゲート電極MG中に逆導電型の不純物が注入されることによる濃度勾配や、部分的なPN接合を、より形成され難くすることができる。メモリゲート電極MG中の濃度勾配や、PN接合の形成は、例えば特性の不均一性や、動作速度の低下をもたらす原因となる。従って、本実施の形態1の製造方法によれば、不揮発性メモリNVMの特性をより向上させることができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0107】
上記のように、本実施の形態1の製造方法においては、不揮発性メモリNVMを形成する工程自体が、独立の形成工程として効果的である。更に、上記のような効果を有する不揮発性メモリNVMの形成工程は、周辺回路素子としてのMISトランジスタQ1を形成する工程の一部と共有させる方が、より好ましい。なぜなら、不揮発性メモリNVMの形成工程を周辺回路素子の形成工程と共有させることで、半導体装置の製造方法をより簡略化できるからである。
【0108】
より具体的には、以下のように工程を共有させることができる。上記図12の工程において、シリコン基板1のメモリ領域Rmと周辺回路領域Rpとの主面に、同一の工程によって、第1絶縁膜I1および第1導体膜E1を形成できる。また、上記図17の工程において、シリコン基板1のメモリ領域Rmと周辺回路領域Rpとに形成した第1絶縁膜I1および第1導体膜E1を、同一の工程によって加工し、選択ゲート絶縁膜IC、選択ゲート電極CG、周辺ゲート絶縁膜Ip、および、周辺ゲート電極Gpを形成できる。また、上記図18〜図20の工程において、シリコン基板1のメモリ領域Rmと周辺回路領域Rpとに、同一の工程によってダミーゲートDGを形成できる。また、上記図21の工程において、シリコン基板1のメモリ領域Rmと周辺回路領域Rpの主面に対し、同一のイオン注入D01を施すことによって、メモリソース・ドレイン領域SDmおよび周辺ソース・ドレイン領域SDpを形成できる。また、上記図21の工程において、シリコン基板1のメモリ領域Rmと周辺回路領域Rpと形成されたダミーゲートDGを、同一のエッチング工程によって除去できる。
【0109】
また、本実施の形態1の製造方法のようにして不揮発性メモリNVMを有する半導体装置を製造した場合、上記図22の工程のようにして、エクステンション領域exnを備えるMISトランジスタQ1を周辺回路領域Rpに形成できる。一般的に、半導体装置の高性能化の要求から微細化されるMISトランジスタにおいて、エクステンション領域を備えたLDD構造の形成が必要である。そして、本実施の形態1の製造方法によれば、上記のような効果を有する不揮発性メモリNVMの製造方法を適用した場合であっても、周辺回路領域Rpには、エクステンション領域exnを備えたMISトランジスタQ1を形成することができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0110】
なお、本実施の形態1の製造方法のように、上記図21、図22で説明した工程を経てエクステンション領域exnを形成した場合、周辺ソース・ドレイン領域SDpを、エクステンション領域exnよりも先に形成する。従って、シリコン基板1の周辺回路領域Rpに形成されたMISトランジスタQ1は、サイドウォールスペーサspと周辺ソース・ドレイン領域SDpとの間に、平面的に見て、オフセットまたはオーバーラップが生じた構造となり得る。
【0111】
また、本実施の形態1の製造方法においては、例えば、ダミーゲートDGの平面的な大きさを、メモリゲート電極MGの平面的な大きさよりも小さく形成しても良い。より具体的には、上記図18の工程では、第1ダミー膜LD1の厚さが、後の上記図24の工程で形成するメモリゲート電極MGとなる多結晶シリコン膜の厚さよりも薄くなるように形成する。これにより、エッチバックを施した後のサイドウォール状のダミーゲートDGとメモリゲート電極MGとを比較すると、前者の方が平面的な寸法が小さくなるように形成される。
【0112】
上記のように、ダミーゲートDGの寸法をメモリゲート電極MGの寸法よりも小さく形成することで、メモリソース・ドレイン領域SDmとメモリゲート電極MGとを、より大きくオーバーラップさせた構造とすることができる。なぜなら、メモリソース・ドレイン領域SDmは、ダミーゲートDGをイオン注入マスクとしたイオン注入D01によって形成し、より小さいダミーゲートDGであれば、より広い面積にメモリソース・ドレイン領域SDmが形成されるからである。
【0113】
例えば、上記図26の工程でサイドウォールスペーサspを形成するために熱酸化を施した場合、メモリゲート電極MGの端部において、メモリゲート電極MGとシリコン基板1との間にバーズビークを形成し得る。このようなバーズビークが形成されると、メモリゲート電極MGに印加した電圧がバーズビークにおいて余計に電圧降下し、電界効果がチャネルに生じ難くなる。これに対し、本実施の形態1の製造方法では、上記のようにしてメモリゲート電極MGとメモリソース・ドレイン領域SDmとのオーバーラップをより大きくしておくことで、バーズビークの影響を緩和することができる。従って、メモリゲート電極MGに印加した電圧による電界効果を、チャネル領域により効果的に作用させることができ、メモリの動作特性をより向上させることができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0114】
(実施の形態2)
上記実施の形態1において、周辺回路領域Rpに形成する周辺回路素子としてのMISトランジスタQ1は、例えば、図27に示すSRAM(Static Random Access Memory)回路を構成するMISトランジスタQ1として適用し得る。SRAM回路は、n型MISトランジスタQnとp型MISトランジスタQpとを用い、かつ、両者のゲート電極GE(周辺ゲート電極Gp)を電気的に接続するような、所謂CMOS構造を用いて構成される。ここで、SRAM回路は単位メモリセルあたりに6つのMISトランジスタQ1を要するため、最も厳しく微細化が要求される素子の一つである。そのため、上記のようなCMOS構成においては、2種のMISトランジスタQn,Qpのゲート電極GEは、配線層を経由して電気的に接続するのではなく、一つのゲート電極GEを共有させることで接続するような構造が望まれる。
【0115】
本実施の形態2では、シリコン基板1上のメモリ領域Rmに不揮発性メモリNVMを有し、周辺回路領域Rpにゲート電極GEを共有するMISトランジスタQ1で構成される周辺回路素子を有する半導体装置と、その製造方法を示す。なお、以下で説明する本実施の形態2の製造方法や、それによって形成される半導体装置の構造において、上記実施の形態1で説明したものと同様の製造方法や、それによって形成される半導体装置の同様の構造では、これらと同様の効果を有し、特筆しない限りここでの重複した説明は省略する。
【0116】
以下、説明に用いる図28〜図36では製造工程中の断面図を示し、メモリ領域Rmにおいて不揮発性メモリNVMを形成する工程中の断面図、周辺回路領域RpにおいてSRAM回路を構成するMISトランジスタQ1を形成する工程中の断面図を示す。図中では、特に、メモリ領域Rmの要部断面図を左側に示し、周辺回路領域Rpにおいて、上記図27のSRAM回路において、P1−P1線に沿って矢印方向に見た断面図を中央に示し、P2−P2線に沿って矢印方向に見た断面図を右側に示す。P1−P1線に沿った断面図は、n型MISトランジスタQnとp型MISトランジスタQpとで共有する周辺ゲート電極Gpにおいて、N−MOS領域とP−MOS領域との境界部を表す。P2−P2線に沿った断面図は、周辺回路領域Rpに形成するこれらMISトランジスタQ1のチャネルに沿った断面図である。
【0117】
本実施の形態2の製造方法では、まず、上記実施の形態1における上記図12で説明したものと同様の工程を施す。即ち、シリコン基板1の主面に分離部2を形成し、周辺回路領域Rpにおいてn型MISトランジスタ、または、p型MISトランジスタを形成する領域を規定する。続いて、酸化シリコン膜からなる第1絶縁膜I1と多結晶シリコン膜からなる第1導体膜E1とを形成する。ここでは、メモリ領域Rmと周辺回路領域Rpとに同様の工程を施す。
【0118】
ここでは、ノンドープの多結晶シリコン膜からなる第1導体膜E1を形成した後、周辺回路領域Rpを覆うようにパターニングしたフォトレジスト膜を形成し、これをイオン注入マスクとして、メモリ領域Rmの第1導体膜E1にn型の不純物をイオン注入する。その後、例えば、950℃で120秒程度の熱処理を施すことで、メモリ領域Rmの第1導体膜E1に注入したn型の不純物を活性化する。
【0119】
その後、図28に示すように、メモリ領域の第1絶縁膜I1および第1導体膜E1のみ、上記図17の工程と同様に加工することで、選択ゲート電極MGおよび選択ゲート絶縁膜ICを形成する。ここでは、周辺回路領域Rpには加工を施さない。
【0120】
次に、図29に示すように、上記図18の工程と同様にして保護膜LP1と第1ダミー膜LD1とを形成する。その後、上記図19の工程と同様にして、第1ダミー膜LD1にエッチバックを施すことでダミーゲートDGを堆積する。ここで、本実施の形態2の製造方法では、前工程において周辺回路領域Rpの第1導体膜E1には加工を施さないため、本工程では周辺回路領域Rpの第1導体膜E1上に一様に第1ダミー膜LD1が堆積される。そして、周辺回路領域Rpでは、このように一様な第1ダミー膜LD1にエッチバックが施されるから、周辺回路領域Rpにおいて第1ダミー膜LD1は全面的に除去される。
【0121】
次に、図30に示すように、上記図20の工程と同様にして、フォトレジスト膜6(上記図20のフォトレジスト膜3と同様)をエッチングマスクとしたエッチングを施すことで、選択ゲート電極CGの両側のダミーゲートDGのうち、片方を除去する。
【0122】
次に、図31に示すように、シリコン基板1上のメモリ領域Rmが開口され、周辺回路領域Rpが覆われるようなフォトレジスト膜7を、フォトリソグラフィ法などにより形成する。その後、フォトレジスト膜7および選択ゲート電極CGをイオン注入マスクとして、上記図21のイオン注入D01と同様のイオン注入D03を施すことで、メモリ領域Rmに上記図21と同様のメモリソース・ドレイン領域SDmを形成する。ここで、周辺回路領域Rpはフォトレジスト膜7に覆われているから、イオン注入D03を施しても、いかなる半導体領域も形成されない。イオン注入D03の後、フォトレジスト膜7を除去し、上記図21と同様にしてダミーゲートDGおよび保護膜LP1を除去する。
【0123】
ここで、イオン注入マスクとして機能する選択ゲート電極CGの側壁のうち、ダミーゲートDGと隣り合わない側の側壁には、保護膜LP1が形成されている。従って、この膜厚分だけ、選択ゲート電極CGとメモリソース・ドレイン領域SDmとの間には、平面的に見てオフセットが生じ得る。これを補うために、イオン注入D03は、シリコン基板1に対して垂直ではなく、角度をつけた斜め注入としても良い。また、後のRTAの温度と時間で拡散距離を制御し、オフセットを無くすこともできる。
【0124】
次に、図32に示すように、上記図23の工程と同様にして、第1酸化シリコン膜IS1、第1窒化シリコン膜IN1、および、第2酸化シリコン膜IS1からなる電荷蓄積膜IMを形成する。このとき、メモリ領域Rmでは、シリコン基板1の主面および選択ゲート電極CGを覆うようにして電荷蓄積膜IMが形成される(上記図23と同様)。一方、周辺回路領域Rpにおいては、第1導体膜E1が一様に形成されており、これを覆うようにして電荷蓄積膜IMが形成される。
【0125】
ここで、本実施の形態2の製造方法では、電荷蓄積膜IMを形成する工程中、以下のような熱処理を施す。第1酸化シリコン膜IS1を形成した後、950℃〜1050℃程度の一酸化窒素(NO)雰囲気または一酸化二窒素(NO)雰囲気等の酸素と窒素とを含むガス雰囲気中で30秒〜10分程度、熱処理(アニール)を施す。その後、第1窒化シリコン膜IN1および第2酸化シリコン膜IS2を形成する。これにより、シリコン基板1と第1酸化シリコン膜IS1との界面状態を良好にすることができ、ホットキャリア等に対する耐性を向上させることができる。
【0126】
上記図23の工程のようにして3種の絶縁膜を積層形成すれば、電荷を保持する機能を有する電荷蓄積膜IMを形成できるが、本実施の形態2の製造方法のように、第1酸化シリコン膜に対して上記のような熱処理を施す工程を含む方が、より好ましい。なぜなら、これにより、上記のように、シリコン基板1と第1酸化シリコン膜IS1との界面状態を良好にでき、ホットキャリア耐性を向上できるからである。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0127】
また、本実施の形態2のように、ダミーゲートDGを用いた不揮発性メモリNVMの製造方法において、上記のような効果的な熱処理を施すことができるのは、本実施の形態2が有する製造工程の特徴が効果を有するからである。これに関しては、後の工程とともに後に詳細を説明する。
【0128】
次に、図33に示すように、上記図24、図25の工程と同様にして、メモリゲート電極MGを形成する。
【0129】
続く工程では、周辺回路領域Rpの周辺回路素子を形成する。ここで、本実施の形態2の製造方法で示すのは、周辺回路素子として、上記図27のような、n型MISトランジスタQnとp型MISトランジスタQpとでゲート電極を共有するような、CMOSによって構成されるSRAM回路を有する半導体装置である。特に、n型MISトランジスタQnのゲート電極はn型の不純物を含む多結晶シリコンで形成し、p型MISトランジスタQpのゲート電極はp型の不純物を含む多結晶シリコンで形成することで、より高速かつ高性能なCMOS構成を実現できることが知られている。
【0130】
そこで、本実施の形態2の半導体装置の周辺回路素子である、上記図27のSRAM回路においても、N−MOS領域の周辺ゲート電極Gpにはn型の不純物を含ませ、P−MOS領域の周辺ゲート電極Gpにはp型の不純物を含ませた構造とする。これには、例えば、異なる極性のゲート電極をフォトリソグラフィ法やエッチング工程によって作り分け、両者が接続するような一つのゲート電極を形成しても良い。一方、上述のように、SRAM回路部は、最も厳しい微細化が要求される領域の一つであるから、上記作り分けなどの加工を施すよりも、不純物イオンの打ち分けによって両極性の部分を有する一つのゲート電極を形成する方が、より好ましい。なぜなら、イオン注入による不純物イオンの打ち分けを用いれば、フォトリソグラフィ法によるフォトレジスト膜をイオン注入マスクとして形成するだけで、実際の形状加工は伴わず、より微細なパターンを形成し易いからである。
【0131】
図34に示すように、周辺回路領域Rpにおいて、第1導体膜E1のうち、後にn型MISトランジスタ(上記図27のn型MISトランジスタQn)の周辺ゲート電極Gpとなる第1部分E11にn型(第1導電型)となる不純物(ドナー)を注入する。これには、まず、シリコン基板1の周辺回路領域Rpの周辺ゲート電極Gpのうち、後にp型MISトランジスタ(上記図27のp型MISトランジスタQp)となる第2部分E12をフォトレジスト膜8で覆う。このフォトレジスト膜8は、シリコン基板1のメモリ領域Rmも覆うようにして形成する。続いて、フォトレジスト膜8をイオン注入マスクとして、例えばヒ素やリンなどのイオンを注入するイオン注入D04を施す。これにより、第1導体膜E1の第1部分E11はn型不純物を含んだ状態となる。
【0132】
続いて、第1導体膜E1の第1部分E11を覆うようにして、別のフォトレジスト膜を形成し、これをイオン注入マスクとして、例えばホウ素など、p型(第2導電型)となる不純物(アクセプタ)を注入する(図示しない)。これにより、第1導体膜E1の第2部分E12はp型不純物を含んだ状態となる。なお、上記では、第1部分E11へのn型不純物のイオン注入D04を、第2部分E12へのp型不純物のイオン注入よりも先に施す工程を説明したが、これらの順序は逆であっても良い。
【0133】
上記の工程によって、第1導体膜E1は、n型不純物を含む第1部分E11と、p型不純物を含む第2部分E12とを有するようになる。そして、逆極性の不純物を含む第1部分E11と第2部分E12とは隣接して配置して、後に周辺ゲート電極Gpとなる第1導体膜E1を構成する。
【0134】
次に、図35に示すように、周辺回路領域Rpの第1導体膜E1を加工して、互いに隣接する第1部分E11と第2部分E12とを有する周辺ゲート電極Gpを形成する。その後、周辺回路領域Rpの第1絶縁膜I1を加工して、シリコン基板1と周辺ゲート電極Gpとの間に配置する周辺ゲート絶縁膜Ipを形成する。ここでは、所望のゲートパターンのエッチングマスクを、フォトレジスト膜などによって形成し(図示しない)、これをイオン注入マスクとして、第1導体膜E1および第1絶縁膜I1に対して順に異方性エッチングを施すことで、周辺ゲート電極Gpおよび周辺ゲート絶縁膜Ipを形成する。
【0135】
続いて、シリコン基板1のメモリ領域Rmにフォトレジスト膜9を形成し、上記図22のイオン注入D02と同様のイオン注入D05を施すことで、周辺ゲート電極Gpの側方下部に配置するようなエクステンション領域exnを形成する。その後、各ゲート電極、メモリソース・ドレイン領域SDm、および、エクステンション領域exnに含まれる不純物イオンの活性化および拡散のために、例えば、RTAによって950℃にて120秒の熱処理を施す。これにより、ゲート電極中の空乏化を抑制できる。この熱処理は、上記図32で説明した第1酸化シリコン膜IS1に施す熱処理よりも低い温度、または、短い時間で施す。なお、周辺回路領域Rpのうち、n型MISトランジスタを形成する領域のエクステンション領域exnにはn型の不純物を注入し、p型MISトランジスタを形成する領域のエクステンション領域(図示しない)にはp型の不純物を注入する。
【0136】
次に、図36に示すように、上記図26と同様の工程により、サイドウォールスペーサspを形成する。その後、メモリ領域Rmをフォトレジスト膜で覆った状態で、シリコン基板1の周辺回路領域Rpに、上記図21のイオン注入D01や図31のイオン注入D03と同様のイオン注入を施す。これにより周辺ソース・ドレイン領域SDpを形成する。ここでは、n型MISトランジスタを形成する領域にはn型の不純物を注入し、p型MISトランジスタを形成する領域にはp型の不純物を注入する。その後、例えば、RTAによって1000℃にて5秒の熱処理を施すことで、周辺ソース・ドレイン領域SDpのほか、不純物を導入した領域の活性化を行なう。この熱処理は、上記図32で説明した第1酸化シリコン膜IS1に施す熱処理よりも低い温度、または、短い時間で施す。続く工程では、上記図26と同様の工程により、金属シリサイド層scを形成する。
【0137】
以上、本実施の形態2の製造方法およびそれにより形成される構造においては、上記実施の形態1と同様のものは、上記実施の形態1で詳しく説明した効果を同様に有するものとし、ここでの重複した説明は省略した。
【0138】
以下では、本実施の形態2の半導体装置の製造方法、および、その製造方法によって形成される本実施の形態2の半導体装置が有する作用、効果に関して詳しく説明する。
【0139】
上記図27および図34を用いた説明からも分かるように、SRAM回路において、異なる極性のMISトランジスタQ1(Qn,Qp)が周辺ゲート電極Gpを共有する場合、ドナー不純物を多く含む領域(第1部分E11)とアクセプタ不純物を多く含む領域(第2部分E12)との境界が存在する。この状態で、例えば、上記図32の工程で説明した、比較的高い温度での熱処理工程が施されると、各不純物は相互拡散により相殺してしまうことが懸念される。従って、周辺ゲート電極Gpに、異なる極性のイオン注入を施した後に、高い温度での熱処理工程を施すことは、望ましくない。一方、周辺ゲート電極Gpは、形状加工した後ではイオン注入を施し難いため、第1導体膜E1の状態であるうちに(形状加工する前に)イオン注入を施すことが望ましい。
【0140】
この観点から、例えば、上記実施の形態1の製造方法のように、周辺ゲート電極Gpを選択ゲート電極CGと同時に形状加工する(上記図17の工程)場合、それ以前に周辺ゲート電極Gpにイオン注入を施しておく必要がある。従って、後に電荷蓄積膜IMを形成する工程(上記図23の工程)では、第1酸化シリコン膜IS1に対して、本実施の形態2の上記図32で説明したような熱処理工程は施し難い。なぜなら、このタイミングで当該熱処理を施すと、周辺ゲート電極Gpに注入された極性の異なる不純物が、境界付近で相互拡散し得るからである。
【0141】
これに対し、本実施の形態2の製造方法では、メモリ領域Rmにおいて第1導体膜E1を加工して選択ゲート電極CGを形成する工程において、周辺回路領域Rpの第1導体膜E1は加工しない。そして、少なくとも、電荷蓄積膜IMを形成し終え、第1酸化シリコン膜IS1に対して熱処理を施した後に、周辺回路領域Rpの第1導体膜E1に異なる極性の不純物イオンを注入する。これにより、注入した不純物を相互拡散により相殺させることなく、不揮発性メモリNVMおよび周辺回路素子を形成することができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0142】
また、本実施の形態2の製造方法では、電荷蓄積膜IMを形成した後に、周辺回路領域Rpのエクステンション領域exnを形成するためのイオン注入D05や、周辺ソース・ドレイン領域SDpなどを形成するためのイオン注入を施す必要がある。しかし、当該イオン注入を施す間は、例えば上記図35のように、メモリ領域Rmはフォトレジスト膜9で覆っているため、電荷蓄積膜IMには、当該イオン注入によるダメージは入り難い。
【0143】
以上のようにして、本実施の形態2の製造方法によって、シリコン基板1のメモリ領域Rmに不揮発性メモリNVMを形成し、周辺回路領域RpにMISトランジスタQ1を形成することができる。特に、本実施の形態2の製造方法によれば、電荷蓄積膜IMにダメージを与え難い工程により不揮発性メモリNVMを形成する半導体装置の製造方法において、更に、周辺ゲート電極Gp中の不純物の相互拡散を起こし難い工程順で、電荷蓄積膜IMの電荷保持特性をより向上させ得る熱処理を施すことができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0144】
(実施の形態3)
本実施の形態3の半導体装置の製造方法、および、その製造方法によって形成される本実施の形態3の半導体装置について、図37〜図43を用いて説明する。図37〜図43では、上記実施の形態2と同様に、メモリ領域Rmの要部断面図を左に示し、周辺回路領域Rpにおいて、上記図27のSRAM回路において、P1−P1線に沿って矢印方向に見た断面図を中央に示し、P2−P2線に沿って矢印方向に見た断面図を右側に示す。なお、以下で説明する本実施の形態3の製造方法や、それによって形成される半導体装置の構造において、上記実施の形態1,2で説明したものと同様の製造方法や、それによって形成される半導体装置の同様の構造では、これらと同様の効果を有し、特筆しない限りここでの重複した説明は省略する。
【0145】
本実施の形態3の製造方法では、まず、上記実施の形態2の図28を用いて説明した工程までと同様の工程を施す。
【0146】
次に、図37に示すように、シリコン基板1のメモリ領域Rmの主面と選択ゲート電極CGとを一体的に覆うようにして、順に、第1酸化シリコン膜IS1および第1窒化シリコン膜IN1を形成する。両者は、上記図32の工程と同様にして形成する。これらは、電荷蓄積膜IM(例えば上記図32の工程にて説明)の構成要素である。また、上記実施の形態2の製造方法において上記図32を用いて説明した第1酸化シリコン膜IS1に対しての熱処理を、本実施の形態3の製造方法においても同様に施す。
【0147】
このように、本実施の形態3の製造方法では、本工程の時点では、電荷蓄積膜IMを構成する積層膜のうち、第1酸化シリコン膜IS1と第1窒化シリコン膜IN1とを形成し、上部の第2酸化シリコン膜IS2(例えば上記図32に記載)を形成せずに、次の工程に移る。この点で、3層の積層膜を続けて形成することで電荷蓄積膜IMを形成した上記実施の形態1または2の製造方法と、本実施の形態3の製造方法とは異なる。本実施の形態3の製造方法で、電荷蓄積膜IMを上記のようにして形成することの効果に関しては、後に詳しく説明する。なお、本工程では、周辺回路領域Rpに所定のフォトレジスト膜などを形成しなければ、周辺回路領域Rpにも同様の工程が施され、第1導体膜E1を覆うようにして、第1酸化シリコン膜IS1および第1窒化シリコン膜IN1が形成される。
【0148】
次に、図38に示すように、上記図34と同様の工程により、周辺回路領域Rpにおいて、第1導体膜E1のうち、第1部分E11にn型となる不純物を注入する。これには、上記図34のフォトレジスト膜8と同様のフォトレジスト膜10を形成し、上記図34のイオン注入D04と同様のイオン注入D06を施す。このとき、第1導体膜E1上には第1酸化シリコン膜IS1と第1窒化シリコン膜IN1が形成されているが、本実施の形態3の製造方法では、これらを透過させるようにしてイオン注入D06を施す。これにより、第1導体膜E1の第1部分E11はn型不純物を含んだ状態となる。
【0149】
続いて、上記図34と同様の工程により、第1導体膜E1の第2部分E12に対し、第1酸化シリコン膜IS1および第1窒化シリコン膜IN1を透過させるようにして、p型となる不純物を注入する。これにより、第1導体膜E1の第2部分E12はp型不純物を含んだ状態となる。なお、上記では、第1部分E11へのn型不純物のイオン注入D06を、第2部分E12へのp型不純物のイオン注入よりも先に施す工程を説明したが、これらの順序は逆であっても良い。
【0150】
以上のようにして、シリコン基板1の周辺回路領域Rpに、上記図34と同様の構成の第1部分E11と第2部分E12とを有する第1導体膜E1を形成する。上記のように、本実施の形態3の製造方法では、第1導体膜E1の第1部分E11および第2部分E12への逆導電型不純物の注入およびそれに続く工程は、第1酸化シリコン膜IS1の熱処理工程の後に施す。これは、上記実施の形態2の製造方法と同様の効果をもたらす。即ち、第1導体膜E1において互いに隣接する第1部分E11と第2部分E12との間で、逆導電型不純物の相互拡散を起こし難い製造方法とすることができる。
【0151】
次に、図39に示すように、上記図35の工程と同様にして、周辺回路領域Rpの第1導体膜E1を加工して、互いに隣接する第1部分E11と第2部分E12とを有する周辺ゲート電極Gpを形成する。その後、各ゲート電極に含まれる不純物イオンの活性化のために、例えば、RTAによって950℃にて120秒の熱処理を施す。これにより、ゲート電極中の空乏化を抑制できる。この熱処理は、上記図37で説明した第1酸化シリコン膜IS1に施す熱処理よりも低い温度、または、短い時間で施す。
【0152】
次に、図40に示すように、メモリ領域Rmの第1窒化シリコン膜IN1を覆うようにして、ダミー絶縁膜ID1を形成する。ここでは、ダミー絶縁膜ID1として、オゾン(O)およびTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原材料とした低温仕様のCVD法によって、酸化シリコンを主体とする絶縁膜を、10nm程度堆積する。本実施の形態3の製造方法において、本工程でダミー絶縁膜ID1を形成することや、当該ダミー絶縁膜ID1を上記の形成方法によって形成すること、また、当該ダミー絶縁膜ID1を上記のような膜厚で形成することなどによる効果は、後に詳しく説明する。
【0153】
なお、ダミー絶縁膜ID1の形成は、上記図37で説明した第1酸化シリコン膜IS1および第1窒化シリコン膜IN1を形成する工程の後、上記図38で説明したフォトレジスト膜10を形成する工程の前に行っても良い。こうすることで、フォトレジスト膜10を除去する工程において、第1窒化シリコン膜IN1を露出させることがないため、メモリの特性が向上する。
【0154】
続いて、ダミー絶縁膜ID1を隔てて、第1窒化シリコン膜IN1を覆うようにして、上記図29と同様の第1ダミー膜LD1を形成する。
【0155】
なお、上記の工程中、周辺回路領域Rpにはフォトレジスト膜などを形成していないため、上記と同様の要素が形成される。即ち、周辺回路領域Rpにおいては、シリコン基板1と周辺ゲート電極Gpを覆うようにして、ダミー絶縁膜ID1および第1ダミー膜LD1が形成される。
【0156】
次に、図41に示すように、上記図29、図30の工程と同様にして、ダミーゲートDGを形成する。本実施の形態3の製造方法では、第1酸化シリコン膜IS1、第1窒化シリコン膜IN1、ダミー絶縁膜ID1を隔てて、選択ゲート電極CGの片方の側壁および周辺ゲート電極Gpの両側壁に隣り合って配置するように、ダミーゲートDGが形成される。
【0157】
その後、上記図31のイオン注入D03と同様のイオン注入D07を施す。このとき、メモリ領域Rmでは、選択ゲート電極CGとダミーゲートDGとがイオン注入マスクとなって、上記図31と同様のメモリソース・ドレイン領域SDmが形成される。また、周辺回路領域Rpでは、周辺ゲート電極GpとダミーゲートDGとがイオン注入マスクとなって、上記図21と同様の周辺ソース・ドレイン領域SDpが形成される。なお、周辺回路領域Rpのうち、n型MISトランジスタを形成する領域にはn型の不純物を注入し、p型MISトランジスタを形成する領域にはp型の不純物を注入する。
【0158】
ここで、イオン注入マスクとして機能する選択ゲート電極CGの側壁のうち、ダミーゲートDGと隣り合わない側の側壁には、第1酸化シリコン膜IS1、第1窒化シリコン膜IN1、および、ダミー絶縁膜ID1が形成されている。従って、これらの膜厚分だけ、選択ゲート電極CGとメモリソース・ドレイン領域SDmとの間には、平面的に見てオフセットが生じ得る。これを補うために、イオン注入D07は、シリコン基板1に対して垂直ではなく、角度をつけた斜め注入としても良い。また、後のRTAの温度と時間で拡散距離を制御し、オフセットを無くすこともできる。
【0159】
次に、上記図21を用いて説明した方法と同様の方法によって、シリコン基板1のメモリ領域Rmおよび周辺回路領域RpのダミーゲートDGを除去する。
【0160】
次に、図42に示すように、上記図35と同様にして、周辺回路領域Rpにエクステンション領域exnを形成する。即ち、メモリ領域Rmをフォトレジスト膜11で覆い、周辺回路領域Rpに、上記図35のイオン注入D05と同様のイオン注入D08を施す。このとき、周辺ゲート電極Gpがイオン注入マスクとなって、周辺ゲート電極Gpの側方下部にエクステンション領域exnが形成される。なお、周辺回路領域Rpのうち、n型MISトランジスタを形成する領域にはn型の不純物を注入し、p型MISトランジスタを形成する領域にはp型の不純物を注入する。
【0161】
ここで、イオン注入マスクとして機能する周辺ゲート電極Gpの側壁は、ダミー絶縁膜ID1で覆われている。従って、その膜厚分だけ、周辺ゲート電極Gpとエクステンション領域exnとの間には、平面的に見てオフセットが生じ得る。これを補うために、イオン注入D08は、シリコン基板1に対して垂直ではなく、角度をつけた斜め注入としても良い。また、後のRTAの温度と時間で拡散距離を制御し、オフセットを無くすこともできる。
【0162】
続く工程では、メモリ領域Rmおよび周辺回路領域Rpのダミー絶縁膜ID1を、例えば等方的なエッチングにより除去する。
【0163】
次に、図43に示すように、メモリ領域Rmにおいて、第1窒化シリコン膜IN1を覆うようにして、第2酸化シリコン膜IS2を形成する。これは、上記図32の第2酸化シリコン膜IS2と同様の方法で形成する。本工程により、シリコン基板1のメモリ領域Rmには、選択ゲート電極CGと主面とを覆うようにして、第1酸化シリコン膜IS1、第1窒化シリコン膜IN1、および、第2酸化シリコン膜IS2からなる電荷蓄積膜IMが形成されたことになる。
【0164】
なお、本工程では、周辺回路領域Rpには特別なフォトレジスト膜などは形成していないので、周辺回路領域Rpにおいても、周辺ゲート電極Gpと主面とを覆うようにして、第2酸化シリコン膜IS2が形成される。
【0165】
続く工程では、上記図24〜図26と同様の工程によって、メモリゲート電極MG、サイドウォールスペーサsp、金属シリサイド層scを形成する。
【0166】
以下では、本実施の形態3の半導体装置の製造方法、および、その製造方法によって形成される本実施の形態3の半導体装置が有する作用、効果に関して詳しく説明する。
【0167】
上述のように、本実施の形態3の製造方法によれば、第1酸化シリコン膜IS1に対する熱処理の後に、第1導体膜E1への逆導電型不純物のイオン注入を施す。これにより、特に高い温度での熱処理による、逆導電型不純物の相互拡散が起こり難い製法とすることができる。これは、上記実施の形態2が有する効果と同様である。
【0168】
ここで、周辺回路領域Rpにおいて、第1導体膜E1の第1部分E11および第2部分E12に、それぞれ逆導電型の不純物イオンを注入した後でなければ、第1導体膜E1を加工して周辺ゲート電極Gpを形成できない。なぜなら、第1導体膜E1を加工し、膜の状態にない周辺ゲート電極Gpに不純物イオンを注入するのは困難だからである。従って、上記実施の形態2の製造方法では、少なくとも、熱処理を要する第1酸化シリコン膜IS1を含む電荷蓄積膜IMを形成する工程の後に、周辺回路領域Rpにおける第1導体膜E1へのイオン注入、および、その後の加工工程を施していた。
【0169】
これに対し、本実施の形態3の製造方法では、熱処理を要する第1酸化シリコン膜IS1を、ダミーゲートDGを形成する工程よりも前に形成している。従って、第1酸化シリコン膜IS1への熱処理を終えた後、ダミーゲートDGを形成する工程に至るまでに、周辺回路領域Rpにおいて第1導体膜E1にイオン注入を施し、加工して、周辺ゲート電極Gpを形成することができる。そして、第1導体膜E1を加工し、既に周辺ゲート電極Gpの形状になっていれば、その後どのタイミングでも、周辺ゲート電極Gpの側方下部の拡散層(周辺ソース・ドレイン領域など)を形成できる状態となる。これにより、本実施の形態3の製造方法のように、メモリソース・ドレインSDmを形成するためのイオン注入D07によって、同時に、周辺ソース・ドレイン領域SDpを形成できる。そして、その後の、メモリ領域Rmに不揮発性メモリNVMを形成する工程と、周辺回路領域Rpに周辺回路素子(例えばMISトランジスタQ1)を形成する工程とを、共有できるようになる。
【0170】
より具体的には、上記図41を用いて説明したように、ダミーゲートDGを形成する工程、同一のイオン注入D07を施すことでメモリソース・ドレイン領域SDmと周辺ソース・ドレイン領域SDpを形成する工程、そして、ダミーゲートDGを除去する工程を、共有させることができる。このように、メモリ領域Rmに施す工程と、周辺回路領域Rpに施す工程とを共有させることは、上記実施の形態1で説明した効果と同様の効果を有する。
【0171】
このように、本実施の形態3の製造方法によれば、電荷蓄積膜IMにダメージを与え難い工程により不揮発性メモリNVMを形成する半導体装置の製造方法において、更に、周辺ゲート電極Gp中の不純物の相互拡散を起こし難い工程順で、電荷蓄積膜IMの電荷保持特性をより向上させ得る熱処理を施すことができる。その上で、メモリ領域Rmと周辺回路領域Rpとに施す工程を共有させることができ、不揮発性メモリNVMを有する半導体装置の製造工程を簡略化できる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0172】
また、本実施の形態3の製造工程では、電荷蓄積膜IMの構成要素となる第1酸化シリコン膜IS1および第1窒化シリコン膜IN1を形成した後に、メモリソース・ドレイン領域SDmを形成するためのイオン注入D07を施す。この工程では、電荷蓄積膜IMを構成する要素への、イオン注入D07によるダメージの導入が懸念される。ここで、各イオン注入によるダメージは、電荷蓄積膜IMの最上層に位置する第2酸化シリコン膜IS2に最も導入され易い。この観点から、本実施の形態3の製造方法において、上部の第2酸化シリコン膜IS2は、当該イオン注入D07を施した後に形成しているから、第2酸化シリコン膜IS2へのダメージの導入は回避できる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0173】
更に、本実施の形態3の製造方法によれば、第1酸化シリコン膜IS1、第1窒化シリコン膜IN1を覆うようにして、ダミー絶縁膜ID1を形成しているから、イオン注入D07によるダメージは、このダミー絶縁膜ID1に導入される。そして、このダミー絶縁膜ID1は後の工程で除去し、電荷蓄積膜IMの構成要素とはならない。従って、本実施の形態3の製造方法によれば、イオン注入D07による電荷蓄積膜IMへのダメージを、より低減させることができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0174】
この観点から、ダミー絶縁膜ID1の膜厚は、後に電荷蓄積膜IMの構成要素として形成する第2酸化シリコン膜IS2よりも厚く形成する方が、より好ましい。このようにすることで、ダミー絶縁膜ID1の下部の第1窒化シリコン膜IN1や第1酸化シリコン膜IS1などに導入される、イオン注入D07の影響を、更に低減させることができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0175】
また、電荷蓄積膜IMに与えられるイオン注入D07によるダメージを低減するという目的を考えれば、ダミー絶縁膜ID1の材料は、上記図40で説明した方法によって形成された酸化シリコン膜に限定されるものではない。一方、以下の理由から、本実施の形態3の製造方法では、ダミー絶縁膜ID1として、所定のエッチングに対するエッチング速度が、ダミーゲートDGとなる第1ダミー膜LD1のエッチング速度と異なるような材料を用いる方が、より好ましい。なぜなら、ダミーゲートDGは第1ダミー膜LD1をエッチバックすることで形成し、第1ダミー膜LD1の下層のダミー絶縁膜ID1は、そのエッチストップ膜となるからである。従って、当該エッチバック(異方性エッチング)に対して、ダミーゲートDGとの選択比の大きい膜をダミー絶縁膜ID1として適用することで、更に下層の第1窒化シリコン膜IN1や第1酸化シリコン膜IS1などに、オーバーエッチングなどのダメージを与えることなく、ダミーゲートDGを形成できる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0176】
更に、本実施の形態3の製造方法では、ダミー絶縁膜ID1として、オゾンおよびTEOSを原材料とした低温仕様のCVD法によって、酸化シリコンを主体とする絶縁膜を形成する方が、より好ましい。その理由は以下の通りである。
【0177】
ダミー絶縁膜ID1は電荷蓄積膜IMの構成要素ではなく、後の工程で等方性エッチングなどにより除去する必要がある。ここで、ダミー絶縁膜ID1の下地になっているのは5nm程度と比較的薄く、電荷蓄積膜IMの構成要素でもある第1窒化シリコン膜IN1である。従って、ダミー絶縁膜ID1を正常に除去するためには、等方性エッチングに対する選択比が第1窒化シリコン膜IN1よりも高い方がより好ましい。更に、薄い第1窒化シリコン膜IN1にエッチングのダメージを極力与えないために、ダミー絶縁膜ID1は、等方性エッチングによって除去されやすい膜であることが、より好ましい。本実施の形態3の製造方法では、これらの条件を満たすダミー絶縁膜ID1として、上記のような方法で形成した酸化シリコン膜を用いた工程を示した。これにより、上記のように効果的なダミー絶縁膜ID1を用いた工程において、電荷蓄積膜IMに対して与えられるダメージをより低減することができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0178】
本実施の形態3の半導体装置の製造方法、および、その製造方法によって形成される本実施の形態3の半導体装置は、上記で詳しく説明した効果以外にも、上記実施の形態1または2と同様の構成においては同様の効果を有する。
【0179】
(実施の形態4)
本実施の形態4の半導体装置の製造方法、および、その製造方法によって形成される本実施の形態4の半導体装置について、図44〜図46を用いて説明する。図44以降で示される本実施の形態4の製造方法は、上記実施の形態1の図23に続く工程である。即ち、本実施の形態4で説明するのは、選択ゲート絶縁膜IC、選択ゲート電極CG、メモリソース・ドレイン領域SDm、および、電化蓄積膜IMを形成した後に続く工程であり、メモリゲート電極MG(例えば上記図25に記載)を形成する工程およびそれによって形成される構造である。図中では、シリコン基板1のメモリ領域Rmの断面図のみを示している。
【0180】
図44に示すように、電荷蓄積膜IMを覆うようにして、第2導体膜E2を形成する。第2導体膜E2としては、例えば、CVD法などによって、100nm程度の多結晶シリコン膜を堆積する。ここで、本実施の形態4の製造方法では、有意な不純物イオンを含ませていない(ノンドープ)多結晶シリコン膜を、第2導体膜E2として形成する。この点で、上記実施の形態1〜3の製造方法と異なる(例えば、図24を用いた説明を参照)。その効果は後に詳しく説明する。
【0181】
次に、図45に示すように、第2導体膜E2に対して、不純物イオンを注入するためのイオン注入D09を施す。より具体的には、第2導体膜E2をn型(第1導電型)化したい場合はリンイオンを、p型(第2導電型)化したい場合はホウ素イオンを注入する。ここでは、第2導体膜E2の下に既に形成している電荷蓄積膜に達しないような加速エネルギーで、イオン注入D09を施す。より具体的には、例えば、第2導体膜E2が100nm程度の多結晶シリコン膜であれば、3keV〜10keV程度の加速エネルギーでイオン注入D09を施す。また、ドーズ量は3×1015cm−2程度でイオン注入D09を施す。
【0182】
第2導体膜E2を導電化するためには、上記のイオン注入D09によって、n型およびp型のどちらの導電型になる不純物イオンを注入しても良い。
【0183】
その後、熱処理を施すことで、第2導体膜E2に注入した不純物を活性化、および、拡散させる。この熱処理によって、イオン注入D09によって注入された不純物が活性化するとともに第2導体膜E2全体に拡散し、第2導体膜E2が導電化される。より具体的には、例えば、950℃で120秒程度の熱処理を施す。本実施の形態1において、以上のようにして第2導体膜E2を導電化することの効果は、後に詳しく説明する。
【0184】
次に、図46に示すように、第2導体膜E2に対しエッチバックによる加工を施すことで、上記図24と同様の形状のメモリゲート電極MGを形成する。続く工程では、上記実施の形態1の図25以降と同様の工程を施すことで、不揮発性メモリNVMを形成する。
【0185】
以下では、本実施の形態4の半導体装置の製造方法、および、その製造方法によって形成される本実施の形態4の半導体装置が有する作用、効果に関して詳しく説明する。
【0186】
上述のように、本実施の形態4では、導電性のメモリゲート電極MGを形成する方法として、予めドーピングされた多結晶シリコン膜などを形成するのではなく、ノンドープの第2導体膜E2を形成した後にイオン注入D09を施すことで、第2導体膜E2を導電化する。例えば、予めドーピングされた多結晶シリコン膜などをCVD法などで形成する際には、含ませる不純物イオン種(ドーパント)が限られる場合がある。これに対し、イオン注入D09などによって多結晶シリコン膜に不純物を注入する場合、通常用いられるドーパントのほぼ全てを導入させることができる。即ち、本実施の形態4の製造方法によれば、後にメモリゲート電極MGとなる第2導体膜E2に対して、多種の不純物を含ませることが可能となる。これは、メモリゲート電極MGに望まれる特性を、より実現し易い製造方法であることを意味する。
【0187】
更に、当該イオン注入D09は、シリコン基板1へのイオン注入ではなく、電荷蓄積膜IMよりも上層の第2導体膜E2へのイオン注入である。従って、上述のように、電荷蓄積膜IMに達しないような加速エネルギーに調整してイオン注入D09を施し、後の熱処理によって拡散させることで、第2導体膜E2の全体を導電化させれば、イオン注入D09による電荷蓄積膜IMへのダメージを回避し得る。
【0188】
また、実際の仕上がり形状において、電荷の蓄積を担うのはメモリゲート電極MG(第2導体膜E2)下の電荷蓄積膜IMであり、上記図45の工程において第2導体膜E2を堆積したときの、後にサイドウォール状のメモリゲート電極MGが形成される部分の第2導体膜E2は、その高さが、選択ゲート電極CGの分だけ高くなっている。そのため、電荷の蓄積を主に担うメモリゲート電極MG下の電荷蓄積膜IMには、よりダメージが入り難い。
【0189】
このように、本実施の形態4の製造方法によれば、電荷蓄積膜IMに与えられるダメージをより低減させ得る方法で、メモリゲート電極MGにより多くの種類の不純物を導入できる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0190】
また、特に、第2導体膜E2に対してp型となる不純物を注入することで、p型のメモリゲート電極MGを形成することができる。そして、本実施の形態4の製造方法でも、上記実施の形態1〜3の製造方法と同様、メモリゲート電極MGをイオン注入マスクとした、n型となる不純物のイオン注入は施さない。これは、本実施の形態4および上記実施の形態1〜3において、n型メモリソース・ドレイン領域SDmを形成するためのイオン注入(例えば、上記図21のイオン注入D01)は、ダミーゲートDGをイオン注入マスクとして行い、かつ、メモリゲート電極MGを形成する前に施す方法とした効果である。従って、本実施の形態4の製造方法においても、p型の不純物を含むメモリゲート電極MGにn型の不純物が導入されることは無く、メモリゲート電極MGのp型導電型が相殺されることも無い。
【0191】
以上のように、本実施の形態4の製造方法によれば、メモリソース・ドレイン領域SDmの導電型と逆導電型の、メモリゲート電極MGを形成することができる。不揮発性メモリNVMを有する半導体装置において、このような構造のメモリゲート電極MGを備えた構造とする効果については、上記実施の形態1で説明した効果と同様である。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0192】
また、以上で説明した効果を有する本実施の形態4の製造方法は、上記実施の形態1の製造方法において、メモリゲート電極MGを形成する工程を置き換えたものとして説明した。同様に、本実施の形態4の製造方法は、上記実施の形態2または3の製造方法において、メモリゲート電極MGを形成する工程を置き換えたものとして適用しても、同様の効果を有する。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の特性をより向上させることができる。
【0193】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0194】
例えば、上記実施の形態1〜4で説明した半導体領域や導体膜のn型、p型の極性は、それぞれ逆であっても良い。
【0195】
また、例えば、上記実施の形態1〜4で示した半導体装置では、同一基板上に形成される複数の素子を形成する領域を規定する分離部2として、STI構造のものを示した。分離部2としては、所謂LOCOS(Local Oxidation of Silicon)構造であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、例えば、パーソナルコンピュータやモバイル機器等において、情報処理を行なうために必要な半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】本発明者らが検討した不揮発性メモリの等価回路図である。
【図2】図1に示す回路に対応する不揮発性メモリの平面図である。
【図3】図1に示す回路に対応する不揮発性メモリの断面図であり、図2のXa−Xa線に沿った要部断面図である。
【図4】図1〜図3の不揮発性メモリを用いてメモリセルアレイを構成した場合の一例の回路図である。
【図5】図1〜図3の不揮発性メモリの代表的な書き込み動作を示す説明図である。
【図6】図1〜図3の不揮発性メモリの代表的な消去動作を示す説明図である。
【図7】本発明者らが検討した半導体装置の製造工程中における要部断面図であり、左は図2のXa−Xa線に沿った断面図、右は図2のYa−Ya線に沿った断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造工程中における要部断面図であり、左は不揮発性メモリの製造工程中、右は周辺回路素子の製造工程中を示す要部断面図である。
【図13】本実施の形態1である半導体装置の他の製造工程中における要部断面図であり、左は不揮発性メモリの製造工程中、右は周辺回路素子の製造工程中を示す要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図17】図12または図16に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図27】本発明の実施の形態2である半導体装置の周辺回路領域に形成されたSRAM回路の平面図である。
【図28】本発明の実施の形態2である半導体装置の製造工程中における要部断面図であり、左は不揮発性メモリの製造工程中、中央および右は周辺回路素子において、それぞれ、図27のP1−P1線およびP2−P2線に沿った箇所の製造工程中を示す要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図33】図32に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図34】図33に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図35】図34に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図37】本発明の実施の形態3である半導体装置の製造工程中における要部断面図であり、左は不揮発性メモリの製造工程中、中央および右は周辺回路素子において、それぞれ、図27のP1−P1線およびP2−P2線に沿った箇所の製造工程中を示す要部断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図39】図38に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図40】図39に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図41】図40に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図42】図41に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図43】図42に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図44】本発明の実施の形態4である半導体装置の製造工程中であり、図23に続く工程を示す要部断面図である。
【図45】図44に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図46】図45に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【符号の説明】
【0198】
1 シリコン基板(半導体基板)
2 分離部
3〜11 フォトレジスト膜
BL ビット線
CG 選択ゲート電極(第1ゲート電極)
D01〜D09 イオン注入
DG ダミーゲート
e 電子
E1 第1導体膜
E11 第1部分
E12 第2部分
E1m メモリ用第1導体膜(第1導体膜)
E1p 周辺用第1導体膜(第1導体膜)
E2 第2導体膜
exn エクステンション領域(第3半導体領域)
GE ゲート電極
Gp 周辺ゲート電極
h 正孔(ホール)
I1 第1絶縁膜
I1m メモリ用第1絶縁膜(第1絶縁膜)
I1p 周辺用第1絶縁膜(第1絶縁膜)
IC 選択ゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)
ID1 ダミー絶縁膜
IL 層間絶縁膜
IM 電荷蓄積膜
IN1 第1窒化シリコン膜
Ip 周辺ゲート絶縁膜
IS1 第1酸化シリコン膜
IS2 第2酸化シリコン膜
LD1 第1ダミー膜
LP1 保護膜
MG メモリゲート電極(第2ゲート電極)
MGL ワードライン
ML 金属配線
NVM 不揮発性メモリ
Q1 MISトランジスタ(周辺回路素子)
Qm メモリトランジスタ
Qn n型MISトランジスタ
Qp p型MISトランジスタ
Qs 選択トランジスタ
Rm メモリ領域(第1領域)
Rp 周辺回路領域(第2領域)
sc 金属シリサイド層
SDm メモリソース・ドレイン領域(第1半導体領域)
SDp 周辺ソース・ドレイン領域(第2半導体領域)
SGL ワードライン
SL ソース線
sp サイドウォールスペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上の第1領域に不揮発性メモリを形成する工程を有し、
前記不揮発性メモリを形成する工程は、
(a)前記半導体基板の第1領域の主面上に、第1絶縁膜を隔てて第1導体膜を形成する工程と、
(b)前記第1絶縁膜および前記第1導体膜を加工して、前記半導体基板の第1領域の主面上に、第1ゲート絶縁膜を隔てて第1ゲート電極を形成する工程と、
(c)前記第1ゲート電極の一対の側壁面のうちいずれか一方に隣り合って配置するようにして、ダミーゲートを形成する工程と、
(d)前記半導体基板の第1領域の主面のうち、前記第1ゲート電極および前記ダミーゲートの側方下部に、第1半導体領域を形成する工程と、
(e)前記半導体基板の第1領域の前記ダミーゲートを、エッチングにより除去する工程と、
(f)前記半導体基板の第1領域の主面と前記第1ゲート電極とを一体的に覆うようにして、順に、第1酸化シリコン膜、第1窒化シリコン膜、および、第2酸化シリコン膜からなる電荷蓄積膜を形成する工程と、
(g)前記第1ゲート電極の一対の側壁面のうち、前記(c)工程において前記ダミーゲートを形成した側壁面と同じ側壁面に隣り合って配置するように、かつ、前記半導体基板の主面のうち、前記第1半導体領域の側方上部に配置するようにして、前記電荷蓄積膜を隔てて第2ゲート電極を形成する工程とを有し、
前記(d)工程では、前記第1ゲート電極および前記ダミーゲートをイオン注入マスクとして、前記半導体基板の第1領域の主面にイオン注入を施すことで、前記第1半導体領域を形成し、
前記(f)工程は、少なくとも前記(d)工程の後に施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記(g)工程で形成する前記第2ゲート電極と同じ材料によって、前記ダミーゲートを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記不揮発性メモリを形成する工程は、前記(b)工程後、前記(c)工程に至る前に、更に、
(h)前記半導体基板の第1領域の主面と前記第1ゲート電極とを一体的に覆うようにして、保護膜を形成する工程を有し、
前記(c)工程では、前記保護膜を隔てて、前記第1ゲート電極の側壁面に隣り合うようにして前記ダミーゲートを形成し、
前記(h)工程では、所定のエッチングに対するエッチング速度が、前記ダミーゲートのエッチング速度と異なるような前記保護膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、第1導電型となる不純物イオンのイオン注入を施すことで、第1導電型の前記第1半導体領域を形成し、
前記(g)工程では、第1導電型とは逆導電型である第2導電型の前記第2ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程の前記第2ゲート電極を形成する工程は、
(g1)前記(f)工程で形成した前記電荷蓄積膜を覆うようにして、第2導体膜を形成する工程と、
(g2)前記第2導体膜に対して、不純物イオンのイオン注入を施し、熱処理を施すことで、前記第2導体膜を導電化する工程と、
(g3)前記第2導体膜を加工して、前記第2ゲート電極を形成する工程とを有し、
前記(g2)工程では、前記第2導体膜の下層の前記電荷蓄積膜に達しないような加速エネルギーで、イオン注入を施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g2)工程では、第2導電型となる不純物イオンのイオン注入を施し、熱処理を施すことで、前記第2導体膜を第2導電型化することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、更に、前記半導体基板上の第2領域に周辺回路素子を形成する工程を有し、
前記周辺回路素子を形成する工程は、
(i)前記半導体基板の第2領域の主面上に、前記第1絶縁膜を隔てて、前記第1導体膜を形成する工程と、
(j)前記第1絶縁膜および前記第2導体膜を加工して、前記半導体基板の第2領域の主面上に、周辺ゲート絶縁膜を隔てて周辺ゲート電極を形成する工程と、
(k)前記周辺ゲート電極の側壁面に隣り合って配置するようにして、前記ダミーゲートを形成する工程と、
(l)前記半導体基板の第2領域の主面のうち、前記ダミーゲートの側方下部に、第2半導体領域を形成する工程と、
(m)前記半導体基板の第2領域の前記ダミーゲートを、エッチングにより除去する工程とを有し、
前記(j)工程では、前記(b)工程と同一の工程によって、前記第1絶縁膜および前記第1導体膜を加工し、
前記(k)工程では、前記(c)工程と同一の工程によって、前記ダミーゲートを形成し、
前記(l)工程では、前記周辺ゲート電極および前記ダミーゲートをイオン注入マスクとして、前記半導体基板の第2領域の主面にイオン注入を施すことで、前記第2半導体領域を形成し、
前記(m)工程では、前記(e)工程と同一の工程によって、前記ダミーゲートを除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記周辺回路素子を形成する工程は、更に、
(n)前記半導体基板の第2領域の主面のうち、前記周辺ゲート電極の側方下部に、第3半導体領域を形成する工程を有し、
前記(n)工程では、前記周辺ゲート電極をイオン注入マスクとして、前記半導体基板の第2領域の主面にイオン注入を施すことで、前記第3半導体領域を形成し、
前記(n)工程では、前記(l)工程で形成した前記第2半導体領域と同じ導電型であって、前記第2半導体領域の不純物濃度よりも低く、かつ、前記第2半導体領域よりも浅くなるようにして、前記第3半導体領域を形成し、
前記(n)工程は、前記(e)および(m)工程後、前記(f)工程に至る前に施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では、前記第1酸化シリコン膜を形成した後、酸素と窒素とを含むガス雰囲気中で熱処理を施した後、順に、前記第1窒化シリコン膜および前記第2酸化シリコン膜とを形成することで、前記電荷蓄積膜を形成し、
更に、前記半導体基板上の第2領域に周辺回路素子を形成する工程を有し、
前記周辺回路素子を形成する工程は、
(i)前記半導体基板の第2領域の主面上に、前記第1絶縁膜を隔てて、前記第1導体膜を形成する工程と、
(j)前記第2領域の前記第1導体膜のうち、第1部分に対して、第1導電型となる不純物イオンを注入する工程と、
(k)前記第2領域の前記第1導体膜のうち、前記第1部分と隣接する第2部分に対して、第2導電型となる不純物イオンを注入する工程と、
(l)前記第2領域の前記第1導体膜を加工して、互いに隣接する前記第1部分と前記第2部分とを有する周辺ゲート電極を形成する工程と、
(m)前記第2領域の前記第1絶縁膜を加工して、前記半導体基板と前記周辺ゲート電極との間に配置する周辺ゲート絶縁膜を形成する工程とを有し、
前記(i)工程では、前記(a)工程と同一の工程によって、前記第1絶縁膜を形成し、
前記(j)工程およびそれに続く前記(k)〜(m)工程は、少なくとも前記(f)工程の後に施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体基板上の第1領域に不揮発性メモリを形成する工程と、第2領域に周辺回路素子を形成する工程とを有し、
前記不揮発性メモリを形成する工程は、
(a)前記半導体基板の第1領域の主面上に、第1絶縁膜を隔てて第1導体膜を形成する工程と、
(b)前記第1絶縁膜および前記第1導体膜を加工して、前記半導体基板の第1領域の主面上に、第1ゲート絶縁膜を隔てて第1ゲート電極を形成する工程と、
(c)前記半導体基板の第1領域の主面と前記第1ゲート電極とを一体的に覆うようにして、順に、第1酸化シリコン膜および第1窒化シリコン膜を形成する工程と、
(d)前記第1ゲート電極の一対の側壁面のうちいずれか一方に隣り合って配置するようにして、前記第1酸化シリコン膜および前記第1窒化シリコン膜を隔てて、ダミーゲートを形成する工程と、
(e)前記半導体基板の第1領域の主面のうち、前記第1ゲート電極および前記ダミーゲートの側方下部に、第1半導体領域を形成する工程と、
(f)前記半導体基板の第1領域の前記ダミーゲートを、エッチングにより除去する工程と、
(g)前記第1窒化シリコン膜を覆うようにして、第2酸化シリコン膜を形成することで、前記第1酸化シリコン膜、前記第1窒化シリコン膜、および、前記第2酸化シリコン膜からなる電荷蓄積膜を形成する工程と、
(h)前記第1ゲート電極の一対の側壁面のうち、前記(c)工程において前記ダミーゲートを形成した側壁面と同じ側壁面に隣り合って配置するように、かつ、前記半導体基板の主面のうち、前記第1半導体領域の側方上部に配置するようにして、前記電荷蓄積膜を隔てて第2ゲート電極を形成する工程とを有し、
前記(c)工程では、前記第1酸化シリコン膜を形成した後、酸素と窒素とを含むガス雰囲気中で熱処理を施した後、前記第1窒化シリコン膜を形成し、
前記(e)工程では、前記第1ゲート電極および前記ダミーゲートをイオン注入マスクとして、前記半導体基板の第1領域の主面にイオン注入を施すことで、前記第1半導体領域を形成し、
前記周辺回路素子を形成する工程は、
(i)前記半導体基板の第2領域の主面上に、前記第1絶縁膜を隔てて、前記第1導体膜を形成する工程と、
(j)前記第2領域の前記第1導体膜のうち、第1部分に対して、第1導電型となる不純物イオンを注入する工程と、
(k)前記第2領域の前記第1導体膜のうち、前記第1部分と隣接する第2部分に対して、第2導電型となる不純物イオンを注入する工程と、
(l)前記第2領域の前記第1導体膜を加工して、互いに隣接する前記第1部分と前記第2部分とを有する周辺ゲート電極を形成する工程と、
(m)前記第2領域の前記第1絶縁膜を加工して、前記半導体基板と前記周辺ゲート電極との間に配置する周辺ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(n)前記周辺ゲート電極の側壁面に隣り合って配置するようにして、前記ダミーゲートを形成する工程と、
(o)前記半導体基板の第2領域の主面のうち、前記ダミーゲートの側方下部に、第2半導体領域を形成する工程と、
(p)前記半導体基板の第2領域の前記ダミーゲートを、エッチングにより除去する工程とを有し、
前記(j)工程およびそれに続く前記(k)〜(p)工程は、少なくとも前記(c)工程の後に施し、
前記(n)工程では、前記(d)工程と同一の工程によって、前記ダミーゲートを形成し、
前記(o)工程では、前記周辺ゲート電極および前記ダミーゲートをイオン注入マスクとして、前記半導体基板の第2領域の主面にイオン注入を施すことで、前記第2半導体領域を形成し、
前記(p)工程では、前記(f)工程と同一の工程によって、前記ダミーゲートを除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記(h)工程で形成する前記第2ゲート電極と同じ材料によって、前記ダミーゲートを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、
前記不揮発性メモリを形成する工程は、前記(c)工程後、前記(d)工程に至る前に、更に、
(q)前記第1領域の前記第1窒化シリコン膜を覆うようにして、ダミー絶縁膜を形成する工程を有し、
前記(f)工程後、前記(g)工程に至る前に、更に、
(r)前記ダミー絶縁膜を除去する工程を有し
前記(d)工程では、前記第1酸化シリコン膜、前記第1窒化シリコン膜、および、前記ダミー絶縁膜を隔てて、前記第1ゲート電極の側壁面に隣り合うようにして前記ダミーゲートを形成し、
前記(q)工程では、所定のエッチングに対するエッチング速度が、前記ダミーゲートのエッチング速度と異なるような前記ダミー絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(q)工程では、後の前記(g)工程で形成する前記第2酸化シリコン膜よりも厚い膜厚となるようにして、前記ダミー絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置の製造方法において、
前記(q)工程では、オゾンおよびTEOSを原材料とした化学気相成長法によって、酸化シリコンを主体とする絶縁膜からなる前記ダミー絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程では、第1導電型となる不純物イオンのイオン注入を施すことで、第1導電型の前記第1半導体領域を形成し、
前記(h)工程では、第1導電型とは逆導電型である第2導電型の前記第2ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程の前記第2ゲート電極を形成する工程は、
(h1)前記(g)工程で形成した前記電荷蓄積膜を覆うようにして、第2導体膜を形成する工程と、
(h2)前記第2導体膜に対して、不純物イオンのイオン注入を施し、熱処理を施すことで、前記第2導体膜を導電化する工程と、
(h3)前記第2導体膜を加工して、前記第2ゲート電極を形成する工程とを有し、
前記(h2)工程では、前記第2導体膜の下層の前記電荷蓄積膜に達しないような加速エネルギーで、イオン注入を施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h2)工程では、第2導電型となる不純物イオンのイオン注入を施し、熱処理を施すことで、前記第2導体膜を第2導電型化することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、
前記周辺回路素子を形成する工程は、更に、
(s)前記半導体基板の第2領域の主面のうち、前記周辺ゲート電極の側方下部に、第3半導体領域を形成する工程を有し、
前記(s)工程では、前記周辺ゲート電極をイオン注入マスクとして、前記半導体基板の第2領域の主面にイオン注入を施すことで、前記第3半導体領域を形成し、
前記(s)工程では、前記(o)工程で形成した前記第2半導体領域と同じ導電型であって、前記第2半導体領域の不純物濃度よりも低く、かつ、前記第2半導体領域よりも浅くなるようにして、前記第3半導体領域を形成し、
前記(s)工程は、前記(f)および(q)工程後、前記(g)工程に至る前に施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
半導体基板の主面に不揮発性メモリを有する半導体装置であって、
前記不揮発性メモリは、
(a)前記半導体基板の主面上に、第1ゲート絶縁膜を隔てて形成された第1ゲート電極と、
(b)前記第1ゲート電極の一対の側壁面のうちいずれか一方に隣り合って配置された第2ゲート電極と、
(c)前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間、および、前記半導体基板と前記第2ゲート電極との間に一体的に配置された電荷蓄積膜と、
(d)前記半導体基板の主面のうち、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極の側方下部に形成された第1半導体領域とを有し、
前記第1半導体領域は第1導電型となる第1不純物を含み、前記第2ゲート電極は第1導電型とは逆導電型である第2導電型となる第2不純物を含み、
前記第2ゲート電極中における前記第1不純物の濃度は、前記第1半導体領域中における前記第1不純物の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2009−302269(P2009−302269A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154821(P2008−154821)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】