説明

半導体装置の製造方法

【課題】ルテニウム含有膜と銅含有膜とを含む銅配線の低抵抗化を図り、その信頼性を向上させた半導体装置の製造方法、及び半導体装置の製造装置を提供する。
【解決手段】一般式(1)で示される有機ルテニウム錯体を含む原料と、還元性ガスとを用いるCVD法によって、凹部が形成された基板の上にRu膜を形成する(ステップS12)。そして、一般式(2)で示される有機銅錯体を含む原料と、還元性ガスとを用いるCVD法によって、Ru膜の上にCu膜を形成し、凹部に銅配線を形成する(ステップS14)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置においては、微細化や多層化の進展に伴い、電流密度の増加によるエレクトロマイクレーション(EM:Electro migration )が深刻化する。高いEM耐性を有する銅配線の多層配線技術は、半導体装置を高集積化させる上で不可欠である。
【0003】
半導体装置の多層配線技術では、金属配線の生産性や信頼性を向上させるため、一般的に、絶縁層と金属配線との間に各種の機能を有する下地層を挟入させる。この下地層としては、例えば、金属原子の拡散を防止させるバリア層、金属配線と絶縁層との間に密着性を与える密着層、配線材料の膜成長を促進させるシード層が知られている。
【0004】
配線材料にアルミニウムやタングステンを利用する場合には、上記下地層の材料として、タンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタンなどが用いられる。一方、銅配線の多層配線技術においては、絶縁層として低誘電率膜を用いるために、これらの金属材料を下地層に適用すると、絶縁層に含まれる水分や酸素が下地層に拡散して下地層を容易に酸化させてしまう。この結果、抵抗値の増加と密着性の低下を招き、半導体装置の信頼性を大きく損なってしまう。
【0005】
そこで、銅配線の多層配線技術においては、上記問題を解決させるために、従来から、下地層の材料に関わる各種提案がなされている。特許文献1及び特許文献2は、銅配線の下地層としてルテニウム(Ru)膜あるいはRu膜を含む多層膜を用いる。Ru膜は、その酸化物が導電性を有するため、下地層の高抵抗化を抑えることができ、かつ、銅配線の酸化を抑制させることができる。また、このRu膜に密着層を積層することによって、Ru膜と銅配線との間の密着性を、さらに向上させることができる。
【特許文献1】特開2005−129745号公報
【特許文献2】特開2006−328526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
銅配線の製造方法としては、いわゆるダマシン(Damascene )法やデュアルダマシン(Dual-Damascene )法が利用される。すなわち、配線形状に応じたトレンチを予め絶縁層
に形成して、トレンチの内表面に下地層を積層し、その後に、トレンチの内部に銅材料を埋め込んで銅配線を形成する。あるいは、トレンチとビアホール(Via-Hole )の双方を
予め絶縁層に形成して、トレンチとビアホールの内表面に下地層を積層し、その後に、トレンチとビアホールの内部に銅材料を埋め込んで銅配線とビアプラグを同時に形成する。
【0007】
しかし、上記下地層(ルテニウム膜)を成膜するとき、ルテニウム原料錯体を分解させるために酸素を導入しており、銅配線に対する下層の配線は、ルテニウム膜の成膜空間に露出し、その酸化状態を進行させてしまう。この結果、上記銅配線の製造方法においては、銅配線を含む配線構造の抵抗値を大幅に増大させてしまうので、ルテニウム膜成膜後に還元ガス雰囲気に晒し、銅配線の低抵抗化を図る必要がある。
【0008】
本願発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、ルテニウム含有膜を酸素を用いずに成膜することにより、ルテニウム含有膜成膜後の還元工程を行わずにルテニウム含有膜と銅含有膜とを含む銅配線の低抵抗化を図り、その信頼性を向上させた半導体
装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、銅配線を有する半導体装置の製造方法であって、凹部が形成された対象物の上に、有機ルテニウム錯体と第一還元性ガスとを用いるCVD法によってルテニウム含有膜を形成する工程と、前記ルテニウム含有膜の上に、有機銅錯体と第二還元性ガスとを用いるCVD法によって銅含有膜を形成して前記凹部に前記銅含有膜を埋め込む工程と、を備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法によれば、酸素を必要とせず、還元性ガスで分解できるので、ルテニウム含有膜を酸化させることなく形成することができる。結果、銅配線の低抵抗化を図ることができる。また、ルテニウム含有膜成膜後の還元工程が不要となるので、工程時間を短縮することができる。
【0011】
請求項2の発明においては、請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、前記第一還元性ガスが、乖離して水素ラジカルや水素イオンを放出することを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、酸素を必要とせず、還元性ガスで分解できるので、ルテニウム含有膜を酸化させることなく形成することができる。結果、銅配線の低抵抗化を図ることができる。また、ルテニウム含有膜成膜後の還元工程が不要となるので、工程時間を短縮することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法であって、前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、前記第一還元性ガスが、水素(H)、アンモニア(NH)、ヒドラジン誘導体、シラン(SiH)、ジシラン(Si)からなる群から選択される少なくともいずれか一つであることを要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、水素、アンモニア、ヒドラジン誘導体、シラン、ジシランからなる群から選択される少なくともいずれか一つの還元作用によって、前記有機ルテニウム錯体を分解するので、酸化させることなくルテニウム含有膜を形成でき、銅配線の低抵抗化を図ることができる。また、ルテニウム含有膜成膜後の還元工程が不要となるので、工程時間を短縮することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明においては、請求項3に記載の半導体装置の製造方法であって、前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、前記ヒドラジン誘導体が、ヒドラジンの水素原子の1つもしくは2つを、メチル基と、エチル基と、直鎖又は分岐のブチル基とからなる群から選択される基で置換したものであることを要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、ヒドラジン誘導体として、より簡便な構成を用いることができ、本発明の汎用性を向上させることができる。
請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、前記第一還元性ガスの雰囲気を10Pa〜10Paにすることを要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、第一還元性ガスの圧力を規定することによって、還元性ガスの還元作用に、より高い再現性を与えることができ、銅配線の低抵抗化を図ることができるとともに、銅含有膜に高い埋め込み特性を与えることができ、対象物の凹部への成膜をより確実に行うことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明においては、請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、前記対象物の温度を250℃〜400℃にすることを要旨とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、対象物の温度の規定によって、ルテニウム錯体の分解をより確実に行うことができ、銅配線の低抵抗化を図るとともに、銅含有膜に高い埋め込み特性を与えることができる。
【0020】
請求項7の発明においては、請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法あって、前記有機ルテニウム錯体が、ビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)−1,5ヘキサジエンルテニウム錯体であることを要旨とする。
【0021】
請求項7の発明によれば、銅配線の低抵抗化を図るとともに、銅含有膜に高い埋め込み特性を与えることができる。
請求項8に記載の発明においては、請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、前記有機ルテニウム錯体の供給量が2×10−8〜1×10−5mol/min・cm2 であることを要旨とする。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、より確実にルテニウム含有膜を対象物の凹部にカバレージ良く均一に成膜することができる。また、銅配線の低抵抗化を図るとともに、銅含有膜に高い埋め込み特性を与えることができる。
【0023】
請求項9に記載の発明においては、請求項1〜8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、前記有機銅錯体が、ビス(2,6−ジメチル−2−(トリメチルシリルオキシ)−3,5−ヘプタンジオナト)銅錯体であることを要旨とする。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば銅配線の低抵抗化を図ることができ、また銅含有膜に高い埋め込み特性を与えることができる。
請求項10に記載の発明においては、請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、前記銅含有膜を埋め込む工程は、前記対象物の表面の単位面積あたりの前記銅錯体の供給量が、1×10−7〜5×10−5mol/min・cm2 であることを要
旨とする。
【0025】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法によれば、前記有機銅錯体を、1×10−7mol/min・cm2 以上の供給量で供給することにより、銅含有膜を確実に堆積させることが
できる。また、前記有機銅錯体を、5×10−5mol/min・cm2 以下の供給量で供給する
ことにより、銅含有膜に高い埋め込み特性を与えることができる。
【0026】
請求項11に記載の発明においては、請求項1〜10のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、前記銅含有膜を埋め込む工程は、前記対象物の温度を150℃〜350℃にすることを要旨とする。
【0027】
請求項11に記載の発明によれば、対象物の温度の規定によって、第二還元性ガスの還元作用に、より高い再現性を与えることができ、銅配線の低抵抗化を図るとともに、銅含有膜に高い埋め込み特性を与えることができる。また、対象物の温度を150℃以上にすることによって、銅含有膜の成長反応を促進させることができる。また、対象物の温度を350℃以下にすることによって、有機成分の過剰な分解反応や下地材料の熱的損傷を回避させることができる。
【0028】
請求項12に記載の発明においては、請求項1〜11のいずれか1つに記載の半導体装
置の製造方法であって、前記銅含有膜を埋め込む工程は、前記第二還元性ガスが、水素原子を含有するガスであることを要旨とする。
【0029】
請求項12に記載の発明によれば、銅配線の低抵抗化を図るとともに、銅含有膜に高い埋め込み特性を与えることができる。
請求項13に記載の発明においては、請求項1〜12のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、前記銅含有膜を埋め込む工程は、前記第二還元性ガスが、水素(H)であることを要旨とする。
【0030】
請求項13に記載の発明によれば、銅配線の低抵抗化を図るとともに、銅含有膜に高い埋め込み特性を与えることができる。
請求項14に記載の発明においては、請求項1〜13のいずれか1つに記載の半導体装
置の製造方法であって、前記ルテニウム含有膜が微粒子膜であることを要旨とする。
【0031】
銅材料の埋め込み技術としては、一般に電気化学的反応を利用するめっき法と、銅錯体の熱分解反応を利用するCVD法とが知られている。これらのうちでCVD法はめっき法に比べて高い埋め込み特性を有することから、デザインルールの縮小化に対応すべく、銅材料の埋め込み技術として期待されている。こうしたCVD法を利用する場合にあっては銅材料からなる初期膜の成長が下地の表面状態に大きく影響されるがために、銅含有膜の成長速度が安定するまでの潜伏時間、いわゆるインキュベーションタイムが非常に長くなってしまう。請求項9の発明によればルテニウム含有膜が表面積の大きい微粒子膜で構成されることから、ルテニウム含有膜と銅含有膜とを含む銅配線の低抵抗化を図りつつ、こうしたインキュベーションタイムの短縮化を図ることもできる。
【0032】
請求項15に記載の発明においては、前記ルテニウム含有膜の成膜空間におけるリーク量を10−2(Pa・m/秒)以下にすることにより前記微粒子膜を成膜することを要旨とする。
【0033】
請求項15に記載の発明によれば、ルテニウム含有膜の成膜空間におけるリーク量を設定するだけの簡単な方法によりルテニウム含有膜を微粒子膜にすることができる。
【発明の効果】
【0034】
上記したように、本発明によれば、ルテニウム含有膜と銅含有膜とを含む銅配線の低抵抗化を図るとともに、銅含有膜に高い埋め込み特性を与え、その信頼性を向上させた半導体装置の製造方法を提供することができる。また、ルテニウム含有膜成膜後の還元工程が不要となるので、工程時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。まず、本発明に利用する半導体装置の製造装置について説明する。
図1は、半導体装置の製造装置10を模式的に示す平面図である。図1において、製造装置10は、ロードロックチャンバFL(以下単に、LLチャンバFLという。)と、LLチャンバFLに連結される搬送チャンバFTと、搬送チャンバFTに連結されるRuチャンバF1、前処理チャンバF2、及びCuチャンバF3を有する。
【0036】
LLチャンバFLは、減圧可能な内部空間(以下単に、収容室FLaという。)を有し、複数の基板Sを搬入及び搬出する。LLチャンバFLは、基板Sの成膜処理を開始するとき、収容室FLaを減圧して基板Sを搬送チャンバFTに搬入し、また、基板Sの成膜処理を終了するとき、収容室FLaを大気開放して基板Sを製造装置10の外部へ搬出する。基板Sとしては、例えば、シリコン基板やガラス基板などを用いることができる。
【0037】
搬送チャンバFTは、減圧可能な内部空間(以下単に、搬送室FTaという。)を有し、LLチャンバFL、RuチャンバF1、前処理チャンバF2、CuチャンバF3と解除可能に連通して共通する真空系を形成可能にする。搬送室FTaは、基板Sを搬送するための搬送ロボットRBを搭載し、基板Sの成膜処理を開始するとき、LLチャンバFLの基板Sを搬送チャンバFTに搬入する。搬送ロボットRBは、搬送経路に関するデータに基づいて、基板SをRuチャンバF1に搬送し、続いて、前処理チャンバF2、その後に、CuチャンバF3に搬送してLLチャンバFLに搬出する。あるいは、搬送ロボットRBは、搬送経路に関するデータに基づいて、基板SをRuチャンバF1に搬送し、その後に、前処理チャンバF2に搬送してLLチャンバFLに搬出する。
【0038】
次に、RuチャンバF1、前処理チャンバF2、及びCuチャンバF3について以下に説明する。図2は、RuチャンバF1の構成を模式的に示す側断面図である。なお、前処理チャンバF2及びCuチャンバF3は、RuチャンバF1が有する原料供給ユニットSUを変更したものであるため、前処理チャンバF2及びCuチャンバF3については、その変更点についてのみ説明する。
【0039】
RuチャンバF1は、ルテニウムを含有するルテニウム含有膜(以下単に、Ru膜という。)を、CVD法を用いて形成するための成膜空間を有したチャンバである。CuチャンバF3は、銅を含有する銅含有膜(以下単に、Cu膜という。)を、CVD法を用いて形成するためのチャンバである。前処理チャンバF2は、Ru膜の上にCu膜を積層する前に、Ru膜に対して所定の前処理を施し、Ru膜の抵抗値を低下させる、又は、Ru膜とCu膜の密着性を向上させるためのチャンバである。
【0040】
図2において、RuチャンバF1は、搬送チャンバFTに連結されて上部を開口する有底筒状のチャンバ本体21と、チャンバ本体21の上部に配設されてチャンバ本体21の上部開口を開閉可能にするチャンバリッド22を有する。チャンバ本体21は、その開口がチャンバリッド22に閉ざされることによって、チャンバ本体21とチャンバリッド22とに囲まれる空間(以下単に、成膜空間である処理空間Faという。)を形成する。
【0041】
処理空間Faは、基板Sを載置するステージ23を有し、搬送チャンバFTから搬入される基板Sを収容する。ステージ23は、ヒータ電源HGに接続されるヒータHを搭載し、このヒータHが駆動されるとき、載置する基板Sを所定の温度(例えば、150℃〜500℃)に昇温する。
【0042】
処理空間Faの右側には、排気ポートP0を介して排気ユニットPUが接続され、また、処理空間Faの左側には、処理空間Faの圧力を検出して検出結果を出力する圧力センサPG1が接続されている。排気ユニットPUは、排気バルブV1、圧力調整バルブV2、原料トラップT、ターボ分子ポンプ、及びドライポンプなどの各種の排気装置Pにより構成され、圧力センサPG1の検出結果に応じて圧力調整バルブV2が駆動されるとき、処理空間Faの圧力を所定の圧力(例えば、10Pa〜10Pa)に調整する。また、原料トラップTを除く排気ユニットPUの各部は、所定の温度(20℃〜250℃)に調整されて、処理空間Faから排気される原料の液化を回避して排気能力を維持する。
【0043】
処理空間Faの上側には、処理空間Faにガスを導入するためのシャワーヘッド24が配設されている。シャワーヘッド24は、所定の温度(20℃〜250℃)に調整されて、導入される原料SCの液化を回避し、原料SCの導出を円滑にする。シャワーヘッド24は、複数の第一供給孔K1と、各第一供給孔K1から独立する複数の第二供給孔K2を有する。各第一供給孔K1は、それぞれチャンバリッド22の上部右側に設けられる第一ポートP1に共通接続され、また、各第二供給孔K2は、それぞれチャンバリッド22の
上部左側に設けられる第二ポートP2に共通接続されている。
【0044】
第一ポートP1は、還元性ガスラインLrを介して、還元性ガスGrのマスフローコントローラMFC1と、キャリアガス(例えば、ヘリウム(He )、アルゴン(Ar )、窒素(N2 )など)のマスフローコントローラMFC2に接続されている。第一ポートP1は
、マスフローコントローラMFC2が所定量のキャリアガスを導入するとき、各第一供給孔K1を通じて基板Sの略全面にわたりキャリアガスを均一に供給する。この際、第一ポートP1は、マスフローコントローラMFC1が所定量の還元性ガスGrを導入するとき、キャリアガスに搬送される還元性ガスGrを、各第一供給孔K1を通じて基板Sの略全面にわたり均一に供給する。
【0045】
還元性ガスGrとしては、乖離して水素ラジカルや水素イオンを放出するものを用いることができ、また、水素(H2 )、アンモニア(NH3 )、ヒドラジン誘導体、シラン(SiH4 )、ジシラン(Si2H6 )からなる群から選択される少なくともいずれか一つを用いることができる。また、ヒドラジン誘導体としては、ヒドラジンの水素原子の1つもしくは2つを、メチル基と、エチル基と、直鎖又は分岐のブチル基とからなる群から選択される基で置換したものを用いることができる。なお、還元性ガスGrの流量が十分に大きく、その供給を安定可能とする場合には、キャリアガス、すなわち、マスフローコントローラMFC2を有しない構成であってもよい。
【0046】
第二ポートP2は、原料ガスラインLsを介して、供給部を構成する原料供給ユニットSUに接続されている。原料供給ユニットSUは、Ru膜の原料SCを貯留する原料タンク25と、原料タンク25に接続される液体マスフローコントローラLMFCと、液体マスフローコントローラLMFCに接続される気化装置IUを有する。原料供給ユニットSU及び原料ガスラインLsは、所定の温度(20℃〜250℃)に調整されて、原料SCの液化を回避して原料SCの送給を円滑にする。
【0047】
原料SCとしては、ビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)−1,5ヘキサジエンルテニウム錯体を用いることができる。また、原料SCとしては、上記ルテニウム錯体を各種の溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、トルエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、テトラヒドロフランなど)に溶解させた溶液を用いることができる。
【0048】
原料タンク25は、導出ガス(例えば、He,Ar,N2 など)の加圧を受けて、貯留する原
料SCを所定の圧力で導出する。液体マスフローコントローラLMFCは、原料タンク25が導出する原料SCを所定の供給量に調整して気化装置IUに導入する。気化装置IUは、キャリアガス(例えば、He,Ar,N2 など)のマスフローコントローラMFC3に接続
され、液体マスフローコントローラLMFCからの原料SCを気化させて、原料SCをキャリアガスとともに第二ポートP2へ導出する。第二ポートP2は、各第二供給孔K2を介して、気化装置IUからの原料SCを基板Sの略全面にわたり均一に供給する。
【0049】
これによって、RuチャンバF1は、還元性ガスGrと原料SCの各々を、それぞれ独立する経路を通じて処理空間Faに供給させることができ、還元性ガスGrと原料SCを処理空間Faでのみ混合させることができる。この結果、原料SCが還元性ガスGrと高い反応性を有する場合であっても、原料SCに関わる反応を処理空間Faでのみ進行させることができる。
【0050】
原料ガスラインLsの途中には、原料トラップTに通じるバイパスラインLbが接続されている。原料供給ユニットSUは、処理空間Faに向けて原料SCを供給するとき、原料SCの供給量が安定するまで供給バルブV3を閉じ、かつ、切替バルブV4を開けて、
原料SCとキャリアガスをこのバイパスラインLbを通じて原料トラップTに導出する。原料供給ユニットSUは、原料SCの供給量が安定するとき、切替バルブV4を閉じ、かつ、供給バルブV3を開けて、原料SCとキャリアガスを処理空間Faに供給する。これによって、原料供給ユニットSUは、処理空間Faに対して原料SCの供給・停止の応答を急峻させることができる。
【0051】
なお、この処理空間Faにおいては、リーク量が10−2(Pa・m3/秒)以下にできるように各部材ならびに各部材間のシール材を選択する構成が好ましい。処理空間Faにおけるリーク量の計測としては、まず供給バルブV3を閉じた状態で排気ユニットPUを駆動し、処理空間Faが所定の到達圧力、例えば10−1Paに到達するタイミングで排気バルブV1を閉じる、すなわち処理空間Faを密閉する。そして排気バルブV1を閉じてから所定の時間、例えば20分間が経過するまで圧力センサPG1を用いて処理空間Fa内の圧力を逐次計測し、排気バルブV1を閉じてから経過する経過時間の1秒あたりの圧力上昇分をリーク量として算出する。
【0052】
処理空間Faにあっては、このリーク量が10−2(Pa・m3/秒)以下になることにより処理空間Faに対する外気、すなわち酸素や水分の浸入を十分に抑えることができ、原料SCの熱分解反応に対して酸素や水分の影響を十分に抑制することができる。
【0053】
RuチャンバF1は、基板Sが搬入されるとき、還元性ガスラインLrを通じて処理空間Faに還元性ガスGrを供給し、排気ユニットPUを介して、処理空間Faの圧力を所定の圧力に調整する。例えば、RuチャンバF1は、10Pa以上の還元性ガスGrの雰囲気によって、還元性ガスGrの還元作用を十分に発現させ、かつ、10Pa以下の還元性ガスGrの雰囲気によって、排気ユニットPUに及ぼす過剰な負荷を回避する。
【0054】
RuチャンバF1は、基板Sが搬入されるとき、ステージ23に基板Sを載置し、ヒータHを介して、基板Sを所定の温度に昇温する。例えば、RuチャンバF1は、250℃以上の加熱によって原料SCの熱分解反応を開始し、かつ、400℃以下の温度調整によって下層配線などの下層導電体の熱的損傷を回避する。
【0055】
RuチャンバF1は、還元性ガスGrの雰囲気が形成されて、基板Sが所定の温度に昇温されるとき、原料ガスラインLsを通じて、処理空間Faに所定の量の原料SCを供給し、還元性ガスGrの雰囲気の下で原料SCを熱分解させ、基板Sの上にRu膜を堆積させる。
【0056】
これによって、RuチャンバF1は、下層導電体の酸化物とRu膜の酸化物を、それぞれ還元性ガスGrによって還元し、金属状態に近づけることができる。そして、RuチャンバF1は、下層導電体とRu膜との間において、酸化膜の介入を抑えて、下層導電体とRu膜との間を、低い接触抵抗の下で接続させることができる。また上述のように処理空間Faのリーク量が10−2(Pa・m/秒)以下である場合にあっては、原料SCの熱分解反応が外部からの酸素や水分を殆ど介在させない状態で進行するために、Ruを主成分とする結晶粒の成長が促進されて、こうした多数の結晶粒からなる微粒子膜としてRu膜を形成することもできる。
【0057】
前処理チャンバF2は、RuチャンバF1と略同じ構成を有するチャンバであって、上記原料供給ユニットSUを有しない点において、RuチャンバF1と異なり、また、マスフローコントローラMFC1が前処理に用いる前処理ガスGpを供給する点において異なる。前処理ガスGpとしては、例えば、前処理チャンバF2が不活性ガスの雰囲気の下で熱処理を実行する場合、不活性ガス(例えば、He,Ar,N2 など)を用いることができる。
また、前処理ガスGpとしては、例えば、還元性ガスの雰囲気の下で熱処理を実行する場
合、還元性ガスを用いることができる。
【0058】
前処理チャンバF2は、基板Sが搬入されるとき、還元性ガスラインLrを通じて処理空間Faに前処理ガスGpを供給し、排気ユニットPUの駆動によって、処理空間Faの圧力を所定の圧力に調整する。例えば、前処理チャンバF2は、10Pa以上の還元性ガスGrの雰囲気によって、Ru膜の酸化物を確実に還元させ、かつ、10Pa以下の還元雰囲気によって、排気ユニットPUに及ぼす過剰な負荷を回避させる。
【0059】
前処理チャンバF2は、基板Sが搬入されるとき、ステージ23に基板Sを載置し、ヒータHを介して、基板Sを所定の温度に調整する。例えば、前処理チャンバF2は、基板Sを150℃以上に昇温させて、Ru膜に残存する有機成分を効果的に排気させる。また、前処理チャンバF2は、基板Sを500℃以下に調整させて下層導電体の熱的損傷を回避させる。
【0060】
これによって、前処理チャンバF2は、基板Sに堆積されるRu膜に対し、その低抵抗化を図るための所定の前処理を施すことができる。
CuチャンバF3は、上記RuチャンバF1と略同じ構成を有するチャンバであって、上記原料SCが一般式(2)で示される有機銅錯体である点において上記RuチャンバF1と異なり、その他の点においては上記RuチャンバF1と同じ構成である。
【0061】
前記銅錯体としては、ビス(2,6−ジメチル−2−(トリメチルシリルオキシ)−3,5−ヘプタンジオナト)銅錯体を用いることができる。また、原料SCとしては、前記銅錯体を各種の溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、トルエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、テトラヒドロフランなど)に溶解させた溶液を用いることができる。
【0062】
【化2】

CuチャンバF3は、基板Sが搬入されるとき、還元性ガスラインLrを通じて処理空間Faに還元性ガスGrを供給し、排気ユニットPUを介して、処理空間Faの圧力を所定の圧力に調整する。例えば、CuチャンバF3は、10Pa以上の還元性ガスGrの雰囲気によって、還元性ガスGrの還元作用を十分に発現させ、かつ、10Pa以下の還元性ガスGrの雰囲気によって、排気ユニットPUに及ぼす過剰な負荷を回避する。
【0063】
CuチャンバF3は、基板Sが搬入されるとき、ステージ23に基板Sを載置し、ヒータHを介して、基板Sを所定の温度に昇温する。例えば、CuチャンバF3は、150℃以上の加熱によって原料SCの熱分解反応を開始し、かつ、350℃以下の温度調整によって下層配線、Ru膜、及びCu膜の熱的損傷を回避する。
【0064】
CuチャンバF3は、還元性ガスGrの雰囲気が形成されて、基板Sが所定の温度に昇温されるとき、原料ガスラインLsを通じて、処理空間Faに所定の量の原料SCを供給し、還元性ガスGrの雰囲気の下で原料SCを熱分解させ、Ru膜の上にCu膜を堆積させる。例えば、CuチャンバF3は、前記有機銅錯体を5×10−5mol/min・cm2 〜1
×10−7mol/min・cm2 の範囲で供給する。CuチャンバF3は、前記有機銅錯体を、
1×10−7mol/min・cm2 以上の供給量で供給することにより、Cu膜を確実に堆積さ
せることができる。また、前記有機銅錯体を、5×10−5mol/min・cm2 以下の供給量
で供給することにより、Cu膜に対して、高い埋め込み特性を与えることができる。
【0065】
これによって、CuチャンバF3は、Ru膜の酸化物とCu膜の酸化物を、それぞれ還元性ガスGrによって還元し、金属状態に近づけることができる。そして、CuチャンバF3は、Ru膜とCu膜との間において、酸化膜の介入を抑えて、Ru膜とCu膜との間を、低い接触抵抗の下で接続させることができる。また上述のようにRu膜を微粒子膜として構成する場合にあっては、Ru膜の表面を平滑面として構成する場合に比べてRu膜の表面積を大幅に増大できることから、Cu膜のインキュベーションタイムを大幅に短縮させることができ、Ru膜とCu膜との間の接触抵抗の低下を図りつつ、Cu膜の成膜に要する成膜時間の短縮化を図ることもできる。
【0066】
次に、上記半導体装置の製造装置10に関する電気的構成について以下に説明する。図3は、製造装置10の電気的構成を示す電気ブロック回路図である。
図3において、制御装置30は、半導体装置の製造装置10に各種の処理動作、例えば、基板Sの搬送処理、Ru膜の成膜処理、前処理、Cu膜の成膜処理などを実行させるものである。制御装置30は、各種の信号を入力するための入力I/F30Aと、各種の演算処理を実行するための演算部30Bと、各種データや各種プログラムを格納するための記憶部30Cと、各種の信号を出力するための出力I/F30Dを有する。
【0067】
制御装置30には、入力I/F30Aを介して、入力部31A、LLチャンバ検出部32A、搬送チャンバ検出部33A、Ruチャンバ検出部34A、前処理チャンバ検出部35A、及びCuチャンバ検出部36Aが接続されている。
【0068】
入力部31Aは、起動スイッチや停止スイッチなどの各種の操作スイッチを有し、製造装置10が各種の処理動作に利用するためのデータを制御装置30に入力する。例えば、入力部31Aは、基板Sの搬送処理、Ru膜の成膜処理、前処理、Cu膜の成膜処理に関するデータを制御装置30に入力する。
【0069】
すなわち、入力部31Aは、基板Sの搬送経路(各種処理の処理順序)に関するデータを制御装置30に入力する。また、入力部31Aは、Ru膜の成膜処理を実行するための成膜条件(例えば、基板温度、還元性ガスGrの流量、原料SCの供給量、成膜圧力、成膜時間など)に関するデータを制御装置30に入力する。また、入力部31Aは、前処理を実行するための前処理条件(例えば、基板温度、前処理ガスGpの流量、処理圧力、処理時間など)に関するデータを制御装置30に入力する。また、入力部31Aは、Cu膜の成膜処理を実行するための成膜条件(例えば、基板温度、還元性ガスGrの流量、原料SCの供給量、成膜圧力、成膜時間など)に関するデータを制御装置30に入力する。
【0070】
制御装置30は、入力部31Aから入力される各種のデータを受信して記憶部30Cに格納し、各種のデータに対応する条件の下で各種の処理動作を実行させる。
LLチャンバ検出部32Aは、LLチャンバFLの状態、例えば、収容室FLaの実圧力、基板Sの枚数などを検出し、その検出結果を制御装置30に入力する。搬送チャンバ検出部33Aは、搬送チャンバFTの状態、例えば、搬送ロボットRBのアーム位置などを検出し、その検出結果を制御装置30に入力する。
【0071】
Ruチャンバ検出部34Aは、RuチャンバF1の状態、例えば、対応する基板Sの実温度、処理空間Faの実圧力、還元性ガスGrの実流量、原料SCの実供給量、実処理時間などを検出し、その検出結果を制御装置30に入力する。
【0072】
前処理チャンバ検出部35Aは、前処理チャンバF2の状態、例えば、対応する基板Sの実温度、処理空間Faの実圧力、前処理ガスGpの実流量、実処理時間などを検出し、その検出信号を制御装置30に入力する。
【0073】
Cuチャンバ検出部36Aは、CuチャンバF3の状態、例えば、対応する基板Sの実温度、処理空間Faの実圧力、還元性ガスGrの実流量、原料SCの実供給量、実処理時間などを検出し、その検出結果を制御装置30に入力する。
【0074】
制御装置30には、出力I/F30Dを介して、出力部31B、LLチャンバ駆動部32B、搬送チャンバ駆動部33B、Ruチャンバ駆動部34B、前処理チャンバ駆動部35B及びCuチャンバ駆動部36Bが接続されている。
【0075】
出力部31Bは、液晶ディスプレイなどの各種表示装置を有して製造装置10の処理状況に関する各種のデータを出力する。
制御装置30は、LLチャンバ検出部32Aからの検出結果を利用して、LLチャンバ駆動部32Bに対応する駆動制御信号をLLチャンバ駆動部32Bに出力する。LLチャンバ駆動部32Bは、制御装置30からの駆動制御信号に応答し、収容室FLaを減圧あるいは大気開放して基板Sの搬入あるいは搬出を可能にする。
【0076】
制御装置30は、搬送チャンバ検出部33Aからの検出結果を利用して、搬送チャンバ検出部33Aに対応する駆動制御信号を搬送チャンバ駆動部33Bに出力する。搬送チャンバ駆動部33Bは、制御装置30からの駆動制御信号に応答し、処理順序に従って、LLチャンバFL、搬送チャンバFT、RuチャンバF1、前処理チャンバF2、CuチャンバF3の順に基板Sを搬送する。
【0077】
制御装置30は、Ruチャンバ検出部34Aからの検出結果を利用して、Ruチャンバ駆動部34Bに対応する駆動制御信号をRuチャンバ駆動部34Bに出力する。Ruチャンバ駆動部34Bは、制御装置30からの駆動制御信号に応答し、入力部31Aからの成膜条件の下でRu膜の成膜処理を実行する。
【0078】
制御装置30は、前処理チャンバ検出部35Aからの検出結果を利用して、前処理チャンバ駆動部35Bに対応する駆動制御信号を前処理チャンバ駆動部35Bに出力する。前処理チャンバ駆動部35Bは、制御装置30からの駆動制御信号に応答し、入力部31Aからの前処理条件の下で所定の前処理を実行する。
【0079】
制御装置30は、Cuチャンバ検出部36Aからの検出結果を利用して、Cuチャンバ駆動部36Bに対応する駆動制御信号をCuチャンバ駆動部36Bに出力する。Cuチャンバ駆動部36Bは、制御装置30からの駆動制御信号に応答し、入力部31AからのCu膜の成膜条件の下でCu膜の成膜処理を実行する。
【0080】
次に、半導体装置の製造方法について以下に説明する。図4は、半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
まず、制御装置30は、銅配線を形成させるための操作信号を受けて、銅配線を形成するためのプログラムを記憶部30Cから読み出す。次いで、制御装置30は、LLチャンバFLに基板Sが投入されて、入力部31Aから入力される各種のデータを受信する(ス
テップS11)。そして、制御装置30は、LLチャンバFLの状態と搬送チャンバFTの状態を検出し、入力部31Aから入力される処理順序に従って基板Sの搬送処理を開始させる。
【0081】
すなわち、制御装置30は、LLチャンバFLの基板SをRuチャンバF1まで搬送させ、入力部31AからのRu膜の成膜条件に基づいて、RuチャンバF1の処理空間Faに還元性ガスGrの雰囲気を形成する。また、制御装置30は、RuチャンバF1のヒータHを駆動して基板Sを昇温し、その後、対応する原料SCを供給させて、Ru膜の成膜処理を実行させる(ステップS12)。そして、制御装置30は、RuチャンバF1の状態を検出してRu膜の成膜処理が終了したか否かを判断し、Ru膜の成膜処理が終了すると、RuチャンバF1の基板Sを前処理チャンバF2まで搬送させる。
【0082】
制御装置30は、基板Sを前処理チャンバF2まで搬送すると、入力部31Aからの前処理条件に基づいて、前処理チャンバF2の処理空間Faに前処理ガスGpの雰囲気を形成する。また、制御装置30は、前処理チャンバF2のヒータHを駆動して基板Sを昇温し、Ru膜とCu膜に対応する前処理を実行させる(ステップS13)。そして、制御装置30は、前処理チャンバF2の状態を検出して前処理が終了したか否かを判断し、前処理が終了すると、基板SをCuチャンバF3まで搬送させる。
【0083】
制御装置30は、基板SをCuチャンバF3まで搬送すると、入力部31AからのCu膜の成膜条件に基づいて、CuチャンバF3の処理空間Faに還元性ガスGrの雰囲気を形成する。また、制御装置30は、CuチャンバF3のヒータHを駆動して基板Sを昇温し、その後、対応する原料SCを供給させて、Cu膜の成膜処理を実行させる(ステップS14)。そして、制御装置30は、CuチャンバF3の状態を検出してCu膜の成膜処理が終了したか否かを判断し、Cu膜の成膜処理が終了すると、CuチャンバF3の基板SをLLチャンバFLまで搬送させる。
【0084】
以後同様に、制御装置30は、全ての基板Sの各々に対して、Ru膜の成膜処理、前処理、Cu膜の成膜処理を順に実行させてCu配線を形成させる。そして、制御装置30は、LLチャンバFLの状態を検出し、全ての基板Sに銅配線を形成させると、LLチャンバFLを大気開放させて全ての基板Sを外部に搬出させる。
【0085】
(実施例1)
次に、上記半導体装置の製造装置10を用いて形成する銅配線の埋め込み性について以下に説明する。図4と図5は、それぞれ上記半導体装置の製造装置10を用いて形成したRu膜の埋め込み性と、Ru膜の上に形成したCu膜の埋め込み性を示すTEM(Transmission Electron Microscope )断面像である。
【0086】
まず、基板Sとしてシリコン基板を用い、基板Sの上に絶縁層41を形成し、絶縁層41にホール径が50nm、アスペクト比(ホール深さ/ホール径)が8.2のホールVH(凹部)を形成した。次いで、以下に示すRu膜の成膜条件を用いて絶縁層41の表面にRu膜42を形成し、そのTEM断面像を撮像した。また、以下に示す前処理条件を用いてRu膜42に前処理を施し、続いて、以下に示すCu膜の成膜条件を用いてRu膜42の表面にCu膜43を形成し、そのTEM断面像を撮像した。
【0087】
(Ru膜の成膜条件)
・原料SC:n−オクタンを溶媒とする0.5(mol/L )のビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)−1,5ヘキサジエンルテニウム錯体
・原料SCの供給量:8.5×10-7(mol/min・cm2
・還元性ガスGr:水素
・還元性ガスGrの流量:3(L/min )
・基板温度:270(℃)
・成膜圧力:2600(Pa )
・成膜時間:720(秒)
(前処理条件)
・基板温度:350(℃)
・プロセスガス:水素
・処理圧力:3500(Pa )
(Cu膜の成膜条件)
・原料SC:n−オクタンを溶媒とする0.5(mol/L )のビス(2,6−ジメチル−2−(トリメチルシリルオキシ)−3,5−ヘプタンジオナト)銅錯体
・原料SCの供給量:2.4×10−6(mol/min・cm2
・還元性ガスGr:水素
・還元性ガスGrの流量:3(L/min )
・基板温度:270(℃)
・成膜圧力:400(Pa )
・成膜時間:180(秒)
図5において、Ru膜42は、濃色領域で示され、絶縁層41の上部及びホールVHの内壁の全体にわたり約20nmの膜厚で均一に形成されていることが分かる。これによって、上記Ru膜の成膜処理、すなわち、β−ジケトネートルテニウム錯体を還元雰囲気下で熱分解する成膜処理によれば、下地が絶縁層41の場合であっても、高い膜厚均一性と高い段差被覆性を有するRu膜42を得られることが分かる。
【0088】
図6において、Cu膜43は、濃色領域で示され、ホールVHの内部の全体にわたりCu材料を均一に充填させていることが分かる。これによって、上記Ru膜の成膜処理、前処理及びCu膜の成膜処理によれば、高い埋め込み性を有するCu配線を形成させることができる。そして、連続する還元雰囲気下の処理によって、下地配線の酸化物、Ru膜の酸化物、Cu膜の酸化物をそれぞれ還元させて、銅配線の低抵抗化を図ることができる。(実施例2)
リーク量が10−2(Pa・m/秒)以下である処理空間Faにおいて以下に示すRu膜の成膜条件を用いて絶縁層41の表面にRu膜42を形成することにより実施例2を得た。そして実施例2のTEM断面像及びTEM平面像を撮像し、さらにRu微粒子の結晶性を確認すべく、同Ru膜42の全視野電子線回折像を撮像した。図7及び図8は実施例2のTEM断面像及びTEM平面像を示す。
【0089】
(Ru膜の成膜条件)
・原料SC:n−オクタンを溶媒とする0.5(mol/L )のビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)−1,5ヘキサジエンルテニウム錯体
・原料SCの供給量:0.4(g/min )
・還元性ガスGr:水素
・還元性ガスGrの流量:3(L/min )
・基板温度:270(℃)
・成膜圧力:3500(Pa )
・成膜時間:720(秒)
図7及び図8において、Ru膜42は濃淡で示されるように、直系が数nmの多数のRu微粒子からなることが分かる。図9において、Ru膜42はRu微粒子の格子定数に対応するデバイシェラー環RDを示し、Ru微粒子の各々が結晶性を有した結晶粒であることが分かる。
【0090】
(実施例3)
基板Sとしてシリコン酸化膜を有するシリコン基板を用い、シリコン酸化膜の上にチタン(Ti)膜を形成して以下に示すRu膜の成膜条件を用いたRu膜を形成した。続いて、以下に示すCu膜の成膜条件の下でその成膜時間を0〜120秒の範囲で変更して実施例3を得た。またRu膜を形成することなく、その他の条件を実施例3と同じくすることにより比較例1を得た。そして実施例3と比較例1についてXRF測定を行い、Cu膜の膜厚の指標であるCu原子に関連付けられるピーク強度を計測した。図10はCu膜の成膜時間とCu膜のXRF強度との関係を示す図である。
【0091】
図10において、比較例1ではCu膜の成膜が開始されるまでにCu膜の原料SCの供給時から約20秒の成膜時間が必要とされる一方で、実施例3ではCu膜の原料SCの供給とともに成膜が開始されることが分かり、そのインキュベーション時間が0秒であることが分かる。それゆえRuを主成分とする微粒子膜を形成することによりRuの結晶粒による触媒作用の増幅でCu膜のインキュベーションタイムを短縮化できることが分かる。しかも、実施例3においては、その成膜時間に対するXRF強度の増加率が比較例1における増加率よりも大きいことから、Cu膜の成膜速度を増加させることもできる。
【0092】
(Ru膜の成膜条件)
・原料SC:n−オクタンを溶媒とする0.5(mol/L )のビス(2−メトキシキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)−1,5ヘキサジエンルテニウム錯体
・原料SCの供給量:0.4(g/min )
・還元性ガスGr:水素
・還元性ガスGrの流量:3(L/min )
・基板温度:270(℃)
・成膜圧力:3500(Pa )
・成膜時間:720(秒)
(Cu膜の成膜条件)
・原料SC:n−オクタンを溶媒とする0.5(mol/L )のビス(2,6−ジメチル−2−(トリメチルシリルオキシ)−3,5−ヘプタンジオナト)銅錯体
・原料SCの供給量:1.2(g/min )
・還元性ガスGr:水素
・還元性ガスGrの流量:3(L/min )
・基板温度:270(℃)
・成膜圧力:400(Pa )
(実施例4)
基板Sとしてシリコン酸化膜を有するシリコン基板を用い、シリコン酸化膜の上に窒化バナジウム(VN)膜を形成して実施例3と同じくRu膜を形成した。続いて、実施例3におけるCu膜の成膜条件において成膜時間を60秒、成膜圧力を400Pa〜3500Paの範囲で変更してその他を実施例3と同じくすることにより実施例4を得た。またRu膜を形成することなく、その他の条件を実施例4と同じくすることにより比較例2を得た。そして実施例4と比較例2についてXRF測定を行い、Cu膜の膜厚の指標であるCu原子に関連付けられるピーク強度を計測した。図11はCu膜の成膜圧力とCu膜のXRF強度との関係を示す図である。
【0093】
図11において、実施例4のXRF強度は400Pa〜3500Paの全ての圧力範囲において比較例2のXRF強度よりも大きい値を示し、実施例4におけるCu膜の成膜量が比較例2に比べて高いことが分かる。それゆえRuを主成分とする微粒子膜を形成することによりRuの結晶粒による触媒作用の増幅でCu膜の成膜速度を増大できることが分かる。また比較例2のXRF強度が3500Paにおいても増加し続ける一方、実施例4のXRF強度が1500Pa付近で飽和していることから、Cu膜の成膜過程をより低圧側で供給律速にすることができ、Ruを主成分とする微粒子膜を形成することにより原料
SCの利用効率をも向上できるが分かる。
【0094】
(半導体装置)
次に、上記半導体装置の製造方法を用いて製造する半導体装置について以下に説明する。図12は、半導体装置を示す要部断面図である。
【0095】
図12において、半導体装置50は、例えば、各種RAMや各種ROMを含むメモリデバイスやMPU又は汎用ロジックを含むロジックデバイスなどである。半導体装置50の基板Sには、薄膜トランジスタTrが形成されて、薄膜トランジスタTrの拡散層LDには、コンタクトプラグPcを介して銅配線51が接続されている。
【0096】
銅配線51は、コンタクトプラグPcに接続される下地層52と下地層52の内部を充填する配線層53とを有する。下地層52は、Ru膜を有する層であって、上記RuチャンバF1を用いる上記Ru膜の成膜処理と、上記前処理チャンバF2を用いる上記前処理によって形成されている。配線層53は、上記CuチャンバF3を用いる上記Cu膜の成膜処理によって形成される。これによって、配線層53は、コンタクトプラグPcと下地層52との間の接触抵抗や下地層52と配線層53との間の接触抵抗に関して低抵抗化を図ることができ、その信頼性を向上させることができる。
【0097】
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)上記実施形態においては、前記有機ルテニウム錯体を含む原料SCと、還元性ガスGrとを用いるCVD法によって、凹部が形成された基板Sの上にRu膜を形成する(ステップS12)。そして、前記有機銅錯体を含む原料SCと、還元性ガスGrとを用いるCVD法によって、このRu膜の上にCu膜を形成し、凹部に銅配線を形成する(ステップS14)。
【0098】
したがって、Ru膜とCu膜とを、それぞれ還元性ガスの雰囲気の下で形成させることができる。この結果、Ru膜の形成時とCu膜の形成時において、下地配線の酸化物と銅配線の酸化物を、それぞれ還元させて金属状態に近づけることができる。よって、銅配線の低抵抗化を図ることができる。
【0099】
(2)上記実施形態のRu膜成膜工程(ステップS12)とCu膜成膜工程(ステップS14)においては、還元性ガスGrとして、乖離して水素ラジカルや水素イオンを放出するものを用いる。あるいは、還元性ガスGrとして、水素(H2 )、アンモニア(NH3
)、ヒドラジン誘導体、シラン(SiH4 )、ジシラン(Si2H6 )からなる群から選択され
る少なくともいずれか一つを用いる。したがって、上記半導体装置の製造方法に、より高い汎用性を与えることができる。
【0100】
(3)上記実施形態のRu膜成膜工程(ステップS12)においては、対象物(凹部が形成された基板S)の表面の単位面積あたりの前記有機ルテニウム錯体の供給量を、2×10−8mol/min・cm2 〜1×10−5 mol/min・cm2 に規定し、還元性ガスGrの圧力
を、10Pa〜10Paに規定し、基板Sの温度を、250℃〜400℃に規定する。したがって、Ru膜の成長速度や還元性ガスGrの還元作用に、より確実に対象物の凹部にカバレージ良く均一に成膜することができ、かつ、より高い再現性を与えることができ、かつ、下地材料の熱的損傷を回避させることができる。ひいては、銅配線の電気的特性に関して、より高い再現性を与えることができる。
【0101】
(4)上記実施形態においては、Ru膜成膜工程後の基板Sを前処理ガスGpの雰囲気に載置し、Cu膜を形成する前のRu膜に対して、前処理を実行する。したがって、Ru膜の抵抗値を低下させる、又は、Ru膜とCu膜の密着性を向上させることができる。こ
の結果、銅配線の信頼性を、さらに向上させることができる。
【0102】
(5)上記実施形態のCu膜成膜工程(ステップS14)においては、前記有機銅錯体の供給量を、5×10−5mol/min・cm2 〜1×10−7mol/min・cm2 を満たす範囲に規定する。したがって、Cu膜をRu膜上に確実に堆積させることができ、かつ、Cu膜に高い埋め込み特性を与えることができる。
【0103】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
・上記実施形態においては、Ru膜成膜工程(ステップS12)の後に、前処理工程(ステップS13)を実行する。これに限らず、例えば、Ru膜成膜工程に引き続き、Cu膜形成工程(ステップS14)を実行する構成にしてもよい。
【0104】
・上記実施形態においては、前処理工程において、熱処理、あるいは、還元処理を実行する。これに限らず、例えば、前処理工程において、まず、Ru膜の有機成分を除去するための酸化処理を実行した後、該Ru膜の酸化物を還元して金属Ruにするための還元処理を実行する構成であってもよい。あるいは、前処理工程において、Ru膜の上に密着層を形成し、Ru膜とCu膜との間の密着性を向上させる構成であってもよい。すなわち、前処理工程は、Cu膜を形成する前に、Ru膜の抵抗値を低下させる、又は、Ru膜とCu膜の密着性を向上させるための処理であればよい。
【0105】
・上記実施形態において、半導体装置の製造装置10は、Ru膜に前処理を施す前処理チャンバF2を搭載し、前処理チャンバ検出部35Aと前処理チャンバ駆動部35Bを有する。これに限らず、例えば、半導体装置の製造装置10は、前処理チャンバF2を搭載しない構成であって、前処理チャンバ検出部35Aと前処理チャンバ駆動部35Bを有しない構成であってもよい。例えば、半導体装置の製造装置10は、RuチャンバF1を用いて、熱処理や還元処理などの所定の前処理を実行させる構成であってもよい。
【0106】
・上記実施形態において、半導体装置の製造装置10は、Ru膜に前処理を施す前処理チャンバF2を搭載し、前処理チャンバ検出部35Aと前処理チャンバ駆動部35Bを有する。また、Cu成膜を行うCuチャンバF3を搭載し、Cuチャンバ検出部36AとCuチャンバ駆動部36Bを有する。これに限らず、製造装置10は、前処理チャンバF2、CuチャンバF3を搭載しない構成であってもよい。例えば、RuチャンバF1を用い、ガス切り替えを行うことで、熱処理や還元処理などの所定の前処理、Cu膜の成膜処理という全て処理を行ってもよい。
【0107】
・上記実施形態において、RuチャンバF1及びCuチャンバF3は、それぞれ原料SCと還元性ガスGrを、独立する経路を通して処理空間Faにまで導く。これに限らず、例えば、原料SCと還元性ガスGrとの間の反応性が低い場合には、第一ポートP1及び第二ポートP2を共通する1つのポートとして構成してもよい。また、第一供給孔K1と第二供給孔K2を互いに連通する供給孔として構成してもよく、さらには、還元性ガスGrをマスフローコントローラMFC3のキャリアガスとして用いてもよい。
【0108】
すなわち、本発明は、原料SCと還元性ガスGrの供給経路に関して限定されるものではなく、還元性ガスGrの雰囲気の下で原料SCを熱分解させる構成であればよい。
・上記実施形態において、原料供給ユニットSUは、導出ガスの加圧によって原料タンク25の原料SCを導出し、気化装置IUの気化によって処理空間Faに原料SCの気体を供給する。これに限らず、例えば、原料供給ユニットSUは、原料タンク25の原料SC内へキャリアガスを導入し、キャリアガスと原料SCの混合した気体を処理空間Faに供給する、いわゆるバブリング法を用いる構成であってもよい。
【0109】
すなわち、本発明は、原料SCの供給方法に関して限定されるものではなく、還元雰囲気の処理空間Faの下で原料SCを熱分解させる構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本実施形態の半導体装置の製造装置を模式的に示す平面図。
【図2】同じく、Ruチャンバの構成を示す概略断面図。
【図3】同じく、製造装置の電気的構成を示す電気ブロック回路図。
【図4】同じく、銅配線の形成工程を示すフローチャート。
【図5】同じく、Ru膜の埋め込み性を示すTEM断面像。
【図6】同じく、Cu膜の埋め込み性を示すTEM断面像。
【図7】同じく、Ru膜における微粒子を示すTEM断面像。
【図8】同じく、Ru膜における微粒子を示すTEM平面像。
【図9】同じく、Ru膜の電子線回折像。
【図10】同じく、Cu膜の成膜時間とCu膜のXRF強度との関係を示す図。
【図11】同じく、Cu膜の成膜圧力とCu膜のXRF強度との関係を示す図。
【図12】同じく、半導体装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0111】
F1…Ruチャンバ、F2…Cuチャンバ、10…半導体装置の製造装置、50…半導体装置、51…銅配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅配線を有する半導体装置の製造方法であって、
凹部が形成された対象物上に、一般式(1)(式中、Rは、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。)で示される有機ルテニウム錯体と第一還元性ガスとを用いるCVD法によってルテニウム含有膜を形成する工程と、
【化1】

前記ルテニウム含有膜の上に、一般式(2)(式中、Rは、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。)で示される有機銅錯体と第二還元性ガスとを用いるCVD法によって銅含有膜を形成して前記凹部に前記銅含有膜を埋め込む工程と、を備えたこと、
【化2】

を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、
前記第一還元性ガスが、乖離して水素ラジカルや水素イオンを放出すること、
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、
前記第一還元性ガスが、水素(H)、アンモニア(NH)、ヒドラジン誘導体、シラン(SiH)、ジシラン(Si)からなる群から選択される少なくともいずれか一つであること、
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、
前記ヒドラジン誘導体が、ヒドラジンの水素原子の1つもしくは2つを、メチル基と、
エチル基と、直鎖又は分岐のブチル基とからなる群から選択される基で置換したものであること、
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、
前記第一還元性ガスの雰囲気を10Pa〜10Paにすること、
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、
前記対象物の温度を250℃〜400℃にすること、
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法あって、
前記有機ルテニウム錯体が、ビス(2−メトキシ−6−メチル−3,5−ヘプタンジオナト)−1,5ヘキサジエンルテニウム錯体であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ルテニウム含有膜を形成する工程は、前記対象物の表面の単位面積あたりの前記有機ルテニウム錯体の供給量が2×10−8〜1×10−5mol/min・cm2 であることを特
徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記有機銅錯体が、ビス(2,6−ジメチル−2−(トリメチルシリルオキシ)−3,5−ヘプタンジオナト)銅錯体であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記銅含有膜を埋め込む工程は、
前記対象物の表面の単位面積あたりの前記銅錯体の供給量が、1×10−7〜5×10−5mol/min・cm2 であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記銅含有膜を埋め込む工程は、
前記対象物の温度を150℃〜350℃にすること、
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記銅含有膜を埋め込む工程は、
前記第二還元性ガスが、水素原子を含有するガスであること、
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記銅含有膜を埋め込む工程は、
前記第二還元性ガスが、水素(H)であること、
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ルテニウム含有膜が微粒子膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ルテニウム含有膜の成膜空間におけるリーク量を10−2(Pa・m/秒)以下にすることにより前記微粒子膜を成膜することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−81431(P2009−81431A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226432(P2008−226432)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】