説明

半導体装置の製造方法

【課題】不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】シリコン基板1の主面s1上に順に形成したメモリゲート絶縁膜MI1およびメモリゲート電極MG1を覆うようにして、第1保護膜pt1を形成する。その後、メモリゲート電極MG1の側方下部の主面s1にイオン注入dp01を施してn型イオン注入領域n1を形成する。続いて、熱処理によってn型イオン注入領域n1を拡散および活性化させることで、n型メモリエクステンション領域を形成する。イオン注入dp01では、メモリゲート電極MG1およびその側壁に形成した第1保護膜pt1がイオン注入マスクとなり、メモリゲート電極MG1から、第1保護膜pt1の厚さ分だけ離れた位置に、n型イオン注入領域n1を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、不揮発性メモリを有する半導体装置の製造方法に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気的に書き込み・消去が可能な不揮発性半導体記憶素子(不揮発性メモリセル)として、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)が広く使用されている。これらの不揮発性メモリセルは、MIS(Metal Insulator Semiconductor)型電界効果トランジスタ(Filed Effect Transistor:FETともいう)(以下、単にMISトランジスタ)のゲート電極下に浮遊状態(フローティング状態)の導体部を備えた構造(浮遊ゲート電極構造)や、電荷担体(キャリア)を蓄積する機能を有する絶縁膜を備えた構造となっている。これら浮遊ゲート電極や電荷蓄積膜に電荷を蓄積させ、MIS構造によって電荷蓄積領域への電荷の注入または放出を制御することで、データ書き込みおよびデータ消去を実現している。
【0003】
上記のように、電荷蓄積領域に電荷が注入(または放出)されると、MISトランジスタの閾値電圧が変化する。MISトランジスタにおいて、閾値電圧の変化は、印加するゲート電圧に応じて流れるドレイン電流の違いとして現れる。この、MISトランジスタのドレイン電流量によって、電荷の蓄積状態、即ち、データ保持状態を読み出すことができる。以上のような、データ書き込み、消去、読み出し機能によって、メモリ動作を実現している。
【0004】
電荷蓄積機能を有する絶縁膜として、窒化シリコンを主体とする絶縁膜(以下、単に窒化シリコン膜)が知られている。半導体基板上に形成した窒化シリコン膜は、形成条件によって内部に欠陥を多く含む膜となる。このような膜中の欠陥は、キャリアの捕獲準位(トラップ準位)として機能する。このような窒化シリコン膜のトラップ準位に捕獲された電荷は漏出し難い。そのため、窒化シリコン膜を電荷蓄積膜として利用した不揮発性メモリは長時間のデータ保持に優れている。
【0005】
更に、窒化シリコン膜に捕獲されたキャリアが上部の電極や、下部の基板に容易に漏出しないように、窒化シリコン膜の両側を、他の絶縁膜で挟み込む構造が有用である。例えば、窒化シリコン膜の両側を、酸化シリコンを主体とする絶縁膜(以下、単に酸化シリコン膜)などで挟みこんだ、所謂ONO(oxide/Nitride/oxide)絶縁膜が用いられている。この、ONO絶縁膜をMISトランジスタのゲート絶縁膜と見立てて、読み出し動作を実現する不揮発性メモリセルがある。これは、ゲート電極(Metal)/ONO絶縁膜/半導体基板(Semiconductor)を基本構成としており、所謂MONOS型の不揮発性メモリセル(以下、単にMONOS型メモリセル)と称される。
【0006】
例えば、特開2005−332502号公報(特許文献1)には、MONOS型不揮発性メモリを含むフラッシュメモリの構造や、動作方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−332502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなMONOS型メモリセルは、通常の不揮発性メモリと同様に2次元行列(マトリクス)状に配置して用いる(メモリセルアレイ)。そして、基板上に配列したメモリセルに対して、2方向からの配線によって、任意のメモリセルに電気的にアクセスし、書き込み動作や消去動作を施す。また、1方向の配線を用いて、その配線に電気的に接続する複数のメモリセルに一括して動作を施すことも可能である。これは、任意の領域の不揮発性メモリセルを一括して消去したい場合などに有効である。
【0008】
しかしながら、本発明者の検討により、このように2次元マトリクス状に配置したMONOS型メモリセルは、その動作条件によって以下のような課題を有することが明らかになった。即ち、所望のメモリセルに書き込み動作を施す際に、他のセルにおいて、誤って消去動作が施されてしまうような、所謂ディスターブ現象が起こることが分かった。
【0009】
本発明者の更なる検討により、上記の課題の一原因として、MONOS型メモリセルを構成する拡散層と半導体基板との接合リークに起因することが分かった。
【0010】
更に、このような課題は、素子の微細化による高機能化、高集積化によって、より顕著になることも明らかになった。以上のように、このようなMONOS型メモリセルを備えた半導体装置では、信頼性の更なる向上を妨げ、また、信頼性を低下させてしまう一原因になっていることが分かった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性を向上させる技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願においては、複数の発明が開示されるが、そのうちの一実施例の概要を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0014】
半導体基板に不揮発性メモリセルを形成する工程であって、半導体基板の主面に、電荷を蓄積する機能を有する第1ゲート絶縁膜を隔てて第1ゲート電極を形成し、これらを覆うようにして第1保護膜を形成し、その後、半導体基板の主面のうち第1ゲート電極の側方下部の領域に不純物イオンを注入し、これを熱処理によって拡散および活性化させることで第1半導体領域を形成する。不純物イオンを注入する工程では、第1ゲート電極とその側壁に形成した第1保護膜とをイオン注入マスクとしてイオン注入を施すことで、第1ゲート電極の側壁から、第1保護膜の厚さ分だけ離れた位置に不純物イオンを注入する。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される複数の発明のうち、上記一実施例により得られる効果を代表して簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
即ち、不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
(実施の形態1)
以下では、まず、本発明者が検討したMONOS型の不揮発性メモリセルの構成および動作を説明する。これらは、後に特筆する箇所を除いて、本実施の形態1の半導体装置が有する不揮発性メモリの構成と同様である。その構成および動作を説明した後、メモリ動作において本発明者が見出した課題について説明する。
【0019】
図1には、本発明者が検討したMONOS型の不揮発性メモリセルNVMaの構造を示す。本発明者が検討した不揮発性メモリセルNVMaが有する構成要素を、以下で詳しく説明する。図1は、本発明者が検討した不揮発性メモリセルNVMaの要部断面図である。本発明者が検討した半導体装置は、シリコン基板(半導体基板)1に形成された複数の不揮発性メモリセルNVMaを有する。
【0020】
シリコン基板1は、単結晶のシリコン(Si)からなる薄板状の半導体材料であり、p型導電型であってもn型導電型であっても良い。ここでは、シリコン基板1の導電型はp型とする。シリコン基板1や以下で説明する種々の半導体領域において、p型導電型とは、ドナー不純物よりもアクセプタ不純物を多く含み、多数キャリアが正孔(ホール)であるような半導体材料の導電型を表す。一方、n型導電型とは、アクセプタ不純物よりもドナー不純物を多く含み、多数キャリアが電子であるような半導体材料の導電型を表す。このように、p型導電型とn型導電型とは互いに逆の極性(互いに逆の導電型)である。
【0021】
シリコン基板1の主面s1には、分離用のn型半導体領域である分離用nウェルnw1が形成されている。更に、シリコン基板1の主面s1であり、分離用nウェルnw1よりも浅く、素子形成用のp型半導体領域である素子用pウェルpw1が形成されている。また、シリコン基板1の主面s1上には、メモリゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)MI1を隔てて、メモリゲート電極(第1ゲート電極)MG1が形成されている。メモリゲート絶縁膜MI1およびメモリゲート電極MG1は、シリコン基板1の主面s1上において、素子用pウェルpw1に平面的に含まれる位置に配置されている。
【0022】
メモリゲート絶縁膜MI1は、電子や正孔などの電荷を蓄積する機能を有する膜である。例えば、絶縁膜に囲まれた導体膜(フローティング状態の導体膜)であっても良いし、ONO構造の絶縁膜であっても良い。ここでは、メモリゲート絶縁膜MI1は、ONO構造の絶縁膜であるとして説明する。即ち、メモリゲート絶縁膜MI1は、シリコン基板1に近い方から順に形成された下部バリア膜bb1、電荷蓄積膜st1、および、上部バリア膜bt1からなり、電荷蓄積膜st1の上下を両バリア膜bb1,bt1で挟んだ構造となっている。
【0023】
ここで、電荷蓄積膜st1は、電荷を捕獲する機能を有する絶縁膜である。このような絶縁膜としては、膜中に多数の電荷捕獲中心(単にトラップとも言う)を有する絶縁膜が適している。例えば、窒化シリコン(SiN)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、ハフニウムアルミネート(HfAlO)、酸化ハフニウム(HfO)、または、酸化アルミニウム(Al)などを主体とする絶縁膜などがある。ここでは、電荷蓄積膜st1として、窒化シリコンを主体とする絶縁膜(以下、単に窒化シリコン膜)を適用する。
【0024】
また、電荷蓄積膜st1を挟む下部および上部バリア膜bb1,bt1は、電荷蓄積膜st1に捕獲された電荷が外部へ漏出するのを防ぐ機能を有する絶縁膜である。このような絶縁膜としては、電荷蓄積膜st1中のトラップに捕獲された電荷から見て、十分エネルギー障壁(バリア)が高い絶縁膜が適している。言い換えれば、窒化シリコン膜よりもバンドギャップが大きく、窒化シリコン膜との間で、導電帯側にも価電子帯側にも十分高いバンドオフセットを有する絶縁膜が適している。このような下部および上部バリア膜bb1,bt1として、酸化シリコン(SiO)を主体とする絶縁膜(以下、単に酸化シリコン膜)を適用する。このように、メモリゲート絶縁膜MI1は、トラップ性を有する窒化シリコン膜を、バリア性を有する酸化シリコン膜で挟んだONO構造となっている。
【0025】
また、メモリゲート電極MG1は、多結晶シリコン(または、ポリシリコンとも言う)を主体とする導体膜からなる。
【0026】
以上のように、不揮発性メモリセルNVMaは、導体領域であるメモリゲート電極MG1、ONO構造の絶縁体領域であるメモリゲート絶縁膜MI1、および、半導体領域である素子用pウェルpw1からなるMONOS構造を有している。これは、ONO構造のメモリゲート絶縁膜MI1を一つの絶縁体領域と見れば、MIS構造を有しているとも言える。更に、不揮発性メモリセルNVMaは、以下のような電荷供給機構を有している。
【0027】
不揮発性メモリセルNVMaは、メモリゲート電極MG1の側方下部のシリコン基板1の主面s1に、n型メモリエクステンション領域(第1半導体領域)xn1およびメモリソース・ドレイン領域sd1からなる電荷供給機構を有している。n型メモリエクステンション領域xn1およびメモリソース・ドレイン領域sd1は、素子用pウェルpw1内のシリコン基板1の主面s1に形成されている。特に、n型メモリエクステンション領域xn1はメモリゲート電極MG1の側方下部に配置され、平面的に見て、その外側に、メモリソース・ドレイン領域sd1が配置されている。n型メモリエクステンション領域xn1とメモリソース・ドレイン領域sd1とは、同じn型の半導体領域であり、互いに電気的に接続している。
【0028】
n型メモリエクステンション領域xn1は、上記のMONOS構造に電荷を供給するためのn型半導体領域であるから、不揮発性メモリNVMaに要求される特性によって、その不純物濃度や深さが決められる。また、メモリソース・ドレイン領域sd1は、上記のn型メモリエクステンション領域xn1に対して、外部との電荷の授受を円滑に行うためのn型半導体領域である。従って、メモリソース・ドレイン領域sd1の抵抗率は低いほど望ましい。この理由から、メモリソース・ドレイン領域sd1は、n型メモリエクステンション領域xn1と比較して、そのn型不純物濃度はより高く、その深さはより深い。
【0029】
以上のように、不揮発性メモリセルNVMaは、メモリゲート絶縁膜MI1およびメモリゲート電極MG1と、p型の素子用pウェルpw1に形成されたn型のソース・ドレイン構造とを備えている。これは、nチャネル型のMISトランジスタ(以下、単にn型MISトランジスタ)と見なすこともできる。
【0030】
また、メモリゲート電極MG1の側壁とその側方下部のシリコン基板1とを覆うようにして、例えば酸化シリコン膜からなるサイドウォールスペーサswが形成されている。これは、例えばコンタクトプラグ(図示しない)など、他の導電部とメモリゲート電極とを隔離するための構成要素である。サイドウォールスペーサswは、メモリゲート電極MG1の側壁から、その側方下部のシリコン基板1の主面s1のうち、少なくともメモリソース・ドレイン領域sd1の一部を覆わないように、形成されている。
【0031】
また、シリコン基板1(特にチャネル領域など)に対して応力を作用させることで、MISトランジスタとしての特性を向上させる技術がある。これを目的として、シリコン基板1に対する応力作用の大きい材料を用いて、サイドウォールスペーサswを形成しても良い。この場合、例えば、酸化シリコン膜のほかに窒化シリコン膜などを用い、これらn積層構造としてサイドウォールスペーサswを構成しても良い。以下では、サイドウォールスペーサswは酸化シリコンのみからなるとして説明する。
【0032】
本発明者が検討した半導体装置では、以上のような構造の不揮発性メモリNVMaが、シリコン基板1上に2次元マトリクス状に配置して形成されている。このように配置した複数の不揮発性メモリセルNVMaには種々の配線が施され、動作の際に素子に通電する。図2には、その回路図を示している。上記図1の不揮発性メモリセルNVMaの構造を参照しながら、本図2を用いて、メモリセルアレイへの通電方法を説明する。
【0033】
同一の行方向に配列した不揮発性メモリセルNVMaのメモリゲート電極MG1は、1つのワード線WLによって接続されている。ワード線WLへの通電によって、該当のワード線WLに接続されたメモリゲート電極MG1を有する不揮発性メモリセルNVMaを、オン状態とすることができる。即ち、2次元マトリクス状に配置したメモリでは、行方向に配列する不揮発性メモリセルNVMaに対し、1つのワード線WLによって一括してオン/オフを切り換える。
【0034】
また、不揮発性メモリセルNVMaのメモリソース・ドレイン領域sd1は、メモリゲート電極MG1に対して対称的な2箇所に形成されている。これら2箇所のメモリソース・ドレイン領域sd1の構成は同様であり、対になっている。この1対のメモリソース・ドレイン領域sd1は、不揮発性メモリセルNVMaの動作において、一方を電荷の供給源(ソース)として機能させ、一方を電荷の流出先(ドレイン)として機能させる。そして、同一の列方向に配列した不揮発性メモリセルNVMaにおいて、ソースとして機能させる方のメモリソース・ドレイン領域sd1は、1つのソース線SLに接続されている。また、同様に、ドレインとして機能させる方のメモリソース・ドレイン領域sd1は、1つのデータ線DLに接続されている。
【0035】
また、2次元マトリクス状に配置した複数の不揮発性メモリセルNVMaのバックゲートは、素子用pウェルpw1に接続されている。
【0036】
ここで、図2中のセル領域c01およびセル領域c02の不揮発性メモリセルNVMaに、書き込み動作を施す方法を説明する。当該セル領域c01,c02に通電するためのワード線WLにはゲート電圧Vgとして6.5Vを印加し、同ソースおよびデータ線SL,DLにはソースおよびドレイン電圧Vs,Vdとして−6Vを印加する。また、バックゲートには、基板電圧Vsubとして−6Vを印加する。このような書き込み状態にあるセル領域c01,c02の不揮発性メモリセルNVMaの説明図を図3に示す。
【0037】
メモリゲート電極MG1には6.5Vのゲート電圧Vgが印加され、MIS構造としての不揮発性メモリセルNVMaはオン状態となる。言い換えれば、メモリゲート絶縁膜MI1下の素子用pウェルpw1表面には反転層が形成され、電子eが潤沢に生じる。また、チャネル領域に導通するメモリソース・ドレイン領域sd1には、いずれも−6Vのソースおよびドレイン電圧Vs,Vdが印加されている。従って、メモリゲート電極MG1とチャネル領域との間には、12.5Vの電位差が生じることになる。特に、チャネル領域に生じた電子eから見れば、メモリゲート電極MG1方向に正の電位となっており、この電位差に引かれて、電子eがメモリゲート絶縁膜MI1に注入される。
【0038】
上述のように、n型MISトランジスタである不揮発性メモリセルNVMaにおいて、メモリゲート絶縁膜MI1が電子eの注入により負に帯電した場合、オン状態とするためには、通常よりも高いゲート電圧Vgを要する。より詳しくは、n型MISトランジスタでは、正のゲート電圧Vgによってチャネル領域を強反転させて電子eを発生させる。従って、メモリゲート絶縁膜MI1が負に帯電した場合、正のゲート電圧Vgがチャネル領域に及ぼす電界効果は緩和される。即ち、上記のような不揮発性メモリNVMaでは、メモリゲート絶縁膜MI1への電子eの注入によって、閾値電圧Vthが上昇する。この状態を、書き込み状態とする。
【0039】
なお、上記図2に示すように、書き込み動作を施すメモリセルと同じワード線WLに接続されるメモリセルのうち、書き込み動作を施さないものには、ソースおよびデータ線SL,DLに、ソースおよびドレイン電圧Vs,Vdとして1.5Vを印加しておく。また、書き込み動作を施すメモリセルと同じソースおよびデータ線SL,DLに接続されるメモリセルのうち、書き込み動作を施さないものには、ワード線WLにゲート電圧Vgとして−6Vを印加しておく。
【0040】
次に、図4中のセル領域c03の不揮発性メモリセルNVMaに、消去動作を施す方法を説明する。当該セル領域c03に通電するためのワード線WLにはゲート電圧Vgとして−4.5Vを印加し、同ソースおよびデータ線SL,DLにはソースおよびドレイン電圧Vs,Vdとして6.5Vを印加する。また、バックゲートには、基板電圧Vsubとして6.5Vを印加する。このような消去状態にあるセル領域c03の不揮発性メモリセルNVMaの説明図を図5に示す。
【0041】
メモリゲート電極MG1には−4.5Vのゲート電圧Vgが印加され、素子用pウェルpw1には6.5Vの基板電圧Vsubが印加されている。これにより、両者間に11Vの電位差が生じることになる。特に、メモリゲート絶縁膜MI1に注入された電子eから見れば、素子用pウェルpw1方向に正の電位となっており、この電位差に引かれて、電子eがメモリゲート絶縁膜MI1から放出される。同様に、素子用pウェルpw1中の正孔(ホール)hがメモリゲート絶縁膜MI1に注入される。このように、上記のようなバイアス条件下で、メモリゲート絶縁膜MI1には電子eの放出または正孔hの注入が起こり、正に帯電することになる。n型MISトランジスタである不揮発性メモリセルNVMaにおいて、メモリゲート絶縁膜MI1が正に帯電した場合、上記の書き込み動作とは逆に、閾値電圧が低下する。この状態を、消去状態とする。
【0042】
なお、上記図4に示すように、消去動作を施さないメモリセルに接続されるワード線WLには、ゲート電圧Vgとして6.5Vを印加しておく。これにより、同じ6.5Vの基板電圧Vsubが印加される素子用pウェルpw1と、メモリゲート電極MG1との間には電位差が生じず、電荷の移動は生じない。
【0043】
以上のようにして、2次元マトリクス状に配置した不揮発性メモリセルNVMaへの書き込み動作、消去動作を施す。ここでは、メモリゲート絶縁膜MI1への電荷の授受によって閾値電圧Vthを変化させることで、不揮発性メモリセルNVMaの記憶状態を実現している。そして、不揮発性メモリセルNVMaをn型MISトランジスタとして動作させ、所定のゲート電圧Vgを印加したときのソース・ドレイン間電流値を測定することで、閾値電圧Vthの大小を判別する。このようにして、不揮発性メモリセルNVMaの記憶状態を読み出すことができる。
【0044】
一方、本発明者の更なる検討によれば、上記のような不揮発性メモリセルNVMaの動作方法に関して、上記図2および図3を用いて説明した書き込み動作において、以下のような課題を有することが分かった。
【0045】
図6に示すように、2次元マトリクス状に配置した不揮発性メモリセルNVMaへの書き込み動作に際しては、書き込み動作を施すセル領域c01,c02とは、ワード線WLを共有せず、かつ、ソースおよびデータ線SL,DLをも共有しないセル領域c04,c05が存在する。このセル領域c04,c05の不揮発性メモリセルNVMaには、上述のように、ワード線WLを通じて−6Vのゲート電圧Vgが印加され、ソースおよびデータ線SL,DLを通じて、1.5Vのソースおよびドレイン電圧Vs,Vdが印加され、ている。このようなバイアス条件下にあるセル領域c04,c05の不揮発性メモリセルNVMaの説明図を図7に示す。
【0046】
上記のようなバイアス条件下では、メモリゲート電極MG1と素子用pウェルpw1とは共に−6Vの電圧が印加され、両者間には電位差が無く、メモリゲート絶縁膜MI1では電荷の授受は起こらないと考えられる。しかしながら、本発明者が検討した以下のような現象により、実際にはメモリゲート絶縁膜MI1に電荷の授受が起こる。
【0047】
n型メモリエクステンション領域xn1には、メモリソース・ドレイン領域sd1を通じて1.5Vの電圧が印加されており、素子用pウェルpw1には−6Vの電圧が印加されている。この状態では、当該pn接合には7.5Vという逆方向バイアスがかけられていることになる。このように高い逆方向バイアスが印加されたpn接合では、特に接合付近において、電界集中によって電子正孔対が生成し得る。生成した電子正孔対のうち、電子eはソースまたはドレイン電圧Vs,Vdに引かれて輸送され、接合リーク電流となる。
【0048】
一方、正孔hは負電圧であるゲート電圧Vg、または、これと同じ大きさの負電圧である基板電圧Vsubに引かれる。そして、メモリゲート電極MG1に引かれる正孔hの一部は、メモリゲート絶縁膜MI1に注入され得る。このような正孔hのメモリゲート絶縁膜MI1への注入は、上述の消去動作と同様である。即ち、書き込み動作中において、その動作対象ではない不揮発性メモリセルNVMaにおいて、意図していない消去動作が施されてしまうことが分かった。ただし、上述の正常な消去動作と比べれば電界は緩く、メモリゲート絶縁膜MI1に注入される正孔hの量も少ない。しかしながら、書き込み動作ごとに起こる現象であり、書き込み動作回数の積算に伴って、注入された正孔hが蓄積する。これにより、消去動作を施していない不揮発性メモリセルNVMaの閾値電圧Vthが、消去状態にまで低下するという現象が確認された。これは、誤消去またはデータディスターブ現象という。結果として、上記のような不揮発性メモリセルNVMaを有する半導体装置において、信頼性が低下するという課題が見出された。
【0049】
上記のような課題を解決し得る、本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMの構造を、図8を用いて説明する。本実施の形態1の半導体装置が有する不揮発性メモリセルNVMの構造および動作方法などは、下記の点を除いて、上記図1〜図7を用いて説明した不揮発性メモリセルNVMaと同様である。
【0050】
本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMは、n型メモリエクステンション領域xn1の配置に関して、上記図1で説明した不揮発性メモリセルNVMaと異なる。本発明者が検討した上記図1の不揮発性メモリセルNVMaでは、n型メモリエクステンション領域xn1は、メモリゲート電極MG1と平面的に重なる部分を有する。これに対して、本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMでは、n型メモリエクステンション領域xn1とメモリゲート電極MG1との平面的に重なる部分が小さい。この様な構造とすることで、上記図6および図7で説明したような、n型メモリエクステンション領域xn1と素子用pウェルpw1との接合部における電界集中が緩和され、電子正孔対の生成を抑制し易い構造とすることができる。これにより、所望の動作を施さない不揮発性メモリセルNVMでの誤消去を、より起こし難くすることができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0051】
更に、n型メモリエクステンション領域xn1とメモリゲート電極MG1とが平面的に重なる部分を持たず、かつ、n型メモリエクステンション領域xn1とメモリゲート電極MG1とは、離れていない方がより好ましい。即ち、n型メモリエクステンション領域xn1とメモリゲート電極MG1との端部の位置が、平面的に見て同じ位置となるように配置される方が、より好ましい。なぜなら、不揮発性メモリセルNVMをMISトランジスタとして動作させる際に、チャネル領域の反転層は、メモリゲート電極MG1の直下に形成される。このとき、n型メモリエクステンション領域xn1がメモリゲート電極MG1から離れていると、反転層に電気的に接続できず、抵抗値が増加する。結果として、素子の駆動力が低下してしまう。従って、n型メモリエクステンション領域xn1の端部を、メモリゲート電極MG1の端部と平面的に同じ位置に配置させることで、電流駆動力を低下させることなく、誤消去を起こし難くすることができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性をより向上させることができる。
【0052】
以下では、本実施の形態1の半導体装置が有する不揮発性メモリセルNVMの製造方法を説明する。本実施の形態1の半導体装置は、シリコン基板(半導体基板)1の主面に複数の不揮発性メモリセルNVMを有し、以下では、そのうちの一つの不揮発性メモリセルNVMを形成する工程を代表して説明する。なお、工程中に用いる構成要素のうち、上記図1〜図8の中で説明したものは、特筆しない限り、その態様は同様であるとし、重複した説明は省略する。
【0053】
まず、図9に示すように、シリコン基板1の主面s1側に、n型の半導体領域である分離用nウェルnw1を形成する。これには、シリコン基板1に対してドナーとなる不純物イオンをイオン注入法によって導入し、その後、熱処理を施すことで不純物を拡散および活性化することで、当該半導体領域を形成する。以下、半導体領域の形成方法に関しては同様である。ただし、p型の半導体領域をイオン注入法および熱処理によって形成する際には、シリコン基板1に対してアクセプタとなる不純物イオンを注入する。続いて、シリコン基板1の主面s1側に、分離用nウェルnw1よりも深さが浅くなるようにして、p型の半導体領域である素子用pウェルpw1を形成する。
【0054】
ここで、分離用nウェルnw1と素子用pウェルpw1とを形成するための熱処理は、同一の工程で施しても良いし、他の加熱を伴う工程(例えば、熱酸化など)と共有させても良い。こうすることで、工程数を削減できる。以下、イオン注入工程後には必ず熱処理工程を要するが、これらに関しても、特筆しない限り同様とする。
【0055】
また、図には示さないが、シリコン基板1の主面s1上に、他の周辺回路などを形成し、これらの素子を主面s1上で絶縁分離する必要がある場合は、分離部を形成しても良い。
【0056】
その後、後にチャネル領域となるシリコン基板1の主面s1の不純物濃度を調整するために、シリコン基板1の主面s1に対してイオン注入を施す。チャネル領域の不純物濃度は、主に、MISトランジスタの閾値電圧のパラメータとなる。例えば、n型MISトランジスタであれば、チャネル領域のp型不純物濃度が低いほど、閾値電圧は低下する。上述のように、本実施の形態1の不揮発性メモリNVMの動作にとって閾値電圧は主要なパラメータであるから、その特性に要求される閾値電圧に調整する。そのために、本工程によって上述のイオン注入を施す。
【0057】
続いて、シリコン基板1の主面s1に、シリコン基板1に近い方から順に、下部バリア膜bb1、電荷蓄積膜st1、および、上部バリア膜bt1を形成する。ここでは、上述のように、下部バリア膜bb1および上部バリア膜bt1として酸化シリコン膜を形成する。これらは、熱酸化法や化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法によって形成する。また、電荷蓄積膜st1として窒化シリコン膜を形成する。これは、CVD法によって形成する。ただし、電荷蓄積膜st1としては、ハフニウムシリケート(HfSiO)、ハフニウムアルミネート(HfAlO)、酸化ハフニウム(HfO)、または、酸化アルミニウム(Al)などを主体とする絶縁膜を形成しても良い。この場合にも、CVD法によって形成する。
【0058】
その後、上部バリア膜bt1を覆うようにして、第1導体膜E1を形成する。第1導体膜E1としては、多結晶シリコンを主体とする半導体膜(以下、単に多結晶シリコン膜)を形成し、形成後に所望の導電型となるようにイオン注入法などにより不純物を導入することで導体化する。ここでは、第1導体膜E1としての多結晶シリコン膜はCVD法などによって形成し、その後、ドナーとなる不純物を導入することでn型導電型化する。
【0059】
次に、図10に示すように、第1導体膜E1を加工してメモリゲート電極(第1ゲート電極)MG1を形成する。ここでは、フォトリソグラフィ法などによって形成したフォトレジスト膜(図示しない)をエッチングマスクとして、第1導体膜E1の不要部分に異方性エッチングを施し、除去する。続いて、同様にして、上部バリア膜bt1、電荷蓄積膜st1、および、下部バリア膜bb1を加工してメモリゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)MI1を形成する。以上の工程により、シリコン基板1の主面s1に、メモリゲート絶縁膜MI1を隔ててメモリゲート電極MG1を形成したことになる。
【0060】
ここで、上記の工程では、メモリゲート絶縁膜MI1として、下部バリア膜bb1(酸化シリコン膜)、電荷蓄積膜st1(窒化シリコン膜)、および、上部バリア膜bt1(酸化シリコン膜)からなるONO構造の絶縁膜を形成する工程を説明した。ここで、本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMとしては、メモリゲート絶縁膜MI1として、電荷を蓄積する機能を有する膜であれば良い。例えば、上記ONO構造の絶縁膜を形成した構造とは異なり、フローティング状態の導体膜を形成しても良い。
【0061】
ただし、本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMの形成工程では、上記のようなONO構造のメモリゲート絶縁膜MI1を形成する方が、より好ましい。なぜなら、ONO構造の絶縁膜に対して電荷を授受するためのゲート電圧Vg(上記図3などを参照)は、フローティング状態の導体膜に対して電荷を授受するためのゲート電圧よりも低くできるからである。これにより、不揮発性メモリを有する半導体装置において、メモリ面積の縮小や、信頼性向上などの効果がもたらされる。
【0062】
次に、図11に示すように、シリコン基板1の主面s1とメモリゲート電極MG1とを覆うようにして、第1保護膜pt1を形成する。ここでは、第1保護膜pt1として、酸化シリコン膜を形成する。続いて、シリコン基板1の主面s1のうち、メモリゲート電極MG1の側方下部の領域に、イオン注入dp01を施すことで、n型の不純物イオンを注入する。このイオン注入dp01が施されたシリコン基板1の主面s1の領域を、n型イオン注入領域n1と記す。
【0063】
本工程では、シリコン基板1上において、メモリゲート電極MG1を埋め込まないようにして、第1保護膜pt1を形成する。言い換えれば、シリコン基板1上において、メモリゲート電極MG1の外形に沿う面を有するようにして第1保護膜pt1を形成する。これにより、第1保護膜pt1は、メモリゲート電極MG1の側壁に沿った面を有する形状となるように形成する。
【0064】
そして、イオン注入dp01では、注入する不純物イオンが、シリコン基板1の主面s1から見た第1保護膜pt1の厚さを透過し、メモリゲート電極MG1の厚さは透過しないようなエネルギー条件で、イオン注入dp01を施す。言い換えれば、第1保護膜pt1は透過膜となり、メモリゲート電極MG1はイオン注入マスクとなるようにして、イオン注入dp01を施す。
【0065】
ここで、上述のように、第1保護膜pt1は、メモリゲート電極MG1の側壁に沿った面を有するように形成している。即ち、第1保護膜pt1のうち、メモリゲート電極MG1の側壁部においては、シリコン基板1の主面s1から見た厚さが、メモリゲート電極MG1の厚さと同程度以上になっている。従って、シリコン基板1の主面s1に上記のようなイオン注入dp01を施した場合、メモリゲート電極MG1に加え、その側壁部を覆う部分の第1保護膜pt1もイオン注入マスクとなる。
【0066】
これにより、n型イオン注入領域n1の端部は、シリコン基板1の主面s1を平面的に見て、メモリゲート電極MG1の端部から離れて形成されることになる。より詳しくは、以下の通りである。図12は、上記図11におけるメモリゲート電極MG1の側方端部付近の要部p01を拡大して示した拡大図である。上記のように第1保護膜pt1を適用してイオン注入dp01を施すことで、シリコン基板1の主面s1を平面的に見て、メモリゲート電極MG1の側壁から、第1保護膜pt1の厚さt01の分だけ離れた位置にイオン注入dp01が施されることになる。このようにして、メモリゲート電極MG1から、第1保護膜pt1の厚さt01の分だけ離れた位置にオフセットさせて、n型イオン注入領域n1を形成する。
【0067】
次に、図13に示すように、第1保護膜pt1をエッチングなどにより除去する。その後、熱処理によって、n型イオン注入領域n1として導入した不純物イオンを拡散および活性化させることで、n型メモリエクステンション領域(第1半導体領域)xn1を形成する。
【0068】
以上のように第1保護膜pt1を適用して、n型メモリエクステンション領域xn1を形成した場合、適用せずに形成した場合よりも、n型メモリエクステンション領域xn1とメモリゲート電極MG1との平面的な重なり領域がより小さくなる。これにより、上記図8を用いて説明した効果を有する本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMを形成することができる。即ち、上記図7を用いて説明したn型メモリエクステンション領域xn1への電界集中を緩和させ、誤消去動作を起こし難くすることができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0069】
更に、上記図8では、メモリゲート電極MG1の端部とn型メモリエクステンション領域xn1の端部とは、平面的に見て同じ位置に配置される方がより好ましいことを説明した。即ち、上記図13で説明した工程では、不純物イオンを注入したn型イオン注入領域n1がシリコン基板1の主面s1を平面的に見て、メモリゲート電極MG1の端部である側壁部に達する位置まで拡散するようにして熱処理を施す方が、より好ましい。これによって、上記図8を用いて説明した効果を有する本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMを形成することができる。即ち、電流駆動力を低下させることなく、誤消去を起こし難い構造を形成することができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性をより向上させることができる。
【0070】
なお、上記図11で説明したような、第1保護膜pt1を適用せずにイオン注入dp01を施す場合、イオン注入dp01を終えた時点で、既に、n型イオン注入領域n1の端部はメモリゲート電極MG1の端部と平面的に同じ位置に配置されることになる。そして、イオン注入dp01の後には、少なくともn型イオン注入領域n1を活性化する必要があるから、熱処理は必須工程である。従って、n型イオン注入領域n1は、熱処理によってメモリゲート電極MG1の下部にまで拡散する。即ち、第1保護膜pt1を適用しない工程では、メモリゲート電極MG1とn型メモリエクステンション領域xn1とが平面的に重ならない構造を形成するのは困難である。
【0071】
また、上記図12を用いて説明したように、n型イオン注入領域n1は、メモリゲート電極MG1の端部である側壁から、第1保護膜pt1の厚さt01の分だけ離れて形成される。n型イオン注入領域n1のメモリゲート電極MG1の端部からのオフセット量は、後に熱処理によって拡散させる距離となる。ここで、熱拡散は等方的であるから、n型イオン注入領域n1は、平面方向と同様に深さ方向にも拡散して、n型メモリエクステンション領域xn1を形成する。従って、上記の初期オフセット量は、不揮発性メモリセルNVMの特性にとって重要な設定値である。
【0072】
この観点から、本発明者の検証によれば、第1保護膜pt1の厚さは、10〜20nm程度であることが、より好ましい。なぜなら、第1保護膜pt1が10nmよりも薄いと、工程中の種々の熱処理の影響を受けて、n型イオン注入領域n1がメモリゲート電極MG1の下部まで拡散し、明確な効果が得難くなる。また、第1保護膜pt1が20nmよりも厚いと、平面方向への熱拡散に相等する深さ方向への拡散が過剰になり、n型メモリエクステンション領域xn1としての本来の機能的な要求に応えられなくなる。従って、本実施の形態1の製造方法では、第1保護膜pt1の厚さは10〜20nmとする方が、より好ましい。
【0073】
また、上記のように第1保護膜pt1の厚さを10〜20nmとした場合、この第1保護膜pt1を透過させ、かつ、n型イオン注入領域n1を所望の深さとするためには、イオン注入dp01として、リンまたはヒ素イオンを20〜40keVで注入することが好適であることを、本発明者が検証している。
【0074】
また、本実施の形態1の製造方法では、第1保護膜pt1は、メモリゲート電極MG1に対して、n型イオン注入領域n1を形成する位置にオフセットを設けることを目的として形成する。従って、この目的からは、その材料は酸化シリコン膜に限定されない。しかし、上記図13で説明したように、第1保護膜pt1は除去する必要がある。このとき、多結晶シリコンからなるメモリゲート電極MG1や、シリコン基板1などに対して、選択的にエッチングできることが望ましい。この観点から、本実施の形態1の製造方法では、第1保護膜pt1として酸化シリコン膜を形成する方が、より好ましい。
【0075】
続く工程では、図14に示すように、メモリゲート電極MG1の側壁を覆うようにして、酸化シリコン膜からなるサイドウォールスペーサswを形成する。また、上述のように、サイドウォールスペーサswとしては、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜としても良い。これには、まず、メモリゲート電極MG1を覆うようにして、所望の絶縁膜を熱酸化法またはCVD法などによって堆積する。その後、堆積膜にエッチバックを施すことで、段差部であるメモリゲート電極MG1の側壁部に堆積膜を残し、他を除去する。このようにして、サイドウォールスペーサswを形成する。
【0076】
その後、メモリゲート電極MG1、サイドウォールスペーサswをイオン注入マスクとして、シリコン基板1の主面にイオン注入を施すことで、サイドウォールスペーサswの側方下部にメモリソース・ドレイン領域sd1を形成する。
【0077】
以上のようにして、本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMをシリコン基板1上に形成することができる。その後、層間絶縁膜やコンタクトプラグ、または、配線金属を形成し、複数のメモリセルや周辺回路素子などを結線することで、所望の回路構成を形成する。
【0078】
本発明者は、本実施の形態1の製造方法で形成した不揮発性メモリセルNVMの効果を検証した。上記図6のセル領域c04,c05に属するメモリセルにおいて、上記図7のバイアス状態を続けたときの、閾値電圧の時間変化を検査した。その結果を図15に示す。横軸には経過時間、縦軸には閾値電圧を取っている。
【0079】
初期状態では書き込みを受けたメモリセルでは、閾値電圧Vthは高い値となっている。その後、上記図6のセル領域c04,c05では、いかなるメモリ動作も起こらないようなバイアス条件としているが、上述の誤消去動作が生じる。これにより、メモリゲート絶縁膜MI1には正孔hが注入され、時間経過と共に閾値電圧Vthが低下していく。
【0080】
図15のうち、本実施の形態1の製造方法によって形成した不揮発性メモリセルNVMの特性を、特性r01として示す。一方、本発明者が事前に検討した方法により形成した、上記図1で説明したような不揮発性メモリセルNVMaの特性を、特性r02として示す。図のように、本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMの特性r01の方が、時間経過に伴う閾値電圧Vthの低下は緩やかである。このように、本実施の形態1の製造方法による効果が、本発明者によって検証された。
【0081】
次に、上記で説明した本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMを2次元マトリクス状に配置したメモリにおいて、より効果的な動作方法について説明する。図16は、2次元マトリクス状に配置した複数の不揮発性メモリセルNVMに対して、書き込み動作時の電圧印加方法を示している。例えば、本発明者の事前の検討によれば、書き込み動作を施すセル領域c01,c02には、上記図2、図6で説明したような電圧印加方法がある。本実施の形態1の電圧印加方法においても、書き込み動作を施すセル領域c01,c02に対しては、同様の電圧印加方法とする。
【0082】
ここで、上述のように、書き込み動作を施さないセル領域c04,c05では、誤消去動作が起こり得る。これは、上記図7で説明したように、n型メモリエクステンション領域xn1と素子用pウェルpw1との接合部において、電界集中により生じる電子正孔対のうちの正孔hがメモリゲート電極MG1の負のゲート電圧Vgに引かれて、メモリゲート絶縁膜MI1に注入されることに起因している。上記で説明した本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMによれば、この電界集中を緩和させ、誤消去が起こり難い構造とすることができる。
【0083】
ここでは、更に、セル領域c04,c05の不揮発性メモリセルNVMに印加するゲート電圧Vgを以下のようにすることで、より効果的に誤消去を抑制することができる。即ち、書き込み動作を施さない不揮発性メモリセルNVMのうち、書き込み動作を施すセル領域c01,c02とワード線WLを共有しないセル領域c04,c05のワード線WLには、ゲート電圧Vgとして−5Vの電圧を印加する。これは、上記図7で説明したバイアス条件と比較して、該当セル領域c04,c05のゲート電圧Vg(上記では−6V)を正方向に1V変化させたことに相等する。
【0084】
上記のような電圧印加条件とすることで、図17に示すように、生成した電子正孔対のうちの正孔hから見たメモリゲート電極MG1の負電界が弱まり、メモリゲート絶縁膜MI1への正孔hの注入が減少する。更に、素子用pウェルpw1には、メモリゲート電圧Vg(−5V)よりも高い負電圧である基板電圧Vsub(−6V)が印加されているから、正孔hはメモリゲート電極MG1よりも素子用pウェルpw1側に輸送し易くなる。従って、メモリゲート絶縁膜MI1への正孔hの注入はより減少する。以上のように、書き込み動作を施さないセル領域c04,c05に対してのバイアス条件を設定することで、不揮発性メモリセルNVMへの誤消去はより起こりにくくなる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性をより向上させることができる。
【0085】
本発明者は、上記図15を用いて説明した方法と同様にしてこの効果を検証した。その結果を図18に示す。本実施の形態1の不揮発性メモリセルNVMを用い、上記図16、図17のバイアス条件で電圧を印加した場合の、経過時間における閾値電圧Vthの変化を特性r03として示す。図のように、閾値電圧Vthの低下が改善された特性r02(上記図15にて詳説)と比較して、本特性r03では、更に、閾値電圧Vthの低下が抑制されている。このように、本実施の形態1の電圧印加方法による効果が、本発明者によって検証された。
【0086】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、上記実施の形態1で説明した不揮発性メモリセルNVMの形成方法として、周辺回路に適用されるMISトランジスタ(電界効果トランジスタ)を形成する工程を共有しながら不揮発性メモリセルNVMを形成する方法を説明する。本実施の形態2の半導体装置が有する不揮発性メモリセルNVMの構成やその効果などは、上記実施の形態1で上記図8などを用いて説明したものと同様であり、ここでの重複した説明は省略する。本実施の形態2の半導体装置の製造方法を、図19〜図35を用いて説明する。
【0087】
図19は本実施の形態2の半導体装置の製造工程中を示す要部断面図であり、左側に不揮発性メモリセルを形成する領域を示し、右側に周辺回路に適用するMISトランジスタを形成する領域を示す。なお、周辺回路に適用するMISトランジスタとしては、nチャネル型とpチャネル型とのMISトランジスタに対し、それぞれ、高速用途(低耐圧)と高耐圧用途(低速)とで、合計4種類のMISトランジスタの形成工程を示す。図中では、シリコン基板1上において、不揮発性メモリセルを形成する領域をメモリ領域Rmと示す。同じく、高速用途のn型MISトランジスタを形成する領域を高速nMIS領域Rsn、高速用途のp型MISトランジスタを形成する領域を高速pMIS領域Rsp、高耐圧用途のn型MISトランジスタを形成する領域を高耐圧nMIS領域Rvn、高耐圧用途のp型MISトランジスタを形成する領域を高耐圧pMIS領域Rvpと示す。
【0088】
まず、上記図9で説明した工程と同様にして、シリコン基板1の主面s1全面に分離用nウェルnw1を形成し、メモリ領域Rmに素子用pウェルpw1を形成する。その後、浅い溝に絶縁膜を埋め込んだ、所謂STI(Shallow Trench Isolation)構造の分離部2を形成する。
【0089】
続いて、シリコン基板1の主面s1にフォトレジスト膜3を形成し、メモリ領域Rm以外のシリコン基板1の主面s1を覆うように、フォトリソグラフィ法などによってパターニングする。そして、フォトレジスト膜3をイオン注入マスクとしてイオン注入dp02を施すことで、メモリ領域Rmのシリコン基板1の主面s1に不純物イオンを注入する。これは、メモリ領域Rmに形成する不揮発性メモリのチャネル濃度を調整するための工程である。イオン注入dp02工程後、熱処理を施すことで注入した不純物を拡散および活性化する。この熱処理工程は、本イオン注入dp02直後に施しても良いが、他の熱処理工程を共有して施しても良い。以下、特筆しない限り、イオン注入後の不純物拡散および活性化のための熱処理は同様である。また、以下の各種工程においてマスクとして用いるフォトレジスト膜は、フォトリソグラフィ法によってパターニングする。
【0090】
次に、図20に示すように、シリコン基板1の主面s1上に、各MIS領域Rsn,Rsp,Rvn,Rvpのうち所望の領域において開口し、メモリ領域Rmを含む他の領域を覆うようなフォトレジスト膜4を形成する。そして、フォトレジスト膜4をイオン注入マスクとしてイオン注入dp03を施し、後に熱処理を施すことで、開口部のシリコン基板1の主面s1にnウェルnwsなどを形成する。更に、同じイオン注入マスクで他のイオン注入を施すことでチャネル濃度を調整するための不純物を注入する。図では、高速pMIS領域Rspにおいて開口したフォトレジスト膜4を形成し、当該領域Rspにnウェル領域nwsを形成する工程を示している。
【0091】
本工程の前には、同様の方法で高耐圧nMIS領域Rvnにpウェルpwv、および、高耐圧pMIS領域Rvpにnウェルnwvを形成し、それぞれ、チャネル濃度調整用のイオン注入を施している。また、本工程の後には、同様の方法で高速nMIS領域Rsnにpウェルpws(下図21参照)を形成し、チャネル濃度調整用のイオン注入を施す。なお、これらnウェルnws,nwvやpウェルpws,pwvを形成する順番は上記に限定されるものではなく、入れ替えても良い。
【0092】
次に、図21に示すように、シリコン基板1の主面s1に熱酸化法などによって酸化シリコン膜5を形成する。この酸化シリコン膜5は、後の加工によって高耐圧用途のMISトランジスタのゲート絶縁膜とするものである。従って、続く工程では、高速nMIS領域Rsnおよび高速pMIS領域Rspの酸化シリコン膜5を除去する。まず、両高速MIS領域Rsn,Rspにおいて開口するようなフォトレジスト膜6を形成する。続いて、フォトレジスト膜6をエッチングマスクとして、両高速MIS領域Rsn,Rspの酸化シリコン膜5をエッチングなどにより除去する。
【0093】
次に、図22に示すように、シリコン基板1の主面s1に熱酸化法などによって、再度、酸化シリコン膜5を形成する。ここで、前の工程によって、両高耐圧MIS領域Rvn,Rvpにおいては既に酸化シリコン膜5が形成され、両高速MIS領域Rsn,Rspにおいてはこの酸化シリコン膜5を除去している。従って、本工程によって、両高耐圧MIS領域Rvn,Rvpに形成する酸化シリコン膜5は、両高速MIS領域Rsn,Rspに形成する酸化シリコン膜5よりも厚くなる。本工程では、高速用途のMISトランジスタに要求されるゲート絶縁膜厚の分だけ酸化シリコン膜5を形成する。そして、上記図21の工程では、本図22の工程と併せた酸化シリコン膜5の厚さが、高耐圧用途のMISトランジスタに要求されるゲート絶縁膜厚となるように、酸化シリコン膜5を形成する。
【0094】
続いて、酸化シリコン膜5を覆うようにして、CVD法などによって多結晶シリコン膜7を形成する。この多結晶シリコン膜7は、後の加工によって周辺回路用途のMISトランジスタのゲート電極とするものである。従って、続く工程では、メモリ領域Rmの多結晶シリコン膜7を除去する。まず、シリコン基板1の各MIS領域Rsn,Rsp,Rvn,Rvpの主面s1を覆うようにして、フォトレジスト膜8を形成する。そして、このフォトレジスト膜8をエッチングマスクとして、メモリ領域Rmの多結晶シリコン膜7にエッチングを施し、これを除去する。続けて、同フォトレジスト膜8をエッチングマスクとして、メモリ領域Rmの酸化シリコン膜5にエッチングを施し、これを除去する。
【0095】
次に、図23に示すように、シリコン基板1の主面s1全面に、下部バリア膜bb1、電荷蓄積膜st1、および、上部バリア膜bt1を形成する。それぞれ、上記図9で説明した工程と同様にして形成する。このとき、前工程で、メモリ領域Rmにおいてはシリコン基板1の主面s1が露出するように加工していたが、各MIS領域Rsn,Rsp,Rvn,Rvpにおいては酸化シリコン膜5を介して多結晶シリコン膜7が形成されている。従って、本工程では、メモリ領域Rmにおいてはシリコン基板1の主面s1上に、各MIS領域Rsn,Rsp,Rvn,Rvpにおいては、多結晶シリコン膜7上に、下部バリア膜bb1、電荷蓄積膜st1、および、上部バリア膜bt1が形成される。
【0096】
続いて、シリコン基板1の主面s1全面に、上部バリア膜bt1を覆うようにして、第1導体膜E1を形成する。この第1導体膜E1は、上記図9で説明した工程と同様にして形成する。
【0097】
上記図9を用いて説明したように、本工程で形成した第1導体膜E1は、後の工程で不揮発性メモリのメモリゲート電極となるものである。従って、続く工程では、第1導体膜E1に対して、イオン注入dp04不純物イオンを注入し、所望の導電型にする。なお、ここでは、イオン注入マスクなどは用いずに、第1導体膜E1全体に同様のイオン注入dp04を施す。
【0098】
次に、図24に示すように、上記図10の工程と同様に第1導体膜E1を加工して、メモリゲート電極(第1ゲート電極)MG1を形成する。ここでは、第1導体膜E1のうち、メモリゲート電極MG1として残したい部分を覆うようにパターニングしたフォトレジスト膜9を形成し、これをエッチングマスクとして第1導体膜E1にエッチングを施す。その後、フォトレジスト膜9を除去する。
【0099】
次に、図25に示すように、メモリゲート電極MG1に覆われていない部分の上部バリア膜bt1、電荷蓄積膜st1、および、下部バリア膜bb1を除去することで、これらの絶縁膜からなるメモリゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)MI1を形成する。より具体的には、メモリ領域Rmのシリコン基板1上、および、各MIS領域Rsn,Rsp,Rvn,Rvpの多結晶シリコン膜7上の上記絶縁膜において、メモリゲート電極MG1に覆われていない部分をウェットエッチングなどによって除去することで、メモリゲート絶縁膜MI1を形成する。メモリゲート絶縁膜MI1の態様に関しては、上記図10を用いた説明と同様である。なお、本工程では、各MIS領域Rsn,Rsp,Rvn,Rvpの第1導体膜E1、上部バリア膜bt1、電荷蓄積膜st1、および、下部バリア膜bb1も除去される。即ち、各MIS領域Rsn,Rsp,Rvn,Rvpでは、多結晶シリコン膜7が露出することになる。
【0100】
続いて、各MIS領域Rsn,Rsp,Rvn,Rvpの多結晶シリコン膜7に対して、それぞれ異なるイオン注入dp05などを施す。上述のように、多結晶シリコン膜7は周辺回路用途のMISトランジスタのゲート電極とするものである。本工程は、このMISトランジスタのゲート電極として要求される導電型とするように、各領域の多結晶シリコン膜7にイオン注入dp05などを施す。例えば、n型MISトランジスタのゲート電極はn型導電型化し、p型MISトランジスタのゲート電極はp型導電型化する。
【0101】
図では、例えば、高速および高耐圧nMIS領域Rsn,Rvnにおいて開口するようなパターンのフォトレジスト膜10を形成する。そして、フォトレジスト膜10をイオン注入マスクとして、当該領域Rsn,Rvnの多結晶シリコン膜7にイオン注入dp05を施す。ここでは、n型となる不純物イオンを注入することで、多結晶シリコン7をn型多結晶シリコン7nとする。後の工程では、他のフォトレジスト膜および他のイオン注入によって、同様にして、高速および高耐圧pMIS領域Rsp,Rvpの多結晶シリコン膜7をp型多結晶シリコン7p(下図26参照)とする。なお、これらn型多結晶シリコン7nやp型多結晶シリコン7pを形成する順番は上記に限定されるものではなく、入れ替えても良い。
【0102】
次に、図26に示すように、n型およびp型多結晶シリコン膜7n,7pを加工して、それぞれ、高速nMIS領域Rsnにn型高速用ゲート電極(第2ゲート電極)Gn1、高速pMIS領域Rspにp型高速用ゲート電極(第2ゲート電極)Gp1、高耐圧nMIS領域Rvnにn型高耐圧用ゲート電極(第2ゲート電極)Gn2、高耐圧pMIS領域Rvpにp型高耐圧用ゲート電極(第2ゲート電極)Gp2を形成する。ここでは、まず、n型およびp型多結晶シリコン膜7n,7pのうち、各ゲート電極として残す部分を覆うようにパターニングしたフォトレジスト膜11を形成する。そして、このフォトレジスト膜11をエッチングマスクとして、露出した部分のn型およびp型多結晶シリコン膜7n,7pに対して異方性エッチングを施し、これを除去する。その後、フォトレジスト膜11を除去する。
【0103】
次に、図27に示すように、各ゲート電極Gn1,Gp1,Gn2,Gp2に覆われていない部分の酸化シリコン膜5を、ウェットエッチングなどにより除去する。これにより、両高速MIS領域Rsn,Rspには酸化シリコン膜5からなる高速用ゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)GI1を、また、両高耐圧MIS領域Rvn,Rvpには酸化シリコン膜5からなる高耐圧用ゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)GI2を形成する。
【0104】
以上の工程のようにして、シリコン基板1の主面s1のうち、それぞれ、高速nMIS領域Rsnには高速用ゲート絶縁膜GI1を隔ててn型高速用ゲート電極Gn1、高速pMIS領域Rspには高速用ゲート絶縁膜GI1を隔ててp型高速用ゲート電極Gp1、高耐圧nMIS領域Rvnには高耐圧用ゲート絶縁膜GI2を隔ててn型高耐圧用ゲート電極Gn2、高耐圧pMIS領域Rvpには高耐圧用ゲート絶縁膜GI2を隔ててp型高耐圧用ゲート電極Gp2を形成する。
【0105】
続く工程では、高耐圧nMIS領域Rvnにおいて、n型高耐圧用ゲート電極Gn2の側方下部のシリコン基板1の主面に、n型イオン注入領域n2を形成する。これには、まず、高耐圧nMIS領域Rvnにおいて開口したフォトレジスト膜12を形成し、イオン注入dp06を施す。その際、フォトレジスト膜12に加え、n型高耐圧用ゲート電極Gn2もイオン注入マスクとして機能し、上記の領域にn型イオン注入領域n2を形成できる。
【0106】
次に、図28に示すように、シリコン基板1の主面s1と、各ゲート電極を覆うようにして、第1保護膜pt1を形成する。ここで、各ゲート電極とは、メモリゲート電極MG1、n型およびp型高速用ゲート電極Gn1,Gp1、n型およびp型高耐圧用ゲート電極Gn2,Gp2である。言い換えれば、本工程では、シリコン基板1の主面s1上において、メモリゲート電極MG1と周辺領域のMISトランジスタ用の各ゲート電極Gn1,Gp1,Gn2,Gp2とを覆うようにして、同一の工程で、第1保護膜pt1を形成する。ここでは、上記図11を用いた説明と同様にして、第1保護膜pt1を形成する。
【0107】
続いて、シリコン基板1の主面s1のうちメモリ領域Rmにおいて開口するようにパターニングしたフォトレジスト膜13を形成する。そして、このフォトレジスト膜13をイオン注入マスクとしてイオン注入dp07を施すことで、メモリ領域Rmのシリコン基板1の主面s1にn型となる不純物イオン(第1不純物イオン)を注入し、n型イオン注入領域n1を形成する。
【0108】
ここでは、上記実施の形態1の製造方法、特に、上記図11を用いて説明した方法およびその態様と同様にして、第1保護膜pt1を適用し、かつ、イオン注入dp01と同様のイオン注入dp07によってn型イオン注入領域n1を形成する。即ち、n型イオン注入領域n1とメモリゲート電極MG1とは、この時点で平面的な重なり部分を持たず、第1保護膜pt1の厚さ分だけオフセットして配置されている。その効果についても、上記実施の形態1の説明と同様である。
【0109】
次に、図29に示すように、第1保護膜pt1を、周辺回路のMISトランジスタ用の各ゲート電極Gn1,Gp1,Gn2,Gp2の側壁を覆うように残し、他をエッチングにより除去することで、第1スペーサsp1を形成する。ここでは、第1保護膜pt1に対して、エッチングマスク等を施さずに異方性エッチングを施す、所謂エッチバックを施す。これにより、第1保護膜pt1は、シリコン基板1の主面s1から見た厚さが見かけ上厚い、各ゲート電極Gn1,Gp1,Gn2,Gp2の側壁部に残り、他の部分は除去され、上記の構造の第1保護膜pt1からなる第1スペーサsp1が形成できる。なお、この方法によれば、メモリゲート電極MG1の側壁にも、第1スペーサsp1が形成される。
【0110】
続いて、高速pMIS領域Rspにおいて開口するようなパターンのフォトレジスト14を形成し、これをイオン注入マスクとしてイオン注入dp08を施す。ここでは、p型となる不純物イオン(第2不純物イオン)を注入することで、p型イオン注入領域p1を形成する。このとき、高速pMIS領域Rspでは、p型高速用ゲート電極Gp1がイオン注入マスクとなり、シリコン基板1の主面s1のうちのp型高速用ゲート電極Gp1の側方下部に、イオン注入dp08が施される。更に、本実施の形態2の方法では、p型高速用ゲート電極Gp1の側壁に第1スペーサsp1を形成しており、これもイオン注入マスクとなる。従って、イオン注入dp08によって形成されるp型イオン注入領域p1は、シリコン基板1の主面s1を平面的に見て、p型高速用ゲート電極Gp1と重なる部分を持たず、かつ、第1スペーサの厚さ分だけ離れた位置(オフセットした位置)に形成することになる。
【0111】
比較として、例えば、上記図27の工程で形成したn型イオン注入領域n2を考える。上記図27の工程では、第1スペーサsp1のようなオフセットスペーサを適用せずに、高耐圧nMIS領域Rvnでは、n型高耐圧用ゲート電極Gn2のみをイオン注入マスクとしてイオン注入dp06を施した。従って、イオン注入dp06を施した時点では、n型イオン注入領域n2の端部とn型高耐圧用ゲート電極Gn2の端部の側壁とは、平面的に同じ位置となるように配置している。これに対し、本工程の第1スペーサsp1を施したイオン注入dp08によって、高速pMIS領域Rspに形成したp型イオン注入領域p1は、上記のように、p型高速ゲート電極Gp1とオフセットを有して形成される。
【0112】
また、本図29では、本工程の前に、p型高耐圧用ゲート電極Gp2の側方下部に、上記と同様にして他のp型となる不純物イオン(第2不純物イオン)を注入し、p型イオン注入領域p2を形成した状態を示している。また、本工程の後に、n型高速用ゲート電極Gn1の側方下部に、上記と同様にして他のn型となる不純物イオン(第2不純物イオン)を注入し、イオン注入領域n3(下図30参照)を形成する。なお、これらp型イオン注入領域p1,p2や、n型イオン注入領域n3を形成する順番は上記に限定されるものではなく、入れ替えても良い。
【0113】
次に、図30に示すように、熱処理を施すことによって、上記図28の工程で形成したn型イオン注入領域n1、および、上記図29の工程などで形成したn型およびp型イオン注入領域n2,n3,p1,p2を拡散および活性化させる。これにより、メモリ領域Rmにはn型イオン注入領域n1によるn型メモリエクステンション領域(第1半導体領域)xn1を形成する。また、高速nMIS領域Rsnにはn型イオン注入領域n3によるn型高速用エクステンション領域(第2半導体領域)xn2を形成し、高速pMIS領域Rspにはp型イオン注入領域p1によるp型高速用エクステンション領域(第2半導体領域)xp1を形成する。また、高耐圧nMIS領域Rvnにはn型イオン注入領域n2によるn型高耐圧用エクステンション領域xn3を形成し、高耐圧pMIS領域Rvpにはp型イオン注入領域p2によるp型高耐圧用エクステンション領域(第2半導体領域)xp2を形成する。
【0114】
以上の工程によって、シリコン基板1のうち、それぞれ、メモリ領域Rmに不揮発性メモリセルNVM、高速nMIS領域Rsnに高速n型MISトランジスタ(電界効果トランジスタ)Qsn、高速pMIS領域Rspに高速p型MISトランジスタ(電界効果トランジスタ)Qsp、高耐圧nMIS領域Rvnに高耐圧n型MISトランジスタQvn、高耐圧pMIS領域Rvpに高耐圧p型MISトランジスタ(電界効果トランジスタ)Qvpの基本構成を形成したことになる。
【0115】
ここで、上記図28および図29の工程を終えた時点では、上述のように、メモリ領域Rmにおけるn型イオン注入領域n1とメモリゲート電極MG1との間には平面的にオフセットが生じている。同様に、例えば、高速pMIS領域Rspにおけるp型イオン注入領域p1とp型高速用ゲート電極Gp1との間には平面的にオフセットが生じている。そして、上記図30で説明した熱処理工程を施すことで、各イオン注入領域n1,n3,p1,p2は、各ゲート電極MG1,Gn1,Gp1,Gp2の側壁に近付くように拡散し、各エクステンション領域xn1,xn2,xp1,xp2が形成される。
【0116】
一方、高耐圧nMIS領域Rvnでは、既にn型高耐圧用ゲート電極Gn2とのオフセットが無いようにn型イオン注入領域n2が形成されている。従って、本熱処理工程では、n型高耐圧用ゲート電極Gn2の下部に回りこむようにしてn型イオン注入領域n2が拡散し、n型高耐圧用エクステンション領域xn3が形成される。
【0117】
結果として、例えば、高耐圧nMIS領域Rvnのように、第1保護膜pt1または第1スペーサsp1を適用せずにn型高耐圧用エクステンション領域xn3を形成した場合に比べ、例えば、高速pMIS領域Rspのように、第1スペーサsp1を適用してp型高速用エクステンション領域xp1を形成した場合、ゲート電極との平面的な重なりがより小さくなる。
【0118】
不揮発性メモリセルNVMにおいて、上記のような第1保護膜pt1を適用してn型メモリエクステンション領域xn1を形成することの効果は、上記実施の形態1で説明した通りである。
【0119】
一方、上記のようにして、MISトランジスタの形成工程においてもオフセットスペーサ(第1スペーサsp1)を適用し、エクステンション領域とゲート電極とが平面的に重なる領域を小さくすることも、同様に効果的である。この技術に関しては、例えば、本出願人らが以前に出願した特願2008−47400号に記載されている。
【0120】
そして、本実施の形態2の製造方法によれば、周辺回路としてのMISトランジスタ形成する工程に適用するオフセットスペーサを共用して、上記実施の形態1で説明した効果的な不揮発性メモリセルNVMを形成できる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性をより向上させることができる。また、工程数を削減できる。
【0121】
また、本実施の形態2の製造方法では、不揮発性メモリセルNVMのn型メモリエクステンション領域xn1の形成には第1保護膜pt1を適用した。これに対し、例えば、高速n型MISトランジスタQsnのn型高速用エクステンション領域xn2の形成には、第1スペーサsp1を適用した。ここでは、第1保護膜pt1を、シリコン基板1の厚さ方向にエッチバックすることで第1スペーサsp1を形成しているため、各ゲート電極の側壁から見た厚さはほぼ変わらない。
【0122】
ただし、本実施の形態2の製造方法においては、第1保護膜pt1をエッチバックする際に、異方性エッチングの条件を調整することで、シリコン基板1の主面s1に沿った方向にもややエッチングされるようにして、第1スペーサsp1を形成する方が、より好ましい。これにより、不揮発性メモリセルNVMのn型メモリエクステンション領域xn1の形成に用いる第1保護膜pt1と、例えば、高速n型MISトランジスタQsnのn型高速用エクステンション領域xn2の形成に用いる第1スペーサsp1との厚さを変えることができる。より詳しくは、第1スペーサsp1のp型高速用ゲート電極Gp1の側壁から見た厚さを、第1保護膜pt1のメモリゲート電極MG1の側壁から見た厚さよりも薄くすることができる。このような態様がより効果的であることの理由を以下で説明する。
【0123】
上述のように、不揮発性メモリセルNVMはn型MISトランジスタとして機能し得る。しかし、その動作は、例えばメモリの読み出し動作などとして適用され、周辺回路のn型MISトランジスタとは異なる場合が多い。従って、要求される特性は異なり、MISトランジスタとしての構造も異なる。即ち、不揮発性メモリセルNVMのn型メモリエクステンション領域xn1と、例えば高速n型MISトランジスタQsnのn型高速用エクステンション領域xn2とは、異なる工程によって異なる形状に形成できる方が望ましい。特に、本実施の形態2のようなオフセットスペーサを適用する工程は、より小型化された高性能なMISトランジスタの形成工程に適用される。即ち、不揮発性メモリセルNVMのn型メモリエクステンション領域xn1よりも、例えば高速n型MISトランジスタQsnのn型高速用エクステンション領域xn2の方が、より微細な加工によって形成できる方が、より好ましい。
【0124】
この観点から、上記のように、第1保護膜pt1をn型メモリエクステンション領域xn1の形成工程に適用し、第1保護膜pt1をエッチング加工で薄くした第1スペーサsp1をn型高速用エクステンション領域xn2に適用することで、所望の形状を形成し易くなる。このように、本実施の形態2の製造方法によれば、より高性能なMISトランジスタを周辺回路として形成する工程を適用しつつ、上記実施の形態1で説明したような効果を有する不揮発性メモリセルNVMを形成することができる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の信頼性をより向上させることができる。
【0125】
また、上記図30を用いて説明した工程では、各MIS領域Rsn,Rsp,Rvpのn型およびp型イオン注入領域n3,p1,p2が、シリコン基板1の主面s1を平面的に見て、それぞれ、各ゲート電極Gn1,Gp1,Gp2の側壁に達する位置まで拡散するように熱処理を施して、各エクステンション領域xn2,xp1、xp2を形成する方が、より好ましい。なぜなら、エクステンション領域が少なくともゲート電極下まで達していないと、MISトランジスタのオン動作時にチャネル領域の反転層とエクステンション領域とが接続できず、抵抗値が上がり、電流駆動力が減少してしまう。従って、エクステンション領域をゲート電極下に達するように工程を調整することで、電流駆動力を低下させることなく、上記のような効果を有する半導体装置を形成できる。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の性能をより向上させることができる。
【0126】
また、上記図30を用いて説明した工程では、複数のn型およびp型イオン注入領域n1,n2,n3,p1,p2を拡散および活性化させるための熱処理を、同一の工程によって行うとして説明した。より詳しくは、不揮発性メモリセルNVMのn型メモリエクステンション領域xn1を形成するための熱処理と、例えば高速n型MISトランジスタQsnのn型高速用エクステンション領域xn2を形成するための熱処理とを、同一工程として説明した。ここでは、上述の効果を得るためには、イオン注入によって形成したイオン注入領域を、所望の範囲まで拡散させるような熱処理を施すことが必要な条件であり、その仕様は限定されるものではない。
【0127】
ただし、本実施の形態2の製造方法では、上記のように、複数のn型およびp型イオン注入領域n1,n2,n3,p1,p2を拡散および活性化させることで、それぞれ、複数のエクステンション領域xn1,xn3,xn2,xp1,xp2を形成するための熱処理を同一の工程によって行う方が、より好ましい。なぜなら、こうすることで、熱処理工程を削減でき、他の構成への熱負荷を軽減できるからである。結果として、不揮発性メモリを有する半導体装置の性能をより向上させることができる。
【0128】
続く工程では、図31に示すように、上記図14を用いて説明した工程と同様にして、サイドウォールスペーサswを形成する。ここでは、メモリ領域Rmと周辺の各MIS領域Rsn,Rsp,Rvpとで、異なる仕様のサイドウォールスペーサswを形成しても良い。続いて、上記図14を用いて説明した工程と同様にして、メモリソース・ドレイン領域sd1、周辺n型ソース・ドレイン領域sd2、および、周辺p型ソース・ドレイン領域sd3を形成する。
【0129】
以上のような本実施の形態2の製造方法によって、不揮発性メモリセルNVMを有する半導体装置を形成できる。
【0130】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、例えば、パーソナルコンピュータやモバイル機器等において、情報処理を行なうために必要な半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明者が検討した半導体装置の要部断面図である。
【図2】本発明者が検討した半導体装置の動作を説明するための回路図である。
【図3】図2に示す動作を説明するための説明図とその一部拡大図である。
【図4】本発明者が検討した半導体装置の他の動作を説明するための回路図である。
【図5】図4に示す動作を説明するための説明図とその一部拡大図である。
【図6】本発明者が検討した半導体装置の更に他の動作を説明するための回路図である。
【図7】図6に示す動作を説明するための説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1である半導体装置の要部断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図12】図11に示す半導体装置の製造工程中における要部断面図の一部拡大図である。
【図13】図11に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図15】本発明の実施の形態1である半導体装置の特性を示すグラフ図である。
【図16】本発明の実施の形態1の半導体装置の動作を説明するための回路図である。
【図17】図16に示す動作を説明するための説明図である。
【図18】図17に示す動作を施した半導体装置の特性を示すグラフ図である。
【図19】本発明の実施の形態2である半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【符号の説明】
【0133】
1 シリコン基板(半導体基板)
2 分離部
3,4,6,8〜14 フォトレジスト膜
5 酸化シリコン膜
7 多結晶シリコン膜
bb1 下部バリア膜
bt1 上部バリア膜
c01〜c05 セル領域
DL データ線
dp01〜dp08 イオン注入
e 電子
E1 第1導体膜
GI1 高速用ゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)
GI2 高耐圧用ゲート絶縁膜(第2ゲート絶縁膜)
Gn1 n型高速用ゲート電極(第2ゲート電極)
Gn2 n型高耐圧用ゲート電極(第2ゲート電極)
Gp1 p型高速用ゲート電極(第2ゲート電極)
Gp2 p型高耐圧用ゲート電極(第2ゲート電極)
h 正孔(ホール)
MG1 メモリゲート電極(第1ゲート電極)
MI1 メモリゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)
n1,n2,n3 n型イオン注入領域
nw1 分離用nウェル
nws,nwv nウェル
NVM 不揮発性メモリセル
p1,p2 p型イオン注入領域
pt1 第1保護膜
pw1 素子用pウェル
pws,pwv pウェル
Qsn 高速n型MISトランジスタ(電界効果トランジスタ)
Qsp 高速p型MISトランジスタ(電界効果トランジスタ)
Qvn 高耐圧n型MISトランジスタ
Qvp 高耐圧p型MISトランジスタ(電界効果トランジスタ)
r01〜r03 特性
Rm メモリ領域
Rsn 高速nMIS領域
Rsp 高速pMIS領域
Rvn 高耐圧nMIS領域
Rvp 高耐圧pMIS領域
s1 主面
sd1 メモリソース・ドレイン領域
sd2 周辺n型ソース・ドレイン領域
sd3 周辺p型ソース・ドレイン領域
SL ソース線
sp1 第1スペーサ
st1 電荷蓄積膜
sw サイドウォールスペーサ
Vd ドレイン電圧
Vg ゲート電圧
Vs ソース電圧
Vsub 基板電圧
Vth 閾値電圧
WL ワード線
xn1 n型メモリエクステンション領域(第1半導体領域)
xn2 n型高速用エクステンション領域(第2半導体領域)
xn3 n型高耐圧用エクステンション領域
xp1 p型高速用エクステンション領域(第2半導体領域)
xp2 p型高耐圧用エクステンション領域(第2半導体領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面に複数の不揮発性メモリセルを形成する工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記不揮発性メモリセルを形成する工程は、
(a)前記半導体基板の主面に、第1ゲート絶縁膜を隔てて第1ゲート電極を形成する工程と、
(b)前記半導体基板の主面と前記第1ゲート電極とを覆うようにして、第1保護膜を形成する工程と、
(c)前記半導体基板の主面のうち前記第1ゲート電極の側方下部の領域に、不純物イオンを注入する工程と、
(d)熱処理によって前記不純物イオンを拡散および活性化させることで、第1半導体領域を形成する工程とを有し、
前記(a)工程では、電荷を蓄積する機能を有する前記第1ゲート絶縁膜を形成し、
前記(b)工程では、前記第1ゲート電極の側壁に沿った面を有する形状となるように、前記第1保護膜を形成し、
前記(c)工程では、前記第1ゲート電極およびその側壁を覆う部分の前記第1保護膜をイオン注入マスクとして、前記半導体基板にイオン注入を施すことで、前記不純物イオンを注入し、
前記(c)工程では、前記半導体基板の主面を平面的に見て、前記第1ゲート電極の側壁から、前記第1保護膜の厚さの分だけ離れた位置に、前記不純物イオンを注入することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、10〜20nmの前記第1保護膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記第1保護膜として、酸化シリコンを主体とする絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記(c)工程で前記半導体基板に注入した前記不純物イオンが、前記半導体基板の主面を平面的に見て、前記第1ゲート電極の側壁に達する位置まで拡散するように前記熱処理を施して、前記第1半導体領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程では、電荷を蓄積する機能を有する前記第1ゲート絶縁膜として、前記半導体基板に近い方から順に、下部バリア膜、電荷蓄積膜、および、上部バリア膜を形成し、
前記下部および上部バリア膜として、酸化シリコンを主体とする絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板の主面の異なる領域に、複数の不揮発性メモリセルと、複数の電界効果トランジスタとを形成する工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記不揮発性メモリセルを形成する工程は、
(a)前記半導体基板の主面に、第1ゲート絶縁膜を隔てて第1ゲート電極を形成する工程と、
(b)前記半導体基板の主面と前記第1ゲート電極とを覆うようにして、第1保護膜を形成する工程と、
(c)前記半導体基板の主面のうち前記第1ゲート電極の側方下部の領域に、第1不純物イオンを注入する工程と、
(d)熱処理によって前記第1不純物イオンを拡散および活性化させることで、第1半導体領域を形成する工程とを有し、
前記(a)工程では、電荷を蓄積する機能を有する前記第1ゲート絶縁膜を形成し、
前記(b)工程では、前記第1ゲート電極の側壁に沿った面を有する形状となるように、前記第1保護膜を形成し、
前記(c)工程では、前記第1ゲート電極およびその側壁を覆う部分の前記第1保護膜をイオン注入マスクとして、前記半導体基板にイオン注入を施すことで、前記第1不純物イオンを注入し、
前記(c)工程では、前記半導体基板の主面を平面的に見て、前記第1ゲート電極の側壁から、前記第1保護膜の厚さの分だけ離れた位置に、前記第1不純物イオンを注入し、
前記電界効果トランジスタを形成する工程は、
(e)前記半導体基板の主面に、第2ゲート絶縁膜を隔てて第2ゲート電極を形成する工程と、
(f)前記半導体基板の主面と前記第2ゲート電極とを覆うようにして、前記第1保護膜を形成する工程と、
(g)前記第1保護膜を、前記第2ゲート電極の側壁を覆うように残し、他をエッチングにより除去することで、第1スペーサを形成する工程と、
(h)前記半導体基板の主面のうち前記第2ゲート電極の側方下部の領域に、第2不純物イオンを注入する工程と、
(i)熱処理によって前記第2不純物イオンを拡散および活性化させることで、第2半導体領域を形成する工程とを有し、
前記(h)工程では、前記第2ゲート電極および前記第1スペーサをイオン注入マスクとして、前記半導体基板にイオン注入を施すことで、前記第2不純物イオンを注入し、
前記(h)工程では、前記半導体基板の主面を平面的に見て、前記第2ゲート電極の側壁から、前記第1スペーサの厚さの分だけ離れた位置に、前記第2不純物イオンを注入し、
前記(b)工程と前記(f)工程とでは、同一工程によって、前記第1保護膜を形成し、
前記(c)工程は、前記(g)工程よりも前に施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、前記第1スペーサの前記第2ゲート電極の側壁から見た厚さは、前記(b)および(f)工程で前記第1保護膜を形成した時点での前記第1ゲート電極の側壁から見た厚さよりも薄くなるようにして、前記エッチングを施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)および(f)工程では、前記第1保護膜として、酸化シリコンを主体とする絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記(c)工程で前記半導体基板に注入した前記第1不純物イオンが、前記半導体基板の主面を平面的に見て、前記第1ゲート電極の側壁に達する位置まで拡散するように前記熱処理を施して、前記第1半導体領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、
前記(i)工程では、前記(h)工程で前記半導体基板に注入した前記第2不純物イオンが、前記半導体基板の主面を平面的に見て、少なくとも前記第2ゲート電極の側壁に達する位置までは拡散するように前記熱処理を施して、前記第2半導体領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程と前記(i)工程とでは、同一工程によって、前記熱処理を施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程では、電荷を蓄積する機能を有する前記第1ゲート絶縁膜として、前記半導体基板に近い方から順に、下部バリア膜、電荷蓄積膜、および、上部バリア膜を形成し、
前記下部および上部バリア膜として、酸化シリコンを主体とする絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−62359(P2010−62359A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226938(P2008−226938)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】