説明

半導体装置の製造方法

【課題】半導体製造装置の排気中に含まれる温暖化ガスの濃度は装置の稼動状態によって変化するため、最大濃度を代表値として推算する過大評価排出量しか推算できない。更に最終段の排気管でのサンプリングにおいては、フーリエ変換型赤外分光計等を用いた測定を行なうのが一般的である。しかし、この排気管内における当該ガスの濃度は、一般に測定に適した濃度よりも低く、温暖化ガス排出のタイミングにあわせた測定を個別の装置に対して実行しないかぎり工場全体の温暖化ガス排出量の総量が算出できないという問題がある。
【解決手段】本願発明は、複数のCVD装置およびドライエッチング装置を用いて、多数の半導体装置形成基板に対して、成膜処理およびエッチング処理を実行する半導体装置の製造方法に於いて、これらの排ガスを定量サンプリングして、濃縮した後、含まれている温暖化ガスのガス種と濃度を測定するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置(または半導体集積回路装置)の製造方法における温暖化ガス管理技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2000−46820号公報(特許文献1)には、オンライン型のダイオキシン類分析システムが開示されている。このダイオキシン類分析システムは、煙道から採取したサンプルガスを多段のダイオキシン類選択吸着ステージに吸着しつつ、ダスト除去、除湿等を行い、最終段のダイオキシン類選択吸着ステージにおいて、吸着されたダイオキシン類のガスを加熱により放出させて、ガスクロマトグラフ&質量分析計直結装置に導いて分析を実行するものである。
【0003】
国際公開第2000/26592号パンフレット(特許文献2)または、これに対応する米国特許第6374635号公報(特許文献3)には、半導体および液晶表示装置の製造工程等に於いて使用されるエッチング装置から放出されるPFCs(Perfluoro Compounds)ガスの回収システムが開示されている。このPFCガスの回収システムは、冷却トラップによって、エッチング装置からの排ガスを凍結収集し、冷却トラップの再生動作による温度上昇により、再放出するものである。このとき、冷却トラップの温度をPFCガスに適合した値に選んでおくと、他のガスはトラップされず、PFCガスのみを収集することができる。
【0004】
日本特開2007−319811号公報(特許文献4)には、多孔体をフィルタのように用いるとこにより、PFCガスおよび窒素ガス等を含む混合気体を処理して、PFCガスを連続的に濃縮するシステムが開示されている。
【0005】
日本特開平11−9951号公報(特許文献5)には、酸性ガスをフィルタにより、乾式で中和除去するSFガスの回収システムが開示されている。
【0006】
日本特開2007−275764号公報(特許文献6)には、電解炉からの排ガスから酸性ガス、粉塵、固形物等を除去し、その後、選択吸着等により、PFCガスを回収し、触媒等によりPFCガス分解処理を実施する技術が開示されている。
【0007】
日本特開2009−78237号公報(特許文献7)には、半導体および液晶表示装置の製造工程等に於いて使用されるCVD(Chemical Vapor Deposition)装置から放出されるPFCガス、モノシランガス、酸化窒素ガス等の有害ガスを順次分解除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−46820号公報
【特許文献2】国際公開第2000/26592号パンフレット
【特許文献3】米国特許第6374635号公報
【特許文献4】特開2007−319811号公報
【特許文献5】特開平11−9951号公報
【特許文献6】特開2007−275764号公報
【特許文献7】特開2009−78237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明者が、フルオロカーボンガス等の温暖化ガスの排出量の把握の現状について、考察した結果、以下のようなことが明らかとなった。すなわち、半導体製造装置の排気中に含まれるフルオロカーボンガスの濃度は装置稼動状態によって時間的に変化するため、最大濃度を代表値として推算する過大評価排出量しか推算できない。更に、複数の装置の排気を集合させた最終段の排気管でのサンプリングにおいては、フーリエ変換型赤外分光計(Fourier Transform Infrared Spectrometer)などの温暖化ガス測定装置等を用いた測定を行なうのが一般的である。しかし、最終段の排気管内におけるフルオロカーボンガスの濃度は、一般に測定に適した濃度よりも低い値であり、このような測定方法では、装置の温暖化ガス排出時のタイミングにあわせた測定を個別の装置に対して各々実行しないと工場全体の温暖化ガス排出量の総量が算出できないという問題がある。また、測定対象にした稼動状態での結果から、他の稼動状態を含む全稼動期間に対する濃度・排出量の推定を行なわなければならない等の問題もある。
【0010】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0011】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体装置の製造プロセスを提供することにある。
【0012】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0014】
すなわち、本願の一つの発明は、複数のCVD装置およびドライエッチング装置を用いて、多数の半導体装置形成基板に対して、成膜処理およびエッチング処理を実行する半導体装置の製造方法に於いて、これらの排ガスを定量サンプリングして、濃縮した後、含まれているフルオロカーボンガスのガス種と濃度を測定するものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0016】
すなわち、複数のCVD装置およびドライエッチング装置を用いて、多数の半導体装置形成基板に対して、成膜処理およびエッチング処理を実行する半導体装置の製造方法に於いて、これらの排ガスを定量サンプリングして、濃縮した後、含まれているフルオロカーボンガスのガス種と濃度を測定するので、排ガスに含まれるフルオロカーボンガスが低濃度の場合も、精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法に関係する半導体工場のガス供給&ガス排気系統のアウトラインを説明するための温暖化ガス排出装置周辺のガス系統図である。
【図2】図1で説明した温暖化ガス排出装置よりも下流の排ガス排出系統のガス系統図である。
【図3】図2の排気ファンユニット以降の排ガス排出系統のガス系統図である。
【図4】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムの要部構成図である。
【図5】図4のサンプリング装置の原理を説明するサンプリングステップ説明図(真空排気時点)である。
【図6】図4のサンプリング装置の原理を説明するサンプリングステップ説明図(ガス取り込み時点)である。
【図7】図4の濃縮装置の要部を構成する中空糸型温暖化ガスフィルタの原理説明図である。
【図8】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における温暖化ガス排出装置(ドライエッチング装置)の動作実態(温暖化ガス排出タイミング)を説明するための温暖化ガス排出状況タイムチャートである。
【図9】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における温暖化ガス排出装置(枚葉クリーニング方式のCVD装置)の動作実態(温暖化ガス排出タイミング)を説明するための温暖化ガス排出状況タイムチャートである。
【図10】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における温暖化ガス排出装置(バッチクリーニング方式のCVD装置)の動作実態(温暖化ガス排出タイミング)を説明するための温暖化ガス排出状況タイムチャートである。
【図11】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムに関する変形例1(濃縮ガス貯蔵庫移送方式)を説明するための図4に対応する温暖化ガス計測システムの要部構成図である。
【図12】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムに関する変形例2(未濃縮ガス貯蔵庫移送方式)を説明するための図4に対応する温暖化ガス計測システムの要部構成図である。
【図13】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムに関する変形例13(温暖化ガス排出装置動作状態参照方式)を説明するための図4に対応する温暖化ガス計測システムの要部構成図である。
【図14】図5および図6で説明したサンプリング装置の変形例を説明するための要部構成図である。
【図15】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムのサンプリング−試料貯蔵−濃縮に関する変形例(多点サンプリング方式/濃縮ガス貯蔵方式)を説明するための処理ステップブロックフロー図である。
【図16】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムのサンプリング−試料貯蔵−濃縮に関する変形例(多点サンプリング方式/未濃縮ガス貯蔵方式)を説明するための処理ステップブロックフロー図である。
【図17】本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムのサンプリング−試料貯蔵に関する変形例(多時間サンプリング方式)を説明するための処理ステップブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0019】
1.以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)複数のCVD装置により、多数の半導体装置形成基板に対して、成膜処理を実行する工程;
(b)第1の温暖化ガスを用い、前記複数のCVD装置に対して、クリーニング処理を実行する工程;
(c)第2の温暖化ガスを用い、複数のドライエッチング装置により、前記多数の半導体装置形成基板に対して、ドライエッチング処理を実行する工程;
(d)前記工程(b)および(c)における排ガスの定量サンプリングを実行する工程;
(e)定量サンプリングされた前記排ガスを濃縮する工程;
(f)濃縮された前記排ガス中の温暖化ガスのガス種および濃度を測定する工程。
【0020】
2.前記1項の半導体装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(g)前記工程(e)の後であって工程(f)の前に、濃縮された前記排ガスを濃縮ガス貯蔵庫に貯蔵する工程;
(h)前記工程(g)の後であって工程(f)の前に、前記濃縮ガス貯蔵庫を移動させる工程。
【0021】
3.前記1または2項の半導体装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(i)前記工程(d)の後であって工程(e)の前に、定量サンプリングされた前記排ガスを未濃縮ガス貯蔵庫に貯蔵する工程。
【0022】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記複数のCVD装置および前記複数のドライエッチング装置のいずれからも前記第1の温暖化ガス、前記第2の温暖化ガス、または、これらから生成した第3の温暖化ガスが排出されていない期間には、前記定量サンプリングを実施しない。
【0023】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(d)、(e)および(f)を実行するのに必要な部分は、ロック可能なロック可能領域とされている。
【0024】
6.前記5項の半導体装置の製造方法において、前記ロック可能領域に対する外乱の有無を記録可能とされている。
【0025】
7.前記5または6項の半導体装置の製造方法において、前記ロック可能領域の内部と外部は、相互に通信可能とされている。
【0026】
8.前記1から7項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングのサンプリングポイントは、外部排出配管系の大気中への最終排出口に最も近い最終温暖化ガス流入点よりも、前記最終排出口側に設けられている。
【0027】
9.前記8項の半導体装置の製造方法において、前記サンプリングポイントは、外部排出配管系の排気ファンよりも、最終温暖化ガス流入点側に設けられている。
【0028】
10.前記1から9項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングおよび前記濃縮は、時分割的に実行される。
【0029】
11.前記10項の半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングは、複数のサンプリングポイントに対して、実行可能とされている。
【0030】
12.前記11項の半導体装置の製造方法において、前記複数のサンプリングポイントに対して、実行された前記定量サンプリングによりサンプリングされ、濃縮された排ガスは複数の濃縮ガス貯蔵庫に貯蔵される。
【0031】
13.前記1から9項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングは、時分割的に実行され、同一の未濃縮ガス貯蔵庫に貯蔵され、均一化された後、その一部を濃縮後、前記工程(f)を実行する。
【0032】
14.前記1から13項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(f)を実行する測定系は、定期的に自動校正される。
【0033】
15.前記1から14項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(e)を実行する濃縮系に対して、定期的に濃縮効率の確認が可能とされている。
【0034】
16.前記15項の半導体装置の製造方法において、前記濃縮効率の確認結果のフィードバックが可能とされている。
【0035】
17.前記1から16項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングは、真空引き込み方法によって実行される。
【0036】
〔本願における記載形式、基本的用語、用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0037】
更に、本願において、「半導体装置」または「半導体集積回路装置」というときは、主に、各種トランジスタ(能動素子)単体、および、それらを中心に、抵抗、コンデンサ等を半導体チップ等(たとえば単結晶シリコン基板)上に集積したものをいう。ここで、各種トランジスタの代表的なものとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に代表されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例示することができる。このとき、集積回路構成の代表的なものとしては、Nチャネル型MISFETとPチャネル型MISFETを組み合わせたCMOS(Complemetary Metal Oxide Semiconductor)型集積回路に代表されるCMIS(Complemetary Metal Insulator Semiconductor)型集積回路を例示することができる。
【0038】
今日の半導体集積回路装置、すなわち、LSI(Large Scale Integration)のウエハ工程は、通常、原材料としてのシリコンウエハの搬入からプリメタル(Premetal)工程(M1配線層下端とゲート電極構造の間の層間絶縁膜等の形成、コンタクトホール形成、タングステンプラグ、埋め込み等からなる工程)あたりまでのFEOL(Front End of Line)工程と、M1配線層形成から始まり、アルミニウム系パッド電極上のファイナルパッシベーション膜へのパッド開口の形成あたりまで(ウエハレベルパッケージプロセスにおいては、当該プロセスも含む)のBEOL(Back End of Line)工程に大別できる。
【0039】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかに、そうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。同様に、「酸化シリコン膜」、「酸化シリコン系絶縁膜」等と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノクラスタリングシリカ(Nano-Clustering Silica:NCS)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0040】
また、酸化シリコン系絶縁膜と並んで、半導体分野で常用されているシリコン系絶縁膜としては、窒化シリコン系絶縁膜がある。この系統の属する材料としては、SiN,SiCN,SiNH,SiCNH等がある。ここで、「窒化シリコン」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiNおよびSiNHの両方を含む。同様に、「SiCN」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiCNおよびSiCNHの両方を含む。
【0041】
なお、SiCは、SiNと類似の性質を有するが、SiONは、むしろ、酸化シリコン系絶縁膜に分類すべき場合が多い。
【0042】
窒化シリコン膜は、SAC(Self−Aligned Contact)技術におけるエッチストップ膜、すなわち、CESL(Contact Etch−Stop Layer)として、多用されるほか、SMT(Stress Memorization Technique)における応力付与膜としても使用される。
【0043】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0044】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0045】
5.「ウエハ(半導体装置形成基板)」というときは、通常は半導体装置(半導体集積回路装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0046】
6.本願に於いては、各種のPFCsガスおよびHFC(Hydrofluorocarbon)ガスのような弗素含有ガスの内、温室効果が比較的大きいガスとされているガスを「温室効果ガス」または「温暖化ガス(地球温暖化ガス)」(たとえば、CF,C,C,SF,NF,CHF,CHなど)と呼ぶ。
【0047】
また、排気ダクト(排気配管)に関して、「主ダクト」、「分岐ダクト」等、便宜的に呼び分けるが、これらは相対的なもので、実際の排気配管系等では、主ダクトは、更に大きい他のダクトに合流し、分岐ダクトから更に細い分岐ダクトが枝分かれしている。
【0048】
なお、現在のクリーンルームは、一般に、製造装置の主要部を収容する中間領域と、その天井裏に当たり、エアフィルタ等を収容する上部領域と、中間領域の床面下に当たり、ガスおよび薬液配管や排気ダクトを収容する下部領域に分けられる。
【0049】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0050】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0051】
1.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法に関係する半導体工場のガス供給&ガス排気系統のアウトラインの説明(主に図1から図3)
以下では、説明の都合上、クリーンルームは、例として、一つのみを示したが、現実には、複数のクリーンルームが同一領域に設けられることが多い。また、ここでは、排気系統に対して、単一のハウススクラバ(スクラバ塔)を有する例を説明するが、本願発明は、このような場合に限られず、単一の排気系統に複数のハウススクラバ等(スクラバ塔)を有するシステムにも適用できることは言うまでもない。
【0052】
図1は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法に関係する半導体工場のガス供給&ガス排気系統のアウトラインを説明するための温暖化ガス排出装置周辺のガス系統図である。図2は図1で説明した温暖化ガス排出装置よりも下流の排ガス排出系統のガス系統図である。図3は図2の排気ファンユニット以降の排ガス排出系統のガス系統図である。
【0053】
先ず、図1により、温暖化ガス排出半導体処理装置(通常、数台から十数台程度)および排ガス除害装置(有害ガス除害装置、温暖化ガス除害装置等)を含む半導体処理装置&排ガス除害装置ユニット8a(8)の周辺から説明する。図1に示すように、稼働中のウエハ工程の状態をある時点で示すと、被処理ウエハ1をエッチングチャンバ5a(エッチング装置)内のウエハステージ38aまたはCVDチャンバ6a(CVD装置)内のウエハステージ38bに受け入れている状態(たとえば、ドライエッチング処理実行中)と、被処理ウエハ1をエッチングチャンバ5b(エッチング装置)内のウエハステージ38cまたはCVDチャンバ6b(CVD装置)内のウエハステージ38dに受け入れていない状態(待機中またはクリーニング処理中)に分けることができる。
【0054】
これらの各温暖化ガス排出装置の各チャンバ5a,5b,6a,6bには、温暖化ガス供給系2aから各種の温暖化ガスが、非温暖化ガス供給系2bから各種の非温暖化ガスが供給されている。各温暖化ガス排出装置5a,5b,6a,6bからの排出ガスは、それぞれの真空ポンプ7a,7b,7c,7dにより、排出され、必要に応じて、除害装置26(回収装置を含む)を介して、排出配管11(排気ダクト、主ダクト、分岐ダクト)に排出される。排気ダクト11に流入した排出ガス12は、排気ダクト11内を下流に向けて移動する。
【0055】
次に、図2により、半導体処理装置&排ガス除害装置ユニット8a(8)等をガス供給&排気系統全体から説明する。図2に示すように、クリーンルーム4内には、通常、複数の半導体処理装置&排ガス除害装置ユニット8a,8b,8c(8)が配置されており、これらの半導体処理装置&排ガス除害装置ユニット8a,8b,8cから排出された排出ガスは、それぞれ分岐ダクト11a,11b,11c(枝ダクト)を介して、クリーンルーム4の内外に於いて、主ダクト11に排出される。各分岐ダクト11a,11b,11cの主ダクト11との合流点近傍に設けられているのは、各分岐ダクト11a,11b,11cのコンダクタンスを調整するためのダンパ27a,27b,27cである。主ダクト11の下流端近傍(排気系統外端部49)であって、クリーンルーム4外には、排気ファンユニット29が設けられており、排気ファンユニット29と大気への最終排出口30の間には、スクラバユニット28が設けられている。
【0056】
ここに示したような排気系統において、温暖化ガスの観測用の好適なサンプル地点として、複数のサンプリングポイント3a,3b,3c,3d,3eを例示することができる。原理的に言うと、温暖化ガス観測用のサンプル地点は、排ガスダクト11の最終温暖化ガス流入点よりも下流に設けられるべきである。これは、そうでなければ、一部の温暖化ガスの排出を無視することになるからである。
【0057】
一方、温暖化ガス観測および管理のセキュリティを確保するためには、観測用の好適なサンプル地点を、クリーンルーム内に設けることが望ましい。これは、クリーンルーム内の方が、クリーンルーム外と比較して、管理を厳しくしやすいからである。
【0058】
次に、図2の排気系統外端部49の詳細を図3に示す。図3に示すように、主ダクト11に排出された排出ガス12は、排気ファンユニット29に達し、その後、スクラバユニット28(スクラバ塔)を通過し、最終排出口30から大気中に放出される。スクラバ塔28上に設けられたダンパ27hは、最終排出口30に連なるパイプのコンダクタンスを調整するためのものである。
【0059】
排気ファンユニット29は、運転上の安全を確保するために、通常、たとえば2系統を交互に切り替えて使用される構成とされている。すなわち、排気ファン39aとその前後のダンパ27d,27eから構成される第1系統と、排気ファン39bとその前後のダンパ27f,27gから構成される第1系統とから構成されている。一方、スクラバユニット28は、通常、たとえば、以下のような構成となっている。すなわち、スクラバ塔41のそこの部分は、洗浄液タンク(洗浄液45としては、たとえば、水またはアルカリ性水溶液)となっており、この洗浄液は、循環ポンプ42によって、くみ上げられ、シャワー部43から落下するようになっている。シャワー部43の下方には、多孔板44が設けられており、大気中への排出に適さない物質(有害物質等)を除去しやすくなっている。また、シャワー部43の上方には、シャワー上に放出された洗浄液がミストとなって、排出されないように、ミストキャッチャ46が設けられている。
【0060】
2.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムの説明(主に図4から図7)
このセクションでは、単一のサンプリングポイントからサンプリングを実施する例を具体的に説明するが、本願発明は、これに限定されることなく、複数のサンプリングポイントからサンプリングを実施するものにも適用できることは言うまでもない。
【0061】
また、本願においては、濃縮装置として、中空糸型フィルタを用いたものを例に取り具体的に説明するが、本願発明はそれに限定されるものではなく、その他のガス濃縮装置を用いたものにも適用できることは言うまでもない。その他のガス濃縮装置としては、たとえば、ゼオライト等のPFCガス吸着剤を封入したタンクを含むガス系統を複数用意しておき、排ガス中のPFCガスの吸着と放出を交互に繰り返させることによって排ガスを濃縮するもの等がある。
【0062】
図4は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムの要部構成図である。図5は図4のサンプリング装置の原理を説明するサンプリングステップ説明図(真空排気時点)である。図6は図4のサンプリング装置の原理を説明するサンプリングステップ説明図(ガス取り込み時点)である。図7は図4の濃縮装置の要部を構成する中空糸型温暖化ガスフィルタの原理説明図である。
【0063】
まず、図4により、温暖化ガス排出量計測システムの一例(サンプル濃縮後検査基本方式)を説明する。図4に示すように、排出ガス12は、排気ダクト11内を流れており、排気ダクト11のサンプリングポイント3から排出ガス12の一部が、所定の間隔で、たとえば、定量サンプリングされる。定量サンプリングは、温暖化ガス検査システム10のサンプリング装置14により実行され、濃縮装置15で濃縮され、流量測定装置16に移送される。この際、分離された温暖化ガスを実質的に含んでいないガスは、排気ダクト11内に戻される。流量測定装置16においては、濃縮された排ガス全体の量が計測され、その後、濃度測定装置17に移送される。濃度測定装置17においては、温暖化ガスの種類と濃度が測定される。一方、排気ダクト11の排ガス12の流量は、たとえば、排ガス流量測定点23において、全排気流量計測装置21によって、測定される。以上のように、温暖化ガス検査システム10は、サンプリング装置14、濃縮装置15、流量測定装置16、濃度測定装置17、全排気流量計測装置21等により構成されている。
【0064】
濃度測定装置17としては、たとえば、FTIR(Fourier Transform Infrared)分光計、四重極型2次イオン質量分析装置等が例示することができる。なお、これらの測定系については、経時的に変化する恐れがあるので、たとえば、定期的および自動的に校正することが好適である。
【0065】
濃度測定装置17によって得られた温暖化ガスの種類と濃度のデータは、情報処理システム20の演算部18に送られ、流量測定装置16からの濃縮された排ガス全体の量のデータおよび、全排気流量計測装置21からの排ガス12の流量とともに処理され、各種の温暖化ガスの排出量が算出される。このようにして得られた各種の温暖化ガスの排出量は、記憶部19に記憶される。情報処理システム20は、たとえば、演算部18、記憶部19、外部通信部34、外乱記録部33等から構成されており、温暖化ガス検査システム10、情報処理システム20その他、定量サンプリング、サンプリングされた排ガスの濃縮、濃縮された排ガスの計測、これらで得られた情報の演算処理および、これらに関する付加的な機能を担当する部分は、ロック可能な領域32(鍵かけによる管理領域)とされている。外乱記録部33は、このロック可能な領域32に対する外乱の有無を記録する部分であり、たとえば、不正に行われる物理的、電子的排出量変更行為の有無を記録する。また、外部通信部34は、記憶部19および外乱記録部33に記憶された排ガスデータ、外乱有無データを常時、外部から監視等できるように、外部とのデータ通信等を可能にしている。すなわち、ロック可能な領域32の内部と外部の間で通信可能となっている。通信は、両方向であることが望ましいが、少なくとも内部から外部へのデータの転送が可能であることが必要である。
【0066】
次に、図5および図6によって、図4のサンプリング装置14による定量サンプリングの具体的方法(真空引き込み方式)に一例を説明する。図5に示すように、サンプリング前に、バルブ48aを閉じた状態で、バルブ48bを開けて、サンプリング貯蔵庫37を真空ポンプ7で真空引きする。次に、図6に示すように、バルブ48bを閉じた状態で、バルブ48aを開けることにより、サンプリング貯蔵庫37に排出ガス12の一部を取り込み、サンプリングされた排ガス12sとする。その後、バルブ48aを閉じる。
【0067】
次に、図7に基づいて、濃縮装置15によるサンプリングされた排ガスの濃縮の一例を説明する。図7に示すように、サンプリングされた排ガス12sは、ポリマ中空糸膜47(中空糸膜)の内側を流れて行く間に、分子サイズの小さい非温暖化ガス分子NF(酸素、窒素等)は、ポリマ中空糸膜47の壁面を通過して、内外の気圧の差によって外側へ排出されるが、分子サイズの大きい温暖化ガス分子は、ポリマ中空糸膜47内側に残ることとなる。これによって、10倍から100倍程度の濃縮が比較的容易に実行でき、濃縮された排ガス12cが得られる。このフィルタとして使用できる、ポリマ中空糸膜または、これを利用したPFCガスと非PFCガスの分離システムとしては、たとえば、大同エアプロダクツ・エレクトロニクス株式会社製のPFCガス回収システム等を利用することができる。
【0068】
なお、濃縮装置15の濃縮効率は、経時的に変化するので、たとえば、定期的に濃縮効率の確認を実施することが望ましい。また、この確認は、自動で行うのが好適である。更に、確認された濃縮効率の変化は、自動的に反映されることが好適である。
【0069】
3.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における温暖化ガス排出装置の動作実態の説明(主に図8から図10)
このセクションに於いては、温暖化ガスを排出する各種装置における温暖化ガス排出の具体的タイミングを例示して説明する。これらの温暖化ガス排出パターンは、装置、処理内容等により大きく異なる。
【0070】
ここでは、温暖化ガスの代表例であるPFCガスを排出するPFCガス排気装置(温暖化ガス排出装置)の具体例として、ドライエッチング装置およびCVD装置を例に取り、具体的に説明するが、本願発明はそれに限定されるものではなく、温暖化ガスを排出するその他の半導体製造装置等にも適用できることは言うまでもない。
【0071】
なお、ここでは、CVD装置として、枚葉処理装置を例にとり具体的に説明するが、バッチ式CVD装置でもよいことはいうまでもない。
【0072】
図8は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における温暖化ガス排出装置(ドライエッチング装置)の動作実態(温暖化ガス排出タイミング)を説明するための温暖化ガス排出状況タイムチャートである。図9は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における温暖化ガス排出装置(枚葉クリーニング方式のCVD装置)の動作実態(温暖化ガス排出タイミング)を説明するための温暖化ガス排出状況タイムチャートである。図10は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法における温暖化ガス排出装置(バッチクリーニング方式のCVD装置)の動作実態(温暖化ガス排出タイミング)を説明するための温暖化ガス排出状況タイムチャートである。
【0073】
先ず、図8に基づいて、エッチング装置における温暖化ガス排出パターンを説明する。図8に示すように、エッチング装置に於いては、ウエハ(半導体装置形成基板)に対するエッチング処理の実行時に、温暖化ガスが排出される。従って、温暖化ガス(たとえば、第2の温暖化ガス、または、これから生じた第3の温暖化ガス)は、待機期間には、排出されず、エッチング処理期間内に於いて、周期的且つ間歇的に排出される。
【0074】
次に、CVD装置の場合を図9および図10に基づいて説明する。CVD装置に於いては、ウエハ(半導体装置形成基板)に対する成膜処理に於いて、温暖化ガスが排出されるのは、むしろ、稀なケースであり、主に、チャンバのクリーニングの際に温暖化ガスが排出される。従って、温暖化ガス排出パターンは、クリーニングの方式に依存する。そこで、まず、図9に基づいて、枚葉クリーニング方式について説明する。図9に示すように、温暖化ガス(たとえば、第1の温暖化ガス、または、これから生じた第3の温暖化ガス)は、待機期間には、排出されず、成膜処理期間内に於いて、周期的且つ間歇的に排出される。
【0075】
一方、図10に示すように、バッチクリーニング処理方式では、温暖化ガスは、待機期間および成膜処理機関には、排出されず、成膜処理期間と待機期間の間に集中的に排出される。
【0076】
4.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムに関する変形例1(濃縮ガス貯蔵庫移送方式)の説明(主に図11)
セクション4から6に於いては、図4で説明した温暖化ガス計測システムに関する各種の変形例を説明する。従って、ほとんどの部分は、セクション1から3で説明したところと同じであるので、以下では原則として、異なる部分のみを説明する。
【0077】
このセクションでは、濃縮ガス貯蔵庫を移送する例を具体的に説明するが、本願発明はそれに限定されるものではなく、温暖化ガス(温室効果ガス)の濃度計測装置等を移送してもよいことはいうまでもない。
【0078】
図11は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムに関する変形例1(濃縮ガス貯蔵庫移送方式)を説明するための図4に対応する温暖化ガス計測システムの要部構成図である。
【0079】
図11に基づいて、温暖化ガス計測システムに関する変形例1(濃縮ガス貯蔵庫移送方式)を説明する。図11に示すように、図4における流量測定装置16が、移動式の濃縮ガス貯蔵庫24xに置き換えられている点が特徴となっている。そして、実際の温暖化ガスの種類および濃度の計測は、たとえば、濃度測定装置17の近傍に、濃縮ガス貯蔵庫24yを移動して実行される。ここで、濃縮ガス貯蔵庫24x、24y内のガスの総量の情報は、たとえば、移動前の濃縮ガス貯蔵庫24xまたは移動後の濃縮ガス貯蔵庫24yから演算部18に送られる。
【0080】
このように濃縮ガス貯蔵庫24x、24yを移動可能とすることによって、サンプリングポイントの設定の自由度が増すメリットがある外、一台の濃度測定装置17を複数のサンプリングポイントに対して兼用できるメリットがある。また、濃縮後で体積が小さいので長期間に亘り保管が容易というメリットもある。
【0081】
5.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムに関する変形例2(未濃縮ガス貯蔵庫移送方式)の説明(主に図12)
このセクションでは、未濃縮ガス貯蔵庫を移送する例を具体的に説明するが、本願発明はそれに限定されるものではなく、温暖化ガス(温室効果ガス)の濃度計測装置等を移送してもよいことはいうまでもない。
【0082】
図12は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムに関する変形例2(未濃縮ガス貯蔵庫移送方式)を説明するための図4に対応する温暖化ガス計測システムの要部構成図である。
【0083】
図12に基づいて、温暖化ガス計測システムに関する変形例2(未濃縮ガス貯蔵庫移送方式)を説明する。図12に示すように、図11の例と異なり、移動可能な未濃縮ガス貯蔵庫25x、25yをサンプリング装置14と濃縮装置15の間に介在させた点が特徴となっている。ここで、未濃縮ガス貯蔵庫25x、25y内のガスの総量の情報は、たとえば、移動前の未濃縮ガス貯蔵庫25xまたは移動後の未濃縮ガス貯蔵庫25yから演算部18に送られる。
【0084】
このように未濃縮ガス貯蔵庫25x、25yを移動可能とすることによって、前記図11の例の各メリットの外、濃縮装置15を複数のサンプリングポイントに対して兼用できるメリットがある。
【0085】
6.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムに関する変形例13(温暖化ガス排出装置動作状態参照方式)の説明(主に図13)
このセクションでは、動作状況情報を取得する対象装置として、ドライエッチング装置およびCVD装置を例に取り、具体的に説明するが、本願発明はそれに限定されるものではなく、温暖化ガスを排出するその他の半導体製造装置等にも適用できることは言うまでもない。
【0086】
図13は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムに関する変形例13(温暖化ガス排出装置動作状態参照方式)を説明するための図4に対応する温暖化ガス計測システムの要部構成図である。
【0087】
図13に基づいて、温暖化ガス計測システムに関する変形例13(温暖化ガス排出装置動作状態参照方式)を説明する。図13に示すように、図4とほぼ同じであるが、サンプリングのタイミングをエッチング&CVD装置群9の動作状態情報によって、オン又はオフしている点が特徴となっている。すなわち、対象となっているエッチング&CVD装置群9を構成するいずれの装置も温暖化ガス(たとえば、CVD装置からの第1の温暖化ガス、エッチング装置からの第2の温暖化ガスおよび、これらから生じた第3の温暖化ガスなど)を排出していないときは、サンプリング動作をオフ状態にしている。このことによって、不要な濃縮処理、計測処理等を省略できるメリットがある。
【0088】
7.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムの定量サンプリングに関する変形例(マスフローコントローラ方式)の説明(主に図14)
本願では、定量サンプリングの具体的やり方として、図5および図6で説明したもの、および、このセクションで説明するものを代表として、具体的に説明するが、本願発明はそれに限定されるものではなく、その他のガス定量移送手段を用いたものにも適用できることは言うまでもない。その他のガス定量移送手段には、たとえば、ギアポンプ、チューブポンプ等がある。
【0089】
図14は図5および図6で説明したサンプリング装置の変形例を説明するための要部構成図である。
【0090】
図14に基づいて、温暖化ガス計測システムの定量サンプリングに関する変形例(マスフローコントローラ方式)を説明する。図14に示すように、図5および図6と異なり、サンプリング貯蔵庫37およびバルブ48a,48bに代えて、マスフローコントローラ22(マスフローメータ、制御バルブ、制御回路等を含む)が導入されている。このことによって、流量を設定することによって、時間制御で定量サンプリングの量を自由に設定できる外、実際のサンプリング量のモニタおよびサンプリング量の記録等を取ることができる。サンプリングのオフを行なう場合には、サンプリング配管のシャットオフ(閉)を確実にするために、バルブ48を付加することができる。
【0091】
8.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムのサンプリング−試料貯蔵−濃縮に関する変形例(多点サンプリング方式)の説明(主に図15および図16)
セクション1から7では、主に、一つのサンプリング点について、濃縮処理、濃度計測処理等を実行する方式を説明したが、以下では、複数のサンプリング点を前提とした濃縮装置および計測装置の使用方式について説明する。
【0092】
以下の例は、図4、図11から図13の温暖化ガス計測システムに対する変形例であり、多点サンプリング方式に関する部分以外は、ほぼ同一であるので、以下では原則として異なる部分のみを説明する。
【0093】
図15は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムのサンプリング−試料貯蔵−濃縮に関する変形例(多点サンプリング方式/濃縮ガス貯蔵方式)を説明するための処理ステップブロックフロー図である。図16は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムのサンプリング−試料貯蔵−濃縮に関する変形例(多点サンプリング方式/未濃縮ガス貯蔵方式)を説明するための処理ステップブロックフロー図である。
【0094】
(1)濃縮ガス貯蔵方式(主に図15):
このサブセクションで説明する方式は、図11で説明したものと類似しており、図15に示すように、排気ダクト11(1本の排気ダクトとは限らない)の複数のサンプリング点に複数のサンプリング装置14a,14b,14c,14d,14eを配置しておき、一台の濃縮装置15を順次移動させて、所定の順序でサンプリングした排ガスを濃縮し、各濃縮ガス貯蔵庫24a,24b,24c,24d,24eに貯蔵するものである。各濃縮ガス貯蔵庫24a,24b,24c,24d,24eに貯蔵された排ガスは、その後、計測装置を所定の順序で計測しようとする濃縮ガス貯蔵庫24a(24b,24c,24d,24e)に連結させて、温暖化ガスの種類と濃度を計測する。
【0095】
(2)未濃縮ガス貯蔵方式(主に図16):
このサブセクションで説明する方式は、図12で説明したものと類似しており、図16に示すように、排気ダクト11(1本の排気ダクトとは限らない)の複数のサンプリング点に複数のサンプリング装置14a,14b,14c,14d,14eおよび、それぞれに対応した未濃縮ガス貯蔵庫25a,25b,25c,25d,25eを配置しておき、各サンプリング点において、サンプリングを実行して、排ガスを各未濃縮ガス貯蔵庫25a,25b,25c,25d,25e内に貯蔵する。一方、濃縮と計測の方は、一台の濃縮装置15と濃度測定装置17(たとえば流量測定装置16を含む)を所定の順序で、未濃縮ガス貯蔵庫25b(25a,25c,25d,25e)に接続して、濃縮処理および各温暖化ガスの濃度の測定を実行する。
【0096】
9.本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムのサンプリング−試料貯蔵に関する変形例(多時間サンプリング方式)の説明(主に図17)
このセクションで説明する例は、図12で説明した例の変形例である。従って、原則として図12の例と比較して、異なる部分のみを説明する。
【0097】
図17は本願の前記一実施の形態の半導体装置の製造方法に使用する温暖化ガス計測システムのサンプリング−試料貯蔵に関する変形例(多時間サンプリング方式)を説明するための処理ステップブロックフロー図である。
【0098】
図17に基づいて、温暖化ガス計測システムのサンプリング−試料貯蔵に関する変形例(多時間サンプリング方式)を説明する。図12の例では、1回のサンプリングで取得された排ガスを一つの未濃縮ガス貯蔵庫25xに貯蔵して、その後、未濃縮ガス貯蔵庫25yを移動させて、濃縮を実行している。これに対して、図17に示す例では、時系列的な各サンプリング(サンプリング位置は同一)により取得された排ガスを特定の未濃縮ガス貯蔵庫25xに貯蔵した状態で、後続のサンプリングにより取得された排ガスを同一の未濃縮ガス貯蔵庫25xに貯蔵する操作を繰り返し、一定の時間が経過して、内部のガスが均一となるのを待った後、その一部に対して、濃縮処理および各温暖化ガスの濃度の測定を実行する。なお、濃縮処理および各温暖化ガスの濃度の測定の対象としなかった排ガスは、排気ダクト11に戻す。
【0099】
このようにすることによって、多くの時点でサンプリングした排ガスを平均化した後に、濃縮および計測ができるので、時間的な変化が激しい場合にも、少ない計測回数(濃縮処理回数)で正確な排ガス計測が可能となる。
【0100】
10.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0101】
例えば、前記実施の形態では、主に単一のクリーンルームを例にとり、具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、複数のクリーンルームから構成されたラインを使用する製造方法にも適用できることは言うまでもない。
【0102】
また、前記実施の形態では、主に半導体ウエハ上に形成される半導体装置を例にとり、具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ガラス基板上に形成される液晶表示装置等の半導体装置の製造にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0103】
1a,1b ウエハ(半導体装置形成基板)
2a 温暖化ガス供給系
2b 非温暖化ガス供給系
3、3a,3b,3c,3d,3e サンプリングポイント
4 クリーンルーム
5a,5b エッチング装置(エッチングチャンバ)
6a,6b CVD装置(CVDチャンバ)
7,7a,7b,7c,7d 真空ポンプ
8、8a,8b,8c 半導体処理装置&排ガス除害装置ユニット
9 エッチング&CVD装置群
10 温暖化ガス検査システム
11,11a,11b,11c 排出配管(排気ダクト、主ダクト、分岐ダクト)
12 排出ガス
12c 濃縮された排ガス
12s サンプリングされた排ガス
14,14a,14b,14c,14d,14e サンプリング装置
15 濃縮装置
16 流量測定装置
17 濃度測定装置
18 情報処理システムの演算部
19 情報処理システムの記憶部
20 情報処理システム
21 全排気流量計測装置
22 マスフローコントローラ
23 流量計測点
24,24a,24b,24c,24d,24e 濃縮ガス貯蔵庫
24x 移動前の濃縮ガス貯蔵庫
24y 移動後の濃縮ガス貯蔵庫
25,25a,25b,25c,25d,25e 未濃縮ガス貯蔵庫
25x 移動(または時間経過)前の未濃縮ガス貯蔵庫
25y 移動(または時間経過)後の未濃縮ガス貯蔵庫
26 除害装置
27a,27b,27c,27d,27e,27f,27g,27h ダンパ
28 スクラバユニット
29 排気ファンユニット
30 大気への最終排出口
31a,31b,31c 合流点
32 ロック可能領域
33 外乱記録部
34 外部通信部
35 自動校正部
36 濃縮効率確認部
37 サンプリング貯蔵庫
38a,38b,38c,38d ウエハステージ
39a,39b 排気ファン
41 スクラバ塔
42 循環ポンプ
43 シャワー部
44 多孔板
45 洗浄液
46 ミストキャッチャ
47 ポリマ中空糸膜
48、48a,48b バルブ
49 排気系統外端部
FG 温暖化ガス分子
NF 非温暖化ガス分子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)複数のCVD装置により、多数の半導体装置形成基板に対して、成膜処理を実行する工程;
(b)第1の温暖化ガスを用い、前記複数のCVD装置に対して、クリーニング処理を実行する工程;
(c)第2の温暖化ガスを用い、複数のドライエッチング装置により、前記多数の半導体装置形成基板に対して、ドライエッチング処理を実行する工程;
(d)前記工程(b)および(c)における排ガスの定量サンプリングを実行する工程;
(e)定量サンプリングされた前記排ガスを濃縮する工程;
(f)濃縮された前記排ガス中の温暖化ガスのガス種および濃度を測定する工程。
【請求項2】
前記1項の半導体装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(g)前記工程(e)の後であって工程(f)の前に、濃縮された前記排ガスを濃縮ガス貯蔵庫に貯蔵する工程;
(h)前記工程(g)の後であって工程(f)の前に、前記濃縮ガス貯蔵庫を移動させる工程。
【請求項3】
前記1項の半導体装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(i)前記工程(d)の後であって工程(e)の前に、定量サンプリングされた前記排ガスを未濃縮ガス貯蔵庫に貯蔵する工程。
【請求項4】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記複数のCVD装置および前記複数のドライエッチング装置のいずれからも前記第1の温暖化ガス、前記第2の温暖化ガス、または、これらから生成した第3の温暖化ガスが排出されていない期間には、前記定量サンプリングを実施しない。
【請求項5】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記工程(d)、(e)および(f)を実行するのに必要な部分は、ロック可能なロック可能領域とされている。
【請求項6】
前記5項の半導体装置の製造方法において、前記ロック可能領域に対する外乱の有無を記録可能とされている。
【請求項7】
前記5項の半導体装置の製造方法において、前記ロック可能領域の内部と外部は、相互に通信可能とされている。
【請求項8】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングのサンプリングポイントは、外部排出配管系の大気中への最終排出口に最も近い最終温暖化ガス流入点よりも、前記最終排出口側に設けられている。
【請求項9】
前記8項の半導体装置の製造方法において、前記サンプリングポイントは、外部排出配管系の排気ファンよりも、最終温暖化ガス流入点側に設けられている。
【請求項10】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングおよび前記濃縮は、時分割的に実行される。
【請求項11】
前記10項の半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングは、複数のサンプリングポイントに対して、実行可能とされている。
【請求項12】
前記11項の半導体装置の製造方法において、前記複数のサンプリングポイントに対して、実行された前記定量サンプリングによりサンプリングされ、濃縮された排ガスは複数の濃縮ガス貯蔵庫に貯蔵される。
【請求項13】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングは、時分割的に実行され、同一の未濃縮ガス貯蔵庫に貯蔵され、均一化された後、その一部を濃縮後、前記工程(f)を実行する。
【請求項14】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記工程(f)を実行する測定系は、定期的に自動校正される。
【請求項15】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記工程(e)を実行する濃縮系に対して、定期的に濃縮効率の確認が可能とされている。
【請求項16】
前記15項の半導体装置の製造方法において、前記濃縮効率の確認結果のフィードバックが可能とされている。
【請求項17】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記定量サンプリングは、真空引き込み方法によって実行される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−58660(P2013−58660A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196725(P2011−196725)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】