説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 半導体集積回路内において、小さい面積で異常電圧のバイパス性能に優れた保護回路を有する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 導電層パターン11は、例えば、異常電圧の印加によりゲート絶縁破壊が懸念されるMOS型素子Q1のゲート電極に接続される。また、導電層パターン11は、外部接続端子12に接続関係を有する。導電層パターン11は、製造工程中に利用されるプラズマ処理に起因するチャージアップやESD(静電放電)によって異常電圧が伝達される。そこで、導電層パターン11は、異常電圧のみを通電させるギャップG1を配備した。ギャップG1は、MOS型素子Q1へ伝達されようとする異常電圧のみを半導体基板は基準電位(接地電位)にバイパスさせるため、所定の離間距離をもって互いに対向する尖端部11A1,11A2を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路内に、MOS型トランジスタ等を異常電圧の影響から保護する保護回路を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOS型トランジスタは、ウェハプロセス中のチャージアップ現象や外部からのノイズに影響され易い。異常電圧は規定外の過剰電圧であり、チャージアップ現象や外部からのノイズにより発生し易い。MOS型トランジスタは、このような異常電圧がゲート電極に伝達されると、ゲート絶縁膜がダメージを受け、絶縁破壊を招くことがある。
【0003】
例えば、ウェハプロセスは、CVD、スパッタリング、エッチング、アッシング等、プラズマを利用した処理が多用される。これにより、配線パターンは、チャージング(電荷の蓄積)を増大させる。このようなチャージアップによる異常電圧は、配線パターンに繋がるMOS型トランジスタのゲート電極に伝達され、その下のゲート絶縁膜にダメージが入り、最悪には絶縁破壊が懸念される。また、外部からのノイズ、いわゆるESD(静電放電)による異常電圧は、配線パターンに繋がるMOS型トランジスタのゲート電極に伝達され、その下のゲート絶縁膜にダメージが入り、最悪には絶縁破壊が懸念される。
【0004】
MOS型トランジスタのゲート絶縁膜破壊を防止する対策として、保護ダイオードまたは保護MOSトランジスタを設ける技術がある(例えば、特許文献1参照)。保護ダイオードまたは保護MOSトランジスタは、例えば、入出力端子からMOSトランジスタのゲート電極への接続経路に並列して設けられる。このような保護ダイオードまたは保護MOSトランジスタは、異常電圧を分散してバイパスさせるようにするため、比較的大きな面積を要する。
【特許文献1】特開平5−235344号公報(第4、第5頁、図1〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の、保護ダイオードまたは保護MOSトランジスタは、半導体集積回路内において、比較的大きな面積を必要とする。また、耐圧を調整するため不純物濃度の制御も重要である。IC内部には、大量のMOS型トランジスタが含まれている。保護ダイオードまたは保護MOSトランジスタは、占有面積の観点からすべてのMOS型トランジスタそれぞれに並列に接続させることは困難である。従って、保護ダイオードまたは保護MOSトランジスタは、異常電圧の危険にさらされ易い要所、例えば入出力などの外部接続端子に設けられることになる。しかし、保護ダイオードまたは保護MOSトランジスタにおいても、その面積が小さい場合は異常電圧の印加により破壊される危険性がある。よって、保護ダイオードまたは保護MOSトランジスタは、要所において設ける場合も、その占有面積が必然的に大きくなる。
【0006】
本発明は、上記のような事情を考慮してなされたもので、半導体集積回路内において、小さい面積で異常電圧のバイパス性能に優れた保護回路を有する半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板上に形成されたMOS型素子と、前記MOS型素子へ伝達されようとする異常電圧のみをバイパスさせる尖端を対向させたギャップを有する導電層パターンと、を含む。
【0008】
上記本発明に係る半導体装置によれば、MOS型素子に接続関係を有する導電層パターン自体の形状を工夫する。すなわち、導電層パターンは、異常電圧のみをバイパスさせるため、尖端を向かい合わせたギャップ形態が設けられる。これにより、MOS型素子へ伝達されようとする異常電圧はギャップを介してバイパスされ、MOS型素子には影響を及ぼさない。ギャップは、導電層パターン自体の形状の工夫であるため、占有面積は小さく、高集積化に寄与する。また、ギャップは、異常電圧で破壊されることなく、機能の安定性に優れる。
【0009】
なお、上記本発明に係る半導体装置において、次の(a),(b)いずれかの特徴を有することにより、突発的に発生する異常電圧の経路をより安定的に確立させる。
(a) 前記導電層パターンは、前記ギャップから一方側で少なくとも前記MOS型素子のゲート電極と接続関係を有し、前記ギャップから他方側で少なくとも前記半導体基板と接続関係を有する。
(b) 前記半導体基板の上方に設けられた外部接続端子を含み、前記導電層パターンは、前記ギャップから一方側で少なくとも前記MOS型素子のゲート電極及び前記外部接続端子と接続関係を有し、前記ギャップから他方側で少なくとも前記半導体基板と接続関係を有する。
【0010】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された少なくともそれぞれ一端部が先鋭形状を有する第1の配線パターン及び第2の配線パターンと、前記第1の配線パターン、前記第2の配線パターンのいずれか一方に与えられる基準電位への接続部と、異常電圧発生時に前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンの間が通電し、前記異常電圧が前記基準電位によって緩和されるようにした前記先鋭形状どうしを対向させたギャップと、を含む。
【0011】
上記本発明に係る半導体装置によれば、第1、第2の配線パターンは、各一端部が先鋭形状を呈し、先鋭形状を向かい合わせることによってギャップ形態が設けられる。異常電圧はギャップを介して通電し、基準電位によって緩和される。ギャップは、第1、第2の配線パターン各一端部の対向部分で形成される。占有面積は小さく、高集積化に寄与する。また、ギャップは、異常電圧で破壊されることなく、機能の安定性に優れる。
なお、前記ギャップは、前記基準電位が与えられる接続部を共有しつつ複数設けられていてもよい。また、好ましくは、第1の配線パターン、第2の配線パターンは、それぞれ前記先鋭形状として30°〜90°の範囲の尖端を有する。異常電圧の通電が安定して行える。
【0012】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板上の素子分離領域と、前記素子分離領域に囲まれた前記半導体基板上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極部材と、前記ゲート電極部材に繋がる第1の接続部を有すると共に層間絶縁膜を介して形成された先鋭形状の端部を有する第1の金属配線パターンと、前記半導体基板に繋がる第2の接続部を有すると共に前記層間絶縁膜を介して形成された前記第1の金属配線パターンの端部と対向した先鋭形状の端部を有する第2の金属配線パターンと、を含む。
【0013】
上記本発明に係る半導体装置によれば、絶縁破壊が懸念される絶縁膜を介して形成されたゲート電極部材に繋がる第1の金属配線パターンと、半導体基板への放電経路を持つ第2の金属配線パターンが構成される。第1の金属配線パターンと第2の金属配線パターンは、互いに先鋭形状の端部を有して対向させている。先鋭形状の端部の対向部は異常電圧発生時に通電し、バイパスを形成する。先鋭形状の端部の対向部は、占有面積は小さく、高集積化に寄与する。また、異常電圧で破壊されることなく、機能の安定性に優れる。
【0014】
なお、上記本発明に係る半導体装置において、次の(a)〜(d)いずれかの特徴を有することにより、突発的に発生する異常電圧の経路をより安定的に確立させる。
(a) 前記第1、第2の金属配線パターンは、共に前記ゲート電極部材上の第1層目金属配線層で構成されている。
(b) 前記第1、第2の金属配線パターンは、前記先鋭形状どうしで異常電圧のみをバイパスさせるギャップを構成している。
(c) 前記第1、第2の金属配線パターンは、前記先鋭形状どうしで異常電圧のみをバイパスさせるギャップを構成し、前記ギャップは前記層間絶縁膜のボイド領域に設けられている。
(d) 前記半導体基板の上方に設けられた外部接続端子と、前記第1の金属配線パターンにおける前記外部接続端子へ繋がる第3の接続部と、を含み、前記第1の金属配線パターンに関し、前記第3の接続部は、前記第1の接続部よりも前記先鋭形状の端部により近い位置に設けられている。
【0015】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板上の素子分離領域と、前記素子分離領域に囲まれた前記半導体基板上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極部材と、前記ゲート電極部材が前記素子分離領域上に伸長し先鋭形状の端部を有する第1の配線パターンと、前記素子分離領域上に前記第1の配線パターンの端部と対向した先鋭形状の端部を有し前記半導体基板に結合される前記ゲート電極部材でなる第2の配線パターンと、を含む。
【0016】
上記本発明に係る半導体装置によれば、絶縁破壊が懸念される絶縁膜を介して形成されたゲート電極部材を延長して先鋭形状の端部を設けた第1の配線パターンと、ゲート電極部材でなり半導体基板への放電経路を有し、先鋭形状の端部を設けた第2の配線パターンを有する。第1配線パターンと第2の配線パターンは、互いに先鋭形状の端部を対向させている。先鋭形状の端部の対向部は異常電圧発生時に通電し、バイパスを形成する。先鋭形状の端部の対向部は、占有面積は小さく、高集積化に寄与する。また、異常電圧で破壊されることなく、機能の安定性に優れる。
【0017】
なお、上記本発明に係る半導体装置において、次の(a)〜(c)いずれかの特徴を有することにより、突発的に発生する異常電圧の経路をより安定して確立させる。
(a) 前記第1、第2の配線パターンは、前記先鋭形状どうしで異常電圧のみをバイパスさせるギャップを構成している。
(b) 前記第1、第2の配線パターンを覆う層間絶縁膜を含み、前記第1、第2の配線パターンは、前記先鋭形状どうしで異常電圧のみをバイパスさせるギャップを構成し、前記ギャップは前記層間絶縁膜のボイド領域に設けられている。
(c) 前記半導体基板の上方に設けられた外部接続端子と、前記第1の配線パターンにおける前記外部接続端子へ繋がる接続部と、を含み、前記第1の配線パターンに関し、前記接続部は、前記先鋭形状の端部近傍に設けられている。
【0018】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に複数の素子を形成する工程と、
半導体集積回路として前記素子に関係する回路配線の少なくとも一部になる所定層の配線パターンを形成する工程と、を含み、前記配線パターンは、少なくとも異常電圧によって通電がなされるギャップを構成するため所定範囲の離間距離をもって互いに対向する尖端部をエッチング形成することを特徴とする。
【0019】
上記本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、所定層の配線パターンにおいて、所定範囲の離間距離をもって互いに対向する尖端部をエッチング形成する。これにより、異常電圧によって通電がなされるギャップを構成する。
【0020】
上記本発明に係る半導体装置の製造方法において、次の(a)〜(d)いずれかの特徴を有することにより、突発的に発生する異常電圧に対する素子の保護、放電経路をより安定して確立させる。
(a) 前記複数の素子はMOS型素子を含み、前記配線パターンは前記MOS型素子のゲート電極部材を利用して形成する。
(b) 前記回路配線は複数の金属配線層を含み、前記配線パターンは前記金属配線層中の所定層を利用して形成する。
(c) 前記配線パターン上に層間絶縁膜を形成する工程を含み、前記層間絶縁膜は前記ギャップ上にボイド領域を形成する。
(d) 前記配線パターンに関し、対向する尖端部近傍にダミーパターンを同時にエッチング形成する工程と、前記配線パターン上に層間絶縁膜を形成する工程と、を含み、前記層間絶縁膜は前記ギャップ上にボイド領域を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の要部を示す構成図である。
導電層パターン11は、半導基板上の素子に接続関係を有する。導電層パターン11は、例えば、異常電圧の印加によりゲート絶縁破壊が懸念されるMOS型素子Q1のゲート電極に接続される。また、導電層パターン11は、外部接続端子12に接続関係を有する。導電層パターン11は、製造工程中に利用されるプラズマ処理に起因するチャージアップやESD(静電放電)によって異常電圧が伝達される。そこで、導電層パターン11は、異常電圧のみを通電させるギャップG1を配備し、このギャップG1を介して半導体基板に接続されている。半導体基板は基準電位(接地電位)を有する。ギャップG1は、MOS型素子Q1へ伝達されようとする異常電圧のみをバイパスさせるため、所定の離間距離をもって互いに対向する尖端部11A1,11A2を有する。
【0022】
導電層パターン11は、金属配線層での構成が適当である。その他、導電層パターン11は、MOS型素子Q1のゲート電極部材であるポリシリコンの配線層またはシリサイド化配線層を利用して構成することが考えられる。ギャップG1は、最小デザインルールまたは所定の離間距離を設定する。また、尖端部11A1,11A2それぞれの角度θは、30°≦θ≦90°の所定の角度とする。両者の設定でバイパスさせる異常電圧の電圧調整が可能である。尖端部11A1,11A2及びギャップG1は、例えば配線形成時のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して形成する。
【0023】
上記実施形態の構成によれば、MOS型素子Q1に接続関係を有する導電層パターン11自体の形状を工夫する。すなわち、導電層パターン11は、異常電圧のみをバイパスさせるため、尖端11A1,11A2を向かい合わせたギャップG1が設けられる。これにより、MOS型素子Q1へ伝達されようとする異常電圧は、ギャップG1を介して半導体基板の基準電位(接地電位)に吸収され、MOS型素子Q1には影響を及ぼさない。ギャップG1は、導電層パターン11自体の形状の工夫であるため、占有面積は小さく、高集積化に寄与する。また、ギャップG1は、異常電圧で破壊されることなく、機能の安定性に優れる。
【0024】
なお、導電層パターン11は、異常電圧をバイパスさせるため、ギャップG1を介して半導体基板に接続されている構成を示したが、他の構成も考えられる。導電層パターン11は、異常電圧をバイパスさせるため、ギャップG1を介して図示しない電源配線、例えば接地配線へ接続される構成も考えられる。
【0025】
図2は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の要部を示す投影断面図である。素子分離領域21は、例えばSTI(shallow trench isolation)であり、半導体基板20に形成したトレンチに酸化膜を埋め込んだ構成となっている。MOS型素子Q2は、素子分離領域21に囲まれた半導体基板20、ここではPウェル(P-well)上に形成されている。MOS型素子Q2は、ゲート酸化膜22を介してゲート電極23、その側部にスペーサ24を有する。MOS型素子Q2は、ゲート電極23両側の基板20表面において、ソース/ドレインの低濃度N型エクステンション領域25及び高濃度N型のソース/ドレイン拡散層26が配されている。MOS型素子Q2やその他の素子に関係する回路配線は、それぞれ層間絶縁膜27(271,272,273,274を含む)及び接続部材28(281,282,283を含む)を介しての金属配線パターン291〜294により構成されている。
【0026】
この第2実施形態において、第1層目の金属配線パターン291は、金属配線パターン291a,291bを有する。金属配線パターン291aは、接続部材281でゲート電極23に接続され、一端部が先鋭形状291aAを有する。金属配線パターン291bは、接続部材282で半導体基板(P-well)20への高濃度P型拡散層201に接続され、一端部が上記先鋭形状291aAと対向する先鋭形状291bAを有する。先鋭形状291aAと291bAどうしでギャップG2が構成されている。ギャップG2は、異常電圧発生時に金属配線パターン291a,291b間を通電させ、それ以外は絶縁状態を保つ。
【0027】
金属配線パターン291は、パターン291a側において、上層の金属配線パターン294で構成される外部接続用の電極パッドPADと接続関係を有する。金属配線パターン291aは、電極パッドPADへの接続経路の一部として接続部材283が設けられる。接続部材283は、パターン291a側において、接続部材281よりも先鋭形状291aA側により近い位置に設けられている。
【0028】
図2を参照して、この第2実施形態構成の製造方法について説明する。
素子分離領域21に囲まれた半導体基板20、ここではPウェル(P-well)上において、MOS型素子(NチャネルMOSFET)Q2は周知の方法で形成される。例えば、ゲート酸化膜22は、図示しないゲート酸化工程を経て形成する。ゲート電極23は、ゲート酸化膜22上にポリシリコン層を堆積してパターニング形成する。次に、ゲート電極23をマスクに、イオン注入法を用いてソース/ドレインの低濃度N型エクステンション領域25を形成する。次に、絶縁膜の堆積と異方性エッチングによってスペーサ24を形成する。次に、ゲート電極23及びスペーサ24をマスクに、高濃度N型のソース/ドレイン拡散層26を形成する。半導体基板(P-well)20に接続するための高濃度P型拡散層201は、図示しない他の素子、例えばPチャネルMOSFETのソース/ドレイン拡散層の形成と同一工程で形成する。
【0029】
次に、MOS型素子Q2上を覆う層間絶縁膜271を形成する。その後、層間絶縁膜271は平坦化される。この平坦化工程はCMP(化学的機械的研磨)技術が用いられる。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて必要な箇所にコンタクトホールを形成する。コンタクトホールにバリア金属及びW等の主配線金属を埋め込み、CMP工程を経て接続部材を形成する。図では、各接続部材281,282の形成であるが、その他図示しない複数の接続部材が形成される。
【0030】
次に、金属配線パターン291を形成する。金属配線パターン291は、例えばバリア金属、アルミニウムを主成分とする金属層及び反射防止膜を含む積層構造(図示せず)である。このような積層構造は、CVD技術またはスパッタリング技術を利用して層間絶縁膜271上全面に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。金属配線パターン291aは、接続部材281上に配され、一端部に先鋭形状291aAを形成する。金属配線パターン291bは、接続部材28上に配され、一端部が先鋭形状291aAと対向する先鋭形状291bAを形成する。金属配線パターン291は、図示しないその他の素子に関係する回路配線の一部を形成する。
【0031】
金属配線パターン291(291a,291b)は、先鋭形状291aAと291bAどうしで異常電圧のみをバイパスさせるギャップG2を構成する。一例を挙げれば次のようである。金属配線パターン291の配線幅を0.26μmとすると、ギャップG2は、離間距離0.1μm程度、先鋭形状291aAと291bAの尖端角度θは、30°≦θ≦90°の所定の角度、例えば60°程度とする。
【0032】
次に、CVD技術を用いて金属配線パターン291を覆う層間絶縁膜272を堆積する。その後、層間絶縁膜272は平坦化される。この平坦化工程はCMP技術が用いられる。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて必要な箇所にビアホールを形成する。ビアホールにバリア金属及びW等の主配線金属を埋め込み、CMP工程を経て接続部材を形成する。図では、接続部材283の形成を示しているが、その他図示しない複数の接続部材が形成される。ここで、接続部材283は、金属配線パターン291a側において、接続部材281よりも先鋭形状291aA側により近い位置に設ける。接続部材283は、上層からの信号伝達経路の一部である。接続部材283は、異常電圧が伝達された場合、優先的にギャップG2を介して基板へと放電され易いように配置される。
【0033】
次に、金属配線パターン292を形成する。金属配線パターン292は、例えばバリア金属、アルミニウムを主成分とする金属層及び反射防止膜を含む積層構造(図示せず)である。このような積層構造は、CVD技術またはスパッタリング技術を利用して層間絶縁膜272上全面に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。金属配線パターン292は、接続部材283上に配され、電極パッド形成のための下層電極292uを形成する。金属配線パターン292は、図示しないその他の素子に関係する回路配線の一部を形成する。
【0034】
次に、上述と同様にCVD技術を用いて金属配線パターン292を覆う層間絶縁膜273を形成し、CMP技術により平坦化がなされる。層間絶縁膜273においても、必要な箇所に図示しないビアホールが形成され、接続部材28を埋め込んだ形態を得る。次に、金属配線パターン293を形成する。金属配線パターン293も上述の金属配線パターン292と同様に形成され、所望のパターンを得る。図では、電極パッド形成のための下層電極293uを形成する。金属配線パターン293は、図示しないその他の素子に関係する回路配線の一部を形成する。
【0035】
次に、上述と同様にCVD技術を用いて金属配線パターン293を覆う層間絶縁膜274を形成し、CMP技術により平坦化する。層間絶縁膜274においても、必要な箇所に図示しないビアホールが形成され、接続部材28を埋め込んだ形態を得る。次に、金属配線パターン294を形成する。金属配線パターン294も上述の金属配線パターン292と同様に形成され、所望のパターンを得る。図では、電極パッドPADの形成が示されている。金属配線パターン294は、図示しないその他の素子に関係する回路配線の一部を形成する。その後、図示しないが最上層に保護膜、いわゆるパッシベーション膜を形成する。
【0036】
上記実施形態の構成及び方法によれば、絶縁破壊が懸念されるMOS型素子Q2の保護回路としてギャップG2が配備される。すなわち、ゲート電極23に繋がる金属配線パターン291aと、半導体基板20への放電経路を持つ金属配線パターン291bが構成される。金属配線パターン291aと291bは、互いに先鋭形状291aAと291bAの端部を有して対向させギャップG2を構成している。異常電圧は、製造工程中に利用されるプラズマ処理に起因するチャージアップによって起こり得る。あるいは異常電圧は、ICが製造された後の検査工程や実装工程などで発生する電極パッドPADから突発的に伝達されるESD(静電放電)によって起こり得る。ギャップG2は、異常電圧発生時に金属配線パターン291a、291b間を通電させ、異常電圧を半導体基板20の基準電位(接地電位)に吸収させるバイパスを形成する。このようなギャップG2を含む保護回路は、従来の保護ダイオードや保護トランジスタに比べて占有面積は小さく、高集積化に寄与する。また、異常電圧で破壊されることなく、機能の安定性に優れる。
【0037】
なお、上記第2実施形態において、MOS型素子Q2は、図示しないが、サリサイドプロセスを経て構成されてもよい。すなわち、MOS型素子Q2は、ゲート電極23及びソース/ドレイン拡散層26において、シリサイド化表面を構成してもよい。
【0038】
また、ギャップG2は、層間絶縁膜272によって埋め込まれる。しかし、ギャップG2は、層間絶縁膜272が存在しないボイド領域に配されるようにしてもよい。ギャップG2は微細であり、層間絶縁膜272が確実に埋め込まれない可能性がある。ギャップG2が空洞領域にあれば、通常動作時においてより優れた絶縁性が得られる。
【0039】
図3は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の要部を示す平面図である。図4は、図3のF4−F4線に沿う断面図である。前記第2実施形態と同様の箇所には同一の符号を付して説明する。
例えば、前記第2実施形態のギャップG2の形成を想定して考える。ギャップG2の工程において、ダミーパターンを付加する。ダミーパターン291dは、金属配線パターン291aと291bをパターニングする際、先鋭形状291aAと291bAの近傍に金属配線パターン291によって形成される。これにより、次の工程で形成される層間絶縁膜272は、ギャップG2周辺においてカバレッジ性能の限界を超える。これにより、ギャップG2は、層間絶縁膜272が存在しないボイド領域41に配されることになる。これにより、通常動作時においてより優れた絶縁性が得られる。
【0040】
図5は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の要部を示す投影断面図である。素子分離領域51は、例えばSTI(shallow trench isolation)であり、半導体基板50に形成したトレンチに酸化膜を埋め込んだ構成となっている。MOS型素子Q3は、素子分離領域51に囲まれた半導体基板50、ここではPウェル(P-well)上に形成されている。MOS型素子Q3は、ゲート酸化膜52を介してゲート電極53、その側部にスペーサ54を有する。MOS型素子Q3は、ゲート電極53両側の基板50表面において、ソース/ドレインの低濃度N型エクステンション領域55及び高濃度N型のソース/ドレイン拡散層56が配されている。MOS型素子Q3やその他の素子に関係する回路配線は、それぞれ層間絶縁膜57(571,572を含む)及び接続部材58(581,582を含む)を介しての金属配線パターン591,592、さらに図示しない上層の配線により構成されている。もちろん、MOS型素子Q3のゲート電極53は、最終的には図示しない外部接続用の電極パッドと何らかの接続関係を有する。
【0041】
この第4実施形態において、ゲート電極53は、ゲート電極部材パターン531aとして、接続部材581とのコンタクト部を含むように素子分離領域51上に伸長している。ゲート電極部材パターン531aは、一端部が先鋭形状531aAを有する。さらに、素子分離領域51上にゲート電極部材パターン531bが配されている。ゲート電極部材パターン531bは、半導体基板(P-well)20への高濃度P型拡散層501に接続されている。ゲート電極部材パターン531bは、一端部が上記先鋭形状531aAと対向する先鋭形状531bAを有する。先鋭形状531aAと531bAどうしでギャップG3が構成されている。ギャップG3は、異常電圧発生時にゲート電極部材パターン531a,531b間を通電させ、それ以外は絶縁状態を保つ。
【0042】
ゲート電極53及びゲート電極部材パターン531a,531bは、サリサイドプロセスを経て構成されてもよい。すなわち、MOS型素子Q3は、ゲート電極53及びソース/ドレイン拡散層56において、シリサイド化表面を構成する。従って、先鋭形状531aAを含むゲート電極部材パターン531a,531bAを含む531bもシリサイド化表面で構成される。この図5における斜線SILは、シリサイド化表面を示している。
【0043】
また、金属配線パターン591は、ゲート電極部材パターン531a側において、接続部材581と接続され、必要な回路配線を構成している。接続部材581は、ゲート電極部材パターン531a側において、MOS型素子Q3のゲート電極53よりも先鋭形状531aA側により近い位置に設けられている。さらに、金属配線パターン592は、金属配線パターン591との接続部材582と接続され、必要な回路配線を構成している。金属配線パターン592は、図示しない上層の配線パターンと接続関係を有する。上述したように、MOS型素子Q3のゲート電極53は、最終的には図示しない外部接続用の電極パッドと何らかの接続関係を有する。
【0044】
図5を参照して、この第4実施形態構成の製造方法について説明する。
素子分離領域51に囲まれた半導体基板50、ここではPウェル(P-well)上において、MOS型素子(NチャネルMOSFET)Q3は周知の方法で形成される。例えば、前記第2実施形態の図2におけるMOS型素子Q2の形成と同様である。ただし、ゲート電極53のパターニング時において、一端部が先鋭形状531aAを有するゲート電極部材パターン531aを形成する。また、ゲート電極53のパターニング時において、一端部が先鋭形状531aAと対向する先鋭形状531bAを有するゲート電極部材パターン531bを形成する。ゲート電極部材パターン531bは、半導体基板(P-well)20への高濃度P型拡散層501に接続されるようパターニングする。P型拡散層501は、パターニングによりゲート酸化膜を除去する工程、ゲート酸化膜を除去した領域にゲート電極部材パターン531bを形成する工程、ゲート電極部材パターン531bの領域にPチャネルMOSFETのソース/ドレイン拡散層を形成する工程と同一工程を追加することにより形成される。
【0045】
その後、MOS型素子Q3は、サリサイドプロセスを経る。これにより、ソース/ドレイン拡散層56、ゲート電極53及びゲート電極部材パターン531a,531bの表面はシリサイド化される(斜線)。ギャップG3は、その離間距離と、先鋭形状531aAと531bAの尖端角度θ(30°≦θ≦90°)を設定することにより、異常電圧のみを通電させる構成とする。上記設定は、先鋭形状531aAと531bAの側部にスペーサ54が形成される条件、されない条件いずれを選択するかによって変わる。
【0046】
次に、MOS型素子Q3上を覆う層間絶縁膜571を形成する。層間絶縁膜571はCMP技術が用いられ、平坦化される。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて必要な箇所にコンタクトホールを形成する。コンタクトホールにバリア金属及びW等の主配線金属を埋め込み、CMP工程を経て接続部材を形成する。図では、接続部材581の形成であるが、その他図示しない複数の接続部材が形成される。ここで、接続部材581は、ゲート電極部材パターン531a側において、ゲート電極53よりも先鋭形状531aA側により近い位置に設ける。接続部材581は、上層からの信号伝達経路の一部である。接続部材581は、異常電圧が伝達された場合、優先的にギャップG3を介して放電され易いように配置される。
【0047】
次に、金属配線パターン591を形成する。金属配線パターン591は、例えばバリア金属、アルミニウムを主成分とする金属層及び反射防止膜を含む積層構造である。このような積層構造は、CVD技術またはスパッタリング技術を利用して層間絶縁膜571上全面に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。金属配線パターン591は、図示しないその他の素子に関係する回路配線の一部を形成する。
【0048】
次に、CVD技術を用いて金属配線パターン591を覆う層間絶縁膜572を堆積する。その後、層間絶縁膜572は平坦化される。この平坦化工程はCMP技術が用いられる。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて必要な箇所にビアホールを形成する。ビアホールにバリア金属及びW等の主配線金属を埋め込み、CMP工程を経て接続部材を形成する。図では、接続部材582の形成を示しているが、その他図示しない複数の接続部材が形成される。次に、層間絶縁膜572上に金属配線パターン292を形成する。金属配線パターン292は、図示しないその他の素子に関係する回路配線の一部を形成する。このような回路配線は、図示しない上層の配線が構成される。最終的には外部接続用の電極パッドが形成され、上記回路配線と何らかの接続関係を有するよう構成される。
【0049】
上記実施形態の構成及び方法によれば、絶縁破壊が懸念されるMOS型素子Q3の保護回路としてギャップG3が配備される。すなわち、ゲート電極53の伸長部として構成されるゲート電極部材パターン531aと、半導体基板50への放電経路を持つゲート電極部材パターン531bが構成される。ゲート電極部材パターン531aと531bは、互いに先鋭形状531aAと531bAの端部を有して対向させギャップG3を構成している。異常電圧は、製造工程中に利用されるプラズマ処理に起因するチャージアップや、図示しない上層の配線または電極パッドから突発的に伝達されるESD(静電放電)によって起こり得る。ギャップG3は、異常電圧発生時にゲート電極部材531a,531b間を通電させ、異常電圧を半導体基板50の基準電位(接地電位)に吸収させるバイパスを形成する。このようなギャップG3を含む保護回路は、従来の保護ダイオードや保護トランジスタに比べて占有面積は小さく、高集積化に寄与する。また、異常電圧で破壊されることなく、機能の安定性に優れる。
【0050】
なお、上記第4実施形態において、ギャップG3は、層間絶縁膜571によって埋め込まれる。しかし、ギャップG3は、層間絶縁膜571が存在しないボイド領域に配されるようにしてもよい。ギャップG3は微細であり、層間絶縁膜571が確実に埋め込まれない可能性がある。ギャップG3が空洞領域にあれば、通常動作時においてより優れた絶縁性が得られる。前記図3に示す第3実施形態のように、積極的にダミーパターンを付加してもよい。この場合、図示しないがダミーパターンはポリシリコン等、ゲート電極部材パターンであり、ギャップG3近傍の適当な箇所に配置する。スペーサ54の状態も考慮する必要がある。ダミーパターンを要所に配置することで、次の工程で形成される層間絶縁膜572は、ギャップG3周辺においてカバレッジ性能の限界を超える。従って、ギャップG3は、層間絶縁膜572が存在しないボイド領域に配されるようになる。これにより、通常動作時においてより優れた絶縁性が得られる。
【0051】
図6、図7は、それぞれ本発明の第5、第6実施形態に係る半導体装置の要部を示す平面図である。異常電圧発生時にのみ通電するギャップが、基準電位の与えられる接続部を共有しつつ複数設けられている。
図6において、導電層パターン61は、半導体基板60上の絶縁膜63上に形成されている。絶縁膜63は、素子分離領域または層間絶縁膜が考えられる。導電層パターン61は、パターン611a,612a,613a,614aと、61bを有する。パターン611aは、一端部に先鋭形状611aAを有する。パターン612aは、一端部に先鋭形状612aAを有する。パターン613aは、一端部に先鋭形状613aAを有する。パターン614aは、一端部に先鋭形状614aAを有する。各パターン611a,612a,613a,614aそれぞれの他端は、異常電圧が懸念される図示しない素子の一部に接続されている。パターン61bは、基準電位、例えば半導体基板60への接続部62を有する。また、パターン61bは、それぞれ一端部が先鋭形状611aA,612aA,613aA,614aAと対向する先鋭形状61bA1,61bA2,61bA3,61bA4を有する。先鋭形状611aAと61bA1どうしでギャップG61が構成されている。先鋭形状612aAと61bA2どうしでギャップG62が構成されている。先鋭形状613aAと61bA3どうしでギャップG63が構成されている。先鋭形状614aAと61bA4どうしでギャップG64が構成されている。ギャップG61〜G64は、それぞれ、異常電圧発生時に通電し、半導体基板60へ異常電圧を吸収させる。
【0052】
導電層パターン61は、前記第2実施形態に示したように、金属配線層での構成が適当である。その他、導電層パターン61は、MOS型素子のゲート電極部材であるポリシリコン配線層またはシリサイド化配線層を利用して構成することが考えられる。ギャップG61〜G64は、それぞれ、最小デザインルールまたは所定の離間距離を設定する。また、各先鋭形状における尖端角度は、30°〜90°の範囲で所定の角度を設定する。両者の設定でバイパスさせる異常電圧の電圧調整が可能である。ギャップG61〜G64は、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用してパターニングする。
【0053】
図7において、導電層パターン71は、半導体基板70上の絶縁膜73上に形成されている。絶縁膜73は、素子分離領域または層間絶縁膜が考えられる。導電層パターン71は、パターン711a,712a,713a,714aと、71bを有する。パターン711aは、一端部が先鋭形状711aAを有する。パターン712aは、一端部が先鋭形状712aAを有する。パターン713aは、一端部が先鋭形状713aAを有する。パターン714aは、一端部が先鋭形状714aAを有する。各パターン711a,712a,713a,714aそれぞれの他端は、異常電圧が懸念される図示しない素子の一部に接続されている。パターン71bは、基準電位、例えば半導体基板70への接続部72を有する。また、パターン71bは、それぞれ一端部が先鋭形状711aA,712aA,713aA,714aAと対向する先鋭形状71bA1,71bA2,71bA3,71bA4を有する。先鋭形状711aAと71bA1どうしでギャップG71が構成されている。先鋭形状612aAと61bA2どうしでギャップG72が構成されている。先鋭形状713aAと71bA3どうしでギャップG73が構成されている。先鋭形状714aAと71bA4どうしでギャップG74が構成されている。ギャップG71〜G74は、それぞれ、異常電圧発生時に通電し、半導体基板70へ異常電圧を吸収させる。
【0054】
導電層パターン71は、前記第4実施形態に示したように、MOS型素子のゲート電極部材であるポリシリコン配線層またはシリサイド化配線層を利用して構成することが考えられる。また、金属配線層での構成でもよい。ギャップG71〜G74は、それぞれ、最小デザインルールを考慮した所定の離間距離を設定する。また、各先鋭形状における尖端角度は、30°〜90°の範囲で所定の角度を設定する。両者の設定でバイパスさせる異常電圧の電圧調整が可能である。ギャップG71〜G74は、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用してパターニングする。
【0055】
上記それぞれの実施形態の構成によれば、異常電圧発生時にのみ通電するギャップが、基準電位の与えられる接続部を共有しつつ複数設けられている。これにより、保護回路の高集積化に寄与する。基準電位の与えられる接続部を共有した複数のギャップは、上記第5、第6実施形態に限らず、様々な構成が考えられる。
【0056】
また、ギャップG61〜G64またはギャップG71〜G74は、図示しないがそれぞれ層間絶縁膜が存在しないボイド領域に配されるようにしてもよい。各ギャップが空洞領域にあれば、通常動作時においてより優れた絶縁性が得られる。図示しないが、前記第3実施形態に示すように、積極的にダミーパターンを付加してもよい。これにより、図示しない層間絶縁膜において、ギャップG61〜G64またはギャップG71〜G74それぞれの周辺をボイド領域とすることも考えられる。
【0057】
以上説明したように本発明によれば、MOS型素子等、絶縁膜破壊が懸念されるゲート電極部材への配線において、異常電圧発生時のみ通電するギャップを配した保護回路を付加する。異常電圧は、プラズマ処理に起因するチャージアップや、ESD(静電放電)によって起こり得る。本発明におけるギャップは、上記異常電圧をバイパスさせることができ、MOS型素子等のチャージングダメージをなくし、絶縁膜破壊を防止する。しかも占有面積は従来の保護回路に比べて小さくて済む。これにより、集積回路を構成する素子の信頼性が向上し、ひいては製品歩留まりが向上する。この結果、半導体集積回路内において、小さい面積で異常電圧のバイパス性能に優れた保護回路を有する半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の要部を示す構成図。
【図2】第2実施形態に係る半導体装置の要部を示す投影断面図。
【図3】第3実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の要部を示す平面図。
【図4】図3のF4−F4線に沿う断面図。
【図5】第4実施形態に係る半導体装置の要部を示す投影断面図。
【図6】第5実施形態に係る半導体装置の要部を示す平面図。
【図7】第6実施形態に係る半導体装置の要部を示す平面図。
【符号の説明】
【0059】
11,61,71…導電層パターン、11A1,11A2…尖端部、12…外部接続端子、20,50,60,70…半導体基板、201,501…高濃度拡散層、21…素子分離領域、22,52…ゲート酸化膜、23,53…ゲート電極、24,54…スペーサ、25,55…ソース/ドレインのエクステンション領域、26,56…ソース/ドレイン拡散層、27(271〜274を含む),57(571,572を含む)…層間絶縁膜、28(281〜283を含む),58(581,582を含む)…接続部材、291〜294,291a,291b,591,592…金属配線パターン、291aA,291bA,531aA,531bA,611aA,612aA,613aA,614aA,61bA1,61bA2,61bA3,61bA4,711aA,712aA,713aA,714aA,71bA1,71bA2,71bA3,71bA4…先鋭形状、291d…ダミーパターン、41…ボイド領域、531a,531b…ゲート電極部材パターン、63,73…絶縁膜、Q1,Q2,Q3…MOS型素子、G1,G2,G3,G61〜G64,G71〜G74…ギャップ、PAD…電極パッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成されたMOS型素子と、
前記MOS型素子へ伝達されようとする異常電圧のみをバイパスさせる尖端を対向させたギャップを有する導電層パターンと、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記導電層パターンは、前記ギャップから一方側で少なくとも前記MOS型素子のゲート電極と接続関係を有し、前記ギャップから他方側で少なくとも前記半導体基板と接続関係を有する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板の上方に設けられた外部接続端子を含み、
前記導電層パターンは、前記ギャップから一方側で少なくとも前記MOS型素子のゲート電極及び前記外部接続端子と接続関係を有し、前記ギャップから他方側で少なくとも前記半導体基板と接続関係を有する請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された少なくともそれぞれ一端部が先鋭形状を有する第1の配線パターン及び第2の配線パターンと、
前記第1の配線パターン、前記第2の配線パターンのいずれか一方に与えられる基準電位への接続部と、
異常電圧発生時に前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンの間が通電し、前記異常電圧が前記基準電位によって緩和されるようにした前記先鋭形状どうしを対向させたギャップと、
を含む半導体装置。
【請求項5】
前記ギャップは、前記基準電位が与えられる接続部を共有しつつ複数設けられる請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の配線パターン、第2の配線パターンは、それぞれ前記先鋭形状として30°〜90°の範囲の尖端を有する請求項4または5記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体基板上の素子分離領域と、
前記素子分離領域に囲まれた前記半導体基板上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極部材と、
前記ゲート電極部材に繋がる第1の接続部を有すると共に層間絶縁膜を介して形成された先鋭形状の端部を有する第1の金属配線パターンと、
前記半導体基板に繋がる第2の接続部を有すると共に前記層間絶縁膜を介して形成された前記第1の金属配線パターンの端部と対向した先鋭形状の端部を有する第2の金属配線パターンと、
を含む半導体装置。
【請求項8】
前記第1、第2の金属配線パターンは、共に前記ゲート電極部材上の第1層目金属配線層で構成されている請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1、第2の金属配線パターンは、前記先鋭形状どうしで異常電圧のみをバイパスさせるギャップを構成している請求項7または8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1、第2の金属配線パターンは、前記先鋭形状どうしで異常電圧のみをバイパスさせるギャップを構成し、前記ギャップは前記層間絶縁膜のボイド領域に設けられている請求項7または8記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体基板の上方に設けられた外部接続端子と、
前記第1の金属配線パターンにおける前記外部接続端子へ繋がる第3の接続部と、を含み、
前記第1の金属配線パターンに関し、前記第3の接続部は、前記第1の接続部よりも前記先鋭形状の端部により近い位置に設けられている請求項7〜10いずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項12】
半導体基板上の素子分離領域と、
前記素子分離領域に囲まれた前記半導体基板上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極部材と、
前記ゲート電極部材が前記素子分離領域上に伸長し先鋭形状の端部を有する第1の配線パターンと、
前記素子分離領域上に前記第1の配線パターンの端部と対向した先鋭形状の端部を有し前記半導体基板に結合される前記ゲート電極部材でなる第2の配線パターンと、
を含む半導体装置。
【請求項13】
前記第1、第2の配線パターンは、前記先鋭形状どうしで異常電圧のみをバイパスさせるギャップを構成している請求項12記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1、第2の配線パターンを覆う層間絶縁膜を含み、
前記第1、第2の配線パターンは、前記先鋭形状どうしで異常電圧のみをバイパスさせるギャップを構成し、前記ギャップは前記層間絶縁膜のボイド領域に設けられている請求項12または13記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体基板の上方に設けられた外部接続端子と、
前記第1の配線パターンにおける前記外部接続端子へ繋がる接続部と、を含み、
前記第1の配線パターンに関し、前記接続部は、前記先鋭形状の端部近傍に設けられている請求項12〜14いずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項16】
半導体基板上に複数の素子を形成する工程と、
半導体集積回路として前記素子に関係する回路配線の少なくとも一部になる所定層の配線パターンを形成する工程と、を含み、
前記配線パターンは、少なくとも異常電圧によって通電がなされるギャップを構成するため所定範囲の離間距離をもって互いに対向する尖端部をエッチング形成する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記複数の素子はMOS型素子を含み、前記配線パターンは前記MOS型素子のゲート電極部材を利用して形成する請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記回路配線は複数の金属配線層を含み、前記配線パターンは前記金属配線層中の所定層を利用して形成する請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記配線パターン上に層間絶縁膜を形成する工程を含み、前記層間絶縁膜は前記ギャップ上にボイド領域を形成する請求項16〜18いずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記配線パターンに関し、対向する尖端部近傍にダミーパターンを同時にエッチング形成する工程と、
前記配線パターン上に層間絶縁膜を形成する工程と、を含み、
前記層間絶縁膜は前記ギャップ上にボイド領域を形成する請求項16〜18いずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−32536(P2006−32536A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207179(P2004−207179)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】