説明

半導体装置

【課題】絶縁耐量を改善することができる半導体装置を得る。
【解決手段】Si基板10(基板)上にゲート抵抗7(下配線)が設けられている。ゲート抵抗7を層間絶縁膜12が覆っている。層間絶縁膜12上に、互いに分離したアルミ配線5a,5b(第1及び第2の上配線)が設けられている。アルミ配線5a,5bを半絶縁性の保護膜4が覆っている。ゲート抵抗7の直上であってアルミ配線5aとアルミ配線5bとの間の領域に、保護膜4が設けられていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁耐量を改善することができる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下配線を層間絶縁膜で覆い、その上に上配線を設けた半導体装置がある。この半導体装置の表面において、ワイヤボンディングされるパッド以外の領域は半絶縁性の保護膜で覆われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−326744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上配線をエッチングした領域では、層間絶縁膜の一部もエッチングされて薄くなる。また、層間絶縁膜は下配線の段差部分で薄くなる。このような層間絶縁膜が薄い領域において、電位差が発生する下配線と上配線との間で、半絶縁性の保護膜を介してリーク電流が流れてESD(Electrostatic Discharge)破壊が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は絶縁耐量を改善することができる半導体装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、基板と、前記基板上に設けられた下配線と、前記下配線を覆う層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に設けられ、互いに分離した第1及び第2の上配線と、前記第1及び第2の上配線を覆う半絶縁性の保護膜とを備え、前記下配線の直上であって前記第1の上配線と前記第2の上配線との間の領域に、前記保護膜が設けられていないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、絶縁耐量を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置を示す上面図である。
【図2】図1の破線で囲った部分を拡大した上面図である。
【図3】図2の一部を拡大した上面図である。
【図4】図3のA−A´に沿った断面図である。
【図5】比較例に係る半導体装置を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す上面図である。
【図7】図6のB−B´に沿った断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る半導体装置を示す上面図である。
【図9】図8のC−C´に沿った断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の変形例を示す上面図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る半導体装置を示す上面図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の変形例1を示す上面図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の変形例2を示す上面図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の変形例3を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る半導体装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置を示す上面図である。ワイヤボンディングされるゲートパッド1、エミッタパッド2、カレント温度センサ(不図示)に接続されたセンスパッド3がチップ上に設けられている。これらのパッド以外の領域は保護膜4で覆われている。
【0011】
保護膜4は、耐圧を安定化し分極を防ぐために、膜厚2000Å〜10000Åの半絶縁性のSInSiN膜(屈折率2.2〜2.7)と、その上に設けられた膜厚2000Å〜10000Åの絶縁膜(屈折率1.8〜2.2)とを有する。なお、SInSiN膜の代わりに、半絶縁性ポリシリコン(SIPOS: Semi-Insulating Poly-crystalline Silicon)等を用いてもよい。
【0012】
図2は、図1の破線で囲った部分を拡大した上面図である。互いに分離したアルミ配線5a,5bは、コンタクト電極6を介してゲート抵抗7の両端にそれぞれ接続されている。保護膜4の開口から露出したアルミ配線5aの一部がゲートパッド1になっている。アルミ配線5bはゲート配線8に接続されている。ゲート配線8は、エミッタパッド2の下方に設けられたトレンチゲート9に接続されている。
【0013】
図3は図2の一部を拡大した上面図である。図4は図3のA−A´に沿った断面図である。Si基板10上に膜厚2000Å〜10000Åのゲート酸化膜11が設けられ、その上に膜厚500Å〜5000Åのドープトポリシリコンからなるゲート抵抗7が設けられている。ゲート抵抗7を膜厚2000Å〜10000Åの酸化膜からなる層間絶縁膜12が覆っている。ゲート抵抗7の両端で層間絶縁膜12がエッチングされ、タングステン等のコンタクト電極6が埋め込まれている。層間絶縁膜12はCVD(Chemical Vapor Deposition)により堆積され、ゲート抵抗7の段差部分で薄くなる。
【0014】
層間絶縁膜12上に、互いに分離した膜厚1μm〜10μmのアルミ配線5a,5bが設けられている。アルミ配線5a,5bは、アルミ膜を蒸着又はスパッタにより形成した後にエッチングすることで形成される。アルミ配線5a,5bを半絶縁性の保護膜4が覆っている。ただし、ゲート抵抗7の直上であってアルミ配線5aとアルミ配線5bとの間の領域には、半絶縁性の保護膜4が設けられてない。
【0015】
続いて本実施の形態の効果について比較例と比較して説明する。図5は、比較例に係る半導体装置を示す断面図である。比較例では、ゲート抵抗7の直上であってアルミ配線5aとアルミ配線5bとの間の領域に、半絶縁性の保護膜4を設けている。しかし、アルミ配線5a,5bをエッチングした際に、この領域において層間絶縁膜12の一部もエッチングされて薄くなる。このため、比較例では、電位差が発生するゲート抵抗7とアルミ配線5a,5bとの間で半絶縁性の保護膜4を介してリーク電流が流れ、ESD破壊が生じる。
【0016】
一方、本実施の形態では、ゲート抵抗7の直上であってアルミ配線5aとアルミ配線5bとの間の領域に、半絶縁性の保護膜4を設けない。これにより、ゲート抵抗7とアルミ配線5a,5bの間の絶縁距離を長くすることができるため、ESD破壊を防ぐことができる。よって、絶縁耐量を改善することができる。
【0017】
図6は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の変形例を示す上面図である。図7は図6のB−B´に沿った断面図である。ゲート抵抗7の直上の全領域に、保護膜4が設けられていない。これにより、絶縁耐量を更に改善することができる。
【0018】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置を示す上面図である。図9は図8のC−C´に沿った断面図である。Si基板10上にゲート抵抗7a,7bが設けられている。ゲート抵抗7a,7bを層間絶縁膜12が覆っている。層間絶縁膜12上にアルミ配線5a,5bが設けられている。アルミ配線5a,5bは、互いに分離し、コンタクト電極6を介してゲート抵抗7a,7bにそれぞれ接続されている。アルミ配線5a,5bを半絶縁性の保護膜4が覆っている。
【0019】
アルミ配線5aとアルミ配線5bとの間の領域の下方においてSi基板10にトレンチ配線13が設けられている。トレンチ配線13はゲート抵抗7aとゲート抵抗7bを接続する。トレンチ配線13は、Si基板10を数μmエッチングしてトレンチを形成し、その側壁を酸化して膜厚100Å〜2000Åの酸化膜を形成した後、ドープトポリシリコンを埋め込むことで形成される。
【0020】
このトレンチ配線13により、ゲート抵抗7a,7bとアルミ配線5a,5bの間の絶縁距離を長くすることができるため、ESD破壊を防ぐことができる。よって、絶縁耐量を改善することができる。
【0021】
図10は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の変形例を示す上面図である。トレンチ配線13はメッシュ状に配線されている。これにより、トレンチ配線13の抵抗が小さくなるため、電流集中を抑えることができる。
【0022】
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置を示す上面図である。アルミ配線5aは、保護膜4から露出されたゲートパッド1を有する。トレンチ配線13は、このゲートパッド1の下を通る。これにより、素子面積を小さくすることができる。その他の構成は実施の形態2と同様であり、実施の形態2と同様の効果を得ることもできる。
【0023】
図12は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の変形例1を示す上面図である。トレンチ配線13はゲートパッド1の角部の下を通る。これにより、ゲートパッド1の直下を避けることができるため、ダメージ等の影響を抑えることができる。また、トレンチ配線13が短くなるため、トレンチ配線13の抵抗を小さくすることができる。
【0024】
図13は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の変形例2を示す上面図である。トレンチ配線13はゲートパッド1の角部に対して斜めに配置されている。これにより、トレンチ配線13が更に短くなるため、トレンチ配線13の抵抗を更に小さくすることができる。
【0025】
図14は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の変形例3を示す上面図である。トレンチ配線13はゲートパッド1の下方においてメッシュ状に配線されている。ゲートパッド1の面積は大きいため、トレンチ配線13を数多く配置できる。これにより、トレンチ配線13の抵抗が無視できるほど小さくなるため、電流集中を抑えることができる。
【0026】
なお、実施の形態2,3の半導体装置において、実施の形態1と同様にゲート抵抗7の直上であってアルミ配線5aとアルミ配線5bとの間の領域に、半絶縁性の保護膜4を設けないようにしてもよい。これにより、絶縁耐量を更に改善することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ゲートパッド(ワイヤボンディング領域)
4 保護膜
5a アルミ配線(第1の上配線)
5b アルミ配線(第2の上配線)
7 ゲート抵抗(下配線)
7a ゲート抵抗(第1の下配線)
7b ゲート抵抗(第2の下配線)
10 Si基板(基板)
12 層間絶縁膜
13 トレンチ配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた下配線と、
前記下配線を覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に設けられ、互いに分離した第1及び第2の上配線と、
前記第1及び第2の上配線を覆う半絶縁性の保護膜とを備え、
前記下配線の直上であって前記第1の上配線と前記第2の上配線との間の領域に、前記保護膜が設けられていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記下配線の直上の全領域に、前記保護膜が設けられていないことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板上に設けられた第1及び第2の下配線と、
前記第1及び第2の下配線を覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に設けられ、互いに分離した第1及び第2の上配線と、
前記第1の上配線と前記第2の上配線との間の領域の直下において前記基板に設けられ、前記第1の下配線と前記第2の下配線を接続するトレンチ配線と、
前記第1及び第2の上配線を覆う半絶縁性の保護膜とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記第1の上配線は、前記保護膜から露出されたワイヤボンディング領域を有し、
前記トレンチ配線は前記ワイヤボンディング領域の下を通ることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記トレンチ配線は前記ワイヤボンディング領域の角部の下を通ることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記トレンチ配線は前記ワイヤボンディング領域の前記角部に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記トレンチ配線はメッシュ状に配線されていることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−204634(P2012−204634A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68214(P2011−68214)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】