説明

半導体装置

【課題】複数のランクに分類された積層型の半導体装置において、異なるランクに対して連続アクセスされた場合のデータの衝突を防止する。
【解決手段】ライトデータを伝送する貫通電極TSVWとリードデータを伝送する貫通電極TSVRとをそれぞれ有する互いに積層された複数のコアチップCC0〜CC7と、これらコアチップCC0〜CC7に共通接続されたインターフェースチップIFとを備える。インターフェースチップIFは、データ入出力端子16と、データ入出力端子と貫通電極TSVWとの間に設けられた52入力バッファと、データ入出力端子16と貫通電極TSVRの間に設けられた出力バッファ51とを有する。本発明によれば、ライトデータとリードデータを互いに異なる貫通電極を介して伝送していることから、異なるランクに対して連続アクセスされた場合であってもデータの衝突が生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、インターフェース機能を有するフロントエンド部と、メモリコアを含むバックエンド部とがそれぞれ別個の半導体チップに集積されてなる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体記憶装置は、モジュール基板に複数個搭載した状態で使用されることが多い。モジュール化されたDRAMは、チップ選択信号によって排他的に選択される複数のランク(Rank)に分類されることがある(特許文献1参照)。異なるランク間においては、データバス上の競合が生じない限り、互いに無関係にアクセス可能であることから、モジュール上のDRAMを複数のランクに分類することによりデータバスの利用効率を高めることができる。
【0003】
他方、近年においては、メモリコントローラとのインターフェースを行ういわゆるフロントエンド部と、メモリコアを含むバックエンド部とをそれぞれ別個のチップに集積し、これらを積層することによって一つの半導体記憶装置を構成する方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法によれば、バックエンド部が集積されたコアチップについては、メモリコアに割り当て可能な占有面積が増大することから、1チップ当たり(一つのコアチップ当たり)の記憶容量を増大させることが可能となる。一方、フロントエンド部が集積されたインターフェースチップについては、メモリコアとは異なるプロセスで作製できるため、高速なトランジスタによって回路を形成することが可能となる。しかも、1つのインターフェースチップに対して複数のコアチップを割り当てることができるため、全体として非常に大容量且つ高速な半導体記憶装置を提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−134904号公報
【特許文献2】特開2007−158237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、積層型の半導体装置においては、リードデータやライトデータの伝送に用いる貫通電極が複数のコアチップ間において共通接続されていることから、積層された複数のコアチップを複数のランクに分類すると、貫通電極上においてリードデータやライトデータの競合が生じることがあった。これを防止するためには、異なるランクへのアクセスにおいてもデータの競合が生じないよう、コマンドの発行間隔を広げる必要があるが、この場合にはデータバスの利用効率が低下するという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による半導体装置は、ライトデータを伝送する第1の貫通電極とリードデータを伝送する第2の貫通電極とをそれぞれ有する互いに積層された複数の被制御チップであって、前記複数の被制御チップに設けられた前記第1の貫通電極が互いに共通接続され、前記複数の被制御チップに設けられた前記第2の貫通電極が互いに共通接続された、複数の被制御チップと、データ入出力端子と、前記データ入出力端子及び前記第1の貫通電極の間に設けられ前記データ入出力端子から前記ライトデータを受けて前記第1の貫通電極に出力する入力バッファと、前記データ入出力端子及び前記第2の貫通電極の間に設けられ前記第2の貫通電極から前記リードデータを受けて前記データ入出力端子に出力する出力バッファと、を有する制御チップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ライトデータとリードデータを互いに異なる信号パスを介して伝送していることから、あるランクに対してライト動作を指示した直後に別のランクに対してリード動作を指示した場合であっても、貫通電極上においてライトデータとリードデータが競合することがない。これにより、制御チップ上のデータバスにおいて競合が生じない限り、異なるランクを互いに無関係にアクセスすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の構造を説明するための模式的な断面図である。
【図2】コアチップに設けられた貫通電極TSVの種類を説明するための図である。
【図3】図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1の構造を示す断面図である。
【図4】LRA−1方式のアドレス割り付けを説明するための模式図である。
【図5】LRA−2方式のアドレス割り付けを説明するための模式図である。
【図6】LRA−3方式のアドレス割り付けを説明するための模式図である。
【図7】PRA方式のアドレス割り付けを説明するための模式図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。
【図9】入力バッファ31の回路図である。
【図10】チップアドレス取得回路41の回路図である。
【図11】半導体装置10のうちインターフェースチップIFとコアチップCC0〜CC7との間のデータ転送に関する要素を抜き出して示すブロック図である。
【図12】半導体装置10の動作を説明するためのタイミング図である。
【図13】変形例による半導体装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の構造を説明するための模式的な断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態による半導体装置10は、互いに同一の機能、構造を持ち、夫々同一の製造マスクで製作された8枚のコアチップCC0〜CC7(被制御チップ)と、コアチップCC0〜CC7とは異なる製造マスクで製作された1枚のインターフェースチップIF(制御チップ)と、1枚のインターポーザIPとが積層された構造を有している。コアチップCC0〜CC7及びインターフェースチップIFはシリコン基板を用いた半導体チップであり、いずれもシリコン基板を貫通する多数の貫通電極TSV(Through Silicon Via)によって上下に隣接するチップと電気的に接続されている。一方、インターポーザIPは樹脂からなる回路基板であり、その裏面IPbには複数の外部端子(半田ボール)SBが形成されている。
【0012】
コアチップCC0〜CC7は、単体で動作する通常のSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)に含まれる回路ブロックのうち、外部とのインターフェースを行ういわゆるフロントエンド部が削除された半導体チップである。言い換えれば、バックエンド部に属する回路ブロックのみが集積された半導体チップである。フロントエンド部に含まれる回路ブロックとしては、メモリセルアレイとデータ入出力端子との間で入出力データのパラレル/シリアル変換を行うパラレルシリアル変換回路や、データの入出力タイミングを制御するDLL(Delay Locked Loop)回路などが挙げられる。詳細については後述する。
【0013】
一方、インターフェースチップIFは、単体で動作する通常のSDRAMに含まれる回路ブロックのうち、フロントエンド部のみが集積された半導体チップである。インターフェースチップIFは、8枚のコアチップCC0〜CC7に対する共通のフロントエンド部として機能する。したがって、外部からのアクセスは全てインターフェースチップIFを介して行われ、データの入出力もインターフェースチップIFを介して行われる。
【0014】
本実施形態では、インターポーザIPとコアチップCC0〜CC7との間にインターフェースチップIFが配置されているが、インターフェースチップIFの位置については特に限定されず、コアチップCC0〜CC7よりも上部に配置しても構わないし、インターポーザIPの裏面IPbに配置しても構わない。インターフェースチップIFをコアチップCC0〜CC7の上部にフェースダウンで又はインターポーザIPの裏面IPbにフェースアップで配置する場合には、インターフェースチップIFに貫通電極TSVを設ける必要はない。また、インターフェースチップIFは、2つのインターポーザIPに挟まれるように配置しても良い。
【0015】
インターポーザIPは、半導体装置10の機械的強度を確保するとともに、電極ピッチを拡大するための再配線基板として機能する。つまり、インターポーザIPの上面IPaに形成された電極91をスルーホール電極92によって裏面IPbに引き出し、裏面IPbに設けられた再配線層93によって、外部端子SBのピッチを拡大している。図1には、2個の外部端子SBのみを図示しているが、実際には多数の外部端子が設けられている。外部端子SBのレイアウトは、規格により定められたSDRAMにおけるそれと同じである。したがって、外部のコントローラからは1個のSDRAMとして取り扱うことができる。
【0016】
図1に示すように、最上部のコアチップCC0の上面はNCF(Non-Conductive Film)94及びリードフレーム95によって覆われており、コアチップCC0〜CC7及びインターフェースチップIFの各チップ間のギャップはアンダーフィル96で充填され、またその周囲は封止樹脂97によって覆われている。これにより、各チップが物理的に保護される。
【0017】
コアチップCC0〜CC7に設けられた貫通電極TSVの大部分は、積層方向から見た平面視で、すなわち図1に示す矢印Aから見た場合に、同じ位置に設けられた他層の貫通電極TSVと短絡されている。つまり、図2(a)に示すように、平面視で同じ位置に設けられた上下の貫通電極TSV1が短絡され、これら貫通電極TSV1によって1本の配線が構成されている。各コアチップCC0〜CC7に設けられたこれらの貫通電極TSV1は、当該コアチップ内の内部回路4にそれぞれ接続されている。したがって、インターフェースチップIFから図2(a)に示す貫通電極TSV1に供給される入力信号(コマンド信号、アドレス信号など)は、コアチップCC0〜CC7の内部回路4に共通に入力される。また、コアチップCC0〜CC7から貫通電極TSV1に供給される出力信号(データなど)は、ワイヤードオアされてインターフェースチップIFに入力される。
【0018】
これに対し、一部の貫通電極TSVについては、図2(b)に示すように、平面視で同じ位置に設けられた他層の貫通電極TSV2と直接接続されるのではなく、当該コアチップCC0〜CC7に設けられた内部回路5を介して接続されている。つまり、各コアチップCC0〜CC7に設けられたこれら内部回路5が貫通電極TSV2を介してカスケード接続されている。この種の貫通電極TSV2は、各コアチップCC0〜CC7に設けられた内部回路5に所定の情報を順次転送するために用いられる。このような情報としては、後述する層アドレス情報が挙げられる。
【0019】
さらに他の一部の貫通電極TSVについては、図2(c)に示すように、平面視で異なる位置に設けられた他層の貫通電極TSVと短絡されている。この種の貫通電極TSV群3に対しては、平面視で所定の位置Pに設けられた貫通電極TSV3aに各コアチップCC0〜CC7の内部回路6が接続されている。これにより、各コアチップに設けられた内部回路6に対して選択的に情報を入力することが可能となる。このような情報としては、不良チップ情報が挙げられる。
【0020】
このように、コアチップCC0〜CC7に設けられた貫通電極TSVは、図2(a)〜(c)に示す3タイプ(TSV1〜TSV3)が存在する。上述の通り、大部分の貫通電極TSVは図2(a)に示すタイプであり、アドレス信号、コマンド信号などは図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1を介して、インターフェースチップIFからコアチップCC0〜CC7に供給される。また、リードデータ及びライトデータについても、図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1を介してインターフェースチップIFに入出力される。これに対し、図2(b),(c)に示すタイプの貫通電極TSV2,TSV3は、互いに同一の構造を有するコアチップCC0〜CC7に対して、個別の情報を与えるために用いられる。
【0021】
図3は、図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1の構造を示す断面図である。
【0022】
図3に示すように、貫通電極TSV1はシリコン基板80及びその表面の層間絶縁膜81を貫通して設けられている。貫通電極TSV1の周囲には絶縁リング82が設けられており、これによって、貫通電極TSV1とトランジスタ領域との絶縁が確保される。図3に示す例では絶縁リング82が二重に設けられており、これによって貫通電極TSV1とシリコン基板80との間の静電容量が低減されている。
【0023】
シリコン基板80の裏面側における貫通電極TSV1の端部83は、裏面バンプ84で覆われている。裏面バンプ84は、下層のコアチップに設けられた表面バンプ85と接する電極である。表面バンプ85は、各配線層L0〜L3に設けられたパッドP0〜P3及びパッド間を接続する複数のスルーホール電極TH1〜TH3を介して、貫通電極TSV1の端部86に接続されている。これにより、平面視で同じ位置に設けられた表面バンプ85と裏面バンプ84は、短絡された状態となる。尚、図示しない内部回路との接続は、配線層L0〜L3に設けられたパッドP0〜P3から引き出される内部配線(図示せず)を介して行われる。
【0024】
ここで、インターフェースチップIF及びコアチップCC0〜CC7の詳細な回路構成について説明する前に、本実施形態による半導体装置10のアドレス割り付けについて説明する。
【0025】
本実施形態による半導体装置10は、モード選択によってアドレス割り付けを変更することが可能である。半導体装置10には、大きく分けてLRA(Logical Rank Address)方式とPRA(Physical Rank Address)方式が用意されている。LRA方式とは、それぞれ異なるコアチップCC0〜CC7に設けられた複数のバンクをコントローラから見て1つのバンクとして取り扱うアドレス割り付け方式である。これに対し、PRA方式とは、各コアチップCC0〜CC7に設けられた複数のバンクをそれぞれ1つのバンクとして取り扱うアドレス割り付け方式である。さらに、本実施形態では、LRA方式に3タイプ用意されており、便宜上、それぞれLRA−1方式、LRA−2方式、LRA−3方式と呼ぶ。以下、各方式について具体的に説明する。
【0026】
図4は、LRA−1方式のアドレス割り付けを説明するための模式図である。図4〜図7においては一つのマス目がバンクを示している。したがって、一つのコアチップにはバンク0〜バンク7が含まれていることになる。
【0027】
図4に示すように、LRA−1方式とは、ロウアクセス時(アクティブコマンドACTの発行時)に供給されるアドレス信号の一部Xn+2,Xn+1,Xn(チップアドレス)に基づいてコアチップCC0〜CC7のいずれかを選択するとともに、ロウアクセス時及びカラムアクセス時に供給されるバンクアドレス信号BA0〜BA2に基づいてバンク0〜バンク7のいずれかを選択する方式である。コントローラからは、異なるコアチップCC0〜CC7に含まれる同じ番号の8個のバンクが1つのバンクとして認識される。
【0028】
この方式では、カラムアクセス時(カラムコマンド発行時)にチップアドレスは供給されないが、コントローラは異なるコアチップCC0〜CC7に含まれる同じ番号の8個のバンクを1つのバンクとして認識していることから、カラムアクセス時にチップアドレスを供給しなくても、どのコアチップCC0〜CC7に対するカラムアクセスであるのか判別可能である。なぜなら、カラムアクセス時に指定されるバンクがアクティブ状態であるコアチップは、必ず1つだからである。
【0029】
例えば、図4において丸印で囲ったバンクがアクティブ状態であるとすると、カラムアクセス時に指定されるバンクがバンク0であれば、バンク0がアクティブ状態であるコアチップCC7にてカラムアクセスが行われ、カラムアクセス時に指定されるバンクがバンク1であれば、バンク1がアクティブ状態であるコアチップCC5にてカラムアクセスが行われる、といった具合である。
【0030】
このように、LRA−1方式においては、コアチップCC0〜CC7の選択がロウアクセス時に行われる。また、コントローラからは1個のDRAMとして認識されることから、使用されるチップ選択信号(CS)も1ビットとなる。これにより、例えば、1回のロウアクセスでアクセスされるメモリセル数は1kバイトとなり、ランク数は1となる。
【0031】
図5は、LRA−2方式のアドレス割り付けを説明するための模式図である。
【0032】
図5に示すように、LRA−2方式とは、2ビットのチップ選択信号CS0,CS1に基づいてコアチップCC0〜CC3かコアチップCC4〜CC7を選択し、さらに、ロウアクセス時に供給されるアドレス信号の一部Xn+1,Xn(チップアドレス)に基づいて、選択された4つのコアチップの中からいずれか1つのコアチップを選択する方式である。バンクアドレス信号BA0〜BA2については、ロウアクセス時及びカラムアクセス時の両方において供給される。
【0033】
この方式では、チップ選択信号を用いてコアチップCC0〜CC3又はコアチップCC4〜CC7を選択していることから、コントローラから見たランク数は2となる。また、LRA−1方式と同様、コアチップCC0〜CC7の選択がロウアクセス時に確定することから、例えば、1回のロウアクセスでアクセスされるメモリセル数は、LRA−1方式と同様1kバイトとなる。尚、この方式においてもカラムアクセス時にはチップアドレスは供給されないが、これによる問題が生じない点はLRA−1方式と同様である。
【0034】
この方式においては、コアチップCC0〜CC3とコアチップCC4〜CC7とがチップ選択信号CS0,CS1によって区別されることから、コアチップCC0〜CC3に属するバンクと、コアチップCC4〜CC7に属するバンクは、コントローラから見て別のバンクとして取り扱われる。したがって、図5に示す例のように、コアチップCC2のバンク0とコアチップCC7のバンク0が同時にアクティブ状態となり得る。
【0035】
図6は、LRA−3方式のアドレス割り付けを説明するための模式図である。
【0036】
図6に示すように、LRA−3方式とは、ロウアクセス時に供給されるアドレス信号の一部Xn+2,Xnに基づいてコアチップCC0とCC2、コアチップCC1とCC3、コアチップCC4とCC6、コアチップCC5とCC7のいずれかを選択し、さらに、カラムアクセス時に供給されるアドレス信号の一部Yn+1に基づいて、選択された2つのコアチップの中からいずれか1つのコアチップを選択する方式である。バンクアドレス信号BA0〜BA2については、ロウアクセス時及びカラムアクセス時の両方において供給される。
【0037】
この方式では、ロウアクセス時に供給されるアドレス信号の一部Xn+2,Xnと、カラムアクセス時に供給されるアドレス信号の一部Yn+1によってコアチップCC0〜CC7の選択が行われる。このため、チップアドレスはXn+2,Xn,Yn+1となる。また、ロウアクセス時には2つのコアチップがアクティブ状態となることから、1回のロウアクセスでアクセスされるメモリセル数は、LRA−1方式及びLRA−2方式の2倍となり、例えば2kバイトである。ランク数は、LRA−1方式と同様1ランクである。
【0038】
図7は、PRA方式のアドレス割り付けを説明するための模式図である。
【0039】
図7に示すように、PRA方式とは、ロウアクセス時及びカラムアクセス時とも、アドレス信号の一部であるチップアドレスP2,P1,P0と、バンクアドレス信号BA0〜BA2が供給される方式である。この方式においては、コントローラからは全てのバンクが互いに異なるバンクとして認識される。つまり、本実施形態では64バンクとして認識される。したがって、アクティブ状態となるバンクの数及び組み合わせは任意であり、最大で64個のバンク全てがアクティブ状態となり得る。
【0040】
以上が各アドレス割り付け方式の詳細である。これらのアドレス割り付け方式は、モード選択によって切り替えることが可能である。
【0041】
次に、半導体装置10の具体的な回路構成について説明する。以下の説明においては、半導体装置10の動作モードがLRA−2方式に設定されている場合を例に説明する。
【0042】
図8は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。
【0043】
図8に示すように、インターポーザIPに設けられた外部端子には、クロック端子11、コマンド端子12、チップ選択端子13、クロックイネーブル端子14、アドレス端子15、データ入出力端子16、データストローブ端子17が含まれている。その他、キャリブレーション端子や電源端子なども設けられているが、これらについては図示を省略してある。これら外部端子のうち、電源端子を除く全ての外部端子はインターフェースチップIFに接続されており、コアチップCC0〜CC7には直接接続されない。
【0044】
クロック端子11は外部クロック信号CKが供給される端子であり、供給された外部クロック信号CKは、入力バッファIBを介してクロック生成回路21に供給される。クロック生成回路21は内部クロック信号ICLKを生成する回路であり、生成された内部クロック信号ICLKは、インターフェースチップIF内の各種回路ブロックに供給される。
【0045】
内部クロック信号ICLKはDLL回路22に供給される。DLL回路22は、出力用クロック信号LCLKを生成する回路であり、生成された出力用クロック信号LCLKは、出力バッファ回路51に供給される。
【0046】
コマンド端子12は、ロウアドレスストローブ信号RASB、カラムアドレスストローブ信号CASB、ライトイネーブル信号WEBなどからなるコマンド信号COMが供給される端子である。また、チップ選択端子13はチップ選択信号CS0B,CS1Bが供給される端子であり、クロックイネーブル端子14はクロックイネーブル信号CKE0,CKE1が供給される端子である。これらのコマンド信号、チップ選択信号及びクロックイネーブル信号は、入力バッファ31を介してコマンドデコーダ32に供給される。
【0047】
図9は、入力バッファ31の回路図である。
【0048】
図9に示すように、入力バッファ31は、チップ選択信号CS0B,CS1B、クロックイネーブル信号CKE0,CKE1、ロウアドレスストローブ信号RASB、カラムアドレスストローブ信号CASB、ライトイネーブル信号WEBがそれぞれ入力される入力バッファIB1〜IB7を含んでいる。さらに入力バッファ31は、入力バッファIB1,IB2を通過したクロックイネーブル信号CKE0,CKE1を受け、これらに基づいて内部信号PPD,PPD0,PPD1を生成する制御回路31aを備えている。内部信号PPD0,PPD1は、それぞれ入力バッファIB3,IB4を活性化させる信号として用いられ、内部信号PPDは、入力バッファIB5〜IB7を活性化させる信号として用いられる。
【0049】
内部信号PPD0,PPD1は、それぞれチップ選択信号CS0B,CS1Bに基づいて活性化される信号である。これにより、非活性状態であるチップ選択信号CS0B又はCS1Bに対応する入力バッファIB3又はIB4の出力が誤って活性化しないようガードされる。また、内部信号PPDは、チップ選択信号CS0B,CS1Bの一方が活性化している場合に活性化する信号である。これにより、チップ選択信号CS0B,CS1Bの一方が活性化すれば、入力バッファIB5〜IB7は活性化される。そして、入力バッファIB3〜IB7を通過したこれらコマンド信号PCS0,PCS1,PRAS,PCAS,PWEは、図8に示すコマンドデコーダ32に供給される。
【0050】
コマンドデコーダ32は、入力バッファ31から出力されたコマンド信号PCS0,PCS1,PRAS,PCAS,PWEをデコードすることによって、各種内部制御信号を生成し、これらをコマンドラッチ回路33に供給する回路である。
【0051】
コマンドラッチ回路33は、コマンドデコーダ32から供給される各種内部制御信号を内部クロック信号ICLKに同期してラッチし、これらをTSVバッファ61を介してコアチップCC0〜CC7に供給する回路である。コマンドラッチ回路33から出力される制御信号には、ロウコマンドR0,R1、リードタイミング信号RCLK、ライトタイミング信号WCLKが含まれる。リードタイミング信号RCLKは、コマンドラッチ回路33に含まれるリードタイミング制御回路33aによって生成され、TSVバッファ61及び貫通電極TSVRCLKを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給される。また、ライトタイミング信号WCLKは、コマンドラッチ回路33に含まれるライトタイミング制御回路33bによって生成され、TSVバッファ61及び貫通電極TSVWCLKを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給される。
【0052】
ロウコマンドR0は、チップ選択信号CS0Bが活性化している状態でアクティブコマンドACTが発行された場合に活性化される信号である。一方、ロウコマンドR1は、チップ選択信号CS1Bが活性化している状態でアクティブコマンドACTが発行された場合に活性化される信号である。但し、これは本実施形態による半導体装置がLRA−2方式で動作している場合に限られ、他の方式で動作している場合には、チップ選択信号CS1Bが使用されないため、ロウコマンドR0のみが用いられる。
【0053】
また、リードタイミング信号RCLKは、リードコマンドRDが発行された後、所定のレイテンシが経過した後に活性化される信号である。リードタイミング信号RCLKのレイテンシは、アディティブレイテンシAL+αに設定される。ここでαとは、後述するリードライトアンプ300の動作による遅延時間に相当する。また、ライトタイミング信号WCLKは、ライトコマンドWRが発行された後、所定のレイテンシが経過した後に活性化される信号である。ライトタイミング信号WCLKのレイテンシは、アディティブレイテンシAL+CASライトレイテンシCWL+βに設定される。ここでβとは、後述するシリアルパラレル変換回路55の動作による遅延時間に相当する。リードコマンドRDが発行されてからリードタイミング信号RCLKが活性化するまでの時間や、ライトコマンドWRが発行されてからライトタイミング信号WCLKが活性化するまでの時間は、モードレジスタ60の設定値によって変化させることができる。
【0054】
アドレス端子15は、アドレス信号ADD及びバンクアドレス信号BAが供給される端子であり、供給されたアドレス信号ADD及びバンクアドレス信号BAは、入力バッファIBを介してアドレスラッチ回路40,44に供給される。アドレスラッチ回路40は、供給されたアドレス信号ADD及びバンクアドレス信号BAの一部を内部クロック信号ICLKに同期してラッチし、ラッチしたアドレスから抽出又は生成したチップアドレスをTSVバッファ61及び貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給する。また、アドレスラッチ回路44は、アドレス信号ADD及びバンクアドレス信号BAの別の一部を内部クロック信号ICLKに同期してラッチし、これらをTSVバッファ61及び貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給する。
【0055】
図8に示すように、アドレスラッチ回路40には、チップアドレス取得回路41、リード用チップアドレス出力回路42及びライト用チップアドレス出力回路43が含まれている。
【0056】
図10は、チップアドレス取得回路41の回路図である。
【0057】
図10に示すように、チップアドレス取得回路41は、バンクアドレスBAをデコードするデコーダ410と、バンクごとにチップアドレスを保持するチップアドレス保持回路420〜427とを備える。デコーダ410は、アクティブコマンドACTの発行時に指定されたバンクアドレスBAに基づいて、チップアドレス保持回路420〜427のいずれかを選択する。選択されたチップアドレス保持回路には、アクティブコマンドACTの発行時に指定されたチップアドレスSID(ROW)が保持される。そして、カラムコマンド発行時に供給されるバンクアドレスBAに基づき、対応するチップアドレス保持回路420〜427からチップアドレスを読み出せば、チップアドレスSID(COLUMN)を取得することが可能となる。チップアドレスSID(COLUMN)とは、カラムコマンドの発行時にアクセスすべきコアチップCC0〜CC7を示すアドレスである。このようなチップアドレス取得回路41を用いているのは、LRA方式においてはカラムコマンド発行時にチップアドレスが入力されないからである。
【0058】
そして、取得されたチップアドレスは、リード用チップアドレス出力回路42又はライト用チップアドレス出力回路43に送られ、リード動作時においてはリードタイミング信号RCLKに同期してリード用チップアドレス出力回路42からリード用チップアドレスRSIDとして出力され、ライト動作時においてはライトタイミング信号WCLKに同期してライト用チップアドレス出力回路43からライト用チップアドレスWSIDとして出力される。リード用チップアドレスRSIDは、貫通電極TSVRSIDを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給され、ライト用チップアドレスWSIDは、貫通電極TSVWSIDを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給される。尚、PRA方式においてはカラムコマンド発行時においてもチップアドレスが入力されることから、PRA方式が選択されている場合には、入力されたカラムコマンド発行時に入力されたチップアドレスがそのままリード用チップアドレス出力回路42又はライト用チップアドレス出力回路43に送られる。
【0059】
一方、ロウコマンド発行時に入力されたチップアドレスは、アクティブ用チップアドレスASIDとして、アドレスラッチ回路40から出力される。これらアクティブ用チップアドレスASID、リード用チップアドレスRSID及びライト用チップアドレスWSIDは、それぞれ異なる貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給される。
【0060】
データ入出力端子16は、リードデータDQ又はライトデータDQの入出力を行うための端子であり、出力バッファ回路51及び入力バッファ回路52に接続されている。出力バッファ回路51は、リードデータラッチ回路53及びパラレルシリアル変換回路54を介して供給されるリードデータを受け、これを出力用クロック信号LCLKに同期してデータ入出力端子16に出力する回路である。一方、入力バッファ回路52は、データ入出力端子16を介して供給されるライトデータを受け、これをシリアルパラレル変換回路55を介してライトデータラッチ回路56に供給する回路である。入力バッファ回路52の動作は、データストローブ端子17より供給されるデータストローブ信号DQSに同期して行われる。パラレルシリアル変換回路54は、コアチップCC0〜CC7から貫通電極TSVRを介して供給されるパラレルなリードデータをシリアル変換する回路である。また、シリアルパラレル変換回路55は、入力バッファ回路52から供給されるシリアルなライトデータをパラレルに変換する回路である。
【0061】
図8に示すように、リードデータは貫通電極TSVR及びリードバスRBSを介してコアチップCC0〜CC7から供給される。貫通電極TSVRは、コアチップCC0〜CC7に共通接続されている。一方、ライトデータはライトバスWBS及び貫通電極TSVWを介してコアチップCC0〜CC7へ供給される。貫通電極TSVWは、コアチップCC0〜CC7に共通接続されている。このように、リードバスRBSに接続された貫通電極TSVRと、ライトバスWBSに接続された貫通電極TSVWとはそれぞれ別個に設けられており、これによりリードデータとライトデータは互いに異なる信号パスを介して転送されることになる。
【0062】
リードデータラッチ回路53は、貫通電極TSVRを介してコアチップCC0〜CC7から転送されるパラレルなリードデータをリードタイミング信号RCLKに同期してラッチし、パラレルシリアル変換回路54に供給する回路である。また、ライトデータラッチ回路56は、シリアルパラレル変換回路55から供給されるパラレルなライトデータをライトタイミング信号WCLKに同期してラッチし、貫通電極TSVWを介してコアチップCC0〜CC7に供給する回路である。
【0063】
このように、リードデータラッチ回路53及びライトデータラッチ回路56とコアチップCC0〜CC7との間においては、基本的に、シリアル変換されていないパラレルデータが入出力される。つまり、単独で動作する通常のSDRAMでは、チップ外部との間でのデータの入出力がシリアルに行われる(つまり、データ入出力端子は1DQ当たり1個である)のに対し、コアチップCC0〜CC7とインターフェースチップIFとの間においては、データの入出力がパラレルに行われる。この点は、通常のSDRAMとコアチップCC0〜CC7との重要な相違点である。但し、プリフェッチしたパラレルデータを全て異なる貫通電極TSVを用いて入出力することは必須でなく、コアチップCC0〜CC7側にて部分的なパラレル/シリアル変換を行うことによって、1DQ当たり必要な貫通電極TSVの数を削減しても構わない。例えば、インターフェースチップIFとコアチップCC0〜CC7との間のリードデータ又はライトデータの転送を2回に分けて行っても構わない。
【0064】
また、インターフェースチップIFには、モードレジスタ60が備えられている。モードレジスタ60は、本実施形態による半導体装置の動作モードが設定されるレジスタである。設定される動作モードにはアドレス割り付け方式、つまり、LRA−1方式、LRA−2方式、LRA−3方式及びPRA方式の区別も含まれる。モードレジスタ60の出力であるモード信号MODEは各種回路ブロックに供給されるとともに、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも供給される。例えば、入力バッファ31は、モード信号MODEがLRA−2方式を示している場合にはチップ選択信号CS1及びクロックイネーブル信号CKE1を有効とし、逆に、LRA−2方式以外の方式を示している場合にはチップ選択信号CS1及びクロックイネーブル信号CKE1を無効化する。また、アドレスラッチ回路40は、モード信号MODEがどのアドレス割り付け方式を指定しているかに応じて、アドレス信号ADDの異なる一部を抽出し、これに基づきチップアドレスを生成する。
【0065】
以上がインターフェースチップIFの概要である。次に、コアチップCC0〜CC7の回路構成について説明する。
【0066】
図8に示すように、コアチップCC0〜CC7に含まれるメモリセルアレイ70は、8バンクに分割されている。尚、バンクとは、個別にコマンドを受け付け可能な単位である。言い換えれば、夫々のバンクは互いに非排他的に独立して動作することができる。メモリセルアレイ70内においては、複数のワード線WLと複数のビット線BLが交差しており、その交点にはメモリセルMCが配置されている(図8においては、1本のワード線WL、1本のビット線BL及び1個のメモリセルMCのみを示している)。ワード線WLの選択はロウデコーダ71によって行われる。また、ビット線BLはセンス回路72内の対応するセンスアンプに接続されている。センスアンプの選択はカラムデコーダ73によって行われる。
【0067】
ロウデコーダ71には、ロウアドレス制御回路74を介してロウアドレスRAが供給される。ロウアドレス制御回路74は、ロウアドレス判定回路100の出力である一致信号HITAが活性化したことに応答して、貫通電極TSV及びTSVバッファ62を介して供給されるアドレス信号ADDをラッチする。また、カラムデコーダ73には、カラムアドレス制御回路75を介してカラムアドレスCAが供給される。カラムアドレス制御回路75は、カラムアドレス判定回路200の出力である一致信号HITR又はHITWが活性化したことに応答して、貫通電極TSV及びTSVバッファ62を介して供給されるアドレス信号ADDをラッチする。
【0068】
ロウアドレス判定回路100は、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるアクティブ用チップアドレスASIDと、当該コアチップCC0〜CC7に割り当てられた固有のチップアドレスSIDとを比較し、両者が一致した場合に一致信号HITAを活性化させる。固有のチップアドレスSIDは、チップアドレス保持回路76に保持されている。チップアドレス保持回路76は、図2(b)に示したタイプの貫通電極TSV2を介してコアチップCC0〜CC7間で縦続接続されており、これにより、各コアチップCC0〜CC7にそれぞれ異なるチップアドレスSIDが設定される。
【0069】
また、ロウアドレス判定回路100には、貫通電極TSVを介してロウコマンドR0,R1及びモード信号MODEも供給される。これにより、ロウアドレス判定回路100は、モード信号MODEがLRA−2方式を示している場合、当該チップがランク0に属していればロウコマンドR0に応答して活性化され、当該チップがランク1に属していればロウコマンドR1に応答して活性化される。これに対し、モード信号MODEがLRA−2方式以外の方式を示している場合には、ロウコマンドR1は使用されないため、ロウアドレス判定回路100はロウコマンドR0に応答して活性化される。
【0070】
カラムアドレス判定回路200は、貫通電極TSVRSID,TSVWSIDを介してインターフェースチップIFより供給されるリード用チップアドレスRSID及びライト用チップアドレスWSIDと、当該コアチップCC0〜CC7に割り当てられた固有のチップアドレスSIDとを比較し、両者が一致した場合に一致信号HITR及びHITWをそれぞれ活性化させる。一致信号HITR及びHITWは、カラムアドレス制御回路75のみならずリードライトアンプ300にも供給される。
【0071】
リードライトアンプ300は、リード動作時においては一致信号HITRによって活性化され、メモリセルアレイ70から読み出されたリードデータをリードタイミング信号RCLKに同期してインターフェースチップIFに出力する。また、リードライトアンプ300は、ライト動作時においては一致信号HITWによって活性化され、インターフェースチップIFから転送されたライトデータをライトタイミング信号WCLKに同期してメモリセルアレイ70に出力する。
【0072】
以上がコアチップCC0〜CC7の基本的な回路構成である。図8に示した貫通電極TSVは、いずれも図2(a)に示したタイプの貫通電極TSV1である。
【0073】
図11は、本実施形態による半導体装置のうち、インターフェースチップIFとコアチップCC0〜CC7との間のデータ転送に関する要素を抜き出して示すブロック図である。
【0074】
図11に示すように、リード用チップアドレス出力回路42から出力されるリード用チップアドレスRSIDは、貫通電極TSVRSIDを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給される。また、ライト用チップアドレス出力回路43から出力されるライト用チップアドレスWSIDとは、貫通電極TSVWSIDを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給される。
【0075】
また、コアチップCC0〜CC7に設けられたカラムアドレス判定回路200には、リードアドレス判定回路210とライトアドレス判定回路220が含まれており、これら判定回路210,220にそれぞれリード用チップアドレスRSID及びライト用チップアドレスWSIDが供給される。したがって、リード動作時においては、リード用チップアドレスRSIDと当該コアチップCC0〜CC7に割り当てられた固有のチップアドレスSIDとがリードアドレス判定回路210によって比較され、両者が一致した場合に一致信号HITRが活性化する。一方、ライト動作時においては、ライト用チップアドレスWSIDと当該コアチップCC0〜CC7に割り当てられた固有のチップアドレスSIDとがライトアドレス判定回路220によって比較され、両者が一致した場合に一致信号HITWが活性化する。
【0076】
これら一致信号HITR,HITWは、リードライトアンプ300に含まれるリードバッファ制御回路310及びライトバッファ制御回路320にそれぞれ供給される。リードバッファ制御回路310は、一致信号HITRが活性化している場合、リードタイミング信号RCLKに同期したリードタイミング信号RCLK_COREをリードバッファ330に供給する回路である。これにより、センス回路72から読み出されたリードデータは、リードタイミング信号RCLK_COREに同期して貫通電極TSVRに出力され、リードバスRBSを介してリードデータラッチ回路53に供給される。一方、ライトバッファ制御回路320は、一致信号HITWが活性化している場合、ライトタイミング信号WCLKに同期したライトタイミング信号WCLK_COREをライトバッファ340に供給する回路である。これにより、ライトバスWBSを介して貫通電極TSVWに出力されたライトデータは、ライトタイミング信号WCLK_COREに同期してセンス回路72に供給される。
【0077】
図12は、本実施形態による半導体装置の動作を説明するためのタイミング図である。
【0078】
図12に示す例では、クロック信号CKのアクティブエッジ0に同期してライトコマンドWが発行され、クロック信号CKのアクティブエッジ6に同期してリードコマンドRが発行されている。ライトコマンド発行時に指定されたランクはランク0であり、リードコマンド発行時に指定されたランクはランク1である。つまり、異なるランクに対するアクセスであることから、メモリコントローラはデータバス上でデータの衝突が生じない限り、これらランクへのアクセスを無関係に実行することが可能である。
【0079】
ライトコマンドWが発行されると、コマンドデコーダ32は内部ライトコマンドWRITECOMを生成し、これをライトタイミング制御回路33bに供給する。ライトタイミング制御回路33bは、内部ライトコマンドWRITECOMを受け、所定のタイミングでライトタイミング信号WCLKを活性化させる。内部ライトコマンドWRITECOMを受けてからライトタイミング信号WCLKを活性化させるまでの時間は、モードレジスタ60の設定値によって変化させることができる。そして、ライトコマンドWが発行されてからCASライトレイテンシCWL(=5)が経過した後にシリアルに入力されるライトデータは、ライトバスWBS及び貫通電極TSVWを介して、各コアチップCC0〜CC7に共通に供給される。さらに、ライト用チップアドレス出力回路43は、ライトタイミング信号WCLKに同期してライト用チップアドレスWSIDを各コアチップCC0〜CC7に共通に供給する。これにより、コアチップCC0〜CC7に共通に供給されたライトデータは、ライト用チップアドレスWSIDが示すコアチップにおいて、ライトバッファ340により取り込まれることになる。
【0080】
一方、リードコマンドRが発行されると、コマンドデコーダ32は内部リードコマンドREADCOMを生成し、これをリードタイミング制御回路33aに供給する。リードタイミング制御回路33aは、内部リードコマンドREADCOMを受け、所定のタイミングでリードタイミング信号RCLKを活性化させる。内部リードコマンドREADCOMを受けてからリードタイミング信号RCLKを活性化させるまでの時間は、モードレジスタ60の設定値によって変化させることができる。また、リード用チップアドレス出力回路42は、リードタイミング信号RCLKに同期してリード用チップアドレスRSIDを各コアチップCC0〜CC7に共通に供給する。これにより、リード用チップアドレスRSIDが示すコアチップ内のメモリセルアレイ70から読み出されたリードデータは、リードバッファ330及び貫通電極TSVRを介してリードバスRBSに転送される。
【0081】
図12に示す例では、ライトバスWBSを用いたライトデータの転送動作と、リードバスRBSを用いたリードデータの転送動作とが時間的に重複していることが分かる。このことは、共通のリードライトバス及び共通の貫通電極TSVを用いた場合、リードライトバス上並びに共通の貫通電極TSV上において、ライトデータとリードデータが衝突することを意味する。しかしながら、本実施形態による半導体装置では、ライトデータを転送するためのライトバスWBS及び貫通電極TSVWと、リードデータを転送するためのリードバスRBS及び貫通電極TSVRとが別個に設けられていることから、このようなデータの衝突は生じない。これにより、データバスの利用効率が高められる。
【0082】
上記の例では、異なるランク間でライト動作とリード動作をこの順に行った場合(Write to Read)について説明したが、データの転送タイミングがWrite to Readにおいて最も近接する点を考慮すれば、その他のケースにおいてもデータの衝突が生じないことは容易に理解できる。
【0083】
このように、本実施形態では、ライトデータが転送される信号パスとリードデータが転送される信号パスとを分離していることから、異なるランク間でライト動作とリード動作をこの順に行った場合であっても、データの衝突が生じない。これにより、積層された複数のコアチップを複数のランクに分類して動作させる場合にデータバスの利用効率を高めることが可能となる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0085】
例えば、上記実施形態では、LRA−2方式で動作する場合を例に説明したが、本発明の対象となる半導体装置がLRA−2方式での動作が可能である必要はない。したがって、図13に示す半導体装置のように、1ランク動作を行う半導体装置に本発明を適用することも可能である。図13に示す半導体装置は、1ランク動作のみを行う半導体装置の例であり、したがって複数のチップ選択信号は用いられず、図示しない単一のチップ選択信号のみが使用される。その他の構成は、図11に示した半導体装置と基本的に同じである。
【符号の説明】
【0086】
ASID アクティブ用チップアドレス
CC0〜CC7 コアチップ
CS0B,CS1B チップ選択信号
HITA,HITR,HITW 一致信号
IF インターフェースチップ
IP インターポーザ
RBS リードバス
RCLK リードタイミング信号
RSID リード用チップアドレス
SID チップアドレス
TSV,TSVR,TSVW 貫通電極
WBS ライトバス
WCLK ライトタイミング信号
WSID ライト用チップアドレス
420〜427 チップアドレス保持回路
10 半導体装置
11 クロック端子
12 コマンド端子
13 チップ選択端子
14 クロックイネーブル端子
15 アドレス端子
16 データ入出力端子
17 データストローブ端子
21 クロック生成回路
22 DLL回路
31 入力バッファ
32 コマンドデコーダ
33 コマンドラッチ回路
33a リードタイミング制御回路
33b ライトタイミング制御回路
40,44 アドレスラッチ回路
41 チップアドレス取得回路
42 リード用チップアドレス出力回路
43 ライト用チップアドレス出力回路
51 出力バッファ回路
52 入力バッファ回路
53 リードデータラッチ回路
54 パラレルシリアル変換回路
55 シリアルパラレル変換回路
56 ライトデータラッチ回路
60 モードレジスタ
61,62 TSVバッファ
70 メモリセルアレイ
71 ロウデコーダ
72 センス回路
73 カラムデコーダ
74 ロウアドレス制御回路
75 カラムアドレス制御回路
76 チップアドレス保持回路
100 ロウアドレス判定回路
200 カラムアドレス判定回路
210 リードアドレス判定回路
220 ライトアドレス判定回路
300 リードライトアンプ
310 リードバッファ制御回路
320 ライトバッファ制御回路
330 リードバッファ
340 ライトバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトデータを伝送する第1の貫通電極とリードデータを伝送する第2の貫通電極とをそれぞれ有する互いに積層された複数の被制御チップであって、前記複数の被制御チップに設けられた前記第1の貫通電極が互いに共通接続され、前記複数の被制御チップに設けられた前記第2の貫通電極が互いに共通接続された、複数の被制御チップと、
データ入出力端子と、前記データ入出力端子及び前記第1の貫通電極の間に設けられ前記データ入出力端子から前記ライトデータを受けて前記第1の貫通電極に出力する入力バッファと、前記データ入出力端子及び前記第2の貫通電極の間に設けられ前記第2の貫通電極から前記リードデータを受けて前記データ入出力端子に出力する出力バッファと、を有する制御チップと、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数の被制御チップは、ライトタイミング信号を伝送する第3の貫通電極と、リードタイミング信号を伝送する第4の貫通電極と、前記第1の貫通電極を介して供給される前記ライトデータを前記ライトタイミング信号に同期して取り込むライトバッファと、前記リードデータを前記リードタイミング信号に同期して前記第2の貫通電極に供給するリードバッファと、をそれぞれ有し、
前記複数の被制御チップに設けられた前記第3の貫通電極は互いに共通接続され、
前記複数の被制御チップに設けられた前記第4の貫通電極は互いに共通接続され、
前記制御チップは、コマンド入力端子と、前記コマンド端子に入力されたコマンド信号がライトコマンドであることに応答して前記第3の貫通電極に前記ライトタイミング信号を供給するライトタイミング制御回路と、前記コマンド端子に入力されたコマンド信号がリードコマンドであることに応答して前記第4の貫通電極に前記リードタイミング信号を供給するリードタイミング制御回路と、をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の被制御チップは、ライト用チップアドレスを伝送する第5の貫通電極と、リード用チップアドレスを伝送する第6の貫通電極と、前記ライト用チップアドレスと該チップに割り当てられたチップアドレスとが一致したことに応答して前記ライトバッファを活性化させるライトアドレス判定回路と、前記リード用チップアドレスと該チップに割り当てられたチップアドレスとが一致したことに応答して前記リードバッファを活性化させるリードアドレス判定回路と、をそれぞれ有し、
前記複数の被制御チップに設けられた前記第5の貫通電極は互いに共通接続され、
前記複数の被制御チップに設けられた前記第6の貫通電極は互いに共通接続され、
前記制御チップは、アクセスすべき被制御チップのチップアドレスを取得するチップアドレス取得回路と、前記ライトコマンドが発行されたことに応答して、前記チップアドレス取得回路によって取得された前記チップアドレスを前記第5の貫通電極に供給するライト用チップアドレス出力回路と、前記リードコマンドが発行されたことに応答して、前記チップアドレス取得回路によって取得された前記チップアドレスを前記第6の貫通電極に供給するリード用チップアドレス出力回路と、をさらに有する
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ライトタイミング制御回路は、前記ライトコマンドが発行されてから第1の時間が経過した後に前記第3の貫通電極に前記ライトタイミング信号を供給し、
前記リードタイミング制御回路は、前記リードコマンドが発行されてから第2の時間が経過した後に前記第4の貫通電極に前記ライトタイミング信号を供給し、
前記ライト用チップアドレス出力回路は、前記ライトコマンドが発行されてから前記第1の時間が経過した後に前記第5の貫通電極に前記ライト用チップアドレスを供給し、
前記リード用チップアドレス出力回路は、前記リードコマンドが発行されてから前記第2の時間が経過した後に前記第6の貫通電極に前記リード用チップアドレスを供給する
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記制御チップは、前記第1及び第2の時間を設定するモードレジスタをさらに有することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の被制御チップは複数のランクにグループ分けされており、
前記制御チップには、排他的に活性化される複数のチップ選択信号が外部から供給され、
前記制御チップは、活性化されたチップ選択信号に対応するランクを選択的に活性化する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−99162(P2012−99162A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243144(P2010−243144)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】