説明

半導体装置

【課題】オン抵抗を増大させることなく、ゲート−ソース間のESD耐量を向上させることのできる半導体装置を提供すること。
【解決手段】ポリシリコンゲート層を利用して形成したツェナーダイオードをESD耐量を向上させるために、並列接続させる構造を有する半導体装置とするものであって、ストライプ状または矩形状のツェナーダイオードを並列接続させて、それぞれ活性部内部に形成する半導体装置とする。
【選択図】 図

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシリコンゲート電極を有するMOSFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などのMOS型半導体装置およびポリシリコンなどのゲート電極材料を使用するバイポーラ型半導体装置であって、ゲート電極−主電極との間に、ポリシリコン層を利用して、所定の電圧以上の過大電圧から半導体装置を保護するための双方向(双方向阻止型と同義、以降同じ)ツェナーダイオードを形成した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリシリコンゲート電極を有するMOSFETは、ゲート・ソース間、またはゲート・ドレイン間に、ゲート絶縁膜の静電破壊を防止するために、双方向ツェナーダイオードなどの保護ダイオードを挿入することが行われている。この保護ダイオードは活性部の端部に形成されることがあり、また図7(a)〜図8に示す従来の保護ダイオードを有するMOS型半導体装置のようにゲート電極パッドの内周に沿って形成されることがあり、静電破壊耐量(ESD耐量)を大きくしようとしてツェナーダイオード面積を大きくすると、主電流容量に係わる活性部面積の減少となってオン抵抗が増加するという問題があった。
【0003】
前記図7、図8に示す従来の保護ダイオードを有するMOS型半導体装置について説明する。図7(a)は保護ダイオードを有するMOS型半導体装置(チップ)の平面図であり、符号Sがソース金属電極8または端子を表し、符号Gはゲート金属電極パッド9または端子を表す。図7(b)は、図7(a)で、破線aで囲んだゲート金属電極パッド近傍の、リング状のツェナーダイオード領域10を透視させた拡大平面図、図7(c)は図7(b)の破線枠b部分の拡大平面図であり、ツェナーダイオードを構成するpn接合と、MOS型半導体装置の、ソースおよびゲートとそれぞれ接続されるコンタクト7−1、7−2と、透視状態のソース金属電極膜8とゲート金属電極パッド9を分離する層間絶縁膜7とを示している。図7(d)は図7(a)に示す保護ダイオードを有するMOS型半導体装置の等価回路である。図8は図7(b)のK−K'線の拡大断面図である。この保護ダイオードを有するMOS型半導体装置は、図8に示すように、低抵抗のn型シリコン基板100上に成長させた高抵抗のn型シリコンエピタキシャル層からなるドリフト層1の表面層に、選択的に形成されるpウエル2とこのpウエル2の表面から選択的に形成されるp+コンタクト領域3と高濃度n++型ソース領域4を備える。このn++型ソース領域4と前記ドリフト層1表面とに挟まれるpウエル2の表面に厚さ1000オングストローム程度のゲート酸化膜5を介して低抵抗ポリシリコン層からなるゲート電極6およびその上部を覆う層間絶縁膜7を備える。主動作領域である活性部表面には前記p+コンタクト領域3と高濃度n++型ソース領域4とポリシリコンゲート電極6とをそれぞれ備えるユニットセルを高密度に有する構造を有している。前記ポリシリコンゲート電極6は、各ユニットセルからそれぞれ引き出されてゲート金属電極パッド9に集束される。各ユニットセルの表面を覆う層間絶縁膜7にはn++型ソース領域4表面とp+コンタクト領域3表面とを共通に露出させる開口部がそれぞれ設けられてソース金属電極8がコンタクトしている。このソース金属電極8とゲート金属電極パッド9とがそれぞれ跨る層間絶縁膜7を介して下層に設けられるポリシリコン層には多段のpn層が直列に形成される構成のツェナーダイオード10が形成される。前記図7(b)に示す拡大平面図では、このソース金属電極8とゲート金属電極パッド9との間に見える部分であって、両者を絶縁分離する層間絶縁膜7の部分のみを斜線ハッチングにより示し、矩形のリング状に示す領域が透視的に見たツェナーダイオード10である。図7(c)に示すように、このツェナーダイオード10は所要のダイオード耐圧、たとえば、数ボルト(V)〜数10ボルト(V)が得られるようにpn接合の段数を選択して層間絶縁膜7に開口部7−1、7−2を設けている。ソース側に設けられた開口部7−1がソース金属電極8にコンタクトされ、ゲート側に設けられた開口部7−2がゲート金属電極膜9にコンタクトされることにより、MOS型半導体装置のゲートとソース間にツェナーダイオード10が接続される構成となる。
【0004】
この構成によれば、このツェナーダイオード10が、設定されたダイオード耐圧を越える電圧によってブレークダウンすることにより、ゲートに前記設定耐圧以上の電圧が加わることが避けられるので、ゲート絶縁膜5を静電破壊から保護することができる。その際に、ツェナーダイオード10自体をブレークダウンによる熱破壊から防ぐにはツェナーダイオード10のpn接合面積も所要の大きさが必要である。
【0005】
以上説明したように、従来の半導体装置のゲート・ソース電極間に挿入され、ゲート絶縁膜の静電破壊を防止するための保護用ツェナーダイオードは、主動作領域である活性部の外側外周端やゲートパッドの内周に沿って、接合面積を大きくするために周囲長をかせいだ単体のツェナーダイオードもしくは、所要の耐圧とするため折り返して多段のpn接合を直列結合化させたものが使われている。必要に応じて、ゲート・ソース間だけでなく、ゲート・ドレイン間にもクランプダイオードとして挿入されることがある。
【0006】
一方、公知文献の面からは、ゲート抵抗を挿入することにより、ゲート・ソース間の静電破壊耐量を向上するMOSFETについてはよく知られている(特許文献1)。
また、半導体装置を静電破壊から防止するための抵抗体およびツェナーダイオードを挿入すると、実動作領域面積を減少させる問題が生じることに関する記述も見られる(特許文献2)。
【0007】
さらに、半導体装置を静電破壊から防止するためのツェナーダイオードを、電極パッドの外周部およびチップの外周部に設けたポリシリコン層に設けて、それぞれ直列に接続する構造を有する半導体装置が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−93505号公報
【特許文献2】特開2001−257349号公報
【特許文献3】特許第3869580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、保護用ツェナーダイオードをゲート電極パッド内周に形成する場合は、ゲート電極パッドの面積は活性部面積に比べてはるかに小さいので、従来の大きさのゲートパッドの周辺長だけではダイオード面積を大きくすることに限界があって、ゲート・ソース間またはゲート・ドレイン間のESD耐量(静電破壊耐量)が十分でない場合に、ESD耐量をさらに上げようとすると、ゲート電極パッド面積を拡大する必要があった。しかし、その場合、相対的に活性部面積が減少し、オン抵抗が増加するという問題が発生する。また、一端をソース領域に導電接続した保護用ツェナーダイオードを活性部の外側辺に形成する場合では、ツェナーダイオードと活性部は表面構造が異なるため、簡単なツェナーダイオード構造とするには、活性部の外側辺をすべてツェナーダイオードとして使う必要があり、その分、活性部領域の減少となり、前述と同様に、オン抵抗が増加する。
【0010】
本発明は、以上述べた点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、オン抵抗の増大を抑えて、ゲート電極といずれか一方の主電極との間の静電破壊耐量を向上させる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、半導体基板の一方の主面に、主動作領域である活性部と、該活性部表面に設けられる主電極膜と、前記活性部を流れる主電流を制御するゲート電極とを備え、該ゲート電極が、前記活性部内の表面に絶縁膜を介して設けられる複数のストライプ状ポリシリコン層から引き出されて、前記活性部内に電気的に分離されて配置されるゲート金属電極パッドに集束される構造を有し、他方の主面には他方の主電極膜を有する半導体装置において、前記活性部内の複数のストライプ状ゲート電極用ポリシリコン層とは電気的に分離された複数のストライプ状ポリシリコン層のそれぞれに、該ストライプ状ポリシリコン層の長手方向と交差する方向にpn層が交互に多段形成され直列結合されてなる複数のストライプ状ツェナーダイオードと該複数のストライプ状ツェナーダイオード表面を覆う絶縁膜を備え、該複数のストライプ状ツェナーダイオードのそれぞれの一方の電極端が共通の前記ゲート金属電極パッドに導電接続され、他方の電極端がそれぞれ共通の前記一方の主電極膜に導電接続され、かつ複数のストライプ状ツェナーダイオードが相互に並列接続されている半導体装置とする。
【0012】
前記ゲート金属電極膜が、前記活性部内の複数のストライプ状ツェナーダイオードの表面に絶縁膜を介して形成されていてもよい。
あるいは、前記複数のストライプ状ツェナーダイオードのそれぞれの他方の電極端がそれぞれ共通の前記他方の主電極膜に導電接続されてもよい。
【0013】
要するに、本発明は、ESD耐量を向上させるために、ポリシリコンゲート層を利用して形成したツェナーダイオードを並列接続させる構造を有する半導体装置とするものであって、ストライプ状または矩形状のツェナーダイオードを並列接続させて、それぞれ活性部内部に形成する半導体装置とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オン抵抗の増大を抑えて、ゲート電極といずれか一方の主電極間の静電破壊耐量(ESD耐量)を向上させることのできる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる実施例1の半導体装置の平面図(a)と、ゲート金属電極パッド近傍の拡大平面図(その1)(b)と、ゲート金属電極パッド近傍の拡大平面図(その2)(c)と、ゲート金属電極パッド近傍の拡大平面図(その3)(d)である。
【図2】本発明にかかる前記図1(b)のH−H'線断面図である。
【図3】本発明にかかる実施例2の半導体装置の平面図(a)と、活性部内のツェナーダイオード部分の拡大平面図(b)である。
【図4】本発明にかかる実施例2の半導体装置の活性部内のツェナーダイオード部分の拡大平面図(その1)(a)と、本発明にかかる実施例2の半導体装置の活性部内のツェナーダイオード部分の拡大平面図(その2)(b)と、(a)のC−C'線断面図(c)である。
【図5】本発明にかかる実施例2の半導体装置の活性部内のツェナーダイオード部分の拡大平面図(その3)(d)である。
【図6】本発明にかかる実施例2の半導体装置の図4(a)のE−E'線断面とF−F'線断面を含む斜視断面図である。
【図7】従来の半導体装置の平面図(a)と、ゲート金属電極パッド部分の拡大平面図(b)と、(c)の破線枠部分の拡大平面図と、従来の半導体装置の等価回路図(d)である。
【図8】従来の半導体装置の図7(b)のK−K'線の拡大断面図である。
【図9】本発明にかかるゲート−ドレイン間にツェナーダイオードを接続したことを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明にかかる半導体装置について、図面を参照して詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する実施例の記載に限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
図1、図2に、本発明の半導体装置の実施例1にかかる、ゲート・ソース間にツェナーダイオードを挿入させたMOS型半導体装置を示す。図1(a)は本発明にかかるMOS型半導体装置の平面図である。図1(b)は図1(a)の破線枠cで示すゲート金属電極パッドG近傍の拡大平面図である。図1、図2では共に符号Sはソース金属電極またはソース端子を示し、符号Gはゲート金属電極パッド8またはゲート端子を示す。斜線ハッチング部分はソース金属電極とゲート金属電極パッドを絶縁分離するために上方から見える部分の層間絶縁膜7とチップ周辺に形成される耐圧構造の保護膜としての絶縁膜20である。ツェナーダイオード10の両端には点状ハッチングで示すコンタクト7−1、7−2が示されている。図1(c)は図1(b)とは異なるツェナーダイオード配列を備える金属電極パッドG近傍の拡大平面図である。図1(d)はツェナーダイオードのシート抵抗を利用したゲート抵抗を直列接続させたツェナーダイオード配置を有する拡大平面図である。図2は図1(b)におけるH−H’線の拡大断面図である。
【0018】
図1(b)、図2に示すように、符号Gで示す透視状態のゲート金属電極パッド9の下層には層間絶縁膜(ボロ フォスフォ シリケート ガラス膜、BPSG膜)7を挟んで矩形状ポリシリコン層に形成された多段ツェナーダイオード10が配置されている。図1(b)に示す矩形状のツェナーダイオードは任意のツェナーダイオード電圧を得るために、コンタクト7−1、7−2の場所を選択することにより、pn接合12の段数で耐圧の調整を行なう双方向型ツェナーダイオードとなっている。
【0019】
図1(c)はツェナーダイオードの耐圧が図1(b)に示すものより低耐圧でよい場合、多段pn接合12の数を減らし、空いたポリシリコン層にpn接合12を形成する方向の異なる複数のツェナーダイオードを形成した例である。この場合は、元のツェナーダイオードと増加したツェナーダイオード間を金属配線で並列接続させる構造とすることにより、ESD耐量をいっそう向上させることができる。各ツェナーダイオード端部に形成した点状ハッチングした領域は金属電極とのコンタクト領域である。
【0020】
図1(d)は、図1(b)に示すツェナーダイオードの金属電極とのコンタクト領域7−1、7−2をコンタクト領域7−3、7−4のように変更した場合である。このコンタクト形成位置を選ぶことにより、ツェナーダイオードに直列に抵抗Rを挿入することができ、ESD耐量の向上に貢献できる。この抵抗Rはツェナーダイオードを構成する拡散層のシート抵抗を利用するものであり、抵抗値はコンタクト間距離を変えることにより調整することが可能となる。
【実施例2】
【0021】
図3〜図6に、本発明の半導体装置の実施例2にかかる、ゲート・ソース間にツェナーダイオードを挿入したMOS型半導体装置を示す。図3(a)の平面図に示す本発明の実施例2にかかる半導体装置は、活性部15内のセル構造を構成するストライプ状ポリシリコンと同様のストライプ状パターンを有する複数のポリシリコン層6に、それぞれpn層を多段に直列結合となるように形成することにより、複数のストライプ状ツェナーダイオード10を構成する。この複数のストライプ状ツェナーダイオード10の上には、図3では図示しない層間絶縁膜(BPSG膜)を挟んで、ゲート金属電極パッド9が覆っている。ツェナーダイオード10の両電極にはソース金属電極8とゲート金属電極パッド9とがそれぞれコンタクトする。図3(b)はそのようなストライプ状ツェナーダイオード10の一つについて、拡大した平面図である。ゲート金属電極パッド9は図示しないBPSG膜に設けられた、破線で示すコンタクト7−2でツェナーダイオード10の一方の電極と導電接続する。ソース金属電極8は図示しないBPSG膜に設けられた、破線で示すコンタクト7−1でツェナーダイオード10の他方の電極と導電接続する。このような細いストライプ状ツェナーダイオード10が複数あるので、ソース金属電極8とゲート金属電極パッド9は共通に各コンタクトにそれぞれ接続することにより、複数のツェナーダイオード10は相互に並列接続される。図3において、符号16は活性部15内のセル構造を構成する複数のストライプ状ポリシリコンゲート電極へ均一にゲート電圧を加えるための金属ゲートランナーであり、その外側の符号17は、活性部を覆うソース金属電極と同電位にして、電圧印加時に生じる電界集中を緩和して耐圧を安定にするための金属フィールドプレートの機能を有するソースランナーであり、耐圧構造部の表面に形成される絶縁膜上に形成されるアルミニウムなどからなる金属膜が好ましい。
【0022】
前記ゲート金属電極パッドと複数のストライプ状ツェナーダイオード10とをコンタクトさせる場所は所望の耐圧となるように選択することができる。たとえば、前述の図3(b)では、ストライプ状ツェナーダイオード10の中央のn型層でゲート金属電極パッド9とコンタクトさせ、ストライプ状ツェナーダイオード10の両端のn型層でソース金属電極とコンタクトさせ、複数のストライプ状ツェナーダイオード間を並列接続となるように形成したが、ツェナー電圧をさらに高くしたいときは、ゲート電極パッド9とのコンタクトを前述の中央ではなく、ツェナーダイオードの一方の端部にするとよい。
【0023】
図4(a)は、前記図3(a)に示すツェナーダイオードに加えて、さらに、任意の活性部中に形成されているストライプ状ポリシリコン層を利用して、ゲート金属電極パッド部分以外の場所に形成した複数のツェナーダイオード部分の拡大平面図である。図4(a)のC−C’線における断面図を図4(c)に示す。図4(c)に示すように活性部と同じセル構造のゲート部分にツェナーダイオード形成したものを複数個、互いに並列接続となる配線によりゲート・ソース間に接続している。このように、任意に必要なツェナーダイオード面積を増加することができる。図4(a)のE−E'線とF−F'線の各拡大断面を図6の斜視断面図に示す。図4(a)のF−F'線と図6のF−F'線とは断面をとる場所が異なるが、断面形状は同じである。この図6では図4(a)では図示されなかった層間絶縁膜(BPSG膜)7をツェナーダイオード10とゲート金属電極パッド9とソース電極8との間に挟んでいることを示している。各金属電極8,9とツェナーダイオード10との接触は層間絶縁膜7にコンタクト用開口部(図6には図示せず)を設けることにより行われる。
【0024】
また、図4(b)は前記図4(a)に示す半導体装置の変形例であり、図4(a)と同様に活性部内のセル構造と同じストライプ状ポリシリコン層にツェナーダイオードを形成し相互に並列接続したMOS型半導体装置を示す。図4(a)と異なるのはストライプ状ポリシリコン層にツェナーダイオードを形成する際、pn接合12をポリシリコン層の長辺に対して垂直ではなく角度を付けて斜めに形成しており、これによりpn接合12面積が拡大するので、ESD耐量がより向上する。
【0025】
図5(d)は前記図4(a)に示す半導体装置の変形例であり、図4(a)と同様に活性部内のセル構造と同じストライプ状ポリシリコン層にツェナーダイオードを形成し相互に並列接続したMOS型半導体装置を示す。図4(a)と異なるのはストライプ状ポリシリコン層にツェナーダイオードを形成する際、図4(a)よりストライプ状ポリシリコン層の数を増加させていること、すなわち、図4(a)のストライプ状ポリシリコンからなるゲート電極とゲート電極の間にもストライプ状ポリシリコン層を形成してツェナーダイオードを形成しており、相互に並列接続しているので、これによりツェナーダイオード面積が拡大し、ESD耐量がより向上させることができる。
【0026】
図9はゲート−ドレイン間にツェナーダイオード10を接続するようにストライプ状ポリシリコン層に多段pn接合を形成したことを示す断面図である。
以上述べた本発明によれば、ゲートパッド内により多くのツェナーダイオードを形成することができ、ゲート抵抗もコンタクト位置により付加させることができるので、従来のゲートパッド内周にツェナーダイオードを形成したものに比べESD耐量を向上させることができる。さらにESD耐量の向上を図ると共に、保護用やセンシング用などにツェナーダイオードをゲートパッド以外にも形成しなければならない場合、従来のツェナーダイオード部と活性部との表面構造が異なるため、分離用の無効面積が必要となって初めからチップ設計をやり直さなければならなかった。本発明によれば、活性部内のセルと同じ構造のツェナーダイオードを形成するためチップ設計を初めからやり直さなくても一部の修正でツェナーダイオードの形成が可能となり、また、ツェナーダイオード構造を形成する元の部分であるポリシリコン層が活性部内のゲート電極用ポリシリコン層と同じであることから、活性部に寄与しない付加的な領域を形成する必要がないためオン抵抗の上昇を抑制することができる。
【符号の説明】
【0027】
1: ドリフト層
2: pウエル
3: p+コンタクト領域
4: n++型ソース領域
5: ゲート絶縁膜
6: ポリシリコンゲート電極
7: 層間絶縁膜、BPSG膜
7−1、7−2、7−3、7−4:ツェナーダイオードのコンタクト領域
8: ソース金属電極
9: ゲート金属電極パッド
10: ツェナーダイオード
11: ドレイン金属電極
12; pn接合
100: シリコン低抵抗基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一方の主面に、主動作領域である活性部と、該活性部表面に設けられる主電極膜と、前記活性部を流れる主電流を制御するゲート電極とを備え、該ゲート電極が、前記活性部内の表面に絶縁膜を介して設けられる複数のストライプ状ポリシリコン層から引き出されて、前記活性部内に電気的に分離されて配置されるゲート金属電極パッドに集束される構造を有し、他方の主面には他方の主電極膜を有する半導体装置において、
前記活性部内の複数のストライプ状ゲート電極用ポリシリコン層とは電気的に分離された複数のストライプ状ポリシリコン層のそれぞれに、該ストライプ状ポリシリコン層の長手方向と交差する方向にpn層が交互に多段形成され直列結合されてなる複数のストライプ状ツェナーダイオードと該複数のストライプ状ツェナーダイオードの表面を覆う絶縁膜を備え、
該複数のストライプ状ツェナーダイオードのそれぞれの一方の電極端が共通の前記ゲート金属電極パッドに導電接続され、他方の電極端がそれぞれ共通の前記一方の主電極膜に導電接続され、かつ複数のストライプ状ツェナーダイオードが相互に並列接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート金属電極膜が、前記活性部内の複数のストライプ状ツェナーダイオードの表面に絶縁膜を介して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のストライプ状ツェナーダイオードのそれぞれの他方の電極端がそれぞれ共通の前記他方の主電極膜に導電接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−84979(P2013−84979A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−284039(P2012−284039)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2007−207562(P2007−207562)の分割
【原出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】