説明

半導体製造装置および処理方法

【課題】エッチング処理の精度を維持しつつ、フィルタの目詰まりを抑制する半導体製造装置および処理方法を提供する。
【解決手段】半導体製造装置100は、半導体ウエハをエッチング処理するための所定処理液を収容するエッチング処理槽2と、エッチング処理にて前記所定処理液中に生じるパーティクルを捕捉する第1および第2フィルタ5a,5bと、前記パーティクルを溶解する液体として、前記所定処理液と同じ液体の予備液を収容する予備槽7と、処理槽2内の処理液を第1フィルタ5aに通して循環させるとともに予備槽7内の液体を第2フィルタ5bに通して循環させ、その後、処理槽2内の処理液を廃棄した後、該処理槽に予備槽7内の液体を供給し、かつ、該予備槽に新たな予備液を供給して、処理槽2内の液体を第2フィルタ5bに通して循環させるとともに予備槽7内の液体を第1フィルタ5aに通して循環させる制御部90と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の処理液を用いて半導体ウエハをエッチング処理する半導体製造装置では、エッチング処理する際にパーティクル(粒子)が発生する。所定の処理液として高温のリン酸を用いてシリコン窒化膜を有する半導体ウエハをエッチング処理する半導体製造装置では、シリコン窒化膜をエッチングする際に、パーティクルとして、シリコン酸化物、いわゆるシロキ酸が発生する。
【0003】
図2は、本発明に関連する半導体製造装置800の構成例を示す図である。
【0004】
半導体製造装置800は、エッチング処理槽802と、加熱ヒータ803と、循環ポンプ804と、フィルタ805と、圧力計806と、を備えている。
【0005】
エッチング処理槽802には、処理液801が収容されている。エッチング処理槽802では、処理液801を用いて、半導体ウエハが有するシリコン窒化膜のエッチング処理が行われる。エッチング処理槽802では、エッチング処理に起因してパーティクルが生じる。よって、処理液801には、パーティクルが含まれることになる。処理液801としてリン酸が用いられる場合には、パーティクルとしてシリコン酸化物が発生する。
【0006】
加熱ヒータ803は、処理液801を加熱して処理液801を一定の温度に保持する。
【0007】
循環ポンプ804は、エッチング処理槽802に収容された処理液801を、フィルタ805に通して循環させる。
【0008】
フィルタ805は、エッチング処理にて発生するパーティクルを捕捉して、処理液801を濾過する。よって、パーティクルがフィルタ805に付着し、処理液801に含まれるパーティクルが除去される。なお、処理液801の循環する時間が長くなるにつれて、フィルタ805にはパーティクルが徐々に堆積していく。
【0009】
圧力計806は、循環ポンプ804からフィルタ805に吐き出される処理液801の圧力を計測する。なお、フィルタ805に堆積したパーティクルが増加するほど、処理液801の循環が悪くなり、圧力計806にて計測される圧力は大きくなる。
【0010】
半導体製造装置800では、パーティクルがフィルタ805に付着して、パーティクルが徐々にフィルタ805に蓄積されていき、フィルタ805によるパーティクルの除去性能が劣化する。最終的には、フィルタ805は、目詰まりを起こしてしまう。
【0011】
このため、フィルタ805に付着したパーティクルを除去する機能を有さない半導体製造装置800では、フィルタ805が目詰まりを起こすと、半導体ウエハ上にパーティクルが多量に付着して、半導体集積回路の製造における歩留まりが低下してしまう。
【0012】
半導体製造装置800では、半導体集積回路の製造における歩留まりの低下を抑制する対策の1つとして、フィルタ805の交換が行われる。フィルタ805を交換する場合、フィルタ805は、パーティクルの除去性能が劣化する前に交換される。例えば、フィルタ805の交換頻度は1回/数ヶ月〜1年程度であり、フィルタ805の交換に要する時間は5時間/1回程度である。
【0013】
よって、フィルタ805を交換する場合には、フィルタ805の使用量が増大してしまう。さらに、半導体製造装置800でのエッチング作業を中断してフィルタ805を交換する場合には、半導体製造装置800の不稼働率が増大してしまう。
【0014】
特許文献1には、フィルタに付着した堆積物を除去するエッチング装置が記載されている。堆積物は、例えば、パーティクルである。
【0015】
特許文献1に記載のエッチング装置は、エッチング液を循環させる循環路と、フィルタに付着した堆積物を除去するための薬液をフィルタに供給する薬液路と、を備えている。循環路は循環路の中間部分が2つの分岐路に分岐され、各分岐路にはフィルタが挿入されている。薬液路は、各分岐路に挿入されたフィルタのそれぞれに薬液が供給できるように設けられている。
【0016】
特許文献1に記載のエッチング装置は、循環路のいずれか一方の分岐路にエッチング液を循環させるとともに他方の分岐路に挿入されたフィルタに薬液路を介して薬液を供給し、その後、他方の分岐路にエッチング液を循環させるとともに一方の分岐路に挿入されたフィルタに薬液路を介して薬液を供給する。なお、パーティクルとしてシリコン酸化物が発生する場合、薬液としては、例えば、シリコン酸化物を溶解するフッ化水素酸HF(以下、単に「フッ酸」と称する。)が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平6−275597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献1に記載されたようなエッチング装置では、フィルタの目詰まりは抑制されるが、エッチング液としてリン酸が用いられ、薬液としてフッ酸が用いられる場合、他方のフィルタではフッ酸が供給された後にエッチング液が循環するため、他方のフィルタに残留したフッ酸がエッチング液に含まれてしまう。エッチング液にフッ酸が含まれると、本来除去目的でない半導体ウエハのシリコン酸化膜までエッチングしてしまうという問題があった。
【0019】
このため、エッチング処理の精度を維持しつつ、フィルタの目詰まりを抑制するのが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の半導体製造装置は、半導体ウエハをエッチング処理するための液体として所定処理液を収容し、前記半導体ウエハが前記所定処理液に浸されることによって前記エッチング処理が行われるエッチング処理槽と、前記エッチング処理にて前記所定処理液中に生じるパーティクルを捕捉する第1および第2フィルタと、前記パーティクルを溶解する液体として、前記所定処理液と同じ液体の予備液を収容する予備槽と、前記エッチング処理槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させ、その後、前記エッチング処理槽内の液体を廃棄し、前記エッチング処理槽に前記予備槽内の液体を供給し、前記予備槽に所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、前記エッチング処理槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させる制御部と、を含む。
【0021】
本発明の処理方法は、半導体ウエハをエッチング処理するための液体として、所定処理液を収容し、前記半導体ウエハが前記所定処理液に浸されることによって前記エッチング処理が行われるエッチング処理槽と、前記エッチング処理にて前記所定処理液中に生じるパーティクルを捕捉する第1および第2フィルタと、前記パーティクルを溶解する液体として、前記所定処理液と同じ液体の予備液を収容する予備槽と、を有する半導体製造装置における処理方法であって、前記エッチング処理槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させ第1制御ステップと、前記第1制御ステップの後、前記エッチング処理槽内の液体を廃棄し、前記エッチング処理槽に前記予備槽内の液体を供給し、前記予備槽に前記所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、前記エッチング処理槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させる第2制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の半導体製造装置では、半導体ウエハをエッチング処理するための液体として所定処理液を収容し、半導体ウエハが所定処理液に浸されることによってエッチング処理が行われるエッチング処理槽と、エッチング処理にて所定処理液中に生じるパーティクルを捕捉する第1および第2フィルタと、パーティクルを溶解する液体として、所定処理液と同じ液体の予備液を収容する予備槽と、を設け、制御部が、エッチング処理槽内の液体を第1フィルタに通して循環させるとともに予備槽内の液体を第2フィルタに通して循環させ、その後、エッチング処理槽内の液体を廃棄し、エッチング処理槽に予備槽内の液体を供給し、予備槽に所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、エッチング処理槽内の液体を第2フィルタに通して循環させるとともに予備槽内の液体を第1フィルタに通して循環させる。
【0023】
このため、本発明によれば、パーティクルを溶解する液体として、エッチング処理に用いる所定処理液と同じ液体を使用することによって、所定処理液に他の液体が混入して半導体ウエハのエッチングすべきでない部分までエッチングしてしまうことを抑制することができる。さらに、エッチング処理槽内の液体を第1フィルタに通した後、パーティクルを溶解する予備槽内の液体を循環させた第2フィルタに、エッチング処理槽内の新たな液体を通すことによって、エッチング処理槽内の新たな液体中に生じるパーティクルを効率良く除去することができる。これとともに、エッチング処理槽内の液体を第1フィルタに通した後、予備槽内の液体を第1フィルタに通すことによって、第1フィルタに堆積したパーティクルが、予備槽内の液体により溶解されて第1フィルタの目詰まりを抑制することができる。
【0024】
よって、本発明によれば、エッチング処理の精度を維持しつつ、フィルタの目詰まりを抑制してパーティクルを効率良く除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態における半導体製造装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明に関連する半導体製造装置800の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態における半導体製造装置の構成例を示す図である。
【0028】
半導体製造装置100は、所定処理液を用いて半導体ウエハ(半導体回路の基板)をエッチング処理するウェットエッチング処理装置である。所定処理液として、本実施形態では、リン酸の溶液が用いられる。また、半導体ウエハは、例えば、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜とを有する。
【0029】
半導体製造装置100は、エッチング処理槽2と、加熱ヒータ3aおよび3bと、フィルタ5aおよび5bと、測定部60と、予備温調槽7と、制御部90と、を備える。制御部90は、循環ポンプ4aおよび4bと、自動バルブ8a〜8lと、切替部91と、を備える。切替部91は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理)9と溶解装置11とを備える。
【0030】
エッチング処理槽2は、半導体ウエハをエッチング処理するための液体として、所定処理液を収容し、半導体ウエハが所定処理液に浸されることによってエッチング処理が行われる。所定処理液は、エッチング処理槽2内の液体であり、本実施形態では、処理液1a〜1cと称される。処理液1aは、1回目のエッチング処理に用いられ、処理液1bは、2回目のエッチング処理に用いられ、処理液1cは、3回目のエッチング処理に用いられる。
【0031】
エッチング処理槽2では、所定処理液を用いて半導体ウエアのエッチング処理が行われる。エッチング処理槽2では、エッチング処理にてパーティクルが発生する。このため、エッチング処理に使用された所定処理液には、パーティクルが含まれる。本実施形態では、パーティクルとして、シリコン酸化物が発生する。
【0032】
本実施形態では、例えば、エッチング処理槽2には、予備温調槽7から自動バルブ8jを介して処理液1aが供給され、その後、エッチング処理槽2では、半導体ウエハの有するシリコン窒化膜が処理液1aに浸されることによってエッチング処理される。処理液1aは、エッチング処理が行われる間、制御部90によって、エッチング処理槽2とフィルタ5aまたは5bとの間を循環する。
【0033】
また、エッチング処理槽2では、例えば、循環ポンプ4aまたは4bにて循環された処理液1aが自動バルブ8aまたは8hから供給されることにより、エッチング処理槽2から処理液1aの一部がオーバーフローして、その処理液1aが、自動バルブ8bまたは8iに流れ出す。また、エッチング処理終了後、エッチング処理槽2では、自動バルブ8eを介して処理液1aが廃棄される。
【0034】
加熱ヒータ3aは、制御部90にて循環されるエッチング処理槽2内の液体を加熱してその液体を所定温度に保温する。
【0035】
本実施形態では、加熱ヒータ3aは、自動バルブ8aおよび8hとエッチング処理槽2との間に設けられる。加熱ヒータ3aは、例えば、自動バルブ8aまたは8hからエッチング処理槽2に供給される処理液1aを加熱する。加熱ヒータ3aは、例えば、処理液1aとして用いられるリン酸を所定温度の160℃に保温する。
【0036】
フィルタ5aおよびフィルタ5bは、エッチング処理にて所定処理液中に生じるパーティクルを捕捉して、所定処理液に含まれるパーティクルを除去する。このため、フィルタ5aおよびフィルタ5bには、パーティクルが付着して堆積する。
【0037】
予備温調槽7は、予備槽の一例である。予備温調槽7は、フィルタ5aおよび5bにて捕捉されたパーティクルを溶解する液体として、エッチング処理に用いられる所定処理液と同じ液体の予備液を収容する。本実施形態では、予備液として、純度の高いリン酸が用いられる。純度が高いリン酸を用いることにより、シリコン酸化物を溶解することが可能となるからである。なお、リン酸によってシリコン酸化物が溶解される速度は、フッ酸などと比較して遅い。
【0038】
予備温調槽7は、予備液をフィルタ5aまたは5bに通して循環させるために設けられる。予備液は、エッチング処理が行われる間、制御部90によって、予備温調槽7とフィルタ5aまたは5bとの間を循環する。予備温調槽7を設けて予備液を循環させることによって、パーティクルを溶解するのに時間を要する薬液であっても、フィルタ5aおよび5bに付着したパーティクルを除去することが可能となる。
【0039】
予備液は、予備温調槽7内の液体であり、本実施形態では、予備液1A〜1Cと称される。予備液1Aは、1回目のエッチング処理の際に用いられ、予備液1Bは、2回目のエッチング処理の際に、予備液1Cは、3回目のエッチング処理の際に用いられる。
【0040】
予備温調槽7では、例えば、工場などから自動バルブ8kを介して予備液1Aが供給される。そして、予備温調槽7からオーバーフローした予備液1Aが、自動バルブ8dまたは8gに流れ出す。また、予備温調槽7では、自動バルブ8fまたは8cから加熱ヒータ3bを介して循環された予備液1Aが供給される。
【0041】
加熱ヒータ3bは、制御部90にて循環される予備温調槽7内の液体を加熱してその液体を所定温度よりも低い特定温度に保温する。
【0042】
本実施形態では、加熱ヒータ3bは、自動バルブ8fおよび8cと予備温調槽7との間に設けられる。加熱ヒータ3bは、例えば、自動バルブ8fまたは8cから予備温調槽7に供給される予備液1Aを加熱する。
【0043】
加熱ヒータ3bは、例えば、予備液として用いられるリン酸を特定温度の80℃〜90℃に保温する。リン酸の温度を80℃〜90℃に保温することによって、予備液の粘度が低下して、予備液が、予備温調槽7とフィルタ5aまたは5bとの間を循環し易くなる。さらに、処理液1bとして予備液1Aがエッチング処理槽2に供給されることにより、その処理液1bを所定温度に昇温するのに要する時間を短縮することができる。
【0044】
循環ポンプ4aは、エッチング処理槽2内の液体または予備温調槽7内の液体をフィルタ5aに通して循環させる。循環ポンプ4aとフィルタ5aとにより第1循環路が構成される。
【0045】
本実施形態では、循環ポンプ4aは、例えば、自動バルブ8bから供給される処理液1aと、自動バルブ8gから供給される予備液1Aと、のいずれか一方をフィルタ5aに吐き出して、自動バルブ8aまたは8fに出力する。
【0046】
例えば、循環ポンプ4aが、自動バルブ8bから供給される処理液1aをフィルタ5aに吐き出して自動バルブ8aに出力することによって、処理液1aに含まれるパーティクルが、フィルタ5aによって除去される。一方、循環ポンプ4aが、自動バルブ8gから供給される予備液1Aを、フィルタ5aに吐き出して自動バルブ8fに出力する。よって、フィルタ5aに堆積したパーティクルが溶解されて、フィルタ5aの目詰まりが軽減される。
【0047】
循環ポンプ4bは、エッチング処理槽2内の液体または予備温調槽7内の液体をフィルタ5bに通して循環させる。循環ポンプ4bとフィルタ5bとにより第1循環路と独立した第2循環路が構成される。
【0048】
本実施形態では、循環ポンプ4bは、例えば、自動バルブ8iから供給される処理液1aと、自動バルブ8dから供給される予備液1Aと、のいずれか一方をフィルタ5bに吐き出して、自動バルブ8hまたは8cに出力する。例えば、循環ポンプ4bは、自動バルブ8dから供給される予備液1Aをフィルタ5bに吐き出して自動バルブ8cに出力する。
【0049】
測定部60は、制御部90にて循環されるエッチング処理槽2内の液体の圧力、または、エッチング処理槽2内の液体に含まれるパーティクルの濃度を測定する。本実施形態では、測定部60は、圧力計6aおよび6bと、濃度測定器10と、を備える。
【0050】
圧力計6aは、循環ポンプ4aから吐き出された、エッチング処理槽2または予備温調槽7内の液体の圧力を測定する。本実施形態では、圧力計6aは、例えば、循環ポンプ4aから吐き出された処理液1aまたは予備液1Aの圧力を測定する。圧力計6aにて計測される圧力は、例えば、フィルタ5aに堆積したパーティクルが増加するほど、処理液1aの循環が悪くなり、大きくなる。圧力計6aは、その測定された圧力をCPU9に供給する。
【0051】
圧力計6bは、循環ポンプ4bから吐き出された、エッチング処理槽2または予備温調槽7内の液体の圧力を測定する。本実施形態では、圧力計6bは、例えば、循環ポンプ4bから吐き出された処理液1aまたは予備液1Aの圧力を測定する。圧力計6bにて計測される圧力は、例えば、フィルタ5bに堆積したパーティクルが増加するほど、処理液1bの循環が悪くなり、大きくなる。圧力計6bは、その測定された圧力をCPU9に供給する。
【0052】
濃度測定器10は、エッチング処理槽2に収容された所定処理液に含まれるパーティクルの濃度を測定する。濃度測定器10は、例えば、エッチング処理槽2内の液体に含まれるシリコン酸化物の濃度を測定する。
【0053】
本実施形態では、濃度測定器10は、エッチング処理槽2内の液体に含有するシリコンの濃度を測定する。シリコンの濃度は、パーティクルの濃度が大きくなるほど、大きくなる。濃度測定器10は、その測定された濃度を、CPU9に供給する。
【0054】
制御部90は、エッチング処理槽2内の液体を第1フィルタに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体を第2フィルタに通して循環させ、その後、エッチング処理槽2内の液体を廃棄し、エッチング処理槽2に予備温調槽7内の液体を供給し、予備温調槽7に所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、エッチング処理槽2内の液体を第2フィルタに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体を第1フィルタに通して循環させる。本実施形態では、第1フィルタとしてフィルタ5aが用いられ、第2フィルタとしてフィルタ5bが用いられる。
【0055】
また、制御部90は、エッチング処理槽2内の液体をフィルタ5bに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体をフィルタ5aに通して循環させた後、エッチング処理槽2内の液体を廃棄し、エッチング処理槽2に予備温調槽7内の液体を供給し、予備温調槽7に所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、エッチング処理槽2内の液体をフィルタ5aに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体をフィルタ5bに通して循環させる。
【0056】
本実施形態では、制御部90は、エッチング処理槽2内の処理液1aをフィルタ5aに通して循環させるとともに予備温調槽7内の予備液1Aをフィルタ5bに通して循環させた状況で、測定部60にて測定された圧力が所定圧力を超えた場合、または、測定部60にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合には、処理液1aを廃棄し、エッチング処理槽2に予備液1Aを処理液1bとして供給し、予備温調槽7に予備液1Bを供給し、エッチング処理槽2内の処理液1bをフィルタ5bに通して循環させるとともに予備温調槽7内の予備液1Bをフィルタ5aに通して循環させる。そして、制御部90は、エッチング処理槽2内の処理液1bをフィルタ5bに通して循環させるとともに予備温調槽7内の予備液1Bをフィルタ5aに通して循環させた状況で、測定部60にて測定された圧力が所定圧力を超えた場合、または、測定部60にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合には、処理液1bを廃棄し、エッチング処理槽2に予備液1Bを処理液1cとして供給し、エッチング処理槽2内の処理液1cをフィルタ5aに通して循環させるとともに予備温調槽7内の予備液1Cをフィルタ5bに通して循環させる。
【0057】
さらに、制御部90は、濃度測定器10にて測定された濃度が、所定濃度よりも低い特定濃度となるように、エッチング処理槽2内の液体にシリコン酸化物を溶解し、その後、エッチング処理槽2でエッチング処理を行う。
【0058】
本実施形態では、例えば、制御部90は、測定部60にて測定された圧力が所定圧力を超えた場合、または、測定部60にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合には、処理液1aを廃棄し、エッチング処理槽2に予備液1Aを処理液1bとして供給し、濃度測定器10にて測定された濃度が、特定濃度となるように、エッチング処理槽2内の処理液1bにシリコン酸化物を溶解し、その後、エッチング処理槽2でエッチング処理を行いながら、エッチング処理槽2内の処理液1bをフィルタ5bに通して循環させるとともに予備温調槽7内の予備液1Bをフィルタ5aに通して循環させる。
【0059】
切替部91は、自動バルブ8a〜8lの各々の開閉を制御して、圧力計6aまたは6bにて測定された圧力が所定圧力を超えた場合、または、濃度測定器10にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合には、エッチング処理槽2内の処理液1aを廃棄し、エッチング処理槽2に予備液1Aを処理液1bとして供給し、予備温調槽7に予備液1Bを新たに供給する。本実施形態では、便宜上、濃度測定器10にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合の動作ついて以下に説明する。
【0060】
CPU9は、自動バルブ8a〜8lの各々の開閉を制御する。CPU9は、自動バルブ8e〜8lを閉じて自動バルブ8a〜8dを開く。これにより、CPU9は、循環ポンプ4aにてエッチング処理槽2内の液体をフィルタ5aに通して循環させるとともに、循環ポンプ4bにて予備温調槽7内の液体をフィルタ5bに通して循環させる。この循環状態は、本実施形態では、第1循環状態と称される。
【0061】
第1循環状態では、フィルタ5aには、エッチング処理槽2内の液体が通るため、パーティクルが堆積する。一方、フィルタ5bでは、予備温調槽7内の液体が通るため、フィルタ5bに堆積されたパーティクルが除去される。
【0062】
本実施形態では、CPU9は、所定濃度を示す濃度閾値を保持する。CPU9は、濃度測定器10にて測定された濃度を受け付け、その濃度が濃度閾値を超えると、処理液1aを廃棄し、エッチング処理槽2に予備液1Aを処理液1bとして供給し、予備温調槽7に予備液1Bを供給する。
【0063】
具体的には、CPU9は、濃度測定器10にて測定された濃度が濃度閾値を超えると、自動バルブ8a〜8lを閉じ、自動バルブ8eを開いて、処理液1aを廃棄し、その後CPU9は、自動バルブ8eを閉じ、自動バルブ8jを開いて、エッチング処理槽2に予備液1Aを供給する。そして、CPU9は、自動バルブ8jを閉じ、自動バルブ8kを開いて、予備温調槽7に予備液1Bを供給し、その後自動バルブ8kを閉じる。
【0064】
また、CPU9は、予備温調槽7に予備液1Bを供給した後、自動バルブ8a〜8eと8j〜8lとを閉じて自動バルブ8f〜8iを開く。これにより、CPU9は、循環ポンプ4bにてエッチング処理槽2内の液体をフィルタ5bに通して循環させるとともに、循環ポンプ4aにて予備温調槽7内の液体をフィルタ5aに通して循環させる。この循環状態は、本実施形態では、第2循環状態と称される。
【0065】
第2循環状態では、フィルタ5bには、エッチング処理槽2内の液体が通るため、パーティクルが堆積する。一方、フィルタ5aでは、予備温調槽7内の液体が通るため、フィルタ5aに堆積されたパーティクルが除去される。
【0066】
さらに、CPU9は、濃度測定器10にて測定された濃度が濃度閾値を超えると、処理液1bを廃棄し、エッチング処理槽2に予備液1Bを処理液1cとして供給し、予備温調槽7に予備液1Cを供給する。予備温調槽7に予備液1Cを供給した後、CPU9は、自動バルブ8e〜8lを閉じて自動バルブ8a〜8dを開く。これにより、CPU9は、循環ポンプ4aにて処理液1cをフィルタ5aに通して循環させるとともに、循環ポンプ4bにて予備液1Cをフィルタ5bに通して循環させる。
【0067】
このため、フィルタ5aには、処理液1cが通るため、パーティクルが堆積する。一方、フィルタ5bでは、予備液1Cが通るため、フィルタ5bに堆積されたパーティクルが除去される。
【0068】
よって、CPU9は、濃度測定器10にて測定された濃度が濃度閾値を超えるたびに、エッチング処理槽2内の液体を廃棄し、エッチング処理槽2に予備温調槽7の液体を供給し、予備温調槽7に所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給して、循環状態を他の循環状態(第1循環状態または第2循環状態のいずれか)に切り替える。
【0069】
また、本実施形態では、CPU9は、濃度測定器10にて測定された濃度が特定濃度となるように、エッチング処理槽2内の液体にシリコン酸化物を溶解し、その後、エッチング処理槽2でエッチング処理を行う。なお、特定濃度は、所定濃度よりも低い値である。
【0070】
CPU9は、循環ポンプ4aまたは4bにて循環されるエッチング処理槽2内の液体に含まれるシリコン酸化物の濃度の目標となる特定濃度を示す目標値を保持する。CPU9は、例えば、濃度測定器10にて測定された濃度を受け付けると、その濃度が目標値となるように、処理液1cに添加するシリコン酸化物の添加量を示す添加情報を、溶解装置11に供給する。例えば、CPU9は、濃度測定器10にて測定された濃度と目標値が示す濃度との差分に、エッチング処理槽2の容積を乗算し、その乗算された値を示す添加情報を生成して溶解装置11に供給する。
【0071】
溶解装置11は、濃度測定器10にて測定された濃度が、特定濃度となるようにシリコン酸化物をエッチング処理槽2内の液体に溶解する。本実施形態では、溶解装置11は、CPU9から添加情報を受け付けると、その添加情報に示される添加量のシリコン酸化物を、例えば、処理液1cに溶解する。なお、溶解装置11がエッチング処理槽2内の液体にシリコン酸化物を溶解するときには、CPU9が、自動バルブ8lを開く。
【0072】
すなわち、本実施形態による半導体製造装置100は、半導体ウエハをエッチング処理するための液体として、所定処理液を収容し、半導体ウエハが所定処理液に浸されることによってエッチング処理が行われるエッチング処理槽2と、エッチング処理にて所定処理液中に生じるパーティクルを捕捉する第1および第2フィルタ5aおよび5bと、パーティクルを溶解する液体として、所定処理液と同じ液体の予備液を収容する予備槽7と、エッチング処理槽2内の液体を第1フィルタ5aに通して循環させるとともに予備槽7内の液体を第2フィルタ5bに通して循環させ、その後、エッチング処理槽2内の液体を廃棄し、エッチング処理槽2に予備槽7内の液体を供給し、予備槽7に所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、エッチング処理槽2内の液体を第2フィルタ5bに通して循環させるとともに予備槽7内の液体を第1フィルタ5aに通して循環させる制御部90と、制御部90にて循環されるエッチング処理槽2内の液体の圧力、または、その液体に含まれるパーティクルの濃度を測定する測定部60と、エッチング処理槽2内の液体に含まれるシリコン酸化物の濃度を測定する濃度測定器10と、制御部90にて循環されるエッチング処理槽2内の液体を加熱してその液体を所定温度に保温する第1ヒータ3aと、制御部90にて循環される予備槽7内の液体を加熱してその液体を所定温度よりも低い特定温度に保温する第2ヒータ3bと、を有して構成されている。
【0073】
本実施形態によれば、半導体ウエハをエッチング処理するための液体として、所定処理液を収容し、半導体ウエハが所定処理液に浸されることによってエッチング処理が行われるエッチング処理槽2と、エッチング処理にて所定処理液中に生じるパーティクルを捕捉するフィルタ5aおよび5bと、パーティクルを溶解する液体として、所定処理液と同じ液体の予備液を収容する予備温調槽7と、を備える。そして、制御部90が、エッチング処理槽2内の液体1aをフィルタ5aに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体1Aをフィルタ5bに通して循環させる。その後、制御部90は、エッチング処理槽2内の液体1aを廃棄し、エッチング処理槽2に予備温調槽7内の液体1Aを新たな液体1bとして供給し、予備温調槽7に所定処理液と同じ液体の予備液1Bを供給し、エッチング処理槽2内の液体1bをフィルタ5bに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体1Bをフィルタ5aに通して循環させる。
【0074】
このため、パーティクルを溶解する薬液として、エッチング処理するための所定処理液と同じ薬液を用いることによって、所定処理液と異なる薬液がエッチング処理槽2に混入して半導体ウエハのエッチングすべきでない部分をエッチングしてしまうことを防止することができる。さらに、予備温調槽7を設けて予備液を循環させることによって、パーティクルの溶解に時間を要する薬液であっても、フィルタ5aおよび5bの目詰まりを十分に低減することができる。
【0075】
例えば、半導体製造装置100は、フィルタ5aに通す液体を、エッチング処理槽2内の液体1aから予備温調槽7内の液体1Bに切り替えることによって、フィルタ5aに堆積したパーティクルを予備温調槽7内の液体1Bにより除去することができる。これとともに、半導体製造装置100は、フィルタ5bに通す液体を、予備温調槽7内の液体1Aからエッチング処理槽2内の液体1bに切り替えることによって、予備温調槽7内の液体1Aにて再生されたフィルタ5bを介してエッチング処理槽2内の液体1b中に含まれるパーティクルを除去することができる。したがって、半導体製造装置100は、フィルタ5aの目詰まりを抑制しつつ、フィルタ5bによってエッチング処理槽2内の液体1b中のパーティクルを効率良く取り除くことができる。
【0076】
よって、本実施形態によれば、エッチング処理の精度を維持しつつ、フィルタの劣化を改善してパーティクルを効率良く除去することができる。これにより、半導体製造装置100は、半導体集積回路の製造における歩留まりを改善するとともに、フィルタ5aおよび5bの交換に伴うフィルタの使用量を低減することができる。さらに、フィルタ5aおよび5bの交換に伴う半導体製造装置100の不稼働時間を短縮することができ、半導体集積回路の生産性の向上を実現することができる。
【0077】
また、本実施形態では、制御部90が、エッチング処理槽2内の液体1bをフィルタ5bに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体1Bをフィルタ5aに通して循環させた後、制御部90は、エッチング処理槽2内の液体1bを廃棄し、エッチング処理槽2に予備温調槽7内の液体1Bを新たな液体1cとして供給し、予備温調槽7に所定処理液と同じ液体の予備液1Cを新たに供給し、エッチング処理槽2内の液体1cをフィルタ5aに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体1Cをフィルタ5bに通して循環させる。
【0078】
このため、半導体製造装置100は、フィルタ5bに通す液体を、エッチング処理槽2内の液体1bから予備温調槽7内の液体1Cに切り替えることによって、フィルタ5bに堆積したパーティクルを予備温調槽7内の液体1Cにより除去することができる。これとともに、半導体製造装置100は、フィルタ5aに通す液体を、予備温調槽7内の液体1Bからエッチング処理槽2内の液体1cに切り替えることによって、液体1Bにて再生されたフィルタ5aを通してエッチング処理槽2内の液体1c中に含まれるパーティクルを除去することができる。
【0079】
したがって、半導体製造装置100は、フィルタ5aおよび5bの目詰まりを低減しつつ、所定処理液中に生じるパーティクルを効率良く取り除くことができる。
【0080】
また、本実施形態では、加熱ヒータ3aがエッチング処理槽2内の液体を加熱してその液体を所定温度に保温し、加熱ヒータ3bが予備温調槽7内の液体を加熱してその液体を所定温度よりも低い特定温度に保温する。
【0081】
このため、半導体製造装置100では、予備温調槽7内の液体を加熱してその液体の有する粘度を低下させることにより、予備温調槽7内の液体が、予備温調槽7とフィルタ5aまたは5bとの間を循環し易くなる。さらに、予備温調槽7内の液体がエッチング処理槽2に供給されときに、その液体を所定温度に昇温するのに要する時間を短縮することができる。また、予備温調槽7内の液体を所定温度よりも低い特定温度に維持することによって、予備温調槽7内の液体が循環している間に、その液体中に含まれる水分の蒸発量を低減することができる。
【0082】
また、本実施形態では、半導体製造装置100が、制御部90にて循環されるエッチング処理槽2内の液体の圧力、または、その液体に含まれるパーティクルの濃度を測定する測定部60をさらに有する。そして、制御部90は、エッチング処理槽2内の液体をフィルタ5aに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体をフィルタ5bに通して循環させた状況で、測定部60にて測定された圧力が所定圧力を超えた場合、または、測定部60にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合には、エッチング処理槽2内の液体を廃棄し、エッチング処理槽2に予備温調槽7内の液体を供給し、予備温調槽7に所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、エッチング処理槽2内の液体をフィルタ5bに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体をフィルタ5aに通して循環させる。
【0083】
エッチング処理槽2内の液体をフィルタ5bに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体をフィルタ5aに通して循環させる状況で、制御部90は、測定部60にて測定された圧力が所定圧力を超えた場合、または、測定部60にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合には、エッチング処理槽2内の液体を廃棄し、エッチング処理槽2に予備温調槽7内の液体を供給し、予備温調槽7に所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、エッチング処理槽2内の液体をフィルタ5aに通して循環させるとともに予備温調槽7内の液体をフィルタ5bに通して循環させる。
【0084】
このため、半導体製造装置100は、測定部60にて測定された濃度または圧力のいずれかの値を用いて、フィルタ5aまたは5bに堆積したパーティクルの堆積量、すなわち、フィルタ5aまたは5bの劣化度合いを検出することができる。よって、半導体製造装置100は、フィルタ5aまたは5bの目詰まりが起こる前に、適切なタイミングでエッチング処理を停止して、エッチング処理槽2内の液体を廃棄することができる。
【0085】
また、本実施形態では、半導体製造装置100が、エッチング処理槽2内の液体に含まれるシリコン酸化物の濃度を測定する濃度測定器10を有し、制御部90が、さらに、濃度測定器10にて測定された濃度が特定濃度となるようにエッチング処理槽2内の液体にシリコン酸化物を溶解し、その後、エッチング処理槽2でエッチング処理を行う。
【0086】
エッチング処理槽2内の液体である所定処理液としては、例えば、シリコン酸化膜のエッチング速度に対するシリコン窒化膜のエッチング速度の選択比が大きいリン酸が用いられる。所定処理液として新液のリン酸が用いられる場合、半導体ウエハによっては、シリコン酸化膜のエッチング速度が十分に低くないため、新液のリン酸にシリコン酸化物を混入してエッチング酸化膜のエッチング速度を所定速度まで下げなければならない場合がある。
【0087】
本実施形態では、予備温調槽7内の液体を一方のフィルタに通して循環させることで、そのフィルタに付着したシリコン酸化物が予備温調槽7内の液体に溶解される。このため、予備温調槽7内の液体には、シリコン酸化物が含まれることになる。
【0088】
したがって、半導体製造装置100では、シリコン酸化物を含んでいる予備温調槽7内の液体をエッチング処理槽2に供給するため、エッチング処理槽2内の液体に溶解するシリコン酸化物の添加量を低減することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、CPU9が、濃度測定器10にて測定された濃度に基づいてエッチング処理槽2内の液体を廃棄する例について説明したが、CPU9が、所定圧力を示す圧力閾値を保持し、圧力計6aおよび6bにて計測されたそれぞれの圧力を受け付け、これらの圧力が圧力閾値を超えるたびに、エッチング処理槽2内の液体を廃棄し、エッチング処理槽2に予備液を供給し、予備温調槽7に新たな予備液を供給して、循環状態を第1循環状態と第2循環状態とに交互に切り替えるようにしてもよい。例えば、CPU9は、圧力計6aにて測定された圧力が圧力閾値を超えると、処理液1aを廃棄し、エッチング処理槽2に予備液1Aを新たな処理液1bとして供給し、予備温調槽7に予備液1Bを新たに供給して、処理液1bをフィルタ5bに通して循環させるとともに予備液1Bをフィルタ5aに通して循環させる。
【0090】
以上説明した実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0091】
100 半導体製造装置
60 測定部
90 制御部
91 切替部
2 エッチング処理槽
3a、3b 加熱ヒータ
4a、4b 循環ポンプ
5a、5b フィルタ
6a、6b 圧力計
7 予備温調槽
8a〜8l 自動バルブ
9 CPU
10 濃度測定器
11 溶解装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハをエッチング処理するための液体として、所定処理液を収容し、前記半導体ウエハが前記所定処理液に浸されることによって前記エッチング処理が行われるエッチング処理槽と、
前記エッチング処理にて前記所定処理液中に生じるパーティクルを捕捉する第1および第2フィルタと、
前記パーティクルを溶解する液体として、前記所定処理液と同じ液体の予備液を収容する予備槽と、
前記エッチング処理槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させ、その後、前記エッチング処理槽内の液体を廃棄し、前記エッチング処理槽に前記予備槽内の液体を供給し、前記予備槽に前記所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、前記エッチング処理槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させる制御部と、を含む半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体製造装置において、
前記制御部は、前記エッチング処理槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させた後、前記エッチング処理槽内の液体を廃棄し、前記エッチング処理槽に前記予備槽内の液体を供給し、前記予備槽に前記所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、前記エッチング処理槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させる、半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体製造装置において、
前記制御部にて循環される前記エッチング処理槽内の液体の圧力、または、当該液体に含まれるパーティクルの濃度を測定する測定部をさらに含み、
前記制御部は、前記エッチング処理槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させた状況で、前記測定部にて測定された圧力が所定圧力を超えた場合、または、前記測定部にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合には、前記エッチング処理槽内の液体を廃棄し、前記エッチング処理槽に前記予備槽内の液体を供給し、前記予備槽に前記所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、前記エッチング処理槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させる、半導体製造装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体製造装置において、
前記制御部にて循環される前記エッチング処理槽内の液体の圧力、または、当該液体に含まれるパーティクルの濃度を測定する測定部をさらに含み、
前記制御部は、前記エッチング処理槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させた状況で、前記測定部にて測定された圧力が所定圧力を超えた場合、または、前記測定部にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合には、前記エッチング処理槽内の液体を廃棄し、前記エッチング処理槽に前記予備槽内の液体を供給し、前記予備槽に前記所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、前記エッチング処理槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させ、その状況で、前記測定部にて測定された圧力が所定圧力を超えた場合、または、前記測定部にて測定された濃度が所定濃度を超えた場合には、前記エッチング処理槽内の液体を廃棄し、前記エッチング処理槽に前記予備槽内の液体を供給し、前記予備槽に前記所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、前記エッチング処理槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させる、半導体製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体製造装置において、
前記制御部にて循環される前記エッチング処理槽内の液体を加熱して当該液体を所定温度に保温する第1ヒータと、
前記制御部にて循環される前記予備槽内の液体を加熱して当該液体を前記所定温度よりも低い特定温度に保温する第2ヒータと、をさらに含む半導体製造装置。
【請求項6】
請求項2に記載の半導体製造装置において、
前記エッチング処理槽内の液体に含まれるシリコン酸化物の濃度を測定する濃度測定器をさらに含み、
前記制御部は、さらに、前記濃度測定器にて測定された濃度が特定濃度となるように前記エッチング処理槽内の液体にシリコン酸化物を溶解し、その後、前記エッチング処理槽で前記エッチング処理を行う、半導体製造装置。
【請求項7】
半導体ウエハをエッチング処理するための液体として、所定処理液を収容し、前記半導体ウエハが前記所定処理液に浸されることによって前記エッチング処理が行われるエッチング処理槽と、前記エッチング処理にて前記所定処理液中に生じるパーティクルを捕捉する第1および第2フィルタと、前記パーティクルを溶解する液体として、前記所定処理液と同じ液体の予備液を収容する予備槽と、を有する半導体製造装置における処理方法であって、
前記エッチング処理槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させ第1制御ステップと、
前記第1制御ステップの後、前記エッチング処理槽内の液体を廃棄し、前記エッチング処理槽に前記予備槽内の液体を供給し、前記予備槽に前記所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、前記エッチング処理槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させる第2制御ステップと、を含む処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の処理方法において、
前記第2制御ステップは、前記エッチング処理槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させた後、前記エッチング処理槽内の液体を廃棄し、前記エッチング処理槽に前記予備槽内の液体を供給し、前記予備槽に前記所定処理液と同じ液体の予備液を新たに供給し、前記エッチング処理槽内の液体を前記第1フィルタに通して循環させるとともに前記予備槽内の液体を前記第2フィルタに通して循環させる、処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−9667(P2012−9667A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144954(P2010−144954)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】