説明

半導体記憶装置の製造方法

【課題】立体構造を有する電極などの部材上に、組成の同じALD膜を形成することの可能な半導体記憶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板上に、下部電極、上部電極、および下部電極と上部電極に挟まれる容量絶縁膜からなるキャパシタを有する半導体記憶装置の製造方法において、前記下部電極の表面および前記層間絶縁膜の表面に、Alの前駆体とZrの前駆体の前記下部電極に対する各々の被覆特性が一致する条件で、前記Alの前駆体と前記Zrの前駆体を反応室内に供給する工程と、前記Alの前駆体と前記Zrの前駆体を反応室から真空排気する第1の真空排気工程と、酸化剤を反応室に供給する工程と、前記酸化剤を前記反応室から真空排気する第2の真空排気工程と、繰り返すALDフローシーケンスによりZrAlO膜を形成する工程を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAM(Dynamic Random Access Memory)セルの微細化に伴い、セルアレイのアクセストランジスタ(以下、セルトランジスタという)のゲート長も短くなりつつある。しかし、ゲート長が短くなればなるほどトランジスタの短チャネル効果は顕著になるため、サブスレッショルド電流が増加して、トランジスタの閾値電圧(Vt)が低下しやすくなる。それに対し、基板濃度を増大させて閾値電圧の低下を抑制する方法もあるが、接合リークが増大するため、DRAMにおけるリフレッシュ特性の悪化が深刻な問題となる。
【0003】
このような問題を回避するため、シリコン基板上に形成した溝にゲート電極の一部を埋め込む、いわゆるトレンチゲート型トランジスタ(リセスチャネルトランジスタともいう)が採用されている(特許文献1及び2参照)。トレンチゲート型トランジスタによれば、有効チャネル長(ゲート長)を物理的かつ十分に確保することができ、最小加工寸法が60nm以下の微細なDRAMも実現可能である。
【0004】
図33は、上記トレンチゲート型セルトランジスタを備えたDRAMの一例構造を概略的に示す断面図である。図33に示す構造のDRAM200においては、P型のシリコン基板201の表面部分に素子分離領域202同士が互いに左右に離間した状態で形成されている。また、素子分離領域202同士に挟まれた領域の半導体基板201に、複数のゲートトレンチ204が図33の左右方向に離間した状態で形成されている。また、ゲートトレンチ204の内壁面に形成されたゲート絶縁膜205を介し、ゲートトレンチ204を埋めるようにゲート電極212が形成されている。
また、ゲート電極212はゲートトレンチ204を埋めるとともにシリコン基板201の上方側まで突出形成されているが、この例におけるゲート電極212は、下層側から順にポリシリコン膜206、高融点金属膜210、ゲートキャップ絶縁層211からなる3層構造となっている。また、ゲートトレンチ204から突出形成された部分は第1の層間絶縁膜214Aにより覆われている。
【0005】
図33に示すゲート電極212同士間の領域におけるシリコン基板201の表面部分には低濃度N型拡散層208と高濃度N型拡散層209が積層形成されている。また、ゲート電極212同士の領域の外側には低濃度N型拡散層213が形成されている。また、高濃度N型拡散層209上の第1の層間絶縁膜214Aには上下導通用のコンタクトプラグ(ビット配線コンタクト)215Aが形成され、低濃度N型拡散層213上の層間絶縁膜214Aには上下導通用のコンタクトプラグ215Bが形成されている。
【0006】
また、第1の層間絶縁膜214Aの上方には第2の層間絶縁膜214Bが形成され、前記コンタクトプラグ215A上の第2の層間絶縁膜214B内にビット配線216が配線されるとともに、前記コンタクトプラグ215B上の第2の層間絶縁膜214B内に上下導通用の第2のコンタクトプラグ215Cが形成されている。
また、第2の層間絶縁膜214Bの上には第3の層間絶縁膜214Cが形成されておいる。また、第3の層間絶縁膜214C内にセルキャパシタ217が前記第2のコンタクトプラグ215Cに接続するように形成されている。また、セルキャパシタ217の上部側電極217A上には第4の層間絶縁膜214Dが形成されている。また、第4の層間絶縁膜214D内に形成された第3のコンタクトプラグ215Dを介し、セルキャパシタ217の上部側電極217Aと配線218が接続している。以上により図33に示す概略構造のDRAM200が構成されている。
【0007】
図33に例として示す構造のDRAM200においては、半導体記憶装置の微細化に伴ってセルキャパシタ217の平面寸法が縮小されるためDRAM動作を保持するために必要なキャパシタ容量を確保することが困難となっている。この対策の一つとして、セルキャパシタ217が形成される第3の層間絶縁膜214Cを、より厚く形成してセルキャパシタが形成されるシリンダホールを深くし、セルキャパシタの面積を拡大することが考えられるが、より深いシリンダホールの形成自体が極めて困難な状況になっており、現実的ではない。したがって、残る対策は誘電率の高い容量絶縁膜を採用するしかない。このような容量絶縁膜は、深孔の中に形成されるため優れた段差被覆性が要求される。この要求を満たすためには、ALD(Atomic Layer Deposition;原子層堆積)法により形成することが好ましいとされている。
【0008】
例えば酸化物誘電体膜を形成するALD法では、半導体基板がセットされた反応チャンバーへの(1)原料(前駆体)供給ステップ、(2)前駆体排気ステップ、(3)酸化剤供給ステップ、(4)酸化剤排気ステップからなる4つのステップにより1分子層の酸化物誘電体が形成される。上記4つのステップを1サイクルとして、所望の厚さになるまでサイクルを繰り返すことにより酸化物誘電体膜が形成される。上記の前駆体供給ステップでは供給された前駆体が半導体基板表面の吸着サイトに吸着する。表面の全ての吸着サイトが前駆体で覆われた飽和状態になると、それ以上、前駆体は吸着されず、1原子層の前駆体が吸着された状態となる。次に、前駆体排気ステップでは、残留する前駆体と後から供給される酸化剤との気相反応を回避するため、反応室内に残留している前駆体を排気する。続いて、酸化剤供給ステップでは例えばオゾンなどの酸化剤を供給し、既に吸着している1原子層の前駆体を酸化して、1分子層の酸化物誘電体を形成する。さらに、次のサイクルで供給される前駆体との気相反応を回避するために酸化剤排気ステップを行う。
【0009】
ALD法では、このような吸着による表面反応の自己抑制機構を利用することにより、1原子層(または1分子層)ごとの制御を可能としている。これにより、ALD法は、膜厚均一性、膜厚制御性および段差被覆性に優れている。
【0010】
ここで、段差被覆性とは、段差を有する部材の表面に膜を形成した場合に、段差の上面から底部に至るまでの膜の厚さの一様性を示す指標であり、通常、最大の厚みを有し段差の上面に形成された膜の膜厚に対する最小の厚みを有し段差の底部に形成された膜の膜厚の比を百分率で表す。従って、段差の上面から底部にかけて膜厚が均一であれば、段差被覆性は100%となる。
【0011】
ところで、近年、誘電率の高い容量絶縁膜を得るために、異種の金属化合物材料からなる積層構造もしくは混合構造の容量絶縁膜が用いられるようになってきた。この場合、二種類以上の金属元素を含有する容量絶縁膜をALD法により成膜するが、その方法としては、以下に挙げる二つの方法のうちのいずれかを用いることができる。
【0012】
一つ目は、1サイクルで形成される分子層ごとに供給する前駆体を替える成膜方法である。具体的には、第1の金属原料を含む第1のALD膜を1分子層形成した後、第2の金属原料を含む第2のALD膜を1分子層形成するステップを複数回繰り返すことにより交互に積層された積層構造を有する容量絶縁膜を形成させる方法である(特許文献3、4、5)。この場合、1分子層に制限されず、数分子層ずつまとめて交互に積層することもできる。
【0013】
一つ目の方法の具体的な例を図34(A)に示す。例えば、酸化アルミニウム(AlOと記す)と酸化ジルコニウム(ZrOと記す)の積層構造からなるZrAlO膜をALD法により成膜する場合は、AlOを1分子層形成するTMAフローの後、AlO上にZrOを1分子層形成するTEMAZフローを実施してそれらを繰り返す。より具体的には、図34(B)に示すように、Alの前駆体となるTMA(トリメチルアルミニウム)供給、TMA排気、酸化剤となるオゾン(O)供給、オゾン排気、Zrの前駆体となるTEMAZ(テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム)供給、TEMAZ排気、オゾン供給およびオゾン排気からなるステップを1サイクルとして繰り返すことにより成膜する。この方法によれば、AlOとZrOを分子層ごとに交互に積層して成膜できる。
【0014】
しかし、図34(A)、(B)に示す方法の場合、ZrAlO膜中のZrとAlの濃度比は、各層の成膜回数で制御されるために連続的な濃度制御ができない。また、図34(B)に示す方法では、金属原料のうち一種のみの濃度を極端に少なくすることが難しい。例えばこの方法で形成可能な各層の一層の膜厚が0.1nm程度であるのに対し、通常、容量絶縁膜は数nm程度の膜厚で形成される。そのため、たとえばZrとAlの濃度比が95/5と、一方の濃度が極端に低い場合は、ZrAlO膜全体に対して、AlOを高々一層しか成膜することができず、ZrとAlの濃度の制御が困難となる。また、この方法では生産性が著しく低下する問題も生じる。
【0015】
二つ目は、反応室内に二種類以上の前駆体を同時に供給する成膜方法である(特許文献6)。
二つ目の方法について具体的な例を図35に示す。例えばZrAlO膜を成膜する場合は、Al前駆体とZr前駆体を同時に供給する工程と、Al前駆体とZr前駆体を排気する工程と、酸化剤を供給する工程と、酸化剤を排気する工程と、からなるステップを1サイクルとして繰り返す。この方法によれば、Al前駆体とZr前駆体を同時に供給するため、各前駆体の流量を制御することでZrとAlの濃度を連続的に制御できるとされている。そのため、各金属濃度のうち一種類のみの濃度を極端に少なくすることが可能になると考えられる。
【0016】
しかし、図35の方法を用いて、実際に深孔を有する部材上に上記のALD法によりZrAlO膜を形成すると、深孔の深さ方向の位置によって、ZrAlO膜中ZrとAlの原子数比(Zr/Al比)が異なるという問題が発生した。
【0017】
図36は、発明者が実施した実験の一例として、Alの前駆体にTMAを、Zrの前駆体にTEMAZを用い、深さ3μm、150nm径の深孔を複数形成したシリコン基板を反応室にセットした状態で、上記の各々の前駆体を同じ流量で供給、成膜した場合のZrAlO膜の、深孔の深さ方向のZr/Al比を調べた結果を示している。
【0018】
Zr/Al比は、ZrAlO膜を成膜した後のシリコン基板を分割して深孔の断面を露出させ、深孔内に形成されているZrAlO膜に対して透過電子顕微鏡(TEM)−EDX(Energy Dipersive X-ray Spectroscopy)分析から得られる各元素の原子数から算出したものである。
【0019】
図36に示すように、トレンチ内の上部と底部とでは、Zr/Al比が大きく異なっている。深孔の上部すなわちシリコン基板表面となる深さが0の位置ではZr/Al比が0.8となっているのに対し、深孔の底部となる深さが3μmの位置ではZr/Al比が0.2となっている。この結果は、深孔の表面より底部においてZr濃度が激減していることを示している。
【0020】
上記のような、深孔の位置によってZr/Al比が異なるZrAlO膜では、リーク電流特性や誘電率が位置によって異なることを意味しており、安定した信頼性が要求される半導体記憶装置の容量絶縁膜として使用することができない。
したがって、Alの前駆体とZrの前駆体とを同一ステップで供給して深孔内にZrAlO膜を形成するALD法においても、深孔の位置によらず、Zr/Al比が一定となるZrAlO膜を形成する方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006−339476号公報
【特許文献2】特開2007−081095号公報
【特許文献3】特開2004−214304号公報
【特許文献4】特開2007−150242号公報
【特許文献5】特開2008−244428号公報
【特許文献6】特表2008−502805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の課題は、Alの前駆体としてTMAを用い、Zrの前駆体としてTEMAZを用いて各々同一ステップで供給するALD法によってZrAlO膜を形成する方法において、シリコン基板表面に形成された深孔の内部の位置によって、ZrAlO膜中のZr/Al比に差が生じることなく、どの位置においても一定したZr/Al比を有するZrAlO膜を形成できる方法を提供することにある。
また、本発明の課題は、上記のZrAlO膜を容量絶縁膜とするキャパシタを備えた半導体記憶装置の製造方法を提供することにある。
【0023】
発明者は、図36に示したように、深孔内の位置に依存してZr/Al濃度比が異なる原因を探るために種々実験検討を行った。その結果、Alの前駆体となるTMAとZrの前駆体となるTEMAZでは、被覆率に対する前駆体供給時間依存性に差があるという知見を得た。
【0024】
ここで、被覆率とは、基板表面の吸着サイト全体に対してどの程度の割合で前駆体が吸着し基板表面を被覆しているかを示す指標である。例えば、TMAを基板表面の吸着サイト全体が完全に覆われる時間よりも十分長い時間となる200秒供給する。その場合の基板表面に吸着しているAl原子数を前述のEDXで求めておく。この時のAl原子数をAl飽和原子数とする。その後、供給時間を変えてAlの吸着量を変化させた試料を作成し、各試料表面の吸着Al原子数を求め、Al飽和原子数に対する吸着Al原子数の割合(%)を被覆率とした。
【0025】
図37(A)に、ALD法により、同じ流量のTMAとTEMAZとを、それぞれ供給
時間を変えて基板に供給した場合の各前駆体の1サイクルあたりの被覆率を示す。ここで、横軸は前駆体の供給時間(秒/サイクル)、縦軸は1サイクルあたりの前駆体の被覆率を示す。図37(A)から明らかなように、TMAの場合は供給時間が10秒で被覆率が100%となっている。一方、TEMAZの場合は被覆率が100%となるのに30秒の供給時間を要していることがわかる。つまり、TMAとTEMAZでは、供給時間に対する前駆体被覆特性が異なっていることを示している。このような前駆体被覆特性に差が生じる原因としては、Alの前駆体となるTMAとZrの前駆体となるTEMAZの気相中の拡散速度の違いに起因しているものと推察される。すなわち、TMAの分子量が72であるのに対し、TEMAZの分子量は323であり、約4.5倍も重いことから拡散速度に差が生じ、基板表面の気相空間が充分な濃度の前駆体分子で覆われるまでの時間が異なってくるものと推察される。
【0026】
図37(B)は、上記の推察に基づき、基板表面に形成した深孔内におけるTMAとTEMAZの吸着の様子を模式化して表した図である。図37(A)に記載した時間、t1、t2、t3の3つの場合について示している。t1は供給し始めの段階における時間経過後、t2はTMAの被覆率が100%に近い段階における時間経過後、t3はTMAの被覆率が100%、TEMAZの被覆率が100%に近い段階における時間経過後、t3はTMA、TEMAZのいずれも被覆率が100%となる段階における時間経過後である。
【0027】
黒丸はAlの前駆体であるTMAを、白丸はZrの前駆体であるTEMAZを模式的に表している。t1時間経過後では、深孔の表面付近ではTMAとTEMAZとの吸着比率はほぼ一定となるが、中央付近では拡散速度の速いTMAの吸着が進み拡散速度の遅いTEMAZは吸着していない。t2時間経過後では、深孔の中央付近にTEMAZが吸着し始めるが、既に大半の吸着サイトがTMAで覆われているのでTEMAZの吸着サイトは限定的となる。また、TMAの吸着はさらに深い部分まで進行している。t3時間経過後では、深孔の底部を含むほとんどの吸着サイトがTMAで占有され、TEMAZの吸着サイトはさらに限定的となる。したがって、深孔の位置が深くなるほどTEMAZの到達が遅れるため、TMAの吸着が先行しTEMAZの吸着が限定的となる。その結果、前述の図36に示したように、Zr/Al比が深孔の位置が深くなるほど小さい値となっている。
【0028】
上記のように、供給時間に対する被覆特性が異なるTMAとTEMAZを同時に供給しても深孔内では、深さ方向の位置によってZr/Al比に差が生じてしまう。その結果、位置によって異なるZr/Al比を有するZrAlO膜が形成され、リーク電流や誘電率を制御することが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
そこで、発明者は、上記の被覆特性をTMAとTEMAZとで一致させることができないかどうか検討を進めた。一般的に拡散速度は、基板表面における気相空間の温度と上記前駆体の濃度に依存すると考えられる。そこで、まず温度を変えた場合のTMAとTEMAZの各々の被覆特性を調べる検討を試みた。その結果、TMAについては、温度を変えると被覆率が100%となるTMA供給時間が変化し、高温側では供給時間が短くなり、低温側では長くなる。また、温度は150〜400℃の範囲で変化させてもALD成膜が可能であることが明らかとなった。一方、TEMAZについては温度を30℃程度上げただけでも気相反応が生じ、ALD成膜自体が困難となることがわかった。したがって、前駆体としてTMAとTEMAZを用いる同時供給ALDでは、温度を最適化することによって被覆率を同じにすることは困難であり、TEMAZのALD成膜に最適な210〜230℃の範囲で行わざるを得ない。
【0030】
次に、供給量を変えた場合のTMAとTEMAZの各々の被覆特性を調べた。供給量は、液体原料であるTMAとTEMAZの各々の気化量で制御することができる。この結果、TMA、TEMAZ共に、供給時間を一定とした場合、被覆率は供給量に依存し、供給量が多いほど被覆率が大きくなることが明らかとなった。これらの実験結果の中から、TMAとTEMAZの被覆特性を一致させるためにはTMAの供給量に対してTEMAZの供給量を2.5〜3.5倍の範囲とし、好ましくは3倍に設定することが効果的であることを見出した。
また、各々の前駆体を反応室に搬送するためのキャリヤガス流量や、反応室内の全圧力依存性についても検討したが、それらの条件は被覆特性に影響していなかった。
【0031】
図29(A)は、一例として、反応室すなわち半導体基板の温度220℃、TMAの供給量を0.2slm、TEMAZの供給量を0.6slmとした場合の窒化チタン膜に対する被覆率の供給時間依存性を示したものである。なお、上記供給量は、TMAおよびTEMAZ自体の実供給量を意味するものであり、キャリヤガスの供給量ではない。窒化チタン膜は、キャパシタの下部電極材料であり、半導体基板上にCVD法で形成したものである。図29(A)から明らかなように、TMA、TEMAZ共に供給時間10secで被覆率が100%となっており、被覆特性が一致していることを示している。
図29(B)は、TMAとTEMAZの被覆率特性を一致させた場合の、半導体基板表面に形成した深孔内におけるTMAとTEMAZの吸着の様子を模式化して表した図である。
【0032】
図29(B)におけるt1、t2、t3は、図29(A)に記載した時間であるt1、t2、t3の3つの場合について示している。t1は供給し始めの段階における時間経過後、t2はTMA、TEMAZの被覆率が100%に近い段階における時間経過後、t3はTMA、TEMAZのいずれも被覆率が100%となる段階における時間経過後である。黒丸はAlの前駆体であるTMAを、白丸はZrの前駆体であるTEMAZを模式的に表している。ここでは被覆特性が一致しているので、いずれの経過時間においてもTMAとTEMAZとの吸着比率は一定となる。
【0033】
図29(A)、(B)に示したような条件であれば、図37(A)、(B)に示した、被覆特性が異なるガスが深孔内の位置によって吸着比率が異なる問題や、深孔内のZr/Al比を制御できなくなる問題を回避することができる。このため、深孔内のいずれの位置においてもZr/Al比を一定にすることができる。
【0034】
したがって、上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、本発明の半導体記憶装置の製造方法は、第1の電極を積層する工程と前記第1の電極上に二種類以上の金属元素を含有する容量絶縁膜を形成する工程と前記容量絶縁膜上に第2の電極を積層する工程とによってキャパシタを形成し、前記容量絶縁膜を形成する工程が、前記各金属元素を含有する各々の前駆体の第1の電極表面を覆う被覆率の前記前駆体供給時間依存性が同じとなるように調整された供給条件を用いて前記各々の前駆体を同時に前記半導体基板表面に供給するALD法により前記容量絶縁膜を形成する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、異なる金属元素を含有する複数の前駆体を同時に供給して、複数の金属元素を含有する容量絶縁膜をALD法で形成する工程において、上記複数の前駆体の下部電極表面における被覆率の供給時間依存性が同じとなるように調整された条件で複数の前駆体を同時に供給するようにしている。
これにより、第一の電極がトレンチ(深孔)を有する立体構造であっても、第一の電極の深孔の底部および他の領域全体に、均一な組成のALD膜からなる容量絶縁膜を形成できる。この結果、リーク電流の発生を抑制し、リフレッシュ特性に優れた半導体記憶装置を形成することができる。
また、各前駆体を同時に、かつ各々の被覆特性が一致する流量で供給するため、最も膜厚飽和時間の長い前駆体に合わせて、ソースガス全体の供給時間を決定する必要がない。このため、複数の前駆体を用いたALD膜形成における前駆体の供給時間を短縮できる。このため、均一な組成のALD膜を、立体構造を有する部材上に短時間で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明方法により形成された半導体記憶装置を備えたメモリセルの配線構造などの一部要素の一例を示す平面図。
【図2】図1に示すメモリセルの部分断面を示すもので、図2(A)は図1のA−A’線に沿う断面図、図2(B)は図1のB−B’線に沿う断面図。
【図3】半導体基板上にシリコン酸化膜とシリコン窒化膜を形成後、素子分離溝を形成した状態を示すもので、図3(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図3(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図4】半導体基板上に熱酸化によりシリコン酸化膜を形成後、素子分離溝の内部にシリコン窒化膜を埋込形成した状態を示すもので、図4(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図4(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図5】半導体基板上にシリコン酸化膜を堆積した後、表面を平坦化した状態を示すもので、図5(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図5(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図6】半導体基板上のシリコン窒化膜とシリコン酸化膜を除去し、ライン状の素子分離領域を形成後、熱酸化により半導体基板表面にシリコン酸化膜を形成し、低濃度イオン注入している状態を示すもので、図6(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図6(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図7】半導体基板上にマスク用のシリコン窒化膜とカーボン膜を堆積し、ゲート電極溝のパターンになるようにパターニングした状態を示すもので、図7(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図7(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図8】半導体基板上にエッチングによりチャネル溝(ゲート電極溝)を形成しリセスチャネル型のトランジスタとするための加工状態を示すもので、図8(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図8(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図9】チャネル溝とゲート電極溝形成後の半導体基板上にゲート絶縁膜と金属膜を積層した状態を示すもので、図9(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図9(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図10】エッチングによりチャネル溝とゲート電極溝の底部に金属膜を残存させ埋込ワード線(ゲート電極)を形成した状態を示すもので、図10(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図10(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図11】残存した金属膜上及びゲート電極溝の内壁を覆うようにライナー膜を形成し、その上に埋込絶縁膜を形成した状態を示すもので、図11(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図11(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図12】表面平坦化を行ってライナー膜を露出させた後、エッチングによってマスク用のシリコン窒化膜と埋込絶縁膜とライナー膜の一部を除去し、埋込絶縁膜の表面を半導体基板の表面と同等高さに加工した状態を示すもので、図12(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図12(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図13】半導体基板を覆うように第1の層間絶縁膜を形成し、埋込ワード線と同じ方向に延在するライン状のコンタクト開口を形成した状態を示すもので、図13(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図13(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図14】半導体基板上にビット配線を形成するためのポリシリコン膜と金属膜とシリコン窒化膜を積層した状態を示すもので、図14(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図14(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図15】ポリシリコン膜と金属膜とシリコン窒化膜の積層膜をパターニングしてビット配線を形成した状態を示すもので、図15(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図15(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図16】ビット配線の側面を覆うようにシリコン窒化膜とライナー膜を形成した状態を示すもので、図16(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図16(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図17】ビット配線間のスペース部を充填するようにSOD膜を堆積しアニールした後、表面平滑化を行い、更に、第2の層間絶縁膜を形成した状態を示すもので、図17(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図17(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図18】ビット配線側方の第2の層間絶縁膜とSOD膜とライナー膜とシリコン窒化膜と第1の層間絶縁膜を貫通して半導体基板表面に達する容量コンタクト開口を形成した状態を示すもので、図18(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図18(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図19】容量コンタクト開口にポリシリコン膜とシリサイド層と金属膜を充填積層し容量コンタクトプラグを形成した状態を示すもので、図19(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図19(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図20】ビット配線および容量コンタクトプラグ上に容量コンタクトパッドを形成した状態を示すもので、図20(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図20(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図21】容量コンタクトパッド上にストッパー膜と第3の層間絶縁膜とを形成した状態を示すもので、図21(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図21(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図22】容量コンタクトパッド上面を露出させるように第3の層間絶縁膜にコンタクト開口を形成し、コンタクト開口内に下部電極を形成した状態を示すもので、図22(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図22(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図23】下部電極上に容量絶縁膜と上部電極とを形成し、キャパシタを構成した状態を示すもので、図23(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図23(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図24】キャパシタの上に上部金属配線と保護層を形成してDRAMを完成させた状態を示すもので、図24(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図、図24(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図。
【図25】図1に示すメモリセルの平面図に対し、ビット配線の両側に内面層とライナー層を記載した状態を示す平面図。
【図26】本発明方法により形成された半導体記憶装置の他の例としてのサドルフィン型のトランジスタを備えたメモリセルの部分断面を示すもので、図26(A)は図1のA−A’線に沿う位置に対応させて表記した場合の断面図、図26(B)は図1のB−B’線に沿う位置に対応させて表記した場合の断面図。
【図27】本発明方法により形成された半導体記憶装置の他の例を備えたメモリセルにおいて半導体基板上にエッチングによりチャネル溝(ゲート電極溝)を形成しサドルフィン型のトランジスタとするための加工状態を示すもので、図27(A)は図1のA−A’線に沿う位置に対応させて表記した場合の断面図、図27(B)は図1のB−B’線に沿う位置に対応させて表記した場合の断面図。
【図28】本発明方法により形成された半導体記憶装置の他の例を備えたメモリセルにおいてエッチングによりゲート電極溝の底部に金属膜を残存させ埋込ワード線(ゲート電極)と埋込配線を形成した状態を示すもので、図28(A)は図1のA−A’線に沿う位置に対応させて表記した場合の断面図、図28(B)は図1のB−B’線に沿う位置に対応させて表記した場合の断面図。
【図29】本実施形態のフロー時間と膜厚との関係性を説明するための図で、図29(A)は本実施形態のフロー時間に対するサイクル毎の膜厚を示すグラフであり、図29(B)は深孔内におけるTMAとTEMAZの吸着の様子を模式化して表した図である。
【図30】本実施形態のガスフローシーケンスであり、図30(A)はTMAとTEMAZの供給タイミングを同時にした場合のガスフローシーケンス、図30(B)はTMAとTEMAZの供給タイミングを変えた場合のガスフローシーケンスである。
【図31】本実施形態で形成したALD膜のZr/Al比を示すグラフである。
【図32】TMAとTEMAZの供給時間を変えた場合のガスフローシーケンスである。
【図33】半導体基板に形成したトレンチにゲート電極の下部側を埋め込むように形成した半導体記憶装置を備えた、従来の半導体記憶装置の一例を示す断面図である。
【図34】従来のフロー時間と膜の組成との関係性を説明するための図で、図34(A)は本実施形態のフロー時間に対するサイクル毎の膜厚を示すグラフであり、図34(B)は深孔内におけるTMAとTEMAZの吸着の様子を模式化して表した図である。
【図35】従来の成膜法におけるフローチャートである。
【図36】従来の成膜法で形成したALD膜のZr/Al比を示すグラフである。
【図37】従来の成膜法におけるフロー時間と膜厚との関係性を説明するための図で、図37(A)は本実施形態のフロー時間に対するサイクル毎の膜厚を示すグラフであり、図37(B)は深孔内におけるTMAとTEMAZの吸着の様子を模式化して表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の半導体記憶装置1の製造方法について図面を参照にして説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される原料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0038】
はじめに、本発明に係る半導体記憶装置1の製造方法により製造された半導体記憶装置1の一例につい説明する。本発明に係る半導体記憶装置1の製造方法は、キャパシタを有する様々な半導体記憶装置の製造に適用可能であるが、その一例を図1及び図2に示す。
図1は半導体記憶装置のセル構造の一部要素を示す平面図であり、図2(A)、(B)は半導体記憶装置の部分断面構造を示す。また、図2(A)は図1のA−A’線に沿う断面構造を示し、図2(B)は図1のB−B’線に沿う断面構造を示す。
【0039】
半導体記憶装置1は、図2(A)、(B)の断面構造に示すセルトランジスタ形成領域2とセルキャパシタ形成領域3とから概略構成されている。
セルトランジスタ形成領域2において、半導体基板5は導電型のシリコン基板からなり、その表面(一面)に帯状の活性領域Kが図1のX方向に所定角度傾斜した方向(図1において右下側に傾斜する方向)を向いてY方向に所定の間隔で複数離間した状態で形成されている。
【0040】
また、活性領域Kを区画するように、図2(A)に示す断面形状の素子分離溝4が図1のX方向に所定角度傾斜した方向に向くとともに、図1、図2(A)のY方向に所定の間隔で複数配列形成されている。
また、図2(A)に示すように、素子分離溝4の内面にシリコン酸化膜からなる内部絶縁膜4Aが形成されている。また、シリコン窒化膜からなる素子分離絶縁膜6が、素子分離溝4を埋めるように内部絶縁膜4Aの内側に形成されている。このような構成により、内部絶縁膜4Aと素子分離絶縁膜6からなる素子分離領域(STI領域)が形成されている。
【0041】
なお、図1のような平面形状の活性領域Kの配列は、本実施形態に特有の形状であるが、活性領域Kの形状や整列方向は特に規定されるべきものではない。また、図1に示す活性領域Kの形状はその他一般的なトランジスタに適用される活性領域の形状で良いのは勿論であり、本実施形態の形状に限定されるものではない。
【0042】
また、図2(B)に示すように、ゲート電極溝7が、図1のY方向に延在し、図1、図2(B)のX方向に所定の間隔で複数配列形成されている。また、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜7Aが、ゲート電極溝7の内面に形成されている。また、窒化チタンなどからなる内面層8が、ゲート絶縁膜7Aの内面に形成されている。また、内面層8とゲート絶縁膜7Aとを介してゲート電極溝7を埋め込むように、タングステンなどの高融点金属からなる埋込ワード線9が形成されている。また、埋込ワード線9の上に、埋込絶縁膜11が、ライナー膜10を介してゲート電極溝7を埋めるように形成されている。
【0043】
また、図1において、埋込ワード線9が形成されるゲート電極溝7は、活性領域Kと重なる部分ではトレンチゲートトランジスタのチャネルとなる溝が形成され、活性領域に隣接するSTI領域上では活性領域に形成される溝よりも相対的に浅い溝が形成される。これらの深さの異なる2種類の溝を埋込んで、上面が平坦な一つの連続する配線として埋込ワード線9が形成されている。
【0044】
なお、本発明により形成された半導体記憶装置1は、ゲート絶縁膜7Aとライナー膜10はそれらの上端縁がゲート電極溝7の開口部まで達するように形成されている。また、埋込絶縁膜11が、ライナー膜10によりゲート絶縁膜7Aの開口部側に形成された凹部を埋めるように形成されている。また、埋込絶縁膜11の上面とゲート絶縁膜7Aの上端縁とライナー膜10の上端縁がほぼ面一になるように積層形成されている。
【0045】
また、前記埋込絶縁膜11は、CVD法によるシリコン酸化膜あるいはSOD膜(Spin On Directrics:ポリシラザン等の塗布系絶縁膜)などの塗布膜を高温水分含有雰囲気でアニールして個体膜としたものなどを適用することができる。
【0046】
図2(A)に示すように、Y方向に隣接する前記素子分離溝4同士の間の領域には、素子分離溝4よりも浅いチャネル溝12が形成されている。また、チャネル溝12の内面及びチャネル溝12に隣接する素子分離溝4の上面に亘り、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜7Aが形成されている。また、該ゲート絶縁膜7A上に窒化チタンなどからなる内面層8を介して素子分離用の埋込配線13が形成されている。また、埋込配線13の上にライナー膜10と埋込絶縁膜11が積層されている。これらの図2(A)に示すライナー膜10と埋込絶縁膜11は、図2(B)に示す埋込ワード線9の上に形成されているライナー膜10と埋込絶縁膜11と、後述する製造方法において同じ膜を用いて同時に形成された膜である。
【0047】
また、素子分離用の埋込配線13は、埋込ワード線9と同時に形成された膜である。素子分離用の埋込配線13は、ライン状に形成された活性領域において、隣接する各々のトランジスタを構成するソース領域およびドレイン領域(図1に示した素子分離用の埋込配線13の両側に形成される不純物拡散層領域)を電気的に分離する機能を有するものである。従来、絶縁膜で埋め込み形成する素子分離領域で囲まれた活性領域孤立パターンとして形成されるが、リソグラフィの解像度が不足し、活性領域の端部に形成されるソース/ドレイン領域を所望の形状に形成できなくなる問題があったが、本実施例の構成では、ライン状のパターンとして活性領域を形成できるので上記の問題を回避できる。
【0048】
また、図1、図2(B)に示すように、埋込ワード線9はY方向に延在しつつX方向に複数離間した状態で形成されているが、本実施形態の半導体記憶装置1の構造では、図2(B)に示すように、2本の埋込ワード線9と1本の素子分離用の埋込配線13がこの順で交互にX方向に配列されている。
【0049】
また、図1に示すように、ビット配線15が、前記埋込ワード線9と埋込配線13に対し直交する方向に配列形成されている。また、各ビット配線15の下方に位置する活性領域Kの部分にビット配線接続領域16が区画されている。また、図1に示すように、配線構造を平面視した場合に、X方向に隣接する前記埋込ワード線9と素子分離用の埋込配線13との間の領域であって、Y方向に隣接するビット配線15、15間の領域に容量コンタクトプラグ形成領域17が区画されている。また、容量コンタクトパッド18が容量コンタクトプラグ形成領域17に対し、図1に示すY方向に沿って互い違いの位置に配列形成されている。これらの容量コンタクトパッド18は、図1のX方向に沿ってY方向に隣接するビット配線15、15間に配置されているが、Y方向に沿って1つおきに埋込ワード線9上にその中心部を配置するか、Y方向に沿って1つおきに埋込ワード線9の側方上方にその中心部を配置するかの、いずれかの位置を繰り返すように互い違いに、換言するとY方向に千鳥状に配置されている。
【0050】
また、容量コンタクトプラグ形成領域17に形成される容量コンタクトプラグ19は、この実施形態では図1に示す如く矩形状に形成されているが、その一部分を各埋込ワード線9の上に位置させ、他の部分を隣接するビット配線15、15の間の領域であって埋込ワード線9と素子分離用の埋込配線13との間の上方に位置させて配置され、個々に後述するキャパシタ47に接続されている。
【0051】
また、図1において、容量コンタクトプラグ形成領域17は、平面視において、埋込ワード線9の一部と、STI領域の一部と、活性領域Kの一部に跨っている。したがって、容量コンタクトプラグ19は平面視において、埋込ワード線9の一部と、STI領域の一部と、活性領域Kの一部に跨って形成されている。
【0052】
次いで、図2(A)、(B)をもとに、セルトランジスタ形成領域2について更に説明すると、図2(B)に示す如くX方向に隣接する埋込ワード線9、9の間に位置する半導体基板5の表面側であって前記活性領域Kに相当する領域に、深い方から順に不純物低濃度拡散層21と不純物高濃度拡散層22が形成されている。また、X方向に隣接する埋込ワード線9と素子分離用の埋込配線13の間に位置する半導体基板5の表面側であって前記活性領域Kに相当する領域に深い方から順に不純物低濃度拡散層23と不純物高濃度拡散層24が形成されている。
【0053】
また、図2(A)に示す領域では埋込絶縁膜11の上を覆うように、図2(B)に示す領域では半導体基板5の表面上、即ち、不純物高濃度拡散層22、24の上と、埋込ワード線9とライナー層10と埋込絶縁膜11を形成したゲート電極溝7の上を覆うように第1の層間絶縁膜26が形成されている。
【0054】
また、第1の層間絶縁膜26に対し、図2(B)のX方向に隣接するゲート電極溝7同士の間の領域にコンタクトホール28が形成されている。図1に示すように、第1の層間絶縁膜26上に埋込ワード線9と直交する方向に延在するビット配線15が形成されているが、これらのビット配線15は前記コンタクトホール28の部分において、コンタクトホール28の底部側にまで延出形成されており、不純物高濃度拡散層22に接続されている。従って、コンタクトホール28が形成されている領域においてビット配線15が存在する部分であって、その下に不純物高濃度拡散層22が存在する領域がビット配線接続領域16とされる。
【0055】
また、前記ビット配線15は、不純物ドープ型のポリシリコンからなる底部導電膜30とタングステンなどの高融点金属からなる金属膜31とシリコン窒化膜などの上部絶縁膜32からなる3層構造とされている。また、図2(B)に示すように、シリコン窒化膜などからなる絶縁膜33とライナー膜34とが、ビット配線15の幅方向両側、及び、図2(A)に示す第1の層間絶縁膜26の上にはビット配線15の幅方向両側に位置するようにそれぞれ形成されている。
【0056】
また、図1に示すY方向に隣接するビット配線15同士の間の領域であって、埋込ワード線9の上方領域と埋込ワード線9に隣接する素子分離用の埋込配線13との間の領域にかけて、平面視矩形状の容量コンタクト開口36が形成されている。また、容量コンタクトプラグ19が、容量コンタクト開口36の内側に、シリコン窒化膜などの側壁37に囲まれて形成されている。このため、容量コンタクト開口36が形成されている部分が容量コンタクトプラグ形成領域17に対応する。また、容量コンタクトプラグ19は、図2(B)に示すように、ポリシリコンなどからなる底部導電膜40とCoSiなどからなるシリサイド層41とタングステンなどの金属膜42からなる3層構造とされている。また、ビット配線15と容量コンタクトプラグ19は、半導体基板5上において、同一高さに形成され、その他の領域においてはビット配線15と容量コンタクトプラグ19に対し同一高さになるように埋込絶縁膜43が形成されている。
【0057】
次に、図2(A)、(B)に示すように、キャパシタ形成領域3においては、各容量コンタクトパッド18が容量コンタクトプラグ19の上に、図1において平面視一部重なるように互い違いに形成されている。また、各容量コンタクトパッド18はストッパー膜45により覆われるとともに、ストッパー膜45の上に第3の層間絶縁膜46が形成されていている。また、キャパシタ47が、第3の層間絶縁膜46の内部であって、前記容量コンタクトパッド18上に位置するように形成されている。
【0058】
キャパシタ47は、容量コンタクトパッド18の上に形成された円筒型の下部電極47Aと、下部電極47Aの内面から第3の層間絶縁膜46の上に延出形成されている容量絶縁膜47Bと、容量絶縁膜47Bの内側において下部電極47Aの内部側を埋めるとともに容量絶縁膜47Bの上面側にまで延出形成された上部電極47Cと、から構成されている。
また、第4の層間絶縁膜48が上部電極47Cの上を覆うように形成されている。また、上部金属配線49が第4の層間絶縁膜48の上に形成され、上部金属配線49と第4の層間絶縁膜48を覆うように保護膜54が形成されている。なお、キャパシタ47の構造は、一例であって、この実施形態の構造の他、クラウン型などのような半導体記憶装置に一般的に適用されている他のキャパシタ構造を適用してもかまわない。
【0059】
次いで、図1と図2に示す半導体記憶装置1の製造方法の一例について、図3〜図23に基づいて説明する。なお、図3〜図23において、それぞれの図の(A)は図1のA−A‘線に沿う部分の断面構造を示し、それぞれの図の(B)は図1のB−B’線に沿う部分の断面構造を示す。
【0060】
はじめに、図3(A)、(B)に示すように、P型のSi基板などの半導体基板50上に、シリコン酸化膜51とマスク用のシリコン窒化膜(Si膜)52を順次積層する。
次いで、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて、シリコン酸化膜51、シリコン窒化膜52、および半導体基板50のパターニングを行い、活性領域Kを区画するための素子分離溝(トレンチ)53を形成する。素子分離溝53は、例えば半導体基板50を平面視した場合に、図1の帯状の活性領域Kの両側を挟むように第1の方向に延在するライン状のパターン溝として形成される。活性領域Kとなる領域はシリコン窒化膜52で覆われている。
【0061】
次に、図4(A)、(B)に示すように半導体基板50の表面にシリコン酸化膜55を形成する。この後、シリコン窒化膜を素子分離溝53の内部を充填するように堆積してエッチバックを行い、半導体基板50の上面より若干低い位置まで充填された素子分離絶縁膜56を形成する。次に、CVD法によって、シリコン酸化膜57を素子分離溝53の内部を充填するように堆積し、シリコン窒化膜52が露出するまでCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行い、図5(A)、(B)に示すように表面を平坦化する。
【0062】
次に、図6(A)、(B)に示すように素子分離領域58を形成する。まず、ウエットエッチングによって、シリコン窒化膜52およびシリコン酸化膜51を除去し、素子分離溝53(シリコン酸化膜57)の表面をシリコン基板50表面の位置と概略同等になるようにする。これによりSTI(Shallow Trench Isolation)構造を用いた、ライン状の素子分離領域58が形成される。素子分離領域58を形成することによって、複数の活性領域Kは絶縁分離される。その後、熱酸化により半導体基板50の表面にシリコン酸化膜60を形成する。この後、低濃度のN型不純物(リン等)をイオン注入し、N型の低濃度不純物拡散層61を形成する。このN型の低濃度不純物拡散層61は本願のリセス型トランジスタのS・D領域の一部(ソース・ドレイン領域の一部)として機能する。
【0063】
次いで、図7(A)、(B)に示すように、マスク用のシリコン窒化膜62および、カーボン膜(アモルファス・カーボン膜)63を順次堆積し、ゲート電極溝(トレンチ)形成用のパターンにパターニングする。
次いで、図8(A)、(B)に示すように半導体基板50をエッチングし、トレンチ(ゲート電極溝)65を形成する。これらのトレンチ65は、活性領域Kと交差する第2の方向(図1のY方向)に延在するライン状のパターンとして形成される。この時、素子分離領域58と接するトレンチ65の側面部分66には、薄膜状のシリコンがサイドウォール66として残存し、リセス型のセルトランジスタのチャネル領域として機能する。
【0064】
次に、図9(A)、(B)に示すようにシリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜67を形成する。この後に、窒化チタン(TiN)からなる内面層68とタングステン(W)層69を順次堆積する。次に、エッチバックを行い、トレンチ65の下部内側に窒化チタン層68およびタングステン膜69を残存させる。これにより図10(A)、(B)に示すようにゲート電極を一部兼ねる構造の埋込ワード線70と、素子分離用の埋込配線73が形成される。
次いで、図11(A)、(B)に示すように、残存したタングステン層69上およびトレンチ65の内壁を覆うように、シリコン窒化膜(Si)等からなる10nm程度の膜厚のライナー膜71を形成する。次いで、CVD法によりライナー膜71上に埋込絶縁膜72を堆積する。
【0065】
次にCMP処理を行い、図12(A)、(B)に示すようにライナー膜71が露出するまで表面を平坦化する。次いで、エッチングによってマスク用のシリコン窒化膜および、埋込絶縁膜72とライナー膜71の一部を除去し、埋込絶縁膜72の表面を、半導体基板50のシリコン表面と概略同程度の高さにする。これにより、ゲート電極溝65の外方の半導体基板50の一面とゲート電極溝65上部のライナー膜71が露出される。以上により、埋込ワード線70および素子分離用の埋込配線73が形成され、ゲート電極溝65の上部内側のライナー膜71上に埋込絶縁膜74が形成される。
【0066】
次に、図13(A)、(B)に示すように半導体基板50上を覆うように、シリコン酸化膜等からなる第1の層間絶縁膜75を形成する。この後に、第1の層間絶縁膜75の一部を除去し、ビットコンタクト開口76を形成する。ビットコンタクト開口76は、埋込ワード線70と同じ方向(図1のY方向、図13では埋込ワード線70及び埋込配線73の延在方向)に延在するライン状の開口パターンとして形成される。これにより、ビットコンタクト開口76のパターンと活性領域Kの交差した部分では、半導体基板50のシリコン表面が露出する。次いで、N型不純物(ヒ素等)をイオン注入し、半導体基板50のシリコン表面近傍にN型不純物高濃度拡散層77を形成する。N型不純物高濃度拡散層77は、リセス型のセルトランジスタのソース・ドレイン領域として機能する。
【0067】
次に、図14(A)、(B)に示すように、半導体基板50上にN型の不純物(リン等)を含有したポリシリコン膜からなる底部導電膜78、および、タングステン膜などの金属膜79、シリコン窒化膜(絶縁膜)80を順次堆積する。次に、図15(A)、(B)に示すように底部導電膜78、金属膜79、シリコン窒化膜80の積層膜をライン形状にパターニングすることでビット配線81を形成する。ビット配線81は、埋込ワード線70と交差する方向(図1に示す構造説明の場合のX方向)に延在するパターンとして形成される。ビットコンタクト開口76内で露出しているシリコンからなる半導体基板50の表面部分で、ビット配線81の下層の底部導電膜78と半導体基板50の表面のN型不純物高濃度拡散層77(ソース・ドレイン領域の一方)とが接続する。
【0068】
次に、図16(A)、(B)に示すように、ビット配線81の側面を覆うシリコン窒化膜82を形成した後に、その上面を覆うようにシリコン窒化膜等からなるライナー膜83を形成する。
次に、図17(A)、(B)に示すように、ビット配線81、81間のスペース部81Aを充填するように堆積膜85を形成する。次いで、ライナー膜83の上面が露出するまでCMP処理を行って平坦化した後に、堆積膜85の表面を覆うように第2の層間絶縁膜86を形成する。
【0069】
次に、図18(A)、(B)に示すように、容量コンタクトプラグ形成領域17に対応する位置に容量コンタクト開口87を形成する。これにより、容量コンタクト開口87と活性領域Kの交差している部分で半導体基板50の表面が露出する。次に、容量コンタクト開口87の内壁を覆うように、シリコン窒化膜でサイドウォール(SW)88を形成する。次いで、N型不純物(リン等)を半導体基板50の表面にイオン注入し、半導体基板50の表面近傍にN型不純物高濃度拡散層90を形成する。ここで形成したN型不純物高濃度拡散層90は、本実施形態のリセス型のトランジスタにおいてソース・ドレイン領域として機能する。
【0070】
次に、図19(A)、(B)に示すように底部導電膜91を形成する。この後に、底部導電膜91の表面にコバルトシリサイド(CoSi)等のシリサイド層92を形成し、容量コンタクト開口87内を充填するようにタングステンなどの金属膜93を堆積する。これにより、3層構造の容量コンタクトプラグ95が形成される。
【0071】
次に、窒化タングステン(WN)およびタングステン(W)を順次堆積した積層膜を形成してパターニングすることにより、図20(A)、(B)に示すように容量コンタクトプラグ95と接続する容量コンタクトパッド96を形成する。次に、図21(A)、(B)に示すように容量コンタクトパッド96上を覆うように、シリコン窒化膜をからなるストッパー膜97と第3の層間絶縁膜98を順次積層する。層間絶縁膜98は、1000〜1500nmの厚さで形成する。
【0072】
次いで図22(A)、(B)に示すように、容量コンタクトパッド96の上面を露出させるように、第3の層間絶縁膜98およびストッパー膜97を貫通する深孔99を形成した後に、深孔99の内壁を覆うように窒化チタン等でキャパシタ素子の下部電極(第一の電極)100を形成する。下部電極100の底部は容量コンタクトパッド96と接続している。前述の層間絶縁膜98を1000〜1500nmの厚さで形成しているので、深孔99の深さも同じ1000〜1500nmとなる。深孔99の幅(直径)は50nmとする。したがって、深孔99のアスペクト比(深さ/幅)は20〜30となる。本発明は、このような大きなアスペクト比を有する開口(深孔)に対してより大きな効果を発揮する。深孔99の幅が40nmの場合には、層間絶縁膜98の厚さは800〜1200nmの範囲で形成される。アスペクト比が20より小さい場合は半導体記憶素子として必要なキャパシタ容量を得るのが困難となり、アスペクト比が30を超えると異方性ドライエッチング法により形成する深孔のエッチング加工形成自体が困難となる。
【0073】
次に、図23(A)、(B)に示すようにキャパシタ103を形成する。キャパシタ103を形成する工程は、第一の電極100を形成する工程と、第一の電極100の表面を覆うように二種類以上の金属元素を含有する容量絶縁膜101を形成する工程と、容量絶縁膜101を覆うように窒化チタン等からなる上部電極(第二の電極)102を形成する工程と、から概略構成されている。
【0074】
容量絶縁膜101を形成する工程は、金属元素を含有する各々の前駆体の被覆特性が一致する条件で行なう。すなわち、各々の前駆体が第1の電極100の表面を覆う被覆率の前駆体供給時間依存性が同じとなるように調整された供給条件を用いて各々の前駆体を同時に半導体基板表面に供給するALD法により容量絶縁膜101を形成する工程を含んで構成されている。
【0075】
以下、ALD法により容量絶縁膜101を形成する工程についてその詳細を説明する。ここでは、一例としてZrAlO膜からなるALD膜を形成する方法について説明する。Alの前駆体にはTMAを用い、Zrの前駆体にはTEMAZを用いる。
【0076】
まず、前述の工程で下部電極100が形成された半導体基板50をALD成膜装置内の反応室にセットした後、反応室を一旦真空排気し、半導体基板50が220℃で安定するまで予備加熱する。なお、この成膜装置は、ALD法で金属化合物膜の成膜を行うことができる反応室、及び、酸化剤と原料ガス(前駆体)を導入できるガス供給系を備えている。
【0077】
(第1のALDフローシーケンス)
温度が安定した状態で、図30(A)に示す第1のALDフローシーケンスに基づいて各処理ステップを実施する。
最初に、(1)前駆体同時供給ステップを実施する。時間t0において、Alの前駆体となるTMAおよびZrの前駆体となるTEMAZを同時に供給する。同時供給においては、各々の前駆体の供給量を被覆特性が一致する条件、すなわちTMAの供給量に対してTEMAZの供給量が2.5〜3.5倍の範囲、好ましくは3倍となる条件に設定する。本実施例では、TMA供給量0.2slm、TEMAZ供給量0.6slmとした。各々の前駆体のキャリヤガスの流量は1〜5slmの範囲で調整可能であるが、ここでは各々2slmとした。反応室内の全圧力は100Paとした。前述のように、各々のキャリヤガスの流量や反応室内の全圧力はTMAおよびTEMAZの被覆特性には影響しない。TMAおよびTEMAZ供給時間は30秒とした。図29(A)に示されているように、上記供給条件では、前駆体供給時間10秒で、TMA、TEMAZ共に被覆率が100%となっているが、本実施例では充分な余裕を考慮して30秒とした。これにより、第1の電極100の表面を含む半導体基板表面全体にTMAとTEMAZが混在する1分子吸着層を形成した。
【0078】
次に、(2)前駆体排気ステップ(真空引きパージステップ)を実施する。前駆体同時供給時間が30秒経過したt1において、TMA,TEMAZの供給を停止すると共に、反応室を真空排気しつつ窒素ガスを供給して反応室内に残留する各々の前駆体をパージした。時間は10秒とした。
【0079】
次に、(3)酸化剤(オゾン:O)供給ステップを実施する。前駆体排気時間が10秒経過したt2において、オゾンを1slm、30秒間供給した。反応室内の圧力は150Paとした。これによって、既に半導体基板表面に吸着しているTMAおよびTEMAZは酸化され、AlOとZrOが混在する1分子層のZrAlO層を形成した。
【0080】
次に、(4)酸化剤排気ステップ(真空引きパージステップ)を実施する。オゾン供給時間が30秒経過したt3において、オゾンの供給を停止すると共に、反応室を真空排気しつつ窒素ガスを供給して反応室内に残留するオゾンをパージした。時間は10秒とした。
【0081】
上記(1)〜(4)のステップを第1基本サイクルとして所望のZrAlO膜厚となるまで繰り返し成膜する。一例として、ZrAlO膜厚が10nmのサンプルを作成し、深孔内に形成されたZrAlO膜のZr/Al比をTEM−EDXにより調べた。その結果を図31に示す。深さ3μmの位置までZr/Al比が1.7で一定しており、深さ方向にZr/Al比が変化することなく、同じ組成のZrAlO膜が深孔内に形成されていることが確認された。すなわち、TMAとTEMAZを前駆体とする同時供給ALD成膜法において、各々の前駆体の被覆特性を一致させたALD法を用いて成膜を行なうことにより、深孔の中に形成されるZrAlO膜のZr/Al比を深さ方向に一定に保持した状態でZrAlO膜を形成することができる。したがって、組成の違いに起因するリーク電流や誘電率のばらつきを抑制することができる。
【0082】
なお、上記条件における成膜速度は、0.125nm/サイクルであり、第1基本サイクルを48回繰り返すと、厚さ6nmのZrAlO膜を形成することができる。
【0083】
(第2のALDフローシーケンス)
図30(B)は、上記第1のALDフローシーケンスで説明した、TMAとTEMAZを同時に供給する第1および第3のサイクルの間にTEMAZだけを供給する第2サイクルを挿入する第2ALDフローシーケンスを示している。すなわち、TMAとTEMAZを同時供給する第1基本サイクルとTEMAZのみを供給する第2基本サイクルとを組み合わせせて第3の基本サイクルとし、第3の基本サイクルを所望のZrAlO膜厚となるまで繰り返す方法である。第3サイクルは第1基本サイクルと同じである。第1基本サイクルは、前述の第1ALDフローシーケンスの条件と同じであり、第2基本サイクルは第1ALDフローシーケンスにおいてTMAを供給しない設定とすることで実施することができる。図30(B)には、第2基本サイクルが1回のみ行なわれる例が記載されているが、これに限定されるものではなく、第2基本サイクルを複数回繰り返した後、第3サイクルをおこなうこともできる。このようなALDフローシーケンスとすることにより、深孔内に形成されるZrAlO膜の深さ方向におけるZr/Al比を一定に保持した状態でZrALD膜中のAl濃度を充分低い値まで制御することが可能となる。
【0084】
例えば、図31に示したように、第1ALDフローシーケンスでZrAlO膜を形成した場合のZr/Al比は1.7となっている。これは形成されたZrAlO膜全体の中で63%がZrOで占められ、37%がAlOで占められていることを示している。
図30(B)に示した第2ALDフローシーケンスでは、第1基本サイクルと第2サイクルは各々1回ずつ繰り返される。第1基本サイクルでは37%のAlOと63%のZrOが形成され、第2基本サイクルでは100%のZrOが形成される。したがって、形成されたZrAlO膜中のAlOは37/200で18.5%となる。さらに、第2ALDフローシーケンスにおいて、第1基本サイクルを1回行なった後、TMAを供給しない第2基本サイクルを4回連続で行なう組み合わせを第3基本サイクルとしてZrAlO膜を形成すると、この場合、AlOの占める割合は第1サイクルで形成された37%分だけであるが、4回の第2基本サイクルでは全て100%のZrOとなる。したがって、ZrAlO膜全体の中でAlOは37/500で7.4%となる。同様に、第2基本サイクルを6回連続する第3基本サイクルではZrAlO膜全体の中でAlOの占める割合が5.3%、第2基本サイクルを7回連続する第3基本サイクルでは4.6%となる。
第2ALDフローシーケンスを用いて、AlOの占める割合が5%となる厚さ6nmのZrAlO膜を形成するには、第1基本サイクルを1回と第2基本サイクルを6回連続して繰り返す第3基本サイクルを7回繰り返えせば良い。膜厚は6.1nmとなる。
【0085】
従来技術として、図34(B)に記載したような、ALOとZrOを交互に積層するALDフローシーケンスではZrAlO膜中のAlOの濃度を5%程度とするのに高々1回しかAlO膜を形成できず、制御性が極めて悪い結果となる。しかし、第2ALDフローシーケンスを用いた場合、AlOの濃度を5%とするためには7回に1回、もしくは8回に1回の割合で同時供給サイクルを導入すれば良い。これにより、深孔内のZr/Al比を一定に保持したまま制御性を向上させると共に生産性を著しく向上させることができる。
【0086】
図32は、図30(A)に示した第1ALDフローシーケンスに変更を加えた第3ALDフローシーケンスを示している。すなわち、TMAとTEMAZの同時供給ステップにおいて、TMAとTEMAZを時間t0で同時に供給するのではなく、TMAをt0からやや遅れたtx時間から供給を開始するものである。TEMAZを先に供給し始めた後、供給開始時間を遅らせてTMAを供給する。供給停止時間はt1で同じとする。供給開始時間の遅れΔtは1〜5秒とする。このように、同時供給ステップにおいて、TMAの供給時間に遅れΔtを設けることにより、図30(A)の第1ALDフローシーケンスよりAlOの濃度をさらに低減することができる。また、図30(B)の第2のALDフローシーケンスと図32の第3のALDフローシーケンスを組み合わせることにより、さらに制御性良く、ZrAlO膜中のAlO含有量を低濃度にすることができる。
【0087】
発明者の実験結果によれば、ZrAlO膜のリーク電流低減と誘電率向上を達成できるZrAlO膜中のAlO濃度は3〜6%の範囲、好ましくは4〜5%の範囲であることが明らかとなっている。3%より小さい場合はリーク電流が増大し、6%を超える場合は誘電率が低下して大きなキャパシタ容量が得られなくなる。
上述の、第2ALDフローシーケンス、あるいは第2ALDフローシーケンスと第3ALDフローシーケンスの組み合わせを用いることにより、ZrAlO膜中のAlO濃度を3〜6%の範囲に保持することができる。
【0088】
再び図23の説明に戻って、容量絶縁膜101上を覆うように上部電極(第二の電極)102を形成することにより、キャパシタ103が形成される。
【0089】
次に、図24(A)、(B)に示すように上部電極102を覆うようにシリコン酸化膜等で第4の層間絶縁膜105を形成したのちに、上部金属配線106をアルミニウム(Al)や銅(Cu)等で形成する。この後に表面の保護膜107を形成することにより、図1、図2に示す構造の半導体記憶装置(DRAM)1と同等構造の半導体記憶装置110が完成する。
図25に、以上説明した製造方法により得られた半導体記憶装置110の配線構造についての平面構造を示す。図25に示す配線構造においては、図1に示した配線構造において記載を略していたビット配線両側の絶縁膜82とライナー膜83を表示している。
【0090】
本実施形態の半導体記憶装置110の製造方法によれば、複数の前駆体の第一の電極100表面における被覆率の供給時間依存性、すなわち被覆特性が同じとなるように調整された条件で複数の前駆体を同時に供給するようにしている。また、各ソースガスの流量と1サイクル当たりの膜厚飽和時間との関係を予め求めて、各ALD膜の膜厚が飽和するのに要する時間を一定とするように調整するとともに、各ソースガスを同時にかつ各ALD膜の膜厚飽和時間が揃う流量で、前記膜厚飽和時間以上の長さで第一の電極100に供給することにより、各ALD膜の成膜に十分な量の各ソースガスを、それぞれ同時に第一の電極全体に供給できる。このため、第一の電極100がトレンチ(深孔)を有する立体構造であっても、第一の電極100の深孔の底部に各ソースガスが十分に供給されるまでの時間(膜厚飽和時間)を等しくできる。このため、第一の電極の深孔の底部および他の領域全体に、均一な組成のALD膜からなる容量絶縁膜を形成できる。このため、リーク電流の発生を抑制し、リフレッシュ特性に優れた半導体記憶装置を形成することができる。このため、第一の電極100表面全体に、各金属元素の組成比の等しいALD膜からなる容量絶縁膜101を形成できる。
【0091】
また、各ソースガスを同時にかつ各ALD膜の膜厚飽和時間が揃う流量で供給するため、最も膜厚飽和時間の長いソースガスに合わせて、ソースガス全体の供給時間を決定する必要がない。このため、複数のソースガスを用いたALD膜形成におけるソースガスの供給時間を短縮できる。このため、均一な組成のALD膜を、立体構造を有する第一の電極100上に短時間で形成することができる。このため、半導体記憶装置1形成工程を短縮化できる。
【0092】
次いで、図26(A)、(B)に、図1、図2を基に先に説明した実施形態のリセスチャネル型のセルトランジスタを備えた半導体記憶装置1に代えて、サドルフィン型のセルトランジスタを備えた半導体記憶装置111の一例を示す。この半導体記憶装置111は、先の形態の半導体記憶装置1に対し、セルトランジスタの部分のみが異なり、その他の部分の構造は先に説明した半導体記憶装置1と同等であるため、先に説明した半導体記憶装置1と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0093】
図26(A)は図1に示す半導体記憶装置1におけるA−A’線と同等位置を断面視した図、図26(B)は図1に示す半導体記憶装置1におけるB−B’線と同等位置を断面視した図であり、本実施形態の半導体記憶装置111は、図26(A)、(B)の断面構造に示すトランジスタ形成領域2Aとキャパシタ形成領域3とから概略構成されている。
【0094】
本実施形態の半導体記憶装置111は、素子分離溝4の上に重なるように埋込配線13Aに下向きの突型電極13aが形成され、図26(A)のY方向に隣接する突型電極1313aの間に位置する半導体基板表面部分の凸部5A部分がチャネル領域となるように形成されている点が先の実施形態の半導体記憶装置1のセルトランジスタ構造と異なっている。
【0095】
次いで、半導体記憶装置111の製造方法について説明する。
図27(A)、(B)と図28(A)、(B)は、本実施形態のサドルフィン型のセルトランジスタを製造する工程を説明するための図である。
【0096】
本実施形態の半導体記憶装置111の製造方法は、先の実施形態の半導体記憶装置1と同様に図3〜図7を基に説明した方法に従い、図7に示す如く半導体基板50上にマスク用のシリコン窒化膜62および、カーボン膜(アモルファス・カーボン膜)63を順次堆積し、図7に示す如くゲート電極溝(トレンチ)形成用のパターンにパターニングした後、ドライエッチングによって半導体基板50を図27(A)、(B)に示す如くエッチングし、トレンチ(ゲート電極溝)115を形成する。これらのトレンチ115は、先の実施形態と同様、活性領域Kと交差する所定の方向(図1のY方向)に延在するライン状のパターンとして形成される。
【0097】
このエッチングの際に、先の実施形態では図8に示す如く素子分離溝の領域よりも半導体基板のシリコン膜側をより深くエッチングしたのに対し、本実施形態では逆に、半導体基板50のトレンチ115側よりも素子分離溝53側の部分を深くエッチングすることにより半導体基板50に凸部50Aを形成することができる、この凸部50Aの部分をセルトランジスタのチャネル領域とすることができる。
【0098】
この後、先の実施形態において図9において説明した工程と同様、ゲート絶縁膜67と窒化チタン膜68とタングステン膜69を成膜し、エッチバックを行うと、図28(A)、(B)に示すトレンチ(ゲート電極溝)115内に埋込ワード線116あるいは埋込配線117を形成することができる。この後、図28(A)、(B)の状態から先の実施形態の場合と同様、図11以降の工程を順次施すことにより、図26(A)、(B)に示す断面構造の半導体記憶装置111を製造することができる。
【0099】
本実施形態のサドルフィン型のセルトランジスタを備えた半導体記憶装置111の製造方法は、半導体基板50のトレンチ115側よりも素子分離溝53側の部分を深くエッチングすることが先の実施形態の半導体記憶装置1の製造方法と異なる。その他の製造方法は先の実施形態において説明した半導体記憶装置1と同様であり、同等の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0100】
K…活性領域、1…半導体記憶装置、2…トランジスタ形成領域、3、3A…キャパシタ形成領域、4…素子分離溝、5…半導体基板、5A、50A…チャネル領域、6、56…素子分離絶縁膜、7…トレンチ(ゲート電極溝)、7A…ゲート絶縁膜、9…埋込ワード線、10…ライナー膜、11…埋込絶縁膜、12…チャネル溝、13…埋込配線、15…ビット配線、16…ビット配線接続領域、17…容量コンタクトプラグ形成領域、18…容量コンタクトパッド、19…容量コンタクトプラグ、21、23…不純物低濃度拡散層、22、24…不純物高濃度拡散層、26…第1の層間絶縁膜、28…コンタクトホール、30…底部導電膜、31…金属膜、32…上部絶縁膜、33…絶縁膜、34…ライナー膜、36…容量コンタクト開口、40……底部導電膜、41…シリサイド層、42…金属膜、45…ストッパー膜、46…第3の層間絶縁膜、47…キャパシタ、47A…下部電極、47B…容量絶縁膜、47C…上部電極、50…半導体基板、53…素子分離溝、54…保護膜、58…素子分離領域、65…トレンチ(ゲート電極溝)、67…ゲート絶縁膜、70…埋込ワード線、71…ライナー膜、72、74…埋込絶縁膜、76…ビットコンタクト開口、77…不純物高濃度拡散層、78…底部導電膜(ポリシリコン膜)、79…金属膜、80…絶縁膜(シリコン窒化膜)、81…ビット配線、82…シリコン窒化膜、87…容量コンタクト開口、88…サイドウオール、90…不純物高濃度拡散層、91…底部導電膜(ポリシリコン膜)、92…シリサイド層、93…金属膜、95…容量コンタクトプラグ、96…容量コンタクトパッド、103…キャパシタ、110、111…半導体記憶装置、115…トレンチ(ゲート電極溝)、116…埋込ワード線、117…埋込配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、下部電極、上部電極、および下部電極と上部電極に挟まれる容量絶縁膜からなるキャパシタを有する半導体記憶装置の製造方法において、
(1)前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(2)前記層間絶縁膜に複数の深孔を形成する工程と、
(3)前記深孔の内面に窒化チタンからなる下部電極を形成する工程と、
(4)前記下部電極の表面および前記層間絶縁膜の表面に、少なくとも下記(4−1)〜(4−7)の工程を含むALD法により容量絶縁膜を形成する工程と、
(4−1)前記下部電極が形成された前記半導体基板を反応室にセットする工程、
(4−2)前記反応室にセットされた前記半導体基板を220℃に加熱保持する工程、
(4−3)Alの前駆体とZrの前駆体の前記下部電極に対する各々の被覆特性が一致する条件で、前記Alの前駆体と前記Zrの前駆体を反応室内に供給する工程、
(4−4)前記Alの前駆体と前記Zrの前駆体を反応室から真空排気する第1の真空排気工程、
(4−5)前記第1の真空排気工程の後、酸化剤を反応室に供給する工程、
(4−6)前記酸化剤を前記反応室から真空排気する第2の真空排気工程、
(4−7)前記(4−3)〜(4−6)の工程を第1基本サイクルとして繰り返すALDフローシーケンスによりZrAlO膜を形成する工程、
(5)前記ZrAlO膜上に窒化チタンからなる上部電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。
【請求項2】
前記被覆特性は、前記Alの前駆体および前記Zrの前駆体の各々が前記下部電極表面を被覆する被覆率に対する各々の前駆体の供給時間依存性であることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項3】
前記被覆特性を一致させる条件は、前記反応室に供給する前記Alの前駆体の供給量に対して前記Zrの前駆体の供給量を2.5〜3.5倍とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
前記(4−3)工程において、前記Alの前駆体と前記Zrの前駆体を反応室内に供給タイミングが同時であることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
前記(4−3)工程において、前記Alの前駆体と前記Zrの前駆体を反応室内に供給タイミングは、前記Zrの前駆体の供給に対し前記Alの前駆体の供給が遅延時間を有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1基本サイクルの後に連続して、さらに下記(6−1)〜(6−4)の工程からなる第2基本サイクルを有し、
(6−1)前記Zrの前駆体を反応室内に供給する工程、
(6−2)前記Zrの前駆体を反応室から真空排気する第3の真空排気工程、
(6−3)前記第3の真空排気工程の後、酸化剤を反応室に供給する工程、
(6−4)前記酸化剤を前記反応室から真空排気する第4の真空排気工程、
前記第1基本サイクルと前記第2基本サイクルとを組み合わせた第3の基本サイクルを繰り返すALDフローシーケンスによりZrAlO膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2の基本サイクルを複数回連続して繰り返すことを特徴とする請求項6に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記ZrAlO膜中のAlO濃度は3〜6%であることを特徴とする請求項7に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記Alの前駆体としてトリメチルアルミニウムおよび前記Zrの前駆体としてテトラキスエチルメチルアミノジルコニウムを用いることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記(1)工程の前に
基板の表層に第1の方向に延在する複数の素子分離溝を形成し、これら素子分離溝に素子分離絶縁膜を埋め込むことによって複数の素子分離領域と、これら複数の素子分離領域によって絶縁分離された複数の活性領域とを形成する工程と、
前記半導体基板の一面に、前記素子分離領域及び活性領域と交差する第2の方向に延在する複数のゲート電極溝を隣接形成する工程と、
前記ゲート電極溝の内壁にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート電極溝の下部内側の前記ゲート絶縁膜上に埋込ワード線を形成する工程と、
前記ゲート電極溝内の埋込ワード線上に埋込絶縁膜を形成する工程と、
前記埋込絶縁膜及び前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
エッチングにより前記層間絶縁膜に、前記埋込絶縁膜及び前記埋込絶縁膜に隣接す
る前記半導体基板表面に達するコンタクト開口を形成する工程と、
前記コンタクト開口を介して前記半導体基板表面に接続するビット配線および/または容量コンタクトプラグを形成する工程と、を具備してなることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
前記ゲート電極溝を形成する工程において、
前記半導体基板よりも前記素子分離絶縁領域を深くエッチングすることにより、前記半導体基板に、セルトランジスタのチャネル領域用の凸部を形成することを特徴とする請求項10に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
前記ゲート電極溝を形成する前記半導体基板一面に不純物イオンを打ち込みして低濃度不純物拡散層を形成する工程と、
前記コンタクト開口を介して前記半導体基板一面に不純物イオンを注入して高濃度不純物拡散層を形成する工程により、半導体基板一面にその表面側から順に高濃度不純物拡散層と低濃度不純物拡散層を形成することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項13】
前記ゲート電極溝の下部内側に前記埋込ワード線を形成する工程と、
前記埋込ワード線上及び前記ゲート電極溝の上部内側の前記ゲート絶縁膜上にライナー膜を形成した後、前記ゲート電極溝の上部内側の前記ライナー膜上に前記埋込絶縁膜を形成することを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項14】
前記埋込絶縁膜を、前記ゲート電極溝を埋めるよりも厚く前記半導体基板上に形成する工程と、
前記半導体基板上の前記埋込絶縁膜を除去して前記ゲート電極溝の外方の前記半導体基板一面と前記ゲート電極溝上部の前記ライナー膜を露出させることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一項に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項15】
前記ビット配線を前記注入ポリシリコン膜からなる底部導電膜と金属膜と絶縁膜を備えた複層構造とすることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−124322(P2012−124322A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273749(P2010−273749)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】