説明

半導体集積回路および半導体集積回路の製造方法

【課題】効率のよいエッチングを行うことを可能とする。
【解決手段】ゲート配線3および抵抗配線6の一部をそれぞれ露出させるコンタクトホール10,11を含む。コンタクトホール10の形成のためにエッチングされる絶縁膜の量は、コンタクトホール11の形成のためにエッチングされる絶縁膜の量より多く、絶縁膜のうちゲート配線3の上部の絶縁膜は、水平面に対し傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンタクトホールが形成される半導体集積回路および半導体集積回路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造においては、導電層を相互接続するため、コンタクトホールを形成することが必要である。コンタクトホールの形成の際には、ドライエッチングによる層間絶縁膜のエッチングが採用されることが多い。
【0003】
エッチング量が異なる複数のコンタクトホールを同時に形成する場合、エッチング不足等が発生しやすい。
【0004】
特許文献1では、エッチング量が異なる複数のコンタクトホールを同時に形成する技術(以下、従来技術Aという)が開示されている。以下、従来技術Aを、図7を用いて説明する。
【0005】
図7(a)は、エッチングが行われる前の半導体集積回路を示す。図7(a)では、絶縁層12上にフォトレジスト層13が形成されている。また、接点14A,14Bが形成されている。
【0006】
従来技術Aでは、まず、第1の速度でエッチングが行われる。そして、接点14A,14Bが露出する前に、一旦、エッチングが停止される(図7(b)〜図7(e)参照)。
【0007】
そして、第1の速度より遅い速度で、エッチングが行われることにより、接点14A,14Bを露出させる(図7(f))。これにより、エッチング量が異なる、コンタクトホールとしての径路15A,15Bが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−243193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術Aでは、エッチングを途中で停止する必要があるため、エッチングの効率が悪い。
【0010】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、効率のよいエッチングを行うことが可能な半導体集積回路等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、この発明のある局面に従う半導体集積回路は、基板と、基板の上部に形成される第1および第2の導電体と、第1および第2の導電体上に形成される絶縁膜と、絶縁膜の一部のエッチングにより形成された、第1および第2の導電体の一部をそれぞれ露出させる第1および第2のコンタクトホールとを含み、第1のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量は、第2のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量より多く、絶縁膜のうち、第1の導電体の上部の絶縁膜は、水平面に対し傾斜しており、絶縁膜のうち、第2の導電体の上部の絶縁膜は、水平面に対しほぼ平行である。
【0012】
すなわち、半導体集積回路は、第1および第2の導電体の一部をそれぞれ露出させる第1および第2のコンタクトホールを含む。第1のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量は、第2のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量より多く、絶縁膜のうち、第1の導電体の上部の絶縁膜は、水平面に対し傾斜している。
【0013】
絶縁膜のエッチングに使用されるエッチングガスは、絶縁膜に対し垂直に入射するより、絶縁膜に対し斜めに入射した方がエッチング速度が大きい。そのため、エッチングされる絶縁膜の量が多い第1のコンタクトホールが形成される部分の絶縁膜を、水平面に対し傾斜させることにより、エッチング量の異なる第1および第2のコンタクトホールを同時に形成する場合においても、第1のコンタクトホールの形成におけるエッチング不足を防ぐことができ、効率のよいエッチングを行うことができる。
【0014】
また、第1の導電体の上部の絶縁膜は、複数の絶縁膜から構成されることが好ましい。
また、第1の導電体は、TiまたはTi化合物を含み、第1の導電体のうち第1のコンタクトホールが形成される部分は、TiまたはTi化合物が除去されていることが好ましい。
【0015】
これにより、第1のコンタクトホールと第1の導電体とによるコンタクト抵抗を小さくすることができる。
【0016】
この発明の他の局面に従う半導体集積回路の製造方法は、水平面を有する基板において、水平面に対し傾斜している傾斜面を形成する工程と、傾斜面の上部および水平面の上部にそれぞれ第1および第2の導電体を形成する工程と、第1および第2の導電体上に絶縁膜を形成する工程とを含み、絶縁膜のうち、第1の導電体の上部の絶縁膜は、水平面に対し傾斜しており、絶縁膜のうち、第2の導電体の上部の絶縁膜は、水平面に対しほぼ平行であり、製造方法は、さらに、絶縁膜の一部をエッチングすることにより、第1および第2の導電体の一部をそれぞれ露出させる第1および第2のコンタクトホールを形成する工程を含み、第1のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量は、第2のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量より多い。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、効率のよいエッチングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態における半導体集積回路の製造方法の各工程を示す模式的な断面図である。
【図2】第1の実施の形態における半導体集積回路の製造方法の各工程を示す模式的な断面図である。
【図3】第1の実施の形態における半導体集積回路の製造方法の各工程を示す模式的な断面図である。
【図4】第1の実施の形態における半導体集積回路の製造方法の各工程を示す模式的な断面図である。
【図5】第1の実施の形態における半導体集積回路の製造方法の各工程を示す模式的な断面図である。
【図6】イオンの入射角度とスパッタ収率との関係を示すグラフである。
【図7】従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1から図5は、第1の実施の形態における半導体集積回路の製造方法の各工程を示す模式的な断面図である。
【0021】
図5(a)は、本実施の形態における半導体集積回路100の断面図である。
半導体集積回路100は、化合物半導体集積回路である。半導体集積回路100は、半導体基板1と、絶縁膜4と、ゲート配線3と、層間絶縁膜5と、抵抗配線6と、層間絶縁膜7と、レジストパターン8と、コンタクトホール10,11とを含む。
【0022】
半導体基板1は、詳細は後述するが、水平面41と、水平面41に対し所定角度だけ傾斜している傾斜面2とを有する。以下においては、半導体基板1の水平面41と、傾斜面2とが形成する角度を、傾斜角度という。
【0023】
半導体基板1は、GaAsで生成される。半導体基板1は、例えば6インチウエハに形成される。
【0024】
絶縁膜4は半導体基板1上に形成される。絶縁膜4のうちの傾斜面2上の部分は、傾斜面2の傾斜角度とほぼ同じ角度で水平面に対し傾斜している。
【0025】
ゲート配線3は、絶縁膜4上に形成される。ゲート配線3のうち傾斜面2の上方の部分は、傾斜面2の傾斜角度とほぼ同じ角度で水平面に対し傾斜している。ゲート配線3は、AL膜32と、Ti膜31,32とから構成される。すなわち、ゲート配線3は導電体である。Ti膜31,32は、AL膜32を挟むように形成される。Ti膜31,32の各々の膜厚は、例えば、50nmである。AL膜32の膜厚は、例えば、500nmである。
【0026】
なお、ゲート配線3には、Tiの代わりにTi化合物が使用されてもよい。
層間絶縁膜5は、絶縁膜4およびゲート配線3上に形成される。層間絶縁膜5のうち傾斜面2の上方の部分は、傾斜面2の傾斜角度とほぼ同じ角度で水平面に対し傾斜している。層間絶縁膜5は、SiNで生成される。層間絶縁膜5の膜厚は、例えば、300nmである。
【0027】
抵抗配線6は、層間絶縁膜5上に形成される。抵抗配線6は、WSiNで生成される。すなわち、抵抗配線6は導電体である。抵抗配線6の膜厚は、例えば、200nmである。
【0028】
層間絶縁膜7は、抵抗配線6および層間絶縁膜5上に形成される。層間絶縁膜7のうち傾斜面2の上方の部分は、傾斜面2の傾斜角度とほぼ同じ角度で水平面に対し傾斜している。また、層間絶縁膜7のうち導電体としての抵抗配線6の上方の部分は水平面に対しほぼ平行である。層間絶縁膜7は、SiNで生成される。層間絶縁膜5の膜厚は、例えば、200nmである。
【0029】
レジストパターン8は、層間絶縁膜7上に形成される。レジストパターン8は、コンタクトホールの形成のために形成される。レジストパターン8のうち傾斜面2の上方の部分は、傾斜面2の傾斜角度とほぼ同じ角度で水平面に対し傾斜している。
【0030】
コンタクトホール10は、導電体としてのゲート配線3の一部を露出させるコンタクトホールである。コンタクトホール10は、レジストパターン8、層間絶縁膜7、層間絶縁膜5およびTi膜31の各々において、傾斜面2の上方の傾斜部分の一部がエッチングされることにより形成される。
【0031】
コンタクトホール11は、導電体としての抵抗配線6の一部を露出させるコンタクトホールである。コンタクトホール11は、レジストパターン8および層間絶縁膜7の各々において、水平面41の上方の部分の一部がエッチングされることにより形成される。
【0032】
コンタクトホール10の形成のためにエッチングされる絶縁膜(層間絶縁膜5,7)の量は、コンタクトホール11の形成のためにエッチングされる絶縁膜(層間絶縁膜7)の量より多い。
【0033】
すなわち、本実施の形態における半導体集積回路100では、半導体集積回路100の製造過程で同時に複数のコンタクトホールを形成する際にエッチングされる絶縁膜の量が多い部分を、水平面に対し傾斜させている。
【0034】
そのため、エッチング量の異なるコンタクトホール10,11を同時に形成する場合においても、コンタクトホール10の形成におけるエッチング不足を防ぐことができ、効率のよいエッチングを行うことができる。
【0035】
なお、半導体集積回路100の構成は、図5(a)に示される構成に限定されない。例えば、傾斜面2の上部に形成される絶縁膜は1層であってもよい。また、半導体集積回路100に形成される導電体の数および位置等も、図5(a)に示される構成に限定されない。
【0036】
次に、本実施の形態における半導体集積回路100の製造方法について、図1〜図5を用いて説明する。本実施の形態における半導体集積回路100の製造方法では、エッチング不足や過剰エッチングを防止しながら、エッチング量が異なる複数のコンタクトホールを同時に形成する。
【0037】
まず、第1の工程が行われる。図1を参照して、第1の工程では、エピタキシャル成長させた半導体基板1をウエットエッチングすることにより、図1に示されるように、傾斜面2を形成する。傾斜面2は、水平面41に対し約25°傾斜している。すなわち、図1において、半導体基板1の水平面41と、傾斜面2とが形成する角度(以下、傾斜角度という)θ1は、約25°である。
【0038】
図6は、イオンの入射角度とスパッタ収率との関係を示すグラフである。
横軸は、ドライエッチングで使用されるアルゴンイオンの入射角度を示す。縦軸は、スパッタ収率を示す。図6より、入射角度が約θmである場合、スパッタ収率が最大となる。
【0039】
再び、図1を参照して、後述するドライエッチングによりアルゴンイオンが、半導体基板1に照射される方向と、傾斜面2とにより形成される角度θ2は、約75°である。すなわち、アルゴンイオンが、傾斜面2に入射する角度は、アルゴンイオンのスパッタ収率が比較的大きい、約75°である。
【0040】
つまり、傾斜面2は、アルゴンイオンのスパッタ収率が大きくなるような角度で傾斜するように生成される。図6に示される関係より、傾斜面2の傾斜角度θ1は、10°から80°の範囲の角度であることが好ましい。
【0041】
なお、傾斜面2は、半導体基板のエッチングに限らず、半導体基板上の膜に傾斜をつける加工方法により形成されてもよい。
【0042】
次に、第2の工程が行われる。図2を参照して、第2の工程では、半導体基板1上にトランジスタが形成される。なお、図2には、トランジスタは示されていないが、当該トランジスタのゲート配線3が示される。
【0043】
具体的には、まず、半導体基板1上に絶縁膜4が形成される。そして、絶縁膜4上にゲート配線3が形成される。さらに、CVD法により、層間絶縁膜5が形成される。そして、スパッタリングとドライエッチングにより、層間絶縁膜5上に抵抗配線6がパターン形成される。以上の各工程が行われることにより、図2に示される構成が形成される。
【0044】
次に、図3を参照して、抵抗配線6および層間絶縁膜5上に、層間絶縁膜7が形成される。以上により、第2の工程は終了する。
【0045】
第2の工程が行われることにより、傾斜面2の上部には、導電体としてのゲート配線3が形成され、水平面41の上部には、導電体としての抵抗配線6が形成される。
【0046】
次に、第3の工程が行われる。図4(a)を参照して、第3の工程では、層間絶縁膜7上にレジストパターン8が形成される。レジストパターン8は、コンタクトホールを形成するために形成される。
【0047】
次に、以下のエッチング条件Aに基づいて、例えば、ICP方式のドライエッチング設備により、イオンアシストのドライエッチングを行うエッチング工程が行われる。
【0048】
エッチング条件Aは、以下のとおりである。ドライエッチングで使用されるエッチングガスは、CHF3とO2とArとが、9:1:56の比率で混合された混合ガスである。また、当該エッチングガスは、約10Paに調圧される。また、エッチングにおいて、300Wの誘導結合高周波電力およびイオン引き込みの150Wのバイアス高周波電力が印加される。
【0049】
エッチング速度は以下のとおりである。SiNで生成される層間絶縁膜5,7に対するエッチング速度は、約85nm/minである。WSiNで生成される抵抗配線6に対するエッチング速度は、約20nm/minである。Ti膜31に対するエッチング速度は、約10nm/minである。
【0050】
エッチング工程では、Ti膜31において、傾斜面2の上方の傾斜部分の一部であるTi膜が6インチウエハの全面で除去されたことが確認されるまでドライエッチングが行われる。Ti膜を除去することで、コンタクト抵抗を安定的に小さくすることができる。
【0051】
一般的に、導電体の反射防止膜などの目的で、Al配線などの上部にTiやTi化合物が形成されることがあるが、コンタクト抵抗を小さく安定させるためには、コンタクトホールのエッチングの際、TiまたはTi化合物を除去したほうがよい。
【0052】
しかし、通常の絶縁膜を開口するためのドライエッチングでは、TiまたはTi化合物のエッチング速度は絶縁膜に比べ小さい。そのため、より大きなエッチング量が必要であり、この構成により、十分なエッチング量が確保できる。
【0053】
エッチング工程では、上記エッチング条件Aに基づいて、コンタクトホール10およびコンタクトホール11を同時に形成するためのドライエッチングが行われる。
【0054】
これにより、レジストパターン8、層間絶縁膜7、層間絶縁膜5およびTi膜31の各々において、傾斜面2の上方の傾斜部分の一部がエッチングされることによりコンタクトホール10が形成される。また、レジストパターン8および層間絶縁膜7の各々において、水平面41の上方の部分の一部がエッチングされることによりコンタクトホール11が形成される。
【0055】
前述したように、コンタクトホール10は、導電体としてのゲート配線3の一部を露出させるコンタクトホールである。コンタクトホール11は、導電体としての抵抗配線6の一部を露出させるコンタクトホールである。
【0056】
プラズマ中のイオンを用いたスパッタリングやドライエッチングにおいて、イオン(エッチングガス)の入射角が垂直であるよりも、斜めであるほうがスパッタ収率やエッチング速度は大きい。
【0057】
前述したように、コンタクトホール10は、レジストパターン8、層間絶縁膜7、層間絶縁膜5およびTi膜31の各々において、傾斜面2の上方の傾斜部分の一部がエッチングされることにより形成される。
【0058】
そのため、エッチング工程により、コンタクトホール10およびコンタクトホール11を同時に形成する場合、コンタクトホール10を形成するためのエッチング速度は、コンタクトホール11を形成するためのエッチング速度より大きくなる。したがって、コンタクトホール10の形成のためにエッチングされる絶縁膜(層間絶縁膜5,7)の量は、コンタクトホール11の形成のためにエッチングされる絶縁膜(層間絶縁膜7)の量より多くなる。
【0059】
以上の工程が行われることにより、図5(a)の半導体集積回路100を製造することができる。なお、図4(a)は、コンタクトホール10,11が形成された場合のレジストパターン8のみの断面を示す。
【0060】
本実施の形態における製造方法により生成される半導体集積回路100では、半導体集積回路100の製造過程で同時に複数のコンタクトホールを形成する際にエッチングされる絶縁膜の量が多い部分を、水平面に対し傾斜させている。
【0061】
そのため、エッチング量の異なるコンタクトホール10,11を同時に形成する場合においても、コンタクトホール10の形成におけるエッチング不足を防ぐことができ、効率のよいエッチングを行うことができる。
【0062】
(本発明との比較)
次に、本発明との比較のため、エッチング工程により、水平部分のみに複数のコンタクトホールを同時に形成した場合の半導体集積回路(以下、比較用半導体集積回路という)について説明する。比較用半導体集積回路は、図5(b)に示されるように、水平面41の上部に、コンタクトホール20,21が形成されたものであるとする。比較用半導体集積回路は、例えば6インチウエハに形成される。
【0063】
比較用半導体集積回路を製造するために、前述した第1の工程および第2の工程が行われる。これにより、図3に示される構成が形成される。そして、層間絶縁膜7上にレジストパターン9が形成される。
【0064】
そして、半導体集積回路100を製造する場合と同じ条件で、エッチング条件Aに基づいてエッチング工程が行われる。
【0065】
以上の工程が行われることにより、図5(b)の比較用半導体集積回路が製造される。なお、図4(b)は、コンタクトホール20,21が形成された場合のレジストパターン9のみの断面を示す。
【0066】
次に、半導体集積回路100と、比較用半導体集積回路との比較を行う。
まず、半導体集積回路100および比較用半導体集積回路の各々を製造するためのエッチング工程において、Ti膜が除去されるまでの時間の比較を行う。
【0067】
Ti膜の除去は電子顕微鏡で表面状態を観察することで簡単に確認できる。エッチング速度の分布がウエハ外周部で大きい傾向があるため、ウエハ中央部のTi膜が除去されることを確認する。
【0068】
その結果、半導体集積回路100は550秒のエッチングでウエハ全面でのTi膜の除去が確認され、比較用半導体集積回路では720秒のエッチングでウエハ全面でのTi膜の除去が確認できる。
【0069】
エッチングガスにおけるArの比率を大きくすることで、ドライエッチングの反応におけるイオンによるスパッタリング効果が相対的に大きくなり、傾斜部と水平部でエッチング速度に差ができたため、半導体集積回路100と比較用半導体集積回路とでTi膜の除去の時間に差ができたと考えられる。
【0070】
このときの断面を評価すると、半導体集積回路100は6インチウエハの全面で、図5(a)のように、Ti膜31のうちコンタクトホール10に対応する部分が除去されている。コンタクトホール11に関しては、抵抗配線6にオーバーエッチングが見られるが、コンタクトホール11による抵抗配線6の貫通は見られない。
【0071】
一方、6インチウエハの中央部の比較用半導体集積回路では、半導体集積回路100と同様に、図5(b)のように、Ti膜31のうちコンタクトホール20に対応する部分が除去されている。また、6インチウエハの中央部の比較用半導体集積回路では、図示はしないが、コンタクトホール21に関しては、抵抗配線6にオーバーエッチングが見られるが、コンタクトホール21による抵抗配線6の貫通は見られない。
【0072】
しかし、6インチウエハの周辺部の比較用半導体集積回路では、図5(b)のように、Ti膜31のうちコンタクトホール20に対応する部分が除去されている。6インチウエハの周辺部の比較用半導体集積回路では、図5(b)のように、コンタクトホール21に関しては、抵抗配線6がコンタクトホール21により貫通している。
【0073】
そのため、本発明により製造された半導体集積回路100では、コンタクト抵抗が面内で均一になる。しかしながら、本発明を適用していない比較用半導体集積回路は、エッチングの過剰が発生したため、抵抗配線6とのコンタクト抵抗にばらつきが発生する。
【0074】
よって、製造コストの削減を図るため、複数のコンタクトホールを同時に形成する半導体集積回路において、本発明を用いない場合、過剰エッチングが発生する構成であっても、本発明を用いることで、エッチング不足や過剰エッチングを防止できる。
【0075】
従って、本実施の形態に係る半導体集積回路100および半導体集積回路100の製造方法においては、複数の層にある、導電体膜に対し、エッチング不足や過剰エッチングを防止しつつ、複数のコンタクトホールを同時に形成することができる。
【0076】
そのため、低コストで信頼性の高い半導体集積回路およびその製造方法を実現できる。
以上、本実施の形態では、半導体集積回路100および半導体集積回路100の製造方法について、上記の実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれるものである。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、半導体集積回路および半導体集積回路の製造方法に利用でき、特に半導体集積回路におけるコンタクトホール形成方法等に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 半導体基板
2 傾斜面
3 ゲート配線
4 絶縁膜
5 層間絶縁膜
6 抵抗配線
7 層間絶縁膜
8,9 レジストパターン
10,11,20,21 コンタクトホール
100 半導体集積回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上部に形成される第1および第2の導電体と、
前記第1および第2の導電体上に形成される絶縁膜と、
前記絶縁膜の一部のエッチングにより形成された、前記第1および第2の導電体の一部をそれぞれ露出させる第1および第2のコンタクトホールとを含み、
前記第1のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量は、前記第2のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量より多く、
前記絶縁膜のうち、前記第1の導電体の上部の絶縁膜は、水平面に対し傾斜しており、
前記絶縁膜のうち、前記第2の導電体の上部の絶縁膜は、水平面に対しほぼ平行である、
半導体集積回路。
【請求項2】
前記第1の導電体の上部の絶縁膜は、複数の絶縁膜から構成される、
請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記第1の導電体は、TiまたはTi化合物を含み、
前記第1の導電体のうち前記第1のコンタクトホールが形成される部分は、TiまたはTi化合物が除去されている、
請求項1または2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
半導体集積回路の製造方法であって、
水平面を有する基板において、前記水平面に対し傾斜している傾斜面を形成する工程と、
前記傾斜面の上部および前記水平面の上部にそれぞれ第1および第2の導電体を形成する工程と、
前記第1および第2の導電体上に絶縁膜を形成する工程とを含み、
前記絶縁膜のうち、前記第1の導電体の上部の絶縁膜は、前記水平面に対し傾斜しており、
前記絶縁膜のうち、前記第2の導電体の上部の絶縁膜は、前記水平面に対しほぼ平行であり、
前記製造方法は、さらに、
前記絶縁膜の一部をエッチングすることにより、前記第1および第2の導電体の一部をそれぞれ露出させる第1および第2のコンタクトホールを形成する工程を含み、
前記第1のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量は、前記第2のコンタクトホールの形成のためにエッチングされる絶縁膜の量より多い、
半導体集積回路の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−23472(P2011−23472A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165852(P2009−165852)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】